(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】遮蔽コンテナにおいて生成された化学量論的水素ガス及び酸素ガスのパッシブベント設備
(51)【国際特許分類】
G21F 9/02 20060101AFI20240126BHJP
G21F 5/06 20060101ALI20240126BHJP
G21F 5/005 20060101ALI20240126BHJP
G21C 19/32 20060101ALI20240126BHJP
G21C 19/06 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
G21F9/02 551A
G21F5/06 G
G21F5/005
G21C19/32 110
G21C19/06 400
(21)【出願番号】P 2021569486
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(86)【国際出願番号】 US2020033613
(87)【国際公開番号】W WO2020236823
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-05-15
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521219442
【氏名又は名称】ウェスティングハウス エレクトリック カンパニー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】WESTINGHOUSE ELECTRIC COMPANY LLC
【住所又は居所原語表記】1000 Westinghouse Drive, Suite 141, Cranberry Township, Pennsylvania 16066 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ゲラルド プリス
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-508675(JP,A)
【文献】特開2019-039719(JP,A)
【文献】特開2018-132334(JP,A)
【文献】特開2006-058010(JP,A)
【文献】特開2001-264486(JP,A)
【文献】特開2001-228296(JP,A)
【文献】特開平03-096895(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2172944(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 5/00-5/14,9/00-9/36
G21C 19/00-19/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質により産出されたガスのベントの際に使用するためのパッシブベント設備であって、
前記放射性物質により産出された前記ガスを受容するように構造化されたソースガス領域と、
前記ソースガス領域の上方に配置されたフィルタアレッジ領域であって、前記ソースガス領域と前記フィルタアレッジ領域との間に各々が延在している複数の穿孔であって、前記ソースガス領域と前記フィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している前記複数の穿孔を除いて、前記ソースガス領域から分離されている、前記フィルタアレッジ領域と、
前記フィルタアレッジ領域に接触して配置された複数のフィルタであって、各フィルタは、前記フィルタアレッジ領域から周囲環境への、前記フィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、前記複数のフィルタと、
を備え
、
前記フィルタアレッジ領域及び前記複数の穿孔は、取り外し可能な蓋において画定されている、パッシブベント設備。
【請求項2】
前記複数の穿孔は少なくとも3つの穿孔を含む、請求項1に記載のパッシブベント設備。
【請求項3】
前記ソースガス領域は、前記放射性物質を収納するように構造化されている、請求項1
又は2に記載のパッシブベント設備。
【請求項4】
前記ソースガス領域は、前記ソースガス領域とは別のソースガス位置に格納されている前記放射性物質により産出された前記ガスを受容するように構造化されている、請求項1
から3のいずれか一項に記載のパッシブベント設備。
【請求項5】
前記ソースガス領域と前記ソースガス位置とを流体結合するように構造化されたベント管をさらに備える、請求項4に記載のパッシブベント設備。
【請求項6】
前記ソースガス領域は、前記ベント管の前記ソースガス領域への開口部を取り囲む円錐形状の領域によって部分的に画定されている、請求項5に記載のパッシブベント設備。
【請求項7】
放射性物質を保管する際に使用するための格納容器であって、
前記放射性物質を収納するように構造化されたソースガス領域を自身に画定するボディと、
前記ボディにおいて前記ソースガス領域の上方に画定されたフィルタアレッジ領域であって、前記ボディにおいて画定されており、かつ、前記ソースガス領域と前記フィルタアレッジ領域との間に各々が延在している複数の穿孔であって、前記ソースガス領域と前記フィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している前記複数の穿孔を除いて、前記ソースガス領域から分離されている、前記フィルタアレッジ領域と、
前記フィルタアレッジ領域に接触して配置された複数のフィルタであって、各フィルタは、前記フィルタアレッジ領域から周囲環境への、前記フィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、前記複数のフィルタと、
を備え
、
前記ボディは、前記ボディに結合された取り外し可能な蓋を備え、
前記フィルタアレッジ領域及び前記複数の穿孔は、前記蓋において画定されている、格納容器。
【請求項8】
前記複数の穿孔は少なくとも3つの穿孔を含む、請求項7に記載の格納容器。
【請求項9】
放射性物質を保管する際に使用するための格納容器であって、
前記放射性物質を収納するように構造化されたソースガス領域を自身に画定しているボディと、
前記ボディにおいて前記ソースガス領域の上方に画定された第1のフィルタアレッジ領域であって、前記ボディにおいて画定されており、かつ、前記ソースガス領域と前記第1のフィルタアレッジ領域との間に各々が延在している第1の複数の穿孔であって、前記ソースガス領域と前記第1のフィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している前記第1の複数の穿孔を除いて、前記ソースガス領域から分離された第1のフィルタアレッジ領域と、
前記第1のフィルタアレッジ領域に接触して配置された複数の第1のフィルタであって、各第1のフィルタは、前記第1のフィルタアレッジ領域から周囲環境への、前記第1のフィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、前記複数の第1のフィルタと、
前記ボディにおいて前記ソースガス領域の上方に画定されるとともに、前記第1のフィルタアレッジ領域から独立した第2のフィルタアレッジ領域であって、前記ボディにおいて画定されており、かつ、前記ソースガス領域と前記第2のフィルタアレッジ領域との間に各々が延在している第2の複数の穿孔であって、前記ソースガス領域と前記第2のフィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している前記第2の複数の穿孔を除いて、前記ソースガス領域から分離された第2のフィルタアレッジ領域と、
前記第2のフィルタアレッジ領域に接触して配置された複数の第2のフィルタであって、各第2のフィルタは、前記第2のフィルタアレッジ領域から周囲環境への、前記第2のフィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、前記複数の第2のフィルタと、
を備え
、
前記ボディは、前記ボディに結合された取り外し可能な蓋を備え、
前記第1のフィルタアレッジ領域、前記第2のフィルタアレッジ領域、前記第1の複数の穿孔、及び前記第2の複数の穿孔は、前記蓋において画定されている、格納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
この出願は、あらゆる目的のためにその内容の全体が引用により本明細書に組み込まれる、2019年5月23日に出願され、遮蔽コンテナにおいて生成された化学量論的水素ガス及び酸素ガスのパッシブベント設備(PASSIVE VENTING ARRANGEMENT OF STOICHIOMETRIC HYDROGEN PLUS OXYGEN GASES GENERATED IN A SHIELDED CONTAINER)と題された、米国仮出願第62/851,888号の優先権を主張する。
【0002】
開示された概念は、概して、使用済み核燃料を保管する際に使用するためのコンテナに関し、より詳細には、そこからガスをベントする際に使用するためのベント設備に関する。開示された概念はさらに、このようなベント設備を含むコンテナに関連する。
【背景技術】
【0003】
密閉コンテナ内に、使用済み核燃料、使用済みイオン交換樹脂、及び特殊核物質を保管すると、水素及び酸素の混合物の生成が結果的に生じるおそれがあり、この生成の最悪のケースの条件が、化学量論比である。生成されたガスは、コンテナ加圧の防止と同時に汚染の格納のため、フィルタ付きベント経路を介して除去される必要がある。化学量論的混合物は極めて危険である。化学量論的混合物の燃焼により、コンテナ及び付随する閉じ込め境界を破壊し得る超音速衝撃波を結果的に生じる恐れがあり、従って、近傍のあらゆるものに広範囲にわたる損傷を生じるだけではなく、環境への放射性物質の所望されない放出をも結果的に生じるためである。このようなガス混合物は、ガスが蓄積した状況において、運転中の原子力発電所での爆発を結果的に生じさせていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鍵となる課題は、コンテナ内の内容物の遮蔽を設けるために、コンテナが厚肉化されていることである。この遮蔽を経由したベント経路は、ベント経路抵抗がフィルタ抵抗に比べて非常に大きいため、引火性ガスの除去に対して容認できない抵抗を呈する。
【0005】
本発明の実施形態は、遮蔽コンテナからフィルタ付きベント経路を経由して、化学量論的引火性ソースガスを安全に且つパッシブに除去し、それによってコンテナ内の実際のガス混合物が引火性にさえもならないようにする手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示された概念の1つの態様として、放射性物質により産出されたガスのベントの際に使用するためのパッシブベント設備が提供される。ベント設備は、放射性物質により産出されたガスを受容するように構造化されたソースガス領域と、ソースガス領域の上方に配置されたフィルタアレッジ領域であって、ソースガス領域とフィルタアレッジ領域との間に各々が延在している複数の穿孔であって、ソースガス領域とフィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している複数の穿孔を除いて、ソースガス領域から分離されているフィルタアレッジ領域と、フィルタアレッジ領域に接触して配置された複数のフィルタであって、各フィルタは、フィルタアレッジ領域から周囲環境への、フィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、複数のフィルタと、を備える。
【0007】
複数の穿孔は少なくとも3つの穿孔を含んでもよい。
【0008】
ソースガス領域は、放射性物質を収納するように構造化されていてもよい。
【0009】
ソースガス領域は、ソースガス領域とは別のソースガス位置に格納されている放射性物質により産出されたガスを受容するように構造化されていてもよい。
【0010】
パッシブベント設備は、ソースガス領域とソースガス位置とを流体結合するように構造化されたベント管をさらに備えてもよい。
【0011】
ソースガス領域は、ベント管のソースガス領域への開口部を取り囲む円錐形状の領域によって部分的に画定されていてもよい。
【0012】
開示された概念の別の態様として、放射性物質を保管する際に使用するための格納容器が提供される。格納容器は、放射性物質を収納するように構造化されたソースガス領域を自身に画定するボディと、ボディにおいてソースガス領域の上方に画定されたフィルタアレッジ領域であって、ボディにおいて画定されており、かつ、ソースガス領域とフィルタアレッジ領域との間に各々が延在している複数の穿孔であって、ソースガス領域とフィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している複数の穿孔を除いて、ソースガス領域から分離されている、フィルタアレッジ領域と、フィルタアレッジ領域に接触して配置された複数のフィルタであって、各フィルタは、フィルタアレッジ領域から周囲環境への、フィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、複数のフィルタと、を備える。
【0013】
複数の穿孔は、少なくとも3つの穿孔を含む。
【0014】
ボディは、ボディに結合された取り外し可能な蓋を備えてもよく、フィルタアレッジ領域及び複数の穿孔は、蓋において画定されている。
【0015】
開示された概念のさらなる別の態様として、放射性物質を保管する際に使用するための別の格納容器が提供される。格納容器は、放射性物質を収納するように構造化されたソースガス領域を自身に画定しているボディと、ボディにおいてソースガス領域の上方に画定された第1のフィルタアレッジ領域であって、ボディにおいて画定されており、かつ、ソースガス領域と第1のフィルタアレッジ領域との間に各々が延在している第1の法区数の穿孔であって、ソースガス領域と第1のフィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している第1の複数の穿孔を除いて、ソースガス領域から分離された第1のフィルタアレッジ領域と、第1のフィルタアレッジ領域に接触して配置された複数の第1のフィルタであって、各第1のフィルタは、第1のフィルタアレッジ領域から周囲環境への、第1のフィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、複数の第1のフィルタと、ボディにおいてソースガス領域の上方に画定されるとともに、第1のフィルタアレッジ領域から独立した第2のフィルタアレッジ領域であって、ボディにおいて画定されており、かつ、ソースガス領域と第2のフィルタアレッジ領域との間に各々が延在している第2の複数の穿孔であって、ソースガス領域と第2のフィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している第2の複数の穿孔を除いて、ソースガス領域から分離された第2のフィルタアレッジ領域と、第2のフィルタアレッジ領域に接触して配置された複数の第2のフィルタであって、各第2のフィルタは、第2のフィルタアレッジ領域から周囲環境への、第2のフィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、複数の第2のフィルタと、を備える。
【0016】
本発明のこれらの及び他の目的、特徴、及び特性に加え、構造の関連要素の操作方法及び機能、並びに、部品及び製造の効率的な使用との組み合わせは、添付の図面を参照して、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考察すると、より明らかになり、この全てがこの明細書の一部を成す。これらの図面では、同様の参照番号が、様々な図中の対応する部品を指し示す。しかしながら、これらの図面が例示及び説明のみを目的としており、この発明の限定の定義として意図されていないことをはっきりと理解されるべきである。
【0017】
この発明は、好ましい実施形態の以下の説明を添付の図面と一緒に読むことにより、さらに理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】開示された概念の1つの例示的な実施形態に従った密閉コンテナの一部分として使用する際における、開示された概念の1つの例示的な実施形態に従ったパッシブベント設計の概略図である。
【
図2】開示された概念の1つの例示的な実施形態に従った遠隔ガス回収ユニットの一部分として使用する際における、開示された概念の1つの例示的な実施形態に従ったパッシブベント設計の概略図である。
【
図3】開示された概念の1つの例示的な実施形態に従ったベント設備の性能結果を示すグラフである。
【
図4】
図3の例についての、酸素除去係数に対する水素除去の例示的性能の感度を示すグラフである。
【
図5】
図3の例についての、酸素除去係数に対する過剰酸素除去の例示的性能の感度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の説明において、同様の参照文字は、これらの図面のいくつかの図にわたって同様の又は対応する部品を指し示す。また、以下の説明において、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「上方に」、「下方に」等といった用語は便宜上の語であって、限定する用語として解釈されるべきではないことを理解されるべきである。
【0020】
以下の説明は、本発明に従ったベント設備の例示的な用途と、それに続く鍵となる同じ一般的特徴を共有する代替的用途と、から成る。
図1に、例示的なベント設備を示す。
【0021】
図1を参照して、容器ボディ105及び上蓋110を備える厚肉(遮蔽)容器100を考察する。厚肉容器100の内容物は、化学量論比で、又は、化学量論比よりも酸素が少ない状態で産出された水素及び酸素のソースであり、化学量論性は最悪のケースである。容器の内部115はソースガス領域と呼ばれ、ソースガスがソースガス位置から発出しており、本例において、ソースガス位置も、容器の内部115内に存在している。ソースガス領域115の空気(atmosphere)は、空気(air)並びにソースガスの水素及び酸素から成り、各ガスの比は、以下に説明するように、この発明の適正な設計により制御される。
【0022】
このような例において、厚肉容器100のソースガス領域/位置115における内容物は、使用済み核燃料、損傷した使用済み核燃料、高損傷燃料デブリ、特殊核物質、放射性核種を帯びたイオン交換樹脂、又は他の放射性廃棄物であり得る。これらの内容物の放射能は、同じくコンテナ内にある液体水及び炭化水素物質の、水素、酸素、及び可能性のある他の炭化水素ガスへの分解を生じる。
【0023】
容器の上蓋110には、複数の穿孔120a~120d、好ましくは少なくとも3つの穿孔(本例では4つが図示されている)があり、ソースガス領域115をフィルタアレッジ領域125と呼ばれる第2のガス領域に連結している。フィルタアレッジ領域125は、さらに以下に論じる理由により、ソースガス領域115よりも高所に位置付けられた非常に小さな領域である。よって、穿孔120a~120d及びフィルタアレッジ領域125は、容器上蓋110内に位置付けられている。フィルタアレッジ領域125の目的は、ソースガス領域115からガスを受容するとともに、これらのガスを、周囲環境135に接触して位置決めされたフィルタ130a~130cに接触させることである。ガスは次いで、フィルタアレッジ領域125から周囲環境135へと、フィルタ130a~130cを経由して拡散し得る。そのため、フィルタアレッジ領域125の上部には、2つ、3つ、又はそれよりも多く(この例では3つが図示されている)の焼結金属フィルタ130a~130cのセットが接続されている。これらのフィルタ130a~130cは、薄肉ドラムのねじ山付き口に一般的に嵌められているような市販のフィルタ、又は任意の他の好適なフィルタであってもよい。ガスは、フィルタ130a~130cを経由して、周囲環境135とフィルタアレッジ領域125との間で交換される。フィルタ130a~130cの目的は、コンテナ100からの汚染放出を防止する防壁を提供することである。コンテナの上蓋110には、2つ以上のこのようなベント設備が設けられていてよい。
【0024】
ベント設備が適正に設計されていると、ガスソース領域115内のガス混合物は、フィルタアレッジ領域125内のガス混合物よりも低い密度を有する。これにより、より密度の低いガスが、ガスソース領域115からフィルタアレッジ領域125へと、穿孔120a~120dのうちの1つ以上を通って上に流れることと、より密度の高いガスが、フィルタアレッジ領域125からガスソース領域115へと、残りの穿孔120a~120dを通って下に流れることと、が生じる。フィルタアレッジ領域125内の水素及び酸素の濃度がフィルタ130a~130c外の周囲環境135内のそれらのそれぞれの濃度よりも高いため、水素及び酸素は、フィルタ130a~130cを経由して、フィルタアレッジ領域125から周囲環境135へと拡散する。これが、最終的に、水素及び酸素のソースガスが厚肉容器100から排出される要領である。
【0025】
このようなベント設備の適正な設計は、(1)穿孔120a~120dの数、(2)穿孔120a~120dの直径、(3)フィルタ130a~130cの数、(4)穿孔/フィルタアレッジ/フィルタのグループのセットの数、及び、(5)フィルタ130a~130cが水素及び酸素を通す固有の能力、の適切な選択を要する。適正に設計されると、ソースガス領域115内の水素濃度は体積で4%を下回り、このことは、ガス混合物が引火性ではないことを保証する。
【0026】
図2に概略的に例示されるような代替的用途では、
図1のものと同様の複数個の態様を共有している。よって、
図2を参照して、容器ボディ205及び上蓋210を備える厚肉(遮蔽)容器200を考察する。厚肉容器200の内容物は、化学量論比で、又は化学量論比よりも酸素が少ない状態で産出された水素及び酸素のソースであり、化学量論性は最悪のケースである。容器の内部215はソースガス領域と呼ばれ、ソースガスがソースガス位置255から発出している。例えば、ソースガス領域215は実際にはベント管250の上側終端であり、ベント管250は、ガスソース領域215から、水プール260を経由して下方に、厚肉容器200についての上述の内容物のいずれかを保持している水中コンテナ(図示せず)へと進む。このような例では、水中コンテナ及びベント管250は、コンテナの内容物をソースとする放射性核種で汚染された水で満たされている。システムの水位線は、ガスソース領域215内に存在している。いくつかの態様において、水位線は、高水位265と低水位270との間に留まるように制御されてもよい。ガスソース領域215の上部には、ガスソース領域内及びベント管250内の放射性ソースから作業者を保護するために、遮蔽が存在する。いくつかの態様において、ベント管250に接続された容器ボディ205の部分は、円錐形の断面を有してもよい。円錐形の断面は、その最下方において、ベント管250の直径のサイズとほぼ同じ直径を有してもよい。また、円錐形の断面は、その最上方において、容器ボディ205の直径のサイズとほぼ同じ直径を有してもよい。ソースガス領域215の空気(atmosphere)は、空気(air)並びにソースガスの水素及び酸素から成り、各ガスの比は、以下に説明するように、この発明の適正な設計により制御される。
【0027】
このような例において、厚肉容器200のソースガス位置255における内容物は、使用済み核燃料、損傷した使用済み核燃料、高損傷燃料デブリ、特殊核物質、放射性核種を帯びたイオン交換樹脂、又は他の放射性廃棄物であり得る。これらの内容物の放射能は、同じくコンテナ内にある液体水及び炭化水素物質の、水素、酸素、及び可能性のある他の炭化水素ガスへの分解を生じる。
【0028】
容器の上蓋210には、複数の穿孔220a~220d、好ましくは少なくとも3つの穿孔(本例では4つが図示されている)があり、ソースガス領域215をフィルタアレッジ領域225と呼ばれる第2のガス領域に連結している。フィルタアレッジ領域225は、さらに以下に論じる理由により、ソースガス領域215よりも高所に位置付けられた非常に小さな領域である。よって、穿孔220a~220d及びフィルタアレッジ領域225は、容器上蓋210内に位置付けられている。フィルタアレッジ領域225の目的は、ソースガス領域215からガスを受容するとともに、これらのガスを、周囲環境235に接触して位置決めされたフィルタ230a~230cに接触させることである。ガスは次いで、フィルタアレッジ領域225から周囲環境235へと、フィルタ230a~230cを経由して拡散し得る。そのため、フィルタアレッジ領域225の上部には、2つ、3つ、又はそれよりも多く(この例では3つが図示されている)の焼結金属フィルタ230a~230cのセットが接続されている。これらのフィルタ230a~230cは、薄肉ドラムのねじ山付き口に一般的に嵌められているような市販のフィルタ、又は任意の他の好適なフィルタであってもよい。ガスは、フィルタ230a~230cを経由して、周囲環境235とフィルタアレッジ領域225との間で交換される。フィルタ230a~230cの目的は、コンテナ200からの汚染放出を防止する防壁を提供することである。コンテナの上蓋210には、2つ以上のこのようなベント設備が設けられていてよい。
【0029】
ベント設備が適正に設計されていると、ガスソース領域215内のガス混合物は、フィルタアレッジ領域225内のガス混合物よりも低い密度を有する。これにより、より密度の低いガスが、ガスソース領域215からフィルタアレッジ領域225へと、穿孔220a~220dのうちの1つ以上を通って上に流れることと、より密度の高いガスが、フィルタアレッジ領域225からガスソース領域215へと、残りの穿孔220a~220dを通って下に流れることと、が生じる。フィルタアレッジ領域225内の水素及び酸素の濃度がフィルタ230a~230c外の周囲環境235内のそれらのそれぞれの濃度よりも高いため、水素及び酸素は、フィルタ230a~230cを経由して、フィルタアレッジ領域225から周囲環境235へと拡散する。これが、最終的に、水素及び酸素のソースガスが厚肉容器200から排出される要領である。
【0030】
このようなベント設備の適正な設計は、(1)穿孔220a~220dの数、(2)穿孔220a~220dの直径、(3)フィルタ230a~230cの数、(4)穿孔/フィルタアレッジ/フィルタのグループのセットの数、及び、(5)フィルタ230a~230cが水素及び酸素を通す固有の能力、の適切な選択を要する。
例示的な用途
【0031】
例1-使用済み核燃料の水中保管-
この例示的な用途は、破損した使用済み核燃料の水中保管を含み、そのため、破損した燃料は、プール内の密閉保管コンテナ内へ隔離される。これにより、全体としてプールへの汚染の放出が防止され、それにより、作業員によるプール上方での通常の運転が可能になる。
【0032】
燃料が密閉コンテナ内にある場合、水の放射線分解に由来するガス(H2及びO2)はコンテナを加圧し、したがって、コンテナはベントされなければならない。しかしながら、ベントされるべきガスは極めて可燃性であり、水素及び酸素の自明の化学量論比に制限される。この問題に対する解決策には、システム容積の自然変化を考慮に入れながらも化学量論的混合物の蓄積及びベントが可能なパッシブなトラップ式ガス放出設計か、又は、可燃性混合物を防止するために適正なレートで不活性ガスを導入する、アクティブにベントされる設計か、のいずれかが含まれる。トラップ式設計が爆発の潜在性を考慮に入れている一方、後者の選択肢は、絶え間ない操作及びモニタリングを要する。
【0033】
例2-損傷した燃料及び燃料デブリの暫定的遮蔽保管-
本例では、損傷した燃料及び燃料デブリが暫定的保管のために遮蔽コンテナ内に置かれ、実用的な理由により、コンテナ内の任意の水内容物を容認することが望ましく、そのため、放射線分解により化学量論的ガスが生成される。従って、コンテナはベントされなければならない。
【0034】
両方のケースにおいて、引火性混合物が蓄積される潜在性を防止するパッシブな解決策の方が優れた解決策であることは明らかである。
【0035】
図1及び
図2は、このような例で利用され得るパッシブベント設計の例を概略的に例示している。例示的な用途1に対応する設計の必須要素は以下の通りである。
-燃料コンテナは、燃料プール内のその通常位置に位置付けられており、典型的には、浸水深さは約4mである。燃料コンテナには、中で生成されたガスがコンテナから排出されることを可能にする垂直なベントラインが取り付けられている。このベントラインは、放射線分解ガスの泡を除き、水で満たされている。垂直なベントラインは、コンテナと、プール表面下まで少しの距離を残すところと、の間の単一の管である。
-管は、コンテナの収縮容積に等しい容積の円錐において終端をなし、この円錐の上面が通常のプール水位線である。通常の運転により、プールの温度は全体として変動するものであり、したがって、密閉コンテナ内の水の温度及び体積は変動する。円錐の容積は、コンテナの水の最小体積(この水が最低温度にあるときの)を収容するように選択される。換言すると、水位は、円錐の底部よりも低くすらならず(
図2の符号270を参照)、垂直なベント管内に収まっている。
-上述の円錐は、円筒形のセクション(大径管)に連結されており、この円筒形のセクションの容積は、密閉コンテナの水の膨張に順応しながら、ガスのヘッドスペースを確保することができる。円錐形のセクション及び上述の円筒形のセクションは、下方に保管されている使用済み燃料の上方におけるアレッジスペースである。それらのサイズは用途により決定され、この用途は、必要な膨張容積及び不測の事態を規定する。ガスが占める円錐形の容積及び円筒形の容積の部分を、下側ガス容積と呼ぶ。汚染水は、プール水位線を下回ることもあれば、上回ることもあり得る。容積についての設計は、間違いなく良好に混合される開放された下側アレッジスペースを維持するために、円錐形の要素及び円筒形の要素の組み合わせを含むことのみを必要とする。
-下側ガス容積の上方に、放射線遮蔽物が存在する。これが必要である理由は、下側ガス容積内の液体が密閉燃料コンテナ内の液体と潜在的に同じであり、したがって、遮蔽を要するためである(燃料コンテナは浸水されることによって遮蔽されているが、この小さな液体容積は水位に存在しており、したがって作業員に近接している)。本発明者らの目的のため、主要な放射線ソースは、
137Csの娘核である
137Baにより産出された0.662MeVガンマ線である。このガンマ線の完全な減衰に対する半減距離は、ステンレス鋼において約1.5cmである。一例として、下側ガス容積内の液体からの線量は、15cmのステンレス鋼を使用することにより、1000分の1に減衰される。
-潜在的に、化学量論的ガスは下側ガス容積内に蓄積し、放射線遮蔽物に開けられた小さな穿孔により除去される。極めて重要なこととして、このような穿孔は少なくとも2つあり、穿孔の数は、ガス除去の必要性により決定される。また、穿孔は、遮蔽物が機能的であるとともに、孔の入口/出口がソース容積からの直接的な流動を防止するように、或る角度で開けられている。
-放射線遮蔽物の上方には、出口ガスプレナム(即ち、フィルタアレッジ領域)が存在する。下側ガス容積からの穿孔は、ここで終端をなす。プレナムは、高さが小さく、混合ゾーンとしてのみ働く。
-出口ガスプレナムの上部には、いくつかのフィルタが取り付けられている。フィルタの数は、ガス除去レートの要件により決定される。
【0036】
システムの容認可能な性能には、(a)遮蔽物における孔の数、(b)遮蔽物における孔の直径、(c)遮蔽物の厚さ、(d)フィルタの数、及び(e)フィルタ性能仕様、の組み合わせが極めて重要である。特に、本発明者らが知得していることとして、フィルタ性能はその実際の用途に依存しており、製造業者の仕様により与えられるものと同じではない。
【0037】
性能モデル
ソースガスは、化学量論的である最悪のケースのレートにおける水素及び酸素であるが、モデルはこの比を変動させることができる。このモデルにとって鍵となるのは、過剰酸素が表されることであり、そのため、追跡される変数は、空気中の通常の比を超過する酸素のモル分率である。モデルは、上及び下の両方へ流れるガスの密度を、過剰水素及び酸素の組み合わせとして考察する。モデルは、両方のガス種の連続性を含むように拡張される。フィルタ実験及び製造業者の仕様は、重要な入力、即ち、フィルタを挟んだ水素モル分率差の関数として水素がフィルタから除去されるレートを提供する。極めて重要なこととして、本発明者らは、酸素についてのその値を知得していない。データが欠如しているため、本発明者らは、空気中におけるそれらのそれぞれの二成分拡散係数の比率に基づき、酸素除去が水素除去に比例すると仮定することができる。
【0038】
モデルの鍵となる仮定は以下の通りである。
-各穿孔内の流れは単方向性であり、そのため、穿孔内における密度主導の向流は、無視できるほど小さい。
-水素濃度及び過剰酸素濃度についての良く混合された単一の値が、下側ガス容積及び出口ガスプレナムにおいて仮定される。
-ガス毎のフィルタ性能は、ガス濃度差及びフィルタ下の総ガス流量から独立した、一定のフィルタ係数により表すことができる。
-摩擦は、穿孔の全長についての十分発達した層流の摩擦係数を使用して、充分に評価することができ、形状損失は、基準定数により定量化することができる。形状損失は、簡略化のため、穿孔間で等分されているものと仮定する。
【0039】
ガス密度ρは、水素のモル分率「x」及び過剰酸素のモル分率「y」により定義される。
【数1】
ここで、ωは分子量であり、添え字「a」は空気を指し、添え字H2及びO2は、それぞれ水素及び酸素を指す。
【0040】
浮力による、穿孔流についての駆動圧力は以下の通りである。
【数2】
ここで、Hは遮蔽物厚さであり、添え字「l」は下側ガス容積についてのもの、「f」はフィルタガスプレナムについてのものである。摩擦及び形状損失による圧力降下は、以下の通りである。
【数3】
ここで、Lは穿孔長さであり、dは穿孔直径であり、K
TOTは形状損失である。第1項は、下側ガス容積からフィルタプレナムへの上方向の流れについてのものであり、第2項は、下方向の戻り流についてのものである。2つの圧力降下は当然ながら等しく、方程式の無次元バージョンは以下の通りである。
【数4】
【0041】
平衡状態にある総ガス流の連続性は以下の通りである。
【数5】
ここで、Q
lは、下側ガス容積からの上方向の体積流量であり、Q
fは、戻り流の体積レートであり、Q
H2及びQ
O2は、水素ガスソースレート及び酸素ガスソースレートである。圧力降下方程式で使用される速度は、体積流の項から求められる。
【数6】
ここで、N
l個の穿孔が上方向の流れを運び、N
f個の穿孔が下方向の流れを運ぶ。
【0042】
水素及び過剰酸素の連続性は、以下の式により与えられる。
【数7】
【0043】
最後に、フィルタ性能仕様の定義から、以下の通りである。
【数8】
ここで、フィルタの数はN
fであり、フィルタ性能定数の単位は、1モル分率当たりの体積流である。
【0044】
ガスソースレートQH2及びQO2が与えられると、フィルタプレナム内のモル分率xf及びyfが直ちに定義される。3つの連続方程式及び圧力降下方程式により、上方向の体積流量Ql及び下方向の体積流量Qfと、下側ガス容積のガス濃度xl及びylと、の値を求めるための4つの方程式が提供される。
【0045】
予測:成功する設計のデモンストレーション。
最高で約1.0L/hrのレートの水素、及び化学量論比における酸素、したがって最高で約0.50L/hrの酸素が供給されるソースガスの除去を要する顧客の用途について考察する。この設計の目標は、ソースガス領域において約4%を下回る水素濃度を維持することであり、4%は、空気中の水素についての爆発下限(LFL)である。これは、過剰酸素を伴った空気中の水素についてのLFLでもある。
【0046】
このモデルを適用して、成功する以下の設計値を生じた。
-15cmの遮蔽物の厚さ
-直径が20mmである4つの穿孔
-3つのフィルタであって、水素係数が15.9L/hr、酸素係数が3.96L/hr。
水素性能値は、既に試験されたフィルタに基づく。酸素性能値は、控えめに見て水素値のものの約4分の1であると仮定され、空気中のそれぞれの二成分拡散係数の比率に対応する。
【0047】
図3に性能結果を示す。この図では、「up」が穿孔内においてガスソース領域からフィルタアレッジ領域へ上方向に流れるガスを指し、「down」が下方向への戻り流を指す。
【0048】
このシミュレーションのパラメータ下において、この設計が、約1.0L/hrよりもわずかに多い水素(及び化学量論的酸素)を取り扱うことができるとともに、下側ガス容積内の水素モル分率を4%(爆発下限)未満に維持することができることが分かる。これは、穿孔を経由して上方向に拡散することが可能な水素のモル分率を表す。フィルタプレナム内の水素モル分率(即ち、下方向に拡散することが可能な水素)は、下側ガス容積内の値の半分よりもわずかに小さい。極めて重要なこととして、ガスソース領域のモル比が酸素:水素で約5:4である一方、ソースガスのモル比が水素:酸素で約2:1であることに注意されるべきである。酸素が空気よりも重く、ソース領域内における酸素の蓄積により、この設計が功を奏することが直ちに自明にはならないものの、モデルは、この設計が功を奏することを証明している。
【0049】
計算では、1つの穿孔が上への流れを運び、3つの穿孔が下への流れを運ぶものと仮定したが、その理由は、これにより、上への孔と下への孔が同数である結果に比べ、わずかに高い水素モル分率を生じるためである。感度解析は、穿孔の直径が約15mmを下回るまで縮小させるべきではなく、よって、あらゆる閉塞の可能性を考慮に入れるために、20mmという値が良い選択であることを示す。結果は、遮蔽物の厚さに左右されない。
【0050】
酸素除去についてのフィルタ係数の値は、水素係数の値の約4分の1であるものと悲観的に仮定されたが、その理由は、これが、空気中の2つのガスについての二成分拡散係数の比率であるためである。しかしながら、質量輸送が実際のガス除去性能を支配すべきことが知られており、過剰酸素の実際の除去レートをより大きくすべきである。
【0051】
図4に示すように、酸素除去係数の変動は、水素除去性能に著しい影響を及ぼさない。
図4では、水素に対する約25%、約50%、及び約90%の相対酸素除去係数は全て、水素ソース産出レートの範囲全域にわたって揃っていることが認められ得る。当然ながら、
図5に示すように、下側ガス容積内においては過剰酸素の変動がある。
図5に描かれるように、水素に対する相対酸素除去係数が約25%から約90%へと増加するのに伴い、下側容積の過剰酸素濃度のパーセントが、同じく、水素ソース産出レートの値の全範囲にわたって減少している。
【0052】
この発明の特定の実施形態について詳細に説明してきたが、それらの詳細に対する様々な変形物及び代替物が、この開示の教示内容全体に照らして開発され得るとともに、これらの例示的な実施形態のうちの1つ以上の選択された要素が、開示された概念の範囲から逸脱することなく他の実施形態からの1つ以上の要素と組み合わされてよいことを、当業者は認識するであろう。これにより、開示された特定の実施形態は、例示的であることのみを意味し、この発明の範囲に関して限定的であることを意味しない。この発明の範囲には、添付の特許請求の範囲と、そのあらゆる全ての均等物と、の最大の広さが与えられるべきである。
【0053】
本明細書に記載された主題の様々な態様を、以下の番号を付けた例において述べる。
【0054】
例1:
放射性物質により産出されたガスのベントの際に使用するためのパッシブベント設備であって、
前記放射性物質により産出された前記ガスを受容するように構造化されたソースガス領域と、
前記ソースガス領域の上方に配置されたフィルタアレッジ領域であって、前記ソースガス領域と前記フィルタアレッジ領域との間に各々が延在している複数の穿孔であって、前記ソースガス領域と前記フィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している前記複数の穿孔を除いて、前記ソースガス領域から分離されている、前記フィルタアレッジ領域と、
前記フィルタアレッジ領域に接触して配置された複数のフィルタであって、各フィルタは、前記フィルタアレッジ領域から周囲環境への、前記フィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、前記複数のフィルタと、
を備える、パッシブベント設備。
【0055】
例2:
前記複数の穿孔は少なくとも3つの穿孔を含む、例1に記載のパッシブベント設備。
【0056】
例3:
前記ソースガス領域は、前記放射性物質を収納するように構造化されている、例1及び2のうちのいずれか1つ以上に記載のパッシブベント設備。
【0057】
例4:
前記ソースガス領域は、前記ソースガス領域とは別のソースガス位置に格納されている前記放射性物質により産出された前記ガスを受容するように構造化されている、例1から3のいずれか1つ以上に記載のパッシブベント設備。
【0058】
例5:
前記ソースガス領域と前記ソースガス位置とを流体結合するように構造化されたベント管をさらに備える、例4に記載のパッシブベント設備。
【0059】
例6:
前記ソースガス領域は、前記ベント管の前記ソースガス領域への開口部を取り囲む円錐形状の領域によって部分的に画定されている、例5に記載のパッシブベント設備。
【0060】
例7:
放射性物質を保管する際に使用するための格納容器であって、
前記放射性物質を収納するように構造化されたソースガス領域を自身に画定するボディと、
前記ボディにおいて前記ソースガス領域の上方に画定されたフィルタアレッジ領域であって、前記ボディにおいて画定されており、かつ、前記ソースガス領域と前記フィルタアレッジ領域との間に各々が延在している複数の穿孔であって、前記ソースガス領域と前記フィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している前記複数の穿孔を除いて、前記ソースガス領域から分離されている、前記フィルタアレッジ領域と、
前記フィルタアレッジ領域に接触して配置された複数のフィルタであって、各フィルタは、前記フィルタアレッジ領域から周囲環境への、前記フィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、前記複数のフィルタと、
を備える、格納容器。
【0061】
例8:
前記複数の穿孔は少なくとも3つの穿孔を含む、例7に記載の格納容器。
【0062】
例9:
前記ボディは、前記ボディに結合された取り外し可能な蓋を備え、
前記フィルタアレッジ領域及び前記複数の穿孔は、前記蓋において画定されている、例7に記載の格納容器。
【0063】
例10:
放射性物質を保管する際に使用するための格納容器であって、
前記放射性物質を収納するように構造化されたソースガス領域を自身に画定しているボディと、
前記ボディにおいて前記ソースガス領域の上方に画定された第1のフィルタアレッジ領域であって、前記ボディにおいて画定されており、かつ、前記ソースガス領域と前記第1のフィルタアレッジ領域との間に各々が延在している第1の複数の穿孔であって、前記ソースガス領域と前記第1のフィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している前記第1の複数の穿孔を除いて、前記ソースガス領域から分離された第1のフィルタアレッジ領域と、
前記第1のフィルタアレッジ領域に接触して配置された複数の第1のフィルタであって、各第1のフィルタは、前記第1のフィルタアレッジ領域から周囲環境への、前記第1のフィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、前記複数の第1のフィルタと、
前記ボディにおいて、前記ソースガス領域の上方に画定されるとともに、前記第1のフィルタアレッジ領域から独立した第2のフィルタアレッジ領域であって、前記ボディにおいて画定されており、かつ、前記ソースガス領域と前記第2のフィルタアレッジ領域との間に各々が延在している第2の複数の穿孔であって、前記ソースガス領域と前記第2のフィルタアレッジ領域とを各々が流体結合している前記第2の複数の穿孔を除いて、前記ソースガス領域から分離された第2のフィルタアレッジ領域と、
前記第2のフィルタアレッジ領域に接触して配置された複数の第2のフィルタであって、各第2のフィルタは、前記第2のフィルタアレッジ領域から周囲環境への、前記第2のフィルタを経由したガスの交換を提供するように構造化されている、前記複数の第2のフィルタと、
を備える、格納容器。