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特許7427147満足度計算装置、満足度計算方法、および満足度計算プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-25
(45)【発行日】2024-02-02
(54)【発明の名称】満足度計算装置、満足度計算方法、および満足度計算プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240126BHJP
【FI】
G06Q50/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023572611
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2022022694
【審査請求日】2023-11-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 理子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 昌典
(72)【発明者】
【氏名】田辺 新一
(72)【発明者】
【氏名】永島 啓陽
(72)【発明者】
【氏名】深和 佑太
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特許第7080417(JP,B1)
【文献】特開2011-89682(JP,A)
【文献】特開2010-175229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間の空気環境を表す空気質に対する満足度を計算する満足度計算装置において、
前記空間における温度と湿度とを取得し、前記空間における比エンタルピーを計算する比エンタルピー計算部と、
前記空間における二酸化炭素濃度を取得し、前記二酸化炭素濃度に応じて異なる値を採る定数を決定し、前記比エンタルピーと前記定数とを用いて前記空気質に対する満足度を空気質満足度として計算する空気質満足度計算部と
を備える満足度計算装置。
【請求項2】
前記空気質満足度計算部は、
前記定数として、前記比エンタルピーに乗算する第1定数と前記比エンタルピーに前記第1定数を乗じた値に加算する第2定数とを決定し、前記比エンタルピーに前記第1定数を乗じた値に前記第2定数を加算した値を前記空気質満足度として計算する請求項1に記載の満足度計算装置。
【請求項3】
前記満足度計算装置は、
前記二酸化炭素濃度の閾値として、第1閾値と第2閾値とを記憶する記憶部を備え、
前記空気質満足度計算部は、
前記二酸化炭素濃度が前記第1閾値より低い場合と、前記二酸化炭素濃度が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値より低い場合と、前記二酸化炭素濃度が前記第2閾値以上の場合とのいずれかに応じて、前記第1定数と前記第2定数とを決定する請求項2に記載の満足度計算装置。
【請求項4】
前記満足度計算装置は、
前記空気質満足度を示す表示画面を表示する表示部を備える請求項3に記載の満足度計算装置。
【請求項5】
前記満足度計算装置は、
前記空気質満足度を外部の表示装置に表示する映像出力インタフェースを備える請求項3に記載の満足度計算装置。
【請求項6】
前記空気質満足度に基づいて、前記空気質に影響を与える制御機器に対する制御を変更する制御指示を決定する制御指示決定部を備える請求項3に記載の満足度計算装置。
【請求項7】
前記記憶部は、
前記制御機器における制御情報の履歴と前記空気質満足度の履歴とを記憶するとともに、前記制御機器の制御内容に応じた電力消費量の情報を予め保持し、
前記制御指示決定部は、
前記制御機器における制御情報の履歴と前記空気質満足度の履歴とから、前記制御機器の制御による空気質満足度の変化量を前記制御機器に対する制御内容ごとに推定し、前記制御内容を実施した場合における電力消費量との組み合わせにより、前記空気質満足度を現状より向上させる制御内容のうち最も小さい電力消費増で実現できる制御内容を前記制御指示として決定する請求項6に記載の満足度計算装置。
【請求項8】
前記記憶部は、
前記制御機器における制御情報の履歴と、前記空気質満足度の履歴と、前記制御機器における消費電力情報の履歴とを記憶し、
前記制御指示決定部は、
前記制御情報の履歴と前記空気質満足度の履歴と前記消費電力情報の履歴とを用いて、前記制御指示による前記空気質満足度の変化量と前記制御指示による消費電力増を推定し、前記空気質満足度を現状より向上させる制御内容のうち最も小さい消費電力増で実現できる制御内容を前記制御指示として決定する請求項6に記載の満足度計算装置。
【請求項9】
前記満足度計算装置は、
前記制御機器に対して操作が入力されている状況において、前記制御機器のうち前記操作が入力されている機器に対しては前記制御指示の決定を行わず、前記操作の入力が行われていない機器に対して前記制御指示を決定する請求項7または請求項8に記載の満足度計算装置。
【請求項10】
前記満足度計算装置は、
前記空気質満足度についての主観評価の入力を受け付ける主観評価入力インタフェースと、
前記主観評価に基づいて、前記空気質満足度の計算に用いる補正項を生成する満足度指標生成部と
を備える請求項1から請求項のいずれか1項に記載の満足度計算装置。
【請求項11】
前記満足度指標生成部は、重回帰分析の手法により、前記補正項を生成する請求項10に記載の満足度計算装置。
【請求項12】
前記満足度指標生成部は、機械学習の手法により、前記補正項を生成する請求項10に記載の満足度計算装置。
【請求項13】
空間の空気環境を表す空気質に対する満足度を計算する満足度計算装置に用いられる満足度計算方法において、
コンピュータが、前記空間における温度と湿度とを取得し、前記空間における比エンタルピーを計算し、
コンピュータが、前記空間における二酸化炭素濃度を取得し、前記二酸化炭素濃度に応じて異なる値を採る定数を決定し、前記比エンタルピーと前記定数とを用いて前記空気質に対する満足度を空気質満足度として計算する満足度計算方法。
【請求項14】
空間の空気環境を表す空気質に対する満足度を計算する満足度計算装置に用いられる満足度計算プログラムにおいて、
前記空間における温度と湿度とを取得し、前記空間における比エンタルピーを計算する比エンタルピー計算処理と、
前記空間における二酸化炭素濃度を取得し、前記二酸化炭素濃度に応じて異なる値を採る定数を決定し、前記比エンタルピーと前記定数とを用いて前記空気質に対する満足度を空気質満足度として計算する空気質満足度計算処理と
をコンピュータに実行させる満足度計算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、満足度計算装置、満足度計算方法、および満足度計算プログラムに関する。特に、空間における空気質環境に対する満足度を計算する満足度計算装置、満足度計算方法、および満足度計算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物の環境を制御する空気調和装置あるいは換気装置といった装置において、空気の質に関わるユーザ満足度を算出する方法が提案されている。
特許文献1では、温度と湿度から判定される不快指数と二酸化炭素濃度との加重値から快適度指標を算出する方式について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-089682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、温度と湿度から判定される不快指数と二酸化炭素濃度との加重値から快適度を算出しているが、その空間を使用するユーザが空間の空気質についてどの程度満足しているか、という定性的な情報を評価するものとはなっていなかった。そのため、空気質の満足度という定性的な情報を如何にして定量的に評価するかという点が課題として残されていた。
【0005】
本開示は、空間の空気環境に対するユーザの満足度という定性的な情報を定量的な指標として計算・評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る満足度計算装置は、空間の空気環境を表す空気質に対する満足度を計算する満足度計算装置において、
前記空間における温度と湿度とを取得し、前記空間における比エンタルピーを計算する比エンタルピー計算部と、
前記空間における二酸化炭素濃度を取得し、前記二酸化炭素濃度に応じて異なる値を採る定数を決定し、前記比エンタルピーと前記定数とを用いて前記空気質に対する満足度を空気質満足度として計算する空気質満足度計算部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る満足度計算装置では、空気質満足度計算部が、空間における二酸化炭素濃度に応じて定数を決定し、空間における比エンタルピーと定数とを用いて、空気質に対する満足度を空気質満足度として計算する。よって、本開示に係る満足度計算装置によれば、空気質に対する満足度という定性的な情報を定量的な指標として計算することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る満足度計算システムの構成例を示す図。
図2】実施の形態1に係る満足度計算装置の構成例を示す図。
図3】実施の形態1に係る満足度計算装置の動作例を示すフロー図。
図4】実施の形態1の変形例に係る満足度計算装置の構成例を示す図。
図5】実施の形態2に係る満足度計算システムの構成例を示す図。
図6】実施の形態2に係る満足度計算装置の構成例を示す図。
図7】実施の形態2に係る満足度計算装置の動作例を示すフロー図。
図8】実施の形態2に係る制御情報と消費電力情報を記憶部に蓄積する処理の動作例を示すフロー図。
図9】実施の形態3に係る満足度計算システムの構成例を示す図。
図10】実施の形態3に係る満足度計算装置の構成例を示す図。
図11】実施の形態3に係る満足度計算装置の動作例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1は、本実施の形態に係る満足度計算システム500の構成例を示す図である。
本実施の形態に係る満足度計算システム500は、満足度計算装置10、温度計20、湿度計30、およびCO2計40を備える。温度計20、湿度計30、およびCO2計40の各機器を、各計測センサと呼ぶ場合がある。
満足度計算システム500は、満足度計算装置10、温度計20、湿度計30、およびCO2計40が連携して、空間における空気質環境の満足度を計算する。満足度計算システム500は、空気質満足度計算システムともいう。
【0010】
温度計20は、空間における温度、すなわち室温を計測する機能を有する。
湿度計30は、空間における湿度を計測する機能を有する。
CO2計40は、空間における二酸化炭素濃度を計測する機能を有する。
満足度計算装置10は、空間の空気環境を表す空気質に対する満足度を計算する機能を有する。満足度計算装置10は、空気質満足度計算装置ともいう。
【0011】
図2は、本実施の形態に係る満足度計算装置10の構成例を示す図である。
満足度計算装置10は、コンピュータである。満足度計算装置10は、プロセッサ910を備えるとともに、メモリ921、補助記憶装置922、入力インタフェース930、出力インタフェース940、および通信装置950といった他のハードウェアを備える。プロセッサ910は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0012】
満足度計算装置10は、機能要素として、比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120と記憶部130とを備える。記憶部130には、閾値131として第1閾値xおよび第2閾値xと、空気質満足度31とが記憶される。
【0013】
比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120との機能は、ソフトウェアにより実現される。記憶部130は、メモリ921に備えられる。なお、記憶部130は、補助記憶装置922に備えられていてもよいし、メモリ921と補助記憶装置922に分散して備えられていてもよい。
【0014】
プロセッサ910は、満足度計算プログラムを実行する装置である。満足度計算プログラムは、比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120との機能を実現するプログラムである。
プロセッサ910は、演算処理を行うICである。プロセッサ910の具体例は、CPU、DSP、GPUである。ICは、Integrated Circuitの略語である。CPUは、Central Processing Unitの略語である。DSPは、Digital Signal Processorの略語である。GPUは、Graphics Processing Unitの略語である。
【0015】
メモリ921は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ921の具体例は、SRAM、あるいはDRAMである。SRAMは、Static Random Access Memoryの略語である。DRAMは、Dynamic Random Access Memoryの略語である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記憶媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
【0016】
入力インタフェース930は、マウス、キーボード、あるいはタッチパネルといった入力装置と接続されるポートである。入力インタフェース930は、具体的には、USB端子である。なお、入力インタフェース930は、LANと接続されるポートであってもよい。USBは、Universal Serial Busの略語である。LANは、Local Area Networkの略語である。
また、入力インタフェース930は、温度計20、湿度計30、およびCO2計40の各計測センサに接続されている。入力インタフェース930は、温度計20、湿度計30、およびCO2計40の各計測センサにより取得されたセンサデータを取得する計測センサインタフェースの役割を有している。
【0017】
出力インタフェース940は、ディスプレイといった表示部941のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子、HDMI(登録商標)インタフェース、あるいはVGAインタフェースである。ディスプレイは、具体的には、LCDである。出力インタフェース940は、表示器インタフェース、あるいは、映像出力インタフェースの役割を有している。
例えば、満足度計算装置10は、出力インタフェース940を介して、計算した空気質満足度31をディスプレイに表示する。
HDMI(登録商標)は、High Definition Multimedia Interfaceの略語である。VGAは、Video Graphic Arrayの略語である。LCDは、Liquid Crystal Displayの略語である。
【0018】
通信装置950は、レシーバとトランスミッタを有する。通信装置950は、LAN、インターネット、あるいは電話回線といった通信網に接続している。通信装置950は、具体的には、通信チップまたはNICである。なお、通信装置950は、温度計20、湿度計30、およびCO2計40の各計測センサにより取得されたセンサデータを有線あるいは無線で取得する通信インタフェースの役割を有していてもよい。NICは、Network Interface Cardの略語である。
【0019】
満足度計算プログラムは、満足度計算装置10において実行される。満足度計算プログラムは、プロセッサ910に読み込まれ、プロセッサ910によって実行される。メモリ921には、満足度計算プログラムだけでなく、OSも記憶されている。OSは、Operating Systemの略語である。プロセッサ910は、OSを実行しながら、満足度計算プログラムを実行する。満足度計算プログラムおよびOSは、補助記憶装置922に記憶されていてもよい。補助記憶装置922に記憶されている満足度計算プログラムおよびOSは、メモリ921にロードされ、プロセッサ910によって実行される。なお、満足度計算プログラムの一部または全部がOSに組み込まれていてもよい。
【0020】
満足度計算装置10は、プロセッサ910を代替する複数のプロセッサを備えていてもよい。これら複数のプロセッサは、満足度計算プログラムの実行を分担する。それぞれのプロセッサは、プロセッサ910と同じように、満足度計算プログラムを実行する装置である。
【0021】
満足度計算プログラムにより利用、処理または出力されるデータ、情報、信号値および変数値は、メモリ921、補助記憶装置922、または、プロセッサ910内のレジスタあるいはキャッシュメモリに記憶される。
【0022】
比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120の各部の「部」を「回路」、「工程」、「手順」、「処理」、あるいは「サーキットリー」に読み替えてもよい。満足度計算プログラムは、比エンタルピー計算処理と空気質満足度計算処理を、コンピュータに実行させる。比エンタルピー計算処理と空気質満足度計算処理の「処理」を「プログラム」、「プログラムプロダクト」、「プログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体」、または「プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体」に読み替えてもよい。また、満足度計算方法は、満足度計算装置10が満足度計算プログラムを実行することにより行われる方法である。
満足度計算プログラムは、コンピュータ読取可能な記録媒体に格納されて提供されてもよい。また、満足度計算プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0023】
***動作の説明***
次に、本実施の形態に係る満足度計算装置10の動作について説明する。満足度計算装置10の動作手順は、満足度計算方法に相当する。また、満足度計算装置10の動作を実現するプログラムは、満足度計算プログラムに相当する。
【0024】
図3は、本実施の形態に係る満足度計算装置10の動作例を示すフロー図である。
【0025】
<計測データ取得処理:ステップS101>
入力インタフェース930は、温度計20、湿度計30、およびCO2計40の各計測センサにより取得されたセンサデータを取得する。センサデータには、温度、湿度、および二酸化炭素濃度の値が含まれる。
なお、入力インタフェース930がセンサデータを取得できていないと判定した場合は、処理を終了する。
【0026】
<比エンタルピー計算処理:ステップS102>
比エンタルピー計算部110は、入力インタフェース930を介して、空間における温度と湿度とを取得する。比エンタルピー計算部110は、空間における温度と湿度とを用いて、空間における比エンタルピーhを計算する。
具体的には、比エンタルピー計算部110は、温度計20および湿度計30により測定された温度および湿度を入力値として、比エンタルピーhを計算する。比エンタルピーhは物理学的な定義に従い、温度t(℃)および絶対湿度m(Kg/kg’)を用いて、以下の(式1)により計算される。
比エンタルピーh=1.006*t+(1.856t+2501)*m (式1)
【0027】
なお、一部の湿度計は絶対湿度を測定する機能を有している。よって、湿度計30として、絶対湿度を測定する機能を有する湿度計を用いることが好適である。
一方、より一般的な湿度計は相対湿度のみを測定する機能を有する。相対湿度のみを測定可能な湿度計を用いる場合は、さらに気圧測定を行う、もしくは大気圧を仮定する(例えば1気圧=1013Paなど)ことで、相対湿度から絶対湿度を計算することが可能である。このように、相対湿度のみを測定可能な湿度計を用いることも可能である。
【0028】
<空気質満足度計算処理:ステップS103>
まず、空気質満足度計算部120は、空間における二酸化炭素濃度を取得し、二酸化炭素濃度に応じて異なる値を採る定数a,bを決定する。そして、空気質満足度計算部120は、比エンタルピーhと定数a,bとを用いて、空気質に対する満足度を空気質満足度31として計算する。
具体的には、以下の通りである。
【0029】
空気質満足度計算部120は、比エンタルピー計算部110により計算された比エンタルピーhと、CO2計40により測定された二酸化炭素濃度とを用いて、空気質満足度31を計算する。
空気質満足度31は、空気質満足度を計算する対象である空間の空気環境を表す空気質に対する満足度を示す値であり、空気質環境満足度ともいう。以下では、空気質満足度31を空気質満足度Sとする。
【0030】
空気質満足度Sは、比エンタルピーhを変数とする以下の関数式(式2)によって計算できることが被験者を用いた実験的手法により明らかになっている。
空気質満足度S=a*h+b (式2)
a,b:定数
【0031】
定数aおよびbの値は、二酸化炭素濃度に応じて異なる値を用いる。具体的には、以下に示す式により、a,bの値が決定される。
(i)二酸化炭素濃度<xppmの場合:a=a,b=b
(ii)xppm≦二酸化炭素濃度<xppmの場合:a=a,b=b
(iii)xppm≦二酸化炭素濃度の場合:a=a,b=b
【0032】
実験の結果によれば、x=600かつx=900において最も良好な結果が得られる。このとき、a=-1.0±0.5,b=125±25程度の値が好適であると判明している。
ただし、本実施の形態におけるx,x並びにa,bの値について、これらの値に限定するものではない。
【0033】
以上の空気質満足度計算処理の例をまとめると以下の通りである。
満足度計算装置10は、二酸化炭素濃度の閾値131として、第1閾値xと第2閾値xとを記憶部130に記憶している。
空気質満足度計算部120は、二酸化炭素濃度が第1閾値より低い場合と、二酸化炭素濃度が第1閾値以上かつ第2閾値より低い場合と、二酸化炭素濃度が第2閾値以上の場合とのいずれかに応じて、第1定数aと第2定数bとを決定する。
以上のように、空気質満足度計算部120は、定数として、比エンタルピーhに乗算する第1定数aと、比エンタルピーhに第1定数aを乗じた値に加算する第2定数bとを決定する。空気質満足度計算部120は、比エンタルピーhに第1定数aを乗じた値に第2定数bを加算した値を空気質満足度Sとして計算する。
【0034】
***本実施の形態の効果の説明***
以上のように、本実施の形態に係る満足度計算システムによれば、二酸化炭素濃度、および、温度と湿度から計算される比エンタルピーを用いることにより、空気質環境の満足度という定性的な情報を定量的な指標として計算することができるという効果を奏する。
【0035】
***他の構成***
<変形例1>
満足度計算装置10は、出力インタフェース940を介して、空気質満足度Sを示す表示画面を表示部941に表示してもよい。
また、満足度計算装置10は、映像出力インタフェースを介して、空気質満足度Sを外部の表示装置に表示してもよい。
【0036】
記憶部130は、空気質満足度計算部120により計算された空気質満足度Sの履歴を蓄積するものとする。満足度計算装置10は、空気質満足度Sの推移をグラフあるいは表といった形式に可視化して、表示部941あるいは外部の表示装置に表示してもよい。
【0037】
<変形例2>
本実施の形態では、比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120との機能がソフトウェアで実現される。変形例として、比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120との機能がハードウェアで実現されてもよい。
具体的には、満足度計算装置10は、プロセッサ910に替えて電子回路909を備える。
【0038】
図4は、本実施の形態の変形例に係る満足度計算装置10の構成例を示す図である。
電子回路909は、比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120との機能を実現する専用の電子回路である。電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略語である。FPGAは、Field-Programmable Gate Arrayの略語である。
【0039】
比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120との機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
また、電子回路は、各機能要素と、メモリ921と補助記憶装置922の機能とを実現する専用の回路であってもよい。
【0040】
別の変形例として、比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120との一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。また、比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120との一部またはすべての機能がファームウェアで実現されてもよい。
【0041】
プロセッサと電子回路の各々は、プロセッシングサーキットリとも呼ばれる。つまり、比エンタルピー計算部110と空気質満足度計算部120との機能は、プロセッシングサーキットリにより実現される。
【0042】
実施の形態2.
本実施の形態では、主に、実施の形態1と異なる点および実施の形態1に追加する点について説明する。
本実施の形態において、実施の形態1と同様の機能を有する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
***構成の説明***
本実施の形態では、実施の形態1で開示した満足度計算システム500の機能に加えて、満足度計算装置10による計算結果である空気質満足度31を元に空気調和機器および換気機器を制御する機能を具備する形態について説明する。
【0044】
図5は、本実施の形態に係る満足度計算システム500の構成例を示す図である。
本実施の形態に係る満足度計算システム500では、実施の形態1で説明した構成に加えて、空気質に影響を与える制御機器200を備える。制御機器200は、空気調和機器50と換気機器60とを含む。
【0045】
空気調和機器50と換気機器60との各機器は、満足度計算装置10とのインタフェースを有する。空気調和機器50と換気機器60との各機器は、満足度計算装置10からの制御指示35に従って制御内容を変更する機能を有する。また、空気調和機器50と換気機器60との各機器は、満足度計算装置10に対して、自機器の制御情報を通知する機能を有する。ただし、空気調和機器50と換気機器60との各機器において、満足度計算装置10とのインタフェースは専用のインタフェースである必要はない。満足度計算装置10とのインタフェースとして、例えば、空気調和機リモートコントローラといった他装置との情報交換に使用されている既存のインタフェースを流用してもよい。
【0046】
図6は、本実施の形態に係る満足度計算装置10の構成例を示す図である。
満足度計算装置10は、実施の形態1で説明した構成に加えて、機器制御インタフェース960を有する。機器制御インタフェース960は、空気調和機器50と換気機器60との各機器から送信される制御情報および消費電力情報を取得する。なお、入力インタフェース930あるいは通信装置950が、機器制御インタフェース960の機能を有していてもよい。
また、満足度計算装置10は、実施の形態1で説明した機能要素に加えて、制御指示決定部140を有する。また、満足度計算装置10は、記憶部130に実施の形態1で説明した閾値131および空気質満足度31に加えて、制御情報32と消費電力情報33とを記憶している。本実施の形態に係る満足度計算装置10の機能についても、実施の形態1で説明した機能と同様に、ソフトウェアまたはハードウェアによって実現される。
【0047】
***動作の説明***
次に、本実施の形態に係る満足度計算装置10の動作について説明する。満足度計算装置10の動作手順は、満足度計算方法に相当する。また、満足度計算装置10の動作を実現するプログラムは、満足度計算プログラムに相当する。
【0048】
図7は、本実施の形態に係る満足度計算装置10の動作例を示すフロー図である。
【0049】
図7におけるステップS101からステップS103の処理は、図3におけるステップS101からステップS103の処理と同じである。
【0050】
<制御指示決定処理:ステップS104>
制御指示決定部140は、空気質満足度31に基づいて、空気質に影響を与える制御機器200に対する制御を変更する制御指示35を決定する。
記憶部130は、制御機器200における制御情報32の履歴と、空気質満足度31の履歴と、制御機器200における消費電力情報33の履歴とを記憶している。
制御指示決定部140は、制御情報32の履歴と空気質満足度31の履歴と消費電力情報33の履歴とを用いて、制御指示35による空気質満足度31の変化量と制御指示35による消費電力増を推定する。そして、制御指示決定部140は、空気質満足度31を現状より向上させる制御内容のうち最も小さい消費電力増で実現できる制御内容を制御指示35として決定する。
【0051】
制御指示35を決定する具体例は、以下の通りである。
制御指示決定部140は、記憶部130に記憶された、空気質満足度31、制御情報32、および消費電力情報33のそれぞれの履歴を読み出す。
制御指示決定部140は、空気質満足度31を上げるための制御を行う必要があるか否かを判定する。具体的には、制御指示決定部140は、現在の空気質満足度31と、予め定められた空気質満足度の閾値とを比較することにより、空気質満足度31を上げるための制御を行う必要があるか否かを判定する。
【0052】
空気質満足度31を上げるための制御が必要と判定されると、制御指示決定部140は、空気調和機器50および換気機器60に対して空気質満足度31を上昇させるための制御を制御指示35として決定する。そして、制御指示決定部140は、制御指示35を空気調和機器50および換気機器60に要求する。
また、空気質満足度31を上昇させるための制御が必要と過去に判定され、現に制御機器200において制御指示35が実行されている場合がある。このような場合において、空気質満足度31が十分に上昇したと判定されると、制御指示決定部140は、実行中の制御指示35の要求を終了する。
【0053】
制御指示決定部140は、以下のように制御指示35を決定する。
制御指示35は、比エンタルピーhが低下するように空気調和機器50の制御を変更する指示、二酸化炭素濃度が低下するよう換気機器60の換気量を増加させる指示、および、上記指示の組み合わせ、のいずれかである。また、これらの制御を可能な限り小さな消費電力増で実現可能な方法が制御指示35として選択されることが好適である。
制御指示決定部140は、制御指示35による制御の変更により発生する消費電力の増分を、制御情報32の履歴と消費電力情報33の履歴とを照らし合わせることにより推定する。そして、制御指示決定部140は、空気質満足度31を現状より向上させる制御のうち最も小さい消費電力増で実現できる制御を制御指示35として決定する。
【0054】
制御指示35を決定する別の具体例は、以下の通りである。
記憶部130は、制御機器200における制御情報32の履歴と空気質満足度31の履歴とを記憶するとともに、制御機器200の制御内容に応じた電力消費量の情報を予め保持していてもよい。
このような場合は、制御指示決定部140は、制御情報32の履歴と空気質満足度31の履歴とから、制御機器200の制御による空気質満足度31の変化量を制御機器200に対する制御内容ごとに推定する。そして、制御指示決定部140は、制御内容を実施した場合における電力消費量との組み合わせにより、空気質満足度31を現状より向上させる制御内容のうち最も小さい電力消費増で実現できる制御内容を制御指示35として決定する。
例えば、製品カタログあるいはその他の方法で制御内容の変更による消費電力の増分が既に明らかである場合は、既に明らかになっている情報を用いて制御の変更による消費電力増分を計算することとしてもよい。
【0055】
図8は、本実施の形態に係る制御情報32と消費電力情報33を記憶部130に蓄積する処理の動作例を示すフロー図である。
【0056】
<制御情報32と消費電力情報33を取得する処理:ステップS201>
機器制御インタフェース960は、空気調和機器50および換気機器60から、それぞれの機器の制御状態に関わる情報である制御情報32と、それぞれの機器の消費電力に関する情報である消費電力情報33とを取得する。
空気調和機器50の制御情報32の例としては、空気調和機器50における運転モード、設定温度、および風量といった情報である。換気機器60の制御情報32の例としては、換気機器60における風量、および熱交換機能の動作有無といった情報である。
【0057】
<制御情報32を蓄積する処理:ステップS202>
機器制御インタフェース960は、ステップS201で取得した制御情報32を記憶部130に蓄積する。これにより、記憶部130には、制御情報32の履歴が記憶される。
【0058】
<消費電力情報33を蓄積する処理:ステップS203>
機器制御インタフェース960は、ステップS201で取得した消費電力情報33を記憶部130に蓄積する。これにより、記憶部130には、消費電力情報33の履歴が記憶される。
なお、上述したように、製品カタログあるいはその他の方法で制御内容の変更による消費電力の増分が明らかであり、かつ、このように既に明らかになっている情報を用いて消費電力増分を計算することが可能な場合がある。このような場合においては、満足度計算装置10は、ステップS201における消費電力情報の取得処理、および、ステップS203における消費電力情報の蓄積処理の機能を有していなくてもよい。
【0059】
***本実施の形態の効果の説明***
以上のように、本実施の形態に係る満足度計算システムによれば、空気質満足度の計算結果を元に空気調和機器50および換気機器60の制御内容を決定し、少ない消費電力の増加によって空気質満足度の向上を実現することができる。
【0060】
***他の構成***
<変形例3>
満足度計算装置10は、制御機器200に対して操作が入力されている状況において、制御機器200のうち操作が入力されている機器に対しては制御指示35の決定を行わないとしてもよい。満足度計算装置10は、操作の入力が行われていない機器に対してのみ制御指示35を決定するとしてもよい。
【0061】
本実施の形態では、満足度計算装置10が空気調和機器50および換気機器60の制御を決定する旨を説明した。
なお、壁に設置されたリモートコントローラといったユーザ操作用端末により、ユーザから空気調和機器50または換気機器60に対して操作が入力されるケースも想定される。もしくは、空気調和機器50または換気機器60に接続された上位コントローラから制御内容の指示が入力されるケースも想定される。
このようなケースにおいて、空気調和機器50または換気機器60のうちユーザからの操作もしくは上位コントローラにより制御指示が入力された装置については、入力された操作内容に従った動作を行うものとする。満足度計算装置10は、空気調和機器50または換気機器60のうちユーザからの操作が無かった機器に対して、適切な空気質満足度を実現するために必要な操作を行う。
【0062】
この変形例3によれば、ユーザ操作用端末を介してユーザから入力された操作要求もしくは上位コントローラからの操作指示については満たしつつ、他方機器を適切に制御することにより空気質満足度を向上させる空間を提供することが可能となる。よって、ユーザもしくは他の制御装置からの操作を阻害することなく、空間における良好な空気質満足度を実現するための制御機器の制御内容を決定することができる。
【0063】
実施の形態3.
本実施の形態では、主に、実施の形態1または2と異なる点、および実施の形態1または2に追加する点について説明する。
本実施の形態において、実施の形態1または2と同様の機能を有する構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0064】
***構成の説明***
本実施の形態に係る満足度計算システム500は、実施の形態1または2で開示した空気質満足度の計算機能に加えて、ユーザによる主観評価の収集を行う機能を備える。また、本実施の形態に係る満足度計算システム500は、さらに、ユーザによる主観評価の値を入力値として空気質満足度の計算結果の補正を行う機能を備える。
【0065】
上述した実施の形態において計算される空気質満足度31は、空気質に対する人間の主観的な評価を、一定の尺度による定量的な値として表したものである。一方、個人の空気質に対する評価は、空気質に対する好みあるいは空気質に対する敏感度合いといった個人差に左右される場合がある。よって、各個人または小さな集団を評価対象として考えた場合、個人または集団における構成員が感じている主観的な評価と、実施の形態1または2で計算した空気質満足度31とに一定程度の乖離が発生する可能性がある。
【0066】
本実施の形態では、満足度計算装置10は、空気質満足度31について空間を利用するユーザによる主観的評価をフィードバック情報として取得する。満足度計算装置10は、主観的評価と、その際の温度、湿度、および二酸化炭素濃度の情報を元に補正項を導出する。そして、満足度計算装置10は、この補正項を加味した空気質満足度計算式を構築し、空気質満足度31の計算に使用する。これにより、満足度計算装置10は、空間を使用するユーザにおける空気質の主観的な満足度によりマッチした空気質満足度31の計算を行うことが可能となる。
【0067】
図9は、本実施の形態に係る満足度計算システム500の構成例を示す図である。
本実施の形態に係る満足度計算システム500では、実施の形態2で説明した構成に加えて、主観評価入力装置70を備えている。
主観評価入力装置70は、満足度計算装置10とのインタフェースを有する。
【0068】
図10は、本実施の形態に係る満足度計算装置10の構成例を示す図である。
満足度計算装置10は、実施の形態2で説明した構成に加えて、主観評価入力インタフェース970を有する。主観評価入力インタフェース970は、空気質満足度についての主観評価34の入力を受け付ける。具体的には、主観評価入力インタフェース970は、主観評価入力装置70から送信される主観評価34を取得し、主観評価34を記憶部130に記憶する。なお、入力インタフェース930あるいは通信装置950が、主観評価入力インタフェース970の機能を有していてもよい。
【0069】
また、満足度計算装置10は、実施の形態2で説明した機能要素に加えて、満足度指標生成部150を有する。満足度指標生成部150は、主観評価34に基づいて、空気質満足度の計算に用いる補正項を生成する。
また、記憶部130は、実施の形態2で説明した情報に加えて、主観評価34を記憶している。本実施の形態に係る満足度計算装置10の機能についても、実施の形態2で説明した機能と同様に、ソフトウェアまたはハードウェアによって実現される。
【0070】
なお、図9および図10では、実施の形態2の構成に加えて主観評価入力インタフェース970、満足度指標生成部150、および主観評価34を有する構成とした。しかし、実施の形態1の構成に加えて、主観評価入力インタフェース970、満足度指標生成部150、および主観評価34を有する構成を有する構成であってもよい。
【0071】
***動作の説明***
次に、本実施の形態に係る満足度計算装置10の動作について説明する。満足度計算装置10の動作手順は、満足度計算方法に相当する。また、満足度計算装置10の動作を実現するプログラムは、満足度計算プログラムに相当する。
【0072】
図11は、本実施の形態に係る満足度計算装置10の動作例を示すフロー図である。
【0073】
図11におけるステップS101、ステップS102、およびステップS103の処理は、図3または図7におけるステップS101、ステップS102、およびステップS103の処理と同じである。また、ステップS104の処理は図7におけるステップS104の処理と同じである。
【0074】
<新たな主観評価の有無チェック:ステップS121>
主観評価入力インタフェース970は、主観評価入力装置70から主観評価34を取得し、取得した主観評価34を記憶部130に記憶する。
満足度指標生成部150は、記憶部130に新たな主観評価34が追加されたか否かを判定する。
新たな主観評価34の追加があった場合は、処理はステップS122に進む。
新たな主観評価34の追加がなかった場合は、処理はステップS103に進み、実施の形態1または2で説明した処理と同様に空気質満足度を計算する。
【0075】
<満足度指標生成処理:ステップS122>
満足度指標生成部150は、記憶部130に記憶された新たな主観評価34と、新たな主観評価34を取得した際における温度、湿度、および二酸化炭素濃度とを取得する。温度、湿度、および二酸化炭素濃度は、新たな主観評価34を取得した際に温度計20、湿度計30、およびCO2計40から取得される。
満足度指標生成部150は、新たな主観評価34と、新たな主観評価34を取得した際における温度、湿度、および二酸化炭素濃度とを元に、空気質満足度の補正項f(h)を計算する。hは比エンタルピーでfは関数を示す。
【0076】
具体的には、以下の通りである。
満足度指標生成部150は、重回帰分析の手法により、補正項f(h)を生成する。具体的には、記憶部130には、主観評価34の履歴と主観評価34の履歴に対応する温度、湿度、および二酸化炭素濃度とが蓄積されている。満足度指標生成部150は、主観評価34の履歴と主観評価34の履歴に対応する温度、湿度、および二酸化炭素濃度と、新たな主観評価34と新たな主観評価34に対応する温度、湿度、および二酸化炭素濃度とに基づいて、重回帰分析の手法により、補正項f(h)を生成する。
【0077】
あるいは、満足度指標生成部150は、畳み込みニューラルネットワークといった機械学習の手法により、補正項f(h)を生成してもよい。満足度指標生成部150は、主観評価34の履歴と主観評価34の履歴に対応する温度、湿度、および二酸化炭素濃度とに基づいて、機械学習モデルを生成する。そして、満足度指標生成部150は、機械学習モデルを用いて、新たな主観評価34と新たな主観評価34に対応する温度、湿度、および二酸化炭素濃度とから機械学習の手法により、補正項f(h)を生成する。
【0078】
計算した補正項f(h)を含んだ空気質満足度計算式を以下の(式3)に示す。
空気質満足度S’=a*h+b+f(h) (式3)
a,b:定数
ここで、h,a,bは、実施の形態1で説明したものと同じである。
【0079】
<補正項を用いた空気質満足度計算処理:ステップS103a>
空気質満足度計算部120は、補正項f(h)を含む(式3)を用いて、空気質満足度S’を計算する。
【0080】
***本実施の形態の効果の説明***
以上のように、本実施の形態に係る満足度計算システムでは、主観評価入力インタフェースおよび満足度指標生成部を具備し、主観評価から空気質環境満足度の計算式を補正する。よって、本実施の形態に係る満足度計算システムによれば、当該評価対象空間のユーザの主観との一致度が高い空気質満足度を計算することができるという効果を奏する。
【0081】
以上の実施の形態1から3では、満足度計算装置の各部を独立した機能ブロックとして説明した。しかし、満足度計算装置の構成は、上述した実施の形態のような構成でなくてもよい。満足度計算装置の機能ブロックは、上述した実施の形態で説明した機能を実現することができれば、どのような構成でもよい。また、満足度計算装置は、1つの装置でなく、複数の装置から構成されたシステムでもよい。
また、実施の形態1から3のうち、複数の部分を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つの部分を実施しても構わない。その他、これらの実施の形態を、全体としてあるいは部分的に、どのように組み合わせて実施しても構わない。
すなわち、実施の形態1から3では、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【0082】
なお、上述した実施の形態は、本質的に好ましい例示であって、本開示の範囲、本開示の適用物の範囲、および本開示の用途の範囲を制限することを意図するものではない。上述した実施の形態は、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、フロー図を用いて説明した手順は、適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0083】
10 満足度計算装置、20 温度計、30 湿度計、31 空気質満足度、32 制御情報、33 消費電力情報、34 主観評価、35 制御指示、40 CO2計、50 空気調和機器、60 換気機器、70 主観評価入力装置、110 比エンタルピー計算部、120 空気質満足度計算部、130 記憶部、131 閾値、140 制御指示決定部、150 満足度指標生成部、200 制御機器、500 満足度計算システム、909 電子回路、910 プロセッサ、921 メモリ、922 補助記憶装置、930 入力インタフェース、940 出力インタフェース、941 表示部、950 通信装置、960 機器制御インタフェース、970 主観評価入力インタフェース。
【要約】
満足度計算装置(10)は、空間の空気環境を表す空気質に対する満足度を計算する。比エンタルピー計算部(110)は、空間における温度と湿度とを取得し、空間における比エンタルピーを計算する。空気質満足度計算部(120)は、空間における二酸化炭素濃度を取得し、二酸化炭素濃度に応じて異なる値を採る定数を決定し、比エンタルピーと定数とを用いて空気質に対する満足度を空気質満足度(31)として計算する。空気質満足度計算部(120)は、比エンタルピーに第1定数を乗じた値に第2定数を加算した値を空気質満足度(31)として計算する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11