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特許7426960作業領域推定方法、作業領域推定システムおよび作業領域推定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】作業領域推定方法、作業領域推定システムおよび作業領域推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240126BHJP
【FI】
G06Q50/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021044217
(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公開番号】P2022143609
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】田中 徹士
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特許第6767950(JP,B2)
【文献】特開2020-119025(JP,A)
【文献】特開2020-104814(JP,A)
【文献】米国特許第06115481(US,A)
【文献】特開2017-127289(JP,A)
【文献】特開2008-225942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
領域算出部が、圃場で作業装置が移動した軌道上の第1の複数の地点を表す位置情報に基づいて、前記圃場内に含まれ、前記第1の複数の地点を含み、かつ、前記第1の複数の地点の少なくとも一部を頂点とする第1多角形である第1領域を算出することと、
地点変更部が、前記第1の複数の地点に含まれる前記第1領域の第1頂点から前記圃場の輪郭までの第1距離に基づいて、前記第1頂点を前記圃場の前記輪郭上の最近点である第1輪郭地点に変更することと、
作業領域推定部が、前記第1輪郭地点に変更しない前記第1頂点と、前記第1輪郭地点の少なくとも一部を頂点とし、辺上に他の前記第1輪郭地点を有する第2多角形である第2領域を、前記作業装置が作業を行った作業領域として推定することと、
出力部が、前記作業領域推定部が推定した前記作業領域を表す作業領域推定情報を外部に出力することと
を含む
作業領域推定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の作業領域推定方法において、
前記変更することは、
前記地点変更部が、前記第1距離が所定の第1閾値より短いとき、前記第1頂点を前記第1輪郭地点に変更すること
を含む
作業領域推定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の作業領域推定方法において、
前記変更することは、
前記地点変更部が、前記圃場のうちの前記輪郭から所定の第2距離までの第1範囲における前記作業装置の第1移動速度に基づいて前記第1閾値を決定すること
をさらに含む
作業領域推定方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の作業領域推定方法において、
前記地点変更部が、前記第1の複数の地点に含まれる前記第1領域の第2頂点から前記圃場の前記輪郭までの第3距離に基づいて、前記第2頂点を前記圃場の前記輪郭上の最近点である第2輪郭地点に変更すること
をさらに含み、
前記推定することは、
前記作業領域推定部が、前記圃場のうちの、前記輪郭が有する第1輪郭頂点に交わる複数の輪郭辺部のうちの第1輪郭辺部の上に前記第1輪郭地点があり、前記第1輪郭地点から前記第1輪郭頂点までの第4距離が所定の第2閾値より短く、前記複数の輪郭辺部のうちの前記第1輪郭辺部とは異なる第2輪郭辺部の上に前記第2輪郭地点があり、かつ、前記第2輪郭地点から前記第1輪郭頂点までの第5距離が前記第2閾値より短いとき、前記第1輪郭地点に前記第1輪郭頂点を追加すること
を含む
作業領域推定方法。
【請求項5】
請求項4に記載の作業領域推定方法において、
前記第2頂点を前記第2輪郭地点に変更することは、
前記地点変更部が、前記第3距離が前記第1閾値より短いとき、前記第2頂点を前記第2輪郭地点に変更すること
を含む
作業領域推定方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の作業領域推定方法において、
前記推定することは、
前記作業領域推定部が、前記第1輪郭頂点から所定の第6距離までの第2範囲における前記作業装置の第2移動速度に基づいて前記第2閾値を決定すること
をさらに含む
作業領域推定方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の作業領域推定方法において、
前記第2領域は、前記第1の複数の地点と、前記第1輪郭地点に変更しない前記第1頂点と、前記第1輪郭地点とを含む最小の凸多角形としての凸包である
作業領域推定方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の作業領域推定方法において、
前記出力部が、前記出力することに対する応答の内容に表された領域を表す領域情報を作業領域情報として記録することと
をさらに含む
作業領域推定方法。
【請求項9】
圃場で作業装置が移動した軌道上の第1の複数の地点を表す位置情報と、前記圃場の輪郭を表す輪郭情報とを格納する記憶装置と、
前記圃場内に含まれ、前記第1の複数の地点を含み、かつ、前記第1の複数の地点の少なくとも一部を頂点とする第1多角形である第1領域を算出する領域算出部と、
前記第1の複数の地点に含まれる前記第1領域の第1頂点から前記圃場の前記輪郭までの第1距離に基づいて、前記第1頂点を前記圃場の前記輪郭上の最近点である第1輪郭地点に変更する地点変更部と、
前記第1輪郭地点に変更しない前記第1頂点と、前記第1輪郭地点の少なくとも一部を頂点とし、前記第1輪郭地点を辺上に有する第2多角形である第2領域を、前記作業装置が作業を行った作業領域として推定する作業領域推定部と、
推定した前記作業領域を表す作業領域推定情報を外部に出力する出力部と
を備える
作業領域推定システム。
【請求項10】
実行することによって所定の処理を実現するためのプログラムであって、
前記処理は、
圃場で作業装置が移動した軌道上の第1の複数の地点を表す位置情報に基づいて、前記圃場内に含まれ、前記第1の複数の地点を含み、かつ、前記第1の複数の地点の少なくとも一部を頂点とする第1多角形である第1領域を算出することと、
前記第1の複数の地点に含まれる前記第1領域の第1頂点から前記圃場の輪郭までの第1距離に基づいて、前記第1頂点を前記圃場の前記輪郭上の最近点である第1輪郭地点に変更することと、
前記第1輪郭地点に変更しない前記第1頂点と、前記第1輪郭地点の少なくとも一部を頂点とし、辺上に他の前記第1輪郭地点を有する第2多角形である第2領域を、前記作業装置が作業を行った作業領域として推定することと、
推定した前記作業領域を表す作業領域推定情報を外部に出力することと
を含む
作業領域推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業領域推定方法と、この作業領域推定方法を用いる作業領域推定システムと、この作業領域推定システムが用いる作業領域推定プログラムとに関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両などの作業装置が圃場で作業を行うとき、圃場の一部の作業領域だけで作業を行う場合がある。このような場合、作業を行った作業領域を記録しておけば、後日、この記録に基づいて、圃場の残りの領域で作業を行うことができる。
【0003】
作業領域の記録は、例えば、作業装置が移動した軌道上の複数の地点の位置情報を、作業装置に搭載された測位装置が自動的に取得し、取得した位置情報を無線通信によりサーバへ送信することによって実現することができる。
【0004】
作業装置からサーバへの無線通信の負荷を抑制するために、位置情報の情報量をできるだけ少なく抑えることが好ましい。そこで、測位装置が位置情報を取得する測位サンプリング周期を比較的長くしてもよいし、取得した位置情報の一部を間引きした残りの位置情報だけをサーバに送信してもよい。ただし、このような場合には、圃場の輪郭に近い地点の位置情報が取得される確率が、圃場の輪郭から遠い地点の位置情報が取得される確率より低くなり得る。したがって、このような場合には、実際の作業領域より圃場の輪郭から離れた領域が、作業領域としてサーバに記録され得る。
【0005】
上記に関連して、特許文献1(特開2020-119025号公報)には、トラクタ等の農業車両が圃場にて様々な農作業を行う際に、特定の作業期間での作業領域と作業内容、作業者を紐付けして作業情報として作業情報管理サーバに記録して、後日、作業情報を確認して、作業評価や作業計画の作成に活用する技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2(特許第6767950号公報)には、測位装置を搭載して、GNSSによる測位により、農業車両の位置を周期的に繰り返し測位して得られる測位情報を管理サーバに送信して記録し、サーバ側で、この測位情報の各々が示す点群の位置から凸包に対応する領域を求め、この領域を作業領域と特定する手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2020-119025号公報
【文献】特許第6767950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通信負荷の抑制と、作業領域を記録する精度とを両立する作業領域推定方法、作業領域推定システムおよび作業領域推定プログラムを提供する。その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
一実施の形態によれば、作業領域推定方法は、圃場(8)で作業装置(2)が移動した軌道上の第1の複数の地点(82)を表す位置情報に基づいて、圃場(8)内に含まれ、かつ、第1の複数の地点(82)を含む第1多角形(83)である第1領域(83)を算出することを含む。作業領域推定方法は、第1の複数の地点(82)に含まれる第1領域(83)の第1頂点(82)から圃場(8)の輪郭(81)までの第1距離に基づいて、第1頂点(82)を圃場の輪郭(81)上の最近点である第1輪郭地点(84)に変更することをさらに含む。作業領域推定方法は、第1の複数の地点(82)のうちの第1頂点(82)を第1輪郭地点(84)に変更した第2の複数の地点(82、84)を含む第2多角形(86)である第2領域(86)を、作業装置(2)が作業を行った作業領域として推定することをさらに含む。作業領域推定方法は、推定した作業領域を表す作業領域推定情報を外部(6)に出力することをさらに含む。
【0011】
一実施の形態によれば、作業領域推定システム(1)は、記憶装置(52)と、領域算出部(511)と、地点変更部(512)と、作業領域推定部(513)と、出力部(514)とを備える。記憶装置(52)は、圃場(8)で作業装置(2)が移動した軌道上の第1の複数の地点(82)を表す位置情報と、圃場(8)の輪郭(81)を表す輪郭情報とを格納する。領域算出部(511)は、圃場(8)内に含まれ、かつ、第1の複数の地点(82)を含む第1多角形(83)である第1領域(83)を算出する。地点変更部(512)は、第1の複数の地点(82)に含まれる第1領域(83)の第1頂点(82)から圃場(8)の輪郭(91)までの第1距離に基づいて、第1頂点(82)を圃場(8)の輪郭(81)上の最近点である第1輪郭地点(84)に変更する。作業領域推定部(513)は、第1の複数の地点(82)のうちの第1頂点(82)を第1輪郭地点(84)に変更した第2の複数の地点(82、84)を含む第2多角形(86)である第2領域(86)を、作業装置(2)が作業を行った作業領域として推定する。出力部(514)は、推定した作業領域を表す作業領域推定情報を外部(6)に出力する。
【0012】
一実施の形態によれば、作業領域推定プログラム(521)は、実行することによって所定の処理を実現するためのプログラムである。この処理は、圃場(8)で作業装置(2)が移動した軌道上の第1の複数の地点(82)を表す位置情報に基づいて、圃場(8)内に含まれ、かつ、第1の複数の地点(82)を含む第1多角形(83)である第1領域(83)を算出することを含む。この処理は、第1の複数の地点(82)に含まれる第1領域(83)の第1頂点(82)から圃場(8)の輪郭(81)までの第1距離に基づいて、第1頂点(82)を圃場の輪郭(81)上の最近点である第1輪郭地点(84)に変更することをさらに含む。この処理は、第1の複数の地点(82)のうちの第1頂点(82)を第1輪郭地点(84)に変更した第2の複数の地点(82、84)を含む第2多角形(86)である第2領域(86)を、作業装置(2)が作業を行った作業領域として推定することをさらに含む。この処理は、推定した作業領域を表す作業領域推定情報を外部(6)に出力することをさらに含む。
【発明の効果】
【0013】
一実施の形態によれば、通信負荷の抑制と、作業領域を記録する精度とを両立することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施の形態による作業領域推定システムの一構成例を示す図である。
図2図2は、一実施の形態による車載端末の一構成例を示すブロック回路図である。
図3図3は、一実施の形態によるサーバの一構成例を示すブロック回路図である。
図4図4は、一実施の形態による外部端末の一構成例を示すブロック回路図である。
図5図5は、一実施の形態による作業領域推定システムの一動作例、すなわち一実施の形態による作業領域推定方法の一構成例を示すフローチャートであり、一実施の形態による作業領域推定プログラムの一構成例を示すフローチャートである。
図6A図6Aは、一実施の形態による作業領域推定方法における一状態例を示す図である。
図6B図6Bは、一実施の形態による作業領域推定方法における別の一状態例を示す図である。
図6C図6Cは、一実施の形態による作業領域推定方法におけるさらに別の一状態例を示す図である。
図6D図6Dは、一実施の形態による作業領域推定方法におけるさらに別の一状態例を示す図である。
図6E図6Eは、一実施の形態による作業領域推定方法におけるさらに別の一状態例を示す図である。
図7図7は、一実施の形態による閾値の算出方法を説明するための図である。
図8図8は、一実施の形態による別の閾値の算出方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面を参照して、本発明による作業領域推定方法、作業領域推定システムおよび作業領域推定プログラムを実施するための形態を以下に説明する。
【0016】
(実施の形態)
図1に示すように、一実施の形態による作業領域推定システム1は、少なくともサーバ5を備える。車載端末3は、作業装置としての作業車両2に搭載されており、圃場8で作業車両2が作業中に移動した軌跡上の複数の地点を表す測位情報を取得する。作業車両2は、例えば、耕耘作業機が装着されたトラクタ、田植え機、コンバイン、薬剤散布機などであってもよい。作業車両2が圃場8で行う作業は、例えば、耕耘、植付、収穫、防除などであってもよい。サーバ5は、ネットワーク4を介して車載端末3から測位情報を取得する。測位情報は、位置情報とも呼ばれる。一実施の形態による作業領域推定システム1は、車載端末3をさらに備えていてもよい。
【0017】
その一方で、撮影装置7は、圃場8を上方から撮影して撮影データを生成する。サーバ5は、ネットワーク4を介して撮影装置7から撮影データを取得し、この撮影データに基づいて圃場8の輪郭の位置を表す圃場輪郭情報を用意する。サーバ5は、撮影データに適宜な画像処理を施すことによって圃場輪郭情報を得てもよい。撮影装置7は、撮影装置7を搭載した人工衛星、ドローン、航空機、車両などの移動体であってもよい。一実施の形態による作業領域推定システム1は、撮影装置7をさらに備えていてもよい。
【0018】
図2に示すように、一実施の形態による車載端末3は、いわゆるコンピュータを含んでいてもよい。つまり、一実施形態による車載端末3は、バス30と、演算装置31と、記憶装置32と、インタフェース33と、通信装置34と、測位装置35とを備えている。演算装置31、記憶装置32、インタフェース33、通信装置34および測位装置35は、バス30を介して互いに通信可能に接続されている。
【0019】
演算装置31は、記憶装置32に格納されている測位プログラム321を実行することによって、測位装置35を制御して位置情報を取得し、位置情報を記憶装置32に格納する。車載端末3は作業車両2に搭載されており、測位装置35が取得した位置情報はそのときに作業車両2があった位置を表す。また、演算装置31は通信装置34を制御し、ネットワーク4を介して位置情報をサーバ5に送信する。
【0020】
測位プログラム321は、インタフェース33または通信装置34を介して外部から受信されて記憶装置32に格納されたものであってもよいし、記録媒体320から読み出されて記憶装置32に格納されたものであってもよい。記録媒体320は、非一時的かつ有形であってもよい。
【0021】
図3に示すように、一実施の形態によるサーバ5は、いわゆるコンピュータを含んでいてもよい。つまり、一実施の形態によるサーバ5は、バス50と、演算装置51と、記憶装置52と、インタフェース53と、通信装置54とを備える。バス50、演算装置51、記憶装置52、インタフェース53および通信装置54は、バス50を介して互いに通信可能に接続されている。
【0022】
演算装置51は、領域算出部511と、地点変更部512と、作業領域推定部513と、出力部514とを備えている。領域算出部511、地点変更部512、作業領域推定部513および出力部514は、演算装置51が記憶装置52に格納されている作業領域推定プログラム521を実行することによって実現される複数の処理をそれぞれ行う仮想的な機能部である。領域算出部511、地点変更部512、作業領域推定部513および出力部514の具体的な機能については、後述する。
【0023】
作業領域推定プログラム521は、インタフェース53または通信装置54を介して外部から受信されて記憶装置52に格納されたものであってもよいし、記録媒体520から読み出されて記憶装置52に格納されたものであってもよい。記録媒体520は、非一時的かつ有形であってもよい。記憶装置52は、さらに、圃場輪郭情報と、位置情報とを格納している。
【0024】
図4に示すように、一実施の形態による外部端末6は、いわゆるコンピュータを含んでいてもよい。つまり、一実施の形態による外部端末6は、バス60と、演算装置61と、記憶装置62と、インタフェース63と、通信装置64とを備えている。演算装置61、記憶装置62、インタフェース63および通信装置64は、バス60を介して互いに通信可能に接続されている。
【0025】
演算装置61は、記憶装置62に格納されている確認プログラム621を実行することによって、外部端末6の機能を実現する。外部端末6の具体的な機能については、後述する。
【0026】
確認プログラム621は、インタフェース63または通信装置64を介して外部から受信されて記憶装置62に格納されたものであってもよいし、記録媒体620から読み出されて記憶装置62に格納されたものであってもよい。記録媒体620は、非一時的かつ有形であってもよい。
【0027】
図5のフローチャートを参照して、一実施の形態による作業領域推定システム1の一動作例、すなわち一実施の形態による作業領域推定方法の一構成例について説明する。なお、図5のフローチャートは、一実施の形態による作業領域推定プログラム521の一構成例も表している。
【0028】
一実施の形態による作業領域推定方法は、サーバ5が動作を開始したときに開始してもよいし、撮影装置7が撮影データをサーバ5に送信したときに開始してもよい。
【0029】
一実施の形態による作業領域推定方法が開始すると、ステップS01が実行される。ステップS01において、サーバ5の演算装置51は、圃場輪郭情報を用意する。演算装置51は、作業領域推定プログラム521を実行することによって、撮影装置7から送信されて記憶装置52に格納されている撮影データを読み出す。演算装置51は、撮影データに適宜な画像処理を施すことによって、圃場8の輪郭を表す圃場輪郭情報を用意する。一例として、圃場8の輪郭が長方形などの多角形である場合には、圃場輪郭情報はこの多角形の各頂点の座標を含んでいてもよいし、この多角形の各辺の接続関係を表す情報を含んでいてもよい。
【0030】
ステップS01の後、ステップS02が実行される。ステップS02において、サーバ5の演算装置51は、測位情報を取得する。演算装置51は、作業領域推定プログラム521を実行することによって、車載端末3の演算装置31から送信される測位情報を受信して記憶装置52に格納する。車載端末3の演算装置31は、作業車両2が作業している間に測位情報を記憶装置32に格納し、作業車両2が作業を完了した後で測位情報の全体を一度にサーバ5に送信してもよい。
【0031】
測位情報は、図6Aに示すように、圃場8の輪郭である圃場輪郭81の内側に含まれる複数の地点82A~82Oを表す。これらの地点82A~82Oを区別しないとき、地点82と総称する。
【0032】
ステップS02の後、ステップS03が実行される。ステップS03において、サーバ5の演算装置51は、作業領域推定プログラム521を実行することによって、領域算出部511の機能を実現する。領域算出部511は、図6Bに示すように、測位情報に基づいて地点82を含む領域83を算出する。
【0033】
領域83は、複数の地点82の集合を含む多角形であってもよいし、これら複数の地点82の集合を含む最小の凸多角形、すなわち凸包であってもよい。複数の地点82の一部は、領域83の頂点に位置している。図6Bの例では、地点82A~82Iが領域83の頂点に位置している。複数の地点82に基づいて領域83を算出する方法は公知であるので、その詳細な説明を省略する。
【0034】
ステップS03の後、ステップS04が実行される。ステップS04において、サーバ5の演算装置51は、作業領域推定プログラム521を実行することによって、地点変更部512の地点を変更する機能を実現する。地点変更部512は、図6Cに示すように、複数の地点82の中から、圃場輪郭81までの距離が所定の第1閾値より短い地点82Bを検出し、検出した地点82Bを圃場輪郭81の上の最近点である輪郭地点84Bに変更する。第1閾値を決定する具体的な方法については、後述する。
【0035】
このとき、図6Cの例では、地点82C~82Iについても、圃場輪郭81までの距離が第1閾値より短いので、地点変更部512は圃場輪郭81の上の最近点である輪郭地点84C~84Iにそれぞれ変更、すなわち移動する。輪郭地点84B~84Iを区別しないとき、輪郭地点84と総称する。言い換えれば、地点変更部512は、圃場輪郭81までの距離に基づいて、複数の地点82の一部を、それぞれ、圃場輪郭81の上の最近点である輪郭地点84に変更する。なお、図6Cの例では、地点82A、82J~82Oについては、圃場輪郭81までの距離が第1閾値以上であるので、移動を行わない。
【0036】
以降、複数の地点82と輪郭地点84との集合を、便宜上、地点集合と呼ぶ。地点集合には、複数の地点82のうち、輪郭地点84に移動された地点82が含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0037】
地点変更部512は、さらに、図6Dに示すように、圃場輪郭81の輪郭頂点のうち、その輪郭頂点に交わる2本の圃場辺部のそれぞれの上にある2つの輪郭地点84までの距離がいずれも所定の第2閾値より短い輪郭頂点を検出して地点集合に追加する。第2閾値を決定する具体的に方法については、後述する。
【0038】
図6Dの例では、地点変更部512は、複数の輪郭地点84の中から、輪郭頂点851に交わる2本の輪郭辺部のうちの一方の上に位置し、かつ、輪郭頂点851までの距離が所定の第2閾値より短い輪郭地点84Dを検出する。また、地点変更部512は、複数の輪郭地点84の中から、輪郭頂点851に交わる2本の輪郭辺部のうちの他方の上に位置し、かつ、輪郭頂点851までの距離が同じ第2閾値より短い輪郭地点84Eを検出する。地点変更部512は、輪郭頂点851を地点集合に追加する。
【0039】
同様に、地点変更部512は、複数の輪郭地点84の中から、輪郭頂点852に交わる2本の輪郭辺部のうちの一方の上に位置し、かつ、輪郭頂点851までの距離が所定の第2閾値より短い輪郭地点84Gを検出する。また、地点変更部512は、複数の輪郭地点84の中から、輪郭頂点852に交わる2本の輪郭辺部のうちの他方の上に位置し、かつ、輪郭頂点852までの距離が同じ第2閾値より短い輪郭地点84Hを検出する。このとき、地点変更部512は、輪郭頂点852を地点集合に追加する。
【0040】
ステップS04の後、ステップS05が実行される。ステップS05において、サーバ5の演算装置51は、作業領域推定プログラム521を実行することによって、作業領域推定部513の作業を推定する機能を実現する。作業領域推定部513は、図6Eに示すように、地点集合に含まれる複数の地点82と、輪郭地点84と、輪郭頂点851、852とを含む領域86を算出する。領域86を算出する方法は、ステップS03で領域83を算出した方法と同様である。
【0041】
言い換えれば、一実施の形態による作業領域推定システム1は、一実施の形態による作業領域推定方法および一実施の形態による作業領域推定プログラム521によって、作業装置としての作業車両2が圃場8のうちの領域86で作業を行ったと推定する。測位情報が取得された複数の地点82に基づいて算出された領域83に加えて、領域86は、圃場輪郭81の周辺の領域も含んでいる。
【0042】
一般的に、作業車両2などによる圃場8での作業は、圃場輪郭81の周辺の領域でも行われる。言い換えれば、圃場8の中心領域だけで作業を行い、圃場輪郭81の周辺の領域では作業を行わない、という可能性は低くなる。しかしながら、たとえ圃場輪郭81の周辺で作業を行っても、測位情報を取得するサンプリング周期が比較的長い場合、圃場輪郭81の周辺の領域で測位情報が取得される確率は、圃場8の他の領域での確率より低くなる。このような場合でも、一実施の形態によれば、測位情報が取得されにくい圃場輪郭81の周辺の領域も自動的に含めた領域86を作業領域として推定することができる。
【0043】
ステップS05の後、ステップS06が実行される。ステップS06において、サーバ5の演算装置51は、作業領域推定プログラム521を実行することによって、出力部514の機能を実現する。出力部514は、サーバ5の通信装置54を制御して、領域86を表す作業領域推定情報を、ネットワーク4を介して外部端末6に送信する。言い換えれば、出力部514は作業領域推定情報を出力する。
【0044】
外部端末6は、例えば、作業を行った利用者が所持するタブレット端末である。外部端末6の演算装置61は、通信装置64によって作業領域推定情報を受信すると、記憶装置62に格納された確認プログラム621を実行する。演算装置61は、インタフェース63に含まれる表示装置に作業領域推定情報が表す領域86を表示する。言い換えれば、演算装置61は、作業領域推定情報を視覚的に出力する。このとき、領域86は、圃場8を表す地図情報と合わせて表示されてもよい。
【0045】
利用者は、外部端末6の表示装置に表示された領域86を確認して、これを承認する場合は領域86を作業領域として認める操作を行う。もしくは、利用者は領域86を修正した上で修正後の領域86を作業領域として認める操作を行ってもよい。いずれの場合も、利用者によるこれらの操作は、例えば、外部端末6のインタフェース63に含まれるタッチパネルやボタンなどの入力装置を用いて行われる。
【0046】
外部端末6の演算装置61は、利用者による操作に基づく応答信号を生成し、通信装置64を制御して応答信号をサーバ5に送信する。応答信号は、領域86を作業領域として認めるための情報を含んでいてもよいし、領域86を修正するための情報を含んでいてもよい。
【0047】
ステップS06の後、ステップS07が実行される。ステップS07において、サーバ5の出力部514は、外部端末6から送信された応答信号を受信すると、この応答の内容に応じて表された領域を表す領域情報を、作業領域を表す作業領域情報として記憶装置52に記録する。すなわち、ステップS06において、サーバ5の作業領域推定部513が推定した領域86を利用者が承認した場合は領域86をそのまま作業領域として記録する。反対に、ステップS06において、領域86を利用者が修正した場合は、修正後の領域86を作業領域として表す作業領域情報を記録する。
【0048】
ステップS04で用いた第1閾値を決定する方法について、図7を参照して説明する。作業車両2は、圃場輪郭873の付近で作業を行うとき、地点871から圃場輪郭873に接近する方向に移動し、圃場輪郭873のそばで移動方向を転換し、圃場輪郭873から離れる方向に移動して地点872に達する。ここで、測位情報が取得される測位地点が圃場輪郭873から最も離れている場合の距離は、圃場輪郭873から同じ距離874にある地点871および地点872で測位情報が取得され、かつ、その間に測位情報が取得されない場合の距離874である。
【0049】
一般的に、作業車両2の移動速度は、圃場8の中央部分よりも圃場輪郭873の周辺領域において遅くなる。これは、作業車両2は圃場輪郭873の周辺領域において方向転換を行うからである。そこで、距離874を、圃場輪郭873の周辺領域における作業車両2の移動速度に基づいて決定する。なお、圃場輪郭873の周辺領域は、圃場輪郭873から所定の第1距離までの第1範囲と定義してもよい。
【0050】
一例として、圃場輪郭873の周辺領域における作業車両2の平均移動速度が0.5m/s(メートル毎秒)であり、かつ、測位情報のサンプリング周期が1分であるとき、作業車両2は、1サンプリング周期の間に30m(メートル)移動する。作業車両2の軌道が圃場輪郭873で折り返すとき、測位地点が圃場輪郭873から最も遠くなるのは、圃場輪郭873からの距離が15mである地点871、872で測位した場合である。ここで、安全係数を約70%に設定して、第1閾値を10mに決定してもよい。
【0051】
ステップS04で用いた第2閾値を決定する方法について、図8を参照して説明する。作業車両2は、圃場輪郭884、885が交わる圃場頂点の付近で作業を行うとき、圃場輪郭885に沿って地点881から圃場輪郭884に接近する方向に移動し、圃場輪郭884のそばで圃場輪郭885から離れる方向に移動方向を転換し、圃場輪郭884から離れる方向に、かつ、圃場輪郭885に平行に移動して地点882に達する。その後、作業車両2は別の場所でさらに移動方向を転換し、圃場輪郭885に平行に移動して地点883を通過して圃場輪郭884に再び接近してもよい。
【0052】
一般的に、圃場頂点の周辺領域における作業車両2の移動速度は、圃場輪郭884、885の周辺領域における移動速度よりさらに遅くなる。そこで、第2閾値を、圃場頂点の周辺領域における作業車両2の移動速度に基づいて、第1閾値より短い距離として決定する。なお、圃場頂点の周辺領域は、圃場頂点から所定の第2距離までの第2範囲と定義してもよい。
【0053】
一例として、圃場頂点の付近における作業車両2の移動速度が0.3m/sであり、かつ、測位情報のサンプリング周期が1分であるとき、作業車両2は、1サンプリング周期の間に18m移動する。第1閾値の算出例と同様に、作業車両2の軌道が圃場輪郭884で折り返すとき、測位地点が圃場輪郭884から最も遠くなるのは、圃場輪郭884からの距離が9mである地点881、882、883で測位した場合である。ここで、安全係数を約70%に設定して、第2閾値を6mに決定してもよい。
【0054】
なお、第2閾値は、作業車両2の車幅にさらに基づいて決定または調整してもよい。図8の例では、作業車両2の車幅が2mであるとき、作業車両2が往復する平行な軌道の間隔886も同じ2mになり、第2閾値はこの間隔の3倍の6mであるので、第2閾値は妥当と考えられる。言い換えれば、作業車両2の車幅と第2閾値との比率が所定の範囲に含まれるように、第2閾値を調整してもよい。
【0055】
以上に説明したように、一実施の形態によれば、通信負荷の抑制と、作業領域を記録する精度とを両立することが出来る。
【0056】
一実施の形態では、作業装置としての作業車両2が圃場8で作業する例について説明したが、一実施の形態はこの例に限定されない。例えば、作業装置としてドローンやヘリコプターを用いてもよい。
【0057】
一実施の形態では、ステップS01の後にステップS02を実行する例について説明したが、一実施の形態はこの例に限定されない。例えば、ステップS02の後にステップS01を実行してもよいし、ステップS01とステップS02との少なくとも一部を同時に実行してもよい。
【0058】
一実施の形態では、ステップS02においてサーバ5の演算装置51が測位情報を受信する例について説明したが、一実施の形態はこの例に限定されない。例えば、測位情報は作業領域推定方法が開始する前に記憶装置52に格納されており、ステップS02において演算装置51は記憶装置52から読み出すことによって測位情報を取得してもよい。
【0059】
一実施の形態では、ステップS02において、車載端末3の演算装置31が測位情報の全体を一度にサーバ5に送信する例について説明したが、一実施の形態はこの例に限定されない。例えば、演算装置31は測位情報の一部を間引きして残りの測位情報だけをサーバ5に送信してもよい。また、演算装置31は、作業車両2が作業を完了する前に測位情報を逐次的にサーバ5に送信してもよい。
【0060】
以上、発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、実施の形態に説明したそれぞれの特徴は、技術的に矛盾しない範囲で自由に組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 作業領域推定システム
2 作業車両
3 車載端末
30 バス
31 演算装置
32 記憶装置
320 記録媒体
321 測位プログラム
33 インタフェース
34 通信装置
35 測位装置
4 ネットワーク
5 サーバ
50 バス
51 演算装置
511 領域算出部
512 地点変更部
513 作業領域推定部
514 出力部
52 記憶装置
520 記録媒体
521 作業領域推定プログラム
53 インタフェース
54 通信装置
6 外部端末
60 バス
61 演算装置
62 記憶装置
620 記録媒体
621 確認プログラム
63 インタフェース
64 通信装置
7 撮影装置
8 圃場
81 圃場輪郭
82、82A~82O 地点
83 領域(第1領域)
84、84A~84I 輪郭地点(第1輪郭地点)
851、852 輪郭頂点(第1輪郭頂点)
86 領域(第2領域)
871、872 地点
873 圃場輪郭
874 距離
881、882、883 地点
884、885 圃場輪郭
886 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8