(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】2つの化粧品を塗布するためのキャップ及びバイアルのアプリケータシステム
(51)【国際特許分類】
A45D 34/06 20060101AFI20240126BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
A45D34/06
A45D34/04 510A
A45D34/04 515A
A45D34/04 515C
A45D34/04 525A
A45D34/04 525B
(21)【出願番号】P 2020516811
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(86)【国際出願番号】 US2018051102
(87)【国際公開番号】W WO2019060222
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-05-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-22
(32)【優先日】2017-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロ,ヨン ジュン
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】村上 聡
【審判官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0481972(KR,Y1)
【文献】特開2007-236961(JP,A)
【文献】特開2012-213469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D34/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品の第1物質及び化粧品の第2物質を包含及び分注するためのアプリケータシステムであって、
前記第2物質は前記第1物質とは異なり、
前記アプリケータシステムは、
底壁と、前記底壁から上向きに延びている周状の側壁とを有するバイアルであって、前記底壁及び側壁は、前記第1物質を保存するためのリザーバを画定し、前記側壁は、ネック部の上端を終端とし、前記リザーバへの開口部を画定する、バイアルと、
上端と下端とを有するキャップであって、前記上端は上向きに開口したキャビティを画定し、前記キャップの前記下端は、前記バイアルの前記ネック部に受け入れられて係合するように構成され、前記キャップの前記下端に細長い管状のロッドが固定され、垂れ下がっており、前記ロッドは前記キャップの前記下端に隣接する近位端を有し、前記ロッドは遠位端へ延びており、前記ロッドは前記近位端から前記遠位端まで内部チャネルを画定し、前記ロッドの前記遠位端にアプリケータが固定され、前記アプリケータは少なくとも1つの分注口を有するアプリケータ表面を画定し、前記アプリケータは前記ロッドの前記遠位端にある前記内部チャネルと前記アプリケータ表面にある前記少なくとも1つの分注口との間に流体輸送路を提供する供給チャネルを有し、前記ロッドは、前記アプリケータ表面が前記バイアルのリザーバ内から一定量の前記第1物質を取り出すことができるように、前記ネック部の開口部内を通して前記リザーバ内に延びるよう寸法決めされている、キャップと、
下端に排出口を有し、前記排出口が前記ロッドの前記近位端にある前記内部チャネルに向くように、前記キャビティ内に受け入れられるように寸法決めされている、前記第2物質を保存するためのカートリッジと、
入口と出口とを有する計量ポンプであって、前記計量ポンプは、前記計量ポンプの前記入口が前記カートリッジの前記排出口と流体連結し、前記計量ポンプの前記出口が前記ロッドの前記近位端にある前記内部チャネルと流体連結するように、前記カートリッジと前記ロッドとの間に固定されており、前記計量ポンプは前記排出口を通して前記カートリッジから計量された量の前記第2物質を引き出すことができ、かかる計量された量を前記ロッドの前記内部チャネル及び前記アプリケータの
前記供給チャネルを介して前記少なくとも1つの分注口を通して前記アプリケータ表面に分注する、計量ポンプと、
を備え、
前記アプリケータはシリコン又は熱可塑性弾性材料からできており、前記分注口が、前記計量ポンプからの圧力下で前記第2物質が分注される際に開き、前記計量ポンプからの分注圧力下に前記第2物質がない状態になると閉じる、バルブ状のスリット又は切れ目であるアプリケータシステム。
【請求項2】
前記ロッドが透明な材料からできている、請求項1に記載のキャップ及びバイアルのアプリケータシステム。
【請求項3】
前記バイアルの前記ネック部にある前記開口部に固定されており、前記ロッド及びアプリケータからの過剰な化粧品物質を拭き取るように構成され、比較的硬質の材料からできている上部と弾性材料からできている下部とを有するワイパーをさらに備える、請求項1に記載のキャップ及びバイアルのアプリケータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャップから垂れ下がる棒及びアプリケータを備えるキャップ及びバイアルタイプのアプリケータシステムに関する。特に、本発明は、バイアル内の第1化粧品に浸すためのキャップから垂れ下がる棒アプリケータを有するキャップ及びバイアルシステムを対象とする。キャップは、棒を通じて分注できる第2化粧品を含むカートリッジリザーバを有する。第1化粧品及び第2化粧品は、棒を使用して別々に又は同時に塗布されてもよい。
【背景技術】
【0002】
いくつかの化粧品の「ルックス」は、同じ塗布領域に1以上のシェーディング又は色を塗布することで達成される。例えば、口唇の外側部分に第1シェーディングを塗布し、口唇の内側部分に第2シェーディングを塗布することで、ボリュームのあるふっくらとした口唇に見せることができる(「オンブル」ルック)。
【0003】
背景技術の装置である、エチュードハウスのツインショットリップスティントは、第1化粧品物質を保存するように構成されているバイアルと、アプリケータ付きの棒と、第2化粧品物質用の固定されたリザーバ付きのキャップ(カートリッジではない)とを備える。エレベータシステム付きのクリック機構は、リザーバから棒を通じてアプリケータまで製品を押す。クリック機構は、多数の部品を有し、比較的に高価である。固定されたリザーバの機構も、組み立て及び充填がより困難である。第2化粧品物質は容易に選択可能でも変更可能でもない(例えば、ユーザが異なる色選択において取り換えができない)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、組み立て及び充填に対して費用効果が高く、ユーザに色交換の柔軟性を与える、2色のバイアル及び棒リザーバシステムの必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、2つの化粧品物質を保存するための単一パッケージを提供することを目的とする。
【0006】
さらに本発明は、2つの化粧品物質を保存し、個別に又は共にのいずれかで両物質を塗布するための単一棒アプリケータを提供するための単一パッケージを提供することを目的とする。
【0007】
さらに本発明は、1つの中空棒で2つの化粧品物質を保存及び分注するための単一パッケージを提供することを目的とし、物質のうちの1つは、従来のバイアルに保存されて、従来のバイアルから供給され、もう一方の化粧品物質は、アプリケータ棒のキャップ部にあるカートリッジリザーバに保存されて、カートリッジリザーバから供給される。
【0008】
先行技術の問題を克服し、本発明の目的を達成するためにキャップ及びバイアルを有する化粧品パッケージに、従来のバイアル内の第1リザーバと、棒のキャップ/ハンドル内の第2カートリッジリザーバである2つの製品リザーバとが設けられている。従来のアプリケータが、棒の遠位端に固定されてもよい。棒は、バイアルから製品に浸すため及び/又は中空棒及びアプリケータにある分注口を通ってカートリッジリザーバから分注するハンドルにあるポンプを使用して、カートリッジリザーバから製品を分注するために使用できる。
【0009】
本発明の利点としては、ユーザにとって便利で、柔軟性があり、使い勝手が良いだけでなく、製造が簡潔であることも挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のキャップ及びバイアルのアプリケータシステムが閉じている正面図である。
【
図2】
図1の断面線2-2に沿って切断したキャップ及びバイアルのアプリケータシステムの断面図である。
【
図3】キャップ及びバイアルのアプリケータシステムの正面上方右側の斜視図である。
【
図4】
図1に示されるキャップ及びバイアルのアプリケータシステムの様々な従属部品の分解組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、
図1乃至3を参照し、化粧品の第1物質101と化粧品の第2物質102とを包含及び分注するためのアプリケータシステムが、概して、参照番号2で示されている。システム2はバイアル4を備える。
図2で最も見やすくなっているように、バイアル4は底壁8と、底壁8から上向きに延びている周状の側壁(周側壁)10とを有する。底壁8及び側壁10は、化粧品の第1物質101を保存するリザーバ12を画定する。側壁10はネック部16にある上端14を終端とし、リザーバ12への開口部18を画定する。
【0012】
キャップ6は、バイアル4の上に設けられる。キャップ6は、上端20と下端22とを有する。上端20は、上縁70を終端とする。キャップ6は、上端20で上向き開口キャビティ24を画定する。上縁70は、水平な周方向の高さを有してもよく、好適には、図示のように、上縁70によって画定される周囲高さに沿って、凹部72により段付きの周方向の高さを有してもよい。キャップ6の下端22は、例えば、ネック部16の外側向きねじ山28と係合するための内側向きねじ山26を有することにより、バイアル4のネック部16上に受け入れられ、係合するように構成されている。代わりに、キャップ6の下端22は、例えば、バヨネット、摩擦嵌め、又は他の適切な係合手段によって、バイアル4のネック部16に固定されていてもよい。細長い管状のロッド30は、キャップ6の下端22に固定され、キャップ6の下端22から下向きに垂れ下がっている。ロッド30は、キャップ6の下端22に隣接する近位端32を有する。ロッド30の近位端32は、キャップ6の下端22に固定されている。ロッド30は、キャップ6の下端22から離れるように遠位端34まで下向きに延びている。ロッド30は内部チャネル36を近位端32から遠位端34まで画定する。アプリケータ38は、接着、溶着、溶融、オーバーモールド、摩擦嵌め、スナップフィット、又は他の適切な手段によって、ロッド30の遠位端34に固定される。アプリケータ38は、少なくとも1つの分注口42を有するアプリケータ表面40を画定する。アプリケータ38は、ロッド30の遠位端34にある内部チャネル36とアプリケータ表面40にある少なくとも1つの分注口42との間に流体輸送路を提供する供給チャネル44を有する。ロッド30は、アプリケータ表面40がバイアルのリザーバ12内から一定量の化粧品の第1物質101を取り出せるように、ネック部16にある開口部18を通ってリザーバ12内に延びるように寸法決めされている。キャップ6及びロッド30は、一体として単一材料から一体的に形成されてもよいし、図示のように、同じ又は異なる材料から別体として形成されてもよい。別々に形成された場合、キャップ6及びロッド30は、接着、溶着、溶融、摩擦嵌め、又は他の適切な固定手段によって互いに固定されてもよい。
【0013】
キャップ6内に、化粧品の第2物質102を保存するための着脱自在カートリッジ46が設けられている。カートリッジ46は、下端50に横断壁54を有する垂直向き管状体52を有する。プラグ58は、管状体52の上部60を閉鎖する。保存室56は、管状体52内でプラグ58と横断壁54との間に画定されている。一定量の化粧品の第2物質102が保存室56内に供給されている。ピストンのようなフォロワ68が、一定量の第2化粧品物質の上に設けられ、保存室56の上端で気密シールを形成する。フォロワ68は、一定量の第2化粧品物質102が使用と共に経時的に減少するにつれて下向きに移動し、保存室56内で第2化粧品物質102の空気への暴露を最小限に抑える。排出口48が横断壁54に設けられている。カートリッジ46は、カートリッジ46が、キャップ6に対して垂直に可動であり、プラグ58がキャップ6の上縁70の少なくとも一部分の上にアクセス可能又は延びるように、キャップ6内のキャビティ24に緊密に受け入れられるように構成及び寸法決めされている。排出口48は、ロッド30の近位端32にある内部チャネル36に向かっている。カートリッジ46には、上部60のフォロワ68内でプラグ58の下に、化粧品の第2物質102をカートリッジ46の保存室56内に充填するための充填口84が設けられていてもよい。
【0014】
ポンプ62の入口64がカートリッジの排出口48と流体連結し、ポンプ62の出口66がロッド30の近位端32でロッド30の内部チャネル36と流体連結するように、入口64と出口66とを有する計量ポンプ62が、カートリッジ46の下端50とロッド30の近位端32との間に固定されている。プラグ58が下向きに押されると、カートリッジ46はキャップ6に対してキャビティ24内に移動して、これは次にポンプ62を作動させる。ポンプ62が動かされると、計量された量の第2物質102が、ポンプ62の入口64を通って、カートリッジ46の排出口48から引き出される。計量された量は、ポンプ62の出口66からロッド30の内部チャネル36、アプリケータ38の供給チャネル44を通って、分注口42を通って出て、アプリケータ表面40まで流れる。
【0015】
キャップ6の上縁70のクリアランス72は、カートリッジ46がキャップ6内に押し下げられて、ポンプ62を作動させてもよいように、プラグ58及びカートリッジ46にアクセスすることを容易にする。
【0016】
上述のように、キャップ6は、ねじ山、バヨネット、スナップフィット、摩擦嵌め、又はその他の固定手段を協働させることで、バイアル4に選択的に固定されてもよい。全体的なパッケージ径寸法は0.5インチ乃至3.5インチの範囲であることができる。
【0017】
アプリケータシステムは、2つの異なる液体処方物を保持し、化粧品の第1物質101はバイアル4内のリザーバ12に、化粧品の第2物質102はキャップ6内のカートリッジ46の保存室56に保持している。システム2から第1化粧品物質101を分注するには、ユーザがキャップ6を握り、それをバイアル4から外して、ロッド30をバイアル4から引き抜く。一定量の第1化粧品物質101がアプリケータ38に付着する。ユーザは、アプリケータ38のアプリケータ表面40を皮膚の所望する領域に塗布して、一定量の第1化粧品物質101の少なくとも幾分かを塗布領域に移す。システム2から化粧品の第2物質102を分注するには、キャップ6及びアプリケータ38がバイアル4から取り外された状態で、ユーザがプラグ58を使用してカートリッジ46を押し下げ、計量ポンプ62を作動させる。ポンプを作動させると、第2化粧品物質がロッド30を通って流れ下ることができ、最終的にアプリケータ38へと至る。一定量の化粧品物質102が分注口42からアプリケータ表面40に分注される。ユーザは、アプリケータ38のアプリケータ表面40を皮膚の所望の領域に塗布して、一定量の第2化粧品物質102の少なくとも幾分かを塗布領域に移す。
【0018】
上述の方法により、ユーザは、アプリケータ38でバイアル4から取り出された一定量の第1化粧品物質101である製品の第1層を塗布してもよい(ドーフットアプリケータとして示されているが、任意の適切なアプリケータ形状又は構成が使用されてもよい)。続いて、ユーザは、カートリッジ46を押し下げることで、第2化粧品物質102がキャップ6内のカートリッジ46からロッド30を通して下がって分注された後に、アプリケータ38から第2化粧品物質102である第2製品を塗布してもよい。
【0019】
第1化粧品物質101及び第2化粧品物質102は、トリートメント製品(例えば、しわ、保湿、日焼け止め、色素沈着用等)又はカラー化粧品(例えば、ファンデーション、リップグロス、アイシャドウ、アイブロウカラー等)であってもよい。特に、第2化粧品物質102がカラー化粧品である場合、ロッド30が透明又は半透明であれば、ユーザは第2化粧品物質102が透明なロッド30を通って下に移動することを目視してもよい(視覚的相互作用)。カートリッジ46は、容易に交換可能にすることができ、消費者が、自分たちのルックをカスタマイズし、個人向けにするために、カウンタでカートリッジ46を選んで決定することを可能にする。システムは、完全に組み立てられた最終製品として販売することもできる。
【0020】
キャップに第2化粧品物質102を有することで、ユーザが個人の願望に対しエフェクト又は「ルックス」を計測できるようにし、ムードにあったルックス及び/又は個人のスタイルやファッションのセンスを創造して特徴付けする。システムは、個人のテイストを表現するための創造的なツールをユーザに与える本当のDIY体験を提供する。システムはまた、例えば、「オンブル」ルックを実現するために、素早く簡単に異なる2色をグラデーションで塗布することも可能にする。例えば、異なる2色の組み合わせを導入するもの又はリップカラーとトリートメント/オイルとを一緒に有するもの又はリップカラーとリップ仕上げトップコートとを一緒に有するもの(グロス、スパークル、マット等)として、リップのカテゴリで使用できる。同様に、システムは、リキッドアイシャドウ又はクリームアイシャドウとしてアイメイクのカテゴリで使用できる。システムは、長時間、同質量で混合した場合、不安定である2つの異なるトリートメント物質を有することでトリートメント製品として利用もできる。塗布直前に2つの物質を組み合わせることで、瞬時に活性化させる。システムは、例えば、スキンケア製品と、シミをカバーするコンシーラとして機能するカラー製品シェーディングとを組み合わせることもできる。
【0021】
上述のように、第2化粧品物質102は、キャップ6内に挿入されたカートリッジ46内にある。物質102は、ポンプ62が作動するとアプリケータロッド30を通って流下する。カートリッジ46は、別々に満たされて、その後、キャップ6へと組み立てられてもよい。これにより組み立て及び充填工程を少なくし、システム全体の廃棄率を最小限に抑えてもよい(充填ミスが起こった場合は、カートリッジのみ廃棄される)。代替的に、カートリッジ46はキャップ6へと組み立てられて、その後、化粧品物質102を充填されてもよい。
【0022】
カートリッジ46はキャップ6でボタンのように作用し、ポンプ62を作動させる。カートリッジ46を押し込むことでポンプ62が作動し、一定量の化粧品物質102がアプリケータ38を通って分注される。カートリッジ46がキャップ6内に押し下げられると、ポンプ内の1以上の戻しばね74及び76からの圧力下で休止位置まで跳ね上がって戻ってくる。カートリッジ46を一度押すことで、結果として、ポンプ62は計量した量の化粧品物質102をカートリッジ46から分注する。
【0023】
アプリケータ38は、例えば、シリコン又はTPE(熱可塑性エラストマー)材料等の弾性材料から製作されることが好ましい。シリコン/TPE材料は少なくとも以下の理由から好適である。まず、シリコン/TPEは、過剰な化粧品物質を充填する植毛アプリケータ、スポンジアプリケータ、又は任意の多孔質材料とは反対で、過剰な製品(化粧品物質101又は102)をアプリケータに充填しない。このことは、アプリケータ表面40からの過剰な量の第2化粧品物質102で、バイアル内の第1化粧品物質101の汚染を回避又は最小限に抑えるために重要である。第2に、シリコン/TPE材料は、表面領域が多孔質でないため、より衛生的である。
【0024】
化粧品の第2物質102による化粧品の第1物質101の汚染又はその逆をさらに回避又は最小限に抑えるには、より大きな開口部の代わりにバルブ状の切れ目又はスリットとしてアプリケータ38の分注口42が設けられてもよい。切れ目又はスリット分注口42は、化粧品の第2物質102がポンプからの分注圧力下にあると開き、化粧品の第2物質102を放出し、ポンプからの分注圧力が中断した後、切れ目又はスリット分注口42はアプリケータ材料の弾力性特質により自動的に閉じる。
【0025】
ワイパー78は、バイアル4のネック部16の開口部18に設けられ、ロッド30からの過剰な化粧品物質を拭き取る。ロッド30が透明な材料からできている場合、ワイパー78は、ユーザが透明なロッド及び化粧品の第2物質102が透明なロッド30を通って分注されることを見ることができるように、ロッド30が過剰な化粧品物質を完全に取り去るように設けられていることが好ましい。好適には、ワイパーは、比較的硬質の材料からなる上部、すなわち、ネック部80と、例えば、シリコン/TPE材料等の非常に柔らかい材料からできた気密オリフィスを有する下部、すなわち、喉部82とを有する。喉部82は、アプリケータ38にかかる応力が低い又は応力がない状態でアプリケータ38にワイパー78を通過させるよう構成されている。喉部82は、ロッド30から全ての過剰な化粧品物質を拭き取ながら、変形及び伸長して、アプリケータロッド30及びアプリケータ38の形状に適応する。
【0026】
上述のように、単一パッケージシステムに2つの異なる化粧品物質を備えることの少なくとも1つの利点としては、化粧品の第1物質101又は化粧品の第2物質102のいずれかである2つの化粧品物質のうちの1つを単独で使用すること、又は容易な方法で2つの製品を混合することの選択肢を消費者に提供することがある。システムは、消費者が1つのアプリケータを使用して、キャップ内のカートリッジをクリックする簡単な動作で、2つの異なる化粧品物質を単独で又は組み合わせてのいずれかで塗布して、新しいルックスを創造することを可能にする。キャップ内のカートリッジは簡単に組み立てられ、消費者がシステムをカスタマイズするように個別で販売されることもできる。
【0027】
アプリケーションシステムは、異なる2色の組み合わせを導入するもの又は1つのパッケージにリップカラーとトリートメント/オイルとを一緒に有するもの又は1つのパッケージにリップカラーとリップ仕上げトップコート(グロス、スパークル、マット等)とを一緒に有するものとして、リップのカテゴリで使用できる。アプリケーションシステムは、例えば、リキッドアイシャドウ又はクリームアイシャドウとしてアイメイクのカテゴリで利用できる。アプリケーションシステムはまた、長時間保存すると、同質量で組み合わせると不安定となるであろう2つの異なるトリートメント物質を別々に有することでトリートメント製品を分注及び塗布するために利用できる。塗布直前に混合する(瞬時に活性化させる)ことで、不安定であることの問題は回避される。アプリケーションシステムはまた、スキンケア製品と、シミをカバーするコンシーラとして機能するカラー製品シェーディングとを分注及び塗布するために利用できる。アプリケーションシステムはまた、アイブロウ化粧品、マスカラ、又はヘアトリートメント若しくはカラー製品を分注及び塗布するために利用できる。例えば、カラー化粧品物質がバイアル内に保存され、トップコート又は根元トリートメント製品がキャップ内のカートリッジに保存されることができる。組み合わせの可能性はさまざまで多数である。
【0028】
好適には、アプリケータ38はシリコン又は他の弾性材料又はアプリケータを製作するために適切な任意の材料からできている。アプリケータ38は、硬質としてもよい。アプリケータ38が硬質の場合、化粧品物質の取り出しと充填とを容易にする質感を持たせると好ましい。代替的に、アプリケータは、絶え間なく流れることを制限するため、先端に金属のボールローラ(不図示)の形状であってもよい。アプリケータは、1を超える材料からできていてもよく、例えば、シリコンの本体にプラスしてファイバ植毛の表面、又はシリコンの本体に滑らかな硬質の表面等であってもよい。
【0029】
以下の請求項の適用範囲から逸脱することなく、様々な部品の特定の形態及び構造における様々な変形例及び変更が可能なことが理解される。