(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】内視鏡設計における血流および灌流撮像および定量化のためのレーザ撮像方法およびシステムを用いたマルチスペクトル生理機能視覚化(MSPV)
(51)【国際特許分類】
A61B 1/045 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
A61B1/045 615
(21)【出願番号】P 2020512685
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(86)【国際出願番号】 US2018045715
(87)【国際公開番号】W WO2019045971
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-05-18
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500123164
【氏名又は名称】イースト カロライナ ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ファーガソン・ジュニア、ティー.・ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス、ケネス・マイケル
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-511361(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085793(WO,A1)
【文献】特開2013-039215(JP,A)
【文献】国際公開第2016/153741(WO,A1)
【文献】米国特許第09737213(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチスペクトル撮像システムであって、
試料を撮像するように構成された第1の波長を有する第1の光源と、
前記試料を撮像するように構成された、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する、前記第1の光源とは異なる第2の光源と、
前記試料を撮像するように構成された、前記第1及び第2の波長とは異なる第3の波長を有する、前記第1及び第2の光源とは異なる少なくとも第3の光源と、
複数のセンサを有する複数センサカメラであって、前記複数のセンサの各々が前記試料から前記第1、第2、及び少なくとも第3の光源の1つに関連した情報を受信するように構成された複数センサカメラと、ここで、前記第1の波長での光は、前記試料の表面を前記複数センサカメラの前記複数のセンサのうちの第1のセンサ内に撮像するように構成され、前記第2の波長での光は、前記試料に第1の深さまで侵入し、前記試料に関連した情報を前記複数センサカメラの前記複数のセンサのうちの第2のセンサにもたらすように構成され、前記第3の波長での光は、前記試料に、前記第2の波長での光の前記第1の深さとは異なる第2の深さまで侵入し、前記試料に関連した情報を前記複数センサカメラの前記複数のセンサのうちの第3のセンサにもたらすように構成され、前記第1、第2、及び少なくとも第3の光源に関連して得られる前記試料に関連した画像情報は、前記画像情報が前記複数センサカメラの前記第1、第2、及び第3のセンサにもたらされるとき、前記第1、第2、及び第3のセンサにおいて、整列され、同期されるものであり、
前記試料の解剖学的構造を撮像し、前記試料の血流及び灌流の生理機能を撮像し、及び/又は血流量分布の観点からの前記試料の前記解剖学的構造並びに前記血流及び灌流の生理機能を合成するために、前記複数センサカメラによってもたらされた前記第1、第2、及び少なくとも第3の光源に関連した情報を組み合わせるように構成されたプロセッサと、
を備え、前記マルチスペクトル撮像システムは、内視鏡を用いて前記試料の関心領域内の視野(FOV)に向けられ、焦点が合わされるマルチスペクトル撮像システム。
【請求項2】
前記内視鏡は、前記第1、第2、及び少なくとも第3の光源に関連した前記情報を前記プロセッサに提供するように構成され、内視鏡撮像システムに含められるものであり、前記内視鏡撮像システムは、
前記複数センサカメラと、
前記複数センサカメラを制御し、それに関連付けられた画像を処理するように構成された制御ユニットと、
前記複数センサカメラに関連付けられた画像を表示及び操作するように構成された画像管理ユニットと、
システムインターフェースであって、前記第1、第2、及び少なくとも第3の光源に関連した情報を、前記内視鏡撮像システム内で、それらに関連付けられた画像が表示され、操作されるように行うべく、変換するように構成されたシステムインターフェースと、を備える、請求項1に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項3】
前記内視鏡撮像システムは、
腹腔鏡法、胸腔鏡法、及び膀胱鏡法の少なくとも1つを含む内視鏡手術のためのシステム、
照明、視覚化、及び操作のための内視鏡を用いた低侵襲外科的処置のためのシステム、ならびに、
照明、視覚化、及び操作のための内視鏡を用いたロボットによる処置のためのシステム、の少なくとも1つを備える、請求項2に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項4】
前記内視鏡撮像システムは、
処置の間、腔内組織及び臓器を照明するために、
外科的介入のために腔内組織及び臓器を視覚化するために、並びに/又は
外科的介入のための腔内組織及び臓器の外科的操作のために構成された、請求項2に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項5】
前記内視鏡撮像システムは、ファイバ、ファイバ構成物、ファイバ構成、レンズ、ディフューザ、コリメータ、及び/又はエクスパンダを用いて、前記関心領域を照明するように構成される、請求項2に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項6】
前記複数センサカメラは、前記内視鏡撮像システムを用いて画像を得るための速さ、焦点、正確さ、及び忠実度を有するように構成され、前記複数センサカメラは、前記内視鏡の光ファイバに結合される、請求項2に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項7】
複数センサカメラの前記複数のセンサは、画像捕捉ケーブリングによって結合された前記内視鏡から離れた距離まで、内視鏡の先端からの連続体に沿って配置される、請求項6に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項8】
前記内視鏡は、剛性内視鏡、半剛性内視鏡、及び可撓性内視鏡の1つである、請求項1に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項9】
前記内視鏡は、可撓性の操縦可能な先端を有する剛性内視鏡、又は可撓性の挿入管を有する可撓性内視鏡の1つである、請求項8に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項10】
前記第3の波長を有する前記少なくとも第3の光源は、定義された生理学的パラメータを査定するように構成される、請求項1に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項11】
前記マルチスペクトル撮像システムは、手持ち型システム、指プローブユニット、皮膚パッチ、及び可動システムの1つ又は複数を備える、請求項1に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項12】
前記マルチスペクトル撮像システムは、1つのシステム内に異なる血流及び灌流測定技術を備え、前記血流及び灌流測定技術は、レーザスペックル撮像(LSI)、レーザドップラ撮像(LDI)、蛍光撮像、又は反射光撮像の1つ若しくは複数を備える、請求項1に記載のマルチスペクトル撮像システム。
【請求項13】
内視鏡撮像システムであって、
内視鏡と、
前記内視鏡に結合された光源ユニットと、ここで、前記光源ユニットは第1の光源、第2の光源、及び少なくとも第3の光源を提供するものであり、
前記第1の光源は、試料を撮像するように構成された第1の波長を有し、
前記第1の光源とは異なる前記第2の光源は、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有し、前記試料を撮像するように構成され、
前記第1及び第2の光源とは異なる前記少なくとも第3の光源は、前記第1及び第2の波長とは異なる第3の波長を有し、前記試料を撮像するように構成されるものであり、
複数のセンサを有する複数センサカメラのカメラヘッドを通して前記内視鏡に結合されたカメラ制御ユニットと、ここで、前記カメラヘッドは、前記第1、第2、及び少なくとも第3の光源に関連した情報を受信するように適合され、前記第1の波長での光は、前記試料の表面を前記複数センサカメラの前記複数のセンサのうちの第1のセンサ内に撮像するように構成され、前記第2の波長での光は、前記試料に第1の深さまで侵入するように、及び前記試料に関連した情報を前記複数センサカメラの前記複数のセンサのうちの第2のセンサにもたらすように構成され、前記第3の波長での光は、前記試料に前記第1の深さとは異なる第2の深さまで侵入し、前記試料に関連した情報を前記複数センサカメラの前記複数のセンサのうちの第3のセンサにもたらすように構成され、前記第1、第2、及び少なくとも第3の光源に関連して得られる前記試料に関連した画像情報は、前記画像情報が前記複数センサカメラの前記第1、第2、及び第3のセンサにもたらされるとき、前記第1、第2、及び第3のセンサにおいて、整列され、同期されるものであり、
前記試料の解剖学的構造を撮像し、前記試料の血流及び灌流の生理機能を撮像し、及び/又は血流量分布の観点からの前記試料の前記解剖学的構造ならびに前記血流及び灌流の生理機能を合成するべく、前記カメラヘッドによってもたらされた前記第1、第2、及び少なくとも第3の光源に関連した前記情報を組み合わせるように構成された内視鏡に結合された画像処理ユニットと、
を備える内視鏡撮像システム。
【請求項14】
前記内視鏡撮像システムは、
腹腔鏡法、胸腔鏡法、及び膀胱鏡法の少なくとも1つを含む内視鏡手術のためのシステム、照明、視覚化、及び操作のための内視鏡を用いた低侵襲外科的処置のためのシステム、ならびに照明、視覚化、及び操作のための内視鏡を用いたロボットによる処置のためのシステム、の少なくとも1つを備える、請求項1
3に記載の内視鏡撮像システム。
【請求項15】
前記内視鏡撮像システムは、
処置の間、腔内組織及び臓器を照明することと、
外科的介入のために腔内組織及び臓器を視覚化することと、並びに/又は
外科的介入のための腔内組織及び臓器の外科的操作と
を行うように構成される、請求項1
3に記載の内視鏡撮像システム。
【請求項16】
前記内視鏡撮像システムは、ファイバ、ファイバ構成物、ファイバ構成、レンズ、ディフューザ、コリメータ、及び/又はエクスパンダを用いることによって、関心領域を照明するように構成される、請求項1
3に記載の内視鏡撮像システム。
【請求項17】
前記内視鏡は、可撓性の操縦可能な先端を有する剛性内視鏡、又は可撓性の挿入管を有する可撓性内視鏡の1つである、請求項1
3に記載の内視鏡撮像システム。
【請求項18】
空気、水、及び/又は開いた流路管を通して前記内視鏡に結合された付属品ユニットをさらに備える、請求項1
3に記載の内視鏡撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
[0001]本出願は、全体において記載されているかの如く内容が参照により本明細書に組み込まれている、2017年8月28日に出願した米国特許出願第15/688,472号の利益および優先権を主張するものである。
【0002】
[0002]本発明の概念は、一般に血流および灌流定量化に関し、より詳細には、マルチスペクトル能力を有するレーザスペックル撮像、レーザドップラ撮像その他などの撮像技法を用いて、組織/臓器内の血液速度および血流量の分布の観点からの血流および灌流の定量化に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]血流および灌流撮像技術の測定結果は通常、臨床状況における目標組織/臓器の運動アーチファクトによって乱される。この動きはミクロ的(すなわち、心臓収縮期および心臓拡張期血圧レベルによる細動脈の拍動性)、中間的(すなわち、小腸および大腸の正常な蠕動)、またはマクロ的(すなわち、心臓周期の間の心臓の動き)なものとなり得る。この動きは撮像される組織に対して内因的(すなわち、上記の例)、または外因的(すなわち、換気の間の肺の動きの結果としての心臓の動き)なものとなり得る。従って、多くの臨床状況において、流れおよび灌流の正確な定量化が望ましい場合、撮像目標を静止状態に保つことは難しく、さらにはいくつかの臨床シナリオにおいては不可能である。例えば、鼓動する心臓の冠動脈および心筋における灌流を定量化するために、血流速度および流量の分布を撮像することなどである。残念ながら、ほとんどの従来のレーザをベースとする灌流技術は、目標組織/臓器が静止していることを想定し、これは、鼓動する心臓など、目標が動いている場合の血液速さまたは速度の臨床測定において著しい不正確さまたは誤差を生じ、あるいは目標が動いているまたはそうでない場合がある臨床状況において決定的に必要とされる血流量分布の観点からの灌流の定量化に対する情報を全くもたらさない。
【0004】
[0004]動物または人における組織/臓器は、異なる波長の光に対して異なって応答する。一般に、紫外(UV)から近赤外(NIR)までのスペクトル領域において、より短い波長の光は組織の表面層のみに侵入することができ、一方、より長い波長の光は、表面層および表面下の層の両方に侵入することができる。例えば、550nm未満の波長のUVおよび可視光は、組織および臓器の表面を見るとき、医療における詳細な解剖学的視覚化のために最適である。しかし、NIR光と異なり、UVまたは可視光撮像は通常、ひとつには組織/臓器への侵入がないことにより、表面下の層内の組織/臓器の生理学的特性を明らかにする能力を本質的に有しない。従って、視覚化および定量化の改善された方法が望ましい。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明の概念のいくつかの実施形態は、マルチスペクトル撮像システムをもたらす。システムは、試料を撮像するように構成された第1の波長を有する第1の光源と、試料を撮像するように構成された、第1の波長とは異なる第2の波長を有する、第1の光源とは異なる第2の光源と、試料を撮像するように構成された、第1および第2の波長とは異なる第3の波長を有する、第1および第2の光源とは異なる少なくとも第3の光源と、試料から第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した情報を受信するように構成されたカメラと、ここにおいて、第1の波長での光は、試料の表面をカメラ内に撮像するように構成され、第2の波長での光は、試料に第1の深さまで侵入するように、および試料に関連した情報をカメラにもたらすように構成され、および少なくとも第3の波長での光は、試料に、第2の波長での光の第1の深さとは異なる第2の深さまで侵入するように構成される、試料の解剖学的構造を撮像する、試料の血流および灌流の生理機能を撮像する、および/または血流量分布の観点からの試料の解剖学的構造ならびに血流および灌流の生理機能を合成するように、カメラによってもたらされた第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した情報を組み合わせるように構成されたプロセッサとを含む。カメラは、内視鏡を用いて試料の関心領域内に位置決めされる。
【0006】
[0006]他の実施形態において、内視鏡は、第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した情報をプロセッサにもたらすように構成されてよく、内視鏡撮像システムに含められ得る。内視鏡撮像システムは、カメラと、カメラを制御し、それに関連付けられた画像を処理するように構成された制御ユニットと、カメラに関連付けられた画像を表示および操作するように構成された画像管理ユニットと、第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した情報を、内視鏡撮像システム内で、それらに関連付けられた画像が表示され、操作されるように、行われるように変換するように構成されたシステムインターフェースとを含み得る。
【0007】
[0007]他の実施形態において、内視鏡撮像システムは、腹腔鏡法、胸腔鏡法、および膀胱鏡法の1つまたは複数を含む内視鏡手術のためのシステム、照明、視覚化、および操作のための内視鏡を用いた低侵襲外科的処置のためのシステム、ならびに照明、視覚化、および操作のための内視鏡を用いたロボットによる処置のためのシステムの少なくとも1つを含み得る。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態において、内視鏡撮像システムは、処置の間、腔内組織および臓器を照明するように、外科的介入のために腔内組織および臓器を視覚化するように、および外科的介入のための腔内組織および臓器の外科的操作のために構成され得る。
【0009】
[0009]他の実施形態において、内視鏡システムは、ファイバ、ファイバ構成物、ファイバ構成、レンズ、ディフューザ、コリメータ、および/またはエクスパンダを用いて、関心領域を照明するように構成され得る。他の実施形態において、カメラは複数のセンサを含むことができ、内視鏡システムを用いて画像を得るための速さ、焦点、正確さ、および忠実度を有するように構成される。カメラは、内視鏡内の光ファイバに結合され得る。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態において、複数のセンサは、画像捕捉ケーブリングによって結合された内視鏡から離れた距離まで、内視鏡の先端からの連続体に沿って配置され得る。
【0011】
[0011]他の実施形態において、内視鏡は、剛性内視鏡、半剛性内視鏡、および可撓性内視鏡の1つとすることができる。
【0012】
[0012]他の実施形態において、内視鏡は、可撓性の操縦可能な先端を有する剛性内視鏡、および可撓性の挿入管を有する可撓性内視鏡の1つとすることができる。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態において、少なくとも第3の波長は、Hgb濃度など、特定の生理学的パラメータを査定するように構成され得る。システムには、手持ち型システム、指プローブユニット、皮膚パッチ、および可動システムの1つまたは複数がもたらされ得る。
【0014】
[0014]他の実施形態において、マルチスペクトル撮像システムは、1つのシステム内に異なる血流および灌流測定技術を含み得る。血流および灌流測定技術は、レーザスペックル撮像(LSI)、レーザドップラ撮像(LDI)、蛍光撮像、および反射光撮像の1つまたは複数を含み得る。
【0015】
[0015]本発明の概念の他の実施形態は、内視鏡システムのために適合されたマルチスペクトル撮像システムにおけるマルチスペクトル撮像の方法をもたらす。方法は、第1の波長を有し、内視鏡システムを通して供給される第1の光源を用いて試料を撮像することと、第1の波長とは異なる第2の波長を有し、内視鏡システムを通して供給される、第1の光源とは異なる第2の光源を用いて試料を撮像することと、カメラにおいて試料から第1および第2の光源に関連した情報を受信することと、ここにおいて、第1の波長での光は、カメラ内へ試料の表面を反射するように構成され、第2の波長での光は、試料に侵入し、内視鏡システムを通して試料に関連した情報をカメラにもたらすように構成される、試料の解剖学的構造を撮像する、試料の血流および灌流の生理機能を撮像する、および/または血流量分布の観点からの試料の解剖学的構造ならびに血流および灌流の生理機能を合成するように、少なくとも1つのプロセッサを用いて、カメラによって受信された第1および第2の光源に関連した情報を組み合わせることとを含む。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態において、照明、分析、および表示は、内視鏡システムを用いて行われ得る。内視鏡システムは、マルチスペクトル生理機能視覚化(MSPV)オペレーティングシステムと通信するように構成され得る。
【0017】
[0017]本発明の概念のいくつかの実施形態は、内視鏡撮像システムをもたらす。システムは、内視鏡と、内視鏡に結合された光源ユニットとを含む。光源ユニットは第1、第2、および少なくとも第3の光源をもたらす。第1の光源は、試料を撮像するように構成された第1の波長を有する。第2の光源は、第1の光源とは異なり、試料を撮像するように構成される第1の波長とは異なる第2の波長を有する。第1および第2の光源とは異なる少なくとも第3の光源は、試料を撮像するように構成される第1および第2の波長とは異なる第3の波長を有する。システムはさらに、カメラのカメラヘッドを通して内視鏡に結合されたカメラ制御ユニットと、カメラヘッドは、第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した情報を受信するように適合され、ここにおいて、第1の波長での光は、試料の表面をカメラ内に撮像するように構成され、第2の波長での光は、試料に第1の深さまで侵入するように、および試料に関連した情報をカメラにもたらすように構成され、ならびに少なくとも第3の波長での光は、試料に第2の深さまで侵入し、試料に関連した情報をカメラにもたらすように構成され、試料の解剖学的構造を撮像する、試料の血流および灌流の生理機能を撮像する、および/または血流量分布の観点からの試料の解剖学的構造ならびに血流および灌流の生理機能を合成するように、カメラヘッドによってもたらされた第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した情報を組み合わせるように構成された内視鏡に結合された画像処理ユニットとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】[0018]本発明の概念のいくつかの実施形態による二波長撮像を実施するシステムを示すブロック図。
【
図1B】[0019]本発明の概念のいくつかの実施形態による複数の光源を含むシステムを示すブロック図。
【
図1C】[0020]本発明の概念のいくつかの実施形態による複数センサカメラを示すブロック図。
【
図2】[0021]本発明の概念のいくつかの実施形態による多波長撮像システムの様々な構成要素を示すより詳細なブロック図。
【
図3】[0022]本発明の概念のいくつかの実施形態によるデータ処理システムのブロック図。
【
図4】[0023]本発明の概念のいくつかの実施形態による
図3に示されるデータ処理システムのより詳細なブロック図。
【
図6A】[0025]静止した手の近赤外光のみを用いた灌流測定を示す画像。
【
図6B】静止した手の二波長照明を用いた灌流測定を示す画像。
【
図7A】[0026]動いている手の近赤外光のみを用いた灌流測定を示す画像。
【
図7B】動いている手の二波長照明を用いた灌流測定を示す画像。
【
図8A】[0027]同側の血圧測定用カフを膨らませることによって血液供給が一時的に閉塞された状態での、静止した手の近赤外光のみを用いた灌流測定を示す画像。
【
図8B】同側の血圧測定用カフを膨らませることによって血液供給が一時的に閉塞された状態での、静止した手の二波長照明を用いた灌流測定を示す画像。
【
図9A】[0028]豚の大腸の近赤外光のみを用いた灌流測定を示す図。
【
図9B】豚の大腸の二波長照明を用いた灌流測定を示す図。
【
図10A】[0029]解剖学的構造を定義するためのものとしての豚の小腸の一片の可視光画像。
【
図10B】透明度マップを定義するためのものとしての小腸の同じ一片の近赤外光画像。
【
図10C】LSIを用いたNIR未加工画像の11フレームによって計算された小腸の同じ一片の血流速さ分布図。
【
図10D】解剖学的構造および血流生理機能の両方を明らかにするための本発明の概念のいくつかの実施形態によるアルゴリズムを用いた、A、B、Cを用いて組み合わされた視覚効果を示す画像。
【
図11A】[0030]8ビットグレイスケール画像の輝度によって解剖学的構造を定義するためのものとしての豚の小腸の一片の可視光画像。
【
図11B】LSIを用いたNIR未加工画像の11フレームによって計算された小腸の同じ一片の血流速さ分布図。
【
図11C】解剖学的構造および血流生理機能の両方を明らかにするための本発明の概念のいくつかの実施形態によるアルゴリズムを用いた、AおよびBを用いて組み合わされた視覚効果を示す画像。
【
図12A】[0031]パネルA、小腸のNIR785nm画像。
【
図12B】パネルB、同じ小腸の緑色532nm画像。
【
図12C】パネルC、同じ小腸の再構成された画像。
【
図12D】パネルD、通常のカメラで撮られた同じ小腸の画像。
【
図13A】[0032]パネルA、豚の心臓のNIR785nm画像。
【
図13B】パネルB、同じ豚の心臓の緑色532nm画像。
【
図13C】パネルC、同じ豚の心臓の再構成された画像。
【
図13D】パネルD、通常のカメラで撮られた同じ豚の心臓の画像。
【
図14A】[0033]可視波長(532nm)を用いた画像。
【
図14B】近赤外波長(785nm)を用いた画像。
【
図14C】可視および赤外波長によって(グレイスケールにおいて)再構成された画像。
【
図15A】[0034]本発明の概念のいくつかの実施形態による臨床撮像処置の間における問題に対して補償する画像を示す図。
【
図15B】本発明の概念のいくつかの実施形態による臨床撮像処置の間における問題に対して補償する画像を示す図。
【
図16A】本発明の概念のいくつかの実施形態による臨床撮像処置の間における問題に対して補償する画像を示す図。
【
図16B】本発明の概念のいくつかの実施形態による臨床撮像処置の間における問題に対して補償する画像を示す図。
【
図17A】本発明の概念のいくつかの実施形態による臨床撮像処置の間における問題に対して補償する画像を示す図。
【
図17B】本発明の概念のいくつかの実施形態による臨床撮像処置の間における問題に対して補償する画像を示す図。
【
図18A】本発明の概念のいくつかの実施形態による臨床撮像処置の間における問題に対して補償する画像を示す図。
【
図18B】本発明の概念のいくつかの実施形態による臨床撮像処置の間における問題に対して補償する画像を示す図。
【
図19A】本発明の概念のいくつかの実施形態による臨床撮像処置の間における問題に対して補償する画像を示す図。
【
図19B】本発明の概念のいくつかの実施形態による臨床撮像処置の間における問題に対して補償する画像を示す図。
【
図20】[0035]本発明の概念のいくつかの実施形態による可動システムの図。
【
図21A】[0036]本発明の概念のいくつかの実施形態による、より小さな底面積のシステムを示す図。
【
図21B】本発明の概念のいくつかの実施形態による、より小さな底面積のシステムを示す図。
【
図22】[0037]本発明の概念のいくつかの実施形態による指プローブデバイスおよび/または皮膚パッチを示す図。
【
図23】[0038]本発明の概念のいくつかの実施形態による手持ち型可動システムの側面斜視図。
【
図24】[0039]本発明の概念のいくつかの実施形態による内視鏡デバイスを含む独立型システムの図。
【
図25】[0040]本発明の概念のいくつかの実施形態による適応性システムのブロック図。
【
図26A】[0041]本発明の概念の実施形態による捕捉された人の手の画像。
【
図26B】本発明の概念の実施形態による捕捉された人の手の画像。
【
図26C】本発明の概念の実施形態による捕捉された人の手の画像。
【
図26D】本発明の概念の実施形態による捕捉された人の手の画像。
【
図27】[0042]本発明の概念の様々な実施形態による内視鏡を含むシステムのブロック図。
【
図28】[0043]本発明の概念のいくつかの実施形態による
図27の例示のシステムの線画図面。
【
図29A】[0044]本発明の概念のいくつかの実施形態による品質チェック方法において用いられる画像および画像品質インジケータバーを示す図。
【
図29B】本発明の概念のいくつかの実施形態による品質チェック方法において用いられる画像および画像品質インジケータバーを示す図。
【
図30】[0045]本発明の概念のいくつかの実施形態による方法を示すフローチャート。
【
図31】[0046]本明細書で論じられる内視鏡実施形態による視野(FOV)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0047]次に、本発明の概念の実施形態が、本発明の概念の好ましい実施形態が示される添付の図面を参照して、本明細書の以下でより十分に述べられる。しかし、本発明の概念は多くの異なる形で具体化することができ、本明細書で述べられる実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。全体にわたって、同じ番号は同じ要素を指す。図において、層、領域、要素、または構成要素は、分かりやすくするために誇張され得る。破線は、別段の指定がない限り任意選択の機能または動作を示す。
【0020】
[0048]本明細書で用いられる専門用語は、特定の実施形態を述べるためのみであり、本発明の概念を限定するものではない。本明細書で用いられる単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が異なる解釈を明らかに示す場合を除き、複数形も含むものである。さらに本明細書で用いられるとき、用語「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」は、記載された特徴、整数値、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明記するものであるが、1つまたは複数の他の特徴、整数値、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではないことが理解されるであろう。本明細書で用いられる「および/または」という用語は、関連付けられた列挙される品目のいずれか、およびそれらの1つまたは複数のすべての組み合わせを含む。本明細書で用いられる「XとYの間」および「約XとYの間」などの語句は、XおよびYを含むように解釈されるべきである。本明細書で用いられる、「約XとYの間」などの語句は、「約Xと約Yの間」を意味する。本明細書で用いられる「約XからYまで」などの語句は、「約Xから約Yまで」を意味する。「約」という用語は、数値が±10%だけ変わり得ることを意味する。
【0021】
[0049]別段の定義がない限り、本明細書で用いられるすべての用語(技術的および科学的用語を含む)は、本発明の概念が属する技術分野における当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。さらに、通常用いられる辞書で定義されるものなどの用語は、本明細書の関連におけるそれらの意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化された、または過度に正式な意味で解釈されるべきではないことが理解されるであろう。良く知られている機能または構成は、簡潔さおよび/または明瞭さのために詳しく述べられない場合がある。
【0022】
[0050]要素が他の要素「上(on)」にある、それに「取り付けられる」、それに「接続される」、それに「結合される」、「接触する」などと呼ばれるとき、それは直接他の要素上にある、それに取り付けられる、それに接続される、それに結合される、または接触することができ、介在要素が存在してもよいことが理解されるであろう。これと対照的に、例えば、要素が他の要素上に「直接ある」、それに「直接取り付けられる」、それに「直接接続される」、それに「直接結合される」、または「直接接触する」と呼ばれるときは、介在要素は存在しない。また当業者には、他の特徴に「隣接して」配置された構造または特徴への言及は、隣接する特徴に重なり合うまたはその下に存在する部分を有し得ることが理解されるであろう。
【0023】
[0051]本明細書において第1、第2などの用語は様々な要素、構成要素、領域、層、および/または区間を表すために用いられ得るが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/または区間はこれらの用語によって限定されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は1つの要素、構成要素、領域、層、または区間を、他の要素、構成要素、領域、層、または区間と区別するためにのみ用いられる。従って、以下で論じられる第1の要素、構成要素、領域、層、または区間は、本発明の概念の教示から逸脱せずに第2の要素、構成要素、領域、層、または区間と呼ばれ得る。動作(またはステップ)の順序は、別段の指定がない限り「特許請求の範囲」または図において提示された順番に限定されない。
【0024】
[0052]本明細書では図に示されるような1つの要素または特徴の、他の要素または特徴との関係を述べるときに説明しやすくするために、空間的に相対的な用語、「の下(under)」、「より下(below)」、「下側(lower)」、「の上(over)」、「上側(upper)」などが用いられる場合がある。空間的に相対的な用語は、使用時または動作時には図に示された向きに加えて、デバイスの異なる向きを包含するものであることが理解されるであろう。例えば、図のデバイスが反転された場合、他の要素または特徴「の下(under)」または「の下(beneath)」として記述された要素は、他の要素または特徴「の上(over)」に方向付けられることになる。従って、「の下(under)」という例示的な用語は、上(over)および下(under)の両方を包含し得る。デバイスは他の方向に向けられる(90度または他の向きに回転される)場合があり、本明細書で用いられる空間的に相対的な記述はそれに従って解釈される。同様に、本明細書において、「上向き(upwardly)」、「下向き(downwardly)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」などの用語は、別段の指定がない限り説明のためのみに用いられる。
【0025】
[0053]当業者には理解されるように、本発明の概念の実施形態は、方法、システム、データ処理システム、またはコンピュータプログラム製品として具体化され得る。従って、本発明の概念は、ソフトウェアおよびハードウェア態様を組み合わせた実施形態の形を取ることができ、本明細書ではすべて一般に「回路」または「モジュール」と呼ばれる。さらに本発明の概念は、その媒体内に具体化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する、非一時的コンピュータ使用可能記憶媒体上のコンピュータプログラム製品の形を取り得る。ハードディスク、CD ROM、光記憶デバイス、または他の電子的記憶デバイスを含む、任意の適切なコンピュータ可読媒体が利用され得る。
【0026】
[0054]本発明の概念の動作を遂行するためのコンピュータプログラムコードは、Matlab、Mathematica、Java(登録商標)、Smalltalk、CまたはC++などのオブジェクト指向プログラミング言語で書かれ得る。しかし、本発明の概念の動作を遂行するためのコンピュータプログラムコードはまた、「C」プログラミング言語などの通常の手続き型プログラミング言語で、またはVisual Basicなどの視覚指向プログラミング環境で書かれ得る。
【0027】
[0055]Matlabにおいて実施された本発明の概念のいくつかの実施形態は、本発明の概念のいくつかの実施形態による改善された処理速度をもたらし得ることが理解されるであろう。
【0028】
[0056]プログラムコードのいくつかは、専らユーザのコンピュータの1つまたは複数上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上および部分的に遠隔コンピュータ上、または専ら遠隔コンピュータ上で実行し得る。後者のシナリオにおいて、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を通してユーザのコンピュータに接続されてよく、または外部コンピュータに対して(例えば、インターネットサービスプロバイダを用いてインターネットを通して)接続がなされ得る。
【0029】
[0057]本発明の概念は以下で部分的に、本発明の概念の実施形態による方法、デバイス、システム、コンピュータプログラム製品、ならびにデータおよび/またはシステムアーキテクチャ構造の、フローチャート図および/またはブロック図を参照して述べられる。図の各ブロック、および/またはブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実施され得ることが理解されるであろう。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを通じて実行する命令が、ブロックにおいて指定された機能/動作を実施するための手段を作り出すように、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、またはマシンを生み出すための他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサにもたらされ得る。
【0030】
[0058]これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読メモリまたはストレージに記憶され得て、特定のやり方で機能するようにコンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置に指示することができ、その結果コンピュータ可読メモリまたはストレージに記憶された命令は、ブロックにおいて指定された機能/動作を実施する命令手段を含む製品を生み出す。
【0031】
[0059]コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータによって実施されるプロセスを生み出すように一連の動作ステップがコンピュータまたは他のプログラマブル装置上で行われるようにするために、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置上にロードされ得て、その結果コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行する命令は、ブロックにおいて指定された機能/動作を実施するためのステップをもたらす。
【0032】
[0060]本発明の概念は、一般に血流および灌流定量化に関し、より詳細には、マルチスペクトル能力を有するレーザスペックル撮像(LSI)、レーザドップラ撮像(LDI)、蛍光撮像、反射光撮像その他などの撮像技法を用いた、血液速度および血流量の分布の観点からの組織/臓器内の血流および灌流の定量化に関する。本発明の概念のいくつかの実施形態は、灌流の定量化のために血液速度および血流量分布を測定/定量化し、運動アーチファクトを除去し、合成された解剖学的・生理学的結果の提示ならびにリアルタイム評価および査定のための視覚化を強化するように、350nmから1100nmまでの範囲内の2つ以上の波長を用いる。本明細書で用いられる「マルチスペクトルレーザ撮像(MSLI)」とは、本発明の概念のいくつかの実施形態による2つ以上の波長を用いた撮像技法を指す。
【0033】
[0061]具体的には、本発明の概念のいくつかの実施形態は、レーザスペックルまたはレーザドップラ撮像を適用するために試料を通る透過率差の2つの波長(または波長範囲)を用いたシステムをもたらす。2つの波長の第1のものは、青色光450~495nmなど、UVまたは可視範囲内で比較的小さなものとすることができる。この波長での光は、非常に浅い侵入を有し、血流および灌流の表面下の動きではなく、組織/臓器表面の解剖学的構造を撮像し、試料の位置マーカとして働く。第2の波長は、可視(400~700nm)、または近赤外(NIR)範囲(700~2500nm)内の比較的大きなものとすることができる。この波長での光は、ずっと大きな侵入深さを有し、下にある血流生理機能を明らかにし、試料の運動と、また血流および灌流の動きとの両方を相互に関連付ける。可視光の撮像測定をベースラインとして用いて、血流および灌流の真の運動が、目標の運動アーチファクトによって影響を受けずに、NIR撮像測定から導き出され得る。さらに、可視光によって捕捉された解剖学的構造情報、およびNIR光によって測定された生理学的特性は、本明細書で論じられるように組み合わされる。
【0034】
[0062]本出願の背景において論じられたように、可視またはNIRスペクトルのみを用いることは、生み出される最終的な画像に様々な問題を結果として生じ得る。従って、本発明の概念のいくつかの実施形態は、可視およびNIRスペクトル(350nm~1100nm)の異なる波長を、LSI、LDI、蛍光、反射光、またはLSIプラス蛍光などの撮像システムに組み合わせる。本明細書で論じられる組み合わせは、1つの単一波長を用いるよりも、組織/臓器のずっと多くの情報を明らかにすることができる。具体的には、本明細書で論じられるいくつかの実施形態によるMSLIは、(1)血流および灌流定量化の不正確さを作り出す、臨床的な生物学的構造内に存在する運動アーチファクトを考慮し、除去する、(2)解剖学的構造と、血流および灌流の生理機能との両方の、リアルタイムでの同時の精密な合成によって、現在の技術よりも視覚化を改善する、(3)(1)と(2)の組み合わせを通して、
図1Aから29Bに関して本明細書で論じられるように、臨床応用における血流および灌流の定量化の正確さを改善する。
【0035】
[0063]本明細書で用いられる「リアルタイム」とは、要求または光源の活動化の直後に、データがもたらされるかのように見えるような、非常に短い時間量、例えば、数ミリ秒以内でのデータの提供を指す。
【0036】
[0064]いくつかの実施形態において、可視およびNIRスペクトル(350~1100nm)にわたって複数波長を用いることに加えて、本発明の概念の実施形態は、図に関して以下で論じられように、例えば、近赤外蛍光(NIRF)とレーザスペックル撮像(LSI)、またはNIRFとレーザドップラ撮像(LDI)など、2つ以上のレーザ撮像技法を1つのシステムに組み合わせることができる。
【0037】
[0065]さらに本発明の概念のいくつかの実施形態は、複数の臨床的および実験的設定にわたって、視覚化および定量化の方法を適用する能力をもたらす。このような設定は、組織の直接照明および撮像を含むが、撮像された視野(FOV)へのアクセスは異なる手法を通して達成される。これらの手法は、本発明の概念の範囲から逸脱せずに、例えば、組織との直接接触もしくは非直接接触、観血的手術処置の間の組織の露出、または閉じられた解剖学的構造内の組織もしくは消化管内もしくは気管気管支樹の組織にアクセスするための内視鏡法を通じたものを含み得る。
【0038】
[0066]最初に
図1Aを参照して、本発明の概念のいくつかの実施形態による、二波長撮像を実施した単純化されたシステム示すブロック図が論じられる。
図1Aに示されるように、システム100は、少なくとも2つの光源、それぞれ第1の光源130および第2の光源131と、試料160と、カメラ110と、通信デバイス(コンピュータ120)とを含む。本発明の概念のいくつかの実施形態において、第1の光源130は可視光を供給し、第2の光源131はNIR光を供給する。上記で論じられたように、コヒーレントな短波長(可視光源130)は、試料160(組織/臓器)内に深く侵入しないが、組織散乱(142)において試料160の表面の詳細をもたらす。これと対照的にコヒーレントNIR光源131は、試料160内に深く侵入し、単一(140)または複数粒子(141)散乱をもたらし得る。試料160からの反射140、141、142は、例えば、分割画像または複数センサカメラとすることができるカメラ110によって捕捉される。具体的には、いくつかの実施形態において、カメラは、1つのセンサチップを有する単一のカメラではなく、複数センサカメラとすることができる。複数センサカメラは複数のセンサを有し、各センサは1つの波長または波長範囲を撮像するように構成され得る。
図1Cに示されるように、複数センサカメラ110’を有する実施形態において、カメラは複数の、間隔を空けて置かれたセンサS1からSNを有し得る。各センサは1つの波長または波長範囲を撮像するように構成され得る。S1~SNにおける数「N」は、ここで論じられる実施形態による任意の妥当な数とすることができる。例えば、「N」は2と50の間とすることができる。
【0039】
[0067]情報は、通信デバイス120によって処理することができ、これは本発明の概念のいくつかの実施形態による改善された血流および灌流データをもたらすように、可視およびNIR波長画像を組み合わせる。理解されるように、ここで論じられる実施形態によってもたらされるデータは、試料(組織/臓器)160の動き150を考慮し、それのずっと改善された画像をもたらす。
【0040】
[0068]いくつかの実施形態は、ここでは2つの波長を有するものとして論じられるが、本発明の概念の実施形態はこの構成に限定されない。例えば、
図1Bのシステム100’に示されるように、いくつかの実施形態において、少なくとも第3の光源132が第3の波長を有してもたらされ、この波長は試料を第1および第2の波長とは異なる深さに侵入し、異なる散乱パターン143をもたらす。いくつかの実施形態において、少なくとも第3の波長は、特定の生理学的パラメータ、例えば、Hgb濃度を査定するように構成され得る。いくつかの実施形態において、3つ以上の光源が存在し得ることが理解されるであろう。
【0041】
[0069]次に
図2を参照して、本発明の概念のいくつかの実施形態による多波長撮像システムの様々な構成要素を示す、より詳細なブロック図が論じられる。
図2に示されるように、システム205は、少なくとも2つのレーザ光源、可視230およびNIR231と、接続ファイバ233と、撮像システムの構成要素237と、試料260と、ビームスプリッタ280と、カメラ210と、通信デバイス(コンピュータシステム220)とを含む。動作の際に、NIRレーザがNIR光を、組織/臓器などの生体試料260に供給するとき、NIR光の一部分は、試料内部の静止したおよび動いている粒子の両方の、単一または複数散乱を受け、反射するようになる。可視レーザ230が、430nmを有する光など、侵入しない可視光を、組織/臓器などの生体試料260に供給するとき、光の大部分は、深さ100μm未満以内の表面によって反射されるようになる。NIRレーザ231に関して、光のおおよそ95%は試料260の上部700μmから戻されるようになり、これは例えば、深さ300μmで、冠動脈壁を通過し、赤血球などの動いている粒子から、および静止した組織からの情報を生成するために十分な侵入である。
【0042】
[0070]反射された可視光は、試料260の表面動き情報を含み、従って運動アーチファクトを反映する。反射されたNIR光は、試料260の表面および表面下の動き情報を含み、従って運動アーチファクトと、血流の動きの両方を反映する。
図2に示されるように、レーザ230および231によって生み出された光は、ファイバ233にもたらされてよく、これは示されるように複数のファイバ区間を含むことができ、複数の分割ファイバ235を含み得る。しかし、本発明の概念の実施形態は、
図2に示される構成に限定されない。例えば、本発明の概念の範囲から逸脱せずに、より多いまたは少ないファイバが用いられ得る。さらに、ファイバ上の光は、試料260に到達する前に、撮像システム237の様々な要素を通過し得る。例えば、光は、本発明の概念の範囲から逸脱せずに、試料260に到達する前に偏光子、コリメータ、エクスパンダ、ディフューザなどを横断し得る。
【0043】
[0071]入射光270は試料260を照明し、反射光275はビームスプリッタ280にもたらされる。本発明の概念のいくつかの実施形態において、ビームスプリッタ280は、NIR283と可視光285とを分離する二色性ビーム分割システムとすることができる。分離された光283および285は、カメラ210に供給される前に、偏光子、フィルタなど287を通過し得る。上記で論じられたように、本発明の概念の範囲から逸脱せずに、カメラ210は、例えば、分割画像(単一センサ)または複数センサカメラとすることができる。述べられたように、複数センサカメラは、それぞれがある波長または波長範囲を撮像するように構成された複数のセンサを有する。
【0044】
[0072]NIR283および可視285画像はカメラ210に方向付けられ、1つのカメラセンサ上、または同期され整列された別個のカメラセンサS1~SN(
図1C)上に、分割画像が作り出される。上記で論じられたように、組織/臓器内で、異なる波長は異なる侵入レベルを有する。本明細書で論じられたようなマルチスペクトル画像設計を用いて、様々な図に関して以下で論じられるように、組織/臓器内の異なる深さにおける解剖学的構造および血流生理機能が明らかにされ得る。
【0045】
[0073]
図1A、1B、および2に示されるように、本発明の概念の実施形態によるシステムは、通信デバイス120、220を含み、これらは本発明の概念の実施形態を実施するために必要な様々な処理のために用いられる。次に
図3を参照して、本発明の概念のいくつかの実施形態による、
図1および2のシステムにおいて、例えば、通信デバイス120、210において用いられ得る、データ処理システム300が論じられる。データ処理システム300は、本発明の概念の範囲から逸脱せずに、システムの構成要素のいずれかに含まれ得ることが理解されるであろう。例えば、本発明の概念の範囲から逸脱せずに、データ処理システム300はカメラ110、210に含まれてよく、またはシステムの様々な要素の間で分割され得る。
【0046】
[0074]次に
図3を参照すると、
図1および2のシステムでの使用に適したデータ処理システム300の例示的実施形態は、キーボード、キーパッド、タッチパッドなどのユーザインターフェース344と、I/Oデータポート346と、プロセッサ338と通信するメモリ336とを含む。I/Oデータポート346は、データ処理システム300と他のコンピュータシステムまたはネットワークとの間で情報を転送するために用いられ得る。これらの構成要素は、多くの従来のデータ処理システムで用いられるものなどの従来の構成要素でよく、これらは本明細書で述べられるように動作するように構成され得る。
【0047】
[0075]次に
図4を参照して、本発明の概念のいくつかの実施形態によるデータ処理システム400のより詳細なブロック図が論じられる。プロセッサ338は、アドレス/データバス447を通じてディスプレイ445と、アドレス/データバス448を通じてメモリ336と、およびアドレス/データバス449を通じてI/Oデータポート346と通信する。プロセッサ338は、任意の市販のもしくはカスタムマイクロプロセッサ、またはASICとすることができる。メモリ336は、データ処理システム400の機能を実施するために用いられるソフトウェアおよびデータを含んだメモリデバイスの全体的な階層を表すものである。メモリ336は、非限定的に以下のタイプのデバイスを含むことができる:キャッシュ、ROM、PROM、EPROM、EEPROM(登録商標)、フラッシュメモリ、SRAM、およびDRAM。
【0048】
[0076]
図4に示されるように、メモリ336は、オペレーティングシステム452、アプリケーションプログラム454、入力/出力(I/O)デバイスドライバ458、およびデータ456の、データ処理システム400内で用いられるいくつかのカテゴリのソフトウェアおよびデータを含み得る。当業者には理解されるように、オペレーティングシステム452は、ニューヨーク州アーモンクのInternational Business Machines CorporationからのOS/2、AIXまたはzOS、ワシントン州レッドモンドのMicrosoft CorporationからのWindows(登録商標)95、Windows98、Windows2000、WindowsXP、またはVista、Unix(登録商標)、Linux(登録商標)、LabView、あるいはQNXまたはVxWorksなどのリアルタイムオペレーティングシステムなど、データ処理システムとの使用に適した任意のオペレーティングシステムとすることができる。I/Oデバイスドライバ458は通常、I/Oデータポート346およびいくつかのメモリ336構成要素などのデバイスと通信するために、アプリケーションプログラム454によってオペレーティングシステム452を通してアクセスされるソフトウェアルーチンを含む。アプリケーションプログラム454は、本発明の概念のいくつかの実施形態によるシステムに含まれるデータ処理システム400の様々な機能を実施するプログラムを示すものであり、本発明の概念のいくつかの実施形態による動作をサポートする少なくとも1つのアプリケーションを含むことが好ましい。最後に、データ456は、アプリケーションプログラム454、オペレーティングシステム452、I/Oデバイスドライバ458、およびメモリ336に常駐し得る他のソフトウェアプログラムによって、用いられる静的および動的データを表す。
【0049】
[0077]
図4に示されるように、本発明の概念のいくつかの実施形態によれば、データ456は、取得された可視画像460と、取得されたNIR画像/データ461と、計算された血流/灌流データ463と、画像/ビデオ464とを含み得る。
図4に示されるデータ456は、4つの異なるファイル460、461、463、および464を含むが、本発明の概念の実施形態はこの構成に限定されない。本発明の概念の範囲から逸脱せずに、2つ以上のファイルは単一のファイルを作るように組み合わされてよく、単一のファイルは2つ以上のファイルなどに分割され得る。
【0050】
[0078]
図4にさらに示されるように、本発明の概念のいくつかの実施形態によれば、アプリケーションプログラム454は、画像処理モジュール451と、画像捕捉モジュール452とを含み得る。本発明の概念は、
図4において例えば、画像処理モジュール451および画像捕捉モジュール452に関して、アプリケーションプログラムであるものとして示されるが、当業者には理解されるように、本発明の概念の教示から依然として恩恵を受けながら、他の構成も利用され得る。例えば、画像処理モジュール451および画像捕捉モジュール452は、オペレーティングシステム452に、またはデータ処理システム400の他のこのような論理的分割に組み込まれてもよい。従って、本発明の概念は、
図4の構成に限定されると解釈されるべきではなく、本明細書で述べられる動作を遂行する能力を有する任意の構成を包含するものである。
【0051】
[0079]さらに、画像処理モジュール451および画像捕捉モジュール452は単一のデータ処理システムにおいて示されるが、当業者には理解されるように、このような機能は1つまたは複数のデータ処理システムにわたって分散され得る。従って、本発明の概念は、
図3および4に示される構成に限定されると解釈されるべきではなく、データ処理システムの間での機能の他の構成および/または分割によってもたらされ得る。
【0052】
[0080]LSIアプリケーションなど、いくつかの実施形態において、目標流体の速度は以下の式を用いて計算することができ、
【0053】
【0054】
ただし、v(i,j)は目標流体の速度、v0はバックグラウンドノイズを考慮するために追加された項で、ベースラインが除去された後にゼロとすることができ、aは、撮像パラメータと、レーザパラメータと、cを得るための時間/空間円滑化パラメータとに関連した定数で、目標流体の光学特性を反映し、cはレーザスペックルコントラスト、ならびにiおよびjは行および列画素インデックスである。
【0055】
[0081]LDIアプリケーションに対しては、目標流体の速度は以下の式を用いて計算することができ、
【0056】
【0057】
ただし、v(i,j)は目標流体の速度、λは波長、Δfはドップラ周波数の変化(ドップラ周波数シフト)、およびにθは2つのビームの間の角度の半分である。通常、NIRFなどに対して当てはまる直接の公式はない。
【0058】
[0082]しかし、撮像される対象物が静止していても、脈管内の血流および組織内の灌流を正確に決定するために考慮されなければならない動きが存在する。つい2013年まで、LSIの分野の専門家は、運動アーチファクトを、この分野で依然として答えられるべき2つの主要な問題の1つとして論じていた。従って、この運動の寄与を識別し、それの大きさを考慮する能力を有するシステムおよび方法が必要であり、脈管内の血流および組織内の灌流を実験的におよび生体内で査定する、撮像する、および/または定量化することができると主張する技術に含まれる。
【0059】
[0083]次に
図5Aおよび5Bを参照すると、
図5Aは手の可視光画像であり、
図5Bは手の近赤外光画像である。これらの画像は、本発明の概念のいくつかの実施形態により、運動アーチファクトならびに血流および灌流の動きを計算するために用いられ得る。
【0060】
[0084]具体的には、呼吸、痙攣、心臓の鼓動など、組織/臓器、および/またはカメラなどの、動きによって引き起こされる組織/臓器の運動アーチファクトを除去するために、以下の式を用いてガリレオ速度加算を計算することができ、
【0061】
【0062】
ただし、v13(r)は検出器(カメラ)に対する関心のある対象物(血流および灌流)の速度分布、v23(r)は検出器(カメラ)に対するホスト対象物(血管が埋め込まれた組織/臓器)の速度分布、v32(r)はホスト対象物(血管が埋め込まれた組織/臓器)に対する検出器(カメラ)の速度分布、およびv12(r)は、ホスト対象物(血管が埋め込まれた組織/臓器)に対する関心のある対象物(血流および灌流)の速度分布である。言い換えれば、v32(r)およびv23(r)。従って、本発明の概念の実施形態は、すべての現在のLSIまたはLDI法による画像信号はv13(r)のみをもたらすという条件のもとで、v12(r)を決定する必要性に対処し得る。本発明の概念のいくつかの実施形態によれば、マルチスペクトル撮像手法は、v13(r)およびv23(r)の両方が使用可能にされ得る。
【0063】
[0085]例としてLSIを用いると、上記の式(1)を用いて、コヒーレントNIRレーザ光のスペックルコントラストCNIR(i,j)は、v13(r)に関連付けられ、これは検出器(カメラ)に対する関心のある対象物(血流および灌流)の速度分布である。v13(r)は、呼吸、痙攣、心臓の鼓動などの要因によって引き起こされる血流の動きおよび組織/臓器の動き、ならびにカメラの動きによって影響を受ける。可視レーザ光、特に450~495nm波長範囲(青色レーザ光)は、NIRレーザ光と比べて柔らかい組織/臓器への侵入はずっと小さい。
【0064】
[0086]上記の式(1)を用いると、コヒーレント可視レーザ光のスペックルコントラストCVIS(i,j)は主として、検出器(カメラ)に対するホスト対象物(血管が埋め込まれた組織/臓器)の速度分布であるv23(r)に関係付けられる。v23(r)は、呼吸、痙攣、心臓の鼓動などの要因によって引き起こされる組織/臓器の動き、およびカメラの動きによって影響を受ける。式(3)を用いると、v12(r)はv13(r)およびv23(r)を用いて導き出すことができ、従ってホスト対象物(血管が埋め込まれた組織/臓器)に対する関心のある対象物(血流および灌流)の速度分布は、組織/臓器の動き、およびカメラの動きの影響なしに定量化され得る。
【0065】
[0087]ベースラインとしてのコヒーレント可視レーザ光のスペックルコントラストC
VIS(i,j)は、運動アーチファクトの速度成分を低減するために、この数学的モデルに基づいて、コヒーレントNIRレーザ光のスペックルコントラストC
NIR(i,j)を正規化するために用いられ得る。リアルタイムでの1つまたは複数の安定化した血流および灌流マップを生じるように、C
VIS(i,j)を用いてC
NIR(i,j)を正規化(減算または除算)するためのコンピュータアルゴリズムが設計され得る。アルゴリズムは、例えば、
図3~4に関して上記で論じられたように、データプロセッサによって処理され得る。
【0066】
[0088]次に
図6Aおよび6Bを参照して、静止した手のNIRのみおよび二波長照明を用いた血流および灌流の測定を用いて生成される画像が論じられる。示されるように、静止した手のNIRのみおよび二波長照明を用いた血流および灌流の測定は非常に似ている。これは、試料/目標が静止しているとき、可視光によって測定されるベースラインとしての運動アーチファクトはゼロに近いためである。従って、ベースラインを除去していない結果(
図6A:NIR光のみを用いた)、およびベースラインが除去された結果(
図6B:二波長照明を用いた)は、ほとんど同一である。
【0067】
[0089]次に
図7Aおよび7Bを参照して、動いている手のNIRのみおよび二波長照明を用いた血流および灌流の測定を示す画像が論じられる。それらに示されるように、振り動かした手のNIRのみおよび二波長照明を用いた血流および灌流の測定は、非常に異なる。NIR光のみを用いた測定(
図7A)は、運動アーチファクトによって引き起こされるずっと高い灌流レベルを示す。二波長照明を用いた測定(
図7B)は、静止した手の測定とほとんど同一である。これは試料/目標が動いているとき、可視光によって測定されるベースラインとしての運動アーチファクトは、ゼロではないためである。従って、ベースラインを除去していない結果(
図7A:NIR光のみを用いた)は、ベースラインが除去された結果(
図7B:二波長照明を用いた)と比べて、多くの「血流および灌流」を示す。
【0068】
[0090]次に
図8Aおよび8Bを参照して、NIRのみおよび二波長照明を用いた灌流測定の両方を示す画像が論じられる。具体的には、
図8Aおよび8Bは、撮像される手の腕を他方の手を用いて強く握ることによって、血液供給が一時的に閉塞された状態での、静止した手の近赤外光のみ(8A)および二波長照明(8B)を用いた灌流測定を示す画像である。示されるように、手への血液供給の一時的閉塞によって誘起された減少が明らかである。
【0069】
[0091]LSIとは異なり、LDIは、光源としてのレーザからの1つと、その周波数が入射光のものからわずかにシフトされる動いている対象物から反射された1つの、2つのコヒーレントな光ビームの干渉を用いる。LDIは、入射ビームがそれに焦点が合わされた、対象物の1つの「画素」または点または小さな領域の速さを決定する。画像は、焦点が合わされたビームを走査することによって得られる。式(1)のLSIと同様に、式(2)を用いて、LDIにおけるv13(r)およびv23(r)の測定は、侵入するNIRビームと、侵入しない可視ビームとを用いて達成され得る。やはり、式(3)を用いて、ホスト対象物(血管が埋め込まれた組織/臓器)に対する、基準点のv12(r)が識別され得る。
【0070】
[0092]さらに、実際には、レーザスペックルコントラストは、静的バックグラウンドと動的部分との混合である。スペックルコントラストの動的部分は運動に関連付けられ、静的バックグラウンドは不均一な散乱媒体の光学特性の差によって引き起こされる。現在のLSI技術の中では、制御された人体模型/チュービング実験以外では、流れのない状況でのベースラインスペックルコントラストは使用可能ではないので、スペックルコントラストの静的バックグラウンドは、組織/臓器内の血流を正確に定量化することに対する主要な障害である。マルチスペクトル照明方式は、可視コヒーレントレーザ光を用いた、流れのない状況でのベースラインスペックルコントラストC
VIS(i,j)をもたらす。コヒーレント可視レーザ光のスペックルコントラストC
VIS(i,j)は、
図9Aおよび9Bに示されるように、スペックルコントラストにおける静的バックグラウンドを低減するように、本発明の概念の実施形態による数学的モデルに基づいて、コヒーレントNIRレーザ光のスペックルコントラストC
NIR(i,j)を正規化するために用いられ得る。
図9Aおよび9Bは、豚の大腸の近赤外光のみ(9A)および二波長照明(9B)を用いた灌流測定を示す。静的コントラストによって引き起こされる測定の不正確さは、
図9A内の外科用ドレープ950上に見ることができる。
図9Bにおいて、「偽の」血流および灌流は、静的コントラストの低減により、外科用ドレープ950上に見られない。
【0071】
[0093]本発明の概念の実施形態は、2つの手法の1つによる、組織および臓器の解剖学的構造および血流生理機能の両方の視覚化を提示する。しかし、本発明の概念の実施形態は、本明細書で論じられる手法に限定されないことが理解されるであろう。
【0072】
[0094]次に
図10A~10Dを参照して、二重レイヤ設計を用いた第1の手法が論じられる。最初に
図10A(パネルA)を参照すると、可視光の未加工(元の)画像フレームによって表される解剖学的レイヤが示される。(解剖学的レイヤ)Img
VIS(i,j)は、試料/目標組織/臓器の8ビットグレイスケール可視画像であり、iおよびjは、水平および垂直方向に沿った画素インデックスである。いくつかの実施形態において、この画像の輝度、コントラスト、およびガンマ値は、より良好な視覚化効果を達成するように調整され得る。
【0073】
[0095]次に
図10Bを参照すると、処理された画像は、レーザスペックルまたはレーザドップラ撮像技術を用いた撮像された組織/臓器の血流および灌流の2次元(2D)速さ分布を反映するように、近赤外光の1つまたは複数の未加工画像フレームに基づいて生み出される。(生理学的レイヤ)Img
NIR(i,j)は、予め定義されたカラーマップにその数値がマッピングされた、8ビットインデックス付きの画像である。通常、色は青から赤まで(0から255)の範囲で、青は無/最小の流れの速さを表し、赤はシステムが検出できる最高の流れの速さを表す。
【0074】
[0096]次に
図10Cを参照すると、透明度マップは、解剖学的レイヤまたは解剖学的レイヤの部分を、生理学的のものの上に重ね合わせる方法を用いて生み出され、これは最下レイヤを見えなく(覆われる)または部分的に見えなく(覆われる)させるようになる。生理学的レイヤまたは生理学的レイヤの部分を、解剖学的のものの上に重ね合わせる方法は、最下レイヤを見えなく(覆われる)または部分的に見えなく(覆われる)させるようになる。以下の式を用いて、両方のレイヤの可視性を確実にするように、本発明の概念の実施形態により、透明度マップ/行列が適用され、
【0075】
【0076】
ただし、T(i,j)は透明度マップであり、Imgは可視または近赤外光の未加工(元の)画像フレーム、ならびにxは>0および≦2の調整可能パラメータである。基本的に、T(i,j)内の各画素値は0と1の間であり、0は透明度なし、および1は100%の透明度を表す。パラメータxは透明度マップのコントラストを制御し、x>1の場合は、透明度はより大きなダイナミックレンジを有し、x<1の場合は、透明度はより小さなダイナミックレンジを有する。
図10Dは、解剖学的構造および生理機能の両方を明らかにするように、本発明の概念の実施形態により、A、B、およびCを用いた組み合わされた視覚効果を表す。
【0077】
[0097]次に
図11Aから11Cを参照して、色および輝度設計を用いた第2の手法が論じられる。
図11Aに示されるように、解剖学的レイヤは画像輝度によって表される:可視光の未加工(元の)画像フレーム。Img
VIS(i,j)は、試料/目標組織/臓器の8ビットグレイスケール可視画像であり、iおよびjは、水平および垂直方向に沿った画素インデックスである。この画像の輝度、コントラスト、およびガンマ値は、より良好な視覚化効果を達成するように調整され得る。
【0078】
[0098]次に
図11Bを参照すると、生理学的レイヤは画像色によって表される:レーザスペックルまたはレーザドップラ撮像技術を用いた撮像された組織/臓器の血流速度および灌流の2D速さ分布を反映するように、近赤外光の1つまたは複数の未加工画像フレームに基づいて処理された画像。第1のステップにおいて、8ビットインデックス付きのカラー画像は、予め定義されたカラーマップにその数値がマッピングされて生成される。通常、色は青から赤まで(0から255)の範囲で、青は無/最小の流れの速さを表し、赤はシステムが検出できる最高の流れの速さを表す。第2のステップにおいて、8ビットインデックス付きのカラー画像は、各画素の色が(R、G、B)3つの値によって表され、各値は0~1の範囲である、正規化されたRGBマップRGB
NIR(i,j)に変換される。図は白黒であるので、ここでは対応するグレイスケールが使用されていることが理解されるであろう。
【0079】
[0099]次に
図11Cを参照すると、解剖学的および生理学的レイヤは、Img(i,j)=Img
VIS(i,j)×RGB
NIR(i,j)として、8ビットRGBカラー画像を作り出すことによって一緒に融合される。各カラーチャネル(行列R
NIR(i,j)、G
NIR(i,j)、およびB
NIR(i,j))は、同じ可視画像Img
VIS(i,j)によって乗算されることに留意されたい。
【0080】
[0100]本発明の概念のいくつかの実施形態によれば、異なる撮像技術を一緒に組み合わせるために、多波長撮像設計が用いられ得る。例えば、本明細書で論じられるように、インドシアニングリーンに基づいたNIR蛍光技術は、808nm照明を用い、蛍光放射光は830nmであり、808nm反射光はノイズと見なされ、フィルタ除去される。本発明の概念のいくつかの実施形態によれば、808nm反射光は、830nm蛍光機能を維持しながらLSIまたはLDIを達成するために用いられ得る。
【0081】
[0101]次に
図12A~12Dを参照して、パネルA 小腸のNIR785nm画像(12A)、パネルB 同じ小腸の緑色532nm画像(12B)、パネルC 同じ小腸の再構成されたカラー画像(12C)、およびパネルD 通常のカメラで撮られた同じ小腸の画像(12D)を示す画像が論じられる。具体的には、本発明の概念のいくつかの実施形態によるマルチスペクトル撮像システムを用いて、元のカラー画像は、各スペクトルを1つのRGBカラーチャネルとして用いることによって構成され得る。例えば、NIR画像を赤カラーチャネルとして、および532nm画像を緑カラーチャネルとして用いることによって、小腸のカラー画像が、
図12A~12Dに示されるように、カラーカメラを用いずに生成され得る。図は白黒であるので、ここでは対応するグレイスケールが使用されていることが理解されるであろう。
【0082】
[0102]次に
図13A~13Dを参照して、パネルA 豚の心臓のNIR785nm画像(13A)、パネルB 同じ豚の心臓の緑色532nm画像(13B)、パネルC 同じ豚の心臓の再構成されたカラー画像(13C)、およびパネルD 通常のカメラで撮られた同じ豚の心臓の画像(13D)を示す画像が論じられる。
図13A~13Dは、NIR画像を赤カラーチャネルとして、および532nm画像を緑カラーチャネルとして用いて示され、豚の心臓のカラー画像はカラーカメラを用いずに生成され得る。1つのカラーチャネルの情報がない場合、アルゴリズムは、他の2つのカラーチャネルの情報を用いてこのデータを生成するように設計される。試料(組織/臓器)の色は主に赤であるので、本発明の概念の実施形態は、
図10A~10Dおよび11A~11Dに関して論じられたように、赤カラーチャネルの情報が使用可能である限り、元のものに非常に近い色を生成することができる。従って、本発明の概念の実施形態は、パネルC(
図12C)対パネルD(
図12D)に示されるように、NIRが赤カラーチャネルとして用いられた場合、再構成されたカラー画像は、より深い組織/臓器の情報を明らかにすることを可能にする。
【0083】
[0103]図に関して上記で簡潔に論じられたように、本発明の概念のいくつかの実施形態は、LSIまたはLDIを適用するために目標組織を通る透過率差の2つの波長を用いる。いくつかの実施形態において、第1の波長は、青色光(450~495nm)など、ゼロまたは非常に浅い侵入を有する可視範囲内である。この侵入しない照明の撮像結果は、組織/臓器表面の解剖学的構造、および目標組織/臓器の位置マーカの捕捉として役立つが、血流および灌流の表面下の動きに対してはそうではない。2つの波長の第2のものは近赤外(NIR)であり、これはずっと深い侵入を有し、このNIR照明の撮像結果は、下にある血流生理機能を明らかにし、これは目標組織/臓器の運動と、また血流および灌流の動きとの、両方に相互に関連する。
【0084】
[0104]可視光の撮像測定をベースラインとして用いて、血流および灌流の真の運動が、目標の運動アーチファクトによって影響を受けずに、NIR撮像測定から導き出され得る。さらに、可視光によって捕捉された解剖学的構造情報、およびNIR光によって測定された生理学的特性は、本発明の概念のいくつかの実施形態により一緒に合成され得る。ここで論じられる実施形態による合成された撮像生成物は、前に達成できなかった視覚化の明瞭さ、およびレーザ撮像技術の広範な臨床応用にわたる血流および灌流の定量化の正確さをもたらす。
【0085】
[0105]従って、本発明の概念の実施形態は、改善された画像品質、ならびにリアルタイムデータ取得(すべての他の技術で数分なのに対して、数秒で)および分析をもたらす。本発明の概念のこのリアルタイムの態様は、この技術を、外科医/従事者による技術の持続した採用に対する真の選択肢とする。本発明の概念の実施形態は、血流および灌流を正確に示し、定量化する。
【0086】
[0106]本発明の概念の他の実施形態は、本明細書で論じられる多波長撮像技法を用いたカラー画像再構成を対象とする。特許出願は白黒で発行するので、画像はグレイスケールで提示されることが理解されるであろう。具体的には、本明細書で論じられるように二波長撮像技法を用いて、2つの画像が同時に取得され得る。1つは近赤外画像IR(x,y)であり、他方は可視画像VIS(x,y)である。XおよびYは、水平および垂直画素のインデックスを表す。赤緑青(RGB)カラー画像を再構成するために、赤、緑、および青チャネルは別々に以下のように計算され、
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
ただし、R(x,y)、G(x,y)、B(x,y)はそれぞれRGBカラー画像の赤、緑、および青チャネルであり、Nはカラーマップのビット、例えば、8ビットまたは16ビットであり、aおよびbは各チャネルに対する調整パラメータであり、minは最小値を得るための関数であり、maxは最大値を得るための関数であり、および式(8)は1つの特定の波長の元の画像の正規化として働く。さらに、1つの特定の波長の元の画像の輝度、コントラスト、およびガンマ値は、上記の式を適用する前に調整され得る。
【0092】
[0107]本発明の概念のいくつかの実施形態による多波長カラー画像再現技法は、デバイス内での追加のカラーカメラの必要性を低減することができ、最少で2つの波長を用いてカラー画像を作り出すことができ、および従来のカラー画像と比べて、本明細書で論じられる実施形態により生み出されるカラー画像は、近赤外波長の使用により、より大きな侵入の深さを視覚化する。
【0093】
[0108]次に
図14Aから14Eを参照して、本発明の概念のいくつかの実施形態による多波長撮像デバイスを用いて撮像された豚の大腸の断片の様々な画像が論じられる。
図14Aは、可視波長(532nm)を用いて得られた豚の腸の画像である。
図14Bは、近赤外波長(785nm)を用いた豚の腸の画像である。
図14Cは、
図14Aおよび14Bの波長によって再構成された豚の腸の画像である。
図14Dは、室内灯照明による腸の通常のカラー画像(グレイスケールで示される)である。
図14Eは、本発明の概念のいくつかの実施形態による、腸の血流および灌流画像である。
【0094】
[0109]次に
図15Aから19Bまでを参照して、リアルタイム画像品質テストプロトコルに関して詳細が論じられる。リアルタイム画像品質テストプロトコルは、臨床撮像処置の間に以下の問題を調査するために、画像登録および画像メタデータを用いたカスタマイズされたアルゴリズムに基づいて開発される。
【0095】
・目標の動き:
図15Aおよび15Bは、カスタマイズされた画像登録アルゴリズムによって検出された静止した手(15A)および動いている手(15B)の画像を示す。カスタマイズされた画像登録およびオプティカルフローアルゴリズムによって、定量化された検出結果曲線が画像の下に描かれ得る。
【0096】
・カメラの視野の動き:
図16Aおよび16Bは、静止したカメラによって捕捉された手画像(16A)、およびカスタマイズされた画像登録アルゴリズムによって検出された動いているカメラによって捕捉された手(16B)の撮像を示す。
【0097】
・遮られた視野:
図17Aおよび17Bは、手の画像(17A)、およびツイスタによって部分的に遮られた手の画像(17B)を示し、この遮られた視野はカスタマイズされた画像登録アルゴリズムによって検出される。
【0098】
・外科医/内科医のヘッドライトの侵入:
図18Aおよび18Bは、手の画像(18A)、およびヘッドライトがそれを照らしている手の画像(18B)を示し、このFOV内の余分の光は、画像内のメタデータを用いてカスタマイズされたアルゴリズムによって検出される。
【0099】
・周囲光条件:
図19Aおよび19Bは、室内灯オフでの手の画像(19A)、および室内灯オンでの手画像の画像(19B)を示し、これは画像内のメタデータを用いてカスタマイズされたアルゴリズムによって検出される。
【0100】
[0110]このプロセスの目的は、本発明の概念のいくつかの実施形態により、視覚化を改善し、血流および灌流撮像の定量化の正確さを向上させるように、不正確な画像取得によって引き起こされる低品質の画像の可能性を低減し、場合によっては取り除くことである。
【0101】
[0111]上記で論じられたように、上記で論じられた撮像方法を用いて得られたデータは、血流速さuの分布を導き出すためのみに用いられ得る。診療所では、血流速度uと、血管の断面積Aとの積によって与えられる血流量の分布の情報が必要になる。rを3次元座標としてu(r)の分布を得るためには、ナビエ・ストークス方程式が解かれなければならず、これは以下に示される式(9)および(10)によって与えられ、
【0102】
【0103】
【0104】
ただし、ρは密度(kg/m3)、uは流れ速度ベクトル(m/s)、pは圧力(N/m2またはパスカル)、Fは体積力ベクトル(N/m3)、およびμは粘度である。ナビエ・ストークス方程式を解くことで速度場、すなわち空間および時間における流体速度の分布を生み出す。この速度場が得られた後、流量および抵抗力などの他の関心のある量が計算され得る。これらの計算された量は、データを確認するために、上記で論じられた方法を用いて得られた実験的データと比較され得る。
【0105】
[0112]次に、組織/臓器内の主要脈管における血流量分布の非侵襲的測定のための計算処置が、本発明の概念のいくつかの実施形態に関して論じられる。処置は、第2の波長として例えば、550nmから1100nmまでの間の比較的大きな侵入深さのために十分に長い波長を有するレーザなどの、コヒーレント光源によって組織関心領域を照明することによって開始する。上記で論じられた方法を用いて、第2の波長において散乱された光が、主要脈管内の血流速さの空間分布、および関心領域内の組織内の灌流分布を決定するために取得される。関心領域に対するu(r)の速度場は、数値的に計算される。いくつかの実施形態において、速度場は上記で述べられた式(9)および(10)を用いて計算される。計算された速度場に基づいて、関心領域内の血流速さが計算される。関心領域内の計算された血流速さは、結果を検証するために、関心領域からの第2の波長における取得された画像データを用いて決定された血流速さと比較される。
【0106】
[0113]本明細書で用いられる「血流量分布」とは、関心領域または視野(FOV)内におけるu(m/secでの速度ベクトル)の速度分布と、血流分布との間の関係を指す。血流量分布(cc/minでの体積流量)の計算は、測定された速度uの分布から、血流量(脈管の断面にわたるuベクトルの面積分)を得るための、計算流体力学モデルなどのツールの使用が関わる。さらに、本発明の概念の実施形態は、例えば、約100mm×約100mmのマクロFOVに対して構成される。本発明の概念の様々な実施形態に対するFOVに関する詳細は、
図31に関して以下でさらに論じられる。
【0107】
[0114]次に
図20、21A、および21Bを参照して、本発明の概念の実施形態による非侵襲的システムの様々な実施形態が論じられる。
図20を参照して、本発明の概念の実施形態による可動システムが論じられる。そこに示されるように、システムは、本明細書で論じられ実施形態により、例えば、通信デバイス(コンピュータタワー)2027、制御ボックス2037、筐体内の一連の棚など、およびその上のコンピュータ端末またはディスプレイ2047を含んだ、可動カート2017と、延長アーム2057と、操作ヘッドモジュール2067とを含む。可動カート2017は、車輪2418と、可動カート2417が被験者の近くに位置決めされるときに車輪をロックするための機構、例えば、ブレーキとを含み得る。操作ヘッドモジュールは、本発明の概念の範囲から逸脱せずに、筐体と、ユーザインターフェースと、ライトおよびアラームなどとを含み得る。延長アーム2057は、患者/被験者2077の上に操作ヘッドモジュール2067を位置決めするために用いられ得る。患者をシステムまで運ぶのではなく、システムを患者まで移動する能力は、特に動かせない患者のために多くの利点をもたらす。いくつかの実施形態において、延長アーム2057は複数の連接型アーム区間2057を含み得る。
【0108】
[0115]次に
図21Aおよび21Bを参照して、本発明の概念による、より小さな底面積の実施形態が論じられる。
図21Aおよび21Bに示されるように、より小さな底面積の操作ヘッドユニットは、本明細書で論じられる実施形態による動作をもたらすために用いられ得る。これらのシステムは、コンピュータコンソールおよび関連するディスプレイならびにユーザインターフェースと、すべてが手持ち型操作ヘッドユニット2118に結合された電源および制御ユニット2138とを含んだ通信デバイス2128を含むことができる。
図21Aに示されるように、いくつかの実施形態において、より小さな底面積の可動操作ヘッドユニット2118は、可撓性延長アーム2148を用いて通信デバイス2128に結合される。可撓性延長アーム2148は、可動操作ヘッドユニット2118が、患者被験者を再位置決めせずに、患者/被験者の目標領域上に位置決めされることを可能にし得る。
図21Bは、可撓性延長アーム2148のない可動操作ヘッドユニット2118を示す。
図21Aおよび21Bは、例のみとしてもたらされ、従って本発明の概念の実施形態はこの構成に限定されないことが理解されるであろう。
【0109】
[0116]次に
図22を参照して、本発明の概念の指プローブ/皮膚パッチ実施形態が次に論じられる。
図22に示されるように、これらのシステムは、コンピュータコンソールおよび関連するディスプレイならびにユーザインターフェースと、すべてが指プローブユニット2258および/または皮膚パッチ2268に結合された電源および制御ユニット2238とを含んだ通信デバイス2228を含むことができる。
図22に示されるように、いくつかの実施形態において、指プローブユニット2258または皮膚パッチ2268は、可撓性延長アームおよび/またはケーブル2248を用いて通信デバイス2228に結合される。可撓性延長アーム2248は、指プローブユニット2258および/または皮膚パッチ2268が、被験者を再位置決めせずに、被験者の指または皮膚上に位置決めされることを可能にする。
図22は、例のみとしてもたらされ、従って本発明の概念の実施形態はこの構成に限定されないことが理解されるであろう。
【0110】
[0117]次に
図23を参照して、本発明の概念の手持ち型可動実施形態が次に論じられる。
図23に示されるように、これらのシステムは、例えば、マイクロチップコンピュータおよび関連するディスプレイならびにユーザインターフェース(
図21Aに示されるような)と、電池電源および制御ユニットとを含んだ通信デバイス2373を含み得る。画像は、焦点が合わされた距離において非侵襲的に、または手持ち型ユニットの表面との接触によって捕捉される。実施形態は、上記で論じられたように画像捕捉、分析、表示、および記憶を含み得る。本発明の概念の範囲から逸脱せずに、記憶された情報をダウンロードするために、無線通信プロトコルが用いられ得る。
【0111】
[0118]ここで論じられた詳細および
図20から23までから明らかなように、ここで論じられる様々な実施形態およびフォームファクタに含まれる共通の構成要素がある。具体的には、システムは一般に、カスタマイズされた複数センサデバイスとすることができるカメラを含んだ光学部品と、複数の近赤外および可視レーザと、視野(FOV)を位置付けるための発光デバイス(LED)(例えば、2410、
図24)と、視野の適切なサイズを確実にするように距離をマークするための距離センサと、ファイバおよび他のフロントエンド光学部品とを含む。
【0112】
[0119]ほとんどの実施形態は、カメラからの未加工画像を処理し、組織/臓器内の血流および灌流を視覚化し、電子制御ボードと通信するための、通信デバイス、すなわちコンピュータおよびディスプレイユニットを含む。
【0113】
[0120]システムは、電源および制御ユニット、またはそれらの任意の組み合わせに結合される。例えば、交流(AC)、直流(DC)、または電池電源は、システム内の異なる構成要素に電力をもたらす。さらに、電子制御ボードは、異なる構成要素を制御し、フィードバックを読み出し、およびソフトウェアを通してコンピュータと通信する。
【0114】
[0121]本発明の概念のいくつかの実施形態は、例えば、
図26Aから26Dに示されるように、同時の解剖学的ならびに血流および灌流生理学的視像をもたらすために、リアルタイムソフトウェア分析および視覚化をもたらす。各実施形態(フォームファクタ)に対して主要構成要素および出力は、本発明の概念の範囲から逸脱せずに変わり得ることが理解されるであろう。例えば、指プローブ応用例(
図22)では、画像データの代わりに数値および測定曲線が用いられるようになる。
【0115】
[0122]次に
図26Aから26Dを参照して、本明細書で論じられる実施形態による方法およびシステムを用いて得られた画像が論じられる。
図26Aおよび26Bはそれぞれ、正常な人の手の解剖学的視像および血流生理機能である。
図26Cおよび26Dはそれぞれ、不十分な血液供給を有する異常な人の手の解剖学的視像および血流生理機能である。
【0116】
[0123]上記で論じられたように、本発明の概念のいくつかの実施形態は、試料内の血流および灌流の非侵襲的決定のための方法、システム、およびコンピュータプログラム製品をもたらす。マルチスペクトル生理機能視覚化(MSPV)は、組織の直接照明を用いた非侵襲的、観血的手術設定において用いられ得るが、本発明の概念の実施形態は、この構成に限定されない。具体的には、最近、多くの外科的処置は、体腔内への視覚的アクセスのために内視鏡法をベースとする照明を用いて行われてきている。本発明の概念のいくつかの実施形態によれば、MSPVは内視鏡プラットフォームのために適合させることができ、これは例えば、内視鏡体腔内手術と、低侵襲手術と、ロボットによる手術とを含み、これらのすべては、組織および臓器を照明するため、および本明細書でさらに論じられるような処置を行うために、内視鏡視覚化を用いる。
【0117】
[0124]本明細書で用いられる「内視鏡システム」とは、内視鏡タイプのデバイスと、または被験者例えば、人体における体腔、凹部、自然な内腔、または管状構造内への内視鏡タイプのデバイスの配置との両方を指す。
【0118】
[0125]次に
図24を参照して、本発明の概念のいくつかの実施形態による、内視鏡デバイス2405を含む独立型MSPV内視鏡システム2400が論じられる。
図25に関して以下でさらに論じられるように、本発明の概念の実施形態は独立型システムに限定されない。
図24を参照すると、システムは、本明細書で論じられるいくつかの実施形態により、例えば、光源2410と、カメラ制御および画像処理ユニット2420と、画像管理ユニット2430と、電源および他の付属品ユニット2440と、ディスプレイ2447と、それらに結合された内視鏡法デバイス2405とを含んだ、可動カート2417を含む。
【0119】
[0126]内視鏡法デバイス2405は、光源2410に結合された光導波路2495と、カメラ制御2420に結合されたカメラヘッドおよび内視鏡アダプタ2470と、付属品ユニット2440に結合された任意選択の空気および水管2450とを含む。光導波路2495、カメラヘッドおよび内視鏡アダプタ2470、および空気および水管2450は、ケーブル2460によって挿入管の制御ハンドル2480に接続され得る。挿入管は、以下で論じられるように可撓性、半剛性、または剛性とすることができる。
【0120】
[0127]可動カート2417は、車輪2418と、可動カート2417が被験者の近くに位置決めされるときに車輪をロックするための機構、例えば、ブレーキとを含み得る。可動カート2417はまた、それに含まれた様々な機器モジュールのための棚などを含み得る。
図24において本発明の実施形態は可動カートとして示されるが、本発明の概念の実施形態はこの構成に限定されないことが理解されるであろう。例えば、機器は、本発明の概念の範囲から逸脱せずに、静止型とする、またはより大きな統合型システム(例えば、手術室スイートシステム)内に埋め込まれ得る。しかし、患者をシステムまで運ぶのではなく、システムを患者まで移動する能力は、特に動かせない患者のために多くの利点をもたらす。
【0121】
[0128]次に、
図24に示されるシステムの詳細が論じられる。上記で論じられたように、いくつかの実施形態は、内視鏡システム全体を病院または診療所エリアの異なるユニット内に移動させるために用いられ得る、可動カート2417を含む。通常、システムが固定される必要があるときにブレーキが適用され得る。異なるモジュールを含む、モニタを搭載する、ならびに内視鏡および付属品を保持するように、複数の棚、ブラケット、およびホルダが設計され得る。
【0122】
[0129]ディスプレイモニタ2447は、
図24に示される単一のモニタに限定されない。例えば、本発明の概念の範囲から逸脱せずに、1つまたは複数のモニタが可動カート2417上にもたらされ得る。モニタ2447は、例えば、リアルタイムで内科医または看護師によって見られるように、カメラ制御および画像処理ユニット2420に接続し得る。モニタ2447はまた、症状および症状発現管理のために見られるように、画像管理ユニット2430に接続し得る。他の実施形態において、モニタ2447は、内視鏡自体上のディスプレイ上にもたらされ得る。いくつかの実施形態において、システムが手術室(OR)内の既存のモニタに接続されることを可能にする、アダプタマットがシステム内にもたらされ得る。
【0123】
[0130]光源2410は、内視鏡挿入プロセスの視野(FOV)を誘導するために、マルチスペクトルLED光を含み得る。光源2410はまた、関心領域(ROI)が位置を特定された後の、血流および灌流視覚化のための1つまたは複数のマルチスペクトルレーザを含み得る。光源ユニット2410は、一般に光ファイバを用いて内視鏡に接続される。本発明の概念の実施形態は、特に内視鏡検査環境で動作するように構成された光源2410をもたらし得る。
【0124】
[0131]カメラ制御および画像処理ユニット2420は、内視鏡内に位置するカメラセンサから画像データを受信する。埋め込み型処理システム(PCとは異なる)は、アルゴリズムを用いて未加工データを処理し、マルチスペクトル灌流視覚化(MPSV)および通常のカラー視覚化は、ディスプレイモニタ2447に送られるようになる。埋め込み型処理システムはまた、内視鏡内のカメラセンサを制御し、カメラ設定を調整することができる。いくつかの実施形態において、カメラヘッド2470(またはカメラヘッドの一部)は、内視鏡の外形を低減するようにカメラ制御および画像処理ユニット内に位置し得る。いくつかの実施形態において、カメラは本明細書で論じられるものに従った内視鏡検査環境のために特に設計される。
【0125】
[0132]画像管理ユニット2430は、症状および症状発現管理と、画像ファイル管理、例えば、データアーカイビングおよびエクスポーティングと、ネットワーク接続性などの他のシステム管理とのための、ユーザインターフェースをもたらすように構成され得る。画像管理ユニット2430は、例えば、Windows(登録商標)またはLINUX(登録商標)オペレーティングシステムを用いたPC型のアーキテクチャによって達成され得る。本発明の概念の範囲から逸脱せずに、画像管理ユニットは、内視鏡システムをより小型にするために、カメラ制御および画像処理ユニット2420内に組み込まれ得ることが理解されるであろう。しかし、2つのユニットは別個のままとすることもできる。
【0126】
[0133]電源2440は、安全上の理由により電気プラグから物理的に分離される。水、空気供給および吸引ポンプなどの他の付属品は、特定の臨床応用に応じて必要になり得る。
【0127】
[0134]内視鏡2405は、挿入管2490、光導波路2495、カメラヘッドおよび内視鏡アダプタ2470、ケーブル2460、任意選択の空気、水、または開いた通路管2450(点線は任意選択の要素を示す)、ならびに制御およびハンドル2480によってもたらされる。いくつかの実施形態において、可撓性スコープは、空気、水、および開いた通路(例えば、生体組織検査流路)を有することができ、他の実施形態においてこれらの要素の1つまたは複数をもたなくてもよいことが理解されるであろう。剛性のスコープは開いた流路を有することができるが、空気/水はもたなくてもよい。腹腔鏡/胸腔鏡/ロボットによる内視鏡に対しては、通常、剛性のスコープ内に流路はない。
【0128】
[0135]次に、内視鏡システム2400のこれらの要素が論じられる。いくつかの実施形態は、剛性および可撓性の、2つのタイプの挿入管2490をもたらす。本発明の概念の範囲から逸脱せずに、いくつかの実施形態において、挿入管は、半剛性とすることができることが理解されるであろう。それぞれは、LEDおよび近赤外レーザ光によって目標を照明し、目標から反射された光を受信するための光学レンズおよび/またはファイバ束を含む。挿入管はまた、特定の臨床応用に応じて水、空気および吸引流路を含み得る。
【0129】
[0136]可撓性挿入管は、例えば、光導波路コネクタと、光導波路管と、ビデオリモートスイッチと、制御本体と、内部器具流路を含み得る挿入管の屈曲区間とを含み得る。剛性内視鏡は、例えば、接眼レンズと、接眼レンズスリーブと、光ファイバと、ファイバガイドと、光円錐およびスリーブと、光ポストと、遠位端を有する剛性挿入管とを含み得る。剛性挿入管の端部には、対物レンズアセンブリがもたらされ得る。
【0130】
[0137]再び
図24を参照すると、光導波路2495は、光を送信するための光源ユニットに差し込まれる。カメラヘッドは、場合によっては、例えば、内視鏡アダプタ2470内に位置することができる。画像は、内視鏡の遠位端から、レンズおよび/またはファイバ束によってカメラヘッドまで運ばれ、次いでケーブル2460を通して、カメラ制御および画像処理ユニット2420に電子的に転送され得る。
【0131】
[0138]カメラヘッド(またはカメラヘッドの一部)2470は、場合によっては、内視鏡の外形を低減するようにカメラ制御および画像処理ユニット2420内に位置し得る。
【0132】
[0139]画像は内視鏡の遠位端に形成することができ、および/または画像データは画像センサ(S1~SN、
図1C)を用いて得ることができ、カメラ制御および画像処理ユニット2420に電子的に送信され得る。手術処置の間、視野および撮像制御などを達成するように、内視鏡のハンドル2480のまわりに、異なる制御ボタンが位置する。例えば、いくつかの実施形態において、センサS1~SN(
図1C)は、画像捕捉ケーブリングによって結合された内視鏡から離れた距離まで、内視鏡の先端からの連続体に沿って配置され得る。
【0133】
[0140]次に
図25を参照すると、上記で論じられたように、本発明の概念の実施形態は、
図24に関して論じられた独立型システムに限定されない。
図25は、独立型システムおよび適合型システムの両方を示すブロック図である。
図25に示される独立型システムは、
図24に関して示され、論じられた独立型システムと同様である。従って、簡潔にするためにここでは詳細は繰り返されない。
【0134】
[0141]適合アプリケーションが用いられるとき、MSVPシステム2595は、カメラヘッドおよび内視鏡アダプタ2571とインターフェース接続する。ソフトウェアアプリケーション2573には、システムアダプタおよびシステムソフトウェアとのインターフェースがもたらされる。適応性システムのハードウェア2571およびソフトウェア2573の両方は、システム2579、例えば、内視鏡システム、胸腔鏡システム、低侵襲システム、ロボットによるシステム、強化された視覚化およびアクセスシステムなどに接続され得る。従って、既存のシステムは、本明細書で論じられる本発明の概念を用いることができる。他の実施形態において、既存のシステムは、統合型ORシステム(OR環境ソリューション)2599内にインターフェース接続され得る。本発明の概念の実施形態は、例のためのみにもたらされた
図25に示される実施形態に限定されないことが理解されるであろう。例えば、
図25に示されるブロックは、本発明の概念の範囲から逸脱せずに組み合わされまたは拡張され得る。例えば、ブロック2753は3つの機能を有するように示されるが、これらの機能は2つ以上のブロックに分離され得る。
【0135】
[0142]本発明の概念のいくつかの実施形態による内視鏡システムのブロック図が、
図27に示される。示されるように、内視鏡システムは、内視鏡ユニット2751と、カメラ2753と、カメラ制御2753と、画像処理ユニット2753と、照明ユニット2756と、画像管理ユニット2755と、内視鏡プラットフォーム2758と、ディスプレイユニット2757とを含む。
図27は例のためのみにもたらされ、従って、本発明の概念の実施形態はこの構成に限定されない。ユニットまたはモジュールは、本発明の概念の範囲から逸脱せずに複数のユニットに組み合わされまたは拡張され得る。
【0136】
[0143]いくつかの実施形態において、1つまたは複数のカメラが用いられ得る。単一のカメラは、使用可能な1つまたは複数のセンサを有し得る。
【0137】
[0144]内視鏡アプリケーションのためのMPSVの適合において、いくつかの変更が考慮される。適合された内視鏡システム構成要素は、変更された内視鏡技術と、カメラと、カメラ制御および画像処理ユニットと、画像管理ユニットと、内視鏡プラットフォームオペレーティングシステムとのオペレーティングシステムインターフェースと、内視鏡プラットフォームディスプレイとのインターフェースとを含む。
【0138】
[0145]いくつかの実施形態において、照明源は、内視鏡を含むように照明経路に対応するように変更される。
【0139】
[0146]いくつかの実施形態において、照明経路は高度にコヒーレントなビームを生み出すように変更される。他の実施形態において、このビームはFOVにわたって等しく拡散され、一定の距離に焦点が合わされ、高い画像品質および忠実度をもたらす。
【0140】
[0147]他の実施形態において照明源は複数のレーザであるが、非レーザ高エネルギーLEDも含むことができる。レーザおよびLED照明の両方が用いられ得る。
【0141】
[0148]いくつかの実施形態において、照明光経路は光源から出て目標まで、複数波長専用照明ファイバおよび画像捕捉ファイバからなる、内視鏡ファイバアレイを通って進む。
【0142】
[0149]いくつかの実施形態において、カメラは内視鏡に取り付けられた小型化複数センサカメラである。他の実施形態において、カメラシステムはケーブルを通じて内視鏡に接続される。これらの実施形態において、反射され、散乱された光は、内視鏡先端とカメラとの間のファイバ接続を通して、最小の損失でカメラによって捕捉される。いくつか実施形態において、カメラは、既存の内視鏡をベースとするプラットフォームへの組み込みを容易にするように、内視鏡本体から可変の距離になる。
【0143】
[0150]いくつかの実施形態において、カメラ速度は、撮像忠実度およびリアルタイム分析を生じさせるように、約150フレーム/秒である。
【0144】
[0151]いくつかの実施形態において、一緒にシームレスに動作するように、MSPV運用ソフトウェア(MSPV画像捕捉またはMSPV分析ソフトウェアではなく)は、内視鏡をベースとするプラットフォーム運用ソフトウェアに統合されるようになる。内視鏡をベースとするプラットフォームとの、このインターフェースは、腹腔鏡手術、胸腔鏡手術、および他の体腔内部などの腔内手術のプラットフォームと、低侵襲冠動脈バイパス移植手術などの低侵襲手術プラットフォームと、内視鏡をベースとするロボットによる手術プラットフォームとを含む。
【0145】
[0152]他の実施形態において、画像ディスプレイ品質は、高解像度(HD)、3次元(3D)、または4次元(4D)、および有機発光ダイオード(OLED)であり、すべてMSPV分析提示に適合する。
【0146】
[0153]いくつかの実施形態において、内視鏡設計は先端において直線のまたは角度が付けられたレンズを有する剛性のスコープである。
【0147】
[0154]いくつかの実施形態において、カメラチップは、内視鏡先端に局在化され得る。
【0148】
[0155]いくつかの実施形態において、内視鏡設計は、可撓性先端を有する剛性のスコープであり、カメラチップおよびレンズは「剛性」のスコープの遠位部2.0cm内にあり、この遠位部1.0cmは可撓性で360度の放射状方向の視野を有する。
【0149】
[0156]いくつかの実施形態において、スコープは、内視鏡、気管支鏡、および同様の「スコープ」処置のための可撓性内視鏡であり、MSPV撮像およびリアルタイムでの分析を可能にするように技術的に変更されたこのスコープ設計を組み込む。
【0150】
[0157]
図28は、
図27に関して上記で論じられた構成要素のいくつかまたはすべてを含む実験室内の実際のシステムの例である。実験はこのシステムを用いて行われた。光学系ベンチ上面上の剛性腹腔鏡を通した、反射光撮像(解剖学的構造を示す)と、近赤外レーザスペックル撮像(血流および灌流分布図を示す)との同時の実験セットアップが、
図28に示される。この実験は、単一または複数波長照明およびリアルタイムでの撮像によって達成され得る。例えば、いくつかの実施形態において、光源は、目標(指)上に、一様なビーム外形を有する単一または複数波長光を照らし、拡散された反射光は、剛性内視鏡、レンズ、およびアダプタを通して撮像され、単一センサまたは複数センサカメラ上に撮像される。未加工画像データは、コンピュータに転送され、式1および3(レーザスペックル撮像に対して)、ならびに式2および3(レーザドップラ撮像に対して)を用いて処理される。解剖学的構造ならびに血流および灌流分布図は、
図10A~10Dおよび式4ならびに
図11A~11Cに関して上記で論じられたアルゴリズムによって生成され、
図2に示されるようにモニタ上にリアルタイムで表示される。この実験において、照明光は内視鏡の外側から供給され、実際には照明光(1つの波長または複数波長)は、ファイバ束、マイクロレンズ、およびディフューザを用いて、内視鏡(剛性または可撓性)を通して供給され得ることに留意されたい。この実験は、例のためのみにもたらされ、本発明の概念の範囲を限定するためのものではない。
【0151】
[0158]次に
図29Aおよび29Bに示される画像および品質スケールを参照する。MSPVビデオ、解剖学的構造(
図29A)、および血流および灌流分布図(
図29B)がリアルタイムで表示され、または再生されるとき、数0~11によってここでは白黒で示される、赤(9~11)、黄(4~6)、および緑(0~4および6~9)に色付けされたタイムラインバー(下部)が、時間マークと、その時間マークにおける画像品質とを示すために用いられ得る。画像品質チェック結果は、本発明の概念の範囲から逸脱せずに、リアルタイムで、またはレビューモードにおいて過去に遡って達成され、MSPVビューイングセクションに埋め込まれ得る。いくつかの実施形態において、ユーザがリアルタイムでまたは過去に遡って画像を見ながら、画像品質インジケータバーはタイムラインバーに組み合わされる。色(赤、黄、緑)または数1~11は、その特定の時間マークでのビデオの品質を示す。例えば、緑(0~4および6~9)は良好な品質の画像を示すことができ、黄(4~6)は中間の品質の画像を示すことができ、および赤(9~11)は不十分な品質の画像を示し得る。実施形態は、
図29Aおよび29Bに示される特定の色、数、またはスケールに限定されない。本発明の概念の範囲から逸脱せずに、任意のスケールが用いられ得る。
【0152】
[0159]次に
図30を参照して、本発明の概念のいくつかの実施形態による方法を示すフローチャートが論じられる。内視鏡システムのために適合されたマルチスペクトル撮像システムにおけるマルチスペクトル撮像のための動作は、第1の波長を有し、内視鏡システムを通して供給される、第1の光源を用いて試料を撮像することによって、ブロック3000において開始する。試料は、第1の波長とは異なる第2の波長を有し、内視鏡システムを通して供給される、第1の光源とは異なる第2の光源を用いて撮像される(ブロック3010)。カメラにおいて試料から、第1および第2の光源に関連した情報を受信する(ブロック3020)。第1の波長での光は、試料の表面からカメラ内に反射するように構成され、第2の波長での光は、試料に侵入し、試料に関連した情報を内視鏡システムを通してカメラにもたらすように構成される。カメラによってもたらされる第1および第2の光源に関連した情報は、試料の解剖学的構造を撮像する、試料の血流および灌流の生理機能を撮像する、ならびに/または血流量分布の観点からの試料の解剖学的構造ならびに血流および灌流の生理機能を合成するようにプロセッサにおいて組み合わされる(ブロック3030)。照明、分析、および表示は、内視鏡システムを用いて行われ得る。内視鏡システムは、マルチスペクトル生理機能視覚化(MSPV)オペレーティングシステムと通信するように構成され得る。
【0153】
[0160]次に
図31を参照して、本発明の概念の様々な実施形態におけるFOVに関して詳細を示す図が論じられる。
図31は、内視鏡3103に関連付けられた視野円3100を示す。角度FOV(FOV
WS)は、度において示される。視野円3100の半径rは、式11に関して以下で論じられるように、直線FOVに直接関係する。
図31に示されるように、ここで示される例において、対象物距離dは50mmである。
【0154】
[0161]一般に、FOVは、度で指定される角度FOVと、長さまたは長さの比で指定される直線FOV(FOV
WS)との2つの方法において指定され得る。対象物距離および/または動作距離が定義されると、角度/直線FOVは、例えば、以下で論じられる式11を用いて、他方に換算され得る。内視鏡3103のFOVは、
図31に示されるように円錐角FOV
WSによって測定され、これは角度FOVである。剛性内視鏡の円錐角FOV
WSは、約0から約90度の範囲とすることができ、通常約30度である。
【0155】
[0162]本発明の概念の例示の実施形態は、75度FOVを有するオリンパスの10mmの剛性腹腔鏡を用いた。動作距離を変化させることによって、直線FOVは式11に従って、1.0cm×1.0cm未満から10.cm×10.cmを超えるまでの範囲とすることができる。
【0156】
【0157】
ただし、FOVWSは度での角度FOV、rは、直線FOVに直接関係する視野円の半径、およびdは対象物距離である。
【0158】
[0163]適切な光学アダプタレンズを用いることによって、本発明の概念の実施形態は、0から180度の角度FOVを有するシステムを設計するために用いられてよく、上記で述べられた式11を用いて、対応する直線FOVが導き出される。
【0159】
[0164]図面および明細書において、本発明の概念の例示の実施形態が開示された。特定の用語が使用されるが、それらは一般的および記述的な意味のみにおいて用いられ、限定する目的ではなく、本発明の概念は添付の「特許請求の範囲」によって定義される。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] マルチスペクトル撮像システムであって、
試料を撮像するように構成された第1の波長を有する第1の光源と、
前記試料を撮像するように構成された、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する、前記第1の光源とは異なる第2の光源と、
前記試料を撮像するように構成された、前記第1および第2の波長とは異なる第3の波長を有する、前記第1および第2の光源とは異なる少なくとも第3の光源と、
前記試料から前記第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した情報を受信するように構成されたカメラと、ここで、前記第1の波長での光は、前記試料の表面を前記カメラ内に撮像するように構成され、前記第2の波長での光は、前記試料に第1の深さまで侵入するように、および前記試料に関連した情報を前記カメラにもたらすように構成され、前記少なくとも第3の波長での光は、前記試料に、前記第2の波長での光の前記第2の深さとは異なる第3の深さまで侵入するように構成されるものであり、
前記試料の解剖学的構造を撮像し、前記試料の血流および灌流の生理機能を撮像し、および/または血流量分布の観点からの前記試料の前記解剖学的構造ならびに前記血流および灌流の生理機能を合成するために、前記カメラによってもたらされた前記第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した前記情報を組み合わせるように構成されたプロセッサと、
を備え、前記撮像システムは、内視鏡を用いて前記試料の関心領域内の視野(FOV)に向けられ、焦点が合わされる撮像システム。
[2] 前記内視鏡は、前記第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した前記情報を前記プロセッサに提供するように構成され、内視鏡撮像システムに含められるものであり、前記内視鏡撮像システムは、
前記カメラと、
前記カメラを制御し、それに関連付けられた画像を処理するように構成された制御ユニットと、
前記カメラに関連付けられた前記画像を表示および操作するように構成された画像管理ユニットと、
システムインターフェースであって、前記第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した前記情報を、前記内視鏡撮像システム内で、それらに関連付けられた前記画像が表示され、操作されるように行うべく、変換するように構成されたシステムインターフェースと、
を備える、[1]に記載の撮像システム。
[3] 前記内視鏡撮像システムは、
腹腔鏡法、胸腔鏡法、および膀胱鏡法の少なくとも1つを含む内視鏡手術のためのシステム、
照明、視覚化、および操作のための内視鏡を用いた低侵襲外科的処置のためのシステム、および
照明、視覚化、および操作のための内視鏡を用いたロボットによる処置のためのシステム
の少なくとも1つを備える、[2]に記載の撮像システム。
[4] 前記内視鏡撮像システムは、
処置の間、腔内組織および臓器を照明するために、
外科的介入のために腔内組織および臓器を視覚化するために、および/または
外科的介入のための腔内組織および臓器の外科的操作のために
構成された、[2]に記載の撮像システム。
[5] 前記内視鏡撮像システムは、ファイバ、ファイバ構成物、ファイバ構成、レンズ、ディフューザ、コリメータ、および/またはエクスパンダを用いて、前記関心領域を照明するように構成される、[2]に記載の撮像システム。
[6] 前記カメラは複数のセンサを備え、前記内視鏡撮像システムを用いて画像を得るための速さ、焦点、正確さ、および忠実度を有するように構成され、
前記カメラは、前記内視鏡の光ファイバに結合される、
[2]に記載の撮像システム。
[7] 前記複数のセンサは、画像捕捉ケーブリングによって結合された前記内視鏡から離れた距離まで、内視鏡の先端からの連続体に沿って配置される、[6]に記載の撮像システム。
[8] 前記内視鏡は、剛性内視鏡、半剛性および可撓性内視鏡の1つである、[2]に記載の撮像システム。
[9] 前記内視鏡は、可撓性の操縦可能な先端を有する剛性内視鏡、および可撓性の挿入管を有する可撓性内視鏡の1つである、[8]に記載の撮像システム。
[10] 前記少なくとも第3の波長での光は、特定の生理学的パラメータを査定するように構成される、[1]に記載の撮像システム。
[11] 前記撮像システムは、手持ち型システム、指プローブユニット、皮膚パッチ、および可動システムの1つまたは複数を備える、[1]に記載の撮像システム。
[12] 前記マルチスペクトル撮像システムは、1つのシステム内に異なる血流および灌流測定技術を備え、前記血流および灌流測定技術は、レーザスペックル撮像(LSI)、レーザドップラ撮像(LDI)、蛍光撮像、および反射光撮像の1つまたは複数を備える、[1]に記載の撮像システム。
[13] 内視鏡システムのために適合されたマルチスペクトル撮像システムにおけるマルチスペクトル撮像の方法であって、
第1の波長を有し、内視鏡システムを通して供給される第1の光源を用いて試料を撮像することと、
前記第1の波長とは異なる第2の波長を有し、前記内視鏡システムを通して供給される、前記第1の光源とは異なる第2の光源を用いて前記試料を撮像することと、
カメラで前記試料から前記第1および第2の光源に関連した情報を受信することと、ここで、前記第1の波長での光は、前記カメラ内へ前記試料の表面を反射するように構成され、前記第2の波長での光は、前記試料に侵入し、前記内視鏡システムを通して前記試料に関連した情報を前記カメラにもたらすように構成されるものであり、
前記試料の解剖学的構造を撮像し、前記試料の血流および灌流の生理機能を撮像し、および/または血流量分布の観点からの前記試料の前記解剖学的構造ならびに前記血流および灌流の生理機能を合成するために、少なくとも1つのプロセッサを用いて、前記カメラによって受信された前記第1および第2の光源に関連した前記情報を組み合わせることと、
を備える方法。
[14] 照明、分析、および表示は、前記内視鏡システムを用いて行われ、
前記内視鏡システムは、マルチスペクトル生理機能視覚化(MSPV)オペレーティングシステムと通信するように構成される、
[13]に記載の方法。
[15] 内視鏡撮像システムであって、
内視鏡と、
前記内視鏡に結合された光源ユニットと、ここで、前記光源ユニットは第1の光源、第2の光源、および少なくとも第3の光源を提供するものであり、
前記第1の光源は、試料を撮像するように構成された第1の波長を有し、
前記第1の光源とは異なる前記第2の光源は、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有し、前記試料を撮像するように構成され、
前記第1および第2の光源とは異なる前記少なくとも第3の光源は、前記第1および第2の波長とは異なる第3の波長を有し、前記試料を撮像するように構成されるものであり、
カメラのカメラヘッドを通して前記内視鏡に結合されたカメラ制御ユニットと、ここで、前記カメラヘッドは、前記第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した情報を受信するように適合され、前記第1の波長での光は、前記試料の表面を前記カメラ内に撮像するように構成され、前記第2の波長での光は、前記試料に第1の深さまで侵入するように、および前記試料に関連した情報を前記カメラにもたらすように構成され、前記第3の波長での光は、前記試料に前記第1の深さとは異なる第2の深さまで侵入し、前記試料に関連した情報を前記カメラにもたらすように構成されるものであり、
前記試料の解剖学的構造を撮像し、前記試料の血流および灌流の生理機能を撮像し、および/または血流量分布の観点からの前記試料の前記解剖学的構造ならびに前記血流および灌流の生理機能を合成するべく、前記カメラヘッドによってもたらされた前記第1、第2、および少なくとも第3の光源に関連した前記情報を組み合わせるように構成された内視鏡に結合された画像処理ユニットと、
を備えるシステム。
[16] 前記内視鏡撮像システムは、
腹腔鏡法、胸腔鏡法、および膀胱鏡法の少なくとも1つを含む内視鏡手術のためのシステム、
照明、視覚化、および操作のための内視鏡を用いた低侵襲外科的処置のためのシステム、および
照明、視覚化、および操作のための内視鏡を用いたロボットによる処置のためのシステム、
の少なくとも1つを備える、[15]に記載のシステム。
[17] 前記内視鏡撮像システムは、
処置の間、腔内組織および臓器を照明することと、
外科的介入のために腔内組織および臓器を視覚化することと、および/または
外科的介入のための腔内組織および臓器の外科的操作と
を行うように構成される、[15]に記載のシステム。
[18] 前記内視鏡撮像システムは、ファイバ、ファイバ構成物、ファイバ構成、レンズ、ディフューザ、コリメータ、および/またはエクスパンダを用いることによって、関心領域を照明するように構成される、[15]に記載のシステム。
[19] 前記内視鏡は、可撓性の操縦可能な先端を有する剛性内視鏡、および可撓性の挿入管を有する可撓性内視鏡の1つである、[15]に記載のシステム。
[20] 空気、水、および/または開いた流路管を通して前記内視鏡に結合された付属品ユニットをさらに備える、[15]に記載のシステム。