(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】改良されたハプティックコントローラ
(51)【国際特許分類】
G10H 1/34 20060101AFI20240126BHJP
G10H 1/053 20060101ALI20240126BHJP
G10B 3/12 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
G10H1/34
G10H1/053 D
G10B3/12 130
(21)【出願番号】P 2021502582
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 FR2019051811
(87)【国際公開番号】W WO2020016536
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-04
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516302007
【氏名又は名称】エクスプレスィーヴ
【氏名又は名称原語表記】EXPRESSIVE
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】ノエル,ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ファランシェール,ステファヌ
(72)【発明者】
【氏名】ベロ,アレキサンドル
(72)【発明者】
【氏名】グリマルディ,ヴィクトール
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-150775(JP,A)
【文献】米国特許第04668843(US,A)
【文献】米国特許第06002078(US,A)
【文献】特開平03-067299(JP,A)
【文献】特開平06-149231(JP,A)
【文献】実開昭58-091788(JP,U)
【文献】実開昭61-135393(JP,U)
【文献】特開昭63-146098(JP,A)
【文献】特開平04-171620(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00- 1/46
G10B 1/00- 3/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部(2)と、
複数のアクチュエータ(3)と、
複数の減衰要素(5)と、
を備え、
各アクチュエータ(3)は、主方向に細長い形状を有し、かつ、前記主方向に垂直な旋回軸(4)に沿って前記基部(2)に対して旋回可能に取り付けられており、
各減衰要素(5)は、圧縮方向への前記旋回軸(4)を中心とする1つのアクチュエータ(3)の回転運動を減衰させるように配置されており、
前記複数の減衰要素(5)は、初期構成と最終構成との間で弾性変形可能であり、
各減衰要素(5)は、変形可能な材料による本体(51)を含み、前記本体(51)は、少なくとも2つの凹部(55,57)を有する、
ハプティックコントローラ(1)であって、
前記複数のアクチュエータ(3)のそれぞれは、対応する前記減衰要素(5)と接触するのに適した突起部(315)を有し、各突起部(315)は、その初期構成において前記対応する前記減衰要素(5)との接触を規定する自由端(316)を有し、
各減衰要素(5)は、接触部(53)及びリンク部(52)を有し、前記接触部(53)及び前記リンク部(52)は、前記減衰要素(5)の前記本体(51)の圧縮方向の両端に配置され、かつ、互いに対向しており、
前記少なくとも2つの凹部(55,57)は、前記接触部(53)と前記リンク部(52)との間に位置している、
ことを特徴とするハプティックコントローラ(1)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの凹部(55,57)は、異なる形状を有する、請求項1に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項3】
前記複数の減衰要素(5)は取り外し可能である、請求項1又は2に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項4】
前記基部(2)は、前記圧縮方向への各アクチュエータ(3)の回転変位を制限する当接部を規定する、請求項1から3のいずれか1項に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項5】
前記基部(2)及び前記アクチュエータ(3)は、前記圧縮方向と反対方向への各アクチュエータ(3)の前記回転変位を制限し、かつ、それらに対応する減衰要素(5)上に各アクチュエータ(3)の初期位置を定める当接部を規定するように連携する手段を備え、前記減衰要素(5)は、前記アクチュエータ(3)によって予圧が付与されている、請求項4に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項6】
前記複数のアクチュエータ(3)のそれぞれは、触覚部(31)及び脚部(32)を備え、前記触覚部(31)は、前記旋回軸(4)によって規定された方向へ前記脚部(32)に対して並進運動可能である、請求項1から5のいずれか1項に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項7】
各アクチュエータ(3)の前記脚部(32)は、前記基部(2)との旋回リンクを規定する旋回部(33)を備え、前記旋回部(33)は、それぞれが前記旋回軸(4)に垂直な平面において延びる2つの平行なスラット(341,342)によって前記触覚部(31)に接続されている、請求項6に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項8】
各アクチュエータ(3)の前記脚部(32)は、前記基部(2)との前記旋回リンクを規定し、かつ、前記旋回軸(4)に垂直かつ前記主方向に垂直な軸に沿った前記アクチュエータ(3)の回転変位を可能にする旋回部(33)を備える、請求項7に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項9】
前記基部(2)は、前記基部(2)から突出する複数の要素(8)を備え、各要素(8)は、前記旋回軸(4)に平行な方向において1つのアクチュエータ(3)の前記脚部(32)の2つの壁に対して支持されるように構成されている、請求項6から8のいずれか1項に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項10】
前記複数のアクチュエータ(3)は、前記旋回軸(4)を中心とする前記アクチュエータ(3)の回転に応じた可変的な並進変位を可能とするように構成されている、請求項1から9のいずれか1項に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項11】
前記減衰要素(5)は、前記旋回軸(4)に垂直な方向に又は前記旋回軸(4)に平行な方向に延びるリンク部(52)によって前記基部に接続されている、請求項1から10のいずれか1項に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項12】
前記減衰要素(5)は可変的な厚さを有し、前記厚さは、前記圧縮方向に垂直な軸に沿った前記減衰要素(5)の最小寸法である、請求項1から11のいずれか1項に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項13】
各減衰要素(5)の前記本体(51)は、前記旋回軸(4)に平行な軸に沿って円筒形状を有し、各減衰要素(5)の前記少なくとも
2つの凹部(55,57)は、前記旋回軸(4)によって規定された方向に貫通している、請求項1から12のいずれか1項に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項14】
各アクチュエータ(3)は、前記旋回軸(4)に沿って前記基部(2)とは別の2つの旋回リンクを形成する2つの異なるリンク要素(321,322)を備える、請求項1から13のいずれか1項に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項15】
前記複数の減衰要素(5)は、前記対応するアクチュエータ(3)の回転に応じた2つの異なるプロファイルを有する減衰に対抗することによって、前記アクチュエータ(3)の前記回転運動を減衰させるように構成され、第1プロファイルから第2プロファイルへの移行は、前記アクチュエータ(3)の回転に応じた減衰曲線の変わり目を規定する、請求項1から14のいずれか1項に記載のハプティックコントローラ(1)。
【請求項16】
前記旋回軸(4)を中心とする前記アクチュエータ(3)の回転変位に関する情報を提供するのに適した一組のセンサと、
各アクチュエータ(3)の位置に応じて送信される信号を調節するのに適した信号処理ユニットと、
をさらに備える、請求項1から15のいずれか1項に記載のハプティックコントローラ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、音楽の分野で使用されるコントローラの分野に関し、より正確には、キーボード型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キーボード型の機器は、特に、複数の多様な音及び信号を制御かつ生成する能力を有するため、音楽の分野で一般的に使用されている。
【0003】
しかし、この機器は、まさしくその構造、すなわちピアノ型キーボードの構造によって、一般的に制限を受ける。特に、ピアノ型キーボードによって生み出される感覚を可能な限り最も忠実に再現することを目的として、多数の装置が提案されている。
【0004】
特に知られているのは、伝統的なピアノとは異なる装置であって、特定の音を演奏するための連続的な制御の必要性に応えることを目的とする装置であり、これらの装置の機能の1つは一般的に「アフタータッチ」という用語で呼ばれる。しかし、今日提案されているこれらの装置は、非常に制限された機能を有し、実際に満足のいく演奏という点を満たすには制御の度合いが小さすぎる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、従来のキーボードよりも多数かつ多様なセットポイントを可能とするコントローラの提案が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
基部と、
複数のアクチュエータと、
複数の減衰要素と、
を備え、
各アクチュエータは、主方向に細長い形状を有し、かつ、前記主方向に垂直な旋回軸に沿って前記基部に対して旋回可能に取り付けられており、
各減衰要素は、圧縮方向への前記旋回軸を中心とする1つのアクチュエータの回転運動を減衰させるように配置されており、
前記複数の減衰要素は、初期構成と最終構成との間で弾性変形可能であり、
各減衰要素は、変形可能な材料による本体を含み、前記本体は、少なくとも1つの凹部を有する、
ハプティックコントローラに関し、
前記複数のアクチュエータのそれぞれは、対応する前記減衰要素と接触するのに適した突起部を有し、各突起部は、その初期構成において前記対応する前記減衰要素との接触、例えば線接触、を規定する自由端を有する、ことを特徴とする。
【0007】
一例によれば、各減衰要素の前記本体は、少なくとも2つの凹部を有する。
【0008】
前記少なくとも2つの凹部は、典型的には異なる形状を有する。
【0009】
一例によれば、前記複数の減衰要素は取り外し可能である。
【0010】
一例によれば、前記基部は、前記圧縮方向への各アクチュエータの回転変位を制限する当接部を規定する。
【0011】
一例によれば、前記基部及び前記アクチュエータは、前記圧縮方向と反対方向への各アクチュエータの前記回転変位を制限し、かつ、それらに対応する減衰要素上に各アクチュエータの初期位置を定める当接部を規定するように連携する手段を備え、前記減衰要素は、前記アクチュエータによって予圧が付与されている。
【0012】
一例によれば、前記複数のアクチュエータのそれぞれは、触覚部及び脚部を備え、前記触覚部は、前記旋回軸によって規定された方向へ前記脚部に対して並進運動可能である。
【0013】
次に、各アクチュエータの前記脚部は、典型的には、前記基部との旋回リンクを規定する旋回部を備え、前記旋回部は、それぞれが前記旋回軸に垂直な平面に延びる2つの平行なスラットによって前記触覚部に接続されている。
【0014】
一例によれば、各アクチュエータの前記脚部は、前記基部との旋回リンクを規定し、かつ、前記旋回軸に垂直かつ前記主方向に垂直な軸に沿った前記アクチュエータの回転変位を可能にする旋回部を備える。
【0015】
一例によれば、前記基部は、前記基部から突出する複数の要素を備え、各要素は、前記旋回軸に平行な方向へ1つのアクチュエータの前記脚部の2つの壁に対して、典型的には、前記旋回軸に平行な方向へ1つのアクチュエータの前記脚部の対向する2つの内壁又は2つの外壁に対して、支持されるように構成される。
【0016】
一例によれば、前記基部は、前記基部から突出する複数の要素を備え、各要素は、前記旋回軸に平行な方向へ1つのアクチュエータの前記脚部の2つの内壁に対して支持されるように構成される。この場合の前記要素は、典型的にはロッドである。
【0017】
オプションとして、前記複数のアクチュエータは、前記旋回軸を中心とする前記アクチュエータの回転に応じた可変的な並進変位を可能とするように構成される。
【0018】
オプションとして、前記減衰要素は、前記旋回軸に垂直な方向に又は前記旋回軸に平行な方向に延びるリンク部によって前記基部に接続されている。
【0019】
一例によれば、前記減衰要素は可変的な厚さを有し、前記厚さは、前記アクチュエータと前記減衰要素との間の接触、場合によっては線接触、によって、又は場合によっては前記旋回軸によって、規定された方向で測定される。
【0020】
一例によれば、各減衰要素の前記本体は、前記旋回軸に平行な軸に沿って、例えば回転による、円筒形状を有し、各減衰要素の前記少なくとも1つの凹部は、前記旋回軸によって規定された方向に貫通している。
【0021】
一例によれば、各アクチュエータは、前記旋回軸に沿って前記基部とは別の2つの旋回リンクを形成する2つの異なるリンク要素を備える。
【0022】
一例によれば、前記複数の減衰要素は、前記対応するアクチュエータの回転に応じた2つの異なるプロファイルを有する減衰に対抗することによって、前記アクチュエータの前記回転運動を減衰させるように構成され、第1プロファイルから第2プロファイルへの移行は、前記アクチュエータの回転に応じた減衰曲線の変わり目を規定する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の一態様に係る装置の例を示す。
【
図9】
図9は、アクチュエータの押下に応じた装置の減衰を表すグラフである。
【
図10】
図10は、本発明の一態様に係る装置の別の実施形態の図を示す。
【
図11】
図11は、本発明の一態様に係る装置の別の実施形態の図を示す。
【
図12】
図12は、本発明の一態様に係る装置の別の実施形態の図を示す。
【
図13】
図13は、本発明の一態様に係る装置の別の実施形態の図を示す。
【
図14】
図14は、本発明の一態様に係る装置の別の実施形態の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明及びその利点は、非限定的な例によって示された本発明のいくつかの異なる実施形態について以下に提供される詳細な説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。この説明は、添付された図面を参照している。
【0025】
すべての図面において、同一の要素は、共通の数値符号で表示されている。
【0026】
図1から4は、本発明の一態様に係る装置1の例を示している。
【0027】
図面に示されているのは、基部2、及び、ここではピアノ型キーボードを形成するように構成された複数のアクチュエータ3を備える装置1であり、アクチュエータ3は、ここではピアノのキーを形成している。
【0028】
アクチュエータ3は、それぞれ、基部2の旋回軸4と同じ旋回軸4を中心とする旋回リンクを介して基部2に対して回転運動可能に取り付けられている。旋回軸4は、一直線に並べられた複数の軸を持つ複数のセグメントから、又は一つの連続する軸によって形成されうる。ただし、基部2に対するアクチュエータ3の共通の回転軸を確保できることを条件とする。より一般的には、旋回軸4は、一般的に、基部2に対するアクチュエータ3の回転軸を示すが、必ずしも物理的要素に対応するわけではない。アクチュエータ3は、それぞれ、旋回軸4に垂直な主方向に延びている。
【0029】
旋回リンクは、いくつかの異なる方法で達成されうる。図示された実施形態は、軸を形成している要素によって達成された旋回リンクを示しており、軸の周囲には、円筒形状のスリーブを形成しているアクチュエータ3のセグメントが配置されている。しかし、この実施形態は限定的なものではないことが理解される。旋回リンクは、他の適切な方法で達成されうる。ただし、基部2に対するアクチュエータ3の相対運動が回転運動に制限されることを条件とする。
【0030】
よって、アクチュエータ3は、典型的には、押下として規定された方向に、旋回軸4を中心とするアクチュエータ3の回転運動を引き起こすために、所定のアクチュエータの一部に圧力を付与するユーザによって操作されうる。
【0031】
押下方向へのこの回転運動は、各アクチュエータ3と基部2との間に配置された減衰要素5によって減衰される。よって、装置1は、典型的に、アクチュエータ3と同じ数の減衰要素5を備える。
【0032】
押下方向への各アクチュエータ3の回転運動は、典型的には、基部2のストッパー(又は当接部)24によって制限され、ストッパー(又は当接部)24は、押下方向への各アクチュエータの最大回転を規定するように構成される。よって、押下方向への各アクチュエータ3の回転運動は、典型的には、ユーザがアクチュエータ3に力を付与しない初期位置と、アクチュエータ3と対応するストッパー24とが接触している押下位置との間で達成される。
【0033】
図1から4に示された例では、基部は2つの部分2A及び2Bからなり、基部の第1部分2Aは旋回軸4の支持部を形成し、基部の第2部分2Bは減衰要素5の支持部を形成している。このタイプの実施形態では、基部2の2つの部分2A及び2Bは、典型的には、異なる構成要素の整列を確実にするために同じ基部に固定される。
【0034】
押下方向と反対の方向への回転運動については、アクチュエータ3の上昇又はアクチュエータ3のリバウンド作用を防ぐために、典型的には、基部2によって形成されたストッパーによって制限される。
図1に示された例では、基部2は、旋回軸4付近のアクチュエータ3の一部を覆うカバー26を形成している部分を有する。カバー26を形成しているこの部分は、典型的には、複数のスロット261を有し、スロット261は、例えば、ネジ棒などの調整可能なストッパーがその中に挿入されることを可能とし、これにより、押下方向と反対方向へのアクチュエータ3の回転運動を制限することを可能とする。このタイプのストッパーを追加することにより、特に、初期位置において(つまり、ユーザがアクチュエータ3に力を付与していないとき)異なるアクチュエータの整列を確実にすることができ、かつ、アクチュエータ3の初期位置を、対応する減衰要素5に、規定することもできる。減衰要素5は、初期位置への復帰、及び各アクチュエータ3とその減衰要素5との接触の維持の両方を確実にするために、アクチュエータ3によって予圧が付与されている。
【0035】
予圧は、特に減衰要素5の形状及び寸法に依拠することが理解される。減衰要素のサイズの増加は、予圧の増加を引き起こし、逆に、減衰要素のサイズの減少は、予圧の減少を引き起こす。
【0036】
差し当たって、特に
図2及び3を参照して、アクチュエータ3の構造の例を説明している。
【0037】
図示されるようなアクチュエータ3は、アクチュエータの自由端を形成している触覚部31と、基部2の旋回軸4と旋回リンクを形成している旋回部33を備えた脚部32とを備える。
【0038】
触覚部31は、ユーザによって操作されることが意図されたアクチュエータ3の一部である。よって、それは、典型的には、平坦な上面及び下面を有し、上面は、ユーザの感覚を向上させるために、触覚部31を取り囲むベニヤ板又は他の要素などのコーティングを備えうる。ユーザは、また、脚部32を介してアクチュエータ3を操作しうることが理解される。
【0039】
2つの異なる平面において延び、かつ、それぞれが旋回軸4に垂直な2つの平行なスラット341及び342を備える中間部34は、典型的には、各アクチュエータ3の、触覚部31と脚部32との間のリンクを実現する。スラット341及び342は、典型的には弾性材料で、又は、より一般的にはユーザ側に適度な力がかかったときに弾性変形が生じることを可能にする材料で作られており、例えば、プラスチック材料(例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート又はポリオキシメチレン)、金属材料(例えば、鋼又はステンレス鋼)で作られている。
【0040】
このタイプの中間部34は、旋回軸4によって規定された方向への脚部32に対する並進運動31を可能とし、したがって、アクチュエータ3に付加的な自由度を提供する。一例として、この並進運動は、音楽処理のための「ビブラート」型の信号を送信することを可能としうる。
【0041】
代替的には、各アクチュエータ3と旋回軸4との間で達成された旋回リンクは、旋回軸4に垂直で、かつ当該アクチュエータ3の主方向に垂直な軸に沿う制限された回転運動を可能とするように構成されている。よって、このタイプの実施形態によれば、ビブラート効果が達成できるように、アクチュエータ3の自由端の適度な変位が可能となる。
【0042】
アクチュエータ3の触覚部31は、典型的には、上面から下面に向かって減少する横断面を有する。このことは、1つのアクチュエータ3がユーザによって圧力を受け、これにより、隣接するアクチュエータ3に対して旋回軸4を中心とする回転運動が行われたとき、より大きな並進変位の提供を可能とする。よって、
図6及び7は、その中立位置にある(つまり、ユーザによって付与された力がない場合の)1つのアクチュエータ3と、押下位置にある(つまり、ユーザによって付与された力の影響下で旋回軸4を中心とする回転運動が行われている)1つのアクチュエータ3との間における並進変位の違いを図示している。
図6のd1及びd2がそれぞれ示しているのは、隣接する1つのアクチュエータに向かうこれら2つの位置において起こりうる変位である。この変位の度合いは、当該アクチュエータに隣接するアクチュエータの横断面の減少に応じて増加することが見て取れる。横断面の変化は、徐々に変化する変位の度合いを有することを要するのか、それとも直ちに最大値に達するのかに応じて調整されうる。よって、横断面の変化は、勾配又は切り欠きを形成しうる。
【0043】
図示された例では、各アクチュエータ3の上面3は薄板であり、二等辺台形状の遷移部35が続き、よって、アクチュエータ3の厚みが、アクチュエータ3の上面から下面、そして、台形部分の最小の脚部に続く長方形の横断面を持つ部分に向かって、薄くなっていることが見て取れる。
【0044】
このように、用途に関して、これらの特徴は、当該アクチュエータにユーザがより大きな圧力を付与するとき、ユーザがより大きなビブラート動作を実行できることを可能とする。
【0045】
示された例では、アクチュエータ3の脚部32は、2つの異なる腕部321及び322を備え、それぞれが旋回軸4とリンク要素を形成し、これにより、基部2の旋回リンクとは別の2つの異なる旋回リンクを規定している。
【0046】
このような実施形態は、基部2とアクチュエータ3との間の旋回リンクの幅を増加させることを可能とし、これにより、この旋回リンクから生じる半径方向の隙間を最小化することが可能となる。
【0047】
このタイプの実施形態では、アクチュエータ3の異なる2つの腕部は、典型的には、互い違いに配置され(特に、
図1の1つの区域の部分分解図である
図3に見られるように)、そのため、同一のアクチュエータの2つの腕部321と322との間に、隣接するアクチュエータの1つ又は2つの腕部が挿入され、これにより、アクチュエータ3と基部2との間のすべての旋回リンクを作るために必要な体積を最小に抑えつつ、既述したように旋回リンクの幅を増加させることを可能とする。
【0048】
所望の構成に応じて、装置1は、異なる形状を有するアクチュエータ3を有しうる。
図1に示された例では、ピアノキーボードに類似のキーボードを形成するように、アクチュエータ3が2つの異なるタイプに区別されている。
【0049】
既述したように、減衰要素5は、押下方向とみなされる方向へのアクチュエータ3の回転運動を減衰するように、各アクチュエータ3と基部2との間に配置されており、押下方向は、当該アクチュエータ3の触覚部31の上面にユーザが圧力を付与したときにおけるアクチュエータ3の回転方向に対応している。
【0050】
異なる減衰要素5は、別個のものでありうるか、又は脚部若しくはストリップによって連結されたサブアセンブリにグループ化されうる。例えば、減衰要素5の全部又は一部を単一の部品で作ることが可能であり、異なる減衰要素5は、回転軸に沿って延びるストリップ又はバーによって連結されている。
【0051】
示された例では、減衰要素5は、アクチュエータ3の触覚部31の下方に配置され、各アクチュエータの下面は、対応する減衰要素5と接触するのに適した自由端316を有する突起部315を備える。
【0052】
各減衰要素5について規定されるのは、変形がない場合の、典型的には、対応するアクチュエータ3に力が加えられないときの減衰要素の形状に対応する初期構成、及び、対応するアクチュエータ3の変位時の減衰要素5の最大変形に対応する最終構成であって、典型的には、アクチュエータ3に対応するストッパー24によって決定される最終構成である。
【0053】
突起部315及び減衰要素5は、減衰要素5がその初期構成の状態にあるとき、接触を、典型的には線接触を、規定するように構成されている。よって、各突起部315は、対応するアクチュエータ3の表面から突出し、減衰要素5と接触する自由端316を有している。
【0054】
線接触とは、突起部315と減衰要素5との間の少なくとも1つの線接触を意味する。線接触は、構成要素の変形に起因して、必然的に所定の表面に及ぶことが理解される。線形の概念は、構成要素のそれぞれの寸法を参照して理解されるべきである。
【0055】
各突起部の自由端316は、典型的には、円弧を形成する横断面を有し、これにより、減衰要素5を損傷させることがない。
【0056】
突起部315は、典型的には、
対応する減衰要素5の高さよりも大きい、又は、典型的には、対応する減衰要素の高さの半分よりも大きい、垂直方向に測定された長さと、
旋回軸4によって規定された方向で測定された対応する減衰要素5の幅よりも大きい、又は、旋回軸4によって規定された方向で測定された対応する減衰要素5の幅の1倍から4倍若しくは1倍から3倍の幅を有する、旋回軸4によって規定された方向に測定された幅と、
水平方向に測定された厚みであって、図示された例では、減衰要素5の円筒形状の本体51の直径に対応する、旋回軸4に垂直な水平方向における円筒の寸法の最大厚さの3分の1又は4分の1より小さい旋回軸4に垂直な厚みと、
を有する。
【0057】
示されるような減衰要素5は、一般的なT字形状を有する突出部を形成するリンク部52を備えた一般的な円筒形状を有し、これにより、基部2へのその取り付けが容易になる。
図5は、
図1及び4に図示された減衰要素5の側面図を示している。また、減衰要素3について規定されるのは、アクチュエータ3と接触するのに適した減衰要素3の部分に対応する接触部53である。図示された例では、接触部53は、アクチュエータ3の突起部315と接触するのに適した減衰要素5の部分である。接触部53及びリンク部52は、典型的には、減衰要素5の本体51の両端に配置され、これら2つの部分は互いに対向している。接触部53及びリンク部52によって規定された方向に対応して、減衰要素5の圧縮方向が規定される。特に
図4及び5に図示された例では、圧縮方向は垂直であり、減衰要素5の本体51の円筒形状セクションの直径を形成している。圧縮方向は、
図5ではZ-Z軸で規定されている。
【0058】
突起部315は、典型的には、Z-Z軸によって規定された圧縮方向に延びている。
【0059】
減衰要素5は、一般的な円筒形状を有する変形可能な材料、例えば、シリコーン又はエラストマー材料で作られた本体51を備える。円筒形状の本体51は、典型的には、円筒体の1つの回転軸が旋回軸4と同一直線上にあるように配置されている。本体51は、少なくとも1つの凹部を有している。図示された例では、本体51は、異なる形状を有する2つの別個の凹部55及び57を有し、これらの凹部は、典型的には、貫通している。
【0060】
図示された例では、2つの凹部55及び57は、減衰要素5の圧縮方向に互いに重ね合わされるように形成されている。よって、減衰要素の本体51は、第1部分5A及び第2部分5Bという2つの部分に細分されうる。第1部分5A及び第2部分5Bはそれぞれ、典型的には、圧縮方向に垂直な平面に沿った接触箇所を有する半円筒に対応している。2つの部分5A及び5Bは必ずしも等しい訳ではなく、それらは、一般的に、圧縮方向に垂直な平面に沿って分割された本体51の2つの部分から構成されうる。そのような平面及び本体51の2つの部分への分割の例は、X-X軸によって示されている。
【0061】
第1部分5Aは、接触部53を備える本体51の部分と定義され、第2部分5Bは、リンク部52を備える本体51の部分と定義される。第1部分5Aは第1凹部55を備える。第1凹部55は、一般的な半円筒形状を有する横断面を有し、湾曲部分と半円筒の直径との間に形成された角は丸みを帯びている。したがって、第1凹部55は、半円形状の横断面を有し、その頂上部は丸みを帯びており、圧縮方向に垂直な脚部を有している。第2部分5Bは、圧縮方向を規定するZ-Z軸を中心とし、かつ、それに対して対称な楕円形状の横断面を有する第2凹部57を備える。
【0062】
図5に示された実施形態では、第1凹部55は、第1部分5Aの大半の部分を占め、第2凹部57は、第2部分5Bのほんの一部分を占める。その結果、第1部分5Aは、減衰要素5の本体51の第2部分5Bよりも剛性が低い。
【0063】
実際には、アクチュエータ3の変位中に、アクチュエータ3は、圧縮方向に減衰要素5の圧縮を生じさせる。第1部分5Aは、剛性がより低いので、最初に変形し、これにより、第1減衰プロファイルを定義する。第1部分5Aが完全に変形し、その結果、圧縮方向において第1部分5Aが連続状態になると、直ちに第2部分5Bが変形し、これにより、第2減衰プロファイルを定義する。ただし、第2部分5Bの剛性が第1部分5Aの剛性よりも大きいことを条件とする。
【0064】
突起部315は、減衰要素5との接触面を少ないまま保つように、特に、減衰要素5の変形中に面接触が形成されることを回避するために、構成されている。これにより、減衰要素5の起こりうる変形が制限される。
【0065】
図8は、
図1に示された装置の代替的な構成を示している。この図に示されているのは、単一のアクチュエータ3を備える装置1であり、この変形例は、
図1を参照して既に示したように、複数のアクチュエータ3を備える装置1に適用しうることが理解される。
【0066】
この実施形態では、減衰要素5は、アクチュエータの「後方」区域、つまり、触覚部31の反対側にあるものとみなされる。減衰要素もまた基部2に固定されている(基部2の部分2Aが、旋回軸4の支持部を形成している)が、圧縮方向はここでは水平であり、かつ、ユーザによるアクチュエータ3への力の付与方向に実質的に垂直である。既に前述した実施形態に関して、ここでは、突起部315が、Z-Z軸によって規定された圧縮方向の連続方向に延びていることが分かる。この実施形態は、アクチュエータ3の触覚部31の並進運動とアクチュエータ3の回転運動とを相関無きものとすることを可能とする。
【0067】
実際、特に
図1に示された実施形態では、減衰要素5は、アクチュエータ3の触覚部31から延びている突起部315と接触して位置決めされている。その結果として、減衰要素5は、アクチュエータ3の旋回軸4に沿った並進運動に対する抵抗力に対抗する。この抵抗力は、減衰要素5の変形に応じて変化する。よって、減衰要素5によって対抗される抵抗力は、減衰要素5の特性及びアクチュエータ3の位置に依拠する。
【0068】
さらに、減衰は、減衰要素5と基部2との間のリンクに応じて変化しうることに留意されたい。減衰要素5のリンク部52が考慮される場合、このことは、典型的には、旋回軸4に沿って又は旋回軸4に垂直に延びるリンクを規定しうる。旋回軸4に垂直に延びるリンク部52の場合、このことは、基部2との接触点を中心とする減衰要素5のわずかな回転変位を可能とし、これにより、減衰要素5は、ビブラート型の動作においてアクチュエータ3の並進変位を伴いうる。逆に、旋回軸4に平行に延びるリンク部52の場合、アクチュエータ3の並進変位は、減衰要素5の変形を引き起こす。これにより、減衰要素5は、旋回軸4に垂直に延びるリンク部を有することを除いて同一である減衰要素5の抵抗よりも大きい抵抗に対向する。次に、当該減衰要素5に隣接するストッパー24は、減衰要素5の起こりうる変形を制限するという点で影響力を持つ。実際、ストッパー24が高いほど、減衰要素5の一部がより制限され、したがって、減衰要素5は、触覚部31の並進運動に対するかなりの力により対抗することが理解される。
【0069】
これに対して、
図8に示された実施形態では、減衰要素5と接触している突起部315は、触覚部31から延びていないか、又はより一般的には、旋回軸4に沿って並進運動可能であるアクチュエータ3の一部から延びていない。その結果として、アクチュエータ3の触覚部31の並進運動は、減衰要素5と接触しているアクチュエータ3の一部が並進的運動を実行しない限りは、減衰要素5によって影響を受けない。
【0070】
この構成の操作は、前述した実施形態の操作に対して変更されない。
【0071】
図9は、アクチュエータ3によって加えられるような圧縮力を受けたときの減衰要素5の挙動を模式的に示すグラフである。
【0072】
このグラフに示されているのは、水平軸における減衰要素5の変形、及び垂直軸においてアクチュエータ3によって減衰要素5に加えられた力である。したがって、グラフは力/押下が規定されたグラフである。説明のために、減衰要素5の変形のいくつかの例も、グラフの異なる点に示されている。
【0073】
グラフには、第1セクションS1、次に、点Pが示されており、第1セクションS1において、曲線は非線形プロファイルを有し、点Pにおいて、曲線は典型的には第2セクションS2の線形プロファイルを呈するようになる。
【0074】
第1セクションS1は、平方根タイプの曲線に類似する一般的なプロファイルを有する。よって、減衰要素5の変形が開始するとき、減衰要素5は比較的高い剛性に対抗しており、その後、剛性は減少し、ユーザにより加えられた力の非常に小さな変化によって、変形が比較的大きな程度に調節されることが見てとれる。この第1セクションS1は、減衰要素5の第1部分5Aの変形に対応する。実際、変形の開始は、圧縮方向への材料の曲げに対応することが理解される。初期変形が達成されると、減衰要素5は、第1凹部の変形により圧縮方向への第1部分5Aの連続状態が生ずるまで、第1凹部55の全高(ここでは、圧縮方向で測定される高さ)にわたって変形できるようになる。
【0075】
第2セクションS2は、減衰要素5の第2部分5Bの変形、つまり、第2凹部57の押しつぶしに対応する。突起部315が、基部2に対応するストッパー24と接触するとき、トレースは止まる。ストッパー24は硬いので、その後のアクチュエータ3の変位は不可能である。基部2にストッパー24がない場合には、減衰要素5が完全に圧縮されるとき、トレースが止まる。これは、特に、圧縮方向における第2部分5Bが連続状態を有すること、つまり、
図9に模式的に示されているように、第2凹部57の押しつぶしによって明らかとなりうる。
【0076】
既述したように、第2凹部57の横断面は、第1凹部55の横断面に対して縮小されている。
【0077】
したがって、減衰要素5は、ここではより高い剛性を有し、このことは、第2セクションS2におけるトレースの急勾配によって明らかである。さらに、この例では、第2凹部57は、第2セクションS2が線状であるような寸法を有している。
【0078】
2つの異なるセクションS1及びS2を有するこのトレースは、本発明に係るシステムの特徴である。実際、このことは、コントローラ3を作動しているユーザが2つの異なる感覚を得ることを可能とし、これにより、2つの異なるレベルの制御を規定することを可能にする。点Pは、ユーザが感じうるトレースの曲線の変わり目を表わしている。よって、提案される装置1は、例えば、グラフの第1セクションS1にあるときの第1タイプの制御、及びグラフの第2セクションS2にあるときの第2タイプの制御を規定することを可能にする。より一般的には、装置1は、曲線の変わり目の間のストップ感覚に加えて、アクチュエータ3の変位を減衰させるための2つの異なるプロファイルを得ることを可能にし、これにより、ユーザに力のフィードバックを与え、したがって、ユーザに2つの異なる制御感覚を与える。
【0079】
図9に示されたグラフを見ると、アクチュエータ3の回転運動を制限するストッパーを形成する要素の寸法により曲線に境界がつけられ、アクチュエータ3が減衰要素5に対応する圧縮レベルを達成するために必要な位置に到達するのを妨げるストッパーの存在によって、達成されない曲線の一部が規定されうることが理解される。よって、アクチュエータ3の回転運動を制限するストッパーを形成する要素の寸法とともに減衰要素5の寸法は、ユーザの感覚を変更することを可能にする。
【0080】
図10、11、12、13及び14は、本発明の一態様に係る装置1の別の例を示している。
【0081】
この実施形態では、アクチュエータ3と基部2との間の旋回リンクは、これら要素のうちの一方から突出する形状を規定する表面、及びこれら要素のうちの他方で達成される逆の形状によって達成される。よって、図示した例では、アクチュエータは、三角形状の横断面を有するフィン361を有する。基部2は、同じように三角形状の横断面を有するが、より大きな横断面を有する溝261を有する。したがって、アクチュエータ3が基部2の上に設置されるとき、これら表面は、フィンの先端と溝との接触に対応する軸に沿って、基部2に対するアクチュエータ3の回転運動を可能にする。
【0082】
基部3とのアクチュエータ3の接触の維持を確実にするために、引張バネ6は、引張力を発揮するように配置されており、その方向は、各アクチュエータ3と基部2との間で接触する前記表面によって規定される旋回軸を中心とする。よって、引張バネ6は、引張バネ6によって加えられた力の方向が旋回軸4を通り抜ける方向である限りは、旋回運動に影響を与えることなくシステムの耐久性を確保する。
【0083】
示されるような基部2は、各アクチュエータ3の脚部32について横方向のストッパーを規定するように構成された複数の垂直ロッド8を有する。より正確には、垂直ロッド8は、各アクチュエータ3に設けられた凹部に受け入れられた自由端を有し、ロッド8は、旋回軸4によって規定される方向において各アクチュエータ3の脚部32の内壁と接触するような寸法を有する。よって、典型的には、各アクチュエータ3の脚部32に挿入された2本のロッド8が提供されている。よって、ロッド8は、旋回軸4に沿った回転運動のみを可能とすることによって、基部2に対するアクチュエータ3の脚部32の位置での保持を確実にする。ロッド8は、前述したように、ユーザがアクチュエータ3の触覚部31の並進運動を加えるとき、特に、アクチュエータ3の脚部32の保持を確実にする。このタイプの実施形態によれば、特に、旋回リンクにではなく、ロッド8並びに中間部34のスラット341及び342に圧力を集中させることが可能となる。この実施形態は、限定的な方法で解釈されるべきではなく、ロッド8によって達成される機能は、他の任意の適切な手段によって達成されうることが理解される。
【0084】
よって、脚部32の並進運動がロッド8によって制限されるとき、ユーザが脚部32を介してアクチュエータ3を操作する場合には、ユーザは、アクチュエータ3に回転運動のみを加えることができる。
【0085】
示された実施形態では、アクチュエータ3のそれぞれは、触覚部31の下面から延びるスロット37を有する。このスロットは、基部上に形成されたラグ27に面しており、ラグ27は、スロット37に挿入されるのに適している。スロット37は、その下端からその上端に向かって増加する横断面を有する。示された例では、その下端におけるスロット37の横断面は、ラグ27の横断面に対応している。スロット37及びラグ27は、システム1に外力が加えられない場合に、ラグ27がスロット37の下部に対して当接して位置合わせされるように構成されている。よって、ラグ27は、押下方向と反対の方向への回転運動として、アクチュエータ3の動きを防止するストップ機能を達成する。さらに、ラグ27とスロット37とを対応させることにより、各アクチュエータ3のその初期位置(つまり、ユーザがアクチュエータ3に力を加えないとき)への整列を確実にすることが可能となる。また、初期位置への復帰と、各アクチュエータ3のその減衰要素5との接触の維持との両方を確実にするように、アクチュエータ3について予圧が付与された初期位置を、それらの対応する減衰要素5に規定することも可能となる。
【0086】
ユーザがアクチュエータ3を押下する傾向の力を加えるとき、スロット37はアクチュエータ3と共に移動するので、ラグはスロット37の下端に対してもはや当接していない。次に、スロット37の横断面が増加し、これにより、スロット37内でのラグ27の変位が可能となる。したがって、旋回軸4によって規定される方向に、アクチュエータの並進運動が可能となり、並進運動は、スロット37の横断面が増加するにつれて大きくなる。よって、スロット37を生じさせることが可能であり、その横断面は次第に増加し、その結果、起こりうる並進の振幅は、アクチュエータ3の押下に伴って増加する。
【0087】
ラグ27は、典型的には、対応するアクチュエータ3の主方向に平行な軸に沿った、回転柱の横断面を有する。
【0088】
変形例(不図示)では、スロット37は、押下方向へのアクチュエータ3の変位を制限するストッパーを形成するフィンを有しうる。このとき、ラグ27は、アクチュエータ3の回転の角度振幅の境界を定める高ストップと低ストップとの間を移動する。
【0089】
図15及び16は、この実施形態で利用できる減衰要素5の例示的な実施形態の図を示している。装置1は、典型的には、特にアクチュエータ3の構成に応じて、異なる形状を有するいくつかの減衰要素5を有しうる。
【0090】
これらの2つの図に見られるのは、特に、
図5を参照して既に説明され、かつ、同じ数値符号で示された異なる特徴を有する減衰要素5の2つの例である。
【0091】
これらの実施形態では、リンク部52は、本体51の下部に突出部を形成している。このリンク部52は、典型的には、そこに支持要素を挿入するための貫通孔を有しうるか、又は基部2の締結要素との間に締結されて取り付けられうる。
【0092】
ここで、接触部53は、実質的に平坦な(
図15)又は湾曲した(
図16)部分である。それは、対応するアクチュエータの突起部315に対する減衰要素5のセンタリングを向上させるのに適した2つの突起56によって取り囲まれている。
【0093】
これらの2つの変形例では、第2凹部57は楕円形状の横断面を有する。
図16に示された実施形態では、第1凹部は、略半円形状の横断面を有し、その角は丸みを帯びている。
図17に示された実施形態では、示されるような第1凹部55は、典型的には第2凹部の外部輪郭に一致するように、大きい方の基部が湾曲している台形状の横断面を有し、かつ、大きい方の基部と側部との間のリンク部は丸みを帯びている。
【0094】
操作は、先行する図を参照して既に説明した操作と同様である。
【0095】
図17、18及び19は、
図15に既に示された減衰要素の3つの変形例を示している。
【0096】
図17は、
図15に示された減衰要素の斜視図である。この減衰要素5は、典型的には、その全高にわたって実質的に一定の厚みを有し、その高さは、Z-Z軸(又は圧縮方向)に沿った寸法であり、かつ、その厚みは、Z-Z軸及びX-X軸に垂直なY-Y軸に沿って、必要に応じて、減衰要素5とアクチュエータ3との間の線接触によって規定される方向に対応させて測定される。
【0097】
図18は、
図17で前に示された減衰要素の変形例であり、減衰要素の厚みは、その第1部分5Aにわたって減少している。より正確には、減衰要素5の厚みは、第2部分5Bと第1部分5Aとの間の境界から減衰要素5の上端にかけて減少している。
【0098】
このタイプの実施形態は、例えば、旋回軸4に沿った並進運動に対して、減衰要素5によって及ぼされる抵抗を変化させることを可能にする。減衰要素5が圧縮されればされるほど、その横断面の増加に起因して、減衰要素5は、並進運動に対抗する抵抗をより発揮する。
【0099】
図19は、
図17で前に示された減衰要素の別の変形例を示している。この実施形態では、第2部分5Bの厚みは、第1部分5Aの厚みよりも大きい。よって、肩部58が、第1部分5Aと第2部分5Bとの間に形成されている。よって、この肩部は、厚みの急激な変化を引き起こし、したがって、減衰要素5の圧縮(及びそれによる変形)が所定のレベルに達するとき、並進力に対する減衰要素5によって加えられた抵抗力の急激な変化が引き起こされる。
【0100】
異なる図面に表された例は組み合わせることができ、異なる実施形態に示された異なる構造的及び機能的な内容は、異なる組み合わせにおいて関連付けることができることが理解される。よって、示された実施形態は、限定的な方法で解釈されるべきではない。
【0101】
上述したことを読めば、提案される装置1は、特に音楽環境での使用に適したハプティックコントローラを提供することを可能にし、アクチュエータ3の異なる自由度及び動作によって、向上されたかつ調節可能な制御を可能にすることが理解される。図面に示された例では、特に、ユーザに対して、従来のピアノの力フィードバックを再現することが可能であり、これは、様々な既知のコントローラ及びキーボードでは不可能である。
【0102】
さらに、異なる減衰要素5は取り外しが可能である。よって、減衰要素5が摩耗している場合、又は装置1の動作を変更することが望まれる場合、同じ装置1について減衰要素5を交換することが可能である。
【0103】
減衰要素5の形状が多様でありうることも理解される。図示された例では、これらは、2つの凹部を有する一般的な円柱形状を有する要素である。より一般的には、各減衰要素は少なくとも1つの凹部を有する。変形例として、異なる機械的特性を有する2つ又はそれ以上の材料によって減衰要素を作ることも可能である。このことはまた、減衰要素5の変形に応じて、アクチュエータ3によって減衰要素5に加えられた圧縮力に対抗する剛性を変更することを可能にする。
【0104】
装置1は、典型的には、アクチュエータ3の回転及び並進の変位を測定するのに適した複数のセンサを備え、この変位に応じて信号を送信する。
【0105】
センサは、例えば、各アクチュエータ3上に配置された磁石などの磁気要素に接続された磁気センサでありうる。センサはまた、対応するアクチュエータ3に加えられた力を測定するセンサでありうる。
【0106】
変形例として、センサは、旋回軸4を中心とするアクチュエータ3の回転を測定するように配置されうる。このタイプのセンサは、旋回軸4を中心とするアクチュエータ3の回転を測定するように配置されうる。このタイプのセンサは、例えば、旋回軸4に配置されるか、又は、例えば、目盛り又はしるしを有しうる各アクチュエータの特化された表面に接続されうる。これにより、光学センサによって各アクチュエータ3の位置を規定することが可能となる。
【0107】
図1に示された例では、各アクチュエータ3は、アクチュエータ3の触覚部31の下面から延びる測定部37を備える。測定部37は、例えば、目盛り又は刻み目などの視覚的基準を提供しうる平坦な表面を備える。基部2は、測定部37の変位、すなわち、旋回軸4を中心として回転するアクチュエータ3の変位を測定するように、各測定部37に面して配置された光学センサ23を備える。アクチュエータ3はまた、反射面を有しうる。反射面により、センサの助けを受けて、アクチュエータ3の触覚部31の旋回軸4に沿った並進変位を測定することが可能となる。
【0108】
一般的に、前記装置は、旋回軸4を中心とするアクチュエータ3の回転変位、及び旋回軸4に沿ったアクチュエータ3の触覚部31の並進運動に関する情報を提供するのに適した一組のセンサを備える。この情報は、特に、所定の瞬間における各アクチュエータの位置とともに、各アクチュエータの変位速度及びその加速度を含みうる。
【0109】
装置1はまた、アクチュエータ3の変位を音楽的なジェスチャーなどの所定のジェスチャーに相関させるのに適したコンピュータ、又はより一般的には信号処理ユニットを備えうる。そして、装置1は、各アクチュエータ3の位置に加えて、特に各アクチュエータ3の変位中の速度及び加速度に応じて、送信される信号を調節しうる。
【0110】
したがって、提案される装置は、大きくかつ調節可能な制御振幅を提供するハプティックコントローラであって、特に、ビブラート効果を実現する可能性と相まって、減衰曲線の変わり目からもたらされるストップ感覚によって区別される2つの異なる減衰プロファイル間の連関を提案することを可能にするハプティックコントローラを形成する。
【0111】
よって、これらの異なるレベルの動作は、典型的には、異なる作動及び音制御メッセージを通して変換されることができるようになる。そして、2つの減衰プロファイルは、例えば、ボリューム情報又はフィルタのカットオフ周波数などの音のパラメータの2つの連続する制御レベルを提供する。一例によれば、速度又は加速度は、ストップ感覚の直前に計算されて、音符を作動させるために従来のキーボードで現在使用されている個別の速度情報を送り出す。最後に、並進は、典型的には、音符の高さを連続的に変化させること(通常、「ビブラート」及び「ベンディング」と呼ばれるコントロール)を可能とする。
【0112】
本発明は、特定の例示的な実施形態を参照することによって説明されてきたが、特許請求の範囲で定義される本発明の一般的な範囲から逸脱することなく、これらの例に対して変更を実施しうることは明らかである。特に、図示/言及された異なる実施形態の個々の特徴は、追加の実施形態に組み合わせうる。それゆえに、説明及び図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で考慮されなければならない。
【0113】
方法に関して説明されたすべての特徴が、単独で又は組み合わせて装置に置き換えが可能であり、また、逆に、装置に関して説明されたすべての特徴が、単独で又は組み合わせて方法に置き換えが可能であることは明らかである。