(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】連続的に搬送される板状金属ストリップから板金ブランク材をレーザ切断する方法および装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/38 20140101AFI20240126BHJP
B23K 26/04 20140101ALI20240126BHJP
B23K 26/082 20140101ALI20240126BHJP
B23K 26/08 20140101ALI20240126BHJP
B23K 26/046 20140101ALI20240126BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/04
B23K26/08 F
B23K26/046
(21)【出願番号】P 2021520328
(86)(22)【出願日】2019-10-09
(86)【国際出願番号】 EP2019077339
(87)【国際公開番号】W WO2020078792
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】102018125620.5
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520151792
【氏名又は名称】シューラー・プレッセン・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Schuler Pressen GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】シーバー・フランク
(72)【発明者】
【氏名】クリンカー・カルステン
(72)【発明者】
【氏名】グローセ・ヤン-ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ザイツ・アレクサンダー
【審査官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/031069(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/181499(WO,A1)
【文献】特開2015-073992(JP,A)
【文献】特開2002-160084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向(T)に連続的に搬送される板状金属ストリップ(1)から板金ブランク材を少なくとも1つのレーザ切断装置(3)で切断する方法であって、
切断ノズル(7)を有する少なくとも1つのレーザ切断ヘッド(5)を具備したレーザ切断装置(3)を用意する過程であって、前記少なくとも1つのレーザ切断ヘッド(5)は、制御装置(6)により、前記板金ブランク材の形状に対応した所定の切断経路(S1,S2,S1’,S2’)に沿って動かすことが可能である、過程と、
第1の距離測定装置(8)により、前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を、当該切断ノズル(7)に対する少なくとも1つの径方向外方位置(P
1,P
2)で周期的に測定する過程と、
前記切断ノズル(7)が前記板状金属ストリップ(1)と被さっていない場合は前記第1の距離測定装置(8,9)が当該板状金属ストリップ(1)と被さった状態に常時留まるように、前記レーザ切断ヘッド(5)の動きを制御する過程と、
前記切断ノズル(7)を、前記板状金属ストリップ(1)と被さらない第1の位置から当該板状金属ストリップ(1)と被さる第2の位置へと移動させる過程と、
を備え、
前記第1の距離測定装置は、
(i)回転可能な切断ノズル(7)に取り付けられた距離センサ(8)であって、前記切断ノズル(7)が前記板状金属ストリップ(1)と被さっていないとき、当該切断ノズル(7)に取り付けられた前記距離センサ(8)が、当該板状金属ストリップ(1)と被さった状態に留まる位置へと回動されることができる距離センサ(8)を1つのみ備えるか、または、
(ii
)前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を、前記切断ノズル(7)に対して径方向外方の複数の相異なる位置(P
1,P
2)で測定するための複数の距離センサ(8)であって、当該複数の距離センサ(8)において、前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離が、前記第1の距離測定装置により、前記切断ノズル(7)に対して径方向外方の複数の相異なる位置(P
1,P
2)で測定される、複数の距離センサ(8)を備え、
前記切断ノズル(7)が前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動するときに、前記板状金属ストリップ(1)の表面に対する当該切断ノズル(7)の高さが、前記第1の距離測定
装置(8,9)により供給された第1の距離値を用いて制御され、
前記切断経路の少なくとも一部が、前記板状金属ストリップ(1)の端縁または前記板状金属ストリップ(1)に設けられた開口の端縁から始まって前記板状金属ストリップ(1)の内部へ延び、
前記切断ノズル(7)が前記第1の位置から前記第2の位置へと移動すると、当該切断ノズル(7)から出射するレーザビーム(L)が生成される、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記切断ノズル(7)が前記板状金属ストリップ(1)と被さらなくなると、切断作業時に当該切断ノズル(7)から出射するレーザビームの生成が一時的に中断される、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記切断ノズル(7)が前記第1の位置にあるときに、前記レーザビーム(L)を生成する切断パラメータが変更される、方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法において、前記切断ノズル(7)が第2の距離測定装置(10)の一部であり、第2の距離値が当該第2の距離測定装置(10)で測定される、方法。
【請求項5】
請求項
4に記載の方法において、前記第1および/または前記第2の距離値を用いて、前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離が制御される、方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法において、2つの前記距離値の一方または2つの前記距離値の差が所定の制限値を上回ると、前記第2の位置から前記第1の位置へと生じる前記レーザ切断ヘッド(5)の動きが停止させられる、方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法において、前記第1および/または第2の距離値を測定するのに、静電容量式または光学式の距離測定装置(8,9)がそれぞれ用いられる、方法。
【請求項8】
搬送方向(T)に連続的に搬送される板状金属ストリップ(1)から板金ブランク材を切断する装置であって、
板状金属ストリップ(1)を搬送方向(T)に連続的に搬送する搬送装置(T)と、
切断ノズル(7)を有する少なくとも1つのレーザ切断ヘッド(5)を具備した少なくとも1つのレーザ切断装置(3)であって、前記少なくとも1つのレーザ切断ヘッド(5)は、前記搬送方向(T)及び前記搬送方向(T)と直交に延びるy方向(y)で往復動することが可能であるようにガントリ(4)に保持されている、少なくとも1つのレーザ切断装置(3)と、
前記レーザ切断ヘッド(5)を前記板金ブランク材(1)の形状に対応した切断経路(S1,S2,S1’,S2’)に沿って動かす、制御装置(6)と、
前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を、当該切断ノズル(7)に対する少なくとも1つの径方向外方位置(P
1,P
2)で周期的に測定する、第1の距離測定装置(9)と、
前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を調整する、調整部と、
を備え、
前記第1の距離測定装置は、
(i)回転可能な切断ノズル(7)に取り付けられた距離センサ(8)であって、前記切断ノズル(7)が前記板状金属ストリップと被さっていないとき、当該切断ノズル(7)に取り付けられた前記距離センサ(8)が、当該板状金属ストリップと被さった状態に留まる位置へと回動されることができる距離センサ(8)を1つのみ備えるか、または、
(ii
)前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を、前記切断ノズル(7)に対して径方向外方の複数の相異なる位置(P
1,P
2)で測定するための複数の距離センサ(8)を備え、
前記制御装置(6)により、前記切断ノズル(7)が前記板状金属ストリップ(1)と被さっていない場合は前記第1の距離測定装置(8,9)が当該板状金属ストリップ(1)と被さった状態に常時留まるように前記レーザ切断ヘッド(5)の動きを制御することが可能であり、
前記切断ノズル(7)が前記板状金属ストリップ(1)と被さらない第1の位置から前記板状金属ストリップ(1)と被さる第2の位置に向かって移動するときに、前記調整部により、当該板状金属ストリップ(1)の表面に対する当該切断ノズル(7)の高さを前記第1の距離測定装置(9)により供給された第1の距離値を用いて調整し、
前記切断経路の少なくとも一部が、前記板状金属ストリップ(1)の端縁または前記板状金属ストリップ(1)に設けられた開口の端縁から始まって前記板状金属ストリップ(1)の内部へ延び、
前記制御装置は、前記切断ノズル(7)が前記第1の位置から前記第2の位置へと移動すると、当該切断ノズル(7)から出射するレーザビームを生成するように構成されている、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記制御装置は、前記切断ノズル(7)が前記第1の位置になると、切断作業時に当該切断ノズル(7)から出射するレーザビームの生成を一時的に中断するように構成されている、装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の装置において、前記制御装置は、前記切断ノズル(7)が前記第1の位置にあるときに、前記レーザビームを生成する切断パラメータを変更するように構成されている、装置。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか一項に記載の装置において、前記切断ノズル(7)が、第2の距離値を測定する第2の距離測定装置(10)の一部である、装置。
【請求項12】
請求項
11に記載の装置において、前記調整部は、前記第1および/または第2の距離値を用いて前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を制御するように構成されている、装置。
【請求項13】
請求項8から12のいずれか一項に記載の装置において、前記制御装置は、2つの前記距離値の一方または2つの前記距離値の差が所定の制限値を上回ると、ストリップ内部(I)からストリップ端縁(K)を越えるべく生じる前記レーザ切断ヘッド(5)の動きを停止するように構成されている、装置。
【請求項14】
請求項8から13のいずれか一項に記載の装置において、前記第1および/または第2の距離測定装置が、静電容量式および/または光学式の距離測定装置(8,9)である、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送方向に連続的に搬送される板状金属ストリップから板金ブランク材を少なくとも1つのレーザ切断装置で切断する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法および装置は、例えば、EP 3 007 851 B1(特許文献1)から知られている。この既知の方法では、コイル材から板状金属ストリップが巻き出される。当該板状金属ストリップは、搬送装置によって搬送方向に連続的に搬送される。同方法では、上記板状金属ストリップが少なくとも1つのレーザ切断装置を通過する。当該レーザ切断装置は、レーザ切断ヘッドを上記搬送方向及び上記搬送方向と直交するy方向の双方で往復動させることが可能なガントリを備える。当該ガントリは、上記レーザ切断ヘッドを所定の切断経路に沿って動かすことができるように制御装置で制御することが可能である。
【0003】
EP 0 503 488 B2(特許文献2)には、レーザ切断方法およびレーザ切断ヘッドが開示されている。同レーザ切断方法では、集束レーザビームおよびガス噴射が、切断ノズル内を通過するようガイドされる。ワークと当該切断ノズルとの間の距離が、静電容量式で制御される。上記切断ノズルと絶縁したセンサリングが、この距離の静電容量式制御用のセンサとして用いられる。
【0004】
現行技術では、搬送方向に連続的に搬送される板状金属ストリップから板金ブランク材を切断する際の切断経路として、板状金属ストリップ内部から始まって当該ストリップ内部からストリップ端縁の方向へと進む切断経路が常に選択される。ストリップ端縁まで達すると、板状金属ストリップの応力が原因となって、板金ブランク材が当該板状金属ストリップに対して浮いたり下がったりする場合がある。これにより、切断ノズルに取り付けられた静電容量式距離センサとの衝突が生じる可能性がある。従来技術では、これに対処するため、ストリップ端縁に達する少し前に距離測定がオフに切り替えられる。さらに、レーザ切断ヘッドが所定量上昇させられる。その後、このレーザ切断ヘッドは、次の切断経路の始点まで板状金属ストリップ上を動かされる。そして、距離センサシステムが稼働状態に戻されて、レーザ切断ヘッドが板状金属ストリップの方向へと再下降させられる。
【0005】
この既知の方法は、距離センサシステムをオフやオンに切り替える必要があったりレーザ切断ヘッドを上昇させたり下降させたりするので時間がかかる。ほかにも、この既知の方法では、板状金属ストリップ外で距離センサシステムが有用な距離値を提供しなくなるため、板状金属ストリップの切断をストリップ端縁からストリップ内部へと行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】欧州特許第3007851号明細書
【文献】欧州特許第0503488号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来技術の短所を解消することである。具体的に述べると、搬送方向に連続的に搬送される板状金属ストリップから板金ブランク材を優れた効率で切断することが可能な方法および装置を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1や請求項11の構成により解決される。本発明の実用的な実施形態は、請求項2~10や請求項12~20の構成から得られる。
【0009】
本発明では、搬送方向に連続的に搬送される板状金属ストリップから板金ブランク材を少なくとも1つのレーザ切断装置で切断する方法であって、
切断ノズルを有する少なくとも1つのレーザ切断ヘッドを具備したレーザ切断装置を用意する過程であって、前記少なくとも1つのレーザ切断ヘッドは、制御装置により、前記板金ブランク材の形状に対応した所定の切断経路に沿って動かすことが可能である、過程と、
第1の距離測定装置により、前記切断ノズルと前記板状金属ストリップの表面との間の距離を、当該切断ノズルに対する少なくとも1つの径方向外方位置で周期的に測定する過程と、
前記切断ノズルが前記板状金属ストリップと被さっていない場合は前記第1の距離測定装置が当該板状金属ストリップと被さった状態に常時留まるように、前記レーザ切断ヘッドの動きを制御する過程と、
前記切断ノズルを、前記板状金属ストリップと被さらない第1の位置から当該板状金属ストリップと被さる第2の位置へと移動させる過程と、
を備え、前記切断ノズルが前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動するときに、前記板状金属ストリップの表面に対する当該切断ノズルの高さが、前記第1の距離測定手段装置により供給された第1の距離値を用いて制御される、方法が提案される。
【0010】
本発明の目的上、「径方向外方位置」という用語は、前記切断ノズルの周縁から径方向に離れた位置を意味するものと理解されたい。径方向距離は、1mm以上、好ましくは2mm以上、極めて好ましくは3mm以上、特には5mm以上となる。前記切断ノズルの周縁からの当該径方向外方位置の距離の上限は、好都合には30mm、好ましくは25mm、極めて好ましくは20mmとなる。
【0011】
つまり、本発明では、前記切断ノズル周辺で前記板状金属ストリップの表面までの距離を周期的に測定することにより、ストリップ端縁を検出することができる。これにより、前記切断ノズルが前記板状金属ストリップと被さっていない場合は前記第1の距離測定装置が当該板状金属ストリップと被さった状態に常時留まるように、前記レーザ切断ヘッドの動きを制御することが可能になる。結果として、前記距離測定装置が前記板状金属ストリップに被さったままなので、前記切断ノズルと前記板状金属ストリップとの間の距離を測定することができる。つまり、具体的に述べると、本発明にかかる方法により、切断経路を外部から前記板状金属ストリップの内部へと案内することも可能になる。これにより、前記レーザ切断ヘッドの切断経路及び移行経路の設計にあたって新たな自由度が切り開かれる。具体的に述べると、所与の形状の板状ブランク材を、より短い移行経路で製造することが可能になる。これは、一つの搬送方向に連続的に搬送される板状金属ストリップから板状ブランク材を優れた効率で切断できるということを意味する。
【0012】
有利な一実施形態では、前記切断経路の一部が、前記板状金属ストリップの端縁または前記板状金属ストリップに設けられた開口から始まって前記板状金属ストリップの内部へ延びる。
【0013】
有利なさらなる実施形態では、前記切断ノズルが前記板状金属ストリップと被さらなくなると、切断作業時に当該切断ノズルから出射するレーザビームの生成が一時的に中断される。切断作業が再開されると、前記板状金属ストリップに達する少し前、すなわち、前記切断ノズルが前記板状金属ストリップと未だ被さっていないときに、前記レーザビームがオンにされ得る。しかしながら、前記切断ノズルが前記第1の位置から前記第2の位置へと移動すると、当該切断ノズルから出射するレーザビームが生成されるようにすることも可能である。これにより、前記板状金属ストリップの端縁または前記板状金属ストリップの開口で切断を確実に終了することができる。
【0014】
極めて有利な他の実施形態では、前記切断ノズルが前記第1の位置にあるときに、前記レーザビームを生成する切断パラメータが変更され得る。前記第1の位置では、前記切断ノズルが前記板状金属ストリップと被さらない。前記第1の位置で切断パラメータを変更することにより、例えば、切断速度が増減され得る。例えば、厚さの違う板状金属ストリップを切断することが可能になる。
【0015】
さらなる実施形態では、前記第1の距離測定装置により、前記切断ノズルと前記板状金属ストリップの表面との間の距離が、前記切断ノズルに対して径方向外方である複数の相異なる位置で測定される。これにより、前記切断ノズルの周囲部分をあらゆる側で同時に観測することが可能になる。
【0016】
前記切断ノズルは第2の距離測定装置の一部であり得て、第2の距離値が当該第2の距離測定装置で測定され得る。前記第1および/または第2の距離値を用いて、前記切断ノズルと前記板状金属ストリップの表面との間の距離が制御され得る。本提案の方法の冗長性が高まり、実際の動作で極めて高い信頼性が発揮される。
【0017】
2つの距離測定装置が設けられている場合、2つの前記距離値の一方または2つの前記距離値の差が所定の制限値を上回ると、前記第2の位置から前記第1の位置への前記レーザ切断ヘッドの動きが停止させられ得る。
【0018】
有利には、前記第1および第2の距離値を測定するのに、静電容量式または光学式の、第1または第2の距離測定装置がそれぞれ用いられる。当該光学式の距離測定装置は、例えば、レーザ距離測定装置であり得る。
【0019】
本発明のさらなる構成では、搬送方向に連続的に搬送される板状金属ストリップから板金ブランク材を切断する装置であって、
板状金属ストリップを搬送方向に連続的に搬送する搬送装置と、
切断ノズルを有する少なくとも1つのレーザ切断ヘッドを具備した少なくとも1つのレーザ切断装置であって、前記少なくとも1つのレーザ切断ヘッドは、前記搬送方向及び前記搬送方向と直交に延びるy方向で往復動することが可能であるようにガントリに保持されている、少なくとも1つのレーザ切断装置と、
前記レーザ切断ヘッドを前記板金ブランク材の形状に対応した切断経路に沿って動かす、制御装置と、
前記切断ノズルと前記板状金属ストリップの表面との間の距離を、当該切断ノズルに対する少なくとも1つの径方向外方位置で周期的に測定する、第1の距離測定装置と、
前記切断ノズルと前記板状金属ストリップの表面との間の距離を調整する、調整部と、
を備え、前記制御装置により、前記切断ノズルが前記板状金属ストリップと被さっていない場合は前記第1の距離測定装置が当該板状金属ストリップと被さった状態に常時留まるように前記レーザ切断ヘッドの動きを制御することが可能であり、
前記切断ノズルが前記板状金属ストリップと被さらない第1の位置から前記板状金属ストリップと被さる第2の位置に向かって移動するときに、前記調整部により、当該板状金属ストリップの表面に対する当該切断ノズルの高さを前記第1の距離測定装置により供給された前記第1の距離値を用いて制御する、装置が提案される。
【0020】
「切断ノズルと板状金属ストリップの表面との間の距離」という表現は、前記切断ノズルの開口平面と前記板状金属ストリップの表面との間の距離を意味するものと理解されたい。「板状金属ストリップの表面に対する切断ノズルの高さ」という表現は、前記切断ノズルの開口平面と、前記板状金属ストリップの端縁または前記板状金属ストリップの開口に延在する、前記板状金属ストリップの仮想平面との間の距離を意味するものと理解されたい。
【0021】
本提案の装置では、「搬送装置」が、例えば、ロール矯正機、搬送ロール、板状金属ストリップを搬送方向に連続的に移送することが可能なその他の装置等であり得る。好都合には、「制御装置」は、前記レーザ切断ヘッドの動きを特に制御することが可能な、プロセスコンピュータコントロール、マイクロコンピュータなどである。また、前記制御装置は、「閉ループ制御」を含み得る。すなわち、前記制御装置は、所定の切断経路や移行経路に従った前記レーザ切断ヘッドの二次元運動だけでなく、前記板状金属ストリップの表面に対する前記切断ノズルの所定の距離も制御するように構成されたものであり得る。
【0022】
前記制御装置は、前記第1の距離測定装置が前記板状金属ストリップと常時被さるよう前記第1の距離値に基づいて前記切断経路を制御するようにセットアップまたはプログラムされている。結果として、前記切断ノズルが前記板状金属ストリップ外になっても、当該切断ノズルと当該板状金属ストリップの表面との間の距離を測定することが可能である。前記切断ノズルを外部からストリップ端縁の方向へと、前記板状金属ストリップの表面に対して所定の距離で案内することが可能になる。そして、前記切断ノズルから出現する前記レーザビームを用いて、ストリップ端縁からストリップ内部へと切断することが可能になる。
【0023】
また、前記制御装置は、2つの前記距離値の一方が定められた制限値を下回ったときにのみ前記レーザ切断ヘッドによる切断プロセスを開始するようにセットアップされ得る。具体的に述べると、これにより、板金ブランク材の切断をストリップ端縁から始めてストリップ内部へと進ませることが可能になる。
【0024】
前記第1および/または前記第2の距離測定装置は、静電容量式または光学式の、第1および第2の距離測定装置であり得る。前記第1の距離測定装置は、1つ又は複数の距離センサを含み得る。好都合には、当該1つ又は複数の距離センサは、前記レーザ切断ヘッドに取り付けられている。極めて有利な一実施形態では、前記第1の距離センサ同士が、前記切断ノズルの軸心に対して同じ径方向距離で取り付けられている。当該第1の距離センサ同士は、さらに、前記切断ノズルの開口平面に対して軸方向に同じ距離で取り付けられている。これにより、前記第1の距離値の測定及び評価が簡単に出来るようになる。
【0025】
有利なさらなる実施形態では、前記切断ノズルが第2の距離測定装置の一部であり、第2の距離値が当該第2の距離測定装置で測定される。当該第2の距離測定装置の第2の距離センサは、例えば、前記切断ノズルを径方向に取り囲むものであり得る。
【0026】
前記装置の有利なさらなる実施形態については、当該装置の有利な実施形態を形成することも可能な、前記方法について既述した構成を参照されたい。
【0027】
以下では、方法および装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】板金ブランク材を切り出す装置の概略平面図である。
【
図5】板状金属ストリップの一部を切断経路及び移行経路と共に示す平面図である。
【
図6】板状金属ストリップの一部を切断経路及び移行経路の代替案と共に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1では、板状金属ストリップ1が搬送装置2で案内されている。搬送装置2は、例えば、ロール矯正機であり得る。符号3は、ガントリ4にレーザ切断ヘッド5が取り付けられたレーザ切断装置の全体を指す。レーザ切断ヘッド5は、搬送方向T及び搬送方向Tと直交に延びるy方向yに往復動することが可能である。レーザ切断ヘッド5は、さらに、y方向と搬送方向Tとに直交するz方向にも動くことが可能であり、当該レーザ切断ヘッド5と板状金属ストリップ1の表面との間の距離を変化させることができるようになっている。
【0030】
符号6は、特にはガントリ4と接続されて信号をやり取りする制御装置を指す。制御装置6により、製造したい板金ブランク材の形状に対応した所定の切断経路に沿ってレーザ切断ヘッド5が案内されるようガントリ4を制御することが可能となっている。制御装置6は、さらに、レーザ切断ヘッド5と板状金属ストリップ1の表面との間の距離を調整するようにも用いられ得る。また、ガントリ4には、複数のレーザ切断ヘッド5が可動に取り付けられていてもよい。
【0031】
図2は、レーザ切断ヘッド5の概略側面図である。レーザ切断ヘッド5の切断ノズル7は、切断ガスを放出するように用いられる。切断ノズル7からは、さらに、レーザビームLが出射する。当該レーザビームと略一致する、切断ノズル7の軸心を、符号Aで示す。第1の距離測定装置の第1の距離センサ8は、切断ノズル7の第1の径方向外方位置P
1に取り付けられている。好都合には、同じく前記第1の距離測定装置の一部である第2の距離センサ9が、第2の径方向外方位置P
2に取り付けられている。距離センサ8,9は、静電容量式または光学式の距離センサであり得る。
図2に示す実施例では、第1の距離測定装置8および第2の距離測定装置9が、軸心Aに対して略同じ径方向距離のところに位置している。しかしながら、第1および第2の距離測定装置8,9を、軸心Aに対して異なる径方向距離のところに位置させることも可能である。
【0032】
符号10は、切断ノズル7を径方向に直接取り囲む第2の距離測定装置のさらなる距離センサを指す。つまり、さらなる距離センサ10は、切断ノズル7に対する径方向内方位置に設けられている。
【0033】
切断ノズル7の周縁を、符号Uで示す。前記第1の距離測定装置の各距離センサ8,9が切断ノズル7の周縁Uまたは外周面から2mm以上、好ましくは5mm以上、極めて好ましくは10mm以上の距離に位置している場合に、本発明の意味での「径方向外方位置」となる。
【0034】
コンピュータであり得る制御装置6には、比較部11および制御部12が設けられている。比較部11および制御部12は、制御装置6のうちのそれに応じて作成されたプログラム部分であり得る。符号13は、制御部12に接続されたアクチュエータを指す。アクチュエータ13により、レーザ切断ヘッド5や切断ノズル7をz方向に上昇及び下降させることが可能である。符号14は、前記距離測定装置で測定した測定値を制御装置6に送信する信号ラインを指す。
【0035】
前記装置の機能は、次のとおりである。
【0036】
制御装置6により、搬送方向Tに連続的に移送される板状金属ストリップ1上の所定の切断経路に沿ってレーザ切断ヘッド5が動くように、ガントリ4の駆動装置(図示せず)が制御される。つまり、レーザ切断ヘッド5は、板状金属ストリップ1に沿って動かされる。レーザ切断ヘッド5が動いている間、前記第1の距離測定装置により、板状金属ストリップ1の表面までの第1の距離がそれぞれ周期的または準連続的に測定される。信号ライン14により、対応する前記第1の距離値が制御装置6に送信される。比較部11により、前記第1の距離値の比較が行われる。2つの前記距離値の一方が所定の制限値を上回るかまたはこれらの距離値の差が所定の制限値外になると、オフ切替信号が生成されて制御装置6に送信される。結果として、第1の距離センサ8,9の一方が板状金属ストリップ1と被さった状態に留まるように、レーザ切断ヘッド5の動きが停止させられる。距離センサ8,9が板状金属ストリップ1と被さることで、当該板状金属ストリップまでのレーザ切断ノズル7の距離を所定の範囲内に継続的に維持することができる。よって、従来技術とは違い、前記ストリップの端縁を通り越える前にレーザ切断ヘッド5を上昇させる必要がなくなる。このほかにも、次の切断経路として、ストリップ端縁から当該板状金属ストリップの内部へと進む切断経路に沿ってレーザ切断ヘッド5を制御装置6によって動かすことが可能になる。このように、ストリップ端縁から当該板状金属ストリップの内部へと切断経路を案内できるようになることで、切断戦略に新たな自由度が生まれる。切断経路を変更して移行経路を短くするということが可能になる。これは、板状ブランク材を製造するのに必要な時間を短縮できるということを意味する。
【0037】
図2からさらに見て取れるように、好都合には、距離センサ8,9の一方および切断ノズル7の軸心Aが板状金属ストリップ1に被らずに他方の距離センサ9が板状金属ストリップ1に被るよう、レーザ切断ヘッド5の動きが停止させられる。
【0038】
図2に示す実施例では、2つの第1の距離センサ8,9が設けられている。当然ながら、第1の距離センサが一つだけ設けられた装置を用いて本発明にかかる方法を実行することも可能である。この場合、好ましくは、前記切断ノズルが前記板状金属ストリップと被さっていないとき、当該切断ノズル7に取り付けられた第1の距離センサ8が、当該板状金属ストリップと被さった状態に留まる位置へと回動されることができるよう、当該切断ノズル7が回転可能とされる。
【0039】
極めて簡素な一実施形態では、
図2に示すさらなる距離センサ10を省略することも可能である。すなわち、本発明にかかる方法は、切断ノズル7の径方向外方位置P1に取り付けられた一つの第1の距離センサ8単独で実行することも可能である。この場合の前記レーザ切断ヘッドの動きは、前記第1の距離測定装置の構成要素としての第1の距離センサ8が前記板状金属ストリップと被さった状態に常時留まるように前記制御装置によって制御される。前記第1の距離測定装置により、切断ノズル7と前記板状金属ストリップの表面との間の距離が周期的または準連続的に測定される。前記第1の距離測定装置により供給された前記第1の距離値に基づいて、切断ノズル7と前記板状金属ストリップの表面との間の距離が調整される。前記板状金属ストリップと被さらない第1の位置に切断ノズル7が位置している場合に、当該切断ノズル7を当該第1の位置から前記第2の位置に向かって移動させるときにも、前記第1の距離測定装置により供給された前記第1の距離値を用いて、前記板状金属ストリップの表面に対する切断ノズル7の高さが制御される。
【0040】
図3は、
図2の切断線A-A’の断面図である。ストリップ端縁や板状金属ストリップ1の窪みを高い信頼度で検出するために、複数の(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ又はそれ以上の数の)第1の距離センサが径方向外方位置P
1,P
2,…P
nに取り付けられてもよい。
図4に、さらなる第1の距離センサ15a,15b,15c,15d,15e,15fが径方向外方位置に取り付けられた切断ノズル7を示す。これにより、切断ノズル7の径方向の全周囲の距離を検出することが可能になる。これにより、プロセス信頼度がなおいっそう高まる。
【0041】
図5は、第1のレーザ切断ヘッドの第1の切断経路S1および第2のレーザ切断ヘッドの第2の切断経路S2がそれぞれ板状金属ストリップ1のストリップ内部Iから始まってストリップ端縁Kへと案内される、板状金属ストリップ1の平面図である。板金ブランク材を製造するには、まず、前記第1のレーザ切断ヘッドが第1のピアッシングポイントE1上へと動かされる。そして、当該第1のレーザ切断ヘッドが、第1のピアッシングポイントE1から始まって第1の切断経路S1に沿ってストリップ端縁Kへと動かされる。当該第1のレーザ切断ヘッドが衝突領域外になると、第2のレーザ切断ヘッドが第1のピアッシングポイントE1へと動かされる。当該第2のレーザ切断ヘッドが、第2の切断経路S2に沿ってストリップ端縁Kへと動かされる。
【0042】
追加の第1の切断経路S1’を生成するには、前記第1のレーザ切断ヘッドが第2のピアッシングポイントE2まで動かされる。そして、当該第1のレーザ切断ヘッドが、第2のピアッシングポイントE2から追加の第1の切断経路S1’に沿ってストリップ端縁Kへと動かされる。当該第1のレーザ切断ヘッドとの衝突の可能性がなくなると、前記第2のレーザ切断ヘッドも、第2のピアッシングポイントE2まで同様に動かされる。そして、当該第2のレーザ切断ヘッドが、第2のピアッシングポイントE2から追加の第2の切断経路S2’に沿ってストリップ端縁Kの方向へと動かされる。
【0043】
図5及び
図6では、前記レーザ切断ヘッドの移行経路、すなわち、前記レーザをオフに切り替えたときの前記レーザ切断ヘッドの移動経路を、途切れ途切れの矢印線でそれぞれ示している。切断経路S1,S2および追加の切断経路S1’,S2’については、実線で示す。
【0044】
図6は、板状金属ストリップ1の、
図5との比較平面図である。
図5と同じく、板金ブランク材の製造には、第1および第2の切断経路S1,S2、ならびにその後に続く追加の第1の切断経路S1’および追加の第2の切断経路S2’が生成される。つまり、具体的に述べると、本発明にかかる装置を用いることで、切断経路S1,S2,S1’,S2’のうちの一部をストリップ端縁Kからストリップ内部Iに向かって案内することが可能になる。本例では、まず、前記第1のレーザ切断ヘッドがストリップ端縁Kから第1の切断経路S1に沿って第1のピアッシングポイントE1の方向に動かされる。これと同時に、前記第2のレーザ切断ヘッドが、第1のピアッシングポイントE1から第2の切断経路S2に沿ってストリップ端縁Kの方向に案内され得る。次に、当該第2のレーザ切断ヘッドが、板状金属ストリップ1外で移行経路に沿って動かされる。そして、当該第2のレーザ切断ヘッドが、ストリップ端縁Kから追加の第2の切断経路S2’に沿ってストリップ内部Iへと動かされる。前記第1のレーザ切断ヘッドについては、第1のピアッシングポイントE1から移行経路に沿って第2のピアッシングポイントE2まで動かされる。そして、当該第1のレーザ切断ヘッドがオンにされて当該第2のピアッシングポイントE2から追加の第1の切断経路S1’に沿ってストリップ端縁Kへと動かされる。
【0045】
図6に見て取れるように、第1のピアッシングポイントE1や第2のピアッシングポイントE2には、
図5に示す例とは対照的に、一つのレーザ切断ヘッドしか適用されない。レーザ切断ヘッド同士の衝突を避けるために2つのレーザ切断ヘッドの一方がピアッシングポイントE1,E2から十分な距離になるまで待機する必要がなくなる。第1の切断経路S1の生成と第2の切断経路S2の生成を、同時に開始することが可能になる。これは、追加の第1の切断経路S1’の生成と追加の第2の切断経路S2’の生成にも当てはまる。このほかにも、
図5に示す例と比べて移行経路が短くなる。全体的にみて、板金ブランク材を製造するためのプロセス時間が大幅に短縮される。
なお、本発明は、態様として以下の内容を含む。
〔態様1〕
搬送方向(T)に連続的に搬送される板状金属ストリップ(1)から板金ブランク材を少なくとも1つのレーザ切断装置(3)で切断する方法であって、
切断ノズル(7)を有する少なくとも1つのレーザ切断ヘッド(5)を具備したレーザ切断装置(3)を用意する過程であって、前記少なくとも1つのレーザ切断ヘッド(5)は、制御装置(6)により、前記板金ブランク材の形状に対応した所定の切断経路(S1,S2,S1’,S2’)に沿って動かすことが可能である、過程と、
第1の距離測定装置(8)により、前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を、当該切断ノズル(7)に対する少なくとも1つの径方向外方位置(P
1
,P
2
)で周期的に測定する過程と、
前記切断ノズル(7)が前記板状金属ストリップ(1)と被さっていない場合は前記第1の距離測定装置(8,9)が当該板状金属ストリップ(1)と被さった状態に常時留まるように、前記レーザ切断ヘッド(5)の動きを制御する過程と、
前記切断ノズル(7)を、前記板状金属ストリップ(1)と被さらない第1の位置から当該板状金属ストリップ(1)と被さる第2の位置へと移動させる過程と、
を備え、前記切断ノズル(7)が前記第1の位置から前記第2の位置に向かって移動するときに、前記板状金属ストリップ(1)の表面に対する当該切断ノズル(7)の高さが、前記第1の距離測定手段(8,9)により供給された第1の距離値を用いて制御される、方法。
〔態様2〕
態様1に記載の方法において、前記切断経路の少なくとも一部が、前記板状金属ストリップ(1)の端縁または前記板状金属ストリップ(1)に設けられた開口から始まって前記板状金属ストリップ(1)の内部へ延びる、方法。
〔態様3〕
態様1または2に記載の方法において、前記切断ノズル(7)が前記板状金属ストリップ(1)と被さらなくなると、切断作業時に当該切断ノズル(7)から出射するレーザビームの生成が一時的に中断される、方法。
〔態様4〕
態様1から3のいずれか一態様に記載の方法において、前記切断ノズル(7)が前記第1の位置から前記第2の位置へと移動すると、当該切断ノズル(7)から出射するレーザビーム(L)が生成される、方法。
〔態様5〕
態様1から4のいずれか一態様に記載の方法において、前記切断ノズル(7)が前記第1の位置にあるときに、前記レーザビーム(L)を生成する切断パラメータが変更される、方法。
〔態様6〕
態様1から5のいずれか一態様に記載の方法において、前記第1の距離測定装置により、前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離が、前記切断ノズル(7)に対して径方向外方に位置した複数の相異なる位置(P
1
,P
2
)で測定される、方法。
〔態様7〕
態様1から6のいずれか一態様に記載の方法において、前記切断ノズル(7)が第2の距離測定装置(10)の一部であり、第2の距離値が当該第2の距離測定装置(10)で測定される、方法。
〔態様8〕
態様1から7のいずれか一態様に記載の方法において、前記第1および/または前記第2の距離値を用いて、前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離が制御される、方法。
〔態様9〕
態様1から8のいずれか一態様に記載の方法において、2つの前記距離値の一方または2つの前記距離値の差が所定の制限値を上回ると、前記第2の位置から前記第1の位置へと生じる前記レーザ切断ヘッド(5)の動きが停止させられる、方法。
〔態様10〕
態様1から9のいずれか一態様に記載の方法において、前記第1および/または第2の距離値を測定するのに、静電容量式または光学式の距離測定装置(8,9)がそれぞれ用いられる、方法。
〔態様11〕
搬送方向(T)に連続的に搬送される板状金属ストリップ(1)から板金ブランク材を切断する装置であって、
板状金属ストリップ(1)を搬送方向(T)に連続的に搬送する搬送装置(T)と、
切断ノズル(7)を有する少なくとも1つのレーザ切断ヘッド(5)を具備した少なくとも1つのレーザ切断装置(3)であって、前記少なくとも1つのレーザ切断ヘッド(5)は、前記搬送方向(T)及び前記搬送方向(T)と直交に延びるy方向(y)で往復動することが可能であるようにガントリ(4)に保持されている、少なくとも1つのレーザ切断装置(3)と、
前記レーザ切断ヘッド(5)を前記板金ブランク材(1)の形状に対応した切断経路(S1,S2,S1’,S2’)に沿って動かす、制御装置(6)と、
前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を、当該切断ノズル(7)に対する少なくとも1つの径方向外方位置(P
1
,P
2
)で周期的に測定する、第1の距離測定装置(9)と、
前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を調整する、調整部と、
を備え、前記制御装置(6)により、前記切断ノズル(7)が前記板状金属ストリップ(1)と被さっていない場合は前記第1の距離測定装置(8,9)が当該板状金属ストリップ(1)と被さった状態に常時留まるように前記レーザ切断ヘッド(5)の動きを制御することが可能であり、
前記切断ノズル(7)が前記板状金属ストリップ(1)と被さらない第1の位置から前記板状金属ストリップ(1)と被さる第2の位置に向かって移動するときに、前記調整部により、当該板状金属ストリップ(1)の表面に対する当該切断ノズル(7)の高さを前記第1の距離測定装置(9)により供給された第1の距離値を用いて調整する、装置。
〔態様12〕
態様11に記載の装置において、前記切断経路の少なくとも一部が、前記板状金属ストリップ(1)の端縁または前記板状金属ストリップ(1)に設けられた開口から始まって前記板状金属ストリップ(1)の内部へ延びる、装置。
〔態様13〕
態様11または12に記載の装置において、前記制御装置は、前記切断ノズル(7)が前記第1の位置になると、切断作業時に当該切断ノズル(7)から出射するレーザビームの生成を一時的に中断するように構成されている、装置。
〔態様14〕
態様11から13のいずれか一態様に記載の装置において、前記制御装置は、前記切断ノズル(7)が前記第1の位置から前記第2の位置へと移動すると、当該切断ノズル(7)から出射するレーザビームを生成するように構成されている、装置。
〔態様15〕
態様11から14のいずれか一態様に記載の装置において、前記制御装置は、前記切断ノズル(7)が前記第1の位置にあるときに、前記レーザビームを生成する切断パラメータを変更するように構成されている、装置。
〔態様16〕
態様11から15のいずれか一態様に記載の装置において、前記第1の距離測定装置が、前記切断ノズル(7)と前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を前記切断ノズル(7)に対する複数の相異なる径方向外方位置(P
1
,P
2
)で測定する複数の距離センサを含む、装置。
〔態様17〕
態様11から16のいずれか一態様に記載の装置において、前記切断ノズル(7)が、第2の距離値を測定する第2の距離測定装置(10)の一部である、装置。
〔態様18〕
態様11から17のいずれか一態様に記載の装置において、前記調整部は、前記第1および/または第2の距離値を用いて前記切断ノズルと前記板状金属ストリップ(1)の表面との間の距離を制御するように構成されている、装置。
〔態様19〕
態様11から18のいずれか一態様に記載の装置において、前記制御装置は、2つの前記距離値の一方または2つの前記距離値の差が所定の制限値を上回ると、ストリップ内部(I)からストリップ端縁(K)を越えるべく生じる前記レーザ切断ヘッド(5)の動きを停止するように構成されている、装置。
〔態様20〕
態様11から19のいずれか一態様に記載の装置において、前記第1および/または第2の距離測定装置が、静電容量式および/または光学式の距離測定装置(8,9)である、装置。
【符号の説明】
【0046】
1 板状金属ストリップ
2 搬送装置
3 レーザ切断装置
4 ガントリ
5 レーザ切断ヘッド
6 制御装置
7 切断ノズル
8 第1の距離測定装置
9 第2の距離測定装置
10 第3の距離測定装置
11 比較部
12 制御部
13 アクチュエータ
14 信号ライン
15a~15f さらなる距離測定装置
A 軸心
E1 第1のピアッシングポイント
E2 第2のピアッシングポイント
I ストリップ内部
K ストリップ端縁
L レーザビーム
P1 第1の位置
P2 第2の位置
S1 第1の切断経路
S1’ 追加の第1の切断経路
S2 第2の切断経路
S2’ 追加の第2の切断経路
T 搬送方向
U 周縁
y y方向
z z方向