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特許7427158複数の水製法を評価する方法及び水製法を選択する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】複数の水製法を評価する方法及び水製法を選択する方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20240129BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240129BHJP
【FI】
A23L2/00 V
G06Q30/0601 320
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019125357
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021010313
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】519244588
【氏名又は名称】リップラップ カンパニー ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】RIPRUP Company S.A.
【住所又は居所原語表記】37, Le Pollet St. Peter Port GY1 Guernsey Channel Islands
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ドクター ビッセン モニーク
(72)【発明者】
【氏名】シュッカー ヨーゼフ
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-046723(JP,A)
【文献】特表2018-518732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00-2/84
G06Q 30/00-30/08
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の水製法から水製法を選択する方法であって、前記水製法は水中のイオン濃度を決定することを特徴とし、
‐コンピュータによってユーザの水飲用目的を決定し、前記水飲用目的は複数の水飲用目的から選ばれ、
‐前記コンピュータによって前記水飲用目的に適した水製法を選択し、
‐前記コンピュータによって前記水飲用目的に適した水製法を選択するステップは、
‐前記コンピュータに保存されたデータベース内のクエリによって、前記水製法の実際のミネラル化重み付けを決定するステップであって、前記実際のミネラル化重み付けは前記水製法によって前記ユーザに供給される量に依存する、ステップと、
‐前記コンピュータに保存されたデータベース内のクエリによって、飲用目的に関連付けられた所定のミネラル化重み付けを決定するステップであって、前記所定のミネラル化重み付けは、前記最も適した水製法の選択のための前記ミネラル化の前記重み付けを示す、ステップと、
‐前記水製法の前記実際のミネラル化重み付けと、前記水飲用目的に関連付けられた前記所定のミネラル化重み付けとの間の、前記ミネラル化重み付けの一致を決定するステップと、
‐前記コンピュータに保存されたデータベース内のクエリによって、前記水製法の前記実際の味重み付けを決定するステップであって、前記実際の味重み付けは、前記ユーザに供給される前記水製法の味の最適化を示す、ステップと、
‐前記コンピュータに保存されたデータベース内のクエリによって、前記水飲用目的に関連付けられた前記所定の味重み付けを決定するステップであって、前記所定の味重み付けは、前記最も適した水製法の選択のための前記味の前記重み付けを示す、ステップと、
‐前記水製法の前記実際の味重み付けと、前記飲用目的に関連付けられた前記所定の味重み付けとの間の、味重み付けの一致を決定するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記複数の水飲用目的は、
‐楽しみ;
‐渇き;
‐健康;
‐元気回復;
‐ダイエット;
‐妊娠;
‐授乳;
‐所定の種類のワインの付属物;
‐所定の種類の食物の付属物;
‐所定の種類の茶を淹れるための水;
‐所定の種類のコーヒーを淹れるための水;
‐特定のスピリッツを希釈するための水;
‐ミックスジュース飲料の一部としての水;
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
‐前記ユーザの生理学的データに基づいて前記飲用目的を選ぶステップ、
‐前記ユーザがいる又はいた場所の少なくとも1つの環境パラメータに基づいて、前記飲用目的を選ぶステップ、
‐日付に基づいて前記飲用目的を選ぶステップ、
‐現在時刻に基づいて前記飲用目的を選ぶステップ、
‐少なくとも1つのユーザ入力に基づいて前記飲用目的を選ぶステップ、
のうちの1つを更に含む、請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
‐前記コンピュータのデータベース内で、前記飲用目的のユーザ好み重み付けを照会するステップであって、前記ユーザ好み重み付けは、前記最も適した水製法を選択するための前記ユーザ好みの前記重み付けを示す、ステップ
更に含む、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
‐前記複数の水製法のそれぞれのための水飲用目的コンプライアンス値を、前記コンピュータのデータベース内で照会するステップであって、前記水飲用目的コンプライアンス値は、水製法が水飲用目的に適しているかどうかを示す、ステップと、
‐前記水飲用目的コンプライアンス値が所定の閾値を超える場合に、水製法を水製法候補リストに割り当てるステップと、
更に含む、請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
‐教示フェーズ中にユーザに複数の分担量の水を供給するステップであって、前記分担量の水の少なくともいくつかは異なる水製法に基づく、ステップと、
‐前記分担量の水を飲用するよう前記ユーザに要求するステップと、
‐前記分担量の水を飲用した後に前記ユーザの個人的な味の好みに従って、それぞれの分担量の水を評価するよう前記ユーザに要求するステップと、
‐前記分担量の水を飲用することによって前記ユーザに飲用されたそれぞれの水製法の、味カテゴリに対する一致を決定するステップと、
‐前記ユーザの評価に基づいて、それぞれの前記味カテゴリのための味コンプライアンス値を、味コンプライアンスセットとして前記ユーザに割り当てるステップと、
前記味コンプライアンスセットをユーザ好みとしてコンピュータに保存するステップと、
を更に含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
‐前記ユーザに関連付けられた前記味コンプライアンスセットを前記コンピュータのデータベース内で照会するステップであって、前記味コンプライアンスセットは、前記複数の味カテゴリのそれぞれのための複数の味コンプライアンス値を含む、ステップと、
‐前記水製法に関連付けられた味コンプライアンスセットを、コンピュータのデータベース内で照会するステップであって、前記水製法の前記味コンプライアンスセットは、前記複数の味カテゴリのための複数の味コンプライアンス値を含む、ステップと、
‐前記水製法に関連付けられた前記味コンプライアンスセットと、前記ユーザに関連付けられた前記味コンプライアンスセットとの間の、前記ユーザ好みの一致を決定するステップと、
を更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記味カテゴリは、以下のカテゴリ:
‐塩味;
‐金属―アルカリ;
‐真水―金属;
‐真水―アルカリ;
‐塩味―アルカリ;
‐低ミネラル;
‐発泡性;
‐非発泡性;
‐粉状(デンプン質);
‐石灰質;
‐苦味;
‐甘み;
‐酸味
のうち少なくとも2つを含むことを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記ユーザ好みの一致を決定する前記ステップは、前記水製法のそれぞれの前記味カテゴリのそれぞれの味コンプライアンス値の、前記ユーザの好みの同一の味カテゴリの前記味コンプライアンス値との一致を決定するステップを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ユーザ好みの一致は、以下の式:
UPA(WR,U)=
WTC1(WR)×UTC1(U)+
WTC2(WR)×UTC1(U)+
......+
WTCn(WR)×UTCn(U);
ここで、
UPAは、前記ユーザ好みの一致であり;
WRは、前記水製法のことをいい;
Uは、前記ユーザのことをいい;
WTC1は、前記水の味カテゴリ1であり;
WTC2は、前記水の味カテゴリ2であり;
WTCnは、前記水の味カテゴリnであり;
UTC1は、前記ユーザの味カテゴリ1であり;
UTC2は、前記ユーザの味カテゴリ2であり;
UTCnは、前記ユーザの味カテゴリnである;
によって算出されることを特徴とする、請求項7又は9に記載の方法。
【請求項11】
‐前記ミネラル化重み付けの一致、及び前記味重み付けの一致の最も高い合計を有する前記水製法を、前記最も適した水製法として選択するステップ、
を更に含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ミネラル化重み付けの一致、前記味重み付けの一致、及び前記ユーザ好みの一致の最も高い合計を有する前記水製法を、前記最も適した水製法として選択するステップを更に含む、請求項7又は9に記載の方法。
【請求項13】
前記最も適した水製法は、最も高い全体的一致を備えて選択され、前記全体的一致は、
以下の式:
OA(WR,WDP,U)=
TWW(WR)×TWP(WDP)+
MWW(WR)×MWP(WDP)+
UPA(WR,U)×UPW(WDP);
ここで、
OAは、前記全体的一致であり;
TWWは、前記水製法の前記味重み付けであり;
TWPは、前記水飲用目的の前記味重み付けであり;
MWWは、前記水製法の前記ミネラル化重み付けであり;
MWPは、前記飲用目的の前記ミネラル化重み付けであり;
WRは、前記水製法のことをいい;
WDPは、前記水飲用目的のことをいい;
UPAは、前記ユーザ好みの一致であり;
UPWは、前記ユーザ好みの重み付けであり;
Uは、前記ユーザのことをいう;
によって算出されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の水製法を評価する方法に関する。別の観点では、本発明はまた、複数の水製法から適した水製法を選択する方法に関する。
【0002】
水は本来的に、人間の喉の渇きを満足させるために人間によって飲用される。水はまた、食事の付属物、元気回復など、他の理由によっても飲用される。人間は適した水の選択において、益々多くを要求するようになってきている。
【0003】
スポーツの後、汗をかいた際、人はミネラル濃度がより高い水を飲まなければならない。食事の付属物の為、または、元気回復の為には、ユーザーは異なるより低いミネラル濃度の別の種類の水を好むかもしれない。
【背景技術】
【0004】
国際公開第2016/090235A1号(特許文献1)は、液体に添加物を調合するための機械的又は電気機械的機構を備える携帯用ハイドレーションシステムを開示している。これらの添加物は、固体、液体、粉、気体を含み、ビタミン、ミネラル、栄養サプリメント、薬剤及びその他の消耗剤を含む。調合は、ユーザの直接的行為によって手動で、装置によって自動的に、及び/又はユーザ装置上の関連アプリケーションを通じて外部で開始される。調合は、ユーザの好み、位置、活動状態及び心理状態のようなコンテクスト要因によって調整可能である。
【0005】
独国実用新案第202010006679U1号(特許文献2)は、フィルタと、フィルタと排出口との間に少なくとも1つのミネラル容器を有する、ミネラルウォーターを生成するための装置を開示している。この装置は更に、少なくとも1つのミネラル容器からのミネラルの供給を制御するためのコントローラを備える。もしユーザによる水消費が1日の水消費上限を超えた場合、ミネラルの供給が停止されるか、または別の特定の調整された水が調合される。
【0006】
国際公開第1994/006547A1号(特許文献3)は、供給源から水を取得するための吸水口、源水から不純物を取り除くための水精製システム、及び、所望のミネラルを精製された水に付加するためのミネラル付加システムを備える水精製及び調合装置を開示している。
【0007】
先行技術のシステムは、水を消費するユーザにミネラル化をもたらすようになっている。しかしながら、これらのシステムはユーザの好みを考慮に入れていない。もしユーザが所定のミネラル濃度の水を飲まなければならないとき、ユーザはその水を嫌い、先行技術のシステムの使用をやめるかもしれない。ユーザのミネラル化への考慮や味の好みを考慮に入れた水調合システムが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2016/090235A1号
【文献】独国実用新案第202010006679U1号
【文献】国際公開第1994/006547A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ミネラル化要件を満たしユーザの味の好みを満足させる、ユーザに消費される水を選択する方法を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、請求項1に記載の方法及び請求項9に記載の方法によって達成される。従属請求項は好ましい実施形態に向けられている。
【0011】
本発明の目的は、複数の水製法を評価する方法によって解決される。水製法により水中のイオン濃度が決定される。複数の水飲用目的は、本方法によって決定される。所定の味重み付けは、複数の水飲用目的のそれぞれに割り当てられ、所定の味重み付けは、最も適した水製法の選択のための味重み付けを示す。所定のミネラル化重み付けは、複数の水飲用目的のそれぞれに割り当てられ、所定のミネラル化重み付けは、最も適した水製法の選択(味の基準の充足)のためのミネラル化の重み付け(ミネラル化要件の充足)を示す。複数の水飲用目的のそれぞれに対する所定の味重み付け及び所定のミネラル化重み付けは、コンピュータ内に保存される。所定の味重み付け及び/又は所定のミネラル化重み付けは、コンピュータにより又は専門家により決定することができる。コンピュータ、例えば飲水器を運転するコンピュータが水飲用目的を決定してもよいため、コンピュータはユーザにとって適した水製法を選択してもよい。
【0012】
本発明の文脈における水製法は、水中のイオン濃度を同定する。「水製法」という用語は、水がミネラル容器からのミネラルによってミネラル化されることを要求しない。水製法という語はまた、複数のタンクにおいて異なる種類のミネラルウォーターを用意することを含む。
【0013】
水飲用目的は、楽しみ、渇き、健康、元気回復、ダイエット、所定の種類の食物の付属物、所定の種類の茶を淹れるための水、所定の種類のコーヒーを淹れるための水、妊娠、授乳、所定の種類のワインの付属物、特定のスピリッツを希釈するための水、ミックスジュース飲料の一部としての水、などを含んでよい。所定の味重み付け及び/又は所定のミネラル化重み付けは、所定の種類のワインによって、所定の種類の食物によって、所定の種類の茶によって、所定の種類のコーヒー等によって異なってもよい。
【0014】
この方法は更に、ユーザの好み重み付けを複数の飲用目的のそれぞれの飲用目的に割り当てるステップを備えることができ、ユーザの好み重み付けは、最も適した水製法の選択のためのユーザの好みの重み付けを示す。コンピュータは、3つの重み付け基準、すなわち、ユーザが十分な量のミネラルを供給されることを確実にする所定のミネラル化重み付け、供給されるミネラルウォーターが一般的にユーザに受け入れられることを確実にする所定の味重み付け、及び、個人的な好みが適した水製法の選択にどれほど影響を及ぼすかを示す、所定のユーザの好み重み付けに基づいて最も適した水製法を選択することができる。
【0015】
本発明はまた、複数の水製法を評価する方法であって、水製法が水中のイオン濃度を決定する、方法も開示する。本方法は、水製法の1つによって生成される水の複数の味カテゴリを決定する。本方法は更に、複数の水製法のそれぞれのために、それぞれの味カテゴリの味コンプライアンス値を決定する。味コンプライアンス値は、それぞれの味カテゴリに対する水製法の準拠性を示す。複数の水製法のそれぞれの水製法の決定された味コンプライアンス値は、味コンプライアンスセットに割り当てられる。複数の水製法のそれぞれの水製法の味コンプライアンスセットは、コンピュータに保存される。出願人は、例えば分割出願などにおける、この面について独立した保護の請求を留保する。
【0016】
味コンプライアンス値は、例えば、イオン感応センサなどのセンサを備える装置によって決定されてもよい。1つの実施形態では、味コンプライアンス値はまた、専門家によって決定されてもよい。
【0017】
それぞれの味カテゴリの味コンプライアンス値は、複数の水製法のそれぞれの水製法のための味コンプライアンスセットとしてコンピュータ上に保存される為、コンピュータは、ミネラル化及びユーザの個人的好みの点でユーザにとって適した、より再現可能な水製法を選択することができる。
【0018】
味カテゴリは、塩味、金属―アルカリ、真水―金属、真水―アルカリ、塩味―アルカリ、低ミネラル、発泡性、非発泡性、石灰質、苦味、甘み、酸味などを含むことができる。
【0019】
1つの実施形態では、教示フェーズ中に、複数の分担量の水がユーザに供給され、複数の分担量の水のうち少なくともいくつかは、異なる水製法に基づいている。これらの分担量の水は、それぞれの水製法によって生成することができる。ユーザはこれらの分担量の水を飲用するよう要求される。ユーザは、これらの分担量の水を飲用した後、ユーザ個人の味の好みに従って、それぞれの分担量の水を評価するよう要求される。本方法は、複数の分担量の水を飲用することによりユーザによって飲用されたそれぞれの水製法の味カテゴリに対する対応を決定する。本方法は、ユーザの評価に基づいて、ユーザに、それぞれの味カテゴリに対する味コンプライアンス値を味コンプライアンスセットとして割り当てる。味コンプライアンスセットは、コンピュータに、ユーザの好みとして保存される。これにより、ユーザの味の好みは、再現可能な形でコンピュータ上に保存され、ユーザの好みが変化した際は、定期的に更新される。
【0020】
本方法は、複数の水製法のそれぞれに実際のミネラル化重み付けを割り当ててもよい。実際のミネラル化重み付けは、ユーザに供給される水製法のミネラル化の最適化を示す。つまり、ミネラル化重み付けは、ユーザに毎日消費されるべきミネラル、特に肉体的行為の後に消費されるべきミネラルを供給するための水製法の適合命令を示す。本方法は、実際の味重み付けを複数の水製法のそれぞれに割り当ててもよい。実際の味重み付けは、最も適した水製法の選択のための味の重み付けを示す。つまり、実際の味重み付けは、水が全てのユーザの味要件を満たしうるかどうかを示す。例えば、第1の水製法は例えば肉体的行為の後などに必要なミネラルをユーザに供給するために、より高いイオン濃度を有していても良い。第1の水製法は、より高い実際のミネラル化重み付け及びより低い味重み付けを有していても良い。元気回復により適した第2の水製法は、より低いイオン濃度そしてより低い実際のミネラル化重み付け、及び、より高い実際の味重み付けを有していても良い。実際のミネラル化重み付け及び実際の味重み付けは、水製法におけるイオンの種類及びイオン濃度に依存する。実際のミネラル化重み付け及び実際の味重み付けは、それぞれの水製法に割り当てられ、コンピュータに保存される。
【0021】
本方法は、複数の水製法のそれぞれに対して、それぞれの水飲用目的のための水飲用目的コンプライアンス値を決定してもよい。水飲用目的コンプライアンス値は、水製法の、それぞれの水飲用目的に対する準拠性を示す。水飲用目的コンプライアンス値は、水製法が特定の水飲用目的に適しているかどうかを示す。水製法は、複数の水飲用目的に適していても良い。1つの実施形態では、水飲用目的コンプライアンス値は、二進値であってよい。 複数の水製法のそれぞれの水製法の水飲用目的のそれぞれの割り当てられた水飲用目的コンプライアンス値は、コンピュータに保存される。
【0022】
実際のミネラル化重み付け、実際の味重み付け、及び/又は、水飲用目的コンプライアンス値は、例えばイオン固有センサなどのセンサを有する装置によって決定されてもよい。実際のミネラル化重み付け、実際の味重み付け、及び/又は、水飲用目的コンプライアンス値はまた、専門家によって決定されてもよい。
【0023】
本発明はまた、コンピュータによって複数の水製法から水製法を選択する方法であって、水製法は水中のイオン濃度を決定する、方法も開示する。本方法は、コンピュータによってユーザの水飲用目的を決定する。水飲用目的は、複数の水飲用目的から選ばれる。本方法は、コンピュータによって水飲用目的に適した水製法を選択する。水飲用目的に適した水製法を選択するステップは、以下のステップを含むことができる。本方法は、コンピュータに保存されたデータベース内のクエリによって水製法の実際のミネラル化重み付けを決定する。実際のミネラル化重み付けは、水製法によってユーザに供給されるミネラルの量に依存する。本方法は更に、コンピュータに保存されたデータベース内のクエリによって、飲用目的に関連付けられた所定のミネラル化重み付けを決定する。所定のミネラル化重み付けは、最も適した水製法の選択のためのミネラル化重み付けを示す。本方法は、水製法の実際のミネラル化重み付けと、水飲用目的に関連付けられた所定のミネラル化重み付けとの間のミネラル化重み付けの一致を決定しても良い。1つの実施形態では、ミネラル化重み付けの一致は、実際のミネラル化重み付けと所定のミネラル化重み付けとの乗算によって決定されてもよい。本方法は、コンピュータ内のデータベース内のクエリによって水製法の実際の味重み付けを決定しても良い。実際の味重み付けは、ユーザに供給される水製法の味の最適化を示す。本方法は更に、コンピュータに保存されたデータベース内のクエリによって、水飲用目的に関連付けられた所定の味重み付けを決定しても良い。所定の味重み付けは、最も適した水製法を選択するための味の重み付けを示す。更に、本方法は、水製法の実際の味重み付けと、飲用目的に関連付けられた所定の味重み付けとの間の味重み付けの一致を決定してもよい。1つの実施形態では、味重み付けの一致は、実際の味重み付けと所定の味重み付けとの乗算によって決定されてもよい。
【0024】
水飲用目的は、楽しみ、渇き、健康、元気回復、ダイエット、所定の種類の食物の付属物、所定の種類の茶を淹れるための水、所定の種類のコーヒーを淹れるための水、妊娠、授乳、所定の種類のワインの付属物、特定のスピリッツを希釈するための水、ミックスジュース飲料の一部としての水などを含むことができる。所定の味重み付け及び/又は所定のミネラル化重み付けは、所定の種類のワインに応じて、所定の種類の食物に応じて、所定の種類の茶に応じて、所定の種類のコーヒー等に応じて変化してもよい。
【0025】
本方法は、少なくとも1つのユーザの生理学的データに基づいて飲用目的を決定しても良い。生理学的データは、例えばスマートウォッチなどのスマートデバイスによって決定されてもよい。少なくとも1つの生理学的データは、例えば、歩数、現在及び/又は過去の心拍数などのユーザの活動に基づいても良い。個人の生理学的データは、性別、代謝データ、心拍数、活動、歩数、歩行速度、サイクリング速度、エネルギー消費(カロリー消費)、月経など、を含むことができる。代わりに又は加えて、水飲用目的は、ユーザがいる位置の、又はユーザがいた位置の少なくとも1つの環境パラメータに基づいて選ばれてもよい。環境パラメータは、スマートデバイスのセンサによって決定される実際の温度であってもよい。環境パラメータはまた、例えば、天気予報、気象通報などのような、遠隔コンピュータから受信する値を含んでもよい。水飲用目的はまた、日付に基づいて選ばれても良い。日付は、季節を示してもよく、したがって、必要なミネラル化の指針であっても良い。水飲用目的はまた、現在時刻に基づいても良い。水飲用目的は、1日を通して変化してもよい。水飲用目的は、少なくとも1つのユーザ入力に基づいて選ばれても良い。ユーザは、例えば、どの種類の食事を食べようとしているか、どの種類のワインを飲もうとしているか、どの種類の茶を淹れようとしているか、どの種類のコーヒーを淹れようとしているか、妊娠しているか及び/又は現在授乳中であるか、を入力することができる。上記の基準は、本方法が実行されているコンピュータによって水飲用目的を決定しても良い。
【0026】
本方法においては更に、飲用目的のユーザ好み重み付けをコンピュータのデータベース内で照会するステップを備えてもよく、ユーザ好み重み付けは、最も適した水製法を選択するためのユーザの好みの重み付けを示す。この実施形態では、3つの重み付け値がそれぞれの水飲用目的、いわゆる、ミネラル化重み付け、味重み付け、及びユーザ好み重み付けに割り当てられる。身体活動の後のユーザの体の再ミネラル化のための第1の飲用目的は、より高いミネラル化重み付け、より低い味重み付け、及び、より低いユーザ好み重み付けを含んでもよい。食事の付属物のための第2の飲用目的は、より低いミネラル化重み付け、しかしながらより高い味重み付け、及び、より高いユーザ好み重み付けを含んでもよい。味重み付けは、複数のユーザの一般的な味の好みに基づいてもよい。ユーザ好み重み付けは、教示フェーズ中にユーザによって決定されても良い。
【0027】
本方法は、コンピュータのデータベース内で、複数の水製法のそれぞれのために水飲用目的コンプライアンス値を照会してもよく、水飲用目的コンプライアンス値は、水製法が水飲用目的に適しているかどうかを示す。水飲用目的コンプライアンス値が所定の閾値よりも高い場合、水製法は水製法候補リストに割り当てられる。本ステップは適した水製法の選択を加速させ、複雑性を減少させる。1つの実施形態では、水飲用目的コンプライアンス値は、二進値であってもよい。
【0028】
1つの実施形態では、教示フェーズ中に複数の分担量の水がユーザに供給され、複数の分担量の水の少なくともいくつかは、異なる水製法に基づく。複数の分担量の水は、それぞれの水製法によって生成することができる。ユーザは複数の分担量の水を飲用するよう要求される。ユーザは、ユーザの個人的な味の好みに従って複数の分担量の水を飲用した後、それぞれの分担量の水を評価するよう要求される。本方法は、複数の分担量の水を飲用することによってユーザによって飲用されたそれぞれの水製法の、味カテゴリに対する対応を決定する。本方法は、ユーザの評価に基づいて、それぞれの味カテゴリに対する味コンプライアンス値を、味コンプライアンスセットとしてユーザに割り当てる。味コンプライアンスセットは、コンピュータにユーザの好みとして保存される。それにより、ユーザの味の好みは、再現可能な形でコンピュータ上に保存され、ユーザの好みが変化した場合は、定期的に更新される。
【0029】
本方法は、ユーザに割り当てられた味コンプライアンスセットをコンピュータのデータベース内で照会してもよい。味コンプライアンスセットは、複数の味カテゴリのそれぞれのための複数の味コンプライアンス値を含む。コンピュータは、コンピュータのデータベース内で、水製法に割り当てられた味コンプライアンスセットを照会してもよい。水製法の味コンプライアンスセットは、複数の味カテゴリのための複数の味コンプライアンス値を含む。本方法は、水製法に関連付けられた味コンプライアンスセットと、ユーザに関連付けられた味コンプライアンスセットとの間のユーザの好みの一致を決定してもよい。
【0030】
味カテゴリのそれぞれの味コンプライアンス値は、複数の水製法のそれぞれの水製法のための味コンプライアンスセットとしてコンピュータ上に保存されるため、コンピュータは、ミネラル化とユーザの個人的な好みの点でユーザに適した、より再現可能な水製法を選択することができる。
【0031】
味カテゴリは、塩味、金属―アルカリ、真水―金属、真水―アルカリ、塩味―アルカリ、低ミネラル、発泡性、非発泡性などを含むことができる。
【0032】
水製法に関連付けられた味コンプライアンスセットと、ユーザに関連付けられた味コンプライアンスセットとの間のユーザの好みの一致を決定するステップは、水製法のそれぞれの味カテゴリのそれぞれの味コンプライアンス値の、ユーザの好みの同じ味カテゴリの味コンプライアンス値との一致を決定するステップを含むことができる。
【0033】
1つの実施形態では、ユーザの好みの一致UPAは、以下の式によって算出される:
【0034】
[数1]
UPA(WR,U)=
WTC1(WR)×UTC1(U)+
WTC2(WR)×UTC1(U)+
......+
WTCn(WR)×UTCn(U);
であって、
【0035】
UPAは、ユーザの好みの一致であり;
WRは、水製法のことをいい;
Uは、ユーザのことをいい;
WTC1は、水の味カテゴリ1であり;
WTC2は、水の味カテゴリ2であり;
WTCnは、水の味カテゴリnであり;
UTC1は、ユーザの味カテゴリ1であり;
UTC2は、ユーザの味カテゴリ2であり;
UTCnは、ユーザの味カテゴリnである。
【0036】
1つの実施形態では、本方法は、ミネラル化一致及び味一致の最も高い合計を有する水製法を、最も適した水製法として選択してもよい。
【0037】
別の実施形態では、本方法は、ミネラル化一致、味一致、及びユーザの好みの一致の最も高い合計を有する水製法を、最も適した水製法として選択してもよい。
【0038】
本方法は、最も高い全体の一致OAに基づいて水製法を選択しても良く、全体の一致は以下の式によって算出される:
【0039】
[数2]
OA(WR,WDP,U)=
TWW(WR)×TWP(WDP)+
MWW(WR)×MWP(WDP)+
UPA(WR,U)×UPW(WDP);
であって、
【0040】
OAは、全体の一致であり;
TWWは、水製法の味重み付けであり;
TWPは、水飲用目的の味重み付けであり;
MWWは、水製法のミネラル化重み付けであり;
MWPは、飲用目的のミネラル化重み付けであり;
WRは、水製法のことをいい;
WDPは、水飲用目的のことをいい;
UPAは、ユーザの好みの一致であり;
UPWは、ユーザ好み重み付けであり;
Uは、ユーザのことをいう。
【0041】
1つの実施形態では、ユーザは、ユーザの個人的な好みに従って水を飲用した後に、水を評価するよう要求される。本方法は、ユーザによって飲用された水のための水製法の、味カテゴリに対する対応を決定する。本方法は、ユーザの評価に基づいて、それぞれの味カテゴリのための味コンプライアンス値を、味コンプライアンスセットとしてユーザに割り当てる。味コンプライアンスセットは、ユーザの好みとしてコンピュータに保存される。これにより、ユーザの味の好みは、再現可能な形でコンピュータ上に保存され、ユーザの好みが変化する場合は、定期的に更新される。
【0042】
本発明はここで、本発明の非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照しながらより詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、例示的な飲水器の模式図である。
図2図2は、水製法を評価するための第1のフローチャートである。
図3図3は、水製法を評価するための第2のフローチャートである。
図4図4は、水製法を評価するための第3のフローチャートである。
図5図5は、ユーザの好みを決定するためのフローチャートである。
図6図6は、最も適した水製法を決定する方法のためのフローチャートである。
図7図7は、動的な水製法生成のためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1に関して、例示的な飲水器100が記載されている。飲水器100は、タンクや水道などの水源102と接続されている。水源102は、逆浸透フィルタなどのフィルタ108へと揚水するポンプ104とパイプによって接続されている。フィルタ108は、泥やいかなる不要なミネラルを水から取り除くことができ、完全にミネラル除去した水を産出することができる。
【0045】
水は次に、バルブ118,120,122によって接続されたミネラライザ110へ通され、複数のミネラル化流体タンク112,114,116へと通される。ミネラライザ110で、水は、複数のミネラル化流体タンク112,114,116からの所望のミネラルでミネラル化され、それぞれのミネラル化流体タンク112,114,116は異なるミネラルを備えることができる。ミネラルの追加は、バルブ118,120,122によって決定的な方式で制御される。ミネラル化された水は次に、ノズル124へ通され、コップなどのユーザ容器126へ排出される。
【0046】
水製法は、ミネラル化流体容器112,114,116からバルブ118,120,122によって水に送達されるイオンの量を規定する。
【0047】
飲水器100は更に、制御ユニット128を備える。制御ユニット128は、ポンプ及び複数のバルブ118,120,122を制御するコントローラ130を備える。コントローラ130は、ポンプ104及び複数のバルブ118,120,122を制御し、ノズル124によって排出される水は、所定のイオン濃度(ミネラル化)を備える。
【0048】
コントローラ130は、以下でより詳しく記載される、複数の水製法、水飲用目的、ユーザの好み等に関するデータを含むデータベース132に接続されている。コントローラ130はまた、例えばスマートウォッチ136、及び/又は、スマートフォン138などの個人電子装置と通信するためのコミュニケーションユニット134にも接続されている。
【0049】
コントローラ130はまた、タッチスクリーンなどの入力/出力ユニット140にも接続されてもよい。1つの実施形態では、入力/出力ユニットは個人電子装置によって実施されていてもよい。コントローラ130は、ユーザに対して、例えば生成された水を飲用するなど、特定の行動を行うよう要求してもよい。ユーザは入力/出力ユニット140によって、フィードバックを入力したり、特定の量の水の生成を要求したりすることができる。
【0050】
図2図4に関して、水製法を評価する方法が説明される。水製法は、データベース132内に保存される。データベース132という用語は、ハードディスク、SSD、EPROM等の不揮発性メモリ内に保存されたデータを含んで良い。データベースという用語は、SQLデータベース等の高度なデータベースエンジンが要求されることを意味しない。
【0051】
図2は、方法200によって水製法を評価するための第1のレイヤを示している。ステップ202において、水製法が生成される。水製法は、専門家によって生成されるか、または、データベースからインポートされてよい。水製法は、天然源泉からなどの、既知の水製法であってもよい。水製法はまた、妊娠中や授乳中に人体を再ミネラル化するため、特定の疾病からの回復の支援のため、などの健康上の理由のために医師によって最適化された水製法を含んで良い。
【0052】
ステップ204では、実際の味の重み付け及び実際のミネラル化の重み付けが決定される。水製法のいくつかは、例えば身体的活動又は精神的活動の後に人体をミネラル化するために特に適していてもよい。水製法の他のいくつかは、味の理由によりユーザによって特に受け入れられても良い。実際のミネラル化重み付けは、水製法の人体のミネラル化への適合性を規定する。実際の味重み付けは、大多数のユーザによる、味を理由とした水製法の受容度を規定する。
【0053】
言い換えると、大きなミネラル化重み付けは、水製法が人体を再ミネラル化することに適していることを示す。大きな実際の味重み付けは、水製法が良い味を持つと複数のユーザによって考えられることを示す。
【0054】
実際のミネラル化重み付け及び/又は実際の味重み付けは、特定のセンサを備える装置によって決定されても良く、並びに/又は、専門家によって決定されても良い。
【0055】
ステップ206は、水製法のデータベースが連続的に更新されてもよいことを示している。
【0056】
図3は、水製法を評価するための第2のレイヤを示している。方法208によって、複数の味カテゴリがステップ210で規定される。味カテゴリは、専門家によって、又は、イオン固有センサを備える装置によって、規定されてもよい。ステップ212では、複数の味カテゴリが示される。味カテゴリは、塩味、金属―アルカリ、真水―金属、真水―アルカリ、塩味―アルカリ、低ミネラル、発泡性、非発泡性など、を含んで良い。味カテゴリは、データベース132内に保存される。
【0057】
ステップ214では、それぞれの水製法に対して、味コンプライアンス値がそれぞれの味カテゴリに割り当てられる。この割り当ては、複数のイオン固有センサを備える、先に言及した装置によって、及び/又は、専門家によって実行されてもよい。味コンプライアンス値は0~1の間で変動してもよい。
【0058】
ステップ216では、それぞれの味カテゴリのための味コンプライアンス値は、味コンプライアンスセットに結合される。例えば、水製法1WR1は、塩味のカテゴリについて0.4の味コンプライアンス値を有し、金属―アルカリのカテゴリについては0.6の味コンプライアンス値を有する。塩味のカテゴリに対する味コンプライアンス値と、金属―アルカリのカテゴリに対する味コンプライアンス値、味コンプライアンスセットのために。水製法2WR2は、塩味のカテゴリについて0.7の味コンプライアンス値を有し、金属―アルカリのカテゴリについては0.2の味コンプライアンス値を有する。水製法3WR3は、塩味のカテゴリについて0.2の味コンプライアンス値を有し、金属―アルカリのカテゴリについては0.4の味コンプライアンス値を有する。
【0059】
それぞれの水製法の味コンプライアンスセットは、データベース132内に保存される。
【0060】
図4は、方法218によって水製法を評価するためのステップを示している。ステップ220では、複数の水飲用目的が規定される。ステップ222では、楽しみ、渇き、健康などの例示的な水飲用目的がデータベース132に保存されている。
【0061】
本方法は、複数の水飲用目的コンプライアンス値がそれぞれの水製法に割り当てられ、水飲用目的コンプライアンス値は、水製法が特定の水飲用目的に適しているかどうかを示す2進値であってよい、ステップ224へと続く。
【0062】
ステップ226では、水製法に割り当てられた、例示的な水飲用目的コンプライアンス値が示されている。例えば、水製法1WR1は、水飲用目的楽しみ及び健康については1の水飲用目的コンプライアンス値を有し、水飲用目的渇きについての水飲用目的コンプライアンス値は0である。水製法2WR2は、水飲用目的渇きについては1の水飲用目的コンプライアンス値を有する一方、楽しみ及び健康についての水飲用目的コンプライアンス値は0である。水製法3WR3は、水飲用目的楽しみ及び渇きについて1の水飲用目的コンプライアンス値を有する一方、水飲用目的健康についての水飲用コンプライアンス値は0である。それぞれの水製法に割り当てられた水飲用目的コンプライアンス値はデータベース132内に保存される。飲用目的コンプライアンス値はイオン固有のセンサに接続されたコンピュータ、又は、専門家によって割り当てられてもよい。
【0063】
本方法は、それぞれの水飲用目的に対して所定の重み付けが割り当てられるステップ228へと進む。所定の重み付けは、コンピュータによって、又は、専門家によって割り当てられてもよい。それぞれの水飲用目的に対して、所定のミネラル化重み付け、所定の味重み付け、及び、所定のユーザ好み重み付けが割り当てられる。ステップ230は、3つの例示的な水飲用目的に対する例示的な所定の重み付けを示している。水飲用目的楽しみは、所定の味重み付け0.6、所定のユーザ好み重み付け0.1、所定のミネラル化重み付け0.3からなる。水飲用目的渇きは、所定の味重み付け0.3、所定のユーザ好み重み付け0.3、及び、所定のミネラル化重み付け0.3からなる。水飲用目的健康は、所定の味重み付け0.2、所定のユーザ好み重み付け0.2、及び、所定のミネラル化重み付け0.6からなる。水飲用目的への所定の重み付けは、データベース132内に保存される。
【0064】
図5は、ユーザ好みが方法250によって決定される教示フェーズを示している。ステップ252において、ユーザ好みは、水の試飲によって決定される。コントローラ130は、飲水器100に対して、異なる水製法に基づく複数の分担量の水を生成するよう命令する。水製法は、バルブ118,120,122によってミネラル化流体容器112,114,116から水へ送達されるイオンの量を規定する。複数の分担量の水がノズル124によって容器126へと排出される。コントローラ130は、入力/出力ユニット140によって、ユーザに対して、分担量の水を飲用し、入力/出力ユニット140を通して、ユーザが水を好むか好まないかを示すよう要求する。方法250は、どの味カテゴリがユーザによって好まれたかを、先に記述した味カテゴリに基づいて決定してもよい。塩味、金属―アルカリ、真水―金属、真水―アルカリ、塩味―アルカリ、低ミネラル、発泡性、非発泡性等の上記のそれぞれの味カテゴリについて、味コンプライアンス値がユーザに対して割り当てられる。ステップ254において、味コンプライアンス値は、ユーザの味コンプライアンスセットとしてデータベース132内に保存される。
【0065】
図6は、水を飲用することを望むユーザにとって最も適した水製法を選択するための方法300を示している。ステップ302において、ユーザの水飲用目的が決定される。ユーザの水飲用目的を決定するために、本方法はユーザを同定してもよい。ユーザの水飲用目的は、楽しみ、渇き、健康、元気回復、ダイエット、妊娠、授乳、所定の種類のワインの付属物、所定の種類の食物の付属物、所定の種類の茶を淹れるための水、所定の種類のコーヒーを淹れるための水、などを含んで良い。水飲用目的は、ユーザが水を要求する前の所定の時間内において、例えば、性別、代謝データ、心拍数、活動プロファイル、歩数、歩行速度、サイクリング速度、エネルギー消費(カロリー消費)、月経、などの、少なくとも1つのユーザの生理学的データに基づいていてもよい。水飲用目的は、例えば温度、湿度などの、ユーザがいる又はいた場所の、少なくとも1つの環境パラメータに基づいていてもよい。水飲用目的はまた、日付に基づいて、例えば、現在の季節に基づいて選ばれても良い。更に、水飲用目的は、例えば、朝、正午、又は夕方などの現在時刻に基づいていてもよい。水飲用目的は、例えば、付属される食物の種類の入力、付属されるワインの種類の入力、淹れられる茶の種類の入力、淹れられるコーヒーの種類の入力などの、少なくとも1つのユーザの入力に基づいていてもよい。
【0066】
本方法は、データベース内の全ての水製法が水製法の候補リストに載せられる、ステップ304へと進む。ステップ304は、水製法に関連付けられ、データベース内に保存された水飲用目的コンプライアンス値に基づいて、飲用目的に適していない全ての水製法を候補リストから取り除く。本明細書に記載される実施形態において、水飲用目的コンプライアンス値0(偽)を有する全ての水製法が水製法の候補リストから取り除かれる。
【0067】
本方法は、水製法の候補のそれぞれについて、全ての実際のミネラル化及び実際の味値がデータベースから照会される、ステップ306へと進む。ステップ308において、それぞれの水製法の候補のユーザ好みは、以下の式によって、水製法の候補それぞれ及びユーザに関連付けられた味コンプライアンスセットに基づいて、個人的ユーザ好みの一致として算出される:
[数3]
UPA(WR,U)=
WTC1(WR)×UTC1(U)+
WTC2(WR)×UTC1(U)+
......+
WTCn(WR)×UTCn(U);
であって、
【0068】
UPAは、ユーザの好みの一致であり;
WRは、水製法のことをいい;
Uは、ユーザのことをいい;
WTC1は、水の味カテゴリ1であり;
WTC2は、水の味カテゴリ2であり;
WTCnは、水の味カテゴリnであり;
UTC1は、ユーザの味カテゴリ1であり;
UTC2は、ユーザの味カテゴリ2であり;
UTCnは、ユーザの味カテゴリnである。
【0069】
308を参照して、それぞれの水製法についての、実際の味重み付け、実際のミネラル化重み付け、及び個人的ユーザ好みの一致(UPA)の数字が示される。
【0070】
本方法は、ユーザにとっての水製法候補の全体的一致が、飲用目的に基づいて算出される、ステップ310へと進む。全体的一致は、以下の式を用いて算出される:
[数4]
OA(WR,WDP,U)=
TWW(WR)×TWP(WDP)+
MWW(WR)×MWP(WDP)+
UPA(WR,U)×UPW(WDP);
であって、
【0071】
OAは、全体の一致であり;
TWWは、水製法の実際の味重み付けであり;
TWPは、水飲用目的の所定の味重み付けであり;
MWWは、水製法の実際のミネラル化重み付けであり;
MWPは、飲用目的の所定のミネラル化重み付けであり;
WRは、水製法のことをいい;
WDPは、水飲用目的のことをいい;
UPAは、ユーザの好みの一致であり;
UPWは、ユーザ好み重み付けであり;
Uは、ユーザのことをいう。
【0072】
ステップ312において、最も高い全体的一致を有する水製法の候補が、最も適した水製法として選択される。
【0073】
1つの実施形態では、ユーザは、水を飲用した後、ユーザの個人的な味の好みに従って水を評価するよう要求される。本方法は、ユーザによって飲用された水のための水製法の、味カテゴリに対する対応を決定する。本方法は、それぞれの味カテゴリに対する味コンプライアンス値を、ユーザの評価に基づいて、味コンプライアンスセットとしてユーザに割り当てる。味コンプライアンスセットは、ユーザの好みとしてコンピュータに保存される。これにより、ユーザの味の好みは、再現可能な形でコンピュータに保存され、ユーザの好みが変化する場合は、定期的に更新することができる。
【0074】
図7を参照して、動的に水製法を推薦する方法330が説明される。ステップ332において、飲水器100は、例えばスマートウォッチ136やスマートフォン138などの外部装置から、外部情報にアクセスすることができる。外部データは、例えば、性別、代謝データ、心拍数、活動、歩数、歩行速度、サイクリング速度、エネルギー消費(カロリー消費)などの人の生理学的データを含んで良く、外部情報はまた、温度、湿度などを含んでも良い。温度及び/又は湿度は、計測サービスから取得してもよく、又は、センサによって決定されても良い。
【0075】
本システムはまた、ユーザの性別及び年齢に関する情報を取得してもよい。
【0076】
本システムはまた、ユーザの位置を受信してもよい。
【0077】
ステップ334において、取得された情報が表示される。
【0078】
本方法は、例えば、水製法及び水飲用目的に関する推薦などの、1つまたはそれ以上の推薦が生成される、ステップ336へと進む。
【0079】
本方法は、適した水飲用目的が選択される、ステップ338へと進む。適した水飲用目的は、ユーザによって確認されてもよく、又は、自動的に生成され、図6に関して記述された方法300へと転送されてもよい。
【0080】
水製法が水飲用目的に対して最適に選択されうることは、本発明の有利な点である。更に、水製法は、ユーザの味の好みに基づいて選択することもできる。これにより、ユーザの適切なミネラル化、及びユーザへの適切な水分補給が達成され、一方で、ユーザの味の好みも満足させられる。これにより、飲水器100の受容が増加する。これにより、飲用器の継続的で頻繁な使用に繋がり、したがって、長期間にわたって人の適切なミネラル化が確実にされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7