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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 21/02 20060101AFI20240129BHJP
   A01D 33/14 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
A01D21/02
A01D33/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020038512
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021136950
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】小畑 真人
(72)【発明者】
【氏名】湯原 光治
(72)【発明者】
【氏名】小林 信也
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-102308(JP,A)
【文献】特開平06-000014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0153248(US,A1)
【文献】特開2009-201415(JP,A)
【文献】特開平11-091926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 21/02
A01D 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1搬送部分及び第2搬送部分を有し、前記第1搬送部分が前記第2搬送部分に対して上下方向に回動可能な収穫物搬送手段と、
前記第2搬送部分に対する前記第1搬送部分の上方回動時における安全を図るために、前記第1搬送部分の作業状態時において前記第1搬送部分及び前記第2搬送部分の両部分の側板の上方部を覆うように前記第1搬送部分に設けられた安全体とを備え、
前記安全体は、
前記第2搬送部分に対して固定された状態では、所定位置まで上方回動した前記第1搬送部分の下方回動を規制可能であり、
前記第2搬送部分に対する固定が解除された状態では、前記第2搬送部分に対する前記第1搬送部分の回動時に、前記第2搬送部分の側板の上面上を移動する
ことを特徴とする収穫機。
【請求項2】
第1搬送部分及び第2搬送部分を有し、前記第1搬送部分が前記第2搬送部分に対して上下方向に回動可能な収穫物搬送手段と、
前記第1搬送部分に設けられ、前記第2搬送部分に対する前記第1搬送部分の上方回動時における安全を図るための安全体とを備え、
所定位置まで上方回動した前記第1搬送部分の下方回動を、前記第2搬送部分に対して固定された状態の前記安全体によって規制可能であり、
前記安全体は、
前記第1搬送部分の作業状態時において前記第1搬送部分及び前記第2搬送部分の両部分の側板の上方部を覆う長手状部材と、
前記長手状部材を前記第2搬送部分の側板に対して固定するための固定部材とを有し、
前記固定部材は、前記第2搬送部分の側板に対する前記長手状部材の固定を解除した状態で、前記第2搬送部分に対する前記第1搬送部分の上方回動時に、前記第2搬送部分の側板の上面上を移動する
ことを特徴とする収穫機。
【請求項3】
前記長手状部材は、断面コ字状に形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の収穫機。
【請求項4】
前記長手状部材は、作業用孔及び固定用孔を有し、
前記固定部材は、前記作業用孔又は前記固定用孔に挿入される
ことを特徴とする請求項2又は3記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品点数の低減を図ることができる収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された収穫機が知られている。この従来の収穫機は、第1搬送部分が第2搬送部分に対して上下方向に回動可能な収穫物搬送手段(掘取搬送手段)と、第2搬送部分に対する第1搬送部分の上方回動時における安全を図るための安全体とを備えている。
【0003】
つまり、例えば図9に示すように、従来の収穫機は、第1搬送部分1及び第2搬送部分2を有する収穫物搬送手段3を備え、この収穫機搬送手段3の第1搬送部分1が第2搬送部分2に対して上下方向に回動可能となっている。また、この従来の収穫機は、第2搬送部分2に対する第1搬送部分1の上方回動時における安全を図るための安全体4を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-146513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の収穫機では、所定位置まで上方回動した第1搬送部分1の下方回動を落下防止部材(例えば下がり止め板等)によって規制するため、安全体とは別体の落下防止部材が必要であり、その分だけ部品点数が多いという問題がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、部品点数の低減を図ることができる収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の収穫機は、第1搬送部分及び第2搬送部分を有し、前記第1搬送部分が前記第2搬送部分に対して上下方向に回動可能な収穫物搬送手段と、前記第2搬送部分に対する前記第1搬送部分の上方回動時における安全を図るための安全体とを備え、所定位置まで上方回動した前記第1搬送部分の下方回動を前記安全体によって規制可能であるものである。
【0008】
請求項2記載の収穫機は、請求項1記載の収穫機において、安全体は、第1搬送部分に回動可能に設けられ、第2搬送部分に対して固定可能となっているものである。
【0009】
請求項3記載の収穫機は、請求項2記載の収穫機において、安全体は、第1搬送部分に回動可能に設けられた安全カバー部材と、前記安全カバー部材を第2搬送部分に対して固定するための固定部材とを有するものである。
【0010】
請求項4記載の収穫機は、請求項3記載の収穫機において、固定部材は、着脱ピンであり、前記着脱ピンが安全カバー部材のピン挿入孔及び第2搬送部分のピン挿入孔に挿入されることにより、前記安全カバー部材が前記第2搬送部分に対して固定されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、部品点数の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る収穫機の側面図である。
図2】同上収穫機の平面図である。
図3】同上収穫機の斜視図である。
図4】同上収穫機の格納姿勢の側面図である。
図5】同上収穫機の部分斜視図である。
図6図1におけるA-A断面図である。
図7図4におけるB-B断面図である。
図8】同上収穫機が備える振動手段を示す図である。
図9】従来の収穫機の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施の形態について図1ないし図8を参照して説明する。
【0014】
図1ないし図4において、11は農作業機である収穫機で、この収穫機11は、圃場の収穫物(農作物)Wの収穫作業を行うための小型の自走式収穫装置である。収穫対象である収穫物Wは、例えば圃場の土中に生育した略球形状の馬鈴薯である。なお、収穫物Wは、馬鈴薯以外に、例えば薩摩芋、玉葱、人参等でもよい。
【0015】
収穫機11は、機枠12に設置された駆動源であるエンジン13と、このエンジン13からの動力に基づいて作動する走行手段であるクローラ14と、同じくエンジン13からの動力に基づいて作動して収穫物Wを搬送可能な収穫物搬送手段であるコンベヤ15と、このコンベヤ15の搬送部16を上下方向に振動させるための振動手段17とを備えている。
【0016】
そして、コンベヤ15は、前側の第1搬送部分であるコンベヤ前側部分15aと、後側の第2搬送部分であるコンベヤ後側部分15bとを有し、コンベヤ前側部分15aがコンベヤ後側部分15bに対して上下方向に回動可能となっている。
【0017】
具体的には、回動部分であるコンベヤ前側部分15aは、駆動手段であるシリンダ21の伸縮(作動)に基づいて、回動支点(左右方向の回動中心軸)22を中心としてコンベヤ後側部分15bに対して上下方向に回動可能となっている。つまり、このコンベヤ前側部分15aは、シリンダ21の伸び動作に基づく上方回動により非作業状態(格納状態)となり、シリンダ21の縮み動作に基づく下方回動により作業状態となる。また、このコンベヤ前側部分15aには、掘取刃23及び左右のゲージ輪24が設けられている。ゲージ輪24の高さ位置は、調整ハンドル25によって調整可能である。
【0018】
また、収穫機11は、作業者が座る左右の座席26と、この各座席26の近傍に設けられたステップ27と、左側の座席26に座った作業者が操作可能な操作手段28と、コンテナ(収穫物Wが収納される容器)が載置される前コンテナ台29及び後コンテナ台30とを備えている。
【0019】
さらに、収穫機11は、コンベヤ後側部分15bに対するコンベヤ前側部分15aの上方回動時における作業者の安全を図るための左右一対の安全体71を備えている。そして、当該収穫機11では、シリンダ21の作動により所定位置(例えば上限位置である非作業位置)まで上方回動した非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動を安全体71によって規制可能な構成となっている。つまり、この安全体71は、シリンダ21の故障等による非作業状態のコンベヤ前側部分15aの落下(自重による下方回動)を防止する落下防止機能を兼ね備えたものである。
【0020】
ここで、安全体71は、図5ないし図7にも示すように、コンベヤ前側部分15aの側板46(46a)に立設されたゲージ輪24を取り付けるためのフレーム部72に連結ピン73を介して回動可能に連結された長手状の安全カバー部材76と、この安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)に対して固定(ロック)するための固定部材である着脱ピン77とを有している。
【0021】
安全カバー部材76は、作業者が前後の側板46(46a,46b)間で手等を挟まないようにコンベヤ15の両部分15a,15bの側板46(46a,46b)の上方部を同時に覆う断面コ字状の長手状部材である。この安全カバー部材76の後端部の上側には作業用孔(スライド用孔)78が形成され、その後端部の下側には固定用孔79が形成されている。
【0022】
着脱ピン77は、安全カバー部材76に対して着脱可能な頭付きピン部材である。この着脱ピン77は、丸軸状の軸部81と、この軸部81の基端に設けられた頭部82とを有している。軸部81の先端部には先端側孔83が形成され、軸部81の基端部には基端側孔84が形成されている。
【0023】
コンベヤ後側部分15bの側板46(46b)は、鉛直状の側板部86と、この側板部86の上端部から内側(搬送部16側)に向かって突出する上板部87と、この上板部87の内端部から下方に向かって突出する突出板部88とを有している。側板部86の内面の所定部分には補強部材(例えば補強座金等)90が溶接固定されている。これら補強部材90及び側板部86には、固定用孔91,92がそれぞれ形成されている。
【0024】
そして、図6に示すように、作業時には、着脱ピン77は、安全カバー部材76の作業用孔78に挿入され、その後に基端側孔84に挿入されたRピン(抜止め用ピン)93によって当該作業用孔78から抜け出ないようになっている。
【0025】
この状態で、着脱ピン77は、シリンダ21の作動に基づくコンベヤ前側部分15aの回動に応じて、コンベヤ後側部分15bの側板46(46b)の上板部87の上面87a上をこの上面87aと線状に接触した状態で当該上面87aに沿ってスライドする。なお、例えば収穫物W、土、作業者の手等との当接によってRピン93が抜けることがないように、Rピン93は基端側孔84に挿入されて安全カバー部材76内に位置している。
【0026】
また、図7に示すように、非作業時(格納時)には、着脱ピン77は、互いに対向したピン挿入孔である固定用孔79,91,92に挿入され、その後に先端側孔83に挿入されたRピン93によって当該固定用孔79,91,92から抜け出ないようになっている。
【0027】
この状態で、例えばシリンダ21の故障等が原因で非作業状態のコンベヤ前側部分15aが自重で下方回動しようとした場合でも、コンベヤ後側部分15bに対して固定された固定状態(ロック状態)の安全体71によって非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動が規制され、当該非作業状態が維持される。なお、Rピン93を着脱ピン77に対して容易に脱着できるように、Rピン93は先端側孔83に挿入されて安全カバー部材76外に位置している。
【0028】
また一方、コンベヤ15は、非作業時に前後の長さが短くできるように互いに回動可能に連結されたコンベヤ前側部分15a及びコンベヤ後側部分15bを有した折畳み可能なもので、前端部に位置する掘取体である掘取刃23によって圃場の土中から掘り取られた収穫物Wを、搬送部16によって斜め上後方に向けて搬送する搬送装置(収穫物搬送手段)である。
【0029】
そして、このコンベヤ15は、当該コンベヤ15上に収穫物Wとともに搬入された圃場の土を土落下開口(隣り合う搬送バー43間の間隙)20から落下させながら収穫物Wを斜め上後方(搬送方向)に向けて搬送する回行可能な無端状の搬送部16を有している。なお、搬送部16の前側部分はコンベヤ前側部分15aの一部であり、搬送部16の後側部分はコンベヤ後側部分15bの一部である。
【0030】
搬送部16は、前側の従動ローラ31及び後側の駆動ローラ32に巻き掛けられ、この駆動ローラ32の駆動回転により所定方向に回行する。この搬送部16は、複数の土落下開口20から土を落下させながら収穫物Wを搬送する往路面部33を上側に有し、この往路面部(往路面部のうちのベルト部分)33がローラ体(支持体)35と固定ガイド体36とによって下方から支持されている。
【0031】
また、搬送部16は、所定方向に回行する左右一対の帯状の無端部材である無端ベルト(ベルト部分)41と、これら両無端ベルト41間に架設され、当該無端ベルト41とともに回行して収穫物Wを搬送方向に搬送する左右方向長手状の複数本の搬送部材である搬送バー(コンベヤバー)43とを有している。搬送方向に互いに隣り合う搬送バー43間には、圃場に向けて土を落下させるための土落下開口20が存在する。
【0032】
複数本の搬送バー43は、例えば互いに形状等が異なって最下位置(振動ローラとの当接位置である下端位置)の高さがそれぞれ異なる3種類の搬送バー43a,43b,43cによって構成されており、そのうちの1種類の搬送バー43(43a)が立上りコンベヤバーである。つまり、当該搬送バー43(43a)は、他の搬送バー43(43b,43c)よりも上方に位置して収穫物Wの転がりを防止する上方突出状の転がり防止部(立上り部)44を有している。
【0033】
さらに、左右のローラ体35は、所定方向に従動回転しながら搬送部16の無端ベルト41の中間部分を下方から支持する中間従動ローラ体である。このローラ体35は、細長板状の固定部材(石避け板)51を含む固定手段50によって、コンベヤ後側部分15bの側板(コンベヤ側板)46の所定部分に固定されている。
【0034】
また一方、振動手段17は、土を振るい落とすためにコンベヤ15の搬送部16を上下方向に振動させるためのコンベヤ振動装置である。そして、この振動手段17は、少なくとも3つの状態、すなわち例えば搬送部16を第1振動強さ(振幅「20mm」及び振幅「9mm」を有する振動強さ)で振動させる第1振動入状態(振動「強」状態)と、搬送部16を第1振動強さよりも弱い第2振動強さ(振幅「8.2mm」を有する振動強さ)で振動させる第2振動入状態(振動「弱」状態)と、搬送部16に振動を付与しない振動切状態(振動「切」状態)とに選択的に切換可能となっている。
【0035】
ここで、図8に示すように、振動手段17は、振動入状態時(第1振動入状態時、第2振動入状態時)に搬送部16の搬送バー43との当接に基づいて搬送部16に振動を付与する上下動可能な左右の振動付与体である振動ローラ101と、振動切状態時に振動ローラ101が搬送部16の搬送バー43に当接しないように搬送部16の無端ベルト41を摺動可能に支持する上下動可能な板状の左右の支持体である支持ガイド102とを有している。
【0036】
また、振動手段17は、この振動手段17の状態を3つの状態のうち選択したいずれか一の状態に切り換えるための回動可能な操作体である操作レバー103を有し、振動ローラ101及び支持ガイド102はその操作レバー103の回動操作に基づく上下動により振動手段17の状態に対応する所定位置に同時に設定される。すなわち、操作レバー103をロックピン104で第1振動入位置に固定することで振動手段17が第1振動入状態に切り換えられ、操作レバー103をロックピン104で第2振動入位置に固定することで振動手段17が第2振動入状態に切り換えられ、操作レバー103をロックピン104で振動切位置に固定することで振動手段17が振動切状態にそれぞれ切り換えられる。
【0037】
操作レバー103は、板状のレバー本体部106と、このレバー本体部106に固着されたコ字状枠部107とを有している。L字状のロックピン104は、レバー本体部106のピン用孔108及びコ字状枠部107のピン用孔109に挿入されている。また、ロックピン104のうちコ字状枠部107内に位置する部分には、切換プレート110の孔(第1振動入位置用孔111、第2振動入位置用孔112、振動切位置用孔113)に向けてロックピン104を付勢する付勢部材であるバネ115が装着されている。
【0038】
切換プレート110は、コンベヤ15の前側部分15aの左側の側板46に固着されている。切換プレート110の前後側には、操作レバー103との当接により当該操作レバー103の回動を規制するストッパ117,118が突設されている。それゆえ、操作レバー103の回動範囲は、前後のストッパ117,118によって制限されている。
【0039】
さらに、振動手段17は、互いに離間対向する左右の側板46間に回動可能に架設された回動軸121を有し、この回動軸121の左側の端部に操作レバー103のレバー本体部106の基端部が固着されている。また、左右の両側板(前コンベヤ枠)46は、連結パイプ120によって連結されている。
【0040】
回動軸121の2箇所には取付板122の基端側が固着され、この取付板122の先端側には円筒状の回転体である振動ローラ101がベアリング100を介して回転可能に取り付けられている。また、回動軸121のうち取付板122よりも外側に位置する部分には、回動体である支持ガイド(ベルト支持ガイド板)102を支持する支持板123が固着されている。それゆえ、操作レバー103の操作による回動軸121の回動に基づいて、振動ローラ101と支持ガイド102とが互いに連動して上下方向に回動する。
【0041】
支持ガイド102は、コンベヤ15の前側部分15aの側板46に固定された支軸部(回動支点)124を中心として後端側が昇降するように上下方向に回動可能となっている。換言すると、支持ガイド102は、前端側の回動支点を中心として上下方向に回動可能となっている。
【0042】
この支持ガイド102は、1箇所で曲がったへ字状をなす細長板状のガイド本体部126と、このガイド本体部126の前端部に設けられた取付部127と、ガイド本体部126の下面に突設された突出板部128とを有している。そして、取付部127が支軸部124に回動可能に取り付けられ、かつ、ガイド本体部126の下面が支持板123の湾曲状の上端部である支持部130で支持されている。
【0043】
なお、振動ローラ101及び支持ガイド102は、左右の側板46間でかつコンベヤ15の搬送部16の往路面及び復路面間の位置に配置されているが、操作レバー103は、作業者がコンベヤ15の側方から容易に操作できるように左側の側板46よりも外側の位置に配置されている。
【0044】
次に、上述した収穫機11の作用等を説明する。
【0045】
圃場においてクローラ14の作動により収穫機11を前方(図1に示す進行方向)に移動させると、圃場の土中の収穫物Wはコンベヤ前側部分15aの掘取刃23によって圃場の土中から掘り取られ、この掘り取られた収穫物Wは、コンベヤ前側部分15a及びコンベヤ後側部分15bに亘って位置する搬送部16によって搬送方向に向かって搬送され、この搬送途中で座席26に座った作業者の手作業によりコンテナ内に収納される。
【0046】
ここで、例えば作業終了後には、図4及び図7に示すように、シリンダ21によりコンベヤ前側部分15aを所定位置まで上方回動させて非作業状態(格納状態)にした後、着脱ピン77を固定用孔79,91,92に挿入しかつRピン93を着脱ピン77の先端側孔83に挿入することにより、安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)に対して固定する。これにより、安全体71を用いて非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動を規制(防止)することが可能となる。また、この図4に示す状態とした小型かつ軽量の収穫機11は、小型貨物車両である軽トラックの荷台に載せることが可能である。
【0047】
そして、このような収穫機11によれば、シリンダ21の故障等により非作業状態のコンベヤ前側部分15aが自重でコンベヤ後側部分15bに対して下方回動しようとした場合でも、非作業状態のコンベヤ前側部分15aの下方回動(自重による落下)が固定状態の安全体71によって規制されるため、安全体71とは別体の落下防止部材が不要であり、その分部品点数の低減を図ることができ、よって軽量化やコスト削減等を図ることができる。
【0048】
また、着脱ピン77を作業用孔78から固定用孔79,91,92に差し替えることで、安全カバー部材76をコンベヤ後側部分15bに対して容易かつ確実に固定でき、しかも、作業者は着脱ピン77の差し替えによって安全カバー部材76の固定を確認(意識)でき、固定のし忘れを防止できる。
【0049】
さらに、着脱ピン77は、その下端がコンベヤ後側部分15bの側板46(46b)の上板部87の上面87aと線状に接触した状態でスライドするため、例えば当該上面87aと面状に接触してスライドする構成等に比べて摩擦抵抗が少なくスムーズにスライドできる。なお、例えば着脱ピン77が回転しながら当該上面87a上を移動するようにしてもよい。
【0050】
なお、案内体の案内カバー部材は、作業用孔(作業時孔)及び固定用孔(非作業時孔)を有するものには限定されず、例えば共通の孔を有するものでもよい。
【0051】
また、例えば第1搬送部分が所定位置まで上方回動した際に、ピンが係合凹部に係合して安全体が第2搬送部分に対して自動的に固定(ロック)する構成等でもよい。
【符号の説明】
【0052】
11 収穫機
15 収穫物搬送手段であるコンベヤ
15a 第1搬送部分であるコンベヤ前側部分
15b 第2搬送部分であるコンベヤ後側部分
71 安全体
76 安全カバー部材
77 固定部材である着脱ピン
79,91,92 ピン挿入孔である固定用孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9