(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】電極アセンブリ、電池セル、電池及び電力消費装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0583 20100101AFI20240126BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
H01M10/0583
H01M4/66 A
(21)【出願番号】P 2022544632
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 CN2020139149
(87)【国際公開番号】W WO2022062221
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-07-21
(31)【優先権主張番号】202022087154.2
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】金海族
(72)【発明者】
【氏名】王小娜
(72)【発明者】
【氏名】劉暁梅
(72)【発明者】
【氏名】劉江
(72)【発明者】
【氏名】陳文偉
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-118175(JP,A)
【文献】国際公開第2020/139802(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0583
H01M 4/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池用電極アセンブリであって、
絶縁基体、前記絶縁基体の表面に設
けられた導電層及び前記導電層の表面に塗布された活物質層を含む第1の電極シートと、
前記第1の電極シートと逆極性である第2の電極シートと、を備え、
前記第1の電極シートは、多層構造に折曲げられ、複数の折曲部と積層するように設
けられた複数の第1の積層部とを含み、各前記折曲部は、2つの隣接する前記第1の積層部を接続しており、且つ前記折曲部は、製造時に前記折曲部の折曲げを案内する案内部を有し、
前記第2の電極シートは、複数の第2の積層部を含み、前記第1の積層部の積層方向において前記複数の第2の積層部と前記複数の第1の積層部とが交互に設
けられて
おり、
前記案内部が1つの凹溝及び1つの貫通孔を含む場合、前記凹溝及び前記貫通孔は、間隔を置いて設けられており、
前記案内部が複数の凹溝及び/又は複数の貫通孔を含む場合、前記複数の凹溝及び/又は前記複数の貫通孔は、間隔を置いて設けられている、電極アセンブリ。
【請求項2】
前記案内部は、前記折曲部の折曲げ方向と垂直である第1の方向に沿って設
けられている、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項3】
各前記第1の積層部は、対向する2つの第1の外縁を有し、製造時に前記折曲部の折曲げが案内された後、前記折曲部に接続された2つの隣接する前記第1の積層部の前記第1の外縁は一致している、請求項1又は2に記載の電極アセンブリ。
【請求項4】
前記案内部が1つの凹溝のみを含む場合、前記凹溝は、前記折曲部の折曲げ方向と垂直である第1の方向に沿って、連続的に設
けられ、且つ前記折曲部
の対向する2つの外縁まで、前記折曲部全体にわたるように延在している、請求項
1に記載の電極アセンブリ。
【請求項5】
前記凹溝は、前記折曲部
における前記第2の積層部に近接する
側の表面に設
けられている、請求項
1に記載の電極アセンブリ。
【請求項6】
前記凹溝は、前記導電層を貫通し、前記絶縁基体を露出させる、請求項
1に記載の電極アセンブリ。
【請求項7】
前記案内部が貫通孔を含む場合、前記貫通孔は前記折曲部を貫通している、請求項
1に記載の電極アセンブリ。
【請求項8】
各前記折曲部に、前記絶縁基体のみが設
けられている、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の電極アセンブリを含む、電池セル。
【請求項10】
請求項
9に記載の電池セルを含む、電池。
【請求項11】
電気エネルギーを供給する請求項
10に記載の電池を含む、電力消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年9月22日に提出された名称が「電極アセンブリ、電池セル、電池及び電力消費装置」である中国特許出願202022087154.2の優先権を主張する。当該中国特許出願の全ての内容は本明細書に参照として援用される。
【0002】
本願は、電池分野に関し、特に電極アセンブリ、電池セル、電池及び電力消費装置に関する。
【背景技術】
【0003】
社会と科学技術の発展に伴って、電池は、電気自動車等の高電力の装置に動力を供給することに広く使用されている。電池は、大きい容量又は電力を実現するために、複数の電池セルを直列接続又は並列接続で接続している。
【0004】
電池セルは、正極シートと負極シートとを含み、正極シートと負極シートは積層することにより電極アセンブリを形成する。しかしながら、積層過程において、正極シートと負極シートは所定位置からずれやすくなり、電池セルの電気化学的性能に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
本願は、電極シートの位置ずれを減少し、リチウム析出のリスクを低減することができる電極アセンブリ、電池セル、電池及び電力消費装置を提供する。
【0006】
第1の態様では、本願の実施例によれば、電池用電極アセンブリであって、絶縁基体、前記絶縁基体の表面に設置された導電層及び前記導電層の表面に塗布された活物質層を含む第1の電極シートと、前記第1の電極シートと逆極性である第2の電極シートと、を備え、前記第1の電極シートは、多層構造に折曲げられ、複数の折曲部と積層するように設置された複数の第1の積層部とを含み、各前記折曲部は、2つの隣接する前記第1の積層部を接続しており、且つ前記折曲部は、製造時に前記折曲部の折曲げを案内する案内部を有し、前記第2の電極シートは、複数の第2の積層部を含み、前記第1の積層部の積層方向において前記複数の第2の積層部と前記複数の第1の積層部とが交互に設置されている、電極アセンブリを提供する。
【0007】
本願の実施例の一態様によれば、前記案内部は、前記折曲部の折曲げ方向と垂直である第1の方向に沿って設置されている。
【0008】
本願の実施例の一態様によれば、各前記第1の積層部は、対向する2つの第1の外縁を有し、製造時に前記折曲部の折曲げが案内された後、前記折曲部に接続された2つの隣接する前記第1の積層部の前記第1の外縁は一致している。
【0009】
本願の実施例の一態様によれば、前記案内部は、少なくとも1つの凹溝及び/又は少なくとも1つの貫通孔を含む。
【0010】
本願の実施例の一態様によれば、前記案内部が1つの凹溝のみを含む場合、前記凹溝は、前記折曲部の折曲げ方向と垂直である第1の方向に沿って、連続的に設置され、且つ前記折曲部を貫通している。
【0011】
本願の実施例の一態様によれば、前記案内部が複数の凹溝及び/又は複数の貫通孔を含む場合、前記複数の凹溝及び/又は前記複数の貫通孔は、間隔を置いて設置されている。
【0012】
本願の実施例の一態様によれば、前記凹溝は、前記折曲部の前記第2の積層部に近接する表面に設置されている。
【0013】
本願の実施例の一態様によれば、前記凹溝は前記導電層を貫通し、前記絶縁基体を露出させる。
【0014】
本願の実施例の一態様によれば、前記案内部が貫通孔を含む場合、前記貫通孔は前記折曲部を貫通している。
【0015】
本願の実施例の一態様によれば、各前記折曲部に、前記絶縁基体のみが設置されている。
【0016】
第2の態様では、本願の実施例によれば、第1の態様に記載された電極アセンブリを含む電池セルを提供する。
【0017】
第3の態様では、本願の実施例によれば、第2の態様に記載された電池セルを含む電池を提供する。
【0018】
第4の態様では、本願の実施例によれば、電気エネルギーを供給する第3の態様に記載された電池を含む電力消費装置を提供する。
【0019】
本願の実施例に係る電極アセンブリにおいて、第1の電極シートは、折曲部に案内部が設置されるため、電極アセンブリの製造過程において、第1の電極シートに対して折曲操作を行う時、第1の電極シートは案内部の案内作用により、折曲部の案内部の領域で折曲げやすくなり、案内部を設置することによって折曲部の折曲げ位置の制御可能性と正確性を向上させることができ、さらに、2つの隣接する第1の積層部の第1の外縁の一致性を向上させ、第1の電極シートが折曲げられた後に折曲げ位置にランダム性が存在することにより、第1の積層部と第2の積層部に、負極とする一方が正極とする他方を完全に覆うことができない可能性があることを低減させ、加工して製造された電極アセンブリにリチウム析出の現象が発生する可能性を低減することができる。また、第1の電極シートは、従来の金属集電体の代わりに絶縁基体と導電層とからなる複合構造を利用するので、第1の電極シートの折曲げ難易度をさらに下げ、折曲部の折曲げ位置の制御可能性と正確性を向上させ、さらに2つの隣接する第1の積層部の第1の外縁の一致性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下は、図面を参照して本願の例示的な実施例の特徴、利点及び技術的効果を説明する。
【0021】
【
図1】本願の一実施例により開示された車両の構造模式図である。
【0022】
【
図2】本願の一実施例により開示された電池の分解構造模式図である。
【0023】
【
図3】本願の一実施例により開示された電池モジュールの局所構造模式図である。
【0024】
【
図4】本願の一実施例により開示された電池セルの分解構造模式図である。
【0025】
【
図5】本願の一実施例により開示された電極アセンブリの断面図である。
【0026】
【
図6】
図5に示した実施例に係る第1の電極シートの折曲げ前の局所上面構造模式図である。
【0027】
【
図7】
図6に示した実施例に係る第1の電極シートの側面構造模式図である。
【0028】
【
図8】
図6に示した実施例に係る第1の電極シートの折曲げ状態における構造模式図である。
【0029】
【
図9】
図5に示した実施例に係る第1の電極シート、第2の電極シート及びセパレータの折曲げ前の模式図である。
【0030】
【
図10】
図5に示した実施例に係る電極アセンブリの第1の構造の上面模式図である。
【0031】
【
図11】
図5に示した実施例に係る電極アセンブリの第2の構造の上面模式図である。
【0032】
【0033】
【
図18】
図17の第1の電極シートの折曲げ状態での構造模式図である。
【0034】
【
図19】本願の別の実施例に係る電極アセンブリの断面図である。
【0035】
【
図20】
図19の第1の電極シートの折曲げ状態での構造模式図である。
【0036】
【
図21】本願のさらなる別の実施例に係る電極アセンブリの断面図である。
【0037】
【
図22】
図21の第1の電極シートの折曲げ状態での構造模式図である。
【0038】
図面において、図面は、実際の縮尺で描かれていない。
【符号の説明】
【0039】
10 電極アセンブリ
20 ケース
30 トップカバープレート
40 電極端子
50 アダプターシート
【0040】
11 第1の電極シート
11a 絶縁基体
11b 導電層
11c 活物質層
111 折曲部
112 第1の積層部
113 案内部
113a 凹溝
113b 貫通孔
114 薄弱領域
115 接続領域
116 第1の外縁
117 第2の外縁
118 第1のタブ
【0041】
12 第2の電極シート
12a 絶縁基体
12b 導電層
12c 活物質層
121 第2の積層部
122 第3の外縁
123 第2のタブ
【0042】
13 セパレータ
【0043】
100 200 300 400 500 600 700 800 電極アセンブリ
【0044】
1000 車両
2000 電池
2010 電池モジュール
2011 電池セル
2012 バスバー
2020 筐体
2021 第1の部分
2022 第2の部分
3000 コントローラ
4000 モータ
【0045】
W 延在方向
H 厚さ方向
X 第1の方向
Y 第2の方向
Z 折曲げ方向
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、図面と実施例を参照して、本願の実施形態をさらに詳しく説明する。以下の実施例の詳しい説明と図面は、例示的に本願の原理を説明するが、本願の範囲を限定することができず、即ち本願は、説明される実施例に限定されるものではない。
【0047】
本願の説明において、説明すべきこととして、別段に説明がない限り、「複数」は2つの以上を意味する。「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語により指示される方向又は位置関係は、本願を説明しやすく、説明を簡潔化するためのものであり、示される装置又は組立体が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成し又は操作しなければならないことを指示し又は暗示するものではない。従って、本願を制限するものとして理解されるべきではない。また、「第1の」、「第2の」及び「第3の」などの用語は、説明の目的のみに使用され、相対的な重要性を指示し又は暗示するものとして理解されるべきではない。「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、許容誤差の範囲内である。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、許容誤差の範囲内である。
【0048】
本願に言及された「実施例」は、実施例を参照して説明された特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。本明細書の様々な箇所で当該文章が現れることは、必ずしもいずれも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と排他的な、独立した又は代替的な実施例でもない。当業者は、本願に説明された実施例が他の実施例に結合されることを明示的又は暗黙的に理解している。
【0049】
本願の説明において、さらに説明すべきこととしては、明確な規定や限定がない限り、「取付」、「連結」、「接続」という用語は、広く理解されるべきであり、例えば、固定するように接続されてもよく、着脱可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよく、直接接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者であれば、具体的な状況によって本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0050】
本願の実施例に記載された電池セルと電池は、いずれも電池を使用する様々な装置、例えば、携帯電話、ポータブルデバイス、ノートパソコン、エンジン駆動車、電気自動車、船舶、航空機、電動玩具及び電動ツール等に適用され、、例えば、航空機は、飛行機、ロケット、スペースシャトル及び宇宙船等を含み、電動玩具は、例えばゲーム機、電気自動車玩具、電動船舶玩具及び電動飛行機玩具などの固定式又は移動式の電動玩具を含む。電動ツールは、金属切削電動ツール、研磨電動ツール、組立電動ツール及び鉄道用電動ツールを含み、例えば、電動ドリル、電動グラインダー、電動レンチ、電動ドライバ、電動ハンマ、衝撃電動ドリル、コンクリート振動器及び電気カンナ等がある。
【0051】
本願の実施例に記載された電池セルと電池は、上述した電力消費装置に適用されるだけでなく、電池を使用する全ての装置に適用されるが、説明を簡潔にするために、以下の実施例はいずれも電気自動車を例として説明する。
【0052】
例えば、
図1に示すように、本願の一実施例に係る車両1000の構造模式図であり、前記車両1000は、エンジン駆動車、天然ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は、純電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー式自動車であってもよい。前記車両1000の内部には電池2000、コントローラ3000及びモータ4000を設置することができ、コントローラ3000は、電池2000がモータ4000に電力を供給するように制御する。例えば、前記車両1000の底部、前部又は尾部に電池2000を設置することができる。電池2000は、車両1000の電力供給に用いられ、例えば、電池2000は、車両1000の操作電源として、車両1000の回路システムに用いることができ、例えば、車両1000の起動、ナビゲーション及び走行時の動作電力消費需要に用いることができる。本願の別の実施例において、電池2000は、車両1000の操作電源とするだけでなく、自動車4000の駆動電源としてもよく、燃料又は天然ガスを代替し又は部分的に代替して車両1000に駆動力を供給することができる。
【0053】
様々な電力使用需要を満たすために、電池は、複数の電池セルを含むことができ、ここで、複数の電池セルの間は、直列接続又は並列接続又は直並列接続してもよく、直並列接続とは直列接続と並列接続との混合を意味する。好ましくは、複数の電池セルは、先に直列接続又は並列接続又は直並列接続して電池モジュールを構成し、複数の電池モジュールをさらに直列接続又は並列接続又は直並列接続して、電池を構成することができる。つまり、複数の電池セルは電池を直接的に構成してもよく、先に電池モジュールを構成し、電池モジュールから電池をさらに構成してもよい。
【0054】
本願の別の実施例において、
図2に示すように、本願の一実施例に係る電池2000の分解構造模式図であり、電池2000は、1つ以上の電池モジュール2010を含み、例えば、電池2000は複数の電池モジュール2010を含み、複数の電池モジュール2010は直列接続又は並列接続又は直並列接続してもよく、前記直並列接続とは直列接続と並列接続との混合を意味する。電池2000は筐体2020(又はカバー)をさらに含むことができ、筐体2020の内部は中空構造であり、複数の電池モジュール2010は筐体2020内に収容されている。
図2に示すように、筐体2020は、第1の部分2021と第2の部分2022との二部分を含み、第1の部分2021と第2の部分2022は互いに係合している。第1の部分2021と第2の部分2022の形状は、複数の電池モジュール2010の組み合わせ形状に応じて決定することができ、第1の部分2021と第2の部分2022は、いずれも1つの開口を有することができる。例えば、第1の部分2021と第2の部分2022は、いずれも中空の四角形であってもよく、且つそれぞれ1つの面のみが開口面であってもよく、第1の部分2021の開口と第2の部分2022の開口とは対向して設置され、第1の部分2021と第2の部分2022とは互いに係合して封止室を有する筐体2020を形成する。複数の電池モジュール2010は、互いに並列接続又は直列接続又は直並列接続して組み合わせられた後、第1の部分2021と第2の部分2022とを係合して形成する筐体2020内に配置される。
【0055】
好ましくは、電池2000は、他の構造をさらに含むことができるが、ここで説明を詳細に行わない。例えば、当該電池2000はバスバーをさらに含むことができ、バスバーは複数の電池セルの間の電気的な接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現する。具体的には、バスバーは、電池セルの電極端子を接続することによって電池セルの間の電気的な接続を実現することができる。さらに、バスバーは溶接によって電池セルの電極端子に固定することができる。複数の電池セルの電気エネルギーは、さらに、導電機構によって筐体2020を貫通して引き出すことができる。好ましくは、導電機構もバスバーに属することができる。
【0056】
異なる電力需要によれば、電池モジュール2010は、1つ以上の電池セルを含むことができ、
図3に示すように、電池モジュール2010は複数の電池セル2011を含み、複数の電池セル2011は、大きい容量又は電力を実現するために、直列接続、並列接続又は直並列接続で接続することができる。好ましくは、電池モジュール2010はバスバー2012をさらに含むことができ、バスバー2012は、複数の電池セル2011の間の電気的な接続、例えば、並列接続又は直列接続又は直並列接続を実現する。例えば、電池セルは、リチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池を含むが、これらに限定されない。電池セルは、円柱体、扁平体、四角形又は他の形状等を呈することができる。例えば、
図3に示すように、電池セルは四角形構造である。
【0057】
図4は、本願の実施例により開示された電池セルの分解構造模式図である。
図4を参照して、本願の実施例に係る電池セル2011はケース20と、ケース20内に設置された電極アセンブリ10と、ケース20に接続されたカバープレート30と、カバープレート30に設置されて電極アセンブリ10に電気的に接続された電極端子40と、を含む。
【0058】
本願の実施例に係るケース20は、四角形構造又は他の形状である。ケース20は、電極アセンブリ10と電解液とを収容する内部空間と、内部空間に連通する開口とを有する。ケース20は例えば、アルミニウム、アルミニウム合金又はプラスチック等の材料で製造することができる。
【0059】
本願の実施例に係るカバープレート30は、対向する外面及び内面と、外面及び内面を貫通する電極引出孔とを有する。カバープレート30はケース20の開口を覆ってケース20と密封的に接続することができる。カバープレート30の内面は電極アセンブリ10に向かっている。電極端子40はカバープレート30に設置されて電極引出孔に対向して設置されている。電極端子40の一部はカバープレート30の外面を露出させ、バスバーに溶接されている。好ましくは、電池セル2011は、電極アセンブリ10と電極端子40とを接続するためのアダプターシート50をさらに含む。
【0060】
出願人は、従来の電池セルに電気化学的性能が劣る問題があることを検討した後、成形された電極アセンブリにおける正極シートと負極シートとの少なくとも一方が所定位置からずれているため、電池セルの電気化学的性能に影響を与えることを発見した。出願人はさらに、成形された電極アセンブリにおける正極シートと負極シートとの少なくとも一方が所定位置からずれて、電極アセンブリにリチウム析出の現象が存在し、それによって電池セルの電気化学的性能に影響を与えることを発見した。このことから、負極シートは正極シートの外縁を超えている部分のサイズが小さすぎ、又は負極シートが正極シートの外縁を超えていないことが原因であると推測される。
【0061】
電極アセンブリの組立過程を分析することにより、出願人はリチウム析出の現象についてさらに研究した結果、負極シートが連続的に設置され、正極シートが断続的に設置されることを例とし、負極シートは折曲げ過程中に所定領域に沿って折曲げられることが困難であるため、正極シートと負極シートが電極アセンブリを積層するように形成した後、負極シートは正極シートの外縁を超えた部分のサイズが小さすぎる場合があり、電極アセンブリにリチウム析出の現象が発生しやすく、電池セルの電気化学的性能と安全性能に影響を与えることを発見した。
【0062】
出願人が発見した上記問題に基づいて、出願人は電極アセンブリの構造を改良し、以下は本願の実施例に対してさらに説明する。
【0063】
いくつかの好ましい実施例において、
図5は例示的に開示された電極アセンブリの断面図である。
図5を参照し、電極アセンブリ10は、第1の電極シート11と第2の電極シート12とを含み、第2の電極シート12と第1の電極シート11とは逆極性である。電極アセンブリ10は2つのセパレータ13をさらに含み、第1の電極シート11は2つのセパレータ13の間に設置されている。両者が直接導通することにより短絡を引き起こすことを回避するために、セパレータ13は、第1の電極シート11と第2の電極シート12とを分離することができる。好ましくは、第1の電極シート11は負極シートであり、第2の電極シート12は正極シートであり、代わりに、第1の電極シート11は正極シートであってもよく、第2の電極シート12は負極シートであってもよい。
【0064】
第1の電極シート11は、絶縁基体11aと、絶縁基体11aの表面に設置された導電層11bと、導電層11bの表面に塗布された活物質層11cとを含む。絶縁基体11aは、PP、PE、PET又はPI等の電解液腐食に耐える高分子ポリマー材料を用いることができる。導電層11bは金属基材を用いることができ、活物質層11cは活性材料を含む。好ましくは、第1の電極シート11は負極シートであり、負極シートの導電層11bは銅基材を用い、負極シートの活物質層11cは石墨又はシリコンを含む。いくつかの実施例において、絶縁基体11aの2つの表面にはいずれも導電層11bが設けられている。
【0065】
好ましくは、第2の電極シート12は、絶縁基体12a、絶縁基体12aの表面に設置された導電層12b及び導電層12bの表面に塗布された活物質層12cを含む。絶縁基体12aは、PP、PE、PET又はPI等の電解液腐食に耐える高分子ポリマー材料を用いることができる。導電層12bは金属基材を用いることができ、活物質層12cは活性材料を含む。好ましくは、第2の電極シート12は正極シートであり、正極シートの導電層12bはアルミニウム基材を用い、正極シートの活物質層12cはマンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム又は三元材料を含む。いくつかの実施例において、絶縁基体12aの2つの表面にはいずれも導電層12bが設けられている。
【0066】
いくつかの実施例において、第2の電極シート12は、金属集電体と金属集電体の表面に塗布された活物質層とを含み、前記金属集電体は、絶縁基体12aと導電層12bの代わりに用いられる。
【0067】
第1の電極シート11は、多層構造に折曲げられ、複数の折曲部111と積層するように設置された複数の第1の積層部112とを含み、各折曲部111は2つの隣接する第1の積層部112を接続している。第1の電極シート11の全体は、連続的な延在構造であり、「Z」形で循環的に折曲げられている。第1の電極シート11が多層構造に折曲げられた後、折曲部111は少なくとも一部が折曲げ状態にある。折曲部111は製造時に折曲部111の折曲げを案内する案内部113を有する。製造時に折曲部111の折曲げを案内するために、案内部113は少なくとも折曲部111の一部の領域の強度を減少することができる。
【0068】
好ましくは、折曲部111は、折曲部111に案内部113を設置することにより形成された薄弱領域114と、接続領域115とを、含み、接続領域115に比べて、薄弱領域114が折曲げやすい。例えば、案内部113は、薄弱領域114の厚さを減少し、薄弱領域114をさらに折曲げやすくなることができる凹溝113aを含む。
【0069】
いくつかの実施例において、接続領域115は2つであり、薄弱領域114は2つの接続領域115の間に接続され、各接続領域115は対応する1つの第1の積層部112に接続され、代替的な実施例において、薄弱領域114は2つであり、接続領域115は2つの薄弱領域114の間に接続され、各薄弱領域114は対応する1つの第1の積層部112に接続されている。
【0070】
第2の電極シート12は、複数の第2の積層部121を含み、第1の積層部112の積層方向において複数の第2の積層部121と複数の第1の積層部112が交互に設置されている。第1の積層部112の積層方向において、折曲部111と第2の積層部121とは互いに重複領域が存在しない。本実施例において、折曲部111は完全に折曲げ状態にあり、折曲部111の開始線は、第1の積層部112に対して折曲げが開始される領域である。第2の積層部121と平行な方向に沿って、第1の積層部112の縁部は第2の積層部121の縁部を超えている。折曲部111と第2の積層部121との間には隙間を有し、第2の積層部121の端部は折曲部111と接触しないため、第2の積層部121の端部と折曲部111との干渉による活性材料の粉落ちや脱落の可能性を低減することができる。
【0071】
好ましくは、第1の電極シート11が折曲げられた後、各折曲部111における凹溝113aは折曲部111の内側面に設置され、つまり、凹溝113aは折曲部111の内側面に対して凹んでいる。ここで、内側面とは、折曲部111の第2の積層部121に近接する表面を指す。対応的に、折曲部111の外側面とは、折曲部111の第2の積層部121から離れた表面を指す。さらに好ましくは、各折曲部111における凹溝113aは、いずれも絶縁基体11aの第2の積層部121に近接する側に位置している。本実施例において、凹溝113aは、折曲部111の中間領域に形成されている。
【0072】
図6は、第1の電極シート11が展開状態にある局所構造を例示的に示す。
図6に示すように、第1の電極シート11は、複数の折曲部111と複数の第1の積層部112とを含み、ここで、折曲部111は折曲げられた後に少なくとも一部が折曲げ状態にある。第1の電極シート11の全体は連続的な延在構造である。第1の電極シート11自身の延在方向Wに沿って、折曲部111と第1の積層部112とは交互に設置されている。各折曲部111は隣接する2つの第1の積層部112を接続する。第1の方向Xに沿って、各第1の積層部112は、対向する2つの第1の外縁116を有し、各折曲部111は、対向する2つの第2の外縁117を有する。第1の方向Xは、第1の電極シート11の幅方向と同じである。第1の方向Xは、延在方向Wと垂直である。本実施例において、第1の方向Xに沿って、同じ側に位置する第1の外縁116は第2の外縁117と面一になる。第1の電極シート11は、第1の方向Xに沿って延在して第1の積層部112の第1の外縁116を超える第1のタブ118をさらに有し、第1のタブ118は、絶縁基体11aと、絶縁基体11aの表面に設置された導電層11bとを含み、且つ導電層11bの少なくとも一部に、活物質層11cが塗布されていない。好ましくは、第1のタブ118の数と位置は、第1の積層部112の数と位置に一対一対応して設置される。本実施例において、案内部113の数は折曲部111の数と同じであってもよい。当然ながら、全ての折曲部111のうちの一部の数の折曲部111には案内部113が設置されるが、他の折曲部111には案内部113が設置されなくてもよいと理解できる。案内部113は製造時に折曲部111の折曲げを案内する。製造過程において、第1の電極シート11に外力を加えて折曲げ操作を行う時、折曲部111に案内部113が設置されるため、折曲部111は案内部113が位置する領域で折曲げを実現しやすくなり、折曲げ位置の制御可能性と正確性を向上させることに有利であり、さらに第1の電極シート11と第2の電極シート12がそれぞれ所定位置にあることを保証することで、電池セルが良好な電気化学的性能を有することを保証することができる。案内部13は、第1の方向Xに沿って設置されている。好ましくは、案内部13は第1の方向Xに沿って延在するように設置された凹溝113aを含む。
【0073】
図7は、
図6に示した実施例に係る第1の電極シート11の側面構造を例示的に示す。第1の電極シート11は絶縁基体11a、絶縁基体11aの表面に設置された導電層11b及び導電層11bの表面に塗布された活物質層11cを含む。絶縁基体11aは、第1の電極シート11の厚さ方向Hに沿って対向する2つの表面を有する。2つの導電層11bはそれぞれ2つの表面に設置され、各導電層11bにはいずれも活物質層11cが塗布されている。絶縁基体11aは、PP、PE、PET又はPI等の電解液腐食に耐える高分子ポリマー材料を用いることができる。一例において、第1の電極シート11が正極シートである場合、導電層12bはアルミニウム基材を用い、活物質層12cはマンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム又は三元材料を含む。第1の電極シート11が負極シートである場合、導電層11bは銅基材を用い、活物質層11cは石墨又はシリコンを含む。案内部113は、物事が残る痕跡であってもよい。好ましくは、それは、材料除去部品を介して、第1の電極シート11に一部の活物質層11cを除去した後に形成される構造、又は第1の電極シート11に一部の活物質層11cと一部の導電層11bを除去した後に形成される構造、又は第1の電極シート11に一部の活物質層11c、一部の導電層11b及び一部の絶縁基体11aを除去した後に形成される構造を指すことができる。
【0074】
本実施例において、各折曲部111には案内部113が設置されている。本実施例において、案内部113は凹溝113aを含む。凹溝113aは、第1の電極シート11の表面から第1の電極シート11の厚さ方向Hに沿って絶縁基体11aに近接する方向に向けて凹んで延在している。隣接する2つの折曲部111において、1つの折曲部111に設置された凹溝113aは絶縁基体11aの一側に位置し、もう1つの折曲部111に設置された凹溝113aは絶縁基体11aの他側に位置する。凹溝113aは、第1の電極シート11に一部の活物質層11cと一部の導電層11bとを除去することにより形成することができる。又は、絶縁基体11aに導電層11bを形成する時、対応する位置に導電層11bを省略する。本実施例において、凹溝113aは、導電層11bを貫通して絶縁基体11aを露出させ、好ましくは、厚さ方向Hにおいて、凹溝113aの深さは、活物質層11cと導電層11bとの厚さの合計に等しくてもよい。凹溝113aは、絶縁基体11aの表面に延在するが、絶縁基体11a内に延在しない。但し、凹溝113aの深さは、活物質層11cの厚さ以下であってもよく、それによって厚さ方向Hに沿って、凹溝113aが導電層11bを貫通せず、この場合、凹溝113aと絶縁基体11aとの間には導電層11bがさらに設けられていると理解できる。凹溝113aの深さが活物質層11cの厚さ以下である場合、凹溝113aは導電層11bを損傷することなく、隣接する第1の積層部112は折曲部111の導電層11bを介して電気的に接続することができる。
【0075】
一例において、第1の方向Xと垂直である平面における凹溝113aの投影は矩形である。但し、凹溝113aの投影は矩形に限定されず、U形又はV形等であってもよい。好ましくは、凹溝113aの開口部は、凹溝113aの底部以上であり、一方では、折曲部111の折曲げ位置を保証することに有利であり、同時に当該凹溝113aは成形しやすく、他方では、折曲過程において、凹溝113aの開口部近傍の電極活性材料が受ける押出応力が小さく、又は押出応力を受けることがなく、それにより、第1の積層部112が受けた折曲げ抵抗を小さくさせ、所定位置により容易、正確に折曲げられる。
【0076】
図5~
図7を参照して、第1の方向Xに沿って、折曲部111全体を貫通するために、凹溝113aは、連続的に設置し、折曲部111と対向する2つの第2の外縁117に延在し、凹溝113aが折曲部111の全体を貫通しない場合に比べて、折曲げ過程において、凹溝113aの近傍の電極活性材料が受ける押出応力が小さく又は押出応力を受けなく、第1の積層部112が受けた折曲げ抵抗が小さくなり、それにより、折曲部111の折曲げ位置の正確性をよりよく保証することができ、さらに第1の積層部112がより容易、より正確に所定位置に折曲げられることを保証することができる。本実施例において、折曲部111は、一部の活物質層11cを有する。2層の活物質層11cのうちの1層は完全に除去されず、他層は完全に除去されてもよいし、完全に除去されなくてもよい。本実施例において、第1の電極シート11の延在方向Wに沿って、凹溝113aの開口サイズは、折曲部111のサイズよりも小さく、それによって折曲部111の案内部113を除く他の領域が活物質層11cで覆われるようになっている。一例において、薄弱領域114では、2層の活物質層11cはいずれも完全に除去される。
【0077】
第1の方向Xにおける案内部113のサイズは、当該第1の方向Xにおける折曲部111のサイズに応じて設置されている。第1の方向Xにおける案内部113のサイズは、案内部113の長さである。第1の方向Xにおける折曲部111のサイズは、折曲部111の長さである。そのため、他のいくつかの実施例において、凹溝113aは第1の方向Xに沿って、折曲部111を貫通しない。第1の方向Xにおける折曲部111のサイズに対する第1の方向Xにおける当該凹溝113aのサイズの比は、0.4~0.8であり、好ましくは、0.4、0.5、0.6、0.7又は0.8である。
【0078】
図8は、
図6に示した実施例に係る第1の電極シート11の複数回往復するように折り畳む状態の構造を例示的に示す。電極アセンブリ10の加工製造過程において、第1の電極シート11を折曲げる必要がある。製造時、案内部113は、折曲部111の折曲げを案内することができ、つまり、折曲部111は、案内部113に沿って折曲げることができ、折曲げ位置を所定位置に位置させることができ、隣接する2つの第1の積層部112の第1の外縁116が一致することを保証するのに有利である。第1の電極シート11の折曲部111は
図8に示した折曲げ方向Zに沿って折曲げられる。折曲げ方向Zは、第1の方向Xと互いに垂直であり、即ち、折曲げ方向Zが位置する平面と第1の方向Xとは互いに垂直である。本実施例において、第1の電極シート11は、略Z形に往復するように折り曲げられていてもよい。
図8に示した破線は、実体構造を示すものではなく、折曲部111と第1の積層部112との両方の境界線を例示的に示すものである。隣接する2つの凹溝113aは第1の電極シート11の2つの対向する表面に位置し、凹溝113aは折曲部111が折曲げられた時に圧縮応力に耐える側に位置するため、第1の電極シート11の折り畳みが完了した後、折曲部111における凹溝113aの開口は隣接する2つの第1の積層部112の間に形成された空間に向け、即ち、凹溝113aは折曲部111の内側面に位置し、それによって、薄弱領域114の凹溝113aに近接する側は引張応力を担持せず、引張応力の作用により薄弱領域114が破断する可能性を低減することができる。第1の電極シート11の折り畳みが完了した後、隣接する2つの第1の積層部112が第2の方向Yに沿って間隔を置いて積層するように設置され、隣接する2つの第1の積層部112の間に形成された空間は第2の電極シート12の第2の積層部121を収容する。第2の方向Yは、第1の積層部112の積層方向と同一であり、第1の方向Xと互いに垂直である。本実施例において、折曲げ後の折曲部111は弧状を呈しており、例えば、円弧状であってもよい。
【0079】
図9に示す実施例では、第1の電極シート11に基づいて、第1の電極シート11の厚さ方向Hにおいて、第1の電極シート11の対向する両側にはそれぞれセパレータ13を設置する。2つのセパレータ13はペアで設置され、第1の電極シート11は2つのセパレータ13の間に設置されている。セパレータ13は、第1の積層部112と折曲部111とを覆っている。製造中、対応する材料輸送機器により、2つのセパレータ13はそれぞれ第1の電極シート11に貼り付けられている。セパレータ13の第1の電極シート11から離れた側に第2の電極シート12が設置されている。第1の電極シート11と第2の電極シート12とは逆極性であり、その一方が正極シートである場合、他方が負極シートである。第2の電極シート12は複数の第2の積層部121を含む。本実施例において、隣接する2つの第2の積層部121はそれぞれ第1の電極シート11の対向する両側に設置されている。厚さ方向Hに沿って、第1の積層部112と第2の積層部121とは、互いに位置が対応して設置されている。本実施例において、隣接する2つの折曲部111の間には1つの第2の積層部121が設置されている。但し、本願は、隣接する2つの折曲部111の間に1つの第2の積層部121を設置することを限定するものではなく、製品の要求に応じて適切な数の第2の積層部121を設置することもできる。一例において、第1の電極シート11にセパレータ13が設置された後、第2の積層部121をセパレータ13に付着する。例えば、第2の積層部121とセパレータ13とは、ホットプレス、電気泳動又は接着の方式で接続することができる。セパレータ13は、第1の電極シート11と第2の電極シート12との間に介在する絶縁体である。セパレータ13の材料はプラスチック等の絶縁材料であってもよく、第1の電極シート11と第2の電極シート12を絶縁的に分離する。
【0080】
第1の電極シート11、セパレータ13及び第2の電極シート12を
図9に示すように組み合わせた後、折曲部111を案内部113の案内で折曲げ、最後に
図5に示した折り畳み状態を形成する。
【0081】
図10は、第1の積層部112と第2の積層部121とが互いに積層された上面視構造を例示的に示す。本実施例において、第1の電極シート11は負極シートであり、第2の電極シート12は正極シートである。折曲部111における案内部113の案内作用により、第1の電極シート11が往復するように折り畳まれた後、第1の積層部112の周方向の縁部はいずれも第2の積層部121を超え、それによって、第2の積層部121全体が第1の積層部112に覆われることを保証し、第2の積層部121が第1の積層部112を超えたことによるリチウム析出現象の可能性を効果的に低減することができる。ここで、第2の積層部121全体が第1の積層部112で覆われるとは、第2の方向Yにおける第2の積層部121の正投影が第2の方向Yにおける第1の積層部112の正投影内に完全に位置していることを意味し、この時、第2の積層部121の投影面積は第1の積層部112の投影面積よりも小さい。一例において、第1の積層部112の第1の外縁116と対応する第2の積層部121の第3の外縁122との間のピッチは、0.2ミリメートル以上且つ5ミリメートル以下であり、好ましくは、0.5ミリメートル、1ミリメートル、1.5ミリメートル、2ミリメートル、2.5ミリメートル、3ミリメートル、3.5ミリメートル、4ミリメートル又は4.5ミリメートルである。折曲部111に案内部113が設置されるため、第1の電極シート11は案内部113の案内により折曲げられ、折曲部111に接続された2つの隣接する第1の積層部112のそれぞれの第1の外縁116を一致させ、即ち、2つの隣接する第1の積層部112の同じ側に位置する2つの第1の外縁116は夾角αを有する。ここで、2つの隣接する第1の積層部112のそれぞれの第1の外縁116を一致させることは、
図10に示した状態、即ち、第2の方向Yに沿って、2つの隣接する第1の積層部112の投影が互いに重なり合っている状態を含む。2つの隣接する第1の積層部112の同じ側に位置する2つの第1の外縁116の夾角αは0°であり、それにより、上面視状態において、2つの隣接する第1の積層部112のそれぞれの第1の外縁116は互いに一致するように位置合わせされる。2つの隣接する第1の積層部112のそれぞれの第1の外縁116を一致させることも
図11に示した状態を含む。
図11は、第1の積層部112と第2の積層部121とが互いに積層された後のもう1つの上面視構造を例示的に示す。2つの隣接する第1の積層部112は、上面視状態において同じ側に位置する2つの第1の外縁116が完全に位置合わせる状態ではない。2つの隣接する第1の積層部112の同じ側に位置する2つの第1の外縁116には夾角αが存在する。第1の積層部112が第2の積層部121を覆うことを保証するために、夾角αは0°より大きく且つ30°以下である。好ましくは、夾角αの値は、5°、10°、15°、20°又は25°である。ここで、夾角αは、許容誤差角度である。折曲げられた第1の積層部112の第1の外縁116がずれて、別の第1の積層部112の第1の外縁116と重なり合っていないが、依然として第1の積層部112が第2の積層部121を覆うことが保証されている場合、隣接する2つの第1の積層部112の同じ側に位置する2つの第1の外縁116に存在する角度αは、許容誤差角度と呼ばれる。
【0082】
本願の実施例に係る第1の電極シート11では、折曲部111に案内部113が設置されるため、電極アセンブリ10の製造過程において、第1の電極シート11に対して折曲げ操作を行う時、第1の電極シート11は、案内部113の案内作用により、折曲部111の案内部113の領域で折曲げやすくなり、案内部113を設置することによって折曲部111の折曲げ位置の制御可能性と正確性を向上させることができ、さらに、2つの隣接する第1の積層部112の第1の外縁116の一致性を向上させ、第1の電極シート11が折曲げられた後に折曲げ位置にランダム性が存在することにより、第1の積層部112と第2の積層部121に、負極とする一方が正極とする他方を完全に覆うことができない可能性があることを低減させ、加工して製造された電極アセンブリ10にリチウム析出の現象が発生する可能性を低減することができる。また、活物質層11c自体は、一定の脆性を有している。折曲部111の折曲げ過程において、活物質層11cは外力作用を受け、それにより活物質層11cには導電層11bから脱落したり粉落ちたりする場合があり、電極アセンブリ10の電気化学的性能と安全性能に影響を与えている。本願の凹溝113aは、対応する活物質層11cを減少させることにより形成されることで、折曲部111の折曲げ過程において、設置された凹溝113aにより、対応する活物質層11cに担持される内部応力を減少させ、活物質層11cが脱落したり粉落ちたりする可能性を低減することに有利である。
【0083】
また、本願の実施例に係る第1の電極シート11は、従来の金属集電体の代わりに絶縁基体11aと導電層11bとからなる複合構造を利用するので、第1の電極シート11の折曲げ難易度をさらに下げ、折曲部111の折曲げ位置の制御可能性と正確性を向上させ、さらに2つの隣接する第1の積層部112の第1の外縁116の一致性を改善することができる。
【0084】
絶縁基体11aの厚さは、1ミクロン~20ミクロンであり、導電層11bの厚さは0.1ミクロン~10ミクロンである。電池セルの使用過程において、第1の電極シート11が異物により突き刺される時、導電層11bの厚さが小さいため、導電層11bが突き刺される位置で発生したバリも小さく、バリがセパレータ13を突き刺しにくくなり、このようにして短絡リスクを低減し、安全性能を向上させることができる。
【0085】
他のいくつかの実施例において、
図5に示した実施例と同様の構造はここで説明を省略し、ここでは主に
図5に示した実施例と異なる点について説明する。
【0086】
図12は、本願の別の実施例に係る電極アセンブリ100の断面図を例示的に示す。
図12に示した実施例の電極アセンブリ100において、
図5に示した実施例の電極アセンブリ10と同様の構造はここで説明を省略し、ここで主に
図5に示した実施例の電極アセンブリ10と異なる点について説明する。本実施例において、案内部113は、1つの凹溝113aを含む。凹溝113aは、折曲部111の内側面から絶縁基体11aに向かって凹んで延在している。凹溝113aの開口は、第2の積層部121に向かっている。凹溝113aは、第1の電極シート11の厚さ方向Hに沿って内側の活物質層11cと導電層11bとを貫通し、第1の電極シート11の延在方向Wにおいて、凹溝113aのサイズは折曲部111のサイズと等しい。絶縁基体11aの第2の積層部121に向かう表面を露出させるために、内側の活物質層11cと導電層11bとにおける折曲部111に対応する部分は全て除去される。外側の活物質層11cと導電層11bとにおける折曲部111に対応する部分は除去されずに全て残されている。折曲部111における内側の活物質層11cと導電層11bが全て除去されるため、折曲部111の剛性をさらに低減させ、折曲部111が案内部113で折曲げやすくなり、折曲部111が折曲げられた後に内側の活物質層11cが脱落したり粉落ちたりすることも効果的に回避される。他のいくつかの実施例において、外側の活物質層11cにも凹溝113aを形成するために、外側の活物質層11cと導電層11bとにおける折曲部111に対応する部分は一部除去されてもよい。
【0087】
図13は、本願の別の実施例に係る電極アセンブリ200の断面図を例示的に示す。
図13に示した実施例に係る電極アセンブリ200において、
図5に示した実施例の電極アセンブリ10と同様の構造はここで説明を省略し、ここでは主に
図5に示した実施例の電極アセンブリ10と異なる点について説明する。本実施例において、案内部113は1つの凹溝113aを含み、凹溝113aは折曲部111の外側面に設置されている。
【0088】
図14は、本願の別の実施例に係る電極アセンブリ300の断面図を例示的に示す。
図14に示した実施例の電極アセンブリ300において、
図5に示した実施例の電極アセンブリ10と同様の構造はここで説明を省略し、ここでは主に
図5に示した実施例の電極アセンブリ10と異なる点について説明する。本実施例において、各折曲部111には1つの案内部113が対応して設置される。1つの案内部113は2つの凹溝113aを含む。第1の電極シート11が展開状態にある時、2つの凹溝113aは、第1の電極シート11の厚さ方向Hに沿って、対応して設置される。折曲げられた第1の電極シート11において、2つの凹溝113aのうちの一方は折曲部111の外側面に設置されて、隣接する2つの第1の積層部112の間で形成された空間に背向し、他方は折曲部111の内側面に設置されて、隣接する2つの第1の積層部112の間で形成された空間に向かっている。本実施例において、各折曲部111については、厚さ方向Hにおいて、2つの凹溝113aを設置し、この場合、薄弱領域114の厚さがより小さくなり、それによって薄弱領域114の剛性をさらに低減させることに有利である。このようにして、2つの凹溝113aに対応する薄弱領域114の剛性が小さいため、折曲部111が凹溝113aが設置された薄弱領域114でより折曲げやすく、折曲げ位置の制御可能性と正確性をさらに向上させることに有利である。このようにして、凹溝113aが設置されていない折曲部111に対して、本実施例における両側の活物質層11cは、折曲げられる時に自身の内部応力が相対的に小さくなり、折曲げ難易度、及び引張又は押出応力により活物質層11cが導電層11bから脱落したり粉落ちたりする可能性をさらに低減させることに有利である。一例において、2つの凹溝113aの構造は同じである。
【0089】
図15は、本願の別の実施例に係る電極アセンブリ400の断面図を例示的に示す。
図15に示した実施例の電極アセンブリ400において、
図14に示した実施例の電極アセンブリ300と同様の構造はここで説明を省略し、ここで主に
図14に示した実施例の電極アセンブリ10と異なる点について説明する。本願の実施例において、絶縁基体11aのみが各折曲部111に設置されている。本実施例において、各折曲部111には1つの案内部113が対応して設置される。1つの案内部113は2つの凹溝113aを含む。折曲部111では、絶縁基体11aの第2の積層部121に向かう表面を露出させるために、絶縁基体11aの内側の活物質層11cと導電層11bとは全て除去され、絶縁基体11aの第2の積層部121から離れた表面を露出させるために、絶縁基体11aの外側の活物質層11cと導電層11bは全て除去される。折曲部111における活物質層11cと導電層11bが全て除去されるため、折曲部111の剛性をさらに低減させ、折曲部111が案内部113で折曲げやすくなり、折曲部111が折曲げられた後に内側の活物質層11cが脱落したり粉落ちたりすることも効果的に回避される。
【0090】
図16は、本願の別の実施例に係る電極アセンブリ500の断面図を例示的に示す。
図16に示した実施例の電極アセンブリ500において、
図15に示した実施例の電極アセンブリ400と同様の構造はここで説明を省略し、ここで主に
図14に示した実施例の電極アセンブリ10と異なる点について説明する。本実施例において、凹溝113aは活物質層11cと導電層11bを貫通した後、一部の絶縁基体11aにさらに延在する。本実施例において、凹溝113aの一部を絶縁基体11aに開設することが許可され、絶縁基体11aの一部が除去されて凹溝113aの一部を形成することにより、折曲部111の剛性をさらに低減させ、案内部113の案内で折曲部111をより容易に折曲げることに有利である。
【0091】
図17は、本願の別の実施例に係る電極アセンブリ600の断面図を例示的に示し、
図18は、
図17の第1の電極シートの折曲げ状態における構造を示す。
図17に示した実施例の電極アセンブリ600において、
図5に示した実施例の電極アセンブリ10と同様の構造はここで説明を省略し、ここで主に
図5に示した実施例の電極アセンブリ10と異なる点について説明する。
図17と
図18を参照して、本実施例において、案内部113は2つ以上の凹溝113aを含む。第1の方向Xに沿って、2つ以上の凹溝113aは間隔を置いて設置されている。本実施例において、第1の電極シート11が展開状態にある場合、第1の電極シート11の厚さ方向Hに沿って、薄弱領域114と凹溝113aは対応して設置される。薄弱領域114の数と位置は、凹溝113aの数と位置に一対一対応して設置されている。本実施例において、第1の方向Xと垂直である平面における凹溝113aの投影は、矩形であってもよい。但し、凹溝113aの投影は矩形に限定されず、台形又は三角形等であってもよい。各凹溝113aは、折曲部111の内側面から絶縁基体11aに向かって延在し、それによって凹溝113aの開口は第2の積層部121に対向している。第1の方向Xにおける折曲部111のサイズに対する第1の方向Xにおける各凹溝113aのサイズの合計の比は、0.4~0.8であり、好ましくは、0.4、0.5、0.6、0.7又は0.8である。他のいくつかの実施例において、各凹溝113aは、折曲部111の外側面から絶縁基体11aに向かって延在し、それによって凹溝113aの開口は第2の積層部121から離れている。他のいくつかの実施例において、折曲部111の内側面と外側面には、それぞれ複数の凹溝113aが設置されている。一例において、第1の電極シート11が展開状態にある場合、第1の電極シート11の厚さ方向Hに沿って、内側面の凹溝113aと外側面の凹溝113aとの位置は対応している。薄弱領域114の位置は、内側面の凹溝113aと外側面の凹溝113aとの位置に一対一対応して設置されている。内側面の凹溝113aと外側面の凹溝113aとは共に1つの薄弱領域114に対応して設置されている。
【0092】
図19は、本願の別の実施例に係る電極アセンブリ700の断面図を例示的に示し、
図20は、
図19の第1の電極シートの折曲げ状態における構造を示す。
図19に示した実施例の電極アセンブリ700において、
図5に示した実施例の電極アセンブリ10と同様の構造はここで説明を省略し、ここで主に
図5に示した実施例の電極アセンブリ10と異なる点について説明する。本実施例において、案内部113は2つ以上の貫通孔113bを含む。第1の方向Xに沿って、2つ以上の貫通孔113bは間隔を置いて設置されている。第1の電極シート11が展開状態にある場合、第1の電極シート11の厚さ方向Hに沿って、貫通孔113bは2層の活物質層11c、2層の導電層11b及び絶縁基体11aを貫通する。第1の電極シート11の展開状態において、第1の電極シート11の延在方向Wにおける貫通孔113bのサイズは、第1の電極シート11の延在方向Wにおける折曲部111のサイズよりも小さい。一例において、貫通孔113bの形状は、矩形、正方形、楕円形、台形又は三角形であってもよい。本実施例において、第1の方向Xにおける折曲部111のサイズに対する第1の方向Xにおける貫通孔113bのサイズの合計の比は、0.4~0.8であり、好ましくは、0.6又は0.7である。
【0093】
一実施例において、案内部113は1つの貫通孔113bを含む。第1の方向Xにおける折曲部111のサイズに対する第1の方向Xにおける当該貫通孔113bのサイズの比は、0.4~0.8であり、好ましくは、0.6又は0.7である。
【0094】
本実施例において、折曲げられた折曲部111における貫通孔113bは第2の積層部121の中間領域と対応して設置されている。但し、本願では、貫通孔113bの位置が限定されず、貫通孔113bの位置は、第2の積層部121の第2の方向Yに沿って中間領域からずれた他の領域に対応して設置されてもよい。
【0095】
図21は、本願の別の実施例に係る電極アセンブリ800の断面図を例示的に示し、
図22は、
図21の第1の電極シートの折曲げ状態における構造を示す。
図21に示した実施例の電極アセンブリ800において、
図19に示した実施例の電極アセンブリ700と同様の構造はここで説明を省略し、ここで主に
図19に示した実施例の電極アセンブリ700と異なる点について説明する。
【0096】
案内部113は、2つ以上の凹溝113aと2つ以上の貫通孔113bとを含む。第1の方向Xに沿って、隣接する2つの貫通孔113bの間には1つ又は2つ以上の凹溝113aが設置されてもよい。又は、隣接する2つの凹溝113aの間には1つ又は2つ以上の貫通孔113bが設置されてもよい。他のいくつかの実施例において、必要に応じて、案内部113は他の数の凹溝113aと他の数の貫通孔113bとを含んでもよい。一例において、案内部113は1つの凹溝113aと1つの貫通孔113bとを含んでもよい。
図22に示すように、隣接する2つの折曲部111において、1つの折曲部111では、各凹溝113aは、折曲部111の外側面から絶縁基体11aに向かって延在し、それによって凹溝113aの開口が第2の積層部121に背向し、もう1つの折曲部111では、各凹溝113aは、折曲部111の内側面から絶縁基体11aに向かって延在し、それによって凹溝113aの開口が第2の積層部121に向かっている。他の実施例において、各折曲部111における各凹溝113aは、折曲部111の外側面から絶縁基体11aに向かって延在し、それによって凹溝113aの開口は第2の積層部121に背向している。又は、各折曲部111における各凹溝113aは、折曲部111の外側面から絶縁基体11aに向かって延在し、それによって凹溝113aの開口は第2の積層部121に向かっている。
【0097】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱しない状況において、様々な改良を行うことができ、その中の部品を等価物で置き換えることができ、特に、構造的衝突がない限り、各実施例に記載されている各技術的特徴は、任意の方法で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲内に含まれる全ての技術的解決手段を含む。