(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】振り込み管理システム、電子マネー管理装置、電子マネー管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20240129BHJP
G06Q 20/36 20120101ALI20240129BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
G06Q20/36 300
(21)【出願番号】P 2021133365
(22)【出願日】2021-08-18
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】500170249
【氏名又は名称】auペイメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】橋野 太郎
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6784858(JP,B1)
【文献】特開2009-080605(JP,A)
【文献】特開2020-177453(JP,A)
【文献】特開2018-200655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振り込み先となる一つの実口座に割り当てられた複数の仮想口座であって、前記複数の仮想口座それぞれには前記実口座の所有者とは異なる複数の利用者が割り当てられて
おり、前記利用者それぞれがあらかじめ申請して開設して前記利用者の雇用主に申告した仮想口座を管理する仮想口座管理装置と、
前記複数の仮想口座それぞれと紐づけられた電子マネーであって各仮想口座の利用者が利用する電子マネーを管理する電子マネー管理装置と、を備える振り込み管理システムであって、
前記仮想口座管理装置は、
前記複数の仮想口座のうちの一つの仮想口座を指定して前記実口座に振り込みがあったことを示す振り込み情報を前記電子マネー管理装置に通知する通知部を備え、
前記電子マネー管理装置は、
前記振り込み情報を前記仮想口座管理装置から受信する通信部と、
前記振り込み情報を受信することを契機として、
明示的な指示を受け付けることなく振り込み額に相当する額の電子マネーを前記指定された仮想口座に紐づけられている電子マネーの残高に加算して前記電子マネーの残高を記憶部に記憶させる残高管理部と、を備える、
振り込み管理システム。
【請求項2】
前記仮想口座管理装置が前記電子マネー管理装置に通知する前記振り込み情報は、指定された前記仮想口座の口座番号と、当該仮想口座の利用者の名義を示す情報と、振り込み額とを含む、
請求項1に記載の振り込み管理システム。
【請求項3】
前記電子マネー管理装置の前記残高管理部は、前記仮想口座から出金があることを契機として、出金額に応じた手数料を前記電子マネーの残高から減算して前記電子マネーの残高を記憶部に記憶させる、
請求項1又は2に記載の振り込み管理システム。
【請求項4】
振り込み先となる一つの実口座に割り当てられた複数の仮想口座
であって各仮想口座の利用者それぞれがあらかじめ申請して開設して前記利用者の雇用主に申告した仮想口座それぞれと紐づけられており、
前記利用者
それぞれが利用する電子マネーを管理する電子マネー管理装置であって、
前記複数の仮想口座が割り当てられた一つの実口座を管理する口座管理装置から、前記複数の仮想口座のうちの一つの仮想口座を指定して前記実口座に振り込みがあったことを示す振り込み情報を受信する通信部と、
前記振り込み情報を受信することを契機として、
明示的な指示を受け付けることなく振り込み額に相当する額の電子マネーを前記指定された仮想口座に紐づけられている電子マネーの残高に加算して前記電子マネーの残高を記憶部に記憶させる残高管理部と、を備える、
電子マネー管理装置。
【請求項5】
振り込み先となる一つの実口座に割り当てられた複数の仮想口座
であって各仮想口座の利用者それぞれがあらかじめ申請して開設して前記利用者の雇用主に申告した仮想口座それぞれと紐づけられており、
前記利用者
それぞれが利用する電子マネーを管理する電子マネー管理装置が、
前記複数の仮想口座が割り当てられた一つの実口座を管理する口座管理装置から、前記複数の仮想口座のうちの一つの仮想口座を指定して前記実口座に振り込みがあったことを示す振り込み情報を受信するステップと、
前記振り込み情報を受信することを契機として、
明示的な指示を受け付けることなく振り込み額に相当する額の電子マネーを前記指定された仮想口座に紐づけられている電子マネーの残高に加算して前記電子マネーの残高を記憶部に記憶させるステップと、を実行する、
電子マネー管理方法。
【請求項6】
振り込み先となる一つの実口座に割り当てられた複数の仮想口座
であって各仮想口座の利用者それぞれがあらかじめ申請して開設して前記利用者の雇用主に申告した仮想口座それぞれと紐づけられており、
前記利用者
それぞれ者が利用する電子マネーを管理するコンピュータに、
前記複数の仮想口座が割り当てられた一つの実口座を管理する口座管理装置から、前記複数の仮想口座のうちの一つの仮想口座を指定して前記実口座に振り込みがあったことを示す振り込み情報を受信する機能と、
前記振り込み情報を受信することを契機として、
明示的な指示を受け付けることなく振り込み額に相当する額の電子マネーを前記指定された仮想口座に紐づけられている電子マネーの残高に加算して前記電子マネーの残高を記憶部に記憶させる機能と、を実現させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振り込み管理システム、電子マネー管理装置、電子マネー管理方法、及びプログラムに関し、特に、仮想口座と電子マネーとを連携させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子マネーを用いた決済が広く用いられるようになってきている。例えば、特許文献1には、金融機関の口座を利用して貨幣端末に入金を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術は、金融機関の口座に入金する振り込み者と、電子マネーを利用する利用者とが同一であることを前提としている。このため、例えば電子マネーの利用者が従業員であり、口座に入金する振り込み者が従業員の雇用主である場合等、口座に入金する振り込み者と電子マネーの利用者とが異なる場合、振り込み者は利用者の端末に電子マネーを入金させることが困難となる。このため、電子マネーの入金処理には改善の余地があると考えられる。
【0005】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、電子マネーの入金処理を改善する提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、振り込み先となる一つの実口座に割り当てられた複数の仮想口座であって、前記複数の仮想口座それぞれには前記実口座の所有者とは異なる複数の利用者が割り当てられている仮想口座を管理する仮想口座管理装置と、前記複数の仮想口座それぞれと紐づけられた電子マネーであって各仮想口座の利用者が利用する電子マネーを管理する電子マネー管理装置と、を備える振り込み管理システムである。このシステムにおいて、前記仮想口座管理装置は、前記複数の仮想口座のうちの一つの仮想口座を指定して前記実口座に振り込みがあったことを示す振り込み情報を前記電子マネー管理装置に通知する通知部を備え、前記電子マネー管理装置は、前記振り込み情報を前記仮想口座管理装置から受信する通信部と、前記振り込み情報を受信することを契機として、振り込み額に相当する額の電子マネーを前記指定された仮想口座に紐づけられている電子マネーの残高に加算して前記電子マネーの残高を記憶部に記憶させる残高管理部と、を備える。
【0007】
前記仮想口座管理装置が前記電子マネー管理装置に通知する前記振り込み情報は、指定された前記仮想口座の口座番号と、当該仮想口座の利用者の名義を示す情報と、振り込み額とを含んでもよい。
【0008】
前記電子マネー管理装置の前記残高管理部は、前記仮想口座から出金があることを契機として、出金額に応じた手数料を前記電子マネーの残高から減算して前記電子マネーの残高を記憶部に記憶させてもよい。
【0009】
本発明の第2の態様は、振り込み先となる一つの実口座に割り当てられた複数の仮想口座それぞれと紐づけられており、各仮想口座の利用者が利用する電子マネーを管理する電子マネー管理装置である。この装置は、前記複数の仮想口座が割り当てられた一つの実口座を管理する口座管理装置から、前記複数の仮想口座のうちの一つの仮想口座を指定して前記実口座に振り込みがあったことを示す振り込み情報を受信する通信部と、前記振り込み情報を受信することを契機として、振り込み額に相当する額の電子マネーを前記指定された仮想口座に紐づけられている電子マネーの残高に加算して前記電子マネーの残高を記憶部に記憶させる残高管理部と、を備える。
【0010】
本発明の第3の態様は、電子マネー管理方法である。この方法において、振り込み先となる一つの実口座に割り当てられた複数の仮想口座それぞれと紐づけられており、各仮想口座の利用者が利用する電子マネーを管理する電子マネー管理装置が、前記複数の仮想口座が割り当てられた一つの実口座を管理する口座管理装置から、前記複数の仮想口座のうちの一つの仮想口座を指定して前記実口座に振り込みがあったことを示す振り込み情報を受信するステップと、前記振り込み情報を受信することを契機として、振り込み額に相当する額の電子マネーを前記指定された仮想口座に紐づけられている電子マネーの残高に加算して前記電子マネーの残高を記憶部に記憶させるステップと、を実行する。
【0011】
本発明の第4の態様は、プログラムである。このプログラムは、振り込み先となる一つの実口座に割り当てられた複数の仮想口座それぞれと紐づけられており、各仮想口座の利用者が利用する電子マネーを管理するコンピュータに、前記複数の仮想口座が割り当てられた一つの実口座を管理する口座管理装置から、前記複数の仮想口座のうちの一つの仮想口座を指定して前記実口座に振り込みがあったことを示す振り込み情報を受信する機能と、前記振り込み情報を受信することを契機として、振り込み額に相当する額の電子マネーを前記指定された仮想口座に紐づけられている電子マネーの残高に加算して前記電子マネーの残高を記憶部に記憶させる機能と、を実現させる。
【0012】
このプログラムを提供するため、あるいはプログラムの一部をアップデートするために、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供されてもよく、また、このプログラムが通信回線で伝送されてもよい。
【0013】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、データ構造、記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子マネーの入金処理を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る振り込み管理システムの概要を説明するための図である。
【
図2】実施の形態に係る仮想口座管理装置及び電子マネー管理装置それぞれの機能構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施の形態に係る管理データベースのデータ構造の一例を模式的に示す図である。
【
図4】実施の形態に係る振り込み管理システムにおいて実行される電子マネー管理処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施の形態の概要>
図1は、実施の形態に係る振り込み管理システムSの概要を説明するための図である。以下、
図1を参照して、実施の形態の概要を述べる。
【0017】
実施の形態に係る振り込み管理システムSは、一例として、日本国の国籍を持たない外国籍の従業員に対する賃金の支払いに用いられる。外国籍の従業員が銀行口座を開設するためには手続が煩雑であったり、場合によっては開設が困難であったりすることがある。一方、一つの銀行口座に紐づけられた1又は複数の仮想の口座(以下、「仮想口座V」という。)は、通常の銀行口座の開設と比較すると、外国籍の従業員(以下、単に「従業員U」と記載する。)であっても容易であることが多い。以下、本明細書において、仮想口座が紐づけられている銀行口座を「実口座R」と記載する。
【0018】
図1に示す例において、銀行Bは一つの実口座Rに紐づけて仮想口座Vのサービスを提供する銀行である。従業員Uは、あらかじめ銀行Bに申請して仮想口座Vを開設している。銀行Bが提供する仮想口座Vは、実口座Rと同様に、仮想口座Vを特定するための口座番号が発行される。なお、
図1では、煩雑なって不明瞭となることを防ぐため、1つの仮想口座Vにのみ符号を付している。電子マネーM及び従業員Uも同様である。
【0019】
実施の形態に係る振り込み管理システムSは、仮想口座管理装置1、電子マネー管理装置2、及び管理データベースDを含んでいる。仮想口座管理装置1は、振り込み先となる一つの実口座Rに割り当てられた複数の仮想口座Vを管理する装置であり、電子マネー管理装置2は、複数の仮想口座Vそれぞれと紐づけられた電子マネーMを管理する装置である。複数の仮想口座Vそれぞれには実口座Rの所有者とは異なる複数の利用者である従業員Uが割り当てられている。また、電子マネーMは、各仮想口座Vの利用者である従業員Uが利用する電子マネーである。管理データベースDは、仮想口座Vと電子マネーMとの対応づけ、電子マネーMの残高を管理するためのデータベースである。
【0020】
従業員Uは、あらかじめ雇用主に対して自身が開設した仮想口座Vの口座番号を申告している。雇用主は、実口座への振り込みと同様に、仮想口座Vの口座番号の口座番号を指定して従業員Uの給与を振り込む。
【0021】
仮想口座管理装置1は、いずれかの仮想口座Vに振り込みがあったことを検知すると、その旨を電子マネー管理装置2に通知する。電子マネー管理装置2は、仮想口座管理装置1の通知を受信することを契機として、従業員Uから明示的な操作を受け付けることなく、振り込み額に相当する額の電子マネーを仮想口座に紐づけられている電子マネーの残高に加算して管理する。これにより、従業員Uは、雇用主からの振り込みを電子マネーの形で即座に利用することが可能となる。また、雇用主は、通常の実口座への振り込みと同様に仮想口座Vの口座番号を指定して給与を支払えるため、既存の仕組みを変更することなく、従業員Uへの給与振り込みを処理することができる。
【0022】
<実施の形態に係る仮想口座管理装置1及び電子マネー管理装置2の機能構成>
図2は、実施の形態に係る仮想口座管理装置1及び電子マネー管理装置2それぞれの機能構成を模式的に示す図である。仮想口座管理装置1は、通信部10、記憶部11、及び制御部12を備える。また、電子マネー管理装置2は、通信部20、記憶部21、及び制御部22を備える。
【0023】
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示していないデータの流れがあってもよい。
図2において、各機能ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示す機能ブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。機能ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0024】
通信部10は、仮想口座管理装置1が電子マネー管理装置2等の外部の装置と通信するための通信インタフェースであり、例えば既知のLAN(Local Area Network)モジュール等で実現されている。以下、仮想口座管理装置1の各部が外部の装置と通信する場合、通信部10を介することを前提として通信部10の記載は省略することがある。
【0025】
記憶部11は、仮想口座管理装置1を実現するコンピュータのBIOS(Basic Input Output System)等を格納するROM(Read Only Memory)や仮想口座管理装置1の作業領域となるRAM(Random Access Memory)、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される種々の情報を格納するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の大容量記憶装置である。
【0026】
制御部12は、仮想口座管理装置1のCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することによって振り込み管理部120及び通知部121として機能する。
【0027】
通信部20は、電子マネー管理装置2が仮想口座管理装置1等の外部の装置と通信するための通信インタフェースであり、例えば既知のLANモジュール等で実現されている。以下、電子マネー管理装置2の各部が外部の装置と通信する場合、通信部20を介することを前提として通信部20の記載は省略することがある。
【0028】
記憶部21は、電子マネー管理装置2を実現するコンピュータのBIOS等を格納するROMや仮想口座管理装置1の作業領域となるRAM、OSやアプリケーションプログラム、当該アプリケーションプログラムの実行時に参照される管理データベースD等の種々の情報を格納するHDDやSSD等の大容量記憶装置である。制御部22は、電子マネー管理装置2のCPUやGPU等のプロセッサであり、記憶部21に記憶されたプログラムを実行することによって残高管理部220として機能する。
【0029】
なお、
図2は、仮想口座管理装置1及び電子マネー管理装置2それぞれが単一の装置で構成されている場合の例を示している。しかしながら、仮想口座管理装置1と電子マネー管理装置2との少なくともいずれか一方は、例えばクラウドコンピューティングシステムのように複数のプロセッサやメモリ等の計算リソースによって実現されてもよい。この場合、制御部12又は制御部22を構成する各部は、複数の異なるプロセッサの中の少なくともいずれかのプロセッサがプログラムを実行することによって実現される。
【0030】
仮想口座管理装置1の振り込み管理部120は、複数の従業員Uそれぞれに割り当てられている複数の仮想口座Vを管理する。具体的には、振り込み管理部120は、各仮想口座Vに対する振り込みの日時と額とを管理する。振り込み管理部120は、複数の仮想口座Vのうちの一つの仮想口座Vを指定して実口座Rに振り込みがあった場合、そのことを通知部121に通知する。仮想口座管理装置1の通知部121は、複数の仮想口座Vのうちの一つの仮想口座Vを指定して実口座Rに振り込みがあったことを示す振り込み情報を電子マネー管理装置2に通知する。
【0031】
電子マネー管理装置2の通信部20は、仮想口座管理装置1から振り込み情報を受信する。残高管理部220は、通信部20が振り込み情報を受信することを契機として、振り込み額に相当する額の電子マネーMを指定された仮想口座Vに紐づけられている電子マネーMの残高に加算して電子マネーMの残高を記憶部21中の管理データベースDに記憶させる。これにより、仮想口座Vに振り込みがあった場合に、従業員Uは特段の手続をすることなく、振り込み額に相当する額の電子マネーMを利用できるようになる。
【0032】
図3は、実施の形態に係る管理データベースDのデータ構造の一例を模式的に示す図である。管理データベースDは、電子マネー管理装置2の記憶部21に格納されており、残高管理部220によって管理されている。
【0033】
図3に示す管理データベースDの例では、管理データベースDは、仮想口座Vを特定するための仮想口座番号と、その仮想口座Vに紐づけられている電子マネーMを特定するための電子マネー識別子と、電子マネーMのユーザである従業員Uを特定するためのユーザ識別子と、電子マネーMの残高を管理するための明細情報とを、少なくとも対応づけて記憶している。
【0034】
実施の形態に係る振り込み管理システムSにおいて、仮想口座Vに振り込みを行う者(例えば、従業員Uの雇用主)は、仮想口座Vの口座番号と、その仮想口座Vを利用する従業員Uの名義とを指定して振り込むことができる。つまり、仮想口座Vに振り込みを行う者は、仮想口座Vに紐づけられている実口座Rの名義ではなく、仮想口座Vの実際の利用者の名義を指定して振り込みを実行できる。
【0035】
このため、仮想口座管理装置1が電子マネー管理装置2に通知する振り込み情報には、指定された仮想口座Vの口座番号と、その仮想口座Vの実際の利用者である従業員Uの名義を示す情報と、明細情報とを含む情報となっている。明細情報は、電子マネーMの入金又は出金があった日付と、入金額又は出金額、電子マネーMの残高を時系列的に記録している情報である。
【0036】
電子マネー管理装置2は、管理データベースDを参照することで、仮想口座Vに振り込みがあった場合にその仮想口座Vに紐づけられている電子マネーMを特定することができる。これにより、電子マネー管理装置2は、従業員Uからの指示を受けることなく、仮想口座Vに振り込まれた額に相当する額を電子マネーMに自動でチャージすることができる。
【0037】
実施の形態に係る振り込み管理システムSは、仮想口座Vに紐づけられている実口座Rの名義ではなく、仮想口座Vの実際の利用者である従業員Uの名義を指定しての振り込みを許容している。このため、仮想口座Vに振り込みを行う者は、仮想口座Vの口座番号だけでなく仮想口座Vの実際の利用者の名義を確認でき、誰に振り込みをするかを一見して把握できる。結果として、仮想口座Vに振り込みを行う者の利便性を向上でき、ひいては電子マネーMの入金処理を改善することができる。
【0038】
このように、仮想口座Vの利用者である従業員Uは、自身が開設した仮想口座Vに振り込みがあると、自ら明示的な手続をすることなく電子マネーMを利用できるようになる。電子マネーMは貨幣に準ずるものであるが、従業員Uは現金の利用を望む場合もあり得る。この場合、従業員Uは、振り込み管理システムSが提供する電子マネーサービスと提携している銀行のATM(Automatic Teller Machine)等から電子マネーMの残高の払い出しをすることができる。
【0039】
ここで、電子マネー管理装置2の残高管理部220は、仮想口座Vから出金があることを契機として、出金額に応じた手数料を電子マネーMの残高から減算して電子マネーの残高を記憶部21中の管理データベースDに記憶させてもよい。これにより、振り込み管理システムSの管理者は、電子マネーサービスの利用料として収益を得ることができる。
【0040】
<仮想口座管理装置1が実行する電子マネー管理方法の処理フロー>
図4は、実施の形態に係る振り込み管理システムSにおいて実行される電子マネー管理処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【0041】
従業員Uは、あらかじめ仮想口座Vの開設を仮想口座管理装置1に申請する(S2)。従業員Uからの申請を受け付け、電子マネー管理装置2は、従業員Uが用いる仮想口座Vを開設する(S4)。従業員Uは、雇用主に対して、開設した仮想口座Vの口座番号等を含む口座情報を通知する(S6)。
【0042】
従業員Uの雇用主は、従業員Uから通知された仮想口座Vを登録する(S8)。従業員Uの雇用主は、従業員Uに対して給与を振り込む場合、仮想口座Vの口座番頭と従業員Uの名義とを指定して入金する(S10)。
【0043】
仮想口座管理装置1は、仮想口座Vに入金があったことを仮想口座管理装置1に通知する(S12)。具体的には、仮想口座管理装置1は、仮想口座Vを指定して実口座Rに振り込みがあったことを示す振り込み情報を電子マネー管理装置2に通知する。電子マネー管理装置2は、仮想口座Vに入金があったことを示す振り込み情報を仮想口座管理装置1から受信する(S14)。
【0044】
電子マネー管理装置2の残高管理部220は、振り込み情報を受信することを契機として、振り込み額に相当する額の電子マネーMRを指定された仮想口座Vに紐づけられている電子マネーMの残高に加算して電子マネーMの残高を記憶部21中の管理データベースDに記録することにより、電子マネーMの残高を管理する(S16)。
【0045】
このように、電子マネーMの利用者とその電子マネーMに紐づけられている仮想口座Vに振り込みをする者とが異なる場合であっても、振り込み管理システムSが仲介することによって、電子マネーMの利用者が特段の手続をすることなく、すぐに電子マネーMを利用することができるようになる。結果として、振り込み管理システムSは、電子マネーMの入金処理を改善することができる。
【0046】
<実施の形態に係る振り込み管理システムSが奏する効果>
以上説明したように、実施の形態に係る振り込み管理システムSによれば、電子マネーMの入金処理を改善することができる。
【0047】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0048】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果をあわせ持つ。
【0049】
上記では、管理データベースDが電子マネー管理装置2の記憶部に格納されている場合について説明した。しかしながら、管理データベースDは、電子マネー管理装置2とは独立した記憶装置(不図示)に格納されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1・・・仮想口座管理装置
10・・・通信部
11・・・記憶部
12・・・制御部
120・・・振り込み管理部
121・・・通知部
2・・・電子マネー管理装置
20・・・通信部
21・・・記憶部
22・・・制御部
220・・・残高管理部
D・・・管理データベース
S・・・振り込み管理システム