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特許7427220荷重検知装置、金属製アンカー、ネットワークシステム、アンカーシステム、および荷重検知装置の制御方法
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  • 特許-荷重検知装置、金属製アンカー、ネットワークシステム、アンカーシステム、および荷重検知装置の制御方法 図14
  • 特許-荷重検知装置、金属製アンカー、ネットワークシステム、アンカーシステム、および荷重検知装置の制御方法 図15
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】荷重検知装置、金属製アンカー、ネットワークシステム、アンカーシステム、および荷重検知装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/00 20060101AFI20240129BHJP
   E02D 5/76 20060101ALI20240129BHJP
   E21D 20/00 20060101ALI20240129BHJP
   F16B 31/02 20060101ALI20240129BHJP
   F16B 13/08 20060101ALI20240129BHJP
   E04B 1/41 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G01L5/00 103B
E02D5/76 ESW
E21D20/00 A
F16B31/02 F
F16B13/08 D
E04B1/41 503Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019214989
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021085763
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】506162828
【氏名又は名称】FSテクニカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 正吾
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-004798(JP,A)
【文献】特開2004-044313(JP,A)
【文献】特開2008-058321(JP,A)
【文献】特開2015-113615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/00-5/28
E02D 5/22-5/80
E02D 33/00
E21D 20/00
F16B 31/02
F16B 13/08
E04B 1/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端から先端に向かう軸方向に穿孔した遊嵌孔を有し、基端部において固定対象物が支持固定されるアンカーボルトと、前記遊嵌孔に遊嵌されると共に、前記遊嵌孔の奥部において先端部を前記アンカーボルトに固定されたロッド状部材と、を備え、前記固定対象物を支持固定するためにコンクリート躯体に定着される金属製アンカーの、前記ロッド状部材の基端部に、外部側から前記アンカーボルトの基端部に当接した状態で設けられる荷重検知装置であって、
前記アンカーボルトの軸方向に作用する荷重を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づく情報を、情報出力装置に出力する出力部と、を備えることを特徴とする荷重検知装置。
【請求項2】
固定対象物を支持固定するために、コンクリート躯体に定着される金属製アンカーであって、
基端から先端に向かう軸方向に穿孔した遊嵌孔を有し、基端部において前記固定対象物が支持固定されるアンカーボルトと、
前記遊嵌孔に遊嵌されると共に、前記遊嵌孔の奥部において先端部を前記アンカーボルトに固定されたロッド状部材と、
前記ロッド状部材の基端部に、外部側から前記アンカーボルトの基端部に当接した状態で設けられ、前記アンカーボルトの軸方向に作用する荷重を検知し、前記荷重の検知結果に基づく情報を、情報出力装置に出力する荷重検知装置と、を備えることを特徴とする金属製アンカー。
【請求項3】
請求項に記載の荷重検知装置と、
前記情報出力装置として機能し、前記荷重検知装置とネットワークを介して接続される外部サーバーと、を備えることを特徴とするネットワークシステム。
【請求項4】
請求項に記載の荷重検知装置が設けられた前記金属製アンカーと、
前記金属製アンカーに隣接し前記コンクリート躯体に穿孔した下穴に設けられ、前記金属製アンカーによる前記コンクリート躯体のコーン状破壊を検知するコーン状破壊検知装置と、を備えたアンカーシステムであって、
前記コーン状破壊検知装置は、
前記下穴に遊嵌されると共に、前記下穴の最奥部において先端部が前記コンクリート躯体に定着される棒状アンカーと、
前記下穴の開口部側において前記コンクリート躯体に定着されるスリーブ部と、
外部側から前記スリーブ部に当接した状態で、前記棒状アンカーの基端部に設けられた破壊検知機構部と、を有し、
前記破壊検知機構部は、前記コーン状破壊が発生したときに、前記スリーブ部の外方への微小移動を検知し、その検知結果に基づく情報を、前記情報出力装置、または前記情報出力装置以外の情報出力装置に出力することを特徴とするアンカーシステム。
【請求項5】
基端から先端に向かう軸方向に穿孔した遊嵌孔を有し、基端部において固定対象物が支持固定されるアンカーボルトと、前記遊嵌孔に遊嵌されると共に、前記遊嵌孔の奥部において先端部を前記アンカーボルトに固定されたロッド状部材と、を備え、前記固定対象物を支持固定するためにコンクリート躯体に定着される金属製アンカーの、前記ロッド状部材の基端部に、外部側から前記アンカーボルトの基端部に当接した状態で設けられる荷重検知装置の制御方法であって、
前記アンカーボルトの軸方向に作用する荷重を検知する検知ステップと、
前記荷重を検知した検知結果に基づく情報を、情報出力装置に出力する出力ステップと、を実行することを特徴とする荷重検知装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先付けおよび後付け(あと施工)を問わず、コンクリート躯体に定着される金属製アンカーに作用する荷重を検知する荷重検知装置、金属製アンカー、ネットワークシステム、アンカーシステム、および荷重検知装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の金属製アンカーとして、コンクリート基部等の基台に形成された前ボアおよび拡大ボアから成る固定ボアに固定されることで、基台に工作物を固着させるための合くぎ、すなわち金属拡張アンカー(あと施工アンカー)が知られている(特許文献1参照)。
この合くぎは、ボルト頭部を有する固定ボルトと、固定ボルトの先端部に螺合した係止部品と、固定ボルトが挿通する間隙スリーブ、スリーブ部品および係合部品と、を備えている。係止部品は、固定ボルトに螺合する先端部材と、周回溝を存して先端部材に連なる4分割のロック要素と、を有している。4つのロック要素の端部には、先端部が円錐状に先細りになった係合部品が接触している。
ボルト頭部に添設した座金を介して間隙スリーブを打ち込むと、スリーブ部品を介して係合部品が軸方向に前進し、4つのロック要素を押し広げる。これにより、4つのロック要素は、周回溝を中心に外方に向かって、すなわち拡大ボアに向かって揺動する。次に、固定ボルトを回転させて係止部品を引き付けるようにすると、4つのロック要素は、拡大ボアの背向面に突き当たってロックされる一方、スリーブ部品がつぶれるように変形し、固定ボルトにより工作物が基台上に固定圧着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表昭60-500966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような、従来の合くぎ(金属拡張アンカー)では、拡大ボアが精度良く形成され、且つ合くぎの有効埋込み深さが十分に執れる場合には、合くぎの引張り耐力は、コンクリート等のコーン状破壊により決まる耐力ではなく、合くぎ自体の引張り耐力で決まる。すなわち、合くぎの引張り耐力は、固定ボルトの降伏点強度に基づいて、決定されることとなる。具体的には、固定ボルトの降伏点強度の数十%を許容引張り強度とし、この許容引張り強度に基づいて設計が為される。
かかる場合において、地震等により、工作物を介して固定ボルトに想定を超える荷重、すなわち許容引張り強度を超える荷重が作用した場合、経時的にボルト破断となる可能性があることは元より、固定ボルトの機能に何らかの支障が生ずる可能性がある。このため、管理者は、合くぎの点検・管理上、固定ボルトに想定を超える荷重が作用したことを知り、且つ荷重の原因を究明しておくことが好ましい。
しかし、従来の合くぎでは、想定を超える荷重が作用しても、固定ボルトの破断や極端な伸び(破断直前の永久ひずみ)が発生しない限り、これを知り得る手段はなかった。
【0005】
本発明は、コンクリート躯体に定着される金属製アンカーのアンカーボルトに作用する荷重を検知し、その検知結果に基づく情報を管理者に通知することができる、荷重検知装置、金属製アンカー、ネットワークシステム、アンカーシステム、および荷重検知装置の制御方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の荷重検知装置は、固定対象物を支持固定するために、コンクリート躯体に定着される金属製アンカーに設けられ、金属製アンカーのアンカーボルトの軸方向に作用する荷重を検知する荷重検知装置であって、荷重を検知する検知部と、検知部の検知結果に基づく情報を、情報出力装置に出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の荷重検知装置の制御方法は、固定対象物を支持固定するために、コンクリート躯体に定着される金属製アンカーに設けられ、金属製アンカーのアンカーボルトの軸方向に作用する荷重を検知する荷重検知装置の制御方法であって、荷重を検知する検知ステップと、荷重を検知した検知結果に基づく情報を、情報出力装置に出力する出力ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、荷重検知装置は、金属製アンカーのアンカーボルトの軸方向に作用する荷重を検知し、その検知結果に基づく情報を情報出力装置に出力する。これにより、金属製アンカーの管理者は、アンカーボルトに作用する荷重に関する情報を、情報出力装置から知ることができ、ひいては、金属製アンカーの点検・管理を適切に行うことができる。
なお、金属製アンカーは、あと施工アンカー(後付け)であってもよいし、先付けのアンカーであってもよい。
【0009】
上記の荷重検知装置において、出力部は、所定の期間において、検知部により、所定の荷重閾値を超える荷重が検知された回数を、情報として、情報出力装置に出力することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、管理者は、所定の期間において、アンカーボルトに所定の荷重閾値を超える荷重が作用した回数を知ることができる。
【0011】
上記の荷重検知装置において、情報出力装置は、表示装置であり、表示装置をさらに備えることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、管理者は、荷重検知装置に備えられた表示装置から、アンカーボルトに作用する荷重に関する情報を知ることができる。
なお、表示装置は、文字や画像を表示するディスプレーであってもよいし、光の発光状態で情報を出力するLED(Light Emitting Diode)等の照明器具であってもよい。
【0013】
上記の荷重検知装置において、情報出力装置は、外部装置であり、出力部は、外部装置に情報を送信する通信インターフェースを含むことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、管理者は、外部装置を用いて、アンカーボルトに作用する荷重に関する情報を知ることができる。
なお、通信インターフェースの通信手段は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0015】
上記の荷重検知装置において、出力部は、検知部により、所定の荷重閾値を超える荷重が検知されたとき、情報出力装置に情報を出力することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、管理者は、金属製アンカーに想定を超える荷重が作用したとき、その旨を知ることができる。
【0017】
上記の荷重検知装置において、情報出力装置は、荷重検知装置とネットワークを介して接続された外部サーバーであり、出力部は、外部サーバーに情報を送信する通信インターフェースを含むことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、管理者は、荷重検知装置とネットワークを介して接続された外部サーバーを用いて、アンカーボルトに作用する荷重に関する情報を知ることができる。つまり、管理者は、金属製アンカーの設置場所から離れた場所で、金属製アンカーの状態を把握することができる。また、複数の荷重検知装置と外部サーバーとをネットワーク接続することにより、複数の金属製アンカーの一括管理が可能となる。
なお、通信インターフェースの通信手段は、有線通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0019】
上記の荷重検知装置において、金属製アンカーは、基端から先端に向かう軸方向に穿孔した遊嵌孔を有し、基端部において固定対象物が支持固定されるアンカーボルトと、遊嵌孔に遊嵌されると共に、遊嵌孔の奥部において先端部をアンカーボルトに固定されたロッド状部材と、を備え、荷重検知装置は、外部側からアンカーボルトの基端部に当接した状態で、ロッド状部材の基端部に設けられ、検知部は、アンカーボルトの軸方向に作用する荷重を検知することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、固定対象物が支持固定されるアンカーボルトに組み込んだロッド状部材は、その先端部が遊嵌孔の奥部に固定されると共に、ロッド状部材の基端部に設けられた荷重検知装置は、アンカーボルトの基端部に当接している。このため、荷重検知装置は、アンカーボルトに作用した固定対象物からの引張り荷重を検知し、その検知結果に基づく情報を情報出力装置に出力することができる。
【0021】
本発明のネットワークシステムは、上記に記載の荷重検知装置と、外部サーバーと、がネットワークを介して接続されていることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、管理者が、金属製アンカーの設置場所から離れた場所で、金属製アンカーの状態を把握することが可能なネットワークシステムを構築することができる。
なお、ネットワークシステムは、荷重検知装置と外部サーバーとの間に中継器を設けた構成でもよいし、荷重検知装置と外部サーバーとが、複数のネットワークを介して接続された構成でもよい。
【0023】
本発明のアンカーシステム上記の荷重検知装置が設けられた金属製アンカーと、金属製アンカーに隣接しコンクリート躯体に穿孔した下穴に設けられ、金属製アンカーによるコンクリート躯体のコーン状破壊を検知するコーン状破壊検知装置と、を備えたアンカーシステムであって、コーン状破壊検知装置は、下穴に遊嵌されると共に、下穴の最奥部において先端部がコンクリート躯体に定着される棒状アンカーと、下穴の開口部側においてコンクリート躯体に定着されるスリーブ部と、外部側からスリーブ部に当接した状態で、棒状アンカーの基端部に設けられた破壊検知機構部と、を有し、破壊検知機構部は、コーン状破壊が発生したときに、スリーブ部の外方への微小移動を検知し、その検知結果に基づく情報を、情報出力装置、または情報出力装置以外の情報出力装置に出力することを特徴とする。
【0024】
金属製アンカーの引張り耐力は、コンクリート躯体のコーン状破壊に至る耐力、或いはアンカーボルトの引張り耐力で決定される。すなわち、金属製アンカーに過大な引張り荷重が作用すると、コーン状破壊が生ずるかまたはボルト破断となる。
この構成によれば、金属製アンカーにおける荷重検知装置により、アンカーボルトに所定の荷重が作用したこと、すなわち、アンカーボルトに伸びを生ずるような荷重が作用したことが検知される。一方、金属製アンカーに隣接しコンクリート躯体に設けられたコーン状破壊検知装置により、コンクリート躯体内でコーン状破壊が発生したことが検知される。
コーン状破壊検知装置は、下穴に遊嵌された棒状アンカーの先端部がコンクリート躯体に定着されると共に、棒状アンカーの基端部に設けられた破壊検知機構部は、下穴の開口部側に定着されたスリーブ部に当接している。このため、固定対象物からの引張り荷重によりコーン状破壊が発生すると、コンクリート躯体の表面に膨らみが生ずる。コーン状破壊検知装置は、この膨らみによるスリーブ部の外方への微小移動を破壊検知機構部により検知し、その検知結果を情報出力装置に出力する。これにより、管理者は、コンクリート躯体にコーン状破壊が発生したこと、より具体的には破壊の前段階となるコーン状のひび割れが発生したことを知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】金属製アンカーの構造図である。
図2】金属製アンカーのアンカーボルト廻りの分解図である。
図3】第1実施形態に係る荷重検知装置のブロック図である。
図4】第1実施形態に係る荷重検知装置に表示される情報の一例を示す図である。
図5】荷重検知装置によるカウント処理を示すフローチャートである。
図6】荷重検知装置によるユーザー操作に対する処理を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る荷重検知システムのブロック図である。
図8】管理者端末に表示される情報の一例を示す図である。
図9】第2実施形態に係る荷重検知装置による荷重検知装置側処理を示すフローチャートである。
図10】第3実施形態に係るネットワークシステムのシステム構成図である。
図11】第3実施形態に係るネットワークシステムの、荷重検知装置および集中管理サーバーのブロック図である。
図12】第3実施形態に係る集中管理サーバーに表示される情報の一例を示す図である。
図13】第3実施形態に係る集中管理サーバーによる集中管理サーバー側処理を示すフローチャートである。
図14】第4実施形態に係るアンカーシステムの構造図である。
図15】第4実施形態に係るアンカーシステムにおけるコーン状破壊検知装置の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る荷重検知装置、金属製アンカー、ネットワークシステム、アンカーシステム、および荷重検知装置の制御方法について説明する。荷重検知装置は、固定対象物をコンクリート躯体に支持固定するためにコンクリート躯体に定着される金属製アンカーに設けられる。金属製アンカーは、先付け或いは後付け(あと施工)のアンカーである。また、荷重検知装置は、金属製アンカーの主体を為すアンカーボルトに作用する引張り荷重を検知し、その検知結果を示す情報を出力する機能を有する。なお、荷重検知装置は、ディスプレー(表示装置)を搭載した構成と、ディスプレーを搭載しない構成と、を示す。前者は、第1実施形態にて説明し、後者は、第2実施形態にて説明する。
【0027】
一方、ネットワークシステムは、上記の荷重検知装置と、集中管理サーバーと、がネットワーク接続された構成である。集中管理サーバーは、複数の荷重検知装置から出力された情報に基づいて、複数の金属製アンカーを一括管理するためのサーバーである。ネットワークシステムについては、第3実施形態にて説明する。
【0028】
一方、アンカーシステムは、上記の荷重検知装置が設けられた金属製アンカーと、金属製アンカーに隣接して配置したコーン状破壊検知装置とから成り、アンカーボルトのボルト破断に至る想定外の荷重を検知する機能、およびコンクリート躯体のコーン状破壊に至るコーン状のひび割れを検知する機能を有するものである。アンカーシステムについては、第4実施形態にて説明する。
【0029】
[第1実施形態]
まず、図1および図2を参照し、金属製アンカー10の構造を説明する。図1は、金属製アンカー10の構造図であり、図2は、金属製アンカー10のアンカーボルト11廻りの分解図である。両図に示すように、金属製アンカー10は、いわゆるあと施工アンカーにおける金属拡張アンカー(メカニカルアンカー)であり、アンカーボルト11を始めとする主要部品が、スチールやステンレススチール等で形成されている。
【0030】
コンクリート躯体Cには、奥部に拡径部AHaを形成したアンカー穴AHが穿孔されており、金属製アンカー10は、このアンカー穴AHに打ち込まれるようにして定着される。アンカー穴AH(コンクリート躯体C)に定着された金属製アンカー10は、そのアンカーボルト11の基端部がコンクリート躯体Cの表面から突出しており、ワッシャーWを介してこの部分に螺合した固定ナットNにより、固定対象物SのベースプレートSaが締結される。
【0031】
金属製アンカー10は、基端から先端に向かって軸方向に穿孔した遊嵌孔12を有するアンカーボルト11と、アンカーボルト11の先端部をアンカー穴AHの拡径部AHaに定着させる定着機構部13と、を備えている。また、金属製アンカー10は、遊嵌孔12に遊嵌されると共に、遊嵌孔12の奥部において先端部をアンカーボルト11に固定されたロッド状部材15と、外部側からアンカーボルト11の基端面11aに当接した状態でロッド状部材15の基端部に螺合した荷重検知装置16と、を備えている。
【0032】
アンカーボルト11と定着機構部13とは、コンクリート躯体Cに固定対象物Sを支持固定する金属製アンカー10の本来のアンカー機能を有している。一方、ロッド状部材15と荷重検知装置16とは、アンカーボルト11に想定を超える荷重(所定の荷重閾値を超える荷重)が作用したこと検知する、本実施形態特有の機能を有している。
【0033】
アンカーボルト11は、金属製アンカー10の呼び径となる全ネジボルトで構成されている。アンカーボルト11の軸心部には、基端から先端に向かって延びる遊嵌孔12が形成されている。遊嵌孔12は、アンカーボルト11の全長の1/4~1/2程度の深さを有している。また、遊嵌孔12は、ロッド状部材15が遊嵌される孔本体12aと、孔本体12aよりも大径に形成され、荷重検知装置16が収容される基端側の収容孔部12bと、孔本体12aよりも小径に形成され、ロッド状部材15の先端部が螺合する先端側のネジ孔部12c(雌ネジ)と、を有している。
【0034】
なお、遊嵌孔12は、アンカーボルト11を軸方向に貫通するものであってもよい。また、アンカーボルト11は、基端部および先端部にのみ雄ネジが形成されていてもよい。
【0035】
定着機構部13は、アンカーボルト11の先端部に螺合した拡開ナット21と、アンカーボルト11を囲繞するように配設された打込みスリーブ22と、を有している。拡開ナット21は、アンカーボルト11に螺合する図示下半部のナット本体24と、スリット25aにより4分割された図示上半部の拡開部25と、で一体に形成されている。打込みスリーブ22の先端部には、コーン部26が形成されており、打込みスリーブ22を打ち込むことにより拡開ナット21の拡開部25が径方向外方に拡開する。拡開した拡開部25は、拡径部AHaの周壁に向かって広がり、拡径部AHaに定着される。そして、この拡開部25と拡径部AHaの協働により、アンカーボルト11がクサビ効果を発揮する。
【0036】
ロッド状部材15は、アンカーボルト11よりも十分に細径の全ネジボルトで構成されている。ロッド状部材15の先端部は、上記遊嵌孔12のネジ孔部12cに螺合し、アンカーボルト11に固定されている。また、ロッド状部材15の基端部は、遊嵌孔12の収容孔部12bに臨み、この部分には荷重検知装置16が螺合している。詳細は後述するが、荷重検知装置16の一部は、外部側からアンカーボルト11の基端面11aに突き当てられている。
【0037】
なお、ロッド状部材15は、基端部および先端部にのみ雄ネジが形成されていてもよい。また、ロッド状部材15は、主要部が太いワイヤー等で形成されていてもよい。
【0038】
荷重検知装置16は、外部側からアンカーボルト11の基端面11aに当接する直方体状の装置本体31と、ロッド状部材15の基端部に螺合した接続部32と、を有し、装置本体31および接続部32は、一体に形成されている。装置本体31には、アンカーボルト11の軸方向に作用する圧力値を計測する圧力センサー52(図3参照)が組み込まれている。アンカーボルト11に許容引張り荷重を超える荷重が作用すると、アンカーボルト11の伸びを受け、装置本体31に組み込まれた圧力センサー52が、所定の圧力閾値を超える圧力値を計測することとなる。なお、圧力センサー52は、「検知部」の一例である。
【0039】
装置本体31は、アンカーボルト11の基端面11aに当接しており、圧力センサー52は、アンカーボルト11の基端面11aからの押圧力を受けて圧力値を計測する。また、装置本体31は、その表面が外部に露出している。したがって、装置本体31は、外部から視認および操作可能となっている。また、装置本体31の表面には、ディスプレー54と、操作ボタン55と、が配置されている。ディスプレー54は、「情報出力装置」および「表示装置」の一例である。
【0040】
接続部32は、いわゆる袋ナットの形態を有し、上記遊嵌孔12の収容孔部12b内において、ロッド状部材15の基端部に螺合している。この螺合は、荷重検知装置16をロッド状部材15に取り付けるものであると共に、装置本体31底面をアンカーボルト11の基端面11aに当接させるものである。
【0041】
ところで、この種の金属製アンカー10(拡底アンカー)では、その引張り耐力が、アンカーボルト11の降伏点強度を踏まえた引張り強度(耐力)に基づいて設計される。すなわち、降伏点強度に達する荷重がアンカーボルト11に作用しても、アンカーボルト11が破断するわけではないが、繰り返し大きな荷重が作用する場合(例えば振動)や、常時吊り下げ荷重が作用する場合等では、適宜安全率を加味する必要がある。そのため、固定対象物S別に、降伏点強度の20~100%をアンカーボルト11の引張り強度とし、これに基づいてアンカーボルト11(金属製アンカー10)の設計が為される。
【0042】
設計上用いられる引張り強度には、長期許容引張り強度(降伏点強度の25~30%程度)や短期許容引張り強度(降伏点強度の40~50%程度)がある。例えば、固定対象物Sが駆動部を有するもの、固定対象物Sが風圧や振動を受けるもの、或いは固定対象物Sを吊るものである場合には、長期許容引張り強度を考慮することが好ましい。また、固定対象物Sとの関係でアンカーボルト11に金属疲労の可能性がある場合には、降伏点強度の20%をアンカーボルト11の引張り強度とすることが好ましい。
【0043】
本実施形態の荷重検知装置16は、アンカーボルト11に長期許容引張り強度や短期許容引張り強度を超える荷重が作用した場合、想定外の荷重が作用したものとして、二段階の基準で各荷重が作用した回数を計測する。より具体的には、荷重検知装置16は、短期許容引張り強度を「第1荷重閾値」とし、第1荷重閾値を超える荷重を検知した回数N1を計測する。また、荷重検知装置16は、長期許容引張り強度を「第2荷重閾値」とし、第2荷重閾値を超える荷重を検知した回数N2を計測する。第1荷重閾値および第2荷重閾値は、「所定の荷重閾値」の一例である。なお、以下の説明では、「第1荷重閾値を超える荷重を検知した回数N1」を、「第1荷重閾値を超えた回数N1」、または、単に「回数N1」と表記する。また、「第2荷重閾値を超える荷重を検知した回数N2」を、「第2荷重閾値を超えた回数N2」、または、単に「回数N2」と表記する。
【0044】
なお、荷重検知装置16は、圧力センサー52により計測された圧力値から荷重を推定する。したがって、荷重検知装置16は、圧力センサー52により第1圧力値を超える圧力値を計測した場合、第1荷重閾値を超える荷重を検知したものと判定する。同様に、荷重検知装置16は、圧力センサー52により第2圧力値(第2圧力値<第1圧力値)を超える圧力値を計測した場合、第2荷重閾値を超える荷重を検知したものと判定する。第1荷重閾値を超えた回数N1と、第2荷重閾値を超えた回数N2とは、装置本体31に設けられたディスプレー54に表示される。
【0045】
ここで、金属製アンカー10の施工手順について簡単に説明する。この金属製アンカー10は、まずロッド状部材15を組み込んだアンカーボルト11をアンカー穴AHに挿入し、打込みスリーブ22を打ち込んで、アンカーボルト11をコンクリート躯体Cに定着させる。次に、ロッド状部材15の基端部に荷重検知装置16をネジ込み、アンカーボルト11の基端面11aに対する装置本体31の当接圧を調整する。ここで、固定対象物Sを持ち込み、そのベースプレートSaを固定ナットNによりコンクリート躯体Cの表面に固定する。これにより、固定対象物Sは、金属製アンカー10を介してコンクリート躯体Cに支持固定される。
【0046】
このようにして、固定対象物Sをコンクリート躯体Cに支持固定した状態において、アンカーボルト11に想定を超える引張り荷重が作用した場合、すなわち、固定対象物Sに想定を超える風圧や振動が作用し、アンカーボルト11に許容引張り荷重を超える荷重が作用した場合、アンカーボルト11に微小な伸びが生ずる。
【0047】
アンカーボルト11が伸びると、アンカーボルト11の基端面11aにより、装置本体31が押圧される。荷重検知装置16は、この押圧力を、装置本体31に組み込まれた圧力センサー52により測定する。
【0048】
次に、図3を参照し、第1実施形態に係る荷重検知装置16A(荷重検知装置16)の制御系の構成を説明する。荷重検知装置16Aは、制御系の構成として、制御部51と、圧力センサー52と、メモリー53と、ディスプレー54と、操作ボタン55と、を備えている。
【0049】
制御部51は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含み、荷重検知装置16Aの各部を制御する。圧力センサー52は、上記のとおり、アンカーボルト11の伸びに起因する圧力値を測定する。メモリー53は、第1荷重閾値を超えた回数N1と、第2荷重閾値を超えた回数N2と、を記憶する。ディスプレー54は、これら回数N1および回数N2を表示する。操作ボタン55は、ディスプレー54に情報を表示させたり、メモリー53をリセットさせたりする際に操作される。管理者は、操作ボタン55を短押しすることにより、ディスプレー54に情報を表示させ、操作ボタン55を長押しすることにより、メモリー53に記憶されている情報をリセットさせることができる。
【0050】
上記の構成により、制御部51は、圧力センサー52により計測された圧力値に基づいて、アンカーボルト11に作用する荷重を検知し(検知部,検知ステップ)、その検知結果を、メモリー53に記憶させる。また、制御部51は、操作ボタン55の短押し操作に基づいて、メモリー53に記憶されている情報をディスプレー54に出力する(出力部,出力ステップ)。
【0051】
図4は、荷重検知装置16Aのディスプレー54に表示される情報の一例を示す図である。同図は、前回メモリー53のリセット操作が行われてから、今回ディスプレー54の表示操作が行われるまでの間、第1荷重閾値を超える荷重が2回検知され、第2荷重閾値を超える荷重が50回検知された場合の表示例を示している。なお、前回メモリー53のリセット操作が行われてから、今回ディスプレー54の表示操作が行われるまでの間は、「所定の期間」の一例である。
【0052】
図5は、荷重検知装置16Aによるカウント処理を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、定期的に繰り返し実行される処理である。荷重検知装置16Aは、圧力センサー52の計測結果に基づいて、第1荷重閾値を超える荷重を検知したか否かを判別する(S01)。荷重検知装置16Aは、第1荷重閾値を超える荷重を検知したと判定した場合(S01:Yes)、メモリー53に記憶されている第1荷重閾値を超えた回数N1をカウントアップする(S02)。一方、荷重検知装置16Aは、第1荷重閾値を超える荷重を検知していないと判定した場合(S01:No)、S03に進む。
【0053】
続いて、荷重検知装置16Aは、圧力センサー52の計測結果に基づいて、第2荷重閾値を超える荷重を検知したか否かを判別する(S03)。荷重検知装置16Aは、第2荷重閾値を超える荷重を検知したと判定した場合(S02:Yes)、メモリー53に記憶されている第2荷重閾値を超えた回数N2をカウントアップする(S04)。一方、荷重検知装置16Aは、第2荷重閾値を超える荷重を検知していないと判定した場合(S03:No)、カウント処理を終了する。
【0054】
図6は、荷重検知装置16Aによるユーザー操作に対する処理を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、操作ボタン55が操作されたときに実行される処理である。荷重検知装置16Aは、操作ボタン55が短押しされたか否かを判別する(S11)。なお、「短押し」とは、操作ボタン55の押下継続時間が時間T1以上時間T2(時間T2>時間T1)の押下操作を指す。荷重検知装置16Aは、操作ボタン55が短押しされたと判定した場合(S11:Yes)、メモリー53に記憶されている情報、すなわち第1荷重閾値を超えた回数N1および第2荷重閾値を超えた回数N2をディスプレー54に表示する(S12)。一方、荷重検知装置16Aは、操作ボタン55が短押しされていないと判定した場合(S11:No)、S13に進む。
【0055】
続いて、荷重検知装置16Aは、操作ボタン55が長押しされたか否かを判別する(S13)。なお、「長押し」とは、操作ボタン55の押下継続時間が時間T2を超える押下操作を指す。荷重検知装置16Aは、操作ボタン55が長押しされたと判定した場合(S13:Yes)、メモリー53に記憶されている情報、すなわち回数N1および回数N2をリセットする(S14)。「リセットする」とは、N1およびN2のカウント値をゼロに戻すことを指す。一方、荷重検知装置16Aは、操作ボタン55が長押しされていないと判定した場合(S13:No)、すなわち、操作ボタン55の押下継続時間が時間T1未満の場合、ユーザー操作に対する処理を終了する。
【0056】
なお、操作ボタン55の短押し操作により、ディスプレー54に表示された情報を確認した管理者は、例えば以下のような対応策を講ずる。先ず、金属製アンカー10(アンカーボルト11)に作用した想定外の荷重の原因を究明し、これを解消するよう努める。原因が解消でき、且つ第1荷重閾値を超えた回数N1および第2荷重閾値を超えた回数N2が想定値以下であった場合には、メモリー53のリセット操作を行う。逆に、管理者は、回数N1および回数N2が想定値を超えるものであった場合には、金属製アンカー10を付け替える。
【0057】
以上説明したとおり、第1実施形態に係る荷重検知装置16Aは、金属製アンカー10のアンカーボルト11の軸方向に作用する荷重を検知し、その検知結果に基づく情報をディスプレー54に表示する。これにより、管理者は、金属製アンカー10の点検・管理を適切に行うことができ、ひいては、金属製アンカー10の健全性を担保することができる。
【0058】
なお、第1実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
第1実施形態では、第1荷重閾値を短期許容引張り強度とし、第2荷重閾値を短期許容引張り強度としたが、第1荷重閾値および第2荷重閾値として、各強度に関係のない値を設定してもよい。また、第1荷重閾値を超えた回数N1と、第2荷重閾値を超えた回数N2と、の2種類ではなく、3種類以上の閾値(所定の荷重閾値)を設け、各閾値を超える荷重を検知した回数を計測してもよい。但し、所定の荷重閾値は、アンカーボルト11における降伏点強度の20~100%の荷重であることが好ましい。
【0059】
また、第1実施形態に係るユーザー操作に対する処理(図6参照)では、ディスプレー54の表示操作が行われたとき(S11参照)、前回メモリー53のリセット操作が行われてから、今回ディスプレー54の表示操作が行われるまでの間に検知された回数N1およびN2を表示したが(S12参照)、固定期間(例えば、表示操作が行われた時点から過去1か月、または過去1年)の間に検知された回数N1およびN2を表示してもよい。また、メモリー53のリセット手段を設けず、荷重検知装置16Aの検知開始時(金属製アンカー10の設置時)以降に検知された回数N1および回数N2をディスプレー54に表示する構成でもよい。
【0060】
また、第1実施形態に係る荷重検知装置16Aは、圧力センサー52の計測結果に基づいて、金属製アンカー10に作用する荷重を検知したが、圧力センサー52以外の計測手段を用いて、金属製アンカー10に作用する荷重を検知してもよい。例えば、荷重検知装置16Aは、アンカーボルト11に許容引張り荷重を超える荷重が作用したことによる、アンカーボルト11の伸びを計測し、その伸び量(アンカーボルト11の長さの変化量)に基づいて、金属製アンカー10に作用する荷重を検知してもよい。その他、ロードセルや重量センサーを用いて、金属製アンカー10に作用する荷重を検知してもよい。
【0061】
また、第1実施形態に係る荷重検知装置16Aは、ディスプレー54を備えたが、光の発光状態で情報を出力するLED等の照明器具を、「表示装置」として用いてもよい。この場合、荷重検知装置16Aに、回数N1を示す第1LEDと、回数N2を示す第2LEDと、を設け、操作ボタン55の押下をトリガーとする各LEDの点滅の回数で、回数N1および回数N2を表示してもよい。
【0062】
[第2実施形態]
次に、図7ないし図9を参照し、第2実施形態に係る荷重検知装置16Bについて説明する。本実施形態に係る荷重検知装置16Bは、第1実施形態に係る荷重検知装置16Aと比較し、ディスプレー54および操作ボタン55を省略し、通信インターフェース56を追加した構成となっている。また、荷重検知装置16Bの検知結果に基づく情報(回数N1および回数N2)は、荷重検知装置16Bと通信可能な管理者端末100に表示される。管理者端末100は、管理者が、金属製アンカー10の点検時に所持するタブレット端末を想定している。管理者端末100は、「外部装置」の一例である。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0063】
図7は、本実施形態に係る荷重検知システムSY2のブロック図である。荷重検知システムSY2は、荷重検知装置16Bと、管理者端末100と、を備えている。荷重検知装置16Bは、制御系の構成として、制御部51と、圧力センサー52と、メモリー53と、通信インターフェース56と、を備えている。通信インターフェース56は、「出力部」の一例である。通信インターフェース56は、管理者端末100と無線通信または有線通信を介して通信を行う。
【0064】
一方、管理者端末100は、制御系の構成として、制御部111と、記憶部112と、通信インターフェース113と、タッチパネル114と、を備えている。
【0065】
制御部111は、プロセッサーを含み、管理者端末100の各部を制御する。記憶部112は、管理アプリケーション61を始め、各種プログラムおよび各種データを記憶する。管理アプリケーション61は、荷重検知装置16Bと通信し、荷重検知装置16Bから取得した情報(回数N1および回数N2)をタッチパネル114に表示させたり、荷重検知装置16Bから取得した情報に基づいて、金属製アンカー10の修繕の要否を判別したりするためのアプリケーションである。通信インターフェース113は、荷重検知装置16Bと通信を行う。タッチパネル114は、各種情報を表示したり、各種操作を行ったりするために用いられる。
【0066】
図8は、管理者端末100のタッチパネル114に表示される情報の一例を示す図である。同図は、荷重検知装置16Bから取得した情報を表示する第1荷重検知結果画面D1の表示例を示している。管理者端末100のタッチパネル114に対し、管理者が所定の操作を行うと、管理者端末100は、荷重検知装置16Bに対し情報送信命令を送信する。荷重検知装置16Bは、この情報送信命令に対し、メモリー53に記憶されている情報(回数N1および回数N2)を管理者端末100に送信する。
【0067】
管理者端末100は、荷重検知装置16Bから情報を取得すると、第1荷重検知結果画面D1を表示する。第1荷重検知結果画面D1は、「荷重検知装置ID」と、「計測値」と、「対応」と、を対応付けて表示する。ここで、「荷重検知装置ID」とは、荷重検知装置16Bを特定するための識別情報である。特に図示しないが、荷重検知装置16Bの装置本体31の表面(外部から視認可能な面)には、荷重検知装置IDが印刷されたラベルが貼付されている。管理者端末100が、複数の金属製アンカー10に設けられた複数の荷重検知装置16Bと、無線通信を介して同時通信可能である場合、管理者は、荷重検知装置IDを用いて、第1荷重検知結果画面D1に表示された情報と、荷重検知装置16Bとを対応付ける。図8は、管理者端末100が、1台の荷重検知装置16Bから情報を取得した場合の表示例を示している。
【0068】
また、「計測値」は、荷重検知装置16Bにより計測された第1荷重閾値を超えた回数N1と、第2荷重閾値を超えた回数N2と、を示している。また、「対応」は、回数N1および回数N2の少なくとも一方が、想定値を超えている場合「要修繕」の文字を表示し、想定値を超えていない場合「修繕不要」の文字を表示する。なお、回数N1および回数N2の少なくとも一方が、想定値を超えているか否かの判別は、制御部321が、管理アプリケーション61に基づいて行う。
【0069】
図9は、本実施形態に係る荷重検知装置16Bによる荷重検知装置側処理を示すフローチャートである。なお、荷重検知装置16Bは、定期的にカウント処理(図5参照)を行っているものとする。図9に示すフローチャートは、荷重検知装置16Bが、管理者端末100から命令を受信したときに実行される処理である。
【0070】
荷重検知装置16Bは、管理者端末100から情報送信命令を取得したか否かを判別する(S21)。荷重検知装置16Bは、管理者端末100から情報送信命令を取得したと判定した場合(S21:Yes)、管理者端末100に対し、メモリー53に記憶されている情報(回数N1および回数N2)を送信する(S22)。一方、荷重検知装置16Bは、管理者端末100から情報送信命令を取得していないと判定した場合(S21:No)、S23に進む。
【0071】
続いて、荷重検知装置16Bは、管理者端末100からリセット命令を取得したか否かを判別する(S23)。管理者端末100は、管理者がタッチパネル114に対してリセット操作を行った場合、このリセット命令を荷重検知装置16Bに送信する。荷重検知装置16Bは、管理者端末100からリセット命令を取得したと判定した場合(S23:Yes)、メモリー53に記憶されている情報をリセットする(S24)。また、荷重検知装置16Bは、管理者端末100からリセット命令を取得していないと判定した場合(S23:No)、荷重検知装置側処理を終了する。
【0072】
以上説明したとおり、第2実施形態に係る荷重検知装置16Bによれば、表示機能および操作機能を備える必要がないため、装置構成を簡素化でき、ひいては荷重検知装置16Bの低廉化を図ることができる。また、管理者端末100は、通信可能な範囲に複数の荷重検知装置16Bが含まれる場合、複数の荷重検知装置16Bに対し、同時に情報送信命令を送信可能であるため、管理者は、複数の金属製アンカー10の点検を迅速に行うことができる。
【0073】
なお、第2実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
第2実施形態において、管理者端末100は、タッチパネル114を備えたタブレット端末であるものとしたが、ディスプレーおよび操作機能を備えた情報処理端末を、管理者端末100として用いてもよい。また、スマートフォンなど、通話機能を備えた情報処理端末を、管理者端末100として用いてもよい。
【0074】
[第3実施形態]
次に、図10ないし図13を参照し、第3実施形態に係るネットワークシステムSY3について説明する。ネットワークシステムSY3は、金属製アンカー10の設置場所から離れた場所において、金属製アンカー10の点検を可能とするものである。本実施形態においても、第2実施形態と同様に、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
【0075】
図10は、本実施形態に係るネットワークシステムSY3のシステム構成図である。ネットワークシステムSY3は、1台以上の荷重検知装置16Cと、中継器310と、集中管理サーバー320と、を備えている。集中管理サーバー320は、「外部サーバー」の一例である。
【0076】
荷重検知装置16Cと中継器310は、無線通信または有線通信を介して接続されている。また、中継器310と集中管理サーバー320は、インターネット通信網NWを介して接続されている。インターネット通信網NWは、「ネットワーク」の一例である。なお、荷重検知装置16Cと中継器310は、無線ネットワークまたは有線ネットワークを介して接続された構成でもよい。また、中継器310と集中管理サーバー320は、インターネット通信網NWだけでなく、社内LAN等のネットワークを介して接続された構成でもよい。
【0077】
1台以上の荷重検知装置16Cは、それぞれ異なる金属製アンカー10に設けられ、各金属製アンカー10のアンカーボルト11に作用する荷重を検知する。集中管理サーバー320は、1台以上の荷重検知装置16Cを統括管理する。なお、1台以上の荷重検知装置16Cは、必ずしもその全てが1台の中継器310と接続される必要はなく、それぞれ異なる中継器310と接続される構成でもよい。
【0078】
図11は、本実施形態に係るネットワークシステムSY3の、荷重検知装置16Cおよび集中管理サーバー320のブロック図である。本実施形態に係る荷重検知装置16Cの制御系の構成は、第2実施形態に係る荷重検知装置16Bと同様である。但し、本実施形態に係る荷重検知装置16Cの通信インターフェース56は、中継器310を経由して、集中管理サーバー320と通信を行う。また、本実施形態に係る荷重検知装置16Cは、メモリー53のリセット機能を有しないものとする。
【0079】
集中管理サーバー320は、制御系の構成として、制御部321と、記憶部322と、通信インターフェース323と、ディスプレー324と、を備えている。
【0080】
制御部321は、プロセッサーを含み、集中管理サーバー320の各部を制御する。記憶部322は、管理アプリケーション61を記憶すると共に、カウント値領域62を有している。管理アプリケーション61は、荷重検知装置16Cから取得した情報(回数N1および回数N2)をディスプレー324に表示させたり、荷重検知装置16Cから取得した情報に基づいて、金属製アンカー10の修繕の要否を判別したりするためのアプリケーションである。また、カウント値領域62は、荷重検知装置16Cごとに(荷重検知装置IDごとに)、回数N1および回数N2を記憶する領域である。一方、通信インターフェース113は、中継器310を経由して、荷重検知装置16Cと通信を行う。ディスプレー324は、各種情報を表示する。
【0081】
図12は、本実施形態に係る集中管理サーバー320のディスプレー324に表示される情報の一例を示す図である。集中管理サーバー320は、荷重検知装置16Cから取得した情報に基づいて、同図に示す第2荷重検知結果画面D2を表示する。第2荷重検知結果画面D2は、「荷重検知装置ID」と、「設置場所」と、「計測値」と、「対応」と、を対応付けて表示する。「荷重検知装置ID」、「計測値」および「対応」については、第1荷重検知結果画面D1(図8参照)と同様である。
【0082】
「設置場所」は、荷重検知装置16Cの設置場所、すなわち金属製アンカー10の設置場所を示す情報である。「設置場所」は、「荷重検知装置ID」と紐づけられて、記憶部322内の所定の領域に記憶されている情報である。つまり、集中管理サーバー320は、荷重検知装置16Cから情報を取得した際、その荷重検知装置16Cの「荷重検知装置ID」に紐づけられた「設置場所」を示す情報を記憶部322内の所定の領域から読み出し、読み出した情報を第2荷重検知結果画面D2の「設置場所」の欄に表示する。
【0083】
図13は、本実施形態に係る集中管理サーバー320による集中管理サーバー側処理を示すフローチャートである。なお、荷重検知装置16Cは、定期的にカウント処理(図5参照)を行い、カウント値に変化が生じたとき(所定の荷重閾値を超える荷重が検知されたとき)、そのカウント値(回数N1および回数N2)を、集中管理サーバー320に送信するものとする。図13に示すフローチャートは、集中管理サーバー320が、荷重検知装置16Cから情報を取得可能な状態にある場合(管理アプリケーション61が起動されている場合)、定期的に実行される処理である。
【0084】
集中管理サーバー320は、荷重検知装置16Cから情報を取得したか否かを判別する(S31)。集中管理サーバー320は、荷重検知装置16Cから情報を取得していないと判定した場合(S31:No)、集中管理サーバー側処理を終了する。一方、集中管理サーバー320は、荷重検知装置16Cから情報を取得したと判定した場合(S31:Yes)、取得した情報に基づいて、カウント値領域62の情報を更新する(S32)。すなわち、情報を取得した荷重検知装置16Cの荷重検知装置IDに紐づけられた回数N1および回数N2を更新する。
【0085】
続いて、集中管理サーバー320は、カウント値(回数N1および回数N2の少なくとも一方)が想定値を超えたか否かを判別する(S33)。集中管理サーバー320は、カウント値が想定値を超えたと判定した場合(S33:Yes)、金属製アンカー10の修繕を行う業者の業者サーバー(図示省略)に対し、修繕指示を行う(S34)。なお、フローチャートには図示しないが、集中管理サーバー320は、カウント値が想定値を超えたと判定した場合(S33:Yes)、第2荷重検知結果画面D2(図12参照)の「対応」の欄に、「要修繕」の文字を表示させる。
【0086】
以上説明したとおり、第3実施形態に係るネットワークシステムSY3によれば、管理者は、集中管理サーバー320を用いて、金属製アンカー10のアンカーボルト11に作用する荷重に関する情報を知ることができる。つまり、管理者は、金属製アンカー10の設置場所から離れた場所であっても、情報を知ることができる。また、集中管理サーバー320は、複数の荷重検知装置16Cと接続可能であるため、複数の金属製アンカー10を一括管理することができる。さらに、集中管理サーバー320は、荷重検知装置16Cから取得した情報に基づいて、金属製アンカー10の修繕が必要であると判定した場合、金属製アンカー10の修繕を行う業者の業者サーバーに対し、即座に修繕指示を行うため、金属製アンカー10の修繕を迅速に行うことができる。これにより、金属製アンカー10の破壊(アンカーボルト11の破断)を有効に防止することができる。
【0087】
なお、第3実施形態では、以下の変形例を採用可能である。
第3実施形態に係る荷重検知装置16Cは、カウント値に変化が生じたとき(所定の荷重閾値を超える荷重が検知されたとき)、そのカウント値を、集中管理サーバー320に送信したが、定期的に(1日に1回、1時間に1回など)、メモリー53に記憶されている情報を集中管理サーバー320に送信する構成でもよい。また、第3実施形態に係る荷重検知装置16Cも、第2実施形態に係る荷重検知装置16Bと同様に、集中管理サーバー320から情報送信命令を取得したときに、メモリー53に記憶されている情報を返信する構成でもよい。
【0088】
[第4実施形態]
次に、図14および図15を参照し、第4実施形態に係るアンカーシステム80について説明する。本実施形態においても、上記の各実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。図14は、本実施形態のアンカーシステム80の構造図であり、図15は、アンカーシステム80におけるコーン状破壊検知装置90の分解図である。
【0089】
両図に示すように、アンカーシステム80は、上記した金属製アンカー10と、金属製アンカー10に隣接しコンクリート躯体Cに設けられたコーン状破壊検知装置90と、を備えている。このコーン状破壊検知装置90は、金属製アンカー10により、コンクリート躯体Cにコーン状破壊が発生したこと、具体的には、破壊の前段階となるコーン状のひび割れが発生したことを検知する。なお、金属製アンカー10の説明は上記に譲り、ここでは、主にコーン状破壊検知装置90について説明する。
【0090】
コーン状破壊検知装置90は、金属製アンカー10に隣接しコンクリート躯体Cに穿孔した下穴BHに設けられている。上記のアンカー穴AHに隣接するように且つ平行に穿孔された下穴BHは、上記の遊嵌孔12と略同径であって、アンカー穴AHと略同長に形成されている。また、下穴BHは、主体を為す長いストレート穴部BHaと、開口部側の短い定着孔部BHbとから成り、同軸上においてストレート穴部BHaと定着孔部BHbとは、環状段部BHdを存して連通している。
【0091】
一方、固定対象物SのベースプレートSaには、後述するコーン状破壊検知装置90のスリーブ部92が遊挿される円形開口Saaが形成されている。そして、コーン状破壊検知装置90は、金属製アンカー10におけるロッド状部材15および荷重検知装置16と類似の形態を有しており、その主要部品は、スチールやステンレススチール等で形成されている。
【0092】
コーン状破壊検知装置90は、下穴BHに挿入された状態でコンクリート躯体Cに定着される棒状アンカー91と、下穴BHの定着孔部BHbにおいてコンクリート躯体Cに定着されるスリーブ部92と、外部側からスリーブ部92に当接した状態で棒状アンカー91の基端部に設けられた破壊検知機構部93と、を備えている。
【0093】
棒状アンカー91は、上記のロッド状部材15と同様に、全ネジボルトで構成されたアンカー本体95と、アンカー本体95の先端部を、下穴BH(ストレート穴部BHa)の最奥部においてコンクリート躯体Cに定着させるアンカー定着部96と、を有している。アンカー本体95の先端部には、アンカー定着部96が螺合し、基端部には、スリーブ部92内に位置する破壊検知機構部93が螺合している。
【0094】
アンカー定着部96は、先端側に拡張部101aを有し、基端側がアンカー本体95に螺合する筒状本体101と、筒状本体101に挿入される拡張カラー102と、打ち込みにより拡張カラー102を介して拡張部101aを拡開させる拡張コーン103と、を有している(図15参照)。このアンカー定着部96では、拡張カラー102および拡張コーン103を組み込んだ筒状本体101を、下穴BHの最奥部に挿入し、打込み棒を用いて拡張コーン103を打ち込むようにする。
【0095】
拡張コーン103を打ち込むと、拡張カラー102が拡開し、拡開した拡張カラー102により筒状本体101の拡張部101aが拡開する。外方に広がった拡張部101aは、下穴BHの周面に圧接され、筒状本体101が下穴BHの最奥部に定着される。そして、定着された筒状本体101(アンカー定着部96)に、アンカー本体95の先端部が螺合されるようになっている。なお、筒状本体101の定着を確実なものとし、且つアンカー本体95の先端部が筒状本体101に接着される(緩み止め)ように、予め下穴BHの最奥部に接着剤(図示省略)を注入しておくことが好ましい。
【0096】
スリーブ部92は、スチールやステンレススチール等で形成され、内部に、破壊検知機構部93を収容した状態で、下穴BHの定着孔部BHbに定着されている。スリーブ部92の外周面には、雄ネジ92a或いはリング状の凹凸が形成されており(図示のものは雄ネジ92a:図15参照)、その図示下半部を定着孔部BHbに打ち込むようにして、スリーブ部92がコンクリート躯体Cに定着される。また、この状態でスリーブ部92は、円形開口Saaの部分でベースプレートSaを貫通し、ベースプレートSaの表面から突出している。
【0097】
破壊検知機構部93は、上記の荷重検知装置16と同様の形態を有している。すなわち、破壊検知機構部93は、装置本体116と、接続部117と、を有し、装置本体116には、ディスプレー154および操作ボタン155が設けられている。また、装置本体116には、制御部、圧力センサーおよびメモリー(いずれも図示省略)が組み込まれている。そして、破壊検知機構部93は、コンクリート躯体Cにコーン状破壊(コーン状のひび割れ)が発生したことを検知する。
【0098】
具体的には、コンクリート躯体Cの表面が盛り上がると、これに定着されているスリーブ部92が外方に微小移動し、スリーブ部92の基端面92bにより、装置本体116が押圧される。破壊検知機構部93は、この押圧力を、装置本体116に組み込まれた圧力センサーにより測定する。また、破壊検知機構部93は、圧力センサーにより所定の圧力閾値を超える圧力値を計測した場合、スリーブ部92が所定の移動量閾値を超えて移動したものと判定し、コーン状破壊の発生を検知する。また、破壊検知機構部93は、コーン状破壊の発生を検知すると、その検知日時をメモリーに記憶する。また、破壊検知機構部93は、操作ボタン155による表示操作に基づいて、メモリーに記憶されている情報(コーン状破壊の発生を検知した旨、およびその検知日時)をディスプレー154に表示する。
【0099】
このように、本実施形態に係るアンカーシステム80によれば、アンカーボルト11に想定を越える荷重、すなわち、許容引張り荷重を越える荷重が作用したときに、荷重検知装置16がこれを検知し、その検知結果をディスプレー54に表示する。一方で、コンクリート躯体C内にコーン状のひび割れが発生したときに、コーン状破壊検知装置90における破壊検知機構部93がこれを検知し、その検知結果をディスプレー154に表示する。これらにより、管理者は、金属製アンカー10の点検・管理を適切に行うことができ、金属製アンカー10の破壊(アンカーボルト11の破断およびコンクリート躯体Cのコーン状破壊)を有効に防止することができる。
【0100】
なお、上述のように、破壊検知機構部93と荷重検知装置16とが同様の形態を有していることから、破壊検知機構部93として、荷重検知装置16の第2実施形態以降の各構成を適用可能であることは、言うまでもない。
【0101】
例えば、破壊検知機構部93が第2実施形態に係る荷重検知装置16Bの構成を有している場合、コーン状破壊検知装置90(破壊検知機構部93)は、管理者端末100に対して検知結果を示す情報を送信し、管理者端末100では、荷重検知装置16Bから取得した情報と、コーン状破壊検知装置90から取得した情報とを、同一画面上で表示することが好ましい。また、この場合、管理者端末100は、金属製アンカー10の修繕の要否を、荷重検知装置16Bおよびコーン状破壊検知装置90から取得した情報に基づいて判別することが好ましい。
【0102】
また、破壊検知機構部93が第3実施形態に係る荷重検知装置16Cの構成を有している場合、コーン状破壊検知装置90(破壊検知機構部93)は、集中管理サーバー320に対して検知結果を示す情報を送信し、集中管理サーバー320では、荷重検知装置16Cから取得した情報と、コーン状破壊検知装置90から取得した情報とを、同一画面上で表示することが好ましい。また、この場合、集中管理サーバー320は、金属製アンカー10の修繕の要否を、隣接して設けられた金属製アンカー10(荷重検知装置16C)およびコーン状破壊検知装置90から取得した情報に基づいて判別することが好ましい。
【0103】
以上、4つの実施形態を示したが、各実施形態および各変形例に示した荷重検知装置16(16A,16B,16C)、コーン状破壊検知装置90、管理者端末100および集中管理サーバー320の各処理を実行する方法、各処理を実行するためのプログラム(管理アプリケーション61)、またそのプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0104】
10…金属製アンカー、11…アンカーボルト、12…遊嵌孔、12a…孔本体、12b…収容孔部、12c…ネジ孔部、13…定着機構部、15…ロッド状部材、16…荷重検知装置、21…拡開ナット、24…ナット本体、25…拡開部、26…コーン部、31…装置本体、32…接続部、AH…アンカー穴、AHa…拡径部、C…コンクリート躯体、S…固定対象物、Sa…ベースプレート
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