(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】電気外科用機器
(51)【国際特許分類】
A61B 18/18 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
A61B18/18 100
(21)【出願番号】P 2021523383
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 EP2019078899
(87)【国際公開番号】W WO2020089015
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-19
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】プレストン,ショーン
(72)【発明者】
【氏名】ウェッブ,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】スウェイン,サンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,マルコム
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0231695(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0077632(US,A1)
【文献】特開2017-099906(JP,A)
【文献】特表2016-525902(JP,A)
【文献】特表2018-517501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を延在する管腔を有する可撓性カテーテルであって、前記カテーテルが、外科手術用スコープデバイスの機器チャネルを通して挿入可能であるように寸法決めされている、前記可撓性カテーテルと、
前記管腔内に配置された電気外科用デバイスであって、
マイクロ波エネルギを伝達するように構成された可撓性同軸ケーブルと、
前記マイクロ波エネルギを受け取るために前記同軸ケーブルの遠位端に接続された放射先端部分であって、前記放射先端部分が、前記可撓性同軸ケーブルよりも小さい外径を有し、前記放射先端部分が、
前記マイクロ波エネルギを伝達するための近位同軸伝送線路と、
前記近位同軸伝送線路の遠位端にある遠位針先端であって、前記遠位針先端が、前記マイクロ波エネルギを生体組織に放射するように構成されている、前記遠位針先端と、
を備える、前記放射先端部分と、
を備える、前記電気外科用デバイスと、
を備える、電気外科用機器であって、
前記電気外科用デバイスが、前記遠位針先端が前記カテーテルの遠位端を越えて突出する展開位置と、前記遠位針先端部分が前記カテーテルの中に含まれる引込位置との間を、前記管腔内で、長手方向に移動可能である、前記電気外科用機器。
【請求項2】
前記遠位針先端は、前記マイクロ波エネルギを前記遠位針先端から生体組織に供給するための半波長変成器として動作するように構成されている、請求項1に記載の電気外科用機器。
【請求項3】
前記カテーテルは、その遠位端に狭窄通路を含み、
前記狭窄通路が、前記放射先端部分の通過を可能にし、前記可撓性同軸ケーブルの通過を禁止するように寸法決めされている、請求項1または請求項2に記載の電気外科用機器。
【請求項4】
前記狭窄通路は、前記カテーテルの前記遠位端に取り付けられたプラグを通って延在している、請求項3に記載の電気外科用機器。
【請求項5】
前記カテーテルの遠位面が丸みを帯びている、請求項1~4のいずれかに記載の電気外科用機器。
【請求項6】
前記遠位針先端は、前記引込位置にあるとき、前記狭窄通路に保持される、請求項3~5のいずれか1項に記載の電気外科用機器。
【請求項7】
前記遠位針先端は、その遠位端に尖端を備える、請求項1~6のいずれかに記載の電気外科用機器。
【請求項8】
前記尖端は、硬質絶縁材で作られている、請求項7に記載の電気外科用機器。
【請求項9】
前記遠位針先端は、中心導電性要素の周りに遠位誘電体スリーブを備え、
前記尖端は、前記遠位誘電体スリーブの遠位端の内腔に固定されている、請求項7または請求項8に記載の電気外科用機器。
【請求項10】
前記尖端は、ジルコニアで作られている、請求項7~9のいずれか1項に記載の電気外科用機器。
【請求項11】
前記近位同軸伝送線路は、誘電体スリーブによって外部導体から分離された内部導体を含み、
前記内部導体は、前記外部導体の遠位端を越えて突出する遠位部を含み、
前記遠位針先端は、前記内部導体の前記遠位部の一部を含む、請求項1~10のいずれかに記載の電気外科用機器。
【請求項12】
前記近位同軸伝送線路の前記外部導体は、ニチノールで作られている、請求項11に記載の電気外科用機器。
【請求項13】
前記放射先端部分は、前記同軸ケーブルに、それらの間の接合部を覆って取り付けられたカラーによって固定され、
前記カラーは、丸みを帯びた遠位面を有する、請求項1~12のいずれかに記載の電気外科用機器。
【請求項14】
前記放射先端部分の長さが、140mm以上である、請求項1~13のいずれかに記載の電気外科用機器。
【請求項15】
前記放射先端部分は、その外面に非粘着性材料を有する、請求項1~14のいずれかに記載の電気外科用機器。
【請求項16】
前記同軸ケーブルの近位部が、硬質補強要素に固定されている、請求項1~15のいずれかに記載の電気外科用機器。
【請求項17】
前記管腔の近位部が、前記管腔の遠位部よりも大きな直径を有していて、前記同軸ケーブルの前記近位部を受け入れる、請求項16に記載の電気外科用機器。
【請求項18】
前記近位同軸伝送線路の内部導体が、第1の導電材料で作られた内部コアと、前記第1の導電材料よりも高い導電性を有する第2の導電材料で作られた外部導電性コーティングとで形成される、請求項1~17のいずれかに記載の電気外科用機器。
【請求項19】
生体組織を治療するための電気外科的システムであって、
マイクロ波エネルギを供給するように構成された電気外科手術用発生器と、
患者の体内に挿入するための可撓性挿入コードを有する外科手術用スコープデバイスであって、前記可撓性挿入コードが、その長手方向に伸びている機器チャネルを有する、前記外科手術用スコープデバイスと、
請求項1~18のいずれか1項に記載の電気外科用機器であって、前記電気外科用機器が、前記機器チャネル内に適合するように寸法決めされている、前記電気外科用機器と、
カテーテルの管腔に沿った電気外科用デバイスの動きを制御するためのハンドピースであって、
前記ハンドピースの遠位端を、外科手術用スコープデバイスの機器ポートに接続するためのコネクタを有する第1の部分と、
前記第1の部分に接続され、前記第1の部分の長手方向に移動可能な第2の部分であって、前記第2の部分が、前記カテーテルの近位端を保持するためのホルダを有し、前記第2の部分と前記第1の部分との間の相対運動が、前記ハンドピースの前記遠位端から延在する前記カテーテルの長さを制御するように構成されている、前記第2の部分と、
前記第2の部分に接続され、前記第2の部分の長手方向に移動可能な第3の部分であって、前記第3の部分が、前記カテーテルの前記管腔内を搬送される同軸ケーブルの近位端を受け入れるように構成された同軸コネクタを有し、前記第3の部分と前記第2の部分との間の相対運動が、前記カテーテル内の前記同軸ケーブルの相対位置を制御するように構成されている、前記第3の部分と、
を備える、前記ハンドピースであって、前記電気外科用機器の前記カテーテルの近位端が前記ホルダに保持され、前記電気外科用機器の前記同軸ケーブルの近位端が前記同軸コネクタに受け入れられ、前記同軸コネクタが前記マイクロ波エネルギを受け取るために前記電気外科手術用発生器に接続される、前記ハンドピースと、を備える、前記電気外科的システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標的組織を切除するために、生体組織に電磁エネルギを供給するための電気外科用機器に関する。特に、プローブが、非侵襲的様式で治療部位に導入可能な外科手術用スコープデバイスまたはカテーテルのチャネルを介して挿入可能であるように構成されている。プローブは、腫瘍、嚢胞、またはその他の病変などの組織を切除するように配置することができる。プローブは、膵臓での治療に特に適している場合がある。
【背景技術】
【0002】
電磁(EM)エネルギ、そして特にマイクロ波及び高周波(RF)エネルギは、体組織を切断し、凝固させ、切除する能力があるため、電気外科手術に有用であることが見出されている。典型的には、EMエネルギを生体組織に供給するための装置は、エネルギを組織に供給するために、EMエネルギ源を含む発生器と、この発生器に接続される電気外科用機器とを備える。従来の電気外科用機器は、多くの場合、患者の体内に経皮的に挿入されるように設計されている。しかし、例えば標的部位が動いている肺または胃腸(GI)管の薄壁部分にある場合、この機器を体内に経皮的に配置することは困難となる可能性がある。他の電気外科用機器は、気道や、または食道もしくは結腸の管腔などの体内の経路を通すことができる外科手術用スコープデバイス(例えば、内視鏡)により、標的部位に送り届けることができる。これにより低侵襲治療が可能になり、これは患者の死亡率を下げ、術中及び術後の合併症率を下げることができる。
【0003】
超音波内視鏡ガイド下高周波切除を使用して、膵臓の組織を治療する手法が知られている(Pai, M., et al.: Endoscopic ultrasound guided radiofrequency ablation, for pancreatic cystic neoplasms and neuroendocrine tumors, World J Gastrointest Surg 2015 April 27;7(4): 52-59)。この手法では、小径(例えば、0.33mm)を有する導電性ワイヤが、超音波対応の内視鏡のワーキングチャネルを通して挿入される。ワイヤには、肝臓や膵臓の組織を凝固させるために、患者の皮膚と接触している外部接地されたリターンパッドと組み合わせて、RF電力が印加される。病変を切除するには、90~120秒の間電力を印加し、場合によっては、ワイヤを取り外して再配置する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
最も一般的には、本発明は、電磁エネルギを生体組織に供給するための放射先端部分を有する電気外科用デバイスであって、電気外科用デバイスがカテーテル内に配置される、電気外科用デバイスを提供する。電気外科用デバイスは、放射先端部分が露出される展開位置と、放射先端部分がカテーテルの中に含まれる引込位置との間で、カテーテルに対して移動可能である。このようにして、放射先端部分は、それが使用される瞬間まで引っ込めておくことができる。これにより、外科手術用スコープデバイスの機器チャネルからのデバイスの挿入が容易になり得る。具体的には、デバイスが機器チャネルに挿入されたときに、機器チャネル及び/または放射先端部分の損傷を引き起こし得る、放射先端部分が機器チャネルに引っかかることを防止することができる。
【0005】
この構成は、放射先端部分が引込位置にある状態で、デバイスを十二指腸壁に隣接して配置することができるので、膵臓の腫瘍の治療に特に有益であり得る。その後、放射先端部分を露出させて十二指腸壁を貫通させ、膵臓に侵入し、そこで電磁エネルギを供給して、標的組織を切除することができる。放射先端部分は、膵臓への挿入に適した寸法となっていて、既知のRF切除手法に代わる迅速かつ正確な手法を提供し得る。
【0006】
本発明は、特に膵臓での使用が考えられ得るが、肺や肝臓など、他の困難な治療部位での使用にも適している可能性がある。
【0007】
本発明の第1の態様によれば、内部を延在する管腔を有する可撓性カテーテルであって、カテーテルが、外科手術用スコープデバイスの機器チャネルを通して挿入可能であるように寸法決めされている、可撓性カテーテルと、管腔内に配置された電気外科用デバイスであって、マイクロ波エネルギを伝達するように構成された可撓性同軸ケーブルと、マイクロ波エネルギを受け取るために同軸ケーブルの遠位端に接続された放射先端部分であって、放射先端部分が、可撓性同軸ケーブルよりも小さい外径を有し、放射先端部分が、マイクロ波エネルギを伝達するための近位同軸伝送線路と、近位同軸伝送線路の遠位端にある遠位針先端であって、遠位針先端が、マイクロ波エネルギを生体組織に放射するように構成されている、遠位針先端と、を備える、放射先端部分と、を備える、電気外科用デバイスと、を備える、電気外科用機器であって、電気外科用デバイスが、遠位針先端がカテーテルの遠位端を越えて突出する展開位置と、遠位針先端部分がカテーテルの中に含まれる引込位置との間を、管腔内で、長手方向に移動可能である電気外科用機器が提供される。
【0008】
この構成により、不使用時には放射先端部分をカテーテル内に引っ込めることができる。このようにして、機器の操作を容易にするために、放射先端部分が引込位置にある状態で、機器を所定の位置に操作することができる。放射先端部分は同軸ケーブルよりも外径が小さいため、外科手術用スコープデバイスの機器チャネル、または組織に引っかかる可能性が高い。機器が操作されている間、放射先端部分を引込位置に保つことで、放射先端部分のそのような引っかかりを回避することができる。
【0009】
電気外科用デバイスは、好適な作動機構を用いて、カテーテルの管腔に沿って移動させることができる。電気外科用デバイスが展開位置にあるとき、放射先端部分の全部または一部が、カテーテルの遠位端を越えて突出することがある。電気外科用デバイスが引込位置にあるとき、遠位針先端は、カテーテルの遠位端を越えて突出しないように、カテーテルの内部に配置され得る。電気外科用デバイスを遠位方向に移動させて、電気外科用デバイスを展開位置に移動させることができ、電気外科用機器を近位方向に移動させて、電気外科用デバイスを引込位置に移動させることができる。
【0010】
カテーテルは、柔軟な生体適合性材料で作られた管によって形成されていてもよい。例えば、カテーテルは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはPTFEの管で作られてもよい。別の実施例として、カテーテルは、ポリエーテルブロックアミド(例えばPebax(登録商標))材料で作られていてもよい。カテーテルは、組織がカテーテルに付着するのを防ぐために、非粘着性材料(例えばPTFE)で作られているか、またはコーティングされていてもよい。外科手術用スコープデバイスの機器チャネル内に収まるように、カテーテルの外径は、2.0mm以下とすることができる。
【0011】
管腔は、カテーテルを通って延在する長手方向の通路であり得る。管腔は、電気外科用デバイスを受け入れ、通過させることができるように寸法決めされ得る。
【0012】
可撓性同軸ケーブルは、マイクロ波エネルギを受け取るための、近位端で電気外科手術用発生器に接続可能な従来の低損失同軸ケーブルであり得る。同軸ケーブルは、誘電材料によって外部導体から分離された中心導体を有し得る。同軸ケーブルは、ケーブルを絶縁し、保護するための外部保護シースをさらに含んでいてもよい。いくつかの実施例では、保護シースは、管腔に沿った同軸ケーブルの移動を容易にするために、非粘着性材料で作られ得るか、またはコーティングされ得る。放射先端部分は、同軸ケーブルの遠位端に位置し、同軸ケーブルに沿って伝達されるマイクロ波エネルギを受け取るように接続されている。
【0013】
近位同軸伝送線路は、同軸ケーブルの遠位端に接続されていて、同軸ケーブルによって伝達されるマイクロ波エネルギを受け取る。近位同軸伝送線路は、同軸ケーブルの中心導体に電気的に接続された内部導体を有し得る。近位同軸伝送線路はさらに、内部導体の周りに配置された近位誘電体スリーブと、近位誘電体スリーブの周りに形成された外部導体とを有し得る。近位同軸伝送線路の外部導体は、同軸ケーブルの外部導体に電気的に接続され得る。
【0014】
近位同軸伝送線路で使用される材料は、同軸ケーブルに使用される材料と同じであっても異なっていてもよい。近位同軸伝送線路で使用される材料は、近位同軸伝送線路の所望の可撓性及び/またはインピーダンスをもたらすように選択されてもよい。例えば、近位同軸伝送線路の誘電材料は、標的組織とのインピーダンス整合を改善するように選択されてもよい。
【0015】
近位同軸伝送線路の構成要素の寸法は、可撓性同軸ケーブルのインピーダンスと同一か、またはそれに近いインピーダンス(例えば、約50Ω)を提供するように選択され得る。内部導体は、高導電性の材料、例えば、銀または銅から形成され得る。近位同軸伝送線路の内部導体は、同軸ケーブルの中心導体よりも小さい外径を有し得る。これにより、放射先端部分の曲げが容易になり得る。
【0016】
遠位針先端は、近位同軸伝送線路の遠位端に形成されている。遠位針先端は、近位同軸伝送線路からマイクロ波エネルギを受け取り、そのエネルギを標的組織に供給するように構成されたエミッタ構造を含み得る。エミッタ構造は、供給されるエネルギの種類や、所望の治療法に基づいて選択することができる。例えば、エミッタ構造は、マイクロ波エネルギを周囲の組織に放射して組織切除を行うための単極または双極のマイクロ波アンテナを含み得る。他の実施例では、エミッタ構造は、高周波エネルギを標的組織に供給するように構成された一対のRF電極を含み得る。そのような例では、同軸ケーブルは、高周波(RF)エネルギを電気外科用デバイスに供給するように構成され、それによって、電気外科用デバイスは、RFエネルギを使用した切除、凝固、及び/または摘除を行うことができる可能性がある。いくつかの実施例では、エミッタ構造は、マイクロ波及び高周波エネルギの両方を(同時にまたは順次に)放出するように構成され得る。
【0017】
上記のように、放射先端部分の外径は、同軸ケーブルの外径よりも小さい。より小さな直径の放射先端部分を使用することにより、放射先端部分を標的組織に挿入する際に生じる挿入口の大きさを小さくすることができる。これにより、出血を減らし、傷の治りを早めることが可能になり得る。例えば、これにより、デバイスが膵臓に挿入される際に十二指腸壁に開けられる挿入口の大きさを縮小することができる。本発明者らはまた、そのような構成が、挿入口の出血が問題となる可能性がある肝臓の腫瘍の治療に有益であることを見出した。
【0018】
また、放射先端部分の外径を同軸ケーブルよりも小さくすることにより、放射先端部分が同軸ケーブルよりも可撓性を持つようにしてもよい。それによって、例えば、デバイスを、急な曲がりの近くに誘導する必要がある場合など、遠位針先端を所望の場所に誘導することが容易になり得る。したがって、本発明は、熱損失の影響を低減するために比較的大きな外径の同軸ケーブルを使用することと、柔軟性を向上させ、挿入時の組織損傷を低減するために比較的小さな直径の放射先端部分を使用することとをうまく両立させる。
【0019】
遠位針先端は、マイクロ波エネルギを遠位針先端から生体組織に供給するための半波長変成器として動作するように構成され得る。遠位針先端を半波長変成器として構成することの利点は、構成要素間の境界面、例えば、同軸ケーブルと近位同軸伝送線路との間、及び近位同軸伝送線路と遠位針先端との間の反射を最小限に抑えることであり得る。後者の境界面での反射係数は、インピーダンスの変動が大きいため、通常は大きくなる。半波長構成は、支配的な反射係数が近位同軸伝送線路と組織との間の境界面の反射係数になるように、これらの反射を最小化し得る。近位同軸伝送線路のインピーダンスは、マイクロ波エネルギの周波数で良好な整合を提供するために、予想される組織インピーダンスと同一またはそれに近いものとなるように選択することができる。
【0020】
カテーテルは、その遠位端に狭窄通路を含み得、狭窄通路が、放射先端部分の通過を可能にし、可撓性同軸ケーブルの通過を禁止するように寸法決めされている。一実施例では、狭窄通路は、カテーテルの遠位端に取り付けられたプラグを通って延在していてもよい。プラグは、組織及び/または流体が治療部位からカテーテルに入るのを防ぐように作用し得る。さらに、狭窄通路は、デバイスが引込位置と展開位置との間を移動する際に、放射先端部分を誘導するのに役立つ可能性がある。これにより、放射先端部分の正確な位置決めが可能になり得、それによって、遠位針先端を標的治療部位に誘導することが容易になり得る。狭窄通路は、機器の長手方向軸と整列させて、長手方向軸の周りに放射先端部分を集中させることができる。プラグは、プラグと放射先端部分との間の短絡を回避するために、絶縁材(例えばPEEK)で作られ得る。
【0021】
プラグは、カテーテルの遠位端の開口部を覆うことができ、例えば、プラグは、カテーテルの遠位端のキャップであってもよい。狭窄通路は、放射先端部分は通過できるが、より大きな直径の同軸ケーブルは通過できないような寸法になっていてもよい。このようにして、狭窄通路は、管腔に沿った電気外科用デバイスの遠位方向への移動を制限するように作用し得る。これにより、同軸ケーブルがカテーテルの遠位端を越えて押されるのを防ぐことができ、同軸ケーブルの直径が大きくなることによる怪我を防ぐことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、狭窄通路は、電気外科用デバイスが展開位置から引込位置に移動する際に、放射先端部分から生体組織を除去するためのリップを含み得る。例えば、リップは、放射先端部分がカテーテル内に引っ込められたときに、放射先端部分から組織を削り取るように構成され得る。これにより、カテーテルを汚染したり、(例えば、管腔に沿った電気外科用デバイスの動きを制限することにより)機器の誤作動を引き起こしたりする可能性がある組織が、カテーテル内に巻き込まれるのを防ぐことができる。リップは、通路の遠位開口部に配置されていてもよく、例えば、リップは、通路の遠位開口部の周囲に配置されていてもよい。このようにして、組織が通路に入るのを防ぐことができる。リップは、通路の開口部周辺の鋭利なエッジであってもよい。
【0023】
カテーテルの遠位面は丸みを帯びていてもよい。例えば、プラグの遠位端面は、丸みを帯びていてもよく、例えば、半球形またはドーム型であってもよい。丸みを帯びた表面は、カテーテルの遠位端周辺に鋭いエッジが存在することを回避し得る。これにより、外科手術用スコープ機器のワーキングチャネルに機器を挿入しやすくなり得る。特に、ワーキングチャネルの曲がりを通して機器を移動させるのが容易になる可能性がある。
【0024】
遠位針先端は、引込位置にあるとき、狭窄通路に保持され得る。例えば、狭窄通路の近位開口部は、カテーテルの内側に配置することができ、狭窄通路の近位開口部と狭窄通路の遠位開口部との間の距離が、遠位針先端の長さよりも大きくてもよい。言い換えれば、狭窄通路の長さは、遠位針先端の長さよりも長くなってもよい。このようにして、放射先端部分が引込位置にあるときに、遠位針先端は、狭窄通路内に完全に含まれ得る。狭窄通路は、カテーテルの遠位部内に含まれたプラグの本体部分に画定されてもよい。
【0025】
近位同軸伝送線路は、例えば、近位同軸伝送線路の外部導体のために、遠位針先端よりも大きな外径を有し得る。結果として、遠位針先端と近位同軸伝送線路との間の境界面に、リップまたは段差が生じ得る。狭窄通路を遠位針先端より長くすることにより、デバイスが引込位置にあるときに、遠位針先端と近位同軸伝送線路との間の境界面のリップを狭窄通路の内側に位置させることができる。このようにして、デバイスが引込位置から展開位置に移動する際に、狭窄通路の近位開口部にリップが引っかかることが防止される。
【0026】
プラグ内の通路の近位開口部は、外側に向かって広がっていてもよく、例えば、近位開口部の直径は、近位方向に増加してもよい。このようにして、通路の近位開口部は、放射先端部分を通路に導く漏斗として機能し得る。これにより、電気外科用デバイスを管腔に沿って移動させることが容易になり得、放射先端部分が通路の近位開口部に引っかかることを回避することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、プラグは、カテーテルの内側に配置された本体部分を含み得、本体部分は、プラグをカテーテルに固定するための突出部を備える。このようにして、接着剤を使用せずに、プラグを、カテーテルの遠位端に取り付けることができる。ただし、場合によっては、プラグをカテーテルに、より確実に固定するために、接着剤を使用することもある。突出部は、例えば、カテーテルに対して外向きに押し付けて、プラグをカテーテル内の所定の位置に保持するように配置された、バルジまたはバーブであってもよい。プラグの本体部分をカテーテルに押し込むことによって、プラグを、カテーテルの遠位端に取り付けることができる。このようにして、プラグとカテーテルの遠位端との間に「押込ばめ(push-fit)」接続を形成することができる。
【0028】
遠位針先端は、その遠位端に尖端を含み得る。尖端は、ジルコニアやセラミックなどの硬い絶縁材で作られていてもよい。ジルコニアは剛性のある誘電材料であり、先細りにすることができるため、尖端としての使用に特に適している場合がある。尖端は、組織を貫通するのに役立ち、放射先端部分の標的組織への挿入を容易にし得る。
【0029】
遠位針先端は、中心導電性要素の周りに遠位誘電体スリーブを備えてもよく、尖端は、遠位誘電体スリーブの遠位端の内腔に固定されていてもよい。尖端は、遠位誘電体スリーブの遠位端に配置された本体を含んでもよく、尖端の本体は、本体を内腔内に固定するための突出部を含んでもよい。このようにして、尖端は、遠位誘電体スリーブの遠位端で内腔内に保持され得る。尖端の本体を遠位誘電体スリーブの内腔に設けることにより、尖端を所定の位置に確実に保持することができる。突出部は、例えば、内腔の壁に対して外向きに押し付けて、本体を内腔内の所定の位置に保持するように構成されたバルジまたはバーブであってもよい。尖端は、遠位先端の本体を内腔に押し込むことによって、遠位誘電体スリーブの遠位端に取り付けることができる。このようにして、「押込ばめ」接続が、尖端と遠位誘電体スリーブとの間に形成され得る。この構成により、尖端を接着剤なしで遠位誘電体スリーブに取り付けることが可能になり得る。しかし、場合によっては、尖端をさらに確実に固定するために、接着剤を使用してもよい。
【0030】
尖端は、遠位誘電体スリーブよりも高い剛性を有する誘電材料で作られていてもよい。これにより、尖端をより鋭くして、組織の刺し通しを容易にすることが可能になり得る。
【0031】
近位同軸伝送線路は、誘電体スリーブによって外部導体から分離された内部導体を含むことができ、内部導体は、外部導体の遠位端を越えて突出する遠位部を含み、遠位針先端は、内部導体の遠位部の一部を含む。したがって、遠位誘電体スリーブは、上記の中心導電性要素を形成する内部導体の周りにあってもよい。
【0032】
遠位誘電体スリーブは、近位同軸伝送線路の誘電材料と比較して、同じ材料または異なる材料で作製してもよい。遠位誘電体スリーブは、近位同軸伝送線路の誘電材料よりも高い剛性を有し得る。遠位誘電体スリーブの剛性を高くすると、遠位針先端を標的組織に挿入しやすくなり得、一方、近位同軸伝送線路の剛性を低くすると、放射先端部が曲げやすくなり得る。これにより、狭く曲がりくねった通路を通して機器を誘導することが可能になり得、一方、引き続き機器を標的組織に挿入することが可能である。例えば、近位同軸伝送線路の誘電材料は、可撓性のある誘電材料(例えばPTFE)でできていてもよく、遠位誘電体スリーブは、例えばセラミック、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)またはガラス充填PEEKでできていてもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、尖端は、長手方向に対して第1の先細り角度で先細りになっている近位部と、長手方向に対して第2の先細り角度で先細りになっている遠位部とを有していてもよく、第1の先細り角度は第2の先細り角度よりも小さい。尖端の遠位部の先細り角度を大きくすることで、尖端の壊れやすさを軽減することができる。これにより、尖端から微粒子が脱落して体内に残る可能性を減らすことができる。
【0034】
近位同軸伝送線路の外部導体は、ニチノールで作られていてもよい。例えば、外部導体は、ニチノール管で形成されてもよい。本発明者らは、ニチノールが、十二指腸壁を貫通する力を伝達するのに十分な長手方向の剛性を有することを見出した。さらに、ニチノールの柔軟性は、放射先端部分の曲げを容易にすることができるため、狭い曲がった通路を通して機器を誘導することができる。したがって、ニチノールの外部導体を形成することで、膵臓の腫瘍を治療するための機器の使用が容易になり得る。
【0035】
放射先端部分は、同軸ケーブルに、それらの間の接合部を覆って取り付けられたカラーによって固定され得、カラーは丸みを帯びた遠位面を有する。カラーは、同軸ケーブルの遠位端と近位同軸伝送線路の近位端との間の境界面に配置することができる。カラーの遠位面は、カラーの前向きの表面、すなわち、機器の遠位端の方を向く表面であり得る。丸みを帯びた遠位面を備えたカラーを設けることにより、同軸ケーブルと近位同軸伝送線路との間の境界面で、鋭いエッジを回避することができる。これにより、電気外科用デバイスが管腔に沿って動かされる際の、電気外科用デバイスとカテーテルとの間の摩擦が低減し得る。これにより、例えば、機器が反り返っている場合(例えば、カテーテルに曲がりがある場合)、管腔に沿って電気外科用デバイスを移動させることが容易になり得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、カラーは、導電性であってもよく、近位同軸伝送線路の外部導体と同軸ケーブルの外部導体とを電気的に接続してもよく、誘電体スペーサは、放射先端部分と同軸ケーブルとの間の接合部に取り付けられてもよく、誘電体スペーサは、近位同軸伝送線路の内部導体とカラーとの間に配置されている。例えば、誘電体スペーサは、境界面に取り付けられ、内部導体の近位端の周りに配置された絶縁ワッシャであってもよい。これにより、同軸ケーブルと放射先端部分との間の境界面で短絡が発生する危険性が軽減され、接合部の電気的安全性が向上する可能性がある。
【0037】
放射先端部分の長さは、140mm以上であり得る。電気外科用機器に通常使用される同軸ケーブル(例えばSucoform 86同軸ケーブル)は、ケーブルの長手方向の動作を可能にするため、多くの場合、厚く錫メッキを施した外装を有している。ただし、これでは同軸ケーブルが比較的硬くなってしまい、同軸ケーブルを曲げるのに大きな力が必要になる。そのため、カテーテルの屈曲部を通してデバイスを移動させる際に、大きな摩擦が発生する場合があり、デバイスの正確な制御を妨げ得る。放射先端部分は、同軸ケーブルと比較してより大きな柔軟性を有し得るので、長い放射先端部分を有すると、その遠位端の近くでの機器の曲げを容易にし得る。放射先端部分を140mm以上にすることにより、カテーテルの曲がった遠位部を通して同軸ケーブルを動かす必要を回避することが可能になり得る。これにより、例えば、カテーテルの遠位部が反り返っている場合には、放射先端部分を展開することが容易になる。この構成は、機器の遠位部を反り返らせる必要がある可能性のある膵臓での使用に特に有益であり得る。
【0038】
放射先端部分は、その外面に非粘着性材料を有し得る。例えば、外側シースは、放射先端部分の近位部の上に配置され得、外側シースは、非粘着性材料で作られているか、またはコーティングされている。これにより、管腔と放射先端部分との間の摩擦を減らすことで、管腔に沿って電気外科用デバイスを移動させることが容易になり得る。この構成は、長い放射先端部分(例えば、140mm以上)と組み合わせると、放射先端部分を、反り返ったカテーテルの遠位部に通して移動させるのを容易にし得るので、特に有益であり得る。外側シースはまた、放射先端部分の有効外径を増加させるのに役立ち得、それによって、管腔内での放射先端部分の横方向の動きを減少させることができる。これにより、放射先端部分の位置決め精度が向上し得る。場合によっては、外側シースが同軸ケーブルの全部または一部に延在して、同軸ケーブルと管腔との間の摩擦を低減させることがある。
【0039】
いくつかの実施形態では、外側シースはPTFEで作られていてもよい。例えば、外側シースは、放射先端部分の近位部の周りに配置されたPTFEの管であってもよい。
【0040】
同軸ケーブルの近位部は、硬質補強要素に固定することができる。補強要素は、同軸ケーブルの近位部の長手方向の剛性を高めるのに役立つ可能性がある。これにより、電気外科用デバイスを管腔に沿って移動させるために、同軸ケーブルの近位端に力(例えば、押す力または引っ張る力)を加えることが容易になり得る。これにより、管腔内での電気外科用デバイスの位置の制御が改善される可能性がある。補強要素は、同軸ケーブルの近位部の外面に配置されていてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態では、補強要素は、同軸ケーブルの近位部の外面に配置された硬質管であってもよい。硬質管は、同軸ケーブルよりも長手方向の剛性が高くてもよい。例えば、硬質管は、金属(例えば、ステンレス鋼)管であってもよい。
【0042】
管腔の近位部が、同軸ケーブルの近位部を受け入れるために、管腔の遠位部よりも大きな直径を有していてもよい。同軸ケーブルの近位部の外径は、補強要素のために、同軸ケーブルの遠位部の外径よりも大きくてもよい。より大きな直径の近位部を有するカテーテルを有することにより、同軸ケーブルの近位部が、補強要素によって引き起こされる追加の摩擦なしで、カテーテル内をスライドすることが可能になり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、その遠位端に先細部分を含んでもよく、先細部分は、その近位端における第1の直径から、その遠位端におけるより小さい第2の直径へと先細にされてもよく、第2の直径は、放射先端部分の外径よりも大きく、同軸ケーブルの外径よりも小さい。このようにして、先細部分は、放射先端部分の通過を可能にし得、その結果、放射先端部分は、カテーテルの遠位端を越えて突出し得る。対照的に、先細部分は、(放射先端部分よりも大きな直径を有する)同軸ケーブルが先細部分を通して押されるのを防ぐのに役立ち得、これにより、同軸ケーブルがカテーテルの遠位端を越えて、誤って露出されるのを防ぐことができる。
【0044】
場合によっては、先細部分は、カテーテルの遠位開口部を画定してもよく、その場合、遠位開口部の直径が、第2のより小さな直径である。このように、電気外科用デバイスが展開位置にあるとき、放射先端部分は、先細部分の遠位開口部を通って突出し得る。したがって、先細部分は、上記のプラグと同様の機能を果たし得る。先細部分は、例えば、機器の構造を単純化するために、カテーテルの遠位端にあるプラグの代替として使用することができる。場合によっては、プラグは先細部分と組み合わせてもよく、例えば、プラグは先細部分の遠位開口部に取り付けられてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、近位同軸伝送線路の内部導体が、第1の導電材料で作られた内部コアと、第1の導電材料よりも高い導電性を有する第2の導電材料で作られた外部導電性コーティングとで形成され得る。第1の導電材料は、第2の導電材料よりも高い剛性を有し得る。これにより、放射先端部分の長手方向の剛性が高まり、それによって例えば組織を貫通するために、放射先端部分に沿って力を伝えやすくなり得る。例えば、内部コアはステンレス鋼で作られていてもよく、外部導電性コーティングは銀で作られていてもよい。
【0046】
本発明の第2の態様によれば、カテーテルの管腔に沿った電気外科用デバイスの動きを制御するためのハンドピースであって、ハンドピースの遠位端を、外科手術用スコープデバイスの機器ポートに接続するためのコネクタを有する第1の部分と、第1の部分に接続され、第1の部分の長手方向に移動可能な第2の部分であって、第2の部分が、カテーテルの近位端を保持するためのホルダを有し、それにより、第2の部分と第1の部分との間の相対運動が、ハンドピースの遠位端から延在するカテーテルの長さを制御するように構成されている、第2の部分と、第2の部分に接続され、第2の部分の長手方向に移動可能な第3の部分であって、第3の部分が、カテーテルの管腔内を搬送される同軸ケーブルの近位端を受け入れるように構成された同軸コネクタを有し、それにより、第3の部分と第2の部分との間の相対運動が、カテーテル内の同軸ケーブルの相対位置を制御するように構成されている、第3の部分と、を備える、ハンドピースが提供される。
【0047】
本発明の第2の態様のハンドピースは、カテーテル内の電気外科用デバイスの位置を制御するために、本発明の第1の態様の電気外科用機器と共に使用することができる。本発明の独立した態様は、第1の態様の電気外科用機器と、カテーテル内の電気外科用デバイスの位置を制御するように構成された、第2の態様のハンドピースとを含む電気外科装置を提供することができる。
【0048】
有利には、本発明の第2の態様のハンドピースは、カテーテル内の電気外科用デバイスの位置とは無関係に、カテーテルの長さを調節できるようにする。このようにして、カテーテルの長さが、外科手術用スコープデバイスの機器チャネル内に適合するように調節され得る。
【0049】
使用時には、電気外科用機器のカテーテルの近位端が、第2の部分のホルダに保持され得る。このようにして、カテーテルの位置が、第2の部分に対して固定され得る。第2の部分は、第1の部分に対する第2の部分の位置を固定するための固定機構を含み得る。固定機構は、例えば、カテーテルの近位端を保持して、それを所定の位置に固定するためのクリップ、クランプ、または何か他の好適な機構を含み得る。
【0050】
同軸ケーブルの近位端は、第3の部分の同軸コネクタに接続され得る。このようにして、同軸ケーブル(したがって電気外科用デバイス)の位置が、第3の部分に対して固定され得る。例えば、同軸ケーブルは、その近位端に、第3の部分の同軸コネクタと結合するように構成されたコネクタを含み得る。あるいは、同軸ケーブルは、例えば、はんだ付け及び/または溶接された電気接続を介して、第3の部分の同軸コネクタに直接接続されてもよい。第3の部分の同軸コネクタは、例えば、ネジまたは接着剤を介して、第3の部分の本体に固定されてもよい。同軸コネクタは、例えばインタフェースケーブルを介して電気外科手術用発生器に接続することができて、発生器から電磁エネルギを受け取り、それを同軸ケーブルに伝達する。
【0051】
第1の部分は、外科手術用スコープデバイスの機器チャネルの入力ポートに対して、ハンドピースを固定する働きをする。第1の部分のコネクタは、外科手術用スコープデバイスの対応するコネクタと結合するように構成されてもよい。例えば、コネクタは、ハンドピースと機器チャネルとの間に漏れのない接続を形成できるようにし得るルアーコネクタであり得る。コネクタは、例えば、クランプまたはネジ接続を介して、ハンドピースを外科用デバイスに固定するための機構を含み得る。
【0052】
使用中、ハンドピースから突出するカテーテルの長さを調節するために、第2の部分を第1の部分に対して移動させることができる。第1のセクションが外科手術用スコープデバイスの機器チャネルに対して固定され、カテーテルが第2の部分に対して固定されているので、第2の部分を第1の部分に対して動かすことで、機器チャネル内のカテーテルの長さを制御することができる。このようにして、カテーテルの長さが、器具チャネルに適合するように調節され得る。
【0053】
カテーテルの長さが調節されたら、カテーテルの管腔に沿って電気外科用デバイスを移動させるために、第3の部分を第2の部分に対して移動させることができる。カテーテルの位置が第2の部分に対して固定され得、電気外科用デバイスの位置が第3の部分に対して固定され得るので、第3の部分を第2の部分に対して移動させると、カテーテルの管腔に沿って電気外科用デバイスが移動し得る。このようにして、管腔内の電気外科用デバイスの位置を、第3の部分を第2の部分に対して移動させることによって制御することができる。
【0054】
上記のように、第2の部分は、第1の部分に対する第2の部分の位置を固定するための固定機構を含み得る。このようにして、カテーテルの長さが所望の長さに調節されると、固定機構を使用して第1の部分に対する第2の部分の位置を固定することによって、カテーテルの長さが固定され得る。固定機構は、第1の部分に対する第2の部分の位置を可逆的に固定するための任意の好適な機構であり得る。例えば、固定機構としては、第2の部分を第1の部分に固定するためのネジ、または第2の部分を第1の部分にクランプするためのクランプが含まれ得る。
【0055】
第2の部分は、第2の部分の長手方向に移動可能なリミッタを含み得、リミッタは、第2の部分に対する第3の部分の動きを制限するように構成されている。したがって、第2の部分に対する第3の部分の所望の可動域を設定するために、リミッタの位置を調節することができる。このことは、放射先端部分がカテーテルの遠位端を越えて露出され得る程度を制限するのに役立ち得る。これにより、放射先端部分を誤って押し出しすぎてしまい、健康な組織に損傷を与えることを回避できる。リミッタは、例えば、第3の部分が遠位方向に移動するときに第3の部分に当接して、第3の部分が遠位方向にさらに動くのを阻止するように配置される停止面を有し得る。リミッタは、第2の部分の表面に設けられたスライダであってもよい。リミッタは、第2の部分の長手方向に沿った所望の位置にリミッタを固定するための固定機構(例えば、ネジまたはクランプ)を含み得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、第2の部分は、第1のマーカセットに対するリミッタの位置に基づいて、管腔に沿った電気外科用デバイスの最大可動域を表示するように配置された第1のマーカセットを含み得る。このようにして、管腔に沿った電気外科用デバイスの所望の可動域を、リミッタを第2の部分上の対応するマーカに移動させることによって設定することができる。これにより、ユーザが放射先端部分の正確な位置を決定することが困難な場合であっても、所望の可動域を設定しやすくすることができる。例えば、マーカは、第3の部分がリミッタに当接したときに、カテーテルから突出する放射先端部分の長さを表示するものであってもよい。
【0057】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、第2のマーカセットに対する第2の部分の位置に基づいて、機器チャネル内のカテーテルの長さを表示するように配置された第2のマーカセットを含み得る。このようにして、ユーザは、第2の部分を第1の部分上の対応するマーカに移動させることによって、カテーテルの長さを調節することができる。これにより、カテーテルが機器チャネル内にあるときにカテーテルの長さを決定することが困難な場合であっても、カテーテルの長さを所望の長さに調節することが容易になり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、第1の部分及び第2の部分は入れ子状に配置され得、第2の部分は第1の部分の長手方向にスライド可能である。例えば、第1の部分及び第2の部分は、管状の同心体を有し、その一方が他方にスライドするように配置されていてもよい。場合によっては、第2の部分及び第3の部分は入れ子状に配置され得、第3の部分は第2の部分の長手方向にスライド可能である。例えば、第1の部分及び第2の部分は、管状の同心体を有し、その一方が他方にスライドするように配置されていてもよい。入れ子式の構成は、ハンドピースのコンパクトなデザインを提供し得る。
【0059】
上記で論じた電気外科用機器及びハンドピースは、完全な電気外科的システムの一部であってもよい。例えば、電気外科的システムは、マイクロ波エネルギ及び/または高周波エネルギを供給するように構成された電気外科手術用発生器と、患者の体内に挿入するための可撓性挿入コードを有する外科手術用スコープデバイスであって、可撓性挿入コードが、その長手方向に伸びている機器チャネルを有する、外科手術用スコープデバイスと、本発明の第1の態様による電気外科用機器であって、電気外科用機器が、機器チャネル内に適合するように寸法決めされている、電気外科用機器と、本発明の第2の態様によるハンドピースであって、電気外科用機器のカテーテルの近位端がホルダに保持され、電気外科用機器の同軸ケーブルの近位端が同軸コネクタに受け入れられ、同軸コネクタがマイクロ波エネルギ及び/または高周波エネルギを受け取るために電気外科手術用発生器に接続される、ハンドピースと、を備え得る。
【0060】
本明細書では、用語「外科手術用スコープデバイス」は、侵襲的処置の間に患者の体内に導入される剛性または可撓性の(例えば、操向可能な)導管である挿入管を備えた任意の外科手術用デバイスという意味で使用し得る。挿入管は、機器チャネルと(例えば、光を伝えて挿入管の遠位端で治療部位に光を当て、及び/またはその治療部位の画像を捕捉するための)光チャネルとを含み得る。機器チャネルは、侵襲的な手術道具を受け入れるのに適した直径を有し得る。機器チャネルの直径は5mm以下であり得る。本発明の実施形態では、外科手術用スコープデバイスは、超音波対応の内視鏡であり得る。
【0061】
本明細書において、用語「内側」とは、機器チャネル及び/または同軸ケーブルの中心(例えば軸)に対して半径方向に、より近いことを意味する。用語「外側」とは、機器チャネル及び/または同軸ケーブルの中心(軸)から半径方向に、より離れていることを意味する。
【0062】
本明細書では、用語「導電性」は、文脈による別段の指示がない限り、電気伝導性という意味で使用される。
【0063】
本明細書では、用語「近位」及び「遠位」とは、細長いプローブの端のことをいう。使用の際に、近位端は、RF及び/またはマイクロ波エネルギを供給するための発生器により近く、その一方で遠位端は発生器からより遠い。
【0064】
本明細書では、「マイクロ波」は、400MHz~100GHzの周波数範囲を指すために広く使われ得るが、好ましくは1GHz~60GHzの範囲を指す。マイクロ波EMエネルギの好ましいスポット周波数には、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び24GHzが含まれる。5.8GHzが好ましい場合がある。デバイスは、これらのマイクロ波周波数のうちの複数の周波数でエネルギを供給し得る。
【0065】
「高周波」または「RF」という用語は、300kHz~400MHzの周波数を示すために使用される場合がある。
【0066】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】本発明の実施形態である電気外科的システムを示す概略図である。
【
図2】a及びbは、本発明の実施形態である電気外科用機器の概略断面図を示し、aでは本機器の電気外科用デバイスは引込位置にあり、bでは本機器の電気外科用デバイスは展開位置にある。
【
図3b】
図2a及び
図2bの電気外科用機器の斜視図であり、本機器の内部構造を明らかにするために、本機器のカテーテルが省略されている。
【
図5】本発明の実施形態の電気外科用機器の一部分である電気外科用デバイスの概略側面図である。
【
図6】本発明の実施形態の電気外科用機器の一部分である電気外科用デバイスの概略側面図である。
【
図7】本発明の実施形態である電気外科用機器の遠位針先端の概略断面図を示す。
【
図8】本発明の実施形態である電気外科用機器の遠位針先端の概略図を示す。
【
図9】a及びbは、電気外科用機器のそれぞれの実施例が、反り返った機器チャネルを通して挿入される場合の変形を示す概略断面図である。
【
図10】本発明の実施形態であるハンドピースの概略断面図を示す。
【
図11】
図10のハンドピースの斜視図を示し、
図11では、ハンドピースの構成要素の一部が省略されて、ハンドピースの内部構造が示されている。
【
図13】a及びbは、それぞれ、遠位針を引込位置及び伸長(展開)位置にした
図10のハンドピースの平面図を示す。
【
図14a】本発明の実施形態である電気外科用機器の一部であるカテーテルの断面図である。
【
図14b】本発明の別の実施形態である電気外科用機器の一部であるカテーテルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
詳細な説明、更なる選択肢と好適例
図1は、侵襲的電気外科用機器の遠位端にマイクロ波エネルギ及び/または高周波エネルギを供給することができる電気外科切除装置100の概略図である。システム100は、マイクロ波エネルギ及び高周波エネルギを制御可能に供給するための発生器102を備える。この目的のために好適な発生器が、参照により本明細書に組み込まれるWO2012/076844に記載されている。発生器は、供給に適切な電力レベルを判定するために、機器から返されて受け取った反射信号を監視するように構成され得る。例えば、発生器は、最適な供給電力レベルを判定するために、機器の遠位端で見込まれるインピーダンスを計算するように構成されてもよい。
【0069】
発生器102は、インタフェースケーブル104によってハンドピース106に接続されている。他の実施例(図示せず)では、ハンドピース106は、例えば、電気外科用機器の遠位端に流体を搬送することが望まれる場合に、流体フローラインを介して、シリンジなどの流体供給デバイスに接続されることもある。
【0070】
ハンドピース106は、電気外科用機器の長手方向(前後)の動きを制御するように動作可能な機器制御機構を収容する。ハンドピース106は、必要に応じて、1つ以上の制御ワイヤまたはプッシュロッドを作動させるための制御機構(例えば、引金)を収容する場合もある。ハンドピースの例については、
図10~12を参照して、さらに詳細に後述する。ハンドピースの機能は、ハンドピース106の遠位端から出て、外科手術用スコープデバイスの機器チャネルの中を移送されるように寸法が決められた統合可撓性機器ケーブルに、発生器102からの入力と任意の他の入力とを集約することである。
【0071】
ハンドピース106は、外科手術用スコープデバイス114の入力ポート128に接続されている。外科手術用スコープデバイス114は、いくつかの入力ポートと、機器コード120がそこから延びる出力ポートとを有する本体116を備える。機器コード120は、複数の管腔を取り囲む外装を備える。複数の管腔は、本体116から機器コード120の遠位端まで様々なものを移送する。複数の管腔のうちの1つは、機器ケーブルが延在する機器チャネルである。他の管腔としては、例えば、遠位端で照明を提供するために、または遠位端から画像を収集するために、光放射を伝達するためのチャネルと、超音波信号を伝達するための超音波信号チャネルとがあり得る。本体116は、遠位端を見ることができるようにする接眼鏡122または他の画像化デバイスを装備し得る。
【0072】
超音波内視鏡デバイスは、一般的には、超音波信号チャネルの出射孔を越えて、機器コードの遠位先端に、超音波トランスデューサを備える。超音波トランスデューサからの信号は、好適なケーブル126によって、機器コードを伝わってプロセッサ124に伝達され戻されてもよく、プロセッサ124が、既知の方法で画像を生成し得る。機器チャネルは、機器チャネルから出る機器が超音波システムの視野内に向けて送り出されるように、機器コード内に成形されて、標的部位における機器の位置に関する情報を提供し得る。
【0073】
統合可撓性機器ケーブルは、ハンドピース106の遠位端から出て、外科手術用スコープデバイス114の機器コード120内の機器チャネル内に受け入れられる。統合可撓性機器ケーブルは、外科手術用スコープデバイス114の機器チャネルを通過し、機器コード120の遠位端で(例えば、患者の内部へ)突出する形に作られた遠位部アセンブリ118(
図1では縮尺どおりに描かれていない)を有する。
【0074】
後述する遠位部アセンブリ118の構造は、特に超音波内視鏡(EUS)デバイスとともに使うことを前提に設計されてもよく、それにより、遠位端アセンブリ118の最大外径は1.2mm以下、例えば1.0mm以下であり、電気外科用機器の長さは1.2m以上にすることができる。
【0075】
機器コード120の少なくとも遠位端の位置を制御できることが望ましい。本体116は、機器コード120中を延在する1本以上の制御ワイヤ(図示せず)により、機器コード120の遠位端に機械的に結合された制御アクチュエータを備えてもよい。制御ワイヤは、機器チャネル内を移動することができ、またはそれ自体の専用チャネル内を移動することができる。制御アクチュエータは、レバーもしくは回転可能なノブ、またはその他知られている任意のカテーテル操作デバイスであってもよい。機器コード120の操作は、例えばコンピュータ断層撮影(CT)画像を組み合わせられた仮想3次元マップを使用して、ソフトウェアで支援してもよい。
【0076】
本発明の実施形態による電気外科用機器200が、
図2a、2b、3a、3b、及び4に図示されている。電気外科用機器200は、カテーテル204内に配置された電気外科用デバイス202を構成する統合機器ケーブルを備える。カテーテル204は、電気外科用デバイス202が受け入れられる管腔を画定し、その管腔に沿って電気外科用デバイス202が移動可能である。電気外科用デバイス202は、
図2aに示す引込位置と、
図2bに示す展開位置との間で、カテーテルに沿って移動可能である。
図2a及び
図2bは、電気外科用機器200の概略断面側面図を示す。
図3aは、説明の目的で、カテーテル204の内部の電気外科用デバイス202を見せるために、カテーテル204が透明であるとして表示された機器200の斜視図を示す。
図3bは、説明の目的でカテーテル204が省略されている機器200の斜視図を示す。
図4は、電気外科用デバイス202が展開位置にある電気外科用機器の斜視図を示す。
【0077】
電気外科用デバイス202は、
図5及び
図6で、さらに詳細に図示されている。電気外科用デバイス202は、可撓性同軸ケーブル206と、同軸ケーブル206の遠位端に接続された放射先端部分208とを備える。同軸ケーブル206は、マイクロ波及び高周波エネルギを伝達するのに適した従来の可撓性50Ω同軸ケーブルであってもよい。この同軸ケーブルは、誘電材料によって分離された中心導体と外部導体とを含む。同軸ケーブル206は、マイクロ波及び/または高周波エネルギを受け取るために、近位端で発生器に、例えば発生器102に接続可能である。
【0078】
放射先端部分208は、近位同軸伝送線路210と、近位同軸伝送線路210の遠位端に形成された遠位針先端212とを含む。近位同軸伝送線路210は、同軸ケーブル206から電磁エネルギを受け取り、その電磁エネルギを遠位針先端212に伝達するように、同軸ケーブル206の遠位端に電気的に接続されている。遠位針先端212は、受け取った電磁エネルギを標的の生体組織に供給するように構成されている。図示の実施例では、遠位針先端212は、マイクロ波エネルギを標的の生体組織に供給して、その標的組織を切除するための半波長変成器として構成されている。
【0079】
近位同軸伝送線路210の内部導体214が、同軸ケーブル206の中心導体に電気的に接続されている。放射先端部分208は、同軸ケーブル206と放射先端部分208との間の接合部を覆って取り付けられたカラー216を介して、同軸ケーブル206に固定されている。カラー216は、導電材料(例えば真ちゅう)で作られており、同軸ケーブル206の外部導体を近位同軸伝送線路210の外部導体218に電気的に接続する。外部導体218は、ニチノールの管で形成されている。
【0080】
カラー216は、同軸ケーブル206の遠位端に取り付けられるとともに、同軸ケーブル206の外部導体に電気的に接続される実質的に円筒形の本体219を含む。カラー216は、さらに、カラー216の本体219から近位同軸伝送線路210の外部導体218の近位端まで延在する遠位部220を含む。カラー216の遠位部220は、丸みを帯びた遠位面を備える。それにより、同軸ケーブル206と放射先端部分208との境界面に鋭いエッジが無いようにすることで、電気外科用デバイス202がカテーテル204に沿って移動する際の、電気外科用デバイス202とカテーテル204との間の摩擦を低減させ得る。これはまた、カテーテル204が、反り返っているときに、電気外科用デバイス202をカテーテル204に沿って移動させることを助長し得る。
【0081】
放射先端部分208は、同軸ケーブル206よりも小さい外径を有する。これにより、放射先端部分208を同軸ケーブル206よりも曲げやすくすることが可能になり、それによって、放射先端部分208の曲げ、及び/または困難な治療部位への放射先端部分の誘導が容易になる可能性がある。放射先端部分208の外径を小さくすることで、放射先端部分208が組織に挿入される際に作られる挿入口の大きさを小さくすることもでき、それによって出血を最小限に抑え、治癒を促すことができる。好ましくは、放射先端部分は、1.2mm以下、例えば1.0mmまたは0.9mmの外径を有し得る。同軸ケーブル206は、約2.0mmの外径を有し得る。
【0082】
カテーテル204は、絶縁材(例えばPEEKまたはPTFE)で作られた可撓管である。カテーテル204は、外科手術用スコープ機器のワーキングチャネルに挿入可能な寸法となっている。カテーテル204は、電気外科用デバイス202が受け入れられる管腔を画定し、その管腔に沿って電気外科用デバイス202が移動可能である。
【0083】
カテーテル204の遠位端には、プラグ222が取り付けられている。プラグ222は、カテーテル204の遠位端の内側に配置される本体部分224を有する。本体部分224は、プラグ222をカテーテル204の遠位端に固定するために、本体部分224の外面に配置されたバーブ(またはバルジ)226を備え、これがカテーテル204と締まりばめを形成する。このようにして、プラグ222は、接着剤を使用する必要なしに、カテーテル204の遠位端に固定することができる(しかし、より確実にプラグ222をカテーテル204に固定するために、接着剤を使用してもよい)。プラグ222の遠位面228、すなわち、カテーテル204の遠位端で露出される表面は、丸みを帯びている。プラグ222の丸みを帯びた遠位面228は、カテーテル204の遠位端周辺で鋭いエッジを無くす働きをする。それによって、カテーテル204の遠位端で、カテーテル204と機器チャネルとの間の摩擦を低減させることにより、電気外科用デバイス200を外科手術用スコープデバイスの機器チャネルに沿って挿入しやすくすることができる。プラグは、PEEKまたは何か他の絶縁材で作られ得る。
【0084】
プラグ222は、プラグ222を通り抜けるように画定された長手方向の通路230を有している。通路230は、放射先端部分208が通路230を通過することができるが、同軸ケーブル206が通路230を通過するのを妨げるような寸法になっている。このようにして、電気外科用デバイス202をカテーテル204に沿って前進させて、放射先端部分208に通路を通過させることにより、放射先端部分208の一部が(例えば、
図2bに示すように)カテーテル204の遠位端を越えて突出することができる。
【0085】
通路230は、カテーテル204の内側で本体部分224の近位端にある近位開口部232を含む。通路230の遠位開口部234は、プラグ222の遠位面228に位置する。電気外科用デバイス202が展開位置にあるとき(例えば
図2b)、放射先端部分208は、通路230の遠位開口部234を通って突出する。通路230の長さは、遠位針先端212の長さよりも大きく、すなわち、通路230の近位開口部232と遠位開口部234との間の距離は、遠位針先端212の長さよりも大きい。このようにして、
図2aに示すように、電気外科用デバイス202が引込位置にあるとき、遠位針先端212は、プラグ222の通路230の中に完全に収容され得る。具体的には、電気外科用デバイス202が引込位置にあるとき、外部導体218の遠位端によって形成されたリップ236が、通路230の内側に位置し得る。これにより、電気外科用デバイス202が引込位置から展開位置に移動する際に、リップ236が通路230の近位開口部232に引っかからないようにすることができる。
【0086】
外部導体218のリップ236は、リップ236が通路230の近位開口部232に引っかかることをさらに防ぐために、面取りされ、例えば、傾斜させてある。通路の近位開口部232は、外側に向かって広がっており、すなわち、開口部232の直径が近位方向に大きくなっている。このようにして、フレア状の近位開口部232は、放射先端部分208を通路に漏斗を通して送り入れて、放射先端部分208が近位開口部232に引っかからないようにするとともに、放射先端部分208が通路230内を移動しやすくなるように作用する。
【0087】
通路230は、電気外科用デバイス202が引込位置と展開位置との間を移動するときに、放射先端部分208を誘導する働きをする。通路230は、放射先端部分208が通路230内を動かされる際に、通路230が放射先端部分208を中心に集めるように作用するように、カテーテル204の長手方向軸を中心とする。
【0088】
図2aでは、電気外科用デバイス202は引込位置にあり、遠位針先端212がプラグ222の通路230内に位置している。このことは、放射先端部分208がカテーテル204から突出していないことを意味する。したがって、この構成では、放射先端部分208は、カテーテル204及びプラグ222によって保護される。電気外科用機器200は、外科手術用スコープデバイスの機器チャネルに挿入され、電気外科用デバイス202が引込位置にある状態で、所定の位置に誘導され得る。これにより、放射先端部分208が機器チャネルに引っかからないようになるので、電気外科用機器200を機器チャネルに挿入することが容易になり得る。
【0089】
電気外科用機器200が所望の位置に誘導されると、電気外科用デバイス202は展開位置に移動され得る。この移動は、
図2aに示す引込位置から、電気外科用デバイス202をカテーテル204に沿って遠位方向に移動させて、放射先端部分208をプラグ222内の通路230の遠位開口部234から突出させることによって達成され得る。電気外科用デバイス202は、
図2bに示す展開位置に到達するまで移動され得る。電気外科用デバイス202が通路230の遠位開口部234から突出すると、放射先端部分208は生体組織に挿入され得る。遠位針先端212が標的治療部位(例えば腫瘍)に到達すると、標的組織を切除するために、遠位針先端にマイクロ波エネルギが供給され得る。
【0090】
標的組織が治療されたならば、電気外科用デバイス202は引込位置に戻されてもよく、その結果、放射先端部分208は露出されなくなる。この移動は、電気外科用デバイス202をカテーテル204に沿って近位方向に移動させることによって達成される。
【0091】
通路230の遠位開口部234の周りには、鋭利なリップ238が設けられている。鋭利なリップ238は、電気外科用デバイス202が展開位置から引込位置に移動される際に、放射先端部分208に付着した組織または血液をこそげ取る働きをする。これにより、放射先端部分208がカテーテル204内に引き戻される際に、カテーテル204を汚染し、またはカテーテル内での電気外科用デバイス202の動きを妨げる可能性のある組織及びまたは血液が、カテーテル内に引きずり込まれるのを防止することができる。
【0092】
次に、
図5及び
図6を参照して、電気外科用デバイス202の放射先端部分208の構造を、さらに詳細に説明する。説明のために、
図6からは外部導体218が省略されて、放射先端部分208の内部構造を見せている。また、説明のために、
図5及び
図6では、破線502で示すように、近位同軸伝送線路210の一区間が省略されている。
【0093】
近位同軸伝送線路210は、内部導体214の周りに配置された近位誘電体スリーブ504を含む。外部導体218は、近位誘電体スリーブ504の外面に形成される。内部導体214の遠位部の周りには、遠位誘電体スリーブ506が配置されて、遠位針先端212を形成する。遠位誘電体スリーブ506は、近位誘電体スリーブ504と比べると異なる誘電材料で作られている。一実施例では、近位誘電体スリーブ504は、PTFEで作られていてもよく(例えば、PTFE管であってもよい)、遠位誘電体スリーブは、PEEKで作られていてもよい。外部導体218の遠位部が、遠位誘電体スリーブ506の近位部と重なっている。このようにして、近位同軸伝送線路210の遠位部は、遠位誘電体スリーブ506の近位部を含む。近位及び遠位の誘電体スリーブの材料、及び外部導体518と遠位誘電体スリーブ506との間の重複部分の長さは、放射先端部分208の電気的長さを調節して、標的組織とのインピーダンス整合を支援するために選択されてもよい。
【0094】
外部導体218は、可撓性があり、組織(例えば、十二指腸壁)を貫通するのに十分な長手方向の剛性をもたらすニチノールで作られていてもよい。内部導体には、ステンレス綱の芯に銀メッキを施したものを使用している。ステンレス綱の芯は、放射先端部分208に更なる剛性をもたらし、一方、銀メッキは、放射先端部分208における損失を低減させるために、内部導体214の導電性を高め得る。
【0095】
放射先端部分208と同軸ケーブル206との接合部には、誘電体スペーサ508が取り付けられている。誘電体スペーサ508は、カラー216の内側に配置されており、内部導体214の周りに取り付けられている。このように、内部導体214とカラー216との間には誘電体スペーサ508が配置される。これにより、同軸ケーブル206と放射先端部208との接合部において、内部導体214とカラー216との間の絶縁破壊距離を長くすることができる。これにより、接合部におけるデバイスの電気的安全性が向上する可能性がある。誘電体スペーサ508は、例えば、PTFE製のワッシャ、または他の好適な絶縁材で作られたワッシャであってもよい。
【0096】
上記のように、遠位針先端212は、マイクロ波エネルギを組織に供給するための半波長変成器として構成されている。したがって、マイクロ波エネルギが遠位針先端212に供給されると、遠位針先端212は、マイクロ波エネルギを周囲の組織に放射することができる。遠位針先端212は、その遠位端に尖端510を備えていて、放射先端部分208の標的組織への挿入を容易にしている。尖端510は、遠位誘電体スリーブ506よりも高い剛性を有する誘電材料で作られている。これにより、尖端510をより鋭利にすることができるようになる場合があり、高剛性は尖端510の鋭利化を容易にし得る。例えば、尖端510は、ジルコニアで作られていてもよい。
【0097】
図7は、遠位誘電体スリーブ506の遠位端に取り付けられた尖端510のより詳細な図を示す。尖端510は、微小点に向けて先細りし、組織を貫通する働きをする、先細部分702を含む。尖端はまた、先細部分702の近位端から延在し、遠位誘電体スリーブの遠位端で内腔内に受け入れられる本体704を含む。尖端510の本体704は、本体704を内腔内に保持するために、内腔の壁との締まりばめを形成する突出部(またはバルジ)706を含む。このようにして、本体704が内腔に挿入されるときに「押込ばめ」接続が形成され得る。これにより、尖端510を接着剤なしで遠位誘電体スリーブ506に取り付けることが可能になり得る。このことはまた、例えば、尖端510が破損した場合に、尖端510の交換を容易にし得る。
【0098】
図8は、遠位誘電体スリーブ506の遠位端に取り付けられた別の尖端802の実施例を示す。尖端802は、遠位誘電体スリーブ506の遠位端の内腔内に配置された本体804を含む。本体804は、内腔内に本体804を固定するための突出部806を含む。尖端802は、遠位誘電体スリーブ506の内腔から突出し、組織を貫通するために微小点に向けて先細りする先細部分808をさらに含む。先細部分808は、長手方向に対して第1の角度で先細にされた近位部810と、長手方向に対して第2のより大きな角度で先細にされた遠位部812とを含む。このように、尖端802は「2通りに角度をつけた」ものであると言うことができる。尖端802の微小点は、遠位部812によって形成される。遠位部812の先細り角度を、近位部810の先細り角度よりも大きくすることにより、先細部分808の長さを縮めることができる。これにより、尖端802が壊れにくくなり、尖端802の微小点が折り取られてしまう危険性を減らすことができる。
【0099】
いくつかの実施形態(図示せず)では、尖端は、遠位誘電体スリーブと同じ材料で作られていてもよく、例えば尖端は、遠位誘電体スリーブと一体的に形成されていてもよい。尖端が遠位誘電体スリーブと一体的に形成されているか、それとも別個に形成されているかに関わらず、2通りに角度をつけた尖端を使用するコンセプトを適用することができる。いくつかの実施形態(図示せず)では、近位及び遠位の誘電体スリーブの代わりに単一の誘電体スリーブを設けてもよく、例えば、近位同軸伝送線路及び遠位針先端の誘電材料を同じにしてもよい。
【0100】
図9aは、本発明の実施形態による、機器900の遠位部が反り返っている電気外科用機器900の断面図を示す。
図9bは、本発明の別の実施形態による、機器902の遠位部が反り返っている電気外科用機器902の断面図を示す。
【0101】
電気外科用機器900及び902は、上記の電気外科用機器200と同様の構成を有する。電気外科用機器900は、電気外科用デバイス906が配置されたカテーテル904を含む。電気外科用デバイス906は、放射先端部分910を有する同軸ケーブル908を含み、放射先端部分910は同軸ケーブル908の遠位端に配置されている。電気外科用デバイス906は、放射先端部分910がカテーテル904内に位置する引込位置と、放射先端部分910がカテーテル904の遠位端から突出する展開位置との間で、カテーテル904に沿って移動可能である。
図9aに示す構成では、電気外科用デバイス906は展開位置にある。
【0102】
同様に、電気外科用機器902は、カテーテル914内に配置された電気外科用デバイス912を含む。電気外科用デバイス912は、同軸ケーブル916と、同軸ケーブル916の遠位端にある放射先端部分918とを含む。電気外科用デバイス912は、放射先端部分918がカテーテル914内に位置する引込位置と、放射先端部分918がカテーテル914の遠位端から突出する展開位置との間で、カテーテル914に沿って移動可能である。
図9bに示す構成では、電気外科用デバイス912は展開位置にある。
【0103】
図9aでは、カテーテル904の遠位部920が反り返っており、すなわちカテーテル904の遠位部920が曲がっている。
図9aから分かるように、同軸ケーブル908の遠位部は、カテーテル904の遠位部920に位置しており、同軸ケーブル908の遠位部もまた、曲がっている。したがって、電気外科用デバイス906を、引込位置と展開位置(
図9aに示す)との間で移動させるには、同軸ケーブル908の遠位部を曲げる必要がある。例えば、電気外科用デバイス906が引込位置から展開位置に動かされる場合には、同軸ケーブル908の遠位部は、カテーテル904の湾曲した遠位部920を通して押し出されなければならない。電気外科用デバイス906が展開位置から引込位置に動かされる場合には、同軸ケーブル908の遠位部は、カテーテル904の湾曲した遠位部920から引き出されるとき、真っすぐに伸ばされなければならない。
【0104】
同軸ケーブル908の曲げ伸ばしには、同軸ケーブル908の剛性のため、大きな力が必要になり得る。Sucoform 86同軸ケーブルなど、従来の電気外科用デバイスに使用されている同軸ケーブルは、比較的硬い(例えば、多量の錫メッキを施した)外装を有する。そのような外装は、直線路に沿った機器の作動を容易にし得るが、ケーブルを曲げるのに大きな力が必要とされ得る。結果的に、カテーテル904の遠位部が反り返っているときに、電気外科用デバイス906を引込位置と展開位置との間で移動させるには、電気外科用デバイス906に大きな力を加えることが必要になり得る。これにより、湾曲部920における同軸ケーブル908とカテーテル904との間の摩擦が大きくなり、それによって放射先端部分910の位置を制御する精度を低下させるおそれがある。
【0105】
電気外科用デバイス912(
図9b)の放射先端部分918は、電気外科用デバイス906(
図9a)の放射先端部分910よりも長い。その結果として、カテーテル914の遠位部922が曲がっている場合(例えば、
図9bに示すように、反り返っている場合)、電気外科用デバイス906を展開位置に移動させる際に、同軸ケーブル916をカテーテル914の湾曲部922に通して移動させる必要がなくなり得る。放射先端部分918は、同軸ケーブルよりも小径であり、剛性の外装を有していないので、放射先端部分918は、同軸ケーブル916よりも柔軟であり得る。したがって、放射先端部分918をカテーテル914の曲がった遠位部922に通して移動させる場合には、放射先端部分918を曲げるために、比較的小さな力のみが必要とされ得る。
【0106】
図9bに示すように、放射先端部分918を十分に長くすることにより、同軸ケーブル916の遠位端は、電気外科用デバイス912が展開位置にあるときに、カテーテル914の曲がった遠位部922には入らない。したがって、電気外科用デバイス912を引込位置と展開位置との間で移動させる際に、同軸ケーブル916の遠位端は曲げられる必要がない。好ましくは、放射先端部分は140mm以上であり得る。それによって、電気外科用デバイス912が展開位置にあるときに、同軸ケーブル916がカテーテル914の反り返った部分に確実に入らないようにすることができる。
【0107】
したがって、
図9bに示す構成は、電気外科用デバイス912がカテーテル914に沿って移動する際の、電気外科用デバイス912とカテーテル914との間の摩擦を減らすことができる。これにより、放射先端部分918の位置の制御が向上する可能性がある。
【0108】
電気外科用デバイス912は、放射先端部分918の近位部の周りに配置された外側シース924をさらに含む。外側シース924は、非粘着性材料で作られているか、またはコーティングされており、例えば、外側シース924は、PTFEの管であってもよい。外側シース924は、放射先端部分918とカテーテル914の曲がった遠位部922との間の摩擦を減らすのに役立ち得る。これにより、電気外科用デバイス912を引込位置と展開位置との間で移動させることが容易になり得る。外側シース924はまた、放射先端部分918とカテーテル914との間のスペーサとして機能することにより、カテーテルの中での放射先端部分918の横方向の動きを低減させるように機能し得る。これにより、カテーテル914の曲がった遠位部922に沿った放射先端部分の移動が容易になり得る。
【0109】
図10は、本発明の実施形態によるハンドピース1000の断面図を示す。
図11に、ハンドピース1000の構成要素の一部が取り外されて、ハンドピース1000の内部構造が示された、ハンドピース1000の斜視図を示す。ハンドピース1000の更なる斜視図を
図12に示す。ハンドピース1000は、機器の電気外科用デバイスを、機器のカテーテルに沿って、引込位置と展開位置との間で移動させるために、本発明の電気外科用機器、例えば、電気外科用機器200、900、902と共に使用され得る。
【0110】
ハンドピース1000は、概して円筒形の中空体1004を有する第1の部分1002を含む。コネクタ1006は、中空体1004の遠位端に設けられており、コネクタ1006は、ハンドピースを外科手術用スコープデバイスの機器チャネルの入力ポートに取り付けるように適合されている。コネクタ1006は、入力ポート上の対応するコネクタと結合するように構成され得る。コネクタ1006としては、ハンドピース1000と外科手術用スコープデバイスの機器チャネルとの間に漏れのない接続を提供するために、ルアーフィッティング(または他の好適なフィッティング)が含まれてもよい。
【0111】
ハンドピース1000は、さらに、第2の部分1008を含む。第2の部分1008は、第2の部分1008が第1の部分1002の長さにわたって長手方向にスライド可能であるように、第1の部分1002に入れ子状に取り付けられた、概して円筒形の中空体1010で形成される。第2の部分1008は、第1の部分1002に対する第2の部分1010の位置を固定するための固定ネジ1012を含む。固定ネジ1012は、中空体1010の側壁のネジ穴に係合している。固定ネジ1012をネジ穴に締め込むことで、固定ネジ1012が第1の部分1002の本体1004に係合して、第1の部分1002に対する第2の部分1010の位置を固定する。ネジ穴内の固定ネジ1012を緩めると、固定ネジが第1の部分1002から外れるので、第2の部分1008を第1の部分1002に対してスライドさせることができる。
【0112】
第2の部分1008は、第2の部分1008の本体1010の内側に配置されたホルダ1014を含む。ホルダ1014は、電気外科用機器のカテーテルの近位端を保持するように構成されている。ホルダ1014は、例えば、カテーテルの近位端を保持するように配置されたクリップまたはクランプであってよい。別の実施例では、ホルダ1014は、カテーテルの近位端を(例えば接着剤を使用して)固定することができる表面であってもよい。このようにして、カテーテルの近位端がホルダ1014に保持されると、カテーテルの位置が第2の部分1008に対して固定される。したがって、第2の部分1008を第1の部分1002に対してスライドさせると、カテーテルが第1の部分1002に対して移動する。
【0113】
ハンドピース1000は、さらに、第3の部分1016を含む。第3の部分1016は、第3の部分1016が第2の部分1008の長さにわたって長手方向にスライド可能であるように、第2の部分1008に入れ子状に取り付けられた、概して円筒形の中空体1018で形成される。本体1018の近位端1019には、同軸コネクタ1020が取り付けられている。同軸コネクタ1020の近位端1022は、第3の部分1016の本体1018の外側に露出している。同軸コネクタ1020の近位端1022は、例えば、接続ケーブル(図示せず)を介して、電気外科手術用発生器に接続可能である。
【0114】
同軸コネクタ1020の遠位端1024は、第3の部分1016の中空体1018の内側に配置されている。同軸コネクタ1020の遠位端1024は、電気外科用デバイスの同軸ケーブルの近位端を受け入れるように配置されている。例えば、同軸コネクタ1020の遠位端1024は、内部導体及び外部導体を含んでもよく、内部導体及び外部導体は、それぞれ、同軸ケーブルの中心導体及び外部導体に(例えば、はんだ付け接続または溶接接続を介して)電気的に接続され得る。あるいは、同軸コネクタ1020の遠位端1024は、同軸ケーブルの近位端上の対応するコネクタと結合するように適合されてもよい。同軸コネクタ1020は、その近位端1022に接続されたケーブルから、その遠位端1024に接続された同軸ケーブルに電磁エネルギを伝えるように構成されている。
【0115】
第2の部分1008の本体1010の外面には、スライド式リミッタ1026が取り付けられている。スライド式リミッタ1026は、第2の部分1008の本体1010の外面に沿ってスライド可能である。スライド式リミッタ1026の位置は、スライド式リミッタのネジ穴に係合する固定ネジ1028を介して、第2の部分1008に対して固定することができる。スライド式リミッタ1026は、第3の部分が遠位方向に(すなわち、第1の部分1002へ向けて)動かされたときに、第3の部分1016の本体1018の遠位面1029に当接して、第3の部分1016の遠位方向への更なる動きを阻止するように配置される停止面1030を含む。このように、第2の部分1008上のスライド式リミッタ1026の位置を調節することにより、第2の部分1008に対する第3の部分1016の可動域を調節することができる。
【0116】
図10及び
図11に示す実施例では、電気外科用機器1031の近位端が、ハンドピース1000に取り付けられている。この電気外科用機器は、例えば上記のような、本発明の実施形態による電気外科用機器であってもよい。機器1031のカテーテル1032の近位端は、ハンドピース1000の第2の部分1016で、ホルダ1014に保持されている。機器1031の同軸ケーブル1034の近位端は、ハンドピース1000の第3の部分1016で、同軸コネクタ1020の遠位端1024に電気的に接続されている。同軸ケーブル1034は、カテーテル1032内に配置され、カテーテル1032に沿ってスライド可能である。電気外科用機器1031は、ハンドピース1000の第1の部分、第2の部分、及び第3の部分の中空体の内部を延在している。電気外科用機器1031の遠位部は、第1の部分1002の遠位端にあるコネクタ1006を通ってハンドピースから出る。
【0117】
同軸ケーブル1034の近位部の外面の周りには、補強管1036が設けられている。補強管1036は、同軸コネクタ1020に固定されている。補強管1036は、硬質材料、例えば、剛性金属または硬質プラスチックで作られている。補強管1036は、同軸ケーブル1034の近位部の長手方向の剛性を高めて、第3の部分1016が第2の部分1008に対して動かされたときに、同軸ケーブル1034への長手方向の力の伝達を容易にする働きをする。カテーテル1032の近位部1038は、同軸ケーブル1034及び補強管1036の近位部が、カテーテル1032内でスライドされるようにするために、拡大された直径を有する。
【0118】
使用の際に、コネクタ1006から出る電気外科用機器1031の遠位部は、外科手術用スコープデバイスの機器チャネルに挿入され得る。次に、ハンドピース1000のコネクタ1006を、外科手術用スコープデバイスの入力ポート上の対応するコネクタに接続して、ハンドピース1000を外科手術用スコープデバイスに固定することができる。続いて、第2の部分1008を第1の部分1002に対してスライドさせることによって、機器チャネル内のカテーテル1032の長さを調節することができる。カテーテル1032は、第2の部分1008に対して(ホルダ1014を介して)固定されているので、第2の部分1008を第1の部分1002に対して移動させると、コネクタ1006から出るカテーテル1032の長さが変化し、したがって、機器チャネル内に位置するカテーテル1032の長さが変化する。一組のマーカ1040が、第1の部分1002の本体1004の外面に設けられている。一組のマーカ1040の各マーカは、第2の部分1008の遠位面1041が、そのマーカと位置合わせされたときに、ハンドピースから出ているカテーテルの長さを表示する。したがって、第2の部分1008を、第1の部分1002に沿って、機器チャネル内のカテーテル1032の所望の長さに対応する第1の部分1002上のマーカまで移動させてもよい。所望の長さが得られたら、固定ネジ1012を締め込むことにより、第2の部分1008の位置を第1の部分1002に対して固定することができる。
【0119】
カテーテル1032の長さを調節した後に、同軸ケーブル1034をカテーテル1032に沿って移動させて、例えば、機器1031の放射先端部分を露出させること、または後退させることができる。同軸ケーブル1034は、第3の部分1016を第2の部分1008に対してスライドさせることにより、カテーテル1032に沿って移動し得る。第2の部分1008に対する第3の部分1016の長手方向の動きは、第3の部分1016の同軸コネクタ1020に接続されている同軸ケーブル1034の遠位端に伝達される。補強管1036は、同軸ケーブル1034の近位端が曲がることを防止して、第3の部分1016の長手方向の動きが同軸ケーブル1034に伝達されるようにする。第3の部分1016が第2の部分1008に対して近位方向に動かされると、補強管は、カテーテル1032の拡張された近位部1038に滑り込む。
【0120】
カテーテル1032が第2の部分1008に対して固定されているので、第3の部分1016を第2の部分1008に対してスライドさせると、同軸ケーブル1034がカテーテル1032内でスライドする。したがって、ハンドピース1000が本発明の電気外科用機器(例えば、電気外科用機器200)と共に使用される場合、第3の部分1016を第2の部分1008に対して後方及び前方に移動させることにより、電気外科用デバイスを引込位置と展開位置との間で移動させることができる。具体的には、電気外科用デバイスは、第3の部分1016を第2の部分1008に対して近位方向に移動させることによって、展開位置に移動することができ、電気外科用デバイスは、第3の部分1016を第2の部分1008に対して遠位方向に移動させることによって、引込位置に移動することができる。
【0121】
ユーザは、第2の部分1008上のスライド式リミッタ1026の位置を調節して、第2の部分1008に対する第3の部分1016の最大前進位置を設定してもよい。これにより、電気外科用デバイスが展開位置にあるときに、カテーテル1032の遠位端を越える放射先端部分の最大伸長が設定され得る。このようにして、スライド式リミッタ1026は、放射先端部分がカテーテル1032の遠位端を越えて、極端に押し出されるのを防止することができる。第2の部分1008の本体1010の外面には、一組のマーカ1042が設けられている。一組のマーカ1042の各マーカは、スライド式リミッタ1026がそのマーカと整列し、第3の部分1016の遠位面1029がスライド式リミッタ1026の停止面1030に当接するときに、カテーテル1032の遠位端を越える放射先端部分の最大伸長を示す。したがって、スライド式リミッタ1026を、一組のマーカ1042の対応するマーカに移動させて、放射先端部分の所望の最大伸長を設定することができる。
【0122】
図13a及び
図13bは、機器1031の電気外科用デバイスを、引込位置と展開位置との間で移動させるためのハンドピース1000の動作を図示する。
図13aでは、機器1031の電気外科用デバイスは引込位置にあり、すなわち、電気外科用デバイスの放射先端部分は、カテーテル1032の遠位端1044を越えて突出していない。
図13bでは、機器1031の電気外科用デバイスは展開位置にあり、すなわち、電気外科用デバイスの放射先端部分1046は、カテーテル1032の遠位端1044を越えて突出している。この構成では、標的組織にエネルギを供給するために、放射先端部分1046に、同軸コネクタ1020を介して電磁エネルギが供給され得る。
【0123】
図13aに示す構成から
図13bに示す構成に移行するには、先ず、リミッタ1026を、第2の部分1008の本体1010上の所望の位置に移動させ得る。次に、第3の部分1016を、第2の部分1008の上で遠位方向にスライドさせ得る。第3の部分1016は、
図13bに示すように、第3の部分1016の遠位面1029がスライド式リミッタ1026に当接するまで前進させることができる。標的組織の治療が完了すると、第3の部分1016を第2の部分に対して近位方向にスライドさせることにより、放射先端部分1046をカテーテル1032内に引き戻して、
図13aに示す構成に戻すことができる。説明のために、機器1031の長さは、破線1048によって示すように、
図13a及び
図13bから省略されている。
【0124】
図14aは、本発明の電気外科用機器の一部として使用され得るカテーテル1400の断面図を示す。カテーテル1400は、その内部を延在し、その中に電気外科用デバイスが受け入れられる管腔1402を画定する。カテーテル1400は、第1の直径1406を有する近位部1404と、第2のより小さい直径1410を有する遠位部1408とを含む。第1の直径及び第2の直径の寸法例は、それぞれ2.70mm及び2.30mmである。段付き部1412は、近位部1404と遠位部1408とを連結する。近位部1404のより大きな直径は、近位部1404が、(同軸ケーブルの近位部の有効外径を増加させる)補強要素を含む電気外科用デバイスの同軸ケーブルの近位部を受け入れることができるように配置されている。
【0125】
図14bは、本発明の電気外科用機器の一部として使用され得る別のカテーテル1414の断面図を示す。カテーテル1414は、その内部を延在し、その中に電気外科用デバイスが受け入れられる管腔1416を画定する。カテーテル1414は、第1の直径1420を有する近位部1418と、第2のより小さい直径1424を有する中間部1422とを含む。近位部1404のより大きな直径は、近位部1404が、補強要素を含む電気外科用デバイスの同軸ケーブルの近位部を受け入れることができるように配置されている。近位部1418と中間部1422とは、段付き部1426によって接合されている。
【0126】
カテーテル1414の遠位端には、先細部1428が配置されている。先細部1428は、カテーテルの遠位端におけるカテーテル1414の直径を、第2の直径1424から第3のより小さい直径1430まで小さくする働きをする。先細部1428は、カテーテル1414の遠位開口部1432を画定し、遠位開口部1432の直径が第3の直径1430である。第3の直径1432は、電気外科用機器の放射先端部分の外径よりも大きく、機器の同軸ケーブルの外径よりも小さくなるように設定される。このようにして、放射先端部分は、(例えば、電気外科用デバイスが展開位置にあるとき)遠位開口部1432を通って突出することができるが、(放射先端部分よりも大きな外径を有する)同軸ケーブルは、遠位開口部1432を通り抜けることができない。このように、先細部1428は、カテーテル204の端部にあるプラグ222と同様の機能を果たし得る。したがって、カテーテル1414の遠位端に先細部1428を設けることにより、カテーテル1414の遠位端にプラグを設ける必要がなくなり得る。それによって、電気外科用機器の構造が簡素化され得る。第1の直径、第2の直径、及び第3の直径の寸法例は、それぞれ2.70mm、2.30mm、及び1.10mmである。
【0127】
カテーテル1400及び1414の異なる部分は、異なる直径の管を互いに結合することによって作製してもよい。あるいは、カテーテル1400及び1414は、多径の押し出し法によって形成される単一の管から作製してもよい。これは、第1の直径で管を押し出した後、管の一部を後処理して、その部分を異なる(例えば、より大きな)直径に再成形することによって行うことができる。