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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20240126BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20240126BHJP
   C08K 3/02 20060101ALI20240126BHJP
   C08K 5/52 20060101ALI20240126BHJP
   C08K 3/38 20060101ALI20240126BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240126BHJP
   C08G 59/20 20060101ALI20240126BHJP
   C08J 5/24 20060101ALI20240126BHJP
   C09K 21/02 20060101ALI20240126BHJP
   C09K 21/04 20060101ALI20240126BHJP
   C09K 21/12 20060101ALI20240126BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20240126BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20240126BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08K3/32
C08K3/02
C08K5/52
C08K3/38
C08K3/22
C08G59/20
C08J5/24 CFC
C09K21/02
C09K21/04
C09K21/12
B32B5/28
B32B27/38
B64C1/00 B
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020569817
(86)(22)【出願日】2019-06-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 EP2019065596
(87)【国際公開番号】W WO2019238880
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】1809830.1
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504132032
【氏名又は名称】ヘクセル コンポジッツ、リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブレア、ダナ
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106398110(CN,A)
【文献】特開2023-036020(JP,A)
【文献】特開平05-214129(JP,A)
【文献】特開2000-063485(JP,A)
【文献】特表2016-510077(JP,A)
【文献】特開2009-096881(JP,A)
【文献】特開昭55-092757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配合物であって、
a.配合物の10~80重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂であって、塩素化エポキシ樹脂を含むハロゲン化エポキシ樹脂
b.配合物の1~15重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤、
c.配合物の1~10重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤、及び
d.配合物の1~30重量%を占める硬化剤系
を含み、
配合物の5~30重量%を占めるエポキシノボラック樹脂を更に含み、及び
配合物の1~40重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂を更に含む
配合物。
【請求項2】
前記ハロゲン化エポキシ樹脂が、塩素化エポキシ樹脂又は塩素化エポキシ樹脂と臭素化エポキシ樹脂との混合物を含み、前塩素化エポキシ樹脂が、塩素化ビスフェノール-Cエポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項3】
前記アンチモンベースの難燃剤が、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、又はそれらの混合物を含む、請求項1又は請求項2に記載の配合物。
【請求項4】
前記無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤が、赤色リン、ポリリン酸アンモニウム、ポリホスファゼン、リン酸メラミン(ポリホスファート及びピロホスファートを含む)又はそれらの混合物を含む、請求項1~3のいずれかに記載の配合物。
【請求項5】
さらに有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤を前記配合物の4~35重量%の割合で含む、請求項1~4のいずれかに記載の配合物。
【請求項6】
さらに配合物の1~40重量%の割合で煙抑制剤を含む、請求項1~5のいずれかに記載の配合物。
【請求項7】
記エポキシノボラック樹脂が、フェノールエポキシノボラック樹脂、クレゾールエポキシノボラック樹脂、トリスフェニルメタンエポキシノボラック樹脂又はそれらの混合物を含む、請求項1~6のいずれかに記載の配合物。
【請求項8】
加の前記1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、多官能性エポキシ樹脂又はそれらの混合物を含む、請求項1~7のいずれかに記載の配合物。
【請求項9】
前記硬化剤系がヒドラジド又はジシアンジアミドを含む、請求項1~8のいずれかに記載の配合物。
【請求項10】
前記硬化剤系が、前記硬化剤系のための促進剤を含、請求項1~9のいずれかに記載の配合物。
【請求項11】
さらに0.05~1.5重量%の割合で湿潤剤を含む、請求項1~10のいずれかに記載の配合物。
【請求項12】
前記エポキシ樹脂の全成分及び任意の熱可塑性強化剤の合計と、前記無機リン、アンチモン及び任意の煙抑制剤成分の合計との重量比が10:1~1:1である、請求項1~11のいずれかに記載の配合物。
【請求項13】
a.前記配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.前記配合物の5~30重量%を占める有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤;
c.前記配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
d.前記配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
e.前記配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
f.前記配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
g.前記配合物の1~10重量%を占める1つ以上の熱可塑性強化剤;
h.前記配合物の2~38重量%を占める煙抑制剤;
i.0.05~1.5重量%の湿潤剤、及び
j.前記ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて前記配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項14】
a.前記配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.前記配合物の5~30重量%を占める有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤;
c.前記配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
d.前記配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
e.前記配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
f.前記配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
g.前記配合物の2~38重量%を占める煙抑制剤;
h.0.05~1.5重量%の湿潤剤、及び
i.前記ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて前記配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む、請求項1に記載の配合物。
【請求項15】
前記配合物が、2℃/分の昇温を使用するオートクレーブ硬化下において、140℃で30分以下及び150℃で15分以下で硬化可能である、請求項1~14のいずれかに記載の配合物。
【請求項16】
前記配合物が、160℃及び最大7バールの圧力でホットロード/ホットアンロードプレス硬化を使用して15分以内に硬化可能である、請求項1~15のいずれかに記載の配合物。
【請求項17】
少なくとも145℃の硬化乾燥Tgを有する、請求項1~16のいずれかに記載の配合物。
【請求項18】
110℃で10Pa・s以下の粘度を有する、請求項1~17のいずれかに記載の配合物。
【請求項19】
プリプレグ中のマトリックスとしての、請求項1~18のいずれかに記載の配合物の使用。
【請求項20】
強化繊維及び請求項1~18のいずれかに記載の配合物を含むプリプレグ。
【請求項21】
前記強化繊維がガラス繊維及び/又は炭素繊維である、請求項20に記載のプリプレグ。
【請求項22】
請求項1~18のいずれかに記載の配合物をプリプレグの25~70重量%の割合で含む、請求項20又は請求項21に記載のプリプレグ。
【請求項23】
前記強化繊維が炭素であり、硬化後、以下の特性:
a)ASTM D2344で測定した場合に少なくとも50MPaの層間せん断強度(ILSS)、
b)ASTM D790で測定した場合に少なくとも1100MPaの0°曲げ強度、
c)ASTM D790で測定した場合に少なくとも95GPaの0°曲げ弾性率、
d)ASTM D3039で測定した場合に少なくとも1400MPaの0°引張強度、又は
e)ASTM D3039で測定した場合に少なくとも110GPaの0°引張弾性率
のうちの少なくとも1つを有している、請求項20~22のいずれかに記載のプリプレグ。
【請求項24】
請求項20~23のいずれかに記載の硬化プリプレグの1つ以上の層を含み、任意選択で他の材料の1つ以上の層をさらに含む層状構造物。
【請求項25】
空機の部材としての請求項24に記載の層状構造物の使用。
【請求項26】
硬化プリプレグを含む航空機部材であって、前記プリプレグのマトリックスが請求項1~18のいずれかに記載の配合物を含む、航空機部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良されたエポキシ樹脂配合物、特に、良好な機械的特性及び加工特性を保持しながら、良好な難燃性、低発煙性、低煙毒性、及び低熱放出特性を有する航空機内装部材の製造に使用され得るエポキシ樹脂配合物に関する。本発明はまた、樹脂配合物を含むプリプレグ、硬化プリプレグ、前述の硬化プリプレグから形成される層状構造物、及び前述の硬化プリプレグ/層状構造物から形成される航空機部材、特にギャレー、モニュメント、ビン、床部材、コックピット部材、トレイ、エアダクト、シート又はシート部材などの内部航空機部材に関する。
【背景技術】
【0002】
硬化性樹脂を含浸させた繊維層は、本明細書ではプリプレグとして既知であり、プリプレグ中の樹脂は、未硬化状態又は部分的硬化状態であり得る。
【0003】
長年にわたり、フェノール樹脂ベースの配合物とガラス繊維を含むプリプレグが航空機の内装部材の製造に使用されており、そのようなプリプレグにより、一般に、妥当な難燃性、発煙性、及び煙毒性(FST)の特性を有する部材が製造される。しかしながら、前述のフェノール樹脂ベースの配合物により製造される部材は、一般に表面仕上げ(surface finish)が不十分であり、したがって、表面仕上げが重要である用途(航空機の内装部材など)の場合、部材は、許容できる表面仕上げを達成するため追加の後硬化処理及び/又は充填剤の使用を必要とする。前述の部材の機械的特性も制限される可能性があり、特にプリプレグが炭素繊維ではなくガラス繊維を含む場合、部材の重量が比較的重くなることもある。
【0004】
したがって、エポキシ樹脂系によると、フェノール樹脂ベース系と比較して、改善された表面仕上げ、及び潜在的に改善された機械的特性を備えた部材を製造できるため、航空機の内装部材を形成するためのエポキシ樹脂ベースのプリプレグの使用にシフトしている。
【0005】
エポキシ樹脂配合物は、典型的にはエポキシ樹脂を含み、これは、使用される硬化サイクル及び製造される完成品の性質に応じて、広範囲のエポキシ含有材料から選択され得る。エポキシ樹脂は、固体、液体、又は半固体のいずれかであり得、その官能性とエポキシ当量によって特徴づけられる。エポキシ樹脂の官能性は、反応し、硬化して硬化構造を形成するために利用できる、1分子あたりの反応性エポキシ部位の数である。例えば、ビスフェノールAエポキシ樹脂の官能性は2であり、ある特定のグリシジルアミンの官能性は4を超える場合がある。エポキシ樹脂の反応性は、エポキシ当量(EEW)で示され、EEWが低いほど反応性が高くなる。EEWは、1モル当量のエポキシド基を含むグラム単位でのエポキシ樹脂材料の重量(g/mol)である。
【0006】
エポキシ配合物はまた、触媒及び/又は硬化剤を含み、これらはまた、エポキシ樹脂の性質、製造される製品、及び必要とされる硬化サイクルに応じて選択される。
【0007】
硬化エポキシ樹脂系は脆い可能性があり、その脆性を低減するためにエポキシ樹脂系に強化剤を含めることはよく知られている。提案されている典型的な強化剤は、ポリビニルホルマール樹脂及びフェノキシ樹脂などの熱可塑性樹脂、カルボキシル末端ブタジエンゴム(CBTN)及びアミン末端アクリロニトリルゴム(ATBN)などのゴム、並びにポリエーテルスルホンなどの熱可塑性物質である。
【0008】
プリプレグに必要な特性は、硬化時に必要なTgを有し、また、使用目的に応じて必要な機械的特性を備えていることである。ある特定の適用では、Tgが湿っぽい又は多湿条件下で保持されることが重要である。さらに、層状構造物の製造に使用される場合、それはラミネート内の隣接する層に付着しなければならず、この使用のために、プリプレグは触ると粘着性であり、粘着性は樹脂配合物によって提供されることが好ましい。
【0009】
硬化した複合材料の重要な物理的特性には、層間せん断強度(ILSS)、0°曲げ強度、0°曲げ弾性率、0°引張強度及び0°引張弾性率が含まれ、そしてこれらの値はすべて、未硬化の組成物に存在する樹脂成分及び非樹脂成分の性質と量の両方の影響を受ける。
【0010】
樹脂配合物及び硬化プリプレグの他の重要な特性は、冷蔵、貯蔵寿命、並びに湿度の高い条件下での物理的及び機械的特性の保持である。硬化プリプレグベースの複合材料は、ハニカムコアなどのコア材料への強力な結合を確保するために、望ましいドラム剥離特性(自己接着)を備えていなければならない。
【0011】
冷蔵は、DIN EN6041に従って測定されたガラス転移温度の保持と合わせて、DIN EN2563に従って測定された最大12か月の-18℃での層間せん断応力の保持によって示される。さらに樹脂配合物は、使用前に保管を可能にする貯蔵寿命を有していなければならない。通常、樹脂は、相対湿度65%で、約20℃で保管した場合、少なくとも15日間その特性を保持するべきである。
【0012】
場合によっては、例えば硬化中の樹脂の流れを促進するために、樹脂配合物が高められた温度で比較的低い粘度を有することも有用であり得る。
【0013】
樹脂及び樹脂配合物を含むプリプレグのこれらの物理的特性必要条件に加えて、樹脂配合物がある特定の加工必要条件を満たすことが重要である。例えば、DIN EN 6045に従ったDSC測定で示されたところによると、硬化中での発熱が大きすぎないようにするべきであり、典型的には、発熱は樹脂1グラムあたり450ジュールを超えるべきではない。樹脂配合物は、好ましくは、オートクレーブ、密閉型又はオーブン内で、120℃~160℃、好ましくは130℃~160℃の温度で45分以内に硬化可能である。これらの特性は、硬化剤系の選択とともに、配合物の官能性及びEEWの選択によって達成することができる。場合によっては、航空機メーカーは、エネルギーコストを削減し、プレス成形プロセスでの加工処理時間を短縮するため、比較的高温で可能な最短時間で硬化することを好むことがある。別の望ましい硬化手順は、ホットロード/ホットアンロード硬化(“hot-load/hot-unload curing”)として知られているもので、プリプレグを予熱した金型に入れ、比較的短時間硬化させ、冷却期間なしで金型から取り出す。
【0014】
航空機部材、特に内装部材に必要なFST特性のレベルは、安全必要条件の高まりとともに大幅に増加しており、そのような部材はまた、例えばOSU(オハイオ州立大学)の熱放出試験(FAR 25.853(d)Amdt.20 App.F Pt.IV(e)及び(g))、垂直燃焼試験(FAR 25.853 Amdt.20 APP.F Pt I(a))、及び煙密度と有毒ガスの試験(ABD0031 Iss/F D6-51377 REVG)に適応するために、優れた熱放出特性を備えている必要がある。
【0015】
一般に、エポキシ樹脂ベースの配合物を含むプリプレグは、特にプリプレグの繊維部材が炭素繊維である場合、フェノール樹脂ベースの配合物を含むプリプレグほど良好なFST及び/又は熱放出特性(OSU)を有しておらず、このようなエポキシ樹脂ベースの配合物のFST/OSU特性を改善する努力が為されている。FST/OSU特性が改善されたエポキシ樹脂ベースの配合物及びプリプレグは、難燃性樹脂又はプリプレグと呼ばれることがある。
【0016】
樹脂マトリックスが難燃性エポキシ樹脂である難燃性エポキシ樹脂及びプリプレグは、例えば、米国特許出願公開第2012/0164373号、米国特許出願公開第2008/0315164号及び国際公開第2008/136096号により知られている。これらの参考資料の多くは、回路基板や電気設備などの電気的用途で使用するためのプリプレグに関するものである。米国特許出願公開第2008/0315164号は、優れた難燃特性を示し、また、車両の内部、天井、仕切り、壁などの物品における用途に所望される機械的特性を維持するプリプレグを開示している。これらの材料は、UL94可燃性試験で可燃性必要条件VOを満たすことが示されている。しかしながら、米国特許出願公開第2008/0315164号は、航空機用途で使用するための厳しい必要条件を満たす材料の提供に関するものではない。
【0017】
GB2472423は、難燃性複合材料を開示している。例において開示されるのは、イミダゾール触媒と組み合わせたウロン促進剤及びジシアンジアミド硬化剤を有するプリプレグである。この文書は、樹脂の機械的特性又はその硬化特性を一切開示していない。この文書はまた、実際の配合物を開示しておらず、性能特性のいずれも実際の配合物のデータによって裏付けされていない。
【0018】
国際公開第2014/125044号は、多官能性エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、難燃剤、強化剤及び硬化剤を含むエポキシ配合物、並びに航空機部材、特に内部と外部のパネル及びヘリコプターのローターブレード用スリーブの製造に有用なプリプレグにおけるそれらの使用を開示している。
【0019】
上記の配合物は、非変性樹脂と比較して改善されたFST特性を有するが、それらは、特に熱放出、垂直燃焼及び/又は煙/毒性に関して、航空機内部部材に現在要求される特に高い基準を必ずしも満たしていない。FST特性を改善しながら、樹脂配合物の良好な機械的及び/又は加工特性を維持することも困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、上記の問題を回避又は少なくとも軽減すること、及び/又は全般的に改善をもたらすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲のいずれかによる配合物、配合物の使用、プリプレグ、層状構造物、層状構造物の使用、及び航空機部材が提供される。
【0022】
本発明は、
a.配合物の10~80重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂、
b.配合物の1~15重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤、
c.組成物の1~10重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤、及び
d.配合物の1~30重量%を占める硬化剤系
を含む配合物を提供する。
【0023】
本発明はさらに、プリプレグ中のマトリックスとしての本発明による配合物の使用を提供する。
【0024】
本発明はまた、強化繊維及び本発明による配合物を含むプリプレグを提供する。
【0025】
本発明はさらに、本発明による硬化プリプレグの1つ以上の層を含み、任意選択で他の材料の1つ以上の層をさらに含んでいてもよい層状構造物、及び航空機の部材としての前述の層状構造物の使用を提供する。
【0026】
本発明はさらに、硬化プリプレグであって、プリプレグのマトリックスが本発明による配合物を含む硬化プリプレグを含む航空機部材を提供する。
【0027】
本発明による配合物をそのマトリックスとして含むプリプレグ、前述のプリプレグを硬化させることにより形成される層状構造物、及び前述の硬化プリプレグ/層状構造物から形成される航空機部材は、優れた難燃性、低発煙性及び低煙毒性(FST)と共に、低熱放出(OHU)特性、良好な表面仕上げ、ならびに優れた機械的及び加工特性を有することが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の特に好ましい実施形態において、本発明の配合物及びプリプレグは、最大36%、好ましくは39%以上の樹脂装填量、及び5mm以上の厚みで、低発煙性、低煙毒性(FST)及び低熱放出(OHU)特性についての業界標準試験に合格することができる層状構造物及び部材を提供する。同様に、本発明の層状構造物及び部材、すなわち本発明の樹脂配合物及びプリプレグから形成されたものは、優れた層間せん断強度、0°曲げ強度、0°曲げ弾性率、0°引張強度及び0°引張弾性率を有する。本発明の樹脂配合物及びプリプレグはまた、優れた粘度、粘着性、及び硬化特性、並びに高い硬化Tgを有する。
【0029】
ハロゲン化エポキシ樹脂とは、ハロゲン含有エポキシ樹脂材料、特に塩素化もしくは臭素化エポキシ樹脂又はそれらの混合物を意味し、好ましくは、ハロゲン化エポキシ樹脂は、塩素化ビスフェノール-Cエポキシ樹脂などの塩素化エポキシ樹脂を含む。
【0030】
好ましくは、本発明の配合物は、ハロゲン化エポキシ樹脂を配合物の15~60重量%、より好ましくは配合物の15~40重量%の割合で含む。
【0031】
本発明による配合物のアンチモンベースの難燃性部材は、好ましくは、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、又はそれらの混合物を含む。好ましくは、本発明の配合物は、アンチモンベースの難燃剤を配合物の1.5~12重量%、より好ましくは配合物の2~10重量%の割合で含む。
【0032】
本発明による配合物の無機又は非ポリマー有機リン含有難燃性成分は、好ましくは、赤色リン、ポリリン酸アンモニウム、ポリホスファゼン、リン酸メラミン(ポリホスファート及びピロホスファートを含む)又はそれらの混合物を含み、より好ましくは、無機リン含有難燃剤は、赤色リンを含む。本発明の配合物で使用するのに特に適した形態の赤色リンは、Clariant International Ltd.から入手可能なExolit RP 6500などのエポキシ樹脂担体中のマイクロカプセル化された赤色リンのブレンドである。本発明の配合物で使用される無機リン含有難燃剤の量について言及する場合、無機リン含有難燃剤自体の量のみを指し、担体又は他の成分を指すものではない。したがって、本発明の配合物が、50重量%の赤色リンと50重量%のエポキシ樹脂との混合物を含む成分を配合物の8重量%の割合でその中に組み込むことによって製造される場合、配合物中の無機リン含有難燃剤の量は、配合物の4重量%となる。好ましくは、本発明による配合物は、無機リン含有難燃剤を、組成物の1.5~7.5重量%、より好ましくは組成物の2.5~6重量%の割合で含む。
【0033】
本発明の配合物で使用される硬化剤系は、ハロゲン化エポキシ樹脂及び任意の他のエポキシ樹脂基、並びに配合物中の他の成分の架橋によって配合物の硬化を促進する。硬化剤系とは、配合物の硬化を可能にする任意の成分又は成分の組合せを意味する。したがって、本発明で使用するための硬化剤系は、配合物の樹脂成分を硬化させることができる任意の硬化剤(単一種または複数種)を含み得、また、共硬化剤(硬化補助剤)又は促進剤などの追加の硬化成分、すなわち、硬化剤(単一種または複数種)の性能を高める成分を含み得る。すべての硬化剤といずれかの追加の硬化添加剤との組合せは、まとめて硬化剤系と呼ばれ、したがって、配合物中の硬化剤系の重量パーセントは、すべての硬化剤と促進剤などの追加の硬化添加剤との合計である。本発明の配合物中の硬化剤系の量は、配合物の1~30重量%、好ましくは3~20%、より好ましくは5~15%である。
【0034】
本発明の配合物の硬化剤系で使用される硬化剤は、配合物の樹脂成分を適切な条件下で硬化させることができる任意の薬剤、例えば、ジシアンジアミドなどの脂肪族若しくは芳香族アミン、又はそれらの各付加物、アミドアミン、ポリアミド、脂環式アミン、無水物、ポリカルボン酸ポリエステル、イソシアナート、フェノールベースの樹脂(例えば、フェノール若しくはクレゾールノボラック樹脂、フェノールテルペン、ポリビニルフェノール、又はビスフェノールAホルムアルデヒドコポリマー、ビスヒドロキシフェニルアルカンなどのコポリマー)、ヒドラジド、スルホンアミド、ジアミノジフェニルスルホンなどのスルホン、無水物、メルカプタン、イミダゾール、尿素、第三級アミン、BF3錯体又はそれらの混合物であり得る。
【0035】
好ましい硬化剤には、ヒドラジド及びジシアンジアミドが含まれる。
【0036】
適切なヒドラジドには、2,4-ジヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、オキサリルジヒドラジド、4-アミノ安息香酸ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セバスチン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、イコサン二酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、3-フルオロ安息香酸ヒドラジド、バリンジヒドラジド、トルエンスルホン酸及び2-フロ酸ヒドラジドが含まれるが、これらに限定される訳ではないものとし、特に好ましい硬化剤は、アジピン酸ジヒドラジドである。
【0037】
ジシアンジアミドはまた、本発明の配合物の硬化剤系で使用するための好ましい硬化剤である。
【0038】
本発明の好ましい実施形態では、硬化剤系は、硬化剤系のための促進剤をさらに含む。前述の実施形態において、硬化剤系の硬化剤(単一種または複数種)と適合性のある促進剤であればすべて使用され得るが、尿素ベースの促進剤が好ましい。尿素促進剤は、2,4トルエンビスジメチル尿素又は2,6トルエンビスジメチル尿素、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素)及び/又は前述の硬化剤の組合せなどのビス尿素硬化剤を含み得る。尿素ベースの促進剤は、「ウロン」と呼ばれることもあり得る。
【0039】
他の適切な尿素ベースの促進剤は、単独で又は任意の組合せで、以下のいずれかを含み得る:
【化1-1】

【化1-2】

【化1-3】

【化1-4】
【0040】
好ましい尿素ベースの材料は、UR505、UR500及びOmicure U52Mなどのビス尿素を含む、Alzchemの商標であるDYHARD(登録商標)の商品名で入手可能な一連の材料である。
【0041】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の配合物は、有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤をさらに含む。好ましくは、有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤は、ホスホナート、より好ましくは、反応性ホスホナート、特にフェノールヒドロキシル末端基を含むホスホナートである。本発明で使用するのに適したポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤の例には、米国のFRX Polymers Inc.から入手可能な、Nofia OL3001及びNofia OL1001、ポリ[ホスホナート-コ-カーボナート]FRX CO35及びFRX CO60、Clariantから入手可能な、オリゴマーホスホナートポリオールExolit OP 560、ICL Industrial Productsから入手可能な、ポリ(1,3-フェニレンフェニルホスホナート)、及びレゾルシノールビス-ジフェニルホスファートFryoflex RDPが含まれる。
【0042】
好ましくは、本発明の配合物は、有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤を、組成物の4~35重量%、より好ましくは配合物の5~30重量%、最も好ましくは配合物の5~25重量%の割合で含む。
【0043】
本発明のさらに好ましい実施形態において、本発明の配合物は、煙抑制剤をさらに含む。煙抑制剤は、本発明の硬化配合物から形成された部材の燃焼中における煙の発生を抑制することができる任意の材料である。本発明の配合物で使用するのに特に適切な煙抑制剤には、ホウ素化合物、亜鉛化合物、金属水酸化物又はそれらの混合物が含まれる。特に適切な煙抑制剤には、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム又はそれらの混合物、より好ましくは、ヒドロキシスズ酸亜鉛又はホウ酸亜鉛と水酸化マグネシウムとの混合物が含まれる。好ましくは、本発明の配合物は、煙抑制剤を、配合物の1~40重量%、より好ましくは2~38%、さらにより好ましくは3~35%の割合で含む。
【0044】
本発明の特定の実施形態において、本発明の配合物は、有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤及び煙抑制剤の両方を含む。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の配合物は、エポキシノボラック樹脂をさらに含む。好ましくは、本発明の配合物は、エポキシノボラック樹脂を、配合物の5~30重量%、より好ましくは6~25%、さらにより好ましくは7.5~20%の割合で含む。
【0046】
好ましくは、エポキシノボラック樹脂は、フェノールエポキシノボラック樹脂、クレゾールエポキシノボラック樹脂、トリスフェニルメタンエポキシノボラック樹脂又はそれらの混合物を含み、より好ましくは、エポキシノボラック樹脂は、フェノールエポキシノボラック樹脂を含む。
【0047】
本発明のさらなる実施形態において、本発明の配合物は、エラストマー強化剤成分、好ましくはコアシェルエラストマー粒子及び/又はエラストマー/エポキシ付加物を含むエラストマー強化剤成分をさらに含む。
【0048】
本発明の配合物で使用されるコアシェルエラストマーは、好ましくは、エポキシ樹脂中のコアシェルエラストマー粒子のブレンドである。これらの材料は、一般に、約1:5~5:1部のエポキシ対エラストマー、より好ましくは約1:3~3:1部のエポキシ対エラストマーを含む。より典型的には、コアシェルエラストマーは、少なくとも約5%、より典型的には少なくとも約12%、さらにより典型的には少なくとも約18%のエラストマーを含み、また典型的には約50%以下、さらにより典型的には約40%以下、さらにより典型的には約35%以下のエラストマーを含むが、より高い又はより低いパーセンテージも可能であるものとする。好ましくは、このブレンド中のコアシェル粒子の重量%は、5~40重量%、より好ましくは10~30重量%である。
【0049】
エラストマーは、主鎖又は側鎖のいずれかが官能基を有し得る。適切な官能基には、-COOH、-NH、-NH-、-OH、-SH、-CONH、-CONH-、-NHCONH-、-NCO、-NCS、及びオキシラン又はグリシジル基などが含まれるが、これらに限定される訳ではない。エラストマーは、任意選択で、加硫可能又は後架橋可能であり得る。具体例としてのエラストマーには、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソプレンブタジエンコポリマー、ネオプレン、ニトリルゴム、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマー、アクリルエラストマー、アクリロニトリルエラストマー、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリエステルゴム、ジイソシアナート結合(disocyanatelinked)縮合エラストマー、EPDM(エチレン-プロピレンジエンゴム)、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素化炭化水素、(AB)及び(ABA)タイプのスチレンとブタジエン又はイソプレンとのブロックコポリマー、並びに(AB)nタイプのポリウレタン又はポリエステルのマルチセグメントブロックコポリマーなどの熱可塑性エラストマーが含まれるが、これらに限定される訳ではない。カルボキシル末端ブタジエン-アクリロニトリル(CTBN)が官能化エラストマーとして使用される場合、好ましいニトリル含有量は、樹脂組成物に基づいて5~35重量%、より好ましくは、樹脂組成物に基づいて20~33重量%である。
【0050】
好ましくは、コアシェルエラストマー粒子はゴムを含み、より好ましくはコアシェルエラストマー粒子はシリコーンゴムを含む。
【0051】
本発明の組成物での使用に適したエポキシ樹脂と混合されたコアシェルエラストマーの例は、MX153、MX416及びMX965などのKaneka(カネカ)から入手可能なMX製品群である。
【0052】
エポキシ樹脂と混合した形で販売される適切なエポキシド官能化エポキシ/コアシェルエラストマーの例は、商品名HyPox(商標)RK84の製品、すなわちCTBNエラストマーとブレンドされたビスフェノールAエポキシ樹脂、及び商品名HyPox(商標)RA1340の製品、すなわちCTBNエラストマーで修飾されたエポキシフェノールノボラック樹脂であり、どちらもニュージャージー、ムアズタウン(Moorestown)のCVC Thermoset Specialitiesから市販されている。ビスフェノールAエポキシ樹脂に加えて、他のエポキシ樹脂を使用することにより、エポキシ/エラストマー付加物、例えばn-ブチルグリシジルエーテル、スチレンオキシド及びフェニルグリシジルエーテル;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル及びジグリシジルフタラートなどの二官能性エポキシ化合物;トリグリシジルイソシアヌレート、トリグリシジルp-アミノフェノールなどの三官能性化合物;テトラグリシジルm-キシレンジアミン及びテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどの四官能性化合物;並びにクレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルなどのより多くの官能基を有する化合物を調製することができる。
【0053】
コアシェルエラストマー粒子とエポキシ樹脂とのブレンド、及び/又はエポキシ樹脂と混合したエラストマー/エポキシ付加物が本発明の配合物に使用される場合、強化剤の量は、エポキシ樹脂成分を含まない配合物中に存在するコアシェルエラストマー粒子及び/又はエラストマーエポキシ付加物の量として表される。例えば、エポキシ樹脂中のコアシェルゴム粒子のブレンドを20重量%の割合で含み、そのコアシェルゴム粒子がブレンドの25重量%を占める配合物は、配合物の5重量%の割合でコアシェルエラストマー粒子を含むと見なされる。
【0054】
好ましくは、本発明の配合物は、コアシェルエラストマー粒子及び/又はエラストマー/エポキシ付加物を、配合物の1~20重量%、より好ましくは2~15%、さらにより好ましくは3~10%の割合で含む。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の配合物は、ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて、1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂をさらに含む。1つ以上の追加のビスフェノールエポキシ樹脂は、特定の追加の成分として配合物に添加され得、かつ/又は配合物に添加された1つ以上の他の成分から誘導され得る。例えば、追加のビスフェノールエポキシ樹脂の一部又はすべては、配合物に添加されるコアシェルエラストマー粒子とエポキシ樹脂とのブレンドの一部として、又は配合物に添加される無機リン含有難燃剤の担体として存在し得る。本明細書で言及される追加のビスフェノールエポキシ樹脂の量は、供給源が何であれ、配合物中の追加のビスフェノールエポキシ樹脂の総量(ハロゲン化エポキシ樹脂を除く)であり、したがって、異なるビスフェノール(bishphenol)エポキシ樹脂の混合物を含み得る。好ましくは、本発明の配合物は、追加のビスフェノールエポキシ樹脂を、配合物の1~40重量%、より好ましくは3~30%、さらにより好ましくは3~25%の割合で含む。
【0056】
本発明の配合物で使用するのに適した追加のビスフェノールエポキシ樹脂には、多官能性樹脂、すなわち、少なくとも2、場合によっては3又は4の官能性を有する樹脂が含まれる。追加のビスフェノール樹脂は、好ましくは、100~1500、好ましくは100~350、より好ましくは100~300の範囲のEEW、最も好ましくは100~250の範囲及び/又は前述の範囲の組合せのEEWによって示されるように高い反応性を有する。
【0057】
適切な二官能性エポキシ樹脂には、例として、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール-アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、脂肪族ジオールのグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、エポキシ化オレフィン、芳香族グリシジルアミン、複素環式グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、グリシジルエステル又はそれらの任意の組合せに基づくものが含まれる。
【0058】
適切な三官能性エポキシ樹脂には、例として、フェノール及びクレゾールエポキシノボラック、フェノール-アルデヒド付加物のグリシジルエーテル、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族トリグリシジルエーテル、二脂肪族トリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルアミン、複素環式グリシジルイミジン及びアミド、グリシジルエーテル、フッ素化エポキシ樹脂、又はそれらの任意の組合せに基づくものが含まれ得る。適切な三官能性エポキシ樹脂は、Huntsman Advanced Materials(スイス、モンテー(Monthey))から、MY0500及びMY0510(トリグリシジルパラアミノフェノール)並びにMY0600及びMY0610(トリグリシジルメタアミノフェノール)の商品名で入手可能である。トリグリシジルメタアミノフェノールはまた、住友化学株式会社(大阪、日本)から商品名ELM-120で入手可能である。
【0059】
適切な四官能性エポキシ樹脂には、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン(三菱ガス化学株式会社からTetrad-Xの名称で、及びCVC ChemicalsからErisys GA-240として市販されている)、及びN,N,N’,N’-テトラグリシジルメチレンジアニリン(例えば、Huntsman Advanced MaterialsのMY0720及びMY0721)が含まれる。他の適切な多官能性エポキシ樹脂には、DEN438(ミシガン、ミッドランド(Midland)、Dow Chemicalsから)、DEN439(Dow Chemicalsから)、Araldite ECN 1273(Huntsman Advanced Materialsから)、Araldite ECN 1299、及びAraldite MY9512(Huntsman Advanced Materialsから)が含まれる。
【0060】
本発明の配合物に使用するための特に好ましい追加のビスフェノールエポキシ樹脂には、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、多官能性エポキシ樹脂又はそれらの混合物が含まれる。
【0061】
本発明のさらなる実施形態において、本発明の配合物は、1つ以上の熱可塑性強化剤をさらに含む。好ましくは、配合物は、1つ以上の熱可塑性強化剤を、配合物の1~15重量%、より好ましくは1~10重量%、さらにより好ましくは2~8重量%の割合で含む。
【0062】
好ましくは、1つ以上の熱可塑性強化剤は、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、熱可塑性フルオロポリマー、エチレン酢酸ビニルコポリマー又はポリ(アリールエーテルスルホン)を含み、より好ましくは、1つ以上の熱可塑性強化剤は、フェノキシ樹脂を含む。
【0063】
フェノキシ樹脂は、ビスフェノールAから誘導された熱可塑性ポリマーであり、ポリヒドロキシエーテルであって、ポリマー主鎖に沿ってエーテル結合があり、ペンダントヒドロキシル基を有する。1つの有用なフェノキシ樹脂は、フェノールベースの二官能性エポキシ樹脂と二官能性フェノールとの反応生成物(例えば、ビスフェノールAエポキシとビスフェノールAとの反応生成物)である。同様の材料は、ビスフェノール(例えばビスフェノールA)とエピクロロヒドリンから直接合成され得る。末端エポキシ基を開環して、末端アルファグリコール基を生成することができる。フェノキシ樹脂は、典型的には、少なくとも約5,000、より典型的には少なくとも約25,000、さらにより典型的には少なくとも約50,000であるが、約100,000未満、より典型的には約75,000未満、さらにより典型的には約60,000未満の重量平均分子量を有する。有用なフェノキシ樹脂の例には、Gabriel Performance ProductsからのPAPHENフェノキシ樹脂PKHH、PKHC、PKHB及びPKHJ、並びにPhenoxy YP50などのKukdoから入手可能なフェノキシ樹脂が含まれる。適切なポリビニルブチラール樹脂の例には、Butvar樹脂(Eastman Chemical Companyから入手可能)が含まれ、適切な熱可塑性フルオロポリマーの例にはフッ化ポリビニルが含まれ、適切なエチレン酢酸ビニルコポリマーの例にはElvaxポリマー(DuPontから入手可能)が含まれ、適切なポリ(アリールエーテルスルホン)の例には、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン及びポリエーテルスルホン-エーテルスルホンコポリマーが含まれる。
【0064】
本発明の特に好ましい実施形態において、本発明による配合物は、湿潤剤又は湿潤剤の混合物をさらに含む。好ましくは、本発明の配合物は、湿潤剤を配合物の0.05~1.5重量%、より好ましくは0.075~1.0重量%、さらにより好ましくは配合物の0.1~0.6重量%の割合で含む。
【0065】
本発明の配合物での使用に適した湿潤剤には、界面活性剤構造を有する化合物、好ましくは非極性成分としての炭化水素鎖を有するイオン性又は非イオン性界面活性剤などの構造的繊維成分に適用されたときに樹脂の湿潤状態を改善するように機能するあらゆる材料が含まれる。本発明の配合物で使用するのに適した湿潤剤の例には、Polyfox PF-159などの非イオン系フッ素化ポリエーテルエトキシル化ポリマー、及びBYK W 9010などの酸性基を有するコポリマーが含まれる。
【0066】
本発明の配合物は、周囲温度で固体であることが好ましい。
【0067】
本発明の配合物は、他の添加剤、例えば、柔軟剤、耐衝撃性改良剤、ポリマー又はコポリマー充填剤、並びに他の伸長促進添加剤、湿潤剤、流動剤及びレベリング剤、並びに沈降防止剤を含み得る。適切な柔軟剤には、ウレタンなどの非反応性柔軟剤、並びにEvonicから入手可能なSilikopon(登録商標)などのシリコーンエポキシ樹脂及びフェノール末端ポリウレタン付加物を含む反応性柔軟剤(硬化樹脂の架橋間の間隔を拡張することができる)が含まれる。柔軟剤の適切な濃度は、組成物の3~20重量%、好ましくは5~15重量%である。
【0068】
特定の実施形態において、本発明の配合物は、
a.配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.配合物の5~30重量%を占める有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤;
c.配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
d.配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
e.配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
f.配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
g.配合物の2~15重量%を占めるコアシェルエラストマー粒子及び/又はエラストマー/エポキシ付加物を含むエラストマー強化剤成分;
h.配合物の1~10重量%を占める1つ以上の熱可塑性強化剤;及び
i.ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む。
【0069】
さらなる実施形態において、本発明の配合物は、
a.配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.配合物の5~30重量%を占める有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤;
c.配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
d.配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
e.配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
f.配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
g.配合物の2~15重量%を占めるコアシェルエラストマー粒子及び/又はエラストマー/エポキシ付加物を含むエラストマー強化剤成分;及び
h.ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む。
【0070】
さらなる実施形態において、本発明の配合物は、
a.配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.配合物の5~30重量%を占める有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤;
c.配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
d.配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
e.配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
f.配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
g.配合物の2~15重量%を占めるコアシェルエラストマー粒子及び/又はエラストマー/エポキシ付加物を含むエラストマー強化剤成分;
h.配合物の1~10重量%を占める1つ以上の熱可塑性強化剤;
i.組成物の2~38重量%を占める煙抑制剤;及び
j.ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む。
【0071】
さらなる実施形態において、本発明の配合物は、
a.配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
c.配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
d.配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
e.配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
f.配合物の1~10重量%を占める1つ以上の熱可塑性強化剤;
g.組成物の2~38重量%を占める煙抑制剤;及び
h.ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む。
【0072】
さらなる実施形態において、本発明の配合物は、
a.配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.配合物の5~30重量%を占める有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤;
c.配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
d.配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
e.配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
f.配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
g.配合物の1~10重量%を占める1つ以上の熱可塑性強化剤;
h.組成物の2~38重量%を占める煙抑制剤;及び
i.ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む。
【0073】
さらなる実施形態において、本発明の配合物は、
a.配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.配合物の5~30重量%を占める有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤;
c.配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
d.配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
e.配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
f.配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
g.配合物の1~10重量%を占める1つ以上の熱可塑性強化剤;
h.組成物の2~38重量%を占める煙抑制剤;
i.0.05~1.5重量%の湿潤剤、及び
j.ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む。
【0074】
さらなる実施形態において、本発明の配合物は、
a.配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.配合物の5~30重量%を占める有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤;
c.配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
d.配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
e.配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
f.配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
g.組成物の2~38重量%を占める煙抑制剤;
h.0.05~1.5重量%の湿潤剤、及び
i.ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む。
【0075】
本発明の特に好ましい実施形態において、有機及び無機成分の総量は、良好な機械的及び加工特性を提供すると同時に、優れた難燃性、低発煙性、低煙毒性、及び低熱放出特性を提供するようにバランスがとられている。特に、配合物中のすべてのエポキシ樹脂成分及び任意の熱可塑性強化剤の合計と、配合物中の無機リン、アンチモン及び任意の煙抑制剤成分の合計との重量比は、10:1~1:1、好ましくは5:1~1:1、より好ましくは2:1~1.5:1である。すべてのエポキシ樹脂成分の合計とは、直接配合物に追加の成分として添加されようと、又は他の成分(無機リン成分又はコアシェルゴムなど)の担体として添加されようと、ハロゲン化エポキシ樹脂成分と任意の他のエポキシ樹脂の総量を意味する。同様に、無機リン、アンチモン、及び煙抑制剤成分の合計とは、これらの成分の、すなわち担体などのいずれも除いた、絶対量を意味する。
【0076】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の配合物は、毎分2℃の昇温を使用するオートクレーブ硬化下で、140℃では30分以下及び150℃では15分以下で硬化可能である。さらに、又は別法として、本発明の配合物は、160℃及び最大7バールの圧力でのホットロード/ホットアンロードプレス硬化、すなわち、配合物又は配合物を含むプリプレグが、予熱された型に入れられ、必要な時間プレスされ、冷却工程を行わずに型から取り出される硬化サイクルを使用すると、15分以内に硬化可能である。
【0077】
さらに好ましい実施形態において、本発明の配合物は、硬化後にて、少なくとも130℃、好ましくは少なくとも145℃、より好ましくは少なくとも150℃の乾燥Tgを有する。
【0078】
本発明の好ましい実施形態において、本発明の配合物は、110℃で10Pas-1以下、より好ましくは110℃で710Pas-1以下、最も好ましくは110℃で210Pas-1以下の粘度を有する。
【0079】
本発明の配合物は、プリプレグのマトリックスとしての使用に特に適しており、強化繊維及び本発明による配合物を含むプリプレグも本発明の実施形態である。本発明のプリプレグは、ガラス繊維、炭素繊維及び/又はアラミド繊維などの任意の適切な強化繊維を含み得、これらは、織られたもの、織られていないもの、一方向性又は多方向性であり得る。好ましくは、強化繊維は、ガラス繊維及び/又は炭素繊維である。繊維が炭素繊維である場合、それらは、トウあたり6,000~50,000以上のフィラメントなど、複数の繊維又はフィラメントを含むトウの形態であり得る。一方向繊維トウの具体例としての層は、Hexcel Corporationから入手可能なHexTow(登録商標)炭素繊維から作られている。一方向繊維トウの製造に使用するのに適したHexTow(登録商標)炭素繊維には、6,000本又は12,000本のフィラメントを含み、重量がそれぞれ0.223g/m及び0.446g/mのトウとして利用可能である、IM7炭素繊維;12,000本のフィラメントを含み、重量が0.446g/m~0.324g/mのトウとして利用可能である、IM8-IM10炭素繊維;12,000本のフィラメントを含み、重量が0.800g/mのトウで利用可能である、AS7炭素繊維がある。使用され得る最大50,000(50K)本のフィラメントを含むトウには、東レから入手可能な約25,000本のフィラメントを含むトウ、及びZoltek又はTenaxから入手可能な約50,000本のフィラメントを含むトウがある。工業用繊維の具体例としては、東レからの24,000本のフィラメントを含むトウで入手可能であるT620 60E炭素繊維、及びTenaxからの24,000本のフィラメントと重量1.6g/mを含むトウで入手可能であるSTS40F13炭素繊維がある。
【0080】
本発明のプリプレグは、例えば、周知の「ニップ」配置又は「Sラップ」配置を使用して、強化繊維に本発明の配合物を少なくとも部分的に含浸させる任意の好都合な方法で形成され得る。
【0081】
好ましくは、本発明のプリプレグは、本発明の配合物をプリプレグの25~70重量%の割合で含む。例えば、航空機のシートの製造に特に適した本発明のプリプレグは、36~40重量%の本発明による配合物及び64~60重量%の炭素繊維を含み、また、航空機ギャレー又は貯蔵部品(ビンなど)の製造に特に適した本発明のプリプレグは、38~40重量%の本発明による配合物並びに62~60重量%のガラス繊維及び/又は炭素繊維を含む。
【0082】
本発明のプリプレグの好ましい実施形態において、強化繊維は炭素であり、プリプレグは、硬化後、以下の特性:
a)ASTM D2344で測定した場合、少なくとも50MPa、好ましくは少なくとも60MPa、より好ましくは少なくとも70MPaの層間せん断強度(ILSS);
b)ASTM D790で測定した場合、少なくとも1100MPa、好ましくは少なくとも1400MPa、より好ましくは少なくとも1600MPaの0°曲げ強度;
c)ASTM D790で測定した場合、少なくとも95GPa、好ましくは少なくとも100GPa、より好ましくは少なくとも120GPaの0°曲げ弾性率;
d)ASTM D3039で測定した場合、少なくとも1400MPa、好ましくは少なくとも1600MPa、より好ましくは少なくとも1900MPaの0°引張強度;又は
e)ASTM D3039で測定した場合、少なくとも110GPa、好ましくは少なくとも115GPa、より好ましくは少なくとも120GPaの0°引張弾性率
のうちの少なくとも1つを有する。
【0083】
本発明のプリプレグの特に好ましい実施形態では、強化繊維は炭素であり、プリプレグは、上記の特性のうちの少なくとも2つ、より好ましくは上記の特性のうちの少なくとも3つ、さらにより好ましくは上記の特性のうちの少なくとも4つ、及び最も好ましくは上記特性のすべてを有する。
【0084】
本発明の好ましい実施形態において、本発明のプリプレグは、他の複合材料(例えば、本発明による他のプリプレグ又はその他のプリプレグ)であり得る材料の他の層とレイアップされて(重ね合わされて)プリプレグスタックが形成され、これは、硬化されて繊維強化ラミネートを製造し得る。プリプレグはまた、硬化の前又は後に、ハニカム構造及び金属箔などの他の層状構造に結合され得る。
【0085】
本発明のプリプレグを硬化させることによって製造された層状構造物は、シート又はその部材(シートパン、シートバック又はシートレストなど)などの航空機の部材としての使用に特に適している。
【実施例
【0086】
本発明は、以下の成分を使用して以下の配合物が調製された以下の例によって説明されるが、決して限定はされない:
・LME11082-HunstmanのEEW205の塩素化ビスフェノール-Cエポキシ樹脂
・Phenoxy YP50P-Kukdoのフェノキシ樹脂強化剤、
・Araldite GY281-EEW 159~172のビスフェノールFエポキシ樹脂、Huntsmanから入手可能、
・MX153-カネカから入手可能な、EEW 270(67重量%)のビスフェノールAエポキシ樹脂と混合されたコアシェルゴム(33重量%)、
・Kaneka MX965-カネカのEEW 220(75重量%)のビスフェノールFエポキシ樹脂と混合されたシリコーンコアシェルゴム(25重量%)、
・Exolit RP6500-ClariantのEEW180~190(53~58重量%)のビスフェノールAエポキシ樹脂に含まれる赤リン難燃剤(42~47重量%)、
・Exolit OP395-Clariantの10%ホスフィナートベースの難燃剤、
・Technicure ADH-J-Geniechemのアジピン酸ジヒドラジド硬化剤、
・Omicure U52M-Alzchemの尿素ベースの促進剤、
・YD PN638-Kukdo EEW170~190のエポキシフェノールノボラック樹脂、
・Nofia OL3001-Veloxの粉砕リンオリゴマー、
・Chemisphereの五酸化アンチモン、
・Firebrake ZB-Boraxのホウ酸亜鉛、
・Magnifin H10-Martinswerkの水酸化マグネシウム、
・Polyfox159-Omnova Solutionsから入手可能な表面仕上げ/湿潤剤、
・BYK-W9010-BYK Additives&Instrumentsから入手可能な湿潤剤、
・Araldite MY9512-Huntsmanから入手可能なEEW117~134の四官能性エポキシ樹脂、
・CHS-130T-SpolchemieのEEW800(70重量%)の固体エポキシ樹脂中のコアシェルゴム(30重量%)、
・Araldite LY3581-HuntsmanのEEW160~170のビスフェノール(bishphenol)Fエポキシ樹脂、
・SCT150-Shin-AのEEW160~170のエポキシフェノールノボラック、
・DICY-AlzChemのDyhard100S微粉化グレードのジシアンジアミド硬化剤、
・Dyhard UR505-AlzChemのビス尿素硬化剤、
・Dyhard D50EP-ビスフェノールAエポキシ樹脂(50重量%)中のジシアンジアミド(50重量%)。
【0087】
例1及び2、並びに比較例1及び2
例1及び2並びに比較例1及び2の配合物を表1に示す。Phenoxy YP50P(使用時)を130℃で樹脂に溶解した後、Nofia OL3001(使用時)を100℃で溶解することにより配合物を調製した。配合物を、90℃に冷却して、Exolit RP6500及び残りの難燃剤(使用時)を添加した。硬化剤を60~65℃で添加した。混合物を連続混合下で作製した。
【表1】
【0088】
例1及び2の配合物は両方とも、134℃の後硬化Tgを有していた。
【0089】
炭素繊維テープを圧密化するために使用される2つのフィルム中に樹脂をコーティングするホットメルト経路によって、配合物をプリプレグにした。
【0090】
パネルを、FST/OSU及び機械的スクリーニングのために様々な繊維上で例1及び2の配合物をプリプレグにすることによって形成させ、2℃/分で45分間150℃及び7バールの圧力で、オートクレーブ中で硬化させた。ラミネートの表面にはピールプライは使用されていなかった。様々な繊維でプリプレグにされた比較例1及び2の配合物を含むパネルを、オートクレーブ中で2℃/分で45分間、130℃及び7バールで硬化させた。FST/OSUパネル及び機械的スクリーニング(ILSS試験を除外)用のパネルを、ピールプライを伴った形で硬化させた。結果を表2及び表3に示す。
【0091】
樹脂含有量(RC)が36%で194gsm FAWのAS7炭素繊維(米国、Hexcel Corporationから入手可能)にプリプレグとされる例1及び例2の両方の配合物は、熱放出FAR25.853必要条件及び厚み3mmのモノリシックラミネート、(0/90)nsレイアップの発炎モードにおけるABD0031煙密度必要条件に合格する(表2を参照)。これらの配合物は、比較例1(市販製品)と比較してより良いFST/OSU性能を有するが、比較例1は、より低い樹脂含有量(34%)で160gsmの炭素繊維AS4(米国、Hexcel社から入手可能)においてプリプレグとされた場合、熱放出及び煙密度必要条件を満たさない。例1及び2の配合物はまた、同じ炭素繊維(194gsmのAS7)及び同じ樹脂含有量(36%)においてプリプレグとされた場合、熱放出試験において比較例2の配合物(さらなる市販製品)よりも良好に機能する。
【表2】
【0092】
例1及び例2のプリプレグはまた、1mm及び5mm、(0/90)nsパネルについての熱放出及び煙密度も合格する(表3の結果)
【表3】
【0093】
理論に拘束されることを望まないが、煙密度を損なうことなく改善された熱放出性能は、独立して相加的に作用するリン及びハロゲン化難燃剤によるものであると考えられている。リンとハロゲン化難燃剤はどちらも、可燃性ガスからH・ラジカルとOH・ラジカルを除去することにより、気相で同様に作用する。ホスホナートオリゴマー(10%Pを含むOL3001)と赤リン(Exolit RP6500では43~47%)は、主に凝縮相で活性を示すチャー形成難燃剤である。加熱されたリンは反応して高分子リン酸を形成し、絶縁チャー層を形成することになる。
【0094】
例1及び2の機械的結果を、比較例1及び2と比較して表4に示す。
【表4】
【0095】
例1と例2についてのILSS(層間せん断強度)及び曲げデータは、比較例1及び2と同等であったが、より高いIPSS/IPSM値が観察された。
【0096】
例3、例4及び例5
例3、例4及び例5の配合物を表5に示す。
【表5】
【0097】
例3、4及び5を、例1及び2と同様の方法で混合し、樹脂を最初に100℃で溶融させ、次にフェノキシを添加し、130℃での混合下で溶融させた。Nofia OL3001(使用する場合)を溶解するために、混合物を100℃に冷却した。難燃剤を90℃で、硬化剤を60~65℃で添加した。混合物を連続混合下で作製した。
【0098】
例3、4及び5の配合物は、それぞれ140℃、160℃及び163℃の硬化後Tgを有していた。3つの樹脂はすべて、140℃で15分間のホットロード/ホットアンロードプレス硬化に適していることが判明した。
【0099】
UD Toray T620 60 E炭素繊維テープ、UD炭素テープ及びガラス布を圧密化するために使用される2つのフィルム中に樹脂をコーティングするホットメルト経路によって、配合物をプリプレグにした。
【0100】
オートクレーブで硬化させた(硬化サイクル:2℃/分で150℃まで45分間、7バール)1、3及び5mm、(0/90)nsパネルについてのOSUと煙密度の結果を表6に示す。炭素UD上の36%樹脂含有量の例3プリプレグは、熱放出、煙密度及び垂直燃焼12秒及び60秒の試験に合格する。ガラス布では、例3の配合物は、1mmの厚みのパネルについて、熱放出、煙密度、及び垂直燃焼試験に合格する。
【0101】
垂直燃焼の結果を表7及び8に示す。
【表6】

【表7】

【表8】
【0102】
例4及び5についてのFST、12秒及び60秒での垂直燃焼データを表9に示す。プリプレグを、40%樹脂含有量でのホットメルト含浸によってガラス繊維上に作成した。配合物は、1mm、3mm及び5mmパネルについての垂直燃焼必要条件に合格している。
【表9】
【0103】
上記のプリプレグである例4及び5についてのFST煙密度の結果を表10に示す。ガラス上の樹脂含有量が40%である例4の配合物は、1mm、3mm及び5mmパネルについて、発炎モードDs Max 150(FAR 25.853ターゲット)及びDs Max 200(ABD0031ターゲット)でのNBS煙密度試験に合格している。樹脂含有量が40%である例5の配合物は、Ds Max 200に合格している。
【表10】
【0104】
例4及び5についてのOSU熱放出データを以下の表11に示す。ガラス上の樹脂含有量が40%の配合物は、FAR 25.853Pt IV(必要条件:ピーク熱放出65kW/m及び総熱放出65kWmin/m)に合格している。。
【表11】
【0105】
例6
例6の配合物を表12に示す。
【表12】
【0106】
例6の配合物を、例1~5の配合物と同様の方法で調製した。配合物は、156℃の硬化後Tg及び110℃で6.7Pas-1の粘度を有していた。この樹脂は、140℃で15分間のホットロード/ホットアンロードプレス硬化に適していた。
【0107】
300gsmのFAWで39.5%樹脂含有量の24k標準弾性率炭素繊維(Tenax STS40)上で例6の配合物をプリプレグにすることによってパネルを調製した。パネルを、オートクレーブ内で、150℃まで2°C/分昇温で45分間7バールで硬化させた。
【0108】
例6のパネルについての機械的データを表13に示す。
【表13】
【0109】
表13の結果は、例6のパネルが優れた機械的特性を有したことを明確に示している。
【0110】
様々な厚みでの例6のパネルについての熱放出データを表14に示す。
【表14】
【0111】
様々な厚みでの例6のパネルの垂直燃焼データを表15に示す。
【表15】
【0112】
様々な厚みでの例6のパネルについての煙密度データを表16に示す。
【表16】
【0113】
表14、15及び16の結果は、例6の配合物が、優れた熱放出、垂直燃焼及び煙密度特性を有するパネルを提供し、すべての場合において、優れた機械的特性を提供しながらも、業界標準試験に容易に合格することを示す(表13を参照)。配合物はまた、優れた硬化後Tgを提供し、有用な硬化特性を有していた。
【0114】
例7
例7の配合物を表17に示す。
【0115】
例7の配合物を、例1~6の配合物と同様の方法で調製した。
【表17】
【0116】
配合物は、154℃の硬化後Tg及び110℃で1.3Pas-1の粘度を有していた。この樹脂は、粘着性が高く、流動性が良好で、140℃で15分間のホットロード/ホットアンロードプレス硬化に適していた。
【0117】
300gsmのFAWで38.4%樹脂含有量の24k標準弾性率炭素繊維(Tenax STS40)上で例7の配合物をプリプレグにすることによってパネルを調製した。パネルを、オートクレーブ内で、150℃まで2°C/分昇温で45分間、7バールで硬化させ、例6のパネルと同じ方法で試験した。
【0118】
例7のパネルについての機械的データを表18に示す。
【表18】
【0119】
表18の結果は、例7のパネルが優れた機械的特性を有したことを明確に示している。
【0120】
様々な厚みでの例7のパネルについての熱放出データを表19に示す。
【表19】
【0121】
様々な厚みでの例7のパネルについての煙密度データを表20に示す。
【表20】
【0122】
表19及び20の結果は、例7の配合物により、優れた熱放出及び煙密度特性を備えたパネルが提供され、すべての場合において、優れた機械的特性を提供しながらも、業界標準の試験に容易に合格することを示している(表18を参照)。この配合物はまた、優れた硬化後Tgを提供し、有用な硬化特性に加えて、有用な粘度及び粘着性を有していた。
なお、本発明に包含され得る諸態様または諸実施形態は、以下のとおり要約される。
[1].
配合物であって、
a.配合物の10~80重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂、
b.配合物の1~15重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤、
c.配合物の1~10重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤、及び
d.配合物の1~30重量%を占める硬化剤系
を含む配合物。
[2].
前記ハロゲン化エポキシ樹脂が、塩素化若しくは臭素化エポキシ樹脂又はそれらの混合物を含み、好ましくは、前記ハロゲン化エポキシ樹脂が、ビスフェノール-Cエポキシ樹脂などの塩素化エポキシ樹脂を含む、上記項目1に記載の配合物。
[3].
前記アンチモンベースの難燃剤が、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、又はそれらの混合物を含む、上記項目1又は上記項目2に記載の配合物。
[4].
前記無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤が、赤色リン、ポリリン酸アンモニウム、ポリホスファゼン、リン酸メラミン(ポリホスファート及びピロホスファートを含む)又はそれらの混合物を含み、より好ましくは前記無機リン含有難燃剤が赤色リンを含む、上記項目1~3のいずれかに記載の配合物。
[5].
さらに有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤を前記配合物の4~35重量%の割合で含み、好ましくは、前記有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤が、反応性ホスホナート、より好ましくは、フェノールヒドロキシル末端基を含むホスホナートを含む、上記項目1~4のいずれかに記載の配合物。
[6].
さらに組成物の1~40重量%の割合で煙抑制剤を含み、好ましくは、前記煙抑制剤が、ホウ素化合物、亜鉛化合物、金属水酸化物又はそれらの混合物を含み、より好ましくは前記煙抑制剤が、ヒドロキシスズ酸亜鉛又はホウ酸亜鉛と水酸化マグネシウムの混合物を含む、上記項目1~5のいずれかに記載の配合物。
[7].
前記配合物の5~30重量%の割合でエポキシノボラック樹脂をさらに含み、好ましくは前記エポキシノボラック樹脂が、フェノールエポキシノボラック樹脂、クレゾールエポキシノボラック樹脂、トリスフェニルメタンエポキシノボラック樹脂又はそれらの混合物を含み、より好ましくは、前記エポキシノボラック樹脂がフェノールエポキシノボラック樹脂を含む、上記項目1~6のいずれかに記載の配合物。
[8].
さらに、前記ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂を前記組成物の1~40重量%の割合で含み、好ましくは追加の前記1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂が、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、多官能性エポキシ樹脂又はそれらの混合物を含む、上記項目1~7のいずれかに記載の配合物。
[9].
前記硬化剤系がヒドラジド又はジシアンジアミドを含み、好ましくは前記硬化剤系がアジピン酸ジヒドラジド又はジシアンジアミドを含む、上記項目1~8のいずれかに記載の配合物。
[10].
前記硬化剤系が、前記硬化剤系のための促進剤を含み、好ましくは前記促進剤が尿素ベースである、上記項目1~9のいずれかに記載の配合物。
[11].
さらに0.05~1.5重量%の割合で湿潤剤を含み、好ましくは、前記湿潤剤が、非イオン系フッ素化ポリエーテルエトキシル化ポリマー又は酸性基を有するコポリマーを含む、上記項目1~10のいずれかに記載の配合物。
[12].
前記エポキシ樹脂の全成分及び任意の熱可塑性強化剤の合計と、前記無機リン、アンチモン及び任意の煙抑制剤成分の合計との重量比が10:1~1:1である、上記項目1~11のいずれかに記載の配合物。
[13].
a.前記配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.前記配合物の5~30重量%を占める有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤;
c.前記配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
d.前記配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
e.前記配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
f.前記配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
g.前記配合物の1~10重量%を占める1つ以上の熱可塑性強化剤;
h.前記組成物の2~38重量%を占める煙抑制剤;
i.0.05~1.5重量%の湿潤剤、及び
j.前記ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて前記配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む、上記項目1に記載の配合物。
[14].
a.前記配合物の15~60重量%を占めるハロゲン化エポキシ樹脂;
b.前記配合物の5~30重量%を占める有機ポリマー又はオリゴマーリン含有難燃剤;
c.前記配合物の3~20重量%を占める硬化剤系;
d.前記配合物の1.5~12重量%を占めるアンチモンベースの難燃剤;
e.前記配合物の1.5~7.5重量%を占める無機又は非ポリマー有機リン含有難燃剤;
f.前記配合物の6~25重量%を占めるエポキシノボラック樹脂;
g.前記組成物の2~38重量%を占める煙抑制剤;
h.0.05~1.5重量%の湿潤剤、及び
i.前記ハロゲン化エポキシ樹脂に加えて前記配合物の5~35重量%を占める1つ以上のビスフェノールエポキシ樹脂
を含む、上記項目1に記載の配合物。
[15].
前記配合物が、2℃/分の昇温を使用するオートクレーブ硬化下において、140℃で30分以下及び150℃で15分以下で硬化可能である、上記項目1~14のいずれかに記載の配合物。
[16].
前記配合物が、160℃及び最大7バールの圧力でホットロード/ホットアンロードプレス硬化を使用して15分以内に硬化可能である、上記項目1~15のいずれかに記載の配合物。
[17].
少なくとも145℃の硬化乾燥Tgを有する、上記項目1~16のいずれかに記載の配合物。
[18].
110℃で10PaS -1 以下の粘度を有する、上記項目1~17のいずれかに記載の配合物。
[19].
プリプレグ中のマトリックスとしての、上記項目1~18のいずれかに記載の配合物の使用。
[20].
強化繊維及び上記項目1~18のいずれかに記載の配合物を含むプリプレグ。
[21].
前記強化繊維がガラス繊維及び/又は炭素繊維である、上記項目20に記載のプリプレグ。
[22].
上記項目1~18のいずれかに記載の配合物をプリプレグの25~70重量%の割合で含む、上記項目20又は上記項目21に記載のプリプレグ。
[23].
前記強化繊維が炭素であり、硬化後、以下の特性:
a)ASTM D2344で測定した場合に少なくとも50MPaの層間せん断強度(ILSS)、
b)ASTM D790で測定した場合に少なくとも1100MPaの0°曲げ強度、
c)ASTM D790で測定した場合に少なくとも95GPaの0°曲げ弾性率、
d)ASTM D3039で測定した場合に少なくとも1400MPaの0°引張強度、又は
e)ASTM D3039で測定した場合に少なくとも110GPaの0°引張弾性率
のうちの少なくとも1つを有している、上記項目20~22のいずれかに記載のプリプレグ。
[24].
上記項目20~23のいずれかに記載の硬化プリプレグの1つ以上の層を含み、任意選択で他の材料の1つ以上の層をさらに含む層状構造物。
[25].
好ましくはシート又はその部品、例えば、シートパン、シートバック又はシートレストである、航空機の部材としての上記項目24に記載の層状構造物の使用。
[26].
硬化プリプレグを含む航空機部材であって、前記プリプレグのマトリックスが上記項目1~18のいずれかに記載の配合物を含み、好ましくは前記硬化プリプレグがガラス繊維及び/又は炭素繊維を含む、航空機部材。