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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】紙葉類搬送装置および紙葉類取扱装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/58 20060101AFI20240126BHJP
   B65H 5/36 20060101ALI20240126BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20240126BHJP
【FI】
B65H29/58 Z
B65H29/58 A
B65H5/36
G07D11/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022576319
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002182
(87)【国際公開番号】W WO2022157911
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島村 達也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 剛
(72)【発明者】
【氏名】江添 江
(72)【発明者】
【氏名】小高 哲也
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-021140(JP,A)
【文献】特開平09-208082(JP,A)
【文献】特開2012-111564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/58
B65H 5/36
G07D 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一ユニットと第二ユニットとの間に設けられ紙葉類を通過させる中間搬送部と、
前記第一ユニットに設けられた第一入口部および第一出口部と、
前記第一ユニットに設けられ前記第一入口部から前記紙葉類を受け入れる一方で前記第一出口部から前記紙葉類を送り出す第一搬送手段と、
前記中間搬送部に設けられた第二入口部および第二出口部と、
前記中間搬送部に設けられ前記第二入口部から前記紙葉類を受け入れる一方で前記第二出口部から前記紙葉類を送り出す第二搬送手段と、
を含み、
前記第一入口部と前記第二出口部とが対向して配置され前記第一入口部が前記第二出口部よりも開口が広く形成されており、かつ前記第二入口部と前記第一出口部とが対向して配置され前記第二入口部が前記第一出口部よりも開口が広く形成されており
前記中間搬送部は、前記第二入口部と前記第二出口部との間に揺動可能に設けられて前記第二入口部の開口の縁の一部と前記第二出口部の開口の縁の一部を構成するゲート部材を含み、
前記ゲート部材は、前記第二入口部の開口と前記第二出口部の開口とから離れた端部が揺動動作に伴って前記第二入口部を開放する位置と閉塞する位置とに移動され、前記第二入口部を開放する位置と閉塞する位置のどちらの位置であっても、前記第一入口部が前記第二出口部よりも開口が広く、前記第二入口部が前記第一出口部よりも開口が広い関係を維持する紙葉類搬送装置。
【請求項2】
前記ゲート部材は、前記第二入口部を閉塞する側に付勢される付勢手段を含む、請求項に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項3】
前記第一搬送手段は、一方向の回転で前記第一入口部から前記紙葉類を受け入れる一方で前記第一出口部から前記紙葉類を送り出す共通の搬送ローラを含む、請求項1または2に記載の紙葉類搬送装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の紙葉類搬送装置と、
前記第一ユニットと前記第二ユニットとの間に設けられた隔壁部と、
を含み、
前記紙葉類搬送装置の中間搬送部が前記隔壁部に設けられる、紙葉類取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉類搬送装置および紙葉類取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、現金自動預払機(ATM:automatic teller machine)の紙幣入出金機である紙葉類取扱装置は、セキュリティの強化を図るため、エンドユーザや設置店舗が使用する範囲と、紙幣を詰めたカセット部とが分かれる構造が増えている。具体的に、紙幣入出金機は、上部ユニットと下部ユニットとに分かれ、上部ユニットはエンドユーザが投入した紙幣の計数、一次保留、出金時の紙幣計数機能を備え、下部ユニットは紙幣を貯蔵しておくカセットで構成されている。そして、下部ユニットは、厚い金属板に囲まれた金庫内に設置され、限られた人のみがアクセスする高位のセキュリティとし、一方の上部ユニットは、低位のセキュリティとして区分している。このように、近年の紙幣入出金機では、上部下部で扱える人を区分することでセキュリティを高める構造が主流となりつつある。
【0003】
このような上部ユニットと下部ユニットに区分された構成において、上部ユニットと下部ユニットとの間で紙幣などの紙葉類を搬送する装置が、従来、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1の発明では、上部ユニットと下部ユニットとの間の隔壁部に通路を形成する通路部材が設けられている。通路部材は、隔壁部を挟んだ上側と下側とのそれぞれに突出しており、上端部および下端部が凸部と凹部とが交互に並んだ櫛歯状に形成されている。通路部材の上端部の櫛歯は、上部ユニットの接続路を形成する一対のガイドの櫛歯と噛み合う。通路部材の下端部の櫛歯は、下部ユニットの収納カセットの紙幣入口の溝と噛み合う。従って、特許文献1の発明は、隔壁部の通路が上部ユニットの接続路および下部ユニットの紙幣入口と一部が重なるように切れ目なく連続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-099677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、隔壁部に櫛歯状に形成した通路部材を設けることで、隔壁部を間にした上部ユニットと下部ユニットの間の紙幣の通過を円滑にでき、かつ隔壁部を間にした上部ユニットのスライド移動および下部ユニットのスライド移動を許容できる。しかし、従来の構成では、櫛歯を噛み合わせる分、搬送長さが必要であり、しかも隔壁部の厚みによって搬送部の大型化が懸念され、ひいては紙葉類取扱装置の大型化に繋がる。
【0006】
本開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、搬送部の小型化を図ることのできる紙葉類搬送装置および紙葉類取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する紙葉類搬送装置の一態様は、第一ユニットと第二ユニットとの間に設けられ紙葉類を通過させる中間搬送部と、前記第一ユニットに設けられた第一入口部および第一出口部と、前記第一ユニットに設けられ前記第一入口部から前記紙葉類を受け入れる一方で前記第一出口部から前記紙葉類を送り出す第一搬送手段と、前記中間搬送部に設けられた第二入口部および第二出口部と、前記中間搬送部に設けられ前記第二入口部から前記紙葉類を受け入れる一方で前記第二出口部から前記紙葉類を送り出す第二搬送手段と、を含み、前記第一入口部と前記第二出口部とが対向して配置され前記第一入口部が前記第二出口部よりも開口が広く形成されており、かつ前記第二入口部と前記第一出口部とが対向して配置され前記第二入口部が前記第一出口部よりも開口が広く形成されており前記中間搬送部は、前記第二入口部と前記第二出口部との間に揺動可能に設けられて前記第二入口部の開口の縁の一部と前記第二出口部の開口の縁の一部を構成するゲート部材を含み、前記第二入口部と前記第二出口部との間に揺動可能に設けられたゲート部材を含み、前記ゲート部材は、前記第二入口部の開口と前記第二出口部の開口とから離れた端部が揺動動作に伴って前記第二入口部を開放する位置と閉塞する位置とに移動され、前記第二入口部を開放する位置と閉塞する位置のどちらの位置であっても、前記第一入口部が前記第二出口部よりも開口が広く、前記第二入口部が前記第一出口部よりも開口が広い関係を維持する
【発明の効果】
【0008】
本願の開示する紙葉類搬送装置の一態様によれば、搬送部を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例の紙葉類取扱装置の構成図である。
図2図2は、実施例の紙葉類取扱装置において上部ユニットおよび下部ユニットが引き出された状態の構成図である。
図3図3は、実施例の紙葉類搬送装置の構成図である。
図4図4は、実施例の紙葉類搬送装置の動作図である。
図5図5は、実施例の係る紙葉類搬送装置の動作図である。
図6図6は、実施例の紙葉類搬送装置の他の構成図である。
図7図7は、従来例の紙葉類取扱装置の構成図である。
図8-1】図8-1は、従来例の紙葉類搬送装置の構成図である。
図8-2】図8-2は、従来例の紙葉類搬送装置の構成図である。
図8-3】図8-3は、従来例の紙葉類搬送装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する紙葉類搬送装置および紙葉類取扱装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する紙葉類搬送装置および紙葉類取扱装置が限定されるものではない。
【実施例
【0011】
(紙葉類取扱装置の構成)
図1は、実施例の紙葉類取扱装置の構成図である。図2は、実施例の紙葉類取扱装置において上部ユニットおよび下部ユニットが引き出された状態の構成図である。
【0012】
図1に示すように、紙葉類取扱装置1は、例えば、現金自動預払機(ATM:automatic teller machine)の紙幣入出金機が適用される。紙葉類取扱装置1は、上部ユニット(第一ユニット)11と、下部ユニット(第二ユニット)12と、中間搬送部13と、を含む。
【0013】
上部ユニット11は、受付部11Aと、鑑別部11Bと、一次保留部11Cと、搬送機構11Dと、第一搬送手段11Eと、を含む。
【0014】
受付部11Aは、紙幣などの紙葉類10の入出の少なくとも一方の受付けを行う。受付部11Aは、利用者の紙葉類10の入出操作に応じて紙葉類10の入出を処理する。受付部11Aは、入出する紙葉類10を収容可能に構成される。
【0015】
鑑別部11Bは、紙葉類10が通過可能に設けられ、紙葉類10の通過の際に紙葉類10の種類や真偽を鑑別する。鑑別部11Bは、紙葉類10の欠損や汚れの度合いを鑑別してもよい。
【0016】
一次保留部11Cは、紙葉類10の入出に際し、紙葉類10を一時的に収容する。
【0017】
搬送機構11Dは、図には明示しないが、紙葉類10を搬送するための搬送路と、搬送路において紙葉類10を送るローラなどの駆動部と、を含む。搬送機構11Dは、循環搬送部11Daを含む。循環搬送部11Daは、鑑別部11Bが介在されて紙葉類10を循環搬送する。循環搬送部11Daは、受付部11Aに繋がる入出搬送部11Dbが接続される。循環搬送部11Daは、受付部11Aから鑑別部11Bを経て一次保留部11Cに至る一次保留搬送部11Dcが接続される。このような搬送機構11Dは、受付部11Aに収容された紙葉類10や、一次保留部11Cに収容された紙葉類10を、循環搬送部11Daに送る一方、循環搬送部11Daから紙葉類10を受付部11Aや一次保留部11Cに送る。
【0018】
第一搬送手段11Eは、搬送機構11Dの循環搬送部11Daに設けられている。第一搬送手段11Eは、切替部11Eaと、搬送ローラ11Ebと、を含む。切替部11Eaは、図示しない駆動部によって駆動され、循環搬送部11Daの経路を切り替える。切替部11Eaは、紙葉類10を循環搬送部11Daに循環させる。また、切替部11Eaは、循環搬送部11Daに循環する紙葉類10を中間搬送部13に案内する。また、切替部11Eaは、中間搬送部13から搬送される紙葉類10を循環搬送部11Daに案内する。搬送ローラ11Ebは、図示しない駆動部によって駆動され、紙葉類10を搬送する。この第一搬送手段11Eは、実施例の紙葉類搬送装置2に含まれており、その詳細な構成は後述する。
【0019】
このように構成された上部ユニット11は、紙葉類取扱装置1の上部筐体14に収納される。また、上部ユニット11は、図2に示すように、上部筐体14の外部にスライド移動して引き出すことが可能に設けられる。
【0020】
下部ユニット12は、複数のカセット12Aを含む。実施例のカセット12Aは、4個設けられている。各カセット12Aは、紙葉類10を収納することができる。各カセット12Aは、図には明示しないが、その内部に紙葉類10を積層する載置台が昇降可能に設けられている。また、各カセット12Aは、その内部の上方に、紙葉類10を取り込むこと、および紙葉類10を排出することを行う搬送手段が設けられている。従って、各カセット12Aは、外部から取り込んだ紙葉類10を載置台に積層して収納できる。また、各カセット12Aは、載置台に積層して収納した紙葉類10を外部に排出できる。
【0021】
このように構成された下部ユニット12は、紙葉類取扱装置1の下部筐体15に収納される。また、下部ユニット12は、図2に示すように、下部筐体15の外部にスライド移動して引き出すことが可能に設けられる。下部筐体15は、厚い金属板からなる隔壁部15Aに囲まれた堅牢な金庫として構成されている。下部筐体15は、下部ユニット12を収納したり引き出したりできるように隔壁部15Aの一部を開閉する扉15Bが設けられている。
【0022】
中間搬送部13は、上部ユニット11と下部ユニット12との間に設けられている。中間搬送部13は、下部筐体15の隔壁部15Aを貫通する貫通孔15Cに挿通して配置されている。貫通孔15Cは、下部ユニット12の各カセット12Aの上方位置にてそれぞれ設けられている。従って、中間搬送部13は、各カセット12Aに対応して複数(実施例では4個)配置されている。
【0023】
中間搬送部13は、第二搬送手段13Aと、ゲート部材13Bとを含む。第二搬送手段13Aは、実施例では互いに接触する2個のローラ対で構成され、当該ローラ対が上下に2対配置されている。第二搬送手段13Aは、上部ユニット11の第一搬送手段11Eによって搬送される紙葉類10をカセット12Aに搬送する。また、第二搬送手段13Aは、カセット12Aから排出された紙葉類10を第一搬送手段11Eに向けて搬送する。ゲート部材13Bは、第二搬送手段13Aによって搬送される紙葉類10を案内する。ゲート部材13Bは、上部ユニット11の第一搬送手段11Eによって搬送される紙葉類10を第二搬送手段13Aに案内する。また、ゲート部材13Bは、第二搬送手段13Aによって搬送される紙葉類10を第一搬送手段11Eに案内する。この中間搬送部13は、実施例の紙葉類搬送装置2に含まれており、その詳細な構成は後述する。なお、各図において、二点鎖線で示すL1は、上部ユニット11と中間搬送部13との境界を示し、この境界L1を境に上部ユニット11がスライド移動する。また、各図において、二点鎖線で示すL2は、下部ユニット12と中間搬送部13との境界を示し、この境界L2を境に下部ユニット12がスライド移動する。
【0024】
以下、紙葉類搬送装置2の詳細について説明する。図3は、実施例の紙葉類搬送装置の構成図である。
【0025】
紙葉類搬送装置2は、上述した第一搬送手段11Eと、中間搬送部13と、を含む。
【0026】
第一搬送手段11Eは、上述したように第一ユニットである上部ユニット11に設けられている。第一搬送手段11Eは、第一入口部11Ecaと、第一出口部11Ecbと、を含む。第一入口部11Ecaおよび第一出口部11Ecbは、第一搬送手段11Eを構成する枠体11Ecにより形成される。枠体11Ecは、切替部11Eaおよび切替部11Eaの駆動部を配置して切替部11Eaを切り替え動作可能にする。また、枠体11Ecは、搬送ローラ11Ebおよび搬送ローラ11Ebの駆動部を配置して搬送ローラ11Ebを回転可能にする。
【0027】
第一入口部11Ecaおよび第一出口部11Ecbは、中間搬送部13に開口A1,A2を向けて下方に開放して設けられている。第一入口部11Ecaは、中間搬送部13から搬送される紙葉類10を受け入れる(図5参照)。第一出口部11Ecbは、循環搬送部11Daから搬送される紙葉類10を送り出す(図4参照)。搬送ローラ11Ebは、第一入口部11Ecaから受け入れた紙葉類10を循環搬送部11Da側に搬送する。また、搬送ローラ11Ebは、第一出口部11Ecbから送り出す紙葉類10を中間搬送部13側に搬送する。なお、実施例では、搬送ローラ11Ebは、図3から図5に示すように、併設された第一入口部11Ecaおよび第一出口部11Ecbに共通の搬送ローラ11Ebaを有し、この搬送ローラ11Ebaに接触する搬送ローラ11Ebbが設けられた構成である。従って、図3から図5に示す搬送ローラ11Ebは、共通の搬送ローラ11Ebaを一方向に回転することで、紙葉類10を第一入口部11Ecaから受け入れたり第一出口部11Ecbから送り出したりできる。
【0028】
中間搬送部13は、上述したように、下部筐体15の隔壁部15Aの貫通孔15Cに配置される。また、中間搬送部13は、第二入口部13Caと、第二出口部13Cbと、を含む。第二入口部13Caおよび第二出口部13Cbは、中間搬送部13を構成する枠体13Cにより形成される。枠体13Cは、ゲート部材13Bを配置してゲート部材13Bを動作可能にする。また、枠体13Cは、第二搬送手段13A(ローラ対)および第二搬送手段13Aの駆動部を配置して第二搬送手段13Aを回転可能にする。
【0029】
ゲート部材13Bは、第二入口部13Caと第二出口部13Cbとの間に配置されて第二入口部13Caおよび第二出口部13Cb構成する。即ち、ゲート部材13Bを間に置いた一方側が第二入口部13Caとして構成され、ゲート部材13Bを間に置いた他方側が第二出口部13Cbとして構成される。このゲート部材13Bは、枠体13Cに対して軸13Baで揺動可能に支持されている。また、ゲート部材13Bは、引っ張りバネからなる付勢手段13Bbにより一方向に付勢されている。付勢手段13Bbにより付勢されたゲート部材13Bは、第二入口部13Caを閉塞するように枠体13Cに揺動端が当接している。具体的に、ゲート部材13Bは、軸13Baが延びる方向に沿って櫛歯状に形成され、当該櫛歯が枠体13Cに形成されたスリットに挿入されることで、枠体13Cに当接し第二入口部13Caを閉塞する。ゲート部材13Bは、付勢手段13Bbの付勢力に抗して他方側に揺動することで第二入口部13Caを開放する。なお、付勢手段13Bbは、圧縮バネであってもよい。また、付勢手段13Bbは、錘などのバランスにより構成されるものであってもよい。また、付勢手段13Bbの付勢方向は逆であってもよく、ゲート部材13Bが他方向に付勢され、第二出口部13Cbを閉塞するように枠体13Cに揺動端が当接して構成してもよい。
【0030】
第二入口部13Caおよび第二出口部13Cbは、第一搬送手段11Eに開口A3,A4を向けて上方に開放して設けられている。第二入口部13Caは、第一出口部11Ecbと対向して配置され、第一搬送手段11Eの第一出口部11Ecbから送り出される紙葉類10を受け入れる(図4参照)。第二出口部13Cbは、第一入口部11Ecaと対向して配置され、カセット12Aから搬送される紙葉類10を送り出す(図5参照)。第二搬送手段13Aは、第二入口部13Caから受け入れた紙葉類10をカセット12A側に搬送する。また、第二搬送手段13Aは、第二出口部13Cbから送り出す紙葉類10を第一搬送手段11E側に搬送する。
【0031】
上述したように第一入口部11Ecaは、第二出口部13Cbと対向しており、第一入口部11Ecaの開口A1が第二出口部13Cbの開口A3よりも広く形成されている。また、第二入口部13Caは、第一出口部11Ecbと対向しており、第二入口部13Caの開口A4が第一出口部11Ecbの開口A2よりも広く形成されている。
【0032】
図4は、実施例の紙葉類搬送装置の動作図である。図5は、実施例の係る紙葉類搬送装置の動作図である。
【0033】
図4は、紙葉類搬送装置2によって、上部ユニット11から下部ユニット12に紙葉類10を搬送する場合を示している。この場合、上部ユニット11の循環搬送部11Daに搬送される紙葉類10は、第一搬送手段11Eの切替部11Eaによって経路が切り替えられ、搬送ローラ11Ebによって第一搬送手段11Eの第一出口部11Ecbから送り出される。第一出口部11Ecbから送り出される紙葉類10は、狭い開口A2の第一出口部11Ecbでギャップを抑えられつつ挙動が安定し、広い開口A4の第二入口部13Caに進入する。第二入口部13Caに進入した紙葉類10は、第二入口部13Caがゲート部材13Bにより閉塞されているため、ゲート部材13Bに当接しつつ付勢手段13Bbの付勢力に抗してゲート部材13Bを押し広げ第二入口部13Caを開放させる。第二入口部13Caを開放させた紙葉類10は、第二搬送手段13Aによって下部ユニット12のカセット12Aに搬送されカセット12Aに収納される。
【0034】
図5は、紙葉類搬送装置2によって、下部ユニット12から上部ユニット11に紙葉類10を搬送する場合を示している。この場合、下部ユニット12のカセット12Aから排出された紙葉類10は、第二搬送手段13Aによって中間搬送部13の第二出口部13Cbから送り出される。第二出口部13Cbから送り出される紙葉類10は、狭い開口A3の第二出口部13Cbでギャップを抑えられつつ挙動が安定し、広い開口A1の第一入口部11Ecaに進入する。第一入口部11Ecaに進入した紙葉類10は、第一搬送手段11Eの搬送ローラ11Ebによって送り出されると共に、切替部11Eaによって経路が切り替えられて上部ユニット11の循環搬送部11Daに搬送される。
【0035】
図6は、実施例の紙葉類搬送装置の他の構成図である。
【0036】
図6に示す紙葉類搬送装置2’は、上述した紙葉類搬送装置2に対し、第一搬送手段11Eの搬送ローラ11Ebの構成が異なり、他の構成は同様である。従って、紙葉類搬送装置2’の説明では、紙葉類搬送装置2と同様の構成に同一の符号を付して説明を省略する。紙葉類搬送装置2’は、第一入口部11Ecaに、互いに接触する2個のローラ対で構成された搬送ローラ11Ebcが設けられている。また、紙葉類搬送装置2’は、第一出口部11Ecbに、互いに接触する2個のローラ対で構成された搬送ローラ11Ebcが設けられている。従って、紙葉類搬送装置2’は、それぞれ、搬送ローラ11Ebcのローラ対によって、第一出口部11Ecbから紙葉類10を送り出し、第二入口部13Caにて紙葉類10を受け入れる。この紙葉類搬送装置2’の構成に対し、紙葉類搬送装置2の搬送ローラ11Ebは、共通の搬送ローラ11Ebaを一方向に回転することで、紙葉類10を第一入口部11Ecaから受け入れたり第一出口部11Ecbから送り出したりでき、部品点数を減少させ小型化を図れる。
【0037】
ここで、図7は、従来例の紙葉類取扱装置の構成図である。図8-1から図8-3は、従来例の紙葉類搬送装置の構成図である。従来例の紙葉類取扱装置100は、実施例の紙葉類取扱装置1の紙葉類搬送装置2に対し、紙葉類搬送装置200の構成が異なり、他の構成は同様である。従って、紙葉類取扱装置100の説明では、紙葉類取扱装置1と同様の構成に同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
従来例の紙葉類搬送装置200は、第一搬送手段11Fと、中間搬送部16と、を含む。第一搬送手段11Fは、第一切替部11Faと、第二切替部11Fbと、搬送ローラ11Fcと、を含む。第一切替部11Faは、図示しない駆動部によって駆動され、循環搬送部11Daの経路を切り替える。第一切替部11Faは、紙葉類10を循環搬送部11Daに循環させる。また、第一切替部11Faは、循環搬送部11Daに循環する紙葉類10を中間搬送部16に案内する。第二切替部11Fbは、図示しない駆動部によって駆動され、中間搬送部16との間の経路を切り替える。第二切替部11Fbは、循環搬送部11Daから案内された紙葉類10を中間搬送部16に案内する。また、第二切替部11Fbは、中間搬送部16から搬送される紙葉類10を循環搬送部11Daに案内する。搬送ローラ11Fcは、図示しない駆動部によって駆動され、紙葉類10を搬送する。中間搬送部16は、上部ユニット11と下部ユニット12との間に設けられている。中間搬送部16は、下部筐体15の隔壁部15Aを貫通する貫通孔15Cに挿通して配置されている。中間搬送部16は、第二搬送手段16Aを含む。第二搬送手段16Aは、従来例では互いに接触する2個のローラ対で構成され、当該ローラ対が上下に2対配置されている。第二搬送手段16Aは、上部ユニット11の第一搬送手段11Fによって搬送される紙葉類10をカセット12Aに搬送する。また、第二搬送手段16Aは、カセット12Aから排出された紙葉類10を第一搬送手段11Fに向けて搬送する。
【0039】
この従来例の紙葉類搬送装置200は、図8-1および図8-2に示すように、上部ユニット11と中間搬送部16との境界L1において、第一搬送手段11Fの1対のガイド部11Fdと、中間搬送部16の1対のガイド部16Bとが互いに櫛歯11Fda,16Baとの重なり合いによって接続されている。それぞれ1対のガイド部11Fd,16Bの間は、紙葉類10が通過できる通路17として構成されている。このように、従来例の紙葉類搬送装置200は、櫛歯11Fda,16Baの重なり合いによって上部ユニット11と中間搬送部16とを接続することで、境界L1の通路17において紙葉類10を円滑に送ることができる。
【0040】
しかし、従来例の紙葉類搬送装置200では、櫛歯11Fda,16Baの重なり合いは通路17の長さを大きくする要因となり、かつ複数の切替部11Fa,11Fbを有することは搬送部分の大型化の要因となり、紙葉類搬送装置200の大型化、ひいては紙葉類取扱装置100の大型化に繋がる。また、従来例の紙葉類搬送装置200では、上部ユニット11と中間搬送部16との境界L1において、紙葉類10が詰まった場合、境界L1を境に上部ユニット11をスライド移動する。この際、図8-3に示すように、紙葉類10が櫛歯11Fda,16Baで挟まれて損傷するおそれがある。
【0041】
このような、従来例の紙葉類搬送装置200および紙葉類取扱装置100に対し、実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1は、上部ユニット(第一ユニット)11と下部ユニット(第二ユニット)12との間に設けられ紙葉類10を通過させる中間搬送部13と、上部ユニット11に設けられた第一入口部11Ecaおよび第一出口部11Ecbと、上部ユニット11に設けられ第一入口部11Ecaから紙葉類10を受け入れる一方で第一出口部11Ecbから紙葉類10を送り出す搬送ローラ11Eb(第一搬送手段11E)と、中間搬送部13に設けられた第二入口部13Caおよび第二出口部13Cbと、中間搬送部13に設けられ第二入口部13Caから紙葉類10を受け入れる一方で第二出口部13Cbから紙葉類10を送り出す第二搬送手段13Aと、を含む。そして、実施例の紙葉類搬送装置2,2’は、第一入口部11Ecaと第二出口部13Cbとが対向して配置され第一入口部11Ecaが第二出口部13Cbよりも開口A1が広く形成されており、かつ第二入口部13Caと第一出口部11Ecbとが対向して配置され第二入口部13Caが第一出口部11Ecbよりも開口A4が広く形成されている。
【0042】
実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1によれば、第一入口部11Ecaが第二出口部13Cbよりも開口A1が広く形成されていることで、比較して第二出口部13Cbの狭い開口A3でギャップを抑えつつ紙葉類10の挙動を安定させ、第一入口部11Ecaの広い開口A1に紙葉類10を受け渡す。また、実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1によれば、第二入口部13Caが第一出口部11Ecbよりも開口A4が広く形成されていることで、比較して第一出口部11Ecbの狭い開口A2でギャップを抑えつつ紙葉類10の挙動を安定させ、第二入口部13Caの広い開口A4に紙葉類10を受け渡す。従って、実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1によれば、上部ユニット11と下部ユニット12とに分離され、中間搬送部13を介して紙葉類10が送られる構成において、上部ユニット11と中間搬送部13との紙葉類10の受け渡しを円滑に行うことができる。この結果、実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1によれば、従来採用されていた櫛歯状の重ね合わせを用いなくてもよいため、搬送部分の小型化を図ることができる。しかも、実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1によれば、従来採用されていた櫛歯状の重ね合わせを用いなくてもよいため、上部ユニット11と中間搬送部13との境界L1において、紙葉類10が詰まった場合、境界L1を境に上部ユニット11をスライド移動しても、紙葉類10が挟まれる事態を抑制し、紙葉類10の損傷を低減できる。しかも、実施例の紙葉類取扱装置1によれば、上部ユニット11と下部ユニット12との間に設けられた隔壁部15Aに中間搬送部13を設けた構成であり、隔壁部15Aを有する構成において、搬送部分の小型化を図ることができる。
【0043】
また、実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1では、中間搬送部13は、第二入口部13Caを閉塞しつつ第二出口部13Cbを開放して設けられ第二入口部13Caへの紙葉類10の進入に伴って第二入口部13Caを開放するゲート部材13Bをさらに含む。
【0044】
実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1によれば、第二入口部13Caへの紙葉類10の進入に伴って第二入口部13Caを開放するゲート部材13Bをさらに含むことで、ゲート部材13Bの切り替えを行う駆動部を不要とするため、搬送部分のさらなる小型化を図ることができる。
【0045】
また、実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1では、ゲート部材13Bは、第二入口部13Caを閉塞または開放する態様で移動可能に設けられ、第二入口部13Caを閉塞する側に付勢される付勢手段13Bbを含む。
【0046】
実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1によれば、第二入口部13Caを閉塞する側にゲート部材13Bを付勢する付勢手段13Bbを含むことで、第二入口部13Caに紙葉類10が通過するときのみゲート部材13Bを開放し、第二入口部13Caに紙葉類10が通過するときにゲート部材13Bにより紙葉類10の通過を案内できる。
【0047】
また、実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1では、第一搬送手段11Eは、一方向の回転で第一入口部11Ecaから紙葉類10を受け入れる一方で第一出口部11Ecbから紙葉類10を送り出す共通の搬送ローラ11Ebを含む。
【0048】
実施例の紙葉類搬送装置2,2’および紙葉類取扱装置1によれば、一方向の回転で紙葉類10を送り出す共通の搬送ローラ11Ebを含むことで、部品点数を減少し、搬送部分のさらなる小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 紙葉類取扱装置
2,2’ 紙葉類搬送装置
10 紙葉類
11 上部ユニット(第一ユニット)
11E 第一搬送手段
11Eb 搬送ローラ
11Eca 第一入口部
11Ecb 第一出口部
12 下部ユニット(第二ユニット)
13 中間搬送部
13A 第二搬送手段
13B ゲート部材
13Bb 付勢手段
13Ca 第二入口部
13Cb 第二出口部
15A 隔壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】