(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】ロボットセルを較正するためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20240129BHJP
B21D 5/02 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
B25J9/10 A
B21D5/02 V
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021084524
(22)【出願日】2021-05-19
【審査請求日】2021-05-19
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】521219268
【氏名又は名称】メタリックス キャド/キャム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】オリット リリ,バルーク
(72)【発明者】
【氏名】メナチェム,マイタフ
(72)【発明者】
【氏名】イツァーク,シロキ
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-033747(JP,A)
【文献】特開平06-071581(JP,A)
【文献】特開2001-252883(JP,A)
【文献】特開2018-001196(JP,A)
【文献】特表2014-508050(JP,A)
【文献】特開昭59-088273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
B21D 5/00- 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
平面領域を有する較正ブロックであって、前記平面領域が、少なくとも1つの三角形の3つの角部に位置する、少なくとも3つのマーキング要素を備える、較正ブロックと、
較正ツールと、
少なくとも第1の構成要素を備えるロボットベース生産環境を較正するために使用されるプロセッサであって、前記プロセッサが、
前記較正ブロックのパラメータを受信することであって、前記パラメータが、前記較正ブロックの基準点に対する前記少なくとも3つのマーキング要素の場所であることと、
その上に前記較正ブロックが所定の位置に配置されるロボットベース生産環境の第1の構成要素の構成要素基準点に対する前記較正ブロックの基準点の位置を受信することと、
前記較正ブロックが前記第1の構成要素上に位置決めされているときに取得された、前記較正ブロックの少なくとも3つのマーキング要素の一組の場所を受信することであって、前記較正ツールによって取得された一組の場所が、規定の順序で前記少なくとも3つのマーキング要素上にかつ前記ロボットベース生産環境の座標系に配置されることと、
前記ロボットベース生産環境の座標系における前記第1の構成要素の位置および配向を、
前記較正ブロックの受信されたパラメータ、
前記較正ブロックの基準点の受信された位置、および
前記較正ブロックが前記第1の構成要素上に位置決めされているときに取得された、前記較正ブロックの少なくとも3つのマーキング要素の受信された一組の場所
に基づいて判定することと、
を行うように適合されている、プロセッサと、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記較正ツールが、先端部で終端する細長いビットを備え、前記先端部が、球形である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記三角形が、直角三角形である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記一組の場所が、ポインタから得られる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ポインタが、レーザポインタである、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記一組の場所が、捕捉デバイスによって捕捉された画像を分析することによって得られる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ロボットベース生産環境が、ロボット曲げ加工セルであり、前記第1の構成要素が、配向テーブル、プレスブレーキ、つかみ替えステーション、把持具交換ステーション、ツール交換ステーション、インパレット、およびアウトパレットからなる群から選択される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ロボット曲げ加工セルが、レールをさらに備える、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記プロセッサは、ロボットが加工されたシートをプレスブレーキ上に配置する前記ロボットベース生産環境内の2つの位置の間での前記ロボットの遷移のためのプログラムを生成するようにさらに適合されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記ロボットベース生産環境において動作するロボットが、前記第1の構成要素の目標点に到達することができるかどうかを試験するための試験プログラムを生成するようにさらに適合されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
加工プラットフォームによって実行される方法であって、前記方法が、
平面領域を有する較正ブロックのパラメータを受信することであって、前記平面領域が、少なくとも1つの三角形の3つの角部に位置する少なくとも3つのマーキング要素を備え
、前記パラメータが、前記較正ブロックの基準点に対する前記少なくとも3つのマーキング要素の場所であることと、
その上に前記較正ブロックが所定の位置に配置されるロボットベース生産環境の第1の構成要素の構成要素基準点に対する前記較正ブロックの基準点の位置を受信することと、
前記較正ブロックが前記第1の構成要素上に位置決めされるときに取得された、前記較正ブロックの前記少なくとも3つのマーキング要素の一組の場所を受信することであって、較正ツールによって取得された一組の場所が、規定の順序で前記少なくとも3つのマーキング要素上にかつ前記ロボットベース生産環境の座標系に配置されることと、
前記ロボットベース生産環境の座標系における前記第1の構成要素の位置および配向を、
前記較正ブロックの受信されたパラメータ、
前記較正ブロックの基準点の受信された位置、および
前記較正ブロックが前記第1の構成要素上に位置決めされているときに取得された、前記較正ブロックの少なくとも3つのマーキング要素の受信された一組の場所
に基づいて判定することと、
を備える、方法。
【請求項12】
前記較正ツールが、先端部で終端する細長いビットを備え、前記先端部が、球形である、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記三角形が、直角三角形である、請求項
11に記載の方法。
【請求項14】
前記一組の場所が、レーザポインタから得られる、請求項
11に記載の方法。
【請求項15】
前記一組の場所を得るために捕捉デバイスによって捕捉された画像を分析することをさらに備える、請求項
11に記載の方法。
【請求項16】
前記ロボットベース生産環境内の2つの位置の間でのロボットの遷移のためのプログラムを生成することをさらに備える、請求項
11に記載の方法。
【請求項17】
前記ロボットベース生産環境が、ロボット曲げ加工セルであり、その中でロボットが、加工されたシートをプレスブレーキ上に配置する、請求項
11に記載の方法。
【請求項18】
前記ロボットベース生産環境において動作するロボットが、前記第1の構成要素の目標点に到達することができるかどうかを試験するための試験プログラムを生成することをさらに備える、請求項
11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ロボットベース生産環境、具体的には、ロボット曲げ加工セルを較正するための方法およびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット曲げ加工セルは、レールに沿って進む、または進まないロボットと、プレスブレーキと、インパレット、コンベヤベルトなど、そこからロボットが曲げ加工される金属シートなどのシートを把持する、送入ステーションと、ロボットが加工されたシートを配置する、アウトパレット、コンベヤベルト、袋、収集容器などの送出ステーションとを備え得る。曲げ加工中、ロボットは、曲げ加工されるシートを曲げ加工用のプレスブレーキの下部ビーム上の指定された位置および配向に配置する。ロボット曲げ加工セルは、空間内のシートの正確な場所および配向を判定するためにシートの加工の開始時において使用され得る配向テーブルを典型的に備える。しかしながら、構成によっては、配向テーブルが存在しない場合があり、ロボットは、インパレットまたはコンベヤベルトからシートを直接把持して、プレスブレーキまたはつかみ替えステーションにシートを移動させてもよい。他の構成では、配向テーブルは、送入ステーションでもあり得る。ロボット曲げ加工セルはまた、シートを配置することを目的としたつかみ替えステーションを備えてもよく、そのため、ロボットは、さらなる曲げ加工のためにシートを異なる場所または角度で把持することができる。
【0003】
特定の設計の加工を計画するには、ロボットがシートを繰り返し把持し、プレスブレーキによって必要な線に沿ってシートを曲げ加工し、かつ送出できるように、シート上の把持位置およびロボットの軌道を判定する必要がある。
【0004】
ロボットセルの様々な構成要素の場所は、既知である。しかしながら、これらの場所は、概して、精度が不十分であることが既知であり、シートの加工を開始する前に正確な較正が実行されることが依然として必要であり得る。構成要素のいずれかが意図的または意図せずに移動されたときも、さらなる較正が必要とされ得る。
【0005】
セルの較正、すなわち関連する全ての表面の3D空間における正確な位置の測定は、高度な専門知識および精度を必要とする面倒な作業であり、長い時間がかかる場合がある。それゆえ、このプロセスは、専門家の料金ならびに機械のダウンタイムを含む、高額な費用がかかる場合がある。
【発明の概要】
【0006】
開示された主題の1つの例示的な実施形態は、平面領域を有する較正ブロックを含むデバイスであり、平面領域は、少なくとも1つの三角形の3つの角部に位置する少なくとも3つのマーキング要素を備え、ロボットベース生産環境を較正するために使用されるプロセッサは、較正ブロックのパラメータを受信し、ロボットベース生産環境の第1の構成要素の構成要素基準点に対する較正ブロックの較正ブロック基準点の位置を受信し、較正ブロックが第1の構成要素上に位置決めされるときに取得された、較正ブロックの少なくとも3つのマーキング要素の一組の場所を受信し、パラメータ、位置、および一組の場所に基づいて、ロボットベース生産環境の座標系における第1の構成要素の位置および配向を判定するように適合された、少なくとも第1の構成要素を含む。デバイス内で、三角形は、任意選択的に直角三角形である。デバイスは、較正ツールをさらに備え得、一組の場所は、較正ツールが少なくとも3つのマーキング要素上に配置されたときに任意選択的に得られる。デバイス内で、一組の場所は、ポインタから任意選択的に得られる。デバイス内で、ポインタは、任意選択的にレーザポインタである。デバイス内で、一組の場所は、捕捉デバイスによって捕捉された画像を分析することによって任意選択的に得られる。デバイス内で、ロボットベース生産環境は、任意選択的にロボット曲げ加工セルであり、第1の構成要素は、配向テーブル、プレスブレーキ、つかみ替えステーション、把持具交換ステーション、ツール交換ステーション、インパレット、およびアウトパレットを備える群から任意選択的に選択される。デバイス内で、ロボット曲げ加工セルは、任意選択的にレールをさらに備える。デバイス内で、プロセッサは、任意選択的に、ロボットが加工されるシートをプレスブレーキ上に配置するロボットベース生産環境内の2つの位置の間でのロボットの遷移のためのプログラムを生成するようにさらに適合される。デバイス内で、プロセッサは、ロボットベース生産環境の第2の構成要素に関して、パラメータを受信することと、位置を受信することと、一組の場所を受信することと、判定することと、を繰り返すように任意選択的にさらに適合される。デバイス内で、プロセッサは、第1の構成要素から第2の構成要素へのロボットの遷移のためのプログラムを生成するように任意選択的にさらに適合される。デバイス内で、プロセッサは、ロボットベース生産環境において動作するロボットが、第1の構成要素の目標点に到達することができるかどうかを試験するための試験を生成するように任意選択的にさらに適合される。
【0007】
開示された主題の別の例示的な実施形態は、加工プラットフォームによって実行される方法であり、本方法は、平面領域を有する較正ブロックのパラメータを受信することであって、平面領域は、少なくとも1つの三角形の3つの角部に位置する少なくとも3つのマーキング要素を含む、受信することと、ロボットベース生産環境の第1の構成要素の構成要素基準点に対する較正ブロックの較正ブロック基準点の位置を受信することと、較正ブロックが第1の構成要素上に位置決めされるときに取得された、較正ブロックの少なくとも3つのマーキング要素の一組の場所を受信することと、パラメータ、位置、および一組の場所に基づいて、ロボットベース生産環境の座標系における第1の構成要素の位置および配向を判定することと、を含む。方法内で、三角形は、任意選択的に直角三角形である。方法内で、一組の場所は、較正ツールが少なくとも3つのマーキング要素上に配置されるときに任意選択的に得られる。方法内で、一組の場所は、レーザポインタから任意選択的に得られる。方法は、一組の場所を得るために、捕捉デバイスによって捕捉された画像を分析することをさらに含むことができる。方法は、ロボットベース生産環境内の2つの位置の間でのロボットの遷移のためのプログラムを生成することをさらに含むことができる。方法内で、ロボットベース生産環境は、任意選択的に、ロボットが加工されたシートをプレスブレーキ上に配置するロボット曲げ加工セルである。方法は、ロボットベース生産環境の第2の構成要素に関して、パラメータを受信することと、位置を受信することと、一組の場所を受信することと、判定することと、を繰り返すことをさらに含むことができる。方法は、ロボットベース生産環境において動作するロボットが、第1の構成要素の目標点に到達することができるかどうかを試験するための試験を生成することをさらに含むことができる。
【0008】
開示された主題のさらに別の例示的な実施形態は、プログラム命令を保持する、非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であり、命令は、プロセッサによって読み取られるとき、プロセッサに、平面領域を有する較正ブロックのパラメータを受信することであって、平面領域は、少なくとも1つの三角形の3つの角部に位置する少なくとも3つのマーキング要素を含む、受信することと、ロボットベース生産環境の第1の構成要素の構成要素基準点に対する較正ブロックの較正ブロック基準点の位置を受信することと、較正ブロックが第1の構成要素上に位置決めされるときに取得された、較正ブロックの少なくとも3つのマーキング要素の一組の場所を受信することと、パラメータ、位置、および一組の場所に基づいて、ロボットベース生産環境の座標系における第1の構成要素の位置および配向を判定することと、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面のいくつかの図の簡単な説明
本開示の主題は、対応するまたは同様の数字または文字が、対応するまたは同様の構成要素を示す図面と併せて解釈される以下の詳細な説明から、より完全に理解および認識されるであろう。別段の指示がない限り、図面は、本開示の例示的な実施形態または態様を提供し、本開示の範囲を限定するものではない。図面では、
【
図1A】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、較正ブロックの図を示す。
【
図1B】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、較正ポインタの図を示す。
【
図1C】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、別の較正ブロックの図を示す。
【
図2A-2B】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、ロボットセルの概略図の2つの図を示す。
【
図3】本開示のいくつかの例示的な実施形態による、ロボットセルを較正するためにユーザによって実行される方法の工程のフローチャートを示す。
【
図4】本開示のいくつかの例示的な実施形態において、ロボットセルを較正するための工程のフローチャートを示す。
【
図5】開示された主題のいくつかの例示的な実施形態による、ロボットセルを較正するように構成されたシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示に関連する1つの技術的問題は、特別な専門知識を必要としない、高速かつ安価な方式でロボットセルを較正する必要性である。
【0011】
ロボット曲げ加工セルは、レールに沿って進む、または進まないロボットと、プレスブレーキと、インパレット、コンベヤベルトなど、そこからロボットが曲げ加工される金属シートなどのシートを把持する、送入ステーションと、ロボットが加工されたシートを配置する、アウトパレット、コンベヤベルト、袋、収集容器などの送出ステーションとを備え得る。曲げ加工中、ロボットは、曲げ加工されるシートを曲げ加工用のプレスブレーキの下部ビーム上の指定された位置および配向に配置する。ロボット曲げ加工セルは、空間内のシートの正確な場所および配向を判定するためにシートの加工の開始時において使用され得る配向テーブルを典型的に備える。しかしながら、構成によっては、配向テーブルが存在しない場合があり、ロボットは、インパレットまたはコンベヤベルトからシートを直接把持して、プレスブレーキまたはつかみ替えステーションにシートを移動させてもよい。他の構成では、送入ステーションは、配向テーブルでもあり得る。ロボット曲げ加工セルはまた、シートを配置することを目的としたつかみ替えステーションを備えてもよく、そのため、ロボットは、さらなる曲げ加工のためにシートを異なる場所または角度で把持することができる。
【0012】
ロボットセルはまた、ロボットの現在の場所および位置を受信するため、ならびに目標場所に向かって、または設計された軌道に沿ってロボットの移動を制御するためのコントローラを備え得る。
【0013】
ロボットセルは、ロボットティーチペンダントとも称される、ペンダントを備えるか、またはペンダントと通信し得る。ペンダントは、携帯用制御およびプログラミングユニットである。ペンダントは、手動でロボットを所望の位置または配向に送り、速度を変更するなどのために使用され得る。ペンダントはまた、ロボットの位置を読み取り、表示するために使用され得る。ペンダントはまた、ロボット用に外部で生成されたプログラムをロードし、実行するために使用され得る。ペンダントはまた、緊急停止ボタンを備え得る。
【0014】
把持されたシートを有する、または把持されたシートを有さない、2つの構成要素間のロボットの軌道は、プロセッサなどの加工ユニットによって学習または計画され得る。加工ユニットは、ロボットセルまたはロボットセルの外部と関連付けられてもよい。
【0015】
特定の設計の加工を計画することは、ロボットセルの構成要素の相対的な場所を判定することを含み、かかる場所の各々は、配向テーブルの下角部などの構成要素の特定の点の場所、および構成要素の特定の表面の配向として記載され得る。計画は、ロボットが進行する必要のある1つ以上の軌道、または異なる曲げ加工を実行するために必要とされる位置および配向の変更を判定することをさらに含み、そのため、ロボットは、シートを繰り返し把持し、プレスブレーキによって正しい線に沿ってシートを曲げ加工することができる。
【0016】
ロボットセルの構成要素の位置を考えると、ロボットセルを正確に較正することが依然として必要である。構成要素のいずれかが意図的または意図せずに移動されたときも、さらなる較正が必要とされ得る。
【0017】
現在、かかる較正は、長く、かつ費用のかかる作業であり得、それゆえ、ロボットセルを較正するための正確で、ならびに容易で、速く、かつ安価な方法を提供する必要がある。
【0018】
1つの技術的解決策は、平面部材または領域を有する較正ブロック、および任意選択的にプレスブレーキまたはロボットセルの別の構成要素上への配置を可能にする、1つ以上の部材または領域を有する較正ブロックを備える。平面領域は、直角の角部など、少なくとも1つの角部を有し得る。平面領域は、穴、エッチング、または他の図式もしくは物理的方法などの要素によってマークされた3つの指定位置を含み得、その場所は、三角形を形成する。いくつかの実施形態では、三角形は、直角三角形であり得る。直角をマーキングする要素は、較正ブロックの角部に最も近くなり得る。較正プロセス中、要素の場所は、較正ポインタ、較正ツールなどとも称される場所ポインタによって、接触するか、または別様に相互作用することにより判定される。さらなる実施形態では、レーザポインティング、カメラにより取得された画像から場所を得るなど、他の技術が、場所を示すために使用されてもよい。
【0019】
較正ブロックの角部など較正ブロックの固定点に対する3つのマーキング要素の場所、ならびに、場所ポインタのパラメータ、例えば、長さおよび先端の半径は、計算モジュールを実行するために、UIを使用して、コンピューティングデバイスに提供され得る。
【0020】
この解決策は、要素の場所に基づいて、較正ブロックが位置決めされるロボットセルの構成要素の特定の表面の位置および配向を計算するためのモジュールを、コンピューティングデバイスによって実行することをさらに含む。この解決策は、較正プロセスに関連するパラメータおよび測定値を入力するためのグラフィックユーザインターフェース(GUI)などのユーザインターフェース(UI)をさらに含み得る。
【0021】
セルを較正するために、較正ポインタは、ロボットアーム上に取り付ける必要があり、次いで、較正ブロックは、較正が必要なロボットセルの構成要素上の特定の場所に配置され得る。
【0022】
例えば、較正ブロックは、配向テーブル上に配置されてもよい。3つのマーキング要素の場所は、次のように取得され得る:較正ポインタが取り付けられたロボットアームは、ティーチングペンダントを使用して、規定の順序で3つのマーキング要素の各々に移動する。各位置においてティーチングペンダント上に表示される位置は、UIを使用してシステムに提供される。これらの場所から、特定の座標系、例えば、ロボットの座標系において、較正ブロックが配置される配向テーブルの表面の位置および配向が、得られ得る。
【0023】
次いで、配向テーブルまたは異なるものを較正するために使用された較正ブロックと同一であり得る較正ブロックは、ロボットセルの別の部材、例えば、プレスブレーキ上の所定の場所および配向に配置され得る。上述のように、3つのマーキング要素の場所は、較正ポインタを使用して取得され得る。測定値から、ロボットの同じ座標系において、プレスブレーキの絶対位置および配向が得られ得る。配向テーブルおよびプレスブレーキ(またはロボットセルの任意の他の2つの構成要素)の固定点と配向との間の遷移は、三次元空間において遷移および回転の変換を適用することによって得ることができる。
【0024】
本開示の1つの技術的効果は、ロボットセルの様々な構成要素の実際の位置および配向を得るための迅速かつ効率的なプロセスを含む。このプロセスは、専門家が数週間以上手間取り得る従来技術の方法と対照的に、特別な専門知識を必要とせず、例えば、1日未満またはさらには1時間未満で終わる可能性がある。
【0025】
追加的または代替的に、セルの1つの構成要素から別の構成要素にシートを移動させるためにロボットによって使用される軌道は、セル構成要素の正確な位置および配向が利用可能になるにつれて、自動、半自動、または手動で計算もしくは更新され得る。
【0026】
必要とされる較正ブロックは、製造が単純で安価であり、1つ以上のタイプのアイテムの加工のための、ロボットセルの複数の較正に使用され得る。
【0027】
本開示はロボットセルの曲げ加工に焦点を合わせているが、それは単なる例であり、本開示は、限定されるものではないが、フライス加工、溶接、塗装、切断、タッピング、成形、積み重ねなど、いずれかのロボットベース生産環境に適用できることが理解されるであろう。
【0028】
ここで、本開示のいくつかの実施形態による、較正ブロックの図を示す
図1Aを参照する。
【0029】
概して、100で参照される較正ブロックは、平面領域104を備え得、長方形であっても、なくてもよい。較正ブロックは、1つ以上の把持領域108および/または112を備え得る。把持領域108および112は、較正ブロックをプレスブレーキのクランプシステムに取設するために使用され得る。それゆえ、把持領域108および112の各々、ならびに場合によっては追加の把持領域は、異なる規格のクランプシステムに合わせて調整される場合がある。
【0030】
較正ブロックは、平面104の直角の角部118と、把持領域108および/または112の反対側の平面の角部122とを接続する少なくとも1つの縁部114を備え得る。較正ブロックの1つの点、例えば、角部118は、ブロックの基準点として選択され得る。縁部114は、角部118における較正ブロック100の高さを表す。角部118は、本明細書に以下でさらに詳述されるように、ロボットセルを較正するための方法における基準点として役割を果たすことができる。
【0031】
概して、較正ブロックは、三角形、例えば、直角三角形の角部を画定する、要素とも称される、3つのマーキング要素を備え得、そのため、直角(または別の所定の角度)上に位置する要素は、較正ブロックの基準点に最も近い要素となる。3つの要素は、規定の座標系に関して、較正ブロックが配置されているロボットセルの構成要素の平面の表面を判定するために使用される。要素は、穴、エッチング、または他の図式、体積測定、もしくは物理的方法として実装され得る。穴は、同じ構造および寸法、例えば、同じ半径および同じ深さを有する丸い開口部を有し得る。
【0032】
本開示による較正ブロックは、3つを超える要素を備え得、そのため、要素は、複数の三角形を形成することが理解されるであろう。具体的には、2つ以上の直角三角形は、ブロックの同じ基準点または異なる基準点を参照して、異なる要素三重項によって形成され得る。それゆえ、角部118が基準角部として選択される場合、要素128、120、および132は、上で説明されたように直角三角形の角部を画定し、較正プロセスに使用され得る。別の例では、角部110が基準角部として選択される場合、要素124、132、および120が、直角三角形の角部を画定する。三角形のためのかかる複数のオプションは、1つ以上のロボットセルの様々な構成要素を較正するときに、要素へのより便利なアクセスを提供し得る。
【0033】
較正ブロックの基準点に対するこれらの要素の相対位置、および構成要素の基準点に対するこの角部の相対位置は、3D空間におけるこの点の場所を判定するために使用され得る。
【0034】
較正ブロックは、金属などの頑丈な材料から作製されるため比較的重い場合がある。しかしながら、結果として生じる測定値の計算における精度を高めるために、マーキング要素間の距離は、できるだけ大きくする必要があり、それゆえ、板はできるだけ大きく作製される必要があることを意味する。しかしながら、板は、関連する構成要素によってなおも支持可能である必要があり、そのことでサイズが制限される場合がある。
【0035】
較正ブロックは、フライス加工された金属から作製され得、これにより、マーキング要素および把持領域を備えたブロックが設計どおりに正確に製造されることを確実とし得る。
【0036】
ここで、本開示のいくつかの実施形態による、較正ポインタの図を示す、
図1Bを参照する。較正ポインタは、ロボットアーム上に取り付けられ得、較正板がロボットセルの様々な構成要素上に取り付けられるとき、ロボットアームは、較正板のマーキング要素に移動し得る。次いで、マーキング要素の場所が、ティーチングペンダント上に表示され得る。このような各構成要素の表面の位置および配向が、次いで、判定され得る。
【0037】
較正ポインタが、マーキング要素に対応する必要があることが理解されるであろう。例えば、穴をマーキング要素として使用するとき、較正ポインタは、任意の穴に垂直な位置で容易に挿入可能である必要があるが、その内部で大きな移動の自由を有する必要はない。
【0038】
概して150で参照される較正ポインタは、ロボットアーム上に取り付けられるように設計され、それゆえ、例えば、ロボットアームの対応するシンクまたは受容穴に挿入および/または螺合されることによる、ロボットアームへの取設のために構成された取設ベースフランジ156を備える。ポインタは、ベースフランジ156からロボットの方向に延在するタング160、ベースフランジ156からロボットと反対の方向に延在するシリンダ157および158からなる本体、および本体158から延在し、実質的に球形であり、かつ延長部162よりも大きな直径であり得る先端部152で終端する細長いビット162をさらに備え得る。
【0039】
しかしながら、較正ブロック上の場所を明確に示すことができる限り、他の任意の較正ポインタが使用され得ることが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、ロボットの特定の点またはロボットによって使用されるツールのいずれかが、専用のツールではなく、較正ツールとして使用されてもよい。さらなる実施形態では、場所は、例えば、レーザポインタなどのポインティングデバイスによって、画像を分析することによってなど、場所に接触することなく得られ得る。
【0040】
ここで、要素174、178、182、および186が、エッチングされた十字として実装され、そのため各要素の場所が十字の中心である、較正ブロック170を示す、
図1Cを参照する。要素は、それらの場所が1つ以上の直角三角形を作成するように配置される。較正ブロック170は、平坦で、把持要素を備えていなくてもよい。この実施形態は、つかみ替えステーションを較正することに特に好適であり得る。
【0041】
ここで、本開示のいくつかの例示的な実施形態による、較正ブロックおよび方法が使用され得る、ロボットセルの2つの概略図を示す、
図2Aおよび
図2Bを参照する。
図2Aは、ロボットの到達距離をさらに伸ばすためにレールを利用するロボットセルの図を示し、一方で
図2Bは、かかるレールを利用しない別のロボットセルの図を示す。
【0042】
概して200と参照される典型的なロボットセルは、配向テーブル204を備え得る。配向テーブル204は、2つの平面において傾斜した平面領域を備えてもよく、そのため、その1つの角部208が、他の全てよりも低くなり、または玉軸受もしくはポリマー片などの、配向テーブル204上に配置されたシートを摺動させるための別の部材を備えてもよい。より具体的には、配向テーブル204は、ロボットセル200を支持する地面に対して平行な平面と、地面に対して垂直な平面と、の両方に対して角度が付けられる。平面領域の下縁部は、境界207および209によって境界付けされてもよい。この構造により、加工されるシート、およびまた、ロボットセル200の較正中の較正ブロックの、配向テーブル204上への正確かつ確実な配置が可能になる。
【0043】
ロボットセル200は、ロボット211を備え得る。ロボットセル200は、ロボット211がその上を移動し得るレール228を備えていても、または備えていなくてもよい。ロボット211は、シートを把持するための真空カップ、機械的クランプリップ、磁性体、または別の取設機構を備え得る、把持具213を、ロボットに取設し得る。ロボット211は、複数のリンクを備え得、2つの隣接するリンクは、接合部によって接続され得る。接合部は、6つの自由度を有し得、3つの自由度は、三次元空間におけるxyz位置を表し、3つの自由度は、例えば、ヨー、ロール、およびピッチとして表される、その配向を表す。
【0044】
ロボットセル200は、下部ビーム220および上部ビーム221を備える、プレスブレーキ216を備え得る。加工されたシートは、ロボット211によって下部ビーム220上に配置され得、上部ビーム221がそれに向かって下降し、そこに対して押圧された後に曲げ加工される。
【0045】
ロボットセル200は、インパレット232を備えることができ、そこからロボット211が加工されるシートを取得し得、それを配向テーブル204上に配置し得る。しかしながら、他の構成または他のロボットセルでは、配向テーブルおよびインパレットは、1つの構成要素として実装される場合がある。
【0046】
ロボットセル200は、アウトパレット236を備えることができ、その上にロボット211が、全ての必要とされる曲げ加工動作を経た後のシートを配置し得る。
【0047】
ロボットセル200は、つかみ替えステーション224を備え得る。加工されたシートは、ロボット211によってつかみ替えステーション224に取設され得、そのため、ロボット211は、シートを異なる方式、例えば、異なる領域にまたは異なる方向から把持して、シートをさらに曲げ加工するか、またはシートをアウトパレット236に送出することが可能に成り得る。つかみ替えステーション224は、幅w216および深さh215によって画定されるつかみ替え領域を有し得る。
【0048】
先端に把持具213を有するロボット211は、ロボットセル200の様々な構成要素間で把持具213によってシートを把持して、またはシートを把持しないで移動するようにプログラムされ得る。
【0049】
例えば、ロボット211は、把持具213がインパレット232からシートを把持し、シートを配向テーブル204上に配置するようにプログラムされ得る。配向テーブル204の傾斜に起因して、シートは、その最も低い角部が角部208にあり、シートが正確に位置決めされるまで、下向きに摺動することができる。次いで、ロボット211は、シートをプレスブレーキ216まで搬送し、シートを下部ビーム220上に配置し得る。ロボット211は、シートが下部ビーム220上に配置され得る前に、シートをつかみ替えステーション224上に配置する必要がある場合がある。シートが曲げ加工されると、ロボット211は、以下、下部ビーム220上の加工されたシートの位置を変更する、加工されたシート上の把持具213の把持位置を変更する、シートをつかみ替えステーション224に搬送し、次いでシートを再び把持し、シートを下部ビーム220に戻すか、またはアウトパレット236に搬送する、「把持具交換」ステーションを使用して把持具を交換する、「ツール交換」ステーションを使用して機械上のツールを交換するなどのいずれかを行うことができる。
【0050】
ここで、本開示のいくつかの実施形態による、ロボットセルを較正するためにユーザによって実行される方法の工程のフローチャートを示す、
図3を参照する。
【0051】
工程300において、ユーザは、較正ブロック100を定義する、例えば、ブロック名または別の識別子をそのパラメータと関連付けることができる。ユーザは、板100の基準点118、および基準点118におけるブロックの高さ114などの、基準点に対する3つの要素128、120、および132のXおよびYの場所を含む、較正ブロックのパラメータを入力し得る。
【0052】
ユーザはまた、穴の直径および深さなどの要素パラメータも入力し得る。
【0053】
工程304において、ユーザは、較正ポインタ150を定義する、すなわち、ポインタ名または別の識別子をそのパラメータと関連付けることができる。ユーザは、例えば、取設部分160との境界における、ベース156の端部から、先端部152の中心まで測定されたその長さL、および先端部の直径dを含む、較正ポインタのパラメータを入力し得る。
【0054】
様々なパラメータセットと関連付けられた、複数の較正ブロックおよび対応する較正ポインタが、定義され得ることが理解されるであろう。
【0055】
工程308において、ロボットセルの様々な構成要素が、較正され得る。各構成要素の較正は、定義された較正ブロック100のうちの1つを使用して実行することができ、異なるブロック100が、同じロボットセル200の異なる構成要素を較正するために使用されてもよい。
【0056】
以下に詳述される工程310は、ロボットセル構成要素の各々の一般的な較正プロセスを説明する。
【0057】
それゆえ、各構成要素を較正することは、特定の構成要素を較正するために使用される較正ブロック100および較正ポインタ150をユーザインターフェースから選択する工程312を含み得る。較正ブロックおよび較正ポインタは、グラフィックユーザインターフェースのドロップダウンリストを使用して選択されてもよく、リストは、システム内で定義されたブロック100およびポインタ150を含む。
【0058】
構成要素の較正は、ブロック100を構成要素上の所定の位置に配置する工程316と、角部118などの、ブロックの基準点から構成要素の基準点までの距離を、UIを介してシステムに入力する工程320と、をさらに含み得る。
【0059】
構成要素の較正は、ブロック100が構成要素上に位置決めされたとき、較正ブロック100のマーキング要素の場所を判定する工程324をさらに含み得る。判定は、ロボット211から読み取り値を受信するペンダントを使用して、実行され得る。マーキング要素の座標は、較正ブロックが定義されたときと同じ順序で提供される必要があり、そのため、各マーキング要素は、対応する座標と関連付けられる。
【0060】
構成要素の較正は、構成要素の較正を試験する工程328をさらに含み得る。試験は、1つ以上の試験を計画および実行することを含み得、任意の試験の所望の結果は、ロボット211が1つ以上の目標場所に到達することである。
【0061】
可能な試験は、ロボットが任意の点に到達できるかどうかを試験するプログラムツーポイント試験である。それゆえ、ユーザは、特定の座標を入力するか、またはポインティングデバイスを使用して構成要素の画像から点、およびロボット211の方向を視覚的に選択することができる。次いで、ロボット211がその点に到達するための試験プログラムが生成され得る。システムは、次いで、プログラムを実行し、ロボット211が実際に正しい場所および正しい方向に到着したかどうかをチェックすることができる。この試験は、較正ブロックなしで実行されてもよく、較正が、構成要素を座標系内の正しい場所に実際に配置したかどうかをチェックする。
【0062】
上で詳述された工程312、316、320、324、および328は、以下に詳述されるように、ロボットセルの必要とされる各構成要素を較正するために実行されることが理解されるであろう。ただし、構成要素によっては、いくつかの工程が省略される場合がある。
【0063】
工程332において、配向テーブル204が、較正され得る。較正は、較正ブロック100およびポインタ150を選択すること(312)と、較正ブロック100を、テーブル204上に配置すること(316)と、を含み、配向テーブル204の角部208に基準点118があるためブロック100は、配向テーブル204上に安定して、繰り返し置かれる。いくつかの実施形態では、配向テーブル204を較正するために専用のブロック100を使用することが推奨され得る。構成要素基準点からのブロック基準点の距離は、ブロックの高さ114として判定(320)され得る。マーキング要素の位置は、次いで、ロボット211上に取り付けられた較正ポインタ150を使用し、ペンダントから座標を読み取ることにより、判定(324)され得、配向テーブル204の較正が、試験(328)され得る。
【0064】
工程336において、プレスブレーキ216が、較正され得る。較正は、較正ブロック100およびポインタ150を選択すること(312)と、較正ブロック100をプレスブレーキ216の下部ビーム220上に配置すること(316)と、を含み得る。機械クランプシステムの上部および機械の中心からのブロック基準点118の距離が、判定(320)され得る。次いで、マーキング要素の位置が、ロボット211上に取り付けられた較正ポインタ150およびペンダントを使用して、測定(324)され得、プレスブレーキ216の較正が、試験(328)され得る。
【0065】
工程340において、つかみ替えステーション224が、較正され得る。較正は、較正ブロック100およびポインタ150を選択すること(312)を含み得る。いくつかの実施形態では、つかみ替えステーション224を較正するために専用のブロック100を使用することが推奨され得、ブロック100は、つかみ替えステーション224上に固定的に配置されるのに十分な大きさであり得る。概して、較正ブロックは、可能な限り大きいはずであり、つかみ替えステーション上のサイズおよび位置決めは、取設機構のタイプを含む、ステーションのサイズおよび形状によって主に判定され得る。
【0066】
較正ブロックは、つかみ替えステーション224上に配置(316)され得る。つかみ替えステーション224のつかみ替え領域の中心からのブロック基準点118の距離が、判定(320)され得る。マーキング要素の位置は、次いで、ロボット211上に取り付けられた較正ポインタ150およびペンダントを使用して測定(324)され得る。
【0067】
工程344において、インパレット232が較正され得、工程348において、アウトパレット236が較正され得るが、状況によっては、工程344および工程348は、省略されてもよい。必要に応じて、インパレット232およびアウトパレット236の較正は、較正ブロック100およびポインタ150を選択すること(312)と、それぞれのパレット上に較正ブロック100を配置すること(316)と、パレットの基準点からのブロック基準点118の距離を判定すること(320)と、ロボット211に取り付けられた較正ポインタ150を使用して、マーキング要素の位置を測定すること(324)と、を含み得る。
【0068】
把持具交換ステーションなどの追加のセル構成要素は、同様の方式で較正され得る。
【0069】
上記の工程は、ロボットセル200を較正するユーザによって実行される動作を示す。
【0070】
ここで、本開示のいくつかの実施形態において、ロボットセル200を較正するための工程のフローチャートを示す、
図4を参照する。
【0071】
工程400において、基準点に対する3つのマーキング要素の場所、ならびにマーキング要素の半径および深さを含む、1つ以上の較正ブロック100のパラメータが、受信かつ記憶され得る。
【0072】
工程404において、長さおよび半径などの、1つ以上の較正ポインタ150のパラメータが、受信かつ記憶され得る。
【0073】
較正プロセス408は、較正されるロボットセル200の各構成要素の較正中に、実行され得る。
【0074】
工程412において、較正ブロック100が、選択され得、構成要素の基準点に対する較正ブロック100の基準点の場所が、UIを介してユーザから受信され得る。
【0075】
工程416において、ブロックの3つのマーキング要素の座標が、受信され得る。座標は、以下の
図5に関連して詳述するように、例えば、ロボットコントローラおよび較正を実行するプロセッサを接続する通信チャネルを通して、ペンダントから直接受信され得るか、またはペンダントによって表示されるように座標を入力するためのユーザインターフェースを使用するユーザによって受信され得る。
【0076】
工程420において、構成要素の基準点の位置および構成要素の基準面の配向は、較正ブロックおよびポインタパラメータ、3つのマーキング要素の測定された場所、ならびに構成要素の位置に対する較正ブロック100の基準点の位置を使用して判定され得る。構成要素の基準面の配向を判定することは、この表面の相対的な配向、および較正ブロックのマーキング要素を備える平面領域を知ることによっても可能になることが理解されるであろう。例えば、配向テーブルを較正するとき、較正ブロック100は、配向テーブルに対して平行であり、プレスブレーキ216を較正するとき、較正ブロック100は、下部ビーム220などの上面に対して平行であり得る。構成要素の位置および配向は、並進および回転などの標準的な三次元幾何学的計算を使用して判定され得る。
【0077】
工程424において、点の座標、およびロボット211がその点に到達しなければならない方向は、ユーザインターフェースを通してユーザから受信され得、試験プログラムが、生成されかつ記憶され得る。試験は、プログラムツーポイント試験であり得る。試験は、生成されたプログラムを実行するロボットを使用することによって実行され得る。
【0078】
工程428において、ユーザが試験を実行した後、ロボット211の位置および方向を含む試験結果が受信され、例えば、ロボット211が目的の点の周囲に到達したか、またどれほどの精度で到達したかが分析され得る。
【0079】
試験の結果を定義およびチェックすることは、方向、速度、加速度などの追加のパラメータを伴い得ることが理解されるであろう。
【0080】
ここで、本開示のいくつかの実施形態において、ロボットセル200を較正するためのシステムのブロック図を示す、
図5を参照する。
【0081】
システムは、1つ以上のコンピューティングプラットフォーム500を備え得る。いくつかの実施形態では、コンピューティングプラットフォーム500は、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータなどであり得る。追加的に、または代替的に、コンピューティングプラットフォーム500は、ロボットセル200のコントローラまたはプロセッサの一部であり得、そのため、以下に詳述される構成要素は、コントローラまたはプロセッサの一部として実装される。
【0082】
コンピューティングプラットフォーム500は、広域ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、イントラネット、インターネット、メモリ記憶デバイスの転送などの任意の通信チャネルを介して他のコンピューティングプラットフォームと通信し得る。
【0083】
コンピューティングプラットフォーム500は、1つ以上の中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、電子回路、集積回路(IC)などであり得る、プロセッサ504を備え得る。プロセッサ504は、例えば、メモリにロードし、以下に詳述される記憶デバイス512上に記憶されたモジュールを起動することによって、必要とされる機能を提供するように構成され得る。
【0084】
コンピューティングプラットフォーム500は、互いに動作可能に接続され得る1つ以上のコンピューティングプラットフォームとして実装され得ることが理解されるであろう。プロセッサ504は、同じプラットフォーム上に位置するかどうかに関わらず、1つ以上のプロセッサとして実装され得ることもまた理解されるであろう。
【0085】
コンピューティングプラットフォーム500は、ディスプレイ、スピーカフォン、ヘッドセット、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーンなどの入力/出力(I/O)デバイス508を備え得る。I/Oデバイス508は、ユーザからの入力を受信し、ユーザに出力を提供するために利用され得、例えば、マーキング要素の座標または他の測定値を受信または表示し得る。
【0086】
コンピューティングプラットフォーム500は、ハードディスクドライブ、フラッシュディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリチップなどの記憶デバイス512を備え得る。いくつかの例示的な実施形態では、記憶デバイス512は、プロセッサ504に、以下に列挙されるモジュールのいずれかと関連付けられた動作、または上記の
図4の方法の工程を実行させるように動作可能であるプログラムコードを保持し得る。プログラムコードは、以下に詳述されるように命令を実行するように適合された、関数、ライブラリ、スタンドアロンプログラムなどの1つ以上の実行可能ユニットを含み得る。
【0087】
記憶デバイス512は、ユーザインターフェース(UI)516、例えば、ユーザ定義、値、または測定値から、較正ブロック識別子、マーキング要素の場所、較正ポインタ定義などを受信するためのグラフィックユーザインターフェース(GUI)を備え得る。UI516はまた、構成要素の位置および配向、試験に合格または不合格であるかどうかなどの、データまたは情報をユーザに表示するために使用され得る。
【0088】
記憶デバイス512は、ブロック基準点からの較正ブロックマーキング要素の距離、マーキング要素の報告された場所、および構成要素基準点に対するブロック基準点の位置に基づいて、ロボットセル200の構成要素の位置および配向を判定するための、構成要素の位置および配向判定モジュール520を含み得る。
【0089】
記憶デバイス512は、プログラムツーポイント試験を生成するための試験生成モジュール524を含み得、ロボット211は、所与の点に、所与の姿勢で到着しなければならない。
【0090】
記憶デバイス512は、試験結果、例えば、ロボット211が目的の点に到着する予定のときに到着した実際の点を受信し、試験に合格したかまたは失敗したかを判定するための試験結果分析モジュール528を含み得る。
【0091】
上記のモジュールの説明は単なる例示であり、モジュールは、異なって構成されてもよく、モジュール間のタスクの分割は、異なっていてもよいことが理解されるであろう。
【0092】
本発明は、システム、方法、および/またはコンピュータプログラム製品であり得る。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実施させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有する、コンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含み得る。
【0093】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持および記憶することができる、有形のデバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、限定されるものではないが、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または前述の任意の適切な組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的なリストは、以下、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能な読み取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、内部に命令が記録された溝内のパンチカードまたは隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、および前述の任意の好適な組み合わせを含む。本明細書で使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、電波もしくは他の自由に伝播する電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を通って伝播する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを通過する光パルス)、またはワイヤを介して送信される電気信号などの、一時的な信号自体であると解釈されるべきではない。
【0094】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、またはネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、および/もしくはワイヤレスネットワークを介して外部コンピュータもしくは外部記憶デバイスにダウンロードすることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバを含み得る。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に記憶するためにコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0095】
本発明の動作を実施するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、またはSmalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラム言語と、「C」プログラム言語または同様のプログラム言語などの従来の手続き型プログラム言語を含む、1つ以上のプログラム言語の任意の組み合わせで書き込まれたソースコードもしくはオブジェクトコードのいずれかであり得る。コンピュータ可読プログラム命令は、全体的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上および部分的にリモートコンピュータ上で、または全体的にリモートコンピュータもしくはサーバ上で実行され得る。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む、任意のタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続され得るか、または(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを通して)外部コンピュータに接続されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラム可能なロジック回路、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、またはプログラム可能なロジックアレイ(PLA)を含む、電子回路は、本発明の態様を実行するため、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して、電子回路を個人向けにすることによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行し得る。
【0096】
本発明の態様は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して本明細書で説明されている。フローチャート図および/またはブロック図における各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実装することができることが理解されるであろう。
【0097】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されて、機械を製造し得、そのため、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令が、フローチャートおよび/または1つ以上のブロック図に指定された機能/行為を実装するための手段を作成する。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、および/または他のデバイスに特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得、そのため、命令を内部に記憶するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャートおよび/または1つ以上のブロック図内で指定された機能/行為の態様を実装する命令を含む、製造物品を備える。
【0098】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスにロードされて、コンピュータ実装プロセスを生成するために、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイス上で一連の動作工程を実行させ得、そのため、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他のデバイス上で実行する命令は、フローチャートおよび/または1つ以上のブロック図内で指定された機能/行為を実装する。
【0099】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、および動作を示す。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能(複数可)を実装するための1つ以上の実行可能な命令を含む、モジュール、セグメント、または命令の部分を表し得る。いくつかの代替的な実装では、ブロック内に記された機能が、図に記された順序とは異なって発生する場合がある。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、または、ブロックが、時には、関連する機能に応じて、逆の順序で実行される場合がある。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能もしくは行為を実行する、または専用のハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実施する、専用のハードウェアベースのシステムによって実装することができることにも留意されたい。
【0100】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される際、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も同様に含むことを意図する。本明細書で使用されるとき、「備える(comprises)」および/または「備える(comprising)」という用語は、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0101】
以下の特許請求の範囲における全ての手段または工程、加えて機能要素の対応する構造、材料、行為、および等価物は、具体的に請求される際、他の請求された要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含むことを意図する。本発明の説明は、例示および説明の目的で提示されているが、網羅的であることを意図するものではなく、または開示された形態の本発明に限定されるものではない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の原理および実際の用途を最もよく説明し、当業者が、企図される特定の使用に適した様々な修正を伴う様々な実施形態について本発明を理解することを可能とするために、選択され、かつ説明された。