(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】物品情報提供システム、物品情報提供方法、端末装置、色情報提供装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/46 20060101AFI20240126BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240126BHJP
H04N 1/60 20060101ALI20240126BHJP
G01J 3/46 20060101ALI20240126BHJP
【FI】
H04N1/46
H04N1/00 127A
H04N1/60
G01J3/46 Z
(21)【出願番号】P 2023556907
(86)(22)【出願日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 JP2023018301
【審査請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2022082288
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022167839
(32)【優先日】2022-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100215935
【氏名又は名称】阿部 茂輝
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(72)【発明者】
【氏名】谷口 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】笠原 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】森原 康博
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-15539(JP,A)
【文献】特開2012-65192(JP,A)
【文献】国際公開第2021/215263(WO,A1)
【文献】特開2021-43865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/46-62
H04N 1/00
G01J 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端末と、第2の端末と、物品情報提供装置と、色情報提供装置とを備える物品情報提供システムであって、
前記第1の端末は、
前記物品情報提供装置が提供する物品の情報を取得し、提示する情報提示部
を備え、
前記第2の端末は、
前記第1の端末から、前記物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、
キャリブレーションされたディスプレイと、
前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供装置から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、前記ディスプレイを用いて提示する色提示部と
を備え、
前記色情報提供装置は、
前記第2の端末から受信した前記物品識別情報に対応する色情報を、前記第2の端末に送信する色情報提供部
を備える、物品情報提供システム。
【請求項2】
前記色情報は、前記物品の色を示す情報と、前記物品の質感を示す情報とを含み、
前記色提示部は、前記物品の色を示す情報と、前記物品の質感を示す情報とに基づき生成したコンピュータグラフィクスを前記ディスプレイに表示させる、
請求項1に記載の物品情報提供システム。
【請求項3】
前記色情報提供部は、前記物品識別情報に対応する、色を示す情報と質感を示す情報とに基づき生成したコンピュータグラフィクスを、前記色情報に含めて前記第2の端末に送信する、
請求項1に記載の物品情報提供システム。
【請求項4】
前記色情報提供部は、前記物品識別情報に対応付けて記憶されていた画像を、前記色情報に含めて前記第2の端末に送信し、
前記色提示部は、前記色情報提供部が送信した前記画像を、前記ディスプレイに表示させる、
請求項1に記載の物品情報提供システム。
【請求項5】
前記物品の情報は、前記物品識別情報を示す画像を含み、
前記第2の端末は、撮像部をさらに備え、
前記物品識別情報取得部は、前記情報提示部が提示した前記画像を、前記撮像部を用いて撮像して、前記物品識別情報を取得する、
請求項1に記載の物品情報提供システム。
【請求項6】
前記物品の情報は、前記情報提示部に、前記物品識別情報を含むメッセージを送信させることを指示する情報を含み、
前記物品識別情報取得部は、前記メッセージを受信する、
請求項1に記載の物品情報提供システム。
【請求項7】
前記第1の端末は、前記第2の端末でもあり、
前記物品の情報は、前記第2の端末を前記色提示部として動作させるためのアプリケーションを指定する情報と、前記物品識別情報とを含み、
前記物品識別情報取得部は、前記アプリケーションを指定する情報を取得し、該情報が指定する前記アプリケーションに、前記物品識別情報を供給する、
請求項1に記載の物品情報提供システム。
【請求項8】
色材の配合率から予測された分光反射率の予測値を取得する予測値取得部と、
前記配合率で配合された色材の分光反射率の測定値を取得する測定値取得部と、
前予測値と前記測定値との比較に基づき、前記測定値を実績色として前記色情報提供装置に登録するか否かを判定する判定部と
を備える、請求項1に記載の物品情報提供システム。
【請求項9】
前記判定部における前予測値と前記測定値との比較は、前予測値の波長方向の微分値または差分値と、前記測定値の波長方向の微分値または差分値との比較である、請求項8に記載の物品情報提供システム。
【請求項10】
前記測定値取得部が取得する前記測定値は、物体の表面であって、前記色材が印刷、塗布、配合、または染められた表面の分光反射率を測定した値であり、
前記判定部は、前記測定値取得部が取得した測定値を、前記物体の表面であって、前記色材が印刷、塗布、配合、または染められていない表面の分光反射率で割った値を用いる、請求項8に記載の物品情報提供システム。
【請求項11】
前記配合率は、前記色材の配合濃度を示す値を含み、
前記判定部は、前記測定値を登録するか否かを判定する際に用いる閾値を、前記色材の配合濃度を示す値に応じた値とする、請求項8に記載の物品情報提供システム。
【請求項12】
第1の端末と、第2の端末と、物品情報提供装置と、色情報提供装置とを備える物品情報提供システムによる物品情報提供方法であって、
前記第1の端末が、前記物品情報提供装置が提供する物品の情報を取得し、提示するステップと、
前記第2の端末が、前記第1の端末から、前記物品を識別する物品識別情報を取得するステップと、
前記第2の端末が、前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供装置から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、キャリブレーションされたディスプレイを用いて提示するステップと、
前記色情報提供装置が、前記第2の端末から受信した前記物品識別情報に対応する色情報を、前記第2の端末に送信するステップと
を有する、物品情報提供方法。
【請求項13】
第1の端末から、物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、
前記物品識別情報を用いて、前記物品識別情報に対応する色情報を色情報提供装置から取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、キャリブレーションされたディスプレイを用いて提示する色提示部と
を備える端末装置。
【請求項14】
コンピュータを、
第1の端末から、物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部、
前記物品識別情報を用いて、前記物品識別情報に対応する色情報を色情報提供装置から取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、キャリブレーションされたディスプレイを用いて提示する色提示部
として機能させるためのプログラム。
【請求項15】
色情報提供装置であって、
端末から受信した、物品を識別する物品識別情報に対応する色情報を、前記端末に送信する色情報提供部
を備え、
前記端末は、
他の端末から、前記物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、
キャリブレーションされたディスプレイと
前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供装置から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、前記ディスプレイを用いて提示する色提示部と
を備える、色情報提供装置。
【請求項16】
コンピュータを、
端末から受信した物品を識別する物品識別情報に対応する色情報を、前記端末に送信する色情報提供部
として機能させるためのプログラムであって、
前記端末は、
他の端末から、前記物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、
キャリブレーションされたディスプレイと
前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供部から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、前記ディスプレイを用いて提示する色提示部と
を備える、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品情報提供システム、物品情報提供方法、端末装置、色情報提供装置、およびプログラムに関する。
本願は、2022年5月19日に、日本に出願された特願2022-082288号、および2022年10月19日に、日本に出願された特願2022-167839号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレット端末など、インターネットに接続された端末の普及により、ネットショッピングや、電子カタログなど、ディスプレイを介して、物品の情報を得ることが多くなっている。
また、インキの配合比率から、分光反射率、あるいは色空間における座標値を予測し、これらを対応付けて記憶する色域データベースがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、印刷物には、使用されているインキの色を確認するために、裁断される枠外に、各インキが印刷されている。印刷会社やインキメーカなどは、これらのインキが印刷された部分を、分光光度計を用いて測定して得られた分光反射率を、インキの配合率と対応付けて実績色として登録したデータベースを構築している。そして、特定の色のインキが必要な際に、このデータベースを参照する。
【0004】
また、見本色を再現する色材の配合率を算出するCCM(Computer Color Matching)と呼ばれるシステムがある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】日本国特許第6093618号
【文献】日本国特許第4221967号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの端末のディスプレイにおいては、物品の画像をディスプレイで表示したときに、表示される色が異なることがあり、物品の色を正しく伝えられないことがあるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、物品の色を正しく伝えることができる物品情報提供システム、物品情報提供方法、端末装置、色情報提供装置、およびプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様は、第1の端末と、第2の端末と、物品情報提供装置と、色情報提供装置とを備える物品情報提供システムであって、前記第1の端末は、前記物品情報提供装置が提供する物品の情報を取得し、提示する情報提示部を備え、前記第2の端末は、前記第1の端末から、前記物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、キャリブレーションされたディスプレイと、前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供装置から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、前記ディスプレイを用いて提示する色提示部とを備え、前記色情報提供装置は、前記第2の端末から受信した前記物品識別情報に対応する色情報を、前記第2の端末に送信する色情報提供部を備える、物品情報提供システムである。
【0009】
また、本発明の他の一態様は、上述した物品情報提供システムであって、前記色情報は、前記物品の色を示す情報と、前記物品の質感を示す情報とを含み、前記色提示部は、前記物品の色を示す情報と、前記物品の質感を示す情報とに基づき生成したコンピュータグラフィクスを前記ディスプレイに表示させる。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、上述した物品情報提供システムであって、前記色情報提供部は、前記物品識別情報に対応する、色を示す情報と質感を示す情報とに基づき生成したコンピュータグラフィクスを、前記色情報に含めて前記第2の端末に送信する。
【0011】
また、本発明の他の一態様は、上述した物品情報提供システムであって、前記色情報提供部は、前記物品識別情報に対応付けて記憶されていた画像を、前記色情報に含めて前記第2の端末に送信し、前記色提示部は、前記色情報提供部が送信した前記画像を、前記ディスプレイに表示させる。
【0012】
また、本発明の他の一態様は、上述した物品情報提供システムであって、前記物品の情報は、前記物品識別情報を示す画像を含み、前記第2の端末は、撮像部をさらに備え、前記物品識別情報取得部は、前記情報提示部が提示した前記画像を、前記撮像部を用いて撮像して、前記物品識別情報を取得する。
【0013】
また、本発明の他の一態様は、上述した物品情報提供システムであって、前記物品の情報は、前記情報提示部に、前記物品識別情報を含むメッセージを送信させることを指示する情報を含み、前記物品識別情報取得部は、前記メッセージを受信する。
【0014】
また、本発明の他の一態様は、上述した物品情報提供システムであって、前記第1の端末は、前記第2の端末でもあり、前記物品の情報は、前記第2の端末を前記色提示部として動作させるためのアプリケーションを指定する情報と、前記物品識別情報とを含み、前記物品識別情報取得部は、前記アプリケーションを指定する情報を取得し、該情報が指定する前記アプリケーションに、前記物品識別情報を供給する。
【0015】
また、本発明の他の一態様は、上述した物品情報提供システムであって、色材の配合率から予測された分光反射率の予測値を取得する予測値取得部と、前記配合率で配合された色材の分光反射率の測定値を取得する測定値取得部と、前予測値と前記測定値との比較に基づき、前記測定値を実績色として前記色情報提供装置に登録するか否かを判定する判定部とを備える。
【0016】
また、本発明の他の一態様は、上述した物品情報提供システムであって、前記判定部における前予測値と前記測定値との比較は、前予測値の波長方向の微分値または差分値と、前記測定値の波長方向の微分値または差分値との比較である。
【0017】
また、本発明の他の一態様は、上述した物品情報提供システムであって、前記測定値取得部が取得する前記測定値は、物体の表面であって、前記色材が印刷、塗布、配合、または染められた表面の分光反射率を測定した値であり、前記判定部は、前記測定値取得部が取得した測定値を、前記物体の表面であって、前記色材が印刷、塗布、配合、または染められていない表面の分光反射率で割った値を用いる。
【0018】
また、本発明の他の一態様は、上述した物品情報提供システムであって、前記配合率は、前記色材の配合濃度を示す値を含み、前記判定部は、前記測定値を登録するか否かを判定する際に用いる閾値を、前記色材の配合濃度を示す値に応じた値とする。
【0019】
また、本発明の他の一態様は、第1の端末と、第2の端末と、物品情報提供装置と、色情報提供装置とを備える物品情報提供システムによる物品情報提供方法であって、前記第1の端末が、前記物品情報提供装置が提供する物品の情報を取得し、提示するステップと、前記第2の端末が、前記第1の端末から、前記物品を識別する物品識別情報を取得するステップと、前記第2の端末が、前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供装置から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、キャリブレーションされたディスプレイを用いて提示するステップと、前記色情報提供装置が、前記第2の端末から受信した前記物品識別情報に対応する色情報を、前記第2の端末に送信するステップとを有する、物品情報提供方法である。
【0020】
また、本発明の他の一態様は、第1の端末から、物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、前記物品識別情報を用いて、前記物品識別情報に対応する色情報を色情報提供装置から取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、キャリブレーションされたディスプレイを用いて提示する色提示部とを備える端末装置である。
【0021】
また、本発明の他の一態様は、コンピュータを、第1の端末から、物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部、前記物品識別情報を用いて、前記物品識別情報に対応する色情報を色情報提供装置から取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、キャリブレーションされたディスプレイを用いて提示する色提示部として機能させるためのプログラムである。
【0022】
また、本発明の他の一態様は、色情報提供装置であって、端末から受信した、物品を識別する物品識別情報に対応する色情報を、前記端末に送信する色情報提供部を備え、前記端末は、他の端末から、前記物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、キャリブレーションされたディスプレイと、前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供装置から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、前記ディスプレイを用いて提示する色提示部とを備える、色情報提供装置である。
【0023】
また、本発明の他の一態様は、コンピュータを、端末から受信した、物品を識別する物品識別情報に対応する色情報を、前記端末に送信する色情報提供部として機能させるためのプログラムであって、前記端末は、他の端末から、前記物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、キャリブレーションされたディスプレイと、前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供装置から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、前記ディスプレイを用いて提示する色提示部とを備える、プログラムである。
【発明の効果】
【0024】
この発明によれば、物品の色を正しく伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の第1の実施形態による物品情報提供システム100の構成を示す概略ブロック図である。
【
図2】同実施形態における物品情報提供システム100の動作を説明するシーケンス図である。
【
図3】同実施形態における物品識別情報の取得の第1の手法を説明するフローチャートである。
【
図4】同実施形態における物品識別情報の取得の第2の手法を説明するフローチャートである。
【
図5】同実施形態における物品識別情報の取得の第3の手法を説明するフローチャートである。
【
図6】同実施形態における物品の情報の表示例G1を示す模式図である。
【
図7】同実施形態における色提示部22による表示例を示す模式図である。
【
図8】同実施形態における色情報DB部42の構成を示す概略ブロック図である。
【
図9】同実施形態における物品・色材DB42aの記憶内容例(その1)を示す表である。
【
図10】同実施形態における物品・色材DB42aの記憶内容例(その2)を示す表である。
【
図11】同実施形態における物品・色見本DB42bの記憶内容例を示す表である。
【
図12】同実施形態におけるCGパラメータDB42cの記憶内容例を示す表である。
【
図13】同実施形態における色見本DB42dの記憶内容例(その1)を示す表である。
【
図14】同実施形態における色見本DB42dの記憶内容例(その2)を示す表である。
【
図15】同実施形態における物品画像DB42eの記憶内容例を示す表である。
【
図16】この発明の第2の実施形態による実績色登録装置110の構成を示す概略ブロック図である。
【
図17】同実施形態における実績色記憶部105の記憶内容例を示すテーブルである。
【
図18】同実施形態における判定部104の動作を説明するフローチャートである。
【
図19】同実施形態における判定部104による測定値への処理を説明するグラフである。
【
図20】同実施形態における閾値とインキの配合濃度との関係を示すグラフである。
【
図21】同実施形態における実績色登録装置110の画面例G1を示す模式図である。
【
図22】同実施形態における注意ダイアログの表示例G2を示す模式図である。
【
図23】同実施形態の実施結果と比較例とを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態による物品情報提供システム100の構成を示す概略ブロック図である。物品情報提供システム100は、第1の端末10、第2の端末20(端末装置)、EC(Electric Commerce)サーバ(物品情報提供装置)30、色情報提供サーバ(色情報提供装置)40を備える。第1の端末10、第2の端末20、ECサーバ30、色情報提供サーバ40は、インターネットなどのネットワークにより通信可能に接続されている。
【0027】
第1の端末10は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである。第1の端末10は、ECサーバ30が提供する物品の情報(コンテンツ)を取得し、提示する情報提示部11を備える。ここで、物品は、ECサーバ30で販売されている商品であってもよいが、その他であってもよい。例えば、ECサーバ30でレンタルされている商品であってもよいし、書籍、記事などで情報が提供されている物品であってもよい。また、情報提示部11は、第1の端末10にインストールされているWebブラウザなどの汎用アプリケーションにより実装されていてもよいし、特定のコンテンツを視聴するための専用アプリケーションにより実装されていてもよい。
【0028】
第2の端末20は、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどのコンピュータである。第2の端末20は、物品識別情報取得部21、色提示部22、ディスプレイ23を備える。物品識別情報取得部21は、第1の端末10から、物品を識別する物品識別情報を取得する。色提示部22は、物品識別情報取得部21が取得した物品識別情報を用いて、色情報提供サーバ40から色情報を取得し、取得した色情報に基づき、物品の色を、ディスプレイ23を用いて提示する。ディスプレイ23は、キャリブレーションされたディスプレイである。ここで、キャリブレーションされたディスプレイとは、各rgb値に対して表示される色(測色値)が所定の範囲内にあることが保証されているディスプレイである。なお、ディスプレイ23は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなど、いずれの表示方式のディスプレイであってもよい。
【0029】
ECサーバ30は、第1の端末10に物品の情報を提供する。例えば、ECサーバ30は、物品の販売を行うECサイトを提供しており、物品を販売するためのWebページにより、物品の情報を提供してもよい。あるいは、ECサーバ30は、図鑑、カタログ、雑誌などの電子書籍または専用アプリケーションにより、物品の情報を提供してもよい。
【0030】
色情報提供サーバ40は、色情報登録部41、色情報DB(Data Base)部42、色情報提供部43を備える。色情報登録部41は、各物品の色情報を、該物品の物品識別情報に対応付けて色情報DB部42に登録する。色情報登録部41は、色を示す情報そのものの入力を受け付けてもよいし、後述する色を推定するための情報の入力を受け付けてもよいし、後述する色見本DB42dが記憶する色を指定する情報(色見本id、色見本番号など)の入力を受け付けてもよい。また、色情報登録部41は、物品の画像の入力を受け付け、該画像の色に最も近い色を、後述する色見本DB42dから探索するようにしてもよい。この場合、物品の画像は、色がキャリブレーションされたカメラにより撮影されている方が好ましい。色情報登録部41は、各物品の素材を示す情報の入力を受け付け、該素材に応じた質感を示す情報を色情報に含めるようにしてもよい。
【0031】
色情報DB部42は、各物品の物品識別情報に対応付けて、該物品の色情報を記憶するデータベースである。色情報提供部43は、第2の端末20から受信した物品識別情報に対応する色情報を、第2の端末20に送信する。
【0032】
図2は、本実施形態における物品情報提供システム100の動作を説明するシーケンス図である。まず、第1の端末10の情報提示部11が、ECサーバ30に物品情報要求Sa1を送信する。ECサーバ30は、この物品情報要求Sa1を受信すると、その応答として、物品情報Sa2を第1の端末10に送信する。この物品情報Sa2と物品情報要求Sa1は、例えば、物品の情報を提供するWebページと、その要求であってもよいし、物品の情報を提供する電子書籍または専用アプリケーションと、その要求であってもよい。物品情報Sa2を受信すると、第1の端末10の情報提示部11は、物品情報Sa2に基づき、物品の情報を表示する。
【0033】
次に、第2の端末20は、第1の端末10から物品識別情報Sa3を取得する。この物品識別情報Sa3の取得における第1の手法は、2次元コード、電子透かしなど、物品識別情報を示す画像を用いる手法である。この第1の手法では、物品の情報が、物品識別情報を示す画像を含む。また、第2の端末20は、撮像部を備える。
図3は、本実施形態における物品識別情報の取得の第1の手法を説明するフローチャートである。まず、第1の端末10の情報提示部11は、ECサーバ30から取得した物品の情報に含まれる物品識別情報を示す画像を表示する(ステップSb1)。なお、物品の情報が、情報提示部11に物品識別情報を示す画像を表示させることを指示する情報を含んでいてもよい。次に、第2の端末20は、情報提示部11が提示した物品識別情報を示す画像を、撮像部を用いて撮像して、物品識別情報を取得する(ステップSb2)。
【0034】
物品識別情報Sa3の取得における第2の手法は、電子メールなどのメッセージを用いる手法である。この第2の手法では、物品の情報が、情報提示部11に、物品識別情報を含むメッセージを送信させることを指示する情報を含む。
図4は、本実施形態における物品識別情報の取得の第2の手法を説明するフローチャートである。例えば、物品の情報がWebページであれば、該Webページに、物品識別情報を含むメッセージ(例えば、電子メール)を送信するためのフォームへの遷移ボタンが含まれており、該遷移ボタンが押下されると情報提示部11は該フォームに従い、メッセージを送信する(ステップSc1)。第2の端末20の物品識別情報取得部21は、このメッセージを受信することにより、物品識別情報を取得する(ステップSc2)。なお、電子メール以外のSMS(ショートメッセージサービス)、メッセージングアプリを用いるようにしてもよい。
【0035】
物品識別情報Sa3の取得における第3の手法は、第1の端末10が、第2の端末20も兼ねている場合の手法である。この第3の手法では、物品の情報は、第2の端末20を色提示部22として動作させるためのアプリケーションを指定する情報と、物品識別情報とを含む。アプリケーションを指定する情報と、物品識別情報とは、例えば、URL(Universal Resource Locator)を用いて、アプリケーション名://物品識別情報というように記載してもよい。
図5は、本実施形態における物品識別情報の取得の第3の手法を説明するフローチャートである。情報提示部11は、アプリケーションを指定する情報と、物品識別情報とを、物品識別情報取得部21に供給する(ステップSd1)。物品識別情報取得部21は、物品識別情報に加えて、アプリケーションを指定する情報も取得すると、該情報が指定するアプリケーションに、物品識別情報を供給する(ステップSd2)。
【0036】
例えば、物品の情報がWebページであれば、Webページ内に上記URLのリンクが含まれており、ユーザが該リンクをクリックなどすると、Webブラウザは、URLが示すアプリケーションの起動と、該URLが示す物品識別情報を該アプケーションに渡すことをOS(Operating System)に要求する。
【0037】
なお、これら第1から第3の手法は、組み合わせて用いられてもよい。例えば、第1の端末10がキャリブレーションされたディスプレイを備えているときは、第3の手法を用い、それ以外のときは、第1および第2の手法を用いるようにしてもよい。第1の端末10がキャリブレーションされたディスプレイを備えているか否かを、情報提示部11は、第1の端末10が特定の機種であるかに基づき判断してもよい。
【0038】
図2に戻って、物品識別情報Sa3を取得した第2の端末20は、色情報要求Sa4を、色情報提供サーバ40に送信する。この色情報要求Sa4は、取得した物品識別情報を含む。色情報提供サーバ40は、色情報要求Sa4を受信すると、色情報要求Sa4に含まれる物品識別情報に対応する色情報Sa5を、第2の端末20に送信する。第2の端末20は、受信した色情報Sa5に基づき、物品の色を、提示する。
【0039】
ここで、色情報Sa5が、物品の色を示す情報と、物品の質感を示す情報とを含むようにしてもよい。この場合、第2の端末20の色提示部22は、受信した色情報Sa5に含まれる、物品の色を示す情報と物品の質感を示す情報とに基づきコンピュータグラフィクスを生成し、該コンピュータグラフィクスをディスプレイ23に表示させる。
【0040】
また、別の形態として、色情報Sa5が、物品の色を示す情報と、物品の質感を示す情報とに基づくコンピュータグラフィクスを含むようにしてもよい。この場合、色情報提供部43は、物品識別情報に対応する、色を示す情報と質感を示す情報とに基づきコンピュータグラフィクスを生成すると、該コンピュータグラフィクスを色情報Sa5に含めて第2の端末20に送信する。第2の端末20の色提示部22は、受信したコンピュータグラフィクスを表示する。
【0041】
また、別の形態として、色情報Sa5が、物品識別情報に対応付けて記憶されていた画像を含むようにしてもよい。この場合、色情報提供部43は、物品識別情報に対応付けて記憶されていた画像を、色情報Sa5に含めて第2の端末20に送信する。第2の端末20の色提示部22は、色情報提供部43が送信した画像を、ディスプレイ23に表示させる。
【0042】
なお、色情報Sa5が物品の色を示す情報と物品の質感を示す情報とを含む形態、もしくは色情報Sa5がコンピュータグラフィクスを含む形態と、色情報Sa5が物品識別情報に対応付けて記憶されていた画像を含む形態とが組み合わされていてもよい。例えば、色情報提供サーバ40の色情報提供部43が、物品識別情報に対応付けて画像を記憶しているときは、色情報Sa5が物品識別情報に対応付けて記憶されていた画像を含むようにし、記憶していないときは、色情報Sa5が物品の色を示す情報と物品の質感を示す情報とを含む、もしくは色情報Sa5がコンピュータグラフィクスを含むようにしてもよい。
【0043】
図6は、本実施形態における物品の情報の表示例G1を示す模式図である。
図6において、表示例G1は、物品の画像O1と、表示領域B1とを含む。物品の画像O1は、Tシャツのカラー画像であるが、ディスプレイによって異なる色となることがある。表示領域B1は、第2の端末20が物品識別情報を取得するための表示領域である。例えば、物品識別情報の取得における第1の手法であれば、表示領域B1には、2次元コード、電子透かしなど、物品識別情報を示す画像が表示される。なお、物品識別情報を示す画像として、電子透かしを用いる場合は、物品の画像O1に電子透かしを含めておき、表示領域B1を物品の画像O1と別に設けなくてもよい。また、物品識別情報の取得における第2の手法であれば、表示領域B1には、電子メールを送信するためのフォームへの遷移ボタンが表示される。また、物品識別情報の取得における第3の手法であれば、アプリケーションを起動するボタンあるいはリンクが表示される。
【0044】
図7は、本実施形態における色提示部22による表示例を示す模式図である。
図7の表示例は、物品の色を示す情報と物品の質感を示す情報とに基づくコンピュータグラフィクスである。なお、色提示部22は、ユーザ操作に応じて、表示されているオブジェクトの拡大、縮小、回転などを行うようにしてもよい。
【0045】
図8は、本実施形態における色情報DB部42の構成を示す概略ブロック図である。色情報DB部42は、物品・色材DB42a、物品・色見本DB42b、CGパラメータDB42c、色見本DB42d、物品画像DB42eを備える。なお、色情報DB部42は、これらのうち、一部を備えていなくてもよい。
【0046】
物品・色材DB42aは、物品識別情報に対応付けて該物品の色を示す情報と、CGパラメータidとを記憶する。物品・色見本DB42bは、物品識別情報に対応付けて、色見本idとCGパラメータidを記憶する。CGパラメータDB42cは、CGパラメータidに対応付けて、CGパラメータを記憶する。色見本DB42dは、色見本idに対応付けて、色に関する情報を記憶する。物品画像DB42eは、物品識別情報に対応付けて、物品の画像を記憶する。なお、色見本idとしてNFT(Non-Fungible Token)を用いてもよい。
【0047】
なお、色情報提供部43は、物品・色材DB42a、物品・色見本DB42b、物品画像DB42eを予め決められた順に探索して、最初に検出した色情報を使用してもよい。また、物品識別情報に、物品・色材DB42a、物品・色見本DB42b、物品画像DB42eのいずれを用いるかを示す情報が含まれており、色情報提供部43は、該情報に基づき、探索するデータベースを決めるようにしてもよい。
【0048】
図9、
図10は、本実施形態における物品・色材DB42aの記憶内容例を示す表である。物品・色材DB42aは、物品識別情報である物品idに対応付けて、色材種情報、配合割合情報、製造条件情報、CGパラメータid、分光反射率id、分光反射率、L*a*b*、光源/視野、測定条件、測定装置情報を記憶する。色材種情報、配合割合情報、製造条件情報、分光反射率、L*a*b*、光源/視野、測定条件、測定装置情報は、物品の色を示す情報である。
【0049】
色材種情報は、物品に用いられている色材種を示す情報である。配合割合情報は、色材種情報が示す色材種の配合割合を示す情報である。製造条件情報は、物品の製造条件を示す情報である。色情報提供部43または色提示部22は、色材種情報、配合割合情報、製造条件情報を用いて、物品の色を推定してもよい。CGパラメータidは、CGパラメータのセットを識別する情報である。
【0050】
分光反射率idは、分光反射率の識別情報である。分光反射率idと物品idとで、分光反射率を識別するようにしてもよい。分光反射率は、例えば、波長が380から730nmまでの範囲など、可視光の分光反射率を示す。L*a*b*は、測色値を示す。光源/視野、測定条件、測定装置情報は、分光反射率あるいはL*a*b*を測定したときの条件を示す。なお、物品idで示される一つの色に対しては、複数の分光反射率測定装置(例えば、0/45方式、積分球方式の鏡面反射光込み、鏡面反射光除去、偏角測定装置による複数測定値など)による分光反射率を対応付けても良い。
【0051】
図11は、本実施形態における物品・色見本DB42bの記憶内容例を示す表である。物品・色見本DB42bは、物品idに対応付けて、CGパラメータidと、色見本idを記憶する。色見本idは、色見本DB42dが記憶する色を示す情報の識別情報である。
【0052】
図12は、本実施形態におけるCGパラメータDB42cの記憶内容例を示す表である。CGパラメータDB42cは、CGパラメータidに対応付けて、CGパラメータのセットを記憶する。CGパラメータのセットは、質感を示す情報であり、specularのr、g、bと、diffuseのr、g、bと、shinessと、textureとを含む。なお、CGパラメータのセットは、これらの一部を含まなくてもよい。specularのr、g、bは、それぞれ、r、g、bの鏡面反射率を示す情報である。iffuseのr、g、bは、それぞれ、r、g、bの拡散反射率を示す情報である。shinessは、鏡面反射の分布を示す情報である。textureは、表面の凹凸などのテクスチャを示す情報である。
【0053】
図13、
図14は、本実施形態における色見本DB42dの記憶内容例を示す表である。色見本DB42dは、色見本idに対応付けて、色を示す情報である、色見本番号、分光反射率id、分光反射率、L*a*b*、光源/視野、測定情報、測定装置情報を記憶する。ここで、色見本番号は、色見本idに対応する色に対して付された名称、略称、番号などの文字列である。分光反射率idと色見本idとで、分光反射率を識別するようにしてもよい。
【0054】
図15は、本実施形態における物品画像DB42eの記憶内容例を示す表である。物品画像DB42eは、物品idに対応付けて、撮影日時と、物品画像idを記憶する。物品画像idは、物品の画像を識別する。なお、物品画像idに替えて、物品の画像のファイル名、あるいは、物品の画像を記憶していてもよい。撮影日時は、物品の画像が撮影された日時である。
【0055】
<第2の実施形態>
実績色のデータベースを構築する際に、オペレータが測定する場所を間違えた、インキの配合率の入力に誤りがあったなどの原因で、実績色のデータベースの登録内容に誤りが含まれてしまうことがある。第2の実施形態では、実績色のデータベースの登録内容に誤りが含まれてしまうことを抑えることができる実績色登録装置、実績色登録方法、およびプログラムを説明する。
【0056】
図16は、この発明の第2の実施形態による実績色登録装置110の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態において、実績色登録装置110は、紙にインキを印刷したときの実績色を登録する。なお、本実施形態は、紙にインキを印刷したときの実績色を登録するが、その他の形態も有り得る。例えば、塗料を金属などの物体に塗布したときの実績色を登録する形態も有り得るし、染料で布地などを染めたときの実績色を登録する形態も有り得るし、色材を配合した樹脂などの実績色を登録する形態も有り得る。
【0057】
実績色登録装置110は、配合率入力部101、分光反射率予測部102、分光反射率測定部103、判定部104、実績色記憶部105、用紙・下地入力部106を備える。実績色記憶部105は、第1の実施形態における物品・色材DB42a、色見本DB42dのいずれか一方あるいは両方であってもよい。その場合、実績色登録装置110は、物品情報提供システム100に備えられていてもよい。また、物品・色材DB42a、色見本DB42dは、分光反射率に対応付けて、インキのサンプル名と、該インキの色材の配合率とを記憶してもよい。実績色登録装置110は、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどの1つまたは複数のコンピュータがソフトウェアを実行することで実現される。
【0058】
配合率入力部101は、各インキの色材の配合率の入力を受け付ける。この配合率の入力は、オペレータが、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力デバイスを用いて行われてもよいし、実績色登録装置110がネットワークなどを介して他の装置から受信することで行われてもよいし、実績色登録装置110がUSBメモリなどの可搬型の記憶媒体から読み込むことで行われてもよい。分光反射率予測部102(予測値取得部)は、配合率入力部101が受け付けた色材の配合率から、分光反射率の予測値を算出する。この予測値の算出には、CCMの技術を用いる。なお、実績色登録装置110は、配合率入力部101と分光反射率予測部102に代えて、他の装置から、色材の配合率と、該配合率から予測された分光反射率の予測値とを取得する予測値取得部を備えるようにしてもよい。
【0059】
分光反射率測定部103は、分光光度計を備え、配合率入力部101が入力を受け付けた配合率で配合されたインキの分光反射率を測定し、該測定による測定値を取得する。本実施形態では、分光反射率測定部103は、インキが印刷された紙の表面の分光反射率を測定する。なお、塗料を金属に塗布したときの実績色を登録する形態であれば、分光反射率測定部103は、金属の表面であって、塗料が塗布された表面の分光反射率を測定する。また、染料で布地などを染めたときの実績色を登録する形態であれば、分光反射率測定部103は、布地の表面であって、染料が染められた表面の分光反射率を測定する。また、色材を配合した樹脂などの実績色を登録する形態であれば、分光反射率測定部103は、樹脂の表面であって、色材が配合された表面の分光反射率を測定する。このように、分光反射率測定部103は、物体の表面であって、色材が印刷、塗布、配合、または染められた表面の分光反射率を測定する。
【0060】
判定部104は、分光反射率予測部102が算出した予測値と、分光反射率測定部103が取得した測定値との比較に基づき、測定値を実績色として登録するか否かを判定する。一実施形態では、判定部104における予測値と測定値との比較は、予測値の波長方向の微分値または差分値と、測定値の波長方向の微分値または差分値との比較である。例えば、波長位置n(n=0~N)の予測値が、Pnであり、波長位置n(n=0~N)の測定値が、Rnである場合、判定部104は、予測値の差分値dPn=Pn+1-Pn(n=0~N-1)と測定値の差分値dRn=Rn+1-Rn(n=0~N-1)とを比較する。
【0061】
また、一実施形態では、判定部104は、分光反射率測定部103が取得した測定値を、紙(インキが印刷されていない表面)の分光反射率で割った値を用いる。例えば、判定部104は、上述のRnとして、波長位置nが0からNまでの測定値の範囲が所定の範囲(例えば、0から1)となるように正規化した後に、紙の分光反射率で割った値が用いられる。なお、この場合、予測値Pnも、波長位置nが0からNまでの予測値の範囲が所定の範囲となるように正規化した値が用いられる。
【0062】
具体的には、分光反射率測定部103が取得した波長位置nの測定値を所定の範囲となるように正規化した値が、R^nであり、紙の分光反射率がBnである場合、Rn=R^n/Bnとする。なお、判定部104は、紙の分光反射率で割った後に、所定の範囲となるように正規化してもよい。
【0063】
また、一実施形態では、判定部104による予測値と測定値と比較は、これらの決定係数(R2値)または相関係数を算出し、閾値よりも大きいか否かにより行う。判定部104は、算出した決定係数が閾値よりも大きいときは、測定値を実績色記憶部105に登録する。また、判定部104は、算出した決定係数が閾値よりも大きくないときは、実績色登録装置110のオペレータに、誤ったサンプルを測定していないか注意を促す。例えば、判定部104は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示手段にダイアログを表示して、オペレータに、そのまま測定値を実績色記憶部105に登録するか、再度測定をするか、そのインキの実績色登録をあきらめるかを選択させる。
【0064】
実績色記憶部105は、色材の配合率と対応付けて、測定値を記憶する実績色のデータベースである。用紙・下地入力部106は、例えば、コート紙、コート厚紙、上質紙など、インキが印刷された紙あるいは下地を指定する入力を受け付ける。この紙の指定の入力は、オペレータが、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力デバイスを用いて行われてもよいし、実績色登録装置110がネットワークなどを介して他の装置から受信することで行われてもよいし、実績色登録装置110がUSBメモリなどの可搬型の記憶媒体から読み込むことで行われてもよい。判定部104は、紙の分光反射率として、用紙・下地入力部106で指定された紙の分光反射率を用いる。なお、用紙・下地入力部106は、紙あるいは下地の指定に代えて、紙あるいは下地の分光反射率の入力を受け付けてもよい。
【0065】
図17は、本実施形態における実績色記憶部105の記憶内容例を示すテーブルである。実績色記憶部105は、インキのサンプル名と、該インキの色材の配合率(希釈材、色材A、色材B、色材C、・・・)と、該インキの分光反射率の測定値(波長λ1、波長λ2、波長λ3、・・・)とを対応付けて記憶する。
図17の例では、#1の行で、サンプル名「AAA-001」、希釈材「10%」、色材A「5%」、色材B「20%」、色材C「5%」、・・・、波長λ1「0.0」、波長λ2「0.11」、波長λ3「0.13」、・・・が対応付けて記憶されている。
【0066】
#2の行では、サンプル名「AAA-002」、希釈材「30%」、色材A「0%」、色材B「20%」、色材C「8%」、・・・、波長λ1「0.0」、波長λ2「0.01」、波長λ3「0.02」、・・・が対応付けて記憶されている。#3の行では、サンプル名「BBB-001」、希釈材「30%」、色材A「0%」、色材B「0%」、色材C「30%」、・・・、波長λ1「0.05」、波長λ2「0.27」、波長λ3「0.36」、・・・が対応付けて記憶されている。
【0067】
図18は、本実施形態における判定部104の動作を説明するフローチャートである。
図18のフローチャートは、一枚の紙に、複数のインキが印刷されている場合の例である。まず、判定部104は、用紙入力部106から紙の指定を取得する(ステップS1)。次に、判定部104は、カウンタを初期化する(ステップS2)。このカウンタは、処理するインキを表す。次に、判定部104は、処理対象のインキの分光反射率の測定値を分光反射率測定部103から、予測値を分光反射率予測部102から取得する(ステップS3)。
【0068】
次に、判定部104は、予測値と測定値を正規化し、正規化した測定値をステップS1で取得した紙の分光反射率で割る(ステップS4)。ここで正規化は、分光反射率の値の範囲を所定の範囲とすることである。次に、判定部104は、ステップS4の処理をした後の予測値および測定値の各々について、差分値を算出する(ステップS5)。次に、判定部104は、ステップS5で算出した予測値および測定値各々の差分値のR2値(決定係数)を算出する(ステップS6)。次に、判定部104は、インキの配合濃度に基づき閾値を決定する(ステップS7)。インキの配合濃度は、例えば、100%から希釈材の配合率を引いて求めてもよいし、希釈材を除く全ての色材の配合率を足し合わせて求めてもよい。
【0069】
次に、判定部104は、ステップS6で算出したR2値が、ステップS7で決定した閾値以上であるか否かを判定する(ステップS8)。R2値は閾値以上であると判定したときは(ステップS8-Yes)、判定部104は、色材の配合率と測定値を実績色として実績色記憶部105に登録し(ステップS9)、測定を終了するか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10において、判定部104は、カウンタの値がインキの数以上であり、全てのインキについて処理が終わっているときは、測定を終了すると判定し(ステップS10-Yes)、処理を終了する。また、カウンタの値がインキの数未満であり、処理していないインキがあるときは、測定を終了しないと判定し(ステップS10-No)、判定部104は、カウンタをインクリメントし(ステップS14)、ステップS3に戻る。
【0070】
また、ステップS8においてR2値は閾値以上でないと判定したときは(ステップS8-No)、判定部104は、オペレータに注意を促すダイアログを表示する(ステップS11)。このダイアログは、オペレータに、そのまま測定値を実績色記憶部105に登録するか、再測定をするか、そのインキの実績色登録をあきらめるかを選択させる。オペレータにより登録が選択されたときは(ステップS12-Yes)、判定部104の処理は、ステップS9に進む。また、オペレータにより再測定が選択されたときは(ステップS13-Yes)、判定部104の処理は、ステップS3に戻る。また、オペレータによりそのインキの実績色登録をあきらめること(キャンセル)が選択されたときは(ステップS13-No)、判定部104の処理は、ステップS10に進む。
【0071】
図19は、本実施形態における判定部104による測定値への処理を説明するグラフである。判定部104は、分光反射率測定部103が測定した測定値SP1に対して、その最小値と最大値とは所定の範囲(
図19では0.0から1.0)になるように正規化する。この正規化により、測定値SP1は、正規化測定値SP2となる。さらに、判定部104は、正規化測定値SP2の各波長における値を、紙の分光反射率SP3の同じ波長における反射率で割る。ここでは、紙の分光反射率SP3は、小さい波長の領域で少し1.0を下回るものの、多く波長で1.0に近い値のため、除算結果SP4は、小さい波長の領域以外では、正規化反射率とあまり変わらない。判定部104は、さらにこの除算結果SP4に対して、波長方向の差分値SP5を算出し、この差分値SP5をR
2値の算出に使用する。
【0072】
図20は、本実施形態における閾値とインキの配合濃度との関係を示すグラフである。判定部104は、このようなグラフTHに対応するルックアップテーブルを有し、閾値を決定するようにしてもよい。このようなグラフとしているのは、実測値において、インキの配合濃度が薄い領域(希釈材割合が高い領域)において、決定係数が高くなり易い傾向があったためである。これにより、高い決定係数となり易い、インキの配合濃度が薄い領域においても、誤ったサンプルの測定、配合率の入力ミスなどを検出し易くなる。
【0073】
図21は、本実施形態における実績色登録装置110の画面例G1を示す模式図である。画面例G11に示すように、オペレータが実績色の登録作業を行う際には、登録作業の対象となる実績色のサンプル名のリストとともに、各実績色の配合率から予測された色(実績色の色イメージ)が表示される。オペレータが、測定するサンプルを指定するために測色ボタンB11を押下した後、分光反射率測定部103が備える分光光度計を用いてサンプルの分光反射率を測定すると、測定した分光反射率に基づく色が、測色結果として表示される。
【0074】
オペレータは、表示された測色結果と、実績色の色イメージとを比較して、明らかに異なる色であれば、誤ったサンプルを測定した、入力された配合率に誤りがあるなどの何らかのミスがあると気付くことができる。測色結果と、実績色の色イメージとが似た色であっても、実績色登録装置110は、R2値が閾値以上でなければ、注意ダイアログを表示して、オペレータに確認を促す。
【0075】
図22は、本実施形態における注意ダイアログの表示例G21を示す模式図である。
図22に示すように、注意ダイアログは、「測色したサンプルが正しいか確認してください。」などの文言で、オペレータに注意を促す。さらに、キャンセルボタンB21、再測色ボタンB22、登録ボタンB23を備え、それぞれを押下することで、このサンプルの登録をあきらめるか(
図18のステップS13-No)、再測定するか(
図18のステップS13-Yes)、そのまま実績色を登録するか(
図18のステップS12-Yes)を、オペレータは指示することができる。
【0076】
図23は、本実施形態の実施結果と比較例とを示す表である。
図23の表において、低濃度、中濃度、高濃度は、インキの配合濃度である。検出率は、配合率はそのままで、使用する色材を一つだけ変えたものを測定したときに、注意ダイアログが表示された率である。色差は、検出率と同様の条件で、色差を用いて判定したときの率である。
図23に示すように、低濃度、中濃度、高濃度のいずれにおいても、検出率は90%以上あり、かつ色差を用いたときよりも高い値となっている。
【0077】
このように、本実施形態における実績色登録装置110は、色材の配合率から予測された分光反射率の予測値を取得する分光反射率予測部102(予測値取得部)と、前記配合率で配合された色材の分光反射率の測定値を取得する分光反射率測定部103(測定値取得部)と、前予測値と前記測定値との比較に基づき、前記測定値を実績色として登録するか否かを判定する判定部104と、を備える。
これにより、実績色のデータベースの登録内容に誤りが含まれてしまうことを抑えることができる。
【0078】
この発明の実施形態は、以下のようにも記載できる。
(1)第1の端末と、第2の端末と、物品情報提供装置と、色情報提供装置とを備える物品情報提供システムであって、前記第1の端末は、前記物品情報提供装置が提供する物品の情報を取得し、提示する情報提示部を備え、前記第2の端末は、前記第1の端末から、前記物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、キャリブレーションされたディスプレイと、前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供装置から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、前記ディスプレイを用いて提示する色提示部とを備え、前記色情報提供装置は、前記第2の端末から受信した前記物品識別情報に対応する色情報を、前記第2の端末に送信する色情報提供部を備える、物品情報提供システム。
【0079】
(2)前記色情報は、前記物品の色を示す情報と、前記物品の質感を示す情報とを含み、
前記色提示部は、前記物品の色を示す情報と、前記物品の質感を示す情報とに基づき生成したコンピュータグラフィクスを前記ディスプレイに表示させる、(1)に記載の物品情報提供システム。
【0080】
(3)前記色情報提供部は、前記物品識別情報に対応する、色を示す情報と質感を示す情報とに基づき生成したコンピュータグラフィクスを、前記色情報に含めて前記第2の端末に送信する、(1)に記載の物品情報提供システム。
【0081】
(4)前記色情報提供部は、前記物品識別情報に対応付けて記憶されていた画像を、前記色情報に含めて前記第2の端末に送信し、前記色提示部は、前記色情報提供部が送信した前記画像を、前記ディスプレイに表示させる、(1)から(3)のいずれか1つに記載の物品情報提供システム。
【0082】
(5)前記物品の情報は、前記物品識別情報を示す画像を含み、前記第2の端末は、撮像部をさらに備え、前記物品識別情報取得部は、前記情報提示部が提示した前記画像を、前記撮像部を用いて撮像して、前記物品識別情報を取得する、(1)から(4)のいずれか1つに記載の物品情報提供システム。
【0083】
(6)前記物品の情報は、前記情報提示部に、前記物品識別情報を含むメッセージを送信させることを指示する情報を含み、前記物品識別情報取得部は、前記メッセージを受信する、(1)から(5)のいずれか1つに記載の物品情報提供システム。
【0084】
(7)前記第1の端末は、前記第2の端末でもあり、前記物品の情報は、前記第2の端末を前記色提示部として動作させるためのアプリケーションを指定する情報と、前記物品識別情報とを含み、前記物品識別情報取得部は、前記アプリケーションを指定する情報も取得し、該情報が指定する前記アプリケーションに、前記物品識別情報を供給する、(1)から(6)のいずれか1つに記載の物品情報提供システム。
【0085】
(8)色材の配合率から予測された分光反射率の予測値を取得する予測値取得部と、前記配合率で配合された色材の分光反射率の測定値を取得する測定値取得部と、前予測値と前記測定値との比較に基づき、前記測定値を実績色として前記色情報提供装置に登録するか否かを判定する判定部とを備える、(1)から(7)のいずれか1つに記載の物品情報提供システム。
【0086】
(9)前記判定部における前予測値と前記測定値との比較は、前予測値の波長方向の微分値または差分値と、前記測定値の波長方向の微分値または差分値との比較である、(8)に記載の物品情報提供システム。
【0087】
(10)前記測定値取得部が取得する前記測定値は、物体の表面であって、前記色材が印刷、塗布、配合、または染められた表面の分光反射率を測定した値であり、前記判定部は、前記測定値取得部が取得した測定値を、前記物体の表面であって、前記色材が印刷、塗布、配合、または染められていない表面の分光反射率で割った値を用いる、(8)または(9)に記載の物品情報提供システム。
【0088】
(11)前記配合率は、前記色材の配合濃度を示す値を含み、前記判定部は、前記測定値を登録するか否かを判定する際に用いる閾値を、前記色材の配合濃度を示す値に応じた値とする、(8)から(10)のいずれか1つに記載の物品情報提供システム。
【0089】
(12)第1の端末と、第2の端末と、物品情報提供装置と、色情報提供装置とを備える物品情報提供システムによる物品情報提供方法であって、前記第1の端末が、前記物品情報提供装置が提供する物品の情報を取得し、提示するステップと、前記第2の端末が、前記第1の端末から、前記物品を識別する物品識別情報を取得するステップと、前記第2の端末が、前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供装置から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、キャリブレーションされたディスプレイを用いて提示するステップと、前記色情報提供装置が、前記第2の端末から受信した前記物品識別情報に対応する色情報を、前記第2の端末に送信するステップとを有する、物品情報提供方法。
【0090】
(13)第1の端末から、物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、前記物品識別情報を用いて、前記物品識別情報に対応する色情報を色情報提供装置から取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、キャリブレーションされたディスプレイを用いて提示する色提示部とを備える端末装置。
【0091】
(14)コンピュータを、第1の端末から、物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部、前記物品識別情報を用いて、前記物品識別情報に対応する色情報を色情報提供装置から取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、キャリブレーションされたディスプレイを用いて提示する色提示部として機能させるためのプログラム。
【0092】
(15)色情報提供装置であって、端末から受信した、物品を識別する物品識別情報に対応する色情報を、前記端末に送信する色情報提供部を備え、前記端末は、他の端末から、前記物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、キャリブレーションされたディスプレイと前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供装置から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、前記ディスプレイを用いて提示する色提示部とを備える、色情報提供装置。
【0093】
(16)コンピュータを、端末から受信した物品を識別する物品識別情報に対応する色情報を、前記端末に送信する色情報提供部として機能させるためのプログラムであって、前記端末は、他の端末から、前記物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、キャリブレーションされたディスプレイと前記物品識別情報を用いて、前記色情報提供部から色情報を取得し、取得した前記色情報に基づき、前記物品の色を、前記ディスプレイを用いて提示する色提示部とを備える、プログラム。
【0094】
(17)色材の配合率から予測された分光反射率の予測値を取得する予測値取得部と、前記配合率で配合された色材の分光反射率の測定値を取得する測定値取得部と、前予測値と前記測定値との比較に基づき、前記測定値を実績色として登録するか否かを判定する判定部とを備える実績色登録装置。
【0095】
(18)前記判定部における前予測値と前記測定値との比較は、前予測値の波長方向の微分値または差分値と、前記測定値の波長方向の微分値または差分値との比較である、(17)に記載の実績色登録装置。
【0096】
(19)前記測定値取得部が取得する前記測定値は、物体の表面であって、前記色材が印刷、塗布、配合、または染められた表面の分光反射率を測定した値であり、前記判定部は、前記測定値取得部が取得した測定値を、前記物体の表面であって、前記色材が印刷、塗布、配合、または染められていない表面の分光反射率で割った値を用いる、(17)または(18)に記載の実績色登録装置。
【0097】
(20)前記配合率は、前記色材の配合濃度を示す値を含み、前記判定部は、前記測定値を登録するか否かを判定する際に用いる閾値を、前記色材の配合濃度を示す値に応じた値とする、(17)から(29)のいずれか1つに記載の実績色登録装置。
【0098】
(21)実績色登録装置による実績色登録方法であって、色材の配合率から予測された分光反射率の予測値を取得するステップと、前記配合率で配合された色材の分光反射率の測定値を取得するステップと、前予測値と前記測定値との比較に基づき、前記測定値を実績色として登録するか否かを判定するステップとを有する実績色登録方法。
【0099】
(22)コンピュータを、色材の配合率から予測された分光反射率の予測値を取得する予測値取得部、前記配合率で配合された色材の分光反射率の測定値を取得する測定値取得部、前予測値と前記測定値との比較に基づき、前記測定値を実績色として登録するか否かを判定する判定部として機能させるためのプログラム。
【0100】
また、
図1、
図16における第1の端末10、第2の端末20、ECサーバ30、色情報提供サーバ40、実績色登録装置110の各々の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより第1の端末10、第2の端末20、ECサーバ30、色情報提供サーバ40、実績色登録装置110の各々を実現しもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0101】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0102】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0103】
10 第1の端末
11 情報提示部
20 第2の端末
21 物品識別情報取得部
22 色提示部
23 ディスプレイ
30 ECサーバ
40 色情報提供サーバ
41 色情報登録部
42 色情報DB部
43 色情報提供部
100 物品情報提供システム
101 配合率入力部
102 分光反射率予測部
103 分光反射率測定部
104 判定部
105 実績色記憶部
106 用紙入力部
110 実績色登録装置
【要約】
物品情報提供システムは、第1の端末と、第2の端末と、物品情報提供装置と、色情報提供装置とを備え、第1の端末は、物品情報提供装置が提供する物品の情報を取得し、提示する情報提示部を備え、第2の端末は、第1の端末から、物品を識別する物品識別情報を取得する物品識別情報取得部と、物品識別情報を用いて、色情報提供装置から色情報を取得し、取得した色情報に基づき、物品の色を、キャリブレーションされたディスプレイを用いて提示する色提示部とを備え、色情報提供装置は、第2の端末から受信した物品識別情報に対応する色情報を、第2の端末に送信する色情報提供部を備える。これにより、物品情報提供システムは、物品の色を正しく伝えることができる。