(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】嵌合容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/10 20060101AFI20240126BHJP
B65D 81/34 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
B65D43/10
B65D81/34 X
(21)【出願番号】P 2023076985
(22)【出願日】2023-05-09
(62)【分割の表示】P 2018145004の分割
【原出願日】2018-08-01
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】396000422
【氏名又は名称】リスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】徳田 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】安東 俊治
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐介
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-240546(JP,A)
【文献】実開平03-032068(JP,U)
【文献】特開2011-067803(JP,A)
【文献】特許第3108982(JP,B2)
【文献】特開2008-280072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0272318(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/10
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋側コーナー部のフランジ部に蓋側嵌合部を有する、略四角形形状の蓋体と、
容器側コーナー部のフランジ部に容器側嵌合部を有し、加熱後に収縮する耐熱性を備えた素材で構成される略四角形形状の容器本体と、を備え、前記蓋側嵌合部が前記容器側嵌合部に外嵌合する嵌合容器であって、
前記容器側コーナー部のフランジ部は、内側に弾性変形可能に構成されており、
前記容器側コーナー部には、当該容器側コーナー部のフランジ部に、前記容器側嵌合部に向けて下方へ延びるスカート部が設けられ、
前記容器本体が加熱収縮する前の状態では、前記容器側コーナー部の容器側嵌合部の一部が、前記蓋側コーナー部の蓋側嵌合部よりも外側に位置しており、前記容器側コーナー部に隣接する
辺部では、前記容器側嵌合部が前記蓋側嵌合部よりも内側へ隙間をあけて離れるように構成されて
おり、
前記容器本体が加熱収縮する前の状態で、前記スカート部を内側に弾性変形させることで、前記容器側嵌合部と前記蓋側嵌合部は外嵌合可能であり、
前記容器本体が加熱収縮した後の状態では、前記容器側コーナー部の容器側嵌合部の前記一部が、前記蓋側コーナー部の蓋側嵌合部よりも僅かに外側又は重なって位置しており、前記容器側コーナー部に隣接する辺部では、前記容器側嵌合部が前記蓋側嵌合部よりも内側へ僅かな隙間をあけて離れるように構成されており、
前記容器本体が加熱収縮した後の状態で、前記容器側コーナー部の容器側嵌合部の前記一部が、前記蓋側コーナー部の蓋側嵌合部よりも内側に外嵌合可能であることを特徴とする嵌合容器。
【請求項2】
前記容器側コーナー部と当該容器側コーナー部に隣接する辺部との間には、凹部が設けられていることを特徴とする請求項
1に記載の嵌合容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、容器本体と蓋体とからなる嵌合容器に関し、特に、オーブンレンジ等で加熱調理した際に、容器本体が収縮する嵌合容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ホテルパン等の様々な食材をオーブンレンジ等で加熱調理できる嵌合容器が知られており、例えば、特許文献1の容器は、耐熱性に優れる平面略真円形をなす容器本体と、当該容器本体に被着される楕円形をなす嵌合蓋から構成されている。そして、この容器は、容器本体内に食品を収容した状態で電子レンジやオーブンレンジ等により加熱調理した後、嵌合蓋を被着して使用するものである。ただ、容器本体は耐熱性に優れるものの加熱後に収縮するため、嵌合蓋を上手く被着できない場合があった。しかしながら、この特許文献1の容器では、平面略真円形をなす容器本体に対して被着される嵌合蓋を、僅かに楕円形に形成しておくことで、加熱収縮後の容器本体の変形や寸法のバラツキに対応できるようにして、嵌合蓋を確実に被着できるようにしていた。
【0003】
しかしながら、この特許文献1の容器は、容器本体と嵌合蓋の形状が、それぞれ平面略真円形及び楕円形に限定されているため、容器の種類や用途が制限されていた。そして、当該分野で非常に多く利用されている、コーナー部を備える略四角形形状の容器については、加熱収縮後に蓋体を確実に被着できる容器が開発されておらず、その開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、コーナー部を備える略四角形形状の容器におい
て、加熱収縮後に蓋体を容器本体に確実に嵌合できる嵌合容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願発明の請求項1に係る嵌合容器は、蓋側コーナー部のフランジ部に蓋側嵌合部を有する、略四角形形状の蓋体と、容器側コーナー部のフランジ部に容器側嵌合部を有し、加熱後に収縮する耐熱性を備えた素材で構成される略四角形形状の容器本体と、を備え、前記蓋側嵌合部が前記容器側嵌合部に外嵌合する嵌合容器であって、前記容器側コーナー部のフランジ部は、内側に弾性変形可能に構成されており、前記容器側コーナー部には、当該容器側コーナー部のフランジ部に、前記容器側嵌合部に向けて下方へ延びるスカート部が設けられ、前記容器本体が加熱収縮する前の状態では、前記容器側コーナー部の容器側嵌合部の一部が、前記蓋側コーナー部の蓋側嵌合部よりも外側に位置しており、前記容器側コーナー部に隣接する辺部では、前記容器側嵌合部が前記蓋側嵌合部よりも内側へ隙間をあけて離れるように構成されており、前記容器本体が加熱収縮する前の状態で、前記スカート部を内側に弾性変形させることで、前記容器側嵌合部と前記蓋側嵌合部は外嵌合可能であり、前記容器本体が加熱収縮した後の状態で、前記容器側コーナー部の容器側嵌合部の前記一部が、前記蓋側コーナー部の蓋側嵌合部よりも僅かに外側又は重なって位置しており、前記容器側コーナー部に隣接する辺部では、前記容器側嵌合部が前記蓋側嵌合部よりも内側へ僅かな隙間をあけて離れるように構成されており、前記容器本体が加熱収縮する後の状態で、前記容器側コーナー部の容器側嵌合部の前記一部が、前記蓋側コーナー部の蓋側嵌合部よりも内側に外嵌合可能であることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、容器側コーナー部の容器側嵌合部の一部が、蓋側コーナー部の蓋側嵌合部よりも外側に位置するので、容器本体の収縮度合いが異なる場合(すなわち、収縮率にバラツキがある場合)でも、容器側コーナー部を内側に弾性変形させれば、容器側嵌合部と蓋側嵌合部とを嵌合させられ、蓋体を容器本体に確実に被着できるのである。さらに、容器側コーナー部が内側に弾性変形するが、容器側コーナー部に隣接する箇所では、容器側嵌合部が蓋側嵌合部よりも内側に隙間をあけて離間しているので、容器側コーナー部が内側へ弾性変形し易くなり、蓋側嵌合部と容器側嵌合部とが確実に外嵌合できるのである。
【0008】
さらに、本願発明の請求項1に係る嵌合容器は、前記容器側コーナー部には、当該容器側コーナー部のフランジ部に、前記容器側嵌合部に向けて下方へ延びるスカート部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、スカート部によって容器側コーナー部が内側へ容易に弾性変形できるため、容器側嵌合部が蓋側嵌合部に外嵌合し易いのである。
【0010】
さらに、本願発明の請求項2に係る嵌合容器は、前記容器側コーナー部と当該容器側コーナー部に隣接する辺部との間には、凹部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、容器側コーナー部が内側へ変形した際の応力は凹部が変形することで吸収されるため、辺部に沿って形成されたフランジ部周辺が外側に向けて反り返るように大きく変形することを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
本願発明の嵌合容器は、コーナー部を備える略四角形形状の容器において、加熱収縮後に蓋体を容器本体に確実に嵌合できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は本願発明の嵌合容器の蓋体の平面図、(b)は蓋体の側面図、(c)は蓋体の正面図、(d)はA-A端面図である。
【
図2】(a)は本願発明の嵌合容器の容器本体の平面図、(b)は容器本体の側面図、(c)は容器本体の正面図、(d)はB-B端面図、(e)はC-C端面図である。
【
図3】本願発明の嵌合容器の蓋体と容器本体を概念的に示した平面図であって、容器本体の上に蓋体を重ねて表示すると共に、コーナー部付近を拡大している。
【
図4】(a)は、本願発明の蓋体と容器本体を概念的に示した平面図であって、容器本体に蓋体を嵌合させた状態を示すと共に、コーナー部付近を拡大している。また、(b)はD-D端面図を示している。
【
図5】(a)は、本願発明の蓋体と容器本体を概念的に示した平面図であって、収縮した容器本体の上に蓋体を重ねて表示すると共に、コーナー部付近を拡大している。また、(b)は、(a)に示す容器本体に蓋体を嵌合させた状態を概念的に示すと共に、コーナー部付近を拡大している。
【
図6】(a)は、本願発明の蓋体と容器本体を概念的に示した平面図であって、収縮した容器本体の上に蓋体を重ねて表示すると共に、コーナー部付近を拡大している。また、(b)はE-E端面図を示している。
【符号の説明】
【0014】
100 蓋体
110 蓋側コーナー部
150 蓋側嵌合部
200 容器本体
210 容器側コーナー部
250 容器側嵌合部
300 嵌合容器
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、本明細書において、「上方」とは、嵌合容器の容器本体の開口面を上にして水平面上に載置した際に、鉛直方向における上方に向かう方向のことであり、「下方」とは鉛直方向における下方に向かう方向のことであり、「横」とは水平方向に向かう方向のことであり、「縦」とは、水平面において「横」に対して直角の方向のことである。
【0016】
まず、
図1には、本願発明の嵌合容器300の蓋体100を示す。なお、嵌合容器300は、蓋体100と後述する容器本体200とを備えており、蓋体100が容器本体200に外嵌合するものである。また、
図1(a)は蓋体100の平面図、
図1(b)は蓋体100の側面図、
図1(c)は蓋体100の正面図、
図1(d)はA-A端面図である。
【0017】
図1に示すように、蓋体100は下方に開口した浅皿型で、四隅に蓋側コーナー部110を備えた平面視略四角形形状をしており、平坦な天板120と、当該天板120の両端に縁部121に沿って略コ字状のズレ防止突起122が設けられている。このズレ防止突起122は、天板120の表面から上方へ突出しているもので、嵌合容器300を段積みした際に、段積みされた上方の嵌合容器300が横ズレしないようにしている。
【0018】
さらに、天板120の縁部121から下方へ向けて連続する側壁130と、当該側壁130の下端から水平方向へ延びるフランジ部140とを備える。このフランジ部140は、後述する容器本体200のフランジ部240と上下に重なる部分である。また、蓋側コーナー部110周辺のフランジ部140には、上方へ膨出する膨出部141が設けられており、この膨出部141の裏面側には、後述する容器本体200のスカート部が収容される。さらに、フランジ部140の外側には、当該フランジ部140から下方へ向けて連続する凹状の蓋側嵌合部150が設けられている。そして、側壁130、フランジ部140、及び蓋側嵌合部150は蓋体100の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。
【0019】
また、蓋体100は、蓋側コーナー部110に隣接する直線状の長辺部160を備えている。この長辺部160が延びる方向に沿って、フランジ部140も直線状に延びている
。また、
図1(d)に示すように、フランジ部140の内側の裏面には、下方へ突出する突起部142が形成されており、この突起部142はフランジ部140の延出方向に沿って直線状に延びている。
【0020】
次に
図2には、本願発明の嵌合容器300の容器本体200を示す。なお、
図2(a)は容器本体200の平面図、
図2(b)は容器本体200の側面図、
図2(c)は容器本体200の正面図、
図2(d)はB-B端面図、
図2(e)はC-C端面図である。
【0021】
図2に示すように、容器本体200は、上方に開口した浅皿型形状で、四隅に容器側コーナー部210を備えた平面視略四角形形状をしており、平坦な底壁220と、当該底壁220の外縁221から立ち上がるように形成された側壁230とを備える。また、この側壁230の上端にはフランジ部240が形成されており、容器側コーナー部210周辺のフランジ部240には、フランジ部240よりも上方へ膨出した上端242と、下方へ向けて延出したスカート部241(延出部)とが設けられている。なお、側壁230には、容器本体200内部に収容される収容物の量の目安となる目安線231が複数設けられている。
【0022】
さらに、容器本体200のフランジ部240の外側には、当該フランジ部240から下方へ向けて連続する凸状の容器側嵌合部250が設けられている。この容器側嵌合部250は、蓋体100の蓋側嵌合部150が外嵌合できるように、蓋側嵌合部150と対応した形状をしても良いし、単にフランジ部の端部として係合される形状であっても良い。また、スカート部241は、容器側コーナー部210のフランジ部240において、容器側嵌合部250に向けて下方へ向けて延出していて、特に加熱調理後に高温状態になった容器本体を持ち上げるときの持ち手としても機能している。そして、側壁230、フランジ部240、及び容器側嵌合部250は、容器本体200の周方向へ全周にわたり連続または断続して設けられている。
【0023】
また、容器本体200は、容器側コーナー部210に隣接する直線状の長辺部260を備えている。この長辺部260が延びる方向に沿って、フランジ部240も直線状に延びている。そして、容器側コーナー部210と長辺部260の間には、フランジ部240に食い込むように外側から内側へ凹んだ凹部270が形成されている。
【0024】
なお、本願の蓋体100は、シート成形(例えば、真空成形、圧空成形、熱盤成形)可能な、厚さが0.1~1.0mm程度のシート状の素材を用いるものであり、例えば、蓋体100の素材としては、中身の視認性を確保し、適度な弾性を有するように、A-PET、透明性のある二軸延伸ポリスチレン(OPS)、又はポリプロピレン(PP)を用いることができる。また、本願の蓋体100は、短辺部と長辺部を備えた略長方形形状をしているが、これに限定されず、平面視略四角形形状をしていれば、略正方形形状としてもよい。
【0025】
また、本願の容器本体200を構成する素材は、C-PET(結晶性ポリエチレンテレフタレート)となっており、このC-PETは融点(約250度)まで加熱されても変形し難いため、オーブンや電子レンジ等で加熱調理するのに適した耐熱性を備えている。なお、本願の容器本体200は、C-PETから構成されているが、これに限定されず、オーブンや電子レンジ等(スチーム機能を有するものを含む)で約220度まで加熱調理できる程度に耐熱性を備えた素材であれば、適宜採用することができる。そして、C-PET以外の素材を採用した場合に容器本体200が加熱されて収縮しても、後述するように本願発明の特徴を備えていれば、蓋体100が容器本体200に確実に嵌合できる。また、本願の容器本体200は、短辺部と長辺部を備えた略長方形形状をしているが、これに限定されず、平面視略四角形形状をしていれば、略正方形形状としてもよい。
【0026】
では次に、
図3を参照して、蓋体100の蓋側嵌合部150と容器本体200の容器側嵌合部250との関係について説明する。なお、
図3は、蓋体100と容器本体200を概念的に示した平面図であって、容器本体200の上に蓋体100を重ねて表示すると共に、コーナー部付近を拡大している。また、蓋体100を実線で容器本体200を点線で示している。なお、容器本体200は加熱調理する前の状態である。
【0027】
図3に示すように、容器本体200が加熱調理される前の状態では、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250の一部が、蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150よりも外側に位置しており、容器側コーナー部210に隣接する容器本体200の短辺部(図面上、左側)では、容器側嵌合部250が蓋側嵌合部150よりも内側に隙間X1をあけて離れている。さらに、容器側コーナー部210と、当該容器側コーナー部210に隣接している長辺部260との境界付近では、容器側嵌合部250が蓋側嵌合部150よりも内側に隙間X2をあけて離れている。
【0028】
次に、容器本体200内に食品等を収容した状態で、容器本体200をオーブンレンジ等で加熱調理する。なお、容器本体200を加熱調理する際は、蓋体100は容器本体200に被着されておらず、容器本体200とは別の場所に保管されている。また、容器本体200は、C-PET(結晶性ポリエチレンテレフタレート)から構成されており、加熱温度によって容器本体200の収縮率は大きく異なっている。例えば、低温加熱の場合は収縮率が0%に近く、加熱温度が約100度の場合は収縮率が0.1~0.2%で、加熱温度が約220度の場合は収縮率が1.2%となっている。そこで、以下の
図4から
図6では、容器本体200の収縮度合いが異なる各状態について説明していく。
【0029】
まず
図4では、容器本体200を低温加熱しており、容器本体200が収縮していない場合に、当該容器本体200に蓋体100を嵌合させた状態を説明する。なお、
図4(a)は、蓋体100と容器本体200を概念的に示した平面図であって、容器本体200に蓋体100を嵌合させた状態を示すと共に、コーナー部付近を拡大している。なお、
図4(a)では、蓋体100を実線で容器本体200を点線で示している。また、
図4(b)はD-D端面図を示している。
【0030】
ここで、容器本体200が収縮していない場合は、
図3に示すように、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250の一部(具体的には、容器側コーナー部210の中央付近)が、蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150よりも外側に位置しているので、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250が蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150に嵌合できない虞がある。
【0031】
しかしながら、容器本体200の容器側コーナー部210のフランジ部240は内側に弾性変形できるので、蓋体100を容器本体200の上に載せて押圧すると、
図4に示すように、容器本体200の容器側コーナー部210は蓋体100の蓋側コーナー部110に押圧されて内側に変形する。すると、内側に弾性変形した容器側コーナー部210の容器側嵌合部250は、蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150と外嵌合できるのである。
【0032】
また、容器本体200の容器側コーナー部210は内側に弾性変形できるので、容器側コーナー部210のスカート部241には、容器側コーナー部210の弾性変形による応力がかかり、スカート部241の中央側を内側に弾性変形しやすくしたことにより、応力を効果的に吸収できるようにしたのである。そのため、容器側コーナー部210に隣接している容器本体200の短辺部においては、隙間X1が狭くなっている。同様に、容器側コーナー部210の弾性変形による応力がかかり、容器側コーナー部210に隣接してい
る長辺部260のフランジ部240周辺も外側に膨らんでおり、隙間X2が僅かに狭くなっている。
【0033】
なお、容器側コーナー部210と長辺部260との間のフランジ部240に凹部270が形成されているので、容器側コーナー部210が内側へ弾性変形した際の応力は、凹部270の凹部分が変形することで吸収される。そのため、容器側コーナー部210に隣接しているフランジ部240周辺が、容器側コーナー部210が変形した際の応力によって、外側に向けて反り返るように大きく変形することを防止できる。その結果、
図4(b)に示すように、蓋体100のフランジ部140と容器本体200のフランジ部240とが確実に密着することができ、嵌合容器300の内部にゴミ等の異物が侵入することを効果的に防止できるのである。また、蓋体100の突起部142が、フランジ部240の内端側において下方へ向けて突出しているので、容器側コーナー部210の変形時の応力によって、仮にフランジ部140とフランジ部240の間に僅かな隙間が出来たとしても、突起部142によって、嵌合容器300の内部にゴミ等の異物が侵入することを確実に防止できるのである。
【0034】
では次に、
図5では、容器本体200を約100度で加熱調理し、収縮率が0.1~0.2%程度に容器本体200が収縮した場合において、当該容器本体200に蓋体100を嵌合させる状態を説明する。なお、
図5(a)は、蓋体100と容器本体200を概念的に示した平面図であって、収縮した容器本体200の上に蓋体100を重ねて表示すると共に、コーナー部付近を拡大している。また、
図5(b)は、
図5(a)に示す容器本体200に蓋体100を嵌合させた状態を概念的に示すと共に、コーナー部付近を拡大している。なお、
図5では、蓋体100を実線で容器本体200を点線で示している。
【0035】
図5(a)に示すように、容器本体200の収縮率が0.1~0.2%程度の場合は、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250の一部(具体的には、容器側コーナー部210の中央付近)が、蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150よりも僅かに外側に位置している状態となる。なお、容器本体200の収縮率が0.1~0.2%程度の場合には、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250の一部が、蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150よりも僅かに外側に位置するように、容器本体200の形状及び大きさを設計している。
【0036】
ここで、
図5(a)に示すように、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250の一部が、蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150よりも僅かに外側に位置している。ただ、容器本体200の容器側コーナー部210のフランジ部240は内側に弾性変形できるので、蓋体100を容器本体200の上に載せて押圧すると、容器本体200の容器側コーナー部210は、蓋体100の蓋側コーナー部110に押されて内側に弾性変形し、
図5(b)に示すように、内側に弾性変形した容器側コーナー部210の容器側嵌合部250が蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150と外嵌合するのである。
【0037】
また、容器本体200の容器側コーナー部210は内側に弾性変形できるので、容器側コーナー部210に隣接している部分のスカート部241の中央側には、容器側コーナー部210の弾性変形による応力がかかり、スカート部241を内側に弾性変形しやすくしたことにより、応力を効果的に吸収できるようにしたのである。そのため、隙間X1が狭くなっている。同様に、容器側コーナー部210に隣接している長辺部260のフランジ部240周辺も僅かに外側に膨らんでおり、隙間X2が僅かに狭くなっている。なお、容器側コーナー部210とフランジ部240の間に凹部270が形成されているので、容器側コーナー部210が内側へ変形した際の応力は凹部270が変形することで吸収され、フランジ部240が外側に向けて反り返るように大きく変形することを防止できる。
【0038】
では次に、
図6では、容器本体200を約220度で加熱調理し、収縮率が1.2%程度と容器本体200の収縮率が設計上の上限範囲まで達した場合において、当該容器本体200に蓋体100を嵌合させる状態を説明する。なお、
図6(a)は、蓋体100と容器本体200を概念的に示した平面図であって、収縮した容器本体200の上に蓋体100を重ねて表示すると共に、コーナー部付近を拡大している。なお、
図6(a)では、蓋体100を実線で容器本体200を点線で示している。また、
図6(b)はE-E端面図を示している。
【0039】
図6(a)に示すように、容器本体200の収縮率が1.2%程度と容器本体200の収縮率が設計上の上限範囲まで達した場合には、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250の一部(具体的には、容器側コーナー部210の中央付近から端部周辺まで)が、蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150と重なる状態となる。また、蓋側嵌合部150と重なる部分以外では、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250は蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150より内側に位置している。なお、容器本体200の収縮率が設計上の上限範囲まで達した場合には、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250の一部が、蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150と重なるように、容器本体200の形状及び大きさを設計している。
【0040】
そして、蓋体100を容器本体200の上に載せて押圧すると、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250の一部が蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150と重なっているので、当該重なる部分において、容器側嵌合部250の一部と蓋側嵌合部150とがそのまま無理なく外嵌合するのである。なお、容器側コーナー部210は変形する事無く、容器側嵌合部250の一部が蓋側嵌合部150にそのまま外嵌合しているので、容器側コーナー部210に隣接するスカート部241及びフランジ部240には応力がかからず、変形していないのがわかる。
【0041】
なお、容器本体200が収縮する際は、容器本体200全体がほぼ均等に収縮するので、
図6(b)に示すように、容器本体200のフランジ部240も縦横に均等に収縮して、平坦な形状を維持している。そのため、容器本体200が収縮しても、フランジ部240は、平坦なフランジ部140に密着できるので、嵌合容器300の内部にゴミ等の異物が侵入することを効果的に防止できるのである。また、容器本体200が収縮しても、蓋体100の突起部142とフランジ部240の位置関係、つまり、蓋体100の突起部142が、フランジ部240の内端側において下方へ向けて突出している関係は変わりないので、仮にフランジ部140とフランジ部240の間に僅かな隙間が出来たとしても、突起部142によって、嵌合容器300の内部にゴミ等の異物が侵入することを確実に防止できる。
【0042】
このように、本願発明の嵌合容器300によれば、容器側コーナー部210の容器側嵌合部250の一部が、蓋側コーナー部110の蓋側嵌合部150よりも外側に位置するので、容器本体200の収縮度合いが異なる場合(すなわち、収縮率にバラツキがある場合)でも、
図4及び
図5に示すように、容器側コーナー部210のフランジ部240を内側に弾性変形させれば、容器側嵌合部250と蓋側嵌合部150とを嵌合させられ、蓋体100を容器本体200に確実に被着できるのである。
【0043】
また、容器側コーナー部210が内側に弾性変形するが、容器側コーナー部210に隣接する箇所では、容器側嵌合部250が蓋側嵌合部150よりも内側に隙間X1(又は隙間X2)をあけて離間しているので、容器側コーナー部210が内側へ弾性変形し易くなり、蓋側嵌合部150と容器側嵌合部250とが確実に外嵌合できるのである。具体的には、容器側コーナー部210に隣接する部分は、隙間X1(又は隙間X2)があいていることによって、その隙間X1(又は隙間X2)を埋めるように外側へ向けて容易に変形で
きる。そのため、容器側コーナー部210が内側に弾性変形した際の応力は、容器側コーナー部210に隣接する部分が変形して効果的に吸収されるので、容器側コーナー部210が内側へ弾性変形し易くなり、その結果、蓋側嵌合部150と容器側嵌合部250とが確実に外嵌合できるのである。
【0044】
なお、容器本体200の収縮率が1.2%程度と容器本体200の収縮率が設計上の上限範囲まで達した場合であっても、
図6に示すように、容器側嵌合部250が蓋側嵌合部150と重なって外嵌合できるので、蓋体100が容器本体200に確実に嵌合できるのである。
【0045】
さらに、容器側コーナー部210には、当該容器側コーナー部210のフランジ部240に、容器側嵌合部250に向けて延びるスカート部241が設けられているので、容器側コーナー部210が内側へ容易に弾性変形できるため、容器側嵌合部250が蓋側嵌合部150に外嵌合し易いのである。
【0046】
また、容器側コーナー部210が内側に弾性変形した際の応力は、容器本体200の長辺部よりも短辺部側に強くかかるので、容器本体の短辺部側にスカート部241を設け、長辺部のフランジ部240よりも高い当該スカート部241により内側に弾性変形しやすくしたことにより、応力を効果的に吸収できるようにしたのである。
【0047】
さらに、容器側コーナー部210と、当該容器側コーナー部210に隣接する長辺部260との間には凹部270が設けられているので、容器側コーナー部210が内側へ変形した際の応力は凹部270で吸収される。そのため、長辺部260に沿って形成されたフランジ部240周辺が外側に向けて反り返るように大きく変形することを防止できる。その結果、フランジ部140とフランジ部240とが確実に密着することができ、嵌合容器300の内部にゴミ等の異物が侵入することを効果的に防止できるのである。
【0048】
また、
図1から
図5に示すように、蓋側コーナー部110及び容器側コーナー部210を円弧状の丸味を帯びた形状とし、円弧状の容器側コーナー部210の中心側では、容器側嵌合部250を蓋側嵌合部150よりも外側に位置させ、円弧状の容器側コーナー部210の端部側では、容器側嵌合部250が蓋側嵌合部150よりも内側に隙間X1(又は隙間X2)をあけて離間するようにしている。そのため、蓋体100を容器本体200の上に載せて押圧すると、円弧状の容器側コーナー部210の中心側から徐々に内側へ弾性変形してゆき、円弧に沿って、容器側コーナー部210の端部側も次第に弾性変形してゆく。そのため、容器側コーナー部210の変形時の応力が、中心側から端部側へとスムーズに吸収されてゆくと共に、中心側から端部側へと容器側嵌合部250と蓋側嵌合部150とが無理なく綺麗に嵌合していくのである。
【0049】
なお、
図1から
図5では、容器側コーナー部の容器側嵌合部の一部として、容器側嵌合部250の円弧の中心側に位置する部分が、蓋側嵌合部150よりも外側に位置しているが、これに限定されず、容器側コーナー部の容器側嵌合部の一部であれば、任意の部分を蓋側嵌合部よりも外側に位置させてもよい。また、
図1から
図5に示すように、蓋側コーナー部110及び容器側コーナー部210を円弧状の丸味を帯びた形状としているが、これに限定されず、任意の形状としてもよい。
【0050】
なお、
図3から
図6に示す、加熱温度と容器本体200の収縮率は一例を示すものであって、これに限定されない。また、本願発明の嵌合容器は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。