(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/10 20120101AFI20240126BHJP
【FI】
G06Q20/10
(21)【出願番号】P 2021101101
(22)【出願日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 明広
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
(72)【発明者】
【氏名】日暮 立
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬張 太士
(72)【発明者】
【氏名】川根 宏
(72)【発明者】
【氏名】藤井 美晴
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-021182(JP,A)
【文献】特開2008-004006(JP,A)
【文献】特開2013-054487(JP,A)
【文献】松尾 直司,音声からのストレス状態検出システムの開発,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2014)シンポジウム論文集 情報処理学会シンポジウムシリーズ [CD-ROM],日本,一般社団法人情報処理学会,2014年07月02日,Vol.2014 No.1,p.131-137
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送金指示を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた送金指示に基づく送金処理の内容を送金履歴として記憶する送金履歴記憶部と、
前記送金履歴記憶部に記憶された送金履歴を解析する送金履歴解析部と、
利用者の感情推定に使用できるセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報を解析して利用者の感情を推定する感情推定部と、
特定情報の配信先となる利用者を決定する決定部と、
前記決定部が決定した利用者の利用者端末に特定情報を配信する配信部と、を備え、
前記送金履歴解析部は、所定の時間の間に複数の利用者から送金を受けた利用者が、送金を受けた所定の時間の後に受け取った送金額以上の金額の送金を行った利用者をイベントの主催者として特定し、
前記決定部は、前記感情推定部が送金前後に感情がネガティブに推移したと推定した利用者の利用者端末に特定情報を配信することを決定し、
前記配信部が配信する特定情報が注意喚起メッセージである、
情報処理装置。
【請求項2】
前記送金履歴解析部は、前記送金履歴を解析して複数の利用者が集まるイベントの主催者を特定し、
前記決定部は、前記感情推定部が前記イベントの主催者が主催するイベントに係る送金前後において感情がネガティブに推移したと推定した前記イベントの主催者に特定情報を配信することを決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記送金履歴解析部は、送金履歴に含まれる送金日時、及び送金額に基づいて、イベントの主催者を特定する、
請求項1または請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
特定の利用者に対する送金前後の他の利用者の感情の推移に基づいて、特定の利用者の信頼度を推定する信頼度推定部と、を備え、
前記決定部は、前記感情推定部が送金前後に感情がネガティブに推移したと推定した利用者に加えて、信頼度が所定の値以下の利用者に対して送金した利用者にも、特定情報を配信することを決定する、
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
送金指示を受け付けるステップと、
送金指示に基づいて送金処理を実行するステップと、
前記送金処理の内容を送金履歴として記憶するステップと、
前記送金履歴を解析してイベントの主催者を特定するステップ
であって、所定の時間の間に複数の利用者から送金を受けた利用者が、送金を受けた所定の時間の後に受け取った送金額以上の金額の送金を行った利用者をイベントの主催者として特定するステップと、
特定されたイベントの主催者のセンサ情報を解析して送金前後の感情を推定するステップと、
送金前後の感情がネガティブに推移したイベントの主催者を特定するステップと、
特定されたイベントの主催者に特定情報を配信するステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項6】
送金指示を受け付けるステップと、
送金指示に基づいて送金処理を実行するステップと、
前記送金処理の内容を送金履歴として記憶するステップと、
前記送金履歴を解析してイベントの主催者を特定するステップ
であって、所定の時間の間に複数の利用者から送金を受けた利用者が、送金を受けた所定の時間の後に受け取った送金額以上の金額の送金を行った利用者をイベントの主催者として特定するステップと、
特定されたイベントの主催者のセンサ情報を解析して送金前後の感情を推定するステップと、
送金前後の感情がネガティブに推移したイベントの主催者を特定するステップと、
特定されたイベントの主催者に特定情報を配信するステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、QRコード(登録商標)を用いる電子決済が普及してきている。例えば、特許文献1には、一人の代表者のQRコード決済を用いた代金の決済について、他の支払者に割り勘での支払い金額を通知し、他の支払者が割り勘された金額を代表者に送金することで、事後的に代金の割り勘での支払いを可能とする決済システムが開示されている。
【0003】
他方、詐欺や恐喝などの事件が社会問題となっている。電子決済が詐欺や恐喝などの送金に利用される恐れがある。また、電子決済の利用により詐欺や恐喝などの被害にあった利用者は電子決済の利用を控えることに繋がる可能性がある。その為、被害者を事後的に救済するための支援ができれば、電子決済の利用者の信頼を向上させることができると考えられる。
【0004】
また、電子決済における代金の支払いの代表者が詐欺や恐喝などの被害にあった場合は、代表者だけではなく、代表者に代金の支払いを依頼した他の利用者にも被害が及ぶことから、被害の救済が強く求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を鑑み、電子決済の安全性を向上できる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る情報処理装置は、送金指示を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた送金指示に基づく送金処理の内容を送金履歴として記憶する送金履歴記憶部と、前記送金履歴記憶部に記憶された送金履歴を解析する送金履歴解析部と、利用者の感情推定に使用できるセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、前記センサ情報を解析して利用者の感情を推定する感情推定部と、特定情報の配信先となる利用者を決定する決定部と、前記決定部が決定した利用者の利用者端末に特定情報を配信する配信部と、を備え、前記送金履歴解析部は、所定の時間の間に複数の利用者から送金を受けた利用者が、送金を受けた所定の時間の後に受け取った送金額以上の金額の送金を行った利用者をイベントの主催者として特定し、前記決定部は前記感情推定部が送金前後に感情がネガティブに推移したと推定した利用者の利用者端末に特定情報を配信することを決定し、前記配信部が配信する特定情報が注意喚起メッセージである。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、電子決済の安全性を向上できる情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、利用者間の送金履歴を有向グラフにて示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る利用者端末の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理装置の口座データベースに記憶される情報の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の送金履歴記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る情報処理装置のセンサ情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る情報処理装置の感情記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(実施形態)
〔1-1.情報処理の一例〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
図1では、実施形態に係る情報処理が情報処理装置100により実行される例を示す。
【0012】
図1では、情報処理装置100が利用者端末200A、200B、200C、及び200Dより送信された送金指示を受け付けて、受け付けた送金指示に基づいて送金処理を実行し、送金処理の前後のセンサ情報を取得して、取得したセンサ情報を解析して利用者の送金前後の感情を推定して、送金前後の感情がネガティブに推移したと推定された利用者の利用者端末200に特定情報を配信する例を示している。以下、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例についてステップごとに説明する。
【0013】
利用者端末200Aは、利用者U1が入力した送金指示、及び送金指示の前後のセンサ情報を情報処理装置100に送信する(ステップS1)。例えば、利用者U1が他の利用者である利用者UXの依頼に基づいて、利用者UXに送金する旨の送金指示を入力したとする。この場合、利用者端末200Aは当該の送金指示を情報処理装置100に送信する。また、利用者端末200Aは送金指示の前後のセンサ情報として、例えば、利用者端末200Aが送金指示を送信する30分前、及び30分後に取得したセンサ情報を情報処理装置100に送信する。なお、センサ情報の詳細については後述して説明する。
【0014】
情報処理装置100は、利用者端末200Aから受け付けた送金指示に基づいて送金処理を実行する(ステップS2)。例えば、情報処理装置100は利用者U1の送金指示に基づいて、利用者U1の口座から指定された送金額を、利用者UXの口座に送金する処理を実行する。なお、この際、情報処理装置100は実行した送金処理の内容(送金元利用者/事業者ID、送金先利用者/事業者ID、送金日時、送金額など)を送金履歴として記憶する。
【0015】
利用者端末200Bは、利用者U2が入力した送金指示、及び送金指示の前後のセンサ情報を情報処理装置100に送信する(ステップS3)。利用者端末200Bが送金指示、及び送金指示の前後のセンサ情報を情報処理装置100に送信する処理はステップS1と同様の処理であるから、具体例を用いた説明を省略する。
【0016】
情報処理装置100は、利用者端末200Bから受け付けた送金指示に基づいて送金処理を実行する(ステップS4)。情報処理装置100が送金指示に基づいて行う送金処理は、ステップS2と同様の処理であるから具体例を用いた説明を省略する。
【0017】
利用者端末200Cは、利用者U3が入力した送金指示、及び送金指示の前後のセンサ情報を情報処理装置100に送信する(ステップS5)。利用者端末200Cが送金指示、及び送金指示の前後のセンサ情報を情報処理装置100に送信する処理はステップS1と同様の処理であるから、具体例を用いた説明を省略する。
【0018】
情報処理装置100は、利用者端末200Cから受け付けた送金指示に基づいて送金処理を実行する(ステップS6)。情報処理装置100が送金指示に基づいて行う送金処理は、ステップS2と同様の処理であるから具体例を用いた説明を省略する。
【0019】
利用者端末200Dは、利用者U4が入力した送金指示、及び送金指示の前後のセンサ情報を情報処理装置100に送信する(ステップS7)。利用者端末200Dが送金指示、及び送金指示の前後のセンサ情報を情報処理装置100に送信する処理はステップS1と同様の処理であるから、具体例を用いた説明を省略する。
【0020】
情報処理装置100は、利用者端末200Dから受け付けた送金指示に基づいて送金処理を実行する(ステップS8)。情報処理装置100が送金指示に基づいて行う送金処理は、ステップS2と同様の処理であるから具体例を用いた説明を省略する。
【0021】
情報処理装置100は、センサ情報を解析して送金前後の利用者の感情を推定する(ステップS9)。例えば、情報処理装置100は、利用者端末200A、200B、200C、及び200Dから取得したセンサ情報を解析して、利用者U1、U2、U3、及びU4の送金前後の感情を推定する。ここで、センサ情報を解析して送金前後の感情を推定する処理については後述して説明する。
【0022】
情報処理装置100は、送金前後に感情がネガティブに推移した利用者に特定情報を配信することを決定する(ステップS10)。例えば、情報処理装置100が利用者端末200A、200B、200C、及び200Dから取得したセンサ情報を解析して、利用者U1、U2、U3、及びU4の送金前後の感情を推定した所、利用者U1の感情が送金前後においてネガティブに推移したと推定されたとする。この場合、情報処理装置100は利用者U1に特定情報を配信することを決定する。
【0023】
情報処理装置100は、特定情報を配信することを決定した利用者の利用者端末200に特定情報を配信する(ステップS11)。例えば、情報処理装置100はステップS10において特定情報を配信することを決定した利用者U1の利用者端末200Aに特定情報として注意喚起メッセージ10Aを配信する。
【0024】
これにより、情報処理装置100は送金前後において感情がネガティブに推移した利用者の利用者端末200に注意喚起メッセージを配信することができる。したがって、詐欺や恐喝などにより送金前後において感情がネガティブに推移した利用者に注意喚起し、被害救済に繋げることができる。
【0025】
〔1-2.イベントの主催者と特定された利用者に注意喚起メッセージを配信〕
情報処理装置100は、送金履歴を解析して複数の利用者が集まるイベントの主催者を特定し、特定したイベントの主催者が主催するイベントに係る送金前後において感情がネガティブに推移したイベントの主催者に特定情報を配信することを決定する。
【0026】
この情報処理装置100の処理について具体例を用いて説明する。例えば、情報処理装置100は送金履歴を解析して、イベントの主催者を利用者U1と、利用者U2と、特定したとする。なお、情報処理装置100がイベントの主催者を特定する処理の詳細は後述して説明する。情報処理装置100は、イベントの主催者と特定された利用者U1と利用者U2が主催するイベントに係る送金前後の感情を推定する。ここで、情報処理装置100が、利用者U1が主催するイベントに係る送金前後において、利用者U1の感情がネガティブに推移したと推定したとする。この場合、情報処理装置100は、送金前後において感情がネガティブに推移した利用者U1に、特定情報として注意喚起メッセージを配信することを決定する。情報処理装置100は、特定情報を配信することを決定した利用者U1の利用者端末200Aに特定情報として注意喚起メッセージを配信する。
【0027】
これにより、詐欺や恐喝などの被害に遭うと他の利用者にも被害が及ぶイベントの主催者が送金前後に感情がネガティブに推移した場合に注意喚起メッセージを配信することができる。その為、イベントの主催者が詐欺や恐喝の被害に遭って感情がネガティブに推移していた場合に被害救済に繋げることができる。
【0028】
〔1-3.複数の送金が集中してから他の利用者に送金〕
情報処理装置100は、所定の時間の間に複数の利用者から送金を受けた利用者が、送金を受けた所定の時間の後に受け取った送金額以上の金額の送金を行った利用者をイベントの主催者として特定する。
【0029】
この情報処理装置100の処理について具体例を用いて説明する。情報処理装置100は、送金履歴を解析して次の2つの条件を満たす利用者をイベントの主催者と特定する。(条件1)所定の時間の間に複数の利用者から送金を受けている。(条件2)複数の利用者から送金を受けた後の所定の時間の間に、複数の利用者から受けた送金の金額の合計額以上の送金を行っている。
【0030】
なお、イベントの主催者の送金、及び他の利用者からイベントの主催者への送金を概念的に図に示すと
図2に示した図のようになる。
図2は、利用者間の送金履歴を有向グラフにて示す図である。ここで、
図2に示す円は送金元、又は送金先となる利用者、又は事業者を示している。また、
図2に示す矢印は送金が行われる流れを示している。すなわち、
図2においては利用者U2、U3、及びU4から1時間の間に、利用者U1に送金が行われたことを示している。また、
図2においては利用者U1が、利用者U2、U3、及びU4から送金を受けた3時間後に、利用者U1が利用者U2、U3、及びU4から受けた送金の金額の合計額以上を、事業者M1に送金したことを示している。その為、上記の(条件1)の所定の時間を24時間、(条件2)の所定の時間を24時間と設定した場合、
図2に示す利用者U1は(条件1)及び(条件2)を満たす。したがって、この場合、情報処理装置100は利用者U1をイベントの主催者と特定する。
【0031】
情報処理装置100は、イベントの主催者を特定したら、特定したイベントの主催者が主催するイベントに係る送金前後のイベントの主催者の感情を推定する。情報処理装置100は、送金前後において感情がネガティブに推移したイベントの主催者に特定情報を配信することを決定する。情報処理装置100は、特定情報を配信することを決定したイベントの主催者の利用者端末200に、特定情報として注意喚起メッセージを配信する。
【0032】
これにより、情報処理装置100は、イベントの主催者を統一した基準に基づいて特定することが可能となる。また、情報処理装置100は送金前後において感情がネガティブに推移したイベントの主催者の利用者端末200に特定情報として注意喚起メッセージを配信することができる。その為、イベントの主催者が詐欺や恐喝などの被害により感情がネガティブに推移していた場合に被害の救済に繋げることができる。
【0033】
〔1-4.送金履歴の送金日時、及び送金額に基づいてイベントの主催者を特定〕
情報処理装置100は、送金履歴に含まれる送金日時、及び送金額に基づいて、イベントの主催者を特定する。
【0034】
この情報処理装置100の処理について具体例を用いて説明する。まず、情報処理装置100は、送金履歴に含まれる送金日時に基づいてイベントの主催者の候補を特定する。例えば、情報処理装置100は送金日時の条件として、次の条件を満たす利用者を抽出する。(条件3)水曜日の18時から23時、金曜日の18時から23時、又は土曜日の18時から23時のいずれかの時間帯に送金したこと。情報処理装置100は、(条件3)を満たす日時に送金した利用者をイベントの主催者の候補として抽出する。次に、情報処理装置100は、抽出された利用者の中から送金額に基づいてイベントの主催者を特定する。例えば、情報処理装置100は(条件3)を満たす利用者の送金処理において、次の条件を満たす送金処理を実行した利用者を特定する。(条件4)送金額が10,000円以上であること。このように情報処理装置100は、送金日時の条件と、送金額の条件の両方を満たす利用者をイベントの主催者として特定する。情報処理装置100は、イベントの主催者を特定したら、特定したイベントの主催者が主催するイベントに係る送金前後のイベントの主催者の感情を推定する。情報処理装置100は、送金前後において感情がネガティブに推移したイベントの主催者に特定情報を配信することを決定する。情報処理装置100は、特定情報を配信することを決定したイベントの主催者の利用者端末200に、特定情報として注意喚起メッセージを配信する。
【0035】
これにより、情報処理装置100は、イベントの主催者を統一した基準に基づいて特定することが可能となる。また、情報処理装置100は送金前後において感情がネガティブに推移したイベントの主催者の利用者端末200に特定情報として注意喚起メッセージを配信することができる。その為、イベントの主催者が詐欺や恐喝などの被害により感情がネガティブに推移していた場合に被害の救済に繋げることができる。
【0036】
〔1-5.信頼度が所定の値以下の利用者への送金に注意喚起〕
情報処理装置100は、特定の利用者に対する送金前後の他の利用者の感情の推移に基づいて、特定の利用者の信頼度を推定し、送金前後に感情がネガティブに推移したと推定した利用者に加えて、信頼度が所定の値以下の利用者に対して送金した利用者にも、特定情報を配信することを決定する。
【0037】
この情報処理装置100の処理について具体例を用いて説明する。例えば、情報処理装置100は、利用者U1が他の利用者から受けた送金の送金履歴と、その送金前後の送金元の利用者のセンサ情報の解析に基づく感情の推移に基づいて、利用者U1の信頼度を推定する。ここで、利用者の信頼度は0から100の数値で表し、数値が大きいほど利用者の信頼度が高いことを示すとしてよい。また、信頼度の初期値を50と設定してよい。例えば、まだ利用者U1が他の利用者から送金を受けていない場合、信頼度を50と推定する。そして、情報処理装置100は、例えば、他の利用者が利用者U1に送金した場合に、その送金前後に当該他の利用者の感情がネガティブに推移した場合は、その送金によって利用者U1の信頼度が2減少したと推定する。そして、情報処理装置100は、例えば、他の利用者が利用者U1に送金した場合に、その送金前後に当該他の利用者の感情がポジティブに推移した場合は、その送金によって利用者U1の信頼度が2増加したと推定する。このように、情報処理装置100は、特定の利用者に対する送金前後の送金元の利用者の感情の推移に基づいて、特定の利用者の信頼度を推定する。そして、情報処理装置100は、送金前後に感情がネガティブに推移したと推定した利用者に加えて、信頼度が所定の値以下の利用者に対して送金した利用者にも、特定情報を配信することを決定する。ここで、信頼度の所定の値は、例えば、25と設定してよい。情報処理装置100が利用者の送金前後の感情を推定した所、利用者U1が送金前後において感情がネガティブに推移したと推定されたとする。また、利用者U2が、信頼度が20と推定された利用者U3に送金したとする。この場合、情報処理装置100は、送金前後に感情がネガティブに推移したと推定された利用者U1に加えて、信頼度が25以下の利用者U3に対して送金した利用者U2にも、特定情報を配信することを決定する。情報処理装置100は、特定情報として注意喚起メッセージを利用者U1、及び利用者U2の利用者端末200に配信する。
【0038】
これにより、情報処理装置100は、送金前後において感情がネガティブに推移した利用者に加えて、信頼度が所定の値以下の利用者に対して送金した利用者に対しても、特定情報として注意喚起メッセージを配信することができる。その為、利用者が詐欺や恐喝などに被害に遭っていた場合に被害の救済に繋げることができる。
【0039】
〔2.情報システムの構成〕
次に、
図3を用いて実施形態に係る情報システムの構成について説明する。
図3は、実施形態に係る情報システムの構成例を示す図である。
図3に示すように、情報システム1は、情報処理装置100と、利用者端末200と、を含む。なお、
図3に示した情報システム1は、複数台の情報処理装置100や、複数台の利用者端末200が含まれ構成されていてもよい。
図3においては、情報システム1には利用者端末200として利用者端末200Aと、利用者端末200Bと、利用者端末200Cと、利用者端末200Dと、の4台が含まれていることを示している。情報処理装置100と、利用者端末200Aと、利用者端末200Bと、利用者端末200Cと、利用者端末200Dと、は所定の通信網(ネットワークN)を介して、有線又は無線により通信可能に接続される。
【0040】
情報処理装置100は、利用者間の送金処理や、利用者間の送金履歴、利用者端末200から取得した後述して説明するセンサ情報を解析して得られる利用者の感情に基づいて、利用者端末200に特定情報を配信する為に用いられる。情報処理装置100は、例えばPC(Personal Computer)、WS(Work Station)、サーバの機能を備えるコンピュータなどの情報処理装置であってよい。情報処理装置100は、利用者端末200Aと、利用者端末200Bと、利用者端末200Cと、利用者端末200Dと、からネットワークNを介して送信されてきた情報に基づいて処理を行う。
【0041】
利用者端末200は、利用者が利用する情報処理装置である。利用者端末200は、例えば、スマートフォン、タブレット型端末、デスクトップ型PC、ノート型PC、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)等の情報処理装置であってよい。なお、
図1に示す例においては、利用者端末200がスマートフォンである場合を示している。
【0042】
〔3.情報処理装置の構成〕
次に、
図4を用いて、実施形態に係る情報処理装置100の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図4に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130と、を有する。なお、情報処理装置100は、情報処理装置100の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0043】
(通信部110について)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークNと有線または無線で接続され、利用者端末200との間で情報の送受信を行う。
【0044】
(記憶部120について)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図4に示すように、記憶部120は、口座データベース121と、送金履歴記憶部122と、センサ情報記憶部123と、を有する。
【0045】
(口座データベース121について)
口座データベース121は、利用者の口座に関する各種の情報を記憶する。ここで、
図6を用いて、口座データベース121が記憶する情報の一例を説明する。
図6は、実施形態に係る情報処理装置の口座データベースに記憶される情報の一例を示す図である。
図6の例において、口座データベース121は「口座ID」に、「所有者情報」と、「口座残高」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0046】
「口座ID」は、口座を識別するための識別情報を示す。「所有者情報」は、口座を所有する利用者に関する情報を示し、例えば、口座の所有者を識別するための識別情報が格納される。「口座情報」は、利用者が所有する口座の残高を示す。
【0047】
すなわち、
図6においては、口座ID「AID#1」によって識別される口座の所有者の情報が「利用者U1」であり、口座残高が「7,800円」である例を示している。
【0048】
(送金履歴記憶部122について)
送金履歴記憶部122は、利用者/事業者間の送金履歴に係る情報を記憶する。ここで、
図7を用いて、送金履歴記憶部122が記憶する情報の一例を説明する。
図7は、実施形態に係る情報処理装置の送金履歴記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図7の例において、送金履歴記憶部122は「送金処理ID」に、「送金元利用者/事業者ID」と、「送金先利用者/事業者ID」と、「送金日時」と、「送金額」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0049】
「送金処理ID」は、送金処理を識別する為の識別情報を示す。「送金元利用者/事業者ID」は、送金元となる利用者又は事業者を識別する為の識別情報を示す。「送金先利用者/事業者ID」は、送金先となる利用者又は事業者を識別する為の識別情報を示す。「送金日時」は、「送金処理ID」が示す送金処理が実行された日時を示す。「送金額」は、「送金処理ID」が示す送金処理において送金された金額を示す。
【0050】
すなわち、
図7においては、送金処理ID「SM#U1-1」が示す送金処理において、送金元利用者/事業者ID「利用者U1」が示す利用者U1から、送金先利用者/事業者ID「事業者M1」が示す事業者M1に対して、送金日時「20XX年7月25日21時10分」に、送金額「13,200円」が送金されたことを示している。
【0051】
なお、送金履歴記憶部122に記憶される情報は、「送金処理ID」、「送金元利用者/事業者ID」、「送金先利用者/事業者ID」、「送金日時」、及び「送金額」という項目に係る情報に限定されるものではなく、その他の任意の送金履歴に関係する情報が記憶されてよい。
【0052】
(センサ情報記憶部123について)
センサ情報記憶部123は、後述して説明するセンサ情報取得部1321が取得した利用者の感情推定に使用できるセンサ情報を記憶する。
図8を用いて、センサ情報記憶部123が記憶する情報の一例を説明する。
図8は、実施形態に係る情報処理装置のセンサ情報記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図8の例において、センサ情報記憶部123は「利用者ID」に、「センサ種別」と、「計測日時」と、「取得データ」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0053】
「利用者ID」は、センサ情報を取得する対象となる利用者を識別する為の識別情報を示す。「センサ種別」は、利用者の感情推定に使用できるセンサ情報を取得するセンサの種類に係る情報である。「計測日時」は、「利用者ID」が示す利用者の利用者端末200が備える「センサ種別」が示すセンサが利用者のセンサ情報を計測した日時を示す情報である。「取得データ」は、「利用者ID」が示す利用者の利用者端末200から取得した「センサ種別」が示すセンサが計測したデータである。
【0054】
すなわち、
図8においては、利用者ID「利用者U1」が示す利用者が、センサ種別「加速度センサ」が示す加速度センサによって、計測日時「20XX年1月3日21時05分」が示す日時に計測されたセンサ情報が、取得データ「データU1-A」として、センサ情報記憶部123に記憶されていることを示している。
【0055】
なお、センサ情報記憶部123に記憶される情報は、「利用者ID」、「センサ種別」、「計測日時」、及び「取得データ」という項目に係る情報に限定されるものではなく、その他の任意のセンサ情報に関係する情報が記憶されてよい。
【0056】
(感情記憶部124について)
感情記憶部124は、センサ情報に基づいて推定された利用者の送金前後の感情を記憶する。
図9を用いて、感情記憶部124が記憶する情報の一例を説明する。
図9は、実施形態に係る情報処理装置の感情記憶部に記憶される情報の一例を示す図である。
図9の例において、感情記憶部124は、「送金処理ID」、「送金元利用者ID」、「送金先事業者ID」、「感情(送金前)」、「感情(送金後)」という項目に係る情報を紐付けて記憶する。
【0057】
「送金処理ID」は、感情推定が行われた送金処理を識別する為の識別情報を示す。「送金元利用者ID」は、感情推定が行われた送金処理の送金元の利用者の識別情報を示す。「送金先利用者ID」は、感情推定が行われた送金処理の送金先の利用者の識別情報を示す。「感情(送金前)」は、「送金元利用者ID」が示す利用者の送金前の感情の推定結果を示す。「感情(送金元)」は、「送金元利用者ID」が示す利用者の送金後の感情の推定結果を示す。
【0058】
すなわち、
図9においては、送金処理ID「SM#U1-1」が示す送金処理において、送金元利用者ID「利用者U1」が示す利用者U1の送金先事業者ID「事業者M1」が示す事業者M1への送金前の感情が「緊張」であり、送金後の感情が「嬉しい」であることを示している。
【0059】
(制御部130について)
次に
図4に戻って、制御部130について説明する。制御部130は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置100の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0060】
図4に示すように、制御部130は、受付部131と、取得部132と、送金処理部133と、解析部134と、決定部135と、配信部136と、を有する。
【0061】
(受付部131について)
受付部131は、利用者端末200から利用者が入力した送金指示を受け付ける。例えば、受付部131は、送金元となる利用者又は事業者を識別する「送金元利用者/事業者ID」と、送金先となる利用者又は事業者を識別する「送金先利用者/事業者ID」と、利用者又は事業者から入力された「送金額」と、を含む送金指示を利用者端末200から受け付ける。
【0062】
なお、受付部131は、送金指示を事業者が所有する事業者端末から受け付けてもよい。例えば、受付部131は、利用者端末200に表示された利用者を識別するための利用者IDを、事業者端末(店舗端末)が読み取ることで送金指示が行われた場合、当該送金指示を事業者端末から受け付ける。
【0063】
(取得部132について)
取得部132は、情報処理装置100の外部から各種の情報を取得する。
図4に示すように、取得部132は、センサ情報取得部1321を有する。
【0064】
センサ情報取得部1321は、利用者端末200から利用者の感情推定に使用できるセンサ情報を取得する。後述して説明するが利用者端末200には利用者の感情推定に使用できるセンサ情報を計測する各種のセンサ、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサなどが備えられている。すなわち、センサ情報取得部1321は利用者端末200から、これらのセンサが計測したセンサ情報を取得する。なお、センサ情報取得部1321は受付部131が利用者端末200から送金指示を受け付けたら、利用者端末200から送金指示を受け付ける所定の時間の前、及び所定の時間の後に計測されたセンサ情報を取得する。ここで、所定の時間は任意に設定して良く、例えば、30分であってよい。なお、利用者は利用者端末200への送金指示の入力の際に、センサ情報を情報処理装置100に提供すること、及びセンサ情報の利用目的についての説明を受けて、センサ情報の提供に同意するか否かを選択する。センサ情報取得部1321は、利用者がセンサ情報の提供について同意しない場合は、その利用者の利用者端末200からセンサ情報を取得しない。センサ情報取得部1321は、利用者端末200からセンサ情報を取得したら、取得したセンサ情報をセンサ情報記憶部123に記憶する。
【0065】
(送金処理部133について)
送金処理部133は、受付部131が利用者又は事業者から送金指示を受け付けたら、送金指示に基づいて送金処理を実行する。すなわち、送金処理部133は送金元となる利用者の口座から、送金先となる利用者の口座に送金する処理を行う。
【0066】
送金処理部133は、送金指示に含まれる「送金元利用者/事業者ID」、「送金先利用者/事業者ID」、「送金額」の情報に基づいて送金処理を実行する。例えば、「送金元利用者/事業者ID」が示す利用者が利用者U1であり、「送金先利用者/事業者ID」が示す利用者が利用者U2であり、「送金額」が示す送金額が3,000円であったとする。この場合、送金処理部133は、
図6に示す利用者U1の口座ID「AID#1」の口座から、利用者U2の口座ID「AID#2」の口座に3,000円の電子マネーを移行させる処理を実行する。
【0067】
(解析部134について)
解析部134は、各種の情報を解析する。
図4に示すように、解析部134は、送金履歴解析部1341と、感情推定部1342と、信頼度推定部1343と、を有する。
【0068】
送金履歴解析部1341は、送金履歴を解析してイベントの主催者を特定する。具体的な処理について述べると、送金履歴解析部1341は送金履歴記憶部122に記憶された送金履歴を解析して、所定の時間の間に複数の利用者から送金を受けた利用者が、送金を受けた所定の時間の後に受け取った送金額以上の金額の送金を行った利用者をイベントの主催者として特定する。例えば、送金履歴解析部1341は、次の2つの条件を満たす利用者をイベントの主催者と特定する。(条件1)所定の時間の間に複数の利用者から送金を受けている。(条件2)複数の利用者から送金を受けた後の所定の時間の間に、複数の利用者から受けた送金の金額の合計額以上の送金を行っている。ここで、所定の時間は任意に設定してよく、例えば、24時間と設定してよい。送金履歴解析部1341の処理について、
図2に示した具体例を用いて説明する。前述した通り、
図2は、利用者間の送金履歴を有向グラフにて示す図である。
図2においては、利用者U2、U3、及びU4から利用者U1に送金が行われたことを示している。
図2に示すように、利用者U1は利用者U2、U3、及びU4から1時間以内に送金を受けている。したがって、利用者U1は上記の(条件1)を満たす。そして、
図2に示すように、利用者U1は利用者U2、U3、及びU4から送金を受けてから24時間以内に、利用者U2、U3、及びU4から受けた送金の合計額(12,000円)以上の金額を事業者M1に送金している。したがって、利用者U1は上記の(条件2)を満たす。この例の場合、利用者U1が(条件1)、及び(条件2)を満たすことから、送金履歴解析部1341は利用者U1をイベントの主催者と特定する。
【0069】
また、送金履歴解析部1341は、送金履歴記憶部122に記憶された送金履歴に含まれる送金日時、及び送金額に基づいて、イベントの主催者を特定する。例えば、送金履歴解析部1341は、イベントの主催者の送金日時の条件として次の条件を設定する。(条件3)水曜日の18時から23時、金曜日の18時から23時、又は土曜日の18時から23時のいずれかの時間帯に送金したこと。送金履歴解析部1341は、送金履歴を解析して送金日時の条件である(条件3)を満たす送金処理を実行した利用者を特定する。送金履歴解析部1341は、例えば送金額の条件として次の条件を設定する。(条件4)一度の送金額が10,000円以上であること。送金履歴解析部1341は、送金履歴を解析して(条件3)を満たす利用者の送金処理の中から、(条件4)を満たす送金処理を実行した利用者を特定する。送金履歴解析部1341は、送金日時の条件である(条件3)と、送金額の条件である(条件4)の両方を満たす利用者を、イベントの主催者として特定する。ここで、送金日時の条件は、上記の(条件3)に限定するものではなく任意に設定してよい。また、送金額の条件についても、上記の(条件4)に限定するものではなく任意に設定してよい。
【0070】
感情推定部1342は、利用者の感情推定に使用できるセンサ情報を解析して利用者の感情を推定する。後述して説明するが、利用者端末200は利用者の行動情報を計測する加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ、タッチパネル(抵抗膜方式、静電容量方式等)等のセンサや、利用者の生体情報を計測する脈波センサ、皮膚電気活動センサ等のセンサを備える。センサ情報取得部1321が、利用者端末200からこれらのセンサが計測したセンサ情報を取得する。感情推定部1342は、センサ情報取得部1321が取得したセンサ情報を解析することで利用者の感情を推定する。
【0071】
ここで、感情は心理学の分野で広く研究されている。例えば、Russelは様々な感情を覚醒度(Arousal)と感情価(Valence)の2次元の組み合わせで説明する円環モデルを提唱した。覚醒度とは感情が引き起こす身体的及び認知的喚起の程度を示し、高覚醒(興奮)、中覚醒、低覚醒(沈静)に分類できる。感情価とは喚起される感情の質的な違いを定めるものであり、ポジティブ、中立、ネガティブに分類できる。例えば、Russelの円環モデルにおいて高覚醒かつポジティブに位置する感情としては「興奮」が挙げられる。他には、例えば、高覚醒かつネガティブに位置する感情として「緊張」、低覚醒かつネガティブに位置する感情として「退屈」、高覚醒かつポジティブに位置する感情として「嬉しい」、低覚醒かつポジティブに位置する感情として「落ち着き」などが挙げられる。本実施形態においては、Russelの円環モデルを用いて利用者の感情を分類し、利用者の感情の感情価を比較することで、利用者の感情がポジティブな状態にあるか、ネガティブな状態に位置する感情にあるかを把握する。なお、感情価は感情のネガティブ、及びポジティブの程度に応じて複数のレベルに分けてレベルの区分ごとに数値を当て嵌めてもよいし、感情のネガティブ、及びポジティブの程度を直接に数値によって表現してもよい。
【0072】
感情推定部1342は、利用者の一連の行動と利用者の感情との関係性を学習したモデル(例えば、MIL(Multipul Instance Learning)、RF(Randum Forest)、SVM(Support Vector Machine)、MLP(Multilayer Perceptron)の技術を用いて学習したモデル)を用いて、センサ情報取得部1321が取得したセンサ情報に基づいて、利用者の感情を推定してよい。例えば、利用者のタッチパネルの操作、すなわち、タッチ座標、タッチ面積、及びタッチ時間と、利用者の感情との関係を学習した学習モデルに、センサ情報取得部1321が取得した利用者のタッチ座標、タッチ面積、及びタッチ時間を入力することで、利用者の感情を推定してよい。
【0073】
また、感情推定部1342は、利用者の生体情報と利用者の感情との関係性を学習したモデルを用いて、センサ情報取得部1321が取得したセンサ情報に基づいて、利用者の感情を推定してもよい。例えば、利用者の脈波を計測する脈波センサの計測値と、利用者の感情との関係を学習した学習モデルに、センサ情報取得部1321が取得した脈波センサの計測値を入力することで、利用者の感情を推定してよい。
【0074】
信頼度推定部1343は、特定の利用者に対する送金前後の他の利用者の感情の推移に基づいて、特定の利用者の信頼度を推定する。すなわち、信頼度推定部1343は、送金履歴記憶部122に記憶された送金履歴と、感情記憶部124に記憶された利用者の送金前後の感情の推移に基づいて、特定の利用者の信頼度を推定する。ここで、利用者U1の信頼度を推定する例を用いて、信頼度推定部1343の処理について説明する。例えば、信頼度推定部1343は、まだ利用者U1が他の利用者から送金を受けていない場合、利用者U1の信頼度を50と推定してよい。また、例えば、信頼度推定部1343は、利用者U1が受けた送金において、送金元の利用者の感情が送金前後にネガティブに推移した場合は、利用者U1の信頼度が2減少したと推定する。また、例えば、信頼度推定部1343は、利用者U1が受けた送金において、送金元の利用者の感情が送金前後にポジティブに推移した場合は、利用者U1の信頼度が2増加したと推定する。すなわち、信頼度推定部1343は、特定の利用者に送金することによって、特定の利用者に送金した他の利用者の感情が送金前後にポジティブに推移した利用者が多ければ多いほど、その特定の利用者の信頼度が高くなるように、特定の利用者の信頼度を推定してよい。このように、信頼度推定部1343は、特定の利用者に対する送金前後の他の利用者の感情の推移に基づいて、特定の利用者の信頼度を推定する。
【0075】
(決定部135について)
決定部135は、特定情報を配信する利用者を決定する。
【0076】
決定部135は、感情推定部1342が送金前後に感情がネガティブに推移したと推定した利用者の利用者端末200に特定情報を配信することを決定する。例えば、感情推定部1342が、利用者U1が送金前後において感情がネガティブに推移したと推定したとする。この場合、決定部135は、利用者U1の利用者端末200Aに特定情報を配信することを決定する。
【0077】
決定部135は、感情推定部1342がイベントの主催者が主催するイベントに係る送金前後において、感情がネガティブに推移したと推定したイベントの主催者に特定情報を配信することを決定する。例えば、送金履歴解析部1341が送金履歴を解析して、利用者U1、及び利用者U2をイベントの主催者と特定したとする。そして、感情推定部1342が利用者U1、及び利用者U2が主催したイベントに係る送金前後の感情を推定した所、利用者U1が送金前後において感情がネガティブに推移したと推定されたとする。この場合、決定部135は、利用者U1に特定情報を配信することを決定する。
【0078】
決定部135は、感情推定部1342が送金前後に感情がネガティブに推移したと推定した利用者に加えて、信頼度が所定の値以下の利用者に対して送金した利用者にも、特定情報を配信することを決定する。ここで、信頼度の所定の値は任意に設定してよく、信頼度を0から100の値で計算することとした場合は、例えば、信頼度の所定の値は25としてよい。この決定部135の処理について具体例を用いて説明する。例えば、感情推定部1342が送金前後において利用者U1の感情がネガティブに推移したと推定したとする。また、信頼度推定部1343が利用者U2の信頼度が20と推定したにも拘わらず、利用者U3が利用者U2に送金したとする。この場合、決定部135は、送金前後において感情がネガティブに推移したと推定された利用者U1に特定情報を配信することを決定することに加えて、信頼度が25以下の20と推定された利用者U2に送金した利用者U2に対しても特定情報を配信することを決定する。
【0079】
(配信部136について)
配信部136は、決定部135が決定した利用者の利用者端末200に特定情報を配信する。ここで特定情報とは、利用者に提供する情報であって、情報処理装置100の管理者が任意に配信する情報の種類を設定可能な情報である。特定情報は、例えば、クーポン、広告、ニュース、天気予報、乗換案内、株価/為替速報、メッセージ、などであってよい。
【0080】
配信部136は、決定部135が、感情推定部1342が送金前後に感情がネガティブに推移したと推定した利用者の利用者端末200に特定情報を配信することを決定した場合、特定情報として注意喚起メッセージを配信する。ここで、注意喚起メッセージとは、送金について注意喚起するメッセージであって、例えば「その送金は納得したうえで行いましたか。被害相談は以下をクリックして下さい。」などのメッセージと、WEBサイト上に設けられた被害相談窓口へのリンクを含む情報であってよい。
【0081】
〔4.利用者端末の構成〕
次に、
図5を用いて、実施形態に係る利用者端末200の構成について説明する。
図5は、実施形態に係る利用者端末の構成例を示す図である。
図5に示すように、利用者端末200は、通信部210と、入力部220と、出力部230と、制御部240と、センサ部250と、記憶部260と、を有する。
【0082】
通信部210は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部210は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、情報処理装置100との間で各種の情報の送受信を行う。
【0083】
入力部220は、利用者から各種の操作情報が入力される。例えば、入力部220は、タッチパネルにより表示面(例えば出力部230)を介して利用者からの各種操作を受け付けてもよい。また、入力部220は、利用者端末200に設けられたボタンや、利用者端末200に接続されたキーボードやマウスからの各種操作を受け付けてもよい。
【0084】
出力部230は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット型端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。つまり、利用者端末200は、出力部230である表示画面により利用者の入力を受け付け、利用者への出力も行う。
【0085】
制御部240は、例えば、CPUやMPU等によって、利用者端末200に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部240は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。
【0086】
図5に示すように、制御部240は、受付部241と、取得部242と、提供部243と、を有する。
【0087】
受付部241は、利用者又は事業者から送金指示を受け付ける。送金指示は、「送金元利用者/事業者ID」、「送金先利用者/事業者ID」、「送金額」を含む情報である。例えば、利用者U1が利用者U2に3,000円を送金したいと考えた場合、利用者U1は利用者端末200に「送金元利用者/事業者ID」として利用者U1、「送金先利用者/事業者ID」として利用者U2、「送金額」として3,000円を送金指示として入力部220を介して入力し、受付部241は入力された送金指示を受け付ける。
【0088】
取得部242は、利用者からセンサ情報の提供、及びセンサ情報の利用目的についての利用者の意思(同意、又は不同意)を取得する。取得部242は、情報処理装置100に提供するセンサ情報の種類、及びセンサ情報の利用目的を出力部230に表示させて、利用者からセンサ情報の提供、及びセンサ情報の利用目的についての利用者の意思(同意、又は不同意)を取得する。取得部242が、利用者からセンサ情報の提供、及びセンサ情報の利用目的について同意を取得していない場合、及び利用者からこれらについての不同意の意思を取得した場合は、情報処理装置100のセンサ情報取得部1321はこの利用者の利用者端末200からセンサ情報を取得しない。
【0089】
提供部243は、情報処理装置100の配信部136から配信された特定情報を、出力部230を介して利用者に提供する。例えば、情報処理装置100の配信部136が利用者端末200に配信した特定情報が注意喚起メッセージであった場合、提供部243は出力部230に注意喚起メッセージを表示させることで利用者に特定情報を提供する。
【0090】
センサ部250は、所定の情報を計測する計測器である。センサ部250は、情報処理に用いる様々な情報を計測するセンサを有していてよい。例えば、センサ部250は、加速度センサであってよい。加速度センサは、ユーザによる所定の操作の際の利用者端末200の加速度を計測する。加速度センサは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)により可動電極と固定電極を作り、可動電力が動くことによる静電容量の変化と加速度の関係を用いて加速度を計測する静電容量式の加速度センサであってよい。
【0091】
センサ部250は、ジャイロセンサであってもよい。ジャイロセンサは、回転を検知するセンサである。ジャイロセンサは、可動電極に一方向に振動する1次振動を発生させておき、ここに回転が加わると振動方向と90°の方向にコリオリの力が働くことにより2次振動が発生し、静電容量の変化が生じるため、これを検出する静電容量型MEMSジャイロセンサであってよい。静電容量の変化と可動電極の振動位相とにより角速度を求めることができる。
【0092】
センサ部250は、気圧センサであってもよい。気圧センサは、静電容量型MEMS気圧センサであってもよい。静電容量型MEMS気圧センサは、MEMS技術によってシリコン(Si)のダイヤフラム(薄膜振動板)を中空に形成し、ダイヤフラムの表面と裏面の圧力差によってダイヤフラムがたわむことを利用して圧力を計測する。ダイヤフラムと中空部の対向面に電極が形成してあり、ダイヤフラムがたわむとダイヤフラム電極と対向面電極による静電容量が変化するため、この静電容量の変化を計測し、圧力に変換する。
【0093】
センサ部250は、脈波センサであってもよい。脈波センサは、心臓が血液を送り出すことに伴い発生する血管の容積変化を波形として捉えるセンサである。脈波センサは、赤外線や赤色光、550nm付近の緑色波長の光を生体に向けて照射し、フォトダイオード又はフォトトランジスタを用いて、生体内を反射した光を計測する。動脈の血液内には酸化ヘモグロビンが存在し、入射光を吸収する性質があるため、心臓の脈動に伴って変化する血液量(血管の容量変化)を時系列に計測することで脈波信号を得る。
【0094】
センサ部250は、皮膚電気活動(EDA:Electro Dermal Actibity)センサであってもよい。皮膚電気活動(EDA)センサは、皮膚の汗腺(例えば、エクリン腺)から分泌される汗による皮膚の電気活動状態を計測する。皮膚電気活動(EDA)は、皮膚電位(SPA:Skin Potential Actibity)と皮膚コンダクタンス(SCA:Skin Conductance Actibity)に大別され、皮膚電位(SPA)は、皮膚電位水準(SPL:Skin Potential Level)と皮膚電位反射(SPR:Skin Potential Reflex)に区別される。皮膚電位水準(SPL)は、皮膚電位(SPA)の直流成分であり、覚醒水準が高いときは陰性に高い値を示し、眠気を感じた場合や、リラックスした状態では陽性方向の値を示す。皮膚電位反射(SPR)は、皮膚電位(SPA)の交流成分であり、痛覚、触覚、聴覚、視覚などの刺激や深呼吸や身体の動き、暗算や考え事をしているときに皮膚電位反射(SPR)が頻発する。
【0095】
記憶部260は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、SSD、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図5に示すように、記憶部260は、センサ情報記憶部261と、を有する。
【0096】
センサ情報記憶部261は、センサ部250が計測したセンサ情報を記憶する。利用者端末200のセンサ情報記憶部261に記憶される情報は、情報処理装置100のセンサ情報記憶部123に記憶される情報と同じであるから説明を省略する。
【0097】
〔5.情報処理のフロー〕
次に、
図9を用いて、実施形態に係る情報処理装置による情報処理の手順について説明する。
図9は、実施形態に係る情報処理の一例を示すフローチャートである。例えば、情報処理装置100は、利用者が利用者端末200に入力した送金指示を受け付けて、利用者端末200から送金指示の送信の前後のセンサ情報を取得する(ステップS101)。そして、情報処理装置100は受け付けた送金指示に基づいて送金処理を実行する(ステップS102)。なお、ここで、情報処理装置100は実行した送金処理を送金履歴として記憶する。情報処理装置100は取得したセンサ情報に基づいて、送金前後の利用者の感情を推定する(ステップS103)。情報処理装置100は送金前後の利用者の感情がネガティブに推移した利用者に特定情報を配信することを決定する。(ステップS104)。情報処理装置100は特定情報を配信することを決定された利用者の利用者端末200に特定情報を配信する(ステップS105)。
【0098】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る情報処理装置100は、例えば
図10に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図10は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0099】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが記憶される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0100】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、およびスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0101】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0102】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0103】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0104】
例えば、コンピュータ1000が情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、情報処理装置100の制御部130の機能を実現する。
【0105】
〔7.効果〕
本開示に係る情報処理装置100は、送金指示を受け付ける受付部131と、受付部131が受け付けた送金指示に基づく送金処理の内容を送金履歴として記憶する送金履歴記憶部122と、送金履歴記憶部122に記憶された送金履歴を解析する送金履歴解析部1341と、利用者の感情推定に使用できるセンサ情報を取得するセンサ情報取得部1321と、センサ情報を解析して利用者の感情を推定する感情推定部1342と、特定情報の配信先となる利用者を決定する決定部135と、決定部135が決定した利用者の利用者端末200に特定情報を配信する配信部136と、を備え、決定部135は、感情推定部1342が送金前後に感情がネガティブに推移したと推定した利用者の利用者端末200に特定情報を配信することを決定し、配信部136が配信する特定情報が注意喚起メッセージである。
【0106】
この構成によれば、情報処理装置100は送金前後において感情がネガティブに推移した利用者に対して、特定情報として注意喚起メッセージを配信することができる。その為、詐欺や恐喝の被害に遭って感情がネガティブに推移した被害者の被害救済に繋げることができる。
【0107】
また、本開示に係る情報処理装置100の送金履歴解析部1341は、送金履歴を解析して複数の利用者が集まるイベントの主催者を特定し、決定部135は、感情推定部1342がイベントの主催者が主催するイベントに係る送金前後において感情がネガティブに推移したと推定したイベントの主催者に特定情報を配信することを決定する。
【0108】
この構成によれば、情報処理装置100は送金前後において感情がネガティブに推移したイベントの主催者に対して、特定情報として注意喚起メッセージを配信することができる。その為、詐欺や恐喝などの被害に遭うと他の利用者にも被害が及ぶイベントの主催者が、詐欺や恐喝の被害に遭って感情がネガティブに推移していた場合に被害救済に繋げることができる。
【0109】
また、本開示に係る情報処理装置100の送金履歴解析部1341は、所定の時間の間に複数の利用者から送金を受けた利用者が、送金を受けた所定の時間の後に受け取った送金額以上の金額の送金を行った利用者をイベントの主催者として特定する。
【0110】
この構成によれば、情報処理装置100はイベントの主催者を統一した基準に基づいて特定することが可能となる。
【0111】
また、本開示に係る情報処理装置100の送金履歴解析部1341は、送金履歴に含まれる送金日時、及び送金額に基づいて、イベントの主催者を特定する。
【0112】
この構成によれば、情報処理装置100はイベントの主催者を統一した基準に基づいて特定することが可能となる。
【0113】
また、本開示に係る情報処理装置100は、特定の利用者に対する送金前後の他の利用者の感情の推移に基づいて、特定の利用者の信頼度を推定する信頼度推定部1343を、さらに備え、決定部135は、感情推定部1342が送金前後に感情がネガティブに推移したと推定した利用者に加えて、信頼度が所定の値以下の利用者に対して送金した利用者にも、特定情報を配信することを決定する。
【0114】
この構成によれば、情報処理装置100は送金前後において感情がネガティブに推移したと推定された利用者に加えて、信頼度が所定の値以下の利用者に送金した利用者に対しても、特定情報として注意喚起メッセージを配信することができる。その為、利用者が詐欺や恐喝などの被害に遭った場合に被害救済に繋げることができる。
【0115】
本開示に係る情報処理方法は、情報処理装置100が実行する情報処理方法であって、送金指示を受け付けるステップと、送金指示に基づいて送金処理を実行するステップと、送金処理の内容を送金履歴として記憶するステップと、送金履歴を解析してイベントの主催者を特定するステップと、特定されたイベントの主催者のセンサ情報を解析して送金前後の感情を推定するステップと、送金前後の感情がネガティブに推移したイベントの主催者を特定するステップと、特定されたイベントの主催者に特定情報を配信するステップと、を含む。
【0116】
この構成によれば、送金前後において感情がネガティブに推移した利用者に対して、特定情報として注意喚起メッセージを配信することができる。その為、詐欺や恐喝の被害に遭って感情がネガティブに推移した被害者の被害救済に繋げることができる。
【0117】
本開示に係る情報処理プログラムは、送金指示を受け付けるステップと、送金指示に基づいて送金処理を実行するステップと、前記送金処理の内容を送金履歴として記憶するステップと、送金履歴を解析してイベントの主催者を特定するステップと、特定されたイベントの主催者のセンサ情報を解析して送金前後の感情を推定するステップと、送金前後の感情がネガティブに推移したイベントの主催者を特定するステップと、特定されたイベントの主催者に特定情報を配信するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0118】
この構成によれば、送金前後において感情がネガティブに推移した利用者に対して、特定情報として注意喚起メッセージを配信することができる。その為、詐欺や恐喝の被害に遭って感情がネガティブに推移した被害者の被害救済に繋げることができる。
【0119】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0120】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部132は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0121】
100 情報処理装置
110 通信部
120 記憶部
121 口座データベース
122 送金履歴記憶部
123 センサ情報記憶部
124 感情記憶部
130 制御部
131 受付部
132 取得部
1321 センサ情報取得部
133 送金処理部
134 解析部
1341 送金履歴解析部
1342 感情推定部
1343 信頼度推定部
135 決定部
136 配信部
200 利用者端末
N ネットワーク