(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料及びその調製方法、3D印刷製品及び3Dプリンタ
(51)【国際特許分類】
B29C 64/112 20170101AFI20240126BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20240126BHJP
B29C 64/259 20170101ALI20240126BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20240126BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240126BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240126BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20240126BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240126BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240126BHJP
C08F 2/48 20060101ALI20240126BHJP
C08F 20/10 20060101ALI20240126BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B29C64/112
B29C64/209
B29C64/259
B29C64/314
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/00
B33Y70/00
B33Y80/00
C08F2/48
C08F20/10
C08F290/06
(21)【出願番号】P 2021525625
(86)(22)【出願日】2019-06-03
(86)【国際出願番号】 CN2019089746
(87)【国際公開番号】W WO2020103421
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-11
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-20
(31)【優先権主張番号】201811403620.4
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519314847
【氏名又は名称】チューハイ セイルナー スリーディー テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHUHAI SAILNER 3D TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、インポー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チエンチョン
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】関根 洋之
【審判官】廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/142485(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0275486(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107501477(CN,A)
【文献】特開2017-210539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料であって、
60~99重量部の第1ビニル基系化合物、
5~39重量部の第2ビニル基系化合物及び0.5~4重量部のフリーラジカル光開始剤を含み、
前記第1ビニル基系化合物が非反応性環状構造を持ち、前記非反応性環状構造が前記フリーラジカル光開始剤の開始で光重合特性を有さず、
前記第2ビニル基系化合物が前記非反応性環状構造を持たず、前記第2ビニル基系化合物の主鎖でのメチレンの数が3つ以上であり、
前記第1ビニル基系化合物のガラス転移温度は、20℃以上であり、かつ、前記第2ビニル基系化合物のガラス転移温度は、60℃以上であ
り、
前記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、25℃での粘度が10~80cpであり、表面張力が20~35mN/mであり、作業温度での粘度が8~15cpであり、表面張力が20~35mN/mであり、ここで、前記作業温度が30~70℃の中の少なくとも1つの温度であり、
前記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を使用して製造された3D印刷製品のサイズ誤差が0.1mmよりも小さく、0.45MPaでの熱変形温度が80℃より高く、引張強度が80MPaより高く、曲げ強度が120MPaより高く、耐衝撃強度が10J/mより高く、ショア硬度が80Dより高い、ことを特徴とする3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項2】
少なくとも一部の前記第1ビニル基系化合物の主鎖でのメチレンの数が3つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項3】
前記第1ビニル基系化合物は、前記非反応性環状構造を持つビニル基系単量体と前記非反応性環状構造を持つビニル基系オリゴマーの中の少なくとも1種から選択されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項4】
前記第1ビニル基系化合物は、非反応性窒素含有複素環を持つビニル基系化合物を少なくとも含み、且つ前記非反応性窒素含有複素環を持つビニル基系化合物が10重量部以上であり、
前記非反応性窒素含有複素環を持つビニル基系化合物は、非反応性窒素含有複素環を持つ(メタ)アクリレート単量体、非反応性窒素含有複素環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマー及び非反応性窒素含有複素環を持つアミド系単量体の中の少なくとも1種から選択されることを特徴とする請求項3に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項5】
前記第1ビニル基系化合物は、前記非反応性窒素含有複素環を持つ(メタ)アクリレート単量体及び/又は前記非反応性窒素含有複素環を持つアミド系単量体を含むことを特徴とする請求項4に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項6】
前記非反応性窒素含有複素環を持つ(メタ)アクリレート単量体と前記非反応性窒素含有複素環を持つアミド系単量体の和は、10~50重量部であることを特徴とする請求項5に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項7】
前記第1ビニル基系化合物はさらに、
非反応性脂肪環を持つビニル基系化合物、
非反応性芳香環を持つビニル基系化合物、
非反応性酸素含有複素環を持つビニル基系化合物、及び
非反応性硫黄含有複素環を持つビニル基系化合物、の中の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項8】
前記4種のビニル基系化合物のそれぞれは50重量部を超えないことを特徴とする請求項7に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項9】
前記非反応性脂肪環を持つビニル基系化合物は、非反応性脂肪環を持つ(メタ)アクリレート単量体と非反応性脂肪環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーの中の少なくとも1種から選択され、
非反応性脂肪環を持つ(メタ)アクリレート単量体は、ジシクロペンタジエンメタクリレート、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸イソボルニル、1-アダマンタン(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート及びトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートの中の少なくとも1種から選択され、
前記非反応性脂肪環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーは、脂肪族ポリウレタンアクリレートと脂肪族エポキシアクリレートの中の少なくとも1種から選択されることを特徴とする請求項7に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項10】
前記非反応性芳香環を持つビニル基系化合物は、非反応性芳香環を持つ(メタ)アクリレート単量体及び/又は非反応性芳香環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーから選択され、
前記非反応性芳香環を持つ(メタ)アクリレート単量体は、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート及び2-フェノキシエチルメタクリレートの中の少なくとも1種から選択され、
前記非反応性芳香環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーは、ビスフェノールA(メタ)エポキシアクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート及び芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートの中の少なくとも1種から選択されることを特徴とする請求項7に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項11】
前記非反応性酸素含有複素環を持つビニル基系化合物は、非反応性酸素含有複素環を持つ(メタ)アクリレート単量体及び/又は非反応性酸素含有複素環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーから選択され、
前記非反応性硫黄含有複素環を持つビニル基系化合物は、非反応性硫黄含有複素環を持つ(メタ)アクリレート単量体及び/又は非反応性硫黄含有複素環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーから選択されることを特徴とする請求項7に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項12】
前記第2ビニル基系化合物は、非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の(メタ)アクリレート単量体と、非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の(メタ)アクリレートオリゴマーと、の中の少なくとも1種から選択されることを特徴とする請求項1~請求項2、請求項4~請求項6及び請求項8~請求項11のいずれか1項に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項13】
非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の前記(メタ)アクリレート単量体は、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート及びジプロピレングリコールジアクリレートの中の少なくとも1種から選択され、
非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の前記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート及びハイパーブランチアクリレートオリゴマーの中の少なくとも1種から選択されることを特徴とする請求項12に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項14】
前記非反応性環状構造を持つビニル基系オリゴマーと非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の(メタ)アクリレートオリゴマーの総含有量は、40重量部を超えないことを特徴とする請求項12に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項15】
前記フリーラジカル光開始剤は、フリーラジカル紫外線光開始剤であり、又は
前記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料はさらに、0.01~5重量部の補助剤と0~10重量部の着色剤のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料。
【請求項16】
請求項1~請求項
15のいずれか1項に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法であって、
前記フリーラジカル光開始剤以外の成分を混合して、第1混合物を得ることと、
フリーラジカル光開始剤が完全に溶解するまで前記第1混合物に前記フリーラジカル光開始剤を加えて、第2混合物を得ることと、
前記第2混合物を濾過して濾過液を収集し、前記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を得ることと、を含むことを特徴とする調製方法。
【請求項17】
3D印刷製品であって、請求項1~請求項
15のいずれか1項に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を用いて3D印刷によって得られることを特徴とする3D印刷製品。
【請求項18】
インクジェット印刷ヘッド、材料格納容器、ベアリングプラットフォーム、及び前記インクジェット印刷ヘッドと材料格納容器を接続するための接続装置を含む3Dプリンタであって、前記材料格納容器には、請求項1~請求項
15のいずれか1項に記載の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料が収容されることを特徴とする3Dプリンタ。
【請求項19】
前記3Dプリンタはさらに、前記材料格納容器を制御して前記インクジェット印刷ヘッドにインクを供給することができるコントローラと、紫外線光源とのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項
18に記載の3Dプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、3D印刷技術に関し、特に、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料及びその調製方法、3D印刷製品及び3Dプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
光硬化材料を使用する既存の三次元成形技術には、主に、立体光硬化成形(Stereo lithography Appearance、SLA)技術、デジタル光処理(Digital Light Procession、DLP)技術及び3Dインクジェット印刷技術が含まれる。
【0003】
SLA技術の主な動作原理は、以下の通りである。樹脂タンクに液状感光樹脂を含む三次元成形用光硬化材料を充填し、成形開始時、昇降可能な作業台は液面の下の1つの断面層の厚さの高さにあり、集束後の紫外レーザビームは断面輪郭の要求に従い、液面に沿ってスキャンし、スキャンされた領域の液状感光樹脂は点から線、線から面への順番で硬化され、これにより該断面輪郭の樹脂シートを得る。そして、作業台は1層のシートの高さを下げて、硬化された樹脂シートは新しい液状感光樹脂で覆われて、第2層のレーザースキャン硬化を行い、且つ新しく硬化された層は前の層にしっかりと接着される。このように、製品全体が成形されるまで繰り返す。
【0004】
DLP技術の主な動作原理は、SLA技術と類似しており、両者は光源に違いがあり、DLP印刷は高解像度のデジタル光プロセッサプロジェクターを用いて液状感光樹脂を照射するので、DLP技術も層ごとに光硬化を行う。
【0005】
3Dインクジェット印刷技術は、インクジェットプリンタの動作原理に基づいて、デジタル信号の励起により、チャンバ内の液体(三次元成形用光硬化材料)を瞬間的に液滴に形成し、一定の速度と周波数でノズルから噴出し、指定された経路で層ごとに硬化成形し、最終的に3D物体を得る。
【0006】
SLA技術とDLP技術に比べて、3Dインクジェット印刷技術は、使用した光硬化材料の粘度と流暢性に対してより高い要求を有し、例えば印刷ヘッドの正常作業温度範囲において、光硬化材料の粘度は通常噴射に適した粘度、例えば8~15cpに低下しなければならず、特に印刷ヘッドの正常作業温度が80℃よりも低い場合、光硬化材料の粘度は瞬間的に正常噴射に適した粘度に下がることが要求され、光硬化材料が室温25℃でより低い粘度を持ち、例えば100cpよりも低いことを要求する。通常の室温で粘度の低い光硬化材料は、ガラス転移温度Tgが低い傾向があり、一般的に40~60℃であり、これにより、光硬化材料が放射硬化後に形成された固体製品の耐熱性が高くないことを引き起こし、熱変形温度が60℃を超えにくいので、光硬化材料の3Dインクジェット印刷技術分野での応用を制限している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の欠陥に対して、本開示の実施例は、より低い温度で通常のインクジェット印刷を行うことができるとともに、3D印刷製品の良好な機械的性能、特に優れた耐衝撃強度を有することを保証する前提として、また優れた耐熱性能を有している3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施例は上記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法を提供し、該調製方法は、調製プロセスが簡単で実行可能な特徴を有する。
【0009】
本開示の実施例は3D印刷製品を提供し、上記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を用いて印刷するので、該3D印刷製品は優れた耐熱性と耐衝撃強度を有する。
【0010】
本開示の実施例は3Dプリンタを提供し、その材料格納容器には、上記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料が収容されているため、印刷がスムーズで、印刷ヘッドの作業温度が低いとともに、得られた3D印刷製品は優れた耐衝撃強度及び耐熱性という利点を有する。
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の実施例は3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を提供し、60~99重量部の第1ビニル基系化合物、0~39重量部の第2ビニル基系化合物及び0.5~4重量部のフリーラジカル光開始剤を含み、ここで、
第1ビニル基系化合物は非反応性環状構造を持ち、該非反応性環状構造はフリーラジカル光開始剤の開始で光重合特性を有さず、
第2ビニル基系化合物は前記非反応性環状構造を持たず、第2ビニル基系化合物の主鎖でのメチレン「-CH2-」の数は3つ以上である。
【0012】
本開示の実施例が提供する3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料において、主鎖でのメチレン「-CH2-」基の数が3つ以上、即ち3つより大きい又は等しく、非反応性環状構造を持たないビニル基系化合物を選択することにより、光硬化材料の機械的性能、特に耐衝撃強度性能を向上させ、一方、非反応性環状構造を持つビニル基系化合物を選択することにより、高温での分子主鎖セグメントの運動又は揺動現象を効果的に低減することができ、高温環境での光硬化物体は負荷による寸法変形の程度が小さいなり、機械的性能の低下の度合いが比較的低いなるので、所定の変形の程度と機械の影響の程度で光硬化材料が耐えられる温度を高め、即ち光硬化材料の熱変形温度を高める。このため、本開示の実施例は、上記非反応性環状構造を持つ第1ビニル基系化合物及び非反応性環状構造を持たず、主鎖での「-CH2-」基の数が3つ以上の第2ビニル基系化合物を組み合わせることにより、最終的に調製された光硬化材料を3Dインクジェット印刷して得られた3D印刷製品は、優れた高耐熱性と優れた機械的性能を有し、特に優れた耐衝撃性を有する。
【0013】
さらに、少なくとも一部の第1ビニル基系化合物の主鎖でのメチレンの数は3つ以上である。即ち、第1ビニル基系化合物において、一部又は全ての成分は、非反応性環状構造を持ち、且つ主鎖で3つ以上の「-CH2-」基が含まれるビニル基系化合物である。
【0014】
3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料には、上記主鎖での「-CH2-」基の数が3つ以上の第1ビニル基系化合物が含まれ、特に、主鎖でのメチレンの数が3つ以上の第1ビニル基系化合物の含有量が9~39重量部である場合、該光硬化材料が3Dインクジェット印刷によって得られた3D印刷製品は、より高い耐熱性を有するとともに、より良好な機械的性能を有し、特に耐衝撃強度が顕著に改善された。
【0015】
本開示の実施例において、特に説明しない限り、「非反応性」とは、現在の3Dインクジェット印刷の通常の条件で、フリーラジカル光開始剤の開始でフリーラジカル重合反応が発生しないことである。これに応じて、「非反応性環状構造」とは、3Dインクジェット印刷の過程でフリーラジカル重合反応に関与しない環状構造基を指し、例示的な非反応性環状構造は、例えば飽和脂肪環などの非反応性脂肪環、非反応性芳香環、及びN、O、S含有非反応性複素環などであってもよい。上記非反応性環状構造には、置換基があってもなくてもよい。
【0016】
本開示の実施例において、上記第1ビニル基系化合物は、非反応性環状構造を持つ1種又は多種のビニル基系単量体であってもよいし、非反応性環状構造を持つ1種又は多種のビニル基系オリゴマーであってもよいし、非反応性環状構造を持つ1種又は多種のビニル基系単量体と非反応性環状構造を持つ1種又は多種のビニル基系オリゴマーの混合であってもよい。
【0017】
本開示のいくつかの例において、上記第1ビニル基系化合物は、非反応性窒素含有複素環を持つビニル基系化合物を少なくとも含む。本開示の実施例は、上記非反応性窒素含有複素環を特に限定せず、例えばモルホリン、2-ピロリドン、カプロラクタムなど、フリーラジカル光開始剤の開始で光重合特性を持たないものであればよい。3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料には、少なくとも1種の非反応性窒素含有複素環を持つビニル基系化合物が含まれ、3D印刷製品の耐熱性をさらに高めることができる。
【0018】
具体的に、上記非反応性窒素含有複素環を持つビニル基系化合物は、非反応性窒素含有複素環を持つ(メタ)アクリレート単量体、非反応性窒素含有複素環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマー、非反応性窒素含有複素環を持つアミド系単量体などのうちの少なくとも1種を含む。
【0019】
非反応性窒素含有複素環を持つ(メタ)アクリレート単量体は、例えば、古迪会社が生産したM370、長興会社が生産したEM2308、深セン撒比斯会社が生産したPAR-68A、新中村会社が生産したA9300-1CLなどであってもよく、非反応性窒素含有複素環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、Bomar会社が生産したBMA-200、XMA-222LFなどであってもよく、非反応性窒素含有複素環を持つアミド系単量体は、例えば、アクリロイルモルホリン(ACMO)、N-ビニル基ピロリドン、N-ビニル基カプロラクタムなどであってもよい。
【0020】
好ましくは、第1ビニル基系化合物が非反応性窒素含有複素環を持つビニル基系化合物を少なくとも含む場合、前記非反応性窒素含有複素環を持つビニル基系化合物は、10重量部以上、例えば10~50重量部が望ましい。
【0021】
さらに、第1ビニル基系化合物は、10~50重量部の非反応性窒素含有複素環構造を持つビニル基系単量体を含むことが好ましく、例えば10~50重量部の非反応性窒素含有複素環を持つ(メタ)アクリレート単量体を含んでもよいし、又は10~50重量部の非反応性窒素含有複素環を持つアミド系単量体を含んでもよいし、非反応性窒素含有複素環を持つ(メタ)アクリレート単量体と非反応性窒素含有複素環を持つアミド系単量体を同時に含んで、且つ両者の質量の和が10~50重量部であってもよい。
【0022】
本開示のいくつかの例で提供された3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料において、第2ビニル基系化合物の含有量が少なく、例えば5重量部以下、さらに第2ビニル基系化合物の含有量が0重量部である場合、第1ビニル基系化合物は、非反応性窒素含有複素環を持つビニル基系化合物、及び主鎖でのメチレンの数が3つ以上で且つ非反応性環状構造を持つビニル基系化合物を含み、且つ両者が異なる化合物であることが好ましい。ここで、主鎖でのメチレンの数が3つ以上で且つ非反応性環状構造を持つビニル基系化合物は、9~39重量部である。
【0023】
このように、第2ビニル基系化合物の含有量が低く、ひいては0である極端な条件でも、得られた3D印刷製品は耐熱性を有することを前提として、光硬化材料の機械的性能、特に耐衝撃強度を同時に向上させることができることを確保することができる。
【0024】
さらに、本開示のいくつかの例において、第1ビニル基系化合物はさらに、
非反応性脂肪環を持つビニル基系化合物、非反応性芳香環を持つビニル基系化合物、非反応性酸素含有複素環を持つビニル基系化合物、及び非反応性硫黄含有複素環を持つビニル基系化合物のうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0025】
好ましくは、上記4種のビニル基系化合物は、いずれも50重量部以下である。
【0026】
具体的に、非反応性脂肪環を持つビニル基系化合物について、該非反応性脂肪環は非反応性環状構造であり、この非反応性脂肪環は単環又は多環(稠密環)構造であってもよい。非反応性脂肪環を持つビニル基系化合物は、非反応性脂肪環を持つ1種又は多種の(メタ)アクリレート単量体であってもよいし、非反応性脂肪環を持つ1種又は多種の(メタ)アクリレートオリゴマーであってもよいし、非反応性脂肪環を持つ1種又は多種の(メタ)アクリレート単量体と非反応性脂肪環を持つ1種又は多種の(メタ)アクリレートオリゴマーの混合であってもよい。
【0027】
非反応性脂肪環を持つ(メタ)アクリレート単量体は、例えばジシクロペンタジエンメタクリレート(Dicyclopentadiene methacrylate)、ジシクロペンチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸イソボルニル、1-アダマンタン(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどのうちの少なくとも1種であってもよく、非反応性脂肪環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーは、脂肪族ポリウレタンアクリレート、脂肪族エポキシアクリレートなどのうちの少なくとも1種を含む。
【0028】
具体的に、非反応性芳香環を持つビニル基系化合物について、該非反応性芳香環は非反応性環状構造である。非反応性芳香環を持つビニル基系化合物は、非反応性芳香環を持つ1種又は多種の(メタ)アクリレート単量体であってもよいし、非反応性芳香環を持つ1種又は多種の(メタ)アクリレートオリゴマーであってもよいし、非反応性芳香環を持つ1種又は多種の(メタ)アクリレート単量体と非反応性芳香環を持つ1種又は多種の(メタ)アクリレートオリゴマーの混合であってもよい。
【0029】
非反応性芳香環を持つ(メタ)アクリレート単量体は、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート(Benzyl Methacrylate)、2-フェノキシエチルメタクリレートなどの少なくとも1種から選択され、非反応性芳香環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーは、ビスフェノールA(メタ)エポキシアクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートなどの少なくとも1種から選択される。
【0030】
主鎖での「-CH2-」基の数が3つ以上であるとともに非反応性芳香環を持つ(メタ)アクリレート単量体は、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートなどを含み、主鎖での「-CH2-」基の数が3つ未満であるとともに非反応性芳香環を持つ(メタ)アクリレート単量体は、ベンジルメタクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレートなどを含み、主鎖での「-CH2-」基の数が3つ以上であるとともに非反応性芳香環を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーは、ビスフェノールA(メタ)エポキシアクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル(メタ)アクリレートなどを含む。
【0031】
具体的に、非反応性酸素(硫黄)含有複素環を持つビニル基系化合物は、非反応性酸素(硫黄)含有複素環構造を持つ(メタ)アクリレート単量体、非反応性酸素(硫黄)含有複素環構造を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーのうちの少なくとも1種であってもよい。ここで、主鎖での「-CH2-」基の数が3つ以上であるとともに非反応性酸素(硫黄)含有複素環構造を持つ(メタ)アクリレート単量体は、例えば、酸素複素環エタンジアクリレート、トリメチロールプロパンフォーマルアクリレートなどであってもよい。勿論、一部の非反応性酸素(硫黄)含有複素環構造については、窒素原子を同時に含むことも可能であり、例えばアクリロイルモルホリンの複素環構造にはOとNの両方が含まれている。
【0032】
具体的に、得られた3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の耐熱性をさらに確保するために、上記第1ビニル基系化合物のガラス転移温度Tgは、20℃以上であることが望ましい。
【0033】
具体的に、第2ビニル基系化合物は、非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の1種又は多種の(メタ)アクリレート単量体であってもよいし、非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の1種又は多種の(メタ)アクリレートオリゴマーであってもよいし、非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の1種又は多種の(メタ)アクリレート単量体と非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の1種又は多種の(メタ)アクリレートオリゴマーの混合であってもよい。
【0034】
具体的に、上記非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の(メタ)アクリレート単量体は、例えば、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピルジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどの少なくとも1種であってもよく、上記非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖でのメチレンの数が3つ以上の(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート、ハイパーブランチアクリレートオリゴマーなどの少なくとも1種であってもよい。
【0035】
本開示のいくつかの例で提供された3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料において、非反応性環状構造を持つビニル基系オリゴマーと非反応性環状構造を持たず、且つ主鎖での「-CH2-」基の数が3つ以上の(メタ)アクリレートオリゴマーの総含有量は、40重量部以下である。
【0036】
好ましくは、3D印刷製品の耐熱性を確保するために、上記第2ビニル基系化合物のガラス転移温度は60℃以上であることが望ましい。
【0037】
現在の3Dインクジェット印刷の実際の状況を考慮して、本開示の実施例で用いられるフリーラジカル光開始剤は、フリーラジカル紫外線光開始剤が好ましく、本開示の実施例は、紫外線照射でフリーラジカルを生成して、第1ビニル基系化合物と第2ビニル基系化合物との間に重合反応を引き起こす限り、フリーラジカル紫外線光開始剤の種類を特に限定しない。勿論、フリーラジカル紫外線光開始剤の使用量は、その開始効率及び第1ビニル基系化合物と第2ビニル基系化合物の実際の状況に基づいて合理的に決定されることができる。
【0038】
本開示の実施例において、前記フリーラジカル紫外線光開始剤は、水素引き抜き型フリーラジカル光開始剤及び/又は切断型フリーラジカル光開始剤であってもよい。ここで、水素引き抜き型フリーラジカル光開始剤は、ベンゾフェノン/第三級アミン類とチオキサントン/第三級アミン類の1種又は多種であってもよく、切断型フリーラジカル光開始剤は、α-ヒドロキシケトン類、α-アミノケトン類、アシルホスフィンオキシド及びオキシムエステル類の1種又は多種であってもよい。
【0039】
チオキサントン/第三級アミン類水素引き抜き型フリーラジカル光開始剤に対して、チオキサントンは、ITX(イソプロピルチオキサントン)が好ましく、第三級アミン類補助開始剤の分子構造には、少なくとも1つのα-Hが含まれ、水素引き抜き型フリーラジカル光開始剤の水素供給体として作用する。よく使われている第三級アミン類補助開始剤は、例えば第三級アミン安息香酸エステル、活性アミンなどであってもよい。ここで、第三級アミン安息香酸エステルは、N,N-ジメチル安息香酸エチル、N,N-ジメチル安息香酸-2-エチルヘキサン、安息香酸ジメチルアミノエチルなどがあり、活性アミンは、架橋反応に関与できるアクリロイル基を持つ第三級アミン、例えば長興の反応型三級アミン補助開始剤6420、RahnのGenomer 5142、CytecのEBECRYL 7100などであってもよい。
【0040】
切断型フリーラジカル光開始剤については、例えばα-ヒドロキシケトン類光開始剤、例えば、1173(2-ヒドロキシ基-2-メチル-1-フェニルアセトン)、184(1-ヒドロキシ基-シクロヘキシルフェニルケトン)、2959(2-ヒドロキシ基-2-メチル-1-ヒドロキシエチルエーテルフェニルアセトン)などの製品であってもよいし、α-アミノケトン類、例えば907(2-メチル-1-[4-メチルチオ]-2-モルホリン-1-アセトン)、369(2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリンフェニル)-1-ブタノン)などの製品であってもよいし、アシルホスフィンオキシド、例えば商品名がTEPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-エトキシ-フェニルホスフィンオキシド)、TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド)、819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド)などの製品であってもよい。
【0041】
本開示の好ましい実施例において、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の総重量を100重量部とし、第1ビニル基系化合物は60~99重量部であり、第2ビニル基系化合物は0~39重量部であり、フリーラジカル光開始剤は0.5~4重量部である。
【0042】
さらに、本開示の実施例で提供された3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、0.01~5重量部の補助剤をさらに含んでもよい。本開示の実施例は、補助剤の種類を具体的に限定するものではなく、実際の状況に応じて適切な補助剤を選択して、3Dインクジェット印刷の品質を向上させ、高品質の印刷製品を得ることができる。
【0043】
具体的に、使用した補助剤は、界面活性剤、消泡剤及び重合抑制剤の少なくとも1種から選択され得、他の種類の補助剤を含むこともできる。
【0044】
本開示の実施例は、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の表面張力を低減することができ、材料のレベリングプロパティを改善するのに有益である限り、界面活性剤を特に限定せず、現在市場に使用可能な界面活性剤は、BYK社の変性ポリシロキサンポリマー類界面活性剤BYK-333、BYK-337、BYK-371、BYK-377、BYK1798、BYK-UV3530、BYK-UV3575など、TEGO社の変性ポリシロキサンポリマー類界面活性剤Tego wet 270、TEGO wet 500、Tego Glide 450、TEGO RAD 2010、TEGO RAD 2011などがある。
【0045】
消泡剤は主に、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製過程及び印刷過程中に発生した気泡を抑制又は除去するために用いられ、発生した気泡が耐熱光硬化材料の印刷過程での流暢性に影響を与えるのを防ぐ。本開示の実施例で使用できる消泡剤は、例えばBYK社の有機シリコンポリマー消泡剤BYK-088、BYK020など、変性ポリシロキサン共重合体BYK-1798など、シリコーンフリー消泡剤BYK055など、TEGO社の非シリコーン消泡剤TEGO Airex 920、TEGO Airex 921などがある。
【0046】
重合抑制剤は主に、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料組成物におけるフリーラジカルの重合反応を防止し、耐熱光硬化材料の貯蔵安定性を高め、光硬化材料組成物の化学反応と凝固現象を防ぐために使用される。本開示の実施例において、重合抑制剤の具体的な選択は、耐熱光硬化材料の貯蔵安定性を改善でき、そして3D印刷過程中の光硬化反応に影響を及ぼさない限り、特に限定されない。よく使われている重合抑制剤は、例えば、Rahn会社のGENORAD 16、GENORAD 18、GENORAD 20、GENORAD 22などであってもよいし、BASFのTinuvin234、Tinuvin770、Irganox245、CytecS100、Cytec130などであってもよいし、CibaのIrgastab UV10、Irgastab UV22などであってもよい。
【0047】
さらに、本開示の実施例によって提供される3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、0~10重量部の着色剤をさらに含んでもよい。着色剤の含有量が0である場合、該3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、無色透明又はほぼ無色透明である。
【0048】
具体的に、着色剤の色と添加量は、3D印刷製品の需要に応じて合理的に選択することができ、例えば、白、赤、黄、青、黒などの色パルプを加えることができる。特に、自己分散型ナノスケール顔料パルプを選択し、自己分散型ナノスケール顔料パルプの表面が、化学的に修飾されているので、顔料の凝集沈降を防ぐことができ、これにより3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の安定性を確保する。
【0049】
本開示の具体的な実施過程において、使用された自己分散型ナノスケール顔料パルプは具体的に、自己分散型ナノスケール無機顔料パルプ又は自己分散型ナノスケール有機顔料パルプであり、ここで、自己分散型ナノスケール無機顔料パルプは具体的に、白色顔料パルプ、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛バリウム白、鉛白などであってもよいし、黒色顔料パルプ、例えば炭黒、黒鉛、酸化鉄黒、アニリン黒などであってもよく、自己分散型ナノスケール有機顔料パルプは、カラー顔料パルプ、例えば、金光赤(PR21)、リソル赤(PR49:1)、顔料赤G(PR37)、顔料赤171(PR171)、日焼け防止黄G(PY1)、ハンザ黄R(PY10)、パーマネント黄GR(PY13)、顔料黄129(PY129)、顔料黄150(PY150)、顔料黄185(PY185)、フタロシアニンブルー(PB15)、インディアントシアニン(PB60)などであってもよい。
【0050】
本開示のいくつかの例で提供される3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、25℃での粘度が10~80cpであり、表面張力が20~35mN/mであり、作業温度での粘度が8~15cpであり、表面張力が20~35mN/mであり、ここで、作業温度が30~70℃の少なくとも1つの温度である。これにより、該光硬化材料は、印刷ヘッド噴射に適した粘度と表面張力を有し、3D印刷の円滑な進行に寄与するだけでなく、エネルギー消費を節約し、印刷ヘッドの使用寿命を効果的に延長する。
【0051】
本開示の実施例は、上記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法をさらに提供し、前記方法は、
フリーラジカル光開始剤以外の成分を混合して、第1混合物を得、次に、フリーラジカル光開始剤が完全に溶解するまで第1混合物にフリーラジカル光開始剤を加えて、第2混合物を得、第2混合物を濾過して濾過液を収集し、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を得る。
【0052】
ここで、上記第2混合物の濾過は、複数回濾過の形態で実施することができ、特に、段階的な濾過の形態を使用することができる。具体的に、微孔性濾過膜を用いて、第2混合物を少なくとも二回濾過することができ、ここで、前回の濾過に用いられた微孔性濾過膜の孔径が、次の濾過に用いられた微孔性濾過膜の孔径よりも大きくし、且つ最後の濾過に用いられた微孔性濾過膜の孔径が、3Dインクジェットプリンタにおける印刷噴射ヘッドのノズルの孔径よりも小さくし、調製された3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の優れた印刷流暢性を確保し、印刷ヘッドのノズルの詰まりを避ける。
【0053】
本開示の具体的な実施過程では、二段階濾過の形態を用いて第2混合物を処理し、ここで、第1段階濾過では、孔径が0.6μmのガラス繊維膜を採用し、第2段階濾過では、孔径が0.2μmのポリプロピレン膜を採用する。
【0054】
さらに、収集された濾過液を脱気処理することもできる。濾過液を脱気処理することにより、使用中の材料の非常に優れた流暢性を確保し、材料における気泡の干渉による印刷断線の発生、さらに3D印刷製品の成形精度に影響を与えることを避ける。
【0055】
具体的に、脱気処理の操作形態は、減圧脱気、常圧脱気、又は加熱脱気であってもよいし、いずれかの2つ又は複数の脱気形態を選択してもよい。一般的に脱気処理の時間が5時間を超えないが、本開示の具体的な実施過程では、一般的に脱気時間が1~3時間に制御される。
【0056】
理解できるものとして、本開示の実施例の3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製は、環境における光開始光硬化材料の成分の重合反応を回避するために、使用されたフリーラジカル光開始剤の開始波長範囲外の環境で行う必要がある。
【0057】
本開示の実施例は、上記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を用いて3D印刷によって得られた3D印刷製品をさらに提供する。
【0058】
以上のように、上記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料をインクとして採用しているので、本開示の実施例で提供する3D印刷製品は、耐熱性に優れ、高温では変形しにくい。
【0059】
また、上記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、安定性が高いため、印刷過程で印刷ヘッドノズルを塞ぐことなく、印刷流暢性が良いので、高精度の3D印刷製品が得られることができる。また、該3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を採用することにより、3D印刷製品には、印刷収縮率が低く、機械的性能が優れ、特に耐衝撃強度が高いという利点があり、さらに3D印刷製品の品質を保証する。
【0060】
本開示の実施例は3Dプリンタをさらに提供し、前記3Dプリンタは、インクジェット印刷ヘッド、材料格納容器、インクジェット印刷ヘッドと材料格納容器を接続するための接続装置及びベアリングプラットフォームを含み、ここで、材料格納容器には、上記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料が収容されている。
【0061】
具体的に、上記材料格納容器の個数は、耐熱光硬化材料の種類に応じて設定することができ、本開示の実施例はここでは特に限定されない。上記接続装置は具体的に、接続管又は他の形式の接続装置であってもよく、上記の機能を実現すればよい。インクジェット印刷ヘッドは具体的に、単一チャネル印刷ヘッド又はマルチチャンネル印刷ヘッドであってもよいし、単一チャネル印刷ヘッドとマルチチャンネル印刷ヘッドを組み合わせて使用することができる。
【0062】
さらに、上記3Dプリンタはまた、材料格納容器を制御してインクジェット印刷ヘッドにインクを供給することができるコントローラを含んでも良く、即ち、該コントローラにより、材料格納容器に収容された3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、接続装置を介してインクジェット印刷ヘッドに供給され、最終的にインクジェット印刷ヘッドのノ
ズルから噴射され、印刷を実現する。
【0063】
さらに、上記3Dプリンタは、紫外線光源をさらに含んでもよく、該紫外線光源は、具体的に紫外線発光ダイオードであってもよい。
【0064】
一般的には、コントローラにより紫外線光源を制御し、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料がベアリングプラットフォームで形成された層に紫外線光源を照射させ、光硬化成形を実現することができる。
【発明の効果】
【0065】
本開示の実施例で提供される3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、以下のような利点がある。
【0066】
1、非反応性環状構造を持つ第1ビニル基系化合物と主鎖で3つ以上の「-CH2-」基を持つ第2ビニル基系化合物を合理的に選択することにより、光硬化材料の耐熱性と機械的性能を効果的に改善することができ、特に、第1ビニル基系化合物の一部が窒素含有複素環構造を持つ場合、光硬化材料の耐熱性をさらに改善することができる。
【0067】
2、該光硬化材料は、室温で低粘度であり、30~70℃の中の少なくとも1つの作業温度での粘度が8~15 cpであり、表面張力が20~35mN/mであるので、30~70℃のより低い作業温度で正常にインクジェット印刷ができ、印刷された製品は、耐熱性と優れた機械的性能を持ち、同時に、低温で正常にインクジェット印刷ができるので、エネルギーを効果的に節約し、印刷ヘッドの使用寿命を延ばす。
【0068】
3、該光硬化材料を使用して印刷された3D印刷製品は、精度が高く、印刷モデルのサイズ誤差が0.1mmよりも小さく、熱変形温度(0.45MPa)が80℃より高く、引張強度が80MPaより高く、曲げ強度が120Mpaより高く、耐衝撃強度が10J/mより高く、ショア硬度が80Dより高いので、3D印刷製品は優れた機械的性能を持ち、実際の使用のニーズを満たす。
【0069】
4、光硬化材料の使用過程に、揮発性溶剤、揮発性有機化合物(volatile o
rganic compounds、VOC)排出、及び汚染がない。
【0070】
本開示の実施例で提供される3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法は、調製プロセスが簡単で実行可能な特徴があり、実際の生産応用及び普及に便利である。
【0071】
本開示の実施例で提供される3D印刷製品は、上記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を原料とするため、優れた耐熱性、良好な機械的性能、高精度及び低収縮率を持ち、したがって、該3D印刷製品は、良好な品質を有する。
【0072】
本開示の実施例で提供される3Dプリンタは、その材料格納容器に上記3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を格納し、印刷過程中の流暢性が良好で、印刷ヘッドのノズ
ルが詰まりにくく、より低い作業温度(例えば30~70℃)でスムーズに動作することができ、該3Dプリンタは、良好な使用性能と長い使用寿命を有するだけでなく、高品質の3D印刷製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】本開示の実施例7によって提供される3Dプリンタの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
本開示の実施例の目的、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下では、本開示の実施例における技術的手段を明確に完全に説明する。明らかに、説明した実施例は、本開示の実施例の一部である。
【0075】
<実施例1>
本実施例は、以下の表1の組成を有する3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を提供する。
【0076】
【0077】
該3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法は以下の通りである。
【0078】
(1)フリーラジカル光開始剤以外の成分を全てガラス容器に入れ、攪拌機で攪拌して、均一に混合された第1混合物を得、次に第1混合物にフリーラジカル光開始剤を加え、フリーラジカル光開始剤が完全に溶解するまで攪拌を続け、第2混合物を得る。
(2)0.6μmのガラス繊維膜を用いて第2混合物を一段階濾過し、さらに0.2μmのポリプロピレン膜(PP膜)を用いて二段階濾過し、濾過液を得る。
(3)0.1MPa真空度で、減圧して1時間真空濾過し、濾過液における気泡を除去し、最終的に青色を呈する3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を得る。
【0079】
<実施例2>
本実施例は、以下の表2の組成を有する3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を提供する。
【0080】
【0081】
本実施例において、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法は実施例1とほぼ同じであり、使用した成分だけが替わり、且つステップ(3)において、加熱脱気の形態を採用して、ステップ(2)で得られた濾過液を40℃まで加熱して脱気処理を行い、脱気時間が50minである。
【0082】
本実施例で得られた3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、透明材料である。
【0083】
<実施例3>
本実施例は、以下の表3の組成を有する3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を提供する。
【0084】
【0085】
本実施例において、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法は、実施例1とほぼ同じであり、使用した成分だけが替わり、且つステップ(3)において、減圧脱気の具体な時間は2時間に調整される。本実施例で得られた3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、赤色材料である。
【0086】
<実施例4>
本実施例は、以下の表4の組成を有する3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を提供する。
【0087】
【0088】
本実施例において、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法は、実施例1とほぼ同じであり、使用した成分だけが替わり、且つステップ(3)は常圧放置脱気を採用して脱気処理を行い、放置時間が3hである。
【0089】
本実施例で得られた3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、透明材料である。
【0090】
<実施例5>
本実施例は、以下の表5の組成を有する3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を提供する。
【0091】
【0092】
本実施例において、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法は、実施例1とほぼ同じであり、使用した成分だけが替わり、且つステップ(3)は、加熱脱気の形態を採用して、ステップ(2)で得られた濾過液を約50℃まで加熱して脱気処理を行い、脱気時間が30minである。
【0093】
本実施例で得られた3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、透明材料である。
【0094】
<実施例6>
本実施例は、以下の表6の組成を有する3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を提供する。
【0095】
【0096】
本実施例において、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法は、実施例1とほぼ同じであり、使用した成分だけが替わる。
【0097】
本実施例で得られた3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、青色である。
【0098】
<比較例1>
本比較例は、以下の表7の組成を有する3Dインクジェット印刷用光硬化材料を提供する。
【0099】
【0100】
本比較例1において、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の調製方法は、実施例1とほぼ同じであり、使用した成分だけが替わる。
【0101】
本比較例1における3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、赤色である。
【0102】
上記各実施例における3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料に対して性能試験を行い、試験方法は以下のとおりであり、試験結果は表8を参照する。
【0103】
1、粘度
DV-Iデジタルディスプレイ粘度計を使用して、光硬化材料の粘度をテストする。
【0104】
2、サイズ精度
光硬化材料をSeineJ501 3D光硬化インクジェットプリンタに適用し、噴射ヘッド温度を30~70℃に設定し、長さ、幅、及び高さが100mm×100mm×100mmであるモデルを印刷し、印刷を完了した後、該モデルの実際の長さ、幅、及び高さのサイズをテストし、実際の長さ、幅、及び高さのサイズからそれぞれ100mmを減算し、3つの差の最大値は精度サイズの誤差である。
【0105】
3、ショア硬度
光硬化材料をSeineJ501の3D光硬化インクジェットプリンタに適用し、GB/T2411-2008『プラスチックとハードゴム 硬度計を使ってインデンテーション
硬度を測定する(ショア硬度)』で要求されたサイズ規格の試験材料を印刷し、この基準に従ってショア硬度をテストする。
【0106】
4、引張強度
光硬化材料をSeineJ501の3D光硬化インクジェットプリンタに適用し、GB/T 528-2009『硫化ゴム又は熱可塑性ゴム引張応力ひずみ性能の測定』で要求されたサイズ規格の試験材料を印刷し、GB/T1040-2006『プラスチック 引張性能の測定 第1部:総則』に従って本実施例の耐熱光硬化材料の引張強度をテストする。
【0107】
5、曲げ強度
光硬化材料をSeineJ501 3D光硬化インクジェットプリンタに適用し、GB/T 9341-2008『プラスチック 曲げ性能の測定』で要求されたサイズ規格の試験材料を印刷し、この標準に従って曲げ強度をテストする。
【0108】
6、衝撃強度
光硬化材料をSeineJ501 3D光硬化インクジェットプリンタに適用し、GB/T 1843-2008『プラスチック 片持ち梁衝撃強度の測定』で要求されたサイズ規格の試験材料を印刷し、この標準に従って衝撃強度をテストする。
【0109】
7、熱変形温度
本実施例の材料組成物をSeineJ501 3D光硬化インクジェットプリンタに適用し、GB/T 1634.2-2004『プラスチック 負荷変形温度の規定 第2部:プラスチック、ハードゴム及び長繊維強化複合材料』で要求されたサイズ規格の試験材料を印刷し、この標準に従って熱変形温度(0.45MPa)をテストする。
【0110】
【0111】
上記表8における試験結果から分かるものは、以下の通りである。
【0112】
1、本開示の実施例で提供される3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、室温(25℃)での粘度が10~80 cpであり、表面張力が20~35 mN/mであり、30~70℃の少なくとも1つの作業温度での粘度が8~15 cpであり、表面張力が20~35 mN/mであるので、30~70℃の低温条件で正常にインクジェット印刷ができ、これにより、エネルギーを効率的に節約し、印刷ヘッドの使用寿命を延長する。
【0113】
2、本開示の実施例で提供される3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を使用し、3Dインクジェット印刷によって得られた3D印刷製品は、以下のような性能を有する。
【0114】
(1)印刷モデルのサイズ誤差が0.1mmよりも小さいので、該3D印刷製品は、非常に高い成形精度を有する。
(2)熱変形温度(0.45MPa)が80℃よりも大きく、特に、非反応性窒素含有複素環のビニル基系化合物の含有量が10重量部を超えるとき(実施例1~5)、熱変形温度が95℃以上になるので、該3D印刷製品は、非常に優れた耐熱性を有する。
(3)引張強度が80MPaよりも大きく、曲げ強度が120Mpaよりも大きく、耐衝撃強度が10J/mよりも大きく、ショア硬度が80Dよりも大きいので、該3D印刷製品は優れた機械的性能を有し、特に、優れた耐衝撃強度を有し、実際の使用ニーズを満たす。
【0115】
3、実施例1~6と比較例1の試験結果を比較して、比較例1で提供される光硬化材料から得られた3D印刷製品の熱変形温度は、実施例6にほぼ近いが、引張強度、曲げ強度、衝撃強度などの機械的性能についての表現は、明らかに実施例1~6より劣っており、且つ成形精度が低い。
【0116】
<実施例7>
本実施例は、
図1に示すように、材料格納容器1、インクジェット印刷ヘッド2、接続装置3及びベアリングプラットフォーム7を含む3Dインクジェットプリンタを提供し、ここで、
材料格納容器1には、実施例1~6のいずれかに提供された3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料が収容され、
接続装置3は、材料格納容器1とインクジェット印刷ヘッド2を接続するためのものであり、材料格納容器1に収容された3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、該接続装置3を介してインクジェット印刷ヘッド2に供給され、
インクジェット印刷ヘッド2から噴射された3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料は、ベアリングプラットフォーム7に硬化されて、光硬化層6を形成する。
【0117】
具体的に、本実施例は、材料格納容器1の個数を特に限定せず、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の種類に応じて、対応する個数の材料格納容器1を設けてもよい。上記接続装置3は、具体的に接続管又は他の形態の接続装置であってもよく、上記の接続及びインク伝達機能を実現することができればよい。
【0118】
インクジェット印刷ヘッド2は、具体的に単一チャネル印刷ヘッド又はマルチチャンネル印刷ヘッドであってもよいし、単一チャネル印刷ヘッドとマルチチャンネル印刷ヘッドの組み合わせであってもよい。
【0119】
さらに
図1を参照し、本実施例で提供される3Dインクジェットプリンタはさらに、コントローラ4と紫外線光源5を含んでもよい。ここで、コントローラ4は、材料格納容器1を制御してインクジェット印刷ヘッド2に耐熱光硬化材料を提供することができ、コントローラ4はさらに、紫外線光源5を制御して、ベアリングプラットフォーム7に噴射された3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を紫外線で硬化させて光硬化層6を形成することもでき、具体的に、紫外線光源5は、紫外線発光ダイオードであってもよい。
【0120】
<実施例8>
本実施例は、前記各実施例1~6における3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料を用いて3Dインクジェット印刷によって得られる3D印刷製品を提供する。
【0121】
具体的に、要求に応じて、異なる色の耐熱及び機械的性能の良い3Dインクジェット印刷製品を印刷することができ、上記実施例1~6における材料をSeineのJ501プリンタ又は上記実施例7で提供された3Dプリンタに使用すれば、3Dインクジェット印刷用の耐熱光硬化材料の色と一致する3D印刷製品をそれぞれ印刷することができ、得られた3D印刷製品は、非常に高い耐熱性と優れた機械的性能を有している。
【0122】
勿論、上記実施例における材料を一定の割合で混合し、他の色の耐熱機械的性能の良い3D印刷製品を得ることもできる。
【0123】
最後に説明すべきものとして、上記の各実施例は、本開示の技術的手段を説明するためにのみ使用され、その制限ではなく、前記各実施例を参照して本開示を詳細に説明したが、当業者は、前記各実施例に記載の技術的手段を修正するか、又はその中の一部又は全ての技術的特徴を同等に置換することができ、ただし、これらの修正又は置換が、対応する技術的手段の本質を本開示の各実施例の技術的手段の範囲から逸脱させないことを理解すべきである。
【符号の説明】
【0124】
1-材料格納容器
2-インクジェット印刷ヘッド
3-接続装置
4-コントローラ
5-紫外線光源
6-光硬化層
7-ベアリングプラットフォーム