(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】医療用中空体を引張/圧縮測定装置に接続するためのアダプタ部、試験アセンブリ、医療用中空体の気密性を試験するための方法、および引張/圧縮測定装置の使用
(51)【国際特許分類】
G01M 3/32 20060101AFI20240126BHJP
G01M 3/26 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
G01M3/32 T
G01M3/26 M
(21)【出願番号】P 2021559631
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2020059818
(87)【国際公開番号】W WO2020207987
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】102019205025.5
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513220920
【氏名又は名称】フェッター ファルマ-フェルティグング ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンド,ペトラ
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0041241(US,A1)
【文献】特開2011-193984(JP,A)
【文献】米国特許第04768372(US,A)
【文献】米国特許第06997044(US,B1)
【文献】英国特許出願公開第02078380(GB,A)
【文献】中国特許出願公開第109297656(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108303224(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M3/00-3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用中空体(11)を引張/圧縮測定装置(3)に接続するためのアダプタ部(9)であって、
前記アダプタ部(9)を医療用中空体(11)の内部(15)に液密状に接続するように構成されている第1の接続端部(13)と、
圧力チャンバ(19)を有し、前記アダプタ部(9)を引張/圧縮測定装置(3)に動作可能に接続するように構成されることによって、前記圧力チャンバ(19)の中の圧力を前記引張/圧縮測定装置(3)により調整可能である第2の接続端部(17)と、
前記圧力チャンバ(19)から前記第1の接続端部(13)まで前記アダプタ部(9)を貫通している中空チャネル(21)と、を備えるアダプタ部(9)。
【請求項2】
前記第1の接続端部(13)と前記第2の接続端部(17)の間で前記中空チャネル(21)または前記圧力チャンバ(19)から分岐する圧力測定チャネル(23)を特徴とし、
a)前記圧力測定チャネル(23)上に圧力測定装置(33)を配置するように前記圧力測定チャネル(23)が好適に構成されている、および/または、
b)前記圧力測定チャネル(23)の中の圧力を測定するために、圧力測定装置(33)が好適に動作可能に前記圧力測定チャネル(23)に接続されている、前記圧力測定チャネル(23)を特徴とする、請求項1に記載のアダプタ部(9)。
【請求項3】
a)ピストン(35)が前記圧力チャンバ(19)の中で移動可能に配置され、前記ピストン(35)を移動させることによって、前記圧力チャンバ(19)の容積を変化可能である、または、
b)前記アダプタ部(9)が、前記圧力チャンバ(19)の中で移動可能に配置されるように構成されているピストン(35)を有することを特徴とする、請求項1または2に記載のアダプタ部(9)。
【請求項4】
前記ピストン(35)が、
a)ピストンディスク(37)を有するか、またはピストンディスク(37)として構成されている、および/または、
b)前記引張/圧縮測定装置(3)の作用端部(7)に機械式に接続されるように構成されている連結部(39)を有することを特徴とする、請求項3に記載のアダプタ部(9)。
【請求項5】
前記圧力チャンバ(19)および/または前記ピストン(35)は、前記圧力チャンバ(19)の中の前記ピストン(35)の瞬間的な位置に応じて前記圧力チャンバ(19)の中の瞬間圧力を読み取ることができる目盛部(41)を有することを特徴とする、請求項3または4に記載のアダプタ部(9)。
【請求項6】
起立体(5)と、前記起立体(5)に対して軸方向に移動することができる作用端部(7)とを有する引張/圧縮測定装置(3)と、
請求項1から5のいずれか一項に記載のアダプタ部(9)と、
前記圧力チャンバ(19)に対して前記作用端部(7)を軸方向に移動させることにより前記圧力チャンバ(19)の中の圧力を調整することができるように前記作用端部(7)に動作可能に接続されている前記アダプタ部(9)の前記第2の接続端部(17)と、を備える試験アセンブリ(1)。
【請求項7】
前記起立体(5)が、前記起立体(5)に対して前記アダプタ部(9)を固定するための締結部(43)を有することを特徴とする、請求項6に記載の試験アセンブリ(1)。
【請求項8】
前記作用端部(7)が、
a)前記アダプタ部(9)のピストンディスク(37)に張力および/または圧力を伝達するように接続されている、または、
b)ピストン(35)の連結部(39)に機械式に接続されている、または、
c)前記圧力チャンバ(19)の中でピストンとして移動可能に構成されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の試験アセンブリ(1)。
【請求項9】
前記引張/圧縮測定装置(3)が、圧力測定装置(33)に動作可能に接続されて前記中空チャネル(21)の中の圧力を記録し、好適には評価するように構成されている制御装置(53)を有することを特徴とする、請求項6から8のいずれか一項に記載の試験アセンブリ(1)。
【請求項10】
前記制御装置(53)が、自動的に医療用中空体(11)の気密性試験を実行するように構成されていることを特徴とする、請求項
9に記載の試験アセンブリ(1)。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか一項に記載のアダプタ部(9)を介して医療用中空体(11)を引張/圧縮測定装置(3)に接続し、
前記引張/圧縮測定装置(3)の作用端部(7)を移動させることにより、前記医療用中空体(11)の内部(15)に特定の圧力を設定し、
特定の試験時間にわたって前記内部(15)の瞬間圧力を記録する、各工程を備える、医療用中空体(11)の気密性を試験するための方法。
【請求項12】
前記作用端部(7)が、前記特定の圧力が設定された後に前記特定の試験時間の間において静止状態に保たれることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、前記引張/圧縮測定装置(3)により自動的に実行されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
医療用栓体が前記医療用中空体(11)に配置される前に前記医療用中空体(11)を検査することを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
医療用中空体(11)の気密性を試験するための引張/圧縮測定装置(3)
を使用
するための方法であって、前記方法は、
アダプタ部(9)を介して医療用中空体(11)を引張/圧縮測定装置(3)に接続し、
第1の接続端部(13)を介して前記アダプタ部(9)を前記医療用中空体(11)の内部(15)に液密状に接続し、前記アダプタ部(9)の接続は、
圧力チャンバ(19)を有する第2の接続端部(17)を介して前記アダプタ部(9)を引張/圧縮測定装置(3)に動作可能に接続することによって、前記圧力チャンバ(19)の中の圧力を前記引張/圧縮測定装置(3)により調整し、中空チャネル(21)が、前記圧力チャンバ(19)から前記第1の接続端部(13)まで前記アダプタ部(9)を貫通していることを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用中空体を引張/圧縮測定装置に接続するためのアダプタ部、引張/圧縮測定装置とそのようなアダプタ部とを有する試験アセンブリ、そのようなアダプタ部を用いて医療用中空体の気密性を試験するための方法、および医療用中空体の気密性を試験するための引張/圧縮測定装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用中空体、特に、事前に医薬品が充填されて後日流通用に提供される医療用中空体、特にシリンジおよびカープル等の場合だけでなく接続用部品やアダプタの場合においても、気密性を検査する必要がある。この目的のために、標準化された気密性試験があり、特に、そのような医療用中空体の内部が漏洩なく一定の加圧または減圧を所定の時間維持しなければならないと規定されている。もちろん、対応する気密性試験を実行するために特別に構成された専用装置を提供することは可能であるが、専用装置は複雑で高価である。自動化の程度を低くして手動でそのような気密性試験を実行することも可能であるが、時間がかかり、労働集約的であり、そして不正確でもある。したがって、一方において他の用途にも使用することができ、可能であれば、医療用中空体の開発および/または試験において既に使用されている装置/機器によってそのような気密性試験を実行することができること、および他方において、そのような気密性試験用に可能な限り最高の自動化を実現することが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の不利な点が生じず、少なくとも一部において、上記の少なくとも1つの利点が好適に実現される、医療用中空体を引張/圧縮測定装置に接続するためのアダプタ部、引張/圧縮測定装置とそのようなアダプタ部とを有する試験アセンブリ、そのようなアダプタ部を用いて医療用中空体の気密性を試験するための方法、および医療用中空体の気密性を試験するための引張/圧縮測定装置の使用を創出することを目的とする。
【0004】
上記目的は、本技術的教示を、特に、独立請求項、従属請求項および詳細な説明において開示された実施形態の教示を提供するという点で達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本目的は、医療用中空体を引張/圧縮測定装置に接続するためのアダプタ部によって達成され、前記アダプタ部は、前記アダプタ部を医療用中空体の内部に液密状に接続するように構成されている第1の接続端部を備える。前記アダプタ部は、圧力チャンバを有し、前記アダプタ部を引張/圧縮測定装置に動作可能に接続するように構成されることによって、前記圧力チャンバの中の圧力を前記引張/圧縮測定装置により調整可能である第2の接続端部を備える。前記アダプタ部は、前記圧力チャンバから前記第1の接続端部まで前記アダプタ部を貫通している中空チャネルを備える。特に、中空チャネルは、第1の接続端部で開口している、すなわち中空チャネルは、第1の接続端部でアダプタ部の外部環境に開口しているか、または中空チャネルは、第1の接続端部の中に開口している。特に、アダプタ部は、第1の接続端部で開口しており、中空チャネルは、第1の接続端部からアクセス可能である。圧力チャンバの圧力を引張/圧縮測定装置により調整することができ、中空チャネルが、流体方式で圧力チャンバに接続され、それと同時に第1の接続端部で、液密状にアダプタ部に接続されている医療用中空体の内部の中に開口することができる。よって、結果として、引張/圧縮測定装置により、特に引張/圧縮測定装置を制御することにより医療用中空体の内部の圧力を調整することができる。次に、中空チャネル、圧力チャンバの中のおよび/または医療用中空体の内部の圧力を記録、特に測定することが可能である。こうして、アダプタ部は、医療用中空体に対する気密性試験を実行するために引張/圧縮測定装置を使用する可能性を開く。そのような引張/圧縮測定装置は、通常、医療用中空体の開発/試験において既に存在しており、特に、たとえばそのような医療用中空体の中で移動可能に配置されている栓体の変位力を試験するために使用されている。したがって、気密性試験を実行するために装置を使用することができ、その装置は、一方では他の目的に対しても使用することができ、他方では、通常、既に利用することができる。さらに、そのような引張/圧縮測定装置を少なくとも大部分自動方式で作動させることが可能であり、その結果、そのような引張/圧縮測定装置を使用して実行される気密性試験も最終的に少なくとも大部分自動化することができる。
【0006】
ここで、医療用中空体は、特に中空体であると理解され、それは、医薬物質用、特に医療用の有効成分および/または補助剤用の容器、シリンジ、カープル、接続部品、特に針無し接続部品、特にルアー接続部品、特にルアー接続部を有するか、または複数のルアー接続部を有するルアー接続部品、特にISO80369ファミリーの規格、特に、本財産権の優先権を判定する日付に適用可能なバージョンのDIN EN ISO80369‐7、特にDIN EN ISO80369‐7:2017‐10に準拠する小さな直径を有する接続部品、およびアダプタ、特にルアーアダプタ、特にルアー接続部を有するか、または複数のルアー接続部を有するルアーアダプタ、特に輸液アダプタからなる群から選択される。特に、医療用中空体は、閉鎖部材および/または栓体により2つの端部で閉鎖することができる空洞を有し、意図したとおり好適に閉鎖される部品または容器である。特に、そのような医療用中空体はシリンジまたはカープルである。
【0007】
特に、閉鎖部または栓体により医療用中空体の第1の、好適に遠位端を閉鎖し、第2の、好適に近位の開放状態の端部を介して中空体の内部に特定の圧力を設定し、一定の期間にわたって記録することにより、そのような医療用中空体に対して気密性試験が実行される。
【0008】
また、医療用中空体の内部の圧力、したがって同時に中空チャネルの中の圧力を記録、特に測定するために、圧力測定装置を医療用中空体の第1の好適には遠位端に接続することができる。
【0009】
ここで、遠位端は、医療用中空体を使用するとき、時に患者および/または注入部位の方を向いており、意図したとおり医療用中空体の使用者の反対側を好適に向いている医療用中空体の端部であると理解される。医療用中空体の反対側は近位端と呼ばれる。
【0010】
引張/圧縮測定装置は、特に、試験体に張力または圧縮力を印加するように、特に好適にはこれに加えて、試験体に加わる張力または圧縮力を測定するように構成されている装置であると理解される。そのような引張/圧縮測定装置は、特に、起立体と起立体に対して軸方向に移動することができる作用端部とを有する。作用端部は、測定塔上で移動することができる測定スライド部として好適に構成されている。試験体に対して作用端部を移動させることにより、試験体に張力または圧縮力を与えることができる。
【0011】
引張/圧縮測定装置は、好適に、特に、試験体に張力または圧縮力を印加するように、特に好適にはこれに加えて、試験体に加わる張力または圧縮力を測定するように構成されている装置であると理解される。
【0012】
特に、引張/圧縮測定装置は、試験体に機械的な張力および/または圧縮力を印加し、試験体に加えられる機械的な張力および/または圧縮力を好適に測定するように構成されている。
【0013】
医療用中空体の内部へのアダプタ部の液密接続は、アダプタ部を介しての医療用中空体の内部の圧力調整が医療用中空体に対する第1の作用端部の接続領域における漏洩無しで可能となるようにアダプタ部が第1の接続端部を介して医療用中空体に接続されていることを特に意味すると理解される。この場合、医療用中空体に対するアダプタ部の接続が、目的の気密性試験に対して必要である、または規定されている圧力において、漏洩がない、または少なくとも気密性試験を悪化させる漏洩が生じないように構成されていれば十分である。必須ではないが、接続を同様に液密、すなわち圧力差がより大きい場合でも漏洩がないようにすることが可能である。
【0014】
第1の接続端部は、医療用中空体に対する液密接続のために密閉装置を好適に有する。好適な実施形態において、密閉装置は少なくとも1つのシーリング部材、特に少なくとも1つのシーリングリング、特に好適には2つのシーリング部材、特に互いに間隔を置いて好適に配置される2つのシーリングリングを有する。密閉装置は、第1の接続端部の外周の壁に好適に配置され、設置されたとき、中空体の内壁と協調して密閉する。
【0015】
医療用中空体に対する第1の接続端部の形状嵌合接続も、たとえば、ねじ山を有するルアーコーンにより可能になる。
【0016】
引張/圧縮測定装置により、特に第1の接続端部が液密状に医療用中空体に接続され、同時に第2の接続端部が引張/圧縮測定装置に動作可能に接続されている場合、圧力チャンバの中の圧力を調整することができる。圧力を高めるために、適切な流体、特に気体または液体、たとえば空気、窒素、二酸化炭素、希ガス、水、医薬品の油脂等が好適に使用される。
【0017】
引張/圧縮測定装置により、たとえば約300kPaの加圧、または、たとえば40kPaの減圧を特に周囲圧、特に1013mbarの常圧に対して圧力チャンバに設定することができる。こうして、加圧の設定を必要とする気密性試験および減圧の設定を必要とする気密性試験の両方を実行することができる。
【0018】
本発明の他の実施の形態によれば、前記第1の接続端部と前記第2の接続端部の間で前記中空チャネルまたは前記圧力チャンバから分岐する圧力測定チャネルを有する前記アダプタ部が設けられている。こうして、第1の接続端部と第2の接続端部の間、特に第1の接続端部と圧力チャンバの間で、圧力測定チャネルは、中空チャネルおよび圧力チャンバと流体連通している。特に、圧力測定チャネルは、第1の接続端部と圧力チャンバの間の中空チャネルから分岐する。次に、特に圧力測定チャネルを介して、特に簡易な方法で、中空チャネル、圧力チャンバの中の圧力、したがって同時に医療用中空体の内部の圧力を記録、特に測定することが可能になる。
【0019】
本発明の他の実施の形態によれば、前記圧力測定チャネル上に圧力測定装置を配置するように構成されている前記圧力測定チャネルが設けられている。こうして、圧力測定チャネル、したがって同時に中空チャネル、圧力チャンバおよび医療用中空体の中の圧力を判定するために、特に簡易な方法で、圧力測定装置を圧力測定チャネルに特に流体方式で接続することが好都合に可能となる。圧力測定チャネルは、好適にねじ山を有するか、または、ねじ山が圧力測定チャネルに割り当てられており、圧力測定装置をねじ山にねじ込むことが可能になる。これは、特に簡便でかつ容易に製造可能な圧力測定装置と圧力測定チャネルの間の接続を示している。
【0020】
代替的または付加的に、好ましくは、前記圧力測定チャネルの圧力を測定するために、動作可能に前記圧力測定チャネルに接続されている圧力測定装置、特にマノメータが設けられている。このようにして、中空チャネル、圧力チャンバ、および医療用中空体の中の圧力を同時に判定することができる。
【0021】
本発明の他の実施の形態によれば、前記圧力チャンバの中で移動可能に配置され、ピストンを移動させることによって、前記圧力チャンバの容積を変化可能であるピストンが設けられている。このようにして、ピストンを移動させることにより圧力チャンバの中の圧力を極めて容易に調整することができる。特に、ピストンは、圧力チャンバの中で、好適に軸方向に、直線的に移動可能なように配置されている。ピストンは、圧力チャンバの内周表面に好適に密着しているので、ピストンを圧力チャンバの中で移動させるときその中の圧力が変化する。
【0022】
軸方向は、特に好適に、中空チャネルの縦軸に並行、すなわち縦軸の方向に延びる方向である。装着されたとき、中空チャネルの縦軸は、医療用中空体の縦軸と好適に整列する。装着されたとき、中空チャネルの縦軸は、引張/圧縮測定装置の作用端部の移動軸と好適に整列する。特に好適な実施形態において、こうして、軸方向は、中空チャネルの縦軸に沿って、医療用中空体の縦軸に沿って、および引張/圧縮測定装置の作用端部の移動軸に沿って延びる。半径方向は軸方向に直交する。円周方向は、同心円状に軸方向を取り巻く。
【0023】
本発明の他の実施の形態によれば、前記圧力チャンバの中で移動可能に配置されるように構成されているピストンを有する前記アダプタ部が設けられている。したがって、ピストンは、少なくとも装着されていないとき、圧力チャンバとは別々に提供することができ、必要に応じて、ピストンを移動させることにより圧力チャンバの容積を変えるためにその中で移動可能に配置することができ、これにより同時に圧力チャンバの中の圧力を変える。特に、引張/圧縮測定装置の作用端部にピストンを好適に動作可能に接続することができる。
【0024】
しかしながら、ピストンを圧力チャンバの中で拘束することも可能である。
【0025】
本発明の他の実施の形態によれば、ピストンディスクを有するピストンが設けられている。あるいは、ピストンをピストンディスクとして構成することも可能である。後者は、ピストンの特に簡易な実施形態を示す。この場合、圧力チャンバの中で当該ピストンを移動させるために、張力/圧縮装置の作用端部をピストンディスクとして構成されているピストンに作用させることが特に可能となる。
【0026】
ピストンがピストンディスクを有する場合、ピストンは、また、ピストンディスクに接続されている、特にピストンディスクと一体に構成されているピストンロッドを好適に有する。ピストンロッドは、引張/圧縮測定装置の作用端部に接続するために、一部の領域で圧力チャンバから好適に突出している。ピストンロッドが特に軸方向の開口部、特に穴を通過する場合、ピストンロッドの正味の直径は、ピストンディスクの直径より小さく、ピストンは圧力チャンバの中で拘束されて配置され、同時に、圧力チャンバの外部に位置するピストンロッドの部分を引張/圧縮測定装置の作用端部に接続することが可能となる。
【0027】
代替的または付加的に、前記ピストンは、前記引張/圧縮測定装置の作用端部に機械式に接続されるように構成されている連結部を有する。特に、ピストンロッドが連結部を有することは可能である。連結部を有するピストンが作用端部に機械式に連結される場合、作用端部と一緒にピストンを移動させることができる。
【0028】
横方向、特に軸方向に対して直交して延びる固定用穴、好適に横穴は、固定ピンを通すためにピストンの連結部に好適に配置されている。こうして、固定用穴を通して固定ピンを挿入することにより、連結シャフトを引張/圧縮測定装置の作用端部に特に安全確実な方法で接続することができる。引張/圧縮測定装置の作用端部は、固定ピン用の固定受け部を好適に有しているので、装着時、当該固定ピンは、一方では固定受け部を、他方では固定用穴を通って延び、よって作用端部でピストンをしっかり保持する。
【0029】
好適な実施形態にしたがって、連結部は連結シャフトとして構成されている。連結シャフトは、特に、作用端部との機械式連結用に特別に構成されたピストンのシャフトであると理解される。特に、ピストンロッドは、連結シャフトとして好適に構成されている。
【0030】
本発明の他の実施の形態によれば、前記圧力チャンバの中の前記ピストンの瞬間的な位置、特に、瞬間的な軸方向位置に応じて、前記圧力チャンバの中の瞬間圧力を読み取り可能な目盛部を有する前記圧力チャンバおよび/または前記ピストンが設けられている。これにより、非常に簡易な方法で、圧力チャンバの中の圧力の少なくとも粗い推定と気密性試験の一環として最終的に設定/監視される圧力が正しいか否かに関する妥当性チェックが可能になる。
【0031】
目盛部は、ピストンの開始位置に対するピストンの瞬間的な位置に応じて、目盛部から圧力を好適に読み取ることを可能にする。したがって、圧力チャンバの中の圧力を周囲圧とは異なるように変化させるために、当該ピストンが引張/圧縮測定装置により最初に移動するとき、圧力チャンバの中の周囲圧下でピストンが目盛部上のどの位置から移動開始するかをまずチェックすることが特に好ましい。次に、当該ピストンが移動後に到達する目盛部上のピストンの目標位置は、開始時位置に対する、到達する圧力と開始時圧力、すなわち周囲圧との間の圧力差の計測単位を与える。
【0032】
ピストンの軸方向移動時の圧力変化は、特に、医療用中空体の容積ならびに中空チャネルおよび圧力チャンバの容積に依存することを理解されたい。医療用中空体の容積は、特に、通常、様々であるが、中空チャネルおよび圧力チャンバの容積は特定のアダプタ部に対して予め定められている。試験される様々な医療用中空体に対して様々な目盛部をアダプタ部に設けることが可能である。あるいは、現在検査されている医療用中空体の容積を考慮した変換表を提供することが可能である。あるいは、様々な医療用中空体に対して、様々なアダプタ部、特に様々な目盛部を有するアダプタ部を提供することが可能である。
【0033】
目盛部は、圧力チャンバの壁上に好適に配置されている。圧力チャンバの壁は、特に、少なくとも目盛部の領域で好適に透明であるので、壁を通して目盛部に対するピストンの位置を観測することができる。
【0034】
目盛部がピストンに設けられている場合、圧力チャンバの壁には、読み取りマークが好適に付される。
【0035】
本目的は、引張/圧縮測定装置を備える試験アセンブリが創作されたという点においても達成される。前記引張/圧縮測定装置は、起立体と、前記起立体に対して軸方向に移動することができる作用端部、特に軸方向に移動可能な測定要素とを有する。特に、前記引張/圧縮測定装置は、前記アダプタ部と関連して上述したように構成されている。前記試験アセンブリは、発明に係る前記アダプタ部、すなわち上記実施形態のいずれかに係る前記アダプタ部を備える。前記アダプタ部の前記第2の接続端部は、前記圧力チャンバに対して前記作用端部を軸方向に移動させることにより前記アダプタ部の前記圧力チャンバの中の圧力を調整することができるように前記作用端部に動作可能に接続されている。アダプタ部に関連して既に説明した利点は特に試験アセンブリで実現される。
【0036】
引張/圧縮測定装置は、作用端部を移動させるための駆動部、特に機械式駆動部またはモータ駆動部を有する。特に好適な実施形態において、駆動部は、任意選択として伝動装置を備えた電気モータとして構成されている。駆動部は、特に起立体に設ける、または起立体に配置することができる。
【0037】
作用端部は、起立体の測定塔上で好適に軸方向に移動することができる。駆動部の少なくとも一部を測定塔に配置するか、または測定塔に一体化することが可能である。作用端部は、特に、測定塔に対してかつ測定塔上で軸方向に移動することができる。
【0038】
本発明の他の実施の形態によれば、前記起立体に対して前記アダプタ部を固定するための締結部を前記起立体が設けられている。特に、締結部は、一方で起立体に締結されるように構成され、他方でアダプタ部に対して定位置に接続されるように構成されている結果、アダプタ部は、最終的に、締結部を介して起立体に対して定位置に配置されている。
【0039】
起立体も、起立体に対して医療用中空体を固定するための試験体締結部を好適に有する。この場合、医療用中空体を試験体締結部に定位置で接続することができる一方、試験体締結部は、定位置で起立体に好適に接続することができる結果、医療用中空体は、最終的に試験体締結部を介して起立体に対して定位置に配置されている。
【0040】
本発明の他の実施の形態によれば、前記アダプタ部の前記ピストン、特にピストンディスクに張力および/または圧力を伝達するように接続されている前記作用端部、特に測定要素が設けられている。この場合、作用端部がピストンディスクにとりわけ機械的に接続されることなくピストンディスクを押し付けるので、特に簡易な方式で圧力伝達接続を実現することができる。しかしながら、作用端部を、たとえば何らかの他の方式でピストンディスクにラッチさせるか、またはピストンディスクに機械的に接続させて張力および圧力を伝達するように、ピストンディスクに接続することも可能である。
【0041】
代替的に、好ましくは、前記ピストンの前記連結部に機械式に、特に剛的に、接続されている前記作用端部が設けられている。連結部は、特に連結シャフトであってもよい。固定ピンを介して固定方式で作用端部を連結部に接続することが可能であり、固定ピンは、連結部の固定用穴と作用端部の固定受け部を好適に通り抜ける。
【0042】
代替的に、好ましくは、それ自身が前記圧力チャンバの中でピストンとして移動可能に構成されている前記作用端部が設けられている。特に、圧力チャンバの寸法、特にそれの直径を作用端部に適合させることが可能であり、その結果、作用端部自体をピストンとして使用することができ、圧力チャンバの中の圧力を変化させるために別体のピストンに比べていかなるそれ以上の連結なしに圧力チャンバの中を直接移動させることができる。これは、特に部品点数が少ない特に簡易な実施形態を示している。
【0043】
本発明の他の実施の形態によれば、圧力測定装置、特にマノメータに動作可能に接続されて前記中空チャネル、特に圧力測定チャネルの中の圧力を記録し、好ましくは時間の関数として、好ましくは評価するように構成されている制御装置を有する前記引張/圧縮測定装置が設けられている。これにより、少なくとも部分的に自動化された気密性試験の実施が可能になり、引張/圧縮測定装置の制御装置が中空チャネル、特に圧力測定チャネルの中の圧力の記録および望ましい評価を実行することが可能になる。
【0044】
制御装置により、記録された圧力に応じて作用端部を好適に移動させることができる。これにより、圧力を特にデフォルト値または目標値に自動的に調整することが可能になる。
【0045】
本発明の他の実施の形態によれば、自動的に前記医療用中空体上で気密性試験を実行するように構成されている前記制御装置が設けられている。これにより、特に簡便で、時間を節約して省人化した気密性試験の実施が可能になる。最初に圧力チャンバの中の圧力を自動的に調整し、次に所定の期間中記録し、最終的に所定の期間中記録された圧力、特に圧力曲線を評価することが好ましい。
【0046】
あるいは、制御装置を中空チャネル、特に圧力測定チャネルの中の圧力を調整するように構成し、作用端部を、中空チャネル、特に圧力測定チャネルの中の圧力が一定に保たれるように、特に記録された圧力に応じて移動させてもよい。所定の期間中に実行される制御の介入によって、特に作用端部の移動経路によって、その後、医療用中空体が気密であるか、または漏洩しているかを結論付けることができる。
【0047】
医療用中空体の気密性を試験するための方法を策定する点でも目的は実現され、本発明に係るアダプタ部または上記の実施形態のいずれかに係るアダプタ部を介して、医療用中空体を引張/圧縮測定装置に接続する。医療用中空体は、特にアダプタ部と反対側を向いているそれの端部で、特に栓体または閉鎖部によって閉鎖されている。最終的には、本方法により、アダプタ部と反対側を向いている医療用中空体の端部で、栓体または閉鎖部の気密性を試験することが可能になる。引張/圧縮測定装置の作用端部を移動させることにより特定の圧力が医療用中空体の内部に設定される。この場合、特に実行される気密性試験によって、加圧または減圧を好適に設定することができる。作用端部は、特にアダプタ部に対して、および医療用中空体に対して移動させられる。医療用中空体の内部の瞬間圧力が特定の試験時間にわたって記録される。本方法に関連して、既に具体的に説明した利点が実現される。
【0048】
本方法は、DIN EN ISO80369‐20:2015標準規格の規定に準拠して好適に実行される。
【0049】
内部の瞬間圧力は、特定の試験時間の間、引張/圧縮測定装置により好適に記録される。記録された瞬間圧力は、特に経時的な圧力曲線として好適に評価される。評価は、引張/圧縮測定装置、特に引張/圧縮測定装置の制御装置により好適に実行される。
【0050】
本発明の更なる展開にしたがって、作用端部は、特定の圧力が設定された後、特定の試験時間の間において静止状態に保たれる。この場合、特定の圧力が最初に設定され、次に、特定の試験時間の間、圧力が目標の規格にしたがって許可される変化よりも大きく変化したか否かに関してチェックが行われる。圧力変化が目標の規格の範囲内に留まる場合、試験された医療用中空体は気密であるとみなされる。圧力変化が目標の規格を超える場合、試験された医療用中空体は漏洩しているとみなされる。作用端部は、特にアダプタ部および医療用中空体に対して静止状態に保持される。
【0051】
あるいは、特定の試験時間中に、医療用中空体の中の圧力を目標値としての特定の圧力に調整してもよい。制御の介入、特に作用端部の移動が特定の試験時間中に好適に評価され、これらの制御の介入および/または作用端部の移動に基づき、医療用中空体の気密性に関して結論が導き出される。制御の介入および/または作用端部の移動が目標の規格を超える場合、医療用中空体は漏洩しているとみなされ、そうでない場合、医療用中空体は気密であるとみなされる。
【0052】
本方法は、引張/圧縮測定装置により、好適に自動的に実行される。特に、アダプタ部を介して医療用中空体を引張/圧縮測定装置に手動で接続することのみが必要とされる。これに加えて、引張/圧縮測定装置により特定の圧力を自動的に調整することができ、医療用中空体の内部の瞬間圧力を自動的に記録しかつ特定の試験時間にわたって好適に評価することができる。したがって、特定の圧力の自動的再調整および必要な制御の介入および/または作用端部の移動の評価も行うことができる。
【0053】
本発明の更なる展開にしたがって、医療用栓体が医療用中空体に配置される前に医療用中空体の検査が行われる。具体的には、中央の栓体(2つのチャンバの中空体に対して)または端部の栓体がシリンジまたはカープルに配置される前に医療用中空体が検査される。このため、試験の際、医療用中空体には医療用中空体の内部で移動させることができる栓体、特に中央の栓体および/または端部の栓体がない。
【0054】
医療用中空体の気密性試験は、特に、医療用中空体の内壁のシリコン処理の前に行うことができるだけでなく、シリコン処理後に行うこともできる。気密性試験が医療用中空体の内部で移動することができる栓体無しで実行されるので、シリコン処理前の試験は可能である。これにより、特に、ロジスティック上の利点がある医療用中空体の製造段階での初期の気密性試験が可能になる。気密性試験を栓体無しで実行することができるので、試験の結果は、そのような栓体による分離および/または摺動摩擦力による影響を受けない。
【0055】
医療用中空体の気密性を試験する引張/圧縮測定装置の使用が提供される点でも目的が最終的に実現される。本開示にしたがって、医療用中空体の気密性を試験するために、引張/圧縮測定装置を有利に使用することができる。特に、既に説明した利点は本明細書で実現される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
図面を参照して本発明を以下に詳細に説明する。
【
図1】アダプタ部の実施形態と併せた試験アセンブリの第1実施形態の概略図である。
【
図2】
図1に係る試験アセンブリの概略断面図である。
【
図3】試験アセンブリの第2実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
図1は、試験アセンブリ1の第1実施形態の図であり、引張/圧縮測定装置3を有する。引張/圧縮測定装置3は、その一部として、起立体5と、起立体5に対して軸方向に、すなわち
図1を参照して上下方向に移動することができる作用端部7とを有する。さらに、試験アセンブリ1は、医療用中空体11を引張/圧縮測定装置3に接続するように構成されているアダプタ部9を有する。アダプタ部9は、
図2に示す第1の接続端部13を有し、第1の接続端部13は、アダプタ部9を、同様に
図2に示される医療用中空体11の内部15に液密状に接続するように構成されている。アダプタ部9は、第2の接続端部17を有する。第2の接続端部17は、圧力チャンバ19を有し、アダプタ部9を引張/圧縮測定装置3に動作可能に接続するように構成されているので、引張/圧縮測定装置3により圧力チャンバ19の中の圧力を調整することができる。
【0058】
アダプタ部9は、また、圧力チャンバ9から第1の接続端部13まで前記アダプタ部を通り抜ける中空チャネル21を有する。
【0059】
これに加えて、本明細書に示されているアダプタ部9の実施形態は、第1の接続端部13と第2の接続端部17の間で、中空チャネル21または圧力チャンバ19、この場合は中空チャネル21から分岐している圧力測定チャネル23を有する。
【0060】
第2の接続端部17は、作用端部7を圧力チャンバ19に対して軸方向に移動させることにより圧力チャンバ19の中の圧力を調整することができるように、引張/圧縮測定装置3の作用端部7に動作可能に接続されている。
【0061】
このようにして、圧力チャンバ19、最終的には医療用中空体11の内部15の正確な圧力設定は、医療用中空体11の気密性試験用に使用することができる引張/圧縮測定装置3によって簡易な方法で実行することができる。これにより、医療用中空体11を試験するために既に使用されている当該気密性試験用の装置、すなわち、たとえば医療用中空体11の栓体の分離力または変位力を測定するために定期的に使用されている引張/圧縮測定装置3を使用することが根本的には可能である。
【0062】
起立体5は、作用端部7を移動させることができる測定塔25を好適に有する。この目的のために、引張/圧縮測定装置3は、作用端部7を軸方向に、特に測定塔25上で移動させるように構成されている駆動部27を好適に有する。
【0063】
作用端部7は、測定部材として好適に構成されているか、または測定部材を好適に有する。しかしながら、作用端部7を、単に、機械的構成部品または機械的アダプタ、特に、さらなる部品、特に測定装置、例えばロードセルを引張/圧縮測定装置3に取り付けるための機械的接続部品として構成することも可能である。
【0064】
第1の接続端部13には中空チャネル21と医療用中空体11の内部15の間の流体接続を密閉するように構成されている密閉装置29が好適に設けられている。このために、密閉装置29は、少なくとも1つの密閉部材、この場合は具体的には、第1の接続端部13上に、特に円周方向に第1の接続端部13を取り囲んで配置されている2つのシーリングリング31および31’を好適に有する。
【0065】
中空チャネル21は、特に第1の接続端部13において開口している。特に、当該中空チャネルは、第1の接続端部13の中に開口しているか、または、アダプタ部9が医療用中空体11に接続されているときには、第1の接続端部13の領域において医療用中空体11の内部15に開口している。
【0066】
引張/圧縮測定装置3とアダプタ部9とにより、医療用中空体11の近傍の周囲圧と比較して、加圧および減圧の両方を医療用中空体11の内部15に設定することができる。
【0067】
特にマノメータとして構成することができる圧力測定装置33が圧力測定チャネル23上に配置されている。圧力測定チャネル23は、たとえば圧力測定装置33をねじ込むことができる、または圧力測定装置33をねじで取り付けることができるねじ山を有することにより圧力測定装置33への接続のために好適に構成されている。
【0068】
圧力測定装置33は、圧力測定チャネル23、よって同時に中空チャネル21、圧力チャンバ19、および医療用中空体11の圧力を測定するために、圧力測定チャネル23に動作可能に接続されている。
【0069】
あるいは、中空体11の内部の圧力を測定するために、中空体11の遠位端に圧力測定装置を接続してもよい。この場合、圧力測定チャネル23を有しない、または圧力測定チャネル23が、たとえば盲栓体を用いて閉鎖されているアダプタ部9を使用してもよい。
【0070】
ここで特に、遠位端とは、中空体11を使用するとき、患者および/または注入部位の方を向いており、意図したとおり中空体11の使用者の反対側を好適に向いている中空体11の端部であると理解されたい。中空体11の反対側は近位端と呼ばれる。
【0071】
ピストン35は、圧力チャンバ19の中で移動可能に配置されており、その結果、圧力チャンバ19の容積は、ピストン35を移動させることにより変化可能である。あるいは、アダプタ部9が圧力チャンバ19の中で移動可能に配置されるように構成されているピストンを有することも可能である。特に、圧力チャンバ19の中にピストン35を恒久的に配置する必要はなく、特に、圧力チャンバ19の中でピストンを拘束し、場合によって分離不可能な配置にすることも必要とされない。しかしながら、圧力チャンバ19の中で、ピストン35を恒久的に、特に拘束する方法で配置することは可能である。
【0072】
ピストン35は、好適にピストンディスク37を有する。当該ピストンディスクは、好適にピストンディスク37が特にその周囲上に保持している少なくとも1つのシーリングリングによって、圧力チャンバ19の中で密着して好適に配置されている。一実施形態にしたがって、ピストン35全体をピストンディスク37として構成することが可能である。この場合、作用端部7は、直接ピストンディスク37に好適に作用する。
【0073】
しかしながら、本明細書に示されている実施形態においては、ピストン35は、作用端部7に機械式に接続されるように構成されている連結部39を有する。連結部39は、特に連結シャフトとして構成されている。当該連結シャフトは、特に連結ディスク37を搬送することができるように連結ディスク37に好適に固定して接続されている。特に、連結部39と連結ディスク37とを、特に同じ材料で互いに一体に形成すること、よってピストン35を一体に形成することが可能である。
【0074】
連結部39を作用端部7に連結した場合、これらは、特に一緒に移動することができるので、作用端部7が移動したとき、ピストン35は全体として作用端部7とともに移動する。このようにして、作用端部7、よって同時にピストン35を移動させることによって圧力チャンバ19内の容積を調整することができる。同時に、これにより、当該医療用中空体がアダプタ部9に接続されたとき、中空チャネル21の中および医療用中空体11の中の圧力が調整される。
【0075】
本明細書に示されている実施形態において、圧力チャンバ19には、圧力チャンバ19の中のピストン35の瞬間的な(軸方向)位置によって圧力チャンバ19の中の瞬間圧力を読み取ることができる目盛部41が設けられている。特に、目盛部41は、圧力チャンバ19の外周上に、特にその上に接着または印刷されて、あるいは読み取ることができるように別の適切な方法で取り付けられて、好適に配置されている。特に、目盛部41に対するピストン35の位置が圧力チャンバ19の壁を通して観測できるように、圧力チャンバ19の壁は、少なくとも目盛部41の領域において好適に透明である。
【0076】
あるいは、ピストン35に、対応する目盛部を設けることが可能である。その場合、圧力チャンバ19の壁は好適に読み取りマークを有する。
【0077】
好適な実施形態にしたがって、起立体5は、アダプタ部9を起立体5に対して相対的に、好適には起立体5に締結するように構成されている締結部43を有する。しかしながら、アダプタ部9を、一方では作用端部7により、他方では医療用中空体11により特に簡易な方法で保持することも可能である。
【0078】
この場合、医療用中空体11は、医療用中空体11を挿入することができる実質的に円筒状の中空体として構成されている保持部45の中に配置されている。本実施形態では、医療用中空体11は、保持部45の上縁部49上の指載置部47に置かれる。保持部45は、その一部が、好適に起立体5の一部であり得る引張/圧縮測定装置3の締結支持部51上に固定されている。
【0079】
締結部43は、保持部45および/または締結支持部51に接続することも可能である。
【0080】
既に述べたように、この場合、作用端部7は、ピストン35の連結部39に機械式に連結されている。あるいは、しかしながら、張力および/または圧力が伝達する方法で、作用端部7をピストンディスク37、すなわち連結部39が設けられていないピストンディスクに直接接続することも可能である。特に、作用端部7はピストンディスク37に直接作用してもよい。さらに、代替的に、圧力チャンバ19の中で作用端部7自体をピストンとして移動可能にすることも可能である。
【0081】
引張/圧縮測定装置3は、好適に制御装置53を有し、制御装置53は圧力測定装置33に動作可能に接続されるように構成されており、中空チャネル21、特に圧力測定チャネル23の中の圧力を好適に時間に応じて記録するように構成されている。さらに、制御装置53は、記録された圧力を、特に時間に応じて評価するように好適に構成されている。好適な実施形態にしたがって、さらに、特に中空チャネル21、最終的には医療用中空体11の中の圧力を特に所定の圧力値に自動的に調整することができるようにするために、記録された圧力に応じて作用端部7を変位させるように制御装置53を構成することが可能である。また、好適な実施形態にしたがって、中空チャネル21の中の圧力を所定の目標値に調整するように制御装置53を構成することも可能である。制御装置53は、また、自動的に医療用中空体11の気密性試験を実行するように構成されている。
【0082】
図2は、
図1に係る試験アセンブリ1の概略断面図を示す。全ての図面において、同一の部材および機能的に同一の部材には同じ符号が付されており、そのため、この点に関しては、前述の説明を参照されたい。
【0083】
この場合、連結部39は、固定用穴として、特に横穴55を有し、その穴は、設置されたとき、作用端部7の固定受け部57と整列している。固定ピン59が、横穴55と、同様に横穴として好適に構成されている固定受け部57を通して挿入され、それにより、ピストン35が最終的に作用端部7に機械式に接続される。
【0084】
同じように、この場合、保持部45も、第2の固定ピン61を介して締結支持部51に接続されている。
【0085】
この場合、医療用中空体11は、閉鎖部材63によりその遠位端において、特に液密状に閉鎖されている。
【0086】
医療用中空体11の指載置部47は、好適に、保持部45の上縁部49上に密着していない、または保持部45は、保持部45の外部環境と圧力均等化を可能にする少なくとも1つの圧力補償孔を有する。これにより、保持部45の内部が好適に常に周囲圧を有することが可能になり、それにより、医療用中空体11の気密性を可能な限り正確に試験することが可能になる。
【0087】
図3は、試験アセンブリ1の第2の実施形態の概略図を示す。ここで、締結部43は保持部45に接続されている。
【0088】
医療用中空体の気密性を試験するための方法は、
図1から
図3の全てを参照して以下に詳細に説明するが、特に閉鎖部材63の気密性を試験するために、すなわち特に閉鎖部材63を医療用中空体11に接続するために用いられる。
【0089】
好適な実施形態にしたがって、試験アセンブリ1を使用して以下のように医療用中空体11の気密性を試験する。
【0090】
最初に、医療用中空体11は、アダプタ部9を介して引張/圧縮測定装置3に接続される。医療用中空体11は、特にその遠位端において、この場合は閉鎖部材63により閉鎖される。作用端部7を移動させることにより医療用中空体11の内部15に一定の圧力が設定され、内部15の瞬間圧力が一定の試験時間にわたり記録される。当該圧力の記録は、好適に時間に応じて、好適に引張/圧縮測定装置3により、特にそれの制御装置53により行われる。
【0091】
このようにして記録された圧力は、特に好適には引張/圧縮測定装置3、特にそれの制御装置53により好適に評価される。
【0092】
作用端部7は、特定の圧力が設定された後、特定の試験時間の間において好適に静止状態に保たれる。次に、内部15の圧力が変化しているか否かを、特に内部15に予め減圧が設定された場合に、特に当該圧力が増大しているか否かを、または、特に内部15に予め加圧が設定された場合に、当該圧力が減少しているか否かを特に判定するために、記録が行われる。次に、検出された圧力変化から医療用中空体11の漏洩率および/または気密性を推定することができる。
【0093】
しかしながら、引張/圧縮測定装置3、特に制御装置53によって、特定の試験時間にわたって内部15の圧力を特に所定の目標圧力値に調整することも可能である。この場合、引張/圧縮測定装置3、特に作用端部7の制御信号または調整経路を漏洩率、したがって最終的に医療用中空体11の気密性に関して評価することができる。この点において、医療用中空体11に漏れがあるときに再調整の作業がより増加すること、または漏洩率が大きくなればなるほど再調整の作業がより増加することは明らかである。漏洩率が無くなる最適な場合、再調整は不要となる。
【0094】
医療用中空体11の気密性を検査するための方法は、特に使用者の介在の必要なく、引張/圧縮測定装置3により自動的に、または自動的な方法で、好適に実行される。
【0095】
医療用中空体11は、医療用栓体、特に中央栓体および/または端部栓体が医療用中空体11に配置される前に好適に検査される。医療用中空体11は、特に、シリコン処理の前または後に気密性について検査することができる。そのようなシリコン処理は、特に、医療用中空体11の内部15の中で中央栓体および/または端部栓体の摺動性能を増大させるために行われる。
【0096】
本明細書に開示した技術的教示にしたがって、引張/圧縮測定装置3が医療用中空体11の気密性を試験するために特に使用されることは明らかである。