(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】歯科診断機能を有する口腔内スキャナ
(51)【国際特許分類】
A61B 1/24 20060101AFI20240126BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240126BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
A61B1/24
A61B1/00 512
A61B1/045 610
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022018422
(22)【出願日】2022-02-09
(62)【分割の表示】P 2019503915の分割
【原出願日】2017-07-27
【審査請求日】2022-03-08
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501214845
【氏名又は名称】アライン テクノロジー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Align Technology,Inc.
【住所又は居所原語表記】2820 Orchard Parkway San Jose CA 95134 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】エルバズ,ギラド
(72)【発明者】
【氏名】ランパート,エレズ
(72)【発明者】
【氏名】アチヤ,ヨッセフ
(72)【発明者】
【氏名】コペルマン,アヴィ
(72)【発明者】
【氏名】サファイアー,オファー
(72)【発明者】
【氏名】モシェ,マアヤン
(72)【発明者】
【氏名】アヤル,シャイ
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-165831(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0102566(US,A1)
【文献】国際公開第2016/029383(WO,A1)
【文献】特表2012-530267(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0122051(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/24
A61B 1/00
A61B 1/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔内スキャンシステムであって、
近赤外線および可視光を検出するセンサで動作するように構成された手持ち式ワンド;および
前記手持ち式ワンドに動作可能に接続された1つ以上のプロセッサとを備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
可視光源からの可視光の投射を制御するステップと、
近赤外光源からの第1の偏光における近赤外光の投射を制御するステップと、
前記センサが可視光情報を受信する、第1の継続時間にわたって第1のモダリティで可視光を捕捉するステップ
であって、前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティで前記可視光が捕捉されると、前記可視光情報から3次元(3D)表面モデルを生成する、当該捕捉するステップと、
前記第1の偏光における近赤外光をフィルタリングすることによって鏡面反射を除去するためのフィルタリングを行いながら、第2の継続時間にわたって第2のモダリティで近赤外光を捕捉することにより、近赤外情報から被験者の歯の内部領域の1つ以上の2次元(2D)画像を捕捉するように前記センサが前記近赤外情報を受け取るステップであって、前記第2の継続時間が前記1つ以上の2D画像の内部構造を決定するように構成され
ており、前記近赤外光が前記3D表面モデルの生成と同時に捕捉される、当該受け取るステップと、
前記被験者の歯の前記内部領域の前記1つ以上の2D画像と、前記被験者の歯の前記3D表面モデルを出力するステップと、
を実行するように構成されている、
口腔内スキャンシステム。
【請求項2】
前記手持ち式ワンドの前記センサ上に、偏光フィルタをさらに備え、前記偏光フィルタは、前記第1の偏光とは異なる第2の偏光の光をフィルタリングするように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記手持ち式ワンドの窓の上に、可視光及び近赤外線を、前記センサによって捕捉される前に通過させる、4分の1波長板をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
遠位端領域に窓を有する前記手持ち式ワンドの遠位端の上に置かれるように構成されたスリーブをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記スリーブが、前記スリーブの遠位端の両側に延びる一対のウィングを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ウィングの少なくとも1つが、前記近赤外光源を収容する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記スリーブが、前記手持ち式ワンドと電気的に接触するように構成されており、前記手持ち式ワンドが、前記スリーブ上の1つ以上の光源に電力を供給する、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記スリーブが、前記近赤外光源をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記スリーブが、前記可視光源をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉の間を
繰り返し切り換えるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と、前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉と、第3のモダリティでの光の捕捉の間を
繰り返し切り換えるように構成されており、前記第3のモダリティが、浸透性モダリティ又は非浸透性モダリティである、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
近赤外光源をさらに備え、前記近赤外光源が、小角度反射を検出するための近赤外光用のセンサに対して位置決めされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティと前記第2のモダリティとの間を切り換えることによって、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉との間を200ミリ秒以内に
繰り返し切り換えるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上のプロセッサが、前記近赤外光源と前記可視光源との間を切り換えることによって、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉との間を200ミリ秒以内に
繰り返し切り換えるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記1つ以上のプロセッサが、前記3D表面モデルと前記被験者の歯の前記内部領域の前記1つ以上の2D画像とを同時に表示するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
口腔内スキャンシステムであって、
近赤外線および可視光を検出するセンサで動作するように構成された手持ち式ワンドと、
可視光源と、
近赤外光源と、
前記手持ち式ワンドに動作可能に接続された1つ以上のプロセッサとを備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
前記可視光源からの可視光の投射を制御するステップと、
前記近赤外光源からの第1の偏光における近赤外光の投射を制御するステップと、
前記センサが可視光情報を受信する、第1の継続時間にわたって第1のモダリティで可視光を捕捉するステップ
であって、前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティで前記可視光が捕捉されると、前記可視光情報から3次元(3D)表面モデルを生成する、当該捕捉するステップと、
前記第1の偏光における近赤外光をフィルタリングすることによって鏡面反射を除去するためのフィルタリングを行いながら、第2の継続時間にわたって第2のモダリティで近赤外光を捕捉することにより、近赤外情報から被験者の歯の内部領域の1つ以上の2次元(2D)画像を捕捉するように前記センサが前記近赤外情報を受け取るステップであって、前記第2の継続時間が前記1つ以上の2D画像の内部構造を決定するように構成され
ており、前記近赤外光が前記3D表面モデルの生成と同時に捕捉される、当該受け取るステップと、
前記被験者の歯の前記内部領域の前記1つ以上の2D画像と、前記被験者の歯の前記3D表面モデルを出力するステップと、
を実行するように構成されている、
口腔内スキャンシステム。
【請求項17】
前記手持ち式ワンドの前記センサ上に、偏光フィルタをさらに備え、前記偏光フィルタは、前記第1の偏光とは異なる第2の偏光の光をフィルタリングするように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記手持ち式ワンドの窓の上に、可視光及び近赤外線を、前記センサによって捕捉される前に通過させる、4分の1波長板をさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
遠位端領域に窓を有する前記手持ち式ワンドの遠位端の上に置かれるように構成されたスリーブをさらに備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉との間を
繰り返し切り換えるように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と、前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉と、第3のモダリティでの光の捕捉の間を
繰り返し切り換えるように構成されており、前記第3のモダリティが、浸透性モダリティ又は非浸透性モダリティである、請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記近赤外光源が、小角度反射を検出するための前記センサに対して位置決めされている、請求項16に記載のシステム。
【請求項23】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティと前記第2のモダリティとの間を切り換えることによって、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉との間を200ミリ秒以内に
繰り返し切り換えるように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つ以上のプロセッサが、前記近赤外光源と前記可視光源との間を切り換えることによって、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉との間を200ミリ秒以内に
繰り返し切り換えるように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項25】
口腔内スキャンシステムであって、
近赤外線を検出すると共に可視光を検出するセンサを備える手持ち式ワンドと、
前記手持ち式ワンドに動作可能に接続された1つ以上のプロセッサとを備え、
前記1つ以上のプロセッサは、
可視光源からの可視光の投射を制御するステップと、
近赤外光源からの第1の偏光における近赤外光の投射を制御するステップと、
前記1つ以上のセンサが可視光情報を受信する、第1の継続時間にわたって第1のモダリティで可視光を捕捉するステップ
であって、前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティで前記可視光が捕捉されると、前記可視光情報から3次元(3D)表面モデルを生成する、当該捕捉するステップと、
前記第1の偏光における近赤外光をフィルタリングすることによって鏡面反射を除去するためのフィルタリングを行いながら、第2の継続時間にわたって第2のモダリティで近赤外光を捕捉することにより、近赤外情報から被験者の歯の内部領域の1つ以上の2次元(2D)画像を捕捉するように前記センサが前記近赤外情報を受け取るステップであり、前記第2の継続時間が前記1つ以上の2D画像の内部構造を決定するように構成されている、ステップであって、
ここで、前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉との間を
繰り返し切り換えることによって、前記近赤外光を捕捉しながら前記3D表面モデルを同時に生成するように構成されており、前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティと前記第2のモダリティの両方で歯のほぼ同じ領域がスキャンされるように、前記第1のモダリティと前記第2のモダリティとの間を迅速に
繰り返し切り換え、前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティと前記第2のモダリティとの間を切り換えることによって、前記第1のモダリティにおける捕捉と前記第2のモダリティにおける捕捉との間を200ミリ秒以内に
繰り返し切り換えるように構成されている、ステップと、
前記被験者の歯の前記内部領域の前記1つ以上の2D画像と、前記被験者の歯の前記3D表面モデルを出力するステップと、
を実行するように構成されている、
口腔内スキャンシステム。
【請求項26】
遠位端領域に窓を有する前記手持ち式ワンドの遠位端の上に置かれるように構成されたスリーブをさらに備える、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記スリーブが、前記スリーブの遠位端の両側に延びる一対のウィングを備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記ウィングの少なくとも1つが、前記近赤外光源を収容する、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記スリーブが、前記手持ち式ワンドと電気的に接触するように構成されており、前記手持ち式ワンドが、前記スリーブ上の1つ以上の光源に電力を供給する、請求項26に記載のシステム。
【請求項30】
前記スリーブが、前記近赤外光源をさらに備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項31】
前記スリーブが、前記可視光源をさらに備える、請求項26に記載のシステム。
【請求項32】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉との間を
繰り返し切り換えるように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項33】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1のモダリティでの可視光の捕捉と、前記第2のモダリティでの近赤外光の捕捉と、第3のモダリティでの光の捕捉の間を
繰り返し切り換えるように構成されており、前記第3のモダリティが、浸透性モダリティ又は非浸透性モダリティである、請求項25に記載のシステム。
【請求項34】
近赤外光源をさらに備え、前記近赤外光源が、小角度反射を検出するための前記センサに対して位置決めされている、請求項25に記載のシステム。
【請求項35】
前記近赤外光源が、0~15度の間の小角度反射を検出するための前記センサに対して位置決めされている、請求項25に記載のシステム。
【請求項36】
前記1つ以上のプロセッサが、前記3D表面モデルと前記被験者の歯の前記内部領域の前記1つ以上の2D画像とを同時に表示するように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2016年7月27日に出願された米国特許仮出願第62/367,607号、件名「歯科診断機能を有する口腔内スキャナ(INTRAORAL SCANNER WITH DENTAL DIAGNOSTICS CAPABILITIES)」、2017年3月27日に出願された米国特許仮出願第62/477,387号、件名「歯科診断機能を有する口腔内スキャナ(INTRAORAL SCANNER WITH DENTAL DIAGNOSTICS CAPABILITIES)」、及び2017年6月9日に出願された米国特許仮出願第62/517,467号、件名「物体のボリュメトリックモデルを形成する最小値リフティング(MINIMAL VALUE LIFTING TO FORM A VOLUMETRIC MODEL OF AN OBJECT)」のそれぞれの優先権を主張するものである。これらのそれぞれは、参照によってその全内容が本明細書に組み込まれている。
文献の引用
【0002】
本明細書中において言及される全ての刊行物及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が参照により具体的且つ個別に示されて組み込まれる場合と同程度に、参照により全内容が本明細書に組み込まれる。
【0003】
本明細書に記載の方法及び装置は光学式スキャナに関してよく、特に、物体の3次元表現を生成する光学式スキャナに関してよい。具体的には、本明細書では、診断、治療、長期的追跡、歯の計測、及び歯のカリエスや亀裂の検出の為に口腔内をスキャン(3Dスキャンを含む)して分析することに有用でありうる方法及び装置について説明する。これらの方法及び装置は、歯の内部構造のボリュメトリックモデルを生成してよく、且つ/又はカラースキャンを含んでよい。
【背景技術】
【0004】
多くの歯科処置及び歯列矯正処置には、患者の歯牙状の構造及び口腔内の正確な3次元(3D)描写が役立ちうる。特に、歯の表面及び内部構造の両方(エナメル質及び象牙質、並びにカリエスを含む)の3次元描画、並びに歯のボリュームの大まかな内部組成を提供することが有用であろう。歯の3D表面の表面表現だけでも、歯科補綴物(例えば、クラウンやブリッジ)の設計及び製作、並びに治療計画に非常に有用であることがわかっているが、エナメル質及び下層の象牙質におけるカリエスや亀裂の成長を含む内部構造を画像化できれば非常に有用であろうし、特に表面トポグラフィマッピングと併用すれば非常に有用であろう。
【0005】
歴史的には、歯の内部の画像化には、イオン化放射線(例えば、X線)が使用されてきた。例えば、歯の内部の非定量的な画像を取得する場合には、咬翼X線写真が使用されることが多い。しかしながら、そのような画像は、イオン化放射線のリスクに加えて、典型的には形状を示す能力に限界があり、取得する為の処置に時間とコストがかかる可能性がある。他の手法、例えば、円錐ビームコンピュータ断層撮影(CBCT)であれば断層撮影画像を提供できるが、やはりイオン化放射線が必要である。
【0006】
そこで、非イオン化放射線を使用して、被験者の1つ以上の歯をモデル化し、外部(表面)及び内部(エナメル質及び象牙質の中)の両方の構造及び組成を包含することに使用可能な(デバイス及びシステム(例えば、口腔内スキャンシステム)を含む)方法及び装置を提供することが有用であろう。被験者の歯のモデルは、3Dボリュメトリックモデル又はパノラマ画像であってよい。特に、この機能を単一装置で提供できる方法及び装置を提供することが有用であろう。患者の口腔内をスキャンすること、及び/又は歯のカリエスの識別及び分析を自動化することの為の改良された方法及びシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
全般的には、本明細書では、歯の外部構造及び/又は内部構造の両方をスキャンする方法及び装置(例えば、デバイス及びシステム)について記載している。これらの方法及び装置は、表面トポグラフィ形状及び内部形状(例えば、象牙質、歯科充填物、亀裂、及び/又はカリエス)の両方を含む、被験者の歯のモデルを生成することが可能である。これらの装置はいずれも、被験者の口腔の内部又は周囲をスキャンする口腔内スキャナを含んでよく、この口腔内スキャナは、2つ以上のスペクトル範囲、即ち、表面形状を照明するスペクトル範囲(例えば、可視光)、及び浸透性のスペクトル範囲(例えば、赤外範囲、及び特に「近赤外」(850nmを含み、これに限定されない)で照明することが可能な1つ以上の光源を備える。スキャン装置は更に、発光された光を検出する1つ以上のセンサと、1つ以上のプロセッサとを含んでよく、これらのプロセッサは、スキャンの動作を制御することと、第1のスペクトル範囲及び第2のスペクトル範囲の両方で受け取られた光を分析して、歯の表面と(エナメル質及び象牙質の中を含む)歯の中の形状とを含む、被験者の歯のモデルを生成することと、を行う。生成されるモデルは、3Dボリュメトリックモデル又はパノラマ画像であってよい。
【0009】
本明細書では、ボリュメトリックモデルは、物体の3次元の仮想表現を包含してよく、そこでは内部領域(構造等)が、物理的な3次元のボリューム内で、モデル化される物体の他の内部形状及び表面形状との比例関係及び相対関係において配置されている。例えば、歯のボリュメトリック表現は、歯に対して比例的に配置される外部表面並びに歯の中の(歯の表面下の)内部構造を含んでよく、これによって、ボリュメトリックモデルの断面が、内部構造の位置及びサイズを示す歯の断面にほぼ一致し、ボリュメトリックモデルは、いずれの(例えば、任意の)方向からの断面であってもよく、モデル化される物体の等価な断面に相当してよい。ボリュメトリックモデルは、電子的又は物理的であってよい。物理的なボリュメトリックモデルは、例えば、3D印刷等によって形成されてよい。本明細書に記載のボリュメトリックモデルは、ボリューム内部に完全に延びてよく(例えば、ボリューム(例えば、歯のボリューム)全体にわたって延びてよく)、或いは、ボリューム内部に部分的に延びてよい(例えば、ある最小深度(例えば、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、12mm等)にわたって、モデル化されるボリュームの内部に延びてよい)。
【0010】
本明細書に記載の方法は、典型的には、被験者の歯のモデルを生成する方法を含み、この方法は、典型的には、表面形状及び内部形状の両方を含む、歯の3Dモデル又はレンダリングを生成する。内部構造を画像化及び/又は検出する非イオン化方法が用いられてよく、例えば、1つ以上の浸透性スペクトル範囲(波長)を使用して歯の中の構造を照明して浸透波長による画像を取得することにより歯の中の構造を観察することが行われてよく、これは、徹照(一方の側から照明し、物体を通過した後に、反対側から光を捕捉する)を用いること、及び/又は小角度浸透画像化(例えば、反射画像化。浸透波長で照明したときに内部構造から反射/散乱した光を捕捉する)を用いることを含む。特に、同じ相対位置から複数の浸透画像が取得されてよい。発光器の照明方向と検出器(例えば、カメラ)の視野角との間の角度が90度又は180度である従来の浸透画像化手法(例えば、徹照)が用いられてよいが、本明細書では又、その角度が格段に小さい(例えば、0~25度、0~20度、0~15度、0~10度等である)方法及び装置についても記載している。角度が小さいほど(例えば、0~15°)、照明(光源)と検知(検出器(例えば、カメラ等))とが互いに近接できることから特に有利である可能性があり、又、口腔内スキャナ用スキャンワンドを患者の歯の周囲でより容易に配置したり動かしたりできる。このような小角度浸透画像及び画像化手法を、本明細書では、反射照明及び/又は画像化、或いは反射/散乱画像化と称することもある。一般に、浸透画像化は、特に断らない限り、徹照、小角度浸透画像化等を含む、任意のしかるべきタイプの浸透画像化を意味してよい。しかしながら、小角度は、内部構造を不明瞭にしうる、物体(例えば、歯)の表面からの直接反射を引き起こす可能性もある。
【0011】
本明細書に記載の方法及び装置は、表面形状及び内部形状の両方を別々に、しかし同時に(又はほぼ同時に)検出するように適合された口腔内スキャナを使用することにより、1つ以上の歯の3D表面モデルと、浸透画像化を用いることによって検出可能な損傷(カリエス、亀裂等)のような画像化された内部形状とを組み合わせることにおいて特に有効である。表面スキャンと浸透画像化とを組み合わせることは、これらの異なるモダリティを、両者が同じ座標系を使用することを可能にするように交番させるか切り換えることによって実施可能である。代替として、表面スキャンと浸透スキャンは同時に観察されてよく、これは、例えば、画像化波長を選択的にフィルタリングして赤外光(近赤外光)を可視光と分離することによって行われてよい。3D表面データは、従って、内部構造にとって重要な基準及び角度情報を提供することが可能であり、他の方法では解釈が困難又は不可能である可能性がある浸透画像の解釈及び分析を可能にしうる。
【0012】
例えば、本明細書では、被験者の歯のモデルを生成する方法について記載しており、この方法は、口腔内スキャナを使用して被験者の歯の少なくとも一部分の3次元(3D)表面モデルデータを捕捉するステップと、口腔内スキャナで近赤外波長を使用して歯の内部の複数の画像を取得するステップと、3D表面モデルデータ及び複数の画像を使用して、内部形状を含む、歯の3Dモデルを形成するステップと、を含む。
【0013】
被験者の歯のモデルを生成する一方法は、第1の画像化モダリティで動作する口腔内スキャナで被験者の歯の少なくとも一部分の3次元(3D)表面モデルデータを捕捉するステップであって、3D表面モデルデータは第1の座標系を有する、上記捕捉するステップと、浸透波長を使用する第2のモダリティで動作する口腔内スキャナで歯の内部の複数の画像を取得するステップであって、複数の画像は第1の座標系を基準とする、上記取得するステップと、3D表面モデルデータ及び複数の画像を使用して、内部構造を含む、歯の3Dモデルを形成するステップと、を含んでよい。一般に、第1の波長を捕捉することによって、必ずしも画像が捕捉されないが、3D表面スキャンが直接捕捉されることが可能である。第2の浸透モダリティは、本明細書に記載のように処理される画像として捕捉されてよい。
【0014】
一般に、3D表面モデルデータを捕捉することは、任意の適切な方法で3D表面トポロジを特定することを含んでよい。例えば、3D表面トポロジを特定することは、共焦点フォーカシングを用いることを含んでよい。3D表面モデルデータを捕捉することは、共焦点スキャン、立体視、又は構造化光三角測量のうちの1つ以上を用いることを含んでよい。
【0015】
本明細書に記載の方法及び装置はいずれも、単一の歯又は歯の領域、複数の歯、歯及び歯肉、又は他の口腔内構造の3D画像を、特に被験者の口内からモデル化、画像化、及び/又はレンダリングする為に用いられてよい。
【0016】
一般に、これらを実施する為の、本明細書に記載の方法及び装置は、3Dカラー口腔内スキャン/スキャナを含む。例えば、これらの方法は、カラー口腔内3Dデータを捕捉することを含んでよい。
【0017】
後で詳述されるように、本方法及び本装置は、表面データの収集と浸透画像化(浸透性)データの収集との切り換えを制御することが可能である。例えば、これらの方法はいずれも、(例えば、第1の画像化モダリティと第2の(浸透性)画像化モダリティとを切り換えることによって)3D表面モデルデータが捕捉されているときに、浸透波長を使用して画像を取得することを含んでよい。
【0018】
表面形状データ及び内部形状データの収集には同じセンサが使用されてよく、異なるセンサが使用されてもよい。例えば、複数の画像を取得することは、口腔内スキャナ上の同じセンサを使用して、3D表面モデルデータと、浸透波長による複数の画像とを捕捉することを含んでよい。代替として、別個の1つ以上のセンサが使用されてよい。
【0019】
上述のように、浸透波長(又は浸透性スペクトル範囲)を使用して歯の画像を取得することは、照明源とセンサ(例えば、検出器又はカメラ)との間の任意の角度で浸透画像を取得することを含んでよい。特に、内部形状(例えば、反射画像化)データは、小角度構成を使用して画像化されてよく、この場合、1つ、又は好ましくは2つ以上の浸透画像が、1つ以上の歯に対して相対的な様々な向きで取得される。例えば、複数の画像を取得することは、1つ以上の歯の内部組成から反射される、歯からの照明を受光するセンサ(例えば、検出器、カメラ等)に対して0°から15°の角度で歯を照明することを含んでよい。複数の画像(例えば、これらの小角度浸透画像のような浸透画像)を取得することは、一般に、歯の同じ領域にわたって、歯に対して相対的な口腔内スキャナの様々な角度で1つ以上の(例えば、2つ以上、3つ以上等を含む複数の)浸透画像を取得することを含む。従って、歯の同じ内部領域は、様々な角度からの異なる複数のスキャンで表示される。
【0020】
一般に、口腔内スキャナ(例えば、口腔内スキャナのワンド)上には、任意の数のセンサが含まれてよい。しかるべきスペクトル範囲(の、例えば、光)を検出して記録する為に、任意の適切なセンサが使用されてよい。センサは、検出器、カメラ等を意味してよく、これらを含んでよい。例えば、複数の画像を取得することは、口腔内スキャナ上の複数のセンサを使用して、浸透波長を使用して複数の画像を捕捉することを含んでよい。
【0021】
浸透画像の取得に使用される照明は、一般に浸透性であり、従って、歯のエナメル質及び象牙質の少なくとも一部分に浸透したり、これを貫通したりすることが可能である。浸透波長の光は、主に赤外光(特に近赤外光)を含んでよい。例えば、700~1090nmの範囲(例えば、850nm)の光が使用されてよい。可視スペクトルより短い波長を含む、他の波長又は波長範囲も使用されてよい。従って、複数の画像を取得することは、赤外光で歯を照明することを含んでよい。複数の画像(例えば、浸透画像)を取得することは、白色光(白色光徹照を含み、これに限定されない)、UV/青色蛍光、及び赤色光蛍光のうちの1つ以上で歯を照明することを含んでよい。
【0022】
浸透画像の取得に用いられる照明は、歯の内部領域(例えば、点又はボクセル)がわずかなカメラ位置及び方位からのみ可視でありうるという意味では半浸透性であると見なすことができる。即ち、その点は、視野内にボリューム点を含む幾つかの画像では他の構造によって視界を遮られる可能性がある。その意味では、視野内にボリューム点を含む画像は、このボリューム点を画像化できない。従って、本明細書に記載の方法及び装置は、マスキングが発生しないX線画像化を用いる他の浸透スキャン手法(例えば、CT)と異なり、ボリューム点の高マスキングを考慮することが可能である。
【0023】
一般に、表面構造と、浸透画像化によって得られる内部構造と(の組み合わせ)を含む歯の3Dモデルを形成する為には、任意の適切な手法が用いられてよい。これらの3Dモデルは、組み合わされた3D表面/ボリュームモデル、3Dボリュメトリック表面モデル、又は単に「3Dモデル」等のように称されてよい。上述のように、表面データ及び浸透画像化データの両方が一般には同じ座標系にあってよい。両者は、共通座標系を使用することによって組み合わされてよい。変形形態によっては、表面データは、表面モデルとこのモデルに追加された内部形状として表されてよい。変形形態によっては、このデータは、同時に(合算後に)3次元モデルに再構築されてよい。一方又は両方のデータセットが別々に修正されてよい(例えば、フィルタリング、減算等が行われてよい)。例えば、内部構造を含む歯の3Dモデルを形成することは、3D表面モデルデータと(ボリュメトリックデータを含む)内部構造データとを組み合わせることを含んでよい。内部構造を含む歯の3Dモデルを形成することは、その複数の浸透画像を組み合わせることを含んでよく、その複数の浸透画像は、口腔内スキャナを使用して様々な角度から取得されてよい。
【0024】
本明細書に記載のこれらの方法を実施するように構成された方法及び装置のいずれにおいても、データは、システムによって自動的に、又は手動で分析されてよい。特に、本明細書に記載の方法及び装置は、内部形状を調べること、及び/又は、亀裂及びカリエスを含む関心形状を識別することを含んでよい。形状の認識は、形状認識条件(例えば、浸透画像内の暗い領域又は明るい領域)、パターン認識、機械学習等に基づいて行われてよい。形状には、色分け、ラベル付け等を含むマーキングが行われてよい。形状のマーキングは、3Dモデルにおいて、又は浸透画像上で、又は、本明細書に記載の方法及び装置によって形成される歯の3Dモデルを基準とする(例えば、歯の3Dモデルと座標系を共有する)データ構造において直接行われてよい。
【0025】
本明細書では更に、記載のどの方法でも実施するように構成された装置についても記載している。例えば、本明細書に記載の、被験者の歯のモデルを生成する一口腔内スキャンシステムは、少なくとも1つのセンサと複数の光源とを有する手持ち式ワンドであって、これらの光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、第2のスペクトル範囲は浸透性である、手持ち式ワンドと、手持ち式ワンドに作用的に接続された1つ以上のプロセッサであって、第1のスペクトル範囲の光を使用して被験者の歯の少なくとも一部分の3次元(3D)表面モデルを生成することと、3D表面モデルと、第2のスペクトル範囲で取得される、内部構造を示す複数の画像とに基づいて、内部構造を含む、被験者の歯の3Dモデルを生成することと、を実施するように構成された1つ以上のプロセッサと、を含む。
【0026】
被験者の歯のモデルを生成する一口腔内スキャンシステムは、少なくとも1つのセンサと複数の光源とを有する手持ち式ワンドであって、これらの光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、更に、第2のスペクトル範囲は浸透性である、手持ち式ワンドと、手持ち式ワンドに作用的に接続された1つ以上のプロセッサであって、第1の座標系を使用して、手持ち式ワンドで検知された第1のスペクトル範囲の光を使用することによって表面情報を特定することと、この表面情報を使用して、被験者の歯の少なくとも一部分の3次元(3D)表面モデルを生成することと、第1の座標系を基準とする、第2のスペクトル範囲の複数の画像を取得することと、3D表面モデル及び複数の画像に基づいて、内部構造を含む、被験者の歯の3Dモデルを生成することと、を実施するように構成された1つ以上のプロセッサと、を含んでよい。
【0027】
本明細書では更に、表面構造及び内部構造の両方を含む、被験者の歯のモデルを生成する方法についても記載しており、この方法では、同じ口腔内スキャンが、異なる複数のモダリティの間、例えば、表面スキャンと浸透との間を巡回し、更なるモダリティ(例えば、レーザ蛍光等)が代替として含まれてもよい。一般に、本明細書に記載の例では表面と浸透とを組み合わせることに焦点を当てているが、本明細書に記載の内部形状画像化の代替又は追加として、別の内部スキャン手法(例えば、レーザ蛍光)が使用されてよい。
【0028】
例えば、本明細書では、表面構造及び内部構造の両方を含む、被験者の歯のモデルを生成する方法について記載しており、この方法は、被験者の歯の一部分を手持ち式口腔内スキャナでスキャンすることを、歯の3次元(3D)表面モデルデータを捕捉する第1のモダリティにより行うステップと、被験者の歯の一部分を手持ち式口腔内スキャナでスキャンすることを、浸透波長を使用して歯の内部を画像化して歯の内部データを捕捉する第2のモダリティにより行うステップと、第1のモダリティと第2のモダリティとの間で巡回するステップであって、浸透波長を使用する画像が、第1のモダリティで捕捉される3D表面モデルデータと座標系を共有するように、巡回によって第1のモダリティと第2のモダリティとの切り換えが迅速に行われる、巡回するステップと、を含む。
【0029】
本明細書に記載の方法はいずれも、第1のモダリティでのスキャンに費やされる継続時間、第2のモダリティで費やされる継続時間、又は第1のモダリティと第2のモダリティとを巡回する場合に第1のモダリティ及び第2のモダリティで費やされる継続時間を自動的に調節するステップを含んでよい。例えば、これらの方法はいずれも、第1のモダリティでのスキャンに費やされる継続時間、第2のモダリティで費やされる継続時間、又は第1のモダリティと第2のモダリティとを巡回する場合に第1のモダリティ及び第2のモダリティで費やされる継続時間を、捕捉された3D表面モデルデータ、内部データ、又は3D表面モデルデータ及び内部データの両方に基づいて、自動的に調節するステップを含んでよい。従って、被験者の歯のモデルを生成する一方法は、被験者の歯の一部分を手持ち式口腔内スキャナでスキャンすることを、歯の3次元(3D)表面モデルデータを捕捉する第1のモダリティにより行うステップと、被験者の歯の前記一部分を手持ち式口腔内スキャナでスキャンすることを、浸透波長を使用して歯の内部を画像化して歯の内部データを捕捉する第2のモダリティにより行うステップと、内部データが、第1のモダリティで捕捉される3D表面モデルデータと同じ座標系を使用するように、第1のモダリティと第2のモダリティとが巡回によって高速で切り換えられるスキャン方式により、第1のモダリティと第2のモダリティとを巡回するステップと、捕捉された3D表面モデルデータ、内部データ、又は3D表面モデルデータ及び内部データの両方に基づいて、スキャン方式を調節するステップと、を含んでよい。
【0030】
スキャン方式の調節は、捕捉された3D表面モデルデータの品質の判定に基づく調節を含んでよい。スキャン方式を調節することは、スキャン方式を自動的に調節すること、及び/又は第1のモダリティでのスキャンの継続時間を調節すること、及び/又は第2のモダリティでのスキャンの継続時間を調節することを含んでよい。
【0031】
これらの方法はいずれも、3D表面モデルデータと歯の内部データとを組み合わせて歯の3Dモデルを形成することを含んでよい。
【0032】
上述のように、3D表面モデルデータを捕捉することは、共焦点フォーカシング/共焦点スキャン、立体視、又は構造化光三角測量を用いて3D表面トポロジを特定することを含んでよい。
【0033】
一般に、巡回することは、第1のモダリティと第2のモダリティと第3のモダリティとを巡回することを含んでよく、浸透波長を使用する画像が、第1のモダリティで捕捉される3D表面モデルと座標系を共有するように、第1のモダリティと第2のモダリティと第3のモダリティとが巡回によって高速で切り換えられる。第3のモダリティは、別の浸透性モダリティ又は非浸透性モダリティ(例えば、色、被験者の歯の可視画像等)であってよい。
【0034】
被験者の歯の一部分を手持ち式口腔内スキャナでスキャンすることを、第2のモダリティで行うことは、歯を照明することを、照明を受光するセンサの観察方向に対して0°から15°の角度で行うこと(小角度照明)を含んでよい。被験者の歯の一部分を口腔内スキャナでスキャンすることを、第2のモダリティにより行うステップは、歯の同じ内部領域が、歯に対して相対的な様々な角度から画像化されるように、照明源とセンサとの間の異なる複数の角度で、且つ/又は、歯に対して相対的な異なる複数の位置又は角度で、複数の浸透画像を取得することを含んでよい。
【0035】
上述のように、赤外波長(例えば、近赤外波長)を含む、任意の適切な浸透波長が使用されてよい。例えば、被験者の歯の一部分を口腔内スキャナでスキャンすることを、第2のモダリティにより行うことは、白色光徹照、UV/青色蛍光、及び赤色光蛍光のうちの1つ以上で歯を照明することを含んでよい。
【0036】
本明細書では更に、複数のスキャンモードを巡回するように構成された、被験者の歯のモデルを生成する口腔内スキャンシステムについても記載している。例えば、本明細書に記載の一口腔内スキャンシステムは、少なくとも1つのセンサと複数の光源とを有する手持ち式口腔内ワンドであって、これらの光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、更に、第2のスペクトル範囲は浸透性である、手持ち式口腔内ワンドと、手持ち式口腔内ワンドに作用的に接続された1つ以上のプロセッサであって、この1つ以上のプロセッサは、第1のモードと第2のモードとをワンドに巡回させるように構成されており、第1のモードでは、ワンドが第1のスペクトル範囲の光を第1の継続時間にわたって発光し、この1つ以上のプロセッサが応答として3次元(3D)表面データを受け取り、第2のモードでは、ワンドが第2のスペクトル範囲の光を第2の継続時間にわたって発光し、この1つ以上のプロセッサが応答として画像データを受け取る、この1つ以上のプロセッサと、を含む。
【0037】
被験者の歯のモデルを生成する一口腔内スキャンシステムは、少なくとも1つのセンサと複数の光源とを有する手持ち式口腔内ワンドであって、これらの光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、更に、第2のスペクトル範囲は浸透性である、手持ち式口腔内ワンドと、このワンドに作用的に接続された1つ以上のプロセッサであって、この1つ以上のプロセッサは、第1のモードと第2のモードとをワンドに巡回させるように構成されており、第1のモードでは、ワンドが第1のスペクトル範囲の光を第1の継続時間にわたって発光し、この1つ以上のプロセッサが応答として3次元(3D)表面データを受け取り、第2のモードでは、ワンドが第2のスペクトル範囲の光を第2の継続時間にわたって発光し、この1つ以上のプロセッサが応答として画像データを受け取る、この1つ以上のプロセッサと、を含んでよく、この1つ以上のプロセッサは、受け取られた3D表面データ、受け取られた画像データ、又は3D表面データ及び画像データの両方に基づいて第1の継続時間及び第2の継続時間を調節するように構成されている。本明細書に記載の装置のいずれにおいても、1つのモードは表面スキャン(3D表面)であってよく、これは、例えば、680nmであってよい。別のモードは浸透スキャンであってよく、これは、例えば、近赤外光(例えば、850nm)を使用する。別のモードはカラー画像化であってよく、これは白色光(例えば、概ね400~600nm)を使用する。
【0038】
手持ち式口腔内スキャナを使用して内部構造を可視化する浸透画像化方法についても記載している。従って、本明細書に記載の一般的な方法及び装置はいずれも、特に、浸透画像化データを使用して、1つ以上の歯をモデル化して、亀裂やカリエスなどの内部形状を検出するように構成されてよい。例えば、歯の内部を画像化して亀裂及びカリエスを検出する一方法は、第1の位置にあって浸透波長の光を発光する手持ち式口腔内スキャナを使用して、様々な向きで歯の複数の浸透画像を取得するステップと、第1の位置にある口腔内スキャナを使用して、表面位置情報を特定するステップと、複数の浸透画像及び表面位置情報を使用して歯の3次元(3D)モデルを生成するステップと、を含んでよい。
【0039】
歯の3Dモデルを生成することは、複数の浸透画像を取得するステップと、異なる複数の位置に対応する3Dモデルを生成するステップとを繰り返すことを含んでよい。
【0040】
様々な向きで歯の複数の浸透画像を取得することは、浸透波長を発光する、口腔内スキャナ上の異なる照明源又は複数の照明源の組み合わせ、又は、画像を取得する、口腔内スキャナ上の異なる画像センサの一方又は両方を使用して各浸透画像が取得される、浸透画像を取得することを含んでよい。
【0041】
変形形態によっては、複数の浸透画像を取得することは、3つ以上の浸透画像を取得することを含んでよい。
【0042】
様々な向きで歯表面の複数の浸透画像を取得することは、例えば、小角度照明/観察により浸透画像を取得することを含んでよく、各浸透画像において、発光される光と、画像センサによって受光される光との間の角度は0~15度である。例えば、歯の内部を画像化して亀裂及びカリエスを検出する一方法は、複数の位置から歯をスキャンするステップであって、口腔内スキャナを使用して、様々な向きで歯の複数の浸透画像を取得するステップであって、口腔内スキャナは浸透波長の光を発光し、各浸透画像において、発光される光と画像センサによって受光される光との間の角度が0~15度である、複数の浸透画像を取得するステップと、口腔内スキャナを使用して表面位置情報を特定するステップと、を各位置において繰り返すことを含む、歯をスキャンするステップと、浸透画像及び表面位置情報を使用して歯の3次元(3D)モデルを生成するステップと、を含んでよい。
【0043】
上述のように、スキャン及びモデル化の装置(例えば、スキャン装置、歯モデル化装置等)及び方法、並びにスキャン及び/又はモデル化装置を動作させる方法に加えて、本明細書では更に、1つ以上の浸透波長から生成される画像を使用してボリュメトリック構造を再構築する方法についても記載している。
【0044】
例えば、本明細書では、放射波長範囲に対して半透明で散乱が強い領域(例えば、歯)を含む物体からボリュメトリック構造を再構築する方法について記載している。この方法は、浸透波長を発光(例えば、排他的に、又は主として放射)する光源により物体を照明するステップと、浸透波長に対して感光性である(例えば、放射波長範囲で記録を行う)カメラにより物体の複数の画像を取得するステップと、複数の画像のそれぞれにおける、物体に対して相対的なカメラの位置を表す位置データを受け取るステップと、ボリューム内の各点について、複数の画像及び位置データから散乱係数の上限を生成するステップと、各点における散乱係数の上限から物体の画像を生成するステップと、を含んでよい。物体に当てられる浸透波長光は、カメラとほぼ同じ方向から発光されてよい。生成される1つ以上の画像は、物体のボリューム内の形状を示すことが可能であり、この画像は更に、内部構造だけでなく物体の外部境界を含んでよい(又は含むように修正されてよい)。
【0045】
本明細書では、歯は、半透明で散乱が強い1つ以上の領域を含む物体として記載されている場合があるが、一般には、歯は、近赤外波長において、散乱が強い領域(例えば、象牙質)と、散乱が弱く透明度が高い領域(例えば、エナメル質)とを含む場合もある。歯は、カリエスのように、散乱特性が中間的であるか混在している領域を含む場合もある。本明細書に記載の、ボリュメトリックスキャンを実施する方法及び装置は、1つ以上の歯のこれらの様々な領域をマッピングすることに好適である。
【0046】
放射波長範囲に対して半透明で散乱が強い領域を含む物体からボリュメトリック構造を再構築する一方法は、放射波長範囲で、物体の複数の画像をカメラで取得するステップであって、その複数の画像の為の照明はほぼカメラの方向から投射される、複数の画像を取得するステップと、複数の画像のそれぞれにおける、物体に対して相対的なカメラの位置を表す位置データを受け取るステップと、ボリューム内の各点について、複数の画像及び位置データから散乱係数の上限を生成するステップと、各点における散乱係数の上限から物体の画像を生成するステップと、を含んでよい。
【0047】
放射波長範囲は、赤外波長又は近赤外波長であってよい。
【0048】
これらの方法はいずれも、物体の外部表面を表す表面データを受け取るステップを含んでもよく、上記生成するステップは、物体の外部表面内で、ボリューム内の各点について実施される。
【0049】
物体は、外部エナメル質表面と内部象牙質表面とを有する歯を含んでよい。歯は、半透明で散乱が強い領域を含む、1種類だけの物体であるが、他の例では、(軟組織及び/又は硬組織を含む)他の両組織(例えば、背骨等)を含む場合がある。半透明で散乱が強い領域を含むこれらの物体は、典型的には、本明細書に記載のように、浸透波長(例えば、赤外波長又は近赤外波長)に対して半透明で散乱が強い領域を含む場合がある。
【0050】
位置データは、一般に、複数の画像のそれぞれが捕捉される時点でのカメラの位置及び方位のデータを含む。例えば、位置データは、カメラの、3次元空間の3つの数値座標と、ピッチ、ヨー、及びロールとを含んでよい。
【0051】
ボリュームの各点における散乱係数の上限を生成するステップは、物体のボリュームに対応する3D点群グリッドの各点を、第1の較正を用いて、その複数の画像のそれぞれに投影することと、投影された各点の輝度値のリストを生成することと、輝度値のリストの各輝度値をボリューム応答に応じて散乱係数に変換することと、各グリッド点について、散乱係数値のリストにある最小散乱係数値を記憶することと、を含んでよい。
【0052】
例えば、第1の較正は、カメラのセンサ問題及び画像ゴーストを較正する為の固定パターンノイズ較正を含んでよい。第1の較正は、空間内の既知の点を画像上の点に投影するカメラの変換を決定するカメラ較正を含んでよい。
【0053】
更に、本明細書では、放射波長範囲において半透明である歯からボリュメトリック構造を再構築する方法についても記載しており、この方法は、歯の表面の、第1の座標系での表現を、プロセッサにおいて受け取るステップと、放射波長範囲の歯の複数の画像をプロセッサにおいて受け取るステップであって、複数の画像は、ほぼカメラの方向から投射される照明により取得される、複数の画像を受け取るステップと、複数の画像のそれぞれにおけるカメラの位置を表す位置データを、プロセッサにおいて受け取るステップと、歯の表面内のボリュームに対応する点群グリッドの各点を、第1の較正を用いて、複数の画像のそれぞれに投影するステップと、投影された各点の輝度値のリストを生成するステップと、輝度値リスト上の各輝度値を、ボリューム応答に応じて散乱係数に変換するステップと、各点における最小散乱係数を最小散乱係数リストに記憶するステップと、を含む。
【0054】
これらの方法はいずれも、最小散乱係数リストから画像を生成するステップを更に含んでよい。
【0055】
位置データは、複数の画像のそれぞれが捕捉される時点における1つ以上のカメラの位置及び方位のデータを含んでよい。
【0056】
第1の較正は、カメラのセンサ問題及び画像ゴーストを較正する為の固定パターンノイズ較正を含んでよい。幾つかの実施形態では、第1の較正は、空間内の既知の点を画像上の点に投影するカメラの変換を決定するカメラ較正を含んでよい。
【0057】
この方法は更に、物体の外部表面を表す表面データを受け取るステップを含んでよく、上記投影するステップは、ボリューム内の各点について、物体の外部表面内で実施される。
【0058】
点群グリッドは立方体グリッドを含んでよい。
【0059】
本明細書に記載の方法はいずれも、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアとして実施されてよい。例えば、これらの方法はいずれも、この方法を実施する為の命令が記憶されている、非一時的なコンピューティング装置可読媒体として構成されてよい。
【0060】
例えば、放射波長範囲において半透明である歯からボリュメトリック構造を再構築する為の命令が記憶されている、非一時的なコンピューティング装置可読媒体について記載している。この命令は、歯の表面の、第1の座標系での表現を受け取るステップと、放射波長範囲の歯の複数の画像を受け取るステップであって、複数の画像は、ほぼカメラの方向から投射される照明により取得される、複数の画像を受け取るステップと、複数の画像のそれぞれにおけるカメラの位置を表す位置データを受け取るステップと、歯のボリュームに対応する点群グリッドの各点を、第1の較正を用いて、複数の画像のそれぞれに投影するステップと、投影された各点の輝度値のリストを生成するステップと、輝度値リスト上の各輝度値を、ボリューム応答に応じて散乱係数に変換するステップと、各点における最小散乱係数を最小散乱係数リストに記憶するステップと、最小散乱係数リストから画像を生成するステップと、をコンピューティング装置に実施させるように、プロセッサによって実行可能であってよい。
【0061】
位置データは、複数の近赤外画像のそれぞれが捕捉される時点におけるカメラの位置及び方位のデータを含んでよい。位置データは、位置データは、前記カメラの、3次元空間の3つの数値座標と、ピッチ、ヨー、及びロールとを含んでよい。
【0062】
第1の較正は、カメラのセンサ問題及び画像ゴーストを較正する為の固定パターンノイズ較正を含んでよい。第1の較正は、空間内の既知の点を画像上の点に投影するカメラの変換を決定するカメラ較正を含んでよい。
【0063】
点群グリッドは歯の内部にあってよく、上述のように、点群グリッドは立方体グリッドを含んでよい。
【0064】
散乱係数の使用に対する代替又は追加として、浸透波長画像を使用する、患者の歯の内部構造を形成する任意の適切な方法。例えば、本明細書に記載の装置(例えば、システム、デバイス、ソフトウェア等)及び方法はいずれも、画像化される物体(例えば、歯)に対して相対的なスキャナの位置及び/又は方位の情報とともに2次元浸透画像を使用して2D浸透画像を区分することにより、歯の中の内部構造を含む歯の3次元モデルを形成することが可能である。上述のように、浸透画像は、近赤外波長及び/又は赤外波長により取得される、物体内部の浸透画像を意味してよい。スキャナの位置及び/又は方位は、スキャナ上(例えば、手持ち式ワンド上)にあって画像を取得するカメラの位置及び/又は方位の代わりであってよい。
【0065】
例えば、本明細書では、被験者の歯をモデル化する方法について記載しており、この方法は、口腔内スキャナにより、被験者の歯の内部の複数の画像と、複数の画像のそれぞれの画像に固有の、口腔内スキャナの位置及び方位とを捕捉するステップと、複数の画像を区分して、被験者の歯の中の構造に対応する内部構造を形成するステップと、複数の画像の位置及び方位を使用して、内部構造を、被験者の歯の3次元モデルに投影するステップと、内部構造を含む、被験者の歯の3次元モデルを表示するステップと、を含む。
【0066】
これらの方法及び装置のいずれにおいても、浸透画像を捕捉しながら、同時に非浸透波長(例えば、表面スキャン)を使用して3D表面モデルを捕捉することが可能である。例えば、捕捉することは、被験者の歯の内部の複数の画像を捕捉しながら、被験者の歯の表面画像を捕捉することを含んでよい。この方法は又、捕捉された表面画像から被験者の歯の3次元モデルを形成することを含んでよい。例えば、被験者の歯の3次元モデルを形成することは、共焦点フォーカシングを用いて3次元表面トポロジを特定することを含んでよい。被験者の歯の表面画像を捕捉することは、共焦点スキャン、立体視、又は構造化光三角測量を用いることを含んでよい。
【0067】
一般に、同じ装置(例えば、スキャナ)が、内部構造を含む歯の3D表現をモデル化及び/又は表示してよく、代替又は追加として、別個の(例えば、スキャナに対してリモートである)プロセッサが使用されてよい。これらの方法はいずれも、複数の2次元画像を捕捉しながら、複数の浸透画像と口腔内スキャナの位置及び方位とを記憶及び/又は送信することを含んでもよく、この送信には、区分以降のステップを実施するリモートプロセッサに送信することが含まれる。
【0068】
本明細書に記載の方法及び装置のいずれにおいても、内部構造を含む3Dモデルは、スキャナの動作中に表示されてよい。このことは、有利なことに、ユーザが被験者の歯の内部構造をリアルタイム又は近リアルタイムで見ることを可能にしうる。従って、これらの方法はいずれも、画像が捕捉されたときに3次元モデルを表示することを含んでよい。
【0069】
複数の画像を区分することは、複数の画像にエッジ検出を適用して、複数の画像の中の閉じた境界を識別することを含んでよい。複数の画像を区分することは、複数の画像からボリュメトリック密度マップを形成して内部構造を識別することを含んでよい。ボリュメトリック密度マップを区分することは、ボリュメトリック密度マップ内の1つ以上の等値面を識別することにより区分を行って内部形状を識別することを含んでよい。これらの方法はいずれも、ボリュメトリック密度マップを区分して内部形状(例えば、亀裂、カリエス、歯科充填物、象牙質等)を識別することを含んでよい。
【0070】
例えば、被験者の歯のモデルを生成するように構成された一口腔内スキャン装置は、複数の光源と位置及び方位のセンサとを有する口腔内スキャナであって、この光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、更に、第2のスペクトル範囲は浸透性である、口腔内スキャナと、口腔内スキャナに作用的に接続されたプロセッサであって、口腔内スキャナが第2のスペクトル範囲で光を発光している場合に、複数の画像と、複数の画像のそれぞれに対応する、口腔内スキャナの位置及び方位とを捕捉することを、スキャナに行わせるように構成された1つ以上のプロセッサと、を含んでよく、プロセッサは更に、複数の画像を区分して、被験者の歯の中の構造に対応する内部構造を形成することと、内部構造を含む、被験者の歯の3次元モデルを表示又は送信することと、を行うように構成されている。
【0071】
プロセッサは、複数の画像にエッジ検出を適用して複数の画像の中の閉じた境界を識別することにより、複数の画像を区分するように構成されてよい。プロセッサは、複数の画像から画素密度マップを形成して複数の画像を区分することにより、内部構造を識別するように構成されてよい。プロセッサは、画素密度マップ内の閉じた区分を識別することにより、内部構造を識別するように構成されてよい。
【0072】
更に、本明細書では、プロセッサによって実行可能な命令が記憶されている、非一時的なコンピューティング装置可読媒体についても記載しており、それらの命令は口腔内スキャン装置に、浸透波長光を使用する複数の画像と、複数の画像のそれぞれの画像に固有の、口腔内スキャナの位置及び方位とを捕捉するステップと、複数の画像を区分して、被験者の歯の中の構造に対応する内部構造を形成するステップと、各画像に固有の、口腔内スキャナの位置及び方位を使用して、内部構造を、被験者の歯の3次元モデルに投影するステップと、内部構造を含む、被験者の歯の3次元モデルを表示するステップと、を実施させる。
【0073】
命令を有する、非一時的なコンピューティング装置可読媒体は更に、複数の画像にエッジ検出を適用して複数の画像の中の閉じた境界を識別することにより複数の画像を区分するステップを口腔内スキャン装置に実施させるように構成されてよい。命令を有する、非一時的なコンピューティング装置可読媒体は更に、複数の画像から画素密度マップを形成して複数の画像を区分することにより内部構造を形成するステップを口腔内スキャン装置に実施させるように構成されてよい。命令を有する、非一時的なコンピューティング装置可読媒体は更に、画素密度マップ内の閉じた区分を識別して複数の画像を区分することにより内部構造を形成するステップを口腔内スキャン装置に実施させるように構成されてよい。
【0074】
更に、本明細書では、プロセッサによって実行可能な命令が記憶されている、非一時的なコンピューティング装置可読媒体についても記載しており、この命令はコンピューティング装置に、被験者の歯の3次元表面モデルデータをスキャナから受け取るステップと、被験者の歯の内部の複数の画像と、複数の画像の各画像に固有の、口腔内スキャナの位置及び方位とを、スキャナから受け取るステップと、複数の画像を区分して被験者の歯の内部構造を形成するステップと、被験者の歯の内部構造を3次元表面モデルに投影するステップと、内部構造を示す3次元表面モデルを表示するステップと、を実施させる。
【0075】
例えば、本明細書では、口腔内スキャナを使用して被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成する方法について記載しており、この方法は、被験者の歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、口腔内スキャナを使用して歯の少なくとも一部分の3D表面モデルデータを捕捉するステップと、歯の同じ内部領域の複数の画像が画像化されるように、歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、口腔内スキャナで近赤外波長を使用して歯の内部の複数の画像を取得するステップと、歯の内部の複数の画像のそれぞれについて、3D表面モデルデータを使用して被験者の歯に対して相対的な口腔内スキャナの位置を特定するステップと、複数の画像と、被験者の歯に対して相対的な口腔内スキャナの位置とを使用して、内部形状を含む、被験者の歯の前記3Dボリュメトリックモデルを形成するステップと、を含む。
【0076】
口腔内スキャナを使用して被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成する一方法は、被験者の歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、口腔内スキャナを使用して歯の少なくとも一部分の3D表面モデルデータを捕捉するステップと、歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、近赤外波長を使用して歯の内部の複数の画像を取得することを、口腔内スキャナから近赤外光を第1の偏光で発光することと、口腔内スキャナに戻る近赤外光を口腔内スキャナ内の画像センサで検出することと、によって行うステップであって、口腔内スキャナに戻る前記近赤外光はフィルタリングされて鏡面反射を除去され、この除去は、画像センサに到達する前の、口腔内スキャナに戻る近赤外光から第1の偏光の近赤外光をフィルタリングすることにより行われる、歯の内部の複数の画像を取得する上記ステップと、歯の内部の複数の画像のそれぞれについて、複数の画像のそれぞれが捕捉された時点で、3D表面モデルデータを使用して被験者の歯に対して相対的な前記口腔内スキャナの位置を特定するステップと、複数の画像と、被験者の歯に対して相対的な口腔内スキャナの位置とを使用して、内部形状を含む、被験者の歯の3Dボリュメトリックモデルを形成するステップと、を含んでよい。
【0077】
これらの方法及び装置のいずれにおいても、口腔内スキャナに戻る近赤外光はフィルタリングされて鏡面反射を除去されてよく、この除去は、画像センサに到達する前の、口腔内スキャナに戻る近赤外光から第1の偏光の近赤外光の全て又はほぼ全てをフィルタリングすることにより行われる。
【0078】
更に、本明細書では、表面構造及び内部構造の両方をスキャンする口腔内スキャナについても記載している。例えば、被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成する一口腔内スキャンシステムは、少なくとも1つの画像センサと複数の光源とを有する手持ち式ワンドであって、光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、第2のスペクトル範囲は近赤外波長範囲内である、手持ち式ワンドと、手持ち式ワンドに作用的に接続された1つ以上のプロセッサであって、被験者の歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、歯の少なくとも一部分の3D表面モデルデータを捕捉するステップと、歯の同じ内部領域の複数の画像が画像化されるように、歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、第2のスペクトル範囲の光を使用して歯の内部の複数の画像を取得するステップと、歯の内部の複数の画像のそれぞれについて、3D表面モデルデータを使用して被験者の歯に対して相対的な手持ち式ワンドの位置を特定するステップと、複数の画像と、被験者の歯に対して相対的な口腔内スキャナの位置とを使用して、内部形状を含む、被験者の歯の前記3Dボリュメトリックモデルを形成するステップと、を実施するように構成された1つ以上のプロセッサと、を含んでよい。
【0079】
被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成する一口腔内スキャンシステムは、少なくとも1つの画像センサと複数の光源とを有する手持ち式ワンドであって、光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、第2のスペクトル範囲は近赤外波長範囲内である、手持ち式ワンドと、画像センサの前部にあって、第2のスペクトル範囲及び第1の偏光の光をフィルタリングするように構成されたフィルタと、手持ち式ワンドに作用的に接続された1つ以上のプロセッサであって、被験者の歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、歯の少なくとも一部分の3D表面モデルデータを捕捉するステップと、歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、第2のスペクトルの光を使用して歯の内部の複数の画像を取得することを、口腔内スキャナから近赤外光を第1の偏光で発光することと、口腔内スキャナに戻る近赤外光を口腔内スキャナ内の画像センサで検出することと、によって行うステップであって、口腔内スキャナに戻る近赤外光はフィルタリングされて鏡面反射を除去され、この除去は、画像センサに到達する前の、口腔内スキャナに戻る近赤外光から第1の偏光の近赤外光をフィルタリングすることにより行われる、歯の内部の複数の画像を取得する前記ステップと、歯の内部の複数の画像のそれぞれについて、3D表面モデルデータを使用して被験者の歯に対して相対的な手持ち式ワンドの位置を特定するステップと、複数の画像と、被験者の歯に対して相対的な口腔内スキャナの位置とを使用して、内部形状を含む、被験者の歯の3Dボリュメトリックモデルを形成するステップと、を実施するように構成された前記1つ以上のプロセッサと、を含んでよい。
【0080】
更に、本明細書では、歯の亀裂及びカリエスを画像化する方法についても記載している。例えば、本明細書に記載の、口腔内スキャナを使用して、被験者の歯の内部を画像化して亀裂及びカリエスを検出する一方法は、被験者の歯の上を口腔内スキャナでスキャンするステップと、近赤外波長及び非浸透波長の両方を発光する口腔内スキャナを使用して、様々な向きで被験者の歯の内部の複数の近赤外画像を取得するステップと、複数の近赤外画像の画像の各場所に関して、非浸透波長を使用して、被験者の歯に対して相対的な口腔内スキャナの位置を特定するステップと、複数の近赤外画像と、複数の近赤外画像の各近赤外画像における、被験者の歯に対して相対的な口腔内スキャナの位置とを使用して、被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成するステップと、を含む。
【0081】
これらの方法はいずれも、ボリュメトリックモデルを分析して、亀裂又はカリエス(又は他の、歯の内部領域)を識別するステップを含んでよい。
【0082】
例えば、被験者の歯を透過する画像化を行って亀裂及びカリエスを検出する一方法は、前記被験者の歯を複数の位置からスキャンするステップであって、前記各位置において、口腔内スキャナを使用して、様々な向きで歯の内部の複数の近赤外画像を取得するステップであって、口腔内スキャナは近赤外波長の光を第1の偏光で発光し、各近赤外画像において、発光される光と画像センサによって受光される光との間の角度が0度から15度であり、更に、受光される近赤外光がフィルタリングされて、第1の偏光の近赤外光が遮られる、複数の近赤外画像を取得するステップと、複数の近赤外画像の画像の各場所に関して、被験者の歯に対して相対的な口腔内スキャナの位置を特定するステップと、を繰り返すことを含む、上記スキャンするステップと、浸透画像及び表面位置情報を使用して、歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成するステップと、を含んでよい。
【0083】
更に、本明細書では、散乱係数を使用し、浸透画像及びカメラセンサ位置に基づいて歯の内部画像を生成する方法についても記載している。例えば、被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを形成する一方法は、カメラセンサで被験者の歯の複数の近赤外画像を取得するステップであって、複数の近赤外画像の為の近赤外照明は、ほぼカメラセンサの方向から投射される、複数の近赤外画像を取得する上記ステップと、複数の近赤外画像のそれぞれについて、被験者の歯に対して相対的なカメラの位置を表す位置データを受け取るステップと、ボリューム内の各点について、複数の近赤外画像及び位置データから散乱係数の上限を生成するステップと、ボリューム内の各点についての散乱係数の上限を組み合わせて、被験者の歯の3Dボリュメトリックモデルを形成するステップと、被験者の歯の3Dボリュメトリックモデルを出力するステップと、を含んでよい。
【0084】
これらの方法はいずれも、被験者の歯の3Dボリュメトリックモデルから等値面を形成するステップを含んでよい。等値面の形成は、散乱係数の値の閾値又は範囲を選択することによって行われてよい。サブ範囲が様々な内部領域(例えば、構造)に対応してよい。例えば、出力するステップは、被験者の歯の3Dボリュメトリックモデルから、内部の象牙質表面に対応する等値面を形成することを含んでよい。
【0085】
放射波長範囲において半透明である歯からボリュメトリック構造を再構築する一方法は、歯の表面の、第1の座標系での表現を、プロセッサにおいて受け取るステップと、カメラによって取得される、放射波長範囲の歯の複数の画像をプロセッサにおいて受け取るステップであって、複数の画像は、ほぼカメラの方向から投射される照明により取得される、複数の画像を受け取るステップと、複数の画像のそれぞれにおけるカメラの位置を表す位置データを、プロセッサにおいて受け取るステップと、歯の表面内のボリュームに対応する点群グリッドの各点を、第1の較正を用いて、複数の画像のそれぞれに投影するステップと、投影された各点の輝度値のリストを生成するステップと、輝度値リスト上の各輝度値を、ボリューム応答に応じて散乱係数に変換するステップと、各点における最小散乱係数を最小散乱係数リストに記憶するステップと、を含んでよい。
【0086】
これらの方法はいずれも、その方法を実施する為のソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアを含む装置において実施されてよい。例えば、本明細書では、放射波長範囲において半透明である歯からボリュメトリック構造を再構築する為の命令が記憶されている、非一時的なコンピューティング装置可読媒体について記載されており、この命令は、歯の表面の、第1の座標系での表現を受け取るステップと、カメラによって取得される、放射波長範囲の歯の複数の画像を受け取るステップであって、複数の画像は、ほぼカメラの方向から投射される照明により取得される、複数の画像を受け取るステップと、複数の画像のそれぞれにおけるカメラの位置を表す位置データを受け取るステップと、歯のボリュームに対応する点群グリッドの各点を、第1の較正を用いて、複数の画像のそれぞれに投影するステップと、投影された各点の輝度値のリストを生成するステップと、輝度値リスト上の各輝度値を、ボリューム応答に応じて散乱係数に変換するステップと、散乱係数のうちの、各点における最小散乱係数を記憶するステップと、最小散乱係数リストから生成された画像を出力するステップと、をコンピューティング装置に実施させるように、プロセッサによって実行可能である。
【0087】
更に、本明細書では、区分を用いて内部構造を形成する方法についても記載している。例えば、被験者の歯をモデル化する一方法は、口腔内スキャナにより、被験者の歯の内部の複数の画像と、複数の画像のそれぞれの画像に固有の、口腔内スキャナの位置及び方位とを捕捉するステップと、複数の画像を区分して、被験者の歯の中の構造に対応する内部構造を形成するステップと、複数の画像の位置及び方位を使用して、内部構造を、被験者の歯の3次元モデルに投影するステップと、内部構造を含む、被験者の歯の3次元モデルを表示するステップと、を含んでよい。
【0088】
更に、本明細書では、被験者の歯のモデルを生成するように構成された口腔内スキャン装置についても記載しており、この装置は、複数の光源と位置及び方位のセンサとを有する口腔内スキャナであって、光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、更に、第2のスペクトル範囲は浸透性である、口腔内スキャナと、口腔内スキャナに作用的に接続されたプロセッサであって、口腔内スキャナが第2のスペクトル範囲で光を発光している場合に、複数の画像と、複数の画像のそれぞれに対応する、口腔内スキャナの位置及び方位とを捕捉することを、スキャナに行わせるように構成された1つ以上のプロセッサと、を含み、プロセッサは、複数の画像を区分して、被験者の歯の中の構造に対応する内部構造を形成することと、内部構造を含む、被験者の歯の3次元モデルを表示又は送信することと、を行うように更に構成されている。
【0089】
更に、本明細書では、プロセッサによって実行可能な命令が記憶されている、非一時的なコンピューティング装置可読媒体についても記載しており、この命令は口腔内スキャン装置に、浸透波長光を使用する複数の画像と、複数の画像のそれぞれの画像に固有の、口腔内スキャナの位置及び方位とを捕捉するステップと、複数の画像を区分して、被験者の歯の中の構造に対応する内部構造を形成するステップと、各画像に固有の、口腔内スキャナの位置及び方位を使用して、内部構造を、被験者の歯の3次元モデルに投影するステップと、内部構造を含む、被験者の歯の3次元モデルを表示するステップと、を実施させる。
【0090】
更に、本明細書では、歯の3Dボリューム(ボリュメトリックボリュームを含む)を形成する方法についても記載している。例えば、本明細書に記載の一方法は、被験者の口腔内スキャンに関連付けられたデータを受け取るステップと、受け取られたデータから、被験者の歯の第1の内部形状のボリュームの少なくとも一部分を特定するステップと、受け取られたデータから、被験者の歯の、第1の内部形状と異なる第2の内部形状のボリュームの少なくとも一部分を特定するステップと、第1の内部形状のボリュームの一部分と第2の内部形状のボリュームの一部分とを一緒にマッピングするステップと、第1の内部形状のボリュームの一部分と第2の内部形状のボリュームの一部分とを一緒に3Dボリュームとして出力するステップと、を含む。
【0091】
受け取られたデータは、被験者の歯表面浸透口腔内スキャンからのデータを含んでよい。受け取られたデータは更に、被験者の歯表面口腔内スキャンからのデータを含んでよい。
【0092】
この方法は更に、受け取られたデータから、被験者の歯の表面を特定するステップと、歯の表面を、第1の内部形状のボリュームの一部分及び第2の内部形状のボリュームの一部分と一緒にマッピングするステップと、歯の表面を、第1の内部形状のボリュームの一部分及び第2の内部形状のボリュームの一部分と一緒に3Dボリュームとして出力するステップと、を含んでよい。
【0093】
受け取られたデータは更に、被験者の歯表面カラー口腔内スキャンからのデータを含んでよい。
【0094】
この方法は更に、受け取られたデータから、被験者の歯の表面のカラーを特定するステップと、歯の表面のカラーを歯の表面にマッピングするステップと、歯の表面と歯の表面のカラーとを有する3Dボリュームを出力するステップと、を含んでよい。
【0095】
歯の第1の内部形状は歯の象牙質を含んでよく、歯の第2の内部形状は歯のエナメル質を含む。口腔内スキャンは被験者の第2の口腔内スキャンを含んでよく、この方法は更に、被験者の前の口腔内スキャンに関連付けられたデータを受け取るステップと、被験者の前の口腔内スキャンに関連付けられた受け取られたデータから、エナメル質又は象牙質のボリュームの少なくとも一部分を特定するステップと、第2の口腔内スキャンに関連付けられた受け取られたデータから特定されたエナメル質又は象牙質のボリュームの一部分と、前の口腔内スキャンに関連付けられた受け取られたデータから特定されたエナメル質又は象牙質のボリュームの一部分と、を比較することにより、エナメル質又は象牙質のボリューム変化を特定するステップと、特定されたボリューム変化を出力するステップと、を含む。
【0096】
この方法は更に、第2の内部形状と第1の内部形状とを比較することにより、歯の、歯のカリエスを検出するステップと、検出された歯のカリエスに関連付けられたユーザに対して信号を出力するステップと、を含んでよい。第2の内部形状と第2の内部形状とを比較することは、第2の内部形状のボリュームが第1の内部形状のボリュームの表面から延びているかどうかを分析することを含んでよい。分析するステップは、第2の内部形状の前記ボリュームが、第1の内部形状のボリュームの表面から、第2の内部形状の、象牙質に関連付けられた一部分まで延びているかどうかを判定することを含んでよい。
【0097】
この方法は更に、第1の内部形状のボリュームの表面から延びている第2の内部形状のボリュームを計算するステップと、計算されたボリュームに関連付けられた信号を出力するステップと、を含んでよい。
【0098】
更に、被験者の口腔内スキャンに関連付けられたデータを受け取るステップと、受け取られたデータから、被験者の歯の、歯のカリエスのボリュームを特定するステップと、被験者の歯の歯のカリエスのボリュームを定量化するステップと、被験者の歯の歯のカリエスの定量化されたボリュームに関連付けられた信号を出力するステップと、を含む方法について記載している。
【0099】
この方法は更に、受け取られたデータから、被験者の歯のエナメル質のボリュームを特定するステップと、エナメル質のボリュームを、歯のカリエスのボリュームにマッピングするステップと、エナメル質及び歯のカリエスのマッピングされたボリュームの3Dボリュームをユーザに対して出力するステップと、を含んでよい。例えば、この方法は更に、受け取られたデータから、被験者の歯の象牙質のボリュームを特定するステップと、象牙質のボリュームを、エナメル質のボリュームと歯のカリエスのボリュームとにマッピングするステップと、エナメル質及び歯のカリエスのマッピングされたボリュームを象牙質のボリュームと一緒に3Dボリュームとして出力するステップと、を含んでよい。
【0100】
被験者の口腔内スキャンは、被験者の第2の口腔内スキャンを含んでよく、この方法は更に、被験者の前の口腔内スキャンに関連付けられたデータを受け取るステップと、被験者の前の口腔内スキャンに関連付けられた受け取られたデータから、被験者の歯の歯のカリエスの前のボリュームを特定するステップと、歯のカリエスのボリュームと、歯のカリエスの前のボリュームとの間のボリューム差に関連付けられた信号を出力するステップと、を含む。この方法は更に、被験者の歯の歯のカリエスのボリュームの3Dモデルを出力するステップを含んでよい。
【0101】
更に、本明細書では、口腔内スキャナ用徹照アダプタスリーブ装置についても記載しており、この装置は、口腔内スキャナのワンドにぴったりかぶせられるように構成されたスリーブボディであって、近赤外光がスリーブを通過することを可能にするように構成された光通過領域を遠位端に含むスリーブボディと、光通過領域に隣接してスリーブボディの遠位端から延びる第1のウィング領域と、第1のウィング領域から近赤外光を発光するように構成された近赤外光源と、を含む。この近赤外光源は、光通過領域を横切る近赤外光を発光するように構成されてよい。
【0102】
この装置は更に、光通過領域に隣接してスリーブボディの遠位端から延びる第2のウィング領域であって、第2のウィング領域から近赤外光を発光するように構成された第2の近赤外光源を有する第2のウィング領域を含んでよい。この装置は更に、近赤外光源に電気エネルギを印加するように構成された電気的接点をスリーブボディの近位端に含んでよい。この装置は更に、電気的接点を近赤外光源に結合する可撓回路を含んでよい。これらの装置はいずれも、光通過領域に隣接してスリーブボディの遠位端から延びる第2のウィングに作用的に接続されたカメラセンサを含んでよい。
【0103】
後述の特許請求の範囲において、本発明の新規な特徴を具体的に説明する。本発明の原理が利用される例示的実施形態を説明する後述の詳細説明と、以下の添付図面とを参照することにより、本発明の特徴及び利点がよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1A】表面形状及び内部形状の両方を有する、被験者の歯のモデルを生成するように、本明細書に記載のように使用されるように適合されてよい3D(カラー)口腔内スキャナの一例を示す図である。
【
図1B】表面形状及び内部形状の両方を有する、被験者の歯のモデルを生成するように構成された口腔内スキャナの一例を概略的に示す図である。
【
図2A】180°で歯を透過する徹照画像化を示す図である。
【
図2B】90°で歯を透過する徹照画像化を示す図である。
【
図2D】90°及び180°で歯を透過する徹照画像化を提供するように構成された口腔内スキャナのワンドの遠位端の一例の、それぞれ、側面斜視図及び上面斜視図である。
【
図2E】表面スキャン(例えば、可視光、非浸透性)及び近赤外(IR)波長による浸透スキャンの両方を行うように構成された口腔内スキャナの概略を示す図である。スキャナは、歯の表面から反射される近赤外光を遮り、その一方で内部構造から反射される近赤外光を収集する偏光子及びフィルタを含む。
【
図3C】
図2C及び2Dに示されたような口腔内スキャナワンドを使用する、小角度照明画像化の方位による例示的浸透を示す図である。
【
図3D】(
図3Aに示されたものとよく似ている)別の例を示す図であり、右側から光源(例えば、近赤外光源)による照明を行い、左側で画像化を行って(この向きは反転してよい)、180°の徹照を得る例を示す図である。強い散乱や弱い散乱が矢印で示されている。
【
図4A】センサ及び光(照明)源からなる浸透画像化(例えば、小角度浸透画像化)構成の一例を示す図であり、この図では、歯の周囲の様々な位置においてセンサと光源との間の視線ベクトルが0°から15°であり、これらの様々な位置は、(例えば、浸透画像が歯に対して様々な相対角度で取得されることが可能なように歯の周囲でワンド/スキャナを動かすことによって)様々な時刻に採用される様々な位置を表している。
【
図4F】歯の画像化の為の、
図4Aに示されたものとよく似ている、浸透画像化の別の変形形態を示す図である。
図4Bは、多カメラ多光源スキャナの一例を示す。
図4C~4Fは、代替の小角度構成を示す。
【
図5I】
図1A~1Bに示されたような口腔内スキャナの一部として使用可能な、浸透画像化の9つの代替方位を示す図である。
図5A~5Cでは、中央のセンサがアクティブであり、右側(
図5B)又は左側(
図5A)又は両側(
図5C)の光源が歯を照明している。同様に、
図5D~
5Fでは右側のセンサがアクティブであり、
図5G~5Iでは左側のセンサがアクティブである。
【
図6】表面形状及び内部形状の両方を有する、被験者の1つ以上の歯のモデルを生成する一方法を概略的に示す図である。
【
図7】様々なスキャンモダリティ(例えば、表面スキャン、浸透画像化等)を巡回することにより、表面形状及び内部形状の両方を有する、被験者の歯のモデルを生成する方法の一変形形態を示す図である。
【
図8】様々なスキャンモダリティ(表面スキャン、レーザ蛍光、ビューファインダ、及び浸透画像化の各モダリティが図示されている)を巡回して、表面形状及び内部形状の両方を有するモデルを生成する場合の、試料(例えば、歯)のスキャンのタイミング図のグラフィカルな一例を示す図である。
図8では、y軸は、3D共焦点スキャナのレンズ位置(スキャン振幅)を示す。各スキャンの継続時間(例えば、各モードのスキャン時間)は固定であってよく、或いは調節可能であってよい。例えば、浸透スキャンの継続時間(d)は、スキャン中に、受信画像の品質、内部構造の3D再構築の完全性等に基づいて動的に調節(例えば、増減)されてよい。同様に、表面スキャンの継続時間は、スキャン中に、スキャンされている画像(例えば、前の画像及び/又は現在の画像等)の品質、スキャンされている領域の3D表面モデルの完全性に基づいて、動的に調節されてよい。
【
図9A】歯の3D表面モデルにおける浸透画像のオーバレイの一例を示す図であり、(浸透画像がつなぎ合わされてパノラマを形成している)浸透画像パノラマを示す図である。
【
図9B】
図9Aのモデル再構築の、表面形状及び内部形状を含む部分を示す図である。なお、
図9A及び9Bでは、内部構造を示すオーバレイは、ボリュメトリック再構築ではない。
【
図10A】口腔内スキャナの前方端部の一例の前面図の例である。
【
図10B】口腔内スキャナの底面図の一例を示す図であって、複数のセンサ及び光源を示す図である。
【
図11C】浸透波長(例えば、近赤外波長)を使用して、歯の上部を見下ろして透過させた投影画像を示す図である。
【
図11F】浸透波長を使用して、光源を歯に対して相対的にz方向に動かすことを示す図である。
【
図11I】歯をz方向にスキャンする、上に示されたようなスキャナの位置を示す図である。なお、
図11A、11D、及び11Gは第1の深度位置に対応し、
図11B、11E、及び11Hは第2の(歯より上方の)深度位置に対応し、
図11C、11F、及び11Iは第3の(更に上方の)深度位置に対応する。
【
図12】口腔内スキャナワンドの一部として使用可能な浸透光源(例えば、浸透性のスペクトル範囲の光源)及びカメラの構成の一例を示す図である。
【
図13】半透明で散乱が強い領域を含む物体から放射波長範囲でボリュメトリック構造を再構築する一方法を示すフローチャートを示す図である。
【
図14】歯からボリュメトリック構造を再構築する方法ステップを示す別のフローチャートを示す図である。
【
図15E】均質で平坦な標的の場合に一定の応答を与える、画像固定パターンノイズ較正及び照明の不均一性の較正の一例を示す図である。
【
図16】本明細書に記載の方法及び手法を実施する場合に使用可能なデータ処理システムの簡略化されたブロック図である。
【
図17A】浸透波長(例えば、赤外及び/又は近赤外波長)を使用して、歯を口腔内スキャナでスキャンして内部構造を識別する方法の一例を示す図である。
【
図17B】17Aに続く、浸透波長(例えば、赤外及び/又は近赤外波長)を使用して、歯を口腔内スキャナでスキャンして内部構造を識別する方法の一例を示す図である。
【
図18C】近赤外画像の自動区分の一方法を示す図である。
図18Aは、近赤外波長(例えば、850nm)で口腔内スキャナにより取得された、歯を透過する浸透スキャンからのエッジ検出を示す。
図18B及び18Cは、浸透スキャン上にプロットされた
図18Aのエッジ検出に基づく区分を示す図である。
【
図20C】患者の歯の近赤外画像の区分を示す図である。
図20Aは、近赤外画像のエッジ検出を示す図である。
図20Bは、近赤外画像の区分を示しており、(重なり合う)18個の区分を示している。
図20Cは、
図20Bに示された近赤外画像の更なる区分を示している。
【
図22C】患者の歯の近赤外画像の区分を示す図である。
図22Aは、近赤外画像のエッジ検出を示す図である。
図22Bは、近赤外画像の区分を示しており、(重なり合う)8個の区分を示している。
図22Cは、
図22Bに示された近赤外画像の更なる区分を示している。
【
図24A】
図18A~23Cに示されたものを含む区分画像で形成された、患者の歯の部分的な3次元モデルを示す図である。
【
図24B】
図24Aの3Dモデルの断面図であって、象牙質を含む内部構造を示す図である。
【
図25A】内部構造を含む、患者の顎及び歯のボリュメトリック(又は「ボクセル」)モデルの一例を示す図である。内部構造は、3D表面モデル内の密度マップとして示されている。
【
図26C】患者の歯の(表面構造及び内部構造の両方を示す)ボリュメトリックモデルを生成する為に使用可能な3D表面を形成する方法を示す図である。
【
図27G】表面スキャンに加えて近赤外スキャンを行って患者の歯のボリュメトリックモデルを生成する方法を示す図である。
【
図28B】口腔内スキャナを使用して形成された。患者の歯のボリュメトリックモデルを示す図であって、表面形状(例えば、エナメル質)及び内部(区分)形状(例えば、象牙質)の両方を示す図である。
【
図29A】電気的結合部を有する徹照スリーブとして構成された取り外し可能/使い捨てカバーの、一部が透明な斜視図である。
【
図29B】
図29Aのスリーブを塗りつぶしで示す斜視図である。このスリーブは、口腔内スキャナのワンド部分とともに使用されるように構成されており、浸透波長(例えば、近赤外波長)による徹照を包含するようにワンドを適合させるように構成されている。
【
図30C】電気的結合部を有する徹照スリーブの一例を示す図である。
図30Aはスリーブの支持フレームの一例を示し、
図30Bは、支持フレームと結合された可撓回路及びコネクタを有する支持フレームを示す。
図30Cは、組立が完成した、
図30A~30Bのスリーブを示す。
【
図31A】
図29A~30Bに示されたスリーブの一部として使用される可撓回路及びコネクタの一例を示す図である。
【
図31B】
図31Aに示された可撓回路の、LEDハウジングを含む遠位端部分の一例を示す図である。
【
図31C】スリーブのコネクタ部分の一例を示す図である。
【
図32B】
図29A~30Bに示されたようなスリーブの遠位端のLED位置決め器及び遮光器部分の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0105】
本明細書では、被験者の口腔内領域(例えば、1つ以上の歯、歯肉、顎等)の3次元(3D)モデル(これは歯の内部形状を含んでよく、更に表面のモデルを含んでよい)を生成する口腔内スキャナ、並びに、そのようなスキャナの使用方法について説明する。例えば、
図1Aは、表面形状及び内部形状の両方を有する3Dモデルを生成するように、本明細書に記載のように構成又は適合されてよい口腔内スキャナの一例101を示す。
図1Bに概略的に示されるように、一例示的口腔内スキャナがワンド103を含んでよく、ワンド103は、操作者(例えば、歯科医、歯科衛生士、技師等)が手で保持することが可能であり、被験者の1つ以上の歯の上を動いて表面構造及び内部構造の両方をスキャンすることが可能である。ワンドは、1つ以上のセンサ105(例えば、CMOSなどのカメラ、CCD、検出器等)と、1つ以上の光源109、110、111とを含んでよい。
図1Bでは3つの光源、即ち、第1の光源109、第2の光源(カラー光源)、及び第3の光源111が示されており、第1の光源109は、表面形状の検出の為の第1のスペクトル範囲の光(例えば、可視光、単色可視光等。この光は可視光でなくてもよい)を発光するように構成され、第2の光源(カラー光源)は、例えば、400~700nm(例えば、約400~600nm)の白色光であり、第3の光源111は、(例えば、総称して(例えば、近赤外線での)浸透画像化と呼ばれることがある徹照、小角度浸透画像化、レーザ蛍光等による)歯の内部形状の検出の為の第2のスペクトル範囲の光を発光するように構成される。
図1Bには複数の照明光源が別々に示されているが、変形形態によっては、切り換え可能な光源が使用されてよい。光源は、LED、光ファイバ等を含め、任意の適切な光源であってよい。ワンド103は、制御(例えば、ワンドのオンオフ等)を支援する1つ以上の制御手段(ボタン、スイッチ、ダイヤル、タッチスクリーン等)を含んでよく、代替又は追加として、図示されていない1つ以上の制御手段が口腔内スキャナの別の部分に存在してよく、例えば、フットペダル、キーボード、コンソール、タッチスクリーン等が存在してよい。
【0106】
一般に、任意の適切な光源が使用されてよく、特に、検出されるモードに適合する光源が使用されてよい。例えば、これらの装置はいずれも、(例えば、680nm又はその前後の、或いは他の適切な波長での)表面検出の為の可視光源又は他の(非可視光源を含む)光源を含んでよい。カラー画像化の為のカラー光源、典型的には可視光源(例えば、「白色光」光源)も含まれてよい。更に、浸透画像化の為の浸透性光源(例えば、赤外光源、例えば、具体的には、近赤外光源)も含まれてよい。
【0107】
口腔内スキャナ101は、1つ以上のプロセッサを含んでもよく、これらのプロセッサは、リンクされたプロセッサ又はリモートプロセッサを含み、スキャンの調整を含むワンド103の動作を制御し、レビュー時及び処理時には、表面形状及び内部形状を含む3Dモデルのスキャン及び生成を制御する。
図1Bに示されるように、1つ以上のプロセッサ113は、スキャンデータ(表面データ、内部形状データ等)を記憶するメモリ115を含んでよく、或いは、メモリ115と結合されてよい。システムのコンポーネント(ワンドを含む)又は外部コンポーネント(外部プロセッサを含む)と通信する為の、無線又は有線の通信回路を含む通信回路117も含まれてよい。例えば、システムは、スキャン又は3Dモデルの送受信を行うように構成されてよい。情報を出力又は提示する為に、1つ以上の追加出力119が含まれてもよく、例えば、ディスプレイ画面、プリンタ等が含まれてよい。上述のように、入力121(ボタン、タッチスクリーン等)が含まれてよく、この装置は、スキャン及び他の動作を制御する為のユーザ入力を可能にでき、或いは、そのようなユーザ入力を要求できる。
【0108】
本明細書に記載の装置及び方法はいずれも、エナメル質及び/又は象牙質の亀裂、カリエス(虫歯)、損傷等のような内部構造を探すスキャン、及び/又はそのような内部構造の識別を行うことに使用されてよい。従って、本明細書に記載の装置はいずれも、浸透波長又は浸透波長のスペクトル範囲を使用して内部構造を検出する為に使用可能なスキャンを実施するように構成されてよい。又、本明細書では、亀裂、カリエス、及び/又は損傷、或いは他の内部形状(例えば、歯科充填物等)を検出する方法についても説明する。様々な浸透スキャン手法(浸透画像化)が用いられてよく、或いは装置に組み込まれてよく、そのような手法として徹照及び小角度浸透画像化があり、これらに限定されず、これらは両方とも、組織からの、又は組織を透過する(例えば、1つ以上の歯からの、又はそれらの歯を透過する)浸透波長の光の経路を検出する。
【0109】
徹照は、歯の内部形状を知る為に用いられてよい一手法である。従来、歯の徹照の為の基本構成は2つある。
図2A及び2Bは、それらの構成、即ち、180°構成及び90°構成を示す。両構成とも、歯の内部の可視化に使用可能であり、主にエナメル質を通しての可視化に使用可能である。
図2Aに示されるように、180°構成では、(1つ以上の浸透波長のスペクトル範囲を含む)浸透波長が、光源203から発光され、歯201の一方の側から伝えられ、反対側にあるセンサ205(例えば、カメラ)が、歯を透過した光を検出する。この光は散乱することも吸収されることもない。同様に、
図2Bでは、歯201は、両側が光源(203、203’)からの光で照明され、両光源に対して90°の向きにあるカメラ205が、光源に対して直角の角度で光を検出する。徹照は、典型的には、(X線を使用する場合と同様に)歯の内部の画像を捕捉する為に単一投影型の使用に限られてきた。本明細書では、浸透波長(例えば、700~1300nm、700~1090nm等、例えば、850nm)を使用して、1つ以上の歯に対して相対的なスキャナの単一位置から、且つ/又は歯に対して相対的なセンサの複数の角度に関して、複数の投影又は方向づけを取得して(具体的には、画像化される各内部領域に対して3つ以上の方向づけ又は投影が採用されてよい)、エナメル質~象牙質領域を可視化する方法及び装置について説明する。複数(例えば、3つ以上)の投影を採用することにより、よりよい画像化を行うことが可能であり、これは、1つ以上の歯に対して相対的なワンドの特定の位置から、歯を透過する複数(例えば、3つ以上)の画像を生成できる為である。1つ以上の180°投影を行うことは、光の伝搬距離が短く、光の散乱が少ない場合には有用でありうるが、同じ場所からの異なる複数の投影(方向づけ)を(例えば、互いに対して数ミリ秒以内の、ほぼ同じスキャン時間で)組み合わせれば、システムがエナメル質~象牙質領域のボリュメトリックモデルを構築することを可能にすることができる。
【0110】
90°構成及び/又は180°構成の投影を行う変形形態では、口腔内スキャナは、この構成において徹照画像化を行うように適応されてよい。例えば、
図2C及び2Dは、90°及び180°での徹照画像を収集するように適合された口腔内スキャナのワンドの遠位端の一例を示しており、ワンド213は、それぞれが光源(LED)とカメラの組み合わせ217を収容している突起又はウィング215のペアを含む。
図2C及び2Dでは、ワンドの両ウィング及び基部は、光源及びセンサ(カメラ)を含んでよく、これにより、
図3A~3Cに示されるように、歯に対して相対的なワンドの単一位置から少なくとも3つの徹照画像を取得することが可能である。
図3Aでは第1の向きが示されており、右側のLED303がオンになって、左側にあるカメラ305による検出/捕捉(180°)の為に歯を透過する照明が行われる。
図3Dは、
図3Aと同様に、光が、右側から印加されて歯の内部に伝わり(矢印)、歯を透過してカメラセンサ305(本明細書では画像センサ、カメラ、又は単に「センサ」とも呼ばれる)に達するか、内部領域から散乱する様子を示している。カメラセンサと照明源の向きは交換されてよい。
図3Bでは左側のLED303’がオンになって、右側にあるカメラ305’による検出/捕捉(180°)の為に歯を透過する照明が行われる。
図3CではLED303、303’の両方がオンになって、右側及び左側の両方から照明が行われ、LEDの軸から90°外れて位置するカメラ305’’が徹照画像を捕捉する。
【0111】
一般に、上述のような徹照画像化データは、歯の3D表面データ(例えば、3D表面モデルデータ)と組み合わされてよく、且つ、これと同時に収集されてよく、それにより、カリエスや亀裂などの内部構造の上にデータ層を追加することが可能になる。更に、上述のように(複数の向きから得られる)複数の投影を用いることにより、歯のエナメル質の内部構造のボリュメトリックモデルの再構築を可能にすることができ、これによって、他の方法では可視にならないであろう形状を示すことが可能になる。
【0112】
歯の徹照の90°構成及び180°構成は有用でありうるが、特に有用でありうるのは、発光される光線(ベクトル)と受信される光線(ベクトル)との間の角度が非常に小さい(例えば、0~30°、0~25°、0~20°、0~15°、0~10°等である)浸透画像化構成を設ける場合である。特に、0~15°(又は0°を含まない0~15°)の角度が有用でありうる。
【0113】
180°構成及び90°構成での徹照では、口腔内スキャナワンドの可動範囲が歯の周辺に限定される場合があり、これは、(
図2C及び2Dに示されるように)それらの構成における光源に対するカメラの角度制限の為である。そこで、本明細書では、0~15°を含む小角度を使用する(例えば、エナメル質~象牙質領域の)浸透画像化/可視化の方法及び装置についても説明する。一例では、カメラの視野角に対して0~15°の小角度で視線ベクトルを有して、浸透性スペクトル範囲(例えば、850nm)を発光する光源(LED)が使用される。上述のように、この浸透画像化は、同時に行われる歯の3D表面モデル化と組み合わされてよい。光源とカメラの相対位置は典型的には既知であり、ワンドの各位置において1つ以上の浸透画像を取得することが可能である。ワンドで使用可能な視線ベクトルが小角度であることから、口腔内スキャナワンドは、ほんのわずかのカーブを有するように構成されてよく、これによって、口腔内スキャナワンドが口腔内にフィットして、口腔内を容易に動き回ることが可能になり、この点は、90°及び180°の徹照を測定するように構成されたワンドとは異なる(そのようなワンドは、ワンドが画像化の為に歯を包み込むこと(例えば、
図2Cを参照)が可能なように、側方ウィングを含むデバイス形状を用いてLED及びセンサを保持することが可能である)。小角度反射画像化を用いることにより、頬方向及び舌方向のスキャンを可能にすることができ、一方、本明細書に記載の90°(徹照)スキャンは、咬合方向のスキャンに限定されることになる。
【0114】
小角度を用いて浸透画像化を行うことは、歯の周囲で無制限に動けるようにワンドを使用して歯の内部を画像化することを含んでよく、専用の構造及び/又は動作モードを必要とせずに、3D(表面)モデルデータの為のスキャンも行いながら内部構造データを捕捉することを可能にすることができる。しかしながら、発光される光と検出器との間の角度を小さくすることは、直接反射によって複雑になる可能性もある。例えば、直接反射は、歯の表面の(例えば、光錐及び画像化NAにおいて)照明の角度と画像化の角度とがほぼ等しい領域で発生する可能性がある。このような直接反射は、それらがセンサを飽和させる場合、或いは、それらが表面情報を示すものの深部の構造情報を曖昧にする場合に問題でありうる。このような問題を克服する為に、本明細書に記載の、それらを使用する装置及び方法は、同じ位置から得られる複数の照明方位を捕捉して使用することが可能である。本明細書において、手持ち式ワンドの文脈では、同じ位置から複数の画像を取得することは、実質的には、複数の画像をほぼ同時に取得することを意味してよく、それにより、顕著な量の動きは起こらない。例えば、複数の画像が互いに対して数ミリ秒以内(500ミリ秒未満以内、400ミリ秒未満以内、300ミリ秒未満以内、200ミリ秒未満以内、100ミリ秒未満以内、50ミリ秒未満以内など)に取得されることが可能であるか、且つ/又は小さな動きが補正されることが可能である。
【0115】
代替又は追加として、本装置及び/又は本方法は、非飽和画素のみを使用することにより、直接反射による飽和から発生する問題を軽減又は排除することが可能である。幾つかの変形形態では、処理の一環として、浸透画像から表面情報を差し引いてよい。例えば、直接表面反射を除去する為に、可視光画像(「ビューファインダ画像」)又は表面画像化が用いられてよい。
【0116】
全般的には、本明細書に記載の装置(例えば、システム)は、表面スキャンに基づいて常にワンドの位置を認識することが可能であり、これは、異なる複数の(更には小さい)角度で画像を取得する場合であっても可能である。従って、表面スキャン及び浸透スキャンが、これらのスキャンと他のスキャン型とをインタリーブすることを含めて、同時又はほぼ同時に(例えば、互いに対して600ミリ秒、500ミリ秒、400ミリ秒等以内に)行われる場合には、スキャンされている物体に対して相対的なワンドの位置が認識されてよい。本装置は、この情報に基づいて、複数の画像又は信号のどの部分が表面から届いているか、並びに深部構造からは何が届いているかを推定することが可能である。
【0117】
図4Aは、浸透性光源403、403’(例えば、浸透性のスペクトル範囲の光源)と、標的物体(歯401)の周囲のそれぞれ異なる位置に示されている、口腔内スキャナワンドの一部として使用可能な1つ以上のカメラ405からなる構成の一例を示す。
図4Aでは、3つのカメラ位置が示されており、各位置では各カメラの両側面にLEDのペア(例えば、403及び403’)が配置されており、それらのLEDは、浸透性スペクトル範囲(浸透波長)の光を発光する。代替として、ペアの代わりに単一の光源(例えば、LED)が使用されてよい。歯に対して相対的な、様々なワンド位置において、浸透性モダリティによるそれぞれ異なる画像が取得されてよい。代替として、ワンドが、複数の画像化センサ(カメラ)及び複数の光源を有して、(例えば、1つ以上のLEDの方向から照明する際に複数のセンサをオンにすること(例えば、
図5G及び5E等)により)複数の浸透画像がほぼ同時に取得されることを可能にするように構成されてよい。
図5A~5Iでは、図示されるように、少なくとも9つの異なる方向の浸透画像が取得されてよい。代替又は追加として、非常に短い期間(例えば、500ミリ秒未満以内、400ミリ秒未満以内、300ミリ秒未満以内など)の間などに複数の向きが順次用いられてよい。
【0118】
図4B~4Fは、半透明で散乱が強い領域を有する物体(例えば、歯)の内部画像の取得に使用可能な任意の浸透波長で使用される他の発光器及び検出器を示す。これらの画像は、典型的には、反射モードを収集する(例えば、浸透波長の光であって、歯の内部に伝わり、内部構造から散乱/反射して検出器で収集されることが可能な光を収集する)。
図4Bでは、古典的な(例えば、90°。180°の)徹照角度と小角度照明角度とが組み合わされている。
図4C~4Fでは、発光されて収集される光線は、角度が非常に小さく(例えば、約0°)、発光器403、403’と検出器405のアセンブリ(例えば、CMOS、CCD等)とを、
図4Cに示されるように互いに隣接させて配置するか、
図4Dに示されるように互いに組み合わせて配置するか、或いは単に、
図4E及び4Fに示されるように共通又はほぼ共通のビーム経路を共用すること(この場合は、発光される光及び/又は受光される光を誘導する為に、ビームスプリッタ(ダイクロイックビームスプリッタ)及び/又はフィルタの使用を含め、反射又は導波路を使用してよい)により収集されてよい。
【0119】
上述のように、CMOS又はCCDカメラ、又は他の任意の、該当する波長を検出することが可能なセンサ(例えば、近赤外波長検出器)を含む、任意の適切なセンサが使用されてよい。
【0120】
センサ(カメラ)のすぐ近くから浸透照明を当てることは、カメラに最も近い領域の照明を最も強くする可能性があり、従って、照明の分布を不均一にする可能性があるが、これは、意外なことに、予想されるほどの問題にはならない。浸透画像化が行われる状況では、捕捉画像を生成する光は物体を通り抜けて伝搬し、その経路が長いほど、発生する散乱が長くなり、結果として、直接照明に比べて、照明よりなだらかになる。前方照明の場合、小角度照明の結果として、光量が最強になるのは、照明源(例えば、LED)に最も近い領域であり、これは後方散乱を引き起こす。この近傍領域(例えば、最初の1~2mm)は、カリエスを検出する為の重要な領域である。しかしながら、上述のような、結果として生じる照明プロファイル分布の不均一を補償することが望ましい場合もある。
【0121】
浸透画像化、そして特に小角度照明/画像化(反射画像化と呼ばれることもある)を用いることにより、他の方法では得られないであろう、歯の内部領域(例えば、亀裂、カリエス、損傷等)の情報を得ることが可能である。内部形状(又は内部領域)情報は3Dモデルに組み込まれてよく、このことは、表面情報(例えば、3D表面モデル又は深度情報)と組み合わされる場合に特に強力である可能性がある。これにより、様々な角度からデータを捕捉して歯の内部の3Dモデルを与える為の、歯の周辺での無制限の動きを可能にしながら、ユーザが3Dスキャン処置の間に診断データをシームレスに捕捉することが可能になりうる。
【0122】
表面データと内部形状データとを組み合わせる
上述のように、3D表面データと、いずれかの内部形状データ(浸透画像化データを含み、これに限定されない)とを組み合わせること、及び/又は連係させることが特に有用でありうる。例えば、浸透画像化データなどの内部形状データと、口腔内スキャナの同じ又はほぼ同じ位置から収集された表面データ(表面画像化データ)とを、両タイプのデータに同じ座標系を適用できるように組み合わせてよい。
【0123】
上述のように、様々な表面形状及び内部形状を捕捉する為に2つ以上の異なるスペクトル範囲で発光する照明装置を、
図1Aに示されたようなカラー3D口腔内スキャナに装備してよい。収集されたデータ(例えば、表面データ及び内部形状データ)を相関させ、組み合わせることにより、歯の内部構造だけでなく、損傷、老朽化、エナメル質不完全骨折などの情報を含む3Dモデルを形成することが可能である。内部形状データは、任意の適切な浸透画像化手法で収集されてよく、そのような手法として、上述の反射(例えば、小角度)照明及び画像化手法や徹照画像化手法があり、或いは他の、当該技術分野において知られている手法で収集されてよく、そのような手法として、UV/青色蛍光及び赤色光蛍光があり、これに限定されない。
【0124】
内部形状データは、歯のカラー3D表面モデルデータを含む表面データとともに収集されてよく(且つ、損傷及び内部歯構造の画像を含んでよく)、それらの表面データと組み合わされてよい。表面データと内部データの組み合わせは、3Dモデル又は3Dレンダリングとして表現されてよく、これは、損傷及び歯内部構造、並びに歯、歯肉、及び他の任意の、口腔内領域のスキャンされた部分の表面のフルカラー3Dデータ(モデル及びレンダリングを含む)を含んでよい。しかしながら、変形形態によっては、内部データと表面データの広がりが同一である場合があり、変形形態によっては、表面データの広がりが内部データの広がりより大きい場合があり、例えば、3Dモデルが3Dモデルの一部分についてのみ内部データを含んで、他の領域が内部形状を含まない(又は不完全な内部形状のみを含む)場合がある。
【0125】
運用時には、表面要素及び内部要素の両方を含む、1つ以上の歯の3Dモデルが自動的に、又は手動で分析されてよく、内部形状の識別及び/又はマーキングが行われてよい。例えば、損傷、カリエス、及び/又は亀裂に対して、色分けを含むラベル付けが行われてよく、これは、例えば、提供可能な1つ以上の画像において表されるか、且つ/又は、それらの画像を表示する為に生成されるデータファイルの一部として表される、損傷、カリエス、及び/又は亀裂のタイプ及び危険度に応じて行われてよい。代替又は追加として、これらの発見の意味/説明が書き込まれてよい。
【0126】
本明細書に記載のように表面構造及び内部構造の両方を含む3Dモデルを生成する口腔内スキャナは、1つ以上の画像センサを含んでよい。例えば、画像センサは、カラー3D(表面)画像又はデータを捕捉するように構成されてよく、損傷及び歯内部構造の画像も捕捉してよい。任意選択又は追加で、本システムは複数のセンサを有してよい。表面データは、任意の適切な様式で口腔内スキャナを使用して取得されてよい。口腔内スキャナは、一般に、(ワンドによる)スキャンを表面画像化モード及び内部画像化モードの両方で(例えば、同時に)行うように構成される。例えば、表面データの捕捉は、カラー口腔内3Dスキャナを使用して、共焦点立体視、又は構造化光三角測量、或いは他の任意の、口腔内スキャンが可能な3D表面スキャン技術により行われてよい。
【0127】
図10A及び10Bに示されるように、(第1のモダリティ(例えば、表面スキャン)の為の光源、第2のモダリティ(例えば、浸透画像化などの浸透性画像化)の為の光源、及び/又は第3のモダリティ(例えば、カラースキャン)の為の光源を含む)照明光源は、(例えば、スキャンされる物体の近く、又はスキャナヘッド内部の)口腔内スキャナワンドの前方先端部に配置されてよい。前方先端部の照明構成は、所望の診断機能に好適な任意の特定光源の有無にかかわらず、用途のニーズに応じて、前方先端部を変更することによって構成可能であってよい。光源とセンサ(例えば、カメラ)は、
図10A~10B及び
図4に示されたものを含めて、任意の適切な様式で配置されてよい。例えば、光源とカメラは隣り合ってよい。変形形態によっては、本システム及び方法では、(例えば、前方先端部に巻き付けられた)小型センサ1005、1007を使用して、立体的な3D内部形状データ(例えば、画像)を捕捉し、且つ/又は、より効率的な様式での浸透画像化を促進する。
【0128】
上述のように、変形形態によっては、損傷/内部歯構造捕捉方法は、徹照、赤色光レーザ蛍光、青色/UVレーザ蛍光等のうちの1つ以上を含む、歯を透過する任意の複合浸透画像化であってよい。一般に、内部形状データは、歯構造の3D表現を再構築する為に、表面データの座標系を含む表面データと組み合わせて使用されてよい。例えば、歯データの3D再構築は、本明細書に記載の内部形状画像化手法のいずれかを用いて、典型的には幾つかの異なる角度又は向きで取得される幾つかの(例えば、複数の)2D画像を組み合わせるアルゴリズムによって再構築されてよい。
【0129】
特に、表面形状及び内部形状の両方を有する、1つ以上の歯の3Dモデルを含む、口腔内スキャナで捕捉されるデータは、本装置によって記憶されてよく、且つ/又は、医師、医療記録、歯科医などに送られてよい。例えば、口腔内スキャナで捕捉される全てのデータ、即ち、歯の損傷のトポグラフィと内部歯構造とを組み合わせたカラー3Dモデルが、患者の口腔の健康状態の長期にわたるモニタリング及び保全の為に指定された患者データベースに保持されてよい。これらのデータには、(日付、及び/又は内部形状を参照するマーキングを含む)注釈が付けられてよく、付けられなくてもよい。
【0130】
例えば、時間的に長期にわたる比較は、本明細書に記載の3Dモデルを使用して1つ以上のレベルで行われてよく、例えば、表面の変化、視覚的な色変化、内部/ボリュメトリック変化、又はこれらの任意の組み合わせを時間をまたいで比較することによって行われてよい。例えば、それぞれは、(例えば、手動評価、又は自動的な差分比較により)変化前及び変化後として示されてよい。幾つかの実施形態では、ディスプレイ上で2つ以上の3Dモデルが互いに重ね合わされて、3Dモデル間の差が強調表示されてよい。重ね合わされるモデルは、例えば、エナメル質の厚さ、象牙質の体積、色、不透明度の変化、及び/又はカリエスの大きさの増減を強調表示することに役立ちうる。任意選択で、早い時期の患者の歯の状態の3Dモデルが、後の時期の患者の歯の状態の3Dモデルまでモーフィングされてよく、これは、時間とともに患者の歯の状態が変化した場合にそれを強調表示することに役立つ。幾つかの実施形態では、3Dモデルの時系列を、1つのモデルから次のモデルへと漸進的にモーフィングすることにより、患者の歯の状態の変化の動画又はアニメーションを提供してよい。共通座標系に適用又は変換することにより自動比較が行われてよく、これは特に、表面情報を使用して(例えば、生成された3Dボリュメトリックモデルの一部として含まれる3D表面モデルデータに基づいて)行われてよい。典型的には、3タイプ全てのデータ(表面、カラー、ボリュメトリック等)が、既述のように、同じ座標系によって相互接続されてよい。3Dモデルを含む、本明細書に記載の方法及び装置は、全般的には、(例えば、参照によってその全内容が本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2016/0135925号に記載されているように)患者の今後の歯又は歯列矯正の状況を予測する為に用いられてよい。
【0131】
3Dボリュメトリックスキャンを含むスキャンを比較する場合、それらのスキャンは、自動、半自動、又は手動の比較に備えて、互いに対して調節又は正規化されてよい。例えば、1つ以上の歯のスキャン(例えば、顎全体のスキャン、一部のスキャン等)は、100%再現可能でなくてよく、特に、ボクセル解像度を超える精度まで再現可能でなくてよい。ボクセルごとの比較を行う場合には、より直接的な比較を可能にする為に、一方又は両方のスキャンにマッチング機能及び/又はモーフィング機能が適用されてよい。例えば、マッチング機能及び/又はモーフィング機能が用いられてよい。モーフィング機能は、外部表面同士を突き合わせて位置合わせすることにより、ボクセルごとの比較を可能にすることができる。これにより、全体スキャンと部分スキャンとの比較を可能にすることもできる。
【0132】
上述のように、一般に、捕捉されたデータは、同じ座標系に記憶及び保存されてよい。従って、(3D表面モデルデータを含む)表面データが、ある座標系(例えば、x、y、z。従って、3D表面モデルはS(x,y,z))を使用してよく、内部形状データが、同じ座標系を使用又は参照してよい(従って、例えば、内部形状データはI(x,y,z))。従って、共通の形状又は構造は、両データセット間で同じアドレス(座標)を有することになる。
【0133】
図6は、表面データ及び内部形状データを使用して1つ以上の歯の3Dモデル又は3Dレンダリングを生成する方法の一例を示す図である。この例では、最初に、手持ち式口腔内スキャナワンド(スキャナ)が、スキャン対象の標的口腔内領域に隣接して配置されてよい(601)。スキャンが開始されると、本装置は、第1の座標系において、深度情報を含む表面データ(例えば、3Dモデル表面データ)を収集してよい(603)。表面データは、典型的には、第1の照明スペクトル(例えば、可視光(例えば、単色光又は広帯域光))を使用して試料に照明が当てられている間に収集されてよい。内部形状データも収集されてよく、これは、例えば、1つ以上の歯の内部に浸透する第2の照明スペクトル(これは単一波長又は小さい波長範囲だけを含んでよい)を使用して行われてよい(605)。このデータは、表面データと同じ座標系を使用してよく、これは、後で詳述されるように実現されてよい。収集後、データの分析、及び/又はフィルタリング(差分、平滑化等を含む)、並びに結合が行われて、表面データ及び内部形状データの両方を使用して、口腔内(例えば、1つ以上の歯、歯肉、顎等)の3Dモデルレンダリングが形成されてよい(607)。例えば、(典型的には本質的に2次元である)内部形状データの3Dジオメトリを構築する場合に、本アルゴリズムは、既知の3D表面スキャンへの参照を使用して内部形状データの精度を高めることが可能である。
【0134】
一般に、本明細書に記載のいずれの装置及び方法においても、605で収集される内部形状データを使用して、内部形状を含む、1つ以上の歯のボリュメトリックモデルを再構築することが可能である。特に、トモグラフィ再構築(例えば、光トモグラフィ)が用いられてよい。フルボリュメトリックモデル化が行われてよい。典型的には、物質特性及び使用される光に応じて、全ての浸透光線の屈折、反射、散乱、及び/又は吸収(これらの組み合わせを含む)が行われてよい。変形形態によっては、本方法及び/又は本装置は、歯のボリュームを小さいボクセルに分割し、各ボクセルについて、これら4つのパラメータ(屈折率、反射、散乱、吸収)の推定を、表面データの座標系に対応する座標系を使用して、収集される画像化データに基づいて行ってよい。(例えば、非等方性散乱又は複雑な表面散乱に基づく)より複雑なモデルが使用されてもよい。各ボクセルについてのパラメータセットが推定された後、本方法又は本装置は、捕捉された画像がこのモデルにいかによく当てはまるかを比較することが可能である。従って、変形形態によっては、本装置及び/又は本方法は、捕捉された画像と、モデル化され、予測された画像との差を最小化しようとする場合がある。エナメル質のパラメータ及び幅の推定を含む初期推定が、3D表面の捕捉結果から構築されてよい。
【0135】
代替又は追加として、多面モデル化が用いられてよい。多面モデル化では、物質の(場合によっては均質な)光学特性のセットを仮定し、例えば、例えば、空気、象牙質、及びエナメル質に関する特性のセットを仮定する(ただし、これら3つより多くを含んでよい)。この手法は、物質間の境界を発見しようとすることが可能である。これを達成する方法は複数あり、例えば、フルボリュメトリックモデル化に関して上述された手法によく似た手法であるが、ボクセル表現を用いない手法がある。代替又は追加として、輪郭線法が用いられてよく、この方法では、3D表面の捕捉結果から第1の(例えば、空気とエナメル質の)境界が与えられ、次に、2D浸透画像において領域のエッジを発見することによって、このシルエットに最もよく当てはまる滑らかな3D表面を近似することが可能である。例えば、参照によってその全内容が本明細書に組み込まれている「共役勾配法を用いて位置合わせされた2D画像におけるシルエット点からの3D形状(3D Shape from Silhouette Points in Registered 2D Images Using Conjugate Gradient Method)、(Andrzej Szymczaka、William Hoffb、Mohamed Mahfouzc等)」を参照されたい。輪郭以外では、当該技術分野において知られているように、他の形状、類似点、コーナーが使用されてよい。これらの形状は、それぞれ異なる視点から検出されてよく、三角測量によって3Dで位置特定されてよく、それらは境界の一部である。
【0136】
実際には、表面データ及び内部形状データを同じ座標系に記録することは、表面形状及び内部形状の両方を同位置及び/又は同時刻にスキャンすることによって達成可能である。上述のように、ユーザが制御する手持ち式口腔内スキャン装置(例えば、ワンド)の場合には、同じ領域を異なる複数の時点に異なる複数の波長でスキャンすることが困難な場合がある。従って、本明細書に記載の装置及び方法はいずれも、異なる複数のモダリティ又はモードでのスキャン(例えば、表面データスキャン、及び/又は内部形状/浸透データスキャン)を調整することが可能である。
【0137】
例えば、
図7は、口腔内スキャナが表面スキャンと他の1つ以上のスキャンモダリティ(例えば、内部形状スキャン(浸透画像化スキャンなど))とを交互に行う一方法を示す。
図7では、スキャナを、モデル化対象の標的口腔内構造に隣接して配置し(701)、その後に、ワンドを標的の上方で動かしてよく、その間に、本装置が標的を、表面データ及び内部データの両方に関して自動的にスキャンする(703)。本方法の一環として、本システムは、第1のモダリティ(例えば、適切な波長又は波長範囲の発光による表面スキャン)を使用して歯の一部をスキャンして表面データ(例えば、3D表面モデルデータ)を収集すること(705)と、第2のモダリティ(例えば、浸透波長)によるスキャンを行うこと(707)と、を交互に行ってよい(切り換えてよい)。本方法及び本装置は、第1のモダリティでの適切な継続時間の後に、短時間だけ第2のモダリティ(例えば、浸透波長又は浸透波長範囲)に切り換えて、物体の、表面モードでスキャンされた領域とほぼ同じ領域にわたって短時間(第2の継続時間)の間に内部形状データを収集してよい(707)。第2の継続時間が適切な短さ(例えば、500ミリ秒未満、400ミリ秒未満、300ミリ秒未満等、200ミリ秒未満、100ミリ秒未満、50ミリ秒未満等)である限り、切り換え時には、2つのモダリティの間の座標系はほぼ同じであり、ワンドはほぼ同じ位置にある。代替又は追加として、本方法及び本装置は、内部データの収集の直前及び直後に収集される表面データ情報に基づいて、表面に対するワンドの相対位置を外挿してよい。従って、
図7のステップ703に示されたものを含めて、本明細書に記載の方法のいずれにおいても、本装置は、各スキャン(例えば、第1のモダリティスキャン(例えば、表面スキャン)、第2のモダリティスキャン(例えば、浸透性の、例えば、1つ以上の近赤外スキャン)、及び第3のモダリティスキャン(例えば、カラースキャン)等)の間の位置を内挿してよい。この内挿により、スキャン中のワンドの、小さいながらも潜在的に無視できない動きを補正することが可能である。特に、表面構造と内部構造との間の調整を行う場合には、スキャンは手動で実施され、各スキャン画像について、歯の3D位置(又はスキャナワンドに対する歯の3D相対位置)をより正確に近似する為の内挿(及び/又は外挿)が行われる。従って、浸透波長を使用してスキャンされる歯の部分は、浸透スキャンの前後に行われる表面スキャンの間で比例内挿されてよい。例えば、後述される
図8を参照されたい。
図8は、各モードにおけるスキャンの例示的相対タイミングを示している。代替又は追加として、スキャン中の歯及び/又はワンド/スキャナの位置は、(例えば、前の表面スキャンからの表面を横切る変化速度、及び/又はワンド内の動きセンサから推定される)スキャナワンドの移動速度に基づいて、前の表面スキャン位置から外挿されてよい。このようにして各スキャンの座標系(の、例えば、x、y、z位置、及び方位角)を補正することにより、スキャナがユーザによってどのように操られるかにかかわらず、異なるモダリティの画像同士を互いに対して緊密に位置合わせすることが可能になりうる。浸透スキャンでは、複数のスキャンが、同じ相対位置から取得されて、内部形状の再構築に使用されてよく、この座標系の精度により、内部形状のモデル化の解像度をより高くすることが可能になりうる。
【0138】
一般に、浸透波長画像を収集する場合、発光される光と受光される光は、偏光が異なってよい。反射光モードでは、例えば、小角度浸透画像化を用いる場合に、エネルギの一部は浸透性であるが、一部は又、表面から反射される。この直接表面反射を遮ることが好ましい場合があり、これは、偏光を用いることを含めて、任意の適切な方法で行われてよい。例えば、表面反射を遮る為に、試料(例えば、歯)が特定の偏光の浸透波長で照明されてよく、この偏光は、画像化経路において遮られることが可能である。この偏光は、(例えば、180°徹照の場合のように照明器への直接の見通し線が存在する)徹照において照明源からの直接光を遮ることに役立つ場合もある。
【0139】
本明細書に記載の方法及び装置の多くは、表面構造と内部構造とを区別する為のモード切り換えを含むが、変形形態によっては、それらは全く同時に検出されてよく、これは、例えば、ダイクロイックビームスプリッタ及び/又はフィルタを使用して行われてよい。従って、浸透性であり内部反射及び/又は散乱を包含する波長及び/又は偏光を、表面形状だけ(又は主に表面形状)を包含する波長及び/又は偏光から切り離すことにより、表面データは内部形状とは別個に収集及び処理されてよく、これら2つのデータセットは後で再結合されてよい。この手法は、元来、同じ座標系を使用してよい。
【0140】
例えば、
図2Eは、表面スキャン(例えば、可視光、非浸透性)と、近赤外(NIR)波長(この例では850nm)を使用する浸透スキャンの両方を行うように構成された口腔内スキャナの概略を示す。
図2Eでは、スキャナは、歯290の表面から反射される近赤外光(P偏光光)を遮り、その一方で、内部歯構造/領域から散乱される近赤外光(S偏光光)を収集する為に、近赤外照明光源289及び第1の偏光子281、並びに画像センサ285の前に第2の偏光子283を含む。近赤外光源は歯をP偏光で照明し、歯の表面(例えば、エナメル質)から反射される鏡面光は、そのP偏光状態が保存されることから鏡面反射で反射される。象牙質などの内部歯形状に浸透する近赤外光は、散乱してランダム偏光(S及びP)になる。波長選択的4分の1波長板293は、近赤外光の偏光を変更しないが(例えば、送達された近赤外光の偏光状態を不変のままにするが)、表面反射だけがスキャン波長で捕捉されるように、戻りスキャン光の偏光をPからSに変更する。戻り近赤外光は、S偏光とP偏光とが混合しており、最初に偏光ビームスプリッタ(PBS)294及び偏光フィルタ283を通ってフィルタリングされて、S偏光だけが画像センサに送られる。従って、歯内部構造から到来する近赤外S偏光光だけが画像センサで捕捉され、元のP偏光を有する鏡面光は遮られる。他の口腔内スキャナ構成も、
図2Eに示されたような偏光フィルタの有無にかかわらず、プローブの一部として使用されてよい。
【0141】
図2Eでは、表面スキャンは、(スキャナ照明ユニット297を使用して)表面を照明することによって実施されてよく、この照明はP偏光で行われ、偏光は、(S偏光光を画像センサまで透過させる)波長選択的4分の1波長板293によって反転される。
【0142】
図7に示されるように、スキャン方式は、内部形状データを算出する為のスキャンモダリティ(例えば、第2のスキャンモダリティ)の継続時間を含めて、手動又は自動で調節されてよい(709)。例えば、スキャン手順(タイムシェアリング及びシーケンス)はケースごとに変更されてよく、本システムは、高品質スキャン及び/又はより完全な再構築が行われるようにスキャンリソースを自動的に最適化することが可能である。本方法又は本装置は、スキャンデータの品質(例えば、表面スキャンデータの品質)を特定すること(709)が可能であり、それに応じてスキャン継続時間(例えば、第2の継続時間)を調節することが可能である。品質の推定は自動的に行われてよく、例えば、ぼけ、過飽和、又は不飽和等に基づいて行われてよい。例えば、スキャン方式の継続時間は、このモダリティでのスキャンの品質に基づいて動的に調節(例えば、増減)されてよく、このモダリティでの先行するx個のスキャンが(ぼけ、過飽和、不飽和等のうちの1つ以上を定量化する)第1の(例えば、最低限の)品質閾値を下回る場合には、そのモダリティの場合のスキャン継続時間d
iを長くしてよい。スキャンの継続時間が最短継続時間より長く、品質が第2の品質閾値(これは第1の品質閾値と同じであってよく、第1の品質閾値より高くてもよい)を上回る場合には、スキャン時間を短縮してよい。スキャン継続時間を短縮することにより、他のスキャンモダリティの継続時間を長くすること、及び/又はスキャンモダリティの切り換え速度を高めることが可能になりうる。代替又は追加として、モダリティのスキャン継続時間は、再構築される3Dモデルの完全性に基づいて調節されてよい。例えば、3Dモデルのうちのより完全な表面モデルを有する領域(例えば、表面モデルが既に作成済みである領域)をスキャンする場合には、表面スキャンの継続時間を短縮し、浸透スキャン(例えば、近赤外波長を使用する反射スキャン、又は近赤外波長を使用する徹照スキャン)の継続時間を長くすることによって、内部構造の解像度を高めたり、且つ/又は範囲を広げたりすることが可能である。同様に、各モードにおけるスキャンの周波数は、本装置によって動的に調節されてよい。本明細書に記載の方法及び装置はいずれも、これらの欠落した領域又は角度を3Dグラフィカルディスプレイに表示することによって、スキャンを低速化したり、特定角度からのスキャンを追加したりするフィードバックをユーザに与えるように構成されてもよい。
【0143】
図7(例えば、任意選択のステップ708)及び
図8に示されるように、3つ以上のスキャンモダリティが使用されてよい。
図8は、異なる複数のスキャンモダリティを切り換えるように口腔内スキャナを動作させる一例示的方法を示しており、そのようなモダリティとして、表面スキャン801、レーザ蛍光803、カラー可視光スキャン(ビューファインダ)805、浸透スキャン807、UVスキャン等がある。本システムは、最初は、スキャンモダリティの切り換えを、デフォルトのスキャン方式により行ってよい。その後、本システムは、上述のように、各スキャンモダリティから送られてくるデフォルトを(リアルタイムで)分析してよく、データの完全性が低いスキャンモダリティを優先させてよく、これは、例えば、スキャンの周波数を増やしたり、且つ/又は継続時間(d)を長くしたりすることによって行われてよい。幾つかの実施形態では、本システムは、どのスキャンモダリティを優先させるべきかを決定する為に、それらのスキャンモダリティのうちの1つ以上のスキャンモダリティからの収集データを、所定のデータ解像度閾値と比較してよい。例えば、システムは、表面画像化モダリティによって十分な表面データが収集されていること、並びに内部形状データの解像度がまだ不十分であることを確認すると、表面浸透画像化の周波数を増やすか、継続時間を長くしてよい。代替又は追加として、変形形態によっては、スキャンは、様々なモダリティに対して同時に行われてよい。十分なスキャン領域のスキャンが完了したら、それらのスキャンデータを使用して、口腔内領域を全部合わせた3Dモデルがアセンブルされてよい(711)。代替として、3Dモデルは、スキャンの進行中に連続的にアセンブルされてよい。スキャンの周波数809は、
図8のスキャン振幅の周波数で示されており、共焦点スキャンの深度が増えたり減ったりするにつれ、表面スキャンはスキャン振幅の最大時に行われ、浸透スキャンはスキャン振幅の最小時に行われる。深度スキャン809の周波数は、スキャンの途中で動的に増減されてよい。これは、例えば、スキャン継続時間がより長いスキャンを可能にする為であり、或いは、ユーザがワンド/スキャナをより速く動かすことに対応する為である。変形形態によっては、ワンドは、動き速度を検出する為に動きセンサ(例えば、加速度計等)を含んでよく、スキャン速度及び継続時間は、検出されたスキャナの動きに基づいて調節されてよい。
【0144】
図6に示されるように、結果として得られる、表面構造及び内部構造を含む3Dモデルは、被験者(例えば、患者)の健康管理に利する為に様々な様式で利用されてよい。例えば、3Dモデルは、歯の損傷、カリエス、及び/又は亀裂を(自動又は手動で)識別して分析する為に使用されてよい。3Dモデルは、例えば、虫歯を含む損傷のサイズ、形状、及び位置を測定すること、透光性、色、形状に基づいて虫歯のタイプを評価すること、及び/又は、表面照度に基づいて表面の問題のタイプ(例えば、亀裂、虫歯等)を評価することの為に使用されてよい(609)。
【0145】
この3Dデータ(又はこれから導出されるデータ)は、特定の患者に関して経時モニタリングされてよい(611)。例えば、3Dデータは、形状、サイズ、及びタイプの変化を、目視又はアルゴリズムで経時チェックされてよい。
【0146】
一般に、3Dデータには注釈をつけることが可能である。例えば、最初のスキャンの後に臨床医が関心領域にマーキングを行ってよく、その後のスキャンでその領域が手動又は自動で評価されてよい。更に、3Dデータは、治療の支援、或いは治療指導及びモニタリングの提供に使用されてよい(613)。例えば、臨床医が歯の復元を決定した場合には、本明細書に記載のように生成された、表面領域及び内部領域を示す3Dデータを使用して、虫歯部分を確実に除去する為の歯の削減指針を出してよい。処置の途中で、削減に関する更なる指示及び即時フィードバックを医師に与える為の追加の(例えば、中間的な)スキャンが行われてよい。
【0147】
図9A及び9Bは、被験者の口腔内領域の3Dモデル900のレンダリングの一例を示しており、これは、表面(
図9Aの投影では全表面が示されている)と内部構造(
図9Bでは拡大された領域が示されている)の両方を含んでいる。
図9Bでは、850nm光を使用する浸透画像化と3D表面データとの組み合わせで明らかになった暗い領域903が関心領域を示している。関心領域は、カリエス領域や歯牙充填などであってよい。このように画像をマニピュレートすることによって、3Dモデル又は3Dモデルの各領域を回転、ズーム、断面、又は他の形式で観察できることにより、被験者の歯科的ニーズに対する処置及び理解が大幅に強化されることが可能である。
【0148】
深度スキャン
図11A~11Iは、近赤外徹照(「TI」)などの浸透波長を使用する、内部歯構造のボリュメトリックモデル化の一例を示す。この例では歯の中に損傷があり、光が損傷の下方、又は損傷の高さにある場合に損傷を検出することが可能である。光が損傷の下方にある場合、損傷は光を吸収する為、損傷は画像内で暗いスポットとして表示される。
図11Dでは、損傷がある歯が、歯の上方にある(歯の閉塞面の上方に位置する)スキャナセンサ1101とともに示されている。スキャナは、1つ又は(
図11D~11Fに示されるように)2つの光源(発光器)1105、1105’を含み、これらは矢印で示されるように近赤外光を発光する。光は歯に浸透し、センサ1101は、
図11Aに示されるように、損傷による光の閉塞を検出する。
【0149】
スキャナを光源とともに上方に動かすと(即ち、スキャナのワンドを歯の長手方向に高く持ち上げると)、
図11Bに示されるように損傷画像が変化する。これに対応する、歯に対する光源の相対位置が、
図11Eに概略的に示されており、
図11Hのイラストに示されている。スキャナを更に歯の上方に動かすにつれて、損傷を表す暗いスポット1113が縮小し始め、やがて完全に消えて光が飽和する。最終的に、光源1105、1105’が損傷より高くなった時点で暗いスポットが存在しなくなり(例えば、
図11C)、中央の閉塞領域(象牙質)だけが示される。既に上述されたように、歯及び歯肉の外部表面は、別個の光源を使用して同時にスキャンされてよく、これによって歯の3D外部表面が得られ、従って、歯からスキャナまでの距離が得られる。この情報は、上述のように、損傷の深度及び/又は形状をマッピングすることに使用されてよい。
【0150】
そのような深度スキャンは、手動又は自動で実施されてよく、1つ以上の歯のボリュメトリックモデル化(例えば、0度ボリュメトリックモデル化)に対するバックアップ及び/又は代替を提供することに有用でありうる。実際、この、歯の縦方向スキャン(これは(歯の下から上、上から下など)どの方向に行われてもよい)は、象牙質及び/又は損傷の形状及び位置に関する情報を提供しうるボリュメトリックスキャンの1タイプ又はサブタイプとして用いられてよい。
【0151】
例えば、1つ以上の歯の縦方向(z軸)スキャンを、口腔内スキャナ、特に浸透(例えば、近赤外)スキャン波長及び表面スキャン波長の両方を有する口腔内スキャナで行う方法は、ボリュメトリックスキャンの代替方法になりうる。一般に、データは、1つ以上の歯を(z軸方向に)上方又は下方にスキャンすることによって取得可能である。
【0152】
上述のように、記載のスキャン装置の一構成は、1つ以上の歯の内部領域を光学的に画像化することが可能であり、これは、例えば、光源とカメラとの間で、ある角度(例えば、90°)で(側面を透過する)徹照を用いることにより可能である。歯の中に歯のカリエスが存在する場合には、(例えば、徹照において)浸透波長で歯を上方から観察することにより(閉塞観察)、カリエスを閉塞領域として示すことが可能である。カリエスに対する、光源の相対的なz(深度)位置に応じて、カリエスに対応する閉塞領域がx,y画像に現れる。従って、カリエスのz位置及び形状の一方又は両方を特定する為に、上述のように、z軸(深度)を通るスキャンが行われてよい。変形形態によっては、浸透波長を使用するスキャン(又は浸透スキャン及び表面スキャン)の方法の最初に、両側面から照明し、上方から画像化し、可能な限り歯肉線の近くに光源を配置することが行われてよい。この方法は、その後、歯のz軸に沿って上方に動き、歯の閉塞面から離れるように動くことを進めてよい。これにより、(z軸の)様々な深度から光を損傷に当てることが可能になりうる。
図11A~11Cに示されるように、カリエスが、最初は存在するであろうが、スキャナが上方に引き上げられるにつれて、画像化平面(x,y)内で縮小していき、やがて光を遮らないようになる。これらの方法はいずれも、スキャナが上方に動く際の歯の長手方向のz位置を計算又は特定することも可能であり、これによって歯に対する相対深度がわかり、従って、損傷の、エナメル質層からの深度が分かる。この情報から、損傷の寸法(例えば、損傷がz位置方向にどれだけ遠くまで延びているかの推定値)も特定されることが可能であり、又、幅及び広がり(例えば、x,y方向にどれだけ遠くまで延びているか)も特定されることが可能である。この情報は、歯及び損傷全体のモデルを提供する為に、歯の外側形状を示す表面3Dモデルとともに用いられてよい。
【0153】
従って、浸透波長(例えば、近赤外波長)と非浸透(表面スキャン)波長の両方を使用して、歯の外部構造及び内部構造の両方のモデルを決定することが可能である。1つ以上の歯の内部構造の深度及び/又は寸法を特定する為には、歯のz軸方向の深度スキャン(更には不連続スキャン)が特に有用であろう。本明細書に記載の方法のいずれにおいても、上述のように、歯の3Dスキャンは、(深度を含む)浸透スキャンと同時に実施されてよい。
【0154】
従って、本明細書に記載の歯のスキャン方法のいずれにおいても、その方法は、スキャンごとに深度(z)寸法を特定して、歯に対する光源(例えば、近赤外光源)の相対深度を示すステップを含んでよい。この情報は、浸透スキャンと対応/相関する3D表面スキャンによって与えられてよい。(例えば、スキャナがz軸方向にどれだけ動いたかを示す)深度情報が、実質的なボリュメトリック情報を提供することが可能である。
【0155】
上述のように、本明細書に記載の深度(z)スキャンは、手動又は自動で実施されてよい。例えば、このスキャンは、ワンドを手動で歯に沿って上方にスキャンさせることにより実施されてよい。スキャン中に、3D表面モデル化及び内部モデル化/画像化の両方が同時に、連続的に実施されてよい。スキャンは、任意の適切なレート(例えば、毎秒20スキャン)で行われてよい。従って、ユーザは妥当な速度でスキャンを行ってよく、出力は、損傷を表示することを含めてリアルタイムで行われてよく、且つ/又は損傷(及び他の任意の内部構造)は、後で、ソフトウェアによる分析が行われてから表示されてよい。一例では、(レーザによる)表面スキャンが約35ミリ秒の期間にわたって行われ、その後に、カラー、近赤外等を含む他のタイプの画像化の為の15ミリ秒の窓が続いてよいように、同時スキャンが行われてよく、そして、スキャン期間の間はこれが繰り返されてよい。幾つかの例では、その15ミリ秒の窓の中で近赤外スキャンが5ミリ秒にわたって行われてよい。サンプリングはより短いこと(例えば、20ミリ秒未満、15ミリ秒未満、12ミリ秒未満、10ミリ秒未満、7ミリ秒未満、5ミリ秒未満等であること)が有利である場合があり、これは、それによって画像の汚れを低減できる為である。しかしながら、スキャン時間を短縮することは、より大きなエネルギを必要とする可能性があり、例えば、より大きな電力/電流が浸透光源に必要になる可能性がある。画像化データは、ずっと収集されてよい。代替として、スキャン(例えば、表面スキャン、近赤外スキャン、カラースキャン等)は、より長い期間、又はより短い期間にわたって行われてよく、且つ/又は同時に行われてよい(例えば、レーザ表面スキャンと近赤外スキャンとが、別々の発光器/検出器を使用して同時に行われてよい)。このようにして、例えば、表面スキャン及び浸透スキャン、又は他の任意の異なるタイプのスキャンを同時に行うか、短時間(200ミリ秒以内、150ミリ秒以内、100ミリ秒以内、50ミリ秒以内等)に切り換えて行うことにより、上述のように、表面(例えば、3D)型構造と内部構造との間で調整を行うことを可能にすることができる。
【0156】
散乱係数を使用して内部構造を画像化する
本明細書では更に、(物体に対して相対的な)カメラの位置が与えられている、物体を透過した複数の浸透性画像(本明細書では「浸透画像」とも呼ぶ)に基づいて、歯又は他の半透明で散乱が強い物体の内部構造の画像を生成する方法及び装置について説明する。従って、これらの方法及び装置は、外部表面のモデルを必要とせずに内部構造の(3次元モデルを含む)画像を生成することが可能である。
【0157】
例えば、本明細書では、歯などの、半透明で散乱が強い領域を含む物体のボリュメトリック構造を再構築する方法及び装置(コンピューティング装置で可読な媒体を含む)について説明する。より具体的には、これらの装置(例えば、システム)及び方法は、歯の中の象牙質のような、物体の内部構造を再構築する手法を提供することが可能である。
【0158】
一般に、半透明であって特定の波長に対して散乱が強い物体の画像化を、本明細書に記載の方法(並びにいずれかの装置の使用)によって行うことが可能である。物体に対するカメラの位置及び方位が分かっていれば、物体の内部構造は、再構築されるボリューム及び画像数に比例する低い計算の複雑さで再構築されることが可能である。
【0159】
本明細書に記載の、被験者の口腔内領域(例えば、1つ以上の歯、歯肉、顎等)を透過する画像を取得する口腔内スキャナであって、スキャナ(例えば、スキャナのうちの、画像を取得するカメラ)の相対位置に関する情報も提供する口腔内スキャナであれば使用可能である。例えば、
図1A及び1Bに戻ると、
図1Aは、表面形状及び内部形状の両方を有する3Dモデルを生成するように、本明細書に記載のように構成又は適合されてよい口腔内スキャナ101の一例を示す。
図1Bに概略的に示されるように、一例示的口腔内スキャナがワンド103を含んでよく、ワンド103は、操作者(例えば、歯科医、歯科衛生士、技師等)が手で保持することが可能であり、被験者の1つ以上の歯の上を動いて表面構造及び内部構造の両方をスキャンすることが可能である。ワンドは、1つ以上のセンサ105(例えば、CMOSなどのカメラ、CCD、検出器等)と、1つ以上の光源109、110、111とを含んでよい。
【0160】
図1Bでは2つの別個の光源、即ち、第1の光源109及び第2の光源111が示されており、第1の光源109は、表面形状の検出の為の第1のスペクトル範囲の光(例えば、可視光、単色可視光等)を発光するように構成され、第2の光源111は、(例えば、総称して浸透画像化と呼ばれることがある徹照、小角度浸透画像化、レーザ蛍光等による)歯の内部形状の検出の為の第2のスペクトル範囲の光を発光するように構成される。
図1Bには複数の照明光源が別々に示されているが、変形形態によっては、切り換え可能な光源が使用されてよい。光源は、LED、光ファイバ等を含め、任意の適切な光源であってよい。ワンド103は、制御(例えば、ワンドのオンオフ等)を支援する1つ以上の制御手段(ボタン、スイッチ、ダイヤル、タッチスクリーン等)を含んでよく、代替又は追加として、図示されていない1つ以上の制御手段が口腔内スキャナの別の部分に存在してよく、例えば、フットペダル、キーボード、コンソール、タッチスクリーン等が存在してよい。
【0161】
更に、ワンド103は、1つ以上の位置及び/又は方位センサ123を含んでもよく、これは、例えば、加速度計、磁場センサ、ジャイロスコープセンサ、GPS等である。代替又は追加として、ワンドは、画像化される物体(例えば、1つ以上の歯)に対するワンド(特にカメラ)の相対位置を検出する為の光学センサ、磁気センサ、又は他の何らかの、これらの組み合わせを含んでよい。代替又は追加として、本装置は、上述のように取得された表面画像(例えば、表面スキャン)及び/又は発見スキャンに基づいてワンドの相対位置を検出することが可能である。
【0162】
一般に、任意の適切な光源が使用されてよく、特に、検出されるモードに適合する光源が使用されてよい。例えば、これらの装置はいずれも、(例えば、680nm又はその前後の、或いは他の適切な波長での)表面検出の為の可視光源又は他の光源、カラー画像化を含む従来の画像化の為の可視光源(例えば、白色光光源)、及び/又は浸透画像化の為の浸透性光源(例えば、赤外光源及び/又は近赤外光源)を含んでよい。
【0163】
光源及びカメラの相対位置は、典型的には既知であり、ワンドの各位置において1つ以上の浸透画像が取得されてよい。光源及びカメラの位置は、3次元空間の3つの数値座標(例えば、x、y、z)と、カメラのピッチ、ヨー、及びロールとを含んでよい。
【0164】
口腔内スキャナ101は、1つ以上のプロセッサを含んでもよく、これらのプロセッサは、リンクされたプロセッサ又はリモートプロセッサを含み、スキャンの調整を含むワンド103の動作を制御し、レビュー時及び処理時には、表面形状及び内部形状を含む3Dモデルのスキャン及び生成を制御する。
図1Bに示されるように、1つ以上のプロセッサ113は、スキャンデータ(表面データ、内部形状データ等)を記憶するメモリ115を含んでよく、或いは、メモリ115と結合されてよい。システムのコンポーネント(ワンドを含む)又は外部コンポーネント(外部プロセッサを含む)と通信する為の、無線又は有線の通信回路を含む通信回路117も含まれてよい。例えば、システムは、スキャン又は3Dモデルの送受信を行うように構成されてよい。情報を出力又は提示する為に、1つ以上の追加出力119が含まれてもよく、例えば、ディスプレイ画面、プリンタ等が含まれてよい。上述のように、入力121(ボタン、タッチスクリーン等)が含まれてよく、この装置は、スキャン及び他の動作を制御する為のユーザ入力を可能にでき、或いは、そのようなユーザ入力を要求できる。
【0165】
本明細書に記載の装置及び方法はいずれも、エナメル質及び/又は象牙質の亀裂、カリエス(虫歯)、損傷等のような内部構造を探すスキャン、及び/又はそのような内部構造の識別を行うことに使用されてよい。従って、本明細書に記載の装置はいずれも、浸透波長又は浸透波長のスペクトル範囲を使用して内部構造を検出するスキャンを実施するように構成されてよい。様々な浸透スキャン手法(浸透画像化)が用いられてよく、或いは本装置に組み込まれてよいが、特に興味深いのは徹照及び小角度浸透画像化であろう。これらはいずれも、組織を透過する(例えば、1つ以上の歯を透過する)浸透波長光の経路を検出するものである。
【0166】
本明細書に記載の、浸透波長(例えば、850nmなど)を使用してエナメル質~象牙質領域を可視化する方法及び装置は、1つ以上の歯に対して相対的なスキャナの単一位置から複数の投影又は方位を取得してよく、特に、各位置において3つ以上の方位又は投影が取得されてよい。複数の(例えば、3つ以上の)投影を取得することによって、よりよい画像化を行うことが可能であり、これは、1つ以上の歯に対して相対的なワンドの特定の位置から、歯を透過する複数の(例えば、3つ以上の)画像が生成可能な為である。
【0167】
図12は、口腔内スキャナワンドの一部として使用可能な浸透光源1202、1202’(例えば、浸透性のスペクトル範囲の光源)及びカメラを含むように構成されたスキャナの一部の一例を示す。
図12では、カメラ1200が示されており、その両側面にLED1202、1202’のペアが配置されており、これらのLEDは、カメラが標的T(例えば、歯1201)に向いているのとほぼ同じ方向に浸透性のスペクトル範囲の光を発光する。ペアではなく単一の光源1202(例えば、LED)が使用されてもよい。一般に、本開示によれば、ワンドの光源はカメラとほぼ同じ方向に投射するが、幾つかの実施形態では、光源は、上述のように、カメラの方向に対して±15度までずれてよい。
【0168】
図13は、半透明で散乱が強い領域を有する物体から放射波長範囲でボリュメトリック構造を再構築する一方法を示すフローチャート1300を示す。半透明で散乱が強い領域を有する物体は、例えば、外側にエナメル質の面を含み、内側に象牙質の面を含む歯であってよい。
【0169】
フローチャート1300のステップ302で、本方法は、放射波長範囲で、物体の複数の画像をカメラで取得するステップを含み、その複数の画像の為の照明はほぼカメラの方向から投射される。幾つかの実施形態では、放射波長範囲は赤外波長又は近赤外波長である。赤外波長又は近赤外波長は、例えば、半透明物体への浸透に使用可能である。一実施形態では、その複数の画像の為の照明は、カメラの方向に対して±15度までずれてよい。その複数の画像は、カメラと結合されたコンピュータメモリに記憶されてよい。
【0170】
これらの方法はいずれも、その複数の画像のそれぞれにおける、物体に対するカメラの相対位置を表す位置データ304を受信するステップを含んでもよい。一般に、位置データ304は、物体に対するカメラの位置及び方位を含む。この位置データ304は、その複数の画像から算出可能であり、或いは、代替又は追加として、位置及び方位は、ワンド上のセンサ123(例えば、ジャイロスコープセンサ、加速度計、GPS等)で測定可能である。代替又は追加として、位置及び方位は、スキャンされた表面データの位置合わせによって計算可能である。幾つかの実施形態では、位置データ304は、3次元空間の3つの数値座標(例えば、デカルト座標系のx、y、及びz)と、カメラのピッチ、ヨー、及びロールとを含む。位置データ304は、ベクトルメトリック(例えば、回転メトリック及びベクトル位置)として定量化されてもよい。
【0171】
フローチャート1300のステップ306で、本方法は更に、その複数の画像及び位置データから、ボリューム内の各点ごとに散乱係数の上限を生成するステップを含む。その複数の画像のそれぞれは、現実世界(3D環境)から2D平面(画像)への投影であってよく、この処理の過程で深度が失われる。特定の像点に対応する各3D点は、カメラの見通し線上にあるように拘束されてよい。各3D点の現実世界での位置は、三角測量の処理を経て、2つ以上の投影線の交点として検出可能である。
【0172】
ステップ306では、スキャンされる物体を表すボリュームの各点における散乱係数の上限が算出される。上限は、その複数の画像から、各点について、カメラからの位置データを使用して各点の位置を三角測量することによって選択される。その複数の画像は、物体に反射した光量の結果である、各点の輝度を生成する。この、各点の輝度を使用して、各点の散乱係数が生成される。各点の散乱係数の上限は、カメラと結合されたメモリに記憶されてよい。
【0173】
ボリュームの各点における散乱係数の上限を生成するステップは、物体のボリュームに対応する3D点群グリッドの各点を、第1の較正を用いて、その複数の画像のそれぞれに投影することと、投影された各点の散乱係数値のリストを生成することと、散乱係数値のリストの各散乱係数値をボリューム応答に応じて補正することと、各グリッド点について、散乱係数値のリストにある最小散乱係数値を記憶することと、を含んでよい。
【0174】
3D点群グリッドの各点をその複数の画像のそれぞれに投影することを促進する為に、幾つかの較正が実施されてよい。例えば、一実施形態では、第1の較正は、カメラのセンサ問題及び画像ゴーストを較正する為の固定パターンノイズ較正を含んでよい。別の実施形態では、第1の較正は、空間内の既知の点を画像上の点に投影するカメラの変換を決定するカメラ較正を含む。幾つかの実施形態では、上述の較正の全てが、点を画像に投影する前に実施されてよい。
【0175】
浸透画像及び位置データから散乱係数の上限を生成する場合には、散乱係数の上限は、画像化される物体の外部表面内の点についてのみ決定されてよい。例えば、本明細書に記載の方法は更に、物体の外部表面を表す表面データ(例えば、歯の外部表面又はエナメル質表面を表すスキャンデータ)を受け取るステップを含んでよい。外部表面データがあれば、この外部表面内の点(例えば、内部点)だけを使用して散乱係数を生成することが可能である。これにより、例えば、歯のエナメル質表面の内部の象牙質表面にのみフォーカスして画像化を行うことが可能になりうる。
【0176】
最後に、これらの方法はいずれも、各点における散乱係数の上限から物体の画像を生成するステップ308を含んでよい。本明細書では、これらの画像を生成する例が示されており、この例は、散乱係数の閾値、又は散乱係数に基づく値に基づいて線及び/又は表面を形成するステップを含んでよい。
【0177】
図14は、歯からボリュメトリック構造を再構築する方法を示すフローチャート400である。歯は、放射波長範囲において半透明でありうる。任意選択のステップ402で、本方法は、歯の表面の、第1の座標系での表現を、プロセッサにおいて受け取るステップを含む。歯の表面の表現は、例えば、歯をスキャンすることによって、或いは歯の型を取ることによって生成される、歯の3Dモデルであってよい。
【0178】
本方法は更に、放射波長範囲の歯の複数の画像をプロセッサにおいて受け取るステップ404を含んでもよく、この複数の画像は、ほぼカメラの方向から投射される照明により取得される。幾つかの実施形態では、波長は、赤外又は近赤外領域の浸透波長、或いは、赤外又は近赤外領域の中のある範囲の浸透波長である。赤外(IR)又は近赤外波長は、例えば、歯への浸透に使用可能である。その複数の画像の為の照明は、カメラの方向に対して±15度までずれてよい。その複数の画像は、カメラと結合されたコンピュータメモリに記憶されてよい。
【0179】
ステップ406で、本方法は更に、その複数の画像のそれぞれにおけるカメラの位置を表す位置データを、プロセッサにおいて受け取るステップを含む。一般に、位置データは、物体に対するカメラの位置及び方位を含む。この位置データは、その複数の画像から算出可能であり、或いは代替として、位置及び方位は、カメラ上のセンサ(例えば、ジャイロスコープセンサ、加速度計、GPS等)で測定可能である。代替又は追加として、位置及び方位は、スキャンされた表面データの位置合わせによって計算可能である。幾つかの実施形態では、位置データは、3次元空間の3つの数値座標(例えば、デカルト座標系のx、y、及びz)と、カメラのピッチ、ヨー、及びロールとを含む。位置データは、ベクトルメトリック(例えば、回転メトリック及びベクトル位置)として定量化されてもよい。
【0180】
本方法は更に、歯の表面内のボリュームに対応する点群グリッドの各点を、第1の較正を用いて、その複数の画像のそれぞれに投影するステップ408を含んでもよい。生成される点群グリッドは、歯の外部表面の内部にあってよい。グリッドは、例えば、立方体グリッド上に位置してよい。各グリッド点は、較正を用いて、その複数の画像のそれぞれに投影されてよい。グリッドの各点をその複数の画像のそれぞれに投影することを促進する為に、幾つかの較正が行われてよい。例えば、較正は、カメラのセンサ問題及び画像ゴーストを較正する為の固定パターンノイズ較正を含んでよい。別の実施形態では、較正は、空間内の既知の点を画像上の点に投影するカメラの変換を決定するカメラ較正を含んでよい。幾つかの実施形態では、上述の較正の全てが、点を画像に投影する前に実施されてよい。
【0181】
本方法は更に、投影された各点の輝度値のリストを生成するステップ410を含んでよい。その複数の画像は、物体に反射した光量の結果である、各点の輝度を生成する。この、各点の輝度値は記憶されてよい。
【0182】
ステップ412で、本方法は更に、輝度値のリスト上の各輝度値を、ボリューム応答に応じて散乱係数に変換するステップを含んでよい。このステップは、各画素の輝度値を較正する為に実施されてよい。この処理では、カメラの位置を基準とする各点について、そのような輝度値をもたらすであろう散乱係数を計算する。その結果は、ボリューム応答に応じて輝度を正規化する散乱係数である。
【0183】
図14の最後に、本方法は更に、各点における最小散乱係数を最小散乱係数リストに記憶するステップ414を含んでよい。本方法は更に、各点の最小散乱係数のリストから画像を生成するステップを含んでよい。
【0184】
上述のように、本方法及び手法は、点を現実世界からその複数の画像に投影する為の複数の較正を含んでよい。そのような較正の1つが、画像固定パターンノイズ較正(PRNU)であり、これは、スキャンされる物体に無関係なセンサ問題及びシステムゴーストに対処する。
図15A~Eは、画像固定パターンノイズ較正の一例を示しており、これは、均質で平坦な標的の場合に一定の応答を与える。
図15Aは、平坦で均質な標的の元の画像を示しており、これは画像の中程に2つの粒子1501、1502を含む。
図15Bは、その平面に平行な標的を動かした後の中間画像を示す。これにより、2つの粒子は画像から「消える」。
図15Cは、各画素にバイアス係数値を適用した後の画像を示しており、その適用によって強い電子ノイズが画像に発生している。
図15Dでは、各画素にスロープが適用されており、その結果として、平滑パターンが光学系によって与えられている。最後に
図15Eは、応答等化後の最終画像を示す。
【0185】
適用可能な別の較正として、カメラ較正と呼ばれるものがあり、これは、現実世界(3D)の点を2Dの画像画素に投影することを可能にする。カメラ較正は、空間内の既知の点を画像上の点に投影するカメラの変換を決定する。
【0186】
ボリュメトリック応答較正も適用されてよく、これは、カメラの視野内にある画像において輝度を与えられている、世界内の全ての点について散乱係数を与える。この較正により、視野内のどこであれ、一定の応答に対しては標準的な散乱係数が与えられる。
【0187】
最後に、スキャンから世界カメラへの較正が適用されてよく、これは、(物体の3Dスキャンの)スキャン座標系から(物体の2D画像の)カメラ較正座標系に変換する剛体変換である。
【0188】
浸透画像及びカメラ位置からボリュメトリック散乱係数を算出する為に他の手法が用いられてよい。例えば、変形形態によっては、誤差逆伝播法が用いられてよい。誤差逆伝播法は、歯ボリュームを透過してカメラに入る光線を推定(例えば、追跡)することを含んでよい。各光線の、センサに達する実際の輝度は、浸透画像とカメラの位置及び方位から取得されてよい。各光線について、光線が通過するボリューム内の散乱による輝度の減衰が推定されてよい。例えば、散乱が強く吸収が弱い物質を通る光の透過は、その物質を通る光の透過率の時間変化を取得する為に、モンテカルロ法による散乱のハイブリッド計算方式でモデル化されてよい。吸収性の物体と非吸収性の基準との間の光学密度の差を最短飛行時間に時間的に外挿することにより、一連の投影データが推定されてよい。従って、この手法は、吸収係数の差を与えることが可能である。例えば、山田等(Yamada et al.)、「散乱が強く吸収が弱い媒体のファンビーム型コンピュータ光断層画像化のシミュレーション(Simulation of fan-beam-type optical computed-tomography imaging of strongly scattering and weakly absorbing media)」、アプライド・オプティクス(Appl. Opt.)32、4808~4814頁(1993年)を参照されたい。その後、センサに達する実際の輝度を求めることにより、ボリュメトリック散乱が推定されてよい。
【0189】
本明細書に記載の方法はいずれも、データ処理システム(又はサブシステム)を含む装置によって実施されてよく、この装置は、上述されたこれらのステップの多くを実施する為のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアを含んでよく、これらは、口腔内スキャナのプロセッサをその一部として含む(例えば、
図1Bを参照)。例えば、
図16は、データ処理サブシステム500の簡略化されたブロック図である。データ処理システム500は、典型的には、バスサブシステム504を介して幾つかの周辺装置と通信する少なくとも1つのプロセッサ502を含む。これらの周辺装置は、典型的には、記憶サブシステム506(メモリサブシステム508及びファイル記憶サブシステム514)、一連のユーザインタフェース入出力装置518、公衆交換電話網などの外部ネットワークに対するインタフェース516等であってよい。このインタフェースは、「モデム及びネットワークインタフェース」ブロック516として概略的に示されており、他のデータ処理システムにある対応するインタフェース装置と、通信ネットワークインタフェース524を介して結合されている。データ処理システム500は、端末又はローエンドパーソナルコンピュータ、或いは、ハイエンドパーソナルコンピュータ、ワークステーション、又はメインフレーム等であってよい。
【0190】
ユーザインタフェース入力装置は、キーボード等であってよく、更にはポインティング装置やスキャナ等であってよい。ポインティングデバイス装置は、マウス、トラックボール、タッチパッド、グラフィックスタブレット等のような間接的なポインティング装置であってよく、或いは、ディスプレイに組み込まれたタッチスクリーンのような直接的なポインティング装置であってよい。他のタイプのユーザインタフェース入力装置(例えば、音声認識システム)も使用されてよい。
【0191】
ユーザインタフェース出力装置は、プリンタやディスプレイサブシステム等であってよく、ディスプレイサブシステムは、ディスプレイコントローラと、このコントローラに結合されたディスプレイ装置とを含む。ディスプレイ装置は、ブラウン管(CRT)、平面パネル装置(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))、又は投影装置であってよい。ディスプレイサブシステムは、オーディオ出力のような非視覚的ディスプレイを提供をしてもよい。
【0192】
記憶サブシステム506は、本発明の機能性を提供する基本的なプログラミング構成体及びデータ構成体を保持することが可能である。本明細書に記載の方法は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はハードウェアとして構成されてよく、(ソフトウェア/ファームウェアとして構成される)それらの方法は、記憶サブシステム506に記憶されてよい。記憶サブシステム506は、典型的には、メモリサブシステム508及びファイル記憶サブシステム514を含む。
【0193】
メモリサブシステム508は、典型的には幾つかのメモリを含み、これには、プログラム実行時の命令及びデータの記憶の為の主ランダムアクセスメモリ(RAM)510と、固定命令が記憶される読み出し専用メモリ(ROM)512と、が含まれる。Macintosh互換のパーソナルコンピュータの場合には、ROMは、オペレーティングシステムの一部を含み、IBM互換のパーソナルコンピュータの場合には、ROMは、BIOS(基本入出力システム)を含む。
【0194】
ファイル記憶サブシステム514は、プログラムファイル及びデータファイルの永続的(不揮発性)記憶を行うことが可能であり、少なくとも1つのハードディスクドライブと、少なくとも1つのフロッピーディスクドライブ(及び関連付けられたリムーバブル媒体)とを含んでよい。CD-ROMドライブや光学式ドライブ(並びにそれぞれに関連付けられた全てのリムーバブル媒体)のような別の装置も存在してよい。更に、本システムは、リムーバブル媒体カートリッジを有するタイプのドライブを含んでよい。これらのドライブのうちの1つ以上が、離れた場所に位置してよく、例えば、ローカルエリアネットワーク上のサーバや、インターネットのワールドワイドウェブのサイトに位置してよい。
【0195】
この文脈では、「バスサブシステム」という用語は、様々なコンポーネント及びサブシステムが意図されたとおりに互いに通信することを行わせる任意の機構を包含する総称として使用されてよい。入力装置とディスプレイは例外として、その他のコンポーネント同士は同じ物理的場所になくてよい。従って、例えば、ファイル記憶システムの各部が、電話線を含む様々なローカルエリアネットワーク媒体又はワイドエリアネットワーク媒体を介して接続されてよい。同様に、入力装置とディスプレイは、プロセッサと同じ場所になくてよいが、本発明は、ほとんどの場合に、PCS及びワークステーションの文脈で実施されるものと予想される。
【0196】
バスサブシステム504は単一バスとして概略的に図示されているが、典型的なシステムは幾つかのバスを有し、例えば、ローカルバス及び1つ以上の拡張バス(例えば、ADB、SCSI、ISA、EISA、MCA、NuBus、又はPCI)、並びにシリアルポート及びパラレルポートを有する。ネットワーク接続は、通常、これらの拡張バスのうちの1つにあるネットワークアダプタや、シリアルポートにあるモデムのような装置を通して確立される。クライアントコンピュータは、デスクトップシステム又はポータブルシステムであってよい。
【0197】
スキャナ520は、患者又は歯列矯正歯科医から取得される、患者の歯の型をスキャンし、スキャン済みデジタルデータセット情報を更なる処理の為にデータ処理システム500に渡す役割を担うワンド及び他のコンポーネントに相当してよい。分散型の環境では、スキャナ520は、離れた場所に位置して、スキャン済みデジタルデータセット情報をネットワークインタフェース524経由でデータ処理システム500に伝達してよい。
【0198】
上述のコンポーネントの代わりに様々な代替形態、修正形態、及び等価形態が用いられてよい。更に、ここに記載された手法は、ハードウェア又はソフトウェア、或いは両者の組み合わせで実施されてよい。これらの手法は、プログラム可能なコンピュータで実行されるコンピュータプログラムとして実施されてよく、そのようなコンピュータは、それぞれが、プロセッサと、プロセッサ可読な記憶媒体(揮発性及び不揮発性のメモリ及び/又は記憶素子など)と、適切な入出力装置とを含む。入力装置で入力されたデータにプログラムコードが適用されて、記載の機能が実施され、出力情報が生成される。出力情報は、1つ以上の出力装置に適用される。各プログラムは、コンピュータシステムとの組み合わせで動作するように、手続き型又はオブジェクト指向型の高級プログラミング言語で実装されてよい。しかしながら、それらのプログラムは、必要であれば、アセンブリ言語又は機械語で実装されてよい。いずれにせよ、言語はコンパイラ言語又はインタプリタ言語であってよい。そのような各コンピュータプログラムは、コンピュータで記憶媒体又は記憶装置を読み取って記載の手続きを実施する場合にコンピュータを構成して動作させる為の、汎用又は専用のプログラム可能なコンピュータで可読な記憶媒体又は記憶装置(例えば、CD-ROM、ハードディスク、又は磁気ディスケット)に記憶されてよい。本システムは、コンピュータプログラムにより構成されるコンピュータ可読な記憶媒体として実施されてもよく、そのように構成された記憶媒体は、コンピュータを特定且つ所定の様式で動作させる。
【0199】
図26A~26C及び
図27A~27Gは、患者の歯の3Dボリュメトリックモデルを形成する方法の一部を成しうるステップであって、上述の方法及び装置を使用する1つ以上の治療に使用可能なステップを示す。これらの方法のいずれにおいても、(変形形態によってはカラー、例えば、R-G-Bカラーを含む)表面構造及び内部構造の両方を測定できる口腔内スキャナ2801を使用して、患者の歯をスキャンすること(例えば、歯を含む顎の画像及びスキャンを取得すること)が可能である。本装置は、表面波長(非浸透性又は実質的に浸透性ではない。例えば、可視光、白色光)及び浸透波長(例えば、近赤外/赤外)を含む様々なモダリティにおいてスキャンを行うことが可能である。スキャンは、典型的には、口腔周辺の複数の位置からスキャンを行い、得られた画像をつなぎ合わせて、歯の3次元モデルを生成することを含み、これは、例えば、顎に対するスキャンの相対位置を解決することによって行われる(
図26C)。表面スキャンは、
図26Cに示されるように、顎/歯2803の外部表面のモデル(例えば、3Dデジタルモデル、及び/又はレンダリング)を構築することに使用されてよい。
【0200】
これらの、本明細書に記載の方法及び装置のいずれにおいても、歯の内部構造は、
図27A~27Gに示されるように、浸透スキャン(例えば、近赤外スキャン及び/又は赤外スキャン)によって抽出される内部構造を含む歯のボリュメトリックモデルを形成するように、形成又はモデル化されてよい。
図26A~27Gは、散乱係数を使用して内部構造を再構築する一方法を示している(代替又は追加として、別の方法が用いられてよい)。
図27Aでは、顎/歯の内部ボリュームを表す点のグリッドが構築されている。全てのグリッド点が、取得された浸透(例えば、近赤外)画像に投影されており、各グリッド点について、
図27Bに示されるように、全ての画素位置が保存されることが可能である。各画素位置及び各グリッド位置について、本装置は、
図27Cにグラフィカルに示されるように、観察される画素のグレーレベルをもたらす散乱係数を計算することが可能である。これらの図面(例えば、
図27C)では、眼は、センサ(例えば、カメラ)の視野角を表すと考えられてよい。本装置は、各グリッド点について計算された最小散乱係数を取得することが可能である(
図27D)。そして、点群グリッドは、対応する最小散乱係数とともに、
図27Eに示されるように、最小散乱係数の閾値又は相関(例えば、等値面)に基づいて、グリッド点においてサンプリング可能なボリューム2909を提供することが可能である。
図27Gは、サンプリングされた密度関数の一定値を識別することによって生成された等値面2911を示す。
図27Fは、歯の同じ領域の拡大図であり、
図27Gの等値面と、等値面の周辺のエナメル質の(部分的に透明な)ゴースト画像2915の両方を示している。この等値面は、象牙質と、(後述のように)歯の外部表面から象牙質に向かって延びる歯のカリエスとを表すことが可能である。
【0201】
図27Fに示された例では、等値面は、エナメル質2915の下に見える象牙質とエナメル質の境目2911を示している。
図27Fの例は更に、円で囲んだ領域2913に見られる歯のカリエスを示している。この例では、歯のカリエスは(象牙質と同様に)エナメル質内の、又はエナメル質によって囲まれた等値面のように見える。歯のカリエスは、内部の象牙質領域から歯の外部表面に延びていることで識別可能である。本明細書に記載の方法及び装置は、外部表面と内部構造の両方を正確に再構築できる為、(外部表面から赤外/近赤外透過性のエナメル質を通って延びるアーム又は延長部を示す)この特徴的な形態から歯のカリエスを識別することが可能である。
図27Fでは、同様の歯のカリエスの領域が円2913で囲まれており、これは、2つの歯の間の延長部又はブリッジを示しており、この領域では、表面スキャンにより、それらの歯が実際には別個であることが示されている。従って、表面スキャンと(例えば、赤外/近赤外画像からの)内部スキャンとを組み合わせることにより、視野角が限られていることなどで起こりうるエラーの為の内部データの補正が可能になりうる。本明細書に記載の装置及び方法はいずれも、歯のカリエスなどに対応するこれらの領域又は不規則さを自動的又は半自動的に識別するように構成されてよい。それらは、歯のモデル、画像、又は表現において強調表示されてよく、且つ/又は、フラグ、アラート、又は他の通知が、推定される位置とともに、提示、送信、及び/又は記憶されてよい。代替又は追加として、等値面の決定に使用される閾値は、象牙質、カリエス、充填物、亀裂等のような1つ以上の内部形状を区別するように選択されてよい。
【0202】
代替又は追加として、本装置は、歯の内部構造を、等値面の形状及び/又はそれらの歯内での相対位置に基づいて自動的(又は半自動的)に特定及び区別することが可能である。上述のように、カリエスは、密度(例えば、散乱係数)が象牙質と同等である場合がある。しかしながら、カリエスは、そのモルフォロジによって象牙質と区別されることが可能である。本装置は、象牙質と同等の密度(例えば、散乱係数)を有する物質でありながらエナメル質の外部表面から延びている「アーム」又は付属肢を検出することが可能である。歯の外部表面は、内部構造とともに良好に特徴化されることが可能である為、外部表面から延びる領域の等密度マップの外部表面を、より大きな、範囲が定まっている内部象牙質パターンにマッピングすることによって、カリエスの広がりを特定することが可能である。象牙質とカリエスの内部広がりとの間の境界は、「投影」領域の周囲の領域を含む、象牙質の連続面を概算すること、及び/又は象牙質の表面の方向の変化率を調べることにより、特定可能である。他の内部構造(例えば、充填物、亀裂等)は、それらの散乱係数値範囲に基づいて、且つ/又はそれらの位置又はモルフォロジに基づいて区別可能である。本装置は、それらを色分け、注釈等で表示することが可能である。
【0203】
従って、これらの方法及び装置のいずれにおいても、スキャナは、エナメル質の内部を調べて、マージン線を再構築することが可能である。更に、更なる波長(例えば、緑色光)、更には別の、肉を透過する放射モダリティ(例えば、超音波)画像化を用いることが可能な場合があり、これは、マージン線、更には歯根の構築を可能にし、且つ/又は、歯のカリエスを象牙質又は他の内部構造と区別するなど、構造を区別することに役立つ。
【0204】
結果として得られる歯のボリュメトリック3Dモデルは、組織学的な歯に基づいて歯を再構築することに使用されてよい。上述のように、ボリュメトリックモデルは、外観がより本物らしく、且つ/又は装着感がよりよい歯科補綴物(インプラント等)を作成することに使用されてよい。
【0205】
更に、本明細書に記載の方法及び装置は、ユーザ(例えば、歯科医、内科医、歯科技工士等)が、時間を追って取得されたモデルを比較することにより、象牙質、カリエス等を追跡することを含めた歯の時間経過の追跡、並びに歯の全般的な健康状態の追跡を行うことを可能にすることができる。例えば、タイムラプスビデオ(画像)が構築することが可能である。
図28Aは、最初に取得されたボリュメトリック再構築の一例を示しており、象牙質3001(塗りつぶし)とエナメル質3003(わずかに透明にされている)とが示されている。
図28Bは、象牙質3001及びエナメル質3003を示す歯のボリュメトリックモデルの別の例を示す。
【0206】
ボリュメトリックモデルは、幅情報を含んでよく、経時摩耗の推定も示してよい。例えば、エナメル質の幅の変化を、時間とともに、且つ、歯の様々な領域にわたって追跡することが容易に可能である。エナメル質の幅が分かれば、歯の摩耗を推定することが可能であり、摩耗の深刻度のスナップショットを提供することが可能である。
【0207】
区分と分類
歯(又は他の半透明で散乱が強い物体)の内部構造の画像を生成する為に、任意の適切な方法及び装置(例えば、システム、デバイス、ソフトウェア等)が使用されてよい。例えば、上述の散乱係数の使用に対する代替又は追加として、本明細書に記載の装置及び方法はいずれも、2次元浸透画像を、画像化される物体(例えば、歯)に対する口腔内スキャナの相対的な位置及び/又は方位の情報とともに使用して、2次元浸透画像を区分し、物体の1つ以上の内部構造を含む歯の3次元モデルを形成することが可能である。浸透画像は、近赤外波長及び/又は赤外波長により取得される、物体(例えば、歯)の内部構造を明らかにする画像を意味してよい。スキャナの位置及び/又は方位は、スキャナ上(例えば、手持ち式ワンド上)にあって画像を取得するカメラの位置及び/又は方位の代わりであってよい。
【0208】
本明細書に記載の装置及び方法は、区分された2次元(2D)画像から歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを構築することが可能である。これらの方法及び装置は、歯の3Dモデルを区分することも可能である。
【0209】
一般に、本明細書に記載の方法及び装置は、浸透画像を直接区分することを可能にする。これにより、象牙質の位置及びモルフォロジを含む、歯内の象牙質の識別、並びに象牙質内を含む歯内の亀裂、損傷、及び/又はカリエスの識別及び位置特定が可能になりうる。区分を行うことにより、浸透画像と、浸透画像に対応するカメラ位置の情報とに基づく、ボリュメトリックモデルの再構築が可能になりうる。歯のボリュメトリックモデルが区分されてよく、(歯の様々な内部構造に関連する)これらの区分を、画像に逆投影すること、及び/又は歯の表面モデル(例えば、歯の外部表面)と組み合わせることにより、表面画像への投影、並びに歯の内部構造のよりよい区分が可能になりうる。
【0210】
従って、浸透波長(例えば、近赤外波長及び/又は赤外波長)によって取得される歯の浸透画像は、内部歯構造及び/又は3Dデータを含んでよい。これらの画像は、本明細書に記載の歯科用スキャナのいずれを使用しても取得可能であり、歯ボリュームは、画像及び3Dデータの不透明度、色、及び他の特性に応じて、それぞれ異なる領域に区分されてよい。これらの領域は、例えば、健康なエナメル質、象牙質、損傷、歯科充填物等であってよい。区分は、2D画像又はボリュメトリックモデルに対して行われてよい。区分は、画像及び/又は3Dモデルを、様々な区分の存在に応じて分類する為に行われてよい。ユーザは、この区分により、様々な内部構造、例えば、歯のカリエス、エナメル質の侵食、及び他の歯の問題を手動又は自動(又は半自動)で検出して分類することが可能になりうる。更に、歯の位置調整又は他の治療計画を含む、よりよい歯科治療を行う為に、これらの画像又はモデルを使用して、1つ又は複数の歯区分の内部領域を測定することが可能である。例えば、ユーザは、歯の損傷の位置特定を正確に行うことにより、エナメル質の抽出を最小限に抑える正確な充填を計画することが可能になりうる。従って、本明細書に記載の区分を行うことにより、現在X線により用いられているイオン化放射を行うことなく内部歯構造を捕捉することが可能になりうる。歯の問題は、3Dボリュメトリックモデル上に提示されてよい。更に、後で詳述されるように、内部構造の区分及び分類は自動化が可能である。最後に、よりよい治療計画の為に内部構造の正確な測定を行うことが可能である。
【0211】
図17A、
図17Bは、内部構造を識別する為に口腔内スキャナで歯をスキャンする場合のデータフローの一例を示す。
図17A、
図17Bに示されている方法は、3つの部分を含む。第1に、歯は、口腔内スキャナ1701(又は他の任意のスキャナ)でスキャンされてよく、このスキャナは、光学(例えば、赤外、近赤外等の)波長又は光学波長範囲を使用する浸透スキャンを歯の内部に対して行うように構成される。これらのスキャナはいずれも、上述のように、表面形状(例えば、1つ以上の非浸透波長による)、色等を特定する為のスキャンを同時に行うことも可能である。スキャン時には複数の浸透スキャン1703、1703’が行われ、各浸透画像ごとに、カメラ位置1705、1705’(例えば、x、y、z位置及び/又はピッチ、ロール、ヨー角度)が特定及び/又は記録されてよい。変形形態によっては、上述のように、歯の表面の画像化も同時に行われてよく、歯の3D表面モデル1707も同時に決定されてよい。この例では、患者の歯のスキャンが、例えば、(例えば、近赤外画像化による)内部歯構造の画像化を行うことが可能な口腔内3Dスキャナ1702により行われてよい。カメラの位置及び方位は、部分的には、3Dスキャンデータ及び/又は3D歯表面モデル1707から特定可能である。
【0212】
その後、浸透画像は区分されてよい(1711)。この例では、区分は、2つある方法のいずれかで行われてよい。内部歯構造画像上では、画像は、輪郭発見1713、1713’により区分されてよい。この処理を更に自動化する為に、機械学習方法が適用されてよい。代替又は追加として、エナメル質などの区分を正確に位置特定する為に、(カメラ位置が近い)近接画像を使用して、近接形状を決定し、更に3Dモデルからの形状を画像に逆投影することが行われてよい。本方法は更に、内部歯画像の画素を歯に逆投影して、内部歯反射係数の密度マップを計算するステップを含んでもよい。様々な区分の包囲面を発見又は推定することが、密度マップの等値面又は閾値を使用することにより、且つ/又は、機械学習方法により可能である。更に、画像を区分し、それらの区分をモデル(例えば、(例えば、世界に逆投影される)3D表面モデル)に逆投影することにより、区分の投影と歯の表面との交点から区分を発見することが可能である。
【0213】
結果は、表示(1717)、送信、及び/又は記憶されてよい。例えば、結果は、口腔内スキャン処置中にスキャンシステムによって表示されてよい。結果は、様々な区分の包囲輪郭、3D密度マップ等による画像で示されてよい。
図17に示された例では、密度マップ1715が示されており、これは、外部表面のエナメル質の下の象牙質を表している。この画像は、それぞれ異なる区分を示す為に色分けされてよい。この例では、(透明で示されている)3D表面モデルの中に内部区分(構造)が示されているが、全ての歯が浸透画像でスキャンされているわけではない為、示されているのは一部だけである。代替のビュー、断面、スライス、投影等が与えられてよい。
図17の例の画像は、歯の外側に存在するアーチファクト1716を含み、これらは、表面モデル1718に基づいて除去又はトリミングされてよい。
【0214】
画像の各画素が、区分によってマーキングされてよい。象牙質、エナメル質、亀裂、損傷等のような内部構造は、区分によって自動で特定されることが可能であり、(例えば、3D構造等の機械学習に基づいて)手動又は自動で識別されることが可能である。各区分は、表面モデル(例えば、3D表面モデル)の有無にかかわらず、別々に、又は一緒に(例えば、異なる色、濃淡等で)表示されてよい。
【0215】
従って、
図17では、患者は最初に、表面スキャン及び浸透スキャン(例えば、近赤外画像化)の両方が可能な3Dスキャナでスキャンされ、カメラの方位及び/又は位置は、(ワンド及び/又は表面スキャンの位置及び/又は方位に基づいて)認識される。この位置及び方位は、歯表面に対して相対的であってよい。従って、本方法及び本装置は、カメラ位置(カメラがある場所。例えば、カメラのx、y、z位置、及びその回転位置)の推定を有してよい。
【0216】
一般に、浸透画像(例えば、近赤外画像又は赤外画像)は自動的に区分されてよい。
図18A~18Cは、近赤外画像の自動区分の第1の例を示す。
図18Aは、(例えば、エッジ検出によって特定される)歯の外部表面の第1の自動区分を示す。
図18Aでは、外周のエッジ1803が示されている。この例では、外周を探索する第1のレベルのエッジ検出だけが実施されている。
図18B及び18Cでは、連続エッジ領域1805が示されており、これは、エッジ検出によって導出され、近赤外画像(元の画像)にマッピングされている。
図19A~19Cは、同じ画像にある他のエッジの識別及びマッピングを示す。
図19Aは、近赤外画像(例えば、
図19C)から閾値設定値を使用して検出されたエッジのみを示す。
図19Bでは、連続線を形成することによって、検出されたエッジから5つの(重なり合っている(1905))区分0~4がトレースされている。別々の区分が色分けされて示されており、区分を識別する色分けの凡例が右側に示されている。本装置は、近赤外画像から、画像を自動的に区分することが可能である。
図18A~18C及び
図19A~19Cでは、それぞれ異なる区分にマーキングが行われており、これらは、画像上のそれぞれ異なる領域(又はそれぞれ異なる内部構造)に対応してよい。複数の画像が分析される場合、これらの推定区分は、3Dモデルに逆投影されてよく、且つ/又は画像内に示されてよい。
図20A~20C及び
図21A~21Cは、
図18A~19Cに示されたものと同じ患者からの近赤外画像の別の例を示しており、エッジ検出と、検出されたエッジからの推定連続線領域の識別とに基づく区分を示している。
図21A~21Cでは、同じ患者の歯の別の領域が示されており、
図21Bに示されるように、この画像では8つの区分(0~7)が識別されている。
図21Aは、
図21Cに示された元の画像からのエッジ検出を示している。
図22A~22Cは、その患者の歯の別の領域の区分を示す。
図22Aは、元の近赤外画像から検出されたエッジを示す。
図22B及び22Cは、近赤外画像上で識別された8つの区分(0~7)を示している。同様に、
図23A~23Cは、その患者の歯の別の領域の区分を示しており、
図23Aはエッジの検出を示し、
図23Bは、これらのエッジから識別された区分を示し、
図23Cは元の近赤外画像を示す。
【0217】
図18A~23Cに示されたような区分画像は、スキャンされた物体(例えば、歯)の内部構造のモデルを形成する為に使用されてよい。表面3Dモデルも使用されてよい。例えば、
図24A~24Bは、
図18A~23Cに示されたものを含む区分画像によって形成された、患者の歯の領域の3次元モデルを示す。
図24Aでは、3D再構築は、(一部が透明で示された)歯の外部表面を含み、様々な内部区分が、それぞれ異なる色及び/又は透明度で示されてよい。例えば、
図24Aでは、歯2405の境界の中に象牙質(歯の内部部分)2404が示されている。
図24Aでは、象牙質を示す区分は面であるが(
図24Bではボリューム)、後で
図25A及び25Bに示されるように、密度マップとして示されてもよい。結果として得られる、区分画像を含む3Dボリュームは、その得られたボリュームを透過する画像を取得する為に繰り返し使用されてよく、これは、元の近赤外画像との直接比較が可能な「投影」であってよく、この比較は、モデルを修正する為に行われてよい。この処理は、モデルの改良の為に繰り返されてよく(反復されてよく)、これにより、画像の区分をよりよくすることが可能である。
【0218】
上述のように、区分はエッジ検出を含んでよい。機械学習を含む、任意の適切なエッジ検出方法が用いられてよい。その複数の近赤外画像の区分が、ボリュームを再構築する為に、カメラの位置情報との組み合わせで用いられてよい。異なる複数の断面(異なる複数の円錐)が既知であって区分されている為、様々な位置から結果として得られる、それらの円錐の全ての投影の内側の区分が認識され、従って、これらの区分の交差部分が特定されることが可能である。この処理は、表面画像化及び/又は3Dモデルによって与えられることが可能な、歯の外部表面境界を使用することによって、より容易に行うことが可能である。上述のように、この処理は反復的であってよく、本方法では、3Dデータを使用して模擬浸透(例えば、近赤外)画像を投影してよく、これを元の画像と比較することによって、区分を改良して、次の進化した内部構造モデルを導出することが可能である。同様に、歯の表面の外側の区分又は区分領域2407が除去されてよい。
【0219】
内部構造を含む歯のモデルは、上述のように、様々な様式で表示されてよい。
図24Bは、歯の断面を示しており、象牙質2404と、外部表面2405と象牙質2404との間のエナメル質の厚さとを含む内部構造を示している。
【0220】
図25A及び25Bは、(既に
図17A、
図17Bにも示されている)内部構造を含む歯の再構築を示す。この例では、内部構造は、密度マッピング(例えば、区分)によって示されている。例えば、象牙質2505は、
図25Bの表面モデルの一部分2503の中に詳細に示されている。歯の外部表面は、(
図25A及び25Bに示されるように)区分として識別されることも可能であり、この例では、区分された外部表面と、表面画像化によって特定された外部表面とがほぼ完全に一致している。
【0221】
徹照を有する口腔内スキャナの為のスリーブ
本明細書に記載の装置はいずれも、口腔内スキャナワンドを保護するように構成された1つ以上のスリーブを含んでもよいが、その機能性を拡張すること、及び/又は徹照などの、浸透波長での用途にスキャナを適合させることを行うように構成されてもよい。
図29A~31Bに示されたスリーブは、スキャナが様々な患者に使用される可能性があり、又、赤外/近赤外波長画像化による徹照を提供するアダプタとしても使用される可能性もあることから、口腔内スキャナのワンド部分の汚染を防ぐバリア(例えば、衛生バリア)として使用されてよいスリーブの一例である。これらの図面のスリーブは、電気的結合部を有する徹照スリーブとして構成される。例えば、本明細書に記載のスリーブは、浸透波長の照明(例えば、近赤外及び/又は赤外LED)と1つ以上のセンサ(例えば、CCD)の両方を含んでよく、或いは既にワンド上にある同じカメラを使用してよい。
【0222】
図29Aでは、口腔内スキャナのワンドが、
ワンドの端部の周囲に配置されたスリーブ3101とともに示されており、スリーブ
3101は半透明で示されている為、内部構造(コネクタ)が見えている。
図29Bでは、口腔内スキャナ(ワンド)用のスリーブ3105だけが塗りつぶしで示されている。一般に、スリーブ3105は、ワンドの端部に滑らせてかぶせられ、これは、既にワンド上にある光源及びカメラ(センサ)がスリーブ
3105を通して可視であるように、且つ、LED及び/又はセンサ3125に対する制御、電力、及び/又はデータ伝送を提供しうる電気的接点3123がスリーブ
3105内又はスリーブ
3105上に一体化されるように行われる。スリーブ
3105は、対向する側部に一対のウィング領域3103を含み、スリーブ
3105がワンドにかぶせられているときに、ウィング領域3103は互いに向かい合って、ワンドの遠位端から延びる。
【0223】
スリーブ3101は、摩擦又は接続機構(図示せず)によってワンドの端部に保持されてよい。従って、スリーブは、ワンドから容易に取り外すことができ、スキャナが別の患者に使用されるたびに新しいスリーブをワンドにかぶせることが可能である。この例では、スリーブは、赤外線(例えば、近赤外線)を透過させるように構成されてよく、従って、
図29Bに示されるように、(例えば、徹照用などの)1つ以上の突起3103を含んでよい。スリーブと一体化された電気的接点及びコネクタは、スキャナを赤外/近赤外徹照に適合させることが可能である。
【0224】
従って、スリーブは、LED照明(赤外/近赤外)源及び/又は1つ以上のセンサに接続される回路(例えば、可撓回路)を、特に徹照用として、含んでよい。例えば、
図30A~30C。
図30Aは、スリーブのフレームの一例3201を示しており、これは剛体又は半剛体であってよい。フレームは、(
図30Bに示された)可撓回路3203及び/又はコネクタ3205を支持することが可能であり、遮蔽(例えば、遮光)を行うことも可能である。これらのフレーム及び回路に、
図30Cに示されるように、可撓な外側スリーブ3207をかぶせることが可能である。
【0225】
スリーブは、全体スリーブと、照明及び画像捕捉の為の窓と、回路用コネクタと、1つ以上のLED保持領域と、を含む各コンポーネント部品を射出成形することにより組み立てられてよい(例えば、スリーブを貫通する窓を形成する、赤外光及び可視光を透過させる材料を射出し、次に剛体のスリーブ材料を射出することによって組み立てられてよい)。次に成形品位置決め装置を使用して、可撓回路を位置決めしてよく、LED封止機構を配置してよい。次に可撓な外側スリーブを射出してよい。
【0226】
図31A~31Cは、可撓回路3301、コネクタ3303、及びLEDホルダ/シールド3305をより詳細に示す図である。
図32A~32Bは、スリーブの遠位端のLED位置決め器及び遮光器部分の例を示す。
図32Aに示された例は、支持フレーム又はアーム3404を含み、これは、下方に延びて、LEDの一部を封止する光シュラウド又は遮光領域3406を含む。例示的な寸法が図示されている。
【0227】
本明細書において、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素の「上に(on)」あると言及された場合、その特徴又は要素は、直接その別の特徴又は要素に接していてよく、或いは、介在する特徴及び/又は要素が存在してもよい。これに対し、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素の「直接上に(directly on)」あると言及された場合、介在する特徴及び/又は要素は存在しない。又、当然のことながら、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素に「接続されている(connected)」、「取り付けられている(attached)」、又は「結合されている(coupled)」と言及された場合、その特徴又は要素は、直接その別の特徴又は要素に接続されているか、取り付けられているか、結合されていてよく、或いは、介在する特徴又は要素が存在してもよい。これに対し、ある特徴又は要素が別の特徴又は要素に、「直接接続されている(directly connected)」、「直接取り付けられている(directly attached)」、又は「直接結合されている(directly coupled)」と言及された場合、介在する特徴又は要素は存在しない。そのように記載又は図示された特徴及び要素は、1つの実施形態に関して記載又は図示されているが、他の実施形態にも当てはまってよい。又、当業者であれば理解されるように、ある構造又は特徴が別の特徴に「隣接して(adjacent)」配置されていて、その構造又は特徴が言及された場合、その言及は、隣接する特徴と部分的に重なり合うか、隣接する特徴の下層となる部分を有してよい。
【0228】
本明細書において使用された術語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示の限定を意図したものではない。例えば、本明細書において使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに矛盾する場合を除き、複数形も同様に包含するものとする。更に、当然のことながら、「comprises(含む)」及び/又は「comprising(含む)」という語は、本明細書で使用された際には、述べられた特徴、手順、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を明記するものであり、1つ以上の他の特徴、手順、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらの集まりの存在又は追加を排除するものではない。本明細書では、「及び/又は(and/or)」という用語は、関連付けられて列挙されたアイテムのうちの1つ以上のアイテムのあらゆる組み合わせを包含するものであり、「/」と略記されてよい。
【0229】
「下に(under)」、「下方に(below)」、「下方の(lower)」、「上方の(over)」、「上方の(upper)」などのような空間的に相対的な語句は、本明細書では、図面に示されるような、1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明する場合に説明を簡単にする為に使用されてよい。当然のことながら、この空間的に相対的な語句は、使用時又は操作時の器具の、図面で描かれる向きに加えて、それ以外の向きも包含するものとする。例えば、図面内の器具が反転された場合、別の要素又は特徴の「下に(under)」又は「真下に(beneath)」あると記載された要素は、その別の要素又は特徴の「上に(over)」方向づけられることになる。従って、例えば、「下に(under)」という語句は、「上に(over)」及び「下に(under)」の両方の向きを包含しうる。本装置は、他の方向づけ(90度回転又は他の方向づけ)が行われてよく、それに応じて、本明細書で使用された空間的に相対的な記述子が解釈されてよい。同様に、「上方に(upwardly)」、「下方に(downwardly)」、「垂直方向の(vertical)」、「水平方向の(horizontal)」などの用語は、本明細書では、特に断らない限り、説明のみを目的として使用される。
【0230】
「第1の」及び「第2の」という語句は、本明細書では様々な特徴/要素(ステップを含む)を説明する為に使用されてよいが、これらの特徴/要素は、文脈上矛盾する場合を除き、これらの語句によって限定されるべきではない。これらの語句は、ある特徴/要素を別の特徴/要素と区別する為に使用されてよい。従って、本発明の教示から逸脱しない限り、第1の特徴/要素が後述時に第2の特徴/要素と称されてもよく、同様に、第2の特徴/要素が後述時に第1の特徴/要素と称されてもよい。
【0231】
本明細書及び後続の特許請求の範囲の全体を通して、別段に記述しない限りは、「含む(comprise)」という後、及びその変形である「含む(comprises)」、「含む(comprising)」などは、方法及び物品(例えば、装置(device)及び方法を含む構成及び装置(apparatus))において様々な構成要素が相互連帯して使用されてよいことを意味する。例えば、「含む(comprising)」という語は、述べられた全ての要素又はステップの包含を意味するものであって、他のあらゆる要素又はステップの排除を意味するものではないことを理解されたい。
【0232】
実施例において使用される場合も含め、本明細書及び特許請求の範囲において使用されているように、且つ、特に断らない限り、あらゆる数値は、「約(about)」又は「およそ(approximately)」という語句が前置されているものとして読まれてよく、たとえ、その語句が明示的に現れていなくても、そのように読まれてよい。「約(about)」又は「およそ(approximately)」という語句は、大きさ及び/又は位置を示す場合に、記載された値及び/又は位置が、妥当な予想範囲の値及び/又は位置に収まっていることを示す為に使用されてよい。例えば、数値は、述べられた値(又は値の範囲)の±0.1%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±1%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±2%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±5%の値であってよく、述べられた値(又は値の範囲)の±10%の値であってよく、他のそのような値であってよい。本明細書で与えられるいかなる数値も、文脈上矛盾する場合を除き、その値の前後のおおよその値も包含するものと理解されたい。例えば、値「10」が開示されている場合は、「約10」も開示されている。本明細書に記載のいかなる数値範囲も、そこに包含される全ての副範囲を包含するものとする。又、当然のことながら、当業者であれば適正に理解されるように、ある値が開示されていれば、その値「以下の」値、その値「以上の」値、及びそれらの値の間の可能な範囲も開示されている。例えば、値「X」が開示されていれば、「X以下の」値、及び「X以上の」値(例えば、Xが数値の場合)も開示されている。又、本出願全体を通して、データが幾つかの異なるフォーマットで与えられていること、並びにこのデータが終点及び始点を表していて、これらのデータ点の任意の組み合わせにわたる範囲を有することも理解されたい。例えば、特定のデータ点「10」及び特定のデータ点「15」が開示されていれば、10と15の間の値だけでなく、10及び15より大きい値、10及び15以上の値、10及び15より小さい値、10及び15以下の値、及び10及び15に等しい値も開示されていると見なされる。2つの特定の単数の間の各単数も開示されていることも理解されたい。例えば、10及び15が開示されていれば、11、12、13、及び14も開示されている。
【0233】
ここまで様々な例示的実施形態を説明してきたが、特許請求の範囲によって示される本発明の範囲から逸脱しない限り、様々な実施形態に対して、幾つかある変更のいずれが行われてもよい。例えば、記載された各種方法ステップが実施される順序は、代替実施形態では変更されてよい場合が多く、代替実施形態によっては、1つ以上の方法ステップがまとめてスキップされてもよい。装置及びシステムの様々な実施形態の任意選択の特徴が、実施形態によっては含まれてよく、実施形態によっては含まれなくてよい。従って、上述の説明は、主に例示を目的としたものであり、特許請求の範囲に明記されている本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0234】
本明細書に含まれる実施例及び具体例は、本発明対象が実施されうる具体的な実施形態を、限定ではなく例示として示す。言及されたように、他の実施形態が利用されたり派生したりしてよく、本開示の範囲から逸脱しない限り、構造的な、或いは論理的な置換又は変更が行われてよい。本発明対象のそのような実施形態は、本明細書においては、個別に参照されてよく、或いは、「本発明」という言い方でまとめて参照されてよく、「本発明」という言い方で参照することは、あくまで便宜上であって、本出願の範囲を、実際には2つ以上が開示されていても、いずれか1つの発明又は発明概念に自発的に限定することを意図するものではない。従って、本明細書では特定の実施形態を図示及び説明してきたが、この、示された特定の実施形態を、同じ目的を達成するように作られた任意の構成で置き換えてよい。本開示は、様々な実施形態のあらゆる翻案又は変形を包含するものである。当業者であれば、上述の説明を精査することにより、上述の複数の実施形態の組み合わせ、及び本明細書に具体的な記載がない他の実施形態が明らかになるであろう。
〔付記1〕
口腔内スキャナを使用して被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成する方法であって、
前記被験者の歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、前記口腔内スキャナを使用して前記歯の少なくとも一部分の3D表面モデルデータを捕捉するステップと、
前記歯の同じ内部領域の複数の画像が画像化されるように、前記歯の上で前記口腔内スキャナを動かしながら、前記口腔内スキャナで近赤外波長を使用して前記歯の内部の複数の画像を取得するステップと、
前記歯の内部の前記複数の画像のそれぞれについて、前記3D表面モデルデータを使用して前記被験者の歯に対して相対的な前記口腔内スキャナの位置を特定するステップと、
前記複数の画像と、前記被験者の歯に対して相対的な前記口腔内スキャナの前記位置とを使用して、内部形状を含む、前記被験者の歯の前記3Dボリュメトリックモデルを形成するステップと、
を含む方法。
〔付記2〕
口腔内スキャナを使用して被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成する方法であって、
前記被験者の歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、前記口腔内スキャナを使用して前記歯の少なくとも一部分の3D表面モデルデータを捕捉するステップと、
前記歯の上で前記口腔内スキャナを動かしながら、近赤外波長を使用して前記歯の内部の複数の画像を取得することを、前記口腔内スキャナから近赤外光を第1の偏光で発光することと、前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光を前記口腔内スキャナ内の画像センサで検出することと、によって行うステップであって、前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光はフィルタリングされて鏡面反射を除去され、前記除去は、前記画像センサに到達する前の、前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光から前記第1の偏光の近赤外光をフィルタリングすることにより行われる、前記歯の内部の前記複数の画像を取得する前記ステップと、
前記歯の内部の前記複数の画像のそれぞれについて、前記複数の画像のそれぞれが捕捉された時点で、前記3D表面モデルデータを使用して前記被験者の歯に対して相対的な前記口腔内スキャナの位置を特定するステップと、
前記複数の画像と、前記被験者の歯に対して相対的な前記口腔内スキャナの前記位置とを使用して、内部形状を含む、前記被験者の歯の前記3Dボリュメトリックモデルを形成するステップと、
を含む方法。
〔付記3〕
前記歯の内部の前記複数の画像を取得する前記ステップは、前記口腔内スキャナから近赤外光を第1の偏光で発光することと、前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光を前記口腔内スキャナ内の画像センサで検出することと、を含み、前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光はフィルタリングされて鏡面反射を除去され、前記除去は、前記画像センサに到達する前の、前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光から前記第1の偏光の近赤外光をフィルタリングすることにより行われる、付記1に記載の方法。
〔付記4〕
前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光はフィルタリングされて鏡面反射を除去され、前記除去は、前記画像センサに到達する前の、前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光から前記第1の偏光の前記近赤外光の全て又はほぼ全てをフィルタリングすることにより行われる、付記2に記載の方法。
〔付記5〕
前記3D表面モデルデータを捕捉する前記ステップは、共焦点フォーカシングを用いて3D表面トポロジを特定することを含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記6〕
前記3D表面モデルデータを捕捉する前記ステップは、共焦点スキャン、立体視を用いることを含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記7〕
前記3D表面モデルデータを捕捉する前記ステップは、構造化光三角測量を用いることを含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記8〕
前記3D表面モデルデータを捕捉する前記ステップは、前記歯及び歯肉のモデルを捕捉することを含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記9〕
前記歯の上で前記口腔内スキャナを動かしながら、前記歯の3Dカラーモデルを捕捉するステップを更に含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記10〕
前記歯の上で前記口腔内スキャナを動かしながら、3D表面モデルデータを捕捉する前記ステップと、前記歯の内部の前記複数の画像を取得する前記ステップと、を切り換えることを更に含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記11〕
前記複数の画像を取得する前記ステップは、前記口腔内スキャナ上の同じセンサを使用して、前記3D表面モデルデータと前記歯の内部の前記複数の画像とを捕捉することを含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記12〕
前記歯の内部の前記複数の画像を取得するステップは小角度浸透画像を含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記13〕
前記歯の内部の前記複数の画像を取得するステップは、前記口腔内スキャナ上の別のセンサを使用して、3D表面モデルデータと前記歯の内部の前記複数の画像とを捕捉することを含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記14〕
前記被験者の歯の前記3Dボリュメトリックモデルを形成する前記ステップは、前記3D表面モデルデータと前記内部構造の3Dモデルとを組み合わせることを含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記15〕
内部構造にマーキングを行うことを更に含む、付記1又は2に記載の方法。
〔付記16〕
被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成する口腔内スキャンシステムであって、
少なくとも1つの画像センサと複数の光源とを有する手持ち式ワンドであって、前記光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、前記第2のスペクトル範囲は近赤外波長範囲内である、前記手持ち式ワンドと、
前記手持ち式ワンドに作用的に接続された1つ以上のプロセッサであって、
前記被験者の歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、前記歯の少なくとも一部分の3D表面モデルデータを捕捉するステップと、
前記歯の同じ内部領域の複数の画像が画像化されるように、前記歯の上で前記口腔内スキャナを動かしながら、前記第2のスペクトル範囲の光を使用して前記歯の内部の複数の画像を取得するステップと、
前記歯の内部の前記複数の画像のそれぞれについて、前記3D表面モデルデータを使用して前記被験者の歯に対して相対的な前記手持ち式ワンドの位置を特定するステップと、
前記複数の画像と、前記被験者の歯に対して相対的な前記口腔内スキャナの前記位置とを使用して、内部形状を含む、前記被験者の歯の前記3Dボリュメトリックモデルを形成するステップと、
を実施するように構成された前記1つ以上のプロセッサと、
を含むシステム。
〔付記17〕
被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成する口腔内スキャンシステムであって、
少なくとも1つの画像センサと複数の光源とを有する手持ち式ワンドであって、前記光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、前記第2のスペクトル範囲は近赤外波長範囲内である、前記手持ち式ワンドと、
前記画像センサの前部にあって、前記第2のスペクトル範囲及び第1の偏光の光をフィルタリングするように構成されたフィルタと、
前記手持ち式ワンドに作用的に接続された1つ以上のプロセッサであって、
前記被験者の歯の上で口腔内スキャナを動かしながら、前記歯の少なくとも一部分の3D表面モデルデータを捕捉するステップと、
前記歯の上で前記口腔内スキャナを動かしながら、前記第2のスペクトルの光を使用して前記歯の内部の複数の画像を取得することを、前記口腔内スキャナから近赤外光を第1の偏光で発光することと、前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光を前記口腔内スキャナ内の画像センサで検出することと、によって行うステップであって、前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光はフィルタリングされて鏡面反射を除去され、前記除去は、前記画像センサに到達する前の、前記口腔内スキャナに戻る前記近赤外光から前記第1の偏光の近赤外光をフィルタリングすることにより行われる、前記歯の内部の前記複数の画像を取得する前記ステップと、
前記歯の内部の前記複数の画像のそれぞれについて、前記3D表面モデルデータを使用して前記被験者の歯に対して相対的な前記手持ち式ワンドの位置を特定するステップと、
前記複数の画像と、前記被験者の歯に対して相対的な前記口腔内スキャナの前記位置とを使用して、内部形状を含む、前記被験者の歯の前記3Dボリュメトリックモデルを形成するステップと、
を実施するように構成された前記1つ以上のプロセッサと、
を含むシステム。
〔付記18〕
前記手持ち式ワンドは、前記画像センサに加えて少なくとも1つのセカンダリ画像センサを追加で含む、付記16又は17に記載のシステム。
〔付記19〕
前記1つ以上のプロセッサは、共焦点フォーカシングを用いることによって表面情報を特定するように構成されている、付記16又は17に記載のシステム。
〔付記20〕
前記1つ以上のプロセッサは、共焦点スキャン、立体視、又は構造化光三角測量を用いることによって表面情報を特定するように構成されている、付記16又は17に記載のシステム。
〔付記21〕
前記手持ち式ワンドは、前記第2のスペクトル範囲により取得される画像が表面スキャンと座標系を共有するように前記第1のスペクトル範囲と前記第2のスペクトル範囲とを切り換えることによって、前記第1のスペクトル範囲の光を発光して前記表面スキャンを実施することと、前記第2のスペクトル範囲の光を発光して内部構造を検出することと、を巡回するように構成されている、付記16又は17に記載のシステム。
〔付記22〕
前記画像センサは、前記3D表面モデルデータと前記歯の前記内部データとの両方を捕捉するように構成されている、付記16又は17に記載のシステム。
〔付記23〕
前記複数の光源は白色光光源を含む、付記16又は17に記載のシステム。
〔付記24〕
更に、前記複数の光源及び前記画像センサは、前記第2のスペクトル範囲で発光される光が歯で反射され、前記1つ以上のセンサによって0°から15°の角度で受光されるように配置されている、付記16又は17に記載のシステム。
〔付記25〕
被験者の歯のモデルを生成する方法であって、
被験者の歯の一部分を口腔内スキャナでスキャンすることを、前記歯の3次元(3D)表面モデルデータを捕捉する第1のモダリティにより行うステップと、
前記被験者の歯の前記一部分を前記口腔内スキャナでスキャンすることを、浸透波長を使用して前記歯の内部を画像化して前記歯の内部データを捕捉する第2のモダリティにより行うステップと、
前記第1のモダリティと前記第2のモダリティとを巡回するステップであって、前記浸透波長を使用する画像が、前記第1のモダリティで捕捉される前記3D表面モデルデータと座標系を共有するように、前記第1のモダリティと前記第2のモダリティとが巡回によって高速で切り換えられる、前記巡回するステップと、
を含む方法。
〔付記26〕
被験者の歯のモデルを生成する方法であって、
被験者の歯の一部分を手持ち式口腔内スキャナでスキャンすることを、前記歯の3次元(3D)表面モデルデータを捕捉する第1のモダリティにより行うステップと、
前記被験者の歯の前記一部分を前記手持ち式口腔内スキャナでスキャンすることを、浸透波長を使用して前記歯の内部を画像化して前記歯の内部データを捕捉する第2のモダリティにより行うステップと、
前記内部データが、前記第1のモダリティで捕捉される前記3D表面モデルデータと同じ座標系を使用するように、前記第1のモダリティと前記第2のモダリティとが巡回によって高速で切り換えられるスキャン方式により、前記第1のモダリティと前記第2のモダリティとを巡回するステップと、
前記捕捉された3D表面モデルデータ、前記内部データ、又は前記3D表面モデルデータ及び前記内部データの両方に基づいて、前記スキャン方式を調節するステップと、
を含む方法。
〔付記27〕
前記3D表面モデルデータと前記歯の前記内部データとを組み合わせて、前記歯の3Dモデルを形成するステップを更に含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記28〕
前記3D表面モデルデータと前記歯の前記内部データとを組み合わせて、前記歯の3Dモデルを形成し、内部構造にマーキングを行うステップを更に含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記29〕
前記3D表面モデルデータを捕捉する前記ステップは、共焦点フォーカシングを使用して3D表面トポロジを特定することを含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記30〕
前記3D表面モデルデータを捕捉する前記ステップは、共焦点スキャン、立体視、又は構造化光三角測量を用いることを含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記31〕
前記被験者の歯及び歯肉をスキャンすることを更に含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記32〕
更に、前記巡回するステップは、前記第1のモダリティと前記第2のモダリティと第3のモダリティとを巡回することを含み、前記浸透波長を使用する画像が、前記第1のモダリティで捕捉される前記3D表面モデルと座標系を共有するように、前記第1のモダリティと前記第2のモダリティと前記第3のモダリティとが巡回によって高速で切り換えられる、付記25又は26に記載の方法。
〔付記33〕
前記被験者の歯の前記一部分を前記口腔内スキャナでスキャンすることを、前記被験者の歯のカラー画像を捕捉する第3のモダリティにより行うステップを更に含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記34〕
前記口腔内スキャナ上のセンサを使用して、前記3D表面モデルデータと前記歯の前記内部データとの両方を捕捉するステップを更に含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記35〕
前記被験者の歯の前記一部分を前記口腔内スキャナでスキャンすることを、前記第2のモダリティにより行うステップは、前記歯を照明することを、前記照明を受光するセンサに対して0°から15°の角度で行うことを含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記36〕
前記被験者の歯の前記一部分を前記口腔内スキャナでスキャンすることを、前記第2のモダリティにより行うステップは、照明源とセンサとの間の異なる複数の角度で複数の徹照画像又は小角度浸透画像を取得することを含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記37〕
前記口腔内スキャナ上の別のセンサを使用して、前記3D表面モデルデータと前記歯の前記内部データとを捕捉するステップを更に含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記38〕
前記口腔内スキャナ上の複数のセンサを使用して、前記歯の内部データを捕捉するステップを更に含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記39〕
前記被験者の歯の前記一部分を前記口腔内スキャナでスキャンすることを、前記第2のモダリティにより行うステップは、白色光徹照、UV/青色蛍光、及び赤色光蛍光のうちの1つ以上で照明することを含む、付記25又は26に記載の方法。
〔付記40〕
前記被験者の歯の前記一部分を前記口腔内スキャナでスキャンすることを、前記第2のモダリティにより行うステップは、赤外光で照明することを含む、付記30又は31に記載の方法。
〔付記41〕
前記第1のモダリティでのスキャンに費やされる継続時間、前記第2のモダリティで費やされる前記継続時間、又は前記第1のモダリティと前記第2のモダリティとを巡回する場合に前記第1のモダリティ及び前記第2のモダリティで費やされる前記継続時間を自動的に調節するステップを更に含む、付記25に記載の方法。
〔付記42〕
前記第1のモダリティでのスキャンに費やされる継続時間、前記第2のモダリティで費やされる前記継続時間、又は前記第1のモダリティと前記第2のモダリティとを巡回する場合に前記第1のモダリティ及び前記第2のモダリティで費やされる前記継続時間を、前記捕捉された3D表面モデルデータ、前記内部データ、又は前記3D表面モデルデータ及び前記内部データの両方に基づいて、自動的に調節するステップを更に含む、付記25に記載の方法。
〔付記43〕
前記スキャン方式を調節する前記ステップは、前記捕捉された3D表面モデルデータの品質の特定に関する品質に基づいて調節することを含む、付記26に記載の方法。
〔付記44〕
前記スキャン方式を調節する前記ステップは、前記スキャン方式を自動的に調節することを含む、付記26に記載の方法。
〔付記45〕
前記スキャン方式を調節する前記ステップは、前記第1のモダリティでのスキャンの継続時間を調節することを含む、付記26に記載の方法。
〔付記46〕
前記スキャン方式を調節する前記ステップは、前記第2のモダリティでのスキャンの継続時間を調節することを含む、付記26に記載の方法。
〔付記47〕
被験者の歯のモデルを生成する口腔内スキャンシステムであって、
少なくとも1つのセンサと複数の光源とを有する手持ち式口腔内ワンドであって、前記光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、更に、前記第2のスペクトル範囲は浸透性である、前記手持ち式口腔内ワンドと、
前記手持ち式口腔内ワンドに作用的に接続された1つ以上のプロセッサであって、前記1つ以上のプロセッサは、第1のモードと第2のモードとを前記ワンドに巡回させるように構成されており、前記第1のモードでは、前記ワンドが前記第1のスペクトル範囲の光を第1の継続時間にわたって発光し、前記1つ以上のプロセッサが応答として3次元(3D)表面データを受け取り、前記第2のモードでは、前記ワンドが前記第2のスペクトル範囲の光を第2の継続時間にわたって発光し、前記1つ以上のプロセッサが応答として画像データを受け取る、前記1つ以上のプロセッサと、
を含むシステム。
〔付記48〕
被験者の歯のモデルを生成する口腔内スキャンシステムであって、
少なくとも1つのセンサと複数の光源とを有する手持ち式口腔内ワンドであって、前記光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、更に、前記第2のスペクトル範囲は浸透性である、前記手持ち式口腔内ワンドと、
前記ワンドに作用的に接続された1つ以上のプロセッサであって、前記1つ以上のプロセッサは、第1のモードと第2のモードとを前記ワンドに巡回させるように構成されており、前記第1のモードでは、前記ワンドが前記第1のスペクトル範囲の光を第1の継続時間にわたって発光し、前記1つ以上のプロセッサが応答として3次元(3D)表面データを受け取り、前記第2のモードでは、前記ワンドが前記第2のスペクトル範囲の光を第2の継続時間にわたって発光し、前記1つ以上のプロセッサが応答として画像データを受け取る、前記1つ以上のプロセッサと、を含み、
前記1つ以上のプロセッサは、前記受け取られた3D表面データ、前記受け取られた画像データ、又は前記3D表面データ及び前記画像データの両方に基づいて、前記第1の継続時間及び前記第2の継続時間を調節するように構成されている、
システム。
〔付記49〕
前記ワンドは複数のセンサを含む、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記50〕
前記1つ以上のプロセッサは、共焦点フォーカシングを用いて前記3次元(3D)表面データから表面情報を特定するように構成されている、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記51〕
前記1つ以上のプロセッサは、共焦点スキャン、立体視、又は構造化光三角測量を用いることによって、応答として前記3次元(3D)表面データから表面情報を特定するように構成されている、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記52〕
前記第1の継続時間及び前記第2の継続時間は、前記第2のスペクトル範囲で取得される前記画像データが、前記第1のスペクトル範囲で取得される前記3D表面データと座標系を共有するように設定される、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記53〕
前記第1の継続時間及び前記第2の継続時間は100ミリ秒未満であり、これによって、前記第2のスペクトル範囲で取得される前記画像データが、前記第1のスペクトル範囲で取得される前記3D表面データと座標系を共有する、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記54〕
前記少なくとも1つのセンサは、前記3D表面モデルデータと前記歯の前記内部データとの両方を捕捉するように構成されている、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記55〕
前記少なくとも1つのセンサは、前記第1のスペクトル範囲の光から前記3D表面モデルデータを捕捉するように構成された第1のセンサと、前記センサスペクトル範囲の光から前記歯の前記内部データを捕捉するように構成された第2のセンサと、を含む、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記56〕
前記複数の光源に隣接する複数のセンサを更に含む、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記57〕
前記第2のスペクトル範囲で光を発光するように構成された前記光源は、白色光徹照、UV/青色蛍光、及び赤色光蛍光のうちの1つ以上を発光するように構成されている、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記58〕
前記第2のスペクトル範囲で光を発光するように構成された前記光源は、赤外光を発光するように構成されている、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記59〕
更に、前記複数の光源及び前記少なくとも1つのセンサは、前記第2のスペクトル範囲で発光される光が歯で反射され、前記1つ以上のセンサによって0°から15°の角度で受光されるように、前記手持ち式ワンド上に配置されている、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記60〕
前記プロセッサは、前記3次元(3D)表面データ及び前記画像データから歯の3Dモデルを形成するように構成されている、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記61〕
前記1つ以上のプロセッサは、前記第1の継続時間及び前記第2の継続時間を、前記受け取られた3D表面データ、前記受け取られた画像データ、又は前記3D表面データ及び前記画像データの両方に基づいて自動的に調節するように構成されている、付記47又は48に記載のシステム。
〔付記62〕
口腔内スキャナを使用して、被験者の歯の内部を画像化して亀裂及びカリエスを検出する方法であって、
前記被験者の歯の上を前記口腔内スキャナでスキャンするステップと、
近赤外波長及び非浸透波長の両方を発光する前記口腔内スキャナを使用して、様々な向きで前記被験者の歯の内部の複数の近赤外画像を取得するステップと、
前記複数の近赤外画像の画像の各場所に関して、前記非浸透波長を使用して、前記被験者の歯に対して相対的な前記口腔内スキャナの位置を特定するステップと、
前記複数の近赤外画像と、前記複数の近赤外画像の各近赤外画像における、前記被験者の歯に対して相対的な前記口腔内スキャナの前記位置とを使用して、前記被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成するステップと、
を含む方法。
〔付記63〕
前記ボリュメトリックモデルを分析して亀裂又はカリエスを識別するステップを更に含む、付記62に記載の方法。
〔付記64〕
様々な向きで、前記被験者の歯の内部の前記複数の近赤外画像を取得する前記ステップは、小角度画像を取得することを含む、付記62に記載の方法。
〔付記65〕
様々な向きで、前記被験者の歯の内部の前記複数の近赤外画像を取得する前記ステップは、小角度画像を取得することを含み、前記口腔内スキャナによって発光される近赤外光と受光される近赤外光との間の角度が0度から15度である、付記62に記載の方法。
〔付記66〕
前記口腔内スキャナは、850nmの波長で光を発光する、付記62に記載の方法。
〔付記67〕
前記口腔内スキャナから近赤外光を発光して前記複数の近赤外画像を第1の偏光で取得するステップと、前記患者の歯から戻る前記赤外光をフィルタリングして鏡面反射を除去することを、前記患者の歯から戻る前記赤外光をフィルタリングして、前記第1の偏光を有する光を除去することにより行うステップと、を更に含む、付記62に記載の方法。
〔付記68〕
被験者の歯を透過する画像化を行って亀裂及びカリエスを検出する方法であって、
前記被験者の歯を複数の位置からスキャンするステップであって、前記各位置において、
口腔内スキャナを使用して、様々な向きで前記歯の内部の複数の近赤外画像を取得するステップであって、前記口腔内スキャナは近赤外波長の光を第1の偏光で発光し、各近赤外画像において、発光される光と画像センサによって受光される光との間の角度が0度から15度であり、更に、受光される近赤外光がフィルタリングされて、前記第1の偏光の近赤外光が遮られる、複数の近赤外画像を取得する前記ステップと、
前記複数の近赤外画像の画像の各場所に関して、前記被験者の歯に対して相対的な前記口腔内スキャナの位置を特定するステップと、
を繰り返すことを含む、前記スキャンするステップと、
前記浸透画像及び前記表面位置情報を使用して、前記歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを生成するステップと、
を含む方法。
〔付記69〕
前記被験者の歯の3D表面モデルデータを捕捉するステップを更に含む、付記68に記載の方法。
〔付記70〕
前記3D表面モデルデータを捕捉する前記ステップは、共焦点スキャン、立体視、又は構造化光三角測量を用いることを含む、付記69に記載の方法。
〔付記71〕
前記スキャンするステップは、前記近赤外波長と非浸透波長とを切り換えることを含む、付記68に記載の方法。
〔付記72〕
被験者の歯の3次元(3D)ボリュメトリックモデルを形成する方法であって、
カメラセンサで前記被験者の歯の複数の近赤外画像を取得するステップであって、前記複数の近赤外画像の為の近赤外照明は、ほぼ前記カメラセンサの方向から投射される、前記複数の近赤外画像を取得する前記ステップと、
前記複数の近赤外画像のそれぞれについて、前記被験者の歯に対して相対的な前記カメラの位置を表す位置データを受け取るステップと、
ボリューム内の各点について、前記複数の近赤外画像及び前記位置データから散乱係数の上限を生成するステップと、
ボリューム内の各点についての散乱係数の前記上限を組み合わせて、前記被験者の歯の3Dボリュメトリックモデルを形成するステップと、
前記被験者の歯の前記3Dボリュメトリックモデルを出力するステップと、
を含む方法。
〔付記73〕
前記出力するステップは、前記被験者の歯の前記3Dボリュメトリックモデルから等値面を形成することを含む、付記72に記載の方法。
〔付記74〕
前記被験者の歯の外部表面を表す表面データを受け取るステップを更に含み、前記生成するステップは、前記ボリューム内の各点について、前記被験者の歯の前記外部表面内で実施される、付記72に記載の方法。
〔付記75〕
前記出力するステップは、前記被験者の歯の前記3Dボリュメトリックモデルから、内部象牙質表面に対応する等値面を形成することを含む、付記72に記載の方法。
〔付記76〕
前記位置データは、前記複数の近赤外画像のそれぞれが捕捉される時点における前記カメラの位置及び方位のデータを含む、付記72に記載の方法。
〔付記77〕
前記位置データは、前記カメラの、3次元空間の3つの数値座標と、ピッチ、ヨー、及びロールとを含む、付記72に記載の方法。
〔付記78〕
前記ボリューム内の各点について前記散乱係数の前記上限を生成する前記ステップは、
前記被験者の歯の前記ボリュームに対応する3D点群グリッドの各点を、第1の較正を用いて、前記複数の近赤外画像のそれぞれに投影することと、
各投影点の輝度値のリストを生成することと、
前記輝度値リスト上の各輝度値を、ボリューム応答に応じて散乱係数に変換することと、
各グリッド点について、前記散乱係数のうちの最小散乱係数値を記憶することと、
を含む、
付記72に記載の方法。
〔付記79〕
前記第1の較正は、前記カメラのセンサ問題及び画像ゴーストを較正する為の固定パターンノイズ較正を含む、付記78に記載の方法。
〔付記80〕
前記第1の較正は、空間内の既知の点を画像上の点に投影する前記カメラの変換を決定するカメラ較正を含む、付記78に記載の方法。
〔付記81〕
放射波長範囲において半透明である歯からボリュメトリック構造を再構築する方法であって、
前記歯の表面の、第1の座標系での表現を、プロセッサにおいて受け取るステップと、
カメラによって取得される、前記放射波長範囲の前記歯の複数の画像を前記プロセッサにおいて受け取るステップであって、前記複数の画像は、ほぼ前記カメラの方向から投射される照明により取得される、前記複数の画像を受け取るステップと、
前記複数の画像のそれぞれにおける前記カメラの位置を表す位置データを、前記プロセッサにおいて受け取るステップと、
前記歯の前記表面内のボリュームに対応する点群グリッドの各点を、第1の較正を用いて、前記複数の画像のそれぞれに投影するステップと、
投影された各点の輝度値のリストを生成するステップと、
前記輝度値リスト上の各輝度値を、ボリューム応答に応じて散乱係数に変換するステップと、
各点における最小散乱係数を最小散乱係数リストに記憶するステップと、
を含む方法。
〔付記82〕
前記最小散乱係数リストから生成された画像を出力するステップを更に含む、付記81に記載の方法。
〔付記83〕
前記位置データは、前記複数の画像のそれぞれが捕捉される時点における前記カメラの位置及び方位のデータを含む、付記81に記載の方法。
〔付記84〕
前記第1の較正は、前記カメラのセンサ問題及び画像ゴーストを較正する為の固定パターンノイズ較正を含む、付記81に記載の方法。
〔付記85〕
前記第1の較正は、空間内の既知の点を画像上の点に投影する前記カメラの変換を決定するカメラ較正を含む、付記81に記載の方法。
〔付記86〕
前記被験者の歯の外部表面を表す表面データを受け取るステップを更に含み、前記投影するステップは、前記ボリューム内の各点について、前記被験者の歯の前記外部表面内で実施される、付記81に記載の方法。
〔付記87〕
前記点群グリッドは立方体グリッドを含む、付記81に記載の方法。
〔付記88〕
前記カメラはカメラセンサを含む、付記81に記載の方法。
〔付記89〕
放射波長範囲において半透明である歯からボリュメトリック構造を再構築する為の命令が記憶されている、非一時的なコンピューティング装置可読媒体であって、前記命令は、
前記歯の表面の、第1の座標系での表現を受け取るステップと、
カメラによって取得される、前記放射波長範囲の前記歯の複数の画像を受け取るステップであって、前記複数の画像は、ほぼ前記カメラの方向から投射される照明により取得される、前記複数の画像を受け取るステップと、
前記複数の画像のそれぞれにおける前記カメラの位置を表す位置データを受け取るステップと、
前記歯のボリュームに対応する点群グリッドの各点を、第1の較正を用いて、前記複数の画像のそれぞれに投影するステップと、
投影された各点の輝度値のリストを生成するステップと、
前記輝度値リスト上の各輝度値を、ボリューム応答に応じて散乱係数に変換するステップと、
前記散乱係数のうちの、各点における最小散乱係数を記憶するステップと、
前記最小散乱係数リストから生成された画像を出力するステップと、
をコンピューティング装置に実施させるように、プロセッサによって実行可能である、
コンピューティング装置可読媒体。
〔付記90〕
前記位置データは、前記複数の近赤外画像のそれぞれが捕捉される時点における前記カメラの位置及び方位のデータを含む、付記89に記載のデバイス。
〔付記91〕
前記位置データは、前記カメラの、3次元空間の3つの数値座標と、ピッチ、ヨー、及びロールとを含む、付記89に記載のデバイス。
〔付記92〕
前記第1の較正は、前記カメラのセンサ問題及び画像ゴーストを較正する為の固定パターンノイズ較正を含む、付記89に記載のデバイス。
〔付記93〕
前記第1の較正は、空間内の既知の点を画像上の点に投影する前記カメラの変換を決定するカメラ較正を含む、付記89に記載のデバイス。
〔付記94〕
前記点群グリッドは前記歯の内部にある、付記89に記載のデバイス。
〔付記95〕
前記点群グリッドは立方体グリッドを含む、、付記89に記載のデバイス。
〔付記96〕
被験者の歯をモデル化する方法であって、
口腔内スキャナにより、前記被験者の歯の内部の複数の画像と、前記複数の画像のそれぞれの画像に固有の、前記口腔内スキャナの位置及び方位とを捕捉するステップと、
前記複数の画像を区分して、前記被験者の歯の中の構造に対応する内部構造を形成するステップと、
前記複数の画像の前記位置及び方位を使用して、前記内部構造を、前記被験者の歯の3次元モデルに投影するステップと、
前記内部構造を含む、前記被験者の歯の前記3次元モデルを表示するステップと、
を含む方法。
〔付記97〕
前記捕捉するステップは、前記被験者の歯の前記内部の前記複数の画像を捕捉しながら、前記被験者の歯の表面画像を捕捉することを含む、付記96に記載の方法。
〔付記98〕
前記捕捉された表面画像から、前記被験者の歯の前記3次元モデルを形成するステップを更に含む、付記97に記載の方法。
〔付記99〕
前記複数の2次元画像を捕捉しながら、前記口腔内スキャナの前記位置及び方位を記憶するステップを更に含む、付記96に記載の方法。
〔付記100〕
前記複数の画像を区分するステップは、前記複数の画像にエッジ検出を適用して前記複数の画像の中の閉じた境界を識別することを含む、付記96に記載の方法。
〔付記101〕
前記複数の画像を区分するステップは、前記複数の画像からボリュメトリック密度マップを形成して前記内部構造を識別することを含む、付記96に記載の方法。
〔付記102〕
前記ボリュメトリック密度マップを区分して前記内部構造を識別するステップを更に含む、付記101に記載の方法。
〔付記103〕
前記ボリュメトリック密度マップの中の等値面を識別することによって前記ボリュメトリック密度マップを区分して前記内部構造を識別するステップを更に含む、付記102に記載の方法。
〔付記104〕
前記被験者の歯の前記3次元モデルを形成する前記ステップは、共焦点フォーカシングを用いて3次元表面トポロジを特定することを含む、付記103に記載の方法。
〔付記105〕
前記被験者の歯の表面画像を捕捉する前記ステップは、共焦点スキャン、立体視、又は構造化光三角測量を用いることを含む、付記97に記載の方法。
〔付記106〕
前記複数の画像を捕捉する前記ステップは、前記口腔内スキャナにより浸透波長を使用することを含む、付記96に記載の方法。
〔付記107〕
前記複数の画像を捕捉する前記ステップは、赤外画像を捕捉することを含む、付記96に記載の方法。
〔付記108〕
前記画像が捕捉されたときに前記3次元モデルを表示するステップを更に含む、付記96に記載の方法。
〔付記109〕
被験者の歯のモデルを生成するように構成された口腔内スキャン装置であって、
複数の光源と位置及び方位のセンサとを有する口腔内スキャナであって、前記光源は、第1のスペクトル範囲と第2のスペクトル範囲とで光を発光するように構成されており、更に、前記第2のスペクトル範囲は浸透性である、前記口腔内スキャナと、
前記口腔内スキャナに作用的に接続されたプロセッサであって、前記口腔内スキャナが前記第2のスペクトル範囲で光を発光している場合に、複数の画像と、前記複数の画像のそれぞれに対応する、前記口腔内スキャナの位置及び方位とを捕捉することを、前記スキャナに行わせるように構成された前記1つ以上のプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、前記複数の画像を区分して、前記被験者の歯の中の構造に対応する内部構造を形成することと、前記内部構造を含む、前記被験者の歯の3次元モデルを表示又は送信することと、を行うように更に構成されている、
装置。
〔付記110〕
前記プロセッサは、前記複数の画像にエッジ検出を適用して前記複数の画像の中の閉じた境界を識別することにより、前記複数の画像を区分するように構成されている、付記109に記載の装置。
〔付記111〕
前記プロセッサは、前記複数の画像から画素密度マップを形成して前記複数の画像を区分することにより、前記内部構造を識別するように構成されている、付記109に記載の装置。
〔付記112〕
前記プロセッサは、前記画素密度マップ内の閉じた区分を識別することにより、前記内部構造を識別するように構成されている、付記109に記載の装置。
〔付記113〕
プロセッサによって実行可能な命令が記憶されている、非一時的なコンピューティング装置可読媒体であって、前記命令は口腔内スキャン装置に、
浸透波長光を使用する複数の画像と、前記複数の画像のそれぞれの画像に固有の、前記口腔内スキャナの位置及び方位とを捕捉するステップと、
前記複数の画像を区分して、被験者の歯の中の構造に対応する内部構造を形成するステップと、
各画像に固有の、前記口腔内スキャナの前記位置及び方位を使用して、前記内部構造を、前記被験者の歯の3次元モデルに投影するステップと、
前記内部構造を含む、前記被験者の歯の前記3次元モデルを表示するステップと、
を実施させる、
コンピューティング装置可読媒体。
〔付記114〕
命令を有する、前記非一時的なコンピューティング装置可読媒体は更に、前記複数の画像にエッジ検出を適用して前記複数の画像の中の閉じた境界を識別することにより前記複数の画像を区分するステップを前記口腔内スキャン装置に実施させるように構成されている、付記113に記載のデバイス。
〔付記115〕
命令を有する、非一時的なコンピューティング装置可読媒体は更に、前記複数の画像から画素密度マップを形成して前記複数の画像を区分することにより前記内部構造を形成するステップを前記口腔内スキャン装置に実施させるように構成されている、付記113に記載のデバイス。
〔付記116〕
命令を有する、非一時的なコンピューティング装置可読媒体は更に、前記画素密度マップ内の閉じた区分を識別して前記複数の画像を区分することにより前記内部構造を形成するステップを前記口腔内スキャン装置に実施させるように構成されている、付記113に記載のデバイス。
〔付記117〕
プロセッサによって実行可能な命令が記憶されている、非一時的なコンピューティング装置可読媒体であって、前記命令はコンピューティング装置に、
被験者の歯の3次元表面モデルデータをスキャナから受け取るステップと、
前記被験者の歯の内部の複数の画像と、前記複数の画像の各画像に固有の、前記口腔内スキャナの位置及び方位とを、スキャナから受け取るステップと、
前記複数の画像を区分して前記被験者の歯の内部構造を形成するステップと、
前記被験者の歯の前記内部構造を前記3次元表面モデルに投影するステップと、
前記内部構造を示す前記3次元表面モデルを表示するステップと、
を実施させる、
非一時的なコンピューティング装置可読媒体。
〔付記118〕
被験者の口腔内スキャンに関連付けられたデータを受け取るステップと、
前記受け取られたデータから、前記被験者の歯の第1の内部形状のボリュームの少なくとも一部分を特定するステップと、
前記受け取られたデータから、前記被験者の前記歯の、前記第1の内部形状と異なる第2の内部形状のボリュームの少なくとも一部分を特定するステップと、
前記第1の内部形状の前記ボリュームの前記一部分と前記第2の内部形状の前記ボリュームの前記一部分とを一緒にマッピングするステップと、
前記第1の内部形状の前記ボリュームの前記一部分と前記第2の内部形状の前記ボリュームの前記一部分とを一緒に3Dボリュームとして出力するステップと、
を含む方法。
〔付記119〕
前記受け取られたデータは、前記被験者の歯表面浸透口腔内スキャンからのデータを含む、付記118に記載の方法。
〔付記120〕
前記受け取られたデータは更に、前記被験者の歯表面口腔内スキャンからのデータを含む、付記119に記載の方法。
〔付記121〕
前記受け取られたデータから、前記被験者の前記歯の表面を特定するステップと、前記歯の前記表面を、前記第1の内部形状の前記ボリュームの前記一部分及び前記第2の内部形状の前記ボリュームの前記一部分と一緒にマッピングするステップと、前記歯の前記表面を、前記第1の内部形状の前記ボリュームの前記一部分及び前記第2の内部形状の前記ボリュームの前記一部分と一緒に前記3Dボリュームとして出力するステップと、を更に含む、付記120に記載の方法。
〔付記122〕
前記受け取られたデータは更に、前記被験者の歯表面カラー口腔内スキャンからのデータを含む、付記121に記載の方法。
〔付記123〕
前記受け取られたデータから、前記被験者の前記歯の前記表面のカラーを特定するステップと、前記歯の前記表面の前記カラーを前記歯の前記表面にマッピングするステップと、前記歯の前記表面と前記歯の前記表面の前記カラーとを有する前記3Dボリュームを出力するステップと、を更に含む、付記122に記載の方法。
〔付記124〕
前記歯の前記第1の内部形状は前記歯の象牙質を含み、前記歯の前記第2の内部形状は前記歯のエナメル質を含む、付記118に記載の方法。
〔付記125〕
前記口腔内スキャンは前記被験者の第2の口腔内スキャンを含み、前記方法は更に、前記被験者の前の口腔内スキャンに関連付けられたデータを受け取るステップと、前記被験者の前記前の口腔内スキャンに関連付けられた前記受け取られたデータから、前記エナメル質又は前記象牙質のボリュームの少なくとも一部分を特定するステップと、前記第2の口腔内スキャンに関連付けられた前記受け取られたデータから特定された前記エナメル質又は前記象牙質の前記ボリュームの前記一部分と、前記前の口腔内スキャンに関連付けられた前記受け取られたデータから特定された前記エナメル質又は前記象牙質の前記ボリュームの前記一部分と、を比較することにより、前記エナメル質又は前記象牙質のボリューム変化を特定するステップと、前記特定されたボリューム変化を出力するステップと、を含む、付記124に記載の方法。
〔付記126〕
前記第2の内部形状と前記第1の内部形状とを比較することにより、前記歯の、歯のカリエスを検出するステップと、前記検出された歯のカリエスに関連付けられたユーザに対して信号を出力するステップと、を更に含む、付記124に記載の方法。
〔付記127〕
前記第2の内部形状と前記第2の内部形状とを比較することは、前記第2の内部形状の前記ボリュームが前記第1の内部形状の前記ボリュームの表面から延びているかどうかを分析することを含む、付記126に記載の方法。
〔付記128〕
前記分析するステップは、前記第2の内部形状の前記ボリュームが、前記第1の内部形状の前記ボリュームの前記表面から、前記第2の内部形状の、前記象牙質に関連付けられた一部分まで延びているかどうかを判定することを含む、付記127に記載の方法。
〔付記129〕
前記第1の内部形状の前記ボリュームの前記表面から延びている前記第2の内部形状のボリュームを計算するステップと、前記計算されたボリュームに関連付けられた信号を出力するステップと、を更に含む、付記127に記載の方法。
〔付記130〕
被験者の口腔内スキャンに関連付けられたデータを受け取るステップと、
前記受け取られたデータから、前記被験者の歯の、歯のカリエスのボリュームを特定するステップと、
前記被験者の前記歯の前記歯のカリエスの前記ボリュームを定量化するステップと、
前記被験者の前記歯の前記歯のカリエスの前記定量化されたボリュームに関連付けられた信号を出力するステップと、
を含む方法。
〔付記131〕
前記受け取られたデータから、前記被験者の前記歯のエナメル質のボリュームを特定するステップと、前記エナメル質の前記ボリュームを、前記歯のカリエスの前記ボリュームにマッピングするステップと、前記エナメル質及び前記歯のカリエスの前記マッピングされたボリュームの3Dボリュームをユーザに対して出力するステップと、を更に含む、付記130に記載の方法。
〔付記132〕
前記受け取られたデータから、前記被験者の前記歯の象牙質のボリュームを特定するステップと、前記象牙質の前記ボリュームを、前記エナメル質の前記ボリュームと前記歯のカリエスの前記ボリュームとにマッピングするステップと、前記エナメル質及び前記歯のカリエスの前記マッピングされたボリュームを前記象牙質の前記ボリュームと一緒に前記3Dボリュームとして出力するステップと、を更に含む、付記131に記載の方法。
〔付記133〕
前記被験者の前記口腔内スキャンは、前記被験者の第2の口腔内スキャンを含み、前記方法は更に、前記被験者の前の口腔内スキャンに関連付けられたデータを受け取るステップと、前記被験者の前記前の口腔内スキャンに関連付けられた前記受け取られたデータから、前記被験者の前記歯の前記歯のカリエスの前のボリュームを特定するステップと、前記歯のカリエスの前記ボリュームと、前記歯のカリエスの前記前のボリュームとの間のボリューム差に関連付けられた信号を出力するステップと、を含む、付記130に記載の方法。
〔付記134〕
前記被験者の前記歯の前記歯のカリエスの前記ボリュームの3Dモデルを出力するステップを更に含む、付記130に記載の方法。
〔付記135〕
口腔内スキャナ用徹照アダプタスリーブ装置であって、
口腔内スキャナのワンドにぴったりかぶせられるように構成されたスリーブボディであって、近赤外光が前記スリーブを通過することを可能にするように構成された光通過領域を遠位端に含む前記スリーブボディと、
前記光通過領域に隣接して前記スリーブボディの前記遠位端から延びる第1のウィング領域と、
前記第1のウィング領域から近赤外光を発光するように構成された近赤外光源と、
を含む装置。
〔付記136〕
前記近赤外光源は、前記光通過領域を横切る近赤外光を発光するように構成されている、付記135に記載の装置。
〔付記137〕
前記光通過領域に隣接して前記スリーブボディの前記遠位端から延びる第2のウィング領域であって、前記第2のウィング領域から近赤外光を発光するように構成された第2の近赤外光源を有する前記第2のウィング領域を更に含む、付記135に記載の装置。
〔付記138〕
前記近赤外光源に電気エネルギを印加するように構成された電気的接点を前記スリーブボディの近位端に更に含む、付記135に記載の装置。
〔付記139〕
前記電気的接点を前記近赤外光源に結合する可撓回路を更に含む、付記138に記載の装置。
〔付記140〕
前記光通過領域に隣接して前記スリーブボディの前記遠位端から延びる第2のウィングに作用的に接続されたカメラセンサを更に含む、付記138に記載の装置。