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特許7427094コヒーレント光受信装置およびコヒーレント光受信装置を使用した光学システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】コヒーレント光受信装置およびコヒーレント光受信装置を使用した光学システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/61 20130101AFI20240126BHJP
【FI】
H04B10/61
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022540549
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 CN2020117043
(87)【国際公開番号】W WO2021135428
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】201911414636.X
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】桂 ▲タオ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 良川
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-143485(JP,A)
【文献】米国特許第05258615(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0261352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コヒーレント光受信装置であって、
偏光光分割ユニットと、偏光制御ユニットと、光ハイブリッドユニットと、コンバイナユニットと、を備え、前記偏光光分割ユニットが前記光ハイブリッドユニットの入力端子に接続され、前記光ハイブリッドユニットの出力端子が前記コンバイナユニットに接続され、
前記偏光光分割ユニットが、任意の偏光モードの信号光および局部発振光を受け取り、信号光を複数の副信号光のビームに分解し、局部発振光を複数の副局部発振光のビームに分解する、ように構成され、
前記光ハイブリッドユニットが、複数のハイブリッド光のビームを取得するために、前記副信号光と前記副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行うように構成され、
前記コンバイナユニットが、複数のコヒーレント電気信号を取得し、出力するために、前記複数のハイブリッド光のビームに対して光・電気変換を行うように構成され、
前記偏光制御ユニットが、第1のデジタル信号プロセッサ(DSP)が前記複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように、前記局部発振光の偏光を制御するように構成され、前記サービスデータは信号光にロードされたデータであり、
前記偏光制御ユニットが、複数の第1のビームスプリッタ(BS)と、位相変調器と、第1の光・電気変換モジュールと、信号処理モジュールとを備え、
前記複数の第1のBSが、結合によって前記局部発振光の一部を取得し、複数の光監視信号のビームを取得するためにビーム分割を行う、ように構成され、
前記第1の光・電気変換モジュールが、前記光監視信号を電気監視信号に変換するように構成され、
前記信号処理モジュールが、前記電気監視信号に基づいてフィードバック制御電気信号を生成し、前記フィードバック制御電気信号が、前記第1のDSPが前記複数のコヒーレント電気信号に基づいて前記サービスデータを取得するように、前記局部発振光の前記偏光を調整するよう前記位相変調器を制御するために使用される、ように構成される、コヒーレント光受信装置。
【請求項2】
前記偏光光分割ユニットが、任意の偏光モードの信号光および局部発振光を受け取り、前記信号光を複数の副信号光のビームに分解し、前記局部発振光を複数の副局部発振光のビームに分解する、ように構成されることが、
前記偏光光分割ユニットが、任意の偏光モードの前記信号光を受け取り、前記信号光を、少なくとも1つの第1の副信号光のビームと少なくとも1つの第2の副信号光のビームとに分解し、前記第1の副信号光が第1の偏光モードにあり、前記第2の副信号光が第2の偏光モードにある、ように構成されることと、前記偏光光分割ユニットが、任意の偏光モードの前記局部発振光を受け取り、前記局部発振光を、少なくとも1つの第1の副局部発振光のビームと少なくとも1つの第2の副局部発振光のビームとに分解し、前記第1の副局部発振光が第1の偏光モードにあり、前記第2の副局部発振光が第2の偏光モードにある、ように構成されることと、を含み、
前記光ハイブリッドユニットが、複数のハイブリッド光のビームを取得するために、前記副信号光と前記副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行うように構成されることが、
前記光ハイブリッドユニットが、前記複数のハイブリッド光のビームを取得するために、前記第1の副信号光と前記第1の副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行い、前記第2の副信号光と前記第2の副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行う、ように構成されることを含む、請求項1に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項3】
前記偏光光分割ユニットが、第1の偏光スプリッタ回転子(PSR)と、第2のPSRと、第2のBSと、第3のBSと、第4のBSと、第5のBSとを備え、
前記偏光光分割ユニットが、前記信号光を、少なくとも1つの第1の副信号光のビームと少なくとも1つの第2の副信号光のビームとに分解し、前記第1の副信号光が第1の偏光モードにあり、前記第2の副信号光が第2の偏光モードにある、ように構成されることが、
前記第1のPSRが、前記信号光を第1の信号光と第2の信号光とに分解し、前記第1の信号光が前記第1の偏光モードにあり、前記第2の信号光が前記第2の偏光モードにある、ように構成されることと、
前記第2のBSが、前記第1の信号光を2つの前記第1の副信号光のビームに均等に分割するように構成されることと、
前記第3のBSが、前記第2の信号光を2つの前記第2の副信号光のビームに均等に分割するように構成されることと、
を含み、
前記偏光光分割ユニットが、前記局部発振光を、少なくとも1つの第1の副局部発振光のビームと少なくとも1つの第2の副局部発振光のビームとに分解し、前記第1の副局部発振光が前記第1の偏光モードにあり、前記第2の副局部発振光が前記第2の偏光モードにある、ように構成されることが、
前記第2のPSRが、前記局部発振光を第1の局部発振光と第2の局部発振光とに分解し、前記第1の局部発振光が前記第1の偏光モードにあり、前記第2の局部発振光が前記第2の偏光モードにある、ように構成されることと、
前記第4のBSが、前記第1の局部発振光を2つの前記第1の副局部発振光のビームに均等に分割するように構成されることと、
前記第5のBSが、前記第2の局部発振光を2つの前記第2の副局部発振光のビームに均等に分割するように構成されることと、
を含む、請求項またはに記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項4】
前記偏光制御ユニットが、第1のDSPが前記複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように、前記局部発振光の偏光を調整するように構成されることが、
前記偏光制御ユニットが、前記第1のDSPが前記複数のコヒーレント電気信号に基づいて前記サービスデータを取得するように、前記第1の局部発振光および/または前記第2の局部発振光の偏光遅延角を調整するように構成されること
を含む、請求項に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項5】
前記偏光光分割ユニットが、第1のBSと、第2のBSと、第1のPSRと、第2のPSRと、第3のPSRと、第4のPSRとを備え、
前記偏光光分割ユニットが、前記信号光を、少なくとも1つの第1の副信号光のビームと少なくとも1つの第2の副信号光のビームとに分解し、前記第1の副信号光が前記第1の偏光モードにあり、前記第2の副信号光が前記第2の偏光モードにある、ように構成されることが、
前記第1のBSが、前記信号光を第1の信号光と第2の信号光とに均等に分割するように構成されることと、
前記第1のPSRが、前記第1の局部発振光を1つの前記第1の副信号光のビームと1つの前記第2の副信号光のビームとに分解するように構成されることと、
前記第2のPSRが、前記第2の局部発振光を別の前記第1の副信号光のビームと別の前記第2の副信号光のビームとに分解するように構成されることと、
を含み、
前記偏光光分割ユニットが、前記局部発振光を、少なくとも1つの第1の副局部発振光のビームと少なくとも1つの第2の副局部発振光のビームとに分解し、前記第1の副局部発振光が前記第1の偏光モードにあり、前記第2の副局部発振光が前記第2の偏光モードにある、ように構成されることが、
前記第2のBSが、前記局部発振光を第1の局部発振光と第2の局部発振光とに分解するように構成されることと、
前記第3のPSRが、前記第1の信号光を1つの前記第1の副局部発振光のビームと1つの前記第2の副局部発振光のビームとに分解するように構成されることと、
前記第4のPSRが、前記第2の信号光を別の前記第1の副局部発振光のビームと別の前記第2の副局部発振光のビームとに分解するように構成されることと、
を含む、請求項に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項6】
前記光ハイブリッドユニットが少なくとも1つの光ハイブリッドを備え、前記光ハイブリッドが、第1の光スプリッタと、第2の光スプリッタと、第3の光スプリッタと、第4の光スプリッタと、90度移相器とを備え、
前記第1の光スプリッタが、1つの前記第1の副信号光のビームを2つの第1のビーム分割副信号光のビームに均等に分割するように構成され、前記第3の光スプリッタが、1つの前記第1の副局部発振光のビームを、2つの第1のビーム分割副局部発振光のビームに均等に分割するように構成され、
前記90度移相器が、1つの前記第1のビーム分割副局部発振光のビームを90度移相するように構成され、
前記第2の光スプリッタが、一方の前記第1のビーム分割副信号光のビームを一方の前記第1のビーム分割副局部発振光のビームと合成し、次いで2つのハイブリッド光のビームを出力する、ように構成され、
前記第4の光スプリッタが、他方の前記第1のビーム分割副信号光のビームを、90度移相が行われた前記第1のビーム分割副局部発振光と合成し、次いで2つの別のハイブリッド光のビームを出力する、ように構成される、
請求項2からのいずれか一項に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項7】
前記偏光光分割ユニットが、第1の光ファイバコリメータと、第2の光ファイバコリメータと、第1のレンズと、第2のレンズと、反射アセンブリと、偏光回転子とを備え、
前記偏光光分割ユニットが、任意の偏光モードの信号光および局部発振光を受け取り、前記信号光を複数の副信号光のビームに分解し、前記局部発振光を複数の副局部発振光のビームに分解する、ように構成されることが、
前記第1の光ファイバコリメータが、前記信号光を受け取り、コリメートするように構成されることと、
前記第2の光ファイバコリメータが、前記局部発振光を受け取り、コリメートするように構成されることと、
前記第1のレンズが、前記信号光を第1の副信号光と第2の副信号光とに分割するように構成されることと、
前記第2のレンズが、前記局部発振光を第1の副局部発振光と第2の副局部発振光とに分割するように構成され、前記偏光回転子が、前記第2の副局部発振光に対して偏光回転を行うように構成されることと、
前記反射アセンブリが複数の反射器を備え、前記反射アセンブリが、前記第1の副信号光、前記第2の副信号光、前記第1の副局部発振光、または前記第2の副局部発振光を前記光ハイブリッドユニットに反射するように構成されることと、
を含む、請求項1に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項8】
前記光ハイブリッドユニットが、第1の光ハイブリッドと第2の光ハイブリッドとを備え、
前記第1の光ハイブリッドが、前記第1の副信号光と前記第1の副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行う、ように構成され、前記第2の光ハイブリッドが、前記第2の副信号光と偏光回転された前記第2の副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行うように構成され、
前記第1の光ハイブリッドおよび前記第2の光ハイブリッドが、前記複数のハイブリッド光のビームを出力するようにさらに構成される、
請求項7に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項9】
前記偏光制御ユニットが、複数の第3のBSと、位相変調器と、光・電気変換モジュールと、信号処理モジュールとを備え、
前記複数の第3のBSが、結合によって前記局部発振光の一部を取得し、複数の光監視信号のビームを取得するためにビーム分割を行う、ように構成され、
前記光・電気変換モジュールが、前記光監視信号を電気監視信号に変換するように構成され、
前記信号処理モジュールが、前記電気監視信号に基づいてフィードバック制御電気信号を生成し、前記フィードバック制御電気信号が、前記第1のDSPが前記複数のコヒーレント電気信号に基づいて前記サービスデータを取得するように、前記局部発振光の前記偏光を調整するよう前記位相変調器を制御するために使用される、ように構成される、
請求項からのいずれか一項に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項10】
前記偏光制御ユニットが、第3のPSRと第1の偏光回転子コンバイナ(PRC)とをさらに備え、前記第1のPRCの出力端子が前記第2のBSの入力端子に接続され、
前記第3のPSRが、前記局部発振光を受け取り、前記局部発振光を第3の局部発振光と第4の局部発振光とに分解し、前記第3の局部発振光が第1の偏光モードにあり、前記第4の局部発振光が第2の偏光モードにある、ように構成され、
前記複数の第3のBSが、結合によって前記局部発振光の一部を取得し、複数の光監視信号のビームを取得するためにビーム分割を行う、ように構成されることが、
前記複数の第3のBSが、分割によって前記第3の局部発振光および前記第4の局部発振光から前記局部発振光の前記一部を別々に取得し、前記複数の光監視信号のビームを取得するためにビーム分割を行う、ように構成されること
を含み、
前記フィードバック制御電気信号が、前記第1のデジタル信号プロセッサ(DSP)が前記複数のコヒーレント電気信号に基づいて前記サービスデータを取得するように、前記局部発振光の前記偏光を調整するよう前記位相変調器を制御するために使用されることが、
前記フィードバック制御電気信号が、前記第1のDSPが前記複数のコヒーレント電気信号に基づいて前記サービスデータを取得するように、前記第3の局部発振光または前記第4の局部発振光の位相を調整するよう前記位相変調器を制御するために使用されることと、
前記第1のPRCが、前記第3のBSを通過する前記第3の局部発振光と前記第4の局部発振光とに対して偏光ビーム合成を行うように構成されることと、
を含む、請求項に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項11】
前記コンバイナユニットが、複数の第2のPRCと、複数の第2の光・電気変換モジュールとを備え、
前記第2のPRCが、前記複数のハイブリッド光のビームのうちの2本に対してビーム合成を行うように構成され、
前記複数の第2の光・電気変換モジュールが、前記第2のPRCがビーム合成を行う複数のハイブリッド光のビームを前記複数のコヒーレント電気信号に変換するように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項12】
前記コンバイナユニットが、第3の光・電気変換モジュールを備え、前記第3の光・電気変換モジュールが、複数の光検出器(PD)と、複数の電気ドメイン加算器/減算器と、複数のトランスインピーダンスアンプ(TIA)と、複数のアナログ・デジタル変換器(ADC)とを備え、
前記PDが、前記複数のハイブリッド光のビームを複数のハイブリッド電気信号のビームに変換するように構成され、
前記複数の電気ドメイン加算器/減算器が、前記複数のコヒーレント電気信号を取得するために前記複数のハイブリッド電気信号のビームを合成するように構成され、
前記TIAが、前記複数のコヒーレント電気信号を増幅するように構成され、
前記ADCが、前記複数のコヒーレント電気信号に対してアナログ・デジタル変換を行うように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項13】
前記信号処理モジュールが、第2のDSPと、デジタル・アナログ変換器(DAC)と、電力増幅器とを備え、
前記第2のDSPが、前記電気監視信号に基づいて前記フィードバック制御電気信号を生成するように構成され、
前記DACが、前記フィードバック制御電気信号に対してデジタル・アナログ変換を行うように構成され、
前記電力増幅器が、デジタル・アナログ変換が行われる前記フィードバック制御電気信号に対して電力増幅を行うように構成される、
請求項から4、9、および10のいずれか一項に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項14】
前記コヒーレント光受信装置が前記第1のDSPをさらに備え、前記第1のDSPが、前記複数のコヒーレント電気信号に基づいて前記サービスデータを取得するように構成される、請求項13に記載のコヒーレント光受信装置。
【請求項15】
光学システムであって、前記光学システムが、光送信デバイスと、光ファイバと、請求項1から14のいずれか一項に記載のコヒーレント光受信装置とを備え、前記コヒーレント光受信装置が、前記光ファイバを使用して、前記光送信デバイスによって送信された信号光を受信し、前記コヒーレント光受信装置が局部発振光を受信するか、または前記コヒーレント光受信装置が前記局部発振光を生成することが、
前記コヒーレント光受信装置が、前記光ファイバを使用して、前記光送信デバイスによって送信された前記局部発振光を受信すること、または前記コヒーレント光受信装置が前記局部発振光を生成すること
を含む、光学システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月31日に中国国家知識産権局に提出された、「COHERENT OPTICAL RECEIVING APPARATUS AND OPTICAL SYSTEM THAT USES COHERENT OPTICAL RECEIVING APPARATUS」と題された中国特許出願第201911414636.X号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、光通信の分野に関し、特に、コヒーレント光受信装置およびコヒーレント光受信装置を使用した光学システムに関する。
【背景技術】
【0003】
コヒーレント光伝送技術は、大きな伝送容量および長い伝送距離のために広く使用されている。コヒーレント光通信システムの受信端では、局部発振光および信号光が光ハイブリダイゼーションのために光ハイブリッド装置に入力され、光ハイブリダイゼーションによって取得された出力光が電気信号に変換され、復号機能を実現するために、信号光の振幅および位相情報が、サンプリング、アナログ・デジタル変換、およびデジタル信号処理によって取得され得る。
【0004】
現在、業界で使用されているコヒーレント光受信器では、固定された偏光状態を有する局部発振光が光ハイブリッド装置に入力される必要がある。データセンタネットワーク(data center network、DCN)などのネットワークでは局部発振光の偏光状態に対するこの特別な要件を満たすことができないため、現在業界で使用されている光ハイブリッド装置は正常に動作することができない。最終的に、DCNなどのネットワークの適用シナリオにはコヒーレント光伝送技術を適用することができない。ゆえに、コヒーレント光伝送技術の普遍性は比較的低い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
これを考慮して、本出願の一実施形態は、局部発振光の偏光状態のランダムな変化に起因して受信器が正常に動作することができないという問題を解決するために、コヒーレント光受信装置を提供する。
【0006】
第1の態様によれば、本出願の一実施形態は、コヒーレント光受信装置を開示し、コヒーレント光受信装置は、
光分割ユニットと、偏光制御ユニットと、光ハイブリッドユニットと、コンバイナユニットとを含み、偏光光分割ユニットは光ハイブリッドユニットの入力端子に接続され、光ハイブリッドユニットの出力端子はコンバイナユニットに接続され、
光分割ユニットは、任意の偏光モードの信号光および局部発振光を受け取り、信号光を複数の副信号光のビームに分解し、局部発振光を複数の副局部発振光のビームに分解する、ように構成され、
光ハイブリッドユニットは、複数のハイブリッド光のビームを取得するために、取得された副信号光と取得された副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行うように構成され、
コンバイナユニットは、複数のコヒーレント電気信号を取得し、出力するために、複数のハイブリッド光のビームに対して光・電気変換を行うように構成され、
偏光制御ユニットは、第1のデジタル信号プロセッサ(DSP)が複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように、局部発振光の偏光を制御するように構成される。
【0007】
局部発振光の偏光状態はランダムに変化し、一部の偏光状態によりコヒーレント光受信装置は動作できなくなる。本出願の第1の態様で提供されるコヒーレント光受信装置では、局部発振光の偏光を調整するために偏光制御ユニットが導入され、そのため局部発振光はコヒーレント光受信装置を動作できなくするこれらの偏光状態を回避し、それによってコヒーレント光受信装置が正常な動作を維持することが可能になる。
【0008】
1つの可能な設計では、光分割ユニットが、任意の偏光モードの信号光および局部発振光を受け取り、信号光を複数の副信号光のビームに分解し、局部発振光を複数の副局部発振光のビームに分解する、ように構成されることは、具体的には、光分割ユニットが、任意の偏光モードの信号光を受け取り、信号光を、少なくとも1つの第1の副信号光のビームと少なくとも1つの第2の副信号光のビームとに分解し、第1の副信号光が第1の偏光モードにあり、第2の副信号光が第2の偏光モードにある、ように構成されることと、光分割ユニットが、任意の偏光モードの局部発振光を受け取り、局部発振光を、少なくとも1つの第1の副局部発振光のビームと少なくとも1つの第2の副局部発振光のビームとに分解し、第1の副局部発振光が第1の偏光モードにあり、第2の副局部発振光が第2の偏光モードにある、ように構成されることと、を含む。
【0009】
1つの可能な設計では、光ハイブリッドユニットが、複数のハイブリッド光のビームを取得するために、副信号光と副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行うように構成されることは、具体的には、光ハイブリッドユニットが、複数のハイブリッド光のビームを取得するために、各第1の副信号光のビームと1つの第1の副局部発振光のビームとに対して光ハイブリダイゼーションを行い、各第2の副信号光のビームと1つの第2の副局部発振光のビームとに対して光ハイブリダイゼーションを行う、ように構成されること、を含む。
【0010】
1つの可能な設計では、偏光制御ユニットは、複数の第1のビームスプリッタBSと、位相変調器と、第1の光・電気変換モジュールと、信号処理モジュールとを含み、複数の第1のBSは、結合によって局部発振光の一部を取得し、複数の光監視信号のビームを取得するためにビーム分割を行う、ように構成され、第1の光・電気変換モジュールは、光監視信号を電気監視信号に変換するように構成され、信号処理モジュールは、電気監視信号に基づいてフィードバック制御電気信号を生成し、フィードバック制御電気信号が、第1のDSPが複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように、局部発振光の偏光を調整するよう位相変調器を制御するために使用される、ように構成される。
【0011】
1つの可能な設計では、偏光光分割ユニットは、第1の偏光スプリッタ回転子PSRと、第2のPSRと、第2のBSと、第3のBSと、第4のBSと、第5のBSとを含み、第1のPSRは、信号光を第1の信号光と第2の信号光とに分解し、第1の信号光が第1の偏光モードにあり、第2の信号光が第2の偏光モードにある、ように構成され、第2のBSは、第1の信号光を2つの第1の副信号光のビームに均等に分割するように構成され、第3のBSは、第2の信号光を2つの第2の副信号光のビームに均等に分割するように構成され、第2のPSRは、局部発振光を第1の局部発振光と第2の局部発振光とに分解し、第1の局部発振光が第1の偏光モードにあり、第2の局部発振光が第2の偏光モードにある、ように構成され、第4のBSは、第1の局部発振光を2つの第1の副局部発振光のビームに均等に分割するように構成され、第5のBSは、第2の局部発振光を2つの第2の副局部発振光のビームに均等に分割するように構成される。
【0012】
偏光光分割の設計解決策は、信号光と局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションが行われた後に取得された信号からサービスデータを取得することができないという、特定の偏光モードにある局部発振光のエネルギーの集中によって引き起こされる問題を回避する。
【0013】
1つの可能な設計では、偏光制御ユニットは、第1のDSPが複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように、第1の局部発振光および/または第2の局部発振光の偏光遅延角を調整するように構成される。
【0014】
1つの可能な設計では、偏光光分割ユニットは、第1のBSと、第2のBSと、第1のPSRと、第2のPSRと、第3のPSRと、第4のPSRとを含み、第1のBSは、信号光を第1の信号光と第2の信号光とに均等に分割するように構成され、第1のPSRは、第1の信号光を1つの第1の副信号光のビームと1つの第2の副信号光のビームとに分解するように構成され、第2のPSRは、第2の信号光を別の第1の副信号光のビームと別の第2の副信号光のビームとに分解するように構成され、第2のBSは、局部発振光を第1の局部発振光と第2の局部発振光とに分解するように構成され、第3のPSRは、第1の局部発振光を1つの第1の副局部発振光のビームと1つの第2の副局部発振光のビームとに分解するように構成され、第4のPSRは、第2の局部発振光を別の第1の副局部発振光のビームと別の第2の副局部発振光のビームとに分解するように構成される。
【0015】
偏光光分割のための設計解決策では、偏光光分割の光路設計を単純化するために、BSを使用して出力ビーム分割がまず行われ、次いでPSRを使用して偏光ビーム分割が行われる。
【0016】
1つの可能な設計では、光ハイブリッドユニットは、少なくとも1つの光ハイブリッドを含み、光ハイブリッドは、第1の光スプリッタと、第2の光スプリッタと、第3の光スプリッタと、第4の光スプリッタと、90度移相器とを含み、第1の光スプリッタは、1つの第1の副信号光のビームを2つの第1のビーム分割副信号光のビームに均等に分割するように構成され、第3の光スプリッタは、1つの第1の副局部発振光のビームを、2つの第1のビーム分割副局部発振光のビームに均等に分割するように構成され、90度移相器は、1つの第1のビーム分割副局部発振光のビームを90度移相するように構成され、第2の光スプリッタは、一方の第1のビーム分割副信号光のビームを一方の第1のビーム分割副局部発振光のビームと合成し、次いで2つのハイブリッド光のビームを出力する、ように構成され、第4の光スプリッタは、他方の第1のビーム分割副信号光のビームを、90度移相が行われた第1のビーム分割副局部発振光と合成し、次いで2つの別のハイブリッド光のビームを出力する、ように構成される。
【0017】
1つの可能な設計では、光分割ユニットは、第1の光ファイバコリメータと、第2の光ファイバコリメータと、第1のレンズと、第2のレンズと、反射アセンブリと、偏光回転子とを含み、光分割ユニットが、任意の偏光モードの信号光および局部発振光を受け取り、信号光を複数の副信号光のビームに分解し、局部発振光を複数の副局部発振光のビームに分解する、ように構成されることは、第1の光ファイバコリメータが、信号光を受け取り、コリメートするように構成されることと、第2の光ファイバコリメータが、局部発振光を受け取り、コリメートするように構成されることと、第1のレンズが、信号光を第1の副信号光と第2の副信号光とに分割するように構成されることと、第2のレンズが、局部発振光を第1の副局部発振光と第2の副局部発振光とに分割するように構成され、偏光回転子が、第2の副局部発振光に対して偏光回転を行うように構成されることと、反射アセンブリが複数の反射器を含み、反射アセンブリが、第1の副信号光、第2の副信号光、第1の副局部発振光、または第2の副局部発振光を光ハイブリッドユニットに反射するように構成されることと、を含む。
【0018】
1つの可能な設計では、光ハイブリッドユニットは、第1の光ハイブリッドと第2の光ハイブリッドとを含み、第1の光ハイブリッドは、第1の副信号光と第1の副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行う、ように構成され、第2の光ハイブリッドは、第2の副信号光と偏光回転された第2の副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行うように構成され、第1の光ハイブリッドおよび第2の光ハイブリッドは、複数のハイブリッド光のビームを出力するようにさらに構成される。
【0019】
1つの可能な設計では、偏光制御ユニットは、第3のPSRと第1の偏光回転子コンバイナ(PRC)とをさらに含み、第1のPRCの出力端子は第2のBSの入力端子に接続され、第3のPSRは、局部発振光を受け取り、局部発振光を第3の局部発振光と第4の局部発振光とに分解し、第3の局部発振光が第1の偏光モードにあり、第4の局部発振光が第2の偏光モードにある、ように構成され、複数の第3のBSは、分割によって第3の局部発振光および第4の局部発振光から局部発振光の一部を別々に取得し、複数の光監視信号のビームを取得するためにビーム分割を行う、ように構成され、光・電気変換モジュールは、光監視信号を電気監視信号に変換するように構成され、信号処理モジュールは、電気監視信号に基づいてフィードバック制御電気信号を生成し、フィードバック制御電気信号が、第1のDSPが複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように、第3の局部発振光または第4の局部発振光の位相を調整するよう位相変調器を制御するために使用される、ように構成され、第1のPRCは、第3のBSを通過する第3の局部発振光と第4の局部発振光とに対して偏光ビーム合成を行うように構成される。
【0020】
1つの可能な設計では、コンバイナユニットは、複数の第2のPRCと、複数の第2の光・電気変換モジュールとを含み、第2のPRCは、複数のハイブリッド光のビームのうちの2つに対してビーム合成を行うように構成され、複数の第2の光・電気変換モジュールは、第2のPRCがビーム合成を行う複数のハイブリッド光のビームを複数のコヒーレント電気信号に変換するように構成される。
【0021】
1つの可能な設計では、コンバイナユニットは、第3の光・電気変換モジュールを含み、第3の光・電気変換モジュールは、複数の光検出器PDと、複数の電気ドメイン加算器/減算器と、複数のトランスインピーダンスアンプTIAと、複数のアナログ・デジタル変換器ADCとを含み、PDは、複数のハイブリッド光のビームを複数のハイブリッド電気信号のビームに変換するように構成され、複数の電気ドメイン加算器/減算器は、複数のコヒーレント電気信号を取得するために複数のハイブリッド電気信号のビームを合成するように構成され、TIAは、複数のコヒーレント電気信号を増幅するように構成され、ADCは、複数のコヒーレント電気信号に対してアナログ・デジタル変換を行うように構成される。
【0022】
1つの可能な設計では、信号処理モジュールは、第2のDSPと、デジタル・アナログ変換器DACと、電力増幅器とを含み、第2のDSPは、電気監視信号に基づいてフィードバック制御電気信号を生成するように構成され、DACは、フィードバック制御電気信号に対してデジタル・アナログ変換を行うように構成され、電力増幅器は、デジタル・アナログ変換が行われるフィードバック制御電気信号に対して電力増幅を行うように構成される。
【0023】
1つの可能な設計では、コヒーレント光受信装置は第1のDSPをさらに含み、第1のDSPは、複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように構成される。
【0024】
第2の態様によれば、本出願の一実施形態は偏光制御方法を開示し、方法は、分割によって局部発振光の一部を取得し、複数の光監視信号のビームを取得するために局部発振光の一部に対してビーム分割を行うステップと、複数の光監視信号のビームを複数の電気監視信号のビームに変換するステップと、複数の電気監視信号のビームに基づいてフィードバック制御電気信号を生成するステップであって、フィードバック制御電気信号が、コヒーレント光受信装置がサービスデータを取得するように、局部発振光の偏光を調整するよう位相変調器を制御するために使用される、ステップと、を含む。
【0025】
第3の態様によれば、本出願の一実施形態は光学システムを開示し、システムは、光送信デバイスと、光ファイバと、第1の態様における任意のコヒーレント光受信装置とを含み、コヒーレント光受信装置は、光ファイバを使用して、光送信デバイスによって送信された信号光を受信し、コヒーレント光受信装置が局部発振光を受信するか、またはコヒーレント光受信装置が局部発振光を生成することは、具体的には、コヒーレント光受信装置が、光ファイバを使用して、光送信デバイスによって送信された局部発振光を受信すること、またはコヒーレント光受信装置が局部発振光を生成すること、を含む。
【0026】
要約すると、本出願の実施形態で開示されるコヒーレント光受信装置および光学システムは、局部発振光の偏光状態のランダムな変化に起因して受信器が正常に動作することができないという困難な問題を解決する。偏光制御を導入することにより、コヒーレント光受信装置が、サービスデータの正常な復元を維持し、コヒーレント光受信安定性をさらに改善し、偏光制御の難度および精密度を低減し、それによってコストを削減することが可能になる。
【0027】
本出願の実施形態または従来技術における技術的解決策をより明確に説明するために、以下で、背景技術および実施形態を説明するために必要な添付の図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における添付の図面は本発明の一部の実施形態を示しているにすぎず、当業者であれば、創造的な努力をせずとも、これらの図面または説明に従って別の添付図面または実施形態を導き出すことが可能であり、本出願は、導き出されるこれらの添付図面または実施形態すべてを包含することを意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1a】本出願の一実施形態が適用できる1つの可能な適用シナリオの概略図である。
図1b】本出願による既存のコヒーレント光受信装置1021の概略図である。
図2】本出願の一実施形態によるコヒーレント光受信装置20の第1の実施形態の概略図である。
図3】本出願の一実施形態によるコヒーレント光受信装置の第2の実施形態の概略図である。
図4】本出願の一実施形態による光ハイブリッドの構造の概略図である。
図5】局部発振光に対応するポアンカレ球の概略図である。
図6】本出願の一実施形態による偏光制御方法のフローチャートである。
図7】本出願の一実施形態によるコヒーレント光受信装置の第3の実施形態の概略図である。
図8】本出願の一実施形態によるコヒーレント光受信装置の第4の実施形態の概略図である。
図9】本出願の一実施形態によるコヒーレント光受信装置の第5の実施形態の概略図である。
図10】本出願の一実施形態による光学システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本出願の実施形態に記載されるデバイス形態およびサービスシナリオは、本発明の実施形態における技術的解決策をより明確に説明するためのものであり、本発明の実施形態で提供される技術的解決策に対する限定を構成するものではない。当業者には、デバイス形態が進化し、新しいサービスシナリオが出現するにつれて、本出願の実施形態で提供される技術的解決策が同様の技術的問題にも適用できることが理解されよう。
【0030】
以下で、当業者の理解を他住めるために本出願の実施形態におけるいくつかの用語を説明する。
【0031】
(1)コヒーレント光とは、決められた周波数および位相を有する光信号である。一般に、コヒーレント光は、空間重畳および相互干渉特性を有し、レーザーによって生成されるレーザービームであり得る。
【0032】
(2)コヒーレント光伝送システムは、コヒーレント光通信システムとも呼ばれ、光ファイバ通信システムである。コヒーレント光伝送システムは、単一周波数コヒーレント光源を使用し、光ファイバの帯域幅を十分に使用して超大容量伝送を実現するために、位相、周波数、振幅などの複数の光の次元のパラメータを使用することによってより多くの変調情報を搬送する。コヒーレント光伝送システムの基本構造は、光送信器、光ファイバ、および光受信器等を含む。光反射器が、光伝送の要件を満たすために光キャリア上に送り出される必要がある信号を変調するように構成される。振幅、周波数、および位相変調が、光キャリアに対して、直接変調または外部変調の方式で行われ得る。光受信器は、信号光に対してコヒーレント検出を行い、局部発振光と信号光との差分を検出することによって受信感度を向上させる、ように構成される。ここで、信号光は、コヒーレント光伝送システムで伝送される光信号であり、局部発振光は、受信器側で局部発振器によって生成されるレーザービームである。
【0033】
本出願の実施形態で提供されるコヒーレント光受信装置および光信号復調装置は、光受信器に適用される装置である。コヒーレント光受信装置は、光受信器内のフロントエンドデバイスであってもよく、またはコヒーレント受信フロントエンドと呼ばれてもよい。光信号復調装置は光受信器であってもよい。
【0034】
以下の説明において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のための区別を目的として使用されているにすぎず、相対的な重要度を指示または示唆するものとしても、順序を指示または示唆するものとしても解釈されるべきではないことを理解されたい。本出願における「および/または」という用語は、関連付けられる対象を記述するための関連付けの関係を記述するにすぎず、3つの関係が存在し得ることを表す。例えば、Aおよび/またはBは、Aのみが存在する場合、AとBの両方が存在する場合、およびBのみが存在する場合、の3つ場合を表し得る。加えて、本出願における文字「/」は、一般に、関連付けられる対象間の「または」の関係を示す。
【0035】
本出願で提供される技術的解決策は、バックボーン光伝送ネットワーク、光アクセスネットワーク、データセンタ相互接続、短距離光相互接続、無線サービスフロントホール/バックホール等を含むがこれらに限定されない様々なサービスシナリオに適用できる。具体的には、本出願で提供される技術的解決策は、前述の様々なネットワークに対応する受信側デバイス、または受信側デバイスを含む光学システムに使用され得る。
【0036】
図1aは、本出願の一実施形態が適用できる1つの可能な適用シナリオの概略図である。
【0037】
図1aは、ホモロガスコヒーレント光伝送システム100を示している。システム100は、送信側デバイス101と受信側デバイス102と、これら2つのデバイスを接続する光ファイバ103a、103bとを含む。送信側デバイス101は、データ入力1011と、レーザー1012と、光スプリッタ1013と、変調器1014とを含む。レーザー1012によって出力された光は、光スプリッタ1013によって2つの部分に分割される。一方の部分は変調器1014によってサービスデータがロードされた信号光を取得するために変調され、他方の部分は局部発振光として使用される。送信側デバイス101によって生成された信号光および局部発振光は、光ファイバ103a、103bを使用して受信側デバイス102に伝送される。受信側デバイス102は、コヒーレント光受信装置1021と、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)1022とを含む。コヒーレント光受信装置1021は、信号光および局部発振光を受け取って、コヒーレント光受信を実現する。DSP1022は、コヒーレント光受信装置1021によって出力された電気信号を処理してサービスデータを取得する。信号光と局部発振光の両方が、送信側デバイスによって生成される。したがって、システム100は、ホモロガスコヒーレント光伝送システムと呼ばれる。信号光および局部発振光は、代替的に、1本の光ファイバを使用して伝送されてもよいことに留意されたい。DSP1022は、代替的に、コヒーレント光受信装置1021内に配置されてもよいことにさらに留意されたい。
【0038】
図1bは、本出願による受信装置の既存のコヒーレント光受信装置1021の概略図である。
【0039】
図1bに示されるように、コヒーレント光受信装置1021は、PSR10211と、PSR10212と、光ハイブリッド10213と、光ハイブリッド10214と、コヒーレント光電プロセッサ10215とを含む。PSR(Polarization beam splitter、偏光ビームスプリッタ)10211は、入力された信号光に対して偏光ビーム分割を行って、SおよびS、すなわち、信号光のX偏光状態の直線偏光およびY偏光状態の直線偏光を取得する。PSR10212は、入力された局部発振光に対して偏光ビーム分割を行って、LOおよびLO、すなわち、局部発振光のX偏光状態の直線偏光およびY偏光状態の直線偏光を取得する。光ハイブリッド10213は、SとLOとに対して光ハイブリダイゼーションを行って4つのハイブリッド光のビームを取得し、ハイブリッド光をコヒーレント光電プロセッサ10215に入力し、光ハイブリッド10214は、SとLOとに対して光ハイブリダイゼーションを行って4つのハイブリッド光のビームを取得し、ハイブリッド光をコヒーレント光電プロセッサ10215に入力する。コヒーレント光電プロセッサ10215は、8本のハイブリッド光のビームに対してコヒーレント光電処理を行って複数のコヒーレント電気信号を取得する。
【0040】
信号光または局部発振光は、通常X偏光状態およびY偏光状態とも呼ばれる、TEおよびTMの2つの偏光モードを有する。X偏光状態とY偏光状態とは互いに直交する。言い換えれば、単一の偏光状態(Y偏光状態)のビームが、偏光状態回転後に偏光状態のビームになる。光信号は、X偏光状態またはY偏光状態でのみ偏光され、直線偏光と呼ばれる。
【0041】
既存のコヒーレント光受信装置は、通常、信号光のX偏光状態と局部発振光のY偏光状態とに対して光ハイブリダイゼーションを行い、信号光のY偏光状態と局部発振光のX偏光状態とに対して光ハイブリダイゼーションを行う。信号光と局部発振光の偏光状態がどちらも固定されている場合、通常、既存のコヒーレント光受信装置は正常に動作することができる。しかしながら、信号光と局部発振光の偏光状態がどちらもランダムである場合、光信号のエネルギーが一方の偏光状態に集中する可能性が非常に高く、他方の偏光状態にはほとんどエネルギーがない。例えば、局部発振光のエネルギーがX偏光状態に集中し、局部発振光のY偏光状態のエネルギーがほとんどない場合、既存のコヒーレント光受信装置では、信号光のX偏光状態と局部発振光のY偏光状態とに対して正常な光ハイブリダイゼーションを行うことができない。その場合、信号光のX偏光状態で搬送されたサービスデータが欠落する。理想的な場合には、コヒーレント光受信装置がサービスデータを正常に取得することを確実にするために、比較的高価な偏光維持光ファイバを使用して、伝送中の局部発振光の偏光状態のランダムな偏向を防止することができる。しかしながら、既存のネットワークでは、光ファイバは不可避的に圧縮されず、偏光維持光ファイバの偏光維持性能が低下する。ゆえに、コヒーレント光受信装置の性能が低下する(具体的には、データ受信エラーが発生する)。したがって、偏光維持光ファイバを使用して局部発振光の偏光状態のランダムな偏向の問題をある程度解決するために使用することができるが、この解決策は、コヒーレント光伝送システムのコストを増加させ、不安定な性能をもたらす。
【0042】
従来技術における前述の問題を解決するために、本出願は、新しいコヒーレント光受信装置を提供する。コヒーレント光受信装置の入力は信号光および局部発振光であり、コヒーレント光受信装置の出力は電気信号である。出力電気信号はサービスデータを含み、最終サービスデータは出力電気信号をさらに処理することによって取得され得る。任意選択で、コヒーレント光受信装置がDSPを含む場合、コヒーレント光受信装置の出力はサービスデータである。コヒーレント光受信装置は、局部発振光に対して比較的精密な位相制御を行い、そのため実質的に同じ電力を有する2つの局部発振光のビームがコヒーレント受信関連処理に使用され、それによって、局部発振光の偏光状態のランダムな変化に起因して受信器が正常に動作することができないという問題が効果的に回避される。コヒーレント光受信装置を使用することにより、コヒーレント光伝送システムは、従来の光ファイバ(すなわち、非偏光維持光ファイバ)を使用して、通常のコヒーレント光受信を実施することができる。
【0043】
図2は、本出願の一実施形態によるコヒーレント光受信装置20の第1の実施形態の概略図である。
【0044】
図2に示されるように、本出願のこの実施形態におけるコヒーレント光受信装置20は、光分割ユニット201と、偏光制御ユニット202と、光ハイブリッドユニット203と、コンバイナユニット204とを含む。まず、任意の偏光状態のローカル発振器光と任意の偏光状態の信号光とが、コヒーレント光受信装置20の局部発振光ポートと信号光ポートとからそれぞれ入力される。光分割ユニット201は、受け取られた局部発振光を分解して複数の副局部発振光のビームを取得し、光分割ユニット201は、受け取られた信号光を分解して複数の副信号光のビームを取得し、副局部発振光のビームの数量と副信号光のビームの数量とは同じである。光ハイブリッドユニット203は、複数の副信号光のビームの各々と、複数の副局部発振光のビームのうちの1つとに対して光ハイブリダイゼーションを行って、複数のハイブリッド光信号のビームを取得する。コンバイナユニット204は、複数のハイブリッド光信号のビームに対して光・電気変換を行い、複数のコヒーレント電気信号を出力する。偏光制御ユニット202は、DSPが複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように、局部発振光の偏光を調整する。任意選択で、偏光制御ユニット202が局部発振光の偏光を調整することは、局部発振光の位相を調整することを含む。
【0045】
1つの可能な設計では、光分割ユニット201による分解によって取得された複数の副信号光のビームの偏光状態、および光分割ユニット201による分解によって取得された複数の副局部発振光のビームの偏光状態もランダムであり、副信号光および副局部発振光は直線偏光ではない。
【0046】
別の可能な設計では、光分割ユニット201は偏光光分割ユニットであり得る。この場合、
光分割ユニット201が、受け取られた局部発振光を分解して複数の副局部発振光のビームを取得し、受け取られた信号光を分解して複数の副信号光のビームを取得することは、具体的には、
信号光を、少なくとも1つの第1の副信号光のビームと少なくとも1つの第2の副信号光のビームとに分解し、局部発振光を、少なくとも1つの第1の副局部発振光のビームと少なくとも1つの第2の副局部発振光のビームとに分解し、第1の副信号光および第1の副局部発振光がX偏光状態にあり、第2の副局部発振光および第2の副信号光がY偏光状態にあること
を含む。
【0047】
光ハイブリッドユニット203が、複数の副信号光のビームの各々と、複数の副局部発振光のビームのうちの1つとに対して光ハイブリダイゼーションを行って、複数のハイブリッド光信号のビームを取得することは、具体的には、
光ハイブリッドユニット203が、第1の副信号光と第1の副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行い、第2の副信号光と第2の副局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行って複数のハイブリッド光のビームを取得すること
を含む。具体的には、各第1の副信号光のビームと1つの第1の副局部発振光のビームとに対して光ハイブリダイゼーションが行われ、各第2の副信号光のビームと1つの第2の副局部発振光のビームとに対して光ハイブリダイゼーションが行われる。
【0048】
任意選択で、コンバイナユニット204は、まず、光ハイブリダイゼーション後に光ハイブリッドユニット203によって出力された複数のハイブリッド光信号のビーム内の2つずつの光信号のビームを1つのビームに合成して、複数のビーム合成光信号の経路を取得してもよく、ビーム合成光信号の数量はハイブリッド光信号の数量の半分である。次いで、複数のビーム合成光信号の経路に対して光・電気変換行われて、複数のコヒーレント電気信号が出力される。
【0049】
局部発振光の偏光状態はランダムに変化し、一部の偏光状態によりコヒーレント光受信装置は動作できなくなる。本出願のこの実施形態で提供されるコヒーレント光受信装置では、局部発振光の偏光を調整するために偏光制御ユニットが導入され、そのため局部発振光はコヒーレント光受信装置を動作できなくするこれらの偏光状態を回避し、それによってコヒーレント光受信装置が正常な動作を維持することが可能になる。
【0050】
図3は、本出願の一実施形態によるコヒーレント光受信装置の第2の実施形態の概略図である。
【0051】
図3に示されるように、本出願のこの実施形態におけるコヒーレント光受信装置30は、信号光入力ポート301と、局部発振光入力ポート302と、偏光ビーム分割モジュール303と、電力等化モジュール304と、光ハイブリッド1 305と、光ハイブリッド2 306と、光ハイブリッド3 307と、光ハイブリッド4 308と、偏光ビーム合成モジュール309と、第1の光・電気変換モジュール310と、第2の光・電気変換モジュール311と、結合ビーム分割モジュール312と、位相変調器313と、第3の光・電気変換モジュール314と、信号処理モジュール315と、ODSP(Optical Digital Signal Processor、光デジタル信号プロセッサ)316とを含む。位相変調器は、一般的な移相器(PS、Phase Shifter)であってもよいし、半波長板やレンズなどの位相変調を行うことができる素子であってもよい。
【0052】
ここでは、説明と理解を容易にするために、装置内で同様の機能を有する、本出願に記載される偏光ビーム分割モジュール、電力等化モジュール、および偏光ビーム合成モジュールが主にまとめられている。本出願に記載される光・電気変換モジュール、結合ビーム分割モジュール、および信号処理モジュールは、特定の範囲内の構成要素の機能を要約している。前述のモジュール分割は、解決策の理解を容易にするために使用されており、実際には異なるモジュール分割が存在し得る。
【0053】
図2の実施形態における偏光光分割ユニット201は、この実施形態における偏光ビーム分割モジュール303と電力等化モジュール304とを含む。偏光制御ユニット202は、結合ビーム分割モジュール312と、位相変調器313と、第3の光・電気変換モジュール314と、信号処理モジュール315とを含む。光ハイブリッドユニット203は、光ハイブリッド1 305と、光ハイブリッド2 306と、光ハイブリッド3 307と、光ハイブリッド4 308とを含む。コンバイナユニット204は、偏光ビーム合成モジュール309と、第1の光・電気変換モジュール310と、第2の光・電気変換モジュール311とを含む。
【0054】
信号光入力ポート301から信号光Sが入力され、偏光ビーム分割モジュール303内のPSR1(Polarization Splitter and Rotator、偏光スプリッタ回転子)が、信号光Sに対して偏光ビーム分割を行って、第1の信号光Sおよび第2の信号光S、すなわち、信号光のX偏光状態の光および信号光のY偏光状態の光を取得する。次いで、電力等化モジュール304内のBS1(Beam Splitter、ビームスプリッタ)が、第1の信号光Sに対してビーム分割を行って2つの第1の副信号光のビーム:F1およびF7を取得し、F1=F7=S/2であり、BS2が、第2の信号光Sに対してビーム分割を行って2つの第2の副信号光のビーム:F3およびF4を取得し、F3=F5=S/2である。局部発振光入力ポート302から局部発振(Local Oscillator、LO)光が入力され、偏光ビーム分割モジュール303内のPSR2が、局部発振光LOに対して偏光ビーム分割を行って、第1の局部発振光LOおよび第2の局部発振光LO、すなわち、局部発振光のX偏光状態の光および局部発振光のY偏光状態の光を取得する。次いで、電力等化モジュール304内のBS3(Beam Splitter、ビームスプリッタ)が、第1の局部発振光LOに対してビーム分割を行って2つの第1の副局部発振光のビーム:F2およびF6を取得し、F2=F6=LO/2である。BS4が、第2の局部発振光LOに対してビーム分割を行って2つの第2の副局部発振光のビーム:F4およびF8を取得し、F4=F8=LO/2である。BS3およびBS4に入射する前に、第1の局部発振光LOの小部分および第2の局部発振光LOの小部分が、偏光制御のための分割を介してBS5およびBS6によってそれぞれ取得される。
【0055】
光ハイブリッド1 305は、F1およびF2を受け取り、光ハイブリダイゼーションを行って、4つのハイブリッド光の経路:T1、T2、T3、およびT4を取得する。光ハイブリッド2 306は、F3およびF4を受け取り、光ハイブリダイゼーションを行って、4つのハイブリッド光の経路:T5、T6、T7、およびT8を取得する。光ハイブリッド3 307は、F5およびF6を受け取り、光ハイブリダイゼーションを行って、4つのハイブリッド光の経路:T9、T10、T11、およびT12を取得する。光ハイブリッド4 308は、F7およびF8を受け取り、光ハイブリダイゼーションを行って、4つのハイブリッド光の経路:T13、T14、T15、およびT16を取得する。ここでは、16本のハイブリッド光のビームが取得される。
【0056】
図4は、本出願の一実施形態による光ハイブリッドの構造の概略図である。光ハイブリッド1 305を例にとると、光ハイブリッドは、光スプリッタ1 401と、光スプリッタ2 402と、光スプリッタ3 403と、光スプリッタ4 404と、90度移相器405とを含む。光スプリッタ1 401は、光ビームF1を受け取り、F1に対してビーム分割を行って、2つの
【数1】
のビームを取得する。光スプリッタ3 403は、光ビームF3を受け取り、F3に対してビーム分割を行って、2つの
【数2】
のビームを取得する。90度移相器405は、1つの
【数3】
のビームを90度移相して
【数4】
を取得する。図4に示されるように、光スプリッタ2 402は、光ビーム
【数5】
および
【数6】
を受け取り、結合ビーム分割を行って(F1+F2)/2および(F1-F2)/2を取得する。光スプリッタ3 403は、
【数7】
および
【数8】
を受け取り、結合ビーム分割を行ってハイブリッド光(F1+j*F2)/2および(F1-j*F2)/2を取得する。F1=S/2、F2=LO/2が(F1+j*F2)/2、(F1-j*F2)/2に代入された後、
【数9】
を得ることができる。
【0057】
光ハイブリッド2 306、光ハイブリッド3 307、および光ハイブリッド4 308の構造原理は、光ハイブリッド1 305の構造原理と同様である。前述の16本のハイブリッド光のビームは、具体的には以下のとおりであり得る。
【数10】
【0058】
これを考慮して、本出願のこの実施形態で提供される解決策における光ハイブリッドユニットは、4つの光ハイブリッドを有する。信号光と局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションが行われるとき、信号光のX偏光状態と局部発振光のX偏光状態とに対して光ハイブリダイゼーションを行う、信号光のX偏光状態と局部発振光のY偏光状態とに対して光ハイブリダイゼーションを行う、信号光のY偏光状態と局部発振光のX偏光状態とに対して光ハイブリダイゼーションを行う、および信号光のY偏光状態と局部発振光のY偏光状態とに対して光ハイブリダイゼーションを行う、という4つのケースがすべて含まれる。既存のコヒーレント光受信装置は、通常、前述の4つのケースのうちの2つのみを含む。図1bに示されるように、信号光のX偏光状態と局部発振光のY偏光状態とに対して光ハイブリダイゼーションを行い、信号光のY偏光状態と局部発振光のX偏光状態とに対して光ハイブリダイゼーションを行う、という2つのケースが通常存在する。信号光と局部発振光の偏光状態がどちらもランダムである場合、光信号のエネルギーが一方の偏光状態に集中する可能性が非常に高く、他方の偏光状態にはほとんどエネルギーがない。前述の例をさらに使用する。局部発振光のエネルギーがX偏光状態に集中し、局部発振光のY偏光状態のエネルギーがほとんどないと仮定すると、既存のコヒーレント光受信装置では、信号光のX偏光状態と局部発振光のY偏光状態とに対して正常な光ハイブリダイゼーションを行うことができない。その場合、信号光のX偏光状態で搬送されたサービスデータが欠落する。本出願のこの実施形態の解決策では、信号光のX偏光状態と局部発振光のX偏光状態とに対して光ハイブリダイゼーションをさらに正常に行うことができる。したがって、本出願のこの実施形態は、局部発振光の偏光状態のランダムな変化に起因して受信器が正常に動作することができないという問題を効果的に回避する。
【0059】
前述の16本のハイブリッド光のビームに対して偏光ビーム合成がまず行われてもよく、次いで光・電気変換が行われて複数のコヒーレント電気信号が取得される。具体的には、偏光ビーム合成モジュール309は、8つのPRC(Polarization Rotator and combiner、偏光回転子コンバイナ)を含み、各PRCは、16本のハイブリッド光のビームのうちの2本に対してビーム合成を行う。例えば、図3に示されるように、PRC1は、ハイブリッド光T1とT5とをビーム合成し、PRC2は、ハイブリッド光T2とT6とをビーム合成し、PRC3は、ハイブリッド光T3とT7とをビーム合成し、PRC4は、ハイブリッド光T4とT8とをビーム合成し、以下同様である。光ハイブリッド1 305内のx番目の出力光ビームが、光ハイブリッド2 306内の(x+a)番目の出力光ビームと1つの経路に合成され、光ハイブリッド3 307内のx番目の出力光ビームが、光ハイブリッド4 308内の(x+a)番目の出力光ビームと1つの経路に合成され、aはPRCによって出力される光ビームの数量を表す。PRC1を例にとると、PRC1は、T1とT5とに対してビーム合成を行う。ビーム合成プロセスでは損失が通常発生する。ここでは、T1とT5の両方が半分ずつ失われ、合成後の光ビームは以下のとおりである。
【数11】
【0060】
同様に、以下が取得され得る。
【数12】
【0061】
電気ドメイン信号を取得するために、光ビームE1および光ビームE2が、第1の光・電気変換モジュール310内のPD1(Photonic detector、光検出器)およびPD2によってそれぞれ受け取られる。
【数13】
【0062】
加算および減算の後、Q1-Q2が第1の光・電気変換モジュール310の加算器/減算器1によって行われ、加算器/減算器1によって出力されるコヒーレント電気信号I1,Iは、以下のとおりである。
【数14】
【0063】
同様に、加算器/減算器2によって出力されるコヒーレント電気信号I1,Qは、以下のとおりであることも分かる。
【数15】
【0064】
加算器/減算器3によって出力されるコヒーレント電気信号I2,Iは、以下のとおりである。
【数16】
【0065】
加算器/減算器4によって出力されるコヒーレント電気信号I2,Qは、以下のとおりである。
【数17】
【0066】
演算realは、実部を取ることを表し、演算imagは、虚部を取ることを表す。
【0067】
4つのコヒーレント電気信号の経路:I1,I、I1,Q、I2,I、およびI2,Qは、それぞれのトランスインピーダンスアンプ(trans-impedance amplifier、TIA)によって増幅され、次いで、アナログ・デジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)によってサンプリングされ、次いで、サービスデータを復元する処理のためにODSP316に送られる。任意選択で、コヒーレント光受信装置30は、ODSP316を含んでいてもよく、ODSP316は、代替的に、コヒーレント光受信装置30の外部に配置されていてもよい。
【0068】
ODSP316は、次いで、サービスデータを取得するためにコヒーレント電気信号に基づく復元を行う。ODSP316は、局部発振光の偏光回転角または偏光遅延角が特定の値である場合、サービスデータを取得するためにコヒーレント電気信号に基づく復元を行うことができない場合がある。
【0069】
具体的には、ODSP316では、以下の関係を取得するために、2つの複素信号の経路:IおよびIが推定され得る。
【数18】
【0070】
行列
【数19】
が可逆である場合、サービスデータを取得するために、ODSP316内のMIMOアルゴリズムが2つの複素信号
【数20】
の経路における復元を行い得る。
【0071】
局部発振光は、送信端で直線偏光され、
【数21】
と表記され得る。(ジョーンズ行列を通過して)光ファイバチャネル上を伝送された後に受信端に到達する局部発振光は、
【数22】
と表されてもよく、式中、θは、局部発振光の偏光回転角を表し、φは、局部発振光の偏光遅延角を表す。式がM行列に代入された後、以下が取得され得る。
【数23】
【0072】
前述の式(1)によれば、cosθ=sinθ、ejφ=0の場合、M行列は不可逆であり、ODSP316は、サービスデータを取得するためにコヒーレント電気信号に基づく復元を行うことができないことが分かる。
【0073】
本出願のこの実施形態では、局部発振光の偏光を調整するために偏光制御ユニットが導入され、そのためODSP316は複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得する。具体的には、PSR2を通過する局部発振光の第1の局部発振光LOおよび第2の局部発振光LOの一方に位相変調器313が付加される。図3において、位相変調器313は、第2の局部発振光LOの分岐上に配置されている。任意選択で、位相変調器313は、代替的に、第1の局部発振光LOの分岐上に配置されてもよい。第1の局部発振光または第2の局部発振光の偏光遅延角φが位相変調器を制御することによって調整され、そのためM行列を常に可逆状態にあるように制御することができる。
【0074】
位相変調器313が第1の局部発振光または第2の局部発振光の偏光遅延角φに位相
【数24】
の変化を導入すると仮定すると、M行列は以下のように書き直され得る。
【数25】
【0075】
図5は、局部発振光に対応するポアンカレ球の概略図である。図5に示されるように、局部発振光の偏光回転角θおよび局部発振光の偏光遅延角φが値をトラバースした後、局部発振光の偏光状態はすべてポアンカレ球の球面上に落ちる。位相変調器313が第1の局部発振光または第2の局部発振光の偏光遅延角φに位相
【数26】
を導入することによって調整が行われた後に取得される局部発振光は、球面上の黒い範囲内に入り、M行列は可逆状態に到達する。したがって、偏光制御ユニット202は、球面上でランダム外乱を発生する局部発振光が白い範囲を迂回して黒い範囲内に入ることを可能にしさえすればよく、そのためODSP316は、コヒーレント電気信号に基づく復元を行ってサービスデータを取得することができ、コヒーレント光受信装置は正常に動作し、フィードバック制御の難度が大幅に低減される。既存のコヒーレント光受信装置では、球面上でランダム外乱を発生する局部発振光が、通常、球面の一点または小領域内にあるように制御される必要があり、制御の難度が高い。本出願のこの実施形態で提供される偏光制御の難度および精密度は低減され、そのため設計コストが削減される。
【0076】
図6は、本出願の一実施形態による偏光制御方法のフローチャートである。具体的には、偏光制御ユニット202の制御処理は以下のとおりである。
【0077】
ステップ601:分割によって局部発振光の一部を取得し、複数の光監視信号のビームを取得するために局部発振光の一部に対してビーム分割を行う。
【0078】
結合ビーム分割モジュール312は複数のBSを含む。BS5とBS6とが、結合によって局部発振光の小部分を別々に取得する。2つの光のビームは、次いで、BS7とBS8とによって4つの光監視信号の経路にそれぞれ均等に分割される。2つの光監視信号の経路は、次いで、結合され、BS9によって加算されて、以下の3つのハイブリッド光の経路が取得される。
【数27】
【0079】
ステップ602:複数の光監視信号のビームを複数の電気監視信号のビームに変換する。
【0080】
前述の3つのハイブリッド光の経路は、次いで、第3の光・電気変換モジュール314内のPD9、PD10、およびPD11によって受け取られ、第3の光・電気変換モジュール314内のTIA5、TIA6、およびTIA7によって増幅され、第3の光・電気変換モジュール314内のADC5、ADC6、およびADC7によってサンプリングされて、3つの電気監視信号の経路が取得される。
【数28】
【0081】
ステップ603:複数の電気監視信号のビームに基づいてフィードバック制御電気信号を生成し、フィードバック制御電気信号が、ODSP316が複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように、局部発振光の偏光を調整するよう位相変調器を制御するために使用される。
【0082】
具体的には、信号処理モジュール315は、電気監視信号のエネルギーを監視する。
【0083】
10とI30との差が予め設定された範囲内にある場合、それは偏光回転角θが0度または90度に近く、M行列が非常に健全であり、位相変調器313が動作する必要がないことを示す。
【0084】
10のエネルギーがI30のエネルギーに近い場合、位相変調器313は、局部発振光の偏光を制御するために始動される必要がある。この場合、信号処理モジュール315は、位相変調器313を調整するためのフィードバック制御信号を生成する。位相変調器313が調整によって(I-I-I)のエネルギーを増加させると、現在のM行列は可逆であると判定することができ、コヒーレント光受信装置は正常に動作することができる。任意選択で、フィードバック制御電気信号は、ODSP316が前述の複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように、前述の第1の局部発振光または第2の局部発振光の位相を調整するよう位相変調器313を制御する。さらに、前述の第1の局部発振光または第2の局部発振光の位相を調整することは、前述の第1の局部発振光または第2の局部発振光の偏光遅延角を調整することを含む。例えば、位相変調器313は、第1の局部発振光または第2の局部発振光に位相
【数29】
を導入し、
【数30】
が90度に近づく、すなわち、第1の局部発振光または第2の局部発振光の偏光遅延角φ+位相変調器313によって導入された位相
【数31】
が90度に近づくと、コヒーレント光受信装置は、この場合、正常に動作できると考えられる。
【0085】
具体的には、信号処理モジュール315は、DSP3151と、DAC3152(digital-to-analog converter、デジタル・アナログ変換器)と、電力増幅器3153とを含む。DSP3151は、電気監視信号に基づいてフィードバック制御電気信号を生成し、フィードバック制御電気信号が、ODSP316が複数のコヒーレント電気信号に基づいてサービスデータを取得するように、局部発振光の偏光を調整するよう位相変調器を制御するために使用される、ように構成される。DAC3152は、フィードバック制御電気信号に対してデジタル・アナログ変換を行うように構成される。電力増幅器3153は、デジタル・アナログ変換が行われるフィードバック制御電気信号に対して電力増幅を行うように構成される。
【0086】
任意選択で、90:10または95:5の光スプリッタがBS5およびBS6として選択されてもよい。具体的には、偏光制御のために、それぞれの分岐の局部発振光の10%または5%が結合によって取得される。
【0087】
要約すると、本出願のこの実施形態で開示されるコヒーレント光受信装置は、局部発振光の偏光状態のランダムな変化に起因して受信器が正常に動作することができないという困難な問題を解決する。偏光制御を導入することにより、コヒーレント光受信装置が、サービスデータの正常な復元を維持し、コヒーレント光受信安定性をさらに改善し、偏光制御ユニットを単純化し、偏光制御の難度および精密度を低減し、それによってコストを削減することが可能になる。
【0088】
本出願で言及される90度移相または90度偏光状態回転は、代替的に、270度移相または270度偏光状態回転であってもよく、ただし、移相または偏光状態回転が90度移相または90度偏光状態回転と同じ技術的効果を達成することを条件とする。上述の回転度数は、実際のデバイスプロセスでの制限などの理由によりわずかにずれる場合があることに留意されたい。本出願で言及される90度移相または90度偏光状態回転は、この約90度または約270度の回転を含むことを理解されたい。
【0089】
本出願の実施形態で言及されるPSRは、PBS(Polarization Beam Splitter、偏光ビームスプリッタ)とPR(Polarization Rotator、偏光回転子)との接続された組み合わせで置き換えられてもよく、PRCは、PBC(Polarization Beam Combiner、偏光ビームコンバイナ)とPRとの接続された組み合わせで置き換えられてもよいことに留意されたい。PSRをPBSとPRとの接続された組み合わせで置き換えること、およびPRCをPBCとPRとの組み合わせで置き換えることは、単純な構造的変形であり、やはり本出願で保護されるべき技術的解決策であることを理解されたい。光スプリッタは、導波路カプラまたはマルチモード干渉計(Multimode interferometer、MMI)カプラであってもよい。
【0090】
説明および理解を容易にするために、本出願の実施形態における同じモジュールまたは構成要素は同じ参照番号を使用する。
【0091】
図7は、本出願の一実施形態によるコヒーレント光受信装置の第3の実施形態の概略図である。
【0092】
図7に示されるように、コヒーレント光受信装置70は、信号光入力ポート301と、局部発振光入力ポート302と、偏光ビーム分割モジュール303と、電力等化モジュール304と、光ハイブリッド1 305と、光ハイブリッド2 306と、光ハイブリッド3 307と、光ハイブリッド4 308と、光・電気変換モジュール701と、結合ビーム分割モジュール312と、位相変調器313と、第3の光・電気変換モジュール314と、信号処理モジュール315と、ODSP316とを含む。図面の表現を簡単にするために、信号光入力ポート301、局部発振光入力ポート302、偏光ビーム分割モジュール303、電力等化モジュール304、結合ビーム分割モジュール312、位相変調器313、第3の光・電気変換モジュール314、および信号処理モジュール315は、図3に示されているものと同じであり、図7には示されていない。図7図3との相違点は、主に、光ハイブリッドユニットによって出力された16本のハイブリッド光のビームを処理する光・電気変換モジュール701にある。光ハイブリッド1 305と、光ハイブリッド2 306と、光ハイブリッド3 307と、光ハイブリッド4 308との間の構造については、図3を参照されたい。
【0093】
光ハイブリッド1 305、光ハイブリッド2 306、光ハイブリッド3 307、および光ハイブリッド4 308によって出力された16本のハイブリッド光のビームT1からT16は、まず、PD1からPD16によって電気信号にそれぞれ変換され、次いで、複数のコヒーレント電気信号を得るために加算器/減算器によって加算および減算される。
【0094】
例えば、T1、T2、T5、およびT6がPDによって検出された後、以下の4つのハイブリッド電気信号の経路が取得される。
【数32】
【0095】
Q1とQ2とが加算器/減算器1によって加算および減算された後、以下が取得される。
【数33】
【0096】
Q5とQ6とが加算器/減算器5によって加算および減算された後、以下が取得される。
【数34】
【0097】
前述の2つの電気信号の経路:Q1-Q2およびQ5-Q6は、次いで、加算器/減算器2を通過して、コヒーレント電気信号I1,Iが取得される。
【数35】
【0098】
同様に、加算器/減算器4によって出力されるコヒーレント電気信号I1,Qは、以下のとおりである。
【数36】
【0099】
加算器/減算器8によって出力されるコヒーレント電気信号I2,Iは、以下のとおりである。
【数37】
【0100】
加算器/減算器10によって出力されるコヒーレント電気信号I2,Qは、以下のとおりである。
【数38】
【0101】
電気ドメイン上で付加される信号の配線を容易にするために、図7に示されるように、光ハイブリッド2 306および光ハイブリッド4 308がハイブリッド光を出力する順序が、光ハイブリッドのその後の光路交差を軽減するために交換されてもよい。
【0102】
本出願のこの実施形態で提供されるコヒーレント光受信装置は、光ハイブリッドによって出力されたハイブリッド光に対して光路偏光ビーム合成解決策を使用せず、偏光ビーム合成によって引き起こされる結合損失を回避し、挿入損失を低減するために、加算器/減算器を付加することによって加算および減算を直接行う。
【0103】
図8は、本出願の一実施形態によるコヒーレント光受信装置の第4の実施形態の概略図である。
【0104】
図8に示されるように、コヒーレント光受信装置80は、BS1 801と、BS2 802と、偏光ビーム分割モジュール803と、PSR4 804と、PSR6 805と、偏光制御モジュール806とを含み、信号光入力ポート301と、局部発振光入力ポート302と、光ハイブリッド1 305と、光ハイブリッド2 306と、光ハイブリッド3 307と、光ハイブリッド4 308と、位相変調器313と、ODSP316とをさらに含む。関連説明については図3を参照されたい。偏光ビーム分割モジュール803は、4つのPSR、PSR1、PSR2、PSR3、およびPSR4を含む。図8に示される実施形態は、主に、信号光および局部発振光の偏光ビーム分割のために光路の単純化が行われる点において、図3に示される実施形態と異なる。
【0105】
信号光Sが信号光入力ポート301から入力され、信号光Sに対してBS1 801を使用して出力ビーム分割が行われた後、第1の信号光および第2の信号光が取得される。
【0106】
偏光ビーム分割モジュール803内のPSR1は、第1の信号光に対して偏光ビーム分割を行って、1つの第1の副信号光のビームF1と1つの第2の副信号光のビームF7とを取得する。PSR3は、第2の信号光に対して偏光ビーム分割を行って、別の第1の副信号光のビームF3と別の第2の副信号光のビームF5とを取得する。第1の副信号光はX偏光状態にあり、第2の副信号光はY偏光状態にある。
【0107】
局部発振光LOが局部発振光入力ポート302から入力され、第3の局部発振光および第4の局部発振光が、PSR5 804を使用して偏光ビーム分割を行うことによってまず取得され、第3の局部発振光はX偏光状態にあり、第4の局部発振光はY偏光状態にある。BS5およびBS6は、結合によって局部発振光の一部を別々に取得し、局部発振光の一部を偏光制御のために偏光制御モジュール806に入力する。局部発振光の一部に基づいて光監視信号が取得される。光監視信号は、電気監視信号に変換される。第4の局部発振光の位相を調整するよう位相変調器313を制御するために、電気監視信号に基づいてフィードバック制御信号が生成される。偏光制御モジュール806の具体的な原理については、図3の関連説明を参照されたい。PRC6 805は、BS2 802に入力するために、BS5およびBS6を通過する第3の局部発振光と第4の局部発振光とに対して偏光ビーム合成を行う。
【0108】
偏光制御モジュール806は、図3の実施形態における結合ビーム分割モジュール312内のBS7、BS8、およびBS9、第3の光・電気変換モジュール314、信号処理モジュール315、およびODSP316を含み得る。
【0109】
BS2 802は、局部発振光に対して出力ビーム分割を行って、第1の局部発振光と第2の局部発振光とを取得する。偏光ビーム分割モジュール803内のPSR2は、第1の局部発振光に対して偏光ビーム分割を行って、1つの第1の副局部発振光のビームF2と1つの第2の副局部発振光のビームF6とを取得する。PSR4は、第2の局部発振光に対して偏光ビーム分割を行って、別の第1の副局部発振光のビームF4と別の第2の副局部発振光のビームF8とを取得する。第1の副局部発振光はX偏光状態にあり、第2の副局部発振光はY偏光状態にある。
【0110】
図7の光・電気変換モジュール701が図8の光ハイブリッドに続いてさらに接続されてもよく、または図3の偏光ビーム合成モジュール309が接続されてもよく、次いで第1の光・電気変換モジュール310および第2の光・電気変換モジュール311が接続される。
【0111】
本出願の図3の偏光光分割解決策は、まずPSRを使用して偏光ビーム分割を行い、次いでBSを使用して出力ビーム分割を行うが、本出願の図8の偏光光分割解決策は、まずBSを使用して出力ビーム分割を行い、次いでPSRを使用して偏光ビーム分割を行う。実際の光路では、信号光および局部発振光の偏光光分割は、代替的に、図3の実施形態の偏光光分割解決策が信号光に使用され、図8の実施形態の偏光光分割解決策が局部発振光に使用される、であってもよく、または、図8の実施形態の偏光光分割解決策が信号光に使用されてもよく、図3の実施形態の偏光光分割解決策が局部発振光に使用される、であってもよい。本出願のこの実施形態は、可能な組み合わせ解決策のみを示している。本出願のこの実施形態に基づき、本出願のこの実施形態の構造から容易に考案される組み合わせも本出願の保護範囲内に入るべきであると提言する。
【0112】
図9は、本出願の一実施形態によるコヒーレント光受信装置の第5の実施形態の概略図である。
【0113】
図9に示されるように、コヒーレント光受信装置90は、光ファイバコリメータ901と、光ファイバコリメータ902と、レンズ1 903と、レンズ2 904と、反射アセンブリ1 905と、反射アセンブリ2 906と、偏光回転子907と、光ハイブリッド908と、光ハイブリッド909とを含み、信号光入力ポート301と、局部発振光入力ポート302と、位相変調器313と、偏光制御モジュール806とをさらに含む。関連説明については、図3および図8を参照されたい。
【0114】
光ファイバコリメータ901によってコリメートされた後、信号光がレンズ1 903に入力され、レンズ1 903は、信号光を第1の信号光と第2の信号光とに分解する。光ファイバコリメータ902によってコリメートされた後、局部発振光がレンズ2 904に入力され、レンズ2 904は、局部発振光を第1の局部発振光と第2の局部発振光とに分解する。第2の局部発振光に対して偏光回転子907によって偏光回転が行われた後、第2の局部発振光は光ハイブリッド909に入射する。光ハイブリッド908は、第1の信号光と第1の局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行い、光ハイブリッド909は、第2の信号光と第2の局部発振光とに対して光ハイブリダイゼーションを行う。光ハイブリッド908および光ハイブリッド909は、空間光ハイブリッドであり得る。
【0115】
任意選択で、反射アセンブリ1 905は、第2の信号光を反射して第2の信号光を光ハイブリッド908に入力してもよく、反射アセンブリ2 906は、第2の局部発振光を反射して第2の局部発振光を光ハイブリッド907に入力してもよい。
【0116】
任意選択で、偏光回転子は、90度偏光回転子であってもよい。
【0117】
図10は、本出願の一実施形態による光学システムの概略図である。
【0118】
図10に示されるように、光学システム100は、光送信デバイス1001と、光ファイバ1002と、コヒーレント光受信装置1003とを含む。コヒーレント光受信装置1003は、光ファイバ1002を使用して、光送信デバイス1001によって送信された信号光を受信する。コヒーレント光受信装置1003は、光ファイバ1002を使用して局部発振光を受信するか、またはコヒーレント光受信装置1003は局部発振光を生成する。コヒーレント光受信装置1003は、前述の実施形態における任意のコヒーレント光受信装置であってもよい。
【0119】
本出願の実施形態における同じ部分または同様の部分については、相互参照されたい。特に、図7から図10の実施形態は、図3から図6に対応する実施形態の拡張形態である。したがって、説明は比較的簡単である。関連部分については、図3から図6の対応する実施形態の各部分の説明を参照されたい。
【0120】
最後に、前述の説明は本出願の特定の実装形態にすぎず、本出願の保護範囲を限定することを意図されたものではないことに留意されたい。本出願で開示される技術的範囲内で当業者によって容易に考案される変形や置換は、本出願の保護範囲に入るものとする。
【符号の説明】
【0121】
100 ホモロガスコヒーレント光伝送システム、光学システム
101 送信側デバイス
102 受信側デバイス
103a 光ファイバ
103b 光ファイバ
1011 データ入力
1012 レーザー
1013 光スプリッタ
1014 変調器
1021 コヒーレント光受信装置
1022 デジタル信号プロセッサ
10211 偏光ビームスプリッタ(PRS)
10212 PRS
10213 光ハイブリッド
10214 光ハイブリッド
10215 コヒーレント光電プロセッサ
20 コヒーレント光受信装置
201 偏光光分割ユニット
202 偏光制御ユニット
203 光ハイブリッドユニット
204 コンバイナユニット
30 コヒーレント光受信装置
301 信号光入力ポート
302 局部発振光入力ポート
303 偏光ビーム分割モジュール
304 電力等化モジュール
305 光ハイブリッド1
306 光ハイブリッド2
307 光ハイブリッド3
308 光ハイブリッド4
309 偏光ビーム合成モジュール
310 第1の光・電気変換モジュール
311 第2の光・電気変換モジュール
312 結合ビーム分割モジュール
313 位相変調器
314 第3の光・電気変換モジュール
315 信号処理モジュール
316 ODSP(光デジタル信号プロセッサ)
3151 DSP(デジタル信号プロセッサ)
3152 DAC(デジタル・アナログ変換器)
3153 電力増幅器
401 光スプリッタ1
402 光スプリッタ2
403 光スプリッタ3
404 光スプリッタ4
405 90度移相器
70 コヒーレント光受信装置
701 光・電気変換モジュール
80 コヒーレント光受信装置
801 BS1
802 BS2
803 偏光ビーム分割モジュール
804 PSR5
805 PRC6
806 偏光制御モジュール
90 コヒーレント光受信装置
901 光ファイバコリメータ
902 光ファイバコリメータ
903 レンズ1
904 レンズ2
905 反射アセンブリ1
906 反射アセンブリ2
907 偏光回転子
908 光ハイブリッド
909 光ハイブリッド
1001 光送信デバイス
1002 光ファイバ
1003 コヒーレント光受信装置
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10