(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】タイヤのシリアル番号を認識するための端末、システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 30/146 20220101AFI20240129BHJP
B60C 19/00 20060101ALI20240129BHJP
B60C 13/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G06V30/146
B60C19/00 H
B60C13/00 A
(21)【出願番号】P 2023198773
(22)【出願日】2023-11-24
【審査請求日】2023-11-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523442932
【氏名又は名称】あやたかシステム開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】金子 愼太郎
【審査官】佐田 宏史
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-104424(JP,A)
【文献】特開2021-128696(JP,A)
【文献】特開2018-088116(JP,A)
【文献】特開平10-115508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 30/146
B60C 13/00,19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤのシリアル番号を認識するための端末であって、
前記タイヤに表示された前記シリアル番号の全体像を含む画像を取得する第1取得部と、
取得した前記画像において、前記シリアル番号の全体像を検知し、当該全体像において、2つのネジ跡を検知する第1検知部と、
前記2つのネジ跡のうち上部のネジ跡と下部のネジ跡の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正する補正部と、
補正した前記シリアル番号の全体像内の各文字を検知する第2検知部と、
検知した前記各文字に基づいて、前記シリアル番号の全体像が反転しているかどうかを判定する第1判定部と、
前記シリアル番号の全体像が反転していると判定された場合、当該全体像を上下反転する反転部と、
前記2つのネジ跡の間にある文字領域を検出して文字認識する認識部と、
を備える端末。
【請求項2】
前記第1判定部は、検知した前記各文字の画像と、前記2つのネジ跡を結ぶ線とに基づいて、前記シリアル番号の全体像は反転画像であると判定する請求項1に記載の端末。
【請求項3】
正位置の前記シリアル番号の全体像と、角度のある前記シリアル番号の全体像と、前記2つのネジ跡と、前記各文字の画像とを学習して、学習済みモデルを作成する学習部をさらに備える請求項1に記載の端末。
【請求項4】
前記学習部は、前記各文字の反転画像について、タグ付けして学習する請求項3に記載の端末。
【請求項5】
タイヤ全体の画像を取得する第2取得部と、
前記学習済みモデルに基づいて、取得した前記画像において、前記タイヤの前記シリアル番号の全体像を推測し、当該全体像において、2つのネジ跡を推測する第1推測部と、
前記学習済みモデルに基づいて、前記シリアル番号の全体像内の各文字の画像を推測する第2推測部と、
前記学習済みモデルに基づいて、推測した前記各文字の画像において、反転文字が存在する場合は、前記シリアル番号の全体像は反転画像であると判定する第2判定部と、
をさらに備える請求項4に記載の端末。
【請求項6】
タイヤのシリアル番号を認識するためのシステムであって、
前記タイヤに表示された前記シリアル番号の全体像を含む画像を取得する第1取得部と、
取得した前記画像において、前記シリアル番号の全体像を検知し、当該全体像において、2つのネジ跡を検知する第1検知部と、
前記2つのネジ跡のうち上部のネジ跡と下部のネジ跡の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正する補正部と、
補正した前記シリアル番号の全体像内の各文字を検知する第2検知部と、
検知した前記各文字に基づいて、前記シリアル番号の全体像が反転しているかどうかを判定する第1判定部と、
前記シリアル番号の全体像が反転していると判定された場合、当該全体像を上下反転する反転部と、
前記2つのネジ跡の間にある文字領域を検出して文字認識する認識部と、
を備えるシステム。
【請求項7】
タイヤのシリアル番号を認識するためのシステムが実行する方法であって、
前記タイヤに表示された前記シリアル番号の全体像を含む画像を取得するステップと、
取得した前記画像において、前記シリアル番号の全体像を検知し、当該全体像において、2つのネジ跡を検知するステップと、
前記2つのネジ跡のうち上部のネジ跡と下部のネジ跡の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正するステップと、
補正した前記シリアル番号の全体像内の各文字を検知するステップと、
検知した前記各文字に基づいて、前記シリアル番号の全体像が反転しているかどうかを判定するステップと、
前記シリアル番号の全体像が反転していると判定された場合、当該全体像を上下反転するステップと、
前記2つのネジ跡の間にある文字領域を検出して文字認識するステップと、
を備える方法。
【請求項8】
コンピュータに、
タイヤに表示されたシリアル番号の全体像を含む画像を取得するステップ、
取得した前記画像において、前記シリアル番号の全体像を検知し、当該全体像において、2つのネジ跡を検知するステップ、
前記2つのネジ跡のうち上部のネジ跡と下部のネジ跡の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正するステップ、
補正した前記シリアル番号の全体像内の各文字を検知するステップ、
検知した前記各文字に基づいて、前記シリアル番号の全体像が反転しているかどうかを判定するステップ、
前記シリアル番号の全体像が反転していると判定された場合、当該全体像を上下反転するステップ、
前記2つのネジ跡の間にある文字領域を検出して文字認識するステップ、
を実行させるコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤのシリアル番号を認識するための端末、システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に製造される車両のタイヤの側面には通常、タイヤセリアルナンバーと呼ばれる一意のシリアル番号が付けられている。タイヤのシリアル番号は、文字と数字の組み合わせで表され、タイヤメーカーや製造日などの情報を含み、タイヤの製造品質や寿命を調べる際に有用となる。
【0003】
このため、タイヤの製造情報の追跡、タイヤの特定、品質管理及び安全性、耐久性及び寿命の追跡を行う際に、タイヤのシリアル番号の文字及び数字を正確に読み取って記録することが重要となり、実際、タイヤのシリアル番号などの情報を取得して記憶するシステムによって、車両に装着するタイヤを管理することが行われている(特許文献1)。
【0004】
ところで、特許文献1のシステムでは、タイヤのシリアル番号を取得して記憶させる場合、ユーザーが、タイヤのシリアル番号を直接見て端末等に手入力するか、手書きで書き写したものをまとめて端末に手入力する手間がかかる。このため、広く普及している文字認識システムによってタイヤのシリアル番号の画像から文字を認識することが試みられているが、セリアルナンバー周囲の型枠やネジの跡によって、文字認識の精度が落ちてしまう。
【0005】
近年、3Dカメラで撮像したタイヤのシリアル番号の3D画像から文字認識する技術があり、この技術を用いれば、特許文献1のようなシステムにタイヤのシリアル番号を登録するのに、ユーザーによる手入力は必要としない。(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】テクニカルシステム株式会社,“タイヤの刻印文字認識検査システム”,[online],令和元年11月1日,株式会社イプロス,[令和5年10月2日検索],インターネット <URL:https://www.ipros.jp/product/detail/2000261167/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、非特許文献1の技術では、タイヤのセリアルナンバーを認識する際に、タイヤを車両から取り外す必要があり、簡単な手順では認識できない。また、タイヤのセリアルナンバーを3D画像で撮像する必要があるため、2D画像に比べて、特殊な装置が必要となるため扱いにくく、データサイズも大きくなる。
【0009】
そこで、本発明者らは、端末やカメラを用いてタイヤのシリアル番号を撮像した画像から文字認識することによって、タイヤのシリアル番号を認識する際に、タイヤを車両から取り外したり、保管場所から持ち運ぶ必要がなく、さらには2D画像であっても正確な文字認識が可能となることに着目した。
【0010】
本発明は、これらの課題に鑑み、タイヤを車両から取り外したり、保管場所から持ち運ぶことなく、画像からタイヤのシリアル番号を文字認識によって読み取ることが可能なタイヤのシリアル番号を認識するための端末、システム、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0012】
本発明の第1の特徴によれば、タイヤのシリアル番号を認識するための端末であって、
前記タイヤに表示された前記シリアル番号の全体像を含む画像を取得する第1取得部と、
取得した前記画像において、前記シリアル番号の全体像を検知し、当該全体像において、2つのネジ跡を検知する第1検知部と、
前記2つのネジ跡のうち上部のネジ跡と下部のネジ跡の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正する補正部と、
補正した前記シリアル番号の全体像内の各文字を検知する第2検知部と、
検知した前記各文字に基づいて、前記シリアル番号の全体像が反転しているかどうかを判定する第1判定部と、
前記シリアル番号の全体像が反転していると判定された場合、当該全体像を上下反転する反転部と、
前記2つのネジ跡の間にある文字領域を検出して文字認識する認識部と、
を備える端末を提供する。
【0013】
本発明の第1の特徴によれば、不定置の端末やカメラを用いてタイヤのシリアル番号を撮像した画像から文字認識ができることから、タイヤのシリアル番号を認識する際に、タイヤを車両から取り外したり、保管場所から持ち運ぶ必要がなく、さらには2D画像であっても正確な文字認識が可能となる。
【0014】
本発明の第2の特徴は、第1の特徴に係る発明であって、
前記第1判定部は、検知した前記各文字の画像と、前記2つのネジ跡を結ぶ線とに基づいて、前記シリアル番号の全体像は反転画像であると判定する端末を提供する。
【0015】
本発明の第2の特徴によれば、0、8、Sなど反転かどうか判断できない文字のみで構成されている場合でも、シリアル番号の全体像が反転していると判断することが可能となる。
【0016】
本発明の第3の特徴は、第1の特徴に係る発明であって、
正位置の前記シリアル番号の全体像と、角度のある前記シリアル番号の全体像と、前記2つのネジ跡と、前記各文字の画像とを学習して、学習済みモデルを作成する学習部をさらに備える端末を提供する。
【0017】
本発明の第3の特徴によれば、正位置のシリアル番号の全体像と、角度のあるシリアル番号の全体像と、ネジ跡と、各文字の画像とを学習して学習済みモデルを作成することにより、タイヤに付けられたシリアル番号の自動認識精度を高めることが可能となる。
【0018】
本発明の第4の特徴は、第3の特徴に係る発明であって、
前記学習部は、前記各文字の反転画像について、タグ付けして学習する端末を提供する。
【0019】
本発明の第3の特徴によれば、検知したシリアル番号の全体像が上下反転していた場合に、検知した各文字の画像が反転していることを学習することにより、タイヤに付けられるシリアル番号の認識精度をさらに高めることが可能となる。
【0020】
本発明の第5の特徴は、第4の特徴に係る発明であって、
タイヤ全体の画像を取得する第2取得部と、
前記学習済みモデルに基づいて、取得した前記画像において、前記タイヤのシリアル番号の全体像を推測し、当該全体像において、2つのネジ跡を推測する第1推測部と、
前記学習済みモデルに基づいて、前記シリアル番号の全体像内の各文字の画像を推測する第2推測部と、
前記学習済みモデルに基づいて、推測した前記各文字の画像において、反転文字が存在する場合は、前記シリアル番号の全体像は反転画像であると判定する第2判定部と、
をさらに備える端末を提供する。
【0021】
本発明の第5の特徴によれば、定置したカメラ等によって遠目でタイヤ全体を撮像した場合でも、学習データによって、撮像した画像から文字認識ができることから、タイヤのシリアル番号を認識する際に、タイヤを車両から取り外したり、保管場所から持ち運ぶ必要がなく、さらには2D画像であっても、さらに正確な文字認識が可能となる。
【0022】
本発明は、端末のカテゴリであるが、システム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、タイヤを車両から取り外したり、保管場所から持ち運ぶことなく、画像からタイヤのシリアル番号を文字認識によって読み取ることが可能なタイヤのシリアル番号を認識するための端末、システム、方法およびプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態であるタイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要を説明するための図である。
【
図2】本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1の構成図である。
【
図3】本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する処理のフローチャートである。
【
図4】本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行するシリアル番号全体像及びネジ跡を検知する処理を説明するための図である。
【
図5】本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する傾き補正処理を説明するための図である。
【
図6】本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する文字画像検知処理を説明するための図である。
【
図7】本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行するネジ跡を結ぶ線による反転判定処理を説明するための図である。
【
図8】本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行するシリアル番号反転処理を説明するための図である。
【
図9】本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する文字認識処理を説明するための図である。
【
図10】本発明の第2実施形態であるタイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要を説明するための図である。
【
図11】本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1の構成図である。
【
図12】本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する処理のフローチャートである。
【
図13】本発明の第2実施形態であるタイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する学習処理を説明するための図である。
【
図14】本発明の第1実施形態の別の態様を説明するための図である。
【
図16】本発明の第2実施形態の別の態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0026】
[第1実施形態]
[タイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要]
本発明の第1実施形態であるタイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要について、
図1に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態であるタイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要を説明するための図である。
【0027】
タイヤのシリアル番号を認識するための端末1は、例えば、ハンディターミナル、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等の端末であり、カメラ等のカラー動画および/または静止画等の画像を撮影する撮像デバイスを備える。
【0028】
端末1は、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよく、クラウドコンピュータのように仮想的な装置で実現されてもよい。
【0029】
次に、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する処理の概要について説明する。
まず、端末1は、タイヤに表示されたシリアル番号の全体像を含む画像100を取得する(ステップS11)。具体的には、端末1は、ユーザーが端末1を用いて撮影したタイヤのシリアル番号の全体像110が写った画像100を取得する。
【0030】
次に、端末1は、取得した画像100において、シリアル番号の全体像110を検知し、当該全体像110において、2つのネジ跡120を検知する(ステップS12)。具体的には、端末1は、取得した画像100に写っているタイヤのシリアル番号の全体像110を検知して抽出し、抽出した画像に含まれる2つのネジ跡120を検知する。シリアル番号の全体像110の検知方法と抽出方法については、特に限定しない。また、2つのネジ跡120の検知方法については、特に限定しない。
【0031】
ステップS12において、端末1は、検知したシリアル番号の全体像110特有の特徴量と、検知した2つのネジ跡120特有の特徴量とを、機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS12以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0032】
次に、端末1は、検知した2つのネジ跡120のうち上部のネジ跡120と下部のネジ跡120の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正する(ステップS13)。具体的には、端末1は、2つのネジ跡120のうち上部のネジ跡120と下部のネジ跡120から、検知したシリアル番号の全体像110の傾きを求め、2つのネジ跡120が水平となるようにシリアル番号の全体像110を補正する。
【0033】
次に、端末1は、補正したシリアル番号の全体像110内の各文字130を検知する(ステップS14)。具体的には、端末1は、補正したシリアル番号の領域内110内の各文字130の画像を、1字ずつ検知して抽出する。各画像100の検知及び抽出方法については、特に限定しない。
【0034】
ステップS14において、端末1は、検出した各文字130の画像特有の特徴量を機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS14以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0035】
次に、端末1は、検知した各文字130に基づいて、シリアル番号の全体像110が反転しているかどうかを判定する(ステップS15)。具体的には、端末1は、検知した各文字130の画像において、それぞれ文字認識を行い、1字でも文字として認識されない場合は、シリアル番号の全体像110が反転していると判定する。さらに、端末1は、検知した各文字130の画像において、中央の文字の座標が2つのネジ跡を結ぶ線より下方向にある場合は、シリアル番号の全体像110は反転画像であると判定してもよい。また、端末1は、検知した各文字130を表示し、表示された各文字のうち1字でも反転している場合は、ユーザーからの入力を受け付けることにより、シリアル番号の全体像110が反転していると判定してもよい。
【0036】
ステップS15において、端末1は、シリアル番号の全体像110が反転画像であると判定した場合は、ステップS14で再学習した各文字130の画像特有の特徴量に対して反転文字としてタグ付けして機械学習による再学習を行い、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS15以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0037】
次に、端末1は、シリアル番号の全体像110が反転していると判定された場合、当該全体像110を上下反転する(ステップS16)。シリアル番号の全体像110が反転していると判定された場合、当該全体像110を180°回転して、正位置のシリアル番号の全体像111を得る。正位置とは、シリアル番号の全体像111が正位置であり、シリアル番号の文字が反転していない位置にあることを言う。
【0038】
ステップS16の後において、端末1は、正位置のシリアル番号の全体像110特有の特徴量を機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS16以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0039】
次に、端末1は、2つのネジ跡120の間にある文字領域140を検出して文字認識する(ステップS17)。具体的には、端末1は、2つのネジ跡120の間にある文字領域140を検出し、検出した文字領域140における各文字を文字データとして認識する。尚、端末1は、認識した文字データを、自身の表示部に出力してもよい。文字データの認識方法については、特に限定されない。
【0040】
以上が、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する処理の概要である。
【0041】
[タイヤのシリアル番号を認識するための端末1のシステム構成]
図2に基づいて、本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1のシステム構成について説明する。
【0042】
端末1は、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよい。
【0043】
端末1は、例えば、ハンディターミナル、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等の端末であり、カメラ等のカラー動画および/または静止画等の画像を撮影する撮像デバイスを備える。
【0044】
端末1は、制御部および処理部として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えており、制御部は、後述の処理部、撮像部、通信部、入力部、出力部、記憶部に実行命令を出し、処理部は、データの計算を行い、計算結果の判定などを行う。
【0045】
撮像部は、動画および/または静止画等の画像を撮影するためのデバイスを備える。カラー画像が撮影できれば、特に限定されない。
【0046】
端末1は、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。通信方式は、無線であっても有線であってもよい。
【0047】
端末1は、入力部として、ユーザーが端末1を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、ペンタブレット、装置上のハードウェアボタン、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。入力方法により、本発明は特に機能が限定されるものではない。
【0048】
端末1は、出力部として、ユーザーが端末1を操作するために必要な機能を備えるものとする。出力を実現するための例として、液晶ディスプレイ、PCのディスプレイ、プロジェクター等の表示部への投影等の表示と、音声出力等の形態が考えられる。出力方法により、本発明は特に機能が限定されるものではない。
【0049】
端末1は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージを備える。データの保存先は、クラウドサービスやデータベース等であってもよい。
【0050】
制御部は、処理部と協働して取得部10、第1検知部11、補正部12,第2検知部13、第1判定部14、反転部15、認識部16、学習部17を実現する。
【0051】
以上が、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1のシステム構成である。
【0052】
[タイヤのシリアル番号認識処理]
図3に基づいて、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行するタイヤのシリアル番号認識処理について説明する。
図3は、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行するタイヤのシリアル番号認識処理のフローチャートを示す図である。タイヤのシリアル番号認識処理は、
図3に示すように、ステップS31~S37で構成され、上述のステップS11~S17に対応する。
【0053】
まず、端末1の取得部10は、タイヤに表示されたシリアル番号の全体像110を含む画像100を取得する(ステップS31)。具体的には、取得部10は、ユーザーが端末1を用いて撮影したタイヤのシリアル番号の全体像110が写った画像100を取得する。画像は、カラー画像であれば、動画でも静止画でもよい。
【0054】
次に、端末1の第1検知部11は、取得した画像100において、シリアル番号の全体像110を検知し、当該全体像110において、2つのネジ跡120を検知する(ステップS32)。具体的には、端末1は、取得した画像100に写ったタイヤのシリアル番号の全体像110を検知して抽出し、抽出した画像において、特定の形状のネジ跡120を2つ検知する。シリアル番号の全体像110の検知方法と抽出方法については、特に限定しない。
【0055】
図4に示すように、タイヤのシリアル番号は、2つネジ跡120の間に表示される。本明細書では、2つネジ跡120の形状は、丸ボッチとなっているが、他のいかなる形状でもよい。2つのネジ跡120の検知方法については、特に限定しない。
【0056】
ステップS32において、端末1の学習部17は、検知したシリアル番号の全体像110特有の特徴量と、検知した2つのネジ跡120特有の特徴量とを、機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS32以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0057】
次に、端末1の補正部12は、2つのネジ跡120のうち上部のネジ跡120と下部のネジ跡120の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正する(ステップS33)。具体的には、
図5に示すように、補正部12は、ステップS32で抽出した2つのネジ跡120のうち下部のネジ跡120を原点とした上部のネジ跡の角度を求め、時計回りまたは反時計回り方向に、シリアル番号の全体像110を求めた角度分回転させて、2つのネジ跡120が水平となるように、シリアル番号の全体像110を補正する。その結果、2つのネジ跡120が水平位置にあるシリアル番号の全体像110が得られる。
【0058】
次に、端末1の第2検知部13は、補正したシリアル番号の全体像110内の各文字130を検知する(ステップS34)。具体的には、
図6に示すように、補正したシリアル番号の全体像110に含まれる文字を1字ずつ検知し、各文字130が全体に及ぶように矩形状に囲んで抽出、つまり各文字130を含む矩形状の画像を抽出する。文字の検知および抽出方法については、特に限定しない。本実施形態では、各文字を矩形状で囲んでいるが、他のいかなる形状で囲んでもよい。
【0059】
ステップS34において、端末1の学習部17は、検出した各文字130の画像特有の特徴量を機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS34以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0060】
次に、端末1の第1判定部14は、検知した各文字130に基づいて、シリアル番号の全体像110が反転しているかどうかを判定する(ステップS35)。具体的には、第1判定部14は、ステップS14で抽出した各文字130の画像において、それぞれ文字認識を行い、文字として認識されない文字の画像が存在する場合は、シリアル番号の全体像110が反転していると判定する。さらに、第1判定部14は、検知した各文字130の画像において、中央の文字の座標が2つのネジ跡を結ぶ線より下方向にある場合は、シリアル番号の全体像110は反転画像であると判定してもよい。また、端末1の表示部によって、検知した各文字130を表示し、表示された各文字のうち1字でも反転している場合は、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることにより、第1判定部14がシリアル番号の全体像110が反転していると判定してもよい。
【0061】
ステップS35において、端末1の学習部17は、シリアル番号の全体像110が反転画像であると判定した場合は、ステップS34で再学習した各文字130の画像特有の特徴量に対して反転文字としてタグ付けして機械学習による再学習を行い、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS35以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0062】
次に、端末1の反転部15は、シリアル番号の全体像110が反転していると判定された場合、当該全体像110を上下反転する(ステップS36)。具体的には、
図8に示すように、シリアル番号の全体像110が反転していると判定された場合、反転部15は、シリアル番号の全体像110の中心を原点に、時計回りまたは反時計回り方向に180°回転して、シリアル番号の全体像110を正位置に補正する。その結果、シリアル番号の各文字が正しい方向となる、水平方向正位置のシリアル番号の全体像111が水平方向正位置で得られる。
【0063】
ステップS36の後において、端末1の学習部17は、正位置のシリアル番号の全体像110特有の特徴量を機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS36以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0064】
次に、端末の認識部16は、2つのネジ跡120の間にある文字領域140を検出して文字認識する(ステップS37)。具体的には、
図9に示すように、認識部16は、2つのネジ跡120の間にある文字領域140を検出し、検出した文字領域140における各文字を文字データとして認識する。尚、端末1の出力部は、認識した文字データを、自身の表示部に出力してもよい。文字データの認識方法については、特に限定されない。
【0065】
以上が、タイヤのシリアル番号認識処理である。
【0066】
タイヤのシリアル番号を認識するための端末1によれば、端末1を用いてタイヤのシリアル番号を撮像した画像から文字認識ができることから、タイヤのシリアル番号を認識する際に、タイヤを車両から取り外したり、保管場所から持ち運ぶ必要がなく、さらには2D画像であっても正確な文字認識が可能となる。
【0067】
また、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1によれば、0、8、Sなど反転かどうか判断できない文字のみで構成されている場合でも、シリアル番号の全体像が反転していると判断することが可能となる。
【0068】
[第2実施形態]
[タイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要]
本発明の第2実施形態であるタイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要について、
図10に基づいて説明する。
図10は、本発明の一実施形態であるタイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要を説明するための図である。なお、第1実施形態と同一の機能および構成については同一の符号を付し、説明を省略する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは、学習済みデータを用いたタイヤのシリアル番号を認識するための端末1である点である。
【0069】
[タイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要]
本発明の第2実施形態であるタイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要について、
図10に基づいて説明する。
図10は、本発明の第2実施形態であるタイヤのシリアル番号を認識するための端末1の概要を説明するための図である。
【0070】
タイヤのシリアル番号を認識するための端末1は、第1実施形態同様、例えば、ハンディターミナル、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等の端末であり、カメラ等のカラー動画および/または静止画等の画像を撮影する撮像デバイスを備える。
【0071】
端末1は、第1実施形態同様、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよく、クラウドコンピュータのように仮想的な装置で実現されてもよい。
【0072】
次に、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する処理の概要について説明する。
まず、端末1は、タイヤ全体の画像200を取得する(ステップS21)。具体的には、端末1は、ユーザーが端末1を用いて撮影したタイヤ全体の画像200を取得する。本ステップは、第1実施形態のステップS11と同様のステップである。
【0073】
次に、端末1は、学習済みモデル300に基づいて、取得した画像200において、タイヤのシリアル番号の全体像110を推測し、当該全体像110において、2つのネジ跡120を推測する(ステップS22)。具体的には、端末1は、予め機械学習して作成した学習済みモデル300に基づいて、取得した画像200に写っているタイヤのシリアル番号の全体像110を推測して抽出し、抽出した画像に含まれる2つのネジ跡120を推測する。機械学習の種類や方法については、特に問わない。シリアル番号の全体像110の推測方法と抽出方法については、特に限定しない。また、2つのネジ跡120の推測方法については、特に限定しない。
【0074】
ステップS22において、端末1は、推測したシリアル番号の全体像110特有の特徴量を機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS22以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0075】
次に、端末1は、2つのネジ跡120のうち上部のネジ跡120と下部のネジ跡120の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正する(ステップS23)。本ステップは、2つのネジ跡120が推測された点について以外は、第1実施形態のステップS13と同様のステップである。
【0076】
次に、端末1は、学習済みモデル300に基づいて、補正したシリアル番号の全体像110内の各文字130の画像を推測する(ステップS24)。具体的には、端末1は、学習済みモデル300に基づいて、補正したシリアル番号の全体像110内の各文字130の画像を、1字ずつ推測して抽出する。各文字130の画像の検知及び抽出方法については、特に限定しない。
【0077】
ステップS24において、端末1は、推測した各文字130の画像特有の特徴量を機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS24以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0078】
次に、端末1は、学習済みモデル300に基づいて、推測した前記各文字の画像において、シリアル番号の全体像110が反転しているかどうかを判定する(ステップS25)。具体的には、端末1は、学習済みモデル300に基づいて、反転文字としてタグ付けされている学習済みの各文字130の画像に基づいた場合は、シリアル番号の全体像110が反転していると判定する。
【0079】
ステップS25において、端末1は、シリアル番号の全体像110が反転画像であると判定した場合は、ステップS24で再学習した各文字130の画像特有の特徴量に対して反転文字としてタグ付けして機械学習による再学習を行い、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS25以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0080】
次に、端末1は、シリアル番号の全体像110が反転していると判定された場合、当該全体像110を上下反転する(ステップS26)。本ステップは、第1実施形態のステップS16と同様のステップである。
【0081】
ステップS26の後において、端末1は、水平方向正位置のシリアル番号の全体像111特有の特徴量を機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS26以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0082】
次に、端末1は、2つのネジ跡120の間にある文字領域140を検出して文字認識する(ステップS27)。本ステップは、第1実施形態のステップS17と同様のステップである。
【0083】
以上が、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する処理の概要である。
【0084】
[タイヤのシリアル番号を認識するための端末1のシステム構成]
図11に基づいて、本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するための端末1のシステム構成について説明する。
【0085】
端末1は、第1実施形態同様、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよい。
【0086】
端末1は、第1実施形態同様、例えば、ハンディターミナル、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等の端末であり、カメラ等のカラー動画および/または静止画等の画像を撮影する撮像デバイスを備える。
【0087】
端末1は、第1実施形態同様、制御部および処理部として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えており、制御部は、後述の処理部、撮像部、通信部、入力部、出力部、記憶部に実行命令を出し、処理部は、データの計算を行い、計算結果の判定などを行う。
【0088】
撮像部は、第1実施形態同様、動画および/または静止画等の画像を撮影するためのデバイスを備える。カラー画像が撮影できれば、特に限定されない。
【0089】
端末1は、第1実施形態同様、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。通信方式は、無線であっても有線であってもよい。
【0090】
端末1は、第1実施形態同様、入力部として、ユーザーが端末1を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、ペンタブレット、装置上のハードウェアボタン、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。入力方法により、本発明は特に機能が限定されるものではない。
【0091】
端末1は、第1実施形態同様、出力部として、ユーザーが端末1を操作するために必要な機能を備えるものとする。出力を実現するための例として、液晶ディスプレイ、PCのディスプレイ、プロジェクター等の表示部への投影等の表示と、音声出力等の形態が考えられる。出力方法により、本発明は特に機能が限定されるものではない。
【0092】
端末1は、第1実施形態同様、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージを備える。データの保存先は、クラウドサービスやデータベース等であってもよい。
【0093】
制御部は、処理部と協働して取得部10、第3取得部21、第1推測部22、補正部12,第2推測部23、第2判定部24、反転部15、認識部16、学習部17を実現する。
【0094】
以上が、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1のシステム構成である。
【0095】
[タイヤのシリアル番号認識処理]
図12に基づいて、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行するタイヤのシリアル番号認識処理について説明する。
図12は、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行するタイヤのシリアル番号認識処理のフローチャートを示す図である。タイヤのシリアル番号認識処理は、
図12に示すように、ステップS41~S47で構成され、上述のステップS21~S27に対応する。
【0096】
まず、端末1の取得部10は、タイヤ全体の画像200を取得する(ステップS41)。具体的には、第1取得部20は、ユーザーが端末1を用いて撮影したタイヤ全体が写った画像200を取得する。画像は、カラー画像であれば、動画でも静止画でもよい。本ステップは、第1実施形態のステップS31と同様のステップである。
【0097】
次に、端末1の第1推測部22は、学習済みモデル300に基づいて、取得した画像200において、タイヤのシリアル番号の全体像110を推測し、当該全体像110において、2つのネジ跡120を推測する(ステップS42)。具体的には、第1推測部22は、角度のあるシリアル番号の全体像110と、2つのネジ跡120とに基づいて、取得した画像200に写っているタイヤのシリアル番号の全体像110を推測して抽出し、機械学習済みの2つのネジ跡120に基づいて、抽出した画像に含まれる2つのネジ跡120を推測する。機械学習の種類や方法については、特に問わない。シリアル番号の全体像110の推測方法と抽出方法については、特に限定しない。また、2つのネジ跡120の推測方法については、特に限定しない。
【0098】
ステップS42において、端末1の学習部17は、推測したシリアル番号の全体像110を角度のあるシリアル番号の全体像110特有の特徴量と、推測した2つのネジ跡120特有の特徴量とを、機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS42以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0099】
次に、端末1の補正部12は、2つのネジ跡120のうち上部のネジ跡120と下部のネジ跡120の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正する(ステップS43)。本ステップは、2つのネジ跡120が推測された点について以外は、第1実施形態のステップS33と同様のステップである。
【0100】
次に、端末1の第1推測部22は、2つのネジ跡120の間にある文字列において、各文字130を検知する(ステップS44)。具体的には、第1推測部22は、学習済みモデル300に基づいて、
図6に示すように、推測したシリアル番号の全体像110に含まれる文字を1字ずつ推測し、各文字130が全体に及ぶように矩形状に囲んで抽出、つまり各文字130を含む矩形状の画像を抽出する。各文字130の画像の推測および抽出方法については、特に限定しない。本実施形態では、各文字を矩形状で囲んでいるが、他のいかなる形状で囲んでもよい。
【0101】
ステップS44において、端末1の学習部17は、推測した各文字130の画像特有の特徴量を機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS44以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0102】
次に、端末1の第2判定部24は、学習済みモデル300に基づいて、シリアル番号の全体像110が反転しているかどうかを判定する(ステップS45)。具体的には、第2判定部24は、推測した各文字130の画像において、学習済みの各文字130の画像が反転文字としてタグ付けされている場合は、シリアル番号の全体像110が反転していると判定する。
【0103】
ステップS45において、端末1の学習部17は、シリアル番号の全体像110が反転画像であると判定した場合は、ステップS44で再学習した各文字130の画像特有の特徴量に対して反転文字としてタグ付けして機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS45以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0104】
次に、端末1の反転部15は、シリアル番号の全体像110が反転していると判定された場合、当該全体像110を上下反転する(ステップS46)。本ステップは、第1実施形態のステップS36と同様のステップである。
【0105】
ステップS46の後において、端末1は、水平方向正位置のシリアル番号の全体像111特有の特徴量を機械学習によって再学習させて、学習済みモデル300を更新してもよい。尚、この機械学習による再学習は、ステップS46以降であれば、いずれのタイミングで行なってもよく、端末1の入力部がユーザーからの入力を受け付けることによって行ってもよい。機械学習については後述する。
【0106】
次に、端末の認識部16は、2つのネジ跡120の間にある文字領域140を検出して文字認識する(ステップS47)。本ステップは、第1実施形態のステップS37と同様のステップである。
【0107】
以上が、タイヤのシリアル番号認識処理である。
【0108】
[学習処理]
図13に基づいて、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する学習処理について説明する。
図13は、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する学習処理のフローチャートを示す図である。
【0109】
端末1の取得部10は、学習用画像を取得する(ステップS51)。具体的には、取得部10は、ユーザーが端末1を用いて撮影した正位置のシリアル番号の全体像111の画像を取得する。画像は、カラー画像であれば、動画でも静止画でもよい。尚、学習用画像は、別の端末、コンピュータ又は装置からデータ通信等を介して取得してもよい。
【0110】
端末1の学習部17は、取得した学習用画像を解析する(ステップS52)。具体的には、学習部17は、この学習用画像に写った正位置のシリアル番号の全体像111と、角度のあるシリアル番号の全体像111と、2つのネジ跡120と、各文字の画像100を検知して画像解析し、これらに特有の特徴量をそれぞれ抽出する。また、学習部17は、ユーザーからの入力を端末1の入力部が受け付けることにより、本ステップを実行してもよい。
【0111】
端末1の学習部17は、各文字の画像100の上下反転画像については、ステップS52で検知した各文字130の画像を反転させた反転画像を作成してその特徴量を抽出し、反転文字としてタグ付けする。また、学習部17は、ユーザーからの入力を端末1の入力部が受け付けることにより、本ステップを実行してもよい。
【0112】
端末1の学習部17は、ステップS51で抽出した特徴量と、ステップS52で反転文字としてタグ付けした上下反転画像の特徴量に基づいて、機械学習を実行する(ステップS53)。具体的には、学習部17は、機械学習として、ステップS51で抽出した特徴量と、ステップS52で反転文字としてタグ付けした上下反転画像特有の特徴量とを教師とした教師あり学習を実行する。ステップS51で抽出した特徴量と、ステップS52で反転文字としてタグ付けした上下反転画像の特徴量は、多層構造のニューラルネットワークによって自動的に定義して学習する深層学習(ディープラ-ニング)で学習してもよい。
【0113】
端末1の学習部17は、学習結果に基づいて、タイヤのシリアル番号認識用学習済みモデルを作成する(ステップS54)。具体的には、学習部17は、正位置のシリアル番号の全体像111特有の特徴量と、角度のあるシリアル番号の全体像111特有の特徴量と、2つのネジ跡120特有の特徴量と、各文字の画像100特有の特徴量と、ステップS52で反転文字としてタグ付けした上下反転画像特有の特徴量を組み込んだタイヤのシリアル番号認識用の学習済みモデル300を作成する。
【0114】
端末1の学習部17は、作成した学習済みモデル300を、自身の記憶部に記憶する(ステップS56)。
【0115】
以上が、学習処理である。
【0116】
タイヤのシリアル番号を認識するための端末1によれば、端末1を用いてタイヤ全体を撮像した画像から文字認識ができることから、タイヤのシリアル番号を認識する際に、タイヤを車両から取り外したり、保管場所から持ち運ぶ必要がなく、さらには2D画像であっても、さらに正確な文字認識が可能となる。
【0117】
また、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1によれば、正位置のシリアル番号の全体像と、角度のあるシリアル番号の全体像と、ネジ跡と、各文字の画像とを学習することにより、タイヤに付けられたシリアル番号の自動認識精度をさらに高めることが可能となる。
【0118】
さらに、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1によれば、検知したシリアル番号の全体像が上下反転していた場合に、検知した各文字の画像が反転していることを学習することにより、タイヤに付けられるシリアル番号の認識精度をさらに高めることが可能となる。
【0119】
[第1実施形態の別の態様]
[タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2の概要]
本発明の第1実施形態の別の態様であるタイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2の概要について、
図14に基づいて説明する。
図14は、本発明の一態様であるタイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2の概要を説明するための図である。なお、上述の第1実施形態の一態様と同一の機能および構成については同一の符号を付し、説明を省略する。本態様が第1実施形態の一態様と異なるのは、コンピュータ3と撮像装置4で構成されたタイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2である点である。
【0120】
タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2は、上述したように、コンピュータ3と撮像装置4で構成される。
【0121】
コンピュータ3は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコンやサーバ等のコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等である。
【0122】
コンピュータ3は、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよく、クラウドコンピュータのように仮想的な装置で実現されてもよい。
【0123】
撮像装置4は、例えば、動画および/または静止画等の画像を撮影するカメラであり、カラー画像が撮影できれば、特に限定されない。
【0124】
コンピュータ3と撮像装置4とは、公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信を実行する。
【0125】
次に、タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2が実行する処理の概要について説明する。
まず、コンピュータ3は、タイヤに表示されたシリアル番号の全体像110を含む画像100を取得する(ステップS11)。具体的には、コンピュータ3が、ユーザーが撮像装置4を用いて撮影したタイヤのシリアル番号の全体像110が写った画像100を取得する以外は、上述の第1実施形態の一態様と同様である。コンピュータ3は、撮像装置4が撮影した画像を、コンピュータ3の通信部により通信網を介して取得してもよいし、外部メディアにより記憶部に格納されることにより取得してもよい。
【0126】
次に、コンピュータ3は、取得した画像100において、シリアル番号の全体像110を検知し、当該全体像110において、2つのネジ跡120を検知する(ステップS12)。具体的には、上述の第1実施形態の一態様と同様である。
【0127】
次に、端末1は、検知した2つのネジ跡120のうち上部のネジ跡120と下部のネジ跡120の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正する(ステップS13)。具体的には、上述の第1実施形態の一態様と同様である。
【0128】
次に、端末1は、補正したシリアル番号の全体像110内の各文字130を検知する(ステップS14)。具体的には、上述の第1実施形態の一態様と同様である。
【0129】
次に、端末1は、検知した各文字130に基づいて、シリアル番号の全体像110が反転しているかどうかを判定する(ステップS15)。具体的には、上述の第1実施形態の一態様と同様である。
【0130】
次に、端末1は、シリアル番号の全体像110が反転していると判定された場合、当該全体像110を上下反転する(ステップS16)。具体的には、上述の第1実施形態の一態様と同様である。
【0131】
次に、端末1は、2つのネジ跡120の間にある文字領域140を検出して文字認識する(ステップS17)。具体的には、上述の第1実施形態の一態様と同様である。
【0132】
以上が、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する処理の概要である。
【0133】
[タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2のシステム構成]
図15に基づいて、本実施形態のタイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2のシステム構成について説明する。
【0134】
コンピュータ3は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコンやサーバ等のコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等である。
【0135】
コンピュータ3は、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよく、クラウドコンピュータのように仮想的な装置で実現されてもよい。
【0136】
コンピュータ3は、制御部および処理部として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えており、制御部は、後述の処理部、通信部、入力部、出力部、記憶部に実行命令を出し、処理部は、データの計算を行い、計算結果の判定などを行う。
【0137】
コンピュータ3は、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。通信方式は、無線であっても有線であってもよい。
【0138】
撮像装置4は、例えば、動画および/または静止画等の画像を撮影するカメラであり、カラー画像が撮影できれば、特に限定されない。
【0139】
コンピュータ3は、入力部として、ユーザーが端末1を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ、キーボード、マウス、ペンタブレット、装置上のハードウェアボタン、音声認識を行うためのマイク等を備えることが可能である。入力方法により、本発明は特に機能が限定されるものではない。
【0140】
コンピュータ3は、出力部として、ユーザーが端末1を操作するために必要な機能を備えるものとする。出力を実現するための例として、液晶ディスプレイ、PCのディスプレイ、プロジェクター等の表示部への投影等の表示と、音声出力等の形態が考えられる。出力方法により、本発明は特に機能が限定されるものではない。
【0141】
コンピュータ3は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージを備える。データの保存先は、クラウドサービスやデータベース等であってもよい。
【0142】
制御部は、処理部と協働して取得部10、第1検知部11、補正部12,第2検知部13、第1判定部14、反転部15、認識部16、学習部17を実現する。
【0143】
撮像装置4は、制御部として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えており、制御部は、後述の処理部、撮像部、通信部、入力部、出力部、記憶部に実行命令を出し、処理部は、データの計算を行い、計算結果の判定などを行う。
【0144】
撮像装置4は、例えば、動画および/または静止画等の画像を撮影するために必要な機能を備えるものとし、カラー画像が撮影できれば、特に限定されない。
【0145】
撮像装置4は、通信部として、他の端末や装置等と通信可能にするためのデバイスを備える。通信方式は、無線であっても有線であってもよい。
【0146】
撮像装置4は、入力部として、ユーザーが撮像装置4を操作するために必要な機能を備えるものとする。入力を実現するための例として、タッチパネル機能を実現する液晶ディスプレイ等を備えることが可能である。入力方法により、本発明は特に機能が限定されるものではない。
【0147】
撮像装置4は、出力部として、ユーザーが撮像装置4を操作するために必要な機能を備えるものとする。出力を実現するための例として、液晶ディスプレイ等の形態が考えられる。出力方法により、本発明は特に機能が限定されるものではない。
【0148】
撮像装置4は、記憶部として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージを備える。データの保存先は、クラウドサービスやデータベース等であってもよい。
【0149】
コンピュータ3と撮像装置4とは、公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信を実行する。
【0150】
以上が、タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2のシステム構成である。
【0151】
[タイヤのシリアル番号認識処理]
タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2が実行するタイヤのシリアル番号認識処理については、上述の第1実施形態の一態様と同様であり、
図3に示すように、ステップS31~S37で構成され、上述のステップS11~S17に対応する。上述の第1実施形態の一態様とは、コンピュータ3が、ユーザーが撮像装置4を用いて撮影したタイヤのシリアル番号の全体像110が写った画像100を取得する点が異なるのみであるため、説明を省略する。コンピュータ3は、撮像装置4が撮影した画像を、コンピュータ3の通信部により通信網を介して取得してもよいし、外部メディアにより記憶部に格納されることにより取得してもよい。
【0152】
[第2実施形態の別の態様]
[タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2の概要]
本発明の第2実施形態の別の態様であるタイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2の概要について、
図16に基づいて説明する。
図16は、本発明の一態様であるタイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2の概要を説明するための図である。なお、上述の第2実施形態の一態様と同一の機能および構成については同一の符号を付し、説明を省略する。本態様が第2実施形態の一態様と異なるのは、上述の第1実施形態の一態様と同様、コンピュータ3と撮像装置4で構成されたタイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2である点である。
【0153】
タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2は、第1実施形態の別の態様同様、コンピュータ3と撮像装置4で構成される。
【0154】
コンピュータ3は、例えば、デスクトップパソコンやノートパソコンやサーバ等のコンピュータ、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、スマートグラス等のヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチといったウェアラブル端末等である。
【0155】
コンピュータ3は、例えば、1台の端末装置で実現されてもよいし、複数の端末装置で実現されてもよく、クラウドコンピュータのように仮想的な装置で実現されてもよい。
【0156】
撮像装置4は、例えば、動画および/または静止画等の画像を撮影するカメラであり、カラー画像が撮影できれば、特に限定されない。
【0157】
コンピュータ3と撮像装置4とは、公衆回線網等を介して、データ通信可能に接続されており、必要なデータや情報の送受信を実行する。
【0158】
次に、タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2が実行する処理の概要について説明する。
まず、システム2は、タイヤ全体の画像200を取得する(ステップS21)。具体的には、コンピュータ3が、ユーザーが撮像装置4を用いて撮影したタイヤのシリアル番号の全体像110が写った画像100を取得する以外は、上述の第2実施形態の一態様と同様である。
【0159】
次に、システム2は、学習済みモデル300に基づいて、取得した画像200において、タイヤのシリアル番号の全体像110を推測し、当該全体像110において、2つのネジ跡120を推測する(ステップS22)。具体的には、上述の第2実施形態の一態様と同様である。
【0160】
次に、システム2は、2つのネジ跡120のうち上部のネジ跡120と下部のネジ跡120の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正する(ステップS23)。具体的には、上述の第2実施形態の一態様と同様である。
【0161】
次に、システム2は、学習済みモデル300に基づいて、補正したシリアル番号の全体像110内の各文字の画像を推測する(ステップS24)。具体的には、上述の第2実施形態の一態様と同様である。
【0162】
次に、システム2は、学習済みモデル300に基づいて、推測した前記各文字の画像において、シリアル番号の全体像110が反転しているかどうかを判定する(ステップS25)。具体的には、上述の第2実施形態の一態様と同様である。
【0163】
次に、システム2は、シリアル番号の全体像110が反転していると判定された場合、当該全体像110を上下反転する(ステップS26)。具体的には、上述の第2実施形態の一態様と同様である。
【0164】
次に、システム2は、2つのネジ跡120の間にある文字領域140を検出して文字認識する(ステップS27)。具体的には、上述の第2実施形態の一態様と同様である。
【0165】
以上が、タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する処理の概要である。
【0166】
[タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2のシステム構成]
図17に示すように、本実施形態の別の態様のタイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2のシステム構成は、コンピュータ3の制御部が、処理部と協働して取得部10、第3取得部21、第1推測部22、補正部12,第1推測部22、第2判定部24、反転部15、認識部16、学習部17を実現する以外は、第1実施形態の別の態様と同様であるため、説明が省略する。
について説明する。
【0167】
[タイヤのシリアル番号認識処理]
タイヤのシリアル番号を認識するためのシステム2が実行するタイヤのシリアル番号認識処理については、上述の第2実施形態の一態様と同様であり、
図12に示すように、ステップS41~S47で構成され、上述のステップS21~S27に対応する。上述の第2実施形態の一態様とは、コンピュータ3が、ユーザーが撮像装置4を用いて撮影したタイヤのシリアル番号の全体像110が写った画像100を取得する点が異なるのみであるため、説明を省略する。
【0168】
[学習処理]
タイヤのシリアル番号を認識するための端末1が実行する学習処理については、上述の第2実施形態の一態様とは、コンピュータ3が、ユーザーが撮像装置4を用いて撮影したタイヤのシリアル番号の全体像110が写った画像100を取得する点が異なるのみであるため、説明を省略する。コンピュータ3は、撮像装置4が撮影した画像を、コンピュータ3の通信部により通信網を介して取得してもよいし、外部メディアにより記憶部に格納されることにより取得してもよい。
【0169】
第1実施形態及び第2実施形態の別の態様のシステム2によれば、デスクトップパソコン、ノートパソコン、サーバ等のコンピュータ3と、カラー動画および/または静止画等の画像を撮影するカメラ等の撮像装置4とで実現できることから、一定の場所に撮像装置4を設置することによって、その場所にタイヤが載置または通過するなどした際に撮影されたタイヤのシリアル番号の全体像110を含む画像を、コンピュータ3が取得してタイヤのシリアル番号を認識することができ、ユーザーが一定場所に出向く手間と時間を省くことが可能となる。
【0170】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、単数又は複数の端末からネットワーク経由で提供される(クラウドサービス、SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記録装置又は外部記録装置に転送し記録して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記録装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記録装置から通信回線を介して端末に提供するようにしてもよい。
【0171】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0172】
1 端末、2 システム、3 コンピュータ、4 撮像装置、10 取得部、11 第1検知部、12 補正部、13 第2検知部、14 第1判定部、15 反転部、16 認識部、17 学習部、21 第3取得部、22 第1推測部、23 第2推測部、24第2判定部、100 200 画像、110 シリアル番号の全体像、120 ネジ跡、130 文字、300 学習済みモデル
【要約】
【課題】タイヤを車両から取り外したり、保管場所から持ち運ぶことなく、画像からタイヤのシリアル番号を文字認識によって読み取る。
【解決手段】
タイヤのシリアル番号を認識するための端末は、前記タイヤに表示されたシリアル番号の全体像を含む画像を取得し、取得した前記画像において、前記シリアル番号の全体像を検知し、当該全体像において、2つのネジ跡を検知し、前記2つのネジ跡のうち上部のネジ跡と下部のネジ跡の座標から傾きを判定し、当該傾きを補正し、補正した前記シリアル番号の全体像内の各文字を検知し、検知した前記各文字に基づいて、前記シリアル番号の全体像が反転しているかどうかを判定し、前記シリアル番号の全体像が反転していると判定された場合、当該全体像を上下反転し、前記2つのネジ跡の間にある文字領域を検出して文字認識する。
【選択図】
図1