(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】DCDCコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
H02M3/155 H
(21)【出願番号】P 2019155284
(22)【出願日】2019-08-28
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】會澤 清
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-175124(JP,A)
【文献】国際公開第2014/119307(WO,A1)
【文献】特開2019-135887(JP,A)
【文献】特開2009-027895(JP,A)
【文献】特開2016-063648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
H02M 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電路と第2導電路との間で双方向の電圧変換を行う電圧変換部と、
前記電圧変換部を制御する制御信号を出力する制御部と、
前記制御部から出力される前記制御信号に応じた駆動信号を出力する駆動部と、
前記第1導電路に印加される第1電圧を検出する第1電圧検出部と、
前記第2導電路に印加される第2電圧を検出する第2電圧検出部と、
を備え、
前記電圧変換部は、前記第1導電路に印加される電圧を降圧して前記第2導電路に電圧を印加する動作又は前記第2導電路に印加される電圧を昇圧して前記第1導電路に電圧を印加する動作の少なくともいずれかである第1変換動作と、前記第1導電路に印加される電圧を昇圧して前記第2導電路に電圧を印加する動作又は前記第2導電路に印加される電圧を降圧して前記第1導電路に電圧を印加する動作の少なくともいずれかである第2変換動作と、を行うDCDCコンバータであって、
前記制御部は、前記第1変換動作を行わせるための第1制御信号と、前記第2変換動作を行わせるための第2制御信号と、を出力し、
前記駆動部は、前記制御部から前記第1制御信号が出力された場合に前記第1制御信号に応じた第1駆動信号を前記電圧変換部に出力する第1駆動部と、前記制御部から前記第2制御信号が出力された場合に前記第2制御信号に応じた第2駆動信号を前記電圧変換部に出力する第2駆動部と、を有し、
前記電圧変換部は、スイッチを含む第1ハイサイド素子とスイッチ又は
ダイオード整流方式で動作するように設けられたダイオードを含む第1ローサイド素子とを備えるとともに前記第1駆動信号が与えられる第1スイッチ部と、スイッチを含む第2ハイサイド素子とスイッチ又は
前記ダイオード整流方式で動作するように設けられたダイオードを含む第2ローサイド素子とを備えるとともに前記第2駆動信号が与えられる第2スイッチ部と、前記第1ハイサイド素子と前記第1ローサイド素子との間の第1接続点と前記第2ハイサイド素子と前記第2ローサイド素子との間の第2接続点との間に設けられたインダクタと、を有し
、
前記第1スイッチ部に前記第1駆動信号が与えられた場合に前記電圧変換部が前記第1変換動作を行い、
前記第2スイッチ部に前記第2駆動信号が与えられた場合に前記電圧変換部が前記第2変換動作を行う構成をなし、
さらに、前記第1変換動作のときに前記第1ハイサイド素子と前記第1ローサイド素子との間の第1接続点よりも高い電圧を前記
第1駆動部に印加
する第1ブートストラップ回路、
及び前記第2変換動作のときに前記第2ハイサイド素子と前記第2ローサイド素子との間の第2接続点よりも高い電圧を前記
第2駆動部に印加する
第2ブートストラップ回路を有するブートストラップ回路部と、
入力電圧を昇圧して前記
第1駆動部に対して前記入力電圧よりも高い
第1出力電圧
を印加する第1チャージポンプ回路、入力電圧を昇圧して前記第2駆動部に対して前記入力電圧よりも高い第2出力電圧を印加する
第2チャージポンプ回路、及び前記第1チャージポンプ回路と前記第2チャージポンプ回路の動作を制御する動作制御部を有するチャージポンプ回路部と、
を備え、
前記
第1駆動部は、前記
第1ブートストラップ回
路によって印加される
前記第1接続点よりも高い電圧又は前記
第1チャージポンプ回
路によって印加される
前記第1出力電圧に応じた電圧信号を含む前記第1駆動信号
を出力し、
前記第2駆動部は、前記第2ブートストラップ回路によって印加される前記第2接続点よりも高い電圧又は前記第2チャージポンプ回路によって印加される前記第2出力電圧に応じた電圧信号を含む前記第2駆動信号を出力し
、
前記第1変換動作を行う場合、
前記第1電圧が前記第2電圧よりも大きく、且つ前記第1電圧と前記第2電圧との差が第1閾値以上のときに、前記動作制御部は、前記第2チャージポンプ回路から前記第2駆動部に前記第2出力電圧を印加させ、前記第1チャージポンプ回路
から前記第1駆動部に前記第1出力電圧を印加させず、
前記第2変換動作を行う場合、
前記第1電圧が前記第2電圧よりも小さく、且つ前記第1電圧と前記第2電圧との差が第2閾値以上のときに、前記動作制御部は、前記第1チャージポンプ回路から前記第1駆動部に前記第1出力電圧を印加させ、前記第2チャージポンプ回路
から前記第2駆動部に前記第2出力電圧を印加させないDCDCコンバータ。
【請求項2】
前記チャージポンプ回路部は、前記第1変換動作が行われている状態において少なくとも前記第1電圧と前記第2電圧との差が
前記第1閾値未満になった場合に前記第1駆動部に前記
第1出力電圧を印加する請求項1に記載のDCDCコンバータ。
【請求項3】
前記チャージポンプ回路部は、前記第2変換動作が行われている状態において少なくとも前記第1電圧と前記第2電圧との差が
前記第2閾値未満になった場合に前記第2駆動部に前記
第2出力電圧を印加する請求項1又は請求項2に記載のDCDCコンバータ。
【請求項4】
前記チャージポンプ回路部は、前記第1導電路に印加される電圧を降圧して前記第2導電路に電圧を印加するように前記第1変換動作が行われている場合又は前記第2導電路に印加される電圧を降圧して前記第1導電路に電圧を印加するように前記第2変換動作が行われている場合において、前記第1電圧よりも前記第2電圧のほうが大きいときには前記第1駆動部に前記
第1出力電圧を印加し、前記第2電圧よりも前記第1電圧のほうが大きいときに前記第2駆動部に前記
第2出力電圧を印加する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のDCDCコンバータ。
【請求項5】
前記チャージポンプ回路部は、前記第2導電路に印加される電圧を昇圧して前記第1導電路に電圧を印加するように前記第1変換動作が行われている場合又は前記第1導電路に印加される電圧を昇圧して前記第2導電路に電圧を印加するように前記第2変換動作が行われている場合において、前記第2電圧よりも前記第1電圧のほうが大きい
ときには前記第2駆動部に前記
第2出力電圧を印加し、前記第1電圧よりも前記第2電圧のほうが大きいときには前記第1駆動部に前記
第1出力電圧を印加する請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のDCDCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、DCDCコンバータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
Nチャネル型のMOSFETをスイッチング素子として用い、ハイサイド駆動する場合には、ゲート電圧をソース電圧より高くする必要がある。これを実現するために、従来よりブートストラップ回路が用いられている。ブートストラップ回路からの供給電圧の大きさは、ブートストラップ回路におけるコンデンサの充電電圧によって決まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-173481号公報
【文献】特開2008-29085号公報
【文献】特開2014-11841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献3には、ブートストラップ回路とチャージポンプ回路を併用する構成が開示されている。具体的には、入力電圧を監視し、所定の閾値を下回る場合のみチャージポンプを動作させるという制御方法が採用されている。しかし、この制御方法は、双方向の変換動作を行うコンバータにそのまま適用することはできない。双方向のコンバータはチャージポンプ回路を動作させるべきタイミングを決定する上で入力電圧だけでなく他の要素も考慮しなければならない。
【0005】
そこで、本開示では動作タイミングが適切なチャージポンプ回路を備えた双方向昇降圧動作をするDCDCコンバータを提供することが目的である。
【0006】
本開示のDCDCコンバータは、
第1導電路と第2導電路との間で双方向の電圧変換を行う電圧変換部と、
前記電圧変換部を制御する制御信号を出力する制御部と、
前記制御部から出力される前記制御信号に応じた駆動信号を出力する駆動部と、
前記第1導電路に印加される第1電圧を検出する第1電圧検出部と、
前記第2導電路に印加される第2電圧を検出する第2電圧検出部と、
を備え、
前記電圧変換部は、前記第1導電路に印加される電圧を降圧して前記第2導電路に電圧を印加する動作又は前記第2導電路に印加される電圧を昇圧して前記第1導電路に電圧を印加する動作の少なくともいずれかである第1変換動作と、前記第1導電路に印加される電圧を昇圧して前記第2導電路に電圧を印加する動作又は前記第2導電路に印加される電圧を降圧して前記第1導電路に電圧を印加する動作の少なくともいずれかである第2変換動作と、を行うDCDCコンバータであって、
前記制御部は、前記第1変換動作を行わせるための第1制御信号と、前記第2変換動作を行わせるための第2制御信号と、を出力し、
前記駆動部は、前記制御部から前記第1制御信号が出力された場合に前記第1制御信号に応じた第1駆動信号を前記電圧変換部に出力する第1駆動部と、前記制御部から前記第2制御信号が出力された場合に前記第2制御信号に応じた第2駆動信号を前記電圧変換部に出力する第2駆動部と、を有し、
前記電圧変換部は、スイッチを含む第1ハイサイド素子とスイッチ又はダイオードを含む第1ローサイド素子とを備えるとともに前記第1駆動信号が与えられる第1スイッチ部と、スイッチを含む第2ハイサイド素子とスイッチ又はダイオードを含む第2ローサイド素子とを備えるとともに前記第2駆動信号が与えられる第2スイッチ部と、を有し、
前記第1スイッチ部に前記第1駆動信号が与えられた場合に前記電圧変換部が前記第1変換動作を行い、
前記第2スイッチ部に前記第2駆動信号が与えられた場合に前記電圧変換部が前記第2変換動作を行う構成をなし、
さらに、前記第1変換動作のときに前記第1ハイサイド素子と前記第1ローサイド素子との間の第1接続点よりも高い電圧を前記駆動部に印加し、前記第2変換動作のときに前記第2ハイサイド素子と前記第2ローサイド素子との間の第2接続点よりも高い電圧を前記駆動部に印加するブートストラップ回路部と、
入力電圧を昇圧して前記駆動部に対して前記入力電圧よりも高い出力電圧を印加するチャージポンプ回路部と、
を備え、
前記駆動部は、前記ブートストラップ回路部によって印加される電圧又は前記チャージポンプ回路部によって印加される電圧に応じた電圧信号を含む前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号を出力し、
前記チャージポンプ回路部は、前記第1電圧と、前記第2電圧と、前記第1変換動作又は前記第2変換動作の状態と、に基づいて前記チャージポンプ回路部が前記出力電圧を印加する動作時期を決定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、動作タイミングが適切なチャージポンプ回路を備えた双方向昇圧動作をするDCDCコンバータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のDCDCコンバータを示す回路図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のDCDCコンバータが第1導電路に印加された入力電圧に基づいて第2導電路に出力する場合において、第1導電路に印加された入力電圧が第2導電路の電圧より高い状態から低い状態に変化する場合における第1チャージポンプ回路及び第2チャージポンプ回路の動作を示すタイムチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態1のDCDCコンバータが第2導電路に印加された入力電圧に基づいて第1導電路に出力する場合において、第2導電路に印加された入力電圧が第1導電路の電圧より低い状態から高い状態に変化する場合における第1チャージポンプ回路及び第2チャージポンプ回路の動作を示すタイムチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態1のDCDCコンバータが第1導電路に印加された入力電圧に基づいて第2導電路に出力する場合において、第1導電路に印加された入力電圧が第2導電路の電圧より低い状態から高い状態に変化する場合における第1チャージポンプ回路及び第2チャージポンプ回路の動作を示すタイムチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態1のDCDCコンバータが第2導電路に印加された入力電圧に基づいて第1導電路に出力する場合において、第2導電路に印加された入力電圧が第1導電路の電圧より高い状態から低い状態に変化する場合における第1チャージポンプ回路及び第2チャージポンプ回路の動作を示すタイムチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態2のDCDCコンバータを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示のDCDCコンバータは、電圧変換部、制御部、駆動部、第1電圧検出部、及び第2電圧検出部を備えている。
電圧変換部は第1導電路と第2導電路との間で双方向の電圧変換を行う。制御部は電圧変換部を制御する制御信号を出力する。駆動部は制御部から出力される制御信号に応じた駆動信号を出力する。第1電圧検出部は第1導電路に印加される第1電圧を検出する。第2電圧検出部は第2導電路に印加される第2電圧を検出する。電圧変換部は第1変換動作及び第2変換動作を行う。第1変換動作は第1導電路に印加される電圧を降圧して第2導電路に電圧を印加する動作又は第2導電路に印加される電圧を昇圧して第1導電路に電圧を印加する動作の少なくともいずれかを行う。第2変換動作は第1導電路に印加される電圧を昇圧して第2導電路に電圧を印加する動作又は第2導電路に印加される電圧を降圧して第1導電路に電圧を印加する動作の少なくともいずれかを行う。制御部は、第1変換動作を行わせるための第1制御信号と、第2変換動作を行わせるための第2制御信号とを出力する。
【0010】
駆動部は第1駆動部及び第2駆動部を有している。第1駆動部は制御部から第1制御信号が出力された場合に第1制御信号に応じた第1駆動信号を電圧変換部に出力する。第2駆動部は制御部から第2制御信号が出力された場合に第2制御信号に応じた第2駆動信号を電圧変換部に出力する。電圧変換部は第1スイッチ部と第2スイッチ部とを有している。第1スイッチ部はスイッチを含む第1ハイサイド素子とスイッチ又はダイオードを含む第1ローサイド素子とを備えるとともに第1駆動信号が与えられる。第2スイッチ部はスイッチを含む第2ハイサイド素子とスイッチ又はダイオードを含む第2ローサイド素子とを備えるとともに第2駆動信号が与えられる。第1スイッチ部に第1駆動信号が与えられた場合に電圧変換部は第1変換動作を行う。第2スイッチ部に第2駆動信号が与えられた場合に電圧変換部は第2変換動作を行う構成をなしている。
【0011】
さらに、本開示にDCDCコンバータはブートストラップ回路部と、チャージポンプ回路部とを備えている。ブートストラップ回路部は第1変換動作のときに第1ハイサイド素子と第1ローサイド素子との間の第1接続点よりも高い電圧を駆動部に印加する。ブートストラップ回路部は第2変換動作のときに第2ハイサイド素子と第2ローサイド素子との間の第2接続点よりも高い電圧を駆動部に印加する。チャージポンプ回路部は入力電圧を昇圧して駆動部に対して入力電圧よりも高い出力電圧を印加する。駆動部は、ブートストラップ回路部によって印加される電圧又はチャージポンプ回路部によって印加される電圧に応じた電圧信号を含む第1駆動信号及び第2駆動信号の電圧を出力する。チャージポンプ回路部は、第1電圧と、第2電圧と、第1変換動作又は第2変換動作の状態と、に基づいてチャージポンプ回路部が出力電圧を印加する動作時期を決定する。
【0012】
このDCDCコンバータは第1変換動作又は第2変換動作の際にはブートストラップ回路部によって第1ハイサイド素子と第1ローサイド素子との間の第1接続点又は第2ハイサイド素子と第2ローサイド素子との間の第2接続点よりも高い電圧を駆動部に印加し得る。さらに、チャージポンプ回路部は第1電圧と、第2電圧と、に基づき、出力電圧を印加する動作時期を決定することができるため、双方向の電圧変換を行い得る構成においてチャージポンプ回路部の動作時期にブートストラップ回路が適正な電圧を印加できなくても、チャージポンプ回路部によってより高い電圧を印加し得る。しかも、常時チャージポンプ回路部を動作させ続けずに済み、第1電圧と、第2電圧と、第1変換動作又は第2変換動作の状態と、を反映した必要時期に動作させることができるため、電力消費を抑えることができる。
【0013】
(2)本開示のDCDCコンバータのチャージポンプ回路部は、第1変換動作が行われている状態において少なくとも第1電圧と第2電圧との差が第1閾値未満になった場合に第1駆動部に出力電圧を印加してもよい。
このように構成されていれば、このDCDCコンバータは第1変換動作の際に第1電圧と第2電圧との差が第1閾値未満になり、ブートストラップ回路部から適正電圧が印加されない懸念が高まったときにチャージポンプ回路部を動作させ駆動部に電圧を印加し得る。また、第1電圧や第2電圧の絶対値の大きさに関わらず、第1電圧と第2電圧との相対関係に基づいてチャージポンプ回路部の動作を切り替えるため、第1導電路又は第2導電路への出力電圧が特定の値に限定されず所望の大きさに設定しても、適用が可能である。
【0014】
(3)本開示のDCDCコンバータのチャージポンプ回路部は、第2変換動作が行われている状態において少なくとも第1電圧と第2電圧との差が第2閾値未満になった場合に第2駆動部に出力電圧を印加してもよい。
このように構成されていれば、このDCDCコンバータは第2変換動作の際に第1電圧と第2電圧との差が第2閾値未満になり、ブートストラップ回路部から適正電圧が印加されない懸念が高まったときにチャージポンプ回路部を動作させ駆動部に電圧を印加し得る。また、第1電圧や第2電圧の絶対値の大きさに関わらず、第1電圧と第2電圧との相対関係に基づいてチャージポンプ回路部の動作を切り替えるため、第1導電路又は第2導電路への出力電圧が特定の値に限定されず所望の大きさに設定しても、適用が可能である。
【0015】
(4)本開示のDCDCコンバータのチャージポンプ回路部は、第1導電路に印加される電圧を降圧して第2導電路に電圧を印加するように第1変換動作が行われている場合、又は第2導電路に印加される電圧を降圧して第1導電路に電圧を印加するように第2変換動作が行われている場合において、第1電圧よりも第2電圧のほうが大きいときには第1駆動部に出力電圧を印加し、第2電圧よりも第1電圧のほうが大きいときに第2駆動部に出力電圧を印加してもよい。
このように構成されていれば、このDCDCコンバータは、第1導電路と第2導電路との間で降圧動作が行われる際に、第2電圧よりも第1電圧のほうが大きいときには第2スイッチ部がスイッチング動作をしないことによってブートストラップ回路部が第2駆動部に対して適正電圧を印加できなくなり第2ハイサイド素子を確実にオンできなくなる懸念が高まったときに、チャージポンプ回路部によって第2ハイサイド素子を確実にオンにすることができる。また、第1電圧よりも第2電圧のほうが大きいときには、第1スイッチ部がスイッチング動作をしないことによってブートストラップ回路部が第1駆動部に対して適正電圧を印加できなくなり第1ハイサイド素子を確実にオンできなくなる懸念が高まったときに、チャージポンプ回路部によって第1ハイサイド素子を確実にオンにすることができる。これによって、このDCDCコンバータは第1導電路と第2導電路との間の電力のやり取りを良好にすることができる。
【0016】
(5)本開示のDCDCコンバータのチャージポンプ回路部は、第2導電路に印加される電圧を昇圧して第1導電路に電圧を印加するように第1変換動作が行われている場合又は第1導電路に印加される電圧を昇圧して第2導電路に電圧を印加するように第2変換動作が行われている場合において、第2電圧よりも第1電圧のほうが大きい場合には第2駆動部に出力電圧を印加し、第1電圧よりも第2電圧のほうが大きいときには第1駆動部に出力電圧を印加してもよい。
このように構成されていれば、このDCDCコンバータは、第1導電路と第2導電路との間で昇圧動作が行われる際に、第2電圧よりも第1電圧のほうが大きいときには第2スイッチ部がスイッチング動作をしないことによってブートストラップ回路部が第2駆動部に対して適正電圧を印加できなくなり第2ハイサイド素子を確実にオンできなくなる懸念が高まったときに、チャージポンプ回路部によって第2ハイサイド素子を確実にオンにすることができる。また、第1電圧よりも第2電圧のほうが大きいときには、第1スイッチ部がスイッチング動作をしないことによってブートストラップ回路部が第1駆動部に対して適正電圧を印加できなくなり第1ハイサイド素子を確実にオンできなくなる懸念が高まったときに、チャージポンプ回路部によって第1ハイサイド素子を確実にオンにすることができる。これによって、このDCDCコンバータは第1導電路と第2導電路との間の電力のやり取りを良好にすることができる。
【0017】
(6)本開示のDCDCコンバータのチャージポンプ回路部は、第1チャージポンプ回路と、第2チャージポンプ回路と動作制御部とを有している。第1チャージポンプ回路は第1駆動部に第1出力電圧を印加する。第2チャージポンプ回路は第2駆動部に第2出力電圧を印加する。動作制御部は第1チャージポンプ回路及び第2チャージポンプ回路の動作を制御する。動作制御部は、第1電圧と、第2電圧と、第1変換動作又は第2変換動作の状態と、に基づいて第1チャージポンプ回路における第1出力電圧の印加時期及び第2チャージポンプ回路における第2出力電圧の印加時期を決定してもよい。
この構成によれば、このDCDCコンバータは、第1駆動部及び第2駆動部への電圧の印加を個別に行うことができるため、第1スイッチ部と第2スイッチ部の各々を個別に駆動させることができ、電圧変換部をより効率よく動作させることができる。
【0018】
(7)本開示のDCDCコンバータのチャージポンプ回路部は、チャージポンプ回路と動作制御部とを有している。チャージポンプ回路は第1駆動部に第1出力電圧を印加する第1動作と第2駆動部に第2出力電圧を印加する第2動作とを行う。動作制御部はチャージポンプ回路の第1動作及び第2動作を制御する。動作制御部は、第1電圧と、第2電圧と、第1変換動作又は第2変換動作の状態と、に基づいて第1動作の時期及び第2動作の時期を決定してもよい。
この構成によれば、チャージポンプ回路が動作制御部によって、第1動作及び第2動作の少なくともいずれかを切り替えて行うことができる。このため、本開示のDCDCコンバータはチャージポンプ回路を第1駆動部及び第2駆動部に対応させて2つ設ける場合に比べて部材の数を抑えることができる。
[本開示の実施形態の詳細]
【0019】
<実施形態1>
〔DCDCコンバータの概要〕
図1で示すDCDCコンバータ1は、例えば、車載用の昇降圧型DCDCコンバータとして構成されており、第1導電路91又は第2導電路92の一方の導電路に印加された直流電圧を昇圧又は降圧して他方の導電路に出力する構成をなすものである。
【0020】
DCDCコンバータ1は、電力線としての第1導電路91及び第2導電路92を備える。第1導電路91は、第1電源部(図示せず)の高電位側の端子に電気的に接続され、この高電位側の端子と導通する配線である。第1導電路91は第1電源部から所定の直流電圧が印加される構成をなす。第2導電路92は、第2電源部(図示せず)の高電位側の端子に電気的に接続され、この高電位側の端子と導通する配線である。第2導電路92は第2電源部から所定の直流電圧が印加される構成をなす。
【0021】
第1電源部、第2電源部は、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、その他の蓄電部など、公知の蓄電手段によって構成されている。第1電源部の出力電圧、及び第2電源部の出力電圧のそれぞれの具体的な値は特に限定されないが、同等の出力電圧であることが好ましい。第1電源部及び第2電源部の低電位側の端子は図示しないグラウンド部に電気的に接続され、所定のグラウンド電位(0V)に保たれている。
【0022】
DCDCコンバータ1は、電圧変換部6、第1電圧検出部41、第2電圧検出部42、制御部12、駆動部8、ブートストラップ回路部20、及びチャージポンプ回路部30を備えている。
【0023】
電圧変換部6は、スイッチング素子T1,T2,T3,T4のオンオフ動作により入力された電圧を昇圧又は降圧して出力する機能を有する。電圧変換部6は第1導電路91と第2導電路92との間に設けられている。電圧変換部6は第1変換動作及び第2変換動作を行い得る。第1変換動作は第1導電路91に印加される電圧を降圧して第2導電路92に電圧を印加する動作又は第2導電路92に印加される電圧を昇圧して第1導電路91に電圧を印加する動作の少なくともいずれかである。第2変換動作は第1導電路91に印加される電圧を昇圧して第2導電路92に電圧を印加する動作又は第2導電路92に印加される電圧を降圧して第1導電路91に電圧を印加する動作の少なくともいずれかである。
【0024】
電圧変換部6は、Hブリッジ構造で配置されたスイッチング素子T1,T2,T3,T4と、インダクタLと、を備え、いわゆる双方向の昇降圧を実行するDCDCコンバータとして機能する。スイッチング素子T1,T2,T3,T4は、いずれもNチャネル型のMOSFETとして構成されている。スイッチング素子T1は第1ハイサイド素子である。スイッチング素子T2は第1ローサイド素子である。スイッチング素子T3は第2ハイサイド素子である。スイッチング素子T4は第2ローサイド素子である。スイッチング素子T1,T2は第1スイッチ部S1を構成している。スイッチング素子T3,T4は第2スイッチ部S2を構成している。インダクタLは所定のインダクタンスを有する公知のコイルとして構成されている。
【0025】
電圧変換部6において、スイッチング素子T1のドレインには、第1導電路91が電気的に接続され、スイッチング素子T1のソースには、スイッチング素子T2のドレイン及びインダクタLの一端が電気的に接続されている。スイッチング素子T3のドレインには、第2導電路92が電気的に接続され、スイッチング素子T3のソースには、スイッチング素子T4のドレイン及びインダクタLの他端が電気的に接続されている。スイッチング素子T2,T4のそれぞれのソースはグラウンドに電気的に接続されている。スイッチング素子T1,T2,T3,T4のそれぞれのゲートには、後述する駆動部8からの第1駆動信号D1、第2駆動信号D2等が入力される。
【0026】
第1電圧検出部41、第2電圧検出部42はいずれも公知の電圧検出回路として構成されている。第1電圧検出部41は、第1導電路91の第1電圧V1を示す値(例えば第1導電路91の電圧値、又は第1導電路91の電圧値を分圧回路によって分圧した値等)を検出値としてチャージポンプ回路部30の動作制御部33に入力する。第2電圧検出部42は、第2導電路92の第2電圧V2を示す値(例えば第2導電路92の電圧値、又は第2導電路92の電圧値を分圧回路によって分圧した値等)を検出値として動作制御部33に入力する。動作制御部33は、第1電圧検出部41から入力された値に基づいて第1導電路91の電圧値を特定することができ、第2電圧検出部42から入力された値に基づいて第2導電路92の電圧値を特定することができる。
【0027】
第1電圧検出部41は第1導電路91の第1電圧V1を示す値を検出値として制御部12に入力し得る構成とされている(図示せず。)。第2電圧検出部42は第2導電路92の第2電圧V2を示す値を検出値として制御部12に入力し得る構成とされている(図示せず。)。
【0028】
制御部12は、例えばマイクロコンピュータとして構成されている。制御部12は第1電圧検出部41及び第2電圧検出部42から第1電圧V1を示す値及び第2電圧V2を示す値と、目標電圧値とに基づいて公知の方法でフィードバック制御を行い、電圧変換部6に与えるPWM信号のデューティを設定する。そして、制御部12は設定された第1制御信号Con1及び第2制御信号Con2を駆動部8に出力する。目標電圧値は、制御部12で設定される値であってもよく、外部ECUなどの外部装置から指示される値であってもよい。目標電圧値は所望の値に変更することができる。これにより、第1導電路91又は第2導電路92への出力電圧の大きさを所望の値に変更することができる。制御部12には外部ECUなどの外部装置から第1電源部、第2電源部の内のいずれを充電するかを示す充電選択信号Csが入力される構成とされている。例えば、充電選択信号Csが第1電源部を充電することを示す場合、制御部12はチャージポンプ回路部30の動作制御部33に対して、第2導電路92から第1導電路91に向けて昇圧又は降圧して第1電源部を充電する第1電源部充電信号Cs1を送信する。充電選択信号Csが第2電源部を充電することを示す場合、制御部12はチャージポンプ回路部30の動作制御部33に対して、第1導電路91から第2導電路92に向けて昇圧又は降圧して第2電源部を充電する第2電源部充電信号Cs2を送信する。
【0029】
駆動部8は、第1駆動部81と第2駆動部82とを備えている。第1駆動部81は制御部12から制御信号である第1制御信号Con1が出力された場合に第1制御信号Con1に応じた第1駆動信号D1をスイッチング素子T1,T2で構成された第1スイッチ部S1に出力する。これにより、第1スイッチ部S1は同期整流制御を開始する。第2駆動部82は制御部12から制御信号である第2制御信号Con2が出力された場合に第2制御信号Con2に応じた第2駆動信号D2をスイッチング素子T3,T4で構成された第2スイッチ部S2に出力する。これにより、第2スイッチ部S2は同期整流制御を開始する。同期整流制御の詳細については後述する。
【0030】
ブートストラップ回路部20は第1ブートストラップ回路21及び第2ブートストラップ回路22を有している。第1ブートストラップ回路21は第1駆動部81と第1スイッチ部S1との間に設けられている。第2ブートストラップ回路22は第2駆動部82と第2スイッチ部S2との間に設けられている。第1ブートストラップ回路21は図示しない第1ダイオードとコンデンサC1とが直列に接続された構成をなしている。コンデンサC1の一端はスイッチング素子T1のソースとスイッチング素子T2のドレインとが電気的に接続される第1接続点P1に電気的に接続されている。コンデンサC1の他端は図示しない第2ダイオードのカソードに電気的に接続されている。この第1ダイオードのアノードは、例えば第1導電路91に電気的に接続されており、第1ダイオードのカソードとコンデンサC1の他端との間の接続点の電圧(具体的には、コンデンサC1の他端の電圧)が第1駆動部81に印加される。
【0031】
第2ブートストラップ回路22は図示しない第2ダイオードとコンデンサC2とが直列に接続された構成をなしている。コンデンサC2の一端はスイッチング素子T3のソースとスイッチング素子T4のドレインとが電気的に接続される第2接続点P2に電気的に接続されている。コンデンサC2の他端は図示しない第2ダイオードのカソードに電気的に接続されている。このダイオードのアノードは、例えば第2導電路92に電気的に接続されており、第2ダイオードのカソードとコンデンサC2の他端との間の接続点の電圧(具体的にはコンデンサC2の他端の電圧)が第2駆動部82に印加される。
【0032】
第1ブートストラップ回路21は第1変換動作のときに、第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)と第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)との間の第1接続点P1よりも高い電圧を第1駆動部81に印加する。具体的には、コンデンサC1は第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)がオン状態のときに、第1電圧V1が印加されることによって蓄電される。そして、コンデンサC1は第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)がオン状態になると、蓄電した電荷を第1駆動部81に供給するのである。第2ブートストラップ回路22は第2変換動作のときに第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)と第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)との間の第2接続点P2よりも高い電圧を第2駆動部82に印加する。具体的には、コンデンサC2は第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)がオン状態のときに、第2電圧V2が印加されることによって蓄電される。そして、コンデンサC2は第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)がオン状態になると、蓄電した電荷を第2駆動部82に供給するのである。
【0033】
チャージポンプ回路部30は、第1チャージポンプ回路31、第2チャージポンプ回路32、及び動作制御部33を有している。第1チャージポンプ回路31及び第2チャージポンプ回路32は公知の回路であり、例えば、直列に接続された複数のダイオードと、各ダイオードの接続点の各々に接続された複数のコンデンサ等で構成されている(図示せず。)。第1チャージポンプ回路31は、例えば、第1導電路91や第2導電路92への入力電圧を昇圧して第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加する。第2チャージポンプ回路32は、例えば、第1導電路91や第2導電路92への入力電圧を昇圧して第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加する。
【0034】
動作制御部33は第1チャージポンプ回路31及び第2チャージポンプ回路32の動作を制御し得る構成とされている。動作制御部33は第1電圧検出部41から入力される第1電圧V1の大きさに相当する信号(以下、単に第1電圧V1ともいう)が入力され得る構成とされている。動作制御部33は第2電圧検出部42から入力される第2電圧V2の大きさに相当する信号(以下、単に、第2電圧V2ともいう)が入力され得る構成とされている。さらに、動作制御部33は制御部12から第1変換動作又は第2変換動作の状態を示す信号である第1電源部充電信号Cs1又は第2電源部充電信号Cs2が入力され得る構成とされている。動作制御部33は入力されたこれら信号に基づいて第1チャージポンプ回路31における第1出力電圧Vo1の印加時期、及び第2チャージポンプ回路32における第2出力電圧Vo2の印加時期を決定する。
【0035】
〔DCDCコンバータにおける動作〕
次に、本開示のDCDCコンバータ1の動作について説明する。
〔第1電源部を充電する動作〕
DCDCコンバータ1が第1電源部を充電する動作として以下の2つの動作がある。1つは第1変換動作の内の第2導電路92に印加される電圧を昇圧して第1導電路91に電圧を印加する動作である。もう1つは第2変換動作の内の第2導電路92に印加される電圧を降圧して第1導電路91に電圧を印加する動作である。
【0036】
第1変換動作の内の第2導電路92に印加される電圧を昇圧して第1導電路91に電圧を印加する動作する場合について説明する。先ず、外部装置から制御部12に充電選択信号Csが入力される。充電選択信号Csは第1電源部を充電することを示す。すると、制御部12は動作制御部33に対して、第2導電路92から第1導電路91に向けて昇圧又は降圧する第1電源部充電信号Cs1を送信する。制御部12は第1駆動部81に向けて第1制御信号Con1を出力する。
【0037】
第1駆動部81は制御部12から第1制御信号Con1が出力されると第1制御信号Con1に応じた第1駆動信号D1を電圧変換部6に出力する。第1駆動信号D1は、電圧変換部6の第1スイッチ部S1(スイッチング素子T1,T2)の各ゲートに対してデッドタイムを設定した形のPWM信号が相補的に出力される信号である。第1スイッチ部S1(スイッチング素子T1,T2)は第1駆動信号D1によって同期整流制御を行う。具体的には、スイッチング素子T1へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、スイッチング素子T2へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力される。そして、スイッチング素子T2へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、スイッチング素子T1へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力されるように同期整流制御が行われる。
【0038】
第1ブートストラップ回路21は第1スイッチ部S1の同期整流制御によって第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)と第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)との間の第1接続点P1よりも高い電圧を第1駆動部81に印加する。第1駆動信号D1は第1ブートストラップ回路21から印加された電圧によって、PWM信号におけるHレベル信号の電位が第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)のソース電圧の電位より高くなる。Hレベル信号は電圧信号である。これにより、第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)は確実にスイッチング動作をすることができる。
【0039】
動作制御部33は第1電源部充電信号Cs1が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より高く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の第1閾値以上である場合、第2チャージポンプ回路32に向けて第2駆動指示信号Di2を出力する。第2チャージポンプ回路32は第2駆動指示信号Di2が入力されると、第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加する。これは、第1スイッチ部S1が同期整流制御を行っているとき、第2スイッチ部S2のスイッチング素子T3がオン状態で維持されることによって第2駆動部82に適正電圧を印加できなくなる第2ブートストラップ回路22の機能を補うためである。第2チャージポンプ回路32は第2駆動指示信号Di2が入力されていないときには第2出力電圧Vo2を第2駆動部82に印加しない。また、動作制御部33は第1電源部充電信号Cs1が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より高く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の第1閾値以上である場合、第1チャージポンプ回路31に向けて第1駆動指示信号Di1を出力しない。
【0040】
この制御により、第2導電路92に印加された直流の第2電圧V2(入力電圧)を昇圧する場合、第1導電路91には第2導電路92に印加された第2電圧V2よりも高い出力電圧が印加される。第1導電路91における出力電圧の大きさは制御部12において用いられる目標電圧値とほぼ同じである。第1導電路91に出力電圧として印加される電圧は、スイッチング素子T1のゲートに与えるPWM信号(第1駆動信号D1)のデューティに応じて定まる。このとき、例えば、制御部12から第2駆動部82に対して第2動作維持信号Fs2が出力されている。第2駆動部82は第2動作維持信号Fs2が入力されると、スイッチング素子T3のゲートにオン信号を継続的に入力し、スイッチング素子T3をオン状態で維持する。また、第2駆動部82は第2動作維持信号Fs2が入力されると、スイッチング素子T4のゲートにオフ信号を継続的に入力し、スイッチング素子T4をオフ状態で維持する。
【0041】
次に、第2変換動作の内の第2導電路92に印加される電圧を降圧して第1導電路91に電圧を印加する動作する場合について説明する。先ず、制御部12に外部装置から充電選択信号Csがされる。充電選択信号Csは第1電源部を充電することを示す。すると、制御部12はチャージポンプ回路部30の動作制御部33に対して、第2導電路92から第1導電路91に向けて昇圧又は降圧する第1電源部充電信号Cs1を送信する。制御部12は第2駆動部82に向けて第2制御信号Con2を出力する。
【0042】
第2駆動部82は制御部12から第2制御信号Con2が出力されると第2制御信号Con2に応じた第2駆動信号D2を電圧変換部6に出力する。第2駆動信号D2は、電圧変換部6の第2スイッチ部S2(スイッチング素子T3,T4)の各ゲートに対してデッドタイムを設定した形のPWM信号が相補的に出力される信号である。第2スイッチ部S2(スイッチング素子T3,T4)は第2駆動信号D2によって同期整流制御を行う。具体的には、スイッチング素子T3へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、スイッチング素子T4へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力される。そして、スイッチング素子T4へのオン信号(例えばHレベル信号)の出力中は、スイッチング素子T3へオフ信号(例えばLレベル信号)が出力されるように同期整流制御が行われる。
【0043】
第2ブートストラップ回路22は第2スイッチ部S2の同期整流制御によって第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)と第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)との間の第2接続点P2よりも高い電圧を第2駆動部82に印加する。第2駆動信号D2は第2ブートストラップ回路22から印加された電圧によって、PWM信号におけるHレベル信号の電位が第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)のソース電圧の電位より高くなる。Hレベル信号は電圧信号である。これにより、第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)は確実にスイッチング動作をすることができる。
【0044】
動作制御部33は、第1電源部充電信号Cs1が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より低く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の第2閾値以上である場合、第1チャージポンプ回路31に向けて第1駆動指示信号Di1を出力する。第1チャージポンプ回路31は第1駆動指示信号Di1が入力されると、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加する。これは、第2スイッチ部S2が同期整流制御を行っているとき、第1スイッチ部S1のスイッチング素子T1がオン状態で維持されることによって第1駆動部81に適正電圧を印加できなくなる第1ブートストラップ回路21の機能を補うためである。第1チャージポンプ回路31は第1駆動指示信号Di1が入力されていないときには第1出力電圧Vo1を第1駆動部81に印加しない。また、動作制御部33は第1電源部充電信号Cs1が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より低く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の第2閾値以上である場合、第2チャージポンプ回路32に向けて第2駆動指示信号Di2を出力しない。
【0045】
この制御により、第2導電路92に印加された直流の第2電圧V2(入力電圧)を降圧する場合、第1導電路91には、第2導電路92に印加された第2電圧V2よりも低い出力電圧が印加される。第1導電路91における出力電圧の大きさは制御部12において用いられる目標電圧値とほぼ同じである。第1導電路91に出力電圧として印加される電圧は、スイッチング素子T3のゲートに与えるPWM信号(第1駆動信号D1)のデューティに応じて定まる。このとき、例えば、制御部12から第1駆動部81に対して第1動作維持信号Fs1が出力されている。第1駆動部81は第1動作維持信号Fs1が入力されると、スイッチング素子T1のゲートにオン信号を継続的に入力し、スイッチング素子T1をオン状態で維持する。また、第1駆動部81は第1動作維持信号Fs1が入力されると、スイッチング素子T2のゲートにオフ信号を継続的に入力し、スイッチング素子T2をオフ状態で維持する。
【0046】
〔第2電源部を充電する動作〕
DCDCコンバータ1が第2電源部を充電する動作として以下の2つの動作がある。1つは第1変換動作の内の第1導電路91に印加される電圧を降圧して第2導電路92に電圧を印加する動作である。もう1つは第2変換動作の内の第1導電路91に印加される電圧を昇圧して第2導電路92に電圧を印加する動作である。
【0047】
第1変換動作の内の第1導電路91に印加される電圧を降圧して第2導電路92に電圧を印加する動作する場合について説明する。先ず、制御部12に外部装置から充電選択信号Csがされる。充電選択信号Csは第2電源部を充電することを示す。すると、制御部12は動作制御部33に対して、第1導電路91から第2導電路92に向けて昇圧又は降圧する第2電源部充電信号Cs2を送信する。制御部12は第1駆動部81に向けて第1制御信号Con1を出力する。
【0048】
第1駆動部81は制御部12から第1制御信号Con1が出力されると第1制御信号Con1に応じた第1駆動信号D1を電圧変換部6に出力する。第1スイッチ部S1(スイッチング素子T1,T2)は第1駆動信号D1によって同期整流制御を行う。
【0049】
第1ブートストラップ回路21は第1スイッチ部S1の同期整流制御によって第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)と第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)との間の第1接続点P1よりも高い電圧を第1駆動部81に印加する。第1駆動信号D1は第1ブートストラップ回路21から印加された電圧によって、その電位が第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)のソース電圧の電位より高くなっている。これにより、第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)は確実にスイッチング動作をすることができる。
【0050】
動作制御部33は第2電源部充電信号Cs2が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より高く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の第1閾値以上である場合、第2チャージポンプ回路32に向けて第2駆動指示信号Di2を出力する。第2チャージポンプ回路32は第2駆動指示信号Di2が入力されると、第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加する。これは、第1スイッチ部S1が同期整流制御を行っているとき、第2スイッチ部S2のスイッチング素子T3がオン状態で維持されることによって第2駆動部82に適正電圧を印加できなくなる第2ブートストラップ回路22の機能を補うためである。また、動作制御部33は第2電源部充電信号Cs2が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より高く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の第1閾値以上である場合、第1チャージポンプ回路31に向けて第1駆動指示信号Di1を出力しない。
【0051】
この制御により、第1導電路91に印加された直流の第1電圧V1(入力電圧)を降圧する場合、第2導電路92には、第1導電路91に印加された第1電圧V1よりも低い出力電圧が印加される。第2導電路92における出力電圧の大きさは制御部12において用いられる目標電圧値とほぼ同じである。このとき、例えば、制御部12から第2駆動部82に対して出力される第2動作維持信号Fs2によって、第2駆動部82はスイッチング素子T3のゲートにオン信号を継続的に入力し、スイッチング素子T3をオン状態で維持する。また、第2駆動部82は第2動作維持信号Fs2が入力されると、スイッチング素子T4のゲートにオフ信号を継続的に入力し、スイッチング素子T4をオフ状態で維持する。
【0052】
次に、第2変換動作の内の第1導電路91に印加される電圧を昇圧して第2導電路92に電圧を印加する動作する場合について説明する。先ず、制御部12に外部装置から充電選択信号Csがされる。充電選択信号Csは第2電源部を充電することを示す。すると、制御部12は動作制御部33に対して、第1導電路91から第2導電路92に向けて昇圧又は降圧する第2電源部充電信号Cs2を送信する。制御部12は第2駆動部82に向けて第2制御信号Con2を出力する。
【0053】
第2駆動部82は制御部12から第2制御信号Con2が出力されると第2制御信号Con2に応じた第2駆動信号D2を電圧変換部6に出力する。第2スイッチ部S2(スイッチング素子T3,T4)は第2駆動信号D2によって同期整流制御を行う。
【0054】
第2ブートストラップ回路22は第2スイッチ部S2の同期整流制御によって第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)と第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)との間の第2接続点P2よりも高い電圧を第2駆動部82に印加する。第2駆動信号D2は第2ブートストラップ回路22から印加された電圧によって、その電位が第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)のソース電圧の電位より高くなっている。これにより、第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)は確実にスイッチング動作をすることができる。
【0055】
動作制御部33は、第2電源部充電信号Cs2が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より低く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の第2閾値以上である場合、第1チャージポンプ回路31に向けて第1駆動指示信号Di1を出力する。第1チャージポンプ回路31は第1駆動指示信号Di1が入力されると、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加する。これは、第2スイッチ部S2が同期整流制御を行っているとき、第1スイッチ部S1のスイッチング素子T1がオン状態で維持されることによって第1駆動部81に適正電圧を印加できなくなる第1ブートストラップ回路21の機能を補うためである。第1チャージポンプ回路31は第1駆動指示信号Di1が入力されていないときには第1出力電圧Vo1を第1駆動部81に印加しない。また、動作制御部33は第2電源部充電信号Cs2が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より低く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の第2閾値以上である場合、第2チャージポンプ回路32に向けて第2駆動指示信号Di2を出力しない。
【0056】
この制御により、第1導電路91に印加された直流の第1電圧V1(入力電圧)を昇圧する場合、第2導電路92には、第1導電路91に印加された第1電圧V1よりも高い出力電圧が印加される。第2導電路92における出力電圧の大きさは制御部12において用いられる目標電圧値とほぼ同じである。このとき、例えば、制御部12から第1駆動部81に対して出力される第1動作維持信号Fs1によって、第1駆動部81はスイッチング素子T1のゲートにオン信号を継続的に入力し、スイッチング素子T1をオン状態で維持する。また、第1駆動部81は第1動作維持信号Fs1が入力されると、スイッチング素子T2のゲートにオフ信号を継続的に入力し、スイッチング素子T2をオフ状態で維持する。
【0057】
〔入力電圧が変化する場合における第1チャージポンプ回路、第2チャージポンプ回路の動作〕
次に、第1導電路91への入力電圧に基づいて第2導電路92に出力電圧を印加する際に、第1導電路91への入力電圧が第2導電路92への出力電圧より高い状態から低い状態に変化した場合におけるチャージポンプ回路部30の動作について説明する。
【0058】
先ず、
図2に示すように、時刻T1において第1導電路91における第1電圧V1は、第2導電路92における第2電圧V2よりも高い状態であり、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第1閾値)以上である。動作制御部33には制御部12から第2電源部充電信号Cs2が入力されている。電圧変換部6は第1導電路91における第1電圧V1から降圧して第2導電路92に第2電圧V2として出力している。第1ブートストラップ回路21は第1スイッチ部S1の同期整流制御によって第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)と第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)との間の第1接続点P1よりも高い電圧を第1駆動部81に印加している。第1チャージポンプ回路31は、第1駆動指示信号Di1が入力されていないため第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を出力していない。このとき、電圧変換部6は第1変換動作をしている。第2チャージポンプ回路32は動作制御部33から第2駆動指示信号Di2が入力されており第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加している。
【0059】
次に、時刻T1から時刻T2に向けて第1導電路91に印加された第1電圧V1が徐々に低くなり、時刻T2において、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第1閾値)未満になる。このとき、第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)のドレインとソースとの間の電位差が小さくなっている状態である。このとき、第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)のゲートに与えられるPWM信号のデューティがより長くなる制御が制御部12によってなされ、第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)のオン状態の時間はより長くなる。これに伴い、第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)のゲートに与えられるPWM信号のデューティがより短くなる制御が制御部12によってなされ、第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)のオン状態の時間はより短くなる。このため、第1ブートストラップ回路21のコンデンサC1は十分に蓄電されない状態になってしまい、コンデンサC1から第1駆動部81に対して電荷を十分に供給できなくなる。動作制御部33は、制御部12から第2電源部充電信号Cs2が入力され、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第1閾値)未満であると、第1チャージポンプ回路31に向けて第1駆動指示信号Di1を出力する。第1チャージポンプ回路31は第1駆動指示信号Di1が入力されると、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1の印加を開始する。これにより、第1チャージポンプ回路31は第1ブートストラップ回路21の機能を補うのである。
【0060】
次に、時刻T2から時刻T3に向けて第1導電路91に印加された第1電圧V1がさらに徐々に低くなる。そして、時刻T3において、第1電圧V1の大きさが第2電圧V2よりも小さくなる。すると、電圧変換部6は第1変換動作から第2変換動作に切り替わる。具体的には、第1導電路91における第1電圧V1を昇圧して第2導電路92に第2電圧V2として電圧を出力する。このとき、制御部12は、第1駆動部81への第1制御信号Con1の出力を停止し、第2駆動部82への第2制御信号Con2の出力を開始する。これにより、第1スイッチ部S1の同期整流制御が停止して第1ブートストラップ回路21は第1駆動部81への電圧の印加を停止する。そして、第2ブートストラップ回路22は第2スイッチ部S2の同期整流制御の開始により第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)と第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)との間の第2接続点P2よりも高い電圧の第2駆動部82への印加を開始する。
【0061】
そして、時刻T3から時刻T4に向けて第1導電路91における第1電圧V1がさらに徐々に低くなる。そして、時刻T4において、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第2閾値)以上になる。このとき、第2ブートストラップ回路22から第2駆動部82へ印加する電圧が十分な大きさになる。すると、動作制御部33は第2チャージポンプ回路32に向けて出力していた第2駆動指示信号Di2の出力を停止する。第1チャージポンプ回路31には第1駆動指示信号Di1の入力が継続されており、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1の印加を継続する。時刻T2から時刻T4の期間は、第1チャージポンプ回路31及び第2チャージポンプ回路32が共に駆動している。
【0062】
次に、第2導電路92への入力電圧に基づいて第1導電路91に出力電圧を印加する際に、第2導電路92への入力電圧が第1導電路91への出力電圧より低い状態から高い状態に変化した場合におけるチャージポンプ回路部30の動作について説明する。
【0063】
先ず、
図3に示すように、時刻T1において第2導電路92における第2電圧V2は、第1導電路91における第1電圧V1よりも低い状態であり、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第1閾値)以上である。動作制御部33には制御部12から第1電源部充電信号Cs1が入力されている。電圧変換部6は第2導電路92における第2電圧V2から昇圧して第1導電路91に第1電圧V1として出力している。第1ブートストラップ回路21は第1スイッチ部S1の同期整流制御によって第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)と第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)との間の第1接続点P1よりも高い電圧を第1駆動部81に印加している。第1チャージポンプ回路31は、第1駆動指示信号Di1が入力されていないため第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を出力していない。このとき、電圧変換部6は第1変換動作をしている。第2チャージポンプ回路32は動作制御部33から第2駆動指示信号Di2が入力されており第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加している。
【0064】
次に、時刻T1から時刻T2に向けて第2導電路92に印加された第2電圧V2が徐々に高くなり、時刻T2において、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第1閾値)未満になる。このとき、第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)のドレインとソースとの間の電位差が小さくなっている状態である。このとき、第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)のゲートに与えられるPWM信号のデューティがより長くなる制御が制御部12によってなされ、第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)のオン状態の時間はより長くなる。これに伴い、第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)のゲートに与えられるPWM信号のデューティがより短くなる制御が制御部12によってなされ、第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)のオン状態の時間はより短くなる。このため、第1ブートストラップ回路21のコンデンサC1は十分に蓄電されない状態になってしまい、コンデンサC1から第1駆動部81に対して電荷を十分に供給できなくなる。動作制御部33は、制御部12から第1電源部充電信号Cs1が入力され、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第1閾値)未満であると、第1チャージポンプ回路31に向けて第1駆動指示信号Di1を出力する。第1チャージポンプ回路31は第1駆動指示信号Di1が入力されると、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1の印加を開始する。これにより、第1チャージポンプ回路31は第1ブートストラップ回路21の機能を補うのである。
【0065】
次に、時刻T2から時刻T3に向けて第2導電路92に印加された第2電圧V2がさらに徐々に高くなる。そして、時刻T3において、第2電圧V2の大きさが第1電圧V1よりも大きくなる。すると、電圧変換部6は第1変換動作から第2変換動作に切り替わる。具体的には、第2導電路92における第2電圧V2を降圧して第1導電路91に第1電圧V1として電圧を出力する。このとき、制御部12は、第1駆動部81への第1制御信号Con1の出力を停止し、第2駆動部82への第2制御信号Con2の出力を開始する。これにより、第1スイッチ部S1の同期整流制御が停止して第1ブートストラップ回路21は第1駆動部81への電圧の印加を停止する。そして、第2ブートストラップ回路22は第2スイッチ部S2の同期整流制御の開始により第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)と第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)との間の第2接続点P2よりも高い電圧の第2駆動部82への印加を開始する。
【0066】
そして、時刻T3から時刻T4に向けて第2導電路92における第2電圧V2がさらに徐々に高くなる。そして、時刻T4において、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第2閾値)以上になる。このとき、第2ブートストラップ回路22から第2駆動部82へ印加する電圧が十分な大きさになる。すると、動作制御部33は第2チャージポンプ回路32に向けて出力していた第2駆動指示信号Di2の出力を停止する。第1チャージポンプ回路31には第1駆動指示信号Di1の入力が継続されており、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1の印加を継続する。時刻T2から時刻T4の期間は、第1チャージポンプ回路31及び第2チャージポンプ回路32が共に駆動している。
【0067】
次に、第1導電路91への入力電圧に基づいて第2導電路92に出力電圧を印加する際に、第1導電路91への入力電圧が第2導電路92への出力電圧より低い状態から高い状態に変化した場合におけるチャージポンプ回路部30の動作について説明する。
【0068】
先ず、
図4に示すように、時刻T1において第1導電路91における第1電圧V1は、第2導電路92における第2電圧V2よりも低い状態であり、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第2閾値)以上である。動作制御部33には制御部12から第2電源部充電信号Cs2が入力されている。電圧変換部6は第1導電路91における第1電圧V1から昇圧して第2導電路92に第2電圧V2として出力している。第2ブートストラップ回路22は第2スイッチ部S2の同期整流制御によって第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)と第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)との間の第2接続点P2よりも高い電圧を第2駆動部82に印加している。第2チャージポンプ回路32は、第2駆動指示信号Di2が入力されていないため第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を出力していない。このとき、電圧変換部6は第2変換動作をしている。第1チャージポンプ回路31は動作制御部33から第1駆動指示信号Di1が入力されており第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加している。
【0069】
次に、時刻T1から時刻T2に向けて第1導電路91に印加された第1電圧V1が徐々に高くなり、時刻T2において、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第2閾値)未満になる。このとき、第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)のドレインとソースとの間の電位差が小さくなっている状態である。このとき、第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)のゲートに与えられるPWM信号のデューティがより長くなる制御が制御部12によってなされ、第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)のオン状態の時間はより長くなる。これに伴い、第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)のゲートに与えられるPWM信号のデューティがより短くなる制御が制御部12によってなされ、第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)のオン状態の時間はより短くなる。このため、第2ブートストラップ回路22のコンデンサC2は十分に蓄電されない状態になってしまい、コンデンサC2から第2駆動部82に対して電荷を十分に供給できなくなる。動作制御部33は、制御部12から第2電源部充電信号Cs2が入力され、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第2閾値)未満であると、第2チャージポンプ回路32に向けて第2駆動指示信号Di2を出力する。第2チャージポンプ回路32は第2駆動指示信号Di2が入力されると、第2駆動部82に第2出力電圧Vo2の印加を開始する。これにより、第2チャージポンプ回路32は第2ブートストラップ回路22の機能を補うのである。
【0070】
次に、時刻T2から時刻T3に向けて第1導電路91に印加された第1電圧V1がさらに徐々に高くなる。そして、時刻T3において、第1電圧V1の大きさが第2電圧V2よりも大きくなる。すると、電圧変換部6は第2変換動作から第1変換動作に切り替わる。具体的には、第1導電路91における第1電圧V1を降圧して第2導電路92に第2電圧V2として電圧を出力する。このとき、制御部12は、第2駆動部82への第2制御信号Con2の出力を停止し、第1駆動部81への第1制御信号Con1の出力を開始する。これにより、第2スイッチ部S2の同期整流制御が停止して第2ブートストラップ回路22は第2駆動部82への電圧の印加を停止する。そして、第1ブートストラップ回路21は第1スイッチ部S1の同期整流制御の開始により第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)と第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)との間の第1接続点P1よりも高い電圧の第1駆動部81への印加を開始する。
【0071】
そして、時刻T3から時刻T4に向けて第1導電路91における第1電圧V1がさらに徐々に高くなる。そして、時刻T4において、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第1閾値)以上になる。このとき、第1ブートストラップ回路21から第1駆動部81へ印加する電圧が十分な大きさになる。すると、動作制御部33は第1チャージポンプ回路31に向けて出力していた第1駆動指示信号Di1の出力を停止する。第2チャージポンプ回路32には第2駆動指示信号Di2の入力が継続されており、第2駆動部82に第2出力電圧Vo2の印加を継続する。時刻T2から時刻T4の期間は、第1チャージポンプ回路31及び第2チャージポンプ回路32が共に駆動している。
【0072】
次に、第2導電路92への入力電圧に基づいて第1導電路91に出力電圧を印加する際に、第2導電路92への入力電圧が第1導電路91への出力電圧より高い状態から低い状態に変化した場合におけるチャージポンプ回路部30の動作について説明する。
【0073】
先ず、
図5に示すように、時刻T1において第2導電路92における第2電圧V2は、第1導電路91における第1電圧V1よりも高い状態であり、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第2閾値)以上である。動作制御部33には制御部12から第1電源部充電信号Cs1が入力されている。電圧変換部6は第2導電路92における第2電圧V2から降圧して第1導電路91に第1電圧V1として出力している。第2ブートストラップ回路22は第2スイッチ部S2の同期整流制御によって第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)と第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)との間の第2接続点P2よりも高い電圧を第2駆動部82に印加している。第2チャージポンプ回路32は、第2駆動指示信号Di2が入力されていないため第2駆動部82へ第2出力電圧Vo2を出力していない。このとき、電圧変換部6は第2変換動作をしている。第1チャージポンプ回路31は動作制御部33から第1駆動指示信号Di1が入力されており第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加している。
【0074】
次に、時刻T1から時刻T2に向けて第2導電路92に印加された第2電圧V2が徐々に低くなり、時刻T2において、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第2閾値)未満になる。このとき、第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)のドレインとソースとの間の電位差が小さくなっている状態である。このとき、第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)のゲートに与えられるPWM信号のデューティがより長くなる制御が制御部12によってなされ、第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)のオン状態の時間はより長くなる。これに伴い、第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)のゲートに与えられるPWM信号のデューティがより短くなる制御が制御部12によってなされ、第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)のオン状態の時間はより短くなる。このため、第2ブートストラップ回路22のコンデンサC2は十分に蓄電されない状態になってしまい、コンデンサC2から第2駆動部82に対して電荷を十分に供給できなくなる。動作制御部33は、制御部12から第1電源部充電信号Cs1が入力され、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第2閾値)未満であると、第2チャージポンプ回路32に向けて第2駆動指示信号Di2を出力する。第2チャージポンプ回路32は第2駆動指示信号Di2が入力されると、第2駆動部82に第2出力電圧Vo2の印加を開始する。これにより、第2チャージポンプ回路32は第2ブートストラップ回路22の機能を補うのである。
【0075】
次に、時刻T2から時刻T3に向けて第2導電路92に印加された第2電圧V2がさらに徐々に低くなる。そして、時刻T3において、第2電圧V2の大きさが第1電圧V1よりも低くなる。すると、電圧変換部6は第2変換動作から第1変換動作に切り替わる。具体的には、第2導電路92における第2電圧V2を昇圧して第1導電路91に第1電圧V1として電圧を出力する。このとき、制御部12は、第2駆動部82への第2制御信号Con2の出力を停止し、第1駆動部81への第1制御信号Con1の出力を開始する。これにより、第2スイッチ部S2の同期整流制御が停止して第2ブートストラップ回路22は第2駆動部82への電圧の印加を停止する。そして、第1ブートストラップ回路21は第1スイッチ部S1の同期整流制御の開始により第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)と第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)との間の第1接続点P1よりも高い電圧の第1駆動部81への印加を開始する。
【0076】
そして、時刻T3から時刻T4に向けて第2導電路92における第2電圧V2がさらに徐々に低くなる。そして、時刻T4において、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値Th1(第1閾値)以上になる。このとき、第1ブートストラップ回路21から第1駆動部81へ印加する電圧が十分な大きさになる。すると、動作制御部33は第1チャージポンプ回路31に向けて出力していた第1駆動指示信号Di1の出力を停止する。第2チャージポンプ回路32には第2駆動指示信号Di2の入力が継続されており、第2駆動部82に第2出力電圧Vo2の印加を継続する。時刻T2から時刻T4の期間は、第1チャージポンプ回路31及び第2チャージポンプ回路32が共に駆動している。
【0077】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示のDCDCコンバータ1は、電圧変換部6、制御部12、駆動部8、第1電圧検出部41、及び第2電圧検出部42を備えている。
電圧変換部6は第1導電路91と第2導電路92との間で双方向の電圧変換を行う。制御部12は電圧変換部6を制御する制御信号を出力する。駆動部8は制御部12から出力される第1制御信号Con1,第2制御信号Con2に応じた第1駆動信号D1,第2駆動信号D2を出力する。第1電圧検出部41は第1導電路91に印加される第1電圧V1を検出する。第2電圧検出部42は第2導電路92に印加される第2電圧V2を検出する。電圧変換部6は第1変換動作及び第2変換動作を行う。第1変換動作は第1導電路91に印加される電圧を降圧して第2導電路92に電圧を印加する動作又は第2導電路92に印加される電圧を昇圧して第1導電路91に電圧を印加する動作の少なくともいずれかを行う。第2変換動作は第1導電路91に印加される電圧を昇圧して第2導電路92に電圧を印加する動作又は第2導電路92に印加される電圧を降圧して第1導電路91に電圧を印加する動作の少なくともいずれかを行う。制御部12は、第1変換動作を行わせるための第1制御信号Con1と、第2変換動作を行わせるための第2制御信号Con2とを出力する。
【0078】
駆動部8は第1駆動部81及び第2駆動部82を有している。第1駆動部81は制御部12から第1制御信号Con1が出力された場合に第1制御信号Con1に応じた第1駆動信号D1を電圧変換部6に出力する。第2駆動部82は制御部12から第2制御信号Con2が出力された場合に第2制御信号Con2に応じた第2駆動信号D2を電圧変換部6に出力する。電圧変換部6は第1スイッチ部S1と第2スイッチ部S2とを有している。第1スイッチ部S1はスイッチング素子T1とスイッチング素子T2とを備えるとともに第1駆動信号D1が与えられる。第2スイッチ部S2はスイッチング素子T3とスイッチング素子T4とを備えるとともに第2駆動信号D2が与えられる。第1スイッチ部S1に第1駆動信号D1が与えられた場合に電圧変換部6は第1変換動作を行う。第2スイッチ部S2に第2駆動信号D2が与えられた場合に電圧変換部6は第2変換動作を行う構成をなしている。
【0079】
さらに、本開示のDCDCコンバータ1はブートストラップ回路部20と、チャージポンプ回路部30とを備えている。ブートストラップ回路部20は第1変換動作のときにスイッチング素子T1,T2との間の第1接続点P1よりも高い電圧を駆動部8に印加し、第2変換動作のときにスイッチング素子T3,T4との間の第2接続点P2よりも高い電圧を駆動部8に印加する。チャージポンプ回路部30は入力電圧を昇圧して入力電圧よりも高い出力電圧を駆動部8に出力電圧を印加する。駆動部8は、ブートストラップ回路部20によって印加される電圧又はチャージポンプ回路部30によって印加される電圧に応じた電圧信号を含む第1駆動信号D1及び第2駆動信号D2を出力する。チャージポンプ回路部30は、第1電圧V1と、第2電圧V2と、第1変換動作又は第2変換動作の状態を示す第1電源部充電信号Cs1や第2電源部充電信号Cs2と、に基づいてチャージポンプ回路部30が出力電圧を印加する動作時期を決定する。
【0080】
DCDCコンバータ1は第1変換動作又は第2変換動作の際にはブートストラップ回路部20によってスイッチング素子T1,T2との間の第1接続点P1又はスイッチング素子T3,T4との間の第2接続点P2よりも高い電圧を駆動部8に印加し得る。さらに、チャージポンプ回路部30は第1電圧V1と、第2電圧V2と、に基づき、出力電圧を印加する動作時期を決定することができるため、双方向の電圧変換を行い得る構成においてチャージポンプ回路部30の動作時期にブートストラップ回路部20が適正な電圧を印加できなくても、チャージポンプ回路部30によってより高い電圧を印加し得る。しかも、常時チャージポンプ回路部30を動作させ続けずに済み、第1電圧V1と第2電圧V2と、第1変換動作又は第2変換動作の状態を示す第1電源部充電信号Cs1や第2電源部充電信号Cs2とを反映した必要時期に動作させることができるため、電力消費を抑えることができる。
【0081】
本開示のDCDCコンバータ1のチャージポンプ回路部30は、第1変換動作が行われている状態において第1電圧V1と第2電圧V2との差が閾値Th1(第1閾値)未満になった場合に第1駆動部81に出力電圧を印加する。
このように構成されていれば、DCDCコンバータ1は第1変換動作の際に第1電圧V1と第2電圧V2との差が閾値Th1(第1閾値)未満になり、ブートストラップ回路部20から適正電圧が印加されない懸念が高まったときにチャージポンプ回路部30を動作させ駆動部8に電圧を印加し得る。具体的には、第1電圧V1と第2電圧V2との差が閾値Th1(第1閾値)未満になった場合、第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)のゲートに与えられるPWM信号のデューティはより長くなる。これに伴い、第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)のゲートに与えられるPWM信号のデューティがより短くなり、第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)のオン状態の時間はより短くなっている状態である。このため、第1ブートストラップ回路21のコンデンサC1は十分に蓄電されない状態になってしまい、コンデンサC1から第1駆動部81に対して電荷を十分に供給できなくなった状態のときにチャージポンプ回路30を動作させるのである。また、第1電圧V1や第2電圧V2の絶対値の大きさに関わらず、第1電圧V1と第2電圧V2との相対関係に基づいてチャージポンプ回路部30の動作を切り替えるため、第1導電路91又は第2導電路92への出力電圧が特定の値に限定されず所望の大きさに設定しても、適用が可能である。
【0082】
本開示のDCDCコンバータ1のチャージポンプ回路部30は、第2変換動作が行われている状態において第1電圧V1と第2電圧V2との差が閾値Th1(第2閾値)未満になった場合に第2駆動部82に出力電圧を印加する。
このように構成されていれば、DCDCコンバータ1は第2変換動作の際に第1電圧V1と第2電圧V2との差が閾値Th1(第2閾値)未満になり、ブートストラップ回路部20から適正電圧が印加されない懸念が高まったときにチャージポンプ回路部30を動作させ駆動部8に電圧を印加し得る。具体的には、第1電圧V1と第2電圧V2との差が閾値Th1(第2閾値)未満になった場合、第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)のゲートに与えられるPWM信号のデューティはより長くなる。これに伴い、第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)のゲートに与えられるPWM信号のデューティがより短くなり、第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)のオン状態の時間はより短くなっている状態である。このため、第2ブートストラップ回路22のコンデンサC2は十分に蓄電されない状態になってしまい、コンデンサC2から第2駆動部82に対して電荷を十分に供給できなくなった状態のときにチャージポンプ回路30を動作させるのである。また、第1電圧V1や第2電圧V2の絶対値の大きさに関わらず、第1電圧V1と第2電圧V2との相対関係に基づいてチャージポンプ回路部30の動作を切り替えるため、第1導電路91又は第2導電路92への出力電圧が特定の値に限定されず所望の大きさに設定しても、適用が可能である。
【0083】
本開示のDCDCコンバータ1のチャージポンプ回路部30は、第1導電路91に印加される電圧を降圧して第2導電路92に電圧を印加するように第1変換動作が行われている場合又は第2導電路92に印加される電圧を降圧して第1導電路91に電圧を印加するように第2変換動作が行われている場合において、第1電圧V1よりも第2電圧V2のほうが大きいときには第1駆動部81に出力電圧を印加し、第2電圧V2よりも第1電圧V1のほうが大きいときに第2駆動部82に出力電圧を印加する。
このように構成されていれば、DCDCコンバータ1は、第1導電路91と第2導電路92との間で降圧動作が行わる際に、第2電圧V2よりも第1電圧V1のほうが大きい時には第2スイッチ部S2がスイッチング動作をしないことによって第2ブートストラップ回路22が第2駆動部82に対して適正電圧を印加できなくなり第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)を確実にオンできなくなる懸念が高まったときに、第2チャージポンプ回路32によってスイッチング素子T3を確実にオンにすることができる。また、第1電圧V1よりも第2電圧V2のほうが大きいときには、第1スイッチ部S1がスイッチング動作をしないことによって第1ブートストラップ回路21が第1駆動部81に対して適正電圧を印加できなくなり第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)を確実にオンできなくなる懸念が高まったときに、第1チャージポンプ回路31によってスイッチング素子T1を確実にオンにすることができる。これによって、DCDCコンバータ1は第1導電路91と第2導電路92との間の電力のやり取りを良好にすることができる。
【0084】
具体的には、第1導電路91に印加される電圧を降圧して第2導電路92に電圧を印加するように第1変換動作する際、コンデンサC2は第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)がオフ状態を維持されるため充電されなくなってしまう。このとき、第2チャージポンプ回路32から第2駆動部82に向けて第2出力電圧Vo2を印加することによって第2スイッチ部S2のスイッチング素子T3を確実にオンにするのである。そして、第2導電路92に印加される電圧を降圧して第1導電路91に電圧を印加するように第2変換動作する際、コンデンサC1は第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)がオフ状態を維持されるため充電されなくなってしまう。このとき、第1チャージポンプ回路31から第1駆動部81に向けて第1出力電圧Vo1を印加することによって第1スイッチ部S1のスイッチング素子T1を確実にオンにするのである。
【0085】
本開示のDCDCコンバータ1のチャージポンプ回路部30は、第2導電路92に印加される電圧を昇圧して第1導電路91に電圧を印加するように第1変換動作が行われている場合又は第1導電路91に印加される電圧を昇圧して第2導電路92に電圧を印加するように第2変換動作が行われている場合において、第2電圧V2よりも第1電圧V1のほうが大きい場合には第2駆動部82に出力電圧を印加し、第1電圧V1よりも第2電圧V2のほうが大きいときには第1駆動部81に出力電圧を印加する。
このように構成されていれば、DCDCコンバータ1は、第1導電路91と第2導電路92との間で昇圧動作が行われる際に、第2電圧V2よりも第1電圧V1のほうが大きいときには第2スイッチ部S2がスイッチング動作をしないことによって第2ブートストラップ回路22が第2駆動部82に対して適正電圧を印加できなくなり第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)を確実にオンできなくなる懸念が高まったときに、第2チャージポンプ回路32によってスイッチング素子T2を確実にオンにすることができる。また、第1電圧V1よりも第2電圧V2のほうが大きいときには、第1スイッチ部S1がスイッチング動作をしないことによって第1ブートストラップ回路21が第1駆動部81に対して適正電圧を印加できなくなり第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)を確実にオンできなくなる懸念が高まったときに、第1チャージポンプ回路31によってスイッチング素子T1を確実にオンにすることができる。これによって、DCDCコンバータ1は第1導電路91と第2導電路92との間の電力のやり取りを良好にすることができる。
【0086】
具体的には、第2導電路92に印加される電圧を昇圧して第1導電路91に電圧を印加するように第1変換動作する際、コンデンサC2は第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)がオフ状態を維持されるため充電されなくなってしまう。このとき、第2チャージポンプ回路32から第2駆動部82に向けて第2出力電圧Vo2を印加することによって第2スイッチ部S2のスイッチング素子T2を確実にオンにするのである。そして、第1導電路91に印加される電圧を昇圧して第2導電路92に電圧を印加するように第2変換動作する際、コンデンサC1は第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)がオフ状態を維持されるため充電されなくなってしまう。このとき、第1チャージポンプ回路31から第1駆動部81に向けて第1出力電圧Vo1を印加することによって第1スイッチ部S1のスイッチング素子T1を確実にオンにするのである。
【0087】
本開示のDCDCコンバータ1のチャージポンプ回路部30は、第1チャージポンプ回路31、第2チャージポンプ回路32、及び動作制御部33を有している。第1チャージポンプ回路31は第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加する。第2チャージポンプ回路32は第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加する。動作制御部33は第1チャージポンプ回路31及び第2チャージポンプ回路32の動作を制御する。動作制御部33は、第1電圧V1と、第2電圧V2と、第1変換動作又は第2変換動作の状態を示す第1電源部充電信号Cs1や第2電源部充電信号Cs2と、に基づいて第1チャージポンプ回路31における第1出力電圧Vo1の印加時期及び第2チャージポンプ回路32における第2出力電圧Vo2の印加時期を決定する。
この構成によれば、DCDCコンバータ1は、第1駆動部81及び第2駆動部82への電圧の印加を個別に行うことができるため、第1スイッチ部S1と第2スイッチ部S2の各々を個別に駆動させることができるため、電圧変換部6をより効率よく動作させ得る。
【0088】
<実施形態2>
次に、実施形態2のDCDCコンバータ2について
図6を参照しつつ説明する。DCDCコンバータ2は、チャージポンプ回路部130におけるチャージポンプ回路131が1つのみ設けられている点等が実施形態1と異なる。同じ構成については、同一符号を付し、構造、作用及び効果の説明は省略する。
【0089】
DCDCコンバータ2のチャージポンプ回路部130は、チャージポンプ回路131、及び動作制御部133を有している。チャージポンプ回路131は公知の回路であり、例えば、直列に接続された複数のダイオードと、各ダイオードの接続点の各々に接続された複数のコンデンサ等で構成されている(図示せず。)。チャージポンプ回路131は、例えば、第1導電路91や第2導電路92への入力電圧を昇圧して第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加したり第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加したりする。動作制御部133はチャージポンプ回路131の動作を制御し得る構成とされている。動作制御部133は、第1電圧検出部41からの第1電圧V1相当する信号、第2電圧検出部42からの第2電圧V2に相当する信号、及び制御部12からの第1電源部充電信号Cs1や第2電源部充電信号Cs2が入力され得る構成とされている。動作制御部133は入力されたこれら信号に基づいてチャージポンプ回路131における第1出力電圧Vo1や第2出力電圧Vo2の印加時期を決定する。
【0090】
〔DCDCコンバータにおける動作〕
次に、本開示のDCDCコンバータ2の動作について説明する。
〔第1電源部を充電する動作〕
第1変換動作の内の第2導電路92に印加される電圧を昇圧して第1導電路91に電圧を印加する動作する場合について説明する。外部装置から制御部12に入力される充電選択信号Csが第1電源部を充電することを示す場合、制御部12は動作制御部133に対して第1電源部充電信号Cs1を出力する。そして、制御部12は第1駆動部81に向けて第1制御信号Con1を出力する。第1駆動部81は制御部12から第1制御信号Con1が出力されると第1制御信号Con1に応じた第1駆動信号D1を電圧変換部6に出力する。第1スイッチ部S1(スイッチング素子T1,T2)は第1駆動信号D1によって同期整流制御を行う。第1ブートストラップ回路21は第1スイッチ部S1の同期整流制御によって第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)と第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)との間の第1接続点P1よりも高い電圧を第1駆動部81に印加する。
【0091】
動作制御部133は第1電源部充電信号Cs1が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より高く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値(第1閾値)以上である場合、チャージポンプ回路131に向けて第2切替信号Sw2を出力する。チャージポンプ回路131は、第2切替信号Sw2が入力されると、第2駆動部82に第2出力電圧Vo2印加し、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加しない。つまり、チャージポンプ回路部130は第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加する第2動作を行う。
【0092】
次に、第2変換動作の内の第2導電路92に印加される電圧を降圧して第1導電路91に電圧を印加する動作する場合について説明する。外部装置から制御部12に入力される充電選択信号Csが第1電源部を充電することを示す場合、制御部12は動作制御部133に対して、第1電源部充電信号Cs1を出力する。制御部12は第2駆動部82に向けて第2制御信号Con2を出力する。第2駆動部82は制御部12から第2制御信号Con2が出力されると第2制御信号Con2に応じた第2駆動信号D2を電圧変換部6に出力する。第2スイッチ部S2(スイッチング素子T3,T4)は第2駆動信号D2によって同期整流制御を行う。第2ブートストラップ回路22は第2スイッチ部S2の同期整流制御によって第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)と第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)との間の第2接続点P2よりも高い電圧を第2駆動部82に印加する。
【0093】
動作制御部133は、第1電源部充電信号Cs1が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より低く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値(第2閾値)以上である場合、チャージポンプ回路131に向けて第1切替信号Sw1を出力する。チャージポンプ回路131は、第1切替信号Sw1が入力されると、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1印加し、第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加しない。つまり、チャージポンプ回路部130は第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加する第1動作を行う。
【0094】
〔第2電源部を充電する動作〕
第1変換動作の内の第1導電路91に印加される電圧を降圧して第2導電路92に電圧を印加する動作する場合について説明する。外部装置から制御部12に入力される充電選択信号Csが第2電源部を充電することを示す場合、制御部12は動作制御部133に対して、第2電源部充電信号Cs2を出力する。制御部12は第1駆動部81に向けて第1制御信号Con1を出力する。第1駆動部81は制御部12から第1制御信号Con1が出力されると第1制御信号Con1に応じた第1駆動信号D1を電圧変換部6に出力する。第1スイッチ部S1(スイッチング素子T1,T2)は第1駆動信号D1によって同期整流制御を行う。第1ブートストラップ回路21は第1スイッチ部S1の同期整流制御によって第1ハイサイド素子(スイッチング素子T1)と第1ローサイド素子(スイッチング素子T2)との間の第1接続点P1よりも高い電圧を第1駆動部81に印加する。
【0095】
動作制御部133は第2電源部充電信号Cs2が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より高く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値(第1閾値)以上である場合、チャージポンプ回路131に向けて第2切替信号Sw2を出力する。チャージポンプ回路131は第2切替信号Sw2が入力されると、第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加し、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加しない。つまり、チャージポンプ回路部130は第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加する第2動作を行う。
【0096】
次に、第2変換動作の内の第1導電路91に印加される電圧を昇圧して第2導電路92に電圧を印加する動作する場合について説明する。外部装置から制御部12に入力される充電選択信号Csが第2電源部を充電することを示す場合、制御部12は動作制御部133に対して、第2電源部充電信号Cs2を出力する。制御部12は第2駆動部82に向けて第2制御信号Con2を出力する。第2駆動部82は制御部12から第2制御信号Con2が出力されると第2制御信号Con2に応じた第2駆動信号D2を電圧変換部6に出力する。第2スイッチ部S2(スイッチング素子T3,T4)は第2駆動信号D2によって同期整流制御を行う。第2ブートストラップ回路22は第2スイッチ部S2の同期整流制御によって第2ハイサイド素子(スイッチング素子T3)と第2ローサイド素子(スイッチング素子T4)との間の第2接続点P2よりも高い電圧を第2駆動部82に印加する。
【0097】
動作制御部133は、第2電源部充電信号Cs2が入力され、第1電圧V1が第2電圧V2より低く、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値(第2閾値)以上である場合、チャージポンプ回路131に向けて第1切替信号Sw1を出力する。チャージポンプ回路131は第1切替信号Sw1が入力されると、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加し、第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加しない。つまり、チャージポンプ回路部130は第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加する第1動作を行う。
【0098】
動作制御部133は、第1電源部充電信号Cs1又は第2電源部充電信号Cs2のいずれかが入力され、第1電圧V1と第2電圧V2との差が所定の閾値(第2閾値又は第1閾値)未満である場合、チャージポンプ回路131に向けて第3切替信号Sw3を出力する。チャージポンプ回路131は第3切替信号Sw3が入力されると、第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加するとともに第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加する。
【0099】
次に、本構成の効果を例示する。
本開示のDCDCコンバータ2のチャージポンプ回路部130は、チャージポンプ回路131、及び動作制御部133を有している。チャージポンプ回路131は第1駆動部81に第1出力電圧Vo1を印加する第1動作と第2駆動部82に第2出力電圧Vo2を印加する第2動作とを行う。動作制御部133はチャージポンプ回路131の第1動作及び第2動作を制御する。動作制御部133は、第1電圧V1と、第2電圧V2と、第1変換動作又は第2変換動作の状態を示す第1電源部充電信号Cs1や第2電源部充電信号Cs2と、に基づいて第1動作の時期及び第2動作の時期を決定する。
この構成によれば、チャージポンプ回路131が動作制御部133によって、第1動作及び第2動作の少なくともいずれかを切り替えて行うことができる。このため、DCDCコンバータ2はチャージポンプ回路131を第1駆動部81及び第2駆動部82に対応させて2つ設ける場合に比べて部材の数を抑えることができる。
<他の実施形態>
本構成は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0100】
実施形態1、2では、駆動部8が第1駆動部81及び第2駆動部82を備えていることを例示しているが、1つの駆動部から第1スイッチ部及び第2スイッチ部の各々に駆動信号を出力する構成としてもよい。
【0101】
実施形態1、2では、スイッチング素子T2,T4にNチャネル型のMOSFETを用いているが、いずれか一方又は両方にダイオードを用いダイオード整流方式としてもよい。
【0102】
実施形態1では、第1閾値、第2閾値がともに閾値Th1であることが例示されているが、第1閾値、第2閾値が互いに異なる値であってもよい。
【0103】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
1,2…DCDCコンバータ
6…電圧変換部
8…駆動部
12…制御部
20…ブートストラップ回路部
21…第1ブートストラップ回路
22…第2ブートストラップ回路
30,130…チャージポンプ回路部
31…第1チャージポンプ回路
32…第2チャージポンプ回路
33,133…動作制御部
41…第1電圧検出部
42…第2電圧検出部
81…第1駆動部
82…第2駆動部
91…第1導電路
92…第2導電路
131…チャージポンプ回路
C1…コンデンサ
C2…コンデンサ
Con1…第1制御信号
Con2…第2制御信号
Cs…充電選択信号
Cs1…第1電源部充電信号
Cs2…第2電源部充電信号
D1…第1駆動信号
D2…第2駆動信号
Di1…第1駆動指示信号
Di2…第2駆動指示信号
Fs1…第1動作維持信号
Fs2…第2動作維持信号
L…インダクタ
P1…第1接続点
P2…第2接続点
S1…第1スイッチ部
S2…第2スイッチ部
Sw1…第1切替信号
Sw2…第2切替信号
Sw3…第3切替信号
T1…スイッチング素子(第1ハイサイド素子)
T2…スイッチング素子(第1ローサイド素子)
T3…スイッチング素子(第2ハイサイド素子)
T4…スイッチング素子(第2ローサイド素子)
Th1…第1閾値,第2閾値
V1…第1電圧
V2…第2電圧
Vo1…第1出力電圧
Vo2…第2出力電圧