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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】環境教育システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20240126BHJP
【FI】
G06Q50/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023115904
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2023-07-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日 令和4年7月15日 日本家政学会誌 Vol.73 7号 402ページ~414ページ
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 恵梨
(72)【発明者】
【氏名】三神 彩子
(72)【発明者】
【氏名】久米村 秀明
(72)【発明者】
【氏名】東郷 悟史
(72)【発明者】
【氏名】小泉 貴子
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-122254(JP,A)
【文献】特開2020-181395(JP,A)
【文献】特開2003-058029(JP,A)
【文献】特開2022-040068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0178002(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境教育を受ける複数の学習者が利用する各々の端末と内部ネットワークを介して接続され、当該各々の端末にて各々入力された省エネ行動に関するデータの集計および/または集計加工を行う組織サーバと、
前記各々の端末および前記組織サーバに外部ネットワークを介して接続され、当該各々の端末との接続情報を記憶し、当該接続情報を用いて当該各々の端末に対して環境教育に関する情報を提供する外部サーバと、
を有し、
前記組織サーバは、前記各々の端末から入力された前記省エネ行動に関するデータは前記外部サーバへは提供せず、当該省エネ行動に関するデータを集約加工した加工データを前記外部サーバへ提供し、
前記外部サーバは、前記組織サーバから取得した前記加工データの省エネ分析結果を、前記組織サーバおよび/または前記各々の端末に提供すること
を特徴とする環境教育システム。
【請求項2】
前記組織サーバは、
前記省エネ行動に関するデータに含まれる前記学習者の個人情報を秘匿化し、前記加工データとして、秘匿化した当該省エネ行動に関するデータを前記外部サーバに提供すること、
を特徴とする請求項1に記載の環境教育システム。
【請求項3】
前記組織サーバは、
前記外部サーバに依頼する分析に必要な情報を前記省エネ行動に関するデータから選別し、選別された前記省エネ行動に関するデータを前記加工データとして前記外部サーバに提供すること、
を特徴とする請求項1に記載の環境教育システム。
【請求項4】
前記省エネ行動に関するデータは、前記学習者の端末から入力された資源の使用量に関するデータであることを特徴とする請求項1に記載の環境教育システム。
【請求項5】
前記省エネ行動に関するデータは、前記学習者が入力したガスメータ、電気メータまたは水道メータのうちの少なくとも1つの値を含むこと、
を特徴とする請求項4に記載の環境教育システム。
【請求項6】
前記省エネ行動に関するデータは、資源の使用量が削減される可能性がある行動として予め定められている行動を学習者が実践した数である実践数をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の環境教育システム。
【請求項7】
前記外部サーバは、
ガスの使用量、電気の使用量または水道の使用量のうち少なくとも1つに関する統計データを取得し、取得した当該統計データと、取得した前記加工データとを用いて、環境教育に関する分析を行うこと、
を特徴とする請求項5に記載の環境教育システム。
【請求項8】
前記外部サーバは、
過去の天候の履歴をさらに取得し、取得した当該天候の履歴に基づいて、分析を行うことを特徴とする請求項7に記載の環境教育システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境教育システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、学習者管理を学習者の属する組織内のサーバで行い、教材などのコンテンツ管理を行なうシステムと分離することにより、学習者の個人情報を保護することが開示されている。また、学習者の要求により必要となる学習教材やテスト問題は、項目困難度などで表される難易度に応じてコンテンツ供給者サーバから組織内サーバに送られ、ここでキャッシングされて学習者に提示することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-295747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
気候変動問題が年々深刻化し、抜本的かつ持続的な温室効果ガス削減が世界的に求められている中で、持続可能な社会の創り手を育てる意味から、教育現場において環境教育の必要性が叫ばれている。これを受け、小・中・高等学校の教育現場に容易に導入できる省エネ教育の開発が進められている。
一方、急速な情報通信技術の進展やグローバル化に伴い、教育現場にて、子供たちへの情報通信技術(ICT)を用いた教育が進められている。この情報通信技術を用いて環境教育を実現できれば、例えば省エネに関するデータを手軽に入力し、また、省エネ効果を簡易に見える化することも可能となり、省エネ教育の促進を図ることができる。そこで、子供たちが、例えばタブレット等の端末を利用して個別に入力したデータを、例えば、教室(クラス、班)単位で集約し、学校単位等のサーバ等に入力して集約する。これにより、クラスや班ごとにデータを集計し、CO2の削減を図ることができれば、より大きな教育効果を得ることが期待できる。
しかしながら、個別の端末を、クラス単位等のサーバにだけ接続した場合には、新しいデータの入れ替えに対応できない。そして、学校教育に取り入れる際には教員の教育が必要となるが、担当学年が毎年変わる際に、教員が再度、学び直す必要が生じ、古いテキストで対応するクラス単位のサーバだけでは、新しいデータ等に対応することは困難である。特に、省エネ教育では、気候変動や再生可能エネルギーの導入、節約金額など、各種データの変動要素が大きく、個別の端末と学校・クラス単位のサーバとの閉じたネットワークの世界だけでは、好ましい環境教育を実現することができない。
本発明は、学習者の個々の端末を、クラス単位等のサーバにだけに接続した場合と比べ、より好ましい環境教育を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される環境教育システムは、環境教育を受ける複数の学習者が利用する各々の端末と内部ネットワークを介して接続され、当該各々の端末にて各々入力された省エネ行動に関するデータの集計および/または集計加工を行う組織サーバと、前記各々の端末および前記組織サーバに外部ネットワークを介して接続され、当該各々の端末との接続情報を記憶し、当該接続情報を用いて当該各々の端末に対して環境教育に関する情報を提供する外部サーバと、を有し、前記組織サーバは、前記各々の端末から入力された前記省エネ行動に関するデータは前記外部サーバへは提供せず、当該省エネ行動に関するデータを集約加工した加工データを前記外部サーバへ提供し、前記外部サーバは、前記組織サーバから取得した前記加工データの省エネ分析結果を、前記組織サーバおよび/または前記各々の端末に提供する環境教育システムである。
また、前記組織サーバは、前記省エネ行動に関するデータに含まれる前記学習者の個人情報を秘匿化し、前記加工データとして、秘匿化した当該省エネ行動に関するデータを前記外部サーバに提供することを特徴とすることができる。
また、前記組織サーバは、前記外部サーバに依頼する分析に必要な情報を前記省エネ行動に関するデータから選別し、選別された前記省エネ行動に関するデータを前記加工データとして前記外部サーバに提供することを特徴とすることができる。
また、前記省エネ行動に関するデータは、前記学習者の端末から入力された資源の使用量に関するデータであることを特徴とすることができる。
また、前記省エネ行動に関するデータは、前記学習者が入力したガスメータ、電気メータまたは水道メータのうちの少なくとも1つの値を含むことを特徴とすることができる。
また、前記省エネ行動に関するデータは、資源の使用量が削減される可能性がある行動として予め定められている行動を学習者が実践した数である実践数をさらに含むことを特徴とすることができる。
また、前記外部サーバは、ガスの使用量、電気の使用量、または水道の使用量のうち少なくとも1つに関する統計データを取得し、取得した当該統計データと、取得した前記加工データとを用いて、環境教育に関する分析を行うことを特徴とすることができる。
また、前記外部サーバは、過去の天候の履歴をさらに取得し、取得した当該天候の履歴に基づいて、分析を行うことを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0006】
本願の発明によると、学習者の個々の端末を、クラス単位等のサーバにだけに接続した場合と比べ、より好ましい環境教育を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態が適用される環境教育システムの全体構成を示す図である。
図2】学習者端末および教員端末の構成の一例を示す図である。
図3】学校サーバおよび外部サーバの構成の一例を示す図である。
図4】本実施の形態に係る学習者端末の機能構成の一例を示す図である。
図5】本実施の形態に係る教員端末の機能構成の一例を示す図である。
図6】本実施の形態に係る学校サーバの機能構成の一例を示す図である。
図7】学校サーバが記憶する情報の一例を示す図である。
図8】本実施の形態に係る外部サーバの機能構成例を示す図である。
図9】外部サーバの記憶部に記憶されている管理情報の一例を示す図である。
図10】本実施の形態が適用される環境教育システムの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図11図10のS7における分析の一例を示すフローチャートである。
図12】アンケートを入力するアンケート入力画面に対してユーザがタッチ操作している様子を示す図である。
図13】学習者が行った省エネ行動を入力するための行動入力画面に対して学習者がタッチ操作を行っている様子を示す図である。
図14】メータの値を入力するためのメータ入力画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<環境教育システム1の全体構成>
図1は、本実施の形態が適用される環境教育システム1の全体構成を示す図である。
環境教育システム1は、小学校、中学校および高等学校等による教育を通じて、学習者に対して、地球環境に対して好ましい行動の実践を促すシステムである。環境教育システム1では、学習者が所持する端末にインストールされている学習用アプリケーションソフトウェア(以下、学習アプリケーションと称する)を用いて授業が行われる。学習者は、授業時間中もしくは授業時間外またはその両方において、学習アプリケーションを用いて環境教育に関するコンテンツを端末に表示させることができる。また、学習者は、環境教育に関する課題やアンケート等を、学習アプリケーションを用いて端末に入力し、課題やアンケート等を教員に提出することができる。この学習アプリケーションを用いた環境教育の一例では、複数回の授業が行われる。例えば、毎週1回、1時間の授業が6回行われる。本明細書中において、一連の授業の初回の授業を第1ステップ、2回目の授業を第2ステップのように、N回目の授業を第Nステップと称することがある。
【0009】
環境教育システム1は、学習者が所持する端末である学習者端末10と、教育を行う教員が所持する教員端末20と、学校の教室に配置され、学習者端末10および教員端末20が内部ネットワークである学校内のネットワークに接続するために用いる中継装置30とを備える。また、環境教育システム1は、学校ごとに管理される学校サーバ40を備え、学習者端末10および教員端末20は中継装置30を介して組織サーバの一例である学校サーバ40に接続される。さらに、環境教育システム1は、学習アプリケーションを配布し、学習アプリケーションを管理する外部サーバ50を備え、学校サーバ40と外部サーバ50とが外部ネットワーク90を介して接続される。中継装置30は、例えば、無線通信により学習者端末10および教員端末20に接続する無線LANルータである。外部ネットワーク90は、例えば、インターネットである。
なお、組織サーバは、単一の学校ごとに管理するサーバに限られず、例えば、系列校や付属校のような複数の学校を含む組織によって管理されるサーバであってもよく、また、複数の学校を管理する市区町村等の自治体組織によって管理されるサーバであってもよい。
【0010】
<学習者端末10および教員端末20のハードウェア構成>
図2は、学習者端末10および教員端末20の構成の一例を示す図である。
学習者端末10および教員端末20は、装置全体を制御する制御部11、21と、データ等の記憶に用いられる記憶部12、22と、操作受付画面や画像の表示に使用される表示部13、23と、ユーザの入力操作を受け付ける操作部14、24と、外部装置との通信に用いられる通信部15、25とを備えている。
【0011】
制御部11、21は、CPU(Central Processing Unit)11a、21a、ROM(Read Only Memory)11b、21b、RAM(Random Access Memory)11c、21cにより構成される。ROM11b、21bには、CPU11a、21aにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)や各種の設定等が記憶されている。CPU11a、21aは、RAM11c、21cを作業エリアに使用し、ROM11b、21bや記憶部12、22から読み出した各種のアプリケーションプログラムを実行する。CPU11aがプログラムを実行することにより、学習者端末10および教員端末20の各部が制御される。
【0012】
記憶部12、22は、半導体メモリ等の記憶装置であることを例示することができる。
表示部13、23は、静止画像や動画像等を表示するディスプレイ装置である。表示部13、23は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであることを例示することができる。
操作部14、24は、ユーザからの操作を受け付ける入力装置である。操作部14、24は、タッチパネル、キーボード、マウス、スイッチ、マイクロフォン等であることを例示することができる。
通信部15、25は、通信インターフェースであることを例示することができる。
【0013】
以上のように構成された学習者端末10および教員端末20は、例えば、学校から貸与されるタブレット端末が一例として挙げられる。また、学習者端末10および教員端末20は、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)、携帯電話(所謂「フィーチャーフォン」)、携帯情報端末(PDA)、ノートPC、デスクトップPC等であっても良い。
【0014】
<学校サーバ40および外部サーバ50のハードウェア構成>
図3は、学校サーバ40および外部サーバ50の構成の一例を示す図である。
制御部41、51は、CPU(Central Processing Unit)41a、51a、ROM(Read Only Memory)41b、51b、RAM(Random Access Memory)41c、51cにより構成される。ROM41b、51bには、CPU41a、51aにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)や各種の設定等が記憶されている。CPU41a、51aは、RAM41c、51cを作業エリアに使用し、ROM41b、51bや記憶部42、52から読み出した各種アプリケーションプログラムを実行する。CPU41a、51aが各種プログラムを実行することにより、学校サーバ40および外部サーバ50の各部が制御される。
【0015】
記憶部42、52は、半導体メモリ等の記憶装置であることを例示することができる。
表示部43、53は、静止画像や動画像等を表示するディスプレイ装置である。表示部43、53は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイであることを例示することができる。
操作部44、54は、ユーザからの操作を受け付ける入力装置である。操作部44,54は、キーボード、マウス、タッチパネル、スイッチ、マイクロフォン等であることを例示することができる。
通信部45、55は、通信インターフェースであることを例示することができる。
【0016】
学校サーバ40および外部サーバ50は、ノートPC、デスクトップPCが一例として挙げられる。
【0017】
<学習者端末10の機能構成>
次に、図4を参照し、本実施の形態に係る学習者端末10の機能構成について説明する。
図4は、本実施の形態に係る学習者端末10の機能構成の一例を示す図であり、例えば外部サーバ50からインストールされるアプリケーションプログラムによって、本実施の形態における学習者端末10側の各機能が実現される。
【0018】
学習者端末10は、学習者端末10に入力される情報を受け付ける入力受付部101と、学習者端末10の表示部13(図2参照)を制御する表示制御部102と、学習者が実行しやすい省エネ行動を学習者に提示するおすすめ行動提示部105と、を備える。
ここで省エネ行動とは、エネルギー資源の使用量が削減される可能性がある行動として予め定められている行動である。エネルギー資源とは、例えば、ガス、電気、水道水などのインフラ系資源が一例として挙げられる。学習アプリケーションでは、短期間で効果が出やすく子供でも取り組みやすい省エネ行動として、例えば16個の行動が予め定められている。
【0019】
入力受付部101は、学習者が学習者端末10の操作部14(図2参照)のタッチパネルを用いて入力した省エネ行動に関するデータを受け付ける。
ここで、省エネ行動に関するデータとは、学習アプリケーションにて入力が求められる情報であり、より具体的には、学習者が行った省エネ行動の履歴や、環境意識・実態に関するアンケートや、省エネ行動の効果を示す情報や、学習者が作成するレポート等である。
省エネ行動の効果を示す情報とは、省エネ行動にともなって変化する可能性のある情報であり、例えば、エネルギー資源の使用量に関する情報である。
エネルギー資源の使用量に関する情報とは、例えば、学習者が住んでいる家のガスメータや電気メータや水道メータの値等である。学習アプリケーションを用いた授業の一例では、ステップ毎に、ガスメータ、電気メータおよび水道メータの値を入力することが学習者に求められている。具体的には、初回の授業後に資源メータの値の入力が求められ、2回目以降の授業の前にメータの値を入力することが求められる。
学習者が作成するレポートは、文書作成ソフトウェア等によって電子的に作成したものを学習者端末10に入力してもよく、また、学習者がプリント等に手書きでレポートを作成し、スキャナ等の画像読取装置を用いて学習者端末10に入力してもよい。
【0020】
表示制御部102は、環境教育で用いられる電子教科書や動画などのコンテンツを学習者端末10の表示部13(図2参照)に表示する。また、学習者が省エネ行動に関するデータを入力するための画面を表示する。
【0021】
おすすめ行動提示部105は、学習者毎に、学習者が実際に行動を実行すると期待される省エネ行動を提示する。おすすめ行動提示部105は、環境問題に対する学習者の関心の段階を判断するステージ判断部106と、判断された関心の段階に基づいて省エネ行動を決定するおすすめ決定部107とを備える。
上述したように、本学習アプリケーションでは、省エネ行動として16個の行動が予め定められている。この16個の行動には、例えば、機器設定を変更すること(初期設定値の改善)と、毎日の行動でできること(習慣性の改善)とがある。
【0022】
機器設定でできることは、1.台所の給湯温度設定を下げる、2.お風呂の設定温度を下げる、3.シャワーの設定温度を下げる、4.洗濯機をエコ/節水モードにする、5.使わないときは電源プラグを抜く、6.冷蔵庫の設定を中や弱にする、7.テレビの設定を省エネモードにする、8.エアコンの温度設定を、夏は室温28℃、冬は20℃に変更する、ことが例示できる。
また、毎日の行動でできることは、9.使っていない場所の照明を消す、10.テレビを見ていないときは消す、11.トイレの大小レバーを使い分ける、12.トイレのふたをする(暖房便座・温水洗浄便座など)、13.シャワーを使う時間を5分以内にする、14.お風呂のふたはこまめに閉める、15.お湯は必要な量だけ沸かす、16.鍋にふたをする、ことが例示できる。
【0023】
ステージ判断部106は、アンケートや省エネ行動の履歴から、ユーザが省エネ行動変容ステージモデルにおいてどのステージにいるかを判断する。省エネ行動変容ステージモデルとは人が行動(生活習慣)を変える場合は、「無関心期」、「関心期」、「準備期」、「実行期」「維持期」の5つのステージを通るという考えに基づく行動変容ステージモデルに省エネ行動を適用したものである。ここで、省エネ行動変容ステージモデルのステージとして、例えば、環境問題に関心のない「無関心期」、環境問題に関心を持ち始めた「関心期」、環境問題に対する活動の準備を行う「準備期」、環境問題に対する活動を実行し始めた「実行期」、環境問題に対する活動を継続的に実行している「維持期」の5つの段階を用いることができる。このステージは、「無関心期」から「維持期」に向かうにつれて環境問題についてより強い関心を持っている状態であると言える。例えば、環境問題についての関心のない「無関心期」では、実行に面倒な省エネ行動を学習者に提示した場合、学習者がその省エネ行動を実行する可能性が低いと考えられる。一方、環境問題に強い関心を持っている「維持期」では、実行に面倒な省エネ行動を提示した場合であっても、学習者によって実行される可能性が高いと考えられる。
【0024】
ステージ判断部106は、例えば、学習者の省エネ行動の回数に応じて省エネ行動変容ステージの段階を判断する。学習者の省エネ行動の回数が実践数の一例である。具体的には、例えば、ステージ判断部106は、ユーザの省エネ行動の回数が週に0回の場合は、「無関心期」と判断する。週に1回~3回の場合は、「関心期」であると判断する。週に4回~6回の場合は、「準備期」であると判断する。週に7回以上の場合は、「実行期」であると判断する。週に7回以上の状態が3週間続いている場合は、「維持期」であると判断する。なお、省エネ行動の回数と行動変容ステージの段階との関係は一例にすぎず、行動変容ステージの段階を判断する閾値は適宜設定されうる。また、ステージ判断部106は、学習者が入力したアンケートの内容やガスメータ等の値の情報を用いて、学習者の行動変容ステージの段階を判断してもよい。例えば「環境問題に関心がありますか?」のアンケートに対して、「とても関心がある」と回答している学習者の行動変容ステージの段階をより高いステージとなるように判断してもよい。また、学習者の世帯のインフラ系資源の使用量が減少傾向にある場合に行動変容ステージの段階をより高いステージとなるように判断してもよい。
【0025】
おすすめ決定部107は、ステージ判断部106が判断したステージに基づいて、1つまたは複数のおすすめの行動を決定する。
省エネ行動には、予め定められた難易度が対応付けられている。ここで、難易度とは、省エネ行動を実行するに際に、実行する者の精神的もしくは物理的な労力の大きさの指標となるものである。省エネ行動を実行する際に、実行する者の精神的もしくは物理的な労力が大きい省エネ行動に、より高い難易度が対応付けられる。言い換えると、省エネ行動を実行するに際に精神的もしくは物理的な労力が小さい省エネ行動に、より低い難易度が対応付けられる。この難易度は、例えば省エネ行動変容ステージモデルについて詳しい専門家が設定する。また、難易度は、複数の学習者から取得した省エネ行動の履歴に対して統計処理もしくは機械学習を行うことにより設定してもよい。例えば、省エネ行動の履歴から「関心期」の学習者が実行する省エネ行動のうち頻度が多い行動を特定し、特定された行動を難易度が低い行動として定めてもよい。
【0026】
おすすめ決定部107は、ステージ判断部106が判断した学習者のステージを取得し、このステージの関心度の高さが高くなるにつれてより高い難易度が対応付けられている省エネ行動あるいはまだ取り組めていない省エネ行動をおすすめの行動に決定する。そして、決定された省エネ行動をおすすめの行動として学習者に提示する。例えば、「13.シャワーを使う時間を5分以内にする」という省エネ行動が、おすすめの行動として決定された場合には、学習者端末10の表示部13に「シャワーを使う時間を5分以内にしよう!」等のメッセージを表示して、学習者のステージに応じた省エネ行動の実行を促す。
【0027】
おすすめ行動提示部105のステージ判断部106とおすすめ決定部107とによる、おすすめの行動を決定する処理は、ステップごとに行われてもよいし、学習者が学習アプリケーションを起動する度におすすめの行動を決定する処理を行ってもよい。
【0028】
<教員端末20の機能構成>
次に、図5を参照し、本実施の形態に係る教員端末20の機能構成について説明する。
図5は、本実施の形態に係る教員端末20の機能構成の一例を示す図であり、例えば外部サーバ50からインストールされるアプリケーションプログラムによって、本実施の形態における教員端末20の各機能が実現される。
教員端末20は、上述した学習者端末10の機能に加えて、教員用の機能として、学校サーバ依頼機能201と、外部サーバ依頼機能202、画面共有指示機能203とを備える。
学校サーバ依頼機能201は、教員から学校サーバ40が行う分析処理の内容を取得して、学校サーバ40に対して、分析処理の内容を送信する。
外部サーバ依頼機能202は、外部サーバ50が行う分析処理の内容を取得して学校サーバ40に送信する。なお、後述するが外部サーバ50が行う分析処理の内容は、学校サーバ40が集約加工を行い作成した集約データと共に、外部サーバ50に送信される。
画面共有指示機能203は、教員端末20に表示されている画面を学習者端末10に表示させる指示を学校サーバ40に対して行う。
<学校サーバ40の機能構成>
次に、図6を参照し、本実施の形態に係る学校サーバ40の機能構成について説明する。
図6は、本実施の形態に係る学校サーバ40の機能構成の一例を示す図であり、例えば外部サーバ50からインストールされるアプリケーションプログラムによって、本実施の形態における学校サーバ40の各機能が実現される。
【0029】
学校サーバ40は、入力受付部401と、記憶制御部402と、分析処理部403と、集約データ作成部404と、画面共有処理部405を備える。
【0030】
入力受付部401は、学習者端末10、教員端末20および外部サーバ50から送られてくる情報を受け付ける。
【0031】
記憶制御部402は、入力受付部401から取得した情報を記憶する制御を行う。
図7は、学校サーバ40が記憶する情報の一例を示す図である。
学校サーバ40は、学習者情報と、教員情報とを記憶し、省エネ行動を学習者の識別情報に対応付けて登録する。
図7(a)に示すように、学習者情報は、学習者ごとに特定されるログインID411に対応づけて登録される。学習者情報は、ログインID411、パスワード412、所属413、氏名414、省エネ行動に関するデータ420を含む。これらの情報は、学習アプリケーションを用いて学習者端末10から取得する。
【0032】
図7(b)は、省エネ行動に関するデータ420の一例を示す表である。
省エネ行動に関するデータは、メータ値423、アンケート424、省エネ行動実践数425、レポート426、が記憶される。メータ値423、アンケート424、省エネ行動実践数425は、ステップごとに記憶されている。また、レポート426は、ステップに依らない情報として記憶されている。
図7(c)は、教員情報の一例を示す表である。
教員情報は、教員ごとに特定されるログインID431に対応付けて登録される。教員情報は、ログインID431、パスワード432、アクセス許可433、氏名434を含む。アクセス許可433は、例えば、その学校における管理者が設定し、このアクセス許可情報によって、学習者の情報にアクセスできる範囲が決定される。
【0033】
ここで、再び、図6を参照して、学校サーバ40の機能を説明する。
分析処理部403は、教員端末20からの指示に基づいて、種々の分析処理を行う。
例えば、省エネ行動に関するデータに含まれるガスメータの値から、クラス単位のガス使用量の削減量の合計や平均を算出する。ここでガス使用量の削減量とは、例えば、初回の授業後から2回目の授業までに使用されたガス使用量を基準として、ガス使用量がどの程度削減されたかを示すことができる。なお、ガスメータや電気メータや水道メータの値は通常、累計で表示されており、計測した量から前回の計測した量を減算することで、計測間に使用された資源の使用量が把握される。
また、班単位やクラス単位のガスの使用量の削減量の合計や平均を算出してもよい。
また、班単位やクラス単位の省エネ行動の数の合計や平均値を算出してもよい。
また、ガスの削減量に限らず、電気、水道などの資源の削減量、削減金額、CO2削減量を、班単位やクラス単位で合計や平均を出してもよい。ここで削減金額とは、資源の削減量に伴いガス会社や電気会社、水道会社に支払う料金の削減金額である。またCO2削減量は、資源の削減量に応じて算出されるCO2の削減量である。
分析処理部403は、分析した内容を整理して表示する画面である所謂ダッシュボードを作成する。例えば、省エネ行動の数の変化や、CO2の削減量の変化を示すグラフや表を作成する。
【0034】
集約データ作成部404は、省エネ行動に関するデータを加工および/または収集して集約データを作成する。集約データが加工データの一例である。この集約データの作成は、外部サーバ50による分析依頼が教員端末20から送られた場合に実行される。この集約データは、省エネ行動に関するデータからユーザの個人情報を消去する処理や、外部サーバで行う分析に必要な情報を集める処理を受けたデータである。個人情報を消去する処理とは、例えば、外部サーバ50に分析を依頼する場合には、ログインIDに対応付けて匿名IDを作成して記憶する。また、集約データを作成する際に、分析に用いられない個人情報、例えば、氏名、性別、学年、クラス、班、電話番号、住所などの個人情報が、レポートやアンケートなどの省エネ行動に関するデータに含まれている場合は、個人情報を除く処理を行う。
また、分析に必要な情報を集める処理とは、省エネ行動に関するデータのうち分析に用いる情報を収集する処理である。分析を依頼する内容により、分析に用いられる情報は異なり、収集される情報は異なる。例えば、省エネ行動に関するデータのみの分析を依頼する場合は、レポート内容や、資源の計量値の情報を除いて、省エネ行動に関するデータのみを、外部サーバ50に送る情報として選別し収集して集約データを作成する。
【0035】
画面共有処理部405は、教員端末20からの指示に応じて、教員端末20に表示されている画面を学習者端末10に表示させる処理を行う。
【0036】
<外部サーバの機能構成>
図8は、本実施の形態に係る外部サーバ50の機能構成例を示す図である。
外部サーバ50は、入力受付部501と記憶制御部502と、管理機能503と、分析機能504とを備える。
【0037】
入力受付部501は、学習者端末10、教員端末20および学校サーバ40から送信される情報を受け付ける。
【0038】
記憶制御部502は、外部サーバ50の記憶部52(図3参照)に記憶される情報を制御する。
図9は、外部サーバ50の記憶部52に記憶されている管理情報の一例を示す図である。
外部サーバ50の記憶部52は、ログインID511に対応付けて、パスワード512、端末識別情報513、学校514、アプリバージョン情報515、コンテンツバージョン情報516、個別分析情報517が記憶される。アプリバージョン情報515は、アプリケーションの改訂回数を示すものである。アプリケーションの改訂とは、例えば、アプリケーションの機能を向上させるバージョンアップや、アプリケーションのバグを修正するバグフィックス等のアップデートが一例である。なお、アプリケーションが複数のモジュールを含み、モジュールごとに改訂される場合は、アプリバージョン情報はモジュールごとに管理されていてもよい。また、コンテンツバージョン情報516とは、コンテンツの改訂回数を示すものである。コンテンツの改訂とは、例えば、学校の年度が替わる際にコンテンツ内のデータを変更するもの、同じ年度中にコンテンツの内容を最新のものに変更するもの、誤字の訂正を行うもの等が一例として挙げられる。
【0039】
管理機能503は、学習者端末10および教員端末20と外部サーバ50が接続した際の接続情報を用いて学習者端末10および教員端末20にインストールされている学習アプリケーションの管理を行う。接続情報とは、端末情報が一例として挙げられる。管理機能503は、プログラム管理機能505と、コンテンツ管理機能506とを備える。
【0040】
プログラム管理機能505は、学習者端末10にダウンロードされている学習アプリケーションのアップデートを管理する。例えば、学習者端末10にインストールされている学習アプリケーションが古いバージョンの学習アプリケーションである場合に、学習アプリケーションの更新を促す通知を学習者端末10に送る。
【0041】
コンテンツ管理機能506は、学習アプリケーション内のコンテンツの内容を管理する。例えば、古いバージョンのコンテンツである場合に、学習アプリケーションの更新を促す通知を行う。また、例えば学校に応じてどのバージョンの教科書を用いるかを記憶させ、学校ごとに異なるバージョンを更新させるようにしてもよい。
【0042】
分析機能504は、教員端末20からの指示に基づいて環境教育に関する分析を行う。分析機能504は、データ補正機能507と、統計分析機能508とを備える。
【0043】
例えば、ガスの使用量は、気温、水温等の天候に応じて使用量の増減が生じやすい。そのため、単に自己のガス使用量のみから削減量を算出する場合に比べて、天候による影響を考慮に入れてガス使用量の削減量を評価すると、省エネ行動による省エネ効果をより適切に評価することができる。データ補正機能507は、天候による影響を考慮に入れて、ガス使用量の削減量の補正を行う。
【0044】
データ補正機能507は、学校が位置している市区町村におけるガス使用量の統計情報を取得し、市区町村におけるガス使用量の推移を取得する。市区町村におけるガス使用量の推移を用いて、省エネ教育を受けなかった場合に各学習者の世帯で使用された値を推計する。具体的には、例えば、第1ステップから第2ステップまでの期間の学習者の世帯のガス使用量を基準として、その後のステップ間に学習者によりガス使用量が削減された量を算出する場合を考える。ここで、第1ステップから第2ステップまでの期間の市区町村における使用された使用量と、第2ステップから第3ステップまでの期間の市区町村における使用量と、の変化の割合を算出する。そして、第1ステップから第2ステップまでの期間における学習者の世帯で使用された値に対して、算出された変化の割合で補正することで、省エネ教育を受けなかった場合における第2ステップから第3ステップまでの期間の学習者の世帯で使用されたであろう値が推計される。この推計された第2ステップから第3ステップまでの期間の学習者の世帯で使用されたであろう値から、実際に学習者が入力した第2ステップから第3ステップまでの期間のガス使用量を、減算・加算することで、天候を考慮したガス使用量の削減量が算出される。
【0045】
また、同じ学校において、今年度と去年度とのガス使用量の削減量を比較したい場合がある。この場合も、例えば、気温補正を行うことで、去年度と今年度と評価を行い易くなる。
また、異なる位置にある学校同士を比較する際に、学校がある位置の市区町村におけるガス使用量の推移を用いて、補正をすることで、天候を考慮して、異なる学校同士の評価を行うことができる。
また、統計または機械学習を用いて、天候の履歴とガス使用量との関係づけることで、ガス使用量のデータを直接用いずに、天候の履歴を用いて補正を行なうようにしてもよい。
ガスの使用量の統計データに限らず、例えば、電気の使用量の統計データや、水道の使用量の統計データを用いて補正を行ってもよい。これらの統計データは、アプリ提供者自身で収集してもよいし、他のエネルギー供給会社等からデータを取得してもよい。
【0046】
統計分析機能508は、教員端末20からの指示に応じて、学校サーバ40から取得した集約データの分析処理を行う。
例えば、統計分析機能508は、学校ごとに削減量を比較するデータを作成してもよい。
例えば、統計分析機能508は、自治体ごとの削減量を比較するデータを作成してもよい。自治体ごととは、例えば都道府県ごとに、その都道府県内にある学校を1つの集団とすることが一例に挙げられる。
また、統計分析機能508は、他の自治体・学校の削減量を横並びで見られる一覧を作成する。これによって、学習者の競争心を芽生えさせたり、自己肯定感を向上させたりして行動変容が促される。
【0047】
<処理の手順の一例>
次に、図10を参照し、本実施の形態が適用される環境教育システム1の処理手順の一例を説明する。
図10は、本実施の形態が適用される環境教育システム1の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
学習者端末10は、学習者からの操作を受け付けて、入力画面を表示する(S1)。学習者端末10は、学習者から受け付けた情報を、学校サーバに送信する(S2)。学校サーバ40は、学習者端末10から取得した情報を記憶部に記憶する(S3)。教員が、教員端末20にインストールされた学習アプリケーションを用いて、分析依頼画面を表示させ(S4)、分析依頼内容を教員端末20に入力すると、教員端末20は、分析依頼入力を受け付ける(S5)。教員端末20は、受け付けた分析依頼を学校サーバ40に送信する(S6)。学校サーバ40は、分析依頼情報を取得すると(S7)、分析依頼情報に応じた集約加工処理を実行する(S8)。集約加工処理が終了すると、学校サーバ40は、集約情報と分析依頼情報とを併せて外部サーバ50に送信する(S9)。外部サーバ50は、集約情報と分析依頼情報とを取得する(S10)。外部サーバ50は、分析依頼情報に応じた分析を実行し(S11)、分析内容を学校サーバ40に送信する(S12)。学校サーバは、外部サーバ50から分析内容を取得すると(S13)、分析内容を教員端末20に送信する(S14)。教員端末20は、分析内容を取得すると(S15)、分析内容の表示を行う(S16)。
【0048】
図11は、図10のS7における分析の一例を示すフローチャートである。
外部サーバ50は、集約データから学校の位置情報を取得する(S21)。そして、取得した位置情報を含む地域のガス使用量等の情報を取得する(S22)。取得した情報を用いて、その地域のガス使用量の変動を算出する(S23)。S23で算出した変動を用いて集約データのガス使用量の削減量を補正する(S24)。
【0049】
<表示画面>
図12は、アンケートを入力するアンケート入力画面に対してユーザがタッチ操作をしている様子を示す図である。このアンケート入力画面では、アンケートの内容を示す文字情報としてアンケート内容1201が複数表示され、各アンケート内容1201に対してステップごとの回答欄1202が複数表示される。この図の例では、「問1.環境問題に関心がありますか?」のアンケート内容1201に対して、第2ステップを示す「ステップ2」の回答欄1202では、「4」と回答され、第3ステップを示す「ステップ3」の回答欄1202では、「3」と回答されていることが示されている。
学習者がアンケートを回答したいマスをタッチすると、回答番号の一覧1203が表示される。表示された回答番号を学習者がタッチすることで、タッチされた回答番号が入力される。
【0050】
図13は、学習者が行った省エネ行動を入力するための行動入力画面に対して学習者がタッチ操作を行っている様子を示す図である。
この行動入力画面では、複数の省エネ行動1301が表示され、各省エネ行動に対して、省エネ行動を行った場合の効果を示す欄1303が表示される。省エネ行動を行った場合の効果を示す欄1303の最上段には、「4人世帯の1年間の節約金額(円)」が対応付けて表示される。また、実行した項目をチェックするための欄1302が授業を行った日付もしくは授業を行う予定の日付ごとに設けられている。ここでは、2回目の授業を行った日付として、「6月3日」が表示され、4回目の授業を行う予定の日付として「6月17日」が表示されている。
この図において、一番目の省エネ行動(「台所の給湯温度設定を下げる」)に対して、効果として節約金額「1,100」円と表示され、第2回目の授業(6月3日)および第3回目の授業(6月10日)までに実行した項目としてチェックされていることが示されている。
学習者が、実行した項目としてチェックしたい欄をタッチすると、実行したか否かを確認する実行確認表示1304が表示される。この実行確認表示1304は「実行しましたか」というメッセージ1305と、「はい」と表示された選択ボタン1306と、「いいえ」と表示された選択ボタン1307とを備える。「はい」と表示された選択ボタン1306が学習者によってタッチされると、実行したことを示すチェックが表示される。
【0051】
図14は、エネルギー資源のメータの値を入力するためのメータ入力画面の一例を示す図である。
このメータ入力画面では、ステップ1401ごとに、計測した日時を入力する日時入力欄1402と、エネルギー資源の使用量を示すメータの値を入力する欄としてメータ値欄1403がある。メータ値欄1403としては、電気メータの値とガスメータの値と水道メータの値とを入力する欄が設けられている。
学習者は、電気メータ、ガスメータおよび水道メータの値を目視して計測し、それぞれの値をメータ値欄1403に入力する。また、学習者は、電気メータ、ガスメータ、および水道メータの値を計測した日時を日時入力欄1402に入力する。
図14では、第1ステップを示す表示「ステップ1」に対応付けて、日時入力欄1402に「6月12日午前8時00分」と入力され、メータ値欄1403の電気メータの値として「00345.1kWh」と入力され、ガスメータの値として「0067.2m」と入力され、水道メータの値として「0089.3m」と入力されている例が示されている。
【0052】
なお、本実施の形態では、日時入力欄1402は、ステップごとに1つの欄が設けられているが、ステップごとに複数の欄が設けられていてもよい。具体的には、例えば、電気メータの値、ガスメータの値、水道メータの値を計測した日時をそれぞれのメータごとに入力する欄が設けられていてもよい。また、日時入力欄1402は、メータ値欄1403にメータの値が入力された時に、学習者端末10によって自動的にその日時が日時入力欄1402に入力されてもよい。
【0053】
本実施の形態によれば、環境教育を受ける複数の学習者が利用する各々の学習者端末10が内部ネットワークである中継装置30を介して学校サーバ40接続され、学校サーバ40が省エネ行動に関するデータを取得している。これによって、学校サーバ40が個人情報等の情報の漏洩を抑制し、さらに、学校サーバ40が省エネ行動に関するデータを加工して外部サーバ50に送信することで、学校サーバ40のみでは行えないデータ分析が可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1…環境教育システム、10…学習者端末、20…教員端末、30…中継装置、40…学校サーバ、50…外部サーバ、90…外部ネットワーク
【要約】      (修正有)
【課題】学習者端末をクラス単位等のサーバだけに接続した場合と比べ、より好ましい環境教育を実現する。
【解決手段】環境教育システム1は、学習者が利用する学習者端末20と内部ネットワークを介して接続され、学習者端末にて各々入力された省エネ行動に関するデータの集計及び/又は集計加工を行う学校サーバ40と、学習者端末及び組織サーバに外部ネットワーク90を介して接続され、学習者端末に対して提供したプログラム又は各々の端末に提供されたプログラムを管理するとともに、学習者端末との接続情報を記憶し接続情報を用いて各々の端末に対して環境教育に関する情報を提供する外部サーバ50とを有する。学校サーバは、学習者端末から入力された省エネ行動に関するデータを集約加工した加工データを外部サーバへ提供し、外部サーバは、学校サーバから取得した加工データの省エネ分析結果を、組織サーバ及び/又は学習者端末に提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14