(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】貨幣取扱装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/40 20190101AFI20240126BHJP
G07D 11/10 20190101ALI20240126BHJP
G07D 11/26 20190101ALI20240126BHJP
【FI】
G07D11/40
G07D11/10
G07D11/26
(21)【出願番号】P 2021023877
(22)【出願日】2021-02-18
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海谷 拓実
(72)【発明者】
【氏名】佐野 琢哉
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】実開平1-133670(JP,U)
【文献】特開平2-173894(JP,A)
【文献】特開平6-150109(JP,A)
【文献】特開平10-280750(JP,A)
【文献】特開2018-81356(JP,A)
【文献】特開平9-81860(JP,A)
【文献】特開昭57-19820(JP,A)
【文献】特開2006-316930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/40
G07D 11/26
G07D 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置から引き出し可能に設けられ、貨幣を取り扱う取扱ユニットと、
前記自装置に対する前記取扱ユニットの移動を規制するロック機構と、
前記取扱ユニットに設けられ、前記自装置に対して前記取扱ユニットを移動させるための操作レバー部材と、を備え、
前記ロック機構は、前記自装置に対する前記取扱ユニットの移動方向に沿ってスライド可能に設けられて前記操作レバー部材の操作を規制するスライド部材と、前記取扱ユニットが引き出される、前記自装置の第1の面部に対向する前記自装置の第2の面部に配置されて前記スライド部材を前記操作レバー部材に対して進退させるソレノイドと、を有する、貨幣取扱装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記取扱ユニットが前記貨幣取扱装置の内部に収容されたときに前記操作レバー部材が係合される係合部材を有し、
前記スライド部材は、前記操作レバー部材と前記係合部材との係合状態が解除されることを規制するロック部を有する、
請求項1に記載の貨幣取扱装置。
【請求項3】
前記スライド部材によって前記操作レバー部材の操作が規制されたとき、前記操作レバー部材と接する前記スライド部材の前記ロック部の接触面は、前記スライド部材の移動方向に沿って形成されている、
請求項2に記載の貨幣取扱装置。
【請求項4】
前記ロック機構の動作を制御する制御部と、を更に備え、
前記制御部は、前記スライド部材による前記操作レバー部材の規制を解除するように前記ソレノイドに電圧を第1の時間だけ印加する第1の制御と、
前記第1の制御を行った後、前記第1の時間よりも短い第2の時間だけ前記ソレノイドに電圧を印加する制御を間欠的に所定時間だけ繰り返す第2の制御と、を行い、
前記第1の制御と前記第2の制御を順に繰り返すように前記ソレノイドを制御する、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の貨幣取扱装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2の制御において前記ソレノイドに前記第2の時間だけ電圧を印加する制御を所定回数以上繰り返す、
請求項4に記載の貨幣取扱装置。
【請求項6】
自装置から引き出し可能に設けられ、貨幣を取り扱う取扱ユニットと、前記自装置に対する前記取扱ユニットの移動を規制するロック機構と、前記取扱ユニットに設けられ、前記自装置に対して前記取扱ユニットを移動させるための操作レバー部材と、を備え、前記ロック機構は、前記自装置に対する前記取扱ユニットの移動方向に沿ってスライド可能に設けられて前記操作レバー部材の操作を規制するスライド部材と、前記取扱ユニットが引き出される、前記自装置の第1の面部に対向する前記自装置の第2の面部に配置されて前記スライド部材を前記操作レバー部材に対して進退させるソレノイドと、を有する、貨幣取扱装置を制御する制御方法であって、
前記スライド部材による前記操作レバー部材の規制を解除するように前記ソレノイドに電圧を第1の時間だけ印加する第1の制御を行い、
前記第1の制御を行った後、前記第1の時間よりも短い第2の時間だけ前記ソレノイドに電圧を印加する制御を間欠的に所定時間だけ繰り返す第2の制御を行い、
前記第1の制御と前記第2の制御を順に繰り返すように前記ソレノイドを制御する、制御方法。
【請求項7】
自装置から引き出し可能に設けられ、貨幣を取り扱う取扱ユニットと、前記自装置に対する前記取扱ユニットの移動を規制するロック機構と、前記取扱ユニットに設けられ、前記自装置に対して前記取扱ユニットを移動させるための操作レバー部材と、を備え、前記ロック機構は、前記自装置に対する前記取扱ユニットの移動方向に沿ってスライド可能に設けられて前記操作レバー部材の操作を規制するスライド部材と、前記取扱ユニットが引き出される、前記自装置の第1の面部に対向する前記自装置の第2の面部に配置されて前記スライド部材を前記操作レバー部材に対して進退させるソレノイドと、を有する、貨幣取扱装置の制御をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記スライド部材による前記操作レバー部材の規制を解除するように前記ソレノイドに電圧を第1の時間だけ印加する第1の制御を行い、
前記第1の制御を行った後、前記第1の時間よりも短い第2の時間だけ前記ソレノイドに電圧を印加する制御を間欠的に所定時間だけ繰り返す第2の制御を行い、
前記第1の制御と前記第2の制御を順に繰り返すように前記ソレノイドを制御する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣取扱装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、硬貨や紙幣を取り扱う貨幣取扱装置としては、貨幣取扱装置の内部から外部へ取扱ユニットが引き出し可能に設けられたものが知られている。この種の貨幣取扱装置には、貨幣取扱装置に対する取扱ユニットの移動を規制するロック機構を備えるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-37573号公報
【文献】特開2016-212558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貨幣取扱装置のロック機構としては、取扱ユニットが引き出される貨幣取扱装置の正面部の幅寸法の大型化を避けるために、貨幣取扱装置の背面部にロック機構が配置することが考えられる。
図17は、関連技術におけるロック機構のロック状態を示す平面図である。(図中のX、Y、Z方向については
図1参照。)
図17に示すように、このようなロック機構115は、例えば、取扱ユニット103に設けられた係合部材116と、係合部材116の係合穴116aに係合するロック部材117と、係合部材116の係合穴116aに対してロック部材117を進退させるソレノイド123と、を有しており、ソレノイド123によって作動されるロック部材117が、貨幣取扱装置101に対する取扱ユニット103の移動方向と直交する方向に進退する構造が考えられる。
【0005】
図18は、関連技術におけるロック機構115の問題点を説明するための平面図である。
図18に示すように、上述した構造では、係合部材116の係合穴116aにロック部材117が係合されたロック状態のままで、貨幣取扱装置101に対して取扱ユニット103を引き出すように操作された場合、取扱ユニット103を引き出す力によって、取扱ユニット103の移動方向における係合穴116aの側面116bにロック部材117の側面117aが突き当てられる。このため、係合穴116aの側面116bとロック部材117の側面117aとの間で生じる摩擦力が、ソレノイド123がロック部材117を移動させる作動力よりも大きくなり、ソレノイド123によってロック部材117を係合穴116aから退避させることができないおそれがある。つまり、取扱ユニット103がロック状態で引き出される操作が行われた場合、ロック機構115は、取扱ユニット103のロック状態を解除不能になる問題がある。
【0006】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、取扱ユニットがロック状態で引き出される操作が行われた場合であっても、その後にロック状態の解除をスムーズに行うことができると共に、貨幣取扱装置が幅方向に大型化することを避けられる貨幣取扱装置、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する貨幣取扱装置の一態様は、自装置から引き出し可能に設けられ、貨幣を取り扱う取扱ユニットと、前記自装置に対する前記取扱ユニットの移動を規制するロック機構と、前記取扱ユニットに設けられ、前記自装置に対して前記取扱ユニットを移動させるための操作レバー部材と、を備え、前記ロック機構は、前記自装置に対する前記取扱ユニットの移動方向に沿ってスライド可能に設けられて前記操作レバー部材の操作を規制するスライド部材と、前記取扱ユニットが引き出される、前記自装置の第1の面部に対向する前記自装置の第2の面部に配置されて前記スライド部材を前記操作レバー部材に対して進退させるソレノイドと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する貨幣取扱装置の一態様によれば、取扱ユニットがロック状態で引き出される操作が行われた場合であっても、その後にロック状態の解除をスムーズに行うことができると共に、貨幣取扱装置が幅方向に大型化することを避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施例の入金機を正面側から示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例の入金機から硬貨ユニットが引き出された状態を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例の入金機を背面側から示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施例の入金機の要部を背面側から示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施例の入金機の要部を側面側から示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施例において、操作レバー部材のロック状態のときのソレノイドを示す平面図である。
【
図9】
図9は、実施例において、操作レバー部材のロック状態のときのスライド部材を示す側面図である。
【
図10】
図10は、実施例において、操作レバー部材のロック状態が解除されたときのソレノイドを示す平面図である。
【
図11】
図11は、実施例において、操作レバー部材のロック状態のときのスライド部材を示す側面図である。
【
図12】
図12は、実施例において、操作レバー部材の操作がスライド部材によって規制された状態を示す側面図である。
【
図13】
図13は、実施例において、ロック状態の解除後に操作レバー部材が操作された状態を示す側面図である。
【
図14】
図14は、実施例において、操作レバー部材によって硬貨ユニットが引き出される状態を示す側面図である。
【
図15】
図15は、実施例において、ソレノイドを制御する制御信号を説明するための図である。
【
図16】
図16は、実施例において、硬貨ユニットを引き出す際のロック状態の解除動作を説明するためのフローチャートである。
【
図17】
図17は、関連技術におけるロック機構のロック状態を示す平面図である。
【
図18】
図18は、関連技術におけるロック機構の問題点を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する貨幣取扱装置、制御方法、及びプログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する貨幣取扱装置、制御方法、及びプログラムが限定されるものではない。
【実施例】
【0011】
図1は、実施例の入金機を正面側から示す斜視図である。
図2は、実施例の入金機から硬貨ユニットが引き出された状態を示す斜視図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、貨幣取扱装置の一例としての実施例の入金機1は、例えば、コンビニエンスストア等の店舗内で従業員(以下、利用者と称する。)が売上金等を入金するために用いる業務用の入金機である。入金機1は、、取扱ユニットとしての、入金された硬貨を鑑別する硬貨ユニット3と、入金された紙幣を鑑別する紙幣ユニット4と、硬貨ユニット3で鑑別された硬貨が収容される硬貨収容部5と、紙幣ユニット4で鑑別された紙幣が収容される紙幣収容部6と、入金情報等を含む各種情報を表示する表示部7と、入金情報等を印字するプリンタ部8と、を備える。また、入金機1の下部は、例えば、端末機器等が収容される物品庫9や、各種の備品が保管される保管庫10を備える。
【0013】
硬貨ユニット3は、硬貨が入金される硬貨入金口3aと、鑑別不能な硬貨を返却する硬貨排出口3bと、を有する。
図2に示すように、硬貨ユニット3は、ユニットホルダ部材12によって支持されており、ユニットホルダ部材12がスライド機構13によってスライド可能に支持されている。したがって、硬貨ユニット3は、スライド機構13によってユニットホルダ部材12と共に、入金機1の内部から外部へ引き出されるように構成されている。また、スライド機構13は、硬貨ユニット3を後述する奥行方向(Y方向)に沿って移動可能に支持する複数のスライドレール部材13aを有する。
【0014】
紙幣ユニット4は、紙幣が入金される紙幣入金口4aと、釣銭の紙幣や鑑別不能な紙幣を返却する紙幣排出口4bと、を有する。図示しないが、硬貨収容部5は、硬貨が収容される硬貨収容体としての硬貨カセットと、硬貨カセットが着脱可能に装着される装着部と、入金機1の内部に対して装着部を引き出し可能に支持するスライド機構と、を有する。紙幣収容部6についても、硬貨収容部5と同様に構成されている。
【0015】
図1において、入金機1の幅方向をX方向とし、入金機1の奥行方向をY方向とし、入金機1の高さ方向をZ方向として示す。
図1以降においても、
図1と同様にX方向、Y方向及びZ方向をそれぞれ示す。
【0016】
本開示における貨幣には、硬貨、紙幣が含まれるが、例えば、手形、小切手、商品券、各種証券、株券等の有価証券等の紙葉類を取り扱う紙葉類取扱装置に適用されてもよい。また、硬貨としては、例えば、遊技機のメダル、コイン等を含む。したがって、本開示の硬貨取扱装置は、例えば、遊技機のメダル取扱装置に適用されてもよい。
【0017】
(入金機の要部)
以下、本願の開示における取扱ユニットとしての硬貨ユニット3の移動を規制するロック機構等の要部について説明する。
図3は、実施例の入金機1を背面側から示す斜視図である。
図4は、実施例の入金機1の要部を背面側から示す斜視図である。
【0018】
図3及び
図4に示すように、入金機1は、入金機1に対する硬貨ユニット3の移動を規制するロック機構15と、ロック機構15の動作を制御する制御部16と、を備える。また、硬貨ユニット3には、
図1及び
図2に示すように、入金機1に対して硬貨ユニット3を、スライド機構13を介して移動させるための操作レバー部材14が設けられており、ロック機構15によって、操作レバー部材14の操作が規制される。
【0019】
ロック機構15は、入金機1の第1の面部としての正面部1Fに対向する第2の面部としての背面部1Rに配置されている。本願の開示において、第1の面部が正面部1Fに限定されるものではなく、第2の面部が背面部1Rに限定されるものではない。第1の面部及び第2の面部は、入金機1の対向する各側面部であってもよい。
【0020】
制御部16は、例えば、入金機1の内部に配置されており、ロック機構15の他に、硬貨ユニット3及び紙幣ユニット4等を制御する制御回路部が制御部16として用いられている。なお、制御部16としては、入金機1とは別体に設けられたコンピュータが用いられてもよい。入金機1の表示部7は、例えば、各種の情報の入力や操作が可能な表示パネルを有しており、表示部7によって制御部16を制御することが可能に構成されている。制御部16は、利用者が表示部7で入力した操作に基づいてロック機構15の動作の制御を行う。
【0021】
操作レバー部材14は、入金機1の内部から硬貨ユニット3が引き出される、入金機1の正面部1Fに配置されている。利用者が操作レバー部材14を引き上げて硬貨ユニット3を引くことで、硬貨ユニット3は、スライド機構13のスライドレール部材13aに沿ってY方向に移動されて、入金機1の内部から外部へ引き出される。
【0022】
なお、本実施例では、ロック機構15によって硬貨ユニット3の移動が規制されるが、この構成に限定されない。図示しないが、紙幣ユニット4についても、硬貨ユニット3と同様に、スライド機構によってスライド可能に支持されて入金機1の内部から外部へ引き出されるように構成されてもよい。この構成の場合には、ロック機構15によって紙幣ユニット4の移動が規制されることにより、本実施例と同様の効果が得られる。
【0023】
図5は、
図4に示す要部を拡大した斜視図である。
図6は、実施例の入金機1の要部を側面側から示す斜視図である。
図7は、
図6に示す要部を拡大した斜視図である。
【0024】
図5、
図6及び
図7に示すように、ロック機構15は、電磁ロック機構であり、操作レバー部材14の操作を規制するスライド部材21と、スライド部材21と連動して回動する回動部材22(
図8及び
図10参照)と、回動部材22を介してスライド部材21を操作レバー部材14に対して進退させるソレノイド23と、を有する。
【0025】
また、ロック機構15は、
図7に示すように、硬貨ユニット3が入金機1の内部に収容されたときに操作レバー部材14が係合される係合部材としての係合部24を有しており、係合部24がスライド機構13のスライドレール部材13aに形成されている。
【0026】
図8は、実施例において、操作レバー部材14のロック状態のときのソレノイド23を示す平面図である。
図9は、実施例において、操作レバー部材14のロック状態のときのスライド部材21を示す側面図である。
図10は、実施例において、操作レバー部材14のロック状態が解除されたときのソレノイド23を示す平面図である。
図11は、実施例において、操作レバー部材14のロック状態のときのスライド部材21を示す側面図である。
【0027】
ロック機構15では、
図8及び
図9に示すように、ソレノイド23によって回動部材22が
図8中の反時計回りに回動されることで、スライド部材21が操作レバー部材14に近づく。そして、ロック機構15では、スライド部材21の後述するロック部21aが操作レバー部材14に接することで、操作レバー部材14の操作が規制されたロック状態となる。
【0028】
ロック機構15では、
図10及び
図11に示すように、ソレノイド23によって回動部材22が
図8中の時計回りに回動されることで、スライド部材21が操作レバー部材14から遠ざかる。そして、ロック機構15では、スライド部材21の後述するロック部21aが操作レバー部材14から離れることで、操作レバー部材14の操作が可能になり、操作レバー部材14のロック状態が解除される。ロック機構15による操作レバー部材14のロック状態及びロック状態の解除の各動作の詳細については後述する。
【0029】
ロック機構15によって操作が規制される操作レバー部材14は、
図4及び
図5に示すように、硬貨ユニット3を支持するユニットホルダ部材12に設けられている。なお、本願の開示では、ユニットホルダ部材12が硬貨ユニット3に含まれるものとして、操作レバー部材14が硬貨ユニット3に設けられているものとする。操作レバー部材14は、
図9に示すように、ユニットホルダ部材12に設けられた支軸26に回動可能に支持されており、支軸26に設けられたねじりコイルばね(図示せず)によって、操作レバー部材14が支軸26まわりの一方向(
図9中の時計回り)に回動するように付勢されている。
【0030】
図7、
図9及び
図10に示すように、操作レバー部材14は、硬貨ユニット3の正面側へ延ばされた操作部14aと、スライド部材21の後述するロック部21aによって規制される規制部14bと、スライドレール部材13aの係合部24に係合する係合爪14cと、を有する。係合爪14cは、規制部14bの上端に形成されている。また、操作レバー部材14の規制部14bの下端には、スライド部材21の後述するロック部21aに接する接触面14dが、スライド部材21の移動方向(Y方向)に沿って形成されている。
【0031】
操作レバー部材14は、利用者によって操作部14aが引き上げられることで、ねじりコイルばねの付勢力に抗して支軸26に対して
図9中の反時計回りに回動され、規制部14bが下方に移動する。利用者が操作部14aの引き上げをやめることで、操作レバー部材14は、ねじりコイルばねの付勢力によって支軸26に対して
図9中の時計回りに回動され、規制部14bが上方に移動する。
【0032】
スライド部材21は、
図5に示すように、スライド機構13のスライドレール部材13aに支持されており、入金機1に対する硬貨ユニット3の移動方向(Y方向)に沿ってスライド可能に設けられている。これにより、操作レバー部材14を規制している状態のスライド部材21が、操作レバー部材14に対して離れる方向に移動しやすくなる。
【0033】
スライド部材21は、
図5、
図8及び
図9に示すように、操作レバー部材14の移動を規制するロック部21aと、回動部材22と連結される連結溝21bと、スライドレール部材13aに設けられたガイド軸27に支持される長穴状のガイド穴21cと、を有する。
【0034】
スライド部材21には、スライド部材21の移動方向(Y方向)における操作レバー部材14側に一端部にロック部21aが形成されており、スライド部材21の移動方向(Y方向)における回動部材22側の他端部に連結溝21bが形成されている。スライド部材21のロック部21aは、操作レバー部材14の規制部14bの移動を規制することで、操作レバー部材14の係合爪14cとスライドレール部材13aの係合部24との係合状態が解除されることを規制する。
【0035】
また、スライド部材21には、
図5に示すように、引っ張りコイルばね28が取り付けられている。引っ張りコイルばね28は、一端がスライドレール部材13aに引っ掛けられており、他端がスライド部材21に引っ掛けられている。このため、スライド部材21は、引っ張りコイルばね28によってロック部21aが操作レバー部材14から離れる方向に付勢されている。
【0036】
また、スライド部材21のロック部21aの上端には、操作レバー部材14の規制部14bの接触面14dに接する接触面21dが、スライド部材21の移動方向(Y方向)に沿って形成されている。これにより、スライド部材21のロック部21aの接触面21dと操作レバー部材14の規制部14bの接触面14dが接するロック状態において、スライド部材21がY方向に移動したときに、規制部14bの接触面14dに沿ってロック部21aの接触面21dをスライドさせることが可能になり、ロック部21aの接触面21dと規制部14bの接触面14dとの接触状態を容易に解除できる。
【0037】
ロック機構15では、操作レバー部材14のロック状態で操作レバー部材14の操作部14aが操作された場合、操作レバー部材14の規制部14bによってスライド部材21のロック部21aが押圧される。このような場合であっても、スライド部材21のロック部21aの接触面21dと、操作レバー部材14の規制部14bの接触面14dとの間に生じる摩擦力に抗してロック部21aが規制部14bから離れる方向に移動できるように、ロック部21aの接触面21dと、規制部14bの接触面14dとが接する面積は所定の面積に設定されている。本実施例におけるロック機構15によれば、例えば、スライド部材21のロック部21aの接触面21dの大きさを調節することで、スライド部材21の接触面21dと、操作レバー部材14の接触面14dとが接する面積を容易に増減させて、ロック部21aが規制部14bに押圧されたときに生じる摩擦力を最適に調節できる。
【0038】
したがって、ロック機構15は、ロック状態の操作レバー部材14が操作されることにより、操作レバー部材14の規制部14bによってスライド部材21のロック部21aが押圧されている場合であっても、スライド部材21のロック部21aを操作レバー部材14の規制部14bから離れる方向に移動させて、操作レバー部材14のロック状態を解除することが可能とされている。
【0039】
回動部材22は、
図8及び
図10に示すように、入金機1のフレーム部材19に設けられた支軸31まわりに回動可能に支持されている。回動部材22は、スライド部材21の連結溝21bに連結される連結ピン22aと、ソレノイド23の後述するプランジャ23aに連結される連結溝22bと、を有する。
【0040】
回動部材22は、略L字状に形成されており、一端部に連結ピン22aが設けられ、他端部に連結溝22bが設けられている。回動部材22は、連結ピン22aがスライド部材21の連結溝21b内で移動可能に挿入されており、支軸31まわりに回動することにより、スライド部材21をY方向に対して移動させる。
【0041】
図8及び
図9に示すように、回動部材22は、支軸31に対して反時計回りに回動することにより、スライド部材21のロック部21aを操作レバー部材14の規制部14bに近づけるように移動させ、操作レバー部材14をロック状態にする。
図10及び
図11に示すように、回動部材22は、支軸31に対して時計回りに回動することにより、スライド部材21のロック部21aを操作レバー部材14の規制部14bから遠ざけるように移動させ、操作レバー部材14のロック状態を解除する。
【0042】
ソレノイド23は、
図5、
図8及び
図10に示すように、入金機1の背面部1Rに配置されており、入金機1のフレーム部材19に固定されている。このように、ロック機構15を配置するスペースに占める比率が大きいソレノイド23が、入金機1の背面部1Rに配置されることで、入金機1の幅方向(X方向)に対して入金機1が大型化することが抑えられる。
【0043】
ソレノイド23は、制御部16と電気的に接続されており、制御部16によって駆動制御される。ソレノイド23は、X方向に対して進退するプランジャ23aと、プランジャ23aをX方向に駆動する電磁回路(図示せず)と、プランジャ23aをソレノイド23の外側へ突出させるように付勢する圧縮コイルばね(図示せず)と、を有する。
【0044】
ソレノイド23は、制御部16によって電圧が印加されていないとき、電磁回路に磁力が発生せず、圧縮コイルばねの付勢力によってプランジャ23aがソレノイド23の外側に突き出される。また、ソレノイド23は、制御部16によって電圧が印加されているとき、電磁回路に磁力が発生し、圧縮コイルばねの付勢力に抗して磁力によってプランジャ23aがソレノイド23の内側に引き込まれる。
【0045】
ソレノイド23のプランジャ23aには、回動部材22の連結溝22bに連結される連結ピン23bが設けられており、連結ピン23bが連結溝22b内で移動可能に挿入されている。したがって、ソレノイド23は、プランジャ23aをX方向に進退させることで、連結溝22b内の連結ピン23bを介して、回動部材22を支軸31まわりに回動させる。
【0046】
また、スライド機構13のスライドレール部材13aは、
図4及び
図5に示すように、入金機1のフレーム部材19に固定されている。スライドレール部材13aには、
図7、
図9及び
図10に示すように、入金機1の正面部1F側の端部に、操作レバー部材14の係合爪14cが係合する係合部材としての係合部24が一体に形成されている。操作レバー部材14の係合爪14cがスライドレール部材13aの係合部24に係合されることで、硬貨ユニット3が入金機1に対して移動不能に固定される。なお、本実施例では、係合部24がスライドレール部材13aに設けられたが、係合部24に相当する係合部材が、スライドレール部材13aとは別途に設けられてもよい。
【0047】
(操作レバー部材のロック状態とロック状態の解除)
以上のように構成されたロック機構15について、スライド部材21によって操作レバー部材14の操作が規制されるロック状態と、操作レバー部材14が操作可能になるロック解除状態について説明する。
図12は、実施例において、操作レバー部材14の操作がスライド部材21によって規制された状態を示す側面図である。
図13は、実施例において、ロック状態の解除後に操作レバー部材14が操作された状態を示す側面図である。
図14は、実施例において、操作レバー部材14によって硬貨ユニット3が引き出される状態を示す側面図である。
【0048】
操作レバー部材14のロック状態のとき、ロック機構15は、
図8に示すように、ソレノイド23から突出されたプランジャ23aによって回動部材22が支軸31に対して反時計回りに回動されており、この回動部材22によってスライド部材21のロック部21aが、
図9に示すように、操作レバー部材14の規制部14bを規制する位置に移動されている。このため、ロック機構15では、
図12に示すように、操作レバー部材14の操作部14aが利用者によって引き上げられたとき、操作レバー部材14が回動し、操作レバー部材14の回動に伴って操作レバー部材14の規制部14bが、スライド部材21のロック部21aに突き当てられる。これにより、操作レバー部材14の係合爪14cがスライドレール部材13aの係合部24から離れるように操作レバー部材14を回動させることが、スライド部材21によって規制される。したがって、操作レバー部材14の係合爪14cとスライドレール部材13aの係合部24との係合状態が保たれており、硬貨ユニット3を入金機1の内部から引き出す操作が規制されている。
【0049】
一方、操作レバー部材14のロック状態が解除されているとき、ロック機構15は、
図10に示すように、ソレノイド23の内側に引き込まれたプランジャ23aによって回動部材22が支軸31に対して時計回りに回動されており、この回動部材22によってスライド部材21のロック部21aが、
図11に示すように、操作レバー部材14の規制部14bの規制を解除する位置に移動されている。このため、ロック機構15では、
図13に示すように、操作レバー部材14の係合爪14cがスライドレール部材13aの係合部24から離れるように操作レバー部材14を回動させることが可能になり、
図14に示すように、操作レバー部材14を引くことで硬貨ユニット3が入金機1の内部から外部へ引き出される。
【0050】
(ソレノイドの制御)
以下、制御部16がロック機構15のソレノイド23を制御する制御信号について説明する。まず、操作レバー部材14の操作に伴うロック機構15の挙動を説明する。
【0051】
上述したようにロック状態の操作レバー部材14が操作されたときに、操作レバー部材14の規制部14bがスライド部材21のロック部21aに突き当たることで、操作レバー部材14の規制部14bによってスライド部材21のロック部21aが押圧されることになる。このような場合であっても、本実施例のロック機構15は、スライド部材21のロック部21aを操作レバー部材14の規制部14bから離れる方向に移動させて、操作レバー部材14のロック状態を解除することが可能とされている。
【0052】
しかしながら、スライド部材21や操作レバー部材14の寸法精度や組み立て精度等の影響によってスライド部材21のロック部21aの接触面21dと操作レバー部材14の規制部14bとの接触面14dが接する面積が増えた場合、ロック部21aの接触面21dと規制部14bの接触面14dとの間に生じる摩擦力が大きくなるおそれも僅かにある。この場合、ロック状態の操作レバー部材14の操作に伴い、操作レバー部材14の規制部14bによってロック部21aが押圧されているスライド部材21を適正に移動させることができず、操作レバー部材14のロック状態が解除されないおそれが考えられる。
【0053】
このような場合、ロック機構15は、利用者がロック状態の操作レバー部材14の操作をやめて、操作レバー部材14の規制部14bがスライド部材21のロック部21aから離れるたときに、ソレノイド23によってスライド部材21をY方向に移動させることで、スライド部材21による操作レバー部材14のロック状態を解除することが可能になる。
【0054】
しかしながら、ソレノイドの一般的な制御では、最初にプランジャをソレノイドの内側に引っ込める動作を行うように磁気回路に一定時間の電圧を印加(電圧をオン)し、それ以降、プランジャが引き込まれた状態(プランジャの位置)が、磁気回路が発生する磁力で保持されるように、磁気回路に微小時間だけ印加する電圧のオンとオフを繰り返す、いわゆるチョッピング制御を続けるように制御される。このため、ソレノイドのチョッピング制御に移行した場合、プランジャを移動させる際に電圧が印加される一定時間と比べて微小時間であるため、磁気回路で発生する磁力が短時間になり、プランジャを移動させる磁力が得られないので、磁気回路が発生する磁力でプランジャを移動できない。その結果、ソレノイドの一般的な制御では、プランジャを移動させる磁力が発生した後、プランジャを移動不能となるので、最初にプランジャが移動したときにスライド部材21が移動されなった場合には、それ以降、スライド部材21を移動させることができなくなる。
【0055】
言い換えると、ロック機構15では、ロック状態の操作レバー部材14が操作されて操作レバー部材14の規制部14bによってスライド部材21のロック部21aが押圧されているときに、ソレノイド23の動作に伴ってスライド部材21が移動されなかった場合には、それ以降、ソレノイド23の動作によって操作レバー部材14のロック状態を解除できないおそれが考えられる。
【0056】
そこで、上述の対策として本実施例におけるソレノイド23の制御では、最初にプランジャ23aを引っ込める動作を行い、チョッピング制御に移行した後も、所定時間経過する度にプランジャ23aを移動させる磁力が得られるようにソレノイド23が制御される。
図15は、実施例において、ソレノイド23を制御する制御信号を説明するための図である。
【0057】
図15に示すように、制御部16は、スライド部材21による操作レバー部材14の規制を解除するようにソレノイド23に電圧を第1の時間T1だけ印加する第1の制御と、第1の制御を行った後、第1の時間T1よりも短い第2の時間T2だけソレノイド23に電圧を印加する制御を間欠的に所定時間だけ繰り返す第2の制御と、を行う。そして、制御部16は、第1の制御と第2の制御を順に繰り返すようにソレノイド23を制御する。
【0058】
第1の制御では、ソレノイド23の磁気回路に電圧が第1の時間T1だけ印加されて生じた磁力によってプランジャ23aが移動され、プランジャ23aの移動に伴ってスライド部材21のロック部21aが操作レバー部材14の規制部14bから離れることで、操作レバー部材14のロック状態が解除される。第1の制御において、例えば、第1の時間T1が500[ms]程度であり、プランジャ23aを移動させる磁力が得られるように設定されている。
【0059】
第2の制御は、チョッピング制御であり、ソレノイド23の磁気回路に電圧が第2の時間T2だけ間欠的に印加されて生じた磁力によってプランジャ23aの位置が保持され、操作レバー部材14の規制部14bからスライド部材21のロック部21aが離され続けることで、操作レバー部材14のロック状態の解除が保たれる。また、第2の制御では、第2の時間T2だけ電圧を間欠的に印加するときに、第4の時間T4の間隔をあけると共に、所定時間である第3の時間T3だけ繰り返す。第2の制御において、例えば、第2の時間T2が1[ms]程度であり、第3の時間T3が5000[ms]程度であり、第4の時間T4が5[ms]程度である。したがって、制御部16は、第2の制御を第3の時間T3だけ繰り返すので、第2の制御においてソレノイド23に第2の時間T2だけ電圧を印加する制御を所定回数以上、例えば、500回以上繰り返す。
【0060】
したがって、第1の制御でスライド部材21が適正に移動されずに操作レバー部材14のロック状態が解除されない場合であっても、第2の制御に続いて第1の制御が行われことでスライド部材21を移動させることが可能になり、第1の制御が複数回行われることによってスライド部材21の移動の確度を高めることができる。また、第2の制御を続ける第3時間T3によって、ソレノイド23に第2の時間T2だけ電圧を印加する制御を500回以上繰り返すことで、第1の制御と、次の第1の制御との間隔が適正に確保されているので、第1の制御が頻繁に行われることが抑えられ、第1の制御における電圧の印加に伴ってソレノイド23の磁気回路が発熱することが抑えられている。
【0061】
上述したように、実施例におけるソレノイド23の制御によれば、ロック状態の操作レバー部材14が操作されて操作レバー部材14の規制部14bによってスライド部材21のロック部21aが押圧されているときに、第1の制御によるソレノイド23の動作に伴ってスライド部材21が移動されなかった場合であっても、第1の制御が所定時間(第3の時間T3)をあけて繰り返し行われることで、スライド部材21を移動させて操作レバー部材14のロック状態の解除することができる。つまり、本実施例では、制御部16が上述のようにソレノイド23を制御することで、ロック機構15によって操作レバー部材14のロック状態の解除が不能になることを防げる。
【0062】
(利用者が硬貨ユニットを引き出す際の挙動)
図16は、実施例において、硬貨ユニット3を引き出す際のロック状態の解除動作を説明するためのフローチャートである。まず、入金機1では、
図16に示すように、利用者が表示部7によって制御部16を制御する操作を行い、制御部16が、ロック機構15のソレノイド23を制御することで、操作レバー部材14のロック状態の解除動作を実行する(ステップS1)。続いて、利用者は、入金機1の内部から硬貨ユニット3を引き出す(ステップS2)。
【0063】
ステップS2において硬貨ユニット3を引き出せた場合(Yes)には、制御部16によるソレノイド23の制御が終了する。ステップS2において硬貨ユニット3を引き出せない場合(No)、利用者は所定時間(第3の時間T3)待ち、制御部16が、所定時間(第3の時間T3)の経過後、操作レバー部材14のロック状態の解除動作を再実行する(ステップS3)。続いて、利用者は、入金機1の内部から硬貨ユニット3を引き出す(ステップS4)。
【0064】
ステップS4において硬貨ユニット3を引き出せた場合(Yes)には、制御部16によるソレノイド23の制御が終了する。ステップS4において硬貨ユニット3を引き出せない場合(No)には、上述のステップS3に戻り、操作レバー部材14のロック状態の解除動作を再実行する。以降、入金機1では、硬貨ユニット3が引き出されるまで、所定時間(第3の時間T3)の間隔で、操作レバー部材14のロック状態の解除動作の再実行を繰り返す。
【0065】
以上のように、例えば、利用者が操作レバー部材14の操作部14aを引き上げながら、操作レバー部材14のロック状態が解除されるように制御部16の操作を行った場合、操作レバー部材14の規制部14bによってロック部21aを押圧されているスライド部材21がY方向に移動せずに、操作レバー部材14のロック状態が解除されないおそれがある。このような場合であっても、制御部16は、ソレノイド23のプランジャ23aを移動させる第1の制御を所定時間(第3の時間T3)だけあけて繰り返すので、第1の制御を複数回、繰り返した後にスライド部材21が移動されたとき、操作レバー部材14のロック状態が解除される。
【0066】
(制御方法)
実施例の入金機1を制御する制御方法は、
図15に示すように、スライド部材21による操作レバー部材14の規制を解除するようにソレノイド23に電圧を第1の時間T1だけ印加する第1の制御を行い、第1の制御を行った後、第1の時間T1よりも短い第2の時間T2だけソレノイド23に電圧を印加する制御を間欠的に所定時間(第3の時間T)だけ繰り返す第2の制御を行う。そして、制御方法は、第1の制御と第2の制御を順に繰り返すようにソレノイド23を制御する。
【0067】
(プログラム)
実施例の入金機1の制御を制御部16またはコンピュータ(図示せず)に実行させるプログラムは、
図15に示すように、スライド部材21による操作レバー部材14の規制を解除するようにソレノイド23に電圧を第1の時間T1だけ印加する第1の制御を行い、第1の制御を行った後、第1の時間T1よりも短い第2の時間T2だけソレノイド23に電圧を印加する制御を間欠的に所定時間(第3の時間T3)だけ繰り返す第2の制御を行う。そして、プログラムは、第1の制御と第2の制御を順に繰り返すようにソレノイド23を制御する。
【0068】
(実施例の効果)
上述したように実施例の入金機1は、入金機1に対する硬貨ユニット3の移動を規制するロック機構15と、入金機1に対して硬貨ユニット3を移動させるための操作レバー部材14と、を備える。ロック機構15は、入金機1に対する硬貨ユニット3の移動方向(Y方向)に沿ってスライド可能に設けられて操作レバー部材14の操作を規制するスライド部材21と、入金機1の背面部1Rに配置されてスライド部材21を操作レバー部材14に対して進退させるソレノイド23と、を有する。このように、操作レバー部材14の操作を規制するスライド部材21が、硬貨ユニット3の移動方向(Y方向)に沿ってスライド可能に設けられることにより、操作レバー部材14を規制している状態のスライド部材21が、操作レバー部材14に対して離れる方向へ移動しやすくなる。このため、ロック状態の操作レバー部材14が操作されることで、硬貨ユニット3がロック状態で入金機1から引き出される操作が行われた場合であっても、その後にロック状態の解除をスムーズに行うことが可能になる。加えて、入金機1では、ロック機構15が配置されるスペースに占める比率が大きいソレノイド23が入金機1の背面部1Rに配置されることで、入金機1が幅方向(X方向)に大型化することを避けられる。
【0069】
また、実施例の入金機1において、ロック機構15は、硬貨ユニット3が入金機1の内部に収容されたときに操作レバー部材14が係合される係合部24を有する。スライド部材21は、操作レバー部材14と係合部24との係合状態が解除されることを規制するロック部21aを有する。これにより、ロック機構15は、簡素な構造で操作レバー部材14の操作を規制し、入金機1に対する硬貨ユニット3の移動を規制することができる。
【0070】
また、実施例の入金機1のロック機構15において、スライド部材21によって操作レバー部材14の操作が規制されたとき、操作レバー部材14の規制部14bと接するスライド部材21のロック部21aと接触面21dは、スライド部材21の移動方向(Y方向)に沿って形成されている。これにより、スライド部材21のロック部21aの接触面21dと操作レバー部材14の規制部14bの接触面14dが接するロック状態において、スライド部材21がY方向に移動したときに、規制部14bの接触面14dに沿ってロック部21aの接触面21dをスライドさせることが可能になり、ロック部21aの接触面21dと規制部14bの接触面14dとの接触状態を容易に解除できる。加えて、スライド部材21のロック部21aの接触面21dの大きさを調節することで、スライド部材21の接触面21dと、操作レバー部材14の接触面14dとが接する面積を容易に増減させて、ロック部21aが規制部14bに押圧されたときに生じる摩擦力を最適に調節できる。このため、ロック状態の操作レバー部材14が操作されることにより、操作レバー部材14の規制部14bによってスライド部材21のロック部21aが押圧されている場合であっても、スライド部材21のロック部21aを操作レバー部材14の規制部14bから離れる方向に移動させて、操作レバー部材14のロック状態を解除することが可能になる。
【0071】
また、実施例の入金機1において、ロック機構15の動作を制御する制御部16は、スライド部材21による操作レバー部材14の規制を解除するようにソレノイド23に電圧を第1の時間T1だけ印加する第1の制御と、第1の制御を行った後、第1の時間T1よりも短い第2の時間T2だけソレノイド23に電圧を印加する制御を間欠的に所定時間(第3の時間T3)だけ繰り返す第2の制御と、を行い、第1の制御と第2の制御を順に繰り返すようにソレノイド23を制御する。これにより、第1の制御でスライド部材21が適正に移動されずに操作レバー部材14のロック状態が解除されない場合であっても、第2の制御に続いて第1の制御が行われことでスライド部材21を移動させることが可能になり、第1の制御が複数回行われることによってスライド部材21の移動の確度を高めることができる。
【0072】
また、実施例の入金機1における制御部16は、第2の制御においてソレノイド23に第2の時間T2だけ電圧を印加する制御を500回以上繰り返す。このように、第2の制御を続ける第3時間T3によって、ソレノイド23に第2の時間T2だけ電圧を印加する制御を500回以上繰り返すことで、第1の制御と、次の第1の制御との間隔が適正に確保されているので、第1の制御が頻繁に行われることが抑えられ、第1の制御における電圧の印加に伴ってソレノイド23の磁気回路が発熱することを抑えられる。
【符号の説明】
【0073】
1 入金機(貨幣取扱装置)
1F 正面部(第1の面部)
1R 背面部(第2の面部)
3 硬貨ユニット(取扱ユニット)
12 ユニットホルダ部材
14 操作レバー部材
14b 規制部
14d 接触面
15 ロック機構
16 制御部
21 スライド部材
21a ロック部
21d 接触面
23 ソレノイド
24 係合部(係合部材)
T1 第1の時間
T2 第2の時間
T3 第3の時間(所定時間)