(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】生体組織をイメージングするためのLIDAR植込み型バイオセンサ
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240126BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61B10/00 H
(21)【出願番号】P 2021574751
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(86)【国際出願番号】 IB2020055581
(87)【国際公開番号】W WO2020254944
(87)【国際公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-11-21
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ホームズ、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】サダナ、デヴェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ベデル、ステファン
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-228866(JP,A)
【文献】特開2017-144225(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0094674(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0100398(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者内の植込み用に構成された植込み型バイオセンサであって、前記植込み型バイオセンサが光源のアレイおよび光検出器のアレイを備え、
前記光源のアレイが光信号を前記被検者中の標的組織部位に向けるように構成され、前記光検出器が前記標的
組織部位から反射された前記光信号をキャプチャするように構成された、前記植込み型バイオセンサ、および
プロセッサであって、メモリと結合されて、
前記光信号の各々についての往復伝播時間を算出して、
前記標的組織部位における変化の発生を判定するために、前記光信号の各々についての前記往復伝播時間を前に算出されたそれぞれの往復伝播時間に対して比較する
ように構成された、前記プロセッサ
を備える、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
光信号ごとにベースライン往復伝播時間を確立するようにさらに構成され、前記往復伝播時間を比較するために、前記光信号の各々についての前記往復伝播時間を前記ベースライン往復伝播時間の各々に対して比較する
ことを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記植込み型バイオセンサは、前記被検者の脳内の植込み用に構成された、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記被検者の1つ以上の脳細胞から反射された光信号ごとに前記往復伝播時間を算出するように構成された、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記光源のアレイは、LEDアレイを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記植込み型バイオセンサは、前記光信号と関連するデータを前記プロセッサへ送信するように構成された通信モジュールを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
1つ以上の脳細胞の構造における変化を検出するためのコンピュータ・プログラム製品であって、
コンピュータ実行可能コードを用いてコード化された非一時的コンピュータ可読媒体を備え、前記コードは、
脳内に植込まれた植込み型バイオセンサによって放出された光信号の往復伝播時間を算出するステップ、および
1つ以上の脳細胞の構造における変化の発生を判定するために、前記光信号の各々についての前記往復伝播時間を前に算出されたそれぞれの往復伝播時間に対して比較するステップ
の実行を可能にするように構成された、
コンピュータ・プログラム製品。
【請求項8】
前記コードは、
光信号ごとにベースライン往復伝播時間を確立するステップの実行を可能にするように構成され、前記往復伝播時間を比較するステップは、前記光信号の各々についての前記往復伝播時間を前記ベースライン往復伝播時間の各々に対して比較するステップを含む、
請求項7に記載のコンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、一般に、生体組織のセンシングに関し、より詳しくは、神経組織における変化を細胞レベルで検出するために光検出および測距(LIDAR:light detection and ranging)技法を用いた植込み型バイオセンサに関する。
【0002】
生体組織、特に神経組織のための既存のセンシング技法は、個別の細胞についての細胞構造の詳細、またはその細胞構造が経時的にどのように変化するかに関する情報を提供することができない。神経組織をセンシングする現在の方法は、細胞または組織構造の間接的なエビデンスを提供し、例えば、神経伝達物質またはイオンの放出を測定できるが、これは、細胞構造の直接的なビューを提供せず、細胞構造における変化に関する情報も提供しない。神経組織、とりわけ、脳細胞における変化をモニタする能力は、脳機能、適応性、神経の病状の診断および進行のより深い理解を提供しうる。加えて、電荷、医薬品、ホルモンなどを含む様々な刺激に曝露した際の脳細胞構造における変化に関する情報は、アルツハイマー病、認知症、癌、てんかん、および他の発作性疾患、精神疾患、パーキンソン病などを含む様々な脳疾患のための潜在的な新しい処置への道筋を提供しうる。
【発明の概要】
【0003】
1つの例示的な実施形態に従って、組織における変化を検出するための方法は、植込み型バイオセンサを被検者内に植込むステップであって、植込み型バイオセンサが光源のアレイおよび光検出器のアレイを備える、植込むステップと、光源のアレイを活動化して、光信号を被検者中の標的組織部位に向けるステップと、標的部位から反射された光信号を、光検出器を用いて、キャプチャするステップと、光信号の各々についての往復伝播時間を算出するステップと、標的組織部位における変化の発生を判定するために、光信号の各々についての往復伝播時間を前に算出されたそれぞれの往復伝播時間に対して比較するステップとを含む。
【0004】
別の例示的な実施形態に従って、システムは、被検者内の植込み用に構成された植込み型バイオセンサであって、光源のアレイおよび光検出器のアレイを備える植込み型バイオセンサを備える。光源のアレイは、光信号を被検者中の標的組織部位に向けるように構成される。光検出器は、標的部位から反射された光信号をキャプチャするように構成される。装置は、プロセッサをさらに含み、プロセッサは、メモリと結合されて、光信号の各々についての往復伝播時間を算出して、標的組織部位における変化の発生を判定するために、光信号の各々についての往復伝播時間を前に算出されたそれぞれの往復伝播時間に対して比較するように構成される。
【0005】
別の例示的な実施形態に従って、1つ以上の脳細胞の構造における変化を検出するためのコンピュータ・プログラム製品は、コンピュータ実行可能コードを用いてコード化された非一時的コンピュータ可読媒体を備える。コードは、脳内に植込まれた植込み型バイオセンサによって放出された光信号の往復伝播時間を算出するステップ、および1つ以上の脳細胞の構造における変化の発生を判定するために、光信号の各々についての往復伝播時間を前に算出されたそれぞれの往復伝播時間に対して比較するステップの実行を可能にするように構成される。
【0006】
他の実施形態が、添付図と併せて読まれるべき、実施形態の以下の詳細な説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】1つ以上の例示的な実施形態による、植込み型バイオセンサの概略平面図である。
【
図2】1つ以上の例示的な実施形態による、植込み型バイオセンサのフレームワークを示すブロック図である。
【
図3】1つ以上の例示的な実施形態による、被検者の脳内に植込まれた植込み型バイオセンサを示す図である。
【
図4】1つ以上の例示的な実施形態による、被検者の体の他の領域内に植込まれた植込み型バイオセンサを示す図である。
【
図5】1つ以上の例示的な実施形態による、細胞構造における変化を検出するための植込み型バイオセンサの使用の例示的な方法を描くフローチャートである。
【
図6】1つ以上の例示的な実施形態による、植込み型バイオセンサの使用の別の例示的な方法を描くフローチャートである。
【
図7】1つ以上の例示的な実施形態による、1つ以上のコンポーネント/ステップまたは技法がそれに従って実装されてよいコンピュータ・システムを示す。
【
図8】1つ以上の例示的な実施形態によるクラウド・コンピューティング環境を示す。
【
図9】1つ以上の例示的な実施形態による抽象化モデル層を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
例示的な実施形態は、被検者の脳内に植込み可能であって、時間、例えば、年齢の関数としておよび/または様々な刺激にさらされたとき、ある病状にあるときなどに細胞構造に関するデータを収集して、細胞構造における潜在的な変化をモニタするために利用される、神経バイオセンサを対象とする。植込み型バイオセンサは、バイオセンサが組み込まれた検出器もしくは光学系またはその両方を介して細胞組織を解析するために適切にスケーリングされた光検出および測距(LIDAR)技術を組み込む。
【0009】
一般に、光検出および測距(LIDAR)技法は、他にも理由はあるが、様々な対象の高解像度を提供するその能力ゆえに著しい関心を集めた。歴史的に、LIDARは、自律ビークル、ロボティクス、航空マッピング、および大気測定において広範に使用され、より最近では、3Dイメージングに用途を見出した。典型的なLIDARセンサは、標的にパルスまたは変調レーザ光を照射して、モジュール中の受信器からの光の放出時間およびそれへの戻り時間、すなわち、光信号の全往復伝播時間を測定することによって、標的への距離を算出できる光センシング・モジュールを組み込んだ光検出および測距センサである。LIDAR技術では、往復伝播時間は、「飛行時間(time of flight)」(以下では、「ToF」)とも呼ばれる。レーザのToFおよび波長は、次に、標的のデジタル3D表現を作成するために用いられる。
【0010】
ごく最近になって、LIDARは、半導体作製技法を用いて単一のバイオセンサ上に構築されうる高速検出器および変調敏感検出器のアレイの使用を通じてイメージング・ビークルとして用いられるようになった。これらのデバイスでは、各画素が高速での復調またはゲーティングなどいくらかのローカル処理を行い、アレイをカメラのように読むことができるように信号をビデオ・レートへダウン・コンバートする。この技法を用いると、対象のマッピングまたは画像を提供する何千もの画素/チャネルが同時に取得され得る。
【0011】
それに応じて、例示的な実施形態は、被検者(例えば、ヒト、動物など)の体内、例えば、被検者の脳の中に植込むために特定の寸法に形作られた(スケール・ダウンされた)半導体デバイスまたはバイオセンサ上にLIDAR技術を実装するステップを対象とする。以下の記載は、脳の中での植込み型バイオセンサの使用に注目するが、植込み型バイオセンサは、心臓、末梢神経系、胃および体の他の器官を含めて他の植込み型用途を有しうることが分かる。
【0012】
本明細書において考察される実施形態が、本明細書に示され、記載される個別の材料、特徴、および処理ステップには限定されないことが理解されるべきである。とりわけ、強調されるべきは、本明細書に提供される記載が、植込み型バイオセンサを形成するために必要とされうる詳細のすべてを包含することは意図されないことである。むしろ、よく用いられる処理ステップを含む一定の特徴は、記載を簡潔にするために本明細書では意図的に記載されない。
【0013】
そのうえ、同じもしくは同様の特徴、要素、または構造を示すために、複数の図面を通して同じもしくは同様の参照番号が用いられ、従って、同じもしくは同様の特徴、要素、または構造の詳細な説明は、図面の各々について繰り返されない。厚さ、幅、パーセンテージ、範囲などに関して本明細書に用いられる用語「約(about)」または「実質的に(substantially)」は、近いかまたは近似するが、正確にではないことを示すことが意味される。例えば、本明細書に用いられる用語「約」または「実質的に」は、小さい許容範囲の誤差が存在することを示唆する。さらに、本明細書に用いられる用語「垂直(vertical)」もしくは「垂直方向(vertical direction)」または「垂直高さ(vertical height)」は、図面に示されるデカルト座標のZ方向を示し、本明細書に用いられる用語「水平(horizontal)」、もしくは「水平方向(horizontal direction)」、または「横方向(lateral direction)」は、図面に示されるデカルト座標のX方向もしくはY方向またはその両方を示す。
【0014】
加えて、用語「例示的(illustrative)」は、本明細書では「例、事例、または説明として役立つこと」を意味するために用いられる。本明細書に記載されるいずれの実施形態または設計も「例示的」であることが意図され、他の実施形態または設計より好ましく、または有利であると必ずしも解釈されるべきではない。
【0015】
図1を最初に参照して、植込み型バイオセンサのある例示的な実施形態が以下に記載される。本明細書に記載される植込み型バイオセンサが半導体デバイスおよび/または集積回路、あるいはそのある部分であると考えることもできることに留意されたい。
図1は、本開示の原理による、植込み型バイオセンサ100の平面図である。植込み型バイオセンサ100は、基板102、例えば、半導体ウェハを含み、基板102は、目標用途のための集積回路素子を層処理の結果として提供するためにウェハの活性表面中または上に形成された様々な半導体デバイスおよびコンポーネント(示されない)を収容する。例えば、説明の容易さのために基板102が概略的に描かれるが、基板102は、半導体ウェハ基板層を含めて複数の層を備えることが理解されるべきである。半導体ウェハ基板は、異なるタイプの半導体ウェハ基板構造および材料のうちの1つを備える。例えば、1つの実施形態では、半導体ウェハ基板をシリコン(Si)もしくはゲルマニウム(Ge)から形成されたバルク半導体ウェハ基板、またはシリコン・ゲルマニウム合金、化合物半導体材料(例えば、III-V)などのような、バルク半導体作製プロセスにおいてよく用いられる他のタイプの半導体基板材料とすることができる。別の実施形態では、半導体ウェハ基板は、SOI(シリコン・オン・インシュレータ:silicon-on-insulator)基板、GeOI(ゲルマニウム・オン・インシュレータ:germanium-on-insulator)基板、またはベース基板層(例えば、シリコン基板)と回路コンポーネントを有する活性半導体層(例えば、Si、Geなど)との間に配置された絶縁層(例えば、酸化物層)を備える、他のタイプの半導体オン・インシュレータ基板を備えてよい。
【0016】
基板は、目標用途のための集積回路素子を提供するために半導体ウェハ基板の活性表面中または上に形成された様々な半導体デバイスおよびコンポーネントを含む。例えば、基板は、半導体ウェハ基板の活性表面中または上に形成された、電界効果トランジスタ(FET:field-effect transistor)デバイス(例えば、FinFETデバイス、縦型FETデバイス、プレーナFETデバイスなど)、バイポーラ・トランジスタ、ダイオード、キャパシタ、インダクタ、抵抗、分離デバイスなどを含んでよい。そのうえ、基板102は、FEOL(フロント・エンド・オブ・ライン:front-end-of-line)/MOL(ミドル・オブ・ライン:middle-of-line)層処理の一部であるコンポーネントを含んでよい。
【0017】
植込み型バイオセンサ100は、光信号を発生させて、光信号を細胞構造に向けるための光源も含む。光源は、基板102に対して離隔した関係に置かれた低出力発光ダイオード(LED:light emitting diode)104のアレイを含む。他の例示的な実施形態では、光源は、1つ以上の低出力レーザを含んでよい。植込み型バイオセンサ100は、基板102に対してやはり離隔した関係に置かれた光検出器106のアレイをさらに含む。光検出器106は、細胞構造から反射された光信号を検出するようになっており、この光信号が、以下に考察されるように、光信号のToFに基づいて細胞構造の画像を作成するためのデータを提供することになる。随意的に、光検出器は、基板102上に配列もしくは配置または設立された複数の光センシング画素を有する画素化されたイメージング・アレイを備えてよい。例えば、光検知器106は、相補型金属酸化物半導体(CMOS:complementary-metal-oxide-semiconductor)または電荷結合デバイス(CCD:charge-coupled device)イメージング・センサもしくはデバイスまたは同様のものを備えてよく、すなわち、光検出器106のアレイをCCDアレイまたは光検出器アレイとすることができる。
【0018】
1つ以上の実施形態において、LED104および光検出器106は、他の集積デバイスの処理の必要性に適合するのみならず、体のような、生物環境にも適合する材料を用いて作製される。例示的な実施形態において、LED104および光検出器106は、窒化ガリウム(GaN)材料を用いて作製される。LED104および光検出器106を基板102上に作製するために様々な既知の半導体作製技法が利用されてよい。
【0019】
植込み型バイオセンサ100は、植込み型バイオセンサ100の基板102を被検者の脳内にしっかり留める構造を含むことができる。かかる構造は、
図1に参照数字108として概略的に示されるように、基板102に取り付けられた貫通部材、例えば、ピン、フォークまたは同様のものを含んでよい。生体接着材料の使用を含めて、植込み型バイオセンサ100を固定するための他の方法論も想定される。
【0020】
一般に、被検者の脳の中に一旦植込まれた植込み型バイオセンサ100が作動されて、それによって、LED104が光信号をミリ秒の範囲内のパルス・レートで放出する。代わりに、脳細胞に予想される潜在的な変化割合に依存して、パルス・レートは、いくつかの用途に対して数秒、数分またはさらに数時間であってもよい。波長は、約400(ナノメートル)nm~1200nm、またはさらに1200nm以上に及んでよい。400nm未満の波長は、潜在的に、脳細胞による過剰な光の吸収をもたらしうる。より長い波長は、解像度低下をもたらしうるが、しかし、ミクロン範囲の解像度でも多くの用途にとって有用でありうる。LED104からの光信号が標的脳細胞から反射して、光検出器106によってキャプチャされる。個々のLEDソースまたは複数のソース104からもともと発した、キャプチャされた1つ以上の光信号の、前に決定されたベースラインToFからのいずれかの変化が標的脳細胞の構造における変化を示唆する。
【0021】
図2を次に参照すると、脳の細胞構造(単数または複数)における変化を検出するための植込み型バイオセンサ100の総合システムのフレームワークが示される。1つの例示的な実施形態において、複数のLED104L1、104L2、104L3、・・・104LNおよび光検出器106D1、106D2、106D3、・・・106DNを含む植込み型バイオセンサ100が示される。植込み型バイオセンサ100は、光の送信および受信と関連する様々な機能を行うためにプログラムされたソフトウェアまたはロジックをもつメモリ110、メモリ110に結合された1つ以上のマイクロプロセッサ112、およびリモート・デバイス200との通信を確立するための通信モジュール114をさらに含む。いくつかの例示的な実施形態において、ロジックは、リモート・デバイス200によるさらなる操作のために、個別のLED104L1、104L2、104L3、・・・104LNによって放出された光信号ごとのToFを表すデータを提供する。他の例示的な実施形態では、ロジックがパルス光の放出ごとのToFデータに基づいて細胞構造の画像を形成することが可能であってよい。植込み型バイオセンサ100は、細胞構造における変化を意図的に生じさせるために、例えば、電荷、振動などを脳細胞に付与するためのスティミュレータ116をさらに含んでよい。代わりに、または加えて、スティミュレータ116は、ドーパミン、オキシトシン、セロトニン、もしくはエンドルフィンまたはそれらの組み合わせなどの化学物質の放出を変えることを含めて、脳細胞の機能を変化させるために用いられてもよい。
【0022】
リモート・デバイス200は、植込み型バイオセンサと直接的あるいは間接的に通信するサーバであってよい。サーバは、プロセッサ202とともにメモリ204、および植込み型バイオセンサから受信されたデータに関して追加的な算出を行うことが可能な関連するロジック、ならびに細胞(単数または複数)の構造変化を追跡するために1つ以上の脳細胞の視覚化を提供するためのビジュアル・ディスプレイ206を含んでよい。サーバは、有線または無線送信を介して植込み型バイオセンサの通信モジュール114と通信するための通信モジュール(「COM MOD」)208をさらに含む。
【0023】
図3は、被検者の脳「B」内に植込まれた植込み型バイオセンサ100を示す。例えば、直視下手術を含めて植込み型バイオセンサ100を植込むための様々な方法論が企図される。1つの例示的な実施形態において、植込み型バイオセンサ100は、アクセス・デバイス300を介して植込まれる。アクセス・デバイス300は、植込み型バイオセンサ100を脳「B」上、または少なくとも部分的に脳「B」内に植込むのを容易にするために被検者の脳「B」へのアクセスを提供するように構成される。アクセス・デバイス300は、一旦植込まれると、デバイス300が頭蓋「S」の骨または頭蓋「S」を被う皮膚へ結合できるように、成長促進材料、例えば、幹細胞材料を用いてそれを調製することができる。いくつかの実施形態において、アクセス・デバイス300は、
図2に関連して考察されたリモート・デバイス200であり、従って、1つ以上のコネクタ、プロセッサ、メモリ、および1つ以上の通信コンポーネント、例えば、先に考察されたように、植込み型バイオセンサ100によってキャプチャされたデータの受信および送信を容易にするための無線送信ケイパビリティをそれに設けることができる。例示的な実施形態において、アクセス・デバイス300は、データを植込み型バイオセンサ100からリモート・デバイス200へ送信するためにリモート・デバイス200と通信してよい。
【0024】
アクセス・デバイス300は、外端部304(例えば、上側)および内端部306(例えば、底側)によって囲まれた円筒面302を備える。いくつかの実施形態において、外端部304は、リモート・デバイス200などの外部デバイス(例えば、診断デバイス)への直接または間接(例えば、磁気または無線)接続を行うために用いることができる外部接続(例えば、第1のコネクタ・コンポーネント)を含むか、または画定する。いくつかの実施形態において、内端部306も内部接続を含むか、または画定する。外端部304の接続は、リモート・デバイス200などの外部デバイスとアクセス・デバイス300内部のコンポーネントとの電気的インターフェース(有線か、無線送信を介するかいずれか)を提供するように構成されてよい。
【0025】
アクセス・デバイス300を植込むために、アクセス・デバイス300を頭蓋「S」の骨に結合できるように、アクセス・デバイス300の一部がいずれか適切なデバイス植込み技法を用いて調製される。例えば、植込みの前に、被検者の骨から収集された成長促進材料(例えば、骨組織)をアクセス・デバイス300の一部上に塗って成長させることができる。アクセス・デバイス300のサイズの、開口部を頭蓋「S」の骨の中に形成することができる。その後、開口部に頭蓋アクセス・デバイス300を植込むことができる。植込み後に、骨組織が既存の骨と一体化されて、アクセス・デバイス300と既存の骨との永続的な一体化を生み出す。いくつかの実施形態において、臨床医は、脳の中または上に植込まれた植込み型バイオセンサ100と通信していてよい。アクセス・デバイス300を頭蓋「S」の骨に結合するステップは、データをリトリーブするまたは処置を提供するために医療手順を行う必要なしに頭蓋領域へのアクセスの制限または欠如の問題に対処し、結果として、頭蓋領域に植込まれたデバイスへのより迅速なアクセスを許容して、被検者を処置し、または診断情報をリトリーブするために簡易な技法を用いることを許容できる解決法をもたらす。
【0026】
いくつかの実施形態において、無線技術を用いて、アクセス・デバイス300を植込み型バイオセンサ100へ通信可能に接続することができる。無線技術をアクセス・デバイス300に組み込むことができる。電気パルスを送信し、またはアクセス・デバイス300と植込み型バイオセンサ100との間に通信を確立するために無線技術を用いることができる。アクセス・デバイス300が植込み型バイオセンサ100の機能を作動できることが想定される。例えば、植込み型バイオセンサ100は、振動、電気パルスを発生させ、または診断データを送信するためのコマンドを無線で受信することができる。
【0027】
図4は、体の他の領域に植込まれた植込み型バイオセンサ100の図である。かかる領域は、以下には限定されないが、末梢神経系、腹部、脊髄組織などを含み、これらの領域内でこれらの細胞組織における変化を検出するために考察されるような仕方でそれらを利用することができる。
【0028】
図5は、植込み型バイオセンサ100の1つの例示的な使用のフロー図である。手順が
図5に提示されるステップには限定されないことが分かる。例えば、より多くのまたはより少ないステップが含まれてよく、これらのステップが組み合わされても、または異なる順序で行われてもよい。方法論400は、最初に、植込み型バイオセンサ100を被検者の脳内に植込むステップで始まる。(ステップ402)。考察されたように、植込み型バイオセンサ100は、直視下手術のアプローチを介して植込まれても、またはアクセス・デバイス300を用いて植込まれてもよい。1つの例示的な実施形態において、アクセス・デバイス300が被検者の頭蓋「S」を通して導入されて、下部の標的細胞構造へのアクセスを提供する。植込み型バイオセンサ100がアクセス・デバイス300を通して導入されて、標的細胞構造に植込まれる。その後、植込み型バイオセンサ100は貫通部材108を用いて標的部位に固定され得る。
【0029】
手順は、個々のLED104によって放出された光信号の各々についてのベースラインToF(T0)を確立するためにLED104および光検出器106を活動化することにより細胞の構造のベースラインを確立することによって続けられる。(ステップ404)。ToFに関するデータが植込み型バイオセンサ100のメモリ、無線送信を介してリモート・デバイス200のメモリ204、またはアクセス・デバイス300のメモリに格納される。(ステップ406)。細胞構造の画像が、随意的に、例えば、外部サーバのビジュアル・ディスプレイ上に提供されてよい。(ステップ408)。その後、例えば、植込み型バイオセンサ100の時間間隔(T1...TN)における、個々のLED104および光検出器106のその後の活動化ごとにToFデータがキャプチャされて、メモリに記録される。(ステップ410)。細胞構造における変化を示唆しうるいずれかの変化がデータ中に発生したかどうかを判定するために、ToFデータおよび/またはそれと関連する画像がベースラインToF(T0)の画像またはデータに対して比較される。(ステップ412)。細胞構造(単数または複数)の状況をモニタするために定期的にプロセスが続けられてよい。
【0030】
図6は、植込み型バイオセンサ100の別の例示的な使用を示す別のフローチャートである。
図6に描かれる例示的な方法論500に従って、方法500は、植込み型バイオセンサ100を被検者内に植込むステップを含んでよい。(ステップ502)。植込み型バイオセンサは、光源104のアレイおよび光検出器106のアレイを備える。光信号を被検者中の標的組織部位に向けるために、例えば、LED104の形態の、光源のアレイが活動化される。(ステップ504)。光信号が標的組織、例えば、1つ以上の脳細胞から反射する。反射された光信号が光検出器106によってキャプチャされる。(ステップ506)。個々の光信号の各々についてのToFが算出される。(ステップ508)。標的組織部位における変化の発生を判定するために光信号の各々についてのToFが前に算出されたそれぞれのToFに対して比較される。(ステップ510)。
【0031】
例示的な実施形態は、いずれか可能な技術的に詳細な統合レベルにおけるシステム、方法、および/またはコンピュータ・プログラム製品を含む。コンピュータ・プログラム製品は、本明細書における例示的な実施形態の態様をプロセッサに実施させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有する、(1つもしくは複数の)コンピュータ可読ストレージ媒体を含んでよい。
【0032】
コンピュータ可読ストレージ媒体を命令実行デバイスによる使用のための命令を保持して格納できる有形のデバイスとすることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、例えば、以下には限定されないが、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、または前述のもののいずれか適切な組み合わせであってよい。コンピュータ可読ストレージ媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、リード・オンリ・メモリ(ROM:read-only memory)、消去可能プログラマブル・リード・オンリ・メモリ(EPROM:erasable programmable read-only memoryまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM:static random access memory)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リード・オンリ・メモリ(CD-ROM:compact disc read-only memory)、デジタル多用途ディスク(digital versatile disk)、メモリ・スティック、フレキシブル・ディスク、パンチ・カードもしくはその上に記録された命令を有する溝中の隆起構造のような機械的にコード化されたデバイス、および前述のもののいずれか適切な組み合わせを含む。コンピュータ可読ストレージ媒体は、本明細書では、それ自体が一時的な信号、例えば、電波または他の自由伝搬する電磁波、導波路もしくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、あるいは線を通って伝送される電気信号であると解釈されるべきではない。
【0033】
本明細書に記載されるコンピュータ可読プログラム命令をコンピュータ可読ストレージ媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスへ、あるいはネットワーク、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークおよび/または無線ネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部ストレージ・デバイスへダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイヤウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータおよび/またはエッジ・サーバを備えてよい。各コンピューティング/処理デバイス中のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信して、それらのコンピュータ可読プログラム命令をそれぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体中に格納するために転送する。
【0034】
本明細書に記載される例示的な実施形態のオペレーションを実施するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA:instruction-set-architecture)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路素子のための構成データ、あるいはSmalltalk、C++、または同様のもののようなオブジェクト指向プログラミング言語、ならびに「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語のような、手続き型プログラミング言語を含めて、1つ以上のプログラミング言語のいずれかの組み合わせで書かれたソース・コードまたはオブジェクト・コードのいずれかであってよい。コンピュータ可読プログラム命令は、全体的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンド・アローンのソフトウェア・パッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上かつ部分的にリモート・コンピュータ上で、あるいは全体的にリモート・コンピュータまたはサーバ上で実行してよい。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN:wide area network)を含めて、いずれかのタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータへ接続されてもよく、あるいは(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを用いてインターネットを通して)外部コンピュータへ接続が行われてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、プログラマブル・ロジック回路素子、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field-programmable gate array)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA:programmable logic array)を含む電子回路素子が、本明細書に記載される例示的な実施形態の態様を行うために、電子回路素子をパーソナライズすべくコンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによってコンピュータ可読プログラム命令を実行してよい。
【0035】
例示的な実施形態の態様が例示的な実施形態による方法、装置(システム)、ならびにコンピュータ・プログラム製品のフローチャート説明図および/またはブロック図を参照して本明細書に記載される。フローチャート説明図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート説明図および/またはブロック図におけるブロックの組み合わせをコンピュータ可読プログラム命令によって実装できることが理解されるであろう。
【0036】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行する、それらの命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つもしくは複数のブロックにおいて指定された機能/作用を実装するための手段を生み出すような、マシンを作り出すためにコンピュータ、または他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供されてよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体に格納されてもよく、これらのプログラム命令は、その中に格納された命令を有するコンピュータ可読ストレージ媒体が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つもしくは複数のブロックにおいて指定された機能/作用の態様を実装する命令を含む製造品を備えるような、特定の仕方で機能するようにコンピュータ、プログラマブル・データ処理装置、および/または他のデバイスに命令できる。
【0037】
コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行する命令が、フローチャートおよび/またはブロック図の1つもしくは複数のブロックにおいて指定された機能/作用を実装するような、コンピュータ実装プロセスを作り出すために、一連の動作ステップがコンピュータ、他のプログラマブル装置または他のデバイス上で行われるようにするためにコンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、または他のデバイス上へロードされてもよい。
【0038】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本明細書に記載される様々な例示的な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、およびオペレーションを示す。この点について、フローチャートまたはブロック図中の各ブロックは、指定された論理機能(単数または複数)を実装するための1つ以上の実行可能な命令を備える、モジュール、セグメント、または命令の一部を表してよい。いくつかの代わりの実装では、ブロック中に記された機能が図中に記された順序以外で発生してもよい。例えば、含まれる機能性に依存して、連続して示される2つのブロックが、実際には、1つのステップとして達成されてもよく、同時に、実質的に同時に、部分的または全体的に時間的に重なる仕方で実行されてもよく、または複数のブロックがときには逆の順序で実行されてもよい。ブロック図および/またはフローチャート説明図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート説明図におけるブロックの組み合わせを指定された機能または作用を行う、あるいは専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを実施する専用ハードウェア・ベース・システムによって実装できることにも気付くであろう。
【0039】
1つ以上の実施形態が汎用コンピュータまたはワークステーション上で走るソフトウェアを利用できる。
図7を参照すると、コンピューティング・ノード610には多くの他の汎用もしくは専用コンピューティング・システム環境または構成で使用できるコンピュータ・システム/サーバ612がある。コンピュータ・システム/サーバ612とともに用いるのに適しうるよく知られたコンピューティング・システム、環境、および/または構成の例は、以下には限定されないが、パーソナル・コンピュータ・システム、サーバ・コンピュータ・システム、シン・クライアント、シック・クライアント、ハンドヘルドまたはラップトップ・デバイス、マルチプロセッサ・システム、マイクロプロセッサ・ベース・システム、セット・トップ・ボックス、プログラマブルな民生用電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ・システム、メインフレーム・コンピュータ・システム、モバイルおよびウェアラブル・デバイス、ならびに上記のシステムまたはデバイスのいずれかを含む分散型クラウド・コンピューティング環境、および同様のものを含む。
【0040】
コンピュータ・システム/サーバ612は、コンピュータ・システムによって実行される、プログラム・モジュールのような、コンピュータ・システム実行可能命令の一般的な文脈で記載されてよい。一般に、プログラム・モジュールは、個別のタスクを行い、または個別の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、ロジック、データ構造などを含んでよい。コンピュータ・システム/サーバ612は、通信ネットワークを通してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが行われる分散型クラウド・コンピューティング環境において実施されてよい。分散型クラウド・コンピューティング環境では、プログラム・モジュールがメモリ・ストレージ・デバイスを含めてローカルおよびリモート両方のコンピュータ・システム・ストレージ媒体中に位置してよい。
【0041】
図7に示されるように、コンピューティング・ノード610ではコンピュータ・システム/サーバ612が汎用コンピューティング・デバイスの形態で示される。コンピュータ・システム/サーバ612のコンポーネントは、以下には限定されないが、1つ以上のプロセッサまたは処理ユニット616、システム・メモリ628、およびシステム・メモリ628を含めて様々なシステム・コンポーネントをプロセッサ616へ結合するバス618を含んでよい。
【0042】
バス618は、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、周辺機器用バス、アクセラレイティッド・グラフィックス・ポート、および様々なバス・アーキテクチャのいずれかを用いたプロセッサまたはローカル・バスを含めて、いくつかのタイプのバス構造のいずれか1つ以上を表す。限定ではなく、例として、かかるアーキテクチャは、インダストリ・スタンダード・アーキテクチャ(ISA:Industry Standard Architecture)バス、マイクロ・チャネル・アーキテクチャ(MCA:Micro Channel Architecture)バス、拡張ISA(EISA:Enhanced ISA)バス、ビデオ・エレクトロニクス・スタンダーズ・アソシエーション(VESA:Video Electronics Standards Association)ローカル・バス、およびペリフェラル・コンポーネント・インターコネクツ(PCI:Peripheral Component Interconnects)バスを含む。
【0043】
コンピュータ・システム/サーバ612は、典型的に、様々なコンピュータ・システム可読媒体を含む。かかる媒体は、コンピュータ・システム/サーバ612によってアクセス可能ないずれかの利用可能な媒体であってよく、揮発性および不揮発性媒体、リムーバブルおよびノンリムーバブル媒体の両方を含む。
【0044】
システム・メモリ628は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)630および/またはキャッシュ・メモリ632のような、揮発性メモリの形態のコンピュータ・システム可読媒体を含むことができる。コンピュータ・システム/サーバ612は、他のリムーバブル/ノンリムーバブル、揮発性/不揮発性コンピュータ・システム・ストレージ媒体をさらに含んでよい。単に例として、ノンリムーバブル、不揮発性磁気媒体(示されず、典型的に「ハード・ドライブ」と呼ばれる)から読み出し、それに書き込むためのストレージ・システム634を設けることができる。示されないが、リムーバブル、不揮発性磁気ディスク(例えば、「フレキシブルディスク」)から読み出し、それに書き込むための磁気ディスク・ドライブ、およびCD-ROM、DVD-ROMまたは他の光媒体のようなリムーバブル、不揮発性光ディスクから読み出し、またはそれに書き込むための光ディスク・ドライブを設けることができる。かかる事例では、各々を1つ以上のデータ媒体インターフェースによってバス618へ接続することができる。本明細書に描かれ、記載されるように、メモリ628は、本明細書における例示的な実施形態の、実施形態の機能を実行するように構成された1組の(例えば、少なくとも1つの)プログラム・モジュールを有する、少なくとも1つのプログラム製品を含んでよい。1組の(少なくとも1つの)プログラム・モジュール642を有する、プログラム/ユーティリティ640が限定でなく例として、オペレーティング・システム、1つ以上のアプリケーション・プログラム、他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データと同様に、メモリ628中に格納されてよい。オペレーティング・システム、1つ以上のアプリケーション・プログラム、他のプログラム・モジュール、およびプログラム・データの各々、またはそれらの何らかの組み合わせがネットワーキング環境の実装を含んでよい。プログラム・モジュール642は、一般に、本明細書に記載されるような例示的な実施形態の、実施形態の機能および/または方法論を実施する。
【0045】
コンピュータ・システム/サーバ612は、キーボード、ポインティング・デバイス、ディスプレイ624などのような1つ以上の外部デバイス614、ユーザがコンピュータ・システム/サーバ612とインタラクトすることを可能にする1つ以上のデバイス、および/またはコンピュータ・システム/サーバ612が1つ以上の他のコンピューティング・デバイスと通信することを可能にするいずれかのデバイス(例えば、ネットワーク・カード、モデムなど)と通信してもよい。かかる通信は、I/Oインターフェース622を介して発生することができる。さらにまた、コンピュータ・システム/サーバ612は、ネットワーク・アダプタ620を介して、1つ以上のネットワーク、例えば、LAN、一般的なWAN、および/または公衆ネットワーク(例えば、インターネット)と通信することができる。描かれるように、ネットワーク・アダプタ620は、バス618を介してコンピュータ・システム/サーバ612の他のコンポーネントと通信する。理解されるべきは、示されないが、コンピュータ・システム/サーバ612と併せて他のハードウェアおよび/またはソフトウェア・コンポーネントが用いられうることである。例は、以下には限定されないが、マイクロコード、デバイス・ドライバ、冗長処理ユニット、外部ディスク・ドライブ・アレイ、RAIDシステム、テープ・ドライブ、およびデータ・アーカイブ・ストレージ・システムなどを含む。
【0046】
本開示がクラウド・コンピューティングに関する詳細な記載を含むとはいえ、本明細書に列挙される教示の実装は、クラウド・コンピューティング環境には限定されないことが理解されるべきである。むしろ、現在知られ、または後に開発されるいずれか他のタイプのコンピューティング環境と併せて、例示的な実施形態を実装することが可能である。
【0047】
クラウド・コンピューティングは、最小限の管理努力またはサービスのプロバイダとのインタラクションによって迅速にプロビジョンされ、リリースされることができる、コンフィギュラブルなコンピューティング・リソース(例えば、ネットワーク、ネットワーク・バンド幅、サーバ、処理、メモリ、ストレージ、アプリケーション、仮想マシン、およびサービス)の共有プールへの便利なオンデマンド・ネットワーク・アクセスを可能にするためのサービス配信のモデルである。このクラウド・モデルは、少なくとも5つの特性、少なくとも3つのサービス・モデル、および少なくとも4つのデプロイメント・モデルを含んでよい。
【0048】
特性は、以下の通りである。
【0049】
オンデマンド・セルフサービス:クラウド消費者は、サービスのプロバイダとのヒューマン・インタラクションを必要とすることなく必要に応じて自動的に、サーバ時間およびネットワーク・ストレージのような、コンピューティング・ケイパビリティを一方向的にプロビジョンできる。
【0050】
広範なネットワーク・アクセス:ケイパビリティは、ネットワークを通じて利用可能であり、ヘテロジニアスなシンまたはシック・クライアント・プラットフォーム(例えば、モバイルフォン、ラップトップ、およびPDA)による使用を促進する標準的なメカニズムを通してアクセスされる。
【0051】
リソース・プーリング:プロバイダのコンピューティング・リソースがマルチ・テナント・モデルを用いて複数の消費者にサービスするためにプールされ、種々の物理および仮想リソースが需要に応じて動的に割り当ておよび再割り当てされる。消費者は、一般に、提供されるリソースの正確なロケーションを制御しえず、またはそれについて知識を有さないが、より高い抽象化レベル(例えば、国、州、またはデータセンタ)においてロケーションを指定することが可能でありうるという点でロケーション独立性の意味がある。
【0052】
迅速な弾力性:速やかにスケールアウトし、速やかにスケールインすべく迅速にリリースされるように、ケイパビリティを迅速かつ弾力的に、いくつかのケースでは自動的に、プロビジョンできる。消費者には、プロビジョニングに利用可能なケイパビリティがしばしば無制限であるように見え、それらのケイパビリティをいつでもいかなる量でも購入できる。
【0053】
計測されるサービス:クラウド・システムは、計量ケイパビリティをサービスのタイプ(例えば、ストレージ、処理、バンド幅、およびアクティブなユーザ・アカウント)に適した何らかの抽象化レベルで活用することによって、リソース使用を自動的に制御し、最適化する。リソース使用法をモニタ、制御、および報告して、利用されるサービスのプロバイダおよび消費者の両方にトランスペアレンシーを提供することができる。
【0054】
サービス・モデルは、以下の通りである。
【0055】
ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS:Software as a Service):消費者に提供されるケイパビリティは、クラウド・インフラストラクチャ上で走るプロバイダのアプリケーションを用いることである。アプリケーションは、webブラウザ(例えば、webベースe-mail)などのシン・クライアント・インターフェースを通して様々なクライアント・デバイスからアクセス可能である。消費者は、限られたユーザ特有のアプリケーション構成設定をありうる例外として、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、ストレージ、またはさらに個々のアプリケーション・ケイパビリティも含めて基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理または制御しない。
【0056】
プラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS:Platform as a Service):消費者に提供されるケイパビリティは、プロバイダによってサポートされるプログラム・コード言語およびツールを用いて作成された消費者作成または取得アプリケーションをクラウド・インフラストラクチャ上へデプロイすることである。消費者は、ネットワーク、サーバ、オペレーティング・システム、またはストレージを含む基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理または制御しないが、デプロイされたアプリケーション、および場合によってはアプリケーションをホスティングする環境構成を制御する。
【0057】
インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス(IaaS:Infrastructure as a Service):消費者に提供されるケイパビリティは、オペレーティング・システムおよびアプリケーションを含むことができる、任意のソフトウェアを消費者がデプロイして、走らせることが可能な処理、ストレージ、ネットワーク、および他の基本的なコンピューティング・リソースをプロビジョンすることである。消費者は、基礎をなすクラウド・インフラストラクチャを管理または制御しないが、オペレーティング・システム、ストレージ、デプロイされたアプリケーションを制御し、場合によっては選ばれたネットワーキング・コンポーネント(例えば、ホスト・ファイアウォール)の限られた制御を行う。
【0058】
デプロイメント・モデルは、以下の通りである。
【0059】
プライベート・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、専らある組織のために運用される。クラウド・インフラストラクチャは、その組織またはサード・パーティによって管理されてよく、オン・プレミスまたはオフ・プレミスに存在してよい。
【0060】
コミュニティ・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、いくつかの組織によって共有され、共通の関心(例えば、ミッション、セキュリティ要件、ポリシー、およびコンプライアンス考慮事項)を有する特定のコミュニティをサポートする。クラウド・インフラストラクチャは、それらの組織またはサード・パーティによって管理されてよく、オン・プレミスまたはオフ・プレミスに存在してよい。
【0061】
パブリック・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、一般の人々または大規模業界団体に利用可能にされて、クラウド・サービスを販売する組織によって所有される。
【0062】
ハイブリッド・クラウド:クラウド・インフラストラクチャは、固有エンティティのままであるが、データおよびアプリケーション・ポータビリティを可能にする標準化され、またはプロプライエタリな技術(例えば、クラウド間の負荷バランシングのためのクラウド・バースティング)によって一緒にまとめられた2つ以上のクラウド(プライベート、コミュニティ、またはパブリック)の合成体である。
【0063】
クラウド・コンピューティング環境は、ステートレス、疎結合、モジュール性、およびセマンティック・インターオペラビリティに焦点を絞ったサービス指向型である。クラウド・コンピューティングの核心にあるのは、相互接続されたノードのネットワークを含むインフラストラクチャである。
【0064】
図8を次に参照すると、例示的なクラウド・コンピューティング環境750が描かれる。示されるように、クラウド・コンピューティング環境750は、例えば、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)または携帯電話754A、デスクトップ・コンピュータ754B、ラップトップ・コンピュータ754C、および/または自動車コンピュータ・システム754Nのような、クラウド消費者によって用いられるローカル・コンピューティング・デバイスがそれと通信してよい、1つ以上のクラウド・コンピューティング・ノード710を含む。ノード710は、互いに通信してよい。それらのノードは、先に記載されたプライベート、コミュニティ、パブリック、もしくはハイブリッド・クラウド、またはそれらの組み合わせのような、1つ以上のネットワークに、物理的または仮想的にグループ分けされてよい(示されない)。これは、クラウド消費者がリソースをそのためにローカル・コンピューティング・デバイス上に維持する必要がないサービスとして、クラウド・コンピューティング環境750が、インフラストラクチャ、プラットフォームもしくはソフトウェアまたそれらの組み合わせを供することを許容する。理解されるのは、
図8に示されるタイプのコンピューティング・デバイス754A~Nが、例示的であるに過ぎないことが意図され、コンピューティング・ノード710およびクラウド・コンピューティング環境750が、いずれかのタイプのネットワークもしくはネットワーク・アドレス可能な接続またはその組み合わせを通じて(例えば、webブラウザを用いて)、いずれかのタイプのコンピュータ化デバイスと通信できることである。
【0065】
図9を次に参照すると、クラウド・コンピューティング環境750(
図8)によって提供される1組の機能抽象化層が示される。予め理解されるべきは、
図9に示されるコンポーネント、層、および機能が、例示的であるに過ぎないことが意図され、実施形態がそれらには限定されないことである。描かれるように、以下の層および対応する機能が提供される。
【0066】
ハードウェアおよびソフトウェア層860は、ハードウェアおよびソフトウェア・コンポーネントを含む。ハードウェア・コンポーネントの例は、メインフレーム861、RISC(縮小命令セット・コンピュータ:Reduced Instruction Set Computer)アーキテクチャ・ベース・サーバ862、サーバ863、ブレード・サーバ864、ストレージ・デバイス865、ならびにネットワークおよびネットワーキング・コンポーネント866を含む。いくつかの実施形態において、ソフトウェア・コンポーネントは、ネットワーク・アプリケーション・サーバ・ソフトウェア867およびデータベース・ソフトウェア868を含む。
【0067】
仮想化層870は、仮想エンティティの以下の例、すなわち、仮想サーバ871、仮想ストレージ872、仮想プライベート・ネットワークを含めて、仮想ネットワーク873、仮想アプリケーションおよびオペレーティング・システム874、ならびに仮想クライアント875がそれから提供されてよい、抽象化層を提供する。
【0068】
一例において、管理層880は、以下に記載される機能を提供してよい。リソース・プロビジョニング881は、コンピューティング・リソースおよびクラウド・コンピューティング環境内でタスクを行うために利用される他のリソースの動的な調達を提供する。計量および料金設定882は、リソースがクラウド・コンピューティング環境内で利用されるにつれてのコスト追跡、およびこれらのリソースの消費に対する課金または代金請求を提供する。一例において、これらのリソースは、アプリケーション・ソフトウェア・ライセンスを含んでよい。セキュリティは、クラウド消費者およびタスクについてのアイデンティティ検証、ならびにデータおよび他のリソースのための保護を提供する。ユーザ・ポータル883は、消費者およびシステム・アドミニストレータのためにクラウド・コンピューティング環境へのアクセスを提供する。サービス・レベル管理884は、必要とされるサービス・レベルが満たされるようにクラウド・コンピューティング・リソース割り当ておよび管理を提供する。サービス・レベル・アグリーメント(SLA:Service Level Agreement)計画および履行885は、それらについての将来の必要性がSLAに従って予期される、クラウド・コンピューティング・リソースのための事前配置およびその調達を提供する。
【0069】
ワークロード層890は、クラウド・コンピューティング環境がそのために利用されてよい機能性の例を提供する。ワークロード層890から提供されてよいワークロードおよび機能の例は、データ・アナリティクス処理891、植込み型バイオセンサを活動化するステップ892、1つ以上の細胞構造についてのベースラインToFを確立するステップ893、1つ以上の細胞構造についてのその後のToFを算出するステップ894、その後のToFをベースラインToFに対して比較するステップ895、および本明細書に記載される方法論および技法を用いて細胞組織における変化の判定を行うステップ896を含む。
【0070】
様々な例示的な実施形態の記載が説明のために提示されたが、それらが網羅的であること、または開示される実施形態に限定されることも意図されない。記載される実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者には明らかであろう。本明細書に用いられる用語法は、実施形態の原理、実用用途、または市場に見られる技術を超える技術的改良を最もよく説明するため、あるいは本明細書に開示される実施形態を他の当業者が理解することを可能にするために選ばれた。