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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】水洗大便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 5/01 20060101AFI20240129BHJP
   E03D 1/28 20060101ALI20240129BHJP
   E03D 3/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
E03D5/01
E03D1/28
E03D3/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020030292
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021134523
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】末永 光宏
(72)【発明者】
【氏名】高野 仁嗣
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-206168(JP,A)
【文献】特開2015-057530(JP,A)
【文献】特開2007-224622(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0007304(KR,U)
【文献】米国特許第05109552(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 5/01
E03D 1/28
E03D 3/00
E03D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジェットポンプ作用により洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器装置であって、
汚物を受けるボウル部と、このボウル部に洗浄水を導くための導水路とを備えた便器本体と、
この便器本体に供給する洗浄水を貯水する貯水タンクと、
少なくともその一部が上記貯水タンク内で水没した状態で配置され、上記貯水タンク内の洗浄水を上記便器本体に供給するジェットポンプユニットと、を有し、
上記ジェットポンプユニットは、その下方に形成された吸引口から斜め上方に延びる上昇管を備えたスロート管と、
このスロート管の吸引口に向けて洗浄水を噴射してジェットポンプ作用を誘発させるジェットノズルと、
給水源から上記ジェットノズルへの洗浄水の供給を給止水する給水弁と、を備え、
上記スロート管の上昇管は、所定の水位において上記貯水タンク内の空気を上記上昇管内に導入する空気導入管が設けられ、この空気導入管は、その上流側の流路断面積が下流側の流路断面積よりも大きくなるように形成され、さらに、この空気導入管の上流側には、上記貯水タンク内の空気を導入するための空気導入孔が形成され
上記空気導入管の上流側の断面積及び下流側の断面積は、それぞれ、ほぼ一定であり、上流側と下流側の間には流路断面積の変化部が設けられ、
上記流路断面積の変化部は、その断面積が小さくなるようなR形状が形成されている、水洗大便器装置。
【請求項2】
ジェットポンプ作用により洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器装置であって、
汚物を受けるボウル部と、このボウル部に洗浄水を導くための導水路とを備えた便器本体と、
この便器本体に供給する洗浄水を貯水する貯水タンクと、
少なくともその一部が上記貯水タンク内で水没した状態で配置され、上記貯水タンク内の洗浄水を上記便器本体に供給するジェットポンプユニットと、を有し、
上記ジェットポンプユニットは、その下方に形成された吸引口から斜め上方に延びる上昇管を備えたスロート管と、
このスロート管の吸引口に向けて洗浄水を噴射してジェットポンプ作用を誘発させるジェットノズルと、
給水源から上記ジェットノズルへの洗浄水の供給を給止水する給水弁と、を備え、
上記スロート管の上昇管は、所定の水位において上記貯水タンク内の空気を上記上昇管内に導入する空気導入管が設けられ、この空気導入管は、その上流側の流路断面積が下流側の流路断面積よりも大きくなるように形成され、さらに、この空気導入管の上流側には、上記貯水タンク内の空気を導入するための空気導入孔が形成され
上記空気導入管の上流側の容積は、下流側の容積よりも大きく形成されている、水洗大便器装置。
【請求項3】
上記空気導入管は、その断面がほぼ円形状であり、上記空気導入管の上流側の中心軸と下流側の中心軸とが同軸上に配置されている、請求項1又は2に記載の水洗大便器装置。
【請求項4】
上記空気導入管は、別部材である上流側管路と下流側管路を備え、これらの上流側管路と下流側管路が連結して設けられている、請求項1乃至の何れか1項に記載の水洗大便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器装置に係り、特にジェットポンプ作用により洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば特許文献1に記載されているように、ジェットポンプユニットを使用して大流量の洗浄水を便器本体に継続的に供給するようにした水洗大便器装置が知られている。
【0003】
このような従来の水洗大便器装置においては、水道管などの給水源と直結した給水路に給水弁が設けられ、この給水弁には貯水タンク内の水位に応じて上下動するフロートが設けられている。そして、このフロートの作動に応じて給水弁を開放または閉鎖することによって、ジェットノズルへの給止水を行っている。このジェットノズルは、ジェットポンプ作用を誘発させて洗浄水を吐水して、貯水タンク内の水をスロート管内に引き込むことにより大流量の洗浄水を便器本体に継続的に供給することができる。
【0004】
また、特許文献1に記載されている従来の水洗大便器装置においては、貯水タンク内の水位が所定水位まで低下した段階で、スロート管内に空気を導入する空気導入管が設けられている。この空気導入管によって空気が導入されると、ジェットポンプ作用が弱まることにより、貯水タンク内の水がスロート管内に引き込まれ難くなる。つまり、貯水タンク内の水位が低下する速度が遅くなる。これにより、給水弁が開放されている期間が延びるため、ジェットノズルから供給される洗浄水量が増える。そのため、貯水タンク内に貯められる洗浄水量が少ない小型の貯水タンクを備えた水洗大便器であっても、便器本体への十分な洗浄水量を確保することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-206168
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されている水洗大便器装置においても、少ない洗浄水量(例えば、4.8リットル程度)で汚物を搬送可能な配管が短い現場であれば、貯水タンクを小型化しつつ便器本体への十分な洗浄水量を確保することが可能であった。しかしながら、汚物を搬送するために多くの洗浄水量(例えば、8リットル程度)が求められる配管が長い現場などにおいては、小型化された貯水タンクでは十分な洗浄水量を確保することができず、貯水タンクを大型化せざるを得ないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、多くの洗浄水量が求められる現場であっても、小型化された貯水タンクにより便器本体への十分な洗浄水量を確保可能な水洗大便器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、ジェットポンプ作用により洗浄水を便器本体に供給して洗浄する水洗大便器装置であって、汚物を受けるボウル部と、このボウル部に洗浄水を導くための導水路とを備えた便器本体と、この便器本体に供給する洗浄水を貯水する貯水タンクと、少なくともその一部が貯水タンク内で水没した状態で配置され、貯水タンク内の洗浄水を便器本体に供給するジェットポンプユニットと、を有し、ジェットポンプユニットは、その下方に形成された吸引口から斜め上方に延びる上昇管を備えたスロート管と、このスロート管の吸引口に向けて洗浄水を噴射してジェットポンプ作用を誘発させるジェットノズルと、給水源からジェットノズルへの洗浄水の供給を給止水する給水弁と、を備え、スロート管の上昇管は、所定の水位において貯水タンク内の空気を上昇管内に導入する空気導入管が設けられ、この空気導入管は、その上流側の流路断面積が下流側の流路断面積よりも大きくなるように形成され、さらに、この空気導入管の上流側には、貯水タンク内の空気を導入するための空気導入孔が形成されている。
このように構成された本発明においては、スロート管の上昇管に所定の水位において貯水タンク内の空気を上昇管内に導入する空気導入管が設けられ、この空気導入管は、その上流側の流路断面積が下流側の流路断面積よりも大きくなるように形成され、さらに、この空気導入管の上流側には、貯水タンク内の空気を導入するための空気導入孔が形成されているので、先ず、貯水タンク内の水位が所定水位まで低下すると、空気導入管からスロート管の上昇管内に空気が挿入され、この空気の容積分だけ上昇管内を流れる洗浄水の流量が低減され、これにより、貯水タンク内の水位の下降速度が減速され、その分、長い時間、ジェットポンプユニットによる洗浄水の便器本体への供給が可能となる。さらに、本発明においては、空気導入管の上流側の流路断面積が下流側の流路断面積よりも大きくなるように形成され、上流側で導入される空気の圧力変動が緩和され、スムーズに下流側からスロート管の上昇管内に導入される。その結果、本発明によれば、貯水タンクの小型化が達成される。
【0009】
本発明において、好ましくは 空気導入管は、その断面がほぼ円形状であり、空気導入管の上流側の中心軸と下流側の中心軸とが同軸上に配置されている。
このように構成された本発明においては、空気導入管の断面がほぼ円形状であるので、全周が一様となり、それゆえ、空気導入孔から空気導入管内に導入された空気の流量に強弱が生じ難くなり、それにより、空気導入管内への空気の導入量を増大させることができる。さらに、空気導入管の上流側の中心軸と下流側の中心軸とが同軸上に配置されているので、空気導入管において、空気が上流側から下流側にスムーズに流れ、それにより、上昇管への空気の導入量を増大させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、空気導入管の上流側の断面積及び下流側の断面積は、それぞれ、ほぼ一定であり、上流側と下流側の間には流路断面積の変化部が設けられている。
このように構成された本発明においては、空気導入管の上流側の断面積及び下流側の断面積が、それぞれ、ほぼ一定であり、上流側と下流側の間には流路断面積の変化部が設けられているので、空気導入孔から空気導入管内に導入された空気が、空気導入管内で整流され、空気をスロート管の上昇管内にスムーズに供給することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、流路断面積の変化部は、その断面積が小さくなるようなR形状が形成されている。
このように構成された本発明においては、流路断面積の変化部はその断面積が小さくなるようなR形状が形成されているので、空気導入管の上流側から下流側に流れる空気が変化部において滞留することなくスムーズに流れる。
【0012】
本発明において、好ましくは、空気導入管の上流側の容積は、下流側の容積よりも大きく形成されている。
このように構成された本発明においては、空気導入管の上流側の容積が下流側の容積よりも大きく形成されているので、上流側が拡大空間となり、空気導入孔から空気導入管に導入された空気の圧力変動を上流側で緩和することができる。さらに、スロート管内の水流における吸入圧力の圧力変動を吸収緩和することができる。その結果、本発明によれば、空気導入管内へ空気を安定して導入することができ、それにより、スロート管の上昇管内への空気供給量を増大させることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、空気導入管は、別部材である上流側管路と下流側管路を備え、これらの上流側管路と下流側管路が連結して設けられている。
このように構成された本発明においては、空気導入管の上流側管路と下流側管路が別部材で作られているので、上流側管路の流路断面積を変更して、吸入圧力の変動を適切に抑えることができる。さらに、上流側管路を別部材としているので、空気導入孔の大きさを容易に変更することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の水洗大便器装置によれば、空気導入管に設けられた空気導入孔から吸い込まれた空気を効率的にスロート管の上昇管内へと送ることが可能となり、さらに、多くの洗浄水量が必要となる水洗大便器装置の設置現場であっても、小型化された貯水タンクにより便器本体への十分な洗浄水量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による水洗大便器装置を示す平面図である。
図2図1のII―II線に沿って見た断面図である。
図3】本発明の一実施形態による水洗大便器装置に使用されるジェットポンプユニットのジェットポンプ作用を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の内部構造及びジェットポンプユニット内の流路の断面を示す断面図である。
図5】本発明の一実施形態による水洗大便器装置のジェットポンプユニットに設けられた空気導入管の拡大図である。
図6】本発明の一実施形態による水洗大便器装置のジェットポンプユニットから便器本体へ供給される洗浄水量と空気導入管の上流側管路の直径との関係を示すグラフである。
図7図7(a)は従来の空気導入管を示す断面図であり、図7(b)は本発明の実施形態による水洗大便器装置の空気導入管を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態による水洗大便器装置のジェットポンプユニットによって便器本体に供給される洗浄水の瞬間流量と時間との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による水洗大便器装置を説明する。
まず、図1及び図2により、本発明の一実施形態による水洗大便器装置の基本構造を説明する。図1は本発明の一実施形態による水洗大便器装置を示す平面図であり、図2図1のII―II線に沿って見た断面図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態による水洗大便器装置1は、便器本体2と、この便器本体2に洗浄水を供給する洗浄水タンク装置4を備えている。
便器本体2は、その前方側に設けられたボウル部6と、ボウル部6の上縁に形成されたリム部8と、このリム部8の内周に形成された棚部10と、を備えている。
また、便器本体2のボウル部6の底部には、トラップ排水路12の入口12aが開口し、このトラップ排水路12は、上方に延びる上昇管12bと、下方に延びる下降管12cを備えている。このトラップ排水路12の形状から分かるように、本実施形態による水洗大便器装置1は、高さ方向の落差により汚物を排出する洗い落とし式便器である。
なお、本発明は、上述した洗い落とし式便器以外に、サイホン式便器等の他の水洗大便器についても適用可能である。
【0018】
つぎに、便器本体2は、洗浄水タンク装置4の排水口14から排出される洗浄水が流入する導水路16と、棚部10の前方から見て左側中央に形成された第1リム吐水口18と、前方から見て右側後方に形成された第2リム吐水口20とを備えている。
また、導水路16は、下流に向かって第1通水路22と第2通水路24に分岐し、導水路16の洗浄水が第1通水路22を経て第1リム吐水口18に到達する一方、第2通水路24を経て第2リム吐水口20に到達し、洗浄水が、それぞれ、第1リム吐水口18及び第2リム吐水口20から吐水され、ボウル部6を洗浄し、汚物をトラップ排水路12から排出するようになっている。
【0019】
つぎに、図3及び図4により、洗浄水タンク装置4について詳細に説明する。
図3は本発明の一実施形態による水洗大便器装置に使用されるジェットポンプユニットのジェットポンプ作用を説明するための洗浄水タンク装置の内部構造を示す断面図であり、図4は本発明の一実施形態による水洗大便器装置の洗浄水タンク装置の内部構造及びジェットポンプユニット内の流路の断面を示す断面図である。
なお、図4は本発明の実施形態による水洗大便器の内部構造に対応しているが、図3はジェットポンプユニットによるジェットポンプ作用を具合的に説明するためのものであり、図4の内部構造と異なる構造を示している。
【0020】
図3及び図4に示すように、洗浄水タンク装置4は、平面視において左右方向に長い扁平形状に形成されて洗浄水を貯水する貯水タンク26と、水道管等の給水源(図示せず)から供給される洗浄水を貯水タンク26に供給する一次側の給水管28とを備えている。
また、洗浄水タンク装置4は、給水管28の上端(下流側端部)に接続されて給水管28から供給される洗浄水を給止水する給水弁装置30を含むジェットポンプユニット32と、使用者が手動操作により洗浄水の給水を行うための手動レバー34(図3参照)とを備えている。
さらに、給水管28の下端(上流端部)には、止水栓35(図3参照)が設けられている。この止水栓35は、水洗大便器装置1の据付時などに給水源(図示せず)からの給水を止水するためのものであり、通常使用時は開状態に保持されている。
【0021】
また、ジェットポンプユニット32は、給水弁装置30から給水された水が流れる二次側の給水管36と、この給水管36の下流側に配置されるスロート管38と、給水管36の下流側端部に接続されてスロート管38に向けて洗浄水を噴射してジェットポンプ作用を誘発させるジェットノズル40と、ジェットノズル40から噴射される洗浄水が進行する流路方向をスロート管38の内部方向に差し向ける流路からスロート管38の外部方向に差し向ける流路に切り替える流路切替弁装置42とを備えている。
【0022】
一次側の給水管28と給水弁装置30との間には、給水弁装置30に供給される洗浄水を定流量にする定流量弁43(図3参照)が設けられている。
また、二次側の給水管36と給水弁装置30との間には、真空破壊弁44(図3参照)が設けられており、この真空破壊弁44は、外部から空気を吸入することにより、ジェットノズル40までの給水管36の流路内が負圧にならないようにするためのものである。
【0023】
また、給水弁装置30は、図3に示すように、パイロット式ダイアフラム弁である主弁体48と、この主弁体48が着座する主便座50と、内部の圧力により主弁体48を主便座50に対して移動させる圧力室52とを備えており、主弁体48が主便座50に着座して止水する止水状態と主便座50から離間して給水する給水状態とを切り替えるようになっている。
図3に示すように、圧力室52には、この圧力室52の圧力を開放する第一穴54及び第二穴56と、上述した手動レバー34における使用者の手動操作と連動して第一穴54を開放する第一パイロット弁58と、貯水タンク26内の洗浄水の水位に伴い上下動する給水フロート60と、この給水フロート60の上下動により第二穴56を開閉する第二パイロット弁62とが設けられている。
【0024】
また、図3に示すように、主弁体48には、ブリード穴(図示せず)が設けられており、止水状態のとき、ブリード穴により給水管28の一次側流路Aと圧力室52との内部とが連通するようになっている。ここで、第一穴54は、その開口面積が第二穴56の開口面積よりも大きく形成されている。また、第一穴54は、第二穴56よりも上方位置に形成されている。
【0025】
給水弁装置30は、止水状態では、第一穴54及び第二穴56は共に塞がれており、且つ、給水管28の一次側流路Aは圧力室52とブリード穴を通じて連通しているため、一時側流路Aと圧力室52の水圧は同一の水圧(一時側流路圧力α)となる。また、二次側流路Bは大気解放され、主弁体48に水圧が作用する面積の方が一次側流路Aの面積よりも大きくなるため、主弁体48は主便座50に押付けられ閉弁するようになっている。
【0026】
給水弁装置30において、第一穴54及び/又は第二穴56が、第一パイロット弁58及び/又は第二パイロット弁62により開放されると、圧力室52から洗浄水が流出し、圧力室52内の圧力が低下し、主弁体48が主便座50から離れるように移動し、開弁し、吐水状態となるようになっている。
【0027】
給水弁装置30において、第一穴54及び第二穴56が第一パイロット弁58及び第二パイロット弁62により閉じられると、再度圧力室52の圧力が一次側流路圧力αとなり、主弁体48が主便座50に向けて移動し、最終的に閉弁された状態(止水状態)となる。
なお、このとき、一次側流路Aの洗浄水が、圧力室52内へブリード穴から少しずつ注入されるため、第一穴54及び第二穴56を塞いでから、所定時間遅れて、主弁体48が閉弁状態(止水状態)となるようになっている。
【0028】
つぎに、ジェットポンプユニット32のスロート管38は、下方から斜め上方に延びる上昇管38aと、この上昇管38aの上端付近から下方に延びる下降管38bとを備えており、概ね逆V字形状に形成されている。
また、上昇管38aには、詳細は後述する空気導入管80(図4参照)が接続されている。この空気導入管80には、空気導入孔82が設けられており、上昇管38a外の空気(貯水タンク26内の空気)を吸い込むようになっている。
【0029】
スロート管38の上昇管38aの上流側端部(入口部)には吸引口38cが形成されており、この吸引口38cは、貯水タンク26内の下部に位置するようになっている。
また、スロート管38の下降管38bの出口部38d(図4参照)は、便器本体2の導水路16と連通する排水口14に接続されている。
さらに、スロート管38の吸引口38cと対向するようにジェットノズル40が配置されスロート管38の吸引口38cとジェットノズル40は、常時、貯水タンク26内で水没した状態となっている。
【0030】
つぎに、ジェットポンプユニット32の流路切替弁装置42は、便器洗浄後の貯水タンク26内への給水を行う際に、ジェットノズル40から噴射される洗浄水が進行する流路方向をスロート管38の内部方向に差し向ける流路からスロート管38の外部方向(貯水タンク26内)に差し向ける流路に切り替える流路切替弁66と、貯水タンク26内に貯水された洗浄水の水位に応じて上下動することにより流路切替弁66を作動させるフロート68と、フロート68と流路切替弁66とを連結する連結部70と、フロート68を連結部70に連結する高さを上下方向に調整する調整機構部72と、を備えている。
【0031】
また、図4に示すように、ジェットポンプユニット32の二次側の給水管36内は、給水弁装置30とジェットノズル40との間を接続する主流路74を形成している。
さらに、ジェットポンプユニット32の二次側の給水管36において、逃がし弁装置46の下流側には、ジェットノズル40を経由せずに便器本体2へ洗浄水を供給する補給水用の分岐路を形成する分岐管76が接続されている。この分岐管76の下流側端部は、スロート管38の下降管38bに隣接して設けられて上下方向に延びるオーバーフロー管78に接続されている。このオーバーフロー管78の下流側は、便器本体2の導水路16と連通している。
【0032】
ジェットポンプユニット32は、ジェットノズル40からスロート管38の吸引口38cに向けて高速の洗浄水を噴射することで、ジェットノズル40に近いスロート管38内の吸引口38c近傍の空間に負圧を引き起こし、ジェットポンプ作用(エジェクタ効果)を誘発させる。このジェットポンプ作用により、貯水タンク26内の近傍の洗浄水が吸引され、この洗浄水とジェットノズル40から噴出される洗浄水とが一緒になり、スロート管38内を流れ、便器本体2の導水路16に供給されるようになっている。
すなわち、本明細書中に記載されている「ジェットポンプ作用」という用語については、ジェットノズル40からスロート管38の吸引口38cに向けて噴射される大流量の洗浄水の流れ自体が、ポンプ等のほかの機械要素に依存することなく、直接的にスロート管38の吸引口38cの近傍等の周囲の洗浄水を引き込むような負圧を形成し、この負圧を利用してスロート管38内に吸い込んだ貯水タンク26内の洗浄水を便器本体2側へ圧送する作用を意味している。
【0033】
つぎに、図4に示すように、貯水タンク26内の水位WL1は、洗浄が開始される前の水位を示し、水位WL2は、洗浄が終了したときの水位を示している。さらに、水位WL3は、空気挿入管80に形成された空気導入孔82の水位を示している。
【0034】
つぎに、図5及び図6を参照して、空気導入管80について詳細に説明する。図5は本発明の一実施形態による水洗大便器装置のジェットポンプユニットに設けられた空気導入管の拡大図であり、図6は本発明の一実施形態による水洗大便器装置のジェットポンプユニットから便器本体へ供給される洗浄水量と空気導入管の上流側管路の直径との関係を示すグラフである。
【0035】
先ず、図5に示すように、空気導入管80は、別部材として制作された上方に位置する上流側管路84と下方側に位置する下流側管路86を備え、これらの上流側管路84と下流側管路86が連結して設けられている。なお、上流側管路84と下流側管路86は、一体構造としてもよい。
これらの上流側管路84と下流側管路86は、それぞれ、その断面が円形状に形成されている。上流側管路84の断面の直径D1は、下流側管路86の断面の直径D2よりも、大きな値である。一例として、上流側管路84の断面の直径D1は13mmであり、下流側管路86の断面の直径D2は10mmである。
【0036】
ここで、図6に示すように、給水条件として、ジェットポンプユニット32に19L/minの水が供給され、且つ、空気導入管80の下流側管路86の直径D2を10mmに固定した場合、上流側管路84の直径D1を10mmから15mmまで変化させると、ジェットポンプユニット32から便器本体2に供給される洗浄水量(L)は、4.8Lから8.0Lまで増大する。このことから、空気導入管80の上流側管路84の直径D1と下流側管路86の直径D2が同じ場合には、4.8Lの洗浄水しか便器本体2に供給することができないが、空気導入管80の上流側管路84の直径D1を下流側管路86の直径D2よりも大きな値とした場合には、より多くの洗浄水を便器本体2に供給することが理解できる。
【0037】
この図6から、空気導入管80の下流側管路86の直径D2が10mmの場合には、上流側管路84の直径D1を11mmから14mmまで変化させると、好ましい洗浄水量(L)を得ることができ、その結果、貯水タンク26の容量を小さくすることができる。換言すれば、空気導入管80の上流側管路84の直径D1は、下流側管路86の直径D2よりも、1.1~1.4倍大きく形成されることが好ましい。
【0038】
次に、図5に示すように、上流側管路84の中心軸X1と下流側管路86の中心軸X2は、同軸上に配置されている。また、上流側管路84と下流側管路86のそれぞれは、その長さ方向に沿って同じ断面形状となっている。
さらに、上流側管路84と下流側管路86は、変化部88により連結されており、この変化部88は、下流側管路86の上端側に位置し、曲率半径がRmmの円弧形状であり、上流から下流に向かって断面の直径が序序に小さな値となっている。ここで、Rは0.5mm~1.5mmが好ましい。
【0039】
次に、上流側管路84の容積V1は、下流側管路86の容積V2よりも大きな値となっている。一例として、上流側管路84の容積V1は、2700mm3であり、下流側管路86の容積V2は1000mm3である。ここで、V1はV2よりも1.5倍~3.0倍の大きさが好ましい。
【0040】
空気導入孔82は、上流側管路84の周面に形成され、円形形状の孔である。この空気導入孔82の高さ位置は、上述したWL3の位置であり、貯水タンク26の水位がWL3まで低下したとき、貯水タンク26内の空気が空気導入孔82から空気導入管80内に導入され、その後、スロート管38の上昇管38a内に供給される。ここで、空気導入孔82の直径は2.0mm~10.0mmが好ましい。
【0041】
つぎに、図3乃至図8を参照して、本実施形態による水洗大便器装置の動作(作用)を説明する。図7(a)は従来の空気導入管を示す断面図であり、図7(b)は本発明の実施形態による水洗大便器装置の空気導入管を示す断面図である。図8は本発明の一実施形態による水洗大便器装置のジェットポンプユニットによって便器本体に供給される洗浄水の瞬間流量と時間との関係を示すグラフである。
図8において、二点鎖線で描かれたAは、空気導入孔が設けられていないジェットポンプユニットを使用した場合の瞬間流量を示し、一点鎖線で描かれたBは、従来の空気導入管(上流側と下流側の内径が同じ)を備えたジェットポンプユニットを使用した場合の瞬間流量を示し、実線で描かれたCは、本実施形態による水洗大便器装置による瞬間流量を示している。
【0042】
先ず、図3及び図4に示すように、洗浄開始前の洗浄水タンク装置4においては、貯水タンク26内の水位が通常状態の水位WL1であり、給水弁装置30において、第一穴54及び第二穴56はいずれも閉じられており、主弁体48は主便座50上に着座し、止水状態となっている。
【0043】
洗浄を開始するために、使用者が手動レバー34を手動操作すると、手動レバー34に接続された駆動軸64が回転し、給水弁装置30の第一パイロット弁58が作動して、第一穴54が開く。このとき、給水弁装置30の主弁体48が主便座50から離間して給水する給水状態となる。これにより、外部の給水源から供給される洗浄水は、止水栓35、定流量弁43、給水弁装置30、および二次側の給水管36を経てジェットノズル40に到達し、ジェットノズル40からスロート管38の吸引口38cに向けて洗浄水が噴射される。このとき、スロート管38の吸引口38c付近は負圧となるので、貯水タンク26内に貯水された洗浄水もスロート管38内に吸引され、洗浄水タンク装置4により外部から供給される洗浄水と貯水タンク26内の洗浄水が一緒となってスロート管38内を流れ、便器本体2に供給され、ボウル部6の洗浄が開始される(図8の時間t0)。洗浄開始により貯水タンク26内の水位が下がり、給水フロート60が下降する。給水フロート60が下降すると直ぐに第二パイロット弁62が作動し、これにより、第二穴56が開く。このとき、第一穴54は、手動レバー34が操作され開いた状態となっていたが、第二穴56が開くタイミングで、閉鎖状態となる。第二穴56は、給水フロート60が再び上昇する状態まで、開状態が保持される。
【0044】
次に、給水弁装置30から洗浄水の供給が開始された直後においては、貯水タンク26内に貯水された洗浄水の水位がWL1近くまであるので、流路切替弁装置42のフロート68は上昇した状態であり、流路切替弁66は下降しており、ジェットノズル40の前方側を開放している状態となっている。これにより、貯水タンク26内に貯水された洗浄水はジェットノズル40及びスロート管38の吸引口38cに向かう流れが形成され、大流量の洗浄水が便器本体2に供給される(図8の時間t1)。
【0045】
便器本体2への洗浄水の供給が開始してからの時間経過とともに、貯水タンク26内の水位が低下し、空気導入管80の上流側管路84に形成された空気導入孔82の高さ位置WL3まで低下すると、洗浄水が流れているスロート管38内部に、上昇管38a内の水の流れに伴い発生する負圧により空気導入孔82から空気が吸い込まれる。これにより、スロート管38を通して便器本体2に供給される洗浄水の流量(瞬間流量)が一気に低減される。(図8のt2参照)。
【0046】
これは、空気導入孔82からスロート管38の上昇管38a内に吸い込まれた空気により、上昇管38a内の洗浄水が流れる面積が小さくなり、洗浄水の流量が抑制されるからである。このように、上昇管38a内へと送られる空気の量が多くなると、便器本体2へ供給される洗浄水の流量が少なくなる。これにより、ジェットノズル40によりスロート管38内に吸引される貯水タンク26の洗浄水の使用量が低減する。
つまり、上昇管38a内へと送られる空気の量が多いほど、貯水タンク26内の水位が低下する速度は遅くなり、給水時間も長くなり、最終的には、貯水タンク2から便器本体2へ供給する洗浄水量を増大させることができる。
【0047】
貯水タンク26内の水位がWL2まで低下すと、フロート68も水位の低下に連動して水位WL2の位置まで下降し、流路切替弁66が上昇する。これにより、スロート管38の流路が流路切替弁66に遮られ、ジェットノズル40から噴射される洗浄水は、流路切替弁66に衝突して、スロート管38内を流れることなく、流路切替弁66によって跳ねかえされる。これによって、便器本体2への洗浄水の供給が停止される(図8の時間t5)。
【0048】
その後、ジェットノズル40から噴射される洗浄水は、流路切替弁66によってスロート管38の外部方向へと進行方向が切り替えられ、貯水タンク26内に貯水される。そして、貯水タンク26の水位が上昇してWL1に達すると、給水弁装置30の給水フロート60もWL1の水位まで上昇し、給水弁装置30において、第二パイロット弁62が作動し、第二穴56が閉じられる。これにより、圧力室52の圧力が一次側流路圧力αとなり、主弁体48が主便座50に向けて移動し、最終的に閉弁された状態(止水状態)となる。給水弁装置30が止水状態となり、給水が終了し、洗浄動作が終了する。
【0049】
次に、図5乃至図8を参照して、空気導入管80において、上流側流路84の断面の直径D1を下流側流路86の断面の直径D2よりも大きくし、更には、上流側流路84の容積V1を下流側流路86の容積V2よりも大きくしたことによる作用効果を説明する。
先ず、図8に示すように、本実施形態による水洗大便器装置1においては、空気導入管80の上流側流路84の断面の直径D1を下流側流路86の断面の直径D2よりも大きくしている(図8のCが対応)ので、従来の空気導入孔が設けられていないジェットポンプユニット32を使用した場合(図8のAが対応)よりも、また、空気導入管80(上流側と下流側の内径が同じ)を備えたジェットポンプユニット32を使用した場合(図8のBが対応)よりも、便器本体2への給水時間を長くすることができる。これは、空気導入管80の上流側流路84の断面の直径D1を下流側流路86の断面の直径D2よりも大きくすることにより(更に、上流側流路84の容積V1を下流側流路86の容積V2よりも大きくすることにより)、空気導入管80からスロート管38の上昇管38a内に供給される空気の量が増大し、それにより、スロート管38内を流れる洗浄水の流量が低減されるからである。
【0050】
次に、図7(b)に示す、空気導入管80の上流側流路84の断面の直径D1を下流側流路86の断面の直径D2よりも大きくした(更に、上流側流路84の容積V1を下流側流路86の容積V2よりも大きくした)本実施形態による水洗大便器装置1が、図7(a)に示す空気導入管(上流側と下流側の内径が同じ)を備えたジェットポンプユニットを使用した従来の水洗大便器装置よりも、空気導入管80からスロート管38の上昇管38a内に供給される空気の量が多い理由を説明する。
【0051】
先ず、本実施形態による水洗大便器装置1においては、図7(b)に示すように、空気が比較的小さな開口である空気導入孔82から大きな容積を備える上流側流路84に導入されるので、上流側流路84内で空気の圧力変動が吸収され、乱流が逆流の発生を緩和することができる。
【0052】
更に、図7(b)に示すように、空気が上流側流路84から下流側流路86に流れるとき、断面積が小さくなるので、空気の流れが縮流し、速度が速くなる。また、下流側流路86内では、空気の速度分布が中央が加速し周囲では減速する分布となる。この中央が加速した速度分布の空気(細長い気柱)が、スロート管38の上昇管38a内に供給されるので、上昇管38a内で気泡として離脱が容易となる。このように、空気導入の抵抗が低減され、空気導入管80から上昇管38a内に供給される空気の量が増加する。
【0053】
一方、従来の水洗大便器装置においては、図7(a)に示すように、上流側流路と下流側流路が同じ内径であるので、空気導入孔82から導入された空気は、増速されることなく、さらに、中央と周囲がほぼ同じ速度分布のまま、上昇管38a内に供給されるので、空気導入の抵抗が大きく、その分、空気導入管80から上昇管38a内に供給される空気の量が増加しない。
【0054】
空気導入管80からスロート管38の上昇管38a内へ供給される空気の量が増えれば、その分、上昇管38a内の洗浄水の流量が低減されるので、貯水タンク26内の洗浄水の水位の下降速度が減速され、ジェットポンプユニット32による便器本体2への洗浄水の供給時間を長くすることが可能となる。貯水タンク26の容量が同じであっても、本実施形態による水洗大便器装置1によれば、多くの洗浄水を便器本体2に供給できるので、その分、貯水タンク26の大きさを小さくすることができる。
このように、本実施形態においては、洗浄水タンク装置4により外部から便器本体2に供給される洗浄水量を増やすことが可能となり、多くの洗浄水量が求められる現場であっても、小型化された貯水タンク26により便器本体2への十分な洗浄水量を確保することができる。
【0055】
以下、より具体的に本実施形態による水洗大便器装置1の作用効果を説明する。
本実施形態による水洗大便器装置1においては、空気導入管80の上流側管路84の流路断面積が下流側管路86の流路断面積よりも大きくなるように形成されているので、上流側管路84において導入される空気の圧力変動が緩和され、スムーズに下流側管路86からスロート管38の上昇管38a内に導入される。その結果、貯水タンク26の小型化が達成される。
【0056】
更に、本実施形態による水洗大便器装置1においては、空気導入管80の断面がほぼ円形状であるので、全周が一様となり、それゆえ、空気導入孔82から空気導入管80内に導入された空気の流量に強弱が生じ難くなり、それにより、空気導入管80内への空気の導入量を増大させることができる。さらに、空気導入管80の上流側管路84の中心軸と下流側管路86の中心軸とが同軸上に配置されているので、空気導入管80において、空気が上流側管路84から下流側管路86にスムーズに流れ、それにより、上昇管38a内への空気の導入量を増大させることができる。
【0057】
更に、本実施形態による水洗大便器装置1においては、空気導入管80の上流側管路84の断面積及び下流側管路86の断面積が、それぞれ、ほぼ一定であり、上流側管路84と下流側管路86の間には流路断面積の変化部88が設けられているので、空気導入孔82から空気導入管80内に導入された空気が、空気導入管80内で整流され、空気をスロート管38の上昇管38a内にスムーズに供給することができる。
【0058】
更に、本実施形態による水洗大便器装置1においては、空気導入管80の流路断面積の変化部88はその断面積が小さくなるようなR形状が形成されているので、空気導入管80の上流側管路84から下流側管路86に流れる空気が変化部88において滞留することなくスムーズに流れる。
【0059】
更に、本実施形態による水洗大便器装置1においては、空気導入管80の上流側管路84の容積が下流側管路86の容積よりも大きく形成されているので、上流側管路84が拡大空間となり、空気導入孔82から空気導入管80に導入された空気の圧力変動を上流側管路84で緩和することができる。さらに、スロート管38内の水流における吸入圧力の圧力変動を吸収緩和することができる。その結果、本実施形態によれば、空気導入管80内へ空気を安定して導入することができ、それにより、スロート管38の上昇管38a内への空気供給量を増大させることができる。
【0060】
更に、本実施形態による水洗大便器装置1においては、空気導入管80の上流側管路84と下流側管路86が別部材で作られているので、上流側管路84の流路断面積を変更して、吸入圧力の変動を適切に抑えることができる。さらに、上流側管路84を別部材としているので、空気導入孔82の大きさを容易に変更することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 水洗大便器装置
2 便器本体
4 洗浄水タンク装置
6 ボウル部
14 排水口
16 導水路
26 貯水タンク
30 給水弁装置
32 ジェットポンプユニット
36 二次側の給水管
38 スロート管
38a 上昇管
38b 下降管
38c 吸引口
38d 出口部
40 ジェットノズル
42 流路切替弁装置
68 フロート
70 連結部
72 調整機構部
80 空気導入管
82 空気導入孔
84 上流側管路
86 下流側管路
88 変化部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8