(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】フッ素樹脂成形品
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20240129BHJP
B29C 43/20 20060101ALI20240129BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
B32B27/30 D
B29C43/20
C08J5/00 CEW
(21)【出願番号】P 2019171282
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000211156
【氏名又は名称】中興化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】川添 裕生
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-107283(JP,A)
【文献】特開2008-004762(JP,A)
【文献】特開2010-260216(JP,A)
【文献】特開平06-182791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0274912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
C08J 5/00-5/02,5/12-5/22
B29C 43/00-43/34,43/44-43/48,43/52-43/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板部と、
前記平板部の主面方向と交差する方向に延出する枠状の壁部とを有する容器構造を有し、
前記平板部は前記主面方向と交差する方向に前記平板部を貫通する貫通孔を有し、
導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂とを含む第1部
が前記平板部の外側主面と前記枠状の壁部の外周面とで露出し、
前記第1部と隣接し四フッ化エチレン樹脂からなる第2部
が前記平板部の内側主面と前記枠状の壁部の内周面とで露出する、フッ素樹脂成形品。
【請求項2】
前記導電性充填剤は、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、チタン酸カリウム、金属酸化物、銀粉末、銅粉末、鉄粉末、及びアルミニウム粉末からなる群より選択される1以上を含む、請求項1に記載のフッ素樹脂成形品。
【請求項3】
前記第1部における前記導電性充填剤の含有量は3質量%以上5質量%以下である、請求項1又は2に記載のフッ素樹脂成形品。
【請求項4】
前記主面方向と交差する方向への前記平板部の板厚が5mm以上であり、前記枠状の壁部の壁厚が5mm以上である、請求項
1乃至3の何れか1項に記載のフッ素樹脂成形品。
【請求項5】
前記主面方向と交差する方向への前記平板部における前記第1部の板厚が3mm以上であり、前記主面方向と交差する方向への前記平板部における前記第2部の板厚が2mm以上であり、前記枠状の壁部における前記第1部の壁厚が3mm以上であり、前記枠状の壁部における前記第2部の壁厚が2mm以上である、請求項
4に記載のフッ素樹脂成形品。
【請求項6】
導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂とを含む第1部と、
前記第1部と隣接し四フッ化エチレン樹脂からなる第2部とを含み、
前記第1部は、第1平板部と前記第1平板部の第1主面方向と交差する方向に延出する枠状の第1壁部とを有する第1容器からなり、
前記第1平板部は前記第1主面方向と交差する方向に前記第1平板部を貫通する第1貫通孔を有し、
前記第2部は、第2平板部と前記第2平板部の第2主面方向と交差する方向に延出する枠状の第2壁部とを有する第2容器からなり、
前記第2平板部は前記第2主面方向と交差する方向に前記第2平板部を貫通し前記第1貫通孔と連結する第2貫通孔を有し、
前記第1平板部の内側主面と前記第2平板部の外側主面とが密着しており、前記第1壁部の内周面と前記第2壁部の外周面とが密着している
、フッ素樹脂成形品。
【請求項7】
前記導電性充填剤は、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、チタン酸カリウム、金属酸化物、銀粉末、銅粉末、鉄粉末、及びアルミニウム粉末からなる群より選択される1以上を含む、請求項6に記載のフッ素樹脂成形品。
【請求項8】
前記第1部における前記導電性充填剤の含有量は3質量%以上5質量%以下である、請求項6又は7に記載のフッ素樹脂成形品。
【請求項9】
前記第1主面方向と交差する方向への前記第1平板部の板厚が3mm以上であり、前記第1壁部の壁厚が3mm以上であり、前記第2主面方向と交差する方向への前記第2平板部の板厚が2mm以上であり、前記第2壁部の壁厚が2mm以上である、請求項
6乃至8の何れか1項に記載のフッ素樹脂成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素樹脂成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
四フッ化エチレン樹脂(PTFE)のようなフッ素樹脂からなるフッ素樹脂一体槽は、アイソスタティック成形法で作製されている。アイソスタティック成形法として、例えば特許文献1に、ポリテトラフルオロエチレン粉末を1500kg/cm2~10000kg/cm2の高圧条件で等圧圧縮成形した後、この成形体を焼成することが記載されている。
【0003】
一方、フッ素樹脂一体槽をラバーバッグ成形法、すなわち、一面がゴム膜からなる成形金型にPTFEモールディングパウダーを充填した後、静水圧を成形圧力として加えることにより予備成形品を得た後、焼成し、冷却する方法により得ることが試みられている。その他、外金型と内金型との間にPTFEモールディングパウダーを充填した後、プレスで上下方向から加圧する方法により、フッ素樹脂一体槽を成形することも検討されている。
【0004】
PTFEモールディングパウダーを圧縮し焼成する成形品には、バージンの樹脂単体から成るもの、つまり無添加の樹脂成形品がある。また、バージンの樹脂に充填剤を混ぜ合わせて得られた成形品がある。充填剤を添加することにより成形品に所望の性質を付与できる一方で、成形品の用途に応じてバージンの樹脂から成る成形品が用いられることがある。例えば、半導体洗浄装置用の部品では、バージンのPTFEが用いられている。
【0005】
半導体ウェハ及びフォトマスク等の電子基板の洗浄には、超音波洗浄などの物理的な洗浄および薬液を用いた化学的な洗浄などを挙げることができる。化学的な洗浄は、物理的な洗浄と比較して電子基板への負荷が少なく、微細な塵を適切に処理し易い。それ故、電子基板を洗浄する際には、主に化学的な洗浄が行われている。
【0006】
薬液を用いた洗浄には、例えば、枚葉式洗浄装置が使用される。特許文献2には、ウェハを静止させるか又は低速回転させた状態で薬液をウェハ表面に滴下し、この初回の薬液滴下によるウェハ表面上での薬液の広がり方が不均一であることを確認してから、薬液が広がっていない位置に薬液を再滴下することにより、薬液を均一に塗布する方法が記載されている。
【0007】
枚葉式洗浄装置においてウェハ上に滴下された薬液は、ウェハの回転により生じる遠心力でウェハ上に広がる。余剰の薬液はウェハの縁から飛ばされる。飛ばされた薬液は、装置が備えているカップの内壁面に当たった後、排液される。カップは、例えば、PTFE成形品であり得る。カップの内壁に当たった薬液がウェハ上に跳ね返ることがあるため、充填剤を含んだ成形品から成るカップを用いると充填剤がウェハ上に不純物として残留してしまうことがある。不純物が残留したウェハは、要求される性能を満たさないため、不良品になる可能性がある。
【0008】
このように設備や部品に高いクリーン度が要求される半導体洗浄装置では、特に接液部おいて金属イオンの溶出およびコンタミネーション等によるウェハの汚染が問題となる為、充填剤入りのPTFEは基本的には使用不可である。しかしながら、バージンPTFEは静電気を帯びやすい。そのため、注意を払っていても、空気中の塵、埃、及びゴミ等が帯電したPTFEの表面に付着してしまい、ウェハの汚染につながる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平6-182791号公報
【文献】特開2003-45768号公報
【文献】特開昭62-108520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
不純物汚染が少ないフッ素樹脂成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、平板部と、平板部の主面方向と交差する方向に延出する枠状の壁部とを有する容器構造を有する、フッ素樹脂成形品が提供される。平板部は主面方向と交差する方向に平板部を貫通する貫通孔を有する。導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂とを含む第1部が、平板部の外側主面と枠状の壁部の外周面とで露出する。第1部と隣接し四フッ化エチレン樹脂からなる第2部が、平板部の内側主面と枠状の壁部の内周面とで露出する。
また、本発明によれば、第1部と第2部とを含む、フッ素樹脂成形品が提供される。第1部は導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂とを含む。第2部は、第1部と隣接する。第2部は、四フッ化エチレン樹脂からなる。第1部は、第1平板部と第1平板部の第1主面方向と交差する方向に延出する枠状の第1壁部とを有する第1容器からなる。第1平板部は、第1主面方向と交差する方向に第1平板部を貫通する第1貫通孔を有する。第2部は、第2平板部と第2平板部の第2主面方向と交差する方向に延出する枠状の第2壁部とを有する第2容器からなる。第2平板部は第2主面方向と交差する方向に第2平板部を貫通し第1貫通孔と連結する第2貫通孔を有する。第1平板部の内側主面と第2平板部の外側主面とが密着しており、第1壁部の内周面と前記第2壁部の外周面とが密着している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、不純物汚染が少ないフッ素樹脂成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るフッ素樹脂成形品の一例を概略的に示す平面図。
【
図2】
図1に示すフッ素樹脂成形品をII-II’線に沿って切断した断面図。
【
図3】
図1に示す例のフッ素樹脂成形品の使用を表す概略断面図。
【
図4】実施形態に係るフッ素樹脂成形品の他の例を示す概略断面図。
【
図5】実施形態に係るフッ素樹脂成形品の製造方法における一工程を示す概略断面図。
【
図6】実施形態に係るフッ素樹脂成形品の製造方法における一工程を示す概略断面図。
【
図7】実施形態に係るフッ素樹脂成形品の製造方法における一工程を示す概略断面図。
【
図8】
図7に示すVIII-VIII’線に沿って切断した断面図。
【
図9】実施形態に係るフッ素樹脂成形品の製造方法における一工程を示す概略断面図。
【
図10】
図9に示すX-X’線に沿って切断した断面図。
【
図11】実施形態に係るフッ素樹脂成形品の製造方法における一工程を示す概略断面図。
【
図12】実施形態に係るフッ素樹脂成形品の製造方法における一工程を示す概略断面図。
【
図13】実施形態に係るフッ素樹脂成形品を製造する際に得られる未加工成形品を示す概略断面図。
【
図14】
図13に示す未加工成形品の切削加工を表す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
【0015】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、フッ素樹脂成形品に係る。第1の実施形態に係るフッ素樹脂成形品は、導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂とを含む第1部を含んでいる。このフッ素樹脂成形品は、第1部に隣接し四フッ化エチレン樹脂からなる第2部をさらに含む。
【0016】
上記フッ素樹脂成形品は第1部に導電性充填剤を含んでいるため、単体の四フッ化エチレン樹脂から成る成形品、即ちバージンPTFE単体から成る成形品と比較して帯電しにくい。そのため、空気中の塵、埃、及びゴミ等といった不純物がフッ素樹脂成形品に付着しにくい。つまり第1部は、抗塵性能を示すといえる。第2部は、クリーンな環境では不純物となり得る充填剤を含んでいない。つまり第2部は、非汚染性(nonpolluting)の部材であるといえる。従って、高度なクリーン性が要求される用途にフッ素樹脂成形品を好適に用いることができる。
【0017】
第1部に含むことができる導電性充填剤は、例えば、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、チタン酸カリウム、金属酸化物、銀粉末、銅粉末、鉄粉末、及びアルミニウム粉末からなる群より選択される1以上を含むことができる。第1部における導電性充填剤の含有量は、例えば、3質量%以上5質量%以下であり得る。ここでいう導電性充填剤の含有量は、第1部の総質量に対する質量割合を示す。
【0018】
フッ素樹脂成形品は、例えば、容器(vessel)構造を有し得る。具体的には、平板部と枠状の壁部とを有する容器構造を挙げることができる。一例の容器構造では、枠状の壁部は平板部の主面方向と交差する方向に延出する。第1部は、平板部の外側主面と枠状の壁部の外周面とで露出し得る。そして第2部は、平板部の内側主面と枠状の壁部の内周面とで露出する。つまり、容器の外側に第1部が配置されているとともに、容器の内側に第2部が配置されている。
【0019】
上記容器構造を有するフッ素樹脂成形品では、外側の第1部の抗塵性能により塵等の不純物が付着しにくい。その一方で、内側の第2部は充填剤等の添加物を含んでいないため、容器の内側では充填剤により汚染されない。従って、高度なクリーン性が要求される用途にフッ素樹脂成形品を好適に用いることができる。
【0020】
フッ素樹脂成形品は、例えば、第1部が第1容器からなり、第2部が第2容器からなる、2層積層構造の容器であり得る。一例の第1容器は、第1平板部と第1平板部の第1主面方向と交差する方向に延出する枠状の第1壁部とを有する。一例の第2容器は、第2平板部と第2平板部の第2主面方向と交差する方向に延出する枠状の第2壁部とを有する。第1平板部の内側主面と第2平板部の外側主面とが密着している。そして第1壁部の内周面と第2壁部の外周面とが密着している。第1主面方向と第2主面方向とは、互いに平行であり得る。つまり容器構造の第1部と容器構造の第2部とが重なっており、第1部および第2部がそれぞれ容器の外側と内側に配置されている。
【0021】
その他、フッ素樹脂成形品は、例えば、シート状の構造を有し得る。シートの一方の主面に第1部が位置し、その裏側にある他方の主面に第2部が位置し得る。具体例として、シート形状の第1部とシート形状の第2部とが積層された積層体を挙げることができる。
【0022】
フッ素樹脂成形品の各部位にて、総厚みが5mm以上であることが望ましい。十分な厚みを有することで、機械的強度を保持できる。上記容器構造でいうと、主面方向と交差する平板部の板厚が5mm以上であるとともに、枠状の壁部の壁厚が5mm以上であることが望ましい。2層積層構造の容器でいうと、第1主面方向と交差する方向への第1平板部の板厚と第2主面方向と交差する方向への第2平板部の板厚との合計の厚みが5mm以上であるとともに、第1壁部の壁厚と第2壁部の壁厚との合計の厚みが5mm以上であることが望ましい。シート状の構造では、シートの主面と交差する方向への厚みが5mm以上であることが望ましい。ここでいう厚みは、第1部と第2部との積層方向への厚みであり得る。フッ素樹脂成形品の各部位における総厚みは、例えば、20mm以下であり得る。総厚みが20mm以下であると、重量やコストの増加を抑えられる。
【0023】
フッ素樹脂成形品の各部位において、第1部の厚みが3mm以上であることが望ましい。第1部を厚くすることで、抗塵性能を確保できる。上記容器構造でいうと、主面方向と交差する方向への平板部における第1部の板厚が3mm以上以下であるとともに、枠状の壁部における第1部の壁厚が3mm以上であることが望ましい。2層積層構造の容器でいうと、第1主面方向と交差する方向への第1平板部の板厚が3mm以上であるとともに、第1壁部の壁厚が3mm以上であることが望ましい。シート状の構造では、シートの主面と交差する方向への第1部の厚みが3mm以上であることが望ましい。ここでいう厚みは、第1部と第2部との積層方向への厚みであり得る。フッ素樹脂成形品の各部位における第1部の厚みは、例えば、15mm以下であり得る。
【0024】
フッ素樹脂成形品の各部位において、第2部の厚みが2mm以上であることが望ましい。第2部を厚くすることで、充填剤による汚染を低減できる。上記容器構造でいうと、主面方向と交差する方向への平板部における第2部の板厚が2mm以上であるとともに、枠状の壁部における第2部の壁厚が2mm以上であることが望ましい。2層積層構造の容器でいうと、第2主面方向と交差する方向への第2平板部の板厚が2mm以上であるとともに、第2壁部の壁厚が2mm以上であることが望ましい。シート状の構造では、シートの主面と交差する方向への第2部の厚みが2mm以上であることが望ましい。ここでいう厚みは、第1部と第2部との積層方向への厚みであり得る。フッ素樹脂成形品の各部位における第2部の厚みは、例えば、15mm以下であり得る。
【0025】
フッ素樹脂製品の具体的な用途として、例えば、枚葉式の半導体洗浄装置用のカップを挙げることができる。
図1-
図4を参照して、フッ素樹脂製品の具体的な形態として、枚葉式洗浄装置に用いられるカップとしての態様を説明する。
【0026】
図1は、実施形態に係るフッ素樹脂成形品の一例を概略的に示す平面図である。
図2は、
図1に示すフッ素樹脂成形品をII-II’線に沿って切断した断面図である。
図3は、
図1に示す例のフッ素樹脂成形品の使用を表す概略断面図である。
図4は、実施形態に係るフッ素樹脂成形品の他の例を示す概略断面図である。
【0027】
図1及び
図2に示すカップ1は、第1円盤部11及び第1壁部12からなる第1カップ10と第2円盤部21及び第2壁部22からなる第2カップ20とを含む。第1カップ10は、導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂とから成る。第2カップ20は、四フッ化エチレン樹脂から成る。第2カップ20は、充填剤や他の添加物を含まない。つまりこのカップ構造を有するフッ素樹脂成形品では、第1カップ10は第1部に該当し、第2カップ20は第2部に該当する。
【0028】
第1壁部12は、第1円盤部11の第1主面方向と交差する方向に延出する円環状の枠の形状を有する。第2壁部22は、第2円盤部21の第2主面方向と交差する方向に延出する円環状の枠の形状を有する。第1円盤部11の第1主面方向と第1壁部12の延出方向とが交差する位置は、第1円盤部11の外周の縁に沿い得る。同様に、第2円盤部21の第2主面方向と第2壁部22の延出方向とが交差する位置は、第2円盤部21の外周の縁に沿い得る。
【0029】
第1カップ10の寸法と比較して第2カップ20の寸法が小さく、第1カップ10の内側に第2カップ20が収まっている。第1円盤部11と第2円盤部21とがそれぞれの平面方向と交差する方向に積層されて、2層構造の円盤部を形成している。第1壁部12の内壁に沿って第2壁部22が設けられるように第1壁部12と第2壁部22とが積層されて、2層構造の円環状壁部を形成している。つまり、図示する例のフッ素樹脂成形品は、第1カップ10と第2カップ20とが重なっている2層構造のカップ1である。
【0030】
図2に示す平面状接面4は、第1円盤部11の内側盤面と第2円盤部21の外側盤面とが密着している部分を表す。円環状接面7は、第1壁部12の内周面と第2壁部22の外周面とが密着している部分を表す。第1カップ10と第2カップ20との間には隙間がなく、平面状接面4及び円環状接面7を境界に第1カップ10と第2カップ20とは一体化されている。第1壁部12が形作る円環の内周の直径と第2壁部22が形作る円環の外周の直径は、等しくあり得る。
【0031】
第1円盤部11及び第2円盤部21は、それぞれ第1貫通孔13及び第2貫通孔23を有する。第1貫通孔13は、第1主面と交差する方向に第1円盤部11を貫通する。第2貫通孔23は、第2主面と交差する方向に第2円盤部21を貫通する。第1貫通孔13と第2貫通孔23とは連結されており、連結された第1貫通孔13と第2貫通孔23とから成る貫通孔33が2層構造の円盤部を積層方向へ貫通している。
【0032】
カップ1では、第1カップ10からなる第1部がカップ形状の容器構造の外側に位置し、第2カップ20からなる第2部がカップ形状の容器構造の内側に位置する。そのため、カップ1の外側盤面2と円環状の壁部の外周面5とで、導電性充填剤を含んだ第1部が露出する。そしてカップ1の内側盤面3と円環状の壁部の内周面6とで無添加の四フッ化エチレン樹脂から成る第2部が露出する。
【0033】
図3を参照しながら、カップ1の用途の一例を説明する。具体的には、洗浄装置におけるカップ1の使用を説明する。
【0034】
図3に示す洗浄装置は、例えば、治具40と、カップ1とを備える。洗浄装置は、洗浄液供給ノズル(図示していない)を更に備えていてもよい。洗浄液供給ノズルは、被洗浄物を洗浄するための薬液を供給することができる。カップ1は、例えば、
図1及び
図2を参照して説明したカップ1であり得る。
【0035】
治具40は、回転軸43に沿って伸びた支持部41、及び、被洗浄物99を固定することが可能であり且つ上記支持部41と共に回転可能な固定面42を備え得る。支持部41は、例えば、回転軸43を軸として回転することができ得る。支持部41は、例えば、3000rpm以下の回転数で回転する。支持部41の形状は、例えば、回転軸43を軸とした軸対称形状を有し得る。軸対称形状とは、軸を中心に、円周方向には形状が変化せず、中心軸からの距離のみに依存して形状が変化する形状を意味する。支持部41の形状の例として、円柱又は角柱などの柱体形状、及び、錐台形状などを挙げることができる。
【0036】
図3に示す治具40は、回転台44を備える。回転台44は、被洗浄物99を固定することが可能な固定面42を備える。治具40は、回転台44を備えていなくてもよい。この場合、支持部41が固定面42を備える。
【0037】
治具40が回転台44を備えている場合、回転台44は、支持部41の回転軸方向の端部と連結している。それ故、回転台44は、支持部41と共に回転することができる。回転台44の形状も、支持部41の形状と同様に、回転軸43を軸とした軸対称形状であり得る。
【0038】
図3では一例として、支持部41及び回転台44が何れも円柱形状である場合を描いている。回転台44は、2つの円形の底面を有している。これら2つの底面のうち、一方の底面は支持部41と連結されている。他方の底面は固定面42である。
【0039】
固定面42は、例えば、真空吸着などで被洗浄物99を固定することができる。固定面42は、回転軸43と垂直に交わっていることが好ましい。この場合、回転軸43を軸として治具40を回転させながら被洗浄物99を洗浄する際に、被洗浄物99に滴下する薬液が、被洗浄物99の主面上に均一に広がり易くなる。その結果、被洗浄物99を均一に洗浄することができる。
【0040】
被洗浄物99は、例えば、主面が円形の半導体ウェハである。被洗浄物99は、固定面42に固定することができるものであれば特に限定されない。
【0041】
カップ1は、治具40から離間した位置に配置されている。カップ1は、治具40を取り囲む円環状の壁部を有したカップである。カップ1が有する円環状の壁部は、先に説明した第1カップ10の第1壁部12と第2カップ20の第2壁部22とを含む。カップ1は、先に説明した第1円盤部11と第2円盤部21とを含む円盤部をさらに含む。カップ1の内面側の円盤部の主面、つまり第2円盤部21の主面でもある内側盤面3は、固定面42と向き合っている。円盤部は、省略してもよい。
【0042】
円盤部は、その一方の主面から他方の主面まで貫通した貫通孔33を備える。貫通孔33は、例えば、被洗浄物99上に薬液を供給するために使用される。
【0043】
カップ1のうち治具40及び被洗浄物99へ向かって面する内側盤面3と内周面6とは、バージンPTFEからなる第2部である第2カップ20の内面に対応する。そのため、洗浄中に薬液がカップ1の内面から被洗浄物99へ跳ね返っても、充填剤が不純物として残留する心配がない。それと同時に、カップ1の外側の部分に対応する導電性充填剤を含む第1部である第1カップ10は抗塵性能を示し、カップ1への塵および埃などのゴミの付着が低減されている。従って、被洗浄物99の不純物汚染を少なくできる。
【0044】
カップ1の形状は、
図1-
図3に示したものに限られない。例えば、カップ1の内壁に角度勾配を設けてもよい。又は、カップ1の内壁をブラスト処理することにより表面粗さを高めてもよい。これらの手段により、被洗浄物への薬液の跳ね返りを低減することができる。そのため、カップ1の材料の充填剤以外に起因する不純物による汚染を減少させることができ、洗浄における不純物汚染を総合的に少なくできる。
図4示す例の成形品は、カップ1の内壁に角度勾配を設けた変形例である。
【0045】
図4に示すカップ1では、第1カップ10は第1円盤部11と第1壁部12との間を連絡する第1勾配部14をさらに含む。第2カップ20は、第2円盤部21と第2壁部22との間を連絡する第2勾配部24をさらに含む。第1勾配部14により外側勾配面8が形成されており、第2勾配部24により内側勾配面9が形成されている。第1勾配部14は、省略してもよい。内側勾配面9の傾斜を適切に設定することで、被洗浄物から飛散した薬液を内側勾配面9にあたった時に重力方向に跳ね返させることができる。その結果、被洗浄物に跳ね返る薬液の量を低減することができる。
【0046】
カップ1の内壁の少なくとも一部をブラスト処理して表面粗さを高めると、次の理由から被洗浄物への薬液の跳ね返りを低減できる。表面粗さを高くした面に薬液が当たると、この薬液は、薬液の入射角に対応した反射角で跳ね返る可能性が低い。例えば、ブラスト処理した内壁に当たった薬液は、複数の小さな液滴に分裂し、それぞれの液滴が様々な角度で跳ね返る。その結果、被洗浄物に跳ね返る薬液の量を低減することができる。
【0047】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第1の実施形態に係るフッ素樹脂成形品の製造方法に係る。
【0048】
一例の製造方法は、例えば、筒形の外金型内の下部に導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂粒子とを含む第1原料粉末を充填する工程と、外金型内の下部に充填した第1原料粉末の上に枠形状の内金型を載置する工程と、外金型の側面と内金型の側面との間に第1原料粉末をさらに充填する工程と、内金型の内側に四フッ化エチレン樹脂粒子からなる第2原料粉末を充填する工程と、内金型を除く工程と、外金型内に充填された第1原料粉末と第2原料粉末とにプレス成形を施して予備成形品を得て焼成することで未加工成形品を得る工程と、未加工成形品に切削加工を施す工程とを含む。
【0049】
第1原料粉末は、導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂粒子とを含む。導電性充填剤としては、第1の実施形態にて説明した第1部に含むことができる導電性充填剤を用いることができる。第1原料粉末における導電性充填剤の含有量は、例えば、3質量%以上5質量%以下であり得る。ここでいう導電性充填剤の含有量は、第1原料粉末の総質量に対する質量割合を示す。四フッ化エチレン樹脂粒子に導電性充填剤を混合した混合材料を、第1原料粉末に用いてもよい。或いは、造粒により四フッ化エチレン樹脂と導電性充填剤との複合粒子を得て、この複合粒子を第1原料粉末に用いてもよい。
【0050】
第2原料粉末は、四フッ化エチレン樹脂粒子からなる。つまり第2原料粉末は、四フッ化エチレン樹脂の粒子のみを含んだバージンPTFE粉末である。第2原料粉末には、添加物を含ませない。
【0051】
四フッ化エチレン樹脂粒子には、例えば、PTFEモールディングパウダーを使用することができる。ここで、モールディングパウダーとは、懸濁重合で得られた原料粉末を意味する。モールディングパウダーは、いったん数十μm~数百μmの大きさに粉砕され、続いて成形用途に応じ、粒状化{造粒(pelletizing)}、微粉化(finecutting)、前加熱(presintering)などの処理が施されたものである。また、granular resinとも言われる。
【0052】
第1原料粉末および第2原料粉末にそれぞれ用いる四フッ化エチレン樹脂粒子の粒径は、例えば、200μm以上500μm以下であり得る。第1原料粉末に含まれている四フッ化エチレン樹脂粒子の粒径と第2原料粉末に用いる四フッ化エチレン樹脂粒子の粒径とは、同等であってもよく、或いは、異なっていてもよい。第1原料粉末と第2原料粉末との間で、四フッ化エチレン樹脂粒子の粒径が一致していることが望ましい。
【0053】
図5-
図14を参照しながら、製造方法の具体例を説明する。
【0054】
図5-
図7、
図9、
図11、及び
図12は、それぞれ実施形態に係るフッ素樹脂成形品の製造方法における一工程を示す概略断面図である。
図8は、
図7に示すVIII-VIII’線に沿って切断した断面図である。
図10は、
図9に示すX-X’線に沿って切断した断面図である。
図13は、実施形態に係るフッ素樹脂成形品を製造する際に得られる未加工成形品を示す概略断面図である。
図14は、
図13に示す未加工成形品の切削加工を表す概略断面図である。
【0055】
図5は、外金型内の下部に導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂粒子とを含む第1原料粉末を充填する工程を示す。
図5に示すように、枠状の外金型52は、支持板51の上に載置されている。外金型52は、例えば、金属製の円筒であり得る。支持板51は、例えば、金属板であり得る。外金型52の内側の下部に第1原料粉末61を所望の高さまで充填する。ここで、充填した第1原料粉末61の表面を平坦にすることが望ましい。第1原料粉末61の粒径が小さい方が平坦に充填しやすい。
【0056】
図6は、外金型内の下部に充填した第1原料粉末の上に枠形状の内金型を載置する工程を示す。
図6に示すとおり、外金型52の中に充填した第1原料粉末61の上に枠状の内金型53を載置する。内金型53は、例えば、金属製の円筒であり得る。内金型53が倒れないよう安定させるために、内金型53の下部が第1原料粉末61に部分的にくい込んでも構わない。
【0057】
図7及び
図8は、外金型の側面と内金型の側面との間に第1原料粉末をさらに充填する工程を示す。外金型52の下部に充填した第1原料粉末61aの上部の空間のうち、外金型52の側面と内金型53の側面との間に挟まれた部分に追加の第1原料粉末61bを所望の高さまで充填する。内金型53の内側には追加の第1原料粉末61bを充填しない。下部に充填した第1原料粉末61aと外金型52と内金型53との間に充填する追加の第1原料粉末61bとが同一のものであることが望ましい。以降、第1原料粉末61aと追加の第1原料粉末61bとを区別せず、単に“第1原料粉末61”と呼ぶ。
【0058】
図9及び
図10は、内金型の内側に無添加の四フッ化エチレン樹脂粒子からなる第2原料粉末を充填する工程を示す。内金型53の側面に囲まれた内側にバージンPTFE粒子からなる第2原料粉末62を所望の高さまで充填する。例えば、第1原料粉末61を外金型52と内金型53との間に充填した高さと第2原料粉末62を内金型53の内側に充填する高さとは、一致し得る。第2原料粉末62は、第1原料粉末61の一部の上に積み重ねられる。
【0059】
図11及び
図12は、内金型を除く工程および外金型内に充填された第1原料粉末と第2原料粉末とにプレス成形を施して予備成形品を得て焼成することで未加工成形品を得る工程を示す。
図11に示すとおり間を仕切っていた内金型53を取り除いても、それぞれの原料粉末は、内金型53を取り除く前と取り除いた後とで凡そ同じ分布を維持する。
【0060】
内金型53を取り除いた後、外金型52内のそれぞれの原料粉末の上にプレス盤54を載せる。プレス盤54を用いて所定の圧力で第1原料粉末61及び第2原料粉末62を加圧する。
図12に示すとおり加圧後の予備成形品においても、第2原料粉末62は中央の上部の分布を維持し、第1原料粉末61は残部に分布する。
【0061】
得られた予備成形品を焼成して未加工成形品を得る。予備成形品の焼成温度は、特に限定されるものではない。例えば、PTFEの未焼成ポリマーの融点340℃以上の温度で焼成する。好ましい焼成温度は、360℃以上380℃以下である。
【0062】
第1原料粉末61及び第2原料粉末62は、何れも主に四フッ化エチレン樹脂粒子から構成されているため、互いに親和性が高い。そのため、予備成形品を焼成することで、第1原料粉末61と第2原料粉末62とが溶融し、一体化した未加工成形品が得られる。
【0063】
図13及び
図14は、未加工成形品に切削加工を施す工程を示す。予備成形品により得られた未加工成形品70は、第1部71と第2部72とを含む。第1部71には、導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂とが含まれている。つまり第1部71は、導電性充填剤を含有する四フッ化エチレン樹脂から成る。第2部72は、無添加の四フッ化エチレン樹脂から成る。未加工成形品70に対し切削加工を施し、所望の形状のフッ化エチレン樹脂成形品を得ることができる。例えば、
図14に示す破線73で示すように、
図1で示したカップ1の形状の成形品を削り出すことができる。
【0064】
上記方法では、第1部の原料である第1原料粉末と第2部の原料である第2原料粉末とを粉末の状態で共に充填して焼成した一体成形品が得られる。一体成形であるため、個別に製造した第1部と第2部との溶接結合が不要になる。また、個別に製造した部材同士を溶接結合するときに発生し得る歪みが生じない。
【0065】
第1の実施形態に係るフッ素樹脂成形品を製造する方法は、上記例に限られない。例えば、円盤部を省略した半導体洗浄装置用カップを製造する場合は、内金型を載置する前に外金型に第1原料粉末を充填する工程を省略する他の例の製造方法を採用してもよい。
【0066】
実施形態に係る製造方法の他の例は、例えば、筒形の外金型の側面と外金型の中に載置した枠形状の内金型の側面との間に上記第1原料粉末を充填する工程と、内金型の内側に上記第2原料粉末を充填する工程と、内金型を除く工程と、外金型内に充填された第1原料粉末と第2原料粉末とにプレス成形を施して予備成形品を得て焼成することで未加工成形品を得る工程と、未加工成形品に切削加工を施す工程とを含む。
【0067】
例えば、第1原料粉末を外金型に充填する前に、支持板の上に内金型を直接載置できる。外金型と内金型との間に第1原料粉末を充填し、内金型の内側に第2原料粉末を充填し、続いてプレス成形および焼成することで、例えば、第2部からなる芯部とこの芯部の外側に位置する第1部とを有する円柱形状の未加工成形品を得ることができる。所望の形状に切削加工を行うことで、フッ素樹脂成形品が得られる。
【0068】
以上説明した実施形態によれば、導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂とを含む第1部と、四フッ化エチレン樹脂からなり第1部と隣接する第2部とを含む、フッ素樹脂成形品が提供される。このフッ素樹脂成形品は、不純物汚染を少なくできる。
【0069】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲を付記する。
[1] 導電性充填剤と四フッ化エチレン樹脂とを含む第1部と、
前記第1部と隣接し四フッ化エチレン樹脂からなる第2部とを含む、フッ素樹脂成形品。
[2] 前記導電性充填剤は、黒鉛、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、チタン酸カリウム、金属酸化物、銀粉末、銅粉末、鉄粉末、及びアルミニウム粉末からなる群より選択される1以上を含む、[1]に記載のフッ素樹脂成形品。
[3] 前記第1部における前記導電性充填剤の含有量は3質量%以上5質量%以下である、[1]又は[2]に記載のフッ素樹脂成形品。
[4] 平板部と、
前記平板部の主面方向と交差する方向に延出する枠状の壁部とを有する容器構造を有し、
前記平板部の外側主面と前記枠状の壁部の外周面とで前記第1部が露出し、前記平板部の内側主面と前記枠状の壁部の内周面とで前記第2部が露出する、[1]乃至[3]の何れか1つに記載のフッ素樹脂成形品。
[5] 前記主面方向と交差する方向への前記平板部の板厚が5mm以上であり、前記枠状の壁部の壁厚が5mm以上である、[4]に記載のフッ素樹脂成形品。
[6] 前記主面方向と交差する方向への前記平板部における前記第1部の板厚が3mm以上であり、前記主面方向と交差する方向への前記平板部における前記第2部の板厚が2mm以上であり、前記枠状の壁部における前記第1部の壁厚が3mm以上であり、前記枠状の壁部における前記第2部の壁厚が2mm以上である、[5]に記載のフッ素樹脂成形品。
[7] 前記第1部は、第1平板部と前記第1平板部の第1主面方向と交差する方向に延出する枠状の第1壁部とを有する第1容器からなり、
前記第2部は、第2平板部と前記第2平板部の第2主面方向と交差する方向に延出する枠状の第2壁部とを有する第2容器からなり、
前記第1平板部の内側主面と前記第2平板部の外側主面とが密着しており、前記第1壁部の内周面と前記第2壁部の外周面とが密着している、[1]乃至[3]の何れか1つに記載のフッ素樹脂成形品。
[8] 前記第1主面方向と交差する方向への前記第1平板部の板厚が3mm以上であり、前記第1壁部の壁厚が3mm以上であり、前記第2主面方向と交差する方向への前記第2平板部の板厚が2mm以上であり、前記第2壁部の壁厚が2mm以上である、[7]に記載のフッ素樹脂成形品。
【符号の説明】
【0070】
1…カップ、2…外側盤面、3…内側盤面、4…平面状接面、5…外周面、6…内周面、7…円環状接面、8…外側勾配面、9…内側勾配面、10…第1カップ、11…第1円盤部、12…第1壁部、13…第1貫通孔、14…第1勾配部、20…第2カップ、21…第2円盤部、22…第2壁部、23…第2貫通孔、24…第2勾配部、33…貫通孔、40…治具、41…支持部、42…固定面、43…回転軸、44…回転台、51…支持板、52…外金型、53…内金型、54…プレス盤、61…第1原料粉末、61a…第1原料粉末、61b…第1原料粉末、62…第2原料粉末、70…未加工成形品、71…第1部、72…第2部、73…破線、99…被洗浄物。