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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】成形機用冷却装置及び成形機
(51)【国際特許分類】
   B29B 9/06 20060101AFI20240129BHJP
   B09B 3/30 20220101ALI20240129BHJP
   C10L 5/48 20060101ALI20240129BHJP
   B09B 101/75 20220101ALN20240129BHJP
   B09B 101/85 20220101ALN20240129BHJP
【FI】
B29B9/06
B09B3/30
C10L5/48
B09B101:75
B09B101:85
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020031613
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021133308
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
(72)【発明者】
【氏名】相方 昭夫
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-321845(JP,A)
【文献】特開2011-079306(JP,A)
【文献】特開平10-264150(JP,A)
【文献】特公昭54-002200(JP,B1)
【文献】特開昭54-135852(JP,A)
【文献】特開2009-101588(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109605604(CN,A)
【文献】特開2003-170429(JP,A)
【文献】特開2002-178384(JP,A)
【文献】特公昭60-11601(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
C10L 5/48
B29B 9/00
B29B 17/00
C08J 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融物と非溶融物を含む被処理物を混合及び加熱し、この被処理物を成形ノズルから押し出して成形物を製造する成形機に設置される成形機用冷却装置であって、
上記成形ノズルの先端部を冷却する冷却部を備え
上記冷却部が、上記成形ノズルの先端部に向かって冷却媒体を吐出する冷却ノズルを有し、
上記冷却ノズルから吐出した冷却媒体が、上記成形ノズルの先端部と、この成形ノズルから押し出される成形物とに直接接触するように形成され、
上記成形機の複数の上記成形ノズルの先端部が挿入される複数の貫通孔を有する第1隔壁板と、
上記複数の成形ノズルの先端に対して間隔を置いて配置され、上記複数の成形ノズルから押し出された成形物が通過する複数の通過孔を有する第2隔壁板と
を備え、
上記第1隔壁板と第2隔壁板との間に上記冷却ノズルが配置されており、
上記第1隔壁板の上記成形ノズルの軸方向における設置位置が調節可能に形成されていることを特徴とする成形機用冷却装置。
【請求項2】
請求項に記載の成形機用冷却装置において、
上記冷却媒体が、水であることを特徴とする成形機用冷却装置。
【請求項3】
請求項に記載の成形機用冷却装置において、
上記第2隔壁板の複数の通過孔に連通して成形物を導く複数の成形物通路と、
上記複数の成形物通路に連通する複数の排出孔が形成され、上記成形物を切断する切断刃の刃部が表面に近接して駆動される切断補助板と
を備えることを特徴とする成形機用冷却装置。
【請求項4】
請求項1に記載の成形機用冷却装置において、
上記冷却部が、上記成形ノズルの先端から全長の5%以上20%以下の範囲の部分を冷却するように形成されていることを特徴とする成形機用冷却装置。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1つに記載の成形機用冷却装置を備えた成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融物と非溶融物を含む被処理物を成形する成形機に用いられる成形機用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以前より、廃棄物の再資源化の一環として、廃プラスチック等の溶融物と、古紙等の非溶融物とを混錬及び成形して固形燃料を製造している。このような固形燃料を製造する成形機として、被処理物が投入されるケーシング内に、回転駆動される2軸の螺旋体を平行に配置し、これらの螺旋体の先端面が対向する側に、成形ノズルが装着された端面板を配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9は、従来の成形機の主要部を示す断面図である。この成形機101は、被処理物の投入口112を有するケーシング110と、このケーシング110内に形成された処理室111と、この処理室111内に収容されて回転駆動され、被処理物の混錬及び圧縮を行う螺旋体102を備える。ケーシング110の端面には、螺旋体102の先端面に対向するように端面板115が固定されている。この端面板115には、螺旋体102の先端面の周縁部に対向して複数の成形ノズル116が装着されていると共に、ヒータが内蔵されている。端面板115の外側には、成形物を切断する切断装置118が設置されている。この切断装置118は、成形ノズル116の先端の近傍を軸直角方向に通過するように形成された回転刃120と、この回転刃120の駆動力を生成するモータ121と、モータ121の出力を回転刃120に伝達する伝達機構122を備える。
【0004】
投入口112から処理室111内に投入された被処理物は、上記螺旋体102で混錬及び圧縮され、端面板115に向かって送られる。被処理物は、螺旋体102で混錬及び圧縮されるに伴い、摩擦熱によって温度が上昇する。混錬及び圧縮されて温度が上昇した被処理物は、成形ノズル116の貫通孔に導かれ、この成形ノズル116の貫通孔を通るに伴ってヒータの熱で加熱され、成形される。被処理物が成形ノズル116で成形されてなる成形物は、切断装置118の回転刃120で所定長さに切断され、固形燃料が製造される。
【0005】
上記成形機101で固形燃料を製造するに際して、固形燃料の取り扱いを向上するため、成形物のかさ比重を確保することが求められる。成形物のかさ比重を増大するには、成形ノズル116を通過する被処理物の温度を高めて、溶融物の流動性を向上することが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5797237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の成形機101は、成形ノズル116を通過する被処理物の温度を高めると、成形物が成形ノズル116から排出されるに伴い、処理室111内の圧力から解放されたことに起因して膨張し、かさ比重の増大効果が得られ難い問題がある。また、上記従来の成形機101は、成形物の成形性が悪くなる問題がある。詳しくは、成形ノズル116から排出されて膨張した成形物が、切断装置118の回転刃120で切断され難くなり、回転刃120に引きずられて曲がりが生じる問題や、所定の長さに切断されない問題や、切断面が毛羽立つ問題が生じる場合がある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、成形機で製造する成形物について、効果的にかさ比重を増大できる成形機用冷却装置及び成形機を提供することにある。また、成形物の成形性の悪化を効果的に防止できる成形機用冷却装置及び成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の成形機用冷却装置は、溶融物と非溶融物を含む被処理物を混合及び加熱し、この被処理物を成形ノズルから押し出して成形物を製造する成形機に設置される成形機用冷却装置であって、
上記成形ノズルの先端部を冷却する冷却部を備えること特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、成形機では、溶融物と非溶融物を含む被処理物が混合及び加熱され、この被処理物が成形ノズルから押し出して成形物が製造される。ここで、成形機用冷却装置の冷却部が、成形機の成形ノズルの先端部を冷却することにより、成形ノズルから排出される被処理物の膨張が効果的に防止される。その結果、成形物のかさ比重の低下を防止でき、効果的にかさ比重を増大できる。また、成形ノズルから排出される被処理物の膨張が防止されることにより、この成形物は切断刃で速やかに切断される。その結果、成形物の成形性の悪化を効果的に防止できる。例えば、成形物の曲がりの発生を抑制でき、成形物を安定して所定の長さに切断でき、切断面の毛羽立ちの発生を抑制できる。
【0011】
一実施形態の成形機用冷却装置は、上記冷却部が、上記成形ノズルの先端部に向かって冷却媒体を吐出する冷却ノズルを有する。
【0012】
上記実施形態によれば、冷却部の冷却ノズルにより、成形物を押し出す成形ノズルの先端部を効果的に冷却できる。
【0013】
一実施形態の成形機用冷却装置は、上記冷却ノズルから吐出した冷却媒体が、上記成形ノズルの先端部と、この成形ノズルから押し出される成形物とに直接接触するように形成されている。
【0014】
上記実施形態によれば、冷却ノズルから吐出した冷却媒体が、成形ノズルの先端部と、この成形ノズルから押し出される成形物とに直接接触することにより、成形ノズルから排出された後の成形物の膨張を効果的に防止できる。
【0015】
一実施形態の成形機用冷却装置は、上記冷却媒体が、水である。
【0016】
上記実施形態によれば、冷却媒体として水を用いることにより、成形ノズルの先端部を効果的に冷却することができる。
【0017】
一実施形態の成形機用冷却装置は、上記成形機の複数の上記成形ノズルの先端部が挿入される複数の貫通孔を有する第1隔壁板と、
上記複数の成形ノズルの先端に対して間隔を置いて配置され、上記複数の成形ノズルから押し出された成形物が通過する複数の通過孔を有する第2隔壁板と
を備え、
上記第1隔壁板と第2隔壁板との間に上記冷却ノズルが配置されている。
【0018】
上記実施形態によれば、第1隔壁板の複数の貫通孔に、成形機の複数の成形ノズルの先端部が挿入される。この成形ノズルから押し出された成形物が、この成形ノズルの先端に対して間隔を置いて配置された第2隔壁板の複数の通過穴を通過する。上記第1隔壁板と第2隔壁板との間に配置された冷却ノズルから吐出された冷却媒体により、上記第1隔壁板と第2隔壁板との間に位置する成形ノズルの部分と、この成形ノズルから押し出された成形物を、効果的に冷却できる。また、第1隔壁板と第2隔壁板の間で冷却ノズルから冷却媒体を吐出することにより、冷却媒体の拡散を効果的に防止できる。
【0019】
一実施形態の成形機用冷却装置は、上記第1隔壁板の上記成形ノズルの軸方向における設置位置が調節可能に形成されている。
【0020】
上記実施形態によれば、第1隔壁板の成形ノズルの軸方向における設置位置を調節することにより、成形ノズルへの冷却媒体が接触する範囲を調節できる。これにより、成形ノズルを通過する被処理物に対する冷却の程度を調節できて、成形ノズルから押し出された成形物の膨張量や、かさ比重や、切断刃による切れ味等を調節できる。
【0021】
一実施形態の成形機用冷却装置は、上記第2隔壁板の複数の通過孔に連通して成形物を導く複数の成形物通路と、
上記複数の成形物通路に連通する複数の排出孔が形成され、上記成形物を切断する切断刃の刃部が表面に近接して駆動される切断補助板と
を備える。
【0022】
上記実施形態によれば、第1隔壁板と第2隔壁板の間で冷却された成形物が、第2隔壁板の複数の通過孔に連通する複数の成形物通路に導かれる。成形物通路を通った成形物は、切断補助板の排出孔から排出される。この切断補助板は、成形物を切断する切断刃の刃部が表面に近接して駆動されるので、この切断補助板と切断刃により、成形物通路の排出孔から排出される成形物を効果的に切断することができる。その結果、例えば、成形物の曲がりの発生を抑制でき、成形物を安定して所定の長さに切断でき、切断面の毛羽立ちの発生を抑制できて、成形性の良好な成形物が得られる。
【0023】
一実施形態の成形機用冷却装置は、上記冷却部が、上記成形ノズルの先端から全長の5%以上20%以下の範囲の部分を冷却するように形成されている。
【0024】
上記実施形態によれば、冷却部が成形ノズルの先端から全長の5%以上20%以下の範囲の部分を冷却することにより、この成形ノズルから押し出される成形物の膨張を効果的に防止でき、また、良好な成形性の成形物が得られる。
【0025】
一実施形態の成形機用冷却装置は、上記冷却部が、上記成形ノズルの先端部と、上記成形ノズルから押し出された成形物を導く成形物通路とを取り囲むように形成され、内部に冷却媒体が流れる冷却ジャケットを有する。
【0026】
上記実施形態によれば、冷却部が冷却ジャケットを有し、この冷却ジャケットは、成形ノズルの先端部と、上記成形ノズルから押し出された成形物を導く成形物通路とを取り囲むように形成され、内部に冷却媒体が流れるように構成される。この冷却ジャケットに熱機器を接続し、冷却媒体を循環することにより、成形ノズルの先端部と、成形ノズルから押し出された成形物とを良好な効率で冷却することができる。また、冷却媒体を冷却ジャケットに循環させることにより、冷却媒体の少ない使用量により、冷却媒体を周囲の環境に拡散させることなく、先端ノズルと成形物の冷却を行うことができる。
【0027】
本発明の成形機は、上記成形機用冷却装置を備える。
【0028】
上記構成によれば、溶融物と非溶融物を含む被処理物を混合及び加熱し、この被処理物を成形ノズルから押し出して成形物を製造する成形機が成形機用冷却装置を備えることにより、成形ノズルから押し出された後の膨張量の比較的少ない成形物が得られる。したがって、かさ比重が比較的高く、成形性の良好な成形物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態の成形機及び成形機用冷却装置を示す平面図である。
図2】成形機の先端部分及び成形機用冷却装置を示す断面図である。
図3】成形機の先端部分及び成形機用冷却装置を示す平面図である。
図4】成形機用冷却装置の第1隔壁板及び冷却ノズルを示す正面図である。
図5】成形機用冷却装置の第2隔壁板の一部と切断補助板を示す正面図である。
図6】成形機用冷却装置の切断補助板及び切断刃を示す正面図である。
図7A】切断刃を示す正面図である。
図7B】切断刃を示す側面図である。
図8】第2実施形態の成形機の先端部分及び成形機用冷却装置を示す断面図である。
図9】従来の成形機を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の第1実施形態の成形機及び成形機用冷却装置を示す図であり、図2は、第1実施形態の成形機の先端部分及び成形機用冷却装置を示す断面図である。本実施形態の成形機は、被処理物として、溶融物としての例えばプラスチックと、非溶融物としての例えば古紙や木屑等とを含む廃棄物を、混合、加熱及び成形して固形燃料を製造するものである。
【0032】
本実施形態の成形機1は、被処理物を混練及び圧縮する2個の螺旋体3,4と、これらの螺旋体3,4に各々連結されて回転力を伝達する回転駆動軸8,9と、一方の回転駆動軸8にカップリングCを介して連結された減速機D、伝動装置T及び主電動モータMを備える。
【0033】
上記螺旋体3,4は、ケーシング10内に形成された処理室5に収容されている。上記ケーシング10は、回転駆動軸8,9側の部分の上側面に、上記処理室5に連通する被処理物の投入口11が形成されている。また、このケーシング10は、螺旋体3,4の延在方向の先端面に、このケーシング10内の処理室5の壁面を形成する端面板6が固定されている。端面板6には、混錬、圧縮及び加熱された被処理物を成形する成形ノズル13が配置されている。
【0034】
本実施形態において、螺旋体3,4及び回転駆動軸8,9の延在する方向について、端面板6に向かう側を前側といい、減速機Dに向かう側を後側という。
【0035】
上記螺旋体3,4は、上記回転駆動軸8,9の先端側の嵌合部に取り付けられる回転軸部と、この回転軸の周面に形成された螺旋羽根とを有する。螺旋体3,4の回転軸部は、先端側に底が形成された六角形断面の有底孔が形成されており、この有底孔に、回転駆動軸8,9の六角形断面の篏合部が篏合している。
【0036】
上記螺旋体3,4は、螺旋羽根が互いに逆回りに形成されている。これらの螺旋体3,4は、軸方向視において互いの螺旋羽根が重なり合うように水平方向に平行に並んで配置されている。一対の回転駆動軸8,9は、図1の矢印R1,R2で示すように、互いに反対向きに回転駆動される。これにより、螺旋体3,4は、互いに重なり合う幅方向の中央部分において、螺旋羽根が上から下に向かうように回転駆動される。これにより、螺旋体3,4は、投入口11から投入された被処理物を挟み込み、混練及び圧縮しながら端面板6側に移送するように形成されている。
【0037】
上記螺旋体3,4は、回転軸部の直径が、投入口11側部分よりも先端側部分の方が大きく形成されている。また、上記螺旋体3,4は、螺旋羽根の軸方向の間隔であるピッチが、投入口11側部分よりも先端側部分の方が小さく形成されている。さらに、上記螺旋体3,4は、螺旋羽根の厚みが、投入口11側部分よりも先端側部分の方が大きく形成されている。これにより、螺旋体3,4の螺旋羽根の外周に接する円筒と、回転軸部の外側面との間に形成される室の容積を、投入口11側部分よりも先端側部分の方が小さくなるようにしている。これにより、螺旋体3,4が回転し、被処理物が処理室5内を投入口11側から先端側に向かって導かれるに伴い、被処理物に作用する圧縮力が増大するように形成されている。螺旋体3,4の螺旋羽根の先端には、軸直角方向に延在する平坦部が形成されている。
【0038】
被処理物は、処理室5の前側の壁面を形成する端面板6のヒータの熱と、螺旋体3,4の外側面と被処理物との間に生じる摩擦熱により、この被処理物に含まれる溶融物が溶解する。こうして溶融物が融解して高圧になった被処理物を、端面板6に設けられた成形ノズル13に導き、成形ノズル13により成形する。被処理物は、螺旋体3,4の螺旋羽根の先端の平坦部により、成形ノズル13の貫通孔の入口に向かって効果的に押し込まれる。
【0039】
端面板6は、ケーシング10の先端面に設けられたフランジ10aに固定されている。この端面板6の側面と、ケーシング10のフランジ10aの縁部との間を連結するリンクヒンジ装置12によって、端面板6がケーシング10の先端面を開閉可能に形成されている。端面板6には、処理室5で処理された被処理物を成形する複数の成形ノズル13,13,13,・・・が取り付けられている。また、端面板6には、被処理物を加熱するヒータと、成形ノズル13から排出される被処理物の温度を検出する温度センサが設けられている。上記ヒータは、抵抗加熱式のヒータである。
【0040】
端面板6には、螺旋体3,4の先端の平面部が対向して通過する横8の字状の領域に、複数のノズル孔が形成されている。このノズル孔の縁部には段部が形成されている。この段部に、図2の断面図に示すように、成形ノズル13の基端部に設けられたフランジを係止させて、端面板6のノズル孔に成形ノズル13を取り付けている。端面板6のノズル孔に装着された成形ノズル13は、端面板6の他方の面から先端側部分が突出している。
【0041】
端面板6の前面には、本発明の第1実施形態の成形機用冷却装置2が配置されている。図3は、第1実施形態の成形機1の先端部分及び成形機用冷却装置2を示す平面図である。図4は、上記成形機用冷却装置2が備える第1隔壁板及び冷却ノズルを示す正面図であり、図5は、上記成形機用冷却装置2が備える第2隔壁板の一部と切断補助板を示す正面図である。
【0042】
第1実施形態の成形機用冷却装置2は、成形ノズル13の先端部と、この成形ノズル13から押し出される成形物とを冷却するものである。この成形機用冷却装置2は、複数の成形ノズル13の先端部が挿入される複数の貫通孔21a,21a,21a,・・・を有する第1隔壁板21と、上記複数の成形ノズル13の先端に対して間隔をおいて配置された第2隔壁板25と、上記第1隔壁板21と第2隔壁板25の間に配置されて上記複数の成形ノズル13の先端部に吐出口を対向して配置された複数の冷却ノズル23,23,23,・・・と、第2隔壁板25に対して間隔をおいて第1隔壁板21と反対側に配置された切断補助板26を備える。
【0043】
上記第1隔壁板21は、図4に示すように、端面板6への成形ノズル13の配置形状と同様に、横8の字を描くように配置された複数の貫通孔21a,21a,21a,・・・を有し、これらの貫通孔21a,21a,21a,・・・に成形ノズル13の先端部が夫々挿入されている。この第1隔壁板21は、端面板6の外側面と平行に配置され、この端面板6の外側面にボルト35,35,35,・・・で固定されている。このボルト35は、端面板6の表面と第1隔壁板21の表面との間に挟持された固定パイプ内に挿通されており、この固定パイプの高さを調節することにより、端面板6の表面に対する第1隔壁板21の設置位置を調節するように形成されている。端面板6の表面に対する第1隔壁板21の設置位置を調節することにより、第1隔壁板21からの成形ノズル13の先端部の突出量を調節し、成形ノズル13の冷却媒体に接する範囲を調節して、成形物の冷却の程度が調節可能になっている。例えば、成形ノズル13の冷却媒体に接する範囲を、成形ノズル13の先端から全長の5%以上20%以下の範囲に設定するのが好ましい。成形ノズル13のこの範囲を冷却することにより、被処理物の成形を十分に行うと共に、成形ノズル13から押し出す直前に被処理物の外周部を冷却することができて、押し出した後の成形物の膨張を効果的に防止できる。冷却の範囲が、成形ノズル13の先端から全長の5%よりも小さいと、被処理物の冷却が不十分となって成形物の膨張を防止できないおそれがある。一方、冷却の範囲が、成形ノズル13の先端から全長の20%を超えると、被処理物の成形が不十分となって成形性を向上できないおそれがある。
【0044】
第2隔壁板25と切断補助板26は、第1隔壁板21と平行に、すなわち、端面板6の表面と平行に配置されている。第2隔壁板25と切断補助板26は互いに連結されて、切断補助箱22を形成している。
【0045】
第2隔壁板25は、第1隔壁板21に対向すると共に、成形ノズル13の先端から所定の距離を置いて配置されている。第2隔壁板25には、成形ノズル13の延長上に、横8の字を描くように配置された複数の貫通孔で形成された通過孔が設けられている。切断補助板26は、第2隔壁板25に対して所定の距離を置いて配置され、第2隔壁板25の複数の通過孔と正面視において同じ位置に、横8の字を描くように配置された複数の貫通孔で形成された排出孔26a,26a,26a,・・・が設けられている。上記第2隔壁板25と切断補助板26の間には、上記通過孔と排出孔26aとに両端が篏合する複数の接続管27,27,27,・・・が配置されている。この接続管27の内部は、成形ノズル13から押し出された成形物を導く成形物通路27aになっている。このように、第2隔壁板25の通過孔と、接続管27の成形物通路27aと、切断補助板26の排出孔26aとが連通しており、成形ノズル13から押し出された成形物が、上記通過孔と成形物通路27aを通り、排出孔26aから排出されるように形成されている。
【0046】
切断補助箱22は、上記接続管27の他に、第2隔壁板25の外周縁を取り囲むように固定された枠により、第2隔壁板25と切断補助板26とを連結して構成されている。第2隔壁板25は、切断補助箱22の正面視において、切断補助板26よりも高さが大きく形成されている。これにより、切断補助箱22の正面視において、切断補助板26の上端縁よりも上側と下端縁よりも下側に、第2隔壁板25の上端部と下端部が現れるようになっている。この第2隔壁板25の上端部と下端部にネジ穴が夫々2個ずつ設けられており、これらのネジ穴に挿通されたボルト36,36,36,・・・によって、切断補助箱22が端面板6の外側面に固定されている。このボルト36は、第1隔壁板21を固定するボルト35と同様に、端面板6の表面と第2隔壁板25の表面との間に挟持された固定パイプ内に挿通されている。この固定パイプの高さを調節することにより、端面板6の表面に対する第2隔壁板25の設置位置を調節するように形成されている。端面板6の表面に対する第2隔壁板25の設置位置を調節することにより、成形ノズル13の先端と第2隔壁板25の通過孔との間の距離を調節し、成形ノズル13から押し出された成形物が冷却媒体に接する範囲を調節して、成形物の冷却の程度が調節可能になっている。
【0047】
第1隔壁板21と第2隔壁板25の間に配置された冷却ノズル23は、1つの成形ノズル13につき1個配置されている。切断補助箱22の上端面と下端面には、この切断補助箱22の幅方向の辺に沿って分配管31が夫々配置されている。分配管31の第1隔壁板21の側の周面には複数の分岐管が接続されており、この分岐管の先端に連結された接手32に、第1隔壁板21と第2隔壁板25の間を下方に延びる冷却ノズル23が接続されている。接手32は、内部に屈曲した管路が形成されており、水平方向の分岐管の流れの方向を下方に90度屈曲させるようになっている。
【0048】
横8の字状に配列された複数の成形ノズル13のうち、上半分の領域に位置する成形ノズル13,13,13,・・・に、切断補助箱22の上端面に配置された分配管31に接続された冷却ノズル23,23,23,・・・で、冷却媒体としての水が供給される。一方、下半分の領域に位置する成形ノズル13,13,13,・・・に、切断補助箱22の下端面に配置された分配管31に接続された冷却ノズル23,23,23,・・・で、冷却媒体としての水が供給される。分配管31には、矢印Wで示すように、一端に接続された供給管33を通して水が供給される。冷却媒体としての水と、この水を供給管33に圧送する図示しないポンプと、供給管33と、分配管31と、分岐管と、接手32と、冷却ノズル23により、冷却部が構成されている。
【0049】
冷却ノズル23が第1隔壁板21と第2隔壁板25の間に配置されていることにより、冷却ノズル23から吐出された水で成形ノズル13の先端部を冷却し、この成形ノズル13の先端部を通過する被処理物を間接的に冷却すると共に、冷却ノズル23から吐出された水で成形ノズル13から押し出された成形物を直接冷却するようになっている。冷却ノズル23から吐出する水の温度は、水道水の温度でよいが、成形物の温度に応じて0~30℃の間で調節してもよい。
【0050】
図6は、上記成形機用冷却装置2の切断補助板26と、この切断補助板26の表面側で回転駆動される回転刃16を示す正面図である。この回転刃16を有する成形物切断装置15は、成形機用冷却装置2の前側に設置されており、成形機用冷却装置2で冷却された成形物を切断し、所定の長さに形成するものである。
【0051】
上記成形物切断装置15は、図3に示すように、切断機ヒンジ27を介してケーシング10のフランジ10aに取り付けられている。この成形物切断装置15は、上記成形機用冷却装置2の切断補助板26の表面に近接して回転駆動される切断刃としての回転刃16,16と、回転刃16の駆動装置を備える。
【0052】
回転刃16は、図6に示すように、切断補助板26の排出孔26aの配置形状の横8字を構成する2つの円を中心に回転するように構成されている。図7Aは切断刃としての回転刃16を示す正面図であり、図7Bは切断刃としての回転刃16を示す側面図である。この回転刃16は、回転軸17に連結される軸部41と、この軸部41の周面から延在する2つの切断刃本体42,42を有する。軸部41は円筒形状を有し、回転軸17の先端部が挿入されて固定される軸孔41aを有する。切断刃本体42,42は、軸部41の中心軸に対して傾斜して延在する板状体で形成され、成形ノズル13に近い側の縁部が鋭角断面を有する刃部42aに形成されている。なお、本実施形態では、回転刃16は、軸部41の周面に、一直線上に延びる2つの切断刃本体42,42を有するが、1個又は3個以上の切断刃本体42を有してもよい。この回転刃16は、図6における右側の回転軸17に連結され、矢印R11のように反時計回りに回転駆動される。一方、図6における左側の回転軸17に連結され、矢印R12のように時計回りに回転駆動される回転刃16は、図7A及び図7Bに示した形状と左右対称の形状を有する。
【0053】
成形物切断装置15は、支持板45及びケーシング18を備え、この支持板45上とケーシング18内に、駆動装置や回転刃16,16等の構成部品が取り付けられている。支持板45は、正面視において矩形状を有し、端面板6と平行に配置される。支持板45の端面板6に臨む側に、回転刃16が配置される。回転刃16に連結された回転軸17は、支持板45及びケーシング18内に取り付けられた軸受けによって回転可能に支持されている。ケーシング18は、支持板45の端面板6から遠い側に設けられており、回転刃16に駆動力を伝達するための歯車と軸受を収容している。また、ケーシング18の表面には、駆動力を生成する動力源としての電動モータ19と減速機が取り付けられている。電動モータ19は、三相誘導電動機で形成されている。
【0054】
2つの回転刃16,16は、図6に示すように、互いに90°の位相差を有して回転駆動されることにより、3つの回転刃16,16の外径が、互いに衝突することなく交差した軌跡G1,G2を描くように回転可能になっている。また、2つの回転刃16,16は、矢印R11,12で示すように、互いに反対方向に回転駆動されるように構成されている。これらの回転刃16,16の回転速度は、成形物の材料や、成形物を切断する長さに応じて設定される。
【0055】
支持板45及びケーシング18は、正面視において幅方向の一方に位置する縦方向の縁部に、切断機ヒンジ27から延びる棒状の第1支持アーム46が連結されている。第1支持アーム46の表面には雄螺子が形成されており、支持板45及びケーシング18の縦縁部に形成された貫通孔に第1支持アーム46が挿通される。この第1支持アーム46に螺合したナット47,47で支持板45及びケーシング18の表面を挟んで押圧することにより、第1支持アーム46の軸方向において、この第1支持アーム46に対する支持板45及びケーシング18の固定位置が調節可能になっている。
【0056】
一方、支持板45の正面視において幅方向の他方に位置する縦方向の縁部には、端面板6に固定された第2支持アーム48が連結されている。第2支持アーム48の表面には雄螺子が形成されており、一端が端面板6に螺合してナットで固定されている。この第2支持アーム48の他端側が、支持板45の縦方向の縁部に形成された貫通孔に挿通され、上記第2支持アーム48に螺合した2つのナット49,49で支持板45を挟んで固定している。これにより、第2支持アーム48の軸方向において、支持板45の固定位置が調節可能になっている。
【0057】
このように、第1支持アーム46及び第2支持アーム48に沿った支持板45の固定位置を調節することにより、成形機用冷却装置2の切断補助板26の表面と、回転刃16の刃部42aとの間の距離が調節可能になっている。切断補助板26の表面と、回転刃16の刃部42aとの間の距離は、成形物の材料や特性に応じて種々の値に設定できるが、例えばプラスチックと紙類を材料として固形燃料を製造する場合、0.01mm~50mmに設定することができる。特に好ましくは0.01mm~5mmであり、良好な切断効率が得られる。被処理物に金属等の切断が困難なものが混入する可能性がある場合は、刃部42aを保護するため、20mm~50mmに設定することができる。
【0058】
上記成形物切断装置15の切断機ヒンジ27は、上記端面板6のリンクヒンジ装置12が固定された側と反対側の縁に固定されていて、端面板6が回動する方向と反対方向に成形物切断装置15が回動可能になっている。この成形物切断装置15は、端面板6が処理室5を閉じた状態で、この端面板6の外側面に設置された成形機用冷却装置2の切断補助箱22の切断補助板26の表面に、回転刃16,16が近接するように配置される。成形機用冷却装置2の取付作業や保守作業を行う場合は、成形物切断装置15を切断機ヒンジ27回りに回動させて、図3に示す位置と90°の角度をなす位置に配置する。また、端面板6を開く場合は、図3に示す位置と90°の角度をなす位置に配置した後、この成形物切断装置15の回動方向と反対方向に端面板6を回動させる。これにより、端面板6の保守作業や、処理室5内の螺旋体3,4の保守作業や、ケーシング10内の壁面部材の保守作業を容易に行うことができる。
【0059】
成形機1のケーシング10の後側の壁面には軸貫通穴が形成され、この軸貫通穴に、一対の回転駆動軸8,9が挿通されている。図1に示すように、回転駆動軸8,9の後側部分は、ケーシング10の投入口11の後側に位置するギヤボックス7内に収容され、軸受により回転自在に支持されている。ギヤボックス7内には、上記一対の回転駆動軸8,9に各々設けられて互いに噛み合う平歯車80,90が収容されている。一方の回転駆動軸8は、ギヤボックス7に隣接して設けられたカップリングCに接続されている。上記カップリングCは減速機Dに接続されており、主電動モータMから伝動装置Tを介して伝達された回転力が、この減速機Dで減速され、カップリングCを介して上記一方の回転駆動軸8に伝達される。この一方の回転駆動軸8の平歯車80と他方の回転駆動軸9の平歯車90を介して他方の回転駆動軸9に回転力が伝達されて、上記一対の回転駆動軸8,9が互いに反対方向に等速で回転するようになっている。
【0060】
上記構成の成形機1及び成形機用冷却装置2は、次のように動作する。まず、成形機1が起動されると、主電動モータMの回転力が、伝動装置T、減速機D及びカップリングCを介して回転駆動軸8に伝達され、この回転駆動軸8に伝達された回転力が平歯車80,90によって他方の回転駆動軸9に伝達されて、一対の回転駆動軸8,9が互いに逆向きに回転駆動される。これにより、回転駆動軸8,9に連結された一対の螺旋体3,4が、ケーシング10内で互いに逆向きに回転する。一対の螺旋体3,4は、平面視において幅方向の内側に向かうと共に、正面視において互いのラップする部分が上から下に向かうように回転駆動される。螺旋体3,4は30rpm(回転毎分)以上85rpm以下の比較的低速度で回転するのが好ましい。
【0061】
また、成形機用冷却装置2が起動され、図示しないポンプから圧送された冷却媒体としての水が、供給管33を通って分配管31に供給され、分岐管と接手32を介して複数の冷却ノズル23,23,23,・・・に導かれる。冷却ノズル23に導かれた水は、先端の吐出口から成形ノズル13の先端部に向かって吐出される。
【0062】
また、成形物切断装置15が起動され、電動モータ19を含む駆動装置によって2つの回転軸17,17が互いに反対方向に回転駆動され、2つの回転刃16,16が互いに反対方向に回転駆動される。これらの回転刃16,16は、図6の矢印R11,12で示すように、正面視において互いに幅方向の外側から内側、かつ、上方から下方に向かって先端部が移動するように回転する。これらの回転刃16,16の回転方向は、ケーシング10内の螺旋体3,4の回転方向と同じである。
【0063】
螺旋体3,4の回転駆動が開始されると、ケーシング10の投入口11に、被処理物である廃棄物が投入される。廃棄物は、プラスチック等の溶融物と、紙屑や木屑等の非溶融物との混合物が好ましい。特に、成形物として固形燃料を製造する場合は、廃棄物の構成物の割合が、乾燥状態の溶融物と非溶融物の合計が100wt%であって、溶融物が20wt%(質量パーセント)以上80wt%以下の間であり、かつ、非溶融物が20wt%以上80wt%以下であるのが好ましい。
【0064】
ケーシング10内では、投入された被処理物を、一対の螺旋体3,4によって挟み込んで混練するとともに、処理室5の先端に向かって移送する。螺旋体3,4で混錬及び圧縮され、処理室5の先端部に送られた被処理物は、端面板6のヒータによる熱と、螺旋体3,4と被処理物との間の摩擦熱により加熱される。こうして被処理物が高い圧力下で加熱されることにより、被処理物が圧縮された状態で溶融物が十分に溶解する。処理室5の先端部で圧縮された被処理物は、溶融した溶融物と非溶融物が混合した状態で、成形ノズル13の貫通穴内に導かれ、この成形ノズル13内を通る間に成形される。
【0065】
上記成形ノズル13の先端部と、成形ノズル13で成形されて押し出された成形物は、成形機用冷却装置2の冷却ノズル23から吐出された水によって冷却される。水で冷却された成形物は、成形機用冷却装置2の接続管27の成形物通路27aを通り、切断補助板26の排出孔26aから排出されたところを、成形物切断装置15の回転刃16によって所定長さに切断される。所定長さに切断された成形物は、下方に配置された容器内に落下し、又は、下方に配置されたコンベヤで排出されて回収される。所定長さに切断された棒状の被処理物は、固形再生燃料として用いられる。
【0066】
ここで、本実施形態の成形機1は、成形機用冷却装置2の冷却ノズル23から吐出された水により、成形ノズル13の先端部を冷却すると共に、この成形ノズル13から押し出された成形物を冷却するので、成形ノズル13を通過する過程で成形された高温の被処理物を、成形ノズル13から押し出される前に冷却することができる。これにより、成形ノズル13から押し出された成形物は、膨張量が従来よりも少ない。その結果、成形物のかさ比重を従来よりも大きくできる。また、膨張の少ない成形物は、形物切断装置15の回転刃16によって速やかに切断される。したがって、従来のように、切断刃が成形物に食い込んで引き延ばされ、曲がりが発生する不都合や、成形物の長さが不揃いになる不都合や、成形物の切断面に毛羽立ちが発生する不都合を効果的に抑制できる。このように、本実施形態の成形機1及び成形機用冷却装置2によれば、成形物の成形性の悪化を効果的に防止でき、良好な成形性の成形物が得られる。
【0067】
また、本実施形態の成形機1は、切断補助箱22の切断補助板26の排出孔26a,26a,26a,・・・から成形物を排出し、この切断補助板26に近接して回転刃16が回転駆動されている。したがって、排出孔26aから排出される成形物に、回転刃16の切断力を安定して与えることができ、成形物が殆ど曲がることなく切断することができる。また、成形物を回転刃16で安定して切断できるので、成形物の切断面の毛羽立ちを抑制できる。また、回転刃16の回転速度を上げても、回転刃16の切断力を成形物に安定して与えることができるので、回転刃16が停止することなく成形物を切断することができる。
【0068】
表1は、本実施形態の成形機1で、成形物を製造する実験を行い、成形物の比重を測定した結果を示している。この実験では、被処理物として、リサイクルの対象として収集されたプラスチック製容器包装材を30mm寸法に破砕したものを用いた。この被処理物において、溶融物は、加熱温度以下の融点を有するプラスチックである。また、非溶融物は、加熱温度を超える融点を有するプラスチックや、収集物に混入した紙類、布類又は木質類である。本実験では、端面板6のヒータの温度を複数個設定し、最高の温度以外では成形機用冷却装置2による冷却を行わないで比較例とし、最高の温度で成形機用冷却装置2により冷却を行う実施例と、冷却を行わない比較例を設定した。これらの比較例と実施例について、成形物のかさ比重の違いを確認した。
【0069】
【表1】
【0070】
表1の比較例1~3から分かるように、成形機1の端面板6のヒータの温度を高めても、成形機用冷却装置2による冷却を行わなければ、かさ比重を増加させることはできない。これに対して、実施例1のように成形機用冷却装置2で成形ノズル13の先端部と成形物の冷却を行うことにより、ヒータの設定温度が同じである比較例3と比較して、かさ比重を大幅に増大させることができる。また、実施例1では、成形物の表面が比較的滑らかに成形され、曲がりの少ない成形物が得られた。また、成形物切断装置15の回転刃16による切断面の凹凸が少なく、切断長さのばらつきが比較的少なかった。これに対して、比較例3は、成形物の膨張が発生し、表面の凹凸が比較的大きく、曲がった成形物が多く生成された。また、切断面の凹凸が比較的大きく、切断長さのばらつきが比較的多かった。
【0071】
図8は、第2実施形態の成形機の先端部分と、成形機用冷却装置を示す断面図である。第2実施形態の成形機51は、成形機用冷却装置52の構成が第1実施形態と異なる。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分には同じ符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0072】
第2実施形態の成形機用冷却装置52は、成形ノズル13の先端部と、この成形ノズル13から押し出された成形物を、冷却媒体に直接接触させずに冷却ジャケットで冷却するものである。第2実施形態の成形機用冷却装置52は、内部に冷却ジャケットが内蔵された冷却箱体53を備える。この冷却箱体53は、端面板6の表面に対向して平行の第1隔壁板54と、この第1隔壁板54と平行の第2隔壁板55と、この第2隔壁板55と平行の切断補助板58を有する。上記第1隔壁板54と第2隔壁板55とを対向する壁面として、この上記第1隔壁板54と第2隔壁板55を含んで冷却ジャケットが構成されている。すなわち、上記第1隔壁板54と第2隔壁板55との間が密封されて、冷却媒体としての水が供給される冷却室57が形成されている。
【0073】
上記第1隔壁板54と、第2隔壁板55と、切断補助板58は、正面視において成形ノズル13の配置位置と同一の位置に、貫通孔が夫々形成されている。上記第1隔壁板54の貫通孔に一端の開口が連通し、上記第2隔壁板55の貫通孔に中央部が貫通し、上記切断補助板58の貫通孔に他端の開口が連通するように、冷却管56が取り付けられている。この冷却管56の第1隔壁板54側の開口から成形ノズル13の先端部が挿入されて、この冷却管56の内面が成形ノズル13の先端部の周面に密着している。また、この冷却管56の成形ノズル13の先端から切断補助板58の貫通孔までの部分は、成形ノズル13から押し出された成形物を導いて切断補助板58側の開口から排出する成形物通路になっている。このように、冷却ジャケットの冷却室57が、冷却管56を介して成形ノズル13の先端部を取り囲むと共に、冷却管56の成形物通路の部分を取り囲むように形成されている。
【0074】
上記冷却箱体53の冷却ジャケットの冷却室57には、図示しないポンプと、熱機器としての冷凍機とに接続され、冷却媒体としての水を冷却室57と熱機器との間で循環して、冷却室57の水を所定の冷却温度に保持するようになっている。こうして所定温度に保持される冷却室57の水により、冷却管56内の成形ノズル13の先端部分と、成形ノズル13から押し出されて冷却管56内を通る成形物を冷却するように構成されている。このように、冷却箱体53の冷却ジャケットと、この冷却ジャケットの冷却室57に循環される水と、この水を循環させるポンプと、上記水を冷却する熱機器で冷却部を構成している。
【0075】
本実施形態の成形機用冷却装置52の冷却箱体53は、ボルト59によって端面板6の表面に固定されている。このボルト59は、第1実施形態の切断補助箱22を固定するボルト36と同様に、端面板6の表面と第1隔壁板54の表面との間に挟持された固定パイプ内に挿通されている。この固定パイプの高さを調節することにより、端面板6の表面に対する冷却箱体53の設置位置を調節するように形成されている。端面板6の表面に対する却箱体53の設置位置、すなわち、第1隔壁板54の位置を調節することにより、成形ノズル13の先端部と冷却管56とが接する長さを調節すると共に、成形ノズル13から押し出された成形物が冷却管56の成形物通路の部分に接する長さを調節して、成形物の冷却の程度が調節可能になっている。
【0076】
上記冷却箱体53の配置位置は、成形ノズル13の冷却管56と重なる長さを、成形ノズル13の先端から全長の0%以上20%以下の範囲に設定するのが好ましい。成形ノズル13のこの範囲を冷却することにより、被処理物の成形を十分に行うと共に、成形ノズル13から押し出す直前に被処理物の外周部を冷却することができて、押し出した後の成形物の膨張を効果的に防止できる。
【0077】
第2実施形態の成形機用冷却装置52によれば、成形ノズル13の先端部と、成形ノズル13から押し出された成形物とを良好な効率で冷却することができる。また、冷却媒体としての水を冷却ジャケットに循環させることにより、少ない水の使用量により、水を周囲の環境に拡散させることなく、先端ノズル13と成形物の冷却を行うことができる。
【0078】
上記各実施形態において、冷却媒体として水を用いたが、水以外に、例えばアルコール水溶液等を冷却媒体に用いてもよい。
【0079】
また、上記各実施形態において、成形機1,51は、2つの螺旋体3,4によって被処理物を混錬、圧縮及び成形する2軸型であったが、1つの螺旋体によって被処理物を混錬、圧縮及び成形する1軸型でもよい。
【0080】
また、上記実施形態において、成形機1,51は、被処理物として、溶融物と非溶融物を含む廃棄物を減容及び成形して固形燃料を製造したが、被処理物は溶融物と非溶融物に限定されず、また、廃棄物に限定されない。また、成形物の用途は固形燃料に限定されない。
【0081】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、多くの変形が、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0082】
1,51 成形機
2,52 成形機用冷却装置
3,4 螺旋体
5 処理室
6 端面板
7 ギヤボックス
8,9 回転駆動軸
10 ケーシング
10a ケーシングのフランジ
11 投入口
13 成形ノズル
15 成形物切断装置
16 回転刃
17 回転軸
19 電動モータ
21,54 第1隔壁板
22 切断補助箱
23 冷却ノズル
25,55 第2隔壁板
26,58 切断補助板
27 接続管
31 分配管
33 供給管
53 冷却箱体
56 冷却管
57 冷却室
C カップリング
M 主電動モータ
D 減速機
T 伝達装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9