(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】復調回路、復調方法、送信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/438 20110101AFI20240126BHJP
H04N 21/435 20110101ALI20240126BHJP
H04N 21/647 20110101ALI20240126BHJP
H04H 20/95 20080101ALI20240126BHJP
H04H 20/78 20080101ALI20240126BHJP
【FI】
H04N21/438
H04N21/435
H04N21/647
H04H20/95
H04H20/78
(21)【出願番号】P 2020567387
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(86)【国際出願番号】 JP2019045922
(87)【国際公開番号】W WO2020152971
(87)【国際公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2019008820
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】平山 雄一
【審査官】富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-010109(JP,A)
【文献】国際公開第2017/090463(WO,A1)
【文献】特開2009-246990(JP,A)
【文献】特開2002-027351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00-21/858
H04H 20/95
H04H 20/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数の前記TMCC信号を集約し、前記集約したTMCC信号を前記主信号の前又は後に出力して、前記主信号及び前記
集約したTMCC信号を前記フレームに対して個別に復調することで、
可変長パケットである前記主信号と、前記集約したTMCC信号と、を生成する復調回路。
【請求項2】
前記可変長パケットは、TLVパケットである請求項1に記載した復調回路。
【請求項3】
前記TMCC信号のパケット種別は、予め設定した定義が割り当てられた種別とは異なる未定義の種別である請求項1に記載した復調回路。
【請求項4】
前記TMCC信号のデータ長は、固定値である請求項1に記載した復調回路。
【請求項5】
放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数の前記TMCC信号を集約し、前記集約したTMCC信号を前記主信号の前又は後に出力して、前記主信号及び前記
集約したTMCC信号を前記フレームに対して個別に復調することで、
可変長パケットである前記主信号と、前記集約したTMCC信号と、を生成する復調方法。
【請求項6】
前記可変長パケットは、TLVパケットである請求項5に記載した復調方法。
【請求項7】
前記TMCC信号のパケット種別は、予め設定した定義が割り当てられた種別とは異なる未定義の種別である請求項5に記載した復調方法。
【請求項8】
前記TMCC信号のデータ長は、固定値である請求項5に記載した復調方法。
【請求項9】
放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数の前記TMCC信号を集約し、前記集約したTMCC信号を前記主信号の前又は後に出力して、前記主信号及び前記
集約したTMCC信号を前記フレームに対して個別に復調することで、
可変長パケットである前記主信号と、前記集約したTMCC信号と、を生成する復調回路と、
前記復調回路が復調した復調信号をケーブル放送向けにQAM変調するケーブル再送信変換部と、を備える送信装置。
【請求項10】
前記可変長パケットは、TLVパケットである請求項9に記載した送信装置。
【請求項11】
前記TMCC信号のパケット種別は、予め設定した定義が割り当てられた種別とは異なる未定義の種別である請求項9に記載した送信装置。
【請求項12】
前記TMCC信号のデータ長は、固定値である請求項9に記載した送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示に係る技術(本技術)は、放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を受信して復調する復調回路と、復調回路を用いた復調方法と、復調回路を含む送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送等に用いる信号処理の技術としては、例えば、特許文献1に開示されているように、復調処理を行う処理部とデマックス処理を行う処理部との間で、信号線を用いて可変長パケットを伝送するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、複数の放送局から出力された可変長パケットを合成して受信するインターフェースとして、イーサネット(登録商標)を想定している。このため、合成した可変長パケットを受信するインターフェースが、受信機が備えるLSIである場合であっても、イーサネットを介して、合成した可変長パケットを受信するため、冗長且つ複雑なフォーマットが必要となるという問題点がある。
【0005】
本技術は、上記問題点を鑑み、合成した可変長パケットをLSIで受信する構成であっても、シンプルなフォーマットで復調することが可能な復調回路と、復調回路を用いた復調方法と、復調回路を含む送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の一態様に係る復調回路は、放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数のTMCC信号を集約する。そして、集約したTMCC信号を主信号の前又は後に出力して、主信号及びTMCC信号をフレームに対して個別に復調することで、主信号とTMCC信号とを含む可変長パケットを生成する。
【0007】
本技術の一態様に係る復調方法は、放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数のTMCC信号を集約する方法である。これに加え、集約したTMCC信号を主信号の前又は後に出力して、主信号及びTMCC信号をフレームに対して個別に復調することで、主信号とTMCC信号とを含む可変長パケットを生成する方法である。
【0008】
本技術の一態様に係る送信装置は、主信号及びTMCC信号をフレームに対して個別に復調することで、主信号とTMCC信号とを含む可変長パケットを生成する復調回路と、復調回路が復調した復調信号をケーブル放送向けにQAM変調するケーブル再送信変換部を備える。復調回路は、放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数のTMCC信号を集約し、集約したTMCC信号を主信号の前又は後に出力する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】送信装置と受信装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】TLVパケットから分割TLVパケットへの変換の説明図である。
【
図9】送信装置の動作を示すフローチャートである。
【
図10】パーソナルコンピュータの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本技術の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本技術の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本技術の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本技術の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
【0011】
(第1実施形態)
送信装置1は、
図1に示すように、受信装置2と、ネットワーク3と共に、放送システム10を構成する。
放送システム10は、デジタルケーブルテレビ放送に関わるシステムである。
【0012】
送信装置1は、デジタルケーブルテレビ放送を行う放送局側の装置である。
受信装置2は、ネットワーク3を介して、送信装置1から送信された放送波を受信する。なお、ネットワーク3を介した送信は、放送されているコンテンツに係わる情報の送信とすることも可能である。
【0013】
送信装置1から送信する放送波は、MMT(MPEG Media Transport)・TLV(Type Length Value)方式と称される方式で送信され、受信装置2に受信される。
MMT・TLV方式は、IP(Internet Protocol)パケットの中に、映像信号や音声信号、制御信号を格納して伝送する方式である。TLV方式を用いて放送波を送信することにより、伝送路としての放送と通信の区別が無くなる。また、MMT・TLV方式によれば、放送用電波と通信路を同時に利用することも可能となる。これにより、例えば、放送用電波では不特定多数の視聴者に向けたメイン・カメラの映像を伝送し、通信路(ネットワーク3経由)では、視聴者個人が選んだサブ・カメラの映像を伝送するというような放送形態を実施することも可能となる。なお、第1実施形態では、MMT・TLV方式によって、放送用電波のみを送信する場合について説明する。
【0014】
<送信装置の構成>
送信装置1は、
図2に示すように、衛星チューナ11と、復調回路12と、ケーブル再送信変換部13を含む。なお、衛星チューナ11と復調回路12とを統合したLSIにより、衛星チューナ11と復調回路12を構成してもよい。
衛星チューナ11には、アンテナ4が接続される。アンテナ4は、衛星放送を受信するアンテナである。
復調回路12は、送信側復調部12aと、送信側誤り訂正部12bを含む。
【0015】
送信側復調部12aは、フレームを同期させるための信号であるフレーム同期信号の検出をトリガとして、フレーム毎に以下の処理を行う。
送信側復調部12aは、APSK(振幅位相変調)方式やPSK方式の主信号を復調する。これに加え、送信側復調部12aは、π/2シフトBPSK変調方式の伝送TMCC信号を復調する。伝送TMCC信号とは、TMCC(Transmission & Multiplexing Configuration Control)信号にBCH符号やLDPC符号が付加された信号である。なお、各フレームのTMCC信号には、フレームを構成する各スロットに関するTMCC情報が含まれている。さらに、送信側復調部12aは、TMCC信号に対して、BCH符号を復合する外符号誤り検出訂正処理及びLDPC符号を復合する内符号誤り検出訂正処理を施すことによって、TMCC情報を得る。また、送信側復調部12aは、TMCC情報に含まれている、対象フレームの各スロットが含む主信号の復調に必要な情報に基づいて、対象フレームの各スロットが含む主信号を復調する。なお、主信号の復調に必要な情報とは、例えば、各スロットのキャリア変調方式を示すパラメータや、LDPC符号の符号化率を示すパラメータである。さらに、送信側復調部12aは、スロットの主信号に対してデインタリーブ処理を施す。
【0016】
また、送信側復調部12aは、伝送TMCC信号を復調する際に、各フレームにおいて、分散して配置されている複数のTMCC信号を一つに集約する。さらに、送信側復調部12aは、
図3に示すように、集約してTLV化したTMCC信号を、復調する主信号の後に出力する。これにより、送信側復調部12aは、可変長パケットであるTLVパケットの一部にTMCC情報を含ませて、復調信号を生成する。なお、
図3では、分散して配置されている複数のTMCC信号を、それぞれ、「T」と示す。また、
図3には、集約してTLV化したTMCC信号を、「TLV化したTMCC」と示す。また、
図3には、復調する複数の主信号を、先頭から順に、「TLV#1」、「TLV#2」…「TLV#00」と示す。なお、
図3に示すように、主信号を形成するTLVパケットの数は可変である。
【0017】
ここで、送信側復調部12aの構成は、集約してTLV化したTMCC信号を、復調する主信号の後に出力する構成に限定するものではなく、
図4に示すように、集約してTLV化したTMCC信号を、復調する主信号の前に出力する構成としてもよい。なお、
図4では、
図3と同様、分散して配置されている複数のTMCC信号を、それぞれ、「T」と示し、集約してTLV化したTMCC信号を、「TLV化したTMCC」と示す。また、
図4では、
図3と同様、復調する複数の主信号を、先頭から順に、「TLV#1」、「TLV#2」…「TLV#00」と示す。なお、
図3と同様、主信号を形成するTLVパケットの数は可変である。
なお、送信側復調部12aが、集約したTMCC信号を、主信号の後又は前に出力する際には、例えば、集約したTMCC信号のビット数が予め設定した上限値となるまで、複数のTMCC信号を集約する。そして、送信側復調部12aが、ビット数が上限値となった時点で、一つに集約したTMCC信号を、主信号の後又は前に出力してもよい。
【0018】
TMCC信号のパケット種別は、
図5に示す種別のうち、未定義に割り当てられている値から選択する(例えば、「0xFD」)。すなわち、TMCC信号のパケット種別は、予め設定した定義が割り当てられた種別とは異なる未定義の種別である。
なお、TMCC信号を割り当てる値は、未定義に割り当てられている一つの値のみから選択するものではない。すなわち、TMCC信号を割り当てる値を、未定義に割り当てられている値のうち複数(例えば、「0x05」、「0x06」、「0x07」)から選択してもよい。
また、TMCC信号のデータ長は、固定値(例えば、「0x049a」)とする。
【0019】
送信側誤り訂正部12bは、誤り訂正符号としてBCK符号やLDPC符号を用いた誤り訂正方式により、送信側復調部12aから入力を受けた復調信号の誤り訂正を行う。さらに、送信側誤り訂正部12bは、誤り訂正を行うことで得られたTLVパケットをケーブル再送信変換部13に供給する。
すなわち、復調回路12は、アンテナ4で受信された衛星放送の放送波が含むTMCC信号をTLV化した主信号(複数のTLVパケット)を、ケーブル再送信変換部13に出力する。これにより、復調回路12は、ケーブル再送信変換部13にTMCC情報を渡す。
【0020】
以上により、復調回路12は、放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数のTMCC信号を集約する。さらに、復調回路12は、集約したTMCC信号を主信号の前又は後に出力して、主信号及びTMCC信号をフレームに対して個別に復調する。これに加え、復調回路12は、一つのフレームの中で分散して配置されている複数のTMCC信号を集約し、さらに、主信号の前又は後に出力して復調することで、可変長パケットである主信号(TLV)とTLV化したTMCC信号を生成する。
【0021】
ケーブル再送信変換部13は、衛星チューナ11から供給された放送波をデジタルケーブルテレビ放送の放送波に変換する。そして、変換した放送波(デジタル放送波)を、ケーブル(ケーブルテレビ伝送路)を介して受信装置2へ送信する。
第1実施形態では、一例として、送信装置1から受信装置2へ送信するデジタル放送波を、256QAM変調方式で変調した2つの搬送波と、64QAM変調方式で変調した1つの搬送波を含んで分割伝送する場合について説明する。
【0022】
また、送信装置1は、主信号の送信に必要な伝送容量に応じた変調方式として、64QAM変調方式と256QAM変調方式を用いる。そして、送信装置1は、スロットを単位として主信号を生成する。このとき、送信装置1は、各スロットの主信号を、主信号のスロットについて選択した変調方式で変調する。
以上により、送信装置1では、TLVパケットを分割TLVパケットに変換し、さらに、ケーブル変調をかけて、受信装置2にケーブルを介して送信する。
【0023】
以上説明したように、送信装置1は、集約したTMCC信号を主信号の前又は後に出力して、主信号及びTMCC信号をフレームに対して個別に復調する、フロントエンド処理回路としての復調回路12を備える。これに加え、送信装置1は、復調回路12が復調した復調信号をデジタルケーブルテレビ放送の放送用にQAM変調するケーブル再送信変換部13を備える。
【0024】
上述したように、衛星放送は、MMT・TLV方式のデジタル放送波として放送される。このため、ケーブル再送信変換部13は、MMT・TLV方式のデジタル放送波を、デジタルケーブルテレビ放送の放送波として、分割TLVパケットに変換して送信する。
具体的に、ケーブル再送信変換部13は、
図6に示すように、受信したTLVパケットを分割TLVパケットに変換する処理を実行する。ケーブル再送信変換部13に供給される放送波は、可変長なTLVパケット(可変長TLVパケット)の集合である。そして、ケーブル再送信変換部13は、集合した可変長TLVパケットを、固定長の分割TLVパケットに変換する。すなわち、ケーブル再送信変換部13は、衛星放送での伝送情報を用いて、ケーブル再送信変換の処理を行う。
【0025】
分割TLVパケットは、188バイトの固定長のパケットである。
188バイトの固定長のパケットは、188バイトのうち、3バイトがヘッダとされ、185バイトがペイロードとされている。
図6では、TLVパケットとして、TLVパケット1とTLVパケット2を示し、分割TLVパケットとして、分割TLVパケット1から分割TLVパケット3を示している。
【0026】
図6に示した例では、TLVパケット1は、分割TLVパケット1と、分割TLVパケット2と、分割TLVパケット3に分割されている。また、TLVパケット2の一部は、分割TLVパケット3に分割されている。
分割TLVパケット3は、TLVパケット1とTLVパケット2のデータを含むパケットとされている。このように、分割TLVパケットのペイロードには、分割された複数のTLVパケットが含まれることもある。
【0027】
また、分割TLVパケットは、
図6に示すように、同期バイトと、トランスポートエラーインジケータと、TLVパケット開始インジケータと、PIDと、ペイロードから構成されている。ペイロードには、先頭TLV指示が含まれる場合がある。同期バイトは、例えば、「0x47」と定義される。
トランスポートエラーインジケータは、分割TLVパケット内のビットエラーの有無を示すフラグである。例えば、トランスポートエラーインジケータが「1」であるとき、少なくとも1ビットの訂正不可能なエラーが、分割TLVパケットに存在することを示す。
【0028】
また、TLVパケット開始インジケータが「1」であるときは、分割TLVパケットのペイロード内にTLVパケットの先頭が含まれていることを示す。例えば、分割TLVパケット2は、TLVパケット1しか含まず、TLVパケット1の先頭も含まれていないため、分割TLVパケット2のTLVパケット開始インジケータは「0」とされる。また、例えば、分割TLVパケット3は、TLVパケット1とTLVパケット2を含み、TLVパケット2の先頭を含むため、分割TLVパケット3のTLVパケット開始インジケータは、「1」とされる。
PIDは、ペイロードのデータがTLVデータであることを識別するために使用される領域である。
先頭TLV指示は、TLVパケット開始インジケータが「1」のときに用いるペイロードの先頭1バイトである。先頭TLV指示の値により、ペイロードの何バイト目にTLVパケットの先頭位置があるかが示される。これにより、受信側では、分割TLVパケットのペイロード内に含まれるTLVパケットの先頭位置を検知することが可能となる。TLVパケット開始インジケータが「0」のときには、先頭TLV指示は、ペイロードに挿入されない。
【0029】
<TLVパケット>
TLVパケットについて、
図1から
図6を参照しつつ、
図7及びから
図8を用いて、説明する。
TLVパケットは、
図7に示すように、2ビット及び6ビットで構成されるパケットヘッダの領域、8ビットのパケット種別の領域、16ビットのデータ長の領域、可変長のデータの領域から構成される。
【0030】
パケット種別の領域は、TLVに格納するパケットの種別を識別するために使用する領域として割り当てられており、その割り当ては、
図5に示すようになっている。
データ長の領域は、これより後ろに続くデータビット数が書き込まれる領域とされている。データの領域(データ領域)は、8×Nビットであり、可変長の領域とされ、データが書き込まれる領域とされている。
例えば、パケット種別の領域に“0x01”という値が記載されている場合、データ領域のデータ形式は、IPv4パケットである。データ領域のデータ形式が、IPv4パケットである場合、データ領域内のIPパケットは、
図8で上から2段目に示すような構造になっている。
【0031】
図8で上から2段目に図示されているように、データ領域内のIPパケットは、IPv4ヘッダ部、UDPヘッダ部、及びデータ部から構成される。
例えば、パケット種別の領域に“0x02”という値が記載されている場合、データ領域のデータ形式は、IPv6パケットである。データ領域のデータ形式が、IPv6パケットである場合、データ領域内のIPパケットは、
図8で上から3段目に示す構造になっている。
【0032】
図8で上から3段目に図示されているように、データ領域内のIPパケットは、IPv6ヘッダ部、UDPヘッダ部、データ部から構成される。
例えば、パケット種別の領域に“0x03”という値が記載されている場合、データ領域のデータ形式は、ヘッダが圧縮されたIPパケットである。データ領域のデータ形式が、ヘッダが圧縮されたIPパケットである場合、データ領域内のIPパケットは、
図8で上から4段目に示すような構造になっている。
図8で上から4段目に図示されているように、データ領域内のIPパケットは、ヘッダ部とデータ部から構成される。
以上により、TLVパケットには、IPパケットが含まれる。
【0033】
<受信装置の構成>
受信装置2は、
図2に示すように、受信側チューナ21と、フロントエンド処理回路22と、バックエンド処理回路23を備える。
受信側チューナ21は、送信装置1からケーブルを介して送信されてきたデジタル放送波(分割TLVパケット)を受信し、フロントエンド処理回路22に供給する。
【0034】
フロントエンド処理回路22は、復調処理を扱うLSIである。バックエンド処理回路23は、デマックス処理を扱うLSIである。フロントエンド処理回路22とバックエンド処理回路23は、1つのLSIで構成することも可能であり、また、異なるLSIとして構成することも可能である。フロントエンド処理回路22とバックエンド処理回路23を異なるLSIで構成する場合、フロントエンド処理回路22は、後段の回路であるバックエンド処理回路23が処理することが可能、すなわち、バックエンド処理回路23が要求する条件を満たすように、データを出力する必要がある。
以上により、フロントエンド処理回路22は、バックエンド処理回路23が要求する条件を満たす形で復調したデータを供給する。なお、以降の説明では、一例として、フロントエンド処理回路22とバックエンド処理回路23とを、異なるLSIとして構成した場合を説明する。
【0035】
フロントエンド処理回路22は、受信側復調部22aと、受信側誤り訂正部22bを含む。
受信側復調部22aは、受信側チューナ21が供給した受信信号のQAM変調を復調する。そして、受信側復調部22aは、生成した復調信号を受信側誤り訂正部22bへ出力する。
【0036】
受信側誤り訂正部22bは、誤り訂正符号としてリードソロモン符号を用いた誤り訂正方式により、受信側復調部22aから入力を受けた復調信号の誤り訂正を行う。さらに、受信側誤り訂正部22bは、誤り訂正を行うことで得られた分割TLVパケット、又は変換したTLVパケットを、バックエンド処理回路23に供給する。
以上説明したように、フロントエンド処理回路22は、分割TLVパケットを取得する。よって、フロントエンド処理回路22からは、分割TLVパケット、又は変換したTLVパケットがバックエンド処理回路23に出力される。
【0037】
バックエンド処理回路23は、例えば、SOC(System-on-a-chip)を用いて形成されている。バックエンド処理回路23が行う処理は、フロントエンド処理回路22が出力した分割TLVパケット、又は変換したTLVパケットを、例えば、動画コンテンツを、映像部分、音声部分、字幕部分等に分ける処理(デマックス処理)である。
また、バックエンド処理回路23は、多重分離部23aと、デコーダ23bを含む。
【0038】
多重分離部23aには、フロントエンド処理回路22が出力した出力信号(シンク信号、バリッド信号、データ信号、クロック信号)が供給される。そして、多重分離部23aは、供給された信号に含まれるデータ、例えば、映像データや音声データを分離する。
【0039】
デコーダ23bは、映像データを映像信号にデコードする処理や、音声データを音声信号にデコードする処理を行うことで、映像や音声の信号を生成し、ディスプレイ5に出力する。
【0040】
<動作>
以下、
図1から
図8を参照しつつ、
図9を用いて、送信装置1が行う動作について説明する。
図9に示すように、送信装置1は、ステップS1にてフレーム同期信号を受信する度に、ステップS2からステップS5までの一連の処理を実行する。
ステップS2では、送信側復調部12aが、フレーム同期信号を受信したフレームにおいて、分散して配置されている複数の主信号を一つに集約する。
【0041】
ステップS3では、送信側復調部12aが、フレーム同期信号を受信したフレームにおいて、分散して配置されている複数のTMCC信号を一つに集約する。
ステップS4では、送信側復調部12aが、ステップS3で一つに集約したTMCC信号を、ステップS2で一つに集約した主信号の前又は後に配置する。
ステップS5では、ケーブル再送信変換部13が、復調回路12が復調した復調信号をケーブル放送向けにQAM変調した後に、受信装置2に出力する。
【0042】
<復調方法>
第1実施形態の復調回路12を用いて行う復調方法は、放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数のTMCC信号を集約する。さらに、集約したTMCC信号を主信号の前又は後に出力して、主信号及びTMCC信号をフレームに対して個別に復調する方法である。
また、復調回路12を用いて行う復調方法では、フレームの中で分散して配置されている複数のTMCC信号を集約して主信号の前又は後に出力して復調することで、主信号とTMCC信号とを含む可変長パケットを生成する。
【0043】
従来のように、合成した可変長パケットを受信するインターフェースが、受信機が備えるLSIである場合、単位時間当たりのレートが高くなるため、クロック周波数が高くなるという問題点がある。
これに対し、第1実施形態の構成であれば、復調させたTMCC信号を主信号に含ませて出力することで、フレームに含まれるTMCC情報を、ケーブル再送信変換部13に認識させることが可能となる。このため、冗長且つ複雑なフォーマットを必要とせずに、合成した可変長パケットを受信することが可能となる。
したがって、第1実施形態の構成であれば、合成した可変長パケットをLSIで受信する構成であっても、シンプルなフォーマットで復調することが可能な復調回路12を提供することが可能となる。
【0044】
また、第1実施形態の構成であれば、合成した可変長パケットをLSIで受信する構成であっても、シンプルなフォーマットで復調することが可能な復調方法を提供することが可能となる。
また、第1実施形態の構成であれば、合成した可変長パケットをLSIで受信する構成であっても、シンプルなフォーマットで復調することが可能な復調回路12を含む送信装置1を提供することが可能となる。
【0045】
<本技術を適用したコンピュータの説明>
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることも可能であるが、ソフトウェアにより実行させることも可能である。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、ソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ等に、記録媒体からインストールされる。又は、ソフトウェアを構成するプログラムが、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、汎用のパーソナルコンピュータ等に、記録媒体からインストールしてもよい。
【0046】
図10中に、汎用のパーソナルコンピュータの構成例を示す。汎用のパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)100を内蔵している。CPU100には、バス101を介して、入出力インターフェース102が接続されている。バス101には、ROM(Read Only Memory)103と、RAM(Random Access Memory)104が接続されている。
【0047】
入出力インターフェース102には、ユーザが操作コマンドを入力するキーボード、マウス等の入力デバイスを用いて形成された入力部105と、処理操作画面や処理結果の画像を表示デバイスに出力する出力部106が接続されている。これに加え、入出力インターフェース102には、プログラムや各種データを格納するハードディスクドライブ等よりなる記憶部107が接続されている。さらに、入出力インターフェース102には、LAN(Local Area Network)アダプタ等よりなり、インターネットに代表されるネットワークを介した通信処理を実行する通信部108が接続されている。
また、入出力インターフェース102には、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)が接続されている。さらに、入出力インターフェース102には、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、又は、半導体メモリ等のリムーバブルメディア109に対してデータを読み書きするドライブ110が接続されている。
【0048】
CPU100は、ROM103に記憶されているプログラムや、記憶部107にインストールされて記憶部107からRAM104にロードされたプログラムに従って、各種の処理を実行する。記憶部107にインストールされるプログラムは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等のリムーバブルメディア109等から読み出される。
また、RAM104には、CPU100が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も、適宜記憶される。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU100が、例えば、記憶部107に記憶されているプログラムを、入出力インターフェース102及びバス101を介して、RAM104にロードして実行する。これにより、上述した一連の処理が行われる。
【0049】
コンピュータ(CPU100)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア109に記録して提供することが可能である。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して、提供することが可能である。
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア109をドライブ110に装着することにより、入出力インターフェース102を介して、記憶部107にインストールすることが可能である。また、プログラムは、有線、又は、無線の伝送媒体を介して通信部108で受信し、記憶部107にインストールすることが可能である。その他、プログラムは、予め、ROM103や記憶部107にインストールしておくことが可能である。
【0050】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれもシステムである。
【0051】
(その他の実施形態)
上記のように、本技術の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本技術を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
その他、上記の実施形態において説明される各構成を任意に応用した構成等、本技術はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本技術の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0052】
また、本開示の復調回路、復調方法、送信装置では、上記の実施形態等で説明した各構成要素を全て備える必要はなく、また逆に他の構成要素を備えていてもよい。
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
例えば、本技術は、ネットワークを介して、1つの機能を複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることも可能である。
【0053】
なお、本技術は、以下のような構成を取ることが可能である。
(1)
放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数の前記TMCC信号を集約し、前記集約したTMCC信号を前記主信号の前又は後に出力して、前記主信号及び前記TMCC信号を前記フレームに対して個別に復調する復調回路。
(2)
前記可変長パケットは、TLVパケットである前記(1)に記載した復調回路。
(3)
前記TMCC信号のパケット種別は、予め設定した定義が割り当てられた種別とは異なる未定義の種別である前記(1)又は(2)に記載した復調回路。
(4)
前記TMCC信号のデータ長は、固定値である前記(1)~(3)のいずれかに記載した復調回路。
(5)
放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数の前記TMCC信号を集約し、前記集約したTMCC信号を前記主信号の前又は後に出力して、前記主信号及び前記TMCC信号を前記フレームに対して個別に復調する復調方法。
(6)
前記可変長パケットは、TLVパケットである前記(5)に記載した復調方法。
(7)
前記TMCC信号のパケット種別は、予め設定した定義が割り当てられた種別とは異なる未定義の種別である前記(5)又は(6)に記載した復調方法。
(8)
前記TMCC信号のデータ長は、固定値である前記(5)~(7)のいずれかに記載した復調方法。
(9)
放送波に重畳されて送信された主信号及びTMCC信号を含むフレームの中に分散して配置されている複数の前記TMCC信号を集約し、前記集約したTMCC信号を前記主信号の前又は後に出力して、前記主信号及び前記TMCC信号を前記フレームに対して個別に復調することで、前記主信号と前記TMCC信号とを含む可変長パケットを生成する復調回路と、
前記復調回路が復調した復調信号をケーブル放送向けにQAM変調するケーブル再送信変換部と、を備える送信装置。
(10)
前記可変長パケットは、TLVパケットである前記(9)に記載した送信装置。
(11)
前記TMCC信号のパケット種別は、予め設定した定義が割り当てられた種別とは異なる未定義の種別である前記(9)又は(10)に記載した送信装置。
(12)
前記TMCC信号のデータ長は、固定値である前記(9)~(11)のいずれかに記載した送信装置。
【符号の説明】
【0054】
1…送信装置、11…衛星チューナ、12…復調回路、12a…送信側復調部、12b…送信側誤り訂正部、13…ケーブル再送信変換部、2…受信装置、21…受信側チューナ、22…フロントエンド処理回路、22a…受信側復調部、22b…受信側誤り訂正部、23…バックエンド処理回路、23a…多重分離部、23b…デコーダ、3…ネットワーク、4…アンテナ、5…ディスプレイ、10…放送システム、100…CPU、101…バス、102…入出力インターフェース、103…ROM、104…RAM、105…入力部、106…出力部、107…記憶部、108…通信部、109…リムーバブルメディア、110…ドライブ