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特許7427270酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C01G 29/00 20060101AFI20240129BHJP
   C01F 7/308 20220101ALI20240129BHJP
【FI】
C01G29/00
C01F7/308
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022101799
(22)【出願日】2022-06-24
(65)【公開番号】P2023097324
(43)【公開日】2023-07-07
【審査請求日】2022-06-24
(31)【優先権主張番号】202111621214.7
(32)【優先日】2021-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515167311
【氏名又は名称】河北科技大学
【氏名又は名称原語表記】HEBEI UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.26 Yuxiang Street, Shijiazhuang, Hebei 050018, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李発堂
(72)【発明者】
【氏名】李奇
(72)【発明者】
【氏名】李少強
(72)【発明者】
【氏名】劉英
(72)【発明者】
【氏名】劉瑞紅
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106362777(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104190445(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104383944(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107308978(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 29/00
C01F 7/308
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料であって、酸素空孔に富むAlとビスマスリッチ型オキシ塩化ビスマスBi1217Clからなることを特徴とする酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料。
【請求項2】
請求項1に記載の酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料の調製方法であって、
硝酸ビスマス五水和物、硝酸アルミニウム九水和物、アンモニウム塩、尿素を撹拌し、12:1~4:2:2~12のモル比で混合した後、マッフル炉に入れて温度を200~500℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成し、撹拌し続けて各イオンを均一に混合するステップaと、
マッフル炉で加熱し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却すると酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料が得られるステップbとを含むことを特徴とする酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料の調製方法。
【請求項3】
前記硝酸ビスマス五水和物、硝酸アルミニウム九水和物、アンモニウム塩、尿素を12:1.5~3:2:4~8のモル比で混合することを特徴とする請求項に記載の酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料の調製方法。
【請求項4】
前記温度を300~450℃まで加熱することを特徴とする請求項に記載の酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料の調製方法。
【請求項5】
前記温度を350~400℃まで加熱することを特徴とする請求項に記載の酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料合成の技術分野に属し、酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性酸素種によって誘発される酸化プロセスは、環境に優しく、経済的かつ持続可能な特性のために幅広く使用されている。反応性の高い活性酸素種を得るために、化学的、物理的及び生物学的方法を含む様々な方法が探索されたが、これらの方法は、エネルギー消費が高く、効率が低い等の欠点が存在している。室温で分子酸素を光触媒活性化して活性酸素種を生成することは、ますます大きな潜在力を示している。太陽エネルギーは、キャリア効果又は励起子効果を駆動し、それにより、スピン禁制を破って活性種を生成することができる。しかしながら、一部の光触媒は、比表面積が小さく、吸着能力が低いため、工業的応用が制限されている。
【0003】
アルミナは比表面積が大きいため、物理吸着を強化するための優れた担体材料であると考えられ、したがって、光触媒の比表面積を増加させ、その吸着性能を強化するために、ヘテロ構造の光触媒を構築するために幅広く使用されている。また、ビスマスリッチ型オキシ塩化ビスマスは、その優れた物理的性質と化学的性質のために幅広く注目されている。しかしながら、分子酸素の吸着能力が低いため、光触媒性能が制限されている。アルミナ/ビスマスリッチ型オキシ塩化ビスマスヘテロ接合光触媒材料を構築することは上記欠陥を改善する効果的な方法であり、分子酸素の吸着能力を強化できるだけでなく、キャリア分離効率を改善することもでき、さらに光触媒性能を著しく向上させる。しかしながら、アルミナの純粋な物理吸着は、工業的生産のニーズを満たすには不十分である。酸素空孔を構築することは効果的な改善策であり、その正電荷の中心は電子を効果的に捕獲して光生成電子-正孔の再結合を低下させることができ、またその周囲の大量の局所電子は分子酸素及び反応物の化学吸着に使用できる。したがって、酸素空孔をアルミナに導入することで、酸素の物理吸着と化学吸着の二重の機能を有することができる。これは、アルミナ材料及びアルミナ系ヘテロ接合光触媒材料の工業的応用により有益である。
【0004】
しかしながら、Alイオンの還元性が弱いため、アルミナに酸素空孔を導入することは困難である。研究により、CO還元処理によって酸素空孔を導入することが報告されており(Xie et al.J.Catal.397(2021)172-182)、電子ビームの蒸着とアニーリングによって酸素空孔を有するAl材料を調製することも報告されている(Zhu et al.ACS Appl.Mater.Interfaces13(2021)35795-35803)。したがって、従来の方法では、大量の表面酸素空孔を有するアルミナ材料を簡単かつ迅速に調製することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料及びその調製方法を提供することにある。酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料は、酸素空孔とヘテロ接合の二重の利点を有し、従来の材料の吸着性能及び光触媒性能が低いという問題を克服する。イオン液体の自然発火法は簡単で、迅速で、コストが低く、従来の方法は操作が複雑で、エネルギー消費が高い等の問題を克服する。
【0006】
本発明の目的はさらに、不飽和配位と豊富な酸素空孔を有するアルミナの簡単な調製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するために、採用する技術的解決手段は以下のとおりである。
【0008】
酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料であって、酸素空孔に富むAlとビスマスリッチ型オキシ塩化ビスマスBi1217Clからなる。
【0009】
好ましくは、前記酸素空孔に富むアルミナAlの調製方法であって、まず硝酸アルミニウム九水和物、アンモニウム塩、尿素を1:0.5~3.0:0.5~2.0のモル比で撹拌混合した後、マッフル炉に入れて温度を200~600℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成し、その後、マッフル炉で保温し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却すると酸素空孔に富むAl材料が得られる。
【0010】
好ましくは、前記温度を500℃まで加熱する。
【0011】
前記アンモニウム塩には、塩化ジメチルアンモニウム、塩化トリメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化ジエチルアンモニウム、2-ブロモエチルアミン臭化水素酸塩、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等のハロゲン化アンモニウム塩のうちの一種又はその複合物が含まれる。
【0012】
前記酸素空孔に富むアルミナAlの調製方法であって、好ましくは、前記硝酸アルミニウム、アンモニウム塩、尿素のモル比は1:0.5~1.5:0.5~1.0である。
【0013】
前記酸素空孔に富むアルミナAlの調製方法であって、好ましくは、前記硝酸アルミニウム、アンモニウム塩、尿素のモル比は1:1.5:0.5である。
【0014】
酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料の調製方法であって、
硝酸ビスマス五水和物、硝酸アルミニウム九水和物、アンモニウム塩、尿素を撹拌し、12:1~4:2:2~12のモル比で混合した後、マッフル炉に入れて温度を200~500℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成し、撹拌し続けて各イオンを均一に混合するステップaと、
マッフル炉で加熱し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却すると酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料が得られるステップbと、を含む。
【0015】
好ましくは、前記硝酸ビスマス五水和物、硝酸アルミニウム九水和物、アンモニウム塩、尿素を12:1.5~3:2:4~8のモル比で混合する。
【0016】
好ましくは、前記温度を300~450℃まで加熱する。最も好ましくは、前記温度を350~400℃まで加熱する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、従来技術に比べて以下の顕著な効果を有する。
【0018】
(1)本発明の酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料Al/Bi1217Clは、比表面積が著しく増加し、酸素を吸着する能力が大幅に改善され、従来の材料の吸着性能と光触媒性能が低いという問題を克服し、ヘテロ構造光触媒を構築するための参考となる。
【0019】
(2)本発明は、複雑な装置を必要とせず、調製方法が簡単で、原料が安価で、コストが低く、生産性が高く、工業的大量生産に適している。
【0020】
(3)本発明は、イオン液体の自然発火法により、その場で不飽和配位のアルミナを調製する。硝酸アルミニウム九水和物はアニオン供与体であり、アンモニウム塩はカチオン供与体であり、一定の温度でイオン液体を形成することができる。補助燃料である尿素と燃料の割合を変えることにより、還元雰囲気を構築して格子酸素を逃がし、それによりAlイオンとOイオンの配位数を変え、酸素空孔を生成することができる。
【0021】
(4)本発明は、酸素空孔に富むアルミナ材料を調製し、酸素の物理吸着と化学吸着の能力を向上させる。大きな比表面積により物理吸着を強化し、酸素空孔の周囲の大量の局所電子によりその化学吸着能力を向上させる。
【0022】
(5)本発明の酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料及び酸素空孔に富むアルミナは幅広く使用されている。酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料は、優れた光触媒性能を有し、汚染物質の分解、CO還元、水素生成等の分野に使用することができる。不飽和配位で酸素空孔に富むアルミナは、工業的生産の担体に使用でき、金属原子の固定等にも使用できる。
【0023】
本発明は、光触媒として幅広い応用見通しを有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施例1~4で調製した欠陥のあるアルミナのX線回折(XRD)スペクトルである。
図2図2は、実施例1~4で調製した欠陥のあるアルミナの紫外線-可視光の拡散反射(UV-Vis DRS)スペクトルである。
図3図3は、実施例1で調製した欠陥のあるアルミナの電子スピン共鳴スペクトル(EPR)である。
図4図4は、実施例1で調製した欠陥のあるアルミナの27Al核磁気共鳴スペクトル(27Al NMR)である。
図5図5は、実施例1で調製した欠陥のあるアルミナのN吸脱着曲線である。
図6図6は、実施例5で調製したAl/Bi1217Cl複合材料の透過型電子顕微鏡(TEM)スペクトルである。
図7図7は、実施例5で調製したAl/Bi1217Cl複合材料のO-TPDスペクトルである。
図8図8は、実施例5で調製したAl/Bi1217Cl複合材料における・O の電子スピントラップスペクトル(EPR-・O )である。
図9図9は、実施例5で調製したAl/Bi1217Cl複合材料における・OHの電子スピントラップスペクトル(EPR-・OH)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面及び具体的な実施形態によって本発明をさらに詳細に説明する。
【0026】
実施例1
【0027】
以下のステップに従って不飽和配位で酸素空孔に富むAlを調製した。
【0028】
硝酸アルミニウム九水和物、塩化ジエチルアンモニウム、尿素を1:0.5:2のモル比で撹拌混合した後、マッフル炉に入れて200℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成したステップ(1)と、
マッフル炉で保温し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却すると酸素空孔と不飽和配位に富む純粋なAl材料が得られたステップ(2)と、を含む。
【0029】
サンプルに対してそれぞれXRD、UV-Vis DRS、EPR、27Al NMR、N吸脱着テストを行い、テストスペクトルはそれぞれ図1図2図3図4及び図5に示すとおりである。
【0030】
図1のXRDスペクトルの横軸はスキャン角(2θ)であり、縦軸は回折ピーク強度である。図1のXRD曲線(1)から分かるように、調製したサンプルは純粋なAl相である。
【0031】
図2のUV-Vis DRSスペクトルの横軸は波長(Wavelength)であり、縦軸は強度(Intensity)である。図2の曲線(1)から、α(hν)=a(hν-Eの式を用いて、禁制帯幅が約4.927eVであると計算された。バンドギャップが広いため、調製したAl材料は光励起されず、酸素を吸着し、電子を蓄積する絶縁体として機能することができる。
【0032】
図3のEPRスペクトルの横軸は磁場強度(B)であり、縦軸は信号強度(Intensity)である。図3の曲線(1)から分かるように、明らかな信号ピークがg=2.000に現れ、これは酸素空孔の特性信号に対応し、調製したAl材料に酸素空孔が存在していることを示している。
【0033】
図427Al NMRスペクトルの横軸はケミカルシフト(ppm)であり、縦軸は吸収ピーク強度(Intensity)である。図4の曲線(1)から分かるように、4配位(14.98ppm)と6配位(65.36ppm)のアルミナが存在している。
【0034】
図5のN吸脱着スペクトルの横軸は相対応力(Relative pressure)であり、縦軸は吸着量(Quantity Adsorbed)である。図中、Aは吸着を表し、Dは脱着を表す。内蔵図の横軸は平均細孔径(Pore Diameter)であり、縦軸は細孔容積(dV/dD Pore Volume)である。図5の曲線(1)であるN吸脱着曲線に従って得られた調製したAl材料の比表面積及び平均孔径はそれぞれ45.2467m/g及び3.0120nmである。得られた欠陥のあるAlは大きな比表面積を有する。
【0035】
実施例2
【0036】
以下のステップに従って不飽和配位で酸素空孔に富むAlを調製した。
【0037】
硝酸アルミニウム九水和物、塩化ジエチルアンモニウム、塩化トリメチルアンモニウム、尿素を1:0.5:2.5:0.5のモル比で撹拌混合した後、マッフル炉に入れて400℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成したステップ(1)と、
マッフル炉で保温し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却するとサンプルが得られたステップ(2)と、を含む。
【0038】
サンプルに対してそれぞれXRD、UV-Vis DRSテストを行い、テストスペクトルはそれぞれ図1及び図2に示すとおりである。図1のXRDスペクトルの曲線(2)は、サンプルのAl結晶相を示している。図2のUV-Vis DRSの曲線(2)から分かるように、本実施例で調製したアルミナは、他の実施例における異なるアンモニウム塩と燃料の割合で調製したアルミナに比べて、同じ光吸収特性を有する。
【0039】
実施例3
【0040】
以下のステップに従って不飽和配位で酸素空孔に富むAlを調製した。
【0041】
硝酸アルミニウム九水和物、臭化テトラブチルアンモニウム、尿素を1:1:0.5のモル比で撹拌混合した後、マッフル炉に入れて600℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成したステップ(1)と、
マッフル炉で保温し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却すると酸素空孔と不飽和配位を有する純粋なAl材料が得られたステップ(2)と、を含む。
【0042】
サンプルに対してそれぞれXRD、UV-Vis DRSテストを行い、テストスペクトルは、それぞれ図1の曲線(3)及び図2の曲線(3)に示すとおりである。図1のXRDパターンの曲線(3)は、サンプルのAl結晶相を示している。図2のDRS図の曲線(3)から分かるように、本実施例で調製したアルミナは、他の実施例における異なるアンモニウム塩と燃料の割合で調製したアルミナに比べて、同じ光吸収特性を有する。
【0043】
実施例4
【0044】
以下のステップに従って不飽和配位で酸素空孔に富むAlを調製した。
【0045】
硝酸アルミニウム九水和物、臭化テトラブチルアンモニウム、尿素を1:1.5:2のモル比で撹拌混合した後、マッフル炉に入れて500℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成したステップ(1)と、
マッフル炉で保温し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却すると酸素空孔と不飽和配位を有する純粋なAl材料が得られたステップ(2)と、を含む。
【0046】
サンプルに対してそれぞれXRD、UV-Vis DRSテストを行った。図1のXRDスペクトルの曲線(4)は、サンプルもAlからなることを示している。図2のDRS図の曲線(4)から分かるように、本実施例で調製したアルミナは、他の実施例における異なるアンモニウム塩と燃料の割合で調製したアルミナに比べて、同じ光吸収特性を有する。
【0047】
実施例5
【0048】
以下のステップに従って不飽和配位で酸素空孔に富むAlとBi1217Clを複合し、酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料を調製した。
【0049】
硝酸ビスマス五水和物、硝酸アルミニウム九水和物、塩化ジエチルアンモニウム、尿素を12:2:2:6のモル比で撹拌混合した後、マッフル炉に入れて500℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成したステップ(1)と、
マッフル炉で保温し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却するとAlとBi1217Clの複合材料が得られたステップ(2)と、を含む。
【0050】
サンプルに対してそれぞれHRTEM、O-TPD及びEPR-・O -、EPR-・OHテストを行い、テストスペクトルはそれぞれ図6図7図8及び図9に示すとおりである。
【0051】
図6からBi1217Clの格子縞を見つけることができ、Bi1217Clが存在しているを示しており、図中のピンぼけ部分はAlに属し、AlがBi1217Clと緊密に結合していることを示ている。
【0052】
図7のO-TPDスペクトルの横軸は温度(Temperature)を表し、縦軸は吸着強度(Intensity)を表す。図7から分かるように、酸素空孔を有するアルミナをBi1217Clに導入すると、酸素を吸着する能力が大幅に改善され、これは、酸素空孔を有するアルミナの分子酸素の物理吸着と化学吸着の二重の機能によるものである。
【0053】
図8は、サンプルの分子酸素活性化産物・O の量を検出するための・O のEPRスペクトルである。横軸は磁場強度(B)を表し、縦軸は信号強度(Intensity)を表す。図から分かるように、Al/Bi1217Clヘテロ接合光触媒の・O はBi1217Clより高く、これは、酸素空孔に富むアルミナの導入により、分子酸素の吸着と活性化を著しく改善し、活性酸素種・O の生成を促進することを示している。
【0054】
図9は、サンプルの分子酸素活性化生成物・OHの量を検出するための・OHのEPRスペクトルである。横軸は磁場強度(B)を表し、縦軸は信号強度(Intensity)を表す。図から分かるように、Al/Bi1217Clヘテロ接合光触媒の・OHはBi1217Clより高く、これは、酸素空孔に富むアルミナの導入により、分子酸素の吸着と活性化を著しく改善し、活性酸素種・OHの生成を促進することを示している。
【0055】
実施例6
【0056】
以下のステップに従って不飽和配位で酸素空孔に富むAlとBi1217Clを複合し、酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料を調製した。
【0057】
硝酸ビスマス五水和物、硝酸アルミニウム九水和物、塩化ジエチルアンモニウム、尿素を12:1:2:3のモル比で撹拌混合した後、マッフル炉に入れて500℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成したステップ(1)と、
マッフル炉で保温し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却するとAlとBi1217Clの複合材料が得られたステップ(2)と、を含む。
【0058】
実施例7
【0059】
以下のステップに従って不飽和配位で酸素空孔に富むAlとBi1217Clを複合し、酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料を調製した。
【0060】
硝酸ビスマス五水和物、硝酸アルミニウム九水和物、塩化トリメチルアンモニウム、尿素を12:4:2:12のモル比で撹拌混合した後、マッフル炉に入れて500℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成したステップ(1)と、
マッフル炉で保温し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却するとAlとBi1217Clの複合材料が得られたステップ(2)と、を含む。
【0061】
実施例8
【0062】
以下のステップに従って不飽和配位で酸素空孔に富むAlとBi1217Clを複合し、酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料を調製した。
【0063】
硝酸ビスマス五水和物、硝酸アルミニウム九水和物、塩化テトラメチルアンモニウム、尿素を12:3:2:9のモル比で撹拌混合した後、マッフル炉に入れて500℃まで加熱し、原料を徐々に溶融してイオン液体を形成したステップ(1)と、
マッフル炉で加熱し続け、イオン液体を自然発火反応させ、室温まで冷却するとAlとBi1217Clの複合材料、即ち、本発明の生成物である酸素空孔に富むアルミナ系ヘテロ接合材料が得られたステップ(2)と、を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9