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特許7427070人工骨板組立体及びそれを構成する人工骨板ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】人工骨板組立体及びそれを構成する人工骨板ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20240126BHJP
   A61B 17/80 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
A61F2/28
A61B17/80
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022202173
(22)【出願日】2022-12-19
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】17/970,774
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522306756
【氏名又は名称】▲イ▼捷股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】蔡 棟國
(72)【発明者】
【氏名】歐 耿良
(72)【発明者】
【氏名】沈 永康
(72)【発明者】
【氏名】黄 胤中
(72)【発明者】
【氏名】洪 國盛
(72)【発明者】
【氏名】歐 雨欣
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/010463(WO,A1)
【文献】特開2008-114029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0246148(US,A1)
【文献】特開2001-258913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/80
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工骨板ユニットであって、プレート本体と、複数の連結ピンと、複数の連結孔と、複数の空腔部と、複数の開口部とを含み、
前記プレート本体は、二つの主表面と、該二つの主表面を連なる外周面とを有し、
前記複数の連結ピンは、前記プレート本体上において前記外周面に沿って間隔を置いて形成され、前記連結ピンは、前記二つの主表面のうちの片方に形成され、
前記複数の連結孔は、前記プレート本体上において前記外周面に沿って間隔を置いて形成されると共に、前記連結ピンと対応する外形を持ち、前記連結孔は、前記二つの主表面を貫通して形成され、
前記複数の空腔部は、前記人工骨板ユニット上に形成され、
前記複数の開口部は、前記人工骨板ユニット上に形成されると共に、それぞれが前記各空腔部と連通することを特徴とする人工骨板ユニット。
【請求項2】
前記各空腔部の最大横断面積が、対応する前記開口部の横断面積よりも大きく、また、該各空腔部の横断面の法線方向は、対応する該開口部の開口方向と平行であることを特徴とする請求項1に記載の人工骨板ユニット。
【請求項3】
前記人工骨板ユニットは複数の連通路を備え、該複数の連通路はそれぞれ、対応する前記空腔部と開口部とを連通することを特徴とする請求項1に記載の人工骨板ユニット。
【請求項4】
前記複数の空腔部の縦断面形状が、円形、楕円形、卵形または三角形であり、また、該各空腔部の縦断面の法線方向は、対応する前記開口部の開口方向と直交することを特徴とする請求項1に記載の人工骨板ユニット。
【請求項5】
前記各空腔部の横断面積が、対応する前記開口部から遠ざかるにつれて増大し、また、該各空腔部の横断面の法線方向は、対応する前記開口部の開口方向と平行であることを特徴とする請求項1に記載の人工骨板ユニット。
【請求項6】
前記人工骨板ユニットは、前記二つの主表面を貫通して形成され、前記外周面に沿って配列される複数のネジ孔を含むことを特徴とする請求項に記載の人工骨板ユニット。
【請求項7】
前記プレート本体は多角形であって、前記外周面上に複数の角部を有し、前記複数の連結ピン及び前記複数の連結孔はそれぞれ、該複数の角部の一つに隣接して配置されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の人工骨板ユニット。
【請求項8】
前記プレート本体はN辺多角形であって、前記外周面はN個の連結面からなり、前記連結ピンの数と前記連結孔の数との総合がNであり、Nは2を超える整数であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の人工骨板ユニット。
【請求項9】
前記プレート本体の厚さが1mm以下であることを特徴とする請求項に記載の人工骨板ユニット。
【請求項10】
前記人工骨ユニットは、チタン、Ti-6A1-4V、316Lステンレス鋼、ポリエーテルエーテルケトンまたはアルミニウムで作られることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の人工骨板ユニット。
【請求項11】
プレート本体の二つの主表面のうちの一方に、複数の支柱が形成され、
前記各空腔部はそれぞれ、前記各支柱内に形成され、
前記各開口部はそれぞれ、前記各支柱の主表面から離れる端部に形成されると共に、対応する前記空腔部に連通することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の人工骨板ユニット。
【請求項12】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の人工骨板ユニットを複数組み立てることにより構成される、湾曲可能な人工骨板組立体であって、任意の二つの該人工骨板ユニットは、互いに係合可能な前記連結ピンと連結穴とによって互いに着脱自在に組み立てられることを特徴とする人工骨板組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用インプラントに関し、特に、頭蓋形成術、すなわち頭蓋骨の骨欠損の外科手術に使用する、組立式人工骨板組立体及びそれを構成する人工骨板ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
外傷または手術により患者の頭蓋骨の一部が欠損した場合、頭蓋骨の欠損部位を人工骨板で覆って修復する頭蓋形成術を施し、覆われた人工骨板は、脳組織の保護及び後遺症の予防に重要な役割を果たす。
【0003】
頭蓋形成術で使用される従来の人工骨板は、素材の塊から機械加工によって削り出している。具体的に述べると、金属またはポリマーの塊を頭蓋骨の欠損部位の形に削り出し、その後、削り出した人工骨板を外科手術によって頭蓋骨の欠損部分に固定する。
【0004】
しかし、頭蓋骨の表面は湾曲していることで、素材の切削加工時に大量の材料が除去されなければならないので、材料費と加工時間の無駄になる。
【0005】
よって、従来の人工骨板は、改善する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、材料の節約及び加工時間の短縮を図ることができる、人工骨板組立体及びそれを構成する人工骨板ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、第1実施形態の人工骨板ユニットを提案しており、当該人工骨板ユニットは、プレート本体と、複数の連結ピンと、複数の連結孔と、複数の空腔部と、複数の開口部とを含み、
前記プレート本体は、二つの主表面と、該二つの主表面を連なる外周面とを有し、
前記複数の連結ピンは、前記プレート本体上において前記外周面に沿って間隔を置いて形成され、前記連結ピンは、前記二つの主表面のうちの片方に形成され、
前記複数の連結孔は、前記プレート本体上において前記外周面に沿って間隔を置いて形成されると共に、前記連結ピンと対応する外形を持ち、前記連結孔は、前記二つの主表面を貫通して形成され、
前記複数の空腔部は、前記人工骨板ユニット上に形成され、
前記複数の開口部は、前記人工骨板ユニット上に形成されると共に、それぞれが前記各空腔部と連通することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、さらに、人工骨板組立体を提案しており、当該人工骨板組立体は、前記人工骨板ユニットを組み立てることにより構成される、湾曲可能な人工骨板組立体であって、任意の二つの該人工骨板ユニットは、互いに係合可能な前記連結ピンと連結穴とによって互いに着脱自在に組み立てられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の人工骨板ユニットは、係合可能な連結ピンと連結孔を介して互いに着脱自在に組み立てられることが可能となることにより、大面積の湾曲可能な組立式人工骨板組立体を形成することができる。このような設計により、複数の人工骨板ユニットを組み立てて、形を整えるように折り曲げることで、頭蓋骨の欠損部位の形状に対応した形の人工骨板組立体を簡単に作ることができるので、高価な医療用材料の無駄遣いを防ぐことができると共に、加工、製造にかかる時間も短縮することができる。
【0012】
さらに、本発明の人工骨板ユニットは、薬剤を填充するための空腔部と、薬剤を放出するための開口部とを備えることにより、頭蓋形成術によって患部を覆う人工骨板は、薬剤をゆっくり放出することができるので、術後の回復を促進することができる。
【0013】
以下、図面および具体的な実施例を参照して、本発明について詳しく説明する。これらの実施例は、本発明の技術方案を前提として実施され、詳細な実施形態および具体的な操作過程を提示するが、本発明の保護範囲は以下の実施例に制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施例の人工骨板ユニットの斜視図である。
図2図1の人工骨板ユニットの平面図である。
図3図1の人工骨板ユニットの拡大縦断面図である。
図4】本発明の第1実施例の人工骨板ユニットの他の実施形態の拡大縦断面図である。
図5】本発明の第1実施例の人工骨板ユニットの他の実施形態の拡大縦断面図である。
図6】本発明の第1実施例の人工骨板ユニットの他の実施形態の拡大縦断面図である。
図7】本発明の第1実施例の人工骨板ユニットの他の実施形態の拡大縦断面図である。
図8】本発明の第1実施例の人工骨板ユニットの他の実施形態の拡大縦断面図である。
図9】本発明の第2実施例の人工骨板ユニットの斜視図である。
図10】本発明の第3実施例の人工骨板ユニットの斜視図である。
図11】本発明の第4実施例の人工骨板ユニットの斜視図である。
図12】本発明の第5実施例の人工骨板ユニットの斜視図である。
図13】本発明の第6実施例の人工骨板ユニットの斜視図である。
図14】本発明の第7実施例の人工骨板ユニットの斜視図である。
図15図14の人工骨板ユニットの拡大縦断面図である。
図16】本発明の第1実施例の人工骨板組立体の斜視図である。
図17】本発明の第8実施例の人工骨板ユニットの斜視図である。
図18図17の人工骨板ユニットを底面から見たの斜視図である。
図19】本発明の第9実施例の人工骨板ユニットの斜視図である。
図20図19の人工骨板ユニットを底面から見たの斜視図である。
図21】本発明の第2実施例の人工骨板組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図3は、本発明の第1実施例に係る人工骨板ユニットを示したものであり、これらの図面によると、係る人工骨板ユニットは、プレート本体と、複数の連結ピン30と、複数の連結孔40と、複数の空腔部50と、複数の開口部60とを含み、該プレート本体は、二つの主表面10と、該二つの主表面10を連なる外周面20とを備える。
【0016】
前記複数の連結ピン30及び前記複数の連結孔40は、前記プレート本体上において前記外周面20に沿って間隔を置いて形成され、該連結ピン30と連結孔40とは嵌合可能に構成されていることにより、任意の二つの人工骨板ユニットは、一方の人工骨板ユニットの連結ピン30と他方の人工骨板ユニットの連結孔40とを係合させることにより、互いに着脱自在に組み立てることができる。
【0017】
図3に示すように、薬剤を充填するための前記複数の空腔部50及び該複数の空腔部50と連通する複数の開口部60は前記人工骨板ユニット上に形成され、手術前に薬剤を該空腔部50内に充填し、手術後に該空腔部50内の薬剤が該開口部60からゆっくりと放出される。
【0018】
本実施例では、前記空腔部50は、前記プレート本体と連結ピン30上に形成されており、前記開口部60は、前記二つの主表面10、外周面20及び連結ピン30の外表面上に形成され、すなわち、開口部60及び空腔部50は、本発明の人工骨板ユニットのすべての表面に分布されているが、他の好適な実施例においては、開口部60及び空腔部50は、プレート本体のみに分布されてもよい。尚、空腔部50と開口部60は、エッチング法によって形成されることが好ましい。
【0019】
さらに、本発明の人工骨板ユニットは、複数の連通路70を備えることが好ましい。該複数の連通路70はそれぞれ、前記複数の開口部60のそれぞれの一つと前記空腔部50のそれぞれの一つとを接続し、すなわち、該開口部60と空腔部50は、該連通路70を介して接続されているが、これに限定されるものではなく、他の実施例においては、該連通路70を有しておらず、該開口部60と空腔部50は直接接続されている。
【0020】
図3図8は、前記空腔部50の複数の実施形態を示した拡大縦断面図であり、以下、空腔部50の詳しい寸法及び形状について説明する。それぞれの実施形態においての空腔部50の横断面の法線方向は、対応する前記開口部60の開口方向と平行であり、また、該各空腔部50の縦断面の法線方向は、対応する開口部60の開口方向と直交する。
【0021】
前記各空腔部50の最大横断面積は、前記各開口部60の横断面積よりも大きいことが好ましい。このような構成により、該空腔部50内に充填されている薬物は、比較的小さな開口部60からゆっくりと放出されることになる。尚、異なる実施形態においての空腔部50は、様々な縦断面形状を有し、例えば、円形(図3及び図4を参照)、楕円形(図5及び図6を参照)、または卵形を呈している。
【0022】
さらに、図7及び図8は、他の縦断面形状を有する空腔部50を示したものであり、それらの図面によると、空腔部50の横断面積X-Xは、対応する前記開口部60から遠ざかるにつれて増大しており、その縦断面形状は三角形を呈することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
図1及び図2に示すように、前記複数の連結ピン30及び複数の連結孔40は前記プレート本体の外周面20上において間隔を置いて形成されており、本実施例の人工骨板ユニットを複数枚組み立てて、組立式の人工骨プレートを形成すると、いずれかのプレート本体の外周縁が突出しないため、円滑な表面を呈する。尚、前記連結ピン30及び連結孔40の形成位置は、前記プレート本体の外周面20に沿って配置されていればよく、上記に限定されたものではない、つまり、該連結ピン30及び連結孔40が、プレート本体の外周面20上に直接形成されている必要はなく、例えば、プレート本体の主表面10上において、その外周面20を取り囲むように配置されてもよい。具体的に述べると、連結ピン30及び連結孔40は、図1に示した実施例のように、該外周面20上に直接形成されてもよいし、または図17に示した他の実施例のように、その連結ピン30F及び連結孔40Fが、外周面20Fを取り囲むようにプレート本体の外周縁に沿って主表面10F上に形成されてもよい。
【0024】
尚、本発明の好適な実施例におけるプレート本体は、六辺多角形であることが好ましく、具体的に述べると、正六角形を呈し、その外周面20を形成する六つの連結面21を有する。さらに、前記連結ピン30及び連結孔40の数はそれぞれ六つであり、その六つの連結ピン30及び六つの連結孔40がそれぞれ、六つの連結面21のうちの1つ上に形成されることが好ましい。
【0025】
尚、他の好適な実施例においては、前記プレート本体は、六角形以外のN辺多角形であってもよく、ここでのNは、2を超える整数である。例えば、本発明のプレート本体は板状体が六角形以外のN辺多角形である場合、その外周面はN個の連結面からなり、前記連結ピン30及び連結孔40の数はそれぞれN個であり、そのN個の連結ピン30及びN個の連結孔40はそれぞれ、N個の連結面21のうちの一つに形成されている。
【0026】
尚、前記各連結面21上に形成された連結ピン30及び連結孔40の数は、一つに限定されるものではなく、例えば、本発明の第2実施例の人工骨板ユニット(図9を参照)において、一部の連結面21A上には、二つの連結ピン30Aが設置されているが、連結孔40Aが設置されておらず、他の連結面21A上には、二つの連結孔40Aが設置されているが、連結ピン30Aが設置されていないものがある。
【0027】
以下、互いに嵌合可能に構成されている連結ピン30及び連結孔40の外形について具体的に説明する。前記連結ピン30の形状は円柱状であり、連結孔40は対応する円形孔であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、必要に応じて他の形状とすることもできる。例えば、図11に示すように、連結ピン30Bは四角柱であって、連結孔40Bは四角孔であってもよく、図12に示すように、連結ピン30Cは三角柱であって、連結孔40Cは三角孔であってもよく、または図13に示すように、連結ピン30Dは五角柱であって、連結孔40Dは五角孔であってもよい。
【0028】
また、他の実施例の人工骨板ユニット(図10を参照)の連結ピン30Eは、その先端に丸い連結突起50Eを有し、該連結突起50Eの直径が該連結ピン30Eの直径より大きい。それと対応するように、連結孔40Eの奥部に、丸い連結空洞60Eが形成されており、該連結空洞60Eの直径と該連結突起50Eの直径とは略一致している。本実施例においての人工骨板ユニットPを二つ連結する際に、まず、連結ピン30Eの連結突起50Eを連結孔40Eに圧入して、連結孔40Eの直径を強制的に弾性拡張させた後、連結突起50Eを連結空洞60Eに係合させるように連結ピン30を連結孔40Eの奥まで40E押し込めば、連結作業が完了する。このような設計により、互いに連結されている人工骨板ユニットの連結強度の向上を図り、連結されている二つの人工骨板ユニットが反対方向に引っ張られたときに分離することを防止することができる。
【0029】
図14及び図15は、本発明に係る人工骨板ユニットの第7実施例を示したものであり、第1実施例とほぼ同じであるが、プレート本体の片側の主表面10H上に複数の支柱80Hが形成されている点が異なる。詳しく説明すると、前記支柱80Hは中空構造であって、前記空腔部50Hは該支柱80H内に形成されており、前記開口部60Hは、該支柱80Hにおける前記プレート本体の主表面10Hに接続された端部から遠ざかる一端に形成されると共に、対応する空腔部50Hと連通する。尚、本実施例の支柱80Hは、特殊な化学エッチング方法により形成されたマイクロチューブであり、片方の主表面10H上にまんべんなく分布していることが好ましい。
【0030】
図16は、湾曲状態を呈する本発明に係る組立式人工骨板組立体の第1実施例を示したものである。図面によると、本発明に係る組立式人工骨板組立体は、前記複数の人工骨板ユニットPを組み立てて構成されている。隣り合う人工骨板ユニットP同士は互いに連結されており、具体的に述べると、任意の二つの隣り合った人工骨板ユニットP同士は、一方の人工骨板ユニットP上の少なくとも一つの連結ピン30と、他方の人工骨板ユニットP上の少なくとも一つの連結孔40のとの係合関係により結合されている。図面に示された本実施例の人工骨板組立体は、前記連結ピン30及び連結孔40がプレート本体の外周面20上に形成された第1実施例の人工骨板ユニットPが互いに連結されて構成されているが、これに限定されるものではなく、他の実施例の人工骨板ユニットによって組立式人工骨板を構成することも可能である。
【0031】
図17及び図18は、本発明に係る人工骨板ユニットの第8実施例を示したものであり、第1実施例とは実質的に類似しているが、連結ピン30F及び連結孔40Fの形成位置において異なる。
【0032】
詳しく説明すると、前記連結ピン30Fは、前記プレーと本体の二つの主表面10Fのうちの片方に形成されると共に、前記連結孔40Fは、人工骨板ユニットの二つの主表面10Fを貫通して形成されている。尚、本実施例の人工骨板ユニットは、前記二つの主表面10Fを貫通して形成され、前記プレーと本体の外周面20に沿って配列されるネジ孔11Fを複数含むことが好ましいが、該ネジ孔11Fの形成位置は上記に限定されるものではなく、またはプレート本体上にネジ孔11Fを有しなくてもよい。
【0033】
図面によると、本実施例におけるプレート本体は、多角形であって、その外周面20F上に複数の角部22Fを有し、前記複数の連結ピン30F及び複数の連結孔40Fはそれぞれ、該複数の角部22Fの一つに隣接して配置される。具体的に述べると、当該プレート本体は正六角形であり、前記六つの連結面21Fの連結部位によって六つの角部22Fが形成されている。尚、前記連結ピン30F及び連結孔40Fの形成位置は、上記内容に限定されるものではなく、例えば、連結ピン30F及び連結孔40Fは、隣り合う両角部22Fの間に配置されることもできる。
【0034】
また、本発明のプレート本体は、N個の連結面21Fに囲まれて形成されたN辺多角形であってもよく、その連結ピン30Fの数と連結孔40Fの数との総合がNであり、ここでのNは2を超える整数である。例えば、Nは6である場合には、プレート本体は、六つの連結面21Fにより形成された外周面20Fを有する六角形であって、三つの連結ピン30F及び三つの連結孔40Fを備えるものである。尚、前記連結ピン30F及び連結孔40Fの数の総合は、上述したものに限定されることはなく、例えば、連結ピン30Fの数と連結孔40Fの数との総合は12個であってよく、すなわち、連結ピン30Fの数と連結孔40Fの数との総合は2Nであってもよい。
【0035】
図19及び図20は、本発明に係る人工骨板ユニットの第9実施例を示したものであり、第8実施例とほぼ同じであるが、連結ピン30Gは二つの主表面10G上に形成されている点が異なる。詳しく説明すると、本実施例の人工骨板ユニットは、前記両主表面10G上に対称的に形成された連結ピン30Gを有し、この場合、当該連結ピン30Gはプレート本体を貫通するように形成されたものであり、一方、連結ピン30Gが二つの主表面10G上に非対称的に形成されてもよく、この場合、当該連結ピン30Gはプレート本体のいずれかの側にのみ形成されたものである。
【0036】
なお、上述した第8及び第9実施例の人工骨板ユニットにおける二つの主表面10Fの間の距離、つまりプレート本体の厚さは、1mm以下であることが好ましいが、これに限定されるものではなく、連結ピン30F及び連結孔40Fが主表面10Fに形成されている実施例におけるプレート本体の厚さは、外科手術を施す際に曲げ変形が容易であれば、任意に設定することができる。
【0037】
上述した全ての実施例の人工骨板ユニットは、チタン、Ti-6A1-4V、316Lステンレス鋼またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの生体適合性材料かつ機械強度に優れた材料で形成されることが好ましい。また、軽量化およびコスト削減を図るために、本発明の人工骨板ユニットは、アルミニウムで作られてもよい。さらに、上述した全ての実施例における人工骨板ユニットは、薬剤を収容するための空腔部50、及び薬剤を放出するための開口部60を備えている。
【0038】
図21は、本発明の人工骨板組立体の第2実施例を示したものであり、第1実施例とは実質的に類似しているが、連結ピン及び連結孔が人工骨板ユニットの主表面に形成されている点において異なる。すなわち、組み立て後、第2実施例の人工骨板組立体を形成する人工骨板ユニットの周縁が重なっている。図面に示された第2実施例の組立式人工骨板組立体は、三つの異なる実施例の人工骨板ユニットにより構成されており、具体的に述べると、人工骨板ユニットP1は、図19に示された第9実施例の人工骨板ユニットであり、人工骨板ユニットP2は、図17に示された第8実施例の人工骨板ユニットであり、人工骨板ユニットP3は、第8実施例と実質的に類似するものであって、人工骨板ユニットP2と連結するために、一本の連結ピンP4が他の連結ピンよりもより長くなっている。
【0039】
前記技術特徴によれば、本発明を使用する時は、まず、複数の人工骨板ユニットを連結して所要面積の組立式人工骨板組立体を組み立てて形成し、その後、当該組立式人工骨板を頭蓋骨の欠損部の形状に応じて折り曲げて形を整えれば、手術前の準備が完了する。
【0040】
第2実施例の組立式人工骨板組立体(図21を参照)を用いて外科手術を施す場合には、組立式人工骨板組立体をその周縁が患部の頭蓋骨の表面と重なるように被覆し、さらに、人工骨板ユニット上のネジ孔にネジを挿通して、組立式人工骨板を頭蓋骨に固定する。
【0041】
第1実施例の組立式人工骨板組立体(図16を参照)を用いて外科手術を施す場合、組立式人工骨板の周縁を適切に切断したり、折り曲げたりして形を整えれば、頭蓋骨の欠損部位に段差なく埋め込んで固定することが可能である。
【0042】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好適な実施形態をもって上記のとおり開示したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術構想を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質に基づいて上記の実施形態に対して行ういかなる簡単な修正、変更及び修飾も、依然としてすべて本発明の技術構想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0043】
10、10F 、10G、10H 主表面
11F ネジ孔
20、20F 外周面
21、21A、21F 連結面
22F 角部
30、30A、30B、30C、30D、30E、30F、30G、P4 連結ピン
40、40A、40B、40C、40D、40E、40F 連結孔
50、50H 空腔部
50E 連結突起
60、60H 開口部
60E 連結空洞
70 連通路
80H 支柱
P、P1、P2、P3 人工骨板ユニット
【要約】
【課題】材料の節約及び加工時間の短縮を図ることができる、人工骨板組立体及びそれを構成する人工骨板ユニットを提供することを目的としている。
【解決手段】組み立てられることにより人工骨板組立体を構成する人工骨板ユニットであって、プレート本体と、複数の連結ピンと、複数の連結孔と、複数の空腔部と、複数の開口部とを含み、プレート本体は二つの主表面と二つの主表面を連なる外周面とを有し、複数の連結ピンはプレート本体上において外周面に沿って間隔を置いて形成され、複数の連結孔はプレート本体上において前記外周面に沿って間隔を置いて形成されると共に連結ピンと対応する外形を持ち、複数の空腔部は人工骨板ユニット上に形成され、複数の開口部は人工骨板ユニット上に形成されると共にそれぞれが各空腔部と連通することを特徴とする。
【選択図】図16

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