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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】消火器ケース
(51)【国際特許分類】
   A62C 13/78 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
A62C13/78 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020130116
(22)【出願日】2020-07-31
(65)【公開番号】P2022026576
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000138613
【氏名又は名称】株式会社ユニオン
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】田河 寿一
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-58264(JP,A)
【文献】特開2012-223251(JP,A)
【文献】特開2006-151496(JP,A)
【文献】実開昭52-59136(JP,U)
【文献】実開平3-78724(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 3/00,13/00,35/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略方形状であり、消火器(1)の側方に配置される第1側板(10)及び第2側板(20)であって、一対の側部(11、12;21、22)、天部(13、23)及び底部(14、24)を各々有しており、前記一対の側部の一方(11、21)同士において連結される第1側板(10)及び第2側板(20)と、
略三角形状であり、前記消火器(1)が載置される方形底板(R)を形成する第1底板片(30)及び第2底板片(40)であって、前記第1側板(10)の前記底部(14)又は前記第2側板(20)の前記底部(24)と連結される連結辺部(31、41)、前記方形底板(R)における1つの対角線に沿って延びる斜辺部(32、42)、及び前記連結辺部(31、41)に対し略垂直に延びる垂直辺部(33、43)を各々有する第1底板片(30)及び第2底板片(40)と、
前記第1側板(10)及び前記第2側板(20)における前記一対の側部の前記一方(11、21)と略平行である第1回動軸心(I1)を中心とし相対回動可能に、前記第1側板(10)と前記第2側板(20)とを連結する第1連結部材(51)、前記第1側板(10)の前記底部(14)と略平行である第2回動軸心(I2)を中心とし回動可能に、前記第1側板(10)に前記第1底板片(30)を連結する第2連結部材(52)、及び前記第2側板(20)の前記底部(24)と略平行である第3回動軸心(I3)を中心とし回動可能に、前記第2側板(20)に前記第2底板片(40)を連結する第3連結部材(53)
とを具備することを特徴とする消火器ケース。
【請求項2】
前記第1連結部材(51)、前記第2連結部材(52)、及び前記第3連結部材(53)は、
比較的に硬質の樹脂組成物から形成され、前記第1側板(10)における前記一対の側部(11、12)の前記一方(11)、前記第1側板(10)の前記底部(14)、又は前記第2側板(20)の前記底部(24)と嵌合する第1嵌合溝(61)を有する第1長軸セグメント(60)と、
比較的に硬質の樹脂組成物から形成され、前記第2側板(20)における前記一対の側部(21、22)の前記一方(21)、前記第1底板片(30)の前記連結辺部(31)、又は前記第2底板片(40)の前記連結辺部(41)と嵌合する第2嵌合溝(71)を有する第2長軸セグメント(70)と、
比較的に軟質の樹脂組成物から形成され、前記第1回動軸心(I1)、前記第2回動軸心(I2)又は前記第3回動軸心(I3)を中心とし相対回動可能に、前記第1長軸セグメント(60)と前記第2長軸セグメント(70)とを連結する連結セグメント(80)
とを各々有する請求項1に記載の消火器ケース。
【請求項3】
前記第1長軸セグメント(60)は、
前記第1嵌合溝(61)における周壁の外側面に形成され、前記第1回動軸心(I1)、前記第2回動軸心(I2)、又は前記第3回動軸心(I3)に沿って広がり、前記第1嵌合溝(61)の第1開口方向(X1)と略平行である第1平坦面部(62)と、
前記第1嵌合溝(61)における前記周壁の前記外側面に形成され、前記第1開口方向(X1)に対し傾いている第1斜面部(63)
とを更に有し、
前記第2長軸セグメント(70)は、
前記第2嵌合溝(71)における周壁の外側面に形成され、前記第1回動軸心(I1)、前記第2回動軸心(I2)、又は前記第3回動軸心(I3)に沿って広がり、前記第2嵌合溝(71)の第2開口方向(X2)と略平行である第2平坦面部(72)と、
前記第2嵌合溝(71)における前記周壁の前記外側面に形成され、前記第2開口方向(X2)に対し傾いており、前記第1開口方向(X1)と前記第2開口方向(X2)とが略垂直となる状態に前記第1長軸セグメント(60)と前記第2長軸セグメント(70)とが相対回動したとき、前記第1斜面部(63)と当接可能である第2斜面部(73)
とを更に有する請求項2に記載の消火器ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火器ケース、特に、搬送、収納の際のスペース効率に優れている、折畳み可能な消火器ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物などに設置される消火器ケースとして、特許文献1には、方形箱状のケース本体を具備する消火器ケースが記載されている。特許文献1に記載の消火器ケースにおいては、ケース本体に、ケース蓋がヒンジを介し取付けられており、ケース本体の前面に設けられている消火器の取出口が、ケース蓋によって開閉される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-336369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の消火器ケースにおいては、ケース本体が方形箱状であり、嵩張るために、例えば、工場で製造された多数の消火器ケースを搬送する際に、トラックの荷台に積載できる単位容積あたりの消火器ケースの個数は限られることとなり、スペース効率は良好ではない。同様に、倉庫などに消火器ケースを収納する場合のスペース効率も良好とはいえない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、平板状に折畳み可能であり、搬送、収納の際のスペース効率を向上させることができる消火器ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する消火器ケースは、第1側板(10)及び第2側板(20)と、第1底板片(30)及び第2底板片(40)と、第1連結部材(51)、第2連結部材(52)、及び第3連結部材(53)とを具備する。前記第1側板(10)及び前記第2側板(20)は、略長方形状であり、例えば縦長の円筒状である消火器(1)の側方に配置される。そして、前記第1側板(10)及び前記第2側板(20)は、一対の側部(11、12;21、22)、天部(13、23)及び底部(14、24)を各々有しており、前記一対の側部(11、12;21、22)の一方(11、21)同士において連結される。前記第1底板片(30)及び前記第2底板片(40)は、略三角形状であり、前記消火器(1)が載置される方形底板(R)を形成する。そして、前記第1底板片(30)及び前記第2底板片(40)は、連結辺部(31、41)、斜辺部(32、42)、及び垂直辺部(33、43)を各々有する。前記連結辺部(31、41)は、前記第1側板(10)又は前記第2側板(20)の前記底部(14、24)と連結される。前記斜辺部(32、42)は、前記方形底板(R)における1つの対角線に沿って延びる。前記垂直辺部(33、43)は、前記連結辺部(31、41)に対し略垂直に延びる。前記第1連結部材(51)は、第1回動軸心(I1)を中心とし相対回動可能に、前記第1側板(10)と前記第2側板(20)とを連結する。前記第1回動軸心(I1)は、前記第1側板(10)及び前記第2側板(20)における前記一対の側部の前記一方(11、21)と略平行である。前記第2連結部材(52)は、第2回動軸心(I2)を中心とし回動可能に、前記第1側板(10)に前記第1底板片(30)を連結する。前記第2回動軸心(I2)は、前記第1側板(10)の前記底部(14)と略平行である。前記第3連結部材(53)は、第3回動軸心(I3)を中心とし回動可能に、前記第2側板(20)に前記第2底板片(40)を連結する。前記第3回動軸心(I3)は、前記第2側板(20)の前記底部(24)と略平行である。
【0007】
本願に開示する消火器ケースにおいて、前記第1連結部材(51)、前記第2連結部材(52)、及び前記第3連結部材(53)は、第1長軸セグメント(60)と、第2長軸セグメント(70)と、連結セグメント(80)とを各々有する。前記第1長軸セグメント(60)は、比較的に硬質の樹脂組成物から形成され、第1嵌合溝(61)を有する。前記第1嵌合溝(61)は、前記第1側板(10)における前記一対の側部(11、12)の前記一方(11)、前記第1側板(10)の前記底部(14)、又は前記第2側板(20)の前記底部(24)と嵌合する。前記第2長軸セグメント(70)は、比較的に硬質の樹脂組成物から形成され、第2嵌合溝(71)を有する。前記第2嵌合溝(71)は、前記第2側板(20)における前記一対の側部(21、22)の前記一方(21)、前記第1底板片(30)の前記連結辺部(31)、又は前記第2底板片(40)の前記連結辺部(41)と嵌合する。前記連結セグメント(80)は、比較的に軟質の樹脂組成物から形成され、前記第1回動軸心(I1)、前記第2回動軸心(I2)又は前記第3回動軸心(I3)を中心とし相対回動可能に、前記第1長軸セグメント(60)と前記第2長軸セグメント(70)とを連結する。
【0008】
本願に開示する消火器ケースにおいて、前記第1長軸セグメント(60)は、第1平坦面部(62)と第1斜面部(63)とを更に有する。前記第1平坦面部(62)は、前記第1嵌合溝(61)における周壁の外側面に形成され、前記第1回動軸心(I1)、前記第2回動軸心(I2)、又は前記第3回動軸心(I3)に沿って広がり、前記第1嵌合溝(61)の第1開口方向(X1)と略平行である。前記第1斜面部(63)は、前記第1嵌合溝(61)における前記周壁の前記外側面に形成され、前記第1開口方向(X1)に対し傾いている。前記第2長軸セグメント(70)は、第2平坦面部(72)と、第2斜面部(73)とを更に有する。前記第2平坦面部(72)は、第2嵌合溝(71)における周壁の外側面に形成され、前記第1回動軸心(I1)、前記第2回動軸心(I2)、又は前記第3回動軸心(I3)に沿って広がり、前記第2嵌合溝(71)の第2開口方向(X2)と略平行である。前記第2斜面部(73)は、第2嵌合溝(71)における前記周壁の前記外側面に形成され、前記第2開口方向(X2)に対し傾いており、前記第1開口方向(X1)と前記第2開口方向(X2)とが略垂直となる状態に前記第1長軸セグメント(60)と前記第2長軸セグメント(70)とが相対回動したとき、前記第1斜面部(63)と当接可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る消火器ケースによれば、平板状に折畳み可能であり、搬送、収納の際のスペース効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る消火器ケースを示す斜視図である。
図2】組立前の消火器ケースを示す平面図である。
図3】消火器ケースの要部拡大図である。
図4】(a)組立時の消火器ケースを示す要部拡大図である。(b)折畳み時の消火器ケースを示す要部拡大図である。
図5】本発明の実施形態に係る消火器ケースの好適な使用例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る消火器ケースを図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0012】
〈実施形態〉
以下に、図1図5を参照して、本発明の実施形態に係る消火器ケースを説明する。図1は、実施形態に係る消火器ケースを示す斜視図である。図2は、組立前の消火器ケースを示す平面図である。図3は、消火器ケースの要部拡大図である。図4(a)は、組立時の消火器ケースを示す要部拡大図である。図4(b)は、折畳み時の消火器ケースを示す要部拡大図である。図5は、実施形態に係る消火器ケースの好適な使用例を示す斜視図である。
【0013】
図1図2に示すように、実施形態に係る消火器ケースは、第1側板10と、第2側板20と、第1底板片30と、第2底板片40と、3つの連結部材51、52、53とを具備する。実施形態においては、第1側板10、第2側板20、第1底板片30、及び第2底板片40は、金属板材から形成される。
【0014】
第1側板10及び第2側板20は、略方形状であり、縦長円筒状の消火器1の側方に配置される。実施形態においては、第1側板10及び第2側板20は、長辺が上下方向に配される縦長の略長方形状である。
【0015】
第1底板片30及び第2底板片40は、略三角形状であり、消火器1が載置される方形底板Rを形成する。実施形態においては、方形底板Rは、略正方形状であり、第1底板片30及び第2底板片40は、略正三角形状である。
【0016】
3つの連結部材51、52、53のうち、第1連結部材51は、第1側板10と第2側板20とを相対回動可能に連結し、第2連結部材52は、第1側板10に第1底板片30を回動可能に連結し、第3連結部材53は、第2側板20に第2底板片40を回動可能に連結する。
【0017】
以下、消火器ケースの各部を更に詳細に説明する。
【0018】
図1図2に示すように、第1側板10は、一対の側部である第1側部11及び第2側部12と、第1天部13と、第1底部14とを有している。第1側板10の第1側部11、第2側部12は、第1側板10の各長辺に対応し、第1天部13は、第1側板10の一対の短辺のうち、消火器ケースの使用状態において上側に配置される短辺に対応し、第1底部14は、第1側板10の一対の短辺のうち、消火器ケースの使用状態において下側に配置される短辺に対応する。
【0019】
第2側板20は、第1側板10と同様に、一対の側部である第3側部21及び第4側部22と、第2天部23と、第2底部24とを有している。第2側板20の第3側部21、第4側部22は、第2側板20の各長辺に対応し、第2天部13、第2底部14は、第2側板20の各短辺に対応する。そして、第1側板10と第2側板20とは、第1連結部材51によって、第1回動軸心I1を中心とし相対回動可能に、一対の側部の一方同士、つまり、第1側部11と第3側部21とにおいて連結される。第1回動軸心I1は、第1側板10の第1側部11及び第2側板20の第3側部21と略平行である。
【0020】
第1底板片30は、第1連結辺部31、第1斜辺部32、及び第1垂直辺部33を有し、第2回動軸心I2を中心とし回動可能に、第1側板10と連結される。第2回動軸心I2は、第1側板10の第1底部14と略平行である。第1連結辺部31は、第2連結部材52によって、第1側板10の第1底部14と連結される。第1斜辺部32は、方形底板Rにおける1つの対角線に沿って延びる。第1垂直辺部33は、第1連結辺部31に対し略垂直に延びる。
【0021】
第2底板片40は、第1底板片30と同様に、第2連結辺部41、第2斜辺部42、及び第2垂直辺部43を有し、第3回動軸心I3を中心とし回動可能に、第2側板20の第2底部24と連結される。第3回動軸心I3は、第2底部24と略平行である。第2連結辺部41は、第3連結部材53によって、第2側板20の第2底部24と連結される。第2斜辺部42は、第1底板片30の第1斜辺部32とともに、方形底板Rにおける1つの対角線に沿って延びる。第2垂直辺部43は、第2連結辺部41に対し略垂直に延びる。
【0022】
図3に示すように、第1連結部材51、第2連結部材52、及び第3連結部材53は、第1長軸セグメント60と、第2長軸セグメント70と、連結セグメント80とを各々有する。
【0023】
第1長軸セグメント60は、比較的に硬質の樹脂組成物、例えば硬質塩化ビニル系樹脂から形成される一様な横断面形状の長軸部材である。比較的に硬質とは、連結セグメント80を形成する樹脂組成物より硬質であることを示し、具体的には、少なくとも曲げ強度、及び曲げ弾性率が連結セグメント80を形成する樹脂組成物より高いことを示す。
【0024】
そして、第1長軸セグメント60は、軸方向に沿って延びる第1嵌合溝61を有する。第1嵌合溝61は、第1側板10の第1側部11、第1側板10の底部14、又は第2側板20の底部24と嵌合する。第1長軸セグメント60が比較的に硬質の樹脂組成物から形成されることによって、第1嵌合溝61と嵌合される第1側板10又は第2側板20を十分な強度で保持できる。
【0025】
また、第1長軸セグメント60は、第1平坦面部62と、第1斜面部63とを更に有する。
【0026】
第1平坦面部62は、第1嵌合溝61における周壁の外側面に形成され、第1回動軸心I1、第2回動軸心I2、又は第3回動軸心I3に沿って広がり、第1嵌合溝61の第1開口方向X1と略平行である。第1開口方向X1とは、第1嵌合溝61の底部から開口に向かう方向であり、第1嵌合溝61に第1側板10が差込まれているとき、第1開口方向X1は第1側板10と略平行である。また、第1嵌合溝61に第2側板20が差込まれているとき、第1開口方向X1は第1側板20と略平行である。
【0027】
第1斜面部63は、第1嵌合溝61における周壁の外側面に形成され、第1開口方向X1に対し傾いている。実施形態においては、第1斜面部63は、第1開口方向X1に対し、約45度傾いている。また、誤差を無視すれば、第1斜面部63を含む平面は、第1平坦面部62を含む平面と第1回動軸心I1、第2回動軸心I2、又は第3回動軸心I3において交わる。
【0028】
第2長軸セグメント70は、比較的に硬質の樹脂組成物、例えば硬質塩化ビニル系樹脂から形成される一様な横断面形状の長軸部材である。比較的に硬質とは、連結セグメント80を形成する樹脂組成物より硬質であることを示し、具体的には、少なくとも曲げ強度、及び曲げ弾性率が連結セグメント80を形成する樹脂組成物より高いことを示す。
【0029】
実施形態においては、第2長軸セグメント70は、第1長軸セグメント60と同形状、同材質の長軸部材であり、第2嵌合溝71を有する。第2嵌合溝71は、第2側板20の第3側部21、第1底板片30の第1連結辺部31、又は第2底板片40の第2連結辺部41と嵌合する。
【0030】
また、第2長軸セグメント70は、第2平坦面部72と、第2斜面部73とを更に有する。
【0031】
第2平坦面部72は、第2嵌合溝71における周壁の外側面に形成され、第1回動軸心I1、第2回動軸心I2、又は第3回動軸心I3に沿って広がり、第2嵌合溝71の第2開口方向X2と略平行である。第2開口方向X2とは、第2嵌合溝71の底部から開口に向かう方向であり、第2嵌合溝71に第2側板20が差込まれているとき、第2開口方向X2は第2側板20と略平行である。また、第2嵌合溝71に第1底板片30が差込まれているとき、第2開口方向X2は第1底板片30と略平行であり、第2嵌合溝71に第2底板片40が差込まれているとき、第2開口方向X2は第2底板片40と略平行である。
【0032】
第2斜面部73は、第2嵌合溝71における周壁の外側面に形成され、第2開口方向X2に対し傾いている。実施形態においては、第2斜面部73は、第2開口方向X2に対し、約45度傾いている。また、誤差を無視すれば、第2斜面部73を含む平面は、第2平坦面部72を含む平面と第1回動軸心I1、第2回動軸心I2、又は第3回動軸心I3において交わる。
【0033】
図4(a)に示すように、消火器ケースの組立時に、第1開口方向X1と第2開口方向X2とが略垂直となる状態に第1長軸セグメント60と第2長軸セグメント70とが相対回動すると、第2斜面部73は、第1斜面部63と当接する。
【0034】
図4(b)に示すように、消火器ケースを折畳むときは、第1長軸セグメント60の第1平坦面部62と第2長軸セグメント70の第2平坦面部72とが当接する方向に、第1開口方向X1と第2開口方向X2とが略同一の方向となるまで、第1長軸セグメント60と第2長軸セグメント70とを相対回動させる。
【0035】
連結セグメント80は、比較的に軟質の樹脂組成物、例えば軟質塩化ビニル系樹脂から形成され、第1回動軸心I1、第2回動軸心I2又は第3回動軸心I3を中心とし相対回動可能に、第1長軸セグメント60と第2長軸セグメント70とを連結する。比較的に軟質とは、第1長軸セグメント60及び第2長軸セグメント70を形成する樹脂組成物より軟質であることを示し、具体的には、少なくとも曲げ強度、及び曲げ弾性率が第1長軸セグメント60及び第2長軸セグメント70を形成する樹脂組成物より低いことを示す。
【0036】
図5に示す好適な設置例においては、消火器ケースは、建物内部における直交する2つの壁面110、120の間のコーナーに設置されている。消火器ケースは、第1側板10と第2側板20とがコーナーの手前側に位置するように、床130の上に置かれており、消火器1の側方の直交する4方向のうち2方向は、2つの壁面110、120によって覆われている。また、第1側板10又は第2側板20における手前側の面には、消火器ケースの内部に消火器1が収納されていることを示すプレート100などを設けることができる。以上のとおり、実施形態の消火器ケースは、建物などのコーナーに設置するのに最適な構造となっている。
【0037】
以上、図1図5を参照して説明したように、実施形態の消火器ケースによれば、第1連結部材51によって、第1側板10と第2側板20とが相対回動可能に連結され、第2連結部材52によって、第1側板10に第1底板片30が回動可能に連結され、第3連結部材53によって、第2側板20に第2底板片40が回動可能に連結される。従って、第1側板10と第2側板20とが重なり合い、第1底板片30と第2底板片40とが重なり合うように、消火器ケースを平板状に折畳むことができ、消火器ケースを搬送、収納する際のスペース効率を向上させることができる。
【0038】
また、図1図5に示すように、実施形態の消火器ケースによれば、消火器ケースを組立てる際には、第1側板10と第2側板20とが略垂直となるように、第1側板10と第2側板20とを相対回動し、第1側板10と略垂直となるように、第1底板片30を回動し、第2側板20と略垂直となるように、第2底板片40を回動した状態で、方形底板Rの上に消火器1を置くだけで、図5に示すような使用状態に消火器ケースを組立てることができる。従って、消火器1を設置する際に、非常に簡易に消火器ケースを組立てることができる。
【0039】
例えば、方形底板Rを1枚の正方形状の底板片から形成する場合と比較すると、2枚の正三角形状の底板片30、40から方形底板Rを形成することの優位性が理解できる。方形底板Rを1枚の正方形状の底板片から形成すると、消火器ケースを平板状に折畳むことはできても、消火器ケースを組立てるとき、1枚の底板片の遊端を第1側板10又は第2側板20の底部に固定し、第1側板10と第2側板20とを略垂直に保つための留具が必要となるとともに、当該留具によって、1枚の底板片の遊端を固定する作業が必要となる。方形底板Rを2枚の正三角形状の底板片30、40から形成することによって、2枚の底板片30、40の上に消火器1を置くだけで、消火器ケースの全体的な形状を図5に示す使用状態の形状に安定的に保つことができ、消火器ケースの組み立てを更に簡易にすることができる。
【0040】
また、図3図4(a)を参照して説明したように、実施形態の消火器ケースによれば、第1長軸セグメント60が第1斜面部63を有し、第2長軸セグメント70が第2斜面部73を有し、第1開口方向X1と第2開口方向X2とが略垂直となったとき、第1斜面部63と第2斜面部73とが当接する。従って、消火器ケースの組立て途中において、第1側板10と第2側板20とを略垂直に保持し、第1側板10と第1底板片30とを略垂直に保持し、第2側板20と第2底板片40とを略垂直に保持することが容易となり、消火器ケースの組立てを更に簡易にすることができる。
【0041】
また、図5を参照して説明したように、実施形態の消火器ケースは、消火器1側方の直交する4方向のうち2方向を覆う2枚の側板10、20を有するだけである。従って、消火器ケースを軽量化することができるとともに、材料費を節約でき、消火器ケースの製造コストを低減することができる。
【0042】
また、図5を参照して説明したように、実施形態の消火器ケースは、建物などのコーナーに設置するのに最適な構造となっている。従って、消火器の設置に場所をとらず、消火器を建物の各部屋に設置することも容易となり、建物の防火性、安全性を向上させることができる。また、消火器ケースの設置スペースの確保のために、特許文献1のように、消火器ケース埋め込む凹部を壁面に設けるような特別の工事も必要とせず、消火器の設置費用を低減できる。
【0043】
以上、図面(図1図5)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記(1))。
【0044】
(1)図1図2を参照して説明したように、実施形態においては、第1側板10、第2側板20、第1底板片30、第2底板片40は、同一の金属材料から形成されているが、十分な強度が得られる場合には、各部材を樹脂材料から形成してもよく、第1側板10と第2側板20とを樹脂材料から形成し、第1底板片30と第2底板片40とを金属材料から形成するなど、各部材を各種材料から形成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
I1…第1回動軸心
I2…第2回動軸心
I3…第3回動軸心
X1…第1開口方向
X2…第2開口方向
1…消火器
10…第1側板
11…第1側部
12…第2側部
13…第1天部
14…第1底部
20…第2側板
21…第3側部
22…第4側部
23…第2天部
24…第2底部
30…第1底板片
31…第1連結辺部
32…第1斜辺部
33…第1垂直辺部
40…第2底板片
41…第2連結辺部
42…第2斜辺部
43…第2垂直辺部
51…第1連結部材
52…第2連結部材
53…第3連結部材
60…第1長軸セグメント
61…第1嵌合溝
62…第1平坦面部
63…第1斜面部
70…第2長軸セグメント
71…第2嵌合溝
72…第2平坦面部
73…第2斜面部
80…連結セグメント
図1
図2
図3
図4
図5