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特許7427255共刺激受容体を含むキメラ抗原受容体およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】共刺激受容体を含むキメラ抗原受容体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20240129BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240129BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240129BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240129BHJP
   C07K 16/30 20060101ALN20240129BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20240129BHJP
   C12N 15/867 20060101ALN20240129BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240129BHJP
【FI】
C07K19/00 ZNA
C12N5/10
A61P35/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
C07K16/30
C07K14/705
C12N15/867 Z
C12N15/62 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020571595
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2019077922
(87)【国際公開番号】W WO2019242338
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-02-25
(31)【優先権主張番号】201810636409.0
(32)【優先日】2018-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520497977
【氏名又は名称】上海隆耀生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 選明
(72)【発明者】
【氏名】傅 陽心
(72)【発明者】
【氏名】汪 ▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】叶 聖勤
(72)【発明者】
【氏名】李 范林
(72)【発明者】
【氏名】張 会会
【審査官】田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/028374(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0002397(US,A1)
【文献】国際公開第2015/075470(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/180993(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 5/10
A61P 35/00
A61K 39/395
A61K 35/17
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造が、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)であることを特徴とする、共刺激受容体を含むキメラ抗原受容体であって、
前記scFv(X)-(Y)CD3zetaは、SEQ ID No.1で表される配列を有するscFv-antihCD20-20BBZであり、前記(Z)は、SEQ ID No.2で表される配列を有するOX40である
キメラ抗原受容体
【請求項2】
記2Aの配列は、SEQ ID No.7、SEQID No.8、SEQ ID No.9、あるいはSEQ ID No.10で表されることを特徴とする、
請求項1に記載の共刺激受容体を含むキメラ抗原受容体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のキメラ抗原受容体の組換え発現ベクターにより作製されるCAR-T細胞。
【請求項4】
下記のステップ1及び2を含む、請求項3に記載するCAR-T細胞の調製方法:
ステップ1:レンチウイルスベクター作製およびウイルス産生ステップ;
このステップにおいて、scFv(X)-(Y)CD3zetaとZとの間に2Aを組み込んで融合タンパク質を形成し、当該融合タンパク質の両端にレンチウイルスベクターを付加し、レンチウイルスパッケージングプラスミドで同時形質移入して、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)ウイルスを取得し、及び
ステップ2:scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z) CAR-T細胞調製ステップ;
このステップにおいて、分離精製されたヒトPBMCを培養後、当該ヒトPBMCにステップ1で得られるscFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)ウイルスを感染させ、適切な条件で細胞を増幅させることで、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)CAR-T細胞を調製する。
【請求項5】
前記レンチウイルスベクター作製およびウイルス産生ステップは、
overlap PCRにより、scFv(X)-(Y)CD3zetaとZとの間に2Aを組み込んで融合タンパク質を形成し、当該融合タンパク質の両端に制限酵素サイトを付加してレンチウイルスベクターを作製し、正しくシークエンシングされた当該クローンのエンドトキシンフリーの大量抽出物を、レンチウイルスパッケージングプラスミドで同時形質移入し、所定時間後に上清を採取してろ過し、遠心によってウイルスを濃縮することによって、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)ウイルスを得ることを含む
ことを特徴とする、請求項4に記載のCAR-T細胞の調製方法。
【請求項6】
前記scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z) CAR-T細胞調製ステップは、ヒトPBMCを分離精製後、適切な刺激条件を持つ培養プレートに播種して所定時間培養した後、ステップ1で産生したscFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)ウイルスに感染させ、適切な刺激条件で細胞を増幅させるように2ラウンド刺激増幅後、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z) CAR-T細胞を得ることを含む
ことを特徴とする、請求項4に記載のCAR-T細胞の調製方法。
【請求項7】
請求項3に記載のCAR-T細胞を含む製剤。
【請求項8】
腫瘍を治療または予防するために用いられる、請求項1若しくは2に記載のキメラ抗原受容体又は請求項3に記載のCAR-T細胞。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞免疫治療技術の分野に関し、特に、共刺激受容体を含むキメラ抗原受容体およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫学的治療手段による腫瘍治療は、常に展開医療における免疫学の重要な応用方向である。各種のオミックス(ゲノミクス、プロテオミクス等)の発展につれて、腫瘍細胞の突然変異による免疫原性が広く認められ、腫瘍免疫治療の理論的根拠になっている。同時に、腫瘍免疫学研究そのもの積み重ねにつれて、腫瘍免疫治療が昨今、大きな進歩を遂げ、一連の新しい免疫治療手段が徐々に臨床にむかっている。現在の腫瘍免疫学の研究は、腫瘍免疫治療におけるT細胞殺傷の中心的な役割を打ち立て、また、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)は、抗体の標的認識およびT細胞の腫瘍殺傷機能に合わせて、産生された腫瘍殺傷細胞を人工的に修飾する。
【0003】
キメラ抗原受容体T細胞という概念は、最初の1989年に、Gross、WaksとEshharにより、TNPを認識する抗体をT細胞上で発現させることにより、抗原特異的な非MHC拘束性T細胞の活性化およびエフェクトの増強を果たすと共に、腫瘍治療におけるCAR-T技術の使用の概念を提案したものである。この原理に基づき、腫瘍特異的抗体をT細胞に埋め込むことにより、T細胞に新しい腫瘍死滅能力を与える。その後、CAR-T技術は、抗腫瘍臨床試験に導入されたが、CAR-T細胞が早期の段階においてその細胞内シグナル伝達ドメインに第1シグナルしか含まなく、また、選ばれる腫瘍タイプが固形腫瘍であるため、最終的に臨床結果がともに理想的とは言い難しいものである。2008年、Fred Hutchison腫瘍研究所などの機関によるB細胞リンパ腫に対するCAR-T療法が行われた治療結果が理想的ではないとしても、この臨床試験のポイントは、CD20発現B細胞を標的とするCAR-T治療が比較的に安全であると証することにある。そして、2010年に、NCIによって、CD19に対するCAR-Tによって患者のリンパ腫が抑制されると共に、正常なB細胞も除去され、血清Igが明らかに低減することによって、B細胞由来リンパ腫に対するCAR-T治療の効果を理論的および実際にサポートするB細胞リンパ腫治療の成功症例が1つ報じられている。2011年に、米国ペンシルベニア大学のCarl June博士のチームは、CD19を特異的に認識するCAR-Tを、B細胞由来慢性リンパ性白血病の治療に用いて、しかも、「治癒」という治療効果を示し、そして、再発・難治性急性リンパ性白血病に対して臨床試験を行って、良好な治療効果も取得した。このような画期的な進歩およびその他の免疫調節手段の発展を遂げたため、Science誌は、腫瘍免疫治療に2013年科学技術飛躍的進歩の第1位を授与した。このような成功は、世界各国において影響が広範囲に及んで、各国もCAR-Tに基づく科学的研究および腫瘍治療臨床試験を多く開始している。
【0004】
CARの構造は、細胞外抗原認識ドメイン、細胞外ヒンジ領域、膜貫通領域および細胞内シグナル伝達ドメインより構成される。細胞外抗原認識ドメインは、通常、単一鎖抗体からなり、腫瘍細胞膜表面分子を特異的に認識可能であり、ある腫瘍特異抗原リガンドまたは受容体などでもありうる。細胞外ヒンジ領域は、抗原認識ドメインと膜貫通領域を離間する一定の空間構造であって、細胞外抗原認識ドメインが抗原を認識する前後に正しい構造を維持しながら細胞内シグナルを伝達するように、適切な空間位置を与えることを目的とする。膜貫通領域は、膜表面におけるCAR分子の局在化を保証するためのドメインである。細胞内シグナル伝達ドメインは、CARシグナル伝達を媒介する重要な部分であって、通常、1つまたはいくつかの第1シグナル(TCRとMHC-I-peptide複合体認識)と第2シグナル(共刺激受容体と共刺激リガンド認識)の組み合わせである。1代目のCARは、ただ第1シグナルを含み、2代目のCARは、1つの第1シグナルと1つの第2シグナルを含み、3代目のCARは、1つの第1シグナルと2つの第2シグナルドメインを含む。CAR-Tは、B細胞由来白血病治療に大きく成功したとしても、その比較的に高い再発率や、固形腫瘍に対する低い有効性が、現在の重要な課題になっている。したがって、新世代の高薬理活性CAR-Tの発展は、現在臨床に必要なものになっている。現在、3代目のCAR-Tのほか、さらに、CAR-Tの機能を向上させるように、さらに他の新しいCAR-T設計対策があり、すなわち、2代目のCAR-Tを元にCARと個別の新しい調節分子が導入される。
【0005】
患者自身の血液細胞から調製されるB細胞表面標的分子CD19、CD20に対するCAR-Tは、B細胞白血病治療における使用が比較的成熟したが、奏効率が高くても、再発が多く、なお、固形リンパ腫の治療効率が比較的に低く、これが、固形腫瘍における免疫抑制微小環境に繋がるためである。
【0006】
固形腫瘍において、多種類の免疫細胞、腫瘍細胞と間質細胞があり、共に腫瘍微小環境を構成している。腫瘍微小環境は、通常、免疫抑制的であり、内在性の抗腫瘍T細胞の反応、または養子T細胞(例えばCAR-T)を複数のレベルで抑制し、例えば、T細胞を枯渇させ、腫瘍を殺傷する機能を失い、最終的にT細胞が排除される。腫瘍微小環境における免疫抑制を解除するために、固形腫瘍におけるCAR-Tの活性化能力の増強は、増幅CAR-Tから固形腫瘍治療における重要な構想および計画である。
【0007】
一方で、現在臨床に用いられるCAR-Tドメインは、腫瘍殺傷能および増幅能において不十分であり、固形腫瘍/転移性腫瘍の制御において治療効果が悪くて、一部のCAR-Tは、CAR-Tを影響するだけではなく、他の非CAR-T細胞に対して非特異的活性化させることで、免疫副作用をもたらす潜在的な可能性がある新規な調節分子、例えばIL-12、4-1BBLなどを用いている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、従来の技術の欠陥を克服し、共刺激受容体を含むキメラ抗原受容体およびその使用を提供すると共に、該キメラ抗原受容体の組換え発現ベクターにより作製されるCAR-T細胞を提供することを目的とし、例えば、OX40は、1つの重要な共刺激受容体であって、主に活性化されるCD4およびCD8 T細胞に発現し、T細胞の活性化において、多種類の機能を果たし、T細胞の活性化を促進し、より多くのエフェクト分子を発現させ、およびアポトーシスに関連する遺伝子発現を減少し、共刺激受容体シグナルをCAR-Tに取り込むことによって、潜在的エフェクト増強機能を有する。
【0009】
前述した目的を達成するために、本発明は、以下の請求項を利用する。
【0010】
本発明の1つ目の目的は、構造が、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)であり、ここで、Xは、腫瘍標的抗体または腫瘍に特異的に結合可能なリガンドまたは受容体を含み、Yは、ICOS、CD28、CD27、HVEM、LIGHT、CD40L、4-1BB、OX40、DR3、GITR、CD30、TIM1、SLAM、CD2、CD226から選ばれる共刺激受容体の細胞内領域であり、Zは、ICOS、CD28、CD27、HVEM、LIGHT、CD40L、4-1BB、OX40、DR3、GITR、CD30、TIM1、SLAM、CD2、CD226から選ばれる共刺激受容体である共刺激受容体を含むキメラ抗原受容体を提供する。
【0011】
さらに、前述したキメラ抗原受容体を最適化するために、本発明に用いられる技術的手段は、さらに、以下が含まれている。
【0012】
さらに、上記のXは、anti-CD19抗体、anti-CD20抗体、EGFR抗体、HER2抗体、EGFRVIII抗体、anti-PSMA抗体、anti-BCMA抗体、anti-CD22抗体、anti-CD30抗体から選ばれる。Xはさらに、腫瘍に特異的に結合可能な他のタンパク質でありうることが理解されるべきである。
【0013】
さらに、上記のXは、anti-CD20抗体であり、上記のYは、4-1BBであり、上記のZは、OX40、HVEM、ICOS、CD27、4-1BBの1つから選ばれる。
【0014】
さらに、上記のscFv(X)-(Y)CD3zetaは、配列がSEQ ID No.1で表されるscFv-antihCD20-20BBZであり、上記のOX40の配列は、SEQ ID No.2で表され、上記のHVEMの配列は、SEQ ID No.3で表され、上記のICOSの配列は、SEQ ID No.4で表され、上記のCD27の配列は、SEQ ID No.5で表され、上記の4-1BBの配列は、SEQ ID No.6で表され、上記の2Aの配列は、SEQ ID No.7、SEQ ID No.8、SEQ ID No.9、あるいはSEQID No.10で表される。
【0015】
ここで、上記の各配列は、以下の通りである。
【0016】
SEQ ID No.1:
QIVLSQSPAILSASPGEKVTMTCRASSSVSYIHWFQQKPGSSPKPWIYATSNLASGVPVRFSGSGSGTSYSLTISRVEAEDAATYYCQQWTSNPPTFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQPGAELVKPGASVKMSCKASGYTFTSYNMHWVKQTPGRGLEWIGAIYPGNGDTSYNQKFKGKATLTADKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARSTYYGGDWYFNVWGAGTTVTVSAAAATTTPAPRPPTPAPTIASQPLSLRPEACRPAAGGAVHTRGLDFACDIYIWAPLAGTCGVLLLSLVITLYCKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCELRVKFSRSADAPAYQQGQNQLYNELNLGRREEYDVLDKRRGRDPEMGGKPRRKNPQEGLYNELQKDKMAEAYSEIGMKGERRRGKGHDGLYQGLSTATKDTYDALHMQALPPR;
SEQ ID No.2:
MCVGARRLGRGPCAALLLLGLGLSTVTGLHCVGDTYPSNDRCCHECRPGNGMVSRCSRSQNTVCRPCGPGFYNDVVSSKPCKPCTWCNLRSGSERKQLCTATQDTVCRCRAGTQPLDSYKPGVDCAPCPPGHFSPGDNQACKPWTNCTLAGKHTLQPASNSSDAICEDRDPPATQPQETQGPPARPITVQPTEAWPRTSQGPSTRPVEVPGGRAVAAILGLGLVLGLLGPLAILLALYLLRRDQRLPPDAHKPPGGGSFRTPIQEEQADAHSTLAKI;
SEQ ID No.3:
MEPPGDWGPPPWRSTPKTDVLRLVLYLTFLGAPCYAPALPSCKEDEYPVGSECCPKCSPGYRVKEACGELTGTVCEPCPPGTYIAHLNGLSKCLQCQMCDPAMGLRASRNCSRTENAVCGCSPGHFCIVQDGDHCAACRAYATSSPGQRVQKGGTESQDTLCQNCPPGTFSPNGTLEECQHQTKCSWLVTKAGAGTSSSHWVWWFLSGSLVIVIVCSTVGLIICVKRRKPRGDVVKVIVSVQRKRQEAEGEATVIEALQAPPDVTTVAVEETIPSFTGRSPNH;
SEQ ID No.4:
MKSGLWYFFLFCLRIKVLTGEINGSANYEMFIFHNGGVQILCKYPDIVQQFKMQLLKGGQILCDLTKTKGSGNTVSIKSLKFCHSQLSNNSVSFFLYNLDHSHANYYFCNLSIFDPPPFKVTLTGGYLHIYESQLCCQLKFWLPIGCAAFVVVCILGCILICWLTKKKYSSSVHDPNGEYMFMRAVNTAKKSRLTDVTL;
SEQ ID No.5:
MARPHPWWLCVLGTLVGLSATPAPKSCPERHYWAQGKLCCQMCEPGTFLVKDCDQHRKAAQCDPCIPGVSFSPDHHTRPHCESCRHCNSGLLVRNCTITANAECACRNGWQCRDKECTECDPLPNPSLTARSSQALSPHPQPTHLPYVSEMLEARTAGHMQTLADFRQLPARTLSTHWPPQRSLCSSDFIRILVIFSGMFLVFTLAGALFLHQRRKYRSNKGESPVEPAEPCRYSCPREEEGSTIPIQEDYRKPEPACSP;
SEQ ID No.6:
MGNSCYNIVATLLLVLNFERTRSLQDPCSNCPAGTFCDNNRNQICSPCPPNSFSSAGGQRTCDICRQCKGVFRTRKECSSTSNAECDCTPGFHCLGAGCSMCEQDCKQGQELTKKGCKDCCFGTFNDQKRGICRPWTNCSLDGKSVLVNGTKERDVVCGPSPADLSPGASSVTPPAPAREPGHSPQIISFFLALTSTALLFLLFFLTLRFSVVKRGRKKLLYIFKQPFMRPVQTTQEEDGCSCRFPEEEEGGCEL;
SEQ ID No.7:GSGATNFSLLKQAGDVEENPGP;
SEQ ID No.8: GSGEGRGSLLTCGDVEENPGP;
SEQ ID No.9:GSGQCTNYALLKLAGDVESNPGP;
SEQ ID No.10:GSGVKQTLNFDLLKLAGDVESNPGP。
【0017】
さらに、上記のキメラ抗原受容体の細胞外ヒンジ領域は、CD8aまたはIgGの一定の領域から選ばれ、上記のキメラ抗原受容体の膜貫通領域は、CD8a、CD28、CD137またはCD3の1つから選ばれる。
【0018】
本発明の2つ目の目的は、前述したキメラ抗原受容体の組換え発現ベクターのいずれかを提供する。
【0019】
本発明の3つ目の目的は、前述したキメラ抗原受容体の組換え発現ベクターのいずれかにより作製されるCAR-T細胞を提供する。
【0020】
本発明の4つ目の目的は、以下のステップを含む前述したCAR-T細胞の調製方法を提供する。
【0021】
ステップ1:レンチウイルスベクター作製およびウイルス産生ステップ;
このステップにおいて、scFv(X)-(Y)CD3zetaとZとの間に2Aを組み込んで融合タンパク質を形成し、当該融合タンパク質の両端にレンチウイルスベクターを付加し、レンチウイルスパッケージングプラスミド同時形質移入して、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)ウイルスを取得し
ステップ2:scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z) CAR-T細胞調製ステップ;
このステップにおいて、分離精製されたヒトPBMCを培養後、当該ヒトPBMCにステップ1で得られるscFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)ウイルスを感染させ、適切な条件で細胞を増幅させることで、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z) CAR-T細胞を調製する。
【0022】
さらに、前述したCAR-T細胞の調製方法を最適化するために、本発明に用いられる技術的手段は、さらに、以下を含む。
【0023】
さらに、上記のレンチウイルスベクター作製およびウイルス産生における具体なステップは、overlap PCR により、scFv(X)-(Y)CD3zetaとZとの間に2Aを組み込んで融合タンパク質を形成し、当該融合タンパク質の両端に制限酵素サイトを付加してレンチウイルスベクターを作製し、正しくシークエンシングされたそのクローンエンドトキシンフリーの大量抽出物を、レンチウイルスパッケージングプラスミド同時形質移入し、所定時間に、上清を採取してろ過し、遠心によってウイルスを濃縮することによって、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)ウイルスを得ることを含む。
【0024】
よりさらに、上記のレンチウイルスベクター作製およびウイルス産生における具体なステップは、overlap PCRを用いて、scFv(X)-(Y)CD3zeta とOX40の間に2A配列を組み込み融合タンパク質を形成し、当該融合タンパク質の両端にEcoRIとSalI制限酵素サイトを付加してpCDH-MSCVEFベクターを作製し、正しくシークエンシングされた当該クローンエンドトキシンフリーの大量抽出物を、レンチウイルスパッケージングプラスミド293X同時形質移入48および72時間に、上清を採取して0.45μmでろ過後、25000RPMで2時間遠心分離してウイルスを縮することによって、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)ウイルスを得る。
【0025】
さらに、上記のscFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z) CAR-T細胞調製における具体なステップは、ヒトPBMCを分離精製後、適切な刺激条件を持つ培養プレートに播種して所定時間培養した後、ステップ1で産生したscFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)ウイルス感染させ、適切な刺激条件で細胞を増幅させるように2ラウンド刺激増幅後、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z) CAR-T細胞を得ることを含む。
【0026】
さらに、分離精製されたヒトPBMCを培養する刺激条件は、anti-hCD3およびanti-hCD28であり、細胞を増幅させる刺激条件は、6日ごとに人工抗原提示細胞またはanti-hCD3/28で刺激することである。
【0027】
よりさらに、上記のscFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z) CAR-T細胞調製の具体なステップは、ヒトPBMCをStemcell T細胞分離キットで精製後、anti-hCD3およびanti-hCD28により被覆された96ウエル培養プレートに播種後2日に、MOI=10-20でscFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)ウイルスを感染後1日に、液を交換して細胞培養を続け、6日ごとに人工抗原提示細胞またはanti-hCD3/28で刺激するように2ラウンド刺激後、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z) CAR-T細胞が得られる。
【0028】
さらに、上記のXは、anti-CD19抗体、anti-CD20抗体、EGFR抗体、HER2抗体、EGFRVIII抗体から選ばれる。
【0029】
さらに、上記のXは、anti-CD20抗体であり、上記のYは、4-1BBであり、上記のZは、OX40、HVEM、ICOS、CD27、4-1BBの1つから選ばれる。
【0030】
さらに、上記のscFv(X)-(Y)CD3zetaは、配列がSEQ ID No.1で表されるscFv-antihCD20-20BBZであり、上記のOX40の配列は、SEQ ID No.2で表され、上記のHVEMの配列は、SEQ ID No.3で表され、上記のICOSの配列は、SEQ ID No.4で表され、上記のCD27の配列は、SEQ ID No.5で表され、上記の4-1BBの配列は、SEQ ID No.6で表され、上記の2Aの配列は、SEQ ID No.7で表される。
【0031】
さらに、上記のステップ1においてレンチウイルスパッケージングプラスミドは、VSV-g、pMD Gag/Pol、RSV-REVを含み、遠心は、ベックマン超遠心機およびSW28スウィングロータが用いられる。
【0032】
本発明の5つ目の目的は、前述したCAR-T細胞または前述した調製方法により調製されるCAR-T細胞を有する製剤を提供し、さらに、上記の製剤は、薬学的に許容可能な希釈剤または賦形剤をさらに含む。
【0033】
本発明の6つ目の目的は、腫瘍を治療または予防するための医薬品の調製における前述したキメラ抗原受容体、前述したCAR-T細胞または前述した調製方法により調製されるCAR-T細胞の使用を提供する。
【0034】
さらに、上記の腫瘍は、リンパ腫、腎腫瘍、神経芽細胞腫、胚細胞腫瘍、骨肉腫、軟骨肉腫、軟部組織肉腫、肝臓腫瘍、胸腺腫、肺芽細胞腫、膵芽腫、血管腫などを含むがこれに限定されない固形腫瘍である。
【0035】
本発明は、以下、従来の技術よりも有用の効果を有する。
【0036】
本発明に記載のCAR-T細胞は、腫瘍殺傷能と増幅能を有意に改善し、固形腫瘍/転移性腫瘍の殺傷能を著しく増加し、本発明に記載のCAR-T細胞は、従来のリガンドまたは分泌因子ではなく、共刺激受容体(ICOS、CD28、CD27、HVEM、LIGHT、CD40L、4-1BB、OX40、DR3、GITR、CD30、TIM1、SLAM、CD2、CD226等)を含み、CAR-T細胞にしか作用しないことにより、免疫副作用をもたらすリスクを低減する。
【0037】
本発明は、初めて共刺激受容体をCAR-Tの作製に用いられ、現在臨床に使われるCAR-T技術よりも、腫瘍におけるCAR-T細胞の活性化能力および生存性、固形/転移性腫瘍の制御能力を有意に向上させ、CAR-T細胞の治療効果を増加することで、より優れた抗腫瘍治療効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1は、本発明における各実施例の第3シグナル受容体を含むキメラ抗原受容体(CAR)分子構造の説明模式図である。
【0039】
図2は、本発明の一実施例におけるBBZ-2A-OX40ウイルスにより293細胞を感染後測定して得られたウイルス力価の模式図である。
【0040】
図3は、本発明の一実施例におけるBBZ-2A-HVEMウイルスにより293細胞を感染後測定して得られたウイルス力価の模式図である。
【0041】
図4は、本発明の一実施例におけるBBZ-2A-ICOSウイルスにより293細胞を感染後測定して得られたウイルス力価の模式図である。
【0042】
図5は、本発明の一実施例におけるBBZ-2A-CD27ウイルスにより293細胞を感染後測定して得られたウイルス力価の模式図である。
【0043】
図6は、本発明の一実施例におけるBBZ-2A-4-1BBウイルスにより293細胞を感染後測定して得られたウイルス力価の模式図である。
【0044】
図7は、本発明の一実施例におけるBBZ CAR-T細胞とBBZ-2A-OX40 CAR-T細胞表現型分析の結果模式図である。
【0045】
図8は、本発明の一実施例におけるBBZ CAR-T細胞とBBZ-2A-HVEM CAR-T細胞表現型分析の結果模式図である。
【0046】
図9は、本発明の一実施例におけるBBZ CAR-T細胞とBBZ-2A-ICOS CAR-T細胞表現型分析の結果模式図である。
【0047】
図10は、本発明の一実施例におけるBBZ CAR-T細胞とBBZ-2A-CD27 CAR-T細胞表現型分析の結果模式図である。
【0048】
図11は、本発明の一実施例におけるBBZ CAR-T細胞とBBZ-2A-4-1BB CAR-T細胞表現型分析の結果模式図である。
【0049】
図12は、本発明の一実施例におけるBBZ CAR-T細胞とBBZ-2A-OX40 CAR-T細胞の増幅能の模式図である。
【0050】
図13は、本発明の一実施例におけるBBZ CAR-T細胞とBBZ-2A-OX40 CAR-T細胞、BBZ-2A-CD27 CAR-T細胞、及びBBZ-2A-ICOS CAR-T細胞の腫瘍殺傷能の模式図である。
【0051】
図14は、本発明の一実施例におけるBBZ CAR-T細胞とBBZ-2A-OX40 CAR-T細胞の抗腫瘍能力の模式図である。
【0052】
図15は、本発明の一実施例におけるBBZ CAR-T細胞とBBZ-2A-OX40 CAR-T細胞のインビボ生存性の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本発明は、構造が、scFv(X)-(Y)CD3zeta-2A-(Z)であり、ここで、Xは、腫瘍標的抗体または他のタンパク質であり、Yは、ICOS、CD28、CD27、HVEM、LIGHT、CD40L、4-1BB、OX40、DR3、GITR、CD30、TIM1、SLAM、CD2、CD226から選ばれる共刺激受容体の細胞内領域であり、Zは、ICOS、CD28、CD27、HVEM、LIGHT、CD40L、4-1BB、OX40、DR3、GITR、CD30、TIM1、SLAM、CD2、CD226から選ばれる共刺激受容体である共刺激受容体を含むキメラ抗原受容体を提供する。本発明は、さらに、前述したキメラ抗原受容体の組換え発現ベクターのいずれかにより作製されるCAR-T細胞およびその調製方法ならびに使用に関する。
【0054】
以下、図面と実施例に合わせて、本発明の具体な実施形態をさらに説明する。以下、実施例は、本発明の請求項をより詳しく説明するに過ぎなく、本発明の請求の範囲を限定するものではない。
【0055】
本発明において、下記実施例に関する共刺激受容体を含むキメラ抗原受容体(CAR)分子は、それぞれBBZ-2A-OX40、BBZ-2A-HVEM、BBZ-2A-ICOS、BBZ-2A-CD27、BBZ-2A-4-1BBであって、その構造が図1に示される。
【0056】
実施例1-20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞の調製
本実施例に記載の20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞の調製は、以下のステップを含む。
【0057】
overlap PCR により、scFv-antihCD20-20BBZ(SEQ ID No.1)とOX40(SEQ ID No.2)との間に2A(SEQ ID No.7)配列を加えると共に、その両端にEcoRIとSalI制限酵素サイトを付加してpCDH-MSCVEFベクターを作製した。正しくシークエンシングされた当該クローンエンドトキシンフリーの大量抽出物を、レンチウイルスパッケージングプラスミド(VSV-g、pMD Gag/Pol、RSV-REV)293X同時形質移入48及び72時間に、上清を採取して、0.45μmでろ過後、ベックマン超遠心機およびSW28スウィングロータを用いて、25000RPMで2時間遠心分離してウイルスを濃縮することによって、pCDH-MSCVEF-20BBZ-2A-OX40ウイルス(20BBZ-2A-OX40ウイルスと単に称される)が得られ、次のCAR-T細胞産生に用いられる。同時に、対照pCDH-MSCVEF-20BBZウイルス(20BBZウイルスと単に称される)が産生され、得られたウイルスにより293細胞を感染させ、ウイルス力価を、図2に示すように測定した。
【0058】
2.20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞と20BBZ CAR-T細胞の調製
ヒトPBMCを、Stemcell T細胞分離キットで精製後、anti-hCD3およびanti-hCD28により被覆された96ウエル培養プレートに播種後2日に、MOI=10-20で20BBZウイルスと20BBZ-2A-OX40ウイルスを感染後1日に、液を交換して細胞培養を続け、6日ごとに人工抗原提示細胞またはanti-hCD3/28で刺激するように2ラウンド刺激後、20BBZ CAR-T細胞と20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞が得られ、次の実験および表現型分析に用いられ、その結果が図7に示される。図面のように、得られた細胞は、CAR陽性である。
【0059】
実施例2- 20BBZ-2A-HVEM CAR-T細胞の調製
本実施例に記載の20BBZ-2A-HVEM CAR-T細胞の調製は、以下のステップを含む。
【0060】
overlap PCR により、scFv-antihCD20-20BBZ(SEQ ID No.1)とHVEM(SEQ ID No.3)との間に2A(SEQID No.8)配列を加えると共に、その両端にEcoRIとSalI制限酵素サイトを付加してpCDH-MSCVEFベクターを作製した。正しくシークエンシングされた当該クローンエンドトキシンフリーの大量抽出物を、レンチウイルスパッケージングプラスミド(VSV-g、pMD Gag/Pol、RSV-REV)293X同時形質移入48及び72時間に、上清を採取して、0.45μmでろ過後、ベックマン超遠心機およびSW28スウィングロータを用いて、25000RPMで2時間遠心分離してウイルスを濃縮することによって、pCDH-MSCVEF-20BBZ-2A-HVEMウイルス(20BBZ-2A-HVEMウイルスと単に称される)が得られ、次のCAR-T細胞産生に用いられる。同時に、対照pCDH-MSCVEF-20BBZウイルス(20BBZウイルスと単に称される)が産生され、得られたウイルスにより293細胞を感染させ、ウイルス力価を、図3に示すように測定した。
【0061】
2.20BBZ-2A-HVEM CAR-T細胞と20BBZ CAR-T細胞の調製
ヒトPBMCを、Stemcell T細胞分離キットで精製後、anti-hCD3およびanti-hCD28により被覆された96ウエル培養プレートに播種後2日に、MOI=10-20で20BBZウイルスと20BBZ-2A-HVEMウイルスを感染後1日に、液を交換して細胞培養を続け、6日ごとに人工抗原提示細胞またはanti-hCD3/28で刺激するように2ラウンド刺激後、20BBZCAR-T細胞および20BBZ-2A-HVEM CAR-T細胞が得られ、次の実験および表現型分析に用いられ、その結果が図8に示される。図面のように、得られた細胞は、CAR陽性である。
【0062】
実施例3-20BBZ-2A-ICOS CAR-T細胞の調製
本実施例に記載の20BBZ-2A-ICOS CAR-T細胞の調製は、以下のステップを含む。
【0063】
1.レンチウイルスベクターpCDH-MSCVEF-20BBZ-2A-ICOS作製およびウイルス産生
overlap PCR により、scFv-antihCD20-20BBZ(SEQ ID No.1)とICOS(SEQ ID No.4)との間に2A(SEQID No.9)配列を加えると共に、その両端にEcoRIとSalI制限酵素サイトを付加してpCDH-MSCVEFベクターを作製した。正しくシークエンシングされた当該クローンエンドトキシンフリーの大量抽出物を、レンチウイルスパッケージングプラスミド(VSV-g、pMD Gag/Pol、RSV-REV)293X同時形質移入48及び72時間に、上清を採取して、0.45μmでろ過後、ベックマン超遠心機およびSW28スウィングロータを用いて、25000RPMで2時間遠心分離してウイルスを濃縮することによって、pCDH-MSCVEF-20BBZ-2A-ICOSウイルス(20BBZ-2A-ICOSウイルスと単に称される)が得られ、次のCAR-T細胞産生に用いられる。同時に、対照pCDH-MSCVEF-20BBZウイルス(20BBZウイルスと単に称される)が産生され、得られたウイルスにより293細胞を感染させ、ウイルス力価を、図4に示すように測定した。
【0064】
2.20BBZ-2A-ICOS CAR-T細胞と20BBZ CAR-T細胞の調製
ヒトPBMCを、Stemcell T細胞分離キットで精製後、anti-hCD3およびanti-hCD28により被覆された96ウエル培養プレートに播種後2日に、MOI=10-20で20BBZウイルスと20BBZ-2A-ICOSウイルスを感染後1日に、液を交換して細胞培養を続け、6日ごとに人工抗原提示細胞またはanti-hCD3/28で刺激するように2ラウンド刺激後、20BBZCAR-T細胞および20BBZ-2A-ICOS CAR-T細胞が得られ、次の実験および表現型分析に用いられ、その結果が図9に示される。図面のように、得られた細胞は、CAR陽性である。
【0065】
実施例4-20BBZ-2A-CD27 CAR-T細胞の調製
本実施例に記載の20BBZ-2A-CD27 CAR-T細胞の調製は、以下のステップを含む。
【0066】
1.レンチウイルスベクターpCDH-MSCVEF-20BBZ-2A-CD27作製およびウイルス産生
overlap PCR により、scFv-antihCD20-20BBZ(SEQ ID No.1)とCD27(SEQ ID No.5)との間に2A(SEQID No.10)配列を加えると共に、その両端にEcoRIとSalI制限酵素サイトを付加してpCDH-MSCVEFベクターを作製した。正しくシークエンシングされたそのクローンエンドトキシンフリーの大量抽出物を、レンチウイルスパッケージングプラスミド(VSV-g、pMD Gag/Pol、RSV-REV)293X同時形質移入48及び72時間に、上清を採取して、0.45μmでろ過後、ベックマン超遠心機およびSW28スウィングロータを用いて、25000RPMで2時間遠心分離してウイルスを濃縮することによって、pCDH-MSCVEF-20BBZ-2A-CD27ウイルス(20BBZ-2A-CD27ウイルスと単に称される)が得られ、次のCAR-T細胞産生に用いられる。同時に、対照pCDH-MSCVEF-20BBZウイルス(20BBZウイルスと単に称される)が産生され、得られたウイルスにより293細胞を感染させ、ウイルス力価を、図5に示すように測定した。
【0067】
2.20BBZ-2A-CD27 CAR-T細胞および20BBZ CAR-T細胞の調製
ヒトPBMCを、Stemcell T細胞分離キットで精製後、anti-hCD3およびanti-hCD28により被覆された96ウエル培養プレートに播種後2日に、MOI=10-20で20BBZウイルスおよび20BBZ-2A-CD27ウイルスを感染後1日に、液を交換して細胞培養を続け、6日ごとに人工抗原提示細胞またはanti-hCD3/28で刺激するように2ラウンド刺激後、20BBZCAR-T細胞および20BBZ-2A-CD27 CAR-T細胞が得られ、次の実験および表現型分析に用いられ、その結果が図10に示される。図面のように、得られた細胞は、CAR陽性である。
【0068】
実施例5-20BBZ-2A-4-1BB CAR-T細胞の調製
本実施例に記載の20BBZ-2A-4-1BB CAR-T細胞の調製は、以下のステップを含む。
【0069】
1.レンチウイルスベクターpCDH-MSCVEF-20BBZ-2A-4-1BB作製およびウイルス産生 overlap PCR により、scFv-antihCD20-20BBZ(SEQID No.1)と4-1BB(SEQID No.6)との間に2A(SEQID No.7)配列を加えると共に、その両端にEcoRIとSalI制限酵素サイトを付加してpCDH-MSCVEFベクターを作製した。正しくシークエンシングされたそのクローンエンドトキシンフリーの大量抽出物を、レンチウイルスパッケージングプラスミド(VSV-g、pMD Gag/Pol、RSV-REV)293X同時形質移入48及び72時間に、上清を採取して、0.45μmでろ過後、ベックマン超遠心機およびSW28スウィングロータを用いて、25000RPMで2時間遠心分離してウイルスを濃縮することによって、pCDH-MSCVEF-20BBZ-2A-4-1BBウイルス(20BBZ-2A-4-1BBウイルスと単に称される)が得られ、次のCAR-T細胞産生に用いられる。同時に、対照pCDH-MSCVEF-20BBZウイルス(20BBZウイルスと単に称される)が産生され、得られたウイルスにより293細胞を感染させ、ウイルス力価を、図6に示すように測定した。
【0070】
2.20BBZ-2A-4-1BB CAR-T細胞と20BBZ CAR-T細胞の調製
ヒトPBMCを、Stemcell T細胞分離キットで精製後、anti-hCD3およびanti-hCD28により被覆された96ウエル培養プレートに播種後2日に、MOI=10-20で20BBZウイルスおよび20BBZ-2A-4-1BBウイルスを感染後1日に、液を交換して細胞培養を続け、6日ごとに人工抗原提示細胞またはanti-hCD3/28で刺激するように2ラウンド刺激後、20BBZCAR-T細胞および20BBZ-2A-4-1BB CAR-T細胞が得られ、次の実験および表現型分析に用いられ、その結果が図11に示される。図面のように、得られた細胞は、CAR陽性である。
【0071】
実施例6- 20BBZ CAR-T細胞と20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞の増幅能の比較
実施例1におけるステップ2で調製された20BBZ CAR-T細胞と20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞を、14日連続的に培養し、6日おきに1回、人工抗原提示細胞で刺激し、細胞をカウントした結果が図12に示される。図面のように、20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞は、20BBZ CAR-T細胞よりも強い増殖能力を有する。
【0072】
実施例7- 20BBZ CAR-T細胞と20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞の腫瘍殺傷能の比較
実施例1におけるステップ2で調製された20BBZ CAR-T細胞と20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞、実施例3におけるステップ2で調製された20BBZ-2A-ICOS CAR-T細胞、および実施例4におけるステップ2で調製された20BBZ-2A-CD27 CAR-T細胞を、96ウエルプレートに播種して、CAR-T:腫瘍細胞が1:1、1:2、1:4の割合でRaji腫瘍細胞を加えた後24、48時間に、腫瘍細胞の生存割合を比較したところ、その結果が図13に示される。図面のように、20BBZ-2A-OX40/ICOS/CD27 CAR-T細胞は、20BBZ CAR-T細胞と類似の腫瘍殺傷能を有し、ひいては、共刺激受容体含有CAR-Tの一部がより強い腫瘍殺傷能を有する。
【0073】
実施例8- 20BBZ CAR-T細胞と20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞の抗腫瘍能力およびインビボ生存性の比較
106 Nalm-6腫瘍細胞を、B-NDGマウスに静脈内に播種後6日に、107 20BBZ CAR-T細胞および20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞治療を施しながら、マウスの生存率を観察すると、一部のマウスは、7日目にその骨髄における腫瘍細胞とCAR-T細胞の含有量が測定され、その結果がそれぞれ図14および図15に示される。図面のように、20BBZ-2A-OX40 CAR-T細胞は、マウスの生存が20BBZ CAR-T細胞よりも有意に延長すると共に、インビボで多く増幅されている。
【0074】
前述した実施例から、本発明は、新規な共刺激受容体含有CAR-T細胞を作製することによって、腫瘍におけるCAR-T細胞の活性化能力、生存性、増幅能が、現在臨床に用いられるCAR-T技術よりも有意に増加し、より優れた抗腫瘍治療効果を有することが分かった。
【0075】
以上、本発明に係る具体的な実施例は、詳しく説明されたが、例として、本発明を限定することではない。当該技術分野における当業者にとって、本発明に対して等価な改変および置換のいずれも本発明の範囲に属する。そのため、本発明の要旨を逸脱しない範囲における種々の等価な変更、改変等が、本発明の範囲に該当するものになるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【配列表】
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