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特許7426948ツールおよび当該ツールを収容するためのパッケージのアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】ツールおよび当該ツールを収容するためのパッケージのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B23Q 3/157 20060101AFI20240126BHJP
   B23Q 13/00 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B23Q3/157 B
B23Q3/157 E
B23Q13/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020562207
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 AT2019000009
(87)【国際公開番号】W WO2019213677
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-02-18
(31)【優先権主張番号】202018102658.5
(32)【優先日】2018-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515233568
【氏名又は名称】アマン ギルバック アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アマン ユルゲン
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-253780(JP,A)
【文献】特表平01-500738(JP,A)
【文献】特開平03-010734(JP,A)
【文献】実開昭62-201636(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/155-3/157,13/00:
B25H 3/00-3/06;
B65D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツール(1)と当該ツール(1)を収容するためのパッケージ(2)とのアセンブリであって、
前記ツール(1)が、機械加工装置(5)によるワークピース(4)の材料除去処理のための少なくとも1つのマシニングヘッド(3)と、前記ワークピース(4)の材料除去処理に際して前記機械加工装置(5)のチャック(7)に前記ツール(1)を固定するための基部(6)と、を備え、
前記ツール(1)が、前記パッケージ(2)から繰り返し取り外し可能であり、かつ、前記パッケージ(2)に再び取り付け可能であり、
前記パッケージ(2)が、前記ツール(1)の前記マシニングヘッド(3)を収容するための基体(19)と、蓋部(20)と、を備え
前記基体(19)が、前記機械加工装置(5)のツール暫定レセプタクル(12)に前記パッケージ(2)を固定するための少なくとも1つ固定機構(11)を備え、
前記固定機構(11)が前記基体(19)に取り付けられ、かつ、前記蓋部(20)を前記基体(19)に固定するように構成されている
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載のアセンブリにおいて、
前記パッケージ(2)が、前記ツール(1)の販売のための販売パッケージである
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアセンブリにおいて、
前記パッケージ(2)が、前記パッケージ(2)の少なくとも1つの収容空間壁部(13)により画定されている単一の収容空間(14)を備え、前記収容空間(14)に前記ツール(1)が単一のツール(1)として収容される
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項に記載のアセンブリにおいて、
前記固定機構(11)が、前記パッケージ(2)の外壁部(15)に取り付けられる
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項に記載のアセンブリにおいて、
前記固定機構(11)が、前記機械加工装置(5)のツール暫定レセプタクル(12)との係合を実現するための少なくとも1つの爪部(16)および/または少なくとも1つの爪部係止部(17)を有する
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載のアセンブリにおいて、
前記パッケージ(2)が、前記固定機構(11)を解放するための作動要素(18)を備えている
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項に記載のアセンブリにおいて、
前記機械加工装置(5)の前記ツール暫定レセプタクル(12)または前記機械加工装置(5)の全体を備え、前記ツール(1)が、前記パッケージ(2)または前記パッケージ(2)の基体(19)の内部に収容され、かつ、前記パッケージ(2)または前記パッケージ(2)の前記基体(19)が、前記固定機構(11)によって前記機械加工装置(5)のツール暫定レセプタクル(12)に固定されている
ことを特徴とするアセンブリ。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか1項に記載のアセンブリにおいて、
前記パッケージ(2)または前記パッケージ(2)の基体(19)が、前記パッケージ(2)が前記ツール暫定レセプタクル(12)に取り付けられる際に、前記パッケージ(2)に単一の位置合わせを可能するような外側輪郭(21)を有している
ことを特徴とするアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールと当該ツールを収容するためのパッケージとのアセンブリに関する。ツールが、機械加工装置によるワークピースの材料除去処理のための少なくとも1つのマシニングヘッドと、ワークピースの材料除去処理に際して機械加工装置のチャックにツールを固定するための基部と、を備えている。ツールが、パッケージから繰り返し取り外し可能であり、かつ、パッケージに再び取り付け可能である。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、所望の製品、特に歯科用製品、またはそれらの中間製品を、ワークピースから材料を除去するための機械加工によって製造するために、ワークピース、特に歯科用ワークピースから機械加工により材料が除去されることが知られている。この目的のため、マシニングヘッドを備えているツールが、当該ツールまたはそのマシニングヘッドを用いて材料を除去する形態でワークピースを機械加工できるように、その基部によって機械加工装置にクランプされる。この目的のために、基部は機械加工装置のチャックに固定される。ツールは、材料除去加工に際してチャックによって保持され、通常は縦軸線を中心に回転駆動される。一方ではツールを備え、かつ、他方ではワークピースを備えているチャックは、公知の方法で相対的に変位されうる(例えば、特許文献1参照)。ミリングカッター、ドリルまたはグラインダーなどのツールは、パッケージに梱包され、店頭で販売され、かつ、通常は手作業で機械加工装置のツール暫定レセプタクルに挿入される必要がある。次に、必要なツールがツール暫定レセプタクルから取り外されてチャックに固定され、ツールがチャックに固定された状態で材料を除去する形態でワークピースが機械加工される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許公報 EP2683322B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、新しいツールを手作業でツール暫定レセプタクルに分類することは、一方では時間がかかり、他方では誤りまたは間違いにつながる可能性がある。ツールがツール暫定レセプタクルの誤った場所に配置されている場合、意図した機械加工操作のために誤ったツールがチャックに固定される可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、ツール暫定レセプタクルへの新しいツールの挿入を少なくとも簡易化する改善を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、上記のタイプのアセンブリにおいて、パッケージが、ツールのマシニングヘッドを収容するための基体と、蓋部と、を備え、基体が、機械加工装置のツール暫定レセプタクルにパッケージを固定するための少なくとも1つの固定機構を備え、固定機構が基体に取り付けられ、かつ、蓋部を基体に固定するように構成されている。
【0007】
言い換えると、本発明によれば、ツールは、もはや販売パッケージから取り出されてから、ツール暫定レセプタクルに個別に挿入されることはない。むしろ、本発明によれば、それぞれのツールがパッケージと共に機械加工装置のツール暫定レセプタクルに挿入され、パッケージの固定機構によってそこに固定される。次に、ツールは、パッケージによって、すなわちパッケージを介して、機械加工装置のツール暫定レセプタクルに保持される。
【0008】
したがって、適当なアセンブリによる適当な方法によれば、その少なくとも1つの固定機構によって、パッケージが機械加工装置のツール暫定レセプタクルに固定される。次に、それぞれのツールは、パッケージが介在した状態で、機械加工装置のツール暫定レセプタクルに配置される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態のさらなる特徴および詳細は、次の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】複数のツールがそれぞれのパッケージによって固定されているツール暫定レセプタクルを備えている、特に歯科用ワークピースの材料除去処理加工のための機械加工装置の概略図。
図2図1におけるツール暫定レセプタクルの拡大図。
図3】他のアセンブリのツール暫定レセプタクルの部分的説明図。
図4】他のアセンブリのツール暫定レセプタクルの部分的説明図。
図5】本発明の実施形態としてのアセンブリの例示図。
図6】本発明の実施形態としてのアセンブリの例示図。
図7】本発明の実施形態としてのアセンブリの例示図。
図8】本発明の実施形態としてのアセンブリの例示図。
図9】パッケージをツールと共にツール暫定レセプタクルに固定する形態に関する説明図。
図10】パッケージをツールと共にツール暫定レセプタクルに固定する形態に関する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、複数のツール1および複数のパッケージ2を備えている本発明に係るアセンブリの構成の概略図を示している。パッケージ2が、機械加工装置5のツール暫定レセプタクル12の内部に固定機構11によって固定されている。ツール暫定レセプタクル12および機械加工装置5もアセンブリの一部として見ることができる。機械加工装置5は、本発明に係る特徴的部分とは別にそれ自体が公知の、一般的にコンピュータにより制御されるCAD/CAM機械であり、これを用いて機械加工対象であるワークピース4の材料が除去され、穴あけ、ミリングまたは研削によって機械加工される。このような機械加工装置5のコンピュータによる制御方法はそれ自体が知られているので、さらなる説明を省略する。本実施形態では、ワークピース4は、複数の空間方向に並進および回転できるように、機械加工装置5の機械加工チャンバ27の内部のサポートアーム24に取り付けられている。ワークピース4を機械加工するために、それ自体が知られているように、ツール1が機械加工装置5のチャック7の基部6によって固定され、その結果、ワークピース4はツール1のマシニングヘッド3によって材料除去加工される。ツール1のマシニングヘッド3は、例えば、グラインディングヘッドまたはドリルヘッドまたはミリングヘッドである。もちろん、ツール1、特にそのマシニングヘッド3は異なる形態であってもよい。これは、それ自体が先行技術で知られているので、さらなる説明を省略する。本実施形態では、チャック7に固定されたツール1が、材料除去処理のために一の回転方向26に回転駆動される。この回転を保証するスピンドル駆動機構25によって、ツール1が固定されたチャック7は、好ましくは3つの回転方向すべてに、さらには他の自由度でもワークピース4に対して並進することができる。一方ではサポートアーム24、他方ではチャック7の相応の自由度のために、ワークピース4に対する多種多様な加工角度が実現される。これ自体も公知であるため、さらなる説明を省略する。チャック7は、いずれの場合も、ワークピース4の材料除去処理に必要なツール1が材料除去処理に際して保持される機械加工装置5の構成要素である。ツール1は一般的にチャック7を介して共に駆動される。
【0012】
一方、現在実施されている加工処理に必要とされないツール1は、ツール暫定レセプタクル12の内部にあり、本実施形態では、加工機械5の機械加工チャンバ27の内部に取り付けられている。本発明によれば、以下に詳細に説明されるように、それぞれのツール1のパッケージ2のそれぞれは、機械加工装置5のそれぞれのツール暫定レセプタクル12にパッケージ2を固定するための少なくとも1つの固定機構11を備えている。図1では、それぞれのツール1の自由に突出する基部6と、ツール暫定レセプタクル12に取り付けられたパッケージ2とが、現在実施される加工処理に不要なツール1がツール暫定レセプタクル12に暫定的に収納されている。
【0013】
本実施形態では、ツール暫定レセプタクル12は、パッケージレセプタクル34の内部のツール1を有するパッケージ2のレセプタクルに加えて、ベアリング壁部28およびベアリングカバー29を有している。ここには示されていない閉状態において、ベアリングカバー29は、好ましくはシール部材31を介してベアリング壁部28に対して当接し、ベアリング壁部28およびベアリングカバー29により囲まれた内部空間には、現在必要とされていないツール1がパッケージ2とともに、湿気および埃などから保護される、機械加工チャンバ27の残りの部分から十分に密閉された収容空間が形成される。ベアリングカバー29は、ツール1が交換される際、すなわち、以前に使用されたツール1がパッケージ2、ひいてはツール暫定レセプタクル部12に戻され、新しいツール1がツール暫定レセプタクル12から、さらにはパッケージ2から取り出され、その基部6によってチャック7によりクランプされる際、図1に示されている開状態になる。開状態では、新しいツール1およびパッケージ2がツール暫定レセプタクル12に取り付けられ、古いツール1がパッケージ2と一緒にツール暫定レセプタクル12から取り外される。それぞれのパッケージ2から、ひいてはツール暫定レセプタクル12に対するツール1の取付および取り外しは、スピンドル駆動機構25によってチャック7が適当に動かされることにより、好ましくは完全に自動的に実行される。ツール1がパッケージ2から繰り返し取り外され、再び挿入されまたは取り付けられるように、パッケージ2が設計されている。
【0014】
ベアリングカバー29を開閉するために、本実施形態では、ベアリングカバー29が、ツール1を含むパッケージ2が固定されているツール暫定レセプタクル12のパッケージレセプタクル34と共にベアリングピン30に対してスライド可能に取り付けられる。ベアリングピン30が出し入れされることにより、ツール暫定レセプタクル12が開閉される。
【0015】
好ましい実施形態において、パッケージレセプタクル34と共にベアリングカバー29がベアリングピン30から取り外されてもよい。これにより、たとえば古いツール1およびそのパッケージ2がツール暫定レセプタクル12またはツール暫定レセプタクル12の環状のパッケージレセプタクル34から取り外され、新しいツール1がパッケージ2および固定機構11によってパッケージレセプタクル34またはツール暫定レセプタクル12に取り付けられる。パッケージレセプタクル34が、そこに配置されたパッケージ2およびツール1を含んで全体的に交換されてもよい。別の材料または別のワークピース4が機械加工される際、簡単な方法で新しいツール1のセットが全体的にツール暫定レセプタクル12に収容されるように、ワークピース4の特殊な種類の材料に必要とされる適当なパッケージレセプタクル34に、そのパッケージ2に配置される適当なツール1が装備されてもよい。
【0016】
図3および図4に示されているように、取り外し可能な固定のため、本実施形態では取り外し可能な連結を実現するアダプタ32がベアリングピン30に取り付けられている。アダプタ32に連結可能な適当なアダプタカウンタピース33が、適当なパッケージレセプタクル34またはベアリングカバー29に配置されることにより、ベアリングカバー29、ひいてはパッケージレセプタクル34が容易に取り外され、必要に応じて交換される。インデックスピン35は、インデックスピンレセプタクル36と協働することにより、ベアリングカバー29を含むツール暫定レセプタクル12のパッケージレセプタクル34が、固有の位置でのみベアリングピン30に確実に固定される。
【0017】
図5図8には、ツール1と、当該ツール1を収容するためのパッケージ2と、を備えている本発明の他の実施形態としてのアセンブリが示されている。図5には、斜視図が示されている。図6および図7のそれぞれには、相互に90°回転した側面図が示されている。図8には、分解図が示されている。図5図7ではパッケージ2が閉じられており、図8の分解図では開かれている。
【0018】
図9では、パッケージ2またはその基体19は、パッケージ2に配置されたツール1とともに、パッケージレセプタクル34の適当なレセプタクルに、ひいては中間ツールベアリング12に配置され、固定機構11によって固定される。「固定」とは、取り外し可能に固定されているという意味であり、パッケージ2が固定機構11によってパッケージレセプタクル34に、あるいは一般的にはツール暫定レセプタクル12に安定的かつ恒久的に保持され、ツール1が支障なく簡単に複数回にわたりパッケージ2またはその基体19から取り外し可能であり、かつ、そこに再び取り付け可能である一方、パッケージ2がパッケージレセプタクル34に、または一般的にツール暫定レセプタクル12に保持されることを意味する。「固定」とは、パッケージ2がパッケージレセプタクル34またはツール暫定レセプタクル12からまったく取り外せなくなることを意味しない。前述したツール暫定レセプタクル12でのツール1およびそれらのパッケージ2の交換はなおも可能である。図10には、パッケージレセプタクル34、パッケージ2およびワークピース1を通る断面図が示されている。
【0019】
前述したように、ツール1はパッケージ2から複数回にわたり取り出され、再度取り付けられる。すなわち、パッケージ2は、ツール1が複数回または多数回にわたりそこから取り外され、かつ、そこに再び取り付けられるように設計されている。特に好ましい変形実施形態では、本発明に係るパッケージ2は、ツール1の販売のための販売パッケージである。したがって、ツール1がパッケージ2と共に店舗で提供され、機械加工装置5のツール暫定レセプタクル12に固定されてもよい。当該実施形態では、パッケージ2は、一方では商取引におけるツール1の販売のための販売パッケージであり、他方では機械加工装置5のツール暫定レセプタクル12において現在必要とされないツール1を固定するための固定手段でもある。
【0020】
これが必ずしもそうである必要はない場合でも、好ましい変形実施形態では、パッケージ2が、パッケージ2の少なくとも1つの収容空間壁部13によって画定される単一の収容空間14を有し、ツール1が当該収容空間14に配置可能である唯一のツール1である。言い換えれば、単一のツール1、すなわち2つ、3つ以上のツール1ではなく、正確に1つのツール1がパッケージ2に配置可能であることが好ましい。もちろん、これは他の実施形態から逸脱する可能性がありうる。マシニングヘッド3を備えているツール1が、パッケージ2の収容空間14に配置されることが好ましい。本実施形態では、パッケージ2が、基体19と、これに対して取り外し可能に固定される蓋部20と、いう2つの部品から構成されている。収容空間14は、好ましくは、ツール1のマシニングヘッド3が基体19に挿入されるように、基体19の内部に配置される。本実施形態および他の好ましい実施形態において、チャック7にツール1を固定するために用いられる基部6が、マシニングヘッド3を備えているツール1が収容空間14に挿入される際、基体19を超えて突出する。販売に際して、蓋部20がツール1の基部6を包み込み、これによりツール1がパッケージ2に完全に収容され、商取引のためにそれによって包装される。これには、ツール1が商取引および販売中に保護されるという利点がある。ここでも少なくとも1つの固定機構11が、パッケージ2の外壁部15、好ましくはパッケージ2の基体19に配置される。固定機構11は、ツール暫定レセプタクル12におけるパッケージ2の適当な、好ましくは取り外し可能な固定を可能にするものであれば何でもよい。固定機構11は、基本的に、例えば、取り付けのためのすべての可能な適切な形状および/または力および/または摩擦による固定手段であってもよい。例えば、ねじ式連結、クランプ式連結およびこれらと同等の連結方式などがある。固定機構11は、好ましくは、パッケージ2の外壁部15または好ましくはその基体19から外側に指向しているまたは外側に突出している。それぞれのパッケージ2を機械加工装置5のツール暫定レセプタクル12に固定することができる固定機構11は、好ましい変形実施形態では、係合による連結を担う。したがって、ここで例示されているように、パッケージ2の固定機構11は、機械加工装置5の中間ツールベアリング12との係合による連結を形成するための少なくとも1つの爪部16を有していてもよい。図10では、パッケージ2ごとに提供される2つの固定機構11は、ツール暫定レセプタクル12またはツール暫定レセプタクル12のパッケージレセプタクル34の爪部係止部17に対してそれぞれの爪部16で固定され、ラッチ接続または係合による連結が形成される。固定機構11の爪部16は、好ましくは、ここでも例示されているように、パッケージ2に対して、基体19および外壁部15において弾性的に固定されあるいは変形する。もちろん、それぞれの固定機構11が、中間ツールベアリング12とのラッチ接続を形成するための少なくとも1つの爪部係止部17を有していてもよい。この場合、対応する爪部16は、中間ツールベアリング12またはそのパッケージレセプタクル34に形成される。
【0021】
好ましい実施形態では、パッケージ2は、固定機構11を解放するための作動要素18を備えている。この作動要素18は、好ましくは、固定機構11が手で解放されうるように、すなわち、この目的のためのツールを必要とせずに解放されうるように設計されている。ここでも実施されるように、作動要素18および爪部16、または必要に応じて爪部係止部17は、ばね収容レバーまたはサスペンションとして、パッケージ2に、好ましくはその外壁部15に、さらに好ましくは、基体19の外壁部15に固定されている。レバーまたはサスペンションに対応している拡張領域は、ここで実装されるように、固定機構11を解放するための作動要素18として設計されていてもよい。
【0022】
固定機構11は、パッケージ2をツール暫定レセプタクル12に固定するだけでなく、蓋部20を基体19に固定するように設計されていることが好ましい。これは、本実施形態において図5図7に明確に示されているように実施されている。ここに示されているように、作動要素18は、付加的爪部37または固定機構11における付加的爪部37として設計され、蓋部20を基体19に対して取り外し可能に連結され、ひいては蓋部20を基体19に対して取り外し可能に固定するように機能する。この目的のため、ここでは蓋部20のタブとして具体化されている固定手段23は、好ましくは、蓋部20に設けられている。例えば、特に流通または取引中に、蓋部20を基体19に固定するために、固定手段23において固定機構11が付加的爪部37に係合する。もちろん、固定機構11のこの二重機能は、一方ではツール暫定レセプタクル12にパッケージ2を固定するために、他方では蓋部20を基体19に固定するために、異なる形態で構成されていてもよい。
【0023】
前述したように、図9および図10には、パッケージ2と、その内部に配置されているツール1と、ツール暫定レセプタクル12または機械加工装置5のパッケージレセプタクル34と、を有するアセンブリであって、ここでは当該アセンブリのツール1パッケージ2の基体19に収容され、パッケージ2、好ましくはパッケージ2の基体19が、固定機構11によって機械加工装置5のツール暫定レセプタクル12に固定されているアセンブリが例示されている。これまでに説明された図からわかるように、多数のスペース38が、好ましくは、パッケージレセプタクル34またはツール暫定レセプタクル12に設けられ、これによりそれぞれのパッケージ2を備えている多数のツール1がツール暫定レセプタクル12に固定されうる。
【0024】
それぞれのパッケージ2は、ツール暫定レセプタクル12またはパッケージレセプタクル34の一のスペース38において、単一の一義的な方向でのみ固定されうる。この目的のために、パッケージ2、好ましくはパッケージ2の基体19が、パッケージ2がツール暫定レセプタクル12に取り付けられる際に、パッケージ2の単一の位置合わせのみを可能にするような外側輪郭21を有している。
【0025】
本発明に係るアセンブリの特に好ましい実施形態では、パッケージ2がデータメモリ8を有している。このデータメモリ8は、好ましくは、機械によって数回にわたり読み出しおよび書き込みが可能である。これは、好ましくは電子データメモリ8である。これにより、パッケージ2に配置されたそれぞれのツール1について、パッケージ2のデータメモリ8に特定の個々のデータを格納することが可能になる。これは、ツール1を識別するために用いられる。ただし、一般的には、適当な構成が用いられる場合、それぞれのツール1の履歴がこの方法で保存され、必要に応じて再度読み取られる。この目的のために、データメモリ8は、好ましくは、機械によって複数回にわたり読み取り可能であり、機械によって複数回にわたり書き込み可能である。したがって、それは好ましくは一回性のものではなく、シリアル番号などが書き込み可能なデータメモリ8が用いられた場合、保存されたデータが変更できなくなるものの、後で再度の読み取りのためにいつでも新たなデータを保存できるデータメモリ8が用いられる。パッケージ2のデータメモリ8は、特に好ましくは、トランスポンダまたはトランスポンダの構成要素である。適当なトランスポンダは、従来技術ではタグまたはチップと呼ばれている。トランスポンダは、トランスミッタ(送信機)およびレスポンダ(応答機)の組み合わせである。特に好ましくは、それ自体の電源を持たないものの、他の送受信ユニットのフィールドからのみエネルギーが供給されるパッシブトランスポンダである。トランスポンダは、特に好ましくは既知のRFID(無線周波数識別子)である。それぞれのツール1に固有の情報は、パッケージ2のデータメモリ8に格納される。これは、例えばツール1を識別するための情報である。したがって、タイプ仕様、シリアル番号およびこれらと同等の情報であってもよい。それぞれのツール1の摩耗状態に関する情報および/または過去の使用に関する情報および/または過去の使用頻度に関する情報がデータメモリ8に保存されてもよい。例えば、ツール1が動作していた期間およびその使用目的がデータメモリ8に保存されてもよい。
【0026】
データメモリ8またはトランスポンダもしくはチップは、さまざまな方法でパッケージ2に取り付けられ、かつ/または、パッケージ2に統合されうる。例えば、組み付け、注入、接着およびこれらと同等な方法などが考えられる。変形実施形態では、データメモリ8またはトランスポンダは、例えば、パッケージ2または基体19のポケット状のデータメモリレセプタクル22に収容される。
【0027】
それぞれのツール1のパッケージ2のデータメモリ8を読み取り可能かつ再び書き込み可能にするために、好ましい変形実施形態では、機械加工装置5、好ましくはそのツール暫定レセプタクル12が、パッケージ2のデータメモリ8からデータを読み取るためのリーダ(読み取り装置)、または好ましくは、パッケージ2のデータメモリ8からデータを読み取り、かつ、パッケージ2のデータメモリ8にデータを書き込むためのリーダライタ9(読み書き装置)を備えている。リーダライタ9の場合、データがそれぞれのパッケージ2のデータメモリ8から読み取られ、かつ、データがそれぞれのパッケージ2のデータメモリ8に書き込まれる。機械加工装置5は、複数回にわたり機械的に読み取られ、かつ、複数回にわたり機械的に書き込まれる、好ましくは電子のデータメモリ10をさらに備えていることが好ましい。本実施形態では、このリーダライタ9は、図2において特によく見られるように、ツール暫定レセプタクル12に統合されまたは組み込まれている。データメモリ10はまた、図2に概略的に示されているこのリーダライタ9に統合されまたは組み込まれていてもよい。
【0028】
この構成では、それぞれのパッケージ2に配置されたツール1に固有の前述のデータは、パッケージ2のデータメモリ8に格納されたまたは書き込まれたうえでそこから読み取り可能であり、かつ、機械加工装置5のデータメモリ10に格納されたうえでそこから再度読み取り可能である。これに関連して、適当なアセンブリを操作するための方法によれば、機械加工装置5のリーダライタ9により、ツール1のパッケージ2のデータメモリ8からデータが読み取られ、かつ/または、ツール1のパッケージ2のデータメモリ8にデータを書き込まれ、付加的にまたは代替的に、機械加工装置5のデータメモリ10からデータが読み取られ、かつ/または、機械加工装置5のデータメモリ10にデータが書き込まれる。純粋なリーダの場合、データメモリ8および/または10からデータが読み取られるのみである。
【0029】
機械加工装置5のチャック7にツール1が固定される過程で、パッケージ2のデータメモリ8からデータが読み出されてもよい。当該固定の過程は、好ましくはパッケージ2におけるツール1の固定直前、固定中だけでなく、固定直後であってもよい。その一方、ツール1がパッケージ2に再び配置されたされた際に、データがパッケージ2のデータメモリ8および/または機械加工装置5のデータメモリ10に書き込まれてもよい。これにより、当該データは、それぞれのツール1が使用された後、それぞれのパッケージ2のデータメモリ8において適宜更新され、その結果としてそれぞれのツール1の個々の対応する現在の履歴が次のクエリに応じて利用可能になる。個々のツール1に関する対応する情報がパッケージ2のデータメモリ8および/または処理マシン5のデータメモリ10に格納されることにより、それぞれのツール1のツール暫定レセプタクル12における固定された場所を提供する必要がなくなり、それぞれのツール1の位置が、データメモリ8および/または10に格納され、いつでも照会可能である。
【0030】
本発明に係るアセンブリのツール1が用いられ、材料を除去する方法で多種多様なワークピース4が機械加工される。特に好ましくは、ワークピース4は歯科用ワークピース4であり、例えば、ブリッジ、完全および/または部分的な歯科用プロテーゼ、人工歯などの歯科用製品としてのワークピース4が作製される。
【符号の説明】
【0031】
1‥ツール、2‥パッケージ、3‥マシニングヘッド、4‥ワークピース、5‥機械加工装置、6‥基部、7‥チャック、8‥データメモリ、9‥リーダライタ、10‥データメモリ、11‥固定機構、12‥ツール暫定レセプタクル、13‥収容空間壁部、14‥収容空間、15‥外壁部、16‥爪部、17‥爪部係止部、18‥作動要素、19‥基体、20‥蓋部、21‥外側輪郭、22‥データメモリレセプタクル、23‥固定手段、24‥サポートアーム、25‥スピンドル駆動機構、26‥回転方向、27‥機械加工チャンバ、28‥収容壁部、29‥ベアリングキャップ、30‥ベアリングボルト、31‥シール部材、32‥アダプタ、33‥アダプタカウンタピース、34‥パッケージレセプタクル、35‥インデックスペン、36‥インデックスペンレセプタクル、37‥付加的爪部、38‥スペース。
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