IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特許7427097車両の自動走行モードを無効化するための方法
<>
  • 特許-車両の自動走行モードを無効化するための方法 図1
  • 特許-車両の自動走行モードを無効化するための方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】車両の自動走行モードを無効化するための方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/09 20120101AFI20240126BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20240126BHJP
   B60W 50/12 20120101ALI20240126BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20240126BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240126BHJP
   B62D 1/06 20060101ALI20240126BHJP
   B60R 21/0134 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W40/04
B60W50/12
B62D6/00
G08G1/16 C
B62D1/06
B60R21/0134
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022543018
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2020085537
(87)【国際公開番号】W WO2021144081
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-13
(31)【優先権主張番号】102020000147.5
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】レマン アルビン
(72)【発明者】
【氏名】シーベル バークハード
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-156232(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188587(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/220834(WO,A1)
【文献】特開2017-19436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B60R 21/00-21/13
B62D 1/00- 1/28
B62D 6/00- 6/10
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)の自動走行モードを無効化するための方法であって、
第1の値、第2の値、及び第3の値は、閾値として規定され、前記第2の値は前記第1の値より大きく、前記第3の値は前記第2の値より大きいことと、
装置は、前記自動走行モード中、前記車両(1)のステアリングホイールに作用する手動操舵トルクが、前記自動走行モードのための支援システム(2)の制御システム(3)によって生成されるシステム操舵トルクを、
-車両ユーザの少なくとも片手が前記車両(1)の前記ステアリングホイール上で検出されたときに、前記規定された第1の値の量だけ超過する場合、
-前記車両ユーザの手が前記ステアリングホイール上で検出されないときに、前記規定された第2の値の量だけ超過する場合、又は
-前記車両ユーザが運転から注意をそらしていること、若しくは前記車両(1)の側面衝突のリスクがあり且つ前記側面衝突のリスクの方向に前記手動操舵トルクが作用していること、が決定されたときに、前記規定された第3の値の量だけ超過する場合、
前記自動走行モードを終了ることと、
前記車両(1)の前記側面衝突のリスクは、前記車両(1)の環境センサシステム(7)の検出信号に基づいて検出されることと、
を特徴とする、方法。
【請求項2】
前記自動走行モードは、前記システム操舵トルクの量のそれぞれの前記超過が規定の時間より長く持続する場合にのみ、終了されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステアリングホイールに作用する前記手動操舵トルクは、手動操舵トルク検出ユニット(4)の検出信号に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステアリングホイール上の前記車両ユーザの片手は、前記ステアリングホイール上に配置された少なくとも1つの静電容量式検出ユニット(5)の検出信号に基づいて検出されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記車両ユーザの視線方向及び/又は頭の向きは、運転者観察カメラ(6)の検出信号に基づいて決定されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
前記環境センサシステム(7)の前記検出信号に基づいて、衝突の可能性のある物体が前記車両の長手方向側面の安全領域(S)に存在するか、又は前記安全領域(S)に進入しているかが決定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記自動走行モードは、前記ステアリングホイール上の少なくとも片手と、規定の最小継続時間を超えるアクセルペダル(8)の作動と、が検出された場合に終了されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記自動走行モードは、前記ステアリングホイール上の少なくとも片手と、規定の最小継続時間を超えるブレーキペダル(9)の作動と、が検出された場合に終了されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記自動走行モードは、前記自動走行モードを無効化するための操作要素(10)が規定の最小継続時間の間作動される場合に終了されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自動走行モードを無効化するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許第10 2006 057 842 A1号から、車両の横方向誘導において車両の運転者を支援するための方法と、その方法を実行するための運転者支援システムと、が公知である。本方法は、車両の周囲及び/又は車両が走行する車線の進路にある物体を認識するために、車両の周囲を記録することを提供する。車両が検出された物体のうちの1つに衝突するおそれがあるか、又は検出された車線を離れるおそれがある危険性がある場合、進路修正システムヨートルク又は進路修正システムヨーレートを生成するための横方向誘導システム介入がトリガされる。それぞれの作動の範囲が、それぞれの作動に割り当てられた基準値から所定の許容度を超える量だけ逸脱した場合、運転者は、車両のステアリングホイールの作動、車両のアクセルペダルの作動、及び/又は車両のブレーキペダルの作動によって、横方向誘導システム介入を中断することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、車両の自動走行モードを無効化するための方法を特定するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本目的は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有する方法によって解決される。
【0005】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
本発明によれば、車両の自動走行モードを無効化(非アクティブ化,Deaktivierung)するための方法は、第1の値、第2の値、及び第3の値が、第2の値が第1の値より大きく、第3の値がより大きいように、閾値として規定されることと、車両のステアリングホイールに作用する手動操舵トルクが、自動走行モードのための支援システムの制御システムによって生成されるシステム操舵トルクを、車両ユーザの少なくとも片手が車両のステアリングホイール上で検出されたときには規定の第1の値の量だけ超過する場合、自動走行モードが自動的に終了されることと、を提供する。
【0007】
これは、車両ユーザが少なくとも片手をステアリングホイール上に置き、特に少なくとも片手でステアリングホイールを握ったときにステアリングホイールが作動される場合、および、その結果として、手動操舵トルクがシステム操舵トルクよりも少なくとも規定の第1の値の量だけ大きくなる程度に、ステアリングホイールが作動される場合、自動走行モードは終了されることを意味する。
【0008】
手動操舵トルクとは、車両ユーザが自身の手、自身の腕、自身の脚、又は他の方法でステアリングホイールに触れることによってトルクを生成するかどうかに関係なく、車両ユーザによってステアリングホイールに加えられるあらゆるトルクを意味する。制御システムによって生成されるシステム操舵トルクとは、自動走行モード中に自動運転操作を制御するために、制御システムによって車両のステアリング装置に加えられる操舵トルクを意味する。
【0009】
ただし、自動走行モードは、ステアリングホイール上で車両ユーザの両手のいずれもが検出されないときには、手動操舵トルクが、システム操舵トルクを規定の第2の値の量だけ超過する場合にも自動的に終了される。
【0010】
これは、ステアリングホイールの作動の際に、車両ユーザがステアリングホイールに片手を置かず、特にステアリングホイールを自身の両手のいずれでも握っていない場合、および、その結果として、手動操舵トルクがシステム操舵トルクよりも少なくとも規定の第2の値の量だけ大きくなる程度に、ステアリングホイールが作動される場合にもまた、自動走行モードは、終了されることを意味する。
【0011】
車両ユーザが運転状況から注意をそらしていることが決定されたときに、若しくは車両の側面衝突のリスクがあり且つその衝突のリスクの方向に車両ユーザの手動操舵トルクを作用させていることが決定されたときには、手動操舵トルクが、システム操舵トルクを規定の第3の値の量だけ超過する場合にもまた、自動走行モードは、終了される。
【0012】
これは、車両ユーザが運転状況から注意をそらしている場合、又は、手動トルクの作用方向に側面衝突のリスクがあり、その結果として、手動操舵トルクがシステム操舵トルクよりも少なくとも規定の第3の値の量だけ大きくなる程度に、ステアリングホイールが作動される場合にもまた、終了される。
【0013】
本方法を適用することにより、車両ユーザは、車両誘導、すなわち、運転タスクを引き継ぐために、車両の自動走行モードを実質的にいつでも終了させる選択肢を有する。車両ユーザは、車両誘導を、特定の動作を実行することによって引き継ぎ、車両ユーザによる意図しない動作及び/又は偶発的な動作が自動走行モードの無効化につながらないことが可能な限り保証される。
【0014】
車両ユーザによる動作が意図的であり、偶発的に実施されないことを可能な限り保証できるようにするために、本方法の一実施形態は、システム操舵トルクの量のそれぞれの超過が規定の期間よりも長く継続した場合にのみ、自動走行モードが終了されることを提供する。これは、第1の値、第2の値、又は第3の値だけ手動操舵トルクがシステム操舵トルクの量を超えることは、それぞれの超過が規定の期間より長く継続する場合にのみ存在することを意味する。したがって、短時間の超過は、考慮されない。それぞれの超過の継続時間を考慮することにより、車両ユーザが誤ってステアリングホイールを作動させたかどうか、又は車両ユーザが自動走行モードを終了させることを意図したかどうかを判定することができる。
有効な手動操舵トルクを検出するために、一実施形態では、手動操舵トルク検出ユニットが車両のステアリングホイールと信号を伝えるように接続されており、その結果、手動操舵トルクの検出信号に基づいてステアリングホイールに作用する手動操舵トルクが決定される。このような手動操舵トルク検出ユニットは、車両に存在する少なくとも1つの支援システム、特に車線逸脱警報システムの構成要素であり、その結果、手動操舵トルク検出ユニットは、本方法を実行するために使用され得る。
【0015】
ステアリングホイール上の車両ユーザの少なくとも片手を検出するために、更なる実施形態は、ステアリングホイール上に配置された少なくとも1つの静電容量式検出ユニットを有し、静電容量式検出ユニットは、継続的に信号を検出し、その信号を用いて、車両ユーザの少なくとも片手がステアリングホイール上にあるかどうかが検出される。特に、静電容量式検出ユニットは、ステアリングホイールの握り検出を検出する。この静電容量式検出ユニットもまた車両の構成要素であり、この静電容量式検出ユニットは、車両ユーザが自身の両手のうちの少なくとも片手でステアリングホイールを握っていないことが検出された場合に、対応する警告が車両内で出力されるため、安全を確保するために使用される。
【0016】
本方法の更なる可能な実施形態では、車両ユーザの視線方向及び/又は頭の向きは、運転者観察カメラの検出信号に基づいて決定され、そのような運転者観察カメラは、多くの場合、車両内に存在するため、本方法を実行するために、運転者観察カメラを車両内に追加配置する必要はない。
【0017】
更なる実施形態では、車両の側面衝突のリスクは、車両の環境センサシステムの検出信号に基づいて検出され、環境センサシステムは、特に自動走行モードにおいて信号を継続的に検出し、車両の自動走行モードのための支援システムの本質的な構成要素を形成する。特に、環境センサシステムの検出信号に基づいて、車両の周囲及びその周囲内に位置する物体が検出される。
【0018】
加えて、環境センサシステムで検出された信号を用いて、衝突の可能性のある物体が車両長手側面の安全領域に存在するか、又は安全領域に進入しているかが決定され、側面衝突のリスクが決定された場合、車両の自動走行モードは、終了される。
【0019】
更に、本方法は、一実施形態では、ステアリングホイール上の少なくとも片手及びアクセルペダルの作動が検出され、アクセルペダルの作動が規定の最小継続時間を超える場合、自動走行モードが終了されることを提供する。アクセルペダルが規定の最小継続時間の間作動されることを要求することによって、偶発的な作動を排除することができ、自動走行モードを終了させることができ、その後、車両ユーザは、車両に関連する運転タスクを実行する。
【0020】
車両ユーザの両手のいずれもがステアリングホイール上にないことが検出された場合には、アクセルペダルの作動は、加速要求として解釈されないため、アクセルペダルの作動によって信号が送られた加速命令は、実行されない。
【0021】
同様に、ステアリングホイール上の少なくとも片手及びブレーキペダルの作動が検出され、ブレーキペダルの作動が規定の最小継続時間を超える場合、自動走行モードは、終了される。したがって、この場合もまた、不注意にブレーキペダルが作動されたことを排除することができる。
【0022】
車両ユーザが自動走行モードを無効化するために操作要素を規定の最小継続時間の間作動させた場合には、車両の自動走行モードは、無効化され、この操作要素の偶発的な作動は、大部分排除され得る。
【0023】
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】車両の自動走行モードを無効化するための装置の概略図である。
図2】自動走行モードが無効化されている交通状況の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
対応する部分には、図面全体で同じ参照符号が付されている。
【0026】
図1は、車両1の自動走行モードを無効化するための方法を実行するための装置を示している。
【0027】
装置は、自動走行モードのための支援システム2を含み、支援システム2では、車両1の運転タスクが、車両1に完全に引き渡され、車両1の車両ユーザは、別の活動を遂行することができる。
【0028】
支援システム2は、制御システム3に接続されており、制御システム3は、手動操舵トルク検出ユニット4、静電容量式検出ユニット5、運転者観察カメラ6、環境センサシステム7、アクセルペダル8、ブレーキペダル9、及び自動走行モードを終了させるための操作要素10と接続されている。
【0029】
車両1の自動走行モードでは、車両ユーザには、車両制御を引き継ぐ、すなわち自動走行モードを終了させる選択肢が常に与えられなければならない。
【0030】
自動走行モードを終了させるためには、車両ユーザが少なくとも1つの特定の動作を実施することが必要であり、そのためには、車両ユーザによる意図しない及び/又は偶発的に実行される動作が自動走行モードの無効化につながらないことを可能な限り保証しなければならない。以下に説明する方法は、この目的のために提供される。
【0031】
手動操舵トルク検出ユニット4を使用して、特に自動走行モード中に信号が検出され、これに基づいて、車両1のステアリングホイールに作用する手動操舵トルクが決定される。ステアリングホイールは、車両1の横方向誘導のために設けられた車両1のステアリング装置の構成要素である。
【0032】
信号は、静電容量式検出ユニット5、いわゆるハンズオンセンサシステムを使用して、継続的に検出され、これらの信号に基づいて、車両ユーザの少なくとも片手がステアリングホイールに接触しているかどうかが決定される。
【0033】
運転者観察カメラ6は、例えば、車両1の内部ミラーと一体化されており、運転者観察カメラ6の検出範囲は、少なくとも車両ユーザの頭が検出範囲内に存在するように位置合わせされている。信号は、運転者観察カメラ6を使用して、継続的に検出され、これに基づいて、車両ユーザの視線方向及び/又は頭の向きが決定され、この決定から、車両ユーザが車両1の前方及び車両1の側面の交通事象を目で追っているかどうかを導き出すことができる。
【0034】
信号は、車両1内かつ/又は車両1上に配置されたセンサを含む環境センサシステム7を使用して、走行モード中に継続的に検出され、これに基づいて、車両1の周囲と、その周囲内に存在する図2により詳細に示された物体Oと、が検出される。したがって、環境センサシステム7、及び、特に環境センサシステム7に検出される信号は、車両1の側面衝突のリスクを決定するのに用いられる。例えば、環境センサシステム7は、この目的のためのいわゆるブラインドスポットアシストの構成要素である。
【0035】
制御システム3を使用して、自動走行モードにおける車両1の横方向制御のために、システム操舵トルクが車両1のステアリング装置で生成され、加えて、制御システム3は、長手方向制御のための作動信号を生成するために設けられている。
【0036】
車両1の自動走行モード中、以下に説明するシナリオのうちの1つが存在するかどうかが継続的に点検される。
【0037】
第1のシナリオでは、静電容量式検出ユニット5の検出信号に基づいて、車両ユーザの少なくとも片手が車両1のステアリングホイールに接触していることが決定される。
【0038】
手動操舵トルク検出ユニット4の検出信号に基づいて、少なくとも片手によってステアリングホイールに作用する手動操舵トルクが、制御システム3を使用して生成されるシステム操舵トルクを規定の第1の値だけ超えていることが検出される。特に、手動操舵トルクは、システム操舵トルクを比較的容易に超える。例えば、オーバーライド閾値とも呼ばれる、規定の第1の値は、3ニュートンメートルである。
【0039】
説明した第1のシナリオが存在する場合、自動走行モードは、終了され、運転タスクは、車両ユーザに引き渡される。
【0040】
第2のシナリオでは、静電容量式検出ユニット5の検出信号に基づいて、車両ユーザの両手のうちのいずれもがステアリングホイールに接触していないことが決定され、手動操舵トルク検出ユニット4の検出信号に基づいて、作用する手動操舵トルクがシステム操舵トルクを、規定された第2の値の量、この場合では例えば、6ニュートンメートルを超えることが決定される。
【0041】
この第2のシナリオが検出された場合、自動走行モードは、無効化され、車両制御は、車両ユーザに引き渡される。
【0042】
第3のシナリオでは、運転者観察カメラ6の検出信号に基づいて、車両ユーザが注意をそらしていて、車両1の前方の交通事象に注意を払っていないことが決定される。
【0043】
加えて、決定された手動操舵トルクは、システム操舵要素を規定の第3の値の量だけ、例えば、8ニュートンメートル超える。ここでは、規定の第3の値は、規定の第1の値より大きく、かつ規定の第2の値より大きく、自動走行モードは、終了される。
【0044】
第4のシナリオでは、環境センサシステム7の検出信号に基づいて、車両1の側面衝突のリスクがあることが決定され、手動操舵トルク検出ユニット4の検出信号に基づいて、検出された側面衝突のリスクの方向に手動操舵トルクが作用していることが検出される。ここでは、手動操舵トルクは、システム操舵要素を規定の第4の値の量だけ超える。
【0045】
定義されたオーバーライド閾値を表すこの規定の第4の値は、第4のシナリオによれば、規定の第1の値よりも大きく、規定の第4の値は、衝突のリスクがある車両長手方向側面に関する値の方が、衝突のリスクがない車両長手方向側面に関する値よりも大きい。
【0046】
例えば、衝突のリスクがある車両長手方向側面に対して決定されている規定の第4の値は、規定の第3の値、例えば、8ニュートンメートルに相当する。
【0047】
第4のシナリオの可能な一実施形態では、衝突のリスクがない車両長手方向側面についての規定の第4の値は、少なくとも規定の第2の値、例えば、6ニュートンメートルに相当する。
【0048】
車両1の側面衝突のリスクは、特に、図2に示すように、車両の長手方向側面ごとに安全領域Sを特定することによって検出される。
【0049】
その際、それぞれの安全領域Sの長さは、車両の長さよりも長くなるように選択され、衝突リスクを検出するために環境センサシステム7の検出信号に基づいて、安全領域S内に、物体O、特に更に別の車両が存在するかどうか、又は規定の時間以内、例えば、2秒以内に物体Oが横方向の安全領域Sのうちの1つに移動して入ってくるかどうか、すなわち特に突っ込んでくるかどうかが決定される。
【0050】
第4のシナリオに従って、車両1の側面衝突の既存のリスクが決定され、手動操舵トルクが上記のように作用する場合には、車両1の自動走行モードは、無効化され、したがって終了され、その結果、車両ユーザは、運転タスクを実行する。
【0051】
説明した4つのシナリオすべてについて、車両1の自動走行モードを無効化するために、手動操舵トルクが規定の期間の間、それぞれの規定の値だけシステム操舵要素を超えることが必要である。この期間は、それぞれのシナリオに対して個別に規定することができる。
【0052】
期間を規定する代わりに、手動操舵トルクによって加えられる力が、それぞれのシナリオに対して規定された力の閾値を超えなければならないことを規定してもよい。例えば、第1のシナリオ、第3のシナリオ、及び第4のシナリオの力の閾値は、第2のシナリオの閾値よりも高くなるように選択することができる。これは、短時間のステアリング介入は通常、意図的ではないステアリング介入であるため、車両ユーザの短時間の手動ステアリング介入は無視することができることを意味する。
【0053】
上記のシナリオに加えて、車両1の自動走行モード中に、以下に規定された更なるシナリオのうちの1つが存在するかどうかが継続的に点検される。これらの規定の更なるシナリオのうちの1つが存在すると決定された場合、車両1の自動走行モードは、同様に終了される。
【0054】
第1の更なるシナリオでは、静電容量式検出ユニット5の検出信号に基づいて、車両ユーザの少なくとも片手がステアリングホイールに接触していることが決定され、加えて、アクセルペダル8の操作が検出される。車両ユーザがアクセルペダル8に不注意で触れただけの場合に自動走行モードが無効化されることを可能な限り排除できるようにするために、アクセルペダル8は、規定の最小持続時間の間作動されなければならないように規定されている。
【0055】
第2の更なるシナリオでは、静電容量式検出ユニット5の検出信号に基づいて、車両ユーザの少なくとも片手がステアリングホイールに接触していることが決定され、加えて、ブレーキペダル9の操作が検出される。車両ユーザがブレーキペダル9に不注意で触れただけの場合に自動走行モードが無効になることを可能な限り排除できるようにするために、ここでも、ブレーキペダル9は、規定の最小継続時間の間作動されなければならないように特定されている。
【0056】
自動走行モードを無効化するために、ブレーキペダル9を規定の最小継続時間の間作動されなければならない事実は、車両1に衝突のリスクが事前に決定されていない場合にのみ、前提条件となる。
【0057】
衝突リスクがある緊急事態は、例えば、車両1がブレーキをかけられていないときに衝突するまでの時間が、規定の時間閾値、特に規定の時間値未満である場合に存在する。
【0058】
車両1の自動走行モードを無効化するための第3の更なるシナリオは、この目的のために、自動走行モードを無効化するための操作要素10が、規定の最小期間の間、車両ユーザによって作動されることを規定する。ただし、この状況は、衝突回避のために車両1の緊急ブレーキが実行される緊急事態がない場合にのみ適用される。
【0059】
第4の更なるシナリオによれば、自動走行モードは、車両ユーザの少なくとも片手がステアリングホイールに接触していることが検出され、車両ユーザが車両1の前方の交通事象を観察していると決定されたときに終了される。
【0060】
自動走行モード中に、車両ユーザの両手のいずれもステアリングホイール上になく、アクセルペダル8が作動されていると決定された場合、この作動は、加速要求として解釈されない。言い換えれば、アクセルペダルの作動によって生成された加速命令は、実行されない。
【0061】
一方で、ブレーキペダルの作動は、常に、ステアリングホイール上で手が検出されない状況であっても、ブレーキ要求と解釈することができる。
図1
図2