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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】半導体部品の製造方法及び複合ウェハ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240129BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20240129BHJP
   H01L 21/603 20060101ALI20240129BHJP
   H01L 21/67 20060101ALI20240129BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240129BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20240129BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20240129BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240129BHJP
【FI】
H01L21/60 311S
H01L21/02 B
H01L21/60 311T
H01L21/603 B
H01L21/68 E
H01L21/68 N
H01L25/08 Y
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020006013
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021114523
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 耕平
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-010977(JP,A)
【文献】特開2018-060952(JP,A)
【文献】特開2001-308137(JP,A)
【文献】特開平09-293802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60-21/607
H01L 21/50-21/52
H01L 21/58
H01L 21/02
H01L 21/67-21/687
H01L 25/00-25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップの接合面にそれぞれ対応する複数の配置領域を含むベースウェハと、前記ベースウェハに着脱可能に接合されるサポートウェハと、を備えた複合ウェハであり、前記サポートウェハの厚みは、前記ベースウェハの厚みよりも大きく、前記サポートウェハは、平面視してそれぞれの前記配置領域を囲むように形成された熱障壁部を含む、前記複合ウェハを準備する工程と、
熱硬化性のチップ接合部材を用いて前記配置領域に前記半導体チップを実装する工程と、を有する、半導体部品の製造方法。
【請求項2】
前記サポートウェハは、前記ベースウェハが着脱可能に接合されるサポートウェハ接合面と、前記サポートウェハ接合面に対して逆側のサポートウェハ裏面と、を有し、
前記熱障壁部は、前記サポートウェハ裏面から前記サポートウェハ接合面に向けて延びる、請求項1に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項3】
前記熱障壁部は、前記サポートウェハ裏面に開口を有する溝と、前記溝に充填されたモールド材と、によって構成される、請求項2に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項4】
前記熱障壁部は、前記サポートウェハ裏面に開口を有する溝によって構成される空隙である、請求項2に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項5】
前記半導体チップを実装する工程は、前記複数の配置領域が設定される前記ベースウェハのベースウェハ接合面に前記チップ接合部材を配置する工程を含む、請求項1~4の何れか一項に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項6】
前記半導体チップを実装する工程は、
前記チップ接合部材を配置する工程と、
前記チップ接合部材に前記半導体チップを載置した後に、前記半導体チップを前記複合ウェハに向けて押圧しながら前記半導体チップを介して前記チップ接合部材に熱を加える工程と、を含む、請求項5に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項7】
前記半導体チップを実装する工程は、
前記ベースウェハ接合面と対面する前記半導体チップのチップ接合面に前記チップ接合部材を設ける工程と、
前記チップ接合部材を配置する工程として、前記ベースウェハ接合面の前記配置領域に前記チップ接合部材が設けられた前記半導体チップを載置する工程と、
前記チップ接合部材が設けられた前記半導体チップを前記複合ウェハに向けて押圧しながら前記半導体チップを介して前記チップ接合部材に熱を加える工程と、を含む、請求項5に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項8】
前記半導体チップを載置する工程では、一つの前記配置領域に対して、前記チップ接合部材が設けられた前記半導体チップを一個配置する、請求項7に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項9】
前記半導体チップを載置する工程では、一つの前記配置領域に対して、前記チップ接合部材が設けられた複数の前記半導体チップを積み重ねる、請求項7に記載の半導体部品の製造方法。
【請求項10】
半導体チップの接合面にそれぞれ対応する複数の配置領域を含むベースウェハと、
前記ベースウェハに着脱可能に接合されるサポートウェハと、を備え、
前記サポートウェハの厚みは、前記ベースウェハの厚みよりも大きく、
前記サポートウェハは、平面視してそれぞれの前記配置領域を囲むように形成された熱障壁部を含む、複合ウェハ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部品の製造方法及び複合ウェハに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体部品を製造する技術分野では、更なる高機能化や小型化を実現する半導体部品の製造技術が検討されている。例えば、特許文献1は、複数の半導体チップを積層させた半導体部品を製造する技術を開示する。半導体チップは、熱硬化性の接合部材によって互いに接合される。しかし、半導体チップの積層数が増加すると、加熱箇所に近い位置にある接合部材と、加熱箇所から遠い位置にある接合部材とで、温度差が生じてしまう。特許文献1では、このような課題に注目し、積層数が多くても複数の半導体チップを適切に実装できる技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-060952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体部品の製造にあっては、高機能化や小型化がなされた半導体部品を一枚の半導体ウェハから複数製造することが望まれている。そこで、半導体ウェハに半導体チップを配置するとき、半導体チップ同士の間隔は、可能な限り狭くされている。
【0005】
半導体チップを半導体基板に対して実装するときには、例えば、半導体チップに対して荷重を提供することがある。また、半導体チップに対して熱を提供することもある。このような処理において、半導体チップ同士の間隔が狭いと、処理対象である半導体チップの周囲に配置された半導体チップにも当該処理の影響が及ぶことがあり得る。このような処理対象でない半導体チップへの影響は、半導体部品の不具合の要因となる可能性がある。従って、動作不良を起こす可能性がある半導体部品が製造されてしまい、歩留まりの低下することがあった。
【0006】
本発明は、歩留まりの低下を抑制できる半導体部品の数を低減できる半導体部品の製造方法及び複合ウェハを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態である半導体部品の製造方法は、半導体チップが接合される複数の配置領域を含むベースウェハと、ベースウェハに着脱可能に接合されるサポートウェハと、を備えた複合ウェハであり、サポートウェハの厚みは、ベースウェハの厚みよりも大きく、サポートウェハは、平面視して配置領域を囲むように形成された熱障壁部を含む、複合ウェハを準備する工程と、熱硬化性のチップ接合部材を用いて配置領域に半導体チップを実装する工程と、を有する。
【0008】
この製造方法では、ベースウェハがサポートウェハに接合されている。サポートウェハは、ベースウェハの配置領域を囲むように形成された熱障壁部を含んでいる。そうすると、ある配置領域において熱硬化性のチップ接合部材に熱を加えることにより、半導体チップを実装するときに、熱障壁部は、ある配置領域に隣接する別の配置領域に及ぼす当該熱の影響を抑制する。その結果、意図しないチップ接合部材の熱硬化の発生が抑制されるので、それぞれの半導体チップを所望の態様で実装することが可能になる。従って、歩留まりの低下を抑制できる。
【0009】
一形態において、サポートウェハは、ベースウェハが着脱可能に接合されるサポートウェハ接合面と、サポートウェハ接合面に対して逆側のサポートウェハ裏面と、を有し、熱障壁部は、サポートウェハ裏面からサポートウェハ接合面に向けて延びていてもよい。この構成によれば、サポートウェハ接合面の平面度を維持することができる。
【0010】
一形態において、熱障壁部は、サポートウェハ裏面に開口を有する溝と、溝に充填されたモールド材と、によって構成されていてもよい。この構成によれば、熱障壁部が奏する熱遮蔽効果を高めると共にサポートウェハの剛性の低下を抑制することができる。
【0011】
一形態において、熱障壁部は、サポートウェハ裏面に開口を有する溝によって構成される空隙であってもよい。この構成によれば、簡易な構造によって熱遮蔽効果を得ることができる。
【0012】
一形態において、半導体チップを実装する工程は、複数の配置領域が設定されるベースウェハのベースウェハ接合面にチップ接合部材を配置する工程を含んでもよい。この工程によれば、熱硬化処理が行われているチップ接合部材に隣接する別のチップ接合部材の意図しない熱硬化の発生を抑制することができる。
【0013】
一形態において、半導体チップを実装する工程は、チップ接合部材を配置する工程と、チップ接合部材に半導体チップを載置した後に、半導体チップを複合ウェハに向けて押圧しながら半導体チップを介してチップ接合部材に熱を加える工程と、を含んでもよい。これらの工程によれば、ベース実装面に対して一括してチップ接合部材を配置することができる。
【0014】
一形態において、半導体チップを実装する工程は、ベースウェハ接合面と対面する半導体チップのチップ接合面にチップ接合部材を設ける工程と、チップ接合部材を配置する工程として、ベースウェハ接合面の配置領域にチップ接合部材が設けられた半導体チップを載置する工程と、チップ接合部材が設けられた半導体チップを複合ウェハに向けて押圧しながら半導体チップを介してチップ接合部材に熱を加える工程と、を含んでもよい。これらの工程によれば、半導体チップごとにチップ接合部材を配置することができる。
【0015】
一形態において、半導体チップを載置する工程では、一つの配置領域に対して、チップ接合部材が設けられた半導体チップを一個配置してもよい。この工程によれば、簡易な構成の半導体部品を製造することができる。
【0016】
一形態において、半導体チップを載置する工程では、一つの配置領域に対して、チップ接合部材が設けられた複数の半導体チップを積み重ねてもよい。この工程によれば、積層型の半導体部品を製造することができる。
【0017】
本発明の別の形態である複合ウェハは、半導体チップが接合される複数の配置領域を含むベースウェハと、ベースウェハに着脱可能に接合されるサポートウェハと、を備え、サポートウェハの厚みは、ベースウェハの厚みよりも大きく、サポートウェハは、平面視して配置領域を囲むように形成された熱障壁部を含む。
【0018】
サポートウェハは、ベースウェハの配置領域を囲むように形成された熱障壁部を含んでいる。そうすると、ある配置領域において熱硬化性のチップ接合部材に熱を加えることにより、半導体チップを実装するときに、熱障壁部は、ある配置領域に隣接する別の配置領域に及ぼす当該熱の影響を抑制する。その結果、意図しないチップ接合部材の熱硬化の発生が抑制されるので、それぞれの半導体チップを所望の態様で実装することが可能になる。従って、動作不良を起こす可能性がある半導体部品の数を低減することができる。その結果、歩留まりの低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、歩留まりの低下を抑制できる半導体部品の製造方法及び複合ウェハが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、半導体装置の製造方法に用いるボンディング装置を示す概要図である。
図2図2は、複合ウェハをベースウェハ側からみた斜視図である。
図3図3は、複合ウェハをサポートウェハ側からみた斜視図である。
図4図4は、複合ウェハのサポートウェハの一部を拡大して示す平面図である。
図5図5は、図2のV-V線に沿う断面図である。
図6図6(a)、図6(b)及び図6(c)は、第1実施形態の半導体部品の製造方法における複合ウェハを準備する工程を示す図である。
図7図7(a)は、図6(c)に続く複合ウェハを準備する工程を示す図である。図7(b)及び図7(c)は、図7(a)に続く半導体チップを実装する工程を示す図である。
図8図8(a)、図8(b)及び図8(c)は、図7(c)に続く半導体チップを実装する工程を示す図である。
図9図9(a)及び図9(b)は、半導体部品ごとに切り分ける工程を示す図である。
図10図10(a)、図10(b)及び図10(c)は、図9(b)に続く半導体部品ごとに切り分ける工程を示す図である。
図11図11(a)は、比較例の複合ウェハの作用効果を説明するための拡大斜視図である。図11(b)は、実施形態の複合ウェハの作用効果を説明するための拡大斜視図である。
図12図12(a)及び図12(b)は、第2実施形態の半導体部品の製造方法における半導体チップを実装する工程を示す図である。
図13図13は、図12(b)に続く半導体チップを実装する工程を示す図である。
図14図14(a)及び図14(b)は、第3実施形態の半導体部品の製造方法における半導体チップを実装する工程を示す図である。
図15図15(a)及び図15(b)は、図14(b)に続く半導体チップを実装する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1実施形態>
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
<ボンディング装置>
図1に示されるように、ボンディング装置100は、複合ウェハ1に電子部品の一例である半導体チップ30を実装する。この実装により、複合ウェハ1の一部と半導体チップ30とを備える半導体部品90(図10(c)参照)が得られる。以下の説明においては、互いに直交するX軸及びY軸を半導体チップ30の主面(又はいずれかのステージの主面)に平行な方向とする。Z軸は、X軸及びY軸の双方に垂直な方向である。
【0023】
まず、ボンディング装置100について説明する。図1に示されるように、ボンディング装置100は、チップステージ101と、中間ステージ102と、ボンディングステージ103と、ボンディングユニット104と、XYステージ105と、ボンディング制御部(以下、単に「制御部106」と称する)と、を有する。
【0024】
チップステージ101には、複数の半導体チップ30を含むウェハ110が一時的に載置される。チップステージ101には、貼着フィルム(図示せず)によってウェハ110が固定される。
【0025】
中間ステージ102は、半導体チップ30が一時的に載置される。中間ステージ102は、図示しない貼着フィルムによって半導体チップ30を着脱可能に保持する。中間ステージ102は、チップステージ101とボンディングステージ103との間に配置される。中間ステージ102は、図示しないリニアモータなどの駆動機構により、X軸方向及びY軸方向に移動可能に構成される。
【0026】
ボンディングステージ103には、複合ウェハ1が載置される。複合ウェハ1については、後に詳細に説明する。ボンディングステージ103は、図示しない貼着フィルムによって複合ウェハ1を着脱可能に保持する。ボンディングステージ103は、ガイドレールを含む図示しない駆動機構によって、複合ウェハ1をX軸方向及び/又はY軸方向に移動することができる。また、ボンディングステージ103は複合ウェハ1を加熱するためのヒータを有してもよい。さらに、ボンディングステージ103は複合ウェハ1に紫外線を照射する光源103aを有してもよい。
【0027】
ボンディングユニット104は、ボンディングヘッド104aと、ボンディングツール104bと、Z軸駆動機構104cと、撮像部104dと、を有する。ボンディングヘッド104aは、XYステージ105に取り付けられ、X軸方向及びY軸方向に移動可能とされる。ボンディングツール104bは、Z軸駆動機構104cを介してボンディングヘッド104aに取り付けられる。ボンディングツール104bは、エアバキューム機能及び/又はエアブロー機能を有する。この機能により、ボンディングツール104bは、半導体チップ30を吸着又は離脱することができる。
【0028】
撮像部104dもボンディングヘッド104aに取り付けられる。つまり、XYステージ105によってボンディングヘッド104aが移動すると、ボンディングヘッド104aに取り付けられたボンディングツール104b及び撮像部104dも同様に移動する。撮像部104dは、ボンディングツール104bからY軸方向に所定距離だけ離間する。撮像部104dは、中間ステージ102に載置された半導体チップ30を撮像する。また、撮像部104dは、ボンディングステージ103に載置された半導体チップ30を撮像する。なお、撮像部104dはボンディングヘッド104aに固定されなくてもよい。撮像部104dは、ボンディングツール104bとは別個に移動可能であってもよい。
【0029】
<複合ウェハ>
次に、複合ウェハ1について詳細に説明する。複合ウェハ1は、2枚の半導体ウェハを含む複合半導体ウェハである。具体的には、複合ウェハ1は、ベースウェハ10と、サポートウェハ20と、を含む。なお、複合ウェハ1は、半導体ウェハとは別の材料により形成されたウェハを含んでもよい。例えば、複合ウェハ1は、ガラスウェハを含んでもよい。
【0030】
図2は、複合ウェハ1をベースウェハ10側から見た斜視図である。ベースウェハ10は、例えば、シリコン製の薄膜ウェハである。ベースウェハ10は、後の工程で個片化されて、半導体チップ30と共に半導体部品90を構成する。ベースウェハ10は、半導体チップ30が接合される回路形成面10aと、サポートウェハ20に接合されるベースウェハ接合面10b(図5参照)と、を含む。回路形成面10aには、二次元状に並置された複数の配置領域Pが設定されている。ひとつの配置領域Pには、1個又は複数個の半導体チップ30が実装される。ベースウェハ10の厚みは、例えば、100μm程度である。そこで、ベースウェハ10には、搬送時などの取り扱いを容易にするため、サポートウェハ20が接合されている。
【0031】
図3は、複合ウェハ1をサポートウェハ20側から見た斜視図である。サポートウェハ20は、複合ウェハ1の剛性を規定する。つまり、サポートウェハ20の剛性は、ベースウェハ10の剛性よりも大きい。この剛性は、サポートウェハ20の厚みによってもたらされている。つまり、サポートウェハ20の厚みは、ベースウェハ10の厚みよりも大きい。例えば、サポートウェハ20の厚みは、500μm程度である。サポートウェハ20は、ベースウェハ10と同じ材料により構成されていてもよい。この構成によれば、ベースウェハ10の熱膨張係数とサポートウェハ20の熱膨張係数とが同じである。従って、熱処理時におけるベースウェハ10の熱変形量とサポートウェハ20の熱変形量との差分が解消され、それぞれのウェハに熱応力に起因するダメージが生じることを抑制できる。本実施形態では、サポートウェハ20は、シリコンにより構成されている。なお、サポートウェハ20の材料は、ベースウェハ10の材料と異なっていてもよい。例えば、サポートウェハ20の材料として、ガラスを用いてもよい。また、サポートウェハ20の形状は、厚みがベースウェハ10と異なるほかは、ベースウェハ10と同じである。つまり、サポートウェハ20とベースウェハ10とを重ねて平面視すると、これらの外形形状は、一致する。
【0032】
サポートウェハ20は、サポートウェハ接合面20a(図5参照)と、サポートウェハ裏面20bと、を有する。サポートウェハ接合面20aには、ベースウェハ10が接合されている。サポートウェハ20は、ベースウェハ10と異なり、半導体部品90を構成しない。つまり、サポートウェハ20は、半導体部品90を製造する工程のある時点(工程S10:図9(b)等参照)で取り除かれる。そこで、サポートウェハ20とベースウェハ10との接合には、接合強度を制御可能な接合部材が用いられる。例えば、紫外線を照射することによって、接合強度を弱めることが可能な樹脂材料が用いられる。このような光処理を行うため、サポートウェハ20は、所定の波長を有する光を透過する。
【0033】
サポートウェハ20は、その内部に熱障壁部21を有する。熱障壁部21は、格子状に設けられた複数の障壁22を含む。障壁22は、サポートウェハ20の直径方向における熱移動を阻害する。複数の障壁22が形成する格子は、上述した配置領域Pに対応する。つまり、ひとつの格子は、ひとつの配置領域Pに対応する。換言すると、複合ウェハ1を平面視して、熱障壁部21は、半導体チップ30を囲むように形成されている。
【0034】
図4は、サポートウェハ裏面20bの周辺部分を拡大して示す平面図である。図4に示すように、それぞれの障壁22の端部は、サポートウェハ20の外周縁20eにまで達しない。従って、サポートウェハ20の外周には、障壁22が形成されていない壁なし領域25が形成される。つまり、サポートウェハ20は、複数の障壁22が形成された壁あり領域26と、障壁22が形成されていない壁なし領域25と、を含む。壁なし領域25は、壁あり領域26を囲むように、輪状に形成されている。このような壁なし領域25によれば、サポートウェハ20の剛性に障壁22の形成が及ぼす影響の度合いを小さくすることができる。換言すると、サポートウェハ20の剛性の低下を抑制することができる。
【0035】
障壁22は、互いに隣接する半導体チップ30の隙間に対応する領域に形成されている。つまり、障壁22の上には、半導体チップ30は配置されない。障壁22の幅は、半導体チップ30同士の間隔よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。また、障壁22の幅は、半導体チップ30同士の間隔と略同じであってもよい。
【0036】
障壁22は、最も外側に配置される配置領域Pを完全に囲んでいない部分を含む。例えば、配置領域P1は、障壁22に四辺を囲まれている。換言すると、配置領域P1を囲む障壁22は、互いに繋がっている。一方、配置領域P2も、その周囲に障壁22が形成されている。しかし、配置領域P2は、一部の辺の近傍に障壁22が形成されている。つまり、本実施形態で言う「配置領域を囲むように」とは、配置領域P1のように四辺のすべての近傍に障壁22が形成されている場合だけでなく、配置領域P2などのように四辺のうち一部の辺の近傍に障壁22が形成されている場合も含む。配置領域P2を囲む障壁22は、互いに繋がっていない非接続部分27を含む。このような非接続部分27は、障壁22の突出部28によって形成される。
【0037】
突出部28によれば、一方の配置領域P2から他方の配置領域P2への熱経路を長くすることができる。従って、一方の半導体チップ30へ加えた熱が他方の半導体チップ30へ伝わることを抑制することができる。
【0038】
さらに、非接続部分27は、隣に半導体チップ30が存在しない辺側に形成される。このような非接続部分27によれば、サポートウェハ20の外周縁20eに近い領域に剛性の低下を招く溝23の形成が回避される。従って、サポートウェハ20の剛性の低下を抑制することができる。
【0039】
図5に示すように、障壁22は、溝23とモールド材24とによって構成される。溝23は、サポートウェハ裏面20bに設けられた開口23aと、サポートウェハ接合面20a側に形成された底面23bと、を含む。つまり、溝23は、サポートウェハ接合面20aまで達しない。溝23の深さは、サポートウェハ裏面20bから底面23bまでの距離で規定される。本実施形態では、溝23の深さは、サポートウェハ20の厚みの半分程度よりも深い。なお、溝23の深さは、サポートウェハ20の厚みの半分程度であってよいし、浅くてもよい。
【0040】
溝23には、樹脂といったモールド材24が充填されている。モールド材24は、溝23の形成に伴って低下するサポートウェハ20の剛性を補う。さらに、モールド材24は、サポートウェハ20の直径方向における熱抵抗部を構成する。従って、モールド材24の熱伝導率は、サポートウェハ20の熱伝導率よりも著しく低い。また、モールド材24の熱膨張係数は、サポートウェハ20の熱膨張係数に近いものが好ましい。このようなモールド材24を用いることにより、モールド材24とサポートウェハ20との熱変形量の差に起因して生じる熱応力を抑制することができる。
【0041】
<半導体部品の製造方法>
次に、図6図10を参照しながら、複合ウェハ1を用いた半導体部品90の製造方法について説明する。
【0042】
<複合ウェハを準備する工程>
複合ウェハ1を準備する(工程S1~S4)。まず、ウェハ20Sを準備する(工程S1:図6(a))。そして、ダイシングカッター301などを用いて、サポートウェハ裏面20bに切り込み(溝23)を形成する(工程S2:図6(b))。次に、溝23にモールド材24を流し込む(工程S3:図6(c))。以上の工程S1~S3によって、熱障壁部21を含むサポートウェハ20を得る。次に、サポートウェハ接合面20aにウェハ接合部材42を塗布する。そして、ベースウェハ10をサポートウェハ20に接合する(工程S4:図7(a))。以上の工程S1~S4によって、複合ウェハ1を得る。
【0043】
<半導体チップを実装する工程>
次に、半導体チップを実装する(工程S5~S8)。まず、複合ウェハ1をボンディングステージ103に配置する(工程S5:図7(b))。続いて、ベースウェハ10の回路形成面10aにフィルム状のチップ接合部材41を配置する(工程S6:図7(c))。このチップ接合部材41は、例えば、NCF(Non Conductive Film)と呼ばれる非導電性のフィルム材料である。このチップ接合部材41は、半導体チップ30とベースウェハ10との間に挟まれた後に、熱によって硬化する。
【0044】
チップ接合部材41は、軟化開始温度と、硬化開始温度と、を有する。硬化開始温度は、軟化開始温度よりも高い。チップ接合部材41の温度が軟化開始温度より低いとき、チップ接合部材41は、流動性を発揮することなく、例えばフィルム状の形状を保つ。チップ接合部材41の温度が軟化開始温度より高く硬化開始温度より低いとき、チップ接合部材41は、流動性を発揮する。この状態では、チップ接合部材41は、外力に対して容易に変形する。従って、半導体チップ30とベースウェハ10との間隙を隙間なく埋めることが可能である。チップ接合部材41の温度が硬化開始温度より高いとき、チップ接合部材41は、次第に硬化する。
【0045】
続いて、半導体チップ30を接合する(工程S7、S8)。ボンディング装置100は、ボンディングツール104bによって中間ステージ102から半導体チップ30を取り上げる。そして、ボンディング装置100は、所定の配置領域Pへ半導体チップ30を載置する(工程S7:図8(a))。ボンディング装置100は、ボンディングツール104bから半導体チップ30を離すことなく、次の処理(工程S8)を連続して行う。
【0046】
図8(b)に示すように、ボンディング装置100は、ボンディングツール104bの温度を高める。ボンディングツール104bの温度上昇に伴って、チップ接合部材41の温度が軟化開始点より高くなると、チップ接合部材41は流動性を発揮する。そして、ボンディング装置100は、ボンディングツール104bを複合ウェハ1側に押し付ける。その結果、流動性を発揮しているチップ接合部材41は、半導体チップ30とベースウェハ10との間隙を隙間なく埋める。例えば、ボンディングツール104bが半導体チップ30に与える荷重は、軟化したチップ接合部材41を押しのけてバンプ33が電極端子11に接触し、かつ、バンプ33が大きく変形しない程度に設定される。
【0047】
さらにボンディングツール104bの温度が上昇し、チップ接合部材41の温度が硬化開始温度より高くなると、流動性を発揮しているチップ接合部材41は、硬化を開始する。さらにボンディングツール104bの温度が上昇し、バンプ33の温度が溶融温度より高くなると、バンプ33が溶融し、電極端子11に密着する。その結果、バンプ33は、電極端子11に電気的に接合される。その後、ボンディングツール104bを半導体チップ30から離間させる。
【0048】
ここで、ボンディングヘッド104aから提供された熱は、複合ウェハ1の内部を伝わり、周囲に拡散しようとする。この場合に、複合ウェハ1の直径方向については、熱障壁部21によって熱の拡散が抑制される。つまり、熱は、半導体チップ30の接合が行われている配置領域Pに隣接する配置領域Pへは移動しにくい。その結果、隣接する配置領域Pのチップ接合部材41の温度上昇が抑制されるので、意図しないチップ接合部材41の熱硬化の発生が抑制される。この抑制効果は、特に、ボンディングツール104bの温度がチップ接合部材41の硬化開始温度よりも高い場合、あるいは、ボンディングツール104bの温度がバンプ33の溶融温度よりも高い場合に有効である。なお、熱障壁部21の作用については、後に詳細に説明する。
【0049】
そして、配置領域Pについて、順次半導体チップ30を接合する。その結果、ベースウェハ10に対して機械的及び電気的に複数の半導体チップ30が接合される(図8(c)参照)。
【0050】
続いて、半導体部品90ごとに切り分ける(工程S9~S11)。まず、埋め込み領域302を形成する(工程S9:図9(a))。この工程S9では、ベースウェハ10の回路形成面10a及び半導体チップ30を覆うように、埋め込み領域302を形成する。埋め込み領域302は、例えば、樹脂材料により構成してよい。続いて、サポートウェハ20からベースウェハ10を取り外す。この工程S10では、サポートウェハ20のサポートウェハ裏面20bから紫外線Lを照射する(工程S10:図9(b))。その結果、ウェハ接合部材42の接合強度が低下するので、サポートウェハ20からベースウェハ10を取り外すことができる(図10(a)参照)。続いて、ダイシングカッター301などを用いて、半導体部品90を切り分ける(工程S11:図10(b))。その結果、個片化された複数の半導体部品90が得られる(図10(c)参照)。
【0051】
<作用効果>
半導体部品の製造方法は、半導体チップ30が接合される複数の配置領域Pを含むベースウェハ10と、ベースウェハ10に着脱可能に接合されるサポートウェハ20と、を備えた複合ウェハ1を用いる。サポートウェハ20の厚みは、ベースウェハ10の厚みよりも大きい。サポートウェハ20は、平面視して配置領域Pを囲むように形成された熱障壁部21を含む。そして、半導体部品90の製造方法は、複合ウェハ1を準備する工程(工程S1~S4)と、熱硬化性のチップ接合部材41を用いて配置領域Pに半導体チップ30を実装する工程(工程S5~S8)と、を有する。
【0052】
この製造方法では、ベースウェハ10がサポートウェハ20に接合されている。サポートウェハ20は、ベースウェハ10の配置領域Pを囲むように形成された熱障壁部21を含んでいる。そうすると、ある配置領域Pにおいて熱硬化性のチップ接合部材41に熱を加えることにより、半導体チップ30を実装するときに、熱障壁部21は、ある配置領域Pに隣接する別の配置領域Pに及ぼす当該熱の影響を抑制する。
【0053】
熱障壁部21の作用についてさらに詳細に説明する。図11(a)は、比較例の複合ウェハ1Eの一部を拡大して示す斜視図である。比較例の複合ウェハ1Eは、熱障壁部21を有しない。ある領域R1がボンディングツール104bから熱を受ける入熱面であるとする。この場合には、熱は、ベースウェハ10及びサポートウェハ20Eの内部を拡散しようとする。例えば、ある領域R1から隣接する領域R2に向かう方向に注目する。熱Hの移動は、単位面積あたりに流れる熱量(q:熱流束)を定義すると、式(1)により示される。
q=Q/A…(1)
q:熱流束
Q:熱量
A:面積
【0054】
また、熱移動に関するフーリエの法則は、式(2)により示される。
q=-λ×dT/dx…(2)
λ:熱伝導率
dT/dx:熱勾配
【0055】
式(1)、(2)によれば、式(3)が得られる。
Q=-λ×dT/dx×A…(3)
つまり、移動する熱量(Q)は、面積及び温度勾配に比例する。
【0056】
そうすると、ある領域R1から隣接する領域R2に熱Hが移動するとき、熱移動に寄与する面積を制限すれば、移動する熱量(Q)も制限される。図11(a)に示す構造において、例えば、ある領域R1から隣接する領域R2との間に位置する面N1を規定する。この面N1は、ベースウェハ10とサポートウェハ20とを含む。そして、ベースウェハ10及びサポートウェハ20が同じ材料(シリコン)であるとすると、面N1の全体が熱移動に寄与するものとして規定できる。このような構成では、ある領域R1から隣接する領域R2に移動する熱量(Q)が大きくなる。そうすると、隣接する領域R2の一部において、意図しないチップ接合部材41の熱硬化が生じる可能性がある。部分的に熱硬化が生じたチップ接合部材41に対して、本来の接合処理を行うと、意図した接合状態が形成されない場合もあり得る。例えば、半導体チップ30に傾きが生じ、バンプ33と電極端子11との接触不良が生じることもあり得る。
【0057】
一方、図11(b)は、実施形態の複合ウェハ1の一部を拡大して示す斜視図である。図11(b)に示す構造において、ある領域R1から隣接する領域R2との間に位置する面N2を規定する。この面N2は、ベースウェハ10及びサポートウェハ20に加えて、障壁22を含む。上述したように、ベースウェハ10及びサポートウェハ20が同じ材料(シリコン)であるとすると、面N2の一部領域N2aが熱移動に寄与するものとして規定できる。一方、障壁22は、ベースウェハ10及びサポートウェハ20よりも熱抵抗が大きいので、実質的に熱移動に寄与しないとみなすことができる。そうすると、実施形態の複合ウェハ1における熱移動に寄与する面積は、障壁22によって比較例の複合ウェハ1よりも小さくなる。従って、面積の減少に伴って、移動する熱量(Q)も、減少する。
【0058】
その結果、ある領域R1における加熱に起因して、隣接する領域R2の温度が上昇する度合いを抑制することができる。そして、意図しないチップ接合部材41の熱硬化の発生が抑制されるので、それぞれの半導体チップ30を所望の態様で実装することが可能になる。従って、動作不良を起こす可能性がある半導体部品90の数を低減することができる。その結果、歩留まりの低下を抑制できる。
【0059】
つまり、熱障壁部21によって、熱が提供される配置領域Pから熱が移動し難くなる。そして、熱は、障壁22に囲まれた領域に留まりやすくなる。その結果、半導体チップ30及びチップ接合部材41を好適に加熱することができる。具体的には、半導体チップ30及びチップ接合部材41に生じ得る温度差を小さくすることができる。この効果は、後述する第3実施形態で製造される複数の半導体チップ30を積層させる場合に、特に有効である。
【0060】
サポートウェハ20は、ベースウェハ10が着脱可能に接合されるサポートウェハ接合面20aと、サポートウェハ接合面20aに対して逆側のサポートウェハ裏面20bと、を有する。熱障壁部21は、サポートウェハ裏面20bからサポートウェハ接合面20aに向けて延びている。この構成によれば、サポートウェハ接合面20aの平面度を維持することができる。
【0061】
熱障壁部21は、サポートウェハ裏面20bに開口23aを有する溝23と、溝23に充填されたモールド材24と、によって構成されている。この構成によれば、熱障壁部21が奏する熱遮蔽効果を高めると共にサポートウェハ20の剛性の低下を抑制することができる。
【0062】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る半導体部品の製造方法は、半導体チップ30を実装する工程の詳細が第1実施形態に係る半導体部品の製造方法と相違する。以下、相違する工程について詳細に説明し、第1実施形態と同様の工程については、適宜説明を省略する。
【0063】
まず、複合ウェハ1を準備する(工程S1~S4)。この工程S1~S4は、第1実施形態と同様である。
【0064】
次に、半導体チップ30を実装する(工程S21~S23)。第1実施形態では、チップ接合部材41をベースウェハ10に設けた後に、半導体チップ30をベースウェハ10に配置した。第2実施形態では、まず、チップ接合部材41を半導体チップ30に設ける。そして、チップ接合部材41を備えた半導体チップ30をベースウェハ10に載置する。
【0065】
より詳細には、まず、チップ接合面31bにチップ接合部材41を設ける(工程S21:図12(a))。この工程S21によって、チップ接合部材41を備えた半導体チップ30が得られる。次に、チップ接合部材41を備えた半導体チップ30をベースウェハ10に順次配置する(工程S22:図12(b))。このとき、半導体チップ30は、ベースウェハ10に仮接合される。仮接合とは、チップ接合部材41の温度を軟化開始温度より高く硬化開始温度よりも低い温度にまで加熱する処理をいう。工程S22は、予定された半導体チップ30の配置がすべて完了するまで繰り返し実行される。
【0066】
続いて、半導体チップ30を順次接合する(工程S23:図13)。この工程S23では、ボンディングツール104bの温度を硬化開始温度よりも高くすると共に溶融温度よりも高く設定する。例えば、半導体チップ30の接合を行うとき、接合中の半導体チップ30に隣接する別の半導体チップ30が存在する。つまり、半導体チップ30の接合を行うとき、隣の配置領域Pには、未硬化のチップ接合部材41が存在する。しかし、複合ウェハ1は、熱障壁部21を備えているので、隣の配置領域Pに存在するチップ接合部材41に及ぼす熱の影響が抑制される。つまり、半導体チップ30の接合を行っているとき、隣の半導体チップ30においてチップ接合部材41の意図しない熱硬化の発生が抑制される。
【0067】
そして、全ての半導体チップ30の接合作業が完了すると、半導体部品90を切り出す工程を行う(工程S9~S11)。これらの工程S9~S11は、第1実施形態と同様である。
【0068】
第2実施形態の半導体部品90の製造方法によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。つまり、複合ウェハ1は、チップ接合部材41の熱硬化処理を行うとき、処理対象に隣接する配置領域Pに別のチップ接合部材41が存在する場合に、有効に適用することができる。
【0069】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る半導体部品の製造方法は、製造される半導体部品90の構成が第1実施形態の方法によって製造される半導体部品90の構成と相違する。従って、第3実施形態において半導体チップ30を実装する工程の一部は、第1実施形態の半導体チップ30を実装する工程と相違する。以下、相違する工程について詳細に説明し、第1実施形態と同様の工程については、適宜説明を省略する。
【0070】
まず、複合ウェハ1を準備する(工程S1~S4)。この工程S1~S4は、第1実施形態と同様である。
【0071】
次に、半導体チップ30を実装する(工程S31、S32)。第3実施形態の方法によって製造される半導体部品90は、複数の半導体チップ30が積層されたチップ積層体である。つまり、第3実施形態では、いわゆるコレクティブボンディング方式を採用する。
【0072】
まず、ある配置領域Pに複数の半導体チップ30を積層する(工程S31:図14(a)参照)。図14(a)に示すように、まず、配置領域Pに第1の半導体チップ30を仮接合する。次に、第1の半導体チップ30の上に第2の半導体チップ30を仮接合する。そして、図14(b)に示すように、第2の半導体チップ30の上に第3の半導体チップ30を仮接合する。その結果、図15(a)に示すように、複数の半導体チップ30が仮接合された仮積層チップ50が得られる。この工程S31を配置領域Pごとに実施する。
【0073】
次に、本接合を行う(工程S32:図15(b))。この工程S32では、ボンディングツール104bの温度を硬化開始温度よりも高くすると共に溶融温度よりも高く設定する。
【0074】
そして、全ての半導体チップ30の接合作業が完了すると、半導体部品90を切り出す工程を行う(工程S9~S11)。これらの工程S9~S11は、第1実施形態と同様である。
【0075】
以上、半導体部品の製造方法について説明したが、半導体部品の製造方法は、上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施してよい。例えば、熱障壁部21は、溝23のみによって構成される空隙であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…複合ウェハ、10…ベースウェハ、10b…ベースウェハ接合面、20…サポートウェハ、20a…サポートウェハ接合面、20b…サポートウェハ裏面、21…熱障壁部、23…溝、23a…開口、24…モールド材、30…半導体チップ、31b…チップ接合面、41…チップ接合部材、90…半導体部品。
図1
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