(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】作業判定システム、作業判定方法および作業判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240126BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01B69/00 303Z
A01B69/00 303G
(21)【出願番号】P 2020191565
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】近藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】宮内 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】吉峰 拓海
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-173556(JP,A)
【文献】特開2010-161991(JP,A)
【文献】特開2018-190292(JP,A)
【文献】特開2018-200639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B69/00-69/08
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内を移動して作業を行う作業車両の外部で用意可能で、かつ、前記作業車両の稼働状況とは独立している外部情報を用意する外部情報用意手段と、
前記作業車両の移動を記録した移動情報と、前記外部情報とに基づいて前記作業の種類を推定する作業推定手段と
を備え
、
前記外部情報は、1以上の個別外部情報を含み、
前記1以上の個別外部情報は、前記作業車両の仕様上の性能を示す1以上の性能情報、前記圃場の地理的な特徴を示す1以上の圃場地理情報、上方から地表を観察して得られる情報に基づき前記圃場における土地状態の特徴を示す1以上の圃場土地属性情報、および、前記圃場における気象を表す1以上の圃場気象情報のうちの、少なくとも1つを含む
作業判定システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業判定システムにおいて、
前記移動情報は、
前記作業車両の、複数の時刻のそれぞれにおける位置を表す位置情報
を含み、
前記位置情報を取得する位置情報取得手段
をさらに備える
作業判定システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業判定システムにおいて、
前記移動情報は、
前記作業車両の、複数の時刻のそれぞれにおける車速を表す車速情報
を含む
作業判定システム。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか一項に記載の作業判定システムにおいて、
前記1以上の性能情報は、前記作業車両の仕様上の最大馬力を表す最大馬力情報と、前記作業車両の走行方式を表す走行方式情報と、前記作業車両の車高を示す車高情報と、前記作業車両の走行幅を表す走行幅情報とのうちの、少なくとも1つを含み、
前記1以上の圃場地理情報は、前記圃場の標高を表す圃場標高情報と、前記圃場の土壌の種類を表す圃場土壌情報と、前記圃場が位置する地域を表す圃場地域情報とのうちの、少なくとも1つを含み、
前記1以上の圃場気象情報は、前記圃場の所定の期間の降水量を表す圃場降水量情報と、前記圃場の所定の期間の積算日射量を表す圃場積算日射量情報と、前記圃場の所定の期間の平均温度を表す圃場平均温度情報と、前記圃場の所定の期間の最高気温を表す圃場最高気温情報と、前記圃場の所定の期間の最低気温を表す圃場最低気温情報と、前記圃場の所定の期間の積算温度を表す圃場積算温度情報とのうちの、少なくとも1つを含む
作業判定システム。
【請求項5】
請求項
1~4のいずれか一項に記載の作業判定システムにおいて、
前記1以上の個別外部情報のうち少なくとも1つを教師あり学習の正解ラベルとして含む学習用データを用いて、前記作業の種類を推定するように学習を行った判定モデルを記憶する判定モデル記憶手段をさらに備え、
前記作業推定手段は、前記判定モデルを用いて前記作業の種類を推定する
作業判定システム。
【請求項6】
請求項
1~4のいずれか一項に記載の作業判定システムにおいて、
前記1以上の個別外部情報のうち少なくとも1つを教師あり学習の正解ラベルとして含む学習用データを用いて、前記作業の種類を推定するように学習を行った複数の判定モデルを記憶する判定モデル記憶手段と、
前記複数の判定モデルの中から、前記外部情報に含まれる前記個別外部情報に基づき、1つの判定モデルを選択する判定モデル選択手段と
をさらに備え、
前記作業推定手段は、前記判定モデル選択手段が選択した前記判定モデルを用いて、前記作業の種類を推定する
作業判定システム。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか一項に記載の作業判定システムにおいて、
前記作業推定手段は、前記作業車両の前記稼働状況を表す稼働情報にさらに基づいて前記作業の種類を推定する
作業判定システム。
【請求項8】
請求項
7に記載の作業判定システムにおいて、
前記稼働情報は、前記作業車両のエンジン回転数を表すエンジン回転数情報と、前記作業車両のエンジン負荷率を表すエンジン負荷率情報と、前記作業車両から外部の作業機に動力を伝達するPTO(Power Take Off:パワーテイクオフ)の回転数を表すPTO回転数情報と、前記作業車両に対する前記作業機の昇降状態を表すヒッチ高さ情報およびリフトアーム角度情報とのうちの、少なくとも1つを含む
作業判定システム。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の作業判定システムにおいて、
前記作業の種類を推定した結果を、前記推定に用いた情報の名称および値とともに表示する表示装置と、
前記作業の種類を推定した結果を修正する入力を受け付ける入力装置と
をさらに備える
作業判定システム。
【請求項10】
圃場内を移動して作業を行う作業車両の外部で用意可能で、かつ、前記作業車両の稼働状況とは独立している外部情報を用意することと、
前記作業車両の移動を記録した移動情報と、前記外部情報とに基づいて前記作業の種類を推定することと
を含
み、
前記外部情報は、1以上の個別外部情報を含み、
前記1以上の個別外部情報は、前記作業車両の仕様上の性能を示す1以上の性能情報、前記圃場の地理的な特徴を示す1以上の圃場地理情報、上方から地表を観察して得られる情報に基づき前記圃場における土地状態の特徴を示す1以上の圃場土地属性情報、および、前記圃場における気象を表す1以上の圃場気象情報のうちの、少なくとも1つを含む
作業判定方法。
【請求項11】
演算装置が実行することによって、作業車両による作業の種類を判定するための機能を実現するための作業判定プログラムであって、
前記機能は、
圃場内を移動して前記作業を行う前記作業車両の外部で用意可能で、かつ、前記作業車両の稼働状況とは独立している外部情報を用意することと、
前記作業車両の移動を記録した移動情報と、前記外部情報とに基づいて前記作業の種類を推定することと
を含
み、
前記外部情報は、1以上の個別外部情報を含み、
前記1以上の個別外部情報は、前記作業車両の仕様上の性能を示す1以上の性能情報、前記圃場の地理的な特徴を示す1以上の圃場地理情報、上方から地表を観察して得られる情報に基づき前記圃場における土地状態の特徴を示す1以上の圃場土地属性情報、および、前記圃場における気象を表す1以上の圃場気象情報のうちの、少なくとも1つを含む
作業判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の作業の種類を推定する作業判定システム、作業判定方法および作業判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
営農において、当年の経営評価を行い、次年の改善計画を立てるために、農作業として行った作業を記録することが望ましい。しかし、汎用作業車両であるトラクタを用いる場合には、このような記録の作業に手間が生じる。これは、一台のトラクタに多様な作業機を装着することによって多様な農作業を行うことが可能であり、作業の記録として入力する対象の選択肢が多いからである。
【0003】
作業の記録を手作業で行う代わりに、所定の通信機能を有するトラクタから送信される、稼働状況を表す稼働情報を用いて、機械学習に基づく手法による作業の種類の推定を行い、この推定の結果に基づいて作業の記録を自動的に行うシステムがある。
【0004】
上記に関連して、特許文献1(特開2018-190292号公報)には、トラクタなどの作業装置が圃場を移動しながら稼働して農作業を行うときに取得される位置情報と稼働情報に基づいて、作業装置が行った農作業を割り出して農作業を管理する、農作業支援システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開2019-088227号公報)には、トラクタなどの車体に作業装置を設けた作業機が圃場を走行して作業を行うときに検出される位置情報と、作業機械に設けられ、作業装置の機種を表す作業機情報を設定されたRFID(Radio Frequency IDentification)タグから受信される情報とに基づいて、作業に関する事項を取得する管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-190292号公報
【文献】特開2019-088227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の技術では、作業の種類の推定に用いる情報として、トラクタのエンジン回転数やPTO(Power Take Off:パワーテイクオフ)回転数などの稼働情報が使用される。しかし、このような稼働情報を取得するためには、トラクタが稼働情報を出力する機能を有する機種である必要がある。言い換えれば、稼働情報を出力するトラクタはその機種が限定されるため、利用者が所有するトラクタが異なる場合には同様の手法で作業の種類の推定を行うことが難しくなる。
【0008】
上記の手法に対応しない機種のトラクタを使用する場合は、利用者が、作業を開始する前などに、作業の種別を表すデータをトラクタの端末などに手動で入力することによって記録してもよい。しかし、トラクタに装着する作業機を交換して別の作業を行うたびに作業データを手動入力する運用は煩雑であり、入力のし忘れが頻繁に発生し得て、どのような作業を実行したかについての記録が困難となる状況が発生しやすい。
【0009】
そこで、本発明は、作業車両の稼働情報を取得できない場合でも、作業車両で行った作業の種類の推定を可能とする作業判定システム、作業判定方法および作業判定プログラムの提供を目的とする。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0011】
上記課題を解決するための一実施の形態によれば、作業判定システム(1)は、外部情報用意手段(531)と、作業推定手段(533)と、を備える。外部情報用意手段(531)は、圃場内を移動して作業を行う作業車両(2)の外部で用意可能で、かつ、作業車両(2)の稼働状況とは独立している外部情報を用意する。作業推定手段(533)は、作業車両(2)の移動を記録した移動情報と外部情報に基づいて作業の種類を推定する。
【0012】
上記課題を解決するための一実施の形態によれば、作業判定方法は、圃場内を移動して作業を行う作業車両(2)の外部で用意可能で、かつ、作業車両(2)の稼働状況とは独立している外部情報を用意すること(S02)と、作業車両(2)の移動を記録した移動情報と、外部情報とに基づいて作業の種類を推定すること(S04)とを含む。
【0013】
上記課題を解決するための一実施の形態によれば、作業判定プログラムは、演算装置(53)が実行することによって、作業車両(2)による作業の種類を判定するための機能を実現するための作業判定プログラムである。この機能は、圃場内を移動して作業を行う作業車両(2)の外部で用意可能で、かつ、作業車両(2)の稼働状況とは独立している外部情報を用意すること(S02)と、作業車両(2)の移動を記録した移動情報と、外部情報とに基づいて作業の種類を推定すること(S04)とを含む。
【発明の効果】
【0014】
上記の形態によれば、作業車両の稼働情報を取得できない場合でも、作業車両で行った作業の種類を推定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施の形態による作業判定システムの一構成例を示す図である。
【
図2A】
図2Aは、一実施の形態による作業車両の一構成例を示す図である。
【
図2B】
図2Bは、一実施の形態によるデータ収集部の一構成例を示すブロック回路図である。
【
図3】
図3は、一実施の形態による車載端末の一構成例を示すブロック回路図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態によるサーバの一構成例を示すブロック回路図である。
【
図5】
図5は、一実施の形態による端末の一構成例を示すブロック回路図である。
【
図6】
図6は、一実施の形態による作業判定方法と作業判定プログラムの一構成例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、一実施の形態による端末による表示の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態によるサーバの一構成例を示すブロック回路図である。
【
図9】
図9は、一実施の形態による作業判定方法と作業判定プログラムの一構成例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付図面を参照して、本発明による情報処理システムおよびサーバを実施するための形態を以下に説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
本実施の形態による作業判定システム、作業判定方法および作業判定プログラムは、作業車両が行った作業の種類を、作業中の作業車両の内部状態を示す情報以外の情報に基づいて推定することができる。その結果、作業車両が特定の支援システムに対応していなくても、過去に行った作業の記録を簡便化し、より確実に行うことができる。ここで、作業の種類には、例えば、整地、耕起、代掻き、植付、施肥、防除、収穫などが含まれる。
【0018】
図1に示すように、作業判定システム1は、車載端末3と、サーバ5とを備える。車載端末3は、作業車両2に搭載される。車載端末3とサーバ5は、ネットワーク4を介して互いに接続される。車載端末3とネットワーク4の間の接続は、無線通信によって実現される。この無線通信には、携帯電話回線が用いられてもよく、その場合はネットワーク4に携帯電話回線が含まれてもよい。また、この無線通信には、無線LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)が用いられてもよい。サーバ5とネットワーク4の間の接続は有線通信によって実現される。ネットワーク4には、車載端末3以外の端末6がさらに接続されていてもよい。
【0019】
図2Aに示すように、作業車両2は、車体21と、作業機22と、一対の前輪23と、一対の後輪24と、操舵手段25と、データ収集部26とを備えている。車体21には、車載端末3が搭載されている。
【0020】
作業機22は、例えば、農作業を行うための装置であり、車体21に昇降自在に支持されている。
図2Aの例では、作業車両2はトラクタであり、作業機22は圃場を耕す耕耘装置である。車体21は、前輪23および後輪24によって支持されており、図示しない動力源によって後輪24を駆動して前進または後退する。操舵手段25はステアリングまたはハンドルであって、作業者が操舵手段25を操作して前輪23の方向を調整することによって車体21の進行方向を調整することができる。
【0021】
図2Aに示した構成の変形例として、作業車両2は、コンバインなどのように一体型であってもよい。言い換えれば、本実施の形態の作業車両2は、トラクタと、トラクタに着脱可能に装着される作業機22との組み合わせに限定されない。
【0022】
図2Bに示すように、データ収集部26は、バス28と、インタフェース装置27と、複数のセンサ29-1、29-2、…、29-Nとを備えている。複数のセンサ29-1、29-2、…、29-Nを区別しないとき、これらを単にセンサ29と記す。それぞれのセンサ29は、バス28を介してインタフェース装置27に接続されている。インタフェース装置27は、車載端末3と接続可能に構成されている。
【0023】
複数のセンサ29は、作業車両2に設けられた複数の装置の状態を表すセンサ信号を生成する。言い換えれば、センサ29は作業車両2の稼働状況を表す稼働情報としてのセンサ信号を生成する。作業車両2の稼働状況は、少なくとも、トラクタの駆動源の駆動状態や、駆動源の駆動力を作業機22に伝達する伝達機構の作動状態などの、作業車両2の作業に係る内部状態を含む。作業車両2の稼働状況を表す稼働情報は、例えば、駆動源の駆動状態を表す駆動源情報、伝達機構の作動状態を表す伝達機構情報、作業車両2のエンジン回転数を表すエンジン回転数情報、PTO(Power Take Off:パワーテイクオフ)の回転数を表すPTO回転数情報、作業車両2に対する作業機22の昇降状態を示すヒッチ高さ情報およびリフトアーム角度情報、などを含む。
【0024】
ただし、本実施の形態では、稼働情報を使用せずに作業の種類の推定を行う場合について説明する。この場合、データ収集部26は省略可能である。データ収集部26と稼働情報を使用して作業の種類の推定を行う場合については、別の実施の形態として後述する。
【0025】
図3に示すように、車載端末3は、バス31と、稼働情報取得手段32と、演算装置33と、記憶装置34と、外部記憶装置35と、位置情報取得手段36と、通信装置37とを備えている。稼働情報取得手段32、演算装置33、記憶装置34、外部記憶装置35、位置情報取得手段36および通信装置37は、バス31を介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
車載端末3は、いわゆるコンピュータであってもよい。言い換えれば、車載端末3の機能は、記憶装置34に格納されている所定のプログラムを、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)などの演算装置33が実行することによって実現されてもよい。このプログラムは、外部記憶装置35によって記録媒体351から読み出されて記憶装置34に格納されたものであってもよいし、通信装置37を介して外部から受信されて記憶装置34に格納されたものであってもよい。
【0027】
稼働情報取得手段32は、データ収集部26からセンサ信号を取得できるように構成されている。車載端末3と作業車両2のデータ収集部26との間の通信は、稼働情報取得手段32とインタフェース装置27との間の有線通信または無線通信によって実現される。
【0028】
位置情報取得手段36は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)などを用いて、車載端末3の位置を測定する。位置情報取得手段36は、車載端末3の緯度および経度を測定することによって、車載端末3の位置を測定する。車載端末3は、作業車両2に搭載されているので、車載端末3の位置を測定することによって、作業車両2の位置を測定することができる。演算装置33は、測定した緯度と経度を表す位置情報を取得して記憶装置34に格納する。
【0029】
演算装置33は、複数の時刻においてそれぞれ取得された位置情報を、測定時刻に対応付けて記憶装置34に格納する。これら複数の時刻は、周期性を有していてもよい。一例として、演算装置33は1秒の周期で位置情報を取得し、位置情報を取得した時刻を示す時刻情報と位置情報を対応付けて記憶装置34に格納する。
【0030】
位置情報の測定の開始と終了とは、作業車両2のエンジンの始動と停止とにそれぞれ連動して自動的に制御されてもよい。
【0031】
通信装置37は、記憶装置34に格納された位置情報を、ネットワーク4を介してサーバ5に送信する。
【0032】
図4に示すように、サーバ5は、バス51と、演算装置53と、記憶装置54と、外部記憶装置55と、通信装置56とを備える。演算装置53、記憶装置54、外部記憶装置55および通信装置56は、バス51を介して相互に通信可能に接続されている。
【0033】
演算装置53は、記憶装置54に格納されたプログラムを実行することによって、サーバ5の機能を実現する。言い換えれば、サーバ5の機能は、演算装置53と記憶装置54に記憶されたプログラムとが協働して実現される。このプログラムは、外部記憶装置55によって記録媒体551から読み出されて記憶装置54に格納されたものであってもよいし、通信装置56を介して外部から受信されて記憶装置54に格納されたものであってもよい。
【0034】
図4では、このようにして実現されるサーバ5の機能を、便宜上、演算装置53が備える手段として示す。演算装置53は、外部情報用意手段531と、作業推定手段533とを備える。
【0035】
外部情報用意手段531は、作業の種類の推定に用いられ、作業車両2の外部から取得される外部情報を、演算装置53によって読み出し可能に用意する。外部情報とは、作業車両2の稼働状況とは独立した情報であって、かつ、作業車両2の外部で用意される情報である。
【0036】
外部情報には、1以上の情報が含まれていてもよい。外部情報に含まれる1以上の情報を、1以上の個別外部情報と呼ぶ。1以上の個別外部情報には、作業車両2の仕様上の性能を示す1以上の性能情報、作業車両2が作業する圃場の地理的な特徴を示す1以上の圃場地理情報、圃場における土地状態の特徴を示す1以上の圃場土地属性情報、および、圃場における気象を表す1以上の圃場気象情報のうちの、少なくとも1つの情報を含んでいてもよい。圃場土地属性情報は、例えば、人工衛星、航空機、ドローンなどで上方から地表を観察して得られる情報に基づくデータを含む。
【0037】
1以上の性能情報は、作業車両2の仕様上の最大馬力を表す最大馬力情報と、作業車両2がタイヤおよび/またはクローラで走行する走行方式を表す走行方式情報と、作業車両2の車高を示す車高情報と、作業車両2の走行幅を表す走行幅情報とのうちの、少なくとも1つを含んでいてもよい。1以上の圃場地理情報は、圃場の標高を表す圃場標高情報と、圃場の土壌の種類を表す圃場土壌情報と、圃場が位置する地域を表す圃場地域情報とのうちの、少なくとも1つを含んでいてもよい。1以上の圃場土地属性情報は、圃場の地表面の性質を表す圃場地表面情報(例:コンクリートか土か水か植物かを識別する情報)と、圃場の植物の被覆率や生育状態などを表す圃場植生情報(例:作物の種類、NDVI(Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指数)、被植率、可視光、推定窒素含有量など)、圃場の水分含量情報を表す圃場水分情報とのうちの、少なくとも1つを含んでいてもよい。1以上の圃場気象情報は、圃場の所定の期間の降水量を表す圃場降水量情報と、圃場の所定の期間の積算日射量を表す圃場積算日射量情報と、圃場の所定の期間の平均温度を表す圃場平均温度情報と、圃場の所定の期間の最高気温を表す圃場最高気温情報と、圃場の所定の期間の最低気温を表す圃場最低気温情報と、圃場の所定の期間の積算温度を表す圃場積算温度情報とのうちの、少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0038】
作業推定手段533は、記憶装置54の判定モデル記憶手段541に格納されている判定モデルを用いて、位置情報と外部情報に基づいて、作業の種類を推定する。判定モデルとは、AI(Artificial Intelligence:人工知能)で作業の種類を推定するために用いる数理モデルである。判定モデルは、機械学習により構築され、外部情報に含まれる特徴を学習している。例えば教師あり学習の場合には、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク、ロジスティック回帰、トポロジカルデータアナリシス等の手法を用いて、外部情報を学習用データとして用いて作業の種類の推定を行う。なお、ここでの学習用データは、外部情報に含まれる1以上の個別外部情報のうち少なくとも1つを、作業の種類の推定に対する正解を示す正解ラベルとして含む。
【0039】
使用者は、本実施の形態による作業判定システム1が作業の種類を推定した結果を、端末6を用いて確認することができる。端末6は、例えば、タブレット型の情報端末であってもよい。
【0040】
図5に示すように、端末6は、バス61と、入出力装置62と、演算装置63と、記憶装置64と、外部記憶装置65と、通信装置67とを備えている。入出力装置62、演算装置63、記憶装置64、外部記憶装置65および通信装置67は、バス61を介して相互に通信可能に接続されている。
【0041】
端末6は、車載端末3と同様に、いわゆるコンピュータであってもよい。言い換えれば、端末6の機能は、記憶装置64に格納されている所定のプログラムを、CPUなどの演算装置63が実行することによって実現されてもよい。このプログラムは、外部記憶装置65によって記録媒体651から読み出されて記憶装置64に格納されたものであってもよいし、ネットワーク4と通信装置67を介して外部から取得されて記憶装置64に格納されたものであってもよい。
【0042】
入出力装置62は、表示装置と一体化されて、使用者が入力を行うこともできるタッチパネル装置を含んでいる。入出力装置62は、さらに、端末6を操作するためのキー、ボタン、スイッチなどの入力装置を含んでいてもよい。
【0043】
通信装置67は、ネットワーク4を介してサーバ5に接続されて、サーバ5からデータを取得することができ、反対に、記憶装置64に格納されているデータをサーバ5に送信することもできる。
【0044】
図6を参照して、上記構成を有する作業判定システム1の動作の一例、すなわち本実施の形態による作業判定方法の一構成例について説明する。作業判定方法の各ステップは、車載端末3の演算装置33、サーバ5の演算装置53または端末6の演算装置63が、本実施の形態による作業判定プログラムを実行することによって実現される。
【0045】
第1ステップS01において、作業車両2の作業が終了し、作業車両2の作業中の位置情報が車載端末3からサーバ5に送信されると、サーバ5において作業判定方法を開始する。作業判定方法が開始されるとき、判定モデルは、判定モデル記憶手段541に用意されている。
【0046】
第2ステップS02において、作業の種類の推定に用いる各種のデータが記憶装置54に用意される。ここで用意されるデータには、作業車両2の位置情報と、作業車両2の外部で用意される外部情報とが含まれる。
【0047】
作業車両2の位置情報は、作業車両2が圃場を移動して作業を行っている間の複数の時刻において、位置情報取得手段36によって取得され、車載端末3の記憶装置34に格納される。この動作は、第1ステップS01で作業判定方法を開始する前に完了している。
【0048】
位置情報は、前述のとおり、車載端末3の演算装置33から、ネットワーク4を介してサーバ5の演算装置53に送信される。サーバ5の演算装置53は、受信した位置情報を記憶装置54に格納し、演算装置53によって読み出し可能に用意する。
【0049】
位置情報の変形例として、車速情報を用いてもよい。つまり、複数の時刻のそれぞれにおける作業車両2の車速を表す車速情報を用いて作業の種類の推定を行ってもよい。ここで、車速情報は、位置情報に代えて用いられてもよいし、位置情報に加えて用いられてもよい。
【0050】
車速情報の算出は、車速算出手段としてサーバ5の演算装置53が行ってもよいし、車載端末3の演算装置33が行ってもよい。位置情報を測定した複数の時刻の中で、ある第1時刻T1における車速情報は、例えば、その第1時刻T1と、その時刻の次の第2時刻T2(または前の第0時刻T0)と、時刻T1に測定した第1位置情報と、第2時刻T2(または第0時刻T0)に測定した第2位置情報(または第0位置情報)とに基づいて容易に算出できる。また、各時刻の車速の平均値を車速情報として用いてもよい。
【0051】
位置情報と車速情報を総称して、作業車両2の移動を記録した移動情報と呼ぶ。位置情報と合わせて車速情報を用いることができる場合と、位置情報の代わりに車速情報を用いることができる場合とにおいては、位置情報または車速情報を移動情報と読み替えてもよい。
【0052】
外部情報は、前述のとおり、サーバ5の外部情報用意手段531が、演算装置53によって読み出し可能に用意する。
【0053】
第3ステップS03において、サーバ5の作業推定手段533が、作業車両2の作業の種類を推定する。このとき、作業推定手段533は、作業の種類の推定を行うために、判定モデル記憶手段541から読み出した判定モデルに、個別外部情報と、位置情報とを入力する。
【0054】
上記の例において、作業推定手段533が、第3の判定モデルCに、個別外部情報である最大馬力情報と、位置情報に由来する時刻情報および車速情報とを入力する。ここで、最大馬力情報は作業車両2の仕様上の最大馬力が「100PS(馬力)」であることを表し、時刻情報は季節が「春」であることを表し、車速情報は作業車両2の作業中の平均車速が「時速2キロメートル」であることを表している場合について説明する。
【0055】
なお、最大馬力情報は、例えば、車載端末3からサーバ5に送信される識別信号に基づいて、サーバ5の記憶装置54に予め格納されているデータベースから、サーバ5の演算装置53が読み出してもよい。ここで、例えば、識別信号には作業車両2の型番を表す型番情報が含まれており、型番情報はデータ収集部26から車載端末3によって読み出され、データベースには型番ごとの最大馬力情報を表す情報が含まれていてもよい。また、時刻情報は、車載端末3からサーバ5に送信される位置情報に含まれる時刻情報と、サーバ5の記憶装置54に予め格納されているデータベースから、サーバ5の演算装置53が読み出してもよい。ここで、時刻情報には位置情報が取得された日付が含まれており、データベースには日付ごとの季節を表す情報が含まれていてもよい。
【0056】
圃場地域情報の値が「関東地方」であり、圃場土壌情報の値が「水稲およびキャベツ」であるという前提条件において、第3の判定モデルCは、時刻情報の値が「春」であり、かつ、車速情報の値が「時速2キロメートル」である場合において、耕起の作業を行うときには作業車両2の最大馬力が「100PS以上」である頻度が高く、整地の作業を行うときにはこの最大馬力が「50馬力~70馬力以上」である頻度が高いことを、機械学習によって学習している。その結果、第3の判定モデルCは、作業の種類が「整地」である確度(確からしさ)が55%であり、作業の種類が「耕起」である確度が45%であると出力する。出力された作業の種類に確度を対応付けた組み合わせのそれぞれを、推定結果と記す。
【0057】
第4ステップS04において、サーバ5の作業推定手段533は、それぞれの推定結果を記憶装置54に記録する。
【0058】
第5ステップS05において、サーバ5の作業推定手段533は、作業の種類を判定する。詳細には、作業推定手段533は、第3ステップS03で得られ、第4ステップS04で記録された推定結果のうち、対応付けられた確度が最も高い作業の種類が、実際に行われた作業の種類であると判定し、この判定結果を記憶装置54に記録する。
【0059】
第6ステップS06において、端末6は判定結果を表示して使用者に知らせる。詳細には、サーバ5の作業推定手段533が、判定結果が用意できていることを端末6に知らせるための信号を端末6に送信する。端末6は、この信号を受信すると、サーバ5の記憶装置54から判定結果と推定結果を受け取って記憶装置64に格納する。端末6は、判定結果と推定結果を表示する用意ができていることを、表示や音声などを用いて使用者に知らせる。使用者は、端末6を操作して判定結果を入出力装置62のタッチパネルに表示させる。
【0060】
図7に示すように、端末6の入出力装置62は、作業が行われた圃場を表す地図情報621と共に、この圃場で行った作業の種類の判定結果を表すウインドウ622を表示してもよい。このウインドウ622には、判定結果を含むすべての推定結果について、推定された作業の種類の名称と、この推定の確度と、この推定を行うために判定モデルに入力された代表的な情報の名称および値とが表示されてもよい。このウインドウ622には、さらに、推定された作業が行われた日付と時間帯が表示されてもよい。
【0061】
図7の例では、推定された作業の種類が「整地」であることと、この推定の確度が「55%」であることが表示されている。また、別の推定の結果として、推定された作業の種類が「耕起」であることと、この推定の確度が「45%」であることが表示されている。ここで、これらの推定の結果の中で「整地」が判定結果であることを示すために、端末6は「整地 55%」の部分を枠で囲んで強調表示している。
【0062】
さらに、
図7の例では、推定に用いられた代表的な情報として、車速が「2」であることと、最大馬力が「100」であることと、季節が「春」であることとがウインドウ622に表示されている。
【0063】
ここで、使用者は、端末6の表示を確認するとともに、もし作業の種類の判定結果が間違っていたら修正することができる。
図7の例において、使用者は、作業の種類の判定結果を「整地」から「耕起」に修正するため、タッチパネルのうち、「耕起 45%」の部分をタップするなどの操作を行う。使用者の操作に応じて、端末6の演算装置63は、作業の判定結果を「耕起」に修正するための修正信号をサーバ5に送信する。サーバ5は、この修正信号に基づいて、記憶装置54に格納されている作業の種類の判定結果を「整地」から「耕起」に修正する。
【0064】
第6ステップS06が完了すると、第7ステップS07において
図6のフローチャートは終了する。
【0065】
以上に説明したように、本実施の形態による作業判定システム1は、作業判定プログラムを実行して作業判定方法の各ステップを実現することによって、作業車両2の稼働情報を取得できなくても、作業車両2の位置情報と、外部情報とに基づいて、作業車両2の作業の種類を推定することができる。また、過去に行った作業の記録を簡便化し、より確実に行うことができる。
【0066】
(第2実施の形態)
本実施の形態は、第1実施の形態の一変形例として以下の変更を加えたものである。すなわち、第1実施の形態では作業の推定に用いるための判定モデルが1つである構成について説明したが、本実施の形態では判定モデル記憶手段541に複数の判定モデルを用意し、これら複数の判定モデルの中から1つの判定モデルを選択して作業の推定に用いる。
【0067】
図8に示すように、本実施の形態によるサーバ5は、
図4に示した第1実施の形態によるサーバ5に、以下の変更を加えたものである。すなわち、演算装置53が判定モデル選択手段532をさらに有している。判定モデル選択手段532は、判定モデル記憶手段541に格納されている複数の判定モデルの中から、作業の種類の推定に用いる判定モデルを選択する。
【0068】
複数の判定モデルは、学習用データとして用いられた外部情報が異なる。例えば、判定モデルのうちの第1の判定モデルAは、圃場土壌情報が水稲である学習用データを用いて学習が行われている。また、第1の判定モデルAと異なる第2の判定モデルBは、圃場土壌情報が水稲とキャベツである学習用データを用いて学習が行われている。
【0069】
本実施の形態では、判定モデル選択手段532が複数の判定モデルの中から判定モデルを選択するときに、外部情報用意手段531が用意した個別外部情報に適合する学習用データを用いて学習を行われた判定モデルを選択する。このようにして選択された判定モデルを作業の推定に用いることによって、作業の推定において優れた精度が得られると期待できる。
【0070】
図9を参照して、上記構成を有する作業判定システム1の動作の一例、すなわち本実施の形態による作業判定方法の一構成例について説明する。作業判定方法の各ステップは、車載端末3の演算装置33、サーバ5の演算装置53または端末6の演算装置63が、本実施の形態による作業判定プログラムを実行することによって実現される。
【0071】
第1ステップS11および第2ステップS12は、それぞれ、
図6に示した第1実施の形態の第1ステップS01および第2ステップS02と同じである。
【0072】
第3ステップS13において、サーバ5の判定モデル選択手段532が、作業の種類の推定に用いる判定モデルを選択する。判定モデル選択手段532は、判定モデル記憶手段541に格納されている複数の判定モデルの中から、記憶装置54に格納されている外部情報に含まれる個別外部情報に適合する判定モデルを選択する。
【0073】
個別外部情報および正解ラベルを学習用データとして用いて学習を行った判定モデルを用いた場合には、学習に使用していない個別外部情報を判定モデルに入力した場合でも、高い精度で作業の種類を推定できる。このような外部情報から作業種類の推定を行う過程を、個別外部情報が正解ラベルに適合する、と表現する。
【0074】
一例として、判定モデル記憶手段541に、正解ラベルに適合する個別外部情報の組み合わせがそれぞれ異なる3つの判定モデルが格納されている場合について説明する。第1の判定モデルAは、圃場土壌情報が水稲であり、圃場地域情報が九州地方である組み合わせの正解ラベルに適合している。第2の判定モデルBは、圃場土壌情報が水稲およびキャベツであり、圃場地域情報が九州地方である組み合わせの正解ラベルに適合している。第3の判定モデルCは、圃場土壌情報が水稲およびキャベツであり、圃場地域情報が関東地方である組み合わせの正解ラベルに適合している。ここで、圃場土壌情報は、過去にその圃場で栽培された実績がある作物を表しており、その圃場はその作物を栽培するのに適した土壌の特性を有していることを表している。また、圃場地域情報は、その圃場が位置している地方を表している。
【0075】
上記の例において、種類を推定したい作業に関して用意された個別外部情報のうち、圃場地域情報が「関東地方」であり、圃場土壌情報が「水稲およびキャベツ」である場合には、正解ラベルに適合する個別外部情報が一致する第3の判定モデルCを、判定モデル選択手段532が選択する。
【0076】
第4ステップS14において、サーバ5の作業推定手段533が、作業車両2の作業の種類を推定する。本実施の形態の第4ステップS14は、第1実施の形態の第3ステップS03に以下の変更を加えたものである。すなわち、作業推定手段533は、作業の種類の推定を行うために、第3ステップS13で選択された判定モデルに、個別外部情報と、位置情報とを入力する。
【0077】
第5ステップS15、第6ステップS16、第7ステップS17および第8ステップS18は、それぞれ、
図6に示した第1実施の形態の第4ステップS04、第5ステップS05、第6ステップS06および第7ステップS07と同じである。
【0078】
以上に説明したように、本実施の形態による作業判定システム1は、作業の種類を推定するために用いる判定モデルとして、複数の判定モデルの中から正解ラベルに適合する判定モデルを選択することができる。したがって、第1実施の形態の場合と比較して、作業の推定において優れた精度が得られると期待できる。
【0079】
(第3実施の形態)
本実施の形態では、作業車両2の作業の種類を推定するために用いる情報として、作業車両2の位置情報と、作業車両2の外部で用意される外部情報に加えて、作業車両2の稼働状況を表す稼働情報をさらに用いる。
【0080】
また、本実施の形態による作業判定方法と作業判定プログラムの構成は、
図6に示した第1実施の形態のフローチャートまたは
図9に示した第2実施の形態のフローチャートに以下の変更を加えることで得られる。まず、作業車両2の作業中に、車載端末3が位置情報に加えて稼働情報を取得する。この動作は、
図6の第1ステップS01または
図9の第1ステップS11で行われる。
【0081】
稼働情報には、一例として、駆動源の駆動状態を表す駆動源情報、伝達機構の作動状態を表す伝達機構情報、作業車両2のエンジン回転数を表すエンジン回転数情報、作業車両2のエンジン負荷率を表すエンジン負荷率情報、作業車両2から作業機22に動力を伝達するPTOの回転数を表すPTO回転数情報、作業車両2に対する作業機22の昇降状態を示すヒッチ高さおよびリフトアーム角度情報、などが含まれている。
【0082】
次に、
図6の第2ステップS02または
図9の第2ステップS12において、稼働情報は、位置情報と同様にサーバ5の演算装置53に送信されて記憶装置54に格納される。
図9の第3ステップS13において、判定モデル選択手段532は、判定モデルを選択する際に、位置情報と外部情報に加えて、記憶装置54に格納されている稼働情報を用いる。
図6の第3ステップS03または
図9の第4ステップS14において、作業推定手段533が、位置情報と外部情報に加えて、稼働情報を判定モデルに入力して作業の種類を推定する。
図6の第6ステップS06または
図9の第7ステップS17において、端末6の演算装置63は、判定の結果とともに、推定に用いられた代表的な情報として稼働情報をウインドウ622に表示してもよい。
【0083】
本実施形態による作業判定システム1は、作業判定プログラムを実行して作業判定方法の各ステップを実現することによって、稼働情報を取得できない場合より高い精度で作業車両2の作業の種類を推定することができる。また、過去に行った作業の記録を簡便化し、より確実に行うことができる。
【0084】
以上、本発明を各実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、上記の実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
【0085】
各実施の形態による作業判定システム1の変形例として、車載端末3と端末6は同一の端末であってもよい。言い換えれば、作業車両2に着脱可能に接続した端末6を車載端末3として使用してもよい。端末6を車載端末3として使用する場合には、端末6は車載端末3の機能を実現するために備えられた各種の構成要素をさらに備えている。入出力装置62は、データ収集部26に接続するためのインタフェース装置をさらに含んでいる。
【0086】
稼働情報を使用しない第1実施の形態の変形例として、データ収集部26が省略されている場合は、車載端末3の稼働情報取得手段32も省略可能である。
【0087】
記録媒体351、記録媒体551および記録媒体651のそれぞれは、一時的でない有形の媒体(non-transitory tangible media)であってもよい。
【0088】
外部情報用意手段531が外部情報を記憶装置54に用意するための複数の方法について説明する。外部情報用意手段531は、ネットワーク4と通信装置56とを介してネットワーク4に接続された他のサーバから外部情報を取得して記憶装置54に格納してもよいし、記録媒体551から外部記憶装置55を介して外部情報を取得して記憶装置54に格納してもよいし、記憶装置54に予め格納されているデータベースから読み出されてもよい。外部情報は、予め記憶装置54に登録されていてもよい。いずれの場合も、外部情報用意手段531は、記憶装置54から外部情報を読み出すことで外部情報を用意することができる。
【0089】
第1実施の形態の第6ステップS06と第2実施の形態の第7ステップS07の変形例として、サーバ5の作業推定手段533による作業の種類の判定結果を使用者によって修正された場合は、作業の種類の推定に用いた判定モデルを更新してもよい。判定モデルの更新は、別の学習用データを用いた追学習を判定モデルに行うことを含んでもよい。また、第2実施の形態では、判定モデルの更新は、第3ステップS13において複数の判定モデルの中から使用する判定モデルを選択する基準および/または方法の変更を含んでもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 作業判定システム
2 作業車両
21 車体
22 作業機
23 前輪
24 後輪
25 操舵手段
26 データ収集部
27 インタフェース装置
28 バス
29、29-1、29-2、29-N センサ
3 車載端末
31 バス
32 稼働情報取得手段
33 演算装置
34 記憶装置
35 外部記憶装置
351 記録媒体
36 位置情報取得手段
37 通信装置
4 ネットワーク
5 サーバ
51 バス
53 演算装置
531 外部情報用意手段
532 判定モデル選択手段
533 作業推定手段
54 記憶装置
541 判定モデル記憶手段
55 外部記憶装置
551 記録媒体
56 通信装置
6 端末
61 バス
62 入出力装置
621 地図情報
622 ウインドウ
63 演算装置
64 記憶装置
65 外部記憶装置
651 記録媒体
67 通信装置