(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
F03G 3/00 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
F03G3/00 A
(21)【出願番号】P 2022075645
(22)【出願日】2022-05-02
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】510054164
【氏名又は名称】山本 一枝
(74)【代理人】
【識別番号】100112140
【氏名又は名称】塩島 利之
(74)【代理人】
【識別番号】100119297
【氏名又は名称】田中 正男
(72)【発明者】
【氏名】畔上 則夫
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-110706(JP,A)
【文献】特開2012-154214(JP,A)
【文献】特開2019-019731(JP,A)
【文献】特許第6535527(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向の回転軸と、
前記回転軸に取り付けられ、略垂直面内に球体が循環可能な無限軌道を有する複数のウェイト収納容器と、
前記回転軸に連結される発電機と、を備え、
前記ウェイト収納容器は、介入基幹盤を介して前記回転軸に取り付けられ、
前記回転軸の軸方向から見て、前記ウェイト収納容器の前記無限軌道の外側に前記回転軸が配置され
、
前記球体は、一対の挟みレールに挟まれながら前記無限軌道を循環する発電装置。
【請求項2】
前記回転軸の周囲に前記複数のウェイト収納容器が等配されることを特徴とする請求項1に記載の発電装置。
【請求項3】
前記回転軸の回転方向と前記ウェイト収納容器における前記球体の循環方向が逆であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【請求項4】
前記無限軌道が略楕円形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明者は、球体の自公転を利用して発電機を発電させる発電装置を提案している(特許文献1参照)。
図8に示すように、この発電装置は、球体51と、球体51が自転可能に載せられるウェイト移動盤52と、球体51を自転可能に保持するウェイト収容盤53aを有するアーム53と、アーム53に連結される回転軸54と、を備える。
【0003】
駆動装置55がウェイト移動盤52を傾斜・揺動させると、球体51がウェイト移動盤52上を自転しながら公転する。球体51が公転すると、アーム53を介して回転軸54が回転する。回転軸54には、発電機が連結される。このため、球体51の自公転を利用して発電機を発電させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の発電装置は、球体の自公転を利用して発電機を発電させる。これに対して、本発明は、従来の発電装置と作動原理が異なる効率の良い発電装置を提供することを課題とする。すなわち本発明は、略垂直面内を循環する複数の球体を利用して、効率良く発電機を発電させる発電装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様は、略水平方向の回転軸と、前記回転軸に取り付けられ、略垂直面内に球体が循環可能な無限軌道を有する複数のウェイト収納容器と、前記回転軸に連結される発電機と、を備え、前記ウェイト収納容器は、介入基幹盤を介して前記回転軸に取り付けられ、前記回転軸の軸方向から見て、前記ウェイト収納容器の前記無限軌道の外側に前記回転軸が配置され、前記球体は、一対の挟みレールに挟まれながら前記無限軌道を循環する発電装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、略垂直面内を循環する複数の球体を利用して、効率良く発電機を発電させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の発電装置の平面図である。
【
図7】回転軸を回転させたときの球体の位置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態の発電装置を詳細に説明する。ただし、本発明の発電装置は種々の形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されるものではない。本実施形態は、明細書の開示を十分にすることによって、当業者が発明を十分に理解できるようにする意図をもって提供されるものである。
【0010】
図1は本発明の一実施形態の発電装置の平面図、
図2は
図1のII-II線断面図を示す。本実施形態の発電装置は、回転軸1と、複数のウェイト収納容器2と、出力軸3と、発電機4と、を備える。
【0011】
図2に示すように、土台5上には、フレーム6が固定される。フレーム6上には、軸受7a,7b(
図1参照)が固定される。
図1に示すように、軸受7aには、回転軸1が回転可能に支持される。回転軸1は、略水平方向に配置される。軸受7bには、出力軸3が回転可能に支持される。出力軸3は、回転軸1と直角であり、略水平方向を向く。
【0012】
回転軸1には、ウォーム、ウォームホイール等の歯車8a,8bを介して出力軸3が連結される。出力軸3には、平歯車等の速度制御歯車9a,9bを介して発電機4が連結される。回転軸1が回転すると、歯車8a,8b、出力軸3、速度制御歯車9a,9bを介して発電機4が回転し、発電機4が電気を発生させる。
【0013】
図3に示すように、回転軸1には、三角形等の多角形状の介入基幹盤11を介して複数の例えば3つのウェイト収納容器2が取り付けられる。回転軸1には、介入基幹盤11が固定される。介入基幹盤11には、リング状の補強リング盤12が固定される。補強リング盤12には、ボルト等の締結部材を介して例えば3つのウェイト収納容器2が締結される。3つのウェイト収納容器2は、回転軸1に等配される。すなわち3つのウェイト収納容器2は、回転軸1の周囲に120°(=360°/3)の間隔を開けて配置される。ウェイト収納容器2を強固にするために、隣り合うウェイト収納容器2同士は接合板13によって接合される。
【0014】
図1に示すように、回転軸1には、軸方向に例えば4つの介入基幹盤11(以下介入基幹盤A,B,C,Dという)が取り付けられる。
図4に示すように、回転軸1の軸方向視において、4つの介入基幹盤A,B,C,Dは、30°位相がずれている。各介入基幹盤A,B,C,Dには、上記のように例えば3つのウェイト収納容器2が等配される。このため、合計12個のウェイト収納容器2が回転軸1の周囲に等配される。すなわち12個のウェイト収納容器2が回転軸1の周囲に30°(=360°/12)の間隔を開けて配置される。
【0015】
図5は1つのウェイト収納容器2の正面図を示し、
図6は
図5のVI-VI線断面図を示す。
図5に示すように、ウェイト収納容器2は、略楕円形に形成される。ウェイト収納容器2には、無端状の循環路14が形成される。循環路14には、球体15が収容される。球体15は、中実でも中空でもよい。球体15は、循環路14内を無限軌道16に沿って循環移動する。無限軌道16は、略楕円形であり、略垂直面内に配置される。ウェイト収納容器2には、球体15の搬入・搬出口である球体吊り込み口17が形成される。また、ウェイト収納容器2内には、潤滑油18が貯められる。また、ウェイト収納容器2には、潤滑油給排口19が形成される。
【0016】
図6に示すように、ウェイト収納容器2は、本体21と、本体21にボルト等の締結部材によって固定される一対の挟みレール22と、備える。本体21は、断面略矩形状であり、底面盤21aと、左右一対の側面盤21bと、上面盤21cと、を備える。球体15は、一対の挟みレール22に挟まれながら無限軌道16を循環移動する。一対の挟みレール22は、下方に向かって徐々に間隔が狭くなるV字を基本形態とする。これにより、摩耗により球体15が小さくなっても、球体15の離脱・落下を防止することができる。また、球体15と挟みレール22との接触状態は、面接触というよりも点接触である。これにより、球体15の片寄り摩耗を防ぎ、球体15の摩耗を均一にすることができる。点接触は、球体15の重心点を中心とする自由回転のための理想的な接触状態である。
【0017】
図5に示すように、球体15は、その自重によって無限軌道16の最下端に位置する。回転軸1を例えば時計方向(1)に回転させると(すなわちウェイト収納容器2を例えば時計方向(1)に回転させると)、球体15は反時計方向(2)に循環移動する。すなわち、回転軸1の回転方向とウェイト収納容器2における球体15の循環方向は逆である。
【0018】
図7は、回転軸1を回転させたときの球体15の循環移動を示す模式図である。1は回転軸、A,B,C,Dは介入基幹盤、15は球体、22は挟みレールである。球体15中の文字Aは介入基幹盤Aのウェイト収納容器2の球体15を表す。球体15中の文字B,C,Dも同様である。
【0019】
図示しない駆動源によって回転軸1を回転させると、球体15はその自重により、最も低い位置を求めて、挟みレール22上の無限軌道16を循環移動する。上記のように、回転軸1の回転方向と球体15の循環方向は逆である。
【0020】
図7に示すように、回転軸1の中心を通る垂直線23によって、球体15は、下降ウェイト群(図中白抜きで表す)と上昇ウェイト群(図中斜線で表す)とに分類される。球体15が垂直線23を通過すると、球体15は、下降ウェイト群から上昇ウェイト群に切り換わり、また上昇ウェイト群から下降ウェイト群に切り換わる。
【0021】
下降ウェイト群の球体15の個数は、上昇ウェイト群の球体15の個数よりも多い。また、下降ウェイト群の球体15の回転軸1からの距離は、上昇ウェイト群の球体15の回転軸1からの距離よりも長いため、下降ウェイト群と上昇ウェイト群により、回転軸1には回転方向のトルクが働く。このため、回転軸1の安定的な回転が担保され、効率の良い発電が可能になる。なお、回転軸1の回転速度は、球体15が遠心力の影響を受けない程度の低速に設定される。回転軸1が回転したら、駆動源による入力を停止することも可能である。
【符号の説明】
【0022】
1…回転軸
2…ウェイト収納容器
4…発電機
15…球体
16…無限軌道