IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大日本除蟲菊株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-空間処理用定量噴射エアゾール 図1
  • 特許-空間処理用定量噴射エアゾール 図2
  • 特許-空間処理用定量噴射エアゾール 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】空間処理用定量噴射エアゾール
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/30 20060101AFI20240126BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20240126BHJP
   B05B 15/30 20180101ALI20240126BHJP
【FI】
B65D83/30
B05B9/04
B05B15/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021545415
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(86)【国際出願番号】 JP2020040410
(87)【国際公開番号】W WO2021090742
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2021-08-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】P 2019203461
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207584
【氏名又は名称】大日本除蟲菊株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】原田 悠耶
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋子
(72)【発明者】
【氏名】川尻 由美
(72)【発明者】
【氏名】中山 幸治
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】八木 誠
【審判官】西本 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-255688(JP,A)
【文献】特開2018-27789(JP,A)
【文献】特開2003-335382(JP,A)
【文献】特開2004-307071(JP,A)
【文献】特開2010-89828(JP,A)
【文献】特開2019-127295(JP,A)
【文献】特開2011-63576(JP,A)
【文献】特開2014-88327(JP,A)
【文献】特開2011-219132(JP,A)
【文献】特開2002-362656(JP,A)
【文献】特開2002-143733(JP,A)
【文献】国際公開第2019/111961(WO,A1)
【文献】特開2018-8947(JP,A)
【文献】特開2011-250799(JP,A)
【文献】特開2018-12676(JP,A)
【文献】実開昭53-46614(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D83/00, 83/08-83/76
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防除成分を含有するエアゾール原液及び噴射剤を封入してなる、1回当りの噴射容量が1.0mLの定量噴射バルブが設けられた耐圧容器と、前記定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられたアクチュエータと、前記エアゾール原液及び前記噴射剤を前記定量噴射バルブに供給するディップチューブとを備えた空間処理用定量噴射エアゾールであって、
前記噴射口からの距離5cmにおける噴射力が5~29gfであり、
前記ディップチューブの先端は、前記耐圧容器の最下部から3mm以下の高さに位置し、
前記ディップチューブの先端は、U字形状、又は斜めにカットされており、
前記耐圧容器を水平面に載置したとき、前記噴射口の噴射軸は、前記水平面に対して40~50°の仰角をなす空間処理用定量噴射エアゾール。
【請求項2】
前記防除成分は、30℃における蒸気圧が1×10-4mmHg未満である難揮散性防除成分を含有する請求項1に記載の空間処理用定量噴射エアゾール。
【請求項3】
前記防除成分は、30℃における蒸気圧が2×10-4~1×10-2mmHgである揮散性防除成分を含有する請求項1に記載の空間処理用定量噴射エアゾール。
【請求項4】
前記防除成分は、30℃における蒸気圧が1×10-4mmHg未満である難揮散性防除成分と、30℃における蒸気圧が2×10-4~1×10-2mmHgである揮散性防除成分とを含有する請求項1に記載の空間処理用定量噴射エアゾール。
【請求項5】
前記ディップチューブは、前記耐圧容器の内部において湾曲可能に構成されている請求項1~4の何れか一項に記載の空間処理用定量噴射エアゾール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量噴射バルブが設けられた耐圧容器と定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられたアクチュエータとディップチューブとを備えた空間処理用定量噴射エアゾールに関する。
【背景技術】
【0002】
1回の噴射によって一定量の薬剤を噴霧することができる定量噴射エアゾールは、局所的に隙間等に処理する塗布用定量噴射エアゾール、対象物に直接噴射処理する直撃用定量噴射エアゾール、及び空間に薬剤が広がる空間処理用定量噴射エアゾール等に分類される。
【0003】
例えば、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類のみならず、噴霧当日は飛翔害虫にも効果がある極めて有用な空間処理用定量噴射エアゾール(特許文献1を参照)がある。本発明者らは、空間処理用定量噴射エアゾールは、薬剤を簡便に室内全体に処理する上で効率的であるとの認識に基づき、薬剤の噴射効率や効力を高めるべく種々検討を行った。その結果、空間処理用定量噴射エアゾールは、薬剤を水平面に対して斜め上方に向けて噴霧することで、薬剤の拡散性が向上するという知見を得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5517122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
(1)水平方向又は(2)斜め上向きの噴射口を設けたアクチュエータを有する空間処理用定量噴射エアゾールを用いて、水平面に対して斜め上方に向けて噴霧するためには、噴射口の噴射軸が斜め上方を向くように、エアゾール缶を水平面に対して斜めに傾けて噴射するという使用方法がある。
【0006】
しかしながら、従来の製品では、このような使用方法において噴射不良が生じることがあった。特許文献1では、斜め上方に向けて噴霧することで噴射不良が生じる場合があることが認識されておらず、このような問題に対策を講じたものではなかった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、害虫、特に匍匐害虫や屋内塵性ダニ類を防除対象として、空間処理用法において薬剤を均一に拡散させることができ、噴射不良の発生を抑制することができる空間処理用定量噴射エアゾールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明に係る空間処理用定量噴射エアゾールの特徴構成は、
防除成分を含有するエアゾール原液及び噴射剤を封入してなる定量噴射バルブが設けられた耐圧容器と、前記定量噴射バルブに接続される噴射口が設けられたアクチュエータと、前記エアゾール原液及び前記噴射剤を前記定量噴射バルブに供給するディップチューブとを備えた空間処理用定量噴射エアゾールであって、
前記ディップチューブの先端は、前記耐圧容器の最下部から6mm以下の高さに位置し、
前記耐圧容器を水平面に載置したとき、前記噴射口の噴射軸は、前記水平面に対して10~60°の仰角をなすことにある。
【0009】
本発明者は、空間処理用定量噴射エアゾールの噴射方向について種々検討を行ったところ、薬剤を水平面に対して、特に斜め上方30~60°付近に向けて噴霧した場合、薬剤の処理空間への拡散が均一になり、効率的に処理することができるという知見を得た。
本構成の空間処理用定量噴射エアゾールによれば、当該空間処理用定量噴射エアゾールのディップチューブの先端が耐圧容器の最下部から6mm以下の高さに位置し、耐圧容器を水平面に載置したとき、噴射口の噴射軸が水平面に対して10~60°の仰角をなすことにより、害虫の防除に好適な防除成分を、水平面に対して噴射口の噴射軸が30~60°となすように噴射する際に、噴射不良の発生を抑制することができる。この場合、耐圧容器を水平面に対して若干斜めに傾けて噴射したときでも、ディップチューブの先端が耐圧容器の最下部から6mm以下の高さに位置することで、エアゾール原液及び噴射剤は定量噴射バルブに確実に供給されるため、噴射状態を良好に維持することができる。
【0010】
本発明に係る空間処理用定量噴射エアゾールにおいて、
前記防除成分は、30℃における蒸気圧が1×10-4mmHg未満である難揮散性防除成分を含有することが好ましい。
【0011】
本構成の空間処理用定量噴射エアゾールによれば、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類を好適に防除することができる。
【0012】
本発明に係る空間処理用定量噴射エアゾールにおいて、
前記防除成分は、30℃における蒸気圧が2×10-4~1×10-2mmHgである揮散性防除成分を含有することが好ましい。
【0013】
本構成の空間処理用定量噴射エアゾールによれば、飛翔害虫を好適に防除することができ、加えて、匍匐害虫や屋内塵性ダニも防除することができる。
【0014】
本発明に係る空間処理用定量噴射エアゾールにおいて、
前記防除成分は、30℃における蒸気圧が1×10-4mmHg未満である難揮散性防除成分と、30℃における蒸気圧が2×10-4~1×10-2mmHgである揮散性防除成分とを含有することが好ましい。
【0015】
本構成の空間処理用定量噴射エアゾールによれば、飛翔害虫、及び匍匐害虫や屋内塵性ダニを同時に防除することができる。
【0016】
本発明に係る空間処理用定量噴射エアゾールにおいて、
前記噴射口の噴射軸は、前記水平面に対して15~50°の仰角をなすことが好ましい。
【0017】
本構成の空間処理用定量噴射エアゾールによれば、当該空間処理用定量噴射エアゾールの噴射口の噴射軸が水平面に対して15~50°の仰角をなすことにより、水平面に対して噴射口の噴射軸が30~60°となすように噴射する際に、耐圧容器を傾斜させる角度がおさえられるため、噴射不良の発生が抑制され、安定した噴射状態を維持することができる。
【0018】
本発明に係る空間処理用定量噴射エアゾールにおいて、
前記ディップチューブの先端は、前記耐圧容器の最下部から3mm以下の高さに位置することが好ましい。
【0019】
本構成の空間処理用定量噴射エアゾールによれば、ディップチューブの先端が耐圧容器の最下部から3mm以下の高さに位置することにより、耐圧容器を水平面に対して若干斜めに傾けて噴射したときでも、エアゾール原液及び噴射剤は定量噴射バルブに確実に供給され、噴射不良の発生を抑制することができる。
【0020】
本発明に係る空間処理用定量噴射エアゾールにおいて、
噴射距離5cmにおける噴射力を5~50gfに設定してあることが好ましい。
【0021】
本構成の空間処理用定量噴射エアゾールによれば、噴射距離5cmにおける噴射力を5~50gfに設定してあることにより、噴射されたエアゾール原液は、処理空間内の露出面(例えば、処理空間内に存在する床面や壁面、家具等の構造物の表面等)、特に床面全体に均一に沈降、付着し、飛翔害虫、匍匐害虫、及び屋内塵性ダニ類に対して実用上十分な防除効果を奏することができる。
【0022】
本発明に係る空間処理用定量噴射エアゾールにおいて、
前記ディップチューブは、前記耐圧容器の内部において湾曲可能に構成されていることが好ましい。
【0023】
本構成の空間処理用定量噴射エアゾールによれば、ディップチューブは、耐圧容器の内部において湾曲可能に構成されているので、ディップチューブを適宜湾曲させることにより、その先端を耐圧容器内の適切な位置に容易に配することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明に係る空間処理用定量噴射エアゾールの断面図である。
図2図2は、空間処理用定量噴射エアゾールにおける(a)噴射口(噴射軸)の仰角、及び(b)噴射方向を示す説明図である。
図3図3は、空間処理用定量噴射エアゾールのディップチューブの先端の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の空間処理用定量噴射エアゾールについて説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態に記載される構成や実施例に限定することを意図するものではない。
【0026】
図1は、本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100の断面図である。空間処理用定量噴射エアゾール100は、防除成分を含有するエアゾール原液及び噴射剤を封入してなる定量噴射バルブ12が設けられた耐圧容器10と、定量噴射バルブ12に接続される噴射口21が設けられたアクチュエータ20と、エアゾール原液及び噴射剤を定量噴射バルブ12に供給するディップチューブ30とを備え、空間処理によって、カ、ハエ等の飛翔害虫、ゴキブリ等の匍匐害虫や屋内塵性ダニ類等の害虫を防除するために用いられる。
【0027】
〔耐圧容器〕
耐圧容器10は、エアゾール原液及び噴射剤が貯留される貯留部11と、貯留部11の口部に組み付けられた定量噴射バルブ12とを備える。貯留部11は、有底円筒形状又は有底略円筒形状をなし、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂、又はアルミニウムやブリキ等の金属により形成されている。貯留部11の外観は、透明、半透明、又は不透明の何れでも構わない。底部の形状は正立するものであればよく、平形状、凹形状、5つの花びら様の形状等が挙げられる。貯留部11の外側面には、ディップチューブ30が湾曲して先端30aが向かう方向の逆側が正面であることを、使用者に認識させるための表示が設けられていることが好ましい。例えば、貯留部11の外側面のPの位置に、正面方向Fを示す表示が印刷されていること等により、ディップチューブ30が湾曲して先端30aが向かう方向の逆側が正面であることを使用者に認識させることができる。正面方向Fを示す表示は、例えば、文字や図柄とすることができるが、噴射口21を正面方向Fに向けたときにアクチュエータ20に印刷された模様等と一致するような図柄とすれば、デザイン性を損なうことなく、使用者に正面方向Fを認識させることができる。ここで、正面方向Fとは、使用時に噴射口21を向けることが好ましい方向であり、後述するディップチューブ30の湾曲方向の逆側の方向である。噴射口21を表示Pにより示される正面方向Fに向けることで、空間処理用定量噴射エアゾール100の使用後期において封入物が少ない状態においても、耐圧容器10を水平面Hに対して若干斜め上方に傾けると、ディップチューブ30の先端30a近傍にエアゾール原液及び噴射剤が溜まることになる。その結果、空間処理用定量噴射エアゾール100を噴射するときに、ディップチューブ30によるエアゾール原液及び噴射剤の吸い上げがよくなり、噴射不良の発生を抑制することができる。ここで、「噴射不良」とは、アクチュエータ20の1回の操作により実際に噴射される容量が、定量噴射バルブ12の噴射容量の85%未満となる状態を意味する。貯留部11が透明又は半透明の樹脂製である場合、貯留部11にはさらに、ボーダー柄等の水平表示が印刷されていることが好ましい。水平表示は、空間処理用定量噴射エアゾール100を噴射するときに、噴射不良を引き起こすほど過剰に傾けることを防止するために設けられる。このような水平表示があると、使用者は心理的に貯留部11の内部のエアゾール原液の液面を水平表示に合わせようとするため、適正な姿勢で空間処理用定量噴射エアゾール100を使用することができる。
【0028】
定量噴射バルブ12は、貯留部11の口部に装着され、耐圧容器10の外側でアクチュエータ20に接続し、耐圧容器10の内側でディップチューブ30に接続する。定量噴射バルブ12は、図示しない弁機構を有し、通常1回当たりの噴射容量が0.2~5.0mLとなるように設定されている。
【0029】
〔アクチュエータ〕
アクチュエータ20は、エアゾール原液を噴射するための作動部であり、このアクチュエータ20には、定量噴射バルブ12に接続され、エアゾール原液が耐圧容器10から外部へ噴出する噴射口21が設けられている。ここで、噴射口21の角度について説明する。図2は、空間処理用定量噴射エアゾール100における(a)噴射口(噴射軸)の仰角、及び(b)噴射方向を示す説明図である。本発明では、耐圧容器10を水平面Hに載置したときの水平面Hに対する噴射口の噴射軸Oの角度を仰角Dと規定し(図2(a))、実際に空間処理用定量噴射エアゾール100を手に取り、空間に向けてエアゾール原液を噴射するときの水平面Hに対する噴射口の噴射軸Oの角度を噴射方向角Eと規定する(図2(b))。従って、仰角Dは基本的には空間処理用定量噴射エアゾール100の固有の角度であり、噴射方向角Eは噴射姿勢によって変動する角度である。本発明において、噴射口21は、耐圧容器10を水平面Hに載置したとき、水平面Hに対する噴射軸Oの仰角Dが10~60°に設定されており、15~50°に設定されていることが好ましい。仰角Dが10~60°であれば、斜め上方30~60°付近に向けて(すなわち、噴射方向角Eを30~60°となして)エアゾール原液を容易に噴射することができる。仰角Dが10°未満であると、エアゾール原液を水平面Hに対して斜め上方30~60°付近に向けて噴射するために耐圧容器10を過剰に傾ける必要があり、そのように耐圧容器10を過剰に傾けて噴射したときは、噴射不良が生じる虞がある。仰角Dが60°を超えると、噴射したエアゾール原液がアクチュエータ20を操作する手指等に付着する虞がある。なお、図2では、(a)仰角Dが60°に設定された空間処理用定量噴射エアゾール100、及び(b)空間処理用定量噴射エアゾール100を下方に15°傾けて噴射方向角Eを45°とした状態を例示してある。
【0030】
噴射口21について、その数、形状、サイズは特に限定されない。噴射口21の数は、1個であってもよく、2個以上であってもよいが、簡便で低コストで製造できるという観点からすれば、噴射口21の数は1個であることが好ましい。なお、噴射口を2個有するノズル又はアクチュエータについては、各噴射口21の中心を結んだ線分の垂直二等分線を噴射軸Oとし、噴射口を3個以上有するノズル又はアクチュエータについては、噴射口21の噴射軸Oを以下のように定める。ノズル又はアクチュエータの噴射部の中央に噴射口21が存在するものについては、その中央の噴射口21の中心を貫く直交線を噴射軸Oとする。ノズル又はアクチュエータの噴射部の中央に噴射口21が存在しないものについては、各噴射口21の中心を結ぶ多角形の外接円の中心を貫く直交線を噴射軸Oとする。
【0031】
噴射口21の形状(断面形状)は、円形、楕円形、多角形等の他、各種不定形であってもよい。噴射口21の開口面積は、0.05~8.0mmであることが好ましく、0.1~4.0mmであることがより好ましく、0.2~3.0mmであることがさらに好ましい。例えば、噴射口21の数が1個であり、噴射口21の形状が円形である場合、噴射口21のサイズ(噴口径)は、0.3mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがより好ましく、0.6mm以上であることがさらに好ましい。また、噴口径は、3.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以下であることがより好ましく、1.8mm以下であることがさらに好ましい。
【0032】
アクチュエータ20は、ノズルを有するものでも、ノズルを有さないものでも構わない。ノズルを有するものである場合、突出したノズル付きのものでも、突出していないノズル付きのものでも構わないが、突出したノズル付きのものが好ましい。ノズル付きアクチュエータである場合、ノズルの長さは、特に限定されないが、2.0~80mmが好ましく、3.0~70mmがより好ましく、4.0~60mmが特に好ましい。アクチュエータ20における操作ボタンは、プッシュダウンタイプやトリガータイプのボタンを採用することができる。
【0033】
〔ディップチューブ〕
ディップチューブ30は、定量噴射バルブ12に取り付けられたポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂製の中空部材であって、定量噴射バルブ12の操作時に、耐圧容器10に封入されているエアゾール原液及び噴射剤を定量噴射バルブ12に供給する。ディップチューブ30は、それ自体は直線形状であるが、定量噴射バルブ12に取り付けられて耐圧容器10の内部に挿入されると、湾曲することが可能となる。従って、ディップチューブを適宜湾曲させることにより、その先端30aを耐圧容器10内の適切な位置に容易に配することができる。ディップチューブ30の先端30aは、耐圧容器10の最下部Bからの高さhが6mm以下、好ましくは3mm以下となるように、定量噴射バルブ12に取り付けられている。ここで、耐圧容器10の最下部Bとは、耐圧容器10を水平面Hに載置したとき、耐圧容器10の内面において水平面Hに最も近い部位である。図1に示すように耐圧容器10の底面がドーム状をなす場合にも、耐圧容器10に封入されたエアゾール原液は、空間処理用定量噴射エアゾール100の使用後期において、最下部Bに最後まで存在することになる。そのため、ディップチューブ30の先端30aが耐圧容器10の最下部Bから6mm以下の位置にあることで、耐圧容器10を水平面Hに対して若干斜めに傾けて噴射したときでも、先端30aがエアゾール原液及び噴射剤の液面下に位置することになり、エアゾール原液及び噴射剤を確実に定量噴射バルブ12に供給することができる。その結果、空間処理用定量噴射エアゾール100の使用後期における噴射不良の発生を抑制することができる。耐圧容器10の最下部Bからの先端30aの高さhが6mmを超えると、噴射時に耐圧容器10を水平面Hに対して若干斜めに傾けたときに、エアゾール原液及び噴射剤の液面より先端30aが高い位置となり易く、その結果、噴射不良が発生する虞がある。ディップチューブ30は、一端を定量噴射バルブ12に取り付けた状態で下方垂直方向に延伸する直線状の形状、一端を定量噴射バルブ12に取り付けた状態で下方垂直方向に延伸し、湾曲部30bにおいて湾曲した形状、又は全体が湾曲した形状をなすことが好ましい。その中でも、先端30aが耐圧容器10の内側面Sの近傍に位置するように、湾曲部30bにおいて湾曲した形状、又は全体が湾曲した形状であることがより好ましい。ディップチューブ30が湾曲部30bにおいて湾曲した形状、又は全体が湾曲した形状をなし、先端30aが耐圧容器10の内側面Sの近傍に位置するときに、耐圧容器10の内側面Sから先端30aまでの距離dは、25mm以下となるように設定され、15mm以下が好ましく、6mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましい。内側面Sから先端30aまでの距離dが25mm以下であることで、耐圧容器10を水平面Hに対して斜めに傾けて噴射したときでも、内側面Sの近傍にあるエアゾール原液及び噴射剤を確実に定量噴射バルブ12に供給し、噴射不良の発生をより抑制することができる。ディップチューブ30の先端30aは、様々な形状に加工することができる。図3は、空間処理用定量噴射エアゾールのディップチューブの先端の拡大断面図であり、(a)斜めにカットされた斜端部、(b)U字状(凹状)にカットされたU端部、(c)円弧状(凸状)にカットされた円弧端部、(d)直角にカットされた直角端部を例示している。これらのうち、(a)斜めにカットされた斜端部、(b)U字状にカットされたU端部、又は(c)円弧状にカットされた円弧端部が好ましい。先端30aがこれらの形状であることにより、エアゾール原液及び噴射剤の吸い上げがよくなり、噴射不良の発生をより抑制することができる。
【0034】
<エアゾール原液>
エアゾール原液は、その主成分の一つである防除成分として、(A)30℃における蒸気圧が1×10-4mmHg未満である化合物(難揮散性防除成分)、(B)30℃における蒸気圧が2×10-4~1×10-2mmHgである化合物(揮散性防除成分)、あるいは(A)及び(B)の混合物を含むものを使用することができる。以下、難揮散性防除成分を含むものをエアゾール原液A、揮散性防除成分を含むものをエアゾール原液Bとして説明する。
【0035】
[エアゾール原液A]
エアゾール原液Aの主成分の一つである難揮散性防除成分としては、ゴキブリ、トコジラミ、アリ等に代表される匍匐害虫を防除するための匍匐害虫防除用化合物、及び/又は主に屋内塵性ダニ類を防除するためのダニ防除用化合物を用いることができる。匍匐害虫防除用化合物としては、例えば、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、エトフェンプロックス、及びイミプロトリン等のピレスロイド系化合物、シラフルオフェン等のケイ素系化合物、ジクロルボス、及びフェニトロチオン等の有機リン系化合物、プロポクスル等のカーバメート系化合物、ジノテフラン、イミダクロプリド、及びクロチアニジン等のネオニコチノイド系化合物、フィプロニル、並びにインドキサカルブ等が挙げられる。これらの中でも、フェノトリン、シフェノトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン、ビフェントリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、エトフェンプロックス、及びジノテフランが好ましい。なお、ピレスロイド系化合物の酸成分やアルコール部分において、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も匍匐害虫防除用化合物に含まれる。ダニ防除用化合物としては、例えば、アミドフルメト、安息香酸ベンジル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチル、p-メンタン-3,8-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、フェノトリン、及びディート等が挙げられる。これらの中でも、アミドフルメト、安息香酸ベンジル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、p-メンタン-3,8-ジオール、フェノトリン、及びディートが好ましい。本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100は、屋内の処理空間で一定量噴射すると、噴霧粒子が主に付着性粒子として床面に沈降するが、難揮散性防除成分を含むことで、その処理空間において特に匍匐害虫や屋内塵性ダニ類に対して優れた防除効果を示す。また、難揮散性防除成分を含むことで、床面に沈降した付着性粒子から気中への難揮散性防除成分の揮散が抑制される。このような作用機序により、本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100は、安全性が高く、人が居る状況下でも使用可能なものとなる。
【0036】
エアゾール原液A中の防除成分の含有量は、1~90w/v%であり、5~80w/v%とすることが好ましく、30~75w/v%とすることがより好ましい。エアゾール原液A中の防除成分の含有量が上記の範囲にあれば、防除成分が有機溶剤に溶解し易く、また、エアゾールが噴射された際、噴射粒子が最適な状態で形成される。
【0037】
エアゾール原液Aには、上記の防除成分の他に有機溶剤が含まれる。有機溶剤は、上記の防除成分を溶解してエアゾール原液Aを調製することができ、また、調製したエアゾール原液Aを噴射したとき、最適な噴射粒子を形成し得るものが使用される。本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100においては、有機溶剤としては、例えば、エタノール、及びイソプロパノール(IPA)等の炭素数が2~3の低級アルコール、ノルマルパラフィン、及びイソパラフィン等の炭化水素系溶剤、ミリスチン酸イソプロピル(IPM)、ラウリン酸ヘキシル等の炭素数が16~20の高級脂肪酸エステル、炭素数3~10のグリコールエーテル系溶剤、並びにケトン系溶剤等が挙げられる。これらの中でも、炭素数が2~3の低級アルコール、炭化水素系溶剤、及び炭素数が16~20の高級脂肪酸エステルが好ましい。特に、炭素数が2~3の低級アルコールは、噴霧粒子の拡散均一性や処理空間内の露出面(例えば、処理空間内に存在する床面や壁面、家具等の構造物の表面等)、特に床面にベタツキを生じにくいことからより好ましい。上記の有機溶剤は、二種以上を混合して使用することも可能である。また、有機溶剤として、さらに、グリコールエーテル類や、ノルマルパラフィン、及びイソパラフィン等の炭化水素系溶剤、及びケトン系溶剤等を混合することも可能である。
【0038】
エアゾール原液Aの比重は、0.85~1.15であることが好ましく、0.89~1.10であることがより好ましい。エアゾール原液Aの比重が0.85~1.15の範囲にあれば、本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100を屋内の処理空間で一定量噴射すると、噴霧粒子が主に付着性粒子として床面に沈降、付着するため、適切な防除効果を得ることができる。また、エアゾール原液Aの比重が上記の範囲にあると、付着性粒子が沈降に至る過程において隙間や物陰にも進入するため、防除成分としてピレスロイド系化合物を用いた場合には、ゴキブリ等が隙間や物陰から飛び出すフラッシング効果も十分期待し得る。
【0039】
エアゾール原液Aには、上記成分に加え、カビ類、菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤殺菌剤、芳香剤、消臭剤、安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、及び賦形剤等を適宜配合することもできる。防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、ヒノキチオール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(4-チアゾリル)ベンゾイミダゾール、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、トリホリン、3-メチル-4-イソプロピルフェノール、及びオルト-フェニルフェノール等を例示できる。また、芳香剤としては、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α-ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート等の芳香成分、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分等が挙げられる。
【0040】
[エアゾール原液B]
エアゾール原液Bの主成分の一つである揮散性防除成分としては、カ、ハエ等に代表される飛翔害虫やゴキブリ、トコジラミ、アリ等に代表される匍匐害虫、屋内塵性ダニ類等の害虫を防除するための害虫防除用化合物を用いることができる。害虫防除用化合物としては、例えば、メトフルトリン、プロフルトリン、トランスフルトリン、エムペントリン、テラレスリン、及びフラメトリン等が挙げられる。これらの中でも、蒸気圧や安定性、基礎殺虫効力等を考慮すると、メトフルトリン、プロフルトリン、及びトランスフルトリンが好ましい。これらの化合物の酸成分やアルコール部分において、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も揮散性防除成分に含まれる。本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100は、屋内の処理空間で一定量噴射すると、揮散性防除成分を含む噴霧粒子は、主に付着性粒子として処理空間内の露出面(例えば、処理空間内に存在する床面や壁面、家具等の構造物の表面等)、特に床面に沈降、付着し、その処理空間において、飛翔害虫、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類に対して優れた防除効果を示す。
【0041】
エアゾール原液B中の防除成分の含有量は、1~90w/v%であり、5~80w/v%とすることが好ましく、8~75w/v%とすることがより好ましい。エアゾール原液B中の防除成分の含有量が上記の範囲にあれば、防除成分が有機溶剤に溶解し易く、また、エアゾールが噴射された際、噴射粒子が最適な状態で形成される。
【0042】
エアゾール原液Bには、上記の防除成分の他に有機溶剤が含まれる。有機溶剤は、上記の防除成分を溶解してエアゾール原液Bを調製することができ、また、調製したエアゾール原液Bを噴射したとき、最適な噴射粒子を形成し得るものが使用される。エアゾール原液Bに使用可能な有機溶剤は、上述したエアゾール原液Aに使用可能な有機溶剤と同じものである。
【0043】
エアゾール原液Bの比重は、0.78~1.15であることが好ましく、0.82~1.10であることがより好ましい。エアゾール原液Bの比重が0.78~1.15の範囲にあれば、本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100を屋内の処理空間で一定量噴射すると、噴霧粒子が主に付着性粒子として露出面に均一に付着するため、適切な防除効果を得ることができる。
【0044】
エアゾール原液Bには、上記成分に加え、カビ類、菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤殺菌剤、芳香剤、消臭剤、安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、及び賦形剤等を適宜配合することもできる。これらの追加の成分は、上述したエアゾール原液Aに追加される成分と同じものである。
【0045】
[エアゾール原液A及びエアゾール原液Bの混合物]
上記のエアゾール原液Aとエアゾール原液Bとを混合した混合物をエアゾール原液(A+B)として使用した場合、飛翔害虫、匍匐害虫、屋内塵性ダニのすべてに対して効果的な防除が可能となり、より広い用途に利用することができる。すなわち、本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100を屋内の処理空間で一定量噴射すると、エアゾール原液Bに由来する揮散性防除成分を含む噴霧粒子は、主に付着性粒子として処理空間内の露出面(例えば、処理空間内に存在する床面や壁面、家具等の構造物の表面等)、特に床面に沈降、付着し、その処理空間において、飛翔害虫、匍匐害虫や屋内塵性ダニ類に対して優れた防除効果を示す。ここで、噴霧粒子の一定量は気中に浮遊残存するが、防除成分としてエアゾール原液Bに由来する揮散性防除成分を含むことで、飛翔害虫に対しても防除効果を発揮し得る。また、エアゾール原液Bに由来する揮散性防除成分は、エアゾール原液Aに由来する難揮散性防除成分と共に一部床面や壁面に付着すると、匍匐害虫及び/又は屋内塵性ダニ類に対する防除効果を相乗的に高めることができる。
【0046】
<噴射剤>
本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100に用いる噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)、及びハイドロフルオロオレフィン等の液化ガス、並びに窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、及び圧縮空気等の圧縮ガスが挙げられる。上記の噴射剤は、単独又は混合状態で使用することができるが、LPGを主成分としたものが使い易い。
【0047】
本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100は、耐圧容器10に充填されるエアゾール原液(a)と噴射剤(b)との容量比率(a/b)は、体積比で10/90~50/50に調整されることが好ましい。容量比率(a/b)が上記の範囲にあれば、十分な量の防除成分を露出面全体、特に床面全体へ均一に拡散させることができる。
【0048】
本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100は、噴射口21からの距離が5cmの箇所において噴射力が5~50gfであることが好ましい。噴射力が上記の範囲にあれば、噴射されたエアゾール原液は、処理空間内の露出面(例えば処理空間内に存在する床面や壁面、家具等の構造物の表面等)、特に床面全体に均一に沈降、付着し、飛翔害虫、匍匐害虫、及びダニ対して実用上十分な防除効果が得られる。噴射力が5gf未満であると、噴射力が不足して露出面全体への拡散性が不十分になる傾向がある。噴射力が50gfを超えると、噴射されたエアゾール原液の良好な拡散性が得られない虞がある。このような噴射力はエアゾール原液の組成、耐圧容器10の内圧、噴射口21の形状等により適宜調整され得る。
【0049】
<防除対象害虫>
本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100は、アカイエカ、ヒトスジシマカ、ネッタイシマカ、チカイエカ等のカ類、イエバエ、ニクバエ等のハエ類、コバエ類、チョウバエ類、ユスリカ類、ハチ類、ガ類等の飛翔害虫や、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ、チャバネゴキブリ等のゴキブリ類、トコジラミ(ナンキンムシ)、タイワントコジラミ(ネッタイトコジラミ)等のトコジラミ類、クサギカメムシ等のカメムシ類、クロヤマアリ、アミメアリ、トビイロケアリ、イエヒメアリ、アカカミアリ、ヒアリ等のアリ類、アシダカグモ、マダラヒメグモ、セアカゴケグモ等のクモ類、ヤスデ類、トビズムカデ等のムカデ類、ダンゴムシ類、ワラジムシ類、イエシロアリ、ヤマトシロアリ等のシロアリ類、ケムシ類等の匍匐害虫に加えて、イガ、コイガ等のイガ類、カツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ等のカツオブシムシ類等の衣料害虫、コクゾウムシ類等の貯穀害虫、コナダニ、ヒョウヒダニ、ホコリダニ、ツメダニ、ヤケヒョウヒダニ等の屋内塵性ダニ類等の種々の害虫を防除するために使用することができる。特に、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ、チャバネゴキブリ等のゴキブリ類、トコジラミ(ナンキンムシ)、タイワントコジラミ(ネッタイトコジラミ)等のトコジラミ類、クロヤマアリ、アミメアリ、トビイロケアリ、イエヒメアリ、アカカミアリ、ヒアリ等のアリ類、アシダカグモ、マダラヒメグモ、セアカゴケグモ等のクモ類などの匍匐害虫やコナダニ、ヒョウヒダニ、ホコリダニ、ツメダニ、ヤケヒョウヒダニ等の屋内塵性ダニ類の防除に有効であり、とりわけ、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ、クロゴキブリ、トコジラミ(ナンキンムシ)に対して、優れた防除効果を奏する。
【0050】
<処理対象>
本発明の空間処理用定量噴射エアゾール100の処理対象は、主に屋内空間である。処理空間の容積は特に限定されないが、4.5~16畳の部屋に相当する容積が18.8~66.6m(面積7.5~26.6m、高さ2.2~3.0m)であることが好ましく、4.5~8畳の部屋に相当する容積が18.8~33.3m(面積7.5~13.3m、高さ2.2~3.0m)であることがより好ましい。ただし、より容積の大きな屋内空間や、より容積の小さな屋内空間においても、その屋内空間の容積にあわせて、屋内空間の気中に、防除成分の放出量が0.1~50mg/mとなるように噴射回数、噴射容量等を適宜設定することで、屋内空間の容積に関わらず同様の防除効果を得ることができる。本発明の空間処理用定量噴射エアゾールの使用頻度は、害虫の発生頻度や状況に応じて適当な時期に、防除成分の放出量が上記の範囲となるように施用すればよい。
【実施例
【0051】
実施例1~49、及び比較例1~7に基づいて、本発明の空間処理用定量噴射エアゾールをさらに詳細に検討した。本発明の空間処理用定量噴射エアゾールについて、その効果を確認するため、本発明の特徴構成を備えた空間処理用定量噴射エアゾール(実施例1~49)を作製し、噴射試験を実施した。また、比較のため、本発明の特徴構成を備えていない空間処理用定量噴射エアゾール(比較例1~7)を作製し、同様の効果確認試験を実施した。
【0052】
〔実施例1〕
難揮散性防除成分としてフェノトリン(40w/v%)をエタノールに溶解してエアゾール原液Aを調製した。このエアゾール原液A3.5mLと、噴射剤として液化石油ガス5.3mLとを、噴射容量が0.4mLである定量噴霧バルブ付きの耐圧容器に加圧充填した。この充填量は、理論上、定量噴射を最大22回実施可能なものである。耐圧容器の定量噴霧バルブに、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して60°の仰角(D)をなすように噴射口が設けられたアクチュエータを装着し、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールでは、ディップチューブは、先端がU字状にカットされたものを用い、耐圧容器内において、耐圧容器の最下部からの先端の高さ(h)が1mmとなるように、定量噴射バルブに取り付けた。実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールは、噴射距離5cmにおける噴射力が15gfとなった。
【0053】
〔実施例2~24、比較例1~5〕
実施例1に準じて、表1に示す構成にて、実施例2~24、比較例1~5の各種空間処理用定量噴射エアゾールを作製した。実施例16、17、21、22、23、及び24の空間処理用定量噴射エアゾールでは、噴射容量が0.2mLや1.0mLである定量噴霧バルブを用いた場合においても、理論上、定量噴射を最大22回実施可能なものとなるように耐圧容器への充填量を調整した。
【0054】
<噴射試験(噴射角度45°)>
水平面に対して噴射口の噴射軸が45°の噴射角度をなすように、実施例1~24、及び比較例1~5の空間処理用定量噴射エアゾールを固定し、噴射を繰り返した。噴射回数のカウントを開始する前に2回空打ちを行い、その後、正常に噴射できなくなるまでの噴射回数をカウントした。なお、本実施例において、「正常に噴射できなくなる」とは、前述の「噴射不良」と同義であり、アクチュエータの操作により実際に噴射される容量が、定量噴射バルブの噴射容量の85%未満となることを意味する。以降の実施例においても同じである。各空間処理用定量噴射エアゾールについて試験を4度繰り返して、噴射回数の平均値に応じて、噴射不良抑制効果を以下の評価基準により評価した。
(評価基準)
A:18回以上
B:16回もしくは17回
C:14回もしくは15回
D:14回未満
【0055】
また、4度の試験のうちで1度以上、カウント開始2回目までに噴射不良が発生した場合は、使用初期の噴射不良が有ると判定した。試験結果を、表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
試験の結果、薬剤を水平面に対して斜め上方45°に向けて噴霧する場合、実施例1~24の空間処理用定量噴射エアゾールでは、正常に噴射できなくなるまでの噴射回数が何れも14回以上であり、使用後期における噴射不良の発生が抑制された。その中でも、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して15°以上の仰角をなすように噴射口が設けられたアクチュエータを装着し、先端がU字形状や斜めにカットされたディップチューブを用いた実施例1~6、8~19、及び21~24の空間処理用定量噴射エアゾールは、使用後期における噴射不良抑制効果が特に優れていた。また、実施例1~24の空間処理用定量噴射エアゾールでは、使用初期の噴射不良も発生しなかった。
【0058】
これに対し、比較例1~5の空間処理用定量噴射エアゾールは、正常に噴射できなくなるまでの噴射回数が何れも13回以下であり、使用後期における噴射不良の発生が十分に抑制されなかった。また、比較例1~3、及び5の空間処理用定量噴射エアゾールでは、使用初期の噴射不良も発生した。
【0059】
〔実施例25~32、比較例6及び7〕
実施例1に準じて、表2に示す構成にて、実施例25~32、比較例6及び7の各種空間処理用定量噴射エアゾールを作製した。
【0060】
<噴射試験(噴射角度30°)>
水平面に対して噴射口の噴射軸が30°の噴射角度をなすように、実施例25~32、並びに比較例6及び7の空間処理用定量噴射エアゾールを固定し、噴射を繰り返した。噴射回数のカウントを開始する前に2回空打ちを行い、その後、正常に噴射できなくなるまでの噴射回数をカウントした。各空間処理用定量噴射エアゾールについて試験を4度繰り返して、噴射回数の平均値に応じて、噴射不良抑制効果を以下の評価基準により評価した。
(評価基準)
A:18回以上
B:16回もしくは17回
C:14回もしくは15回
D:14回未満
【0061】
また、4度の試験のうちで1度以上、カウント開始2回目までに噴射不良が発生した場合は、使用初期の噴射不良が有ると判定した。試験結果を、表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】
試験の結果、薬剤を水平面に対して斜め上方30°に向けて噴霧する場合、実施例25~32の空間処理用定量噴射エアゾールでは、正常に噴射できなくなるまでの噴射回数が何れも15回以上であり、使用後期における噴射不良の発生が抑制された。その中でも、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して50°以下の仰角をなすように噴射口が設けられたアクチュエータを装着した実施例26~32の空間処理用定量噴射エアゾールは、使用後期における噴射不良抑制効果が特に優れていた。また、実施例25~32の空間処理用定量噴射エアゾールでは、使用初期の噴射不良も発生しなかった。
【0064】
これに対し、比較例6及び7の空間処理用定量噴射エアゾールでは、正常に噴射できなくなるまでの噴射回数が何れも14回以下であり、使用後期における噴射不良抑制効果が、実施例25~32の空間処理用定量噴射エアゾールより劣るものであった。また、比較例6及び7の空間処理用定量噴射エアゾールでは、使用初期の噴射不良も発生した。
【0065】
〔実施例33〕
エアゾール原液A2.7mLと、噴射剤として液化石油ガス6.1mLとを、耐圧容器に加圧充填した。その他は、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールと同様の手順により、実施例33の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。
【0066】
〔実施例34~38〕
実施例33に準じて、表3に示す構成にて、実施例34~38の各種空間処理用定量噴射エアゾールを作製した。
【0067】
<噴射試験(噴射角度60°)>
水平面に対して噴射口の噴射軸が60°の噴射角度をなすように、実施例33~38の空間処理用定量噴射エアゾールを固定し、噴射を繰り返した。噴射回数のカウントを開始する前に2回空打ちを行い、その後、正常に噴射できなくなるまでの噴射回数をカウントした。各空間処理用定量噴射エアゾールについて試験を4度繰り返して、噴射回数の平均値に応じて、噴射不良抑制効果を以下の評価基準により評価した。
(評価基準)
A:18回以上
B:16回もしくは17回
C:14回もしくは15回
D:14回未満
【0068】
また、4度の試験のうちで1度以上、カウント開始2回目までに噴射不良が発生した場合は、使用初期の噴射不良が有ると判定した。試験結果を、表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】
試験の結果、薬剤を水平面に対して斜め上方60°に向けて噴霧する場合、実施例33~38の空間処理用定量噴射エアゾールでは、正常に噴射できなくなるまでの噴射回数が何れも15回以上であり、使用後期における噴射不良の発生が抑制された。その中でも、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して40~50°の仰角をなすように噴射口が設けられたアクチュエータを装着した実施例34~36の空間処理用定量噴射エアゾールは、使用後期における噴射不良抑制効果が特に優れていた。また、実施例33~38の空間処理用定量噴射エアゾールでは、使用初期の噴射不良も発生しなかった。
【0071】
〔実施例39、40〕
実施例1に準じて、表4に示す構成にて、実施例39及び40の各種空間処理用定量噴射エアゾールを作製した。実施例39及び40の空間処理用定量噴射エアゾールでは、噴射容量が0.2mLや2.0mLである定量噴霧バルブを用いた場合においても、理論上、定量噴射を最大22回実施可能なものとなるように耐圧容器への充填量を調整した。
【0072】
<拡散均一性試験>
閉めきった容積25mの部屋(面積10m、高さ2.5m)の床面の6~8ヶ所に20×20cmのガラス板を設置した。水平面に対して噴射口の噴射軸が45°の噴射角度をなすように、実施例13~17、39、及び40の空間処理用定量噴射エアゾールを部屋の中央、高さ1.5mの位置で保持し、一定量噴射処理した。噴射処理から1時間後に全てのガラス板を取り出し、夫々のガラス板に付着した防除成分をアセトンで洗い出してガスクロマトグラフィーにより分析した。ガラス板に付着した防除成分について、各ガラス板間のバラツキを解析し、噴霧粒子の拡散均一性を評価した。結果を、拡散均一性の良好なものから順に、A、B、Cの3段階で示した。また、実施例39及び40の空間処理用定量噴射エアゾールについては、上述の「噴射試験(噴射角度45°)」を実施した。噴射試験(噴射角度45°)、及び拡散均一性試験の試験結果を、表4に示す。
【0073】
【表4】
【0074】
試験の結果、薬剤を水平面に対して斜め上方45°に向けて噴霧する場合、実施例39及び40の空間処理用定量噴射エアゾールでは、実施例13~17の空間処理用定量噴射エアゾールと同様に、使用初期及び使用後期の何れの噴射不良も発生が抑制された。ただし、実施例39及び40の空間処理用定量噴射エアゾールでは、実施例13~17の空間処理用定量噴射エアゾールよりも拡散均一性が劣るものであった。このことから、拡散均一性を向上させるには、実施例13~17の空間処理用定量噴射エアゾールのように、噴射距離5cmにおける噴射力が5~50gfの範囲であることが好ましいと考えられる。
【0075】
〔実施例41〕
実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールにおけるエアゾール原液Aの防除成分を、難揮散性防除成分としてフェノトリン(53w/v%)、及び揮散性防除成分としてメトフルトリン(0.7w/v%)に変更し、耐圧容器への充填量を、エアゾール原液(A+B)2.6mLと噴射剤6.2mLとに変更した。また、アクチュエータを、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して45°の仰角をなすように噴射口が設けられたものに変更した。その他は、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールと同様にして実施例41の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。
【0076】
〔実施例42〕
実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールにおけるエアゾール原液Aの防除成分を、難揮散性防除成分としてシフェノトリン(38w/v%)、及び揮散性防除成分としてトランスフルトリン(0.7w/v%)に変更し、耐圧容器への充填量を、エアゾール原液(A+B)1.8mLと噴射剤7.0mLとに変更した。また、アクチュエータを、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して45°の仰角をなすように噴射口が設けられたものに変更した。その他は、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールと同様にして実施例42の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。
【0077】
〔実施例43〕
実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールにおけるエアゾール原液Aの防除成分を難揮散性防除成分としてペルメトリン(60w/v%)に、有機溶剤をイソプロパノールに夫々変更し、耐圧容器への充填量を、エアゾール原液A2.6mLと噴射剤6.2mLとに変更した。また、アクチュエータを、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して45°の仰角をなすように噴射口が設けられたものに変更した。その他は、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールと同様にして実施例43の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。
【0078】
〔実施例44〕
実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールにおけるエアゾール原液Aの防除成分を難揮散性防除成分としてフェノトリン(53w/v%)に、有機溶剤をネオチオゾール(ノルマルパラフィン系溶剤)に夫々変更し、耐圧容器への充填量を、エアゾール原液A2.6mLと噴射剤6.2mLとに変更した。また、アクチュエータを、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して45°の仰角をなすように噴射口が設けられたものに変更した。その他は、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールと同様にして実施例44の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。
【0079】
〔実施例45〕
実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールにおけるエアゾール原液Aの防除成分を難揮散性防除成分としてフェノトリン(30w/v%)に、有機溶剤をミリスチン酸イソプロピルに夫々変更し、耐圧容器への充填量を、エアゾール原液A2.6mLと噴射剤6.2mLとに変更した。また、アクチュエータを、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して45°の仰角をなすように噴射口が設けられたものに変更した。その他は、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールと同様にして実施例45の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。
【0080】
〔実施例46〕
実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールにおけるエアゾール原液Aの防除成分を難揮散性防除成分としてペルメトリン(60w/v%)に、有機溶剤をIPクリーンLX(イソパラフィン系溶剤)に夫々変更し、耐圧容器への充填量を、エアゾール原液A2.2mLと噴射剤6.6mLとに変更した。また、アクチュエータを、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して45°の仰角をなすように噴射口が設けられたものに変更した。その他は、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールと同様にして実施例46の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。
【0081】
実施例41~46の空間処理用定量噴射エアゾールを用いて、上述の「噴射試験(噴射角度30°)」、「噴射試験(噴射角度45°)」、「噴射試験(噴射角度60°)」、及び「拡散均一性試験」を実施した。試験の結果、難揮散性防除成分を含むエアゾール原液A、又は難揮散性防除成分及び揮散性防除成分を含むエアゾール原液(A+B)の組成、及び耐圧容器に充填されるエアゾール原液と噴射剤との容量比率が互いに異なる実施例41~46の空間処理用定量噴射エアゾールは、何れも、30°、45°、及び60°の噴射角度において使用初期及び使用後期の噴射不良の発生が抑制され、良好な拡散均一性を示すことが確認された。このことから、噴射不良抑制効果、及び拡散均一性向上効果は、エアゾール原液の組成、及び耐圧容器に充填されるエアゾール原液と噴射剤との容量比率の設定により得られたものではなく、ディップチューブの先端の高さ(h)、及び噴射口(噴射軸)の仰角(D)を適切に設定することで得られたと考えられる。
【0082】
〔実施例47〕
実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールにおけるエアゾール原液Aの防除成分を揮散性防除成分としてトランスフルトリン(8w/v%)に、有機溶剤をエタノールに夫々変更し、耐圧容器への充填量を、エアゾール原液B2.6mLと噴射剤6.2mLとに変更した。また、アクチュエータを、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して45°の仰角をなすように噴射口が設けられたものに変更した。その他は、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールと同様にして実施例47の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。
【0083】
〔実施例48〕
実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールにおけるエアゾール原液Aの防除成分を揮散性防除成分としてトランスフルトリン(40w/v%)に、有機溶剤をイソプロパノールに夫々変更し、耐圧容器への充填量を、エアゾール原液B2.6mLと噴射剤6.2mLとに変更した。また、アクチュエータを、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して45°の仰角をなすように噴射口が設けられたものに変更した。その他は、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールと同様にして実施例48の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。
【0084】
〔実施例49〕
実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールにおけるエアゾール原液Aの防除成分を揮散性防除成分としてメトフルトリン(20w/v%)に、有機溶剤をネオチオゾール(ノルマルパラフィン系溶剤)に夫々変更し、耐圧容器への充填量を、エアゾール原液B2.6mLと噴射剤6.2mLとに変更した。また、アクチュエータを、耐圧容器を水平面に載置したとき噴射軸が水平面に対して45°の仰角をなすように噴射口が設けられたものに変更した。その他は、実施例1の空間処理用定量噴射エアゾールと同様にして実施例49の空間処理用定量噴射エアゾールを得た。
【0085】
実施例47~49の空間処理用定量噴射エアゾールを用いて、上述の「噴射試験(噴射角度30°)」、「噴射試験(噴射角度45°)」、「噴射試験(噴射角度60°)」、及び「拡散均一性試験」を実施した。試験の結果、揮散性防除成分を含有するエアゾール原液Bを含む実施例47~49の空間処理用定量噴射エアゾールは、何れも、30°、45°、及び60°の噴射角度において使用初期及び使用後期の噴射不良の発生が抑制され、良好な拡散均一性を示すことが確認された。このことからも、噴射不良抑制効果、及び拡散均一性向上効果は、エアゾール原液の組成、及び耐圧容器に充填されるエアゾール原液と噴射剤との容量比率の設定により得られたものではなく、ディップチューブの先端の高さ(h)、及び噴射口(噴射軸)の仰角(D)を適切に設定することで得られたと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の空間処理用定量噴射エアゾールは、広範な害虫、ダニ防除を目的として利用することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
10 耐圧容器
12 定量噴射バルブ
20 アクチュエータ
21 噴射口
30 ディップチューブ
30a ディップチューブの先端
100 空間処理用定量噴射エアゾール
D 仰角
H 水平面
O 噴射軸
S 耐圧容器の内側面
図1
図2
図3