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特許7426949光学センサおよびそれを搭載した電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】光学センサおよびそれを搭載した電子機器
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20240126BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20240126BHJP
   G01J 3/51 20060101ALI20240126BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20240126BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
G01J1/42 J
G01J1/02 S
G01J3/51
H01L31/02 B
H04M1/02 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020563248
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2019050333
(87)【国際公開番号】W WO2020137967
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2018242914
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 弘治
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115746(JP,A)
【文献】特開2006-313974(JP,A)
【文献】特開2014-203877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0069921(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0294173(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-1/60、3/00-3/52
H01L 31/00-31/20
H04M 1/02
G02F 1/133
G09G 3/00-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第1受光部と、
第2波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第2受光部と、
前記第1受光部の光電流から得られる出力信号と、前記第2受光部の光電流から得られる出力信号との差分とに基づいて、受光した光の強度を演算する演算部とを備え、
前記第1受光部および前記第2受光部は、長辺および短辺を含む略四角形形状に形成された光学窓を通過した光を受光し、
前記第1受光部および前記第2受光部は、前記光学窓の長辺に交差する第1方向に延在するとともに、前記第1方向に直交する第2方向に隣接して配置され、
前記第1受光部および前記第2受光部の前記第1方向の寸法は、前記光学窓の前記第1方向の寸法よりも大きい、光学センサ。
【請求項2】
前記第1方向は、前記光学窓の長辺に直交する方向である、請求項に記載の光学センサ。
【請求項3】
前記第1受光部は、前記第1波長帯域の光を通過するように構成された第1フィルタと、受光した光の強度に対応した光電流を出力する第1受光素子とを含み、
前記第2受光部は、前記第2波長帯域の光を通過するように構成された第2フィルタと、受光した光の強度に対応した光電流を出力する第2受光素子とを含む、請求項1または2に記載の光学センサ。
【請求項4】
前記第1波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる他の第1受光部と、
前記第2波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる他の第2受光部とをさらに備え、
受光部は、前記第1受光部、前記第2受光部、前記他の第1受光部、前記他の第2受光部の順に配置される、請求項1に記載の光学センサ。
【請求項5】
前記第1波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる他の第1受光部と、
前記第2波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる他の第2受光部とをさらに備え、
受光部は、前記第1受光部、前記第2受光部、前記他の第2受光部、前記他の第1受光部の順に配置される、請求項1に記載の光学センサ。
【請求項6】
前記光学センサは、照度センサである、請求項1~のいずれか1項に記載の光学センサ。
【請求項7】
前記光学センサは、カラーセンサであり、
第3波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第3受光部と、
第4波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第4受光部と、
第5波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第5受光部とをさらに備える、請求項1~のいずれか1項に記載の光学センサ。
【請求項8】
請求項1~のいずれか1項に記載された光学センサと、
前記光学センサを収容する筐体とを備え
前記光学窓は前記筐体に形成されている、電子機器。
【請求項9】
光学センサと、
前記光学センサを収容するとともに、光学窓が形成された筐体とを備え、
前記光学センサは、
前記光学窓を通過した第1波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第1受光部と、
前記光学窓を通過した第2波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第2受光部と、
前記第1受光部の光電流から得られる出力信号と、前記第2受光部の光電流から得られる出力信号との差分とに基づいて、受光した光の強度を演算する演算部とを含み、
前記第1受光部および前記第2受光部は、前記光学窓の長辺に交差する第1方向に延在するとともに、前記第1方向に直交する第2方向に隣接して配置され、
前記光学窓は、長辺および短辺を含む略四角形形状に形成されており、
前記第1受光部および前記第2受光部の前記第1方向の寸法は、前記光学窓の前記第1方向の寸法よりも大きい、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学センサおよびそれを搭載した電子機器に関し、より特定的には、光学センサにおける検出精度の低下を抑制するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2016-115746号公報(特許文献1)には、赤色フィルタ、青色フィルタ、および緑色フィルタによって赤色、青色、および緑色を受光するとともに、赤色フィルタを青色フィルタおよび緑色フィルタのいずれかと重ね合わせることにより赤外線を受光することができる光学センサが開示されている。この光学センサにおいては、赤色、青色、および緑色の波長域の光から赤外線の影響を取り除くことにより、赤色、青色、および緑色の光を精度よく検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-115746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2016-115746号公報(特許文献1)に記載された光学センサにおいては、異なるカラーフィルタを介して受光素子で受光した光に対応した複数の信号を処理することにより、所望の色の光の強度を検出している。この場合、信号処理に用いる各受光素子で受光される光が同程度の強度であることが好ましい。
【0005】
特開2016-115746号公報(特許文献1)に開示される光学センサは、たとえば、携帯電話あるいはスマートフォンなどの携帯端末に用いられる。このような携帯端末においては、さらなる薄型化および大画面化が望まれており、それに伴って、光学センサで受光する光を透過させる光学窓の大きさも制限される傾向にある。光学窓の開口面積が小さくなると、受光素子における受光面積も小さくなる。そのため、光学窓の加工精度あるいは光学センサの取付精度のばらつきによって、各受光素子で受光される光の強度に差異が生じてしまい、検出精度が低下するおそれがある。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、光学センサにおける検出精度の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従う光学センサは、第1波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第1受光部と、第2波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第2受光部と、演算部とを備える。演算部は、第1受光部の光電流から得られる出力信号と、第2受光部の光電流から得られる出力信号との差分とに基づいて、受光した光の強度を演算する。
【0008】
好ましくは、第1受光部および第2受光部は、長辺および短辺を含む略四角形形状に形成された光学窓を通過した光を受光する。第1受光部および第2受光部は、光学窓の長辺に交差する第1方向に延在するとともに、第1方向に直交する第2方向に隣接して配置される。
【0009】
好ましくは、第1方向は、光学窓の長辺に直交する方向である。
好ましくは、第1受光部は、第1波長帯域の光を通過するように構成された第1フィルタと、受光した光の強度に対応した光電流を出力する第1受光素子とを含む。第2受光部は、第2波長帯域の光を通過するように構成された第2フィルタと、受光した光の強度に対応した光電流を出力する第2受光素子とを含む。
【0010】
好ましくは、第1波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる他の第1受光部と、第2波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる他の第2受光部とをさらに備える。受光部は、第1受光部、第2受光部、他の第1受光部、他の第2受光部の順に配置される。
【0011】
好ましくは、第1波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる他の第1受光部と、第2波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる他の第2受光部とをさらに備える。受光部は、第1受光部、第2受光部、他の第2受光部、他の第1受光部の順に配置される。
【0012】
好ましくは、光学センサは、照度センサである。
好ましくは、光学センサは、カラーセンサである。光学センサは、第3波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第3受光部と、第4波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第4受光部と、第5波長帯域の光を受光することに応答して光電流が流れる第5受光部とをさらに備える。
【0013】
本開示の他の局面に従う電子機器は、上記のいずれか1項に記載された光学センサと、光学センサを収容する筐体とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示に従う光学センサによれば、光学センサにおける検出精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に従う光学センサの一例である照度センサの概略構成を説明するための機能ブロック図である。
図2】光学センサが搭載される電子機器の一例を示す図である。
図3図1の演算部で実行される信号処理を説明するための図である。
図4】比較例の光学センサにおける光学窓と受光部の配置を説明するための図である。
図5】光学窓が小型化された場合の問題点を説明するための図である。
図6A】実施の形態1の光学センサにおける光学窓と受光部の配置を説明するための第1図である。
図6B】実施の形態1の光学センサにおける光学窓と受光部の配置を説明するための第2図である。
図6C】実施の形態1の光学センサにおける光学窓と受光部の配置を説明するための第3図である。
図7】比較例におけるフォトダイオードの端子の配置を説明するための図である。
図8】実施の形態1の光学センサにおけるフォトダイオードの端子の配置を説明するための図である。
図9】変形例の光学センサにおける光学窓と受光部の配置を説明するための図である。
図10】実施の形態2に従う光学センサの概略構成を説明するための機能ブロック図である。
図11】実施の形態2の光学センサにおける光学窓と受光部の配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0017】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1従う光学センサ100の一例である照度センサの概略構成を説明するための機能ブロック図である。光学センサ100は、電圧生成部110と、赤外線カットフィルタ115と、受光部120と、変換部130と、演算部140と、記憶部150と、複数の外部端子50とを備える。光学センサ100は、電圧生成部110、受光部120、変換部130、演算部140、および記憶部150が1つの半導体基板に形成された半導体集積回路である。
【0018】
電圧生成部110は、外部端子50を介して外部の電源VCCに接続されている。電圧生成部110は、電源VCCから供給される電源電圧を所定の電圧に昇圧および/または降圧して、変換部130および演算部140に電源電圧を供給する。
【0019】
受光部120は、所望の波長帯域の光に対応した複数の受光部の総称であり、図1の光学センサ100においては、可視光の波長帯域の光を検出するための受光部120C(第1受光部)と、黒色の波長帯域の光を検出するための受光部120BK(第2受光部)とを含む。各受光部は、所望の波長帯域の光を通過させるカラーフィルタ121と、フォトダイオードに代表される受光素子122とを含む。受光部120は、赤外線カットフィルタ115に覆われており、受光部120に入光する光から赤外線の影響を除去する。
【0020】
受光部120Cにおいては、可視光域の光を透過させる透明のカラーフィルタ121Cと、受光素子122Cとを含む。受光素子122Cは、カラーフィルタ121Cを透過した光の強度に応じた光電流を生成する。受光素子122Cにおいて生成された光電流(アナログ信号)は、変換部130におけるアナログ/デジタル変換器(Analogue/Digital Converter:ADC)122Cによりデジタル信号に変換されて、演算部140へ出力される。
【0021】
また、受光部120BKにおいては、黒色の光を透過させるカラーフィルタ121BKと、受光素子122BKとを含む。受光素子122BKにおいて生成された光電流(アナログ信号)は、ADC122BKによりデジタル信号に変換されて、演算部140へ出力される。
【0022】
演算部140は、たとえばLSI(Large Scale Integration)などの集積回路を含んで構成されており、トランジスタ、キャパシタ、レジスタ等の各種回路素子が含まれる。演算部140は、変換部130により変換された各受光部からの信号を受け、これらの信号を処理して、外部端子50を介して図示しない他の制御装置等へ出力する。
【0023】
記憶部150は、たとえば不揮発性メモリであり、光学センサ100の制御あるいは信号の演算に関する各種の情報が記憶されている。
【0024】
図2は、図1に示した光学センサ(照度センサ)100が搭載される電子機器の一例であるスマートフォン10の概略図である。スマートフォン10は、扁平な直方体形状の筐体12の内部に電子部品を収納して構成されている。筐体12の一方の主面には、たとえば液晶パネルあるいは有機ELパネルで構成された表示パネル14が設けられている。表示パネル14の表示面はタッチパネルを構成しており、ユーザに対する入力インターフェースとして機能する。
【0025】
表示パネル14は、筐体12の一方の主面の大部分を占める矩形形状に形成されている。表示パネル14の一方の短辺に沿った枠部分(ベゼル)には、スピーカ16が配置されている。スピーカ16は、スマートフォン10の電話機能のための受話口として機能する。ベゼルのスピーカ16の近傍には、開口部18が形成されており、筐体12の内部の開口部18に対応する位置に光学センサ100が配置される。開口部18は、光学センサ100の受光部120に光を導くための光学窓として機能する。
【0026】
上述のように、実施の形態1における光学センサ100は照度センサである。光学センサ100は、照度を検出することによって、たとえば、ユーザがスマートフォン10を暗いところで使用しているのか、明るいところで使用しているのかを判断するために用いられる。ユーザが暗いところでスマートフォン10を使用している場合には、表示画面の明るさを暗くして消費電力を抑制することができる。また、ユーザが明るいところでスマートフォン10を使用している場合には、表示画面の明るさを明るくして、表示画面を視認しやすくすることができる。
【0027】
次に、図3を用いて、図1の演算部140における信号処理の概要について説明する。図3(a)~図3(c)においては、横軸に光の波長が示されており、縦軸には出力される光電流の強度が示されている。
【0028】
図3を参照して、上述のように第1受光部である受光部120Cは、透明のカラーフィルタ121Cを透過した光を受光素子122Cで受ける。受光部120Cは、赤外線カットフィルタ115に覆われているが、赤外線カットフィルタ115の特性上、完全には赤外線の透過を遮断できないため、図3(a)の線LN1に示されるように、可視領域の光とともに赤外線領域の光が含まれ得る。
【0029】
一方、第2受光部である受光部120BKは、黒色のカラーフィルタ121BKを透過した光を受光素子122BKで受ける。受光素子122BKで受けた光においては、カラーフィルタ121BKにより可視光については除去されているが、受光部120Cと同様に、赤外線領域の光が含まれ得る(図3(b)の線LN2)。
【0030】
演算部140においては、受光部120Cから出力された光電流の信号と、受光部120BKから出力された光電流の信号との差分をとることによって、図3(c)の線LN3に示されるように、赤外線領域の光の信号が排除され、可視領域の光に対応した信号のみが取得される。これによって、光学窓(開口部18)を通して受光した光における赤外線の除去率を向上させて、可視光の波長帯域の光の検出精度を向上させている。
【0031】
従来の光学センサにおいては、各受光部に十分な光が入光するように、センサの取付精度なども考慮して、光学窓18の大きさが半導体基板200上に配置された受光部120C,120BKよりも十分大きくなるように設計されるのが一般的であった(図4)。しかしながら、近年では、スマートフォンの大画面化のために、表示パネルが配置される主面のベゼル部分が狭くなる傾向にある。ベゼル部分には、上述したスピーカ16に加えてカメラ(図示せず)等の他の機器が配置されることもあり、そのため、光学センサ100用の光学窓18を受光部120に対して十分大きくできない状態となる場合がある。
【0032】
この場合、図5(a)に示されるように、光学窓が細長い長方形形状に小型化されてしまい、受光部120の一部が筐体12のベゼル部分で覆われてしまう状態となり得る。このとき、受光部120の取付精度などにより、図5(b)のように受光部120と光学窓18Aとの相対位置がずれてしまうと、受光部120Cおよび受光部120BKに均等に光が当たらない状態となる可能性がある。そうすると、各受光部に当たる光の強度が異なってしまい、演算部140で検出される可視光の検出精度が低下して、光学センサ100の特性を悪化させてしまう可能性がある。
【0033】
そこで、本実施の形態1においては、図6Aに示されるように、長辺および短辺を含む略長方形形状に形成された光学窓18Aに対して、光学窓18Aの長辺に交差する第1方向に延在するように各受光部を配置する。さらに、当該第1方向に直交する方向に互いに隣接するように、第1受光部(受光部120C)および第2受光部(受光部120BK)を配置する。
【0034】
図6Aの例においては、各受光部120は、長辺がY軸方向に沿って形成された光学窓18Aに対して、短辺に沿った方向(すなわち、X軸方向)に長辺を有する長方形形状に形成されている。そして、複数の受光部120Cおよび受光部120BKが、Y軸方向に互いに隣接して交互に配置されている。
【0035】
受光部120をこのような配置とすることによって、たとえば、図6Bのように光学窓18Aが相対的にX軸方向にずれた場合であっても、受光部120C全体に当たる光の面積と、受光部120BK全体に当たる光の面積とを等しくすることができる。また、図6Cのように、光学窓18Aに対して受光部120が傾いて配置された場合であっても、受光部120Cおよび受光部120BKに均等に光が当たるようにすることができる。なお、図には示していないが、光学窓18AがY軸方向にずれた場合であっても、受光部120Cおよび受光部120BKに均等に光が当たるようにすることができる。
【0036】
光学窓に対する受光部の配置を上記のようにすることによって、受光部の取付精度等によって、光学窓と受光部との間の相対位置がずれた場合であっても、2つの受光部に対して均等に光が当たるようにすることができる。これによって、光学センサにおける検出精度の低下を抑制することが可能となる。
【0037】
なお、図6A図6Cに示されるように各受光部を細長い長方形形状とした場合には、受光素子を形成するフォトダイオードの表面の面積に対してして、フォトダイオードに形成される電極の面積の比率が増加してしまう。そうすると、フォトダイオードの有効受光面積が小さくなってしまうため、光学センサの検出精度が低下する要因となり得る。そのため、実施の形態1のように、各受光素子を細長い形状とする場合には、フォトダイオードの電極の面積をできるだけ小さくすることが好ましい。
【0038】
図7は、比較例におけるフォトダイオード122#の端子の配置を説明するための図である。図7(a)はフォトダイオード122#の断面図であり、図7(b)はフォトダイオード122#の平面図である。
【0039】
図7を参照して、フォトダイオード122#は、p型シリコン基板である半導体基板200(p層)の表面にn型領域250(n層)が形成された構成を有している(図7(a))。そして、p層200およびn層250において半導体基板200の表面に露出した部分に、端子210および端子220がそれぞれ形成されている。
【0040】
半導体基板200表面におけるn層250の面積(すなわち、受光面積)が十分に広い場合には、比較的効率が安定しているn層250の中央部においてできるだけ受光できるように、n層250における端子は、n層250のできるだけ外周に沿った位置に配置することが好ましい。
【0041】
しかしながら、フォトダイオードのn層250が細長い長方形形状に形成される場合には、図7(b)に示されるように、n層250の幅W1に対する端子220の幅W2の割合が相対的に大きくなる。そうすると、n層250における有効受光面積が小さくなるので、光学センサとしての特性が悪化する可能性がある。
【0042】
実施の形態1における受光部のフォトダイオード122においては、端子220における長方形形状のn層250の長辺方向に延在する部分を、図8に示されるように短辺の中央付近に直線状に配置する。このような構成とすることによって、フォトダイオードの断面における受光可能な領域を、図7の(W1-2×W2)から図8の(W1-W2)に拡大することができる。なお、n層250の受光面の中央部と端部とでは受光効率が異なる場合があるため、受光バランスの観点から、n層250の幅方向における端子220の位置を中央付近とすることが好ましい。
【0043】
(変形例)
図6A図6Cで示した、実施の形態1における受光部においては、複数の第1受光部(受光部120C)および第2受光部(受光部120BK)を、長方形形状の光学窓18Aの長辺方向に交互に配置する構成について説明した。
【0044】
変形例においては、複数の第1受光部および第2受光部を、図9(a)に示されるように、光学窓18Aの長辺方向に沿って、第1受光部、第2受光部、第2受光部、第1受光部の順に配置する。このような場合においても、図6Bおよび図6Cで示したように、受光部120と光学窓18Aとの相対位置がずれた場合であっても、第1受光部および第2受光部に対して均等に光が当たるようにすることができる。
【0045】
さらに、変形例のような配置の場合、図9(b)に示されるように、光学窓18Bの幅が長辺方向にわたってテーパ状に変化する台形形状の場合においても、第1受光部および第2受光部に対して均等に光が当たるようにすることができる。
【0046】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、光学センサが照度センサである場合について説明したが、光学センサは他のタイプのセンサであってもよい。
【0047】
実施の形態2においては、光学センサが図10に示すようなカラーセンサ100Aである場合について説明する。
【0048】
図10におけるカラーセンサ100Aにおいては、受光部120として、赤外線の波長帯域の光を検出するための受光部120IR(第1受光部)と、青色の波長帯域の光を検出するための受光部120B(第2受光部)と、緑色の波長帯域の光を検出するための受光部120G(第3受光部)と、赤色の波長帯域の光を検出するための受光部120R(第4受光部)と、黒色の波長帯域の光を検出するための受光部120BK(第5受光部)とを含む。
【0049】
受光部120IRは、赤外線フィルタ121IRと受光素子122IRとを含む。受光部120IRにおいて検出された赤外線の強度に応じて生成された光電流は、変換部130AにおけるADC132IRによりデジタル信号に変換されて、演算部140へ出力される。
【0050】
受光部120Bは、青色の光を透過させるカラーフィルタ121Bと受光素子122Bとを含む。受光部120Bにおいて検出された青色の光の強度に応じて生成された光電流は、変換部130AにおけるADC132Bによりデジタル信号に変換されて、演算部140へ出力される。
【0051】
受光部120Gは、緑色の光を透過させるカラーフィルタ121Gと受光素子122Gとを含む。受光部120Gにおいて検出された緑色の光の強度に応じて生成された光電流は、変換部130AにおけるADC132Gによりデジタル信号に変換されて、演算部140へ出力される。
【0052】
受光部120Rは、赤色の光を透過させるカラーフィルタ121Rと受光素子122Rとを含む。受光部120Rにおいて検出された赤色の光の強度に応じて生成された光電流は、変換部130AにおけるADC132Rによりデジタル信号に変換されて、演算部140へ出力される。
【0053】
受光部120BKは、黒色の光を透過させるカラーフィルタ121BKと受光素子122BKとを含む。受光部120BKにおいて検出された黒色の光の強度に応じて生成された光電流は、変換部130AにおけるADC132BKによりデジタル信号に変換されて、演算部140へ出力される。
【0054】
受光部120における受光部120IRを除く各受光部は、赤外線カットフィルタ115に覆われている。
【0055】
演算部140においては、受光部120から変換部130を介して取得した各波長帯域の光の信号を受け、これらの信号を処理することによって各波長帯域の光の検出精度を高めることができる。
【0056】
図10に示されたカラーセンサ100Aにおいても、実施の形態1の図6A図6Cで示したように、略長方形形状に形成された光学窓に対して、光学窓の長辺に交差する第1方向に延在するように各受光部を配置するとともに、当該第1方向に直交する方向に隣接するように各受光部を配置することによって、受光部と光学窓との相対位置がずれた場合であっても、各受光部に対して均等に光が当たるようにすることができる。
【0057】
図11は、図10のカラーセンサ100Aにおける各受光部の配置を説明するための図である。図11(a),(b)は、図9(a)と同様に、長辺がY軸方向に沿って形成された長方形形状の光学窓18Aに対して、短辺に沿った方向(X軸方向)に長辺を有する長方形形状に各受光部120が形成されている。また、図11(C)においては、図9(b)と同様に台形形状を有する光学窓18Bに対して、各受光部20が形成されている。
【0058】
図11(a)においては、Y軸の正方向から負方向に向かって、受光部120IR、受光部120B、受光部120G、受光部120R、受光部120BR、受光部120IR、受光部120B、受光部120G、受光部120R、および受光部120BRの順に受光部が配置されている。一方、図11(b),(c)においては、受光部120IR、受光部120B、受光部120G、受光部120R、受光部120BR、受光部120BR、受光部120R、受光部120G、受光部120B、および受光部120IRの順に受光部が配置されている。
【0059】
光学窓の幅が長辺方向に一定である場合には、各受光部の受光面積が等しくなるため、図11(a)の配置順および図11(b)の配置順のいずれであっても、各受光部に対して対象となる光が均等に当たるようにすることができる。一方、図11(c)のように、光学窓の幅が長辺方向にわたってテーパ状に変化する台形形状の場合には、上記のように各受光部をY軸方向に線対称となるように配置することで、各受光部に対して対象となる光が均等に当たるようにすることができる。
【0060】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
10 スマートフォン、12 筐体、14 表示パネル、16 スピーカ、18 光学窓、50,210,220 端子、100,100A 光学センサ、110 電圧生成部、115,121 フィルタ、120 受光部、122 受光素子、130,130A 変換部、132 ADC、140 演算部、150 記憶部、200 半導体基板(p層)、250 n層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11