(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】シート状物品収納ボックス保持具
(51)【国際特許分類】
A47K 10/20 20060101AFI20240129BHJP
A47K 10/42 20060101ALI20240129BHJP
B65D 25/20 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
A47K10/20 C
A47K10/42 Z
B65D25/20 V
(21)【出願番号】P 2021119629
(22)【出願日】2021-07-20
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】譜久島 広光
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 啓介
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029828(JP,A)
【文献】特開2016-169011(JP,A)
【文献】特開2009-208828(JP,A)
【文献】実開平02-040259(JP,U)
【文献】特開2022-101289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 10/20
A47K 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉体を順次引き出し可能に収納した物品収納ボックスを、壁面に設けた棒状体に取り付ける保持具であって、
前記物品収納ボックスの背面と対向して配置される保持具本体部と、
前記保持具本体部に設けられ、前記物品収納ボックスの背面に予め形成されている取付孔から前記物品収納ボックス内に差し込んで前記物品収納ボックスを保持する左右1対の係合舌片部と、
前記左右1対の係合舌片部よりも内側に位置して、前記保持具本体部より前記壁面側に向かって折り曲げ形成されている上部係止片部と、
前記左右1対の係合舌片部よりも内側に位置して、前記保持具本体部より前記壁面側に向かって折り曲げ形成されている下部ストッパー片部と、を備え、
前記上部係止片部には、前記棒状体上に当接係止可能な、下面側から上面側に向かって形成された切り欠き部を設けている、
ことを特徴とするシート状物品収納ボックス保持具。
【請求項2】
前記保持具は、板材を所定の箇所から折り曲げて組み立てる折り畳み可能な展開構造をなし、
前記保持具本体部から折り曲げて前記上部係止片部と係合され、前記上部係止片部を一定の折り曲げ形状に保つための、前記保持具本体部の前記上部係止片部よりも内側の位置に設けられた上部ガイド片部と、
前記保持具本体部から折り曲げて前記下部ストッパー片部と係合され、前記下部ストッパー片部を一定の折り曲げ形状に保つための、前記保持具本体部の前記下部ストッパー片部よりも内側の位置に設けられた下部ガイド片部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のシート状物品収納ボックス保持具。
【請求項3】
前記保持具本体部は、少なくとも前記上部係止片部と前記下部ストッパー片部がそれぞれ折り曲げられる折り曲げ線に沿って、略溝状に切り込まれた肉薄部を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のシート状物品収納ボックス保持具。
【請求項4】
前記保持具本体部は、前記上部係止片部が折り曲げられる折り曲げ線と前記下部ストッパー片部が折り曲げられる折り曲げ線とに略平行に形成された補強リブを有する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のシート状物品収納ボックス保持具。
【請求項5】
前記上部係止片部と前記下部ストッパー片部は、内側に折り畳んで前記保持具本体部上に重ね合わせ可能であり、前記保持具本体部と前記上部係止片部、及び、前記保持具本体部と前記下部ストッパー片部に、前記保持具本体部上に重ね合わされた前記上部係止片部及び前記下部ストッパー片部を前記保持具本体部上に係止保持する係止保持手段を有する、ことを特徴とする請求項2から4までのいずれか1項に記載のシート状物品収納ボックス保持具。
【請求項6】
前記上部ガイド片部と前記下部ガイド片部は、少なくとも一面側に滑り止め用突起を有する、ことを特徴とする請求項2から5までのいずれか1項に記載のシート状物品収納ボックス保持具。
【請求項7】
前記上部係止片部と前記上部ガイド片部は、更に前記上部係止片部と前記上部ガイド片部のいずれか一方に係合部を設けるとともに他方に前記係合部に係合係止可能な係止突片を設けてなり、前記係合部と前記係止突片とを係合させると、前記保持具本体部と前記上部係止片部と前記上部ガイド片部で多角形を形成する、ことを特徴とする請求項2から6までのいずれか1項に記載のシート状物品収納ボックス保持具。
【請求項8】
前記下部ストッパー片部には、前記壁面と前記下部ストッパー片部の先端とまでの距離を調整可能な距離調整手段を設けている、
ことを特徴とする請求項2から7までのいずれか1項に記載のシート状物品収納ボックス保持具。
【請求項9】
前記距離調整手段は、前記下部ストッパー片部に、前記下部ストッパー片部の長手方向に沿って点在して設けられた複数個の係合部と、前記下部ガイド片部の先端部に前記下部ストッパー片部の前記複数個の前記係合部の中の1個の前記係合部を選択して係合係止可能な係止突片を備え、前記下部ストッパー片部と前記下部ガイド片部は、前記下部ストッパー片部の前記係合部と前記下部ガイド片部の前記係止突片とを係合させると、前記保持具本体部と前記下部ストッパー片部と前記下部ガイド片部とで上面視略三角形を形成する、
ことを特徴とする請求項8に記載のシート状物品収納ボックス保持具。
【請求項10】
前記保持具は、樹脂材でシート状に一体成形されている板材を折り曲げてなる、ことを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項に記載のシート状物品収納ボックス保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート状物品収納ボックス保持具に関するものであり、特に、折り畳まれた紙葉体を順次引き出し可能に収納している物品収納ボックスを、壁面に固定された棒状体に取り付けるのに適したシート状物品収納ボックス保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ペーパー製品として、化粧用ティッシュペーパー、トイレ用ティッシュペーパー、タオル用ティッシュペーパー、ハンドタオル等の紙葉体を、相互に重ね合わせて積層体にし、その積層体を箱体等の物品収納ボックス内に収納して、その物品収納ボックス内から紙葉体を順次に引き出して使用する物品収納ボックスが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように物品収納ボックス(箱体)内に収納されて販売されている紙葉体は、テーブルや棚の上に置いて使用される場合が多いが、適切な置き場所が無い場合もある。また、乱雑に放置しておくと使いづらく、洗面所などの水を使用する場所では、卓上が濡れることがあり、このことでティッシュペーパーやハンドタオル紙製の箱が濡れてしまうと不衛生になりやすい。さらに、箱内部まで水が浸透すると必要なときに使用できない状況となる。
【0004】
このような対策として、ホルダアタッチメントを利用してロール状トイレットペーパーホルダー上に設置する構造(例えば、特許文献2参照)や、タオル掛けと壁面との間に差し込んで設置する構造(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-69155号公報
【文献】特許第5602531号公報
【文献】特許第5579496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の発明は、ロール状トイレットペーパーのホルダーが設置されている場所では有効であるが、ロール状トイレットペーパーが設置されていない場所ではアタッチメントを使用することができないという問題点があった。
【0007】
一方、特許文献3に記載の発明は、通常の扁平直方体をした箱体の形状とは異なり、タオル掛けと壁面との間に差し入れる紙葉体の引き出し面を傾斜させた箱体構造を必要とする。したがって、紙葉体の引き出し面を傾斜させた箱体を使用する必要がある。すなわち、一般に扁平直方体をした箱体で販売されている物品収納ボックス等はそのまま使用することができない。そのため、紙葉体が無くなったときの補充作業が面倒で、また、簡単に補充をすることができないという問題点があった。
また、従来のタオル掛け等に取り付けるものでは、タオルを掛ける棒状体が短い場合や、リングのタオル掛けの場合は、保持具を取り付けられない等、タオル掛けのサイズや形状に制約を受けることがあった。
【0008】
そこで、タオル掛け等の棒状体と棒状体を取り付ける壁面等があれば、制約をほとんど受けずに、広く一般に使用されている棒状体に、物品収納ボックスを簡単、かつ、確実に取り付けて使用することができる、非常にコンパクトなシート状物品収納ボックス保持具を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、紙葉体を順次引き出し可能に収納した物品収納ボックスを、壁面に設けた棒状体に取り付ける保持具であって、前記物品収納ボックスの背面と対向して配置される保持具本体部と、前記保持具本体部に設けられ、前記物品収納ボックスの背面に予め形成されている取付孔から前記物品収納ボックス内に差し込んで前記物品収納ボックスを保持する左右1対の係合舌片部と、前記左右1対の係合舌片部よりも内側に位置して、前記保持具本体部より前記壁面側に向かって折り曲げ形成されている上部係止片部と、前記係合舌片部よりも内側に位置して、前記保持具本体部より前記壁面側に向かって折り曲げ形成されている下部ストッパー片部と、を備え、前記上部係止片部には、前記棒状体上に当接係止可能な、下面側から上面側に向かって形成された切り欠き部を設けている、シート状物品収納ボックス保持具を提供する。
【0010】
この構成によれば、物品収納ボックスの背面に予め設けられている取付孔に係合舌状片部を差し込み係合させて、保持具本体部を物品収納ボックスの背面に密着させ、シート状物品収納ボックス保持具をシート状物品収納ボックスに取り付ける。その後、上部係止片部における切り欠き部内に棒状体を当接配置させ、さらに下部ストッパー片部を壁面に対向させて配置すると、下部ストッパー片部により保持具の棒状体に対する前後方向の回転が止められ、シート状物品収納ボックス保持具が、物品収納ボックスと共に、壁面に棒状体を介して取り付けられる。なお、物品収納ボックスは、棒状体にシート状物品収納ボックス保持具を取り付けた後から、保持具の係合舌状片部を、物品収納ボックスの背面に予め設けられている取付孔に差し込み係合させて、物品収納ボックスを保持具本体部に取り付けることも可能である。また、上部係止片部と下部ストッパー片部は、係合舌片部よりも内側に位置して、保持具本体部より壁面側に向かって折り曲げるように設けているので、棒状体に沿う方向の長さは、左右の係合舌片部の幅に抑えることができ、コンパクト化が可能になる。これにより、汎用の棒状体やリング状など、多様な形態を有するタオル掛けに、制約を受けることなく、シート状物品収納ボックスを簡単、かつ、確実に取り付けて使用することができる。また、コンパクト化が図れることにより、材料(例えば、プラスチック使用量等)を削減することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記保持具は、板材を所定の箇所から折り曲げて組み立てる折り畳み可能な展開構造をなし、前記保持具本体部から折り曲げて前記上部係止片部と係合され、前記上部係止片部を一定の折り曲げ形状に保つための、前記保持具本体部の前記上部係止片部よりも内側の位置に設けられた上部ガイド片部と、前記保持具本体部から折り曲げて前記下部ストッパー片部と係合され、前記下部ストッパー片部を一定の折り曲げ形状に保つための、前記保持具本体部の前記下部ストッパー片部よりも内側の位置に設けられた下部ガイド片部と、を備えるシート状物品収納ボックス保持具を提供する。
【0012】
この構成によれば、板材で形成していることにより、輸送する際や保管をする際、及び、店頭陳列をする際等の組立前には、嵩張らないように平たくしてコンパクトにしておき、使用する際に所定の箇所から順に折り曲げると、所定の構造に簡単に組み立てることができる。また、組立後は、上部係止片部と下部ストッパー片部の折り曲げて立ち上げられた形状を、上部ガイド片部と下部ガイド片部とで、それぞれ維持しておくことができる。したがって、組み立てる前は、一枚の板状材として取り扱うことができ、また物品収納ボックスと一緒にパッキングした状態で輸送や保管をすることができるので、輸送コストや保管スペース等を減らすことができる。また、構造が単純であるため、射出成形による生産性も良い。さらに、1つの部材のみで構成されるため、後工程において組み立て加工など行う必要がなく、安価に製造することができる。また、上部ガイド片部を保持具本体部の上部係止片部よりも内側の位置に設けているとともに、下部ガイド片部も保持具本体部の下部ストッパー片部よりも内側の位置に設けているので、シート状物品収納ボックス保持具を取り付けて保持するための棒状体の軸方向の長さを、少なくとも左右1対の係合舌片部の幅内に抑えることができ、短い棒状体であっても使用できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の構成において、前記保持具本体部は、少なくとも前記上部係止片部と前記下部ストッパー片部がそれぞれ折り曲げられる折り曲げ線に沿って、略溝状に切り込まれた肉薄部を有する、シート状物品収納ボックス保持具を提供する。
【0014】
この構成によれば、板材に展開されているシート状物品収納ボックス保持具の状態において、上部係止片部と下部ストッパー片部をそれぞれ保持具本体部から折り曲げて起こすとき、折り曲げ線に沿って設けている肉薄部が折曲げを容易にし、所定の折り曲げ線に沿って簡単に折り曲げて起こすことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の構成において、前記保持具本体部は、前記上部係止片部が折り曲げられる折り曲げ線と前記下部ストッパー片部が折り曲げられる折り曲げ線とに略平行に形成された補強リブを有する、シート状物品収納ボックス保持具を提供する。
【0016】
この構成によれば、折り曲げ線に沿って保持具本体部から所定の状態に折り曲げられた後における、保持具本体部の形状を補強リブで補強し、上部係止片部と下部ストッパー片部の姿勢が保持具本体部の変形等で傾いたりするのをなくすことができる。また、切り欠き部に棒状体を差し込んだときに、保持具本体部が前後方向に撓むのを補強リブで抑えることができる。これにより、シート状物品収納ボックス保持具を棒状体に確実に取り付けて保持できる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項2から4までのいずれか1項に記載の構成において、前記上部係止片部と前記下部ストッパー片部は、内側に折り畳んで前記保持具本体部上に重ね合わせ可能であり、前記保持具本体部と前記上部係止片部、及び、前記保持具本体部と前記下部ストッパー片部に、前記保持具本体部上に重ね合わされた前記上部係止片部及び前記下部ストッパー片部を前記保持具本体部上に係止保持する係止保持手段を有する、シート状物品収納ボックス保持具を提供する。
【0018】
この構成によれば、上部係止片部と下部ストッパー片部を、それぞれ内側に折り畳んで保持具本体部上に重ね合わせ、さらに係止保持手段で折り畳んだ状態を係止保持することにより、平たく嵩張らないようにコンパクトにすることができる。これにより、輸送する際や保管をする際、及び、店頭陳列をする際等に、有益な効果が得られる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項2から5までのいずれか1項に記載の構成において、前記上部ガイド片部と前記下部ガイド片部は、少なくとも一面側に滑り止め用突起を有する、シート状物品収納ボックス保持具を提供する。
【0020】
この構成によれば、一面側に滑り止め用突起を設けた上部ガイド片部又は、及び下部ガイド片部は、折り曲げ作業を行うとき、指等が滑り止め用突起に引っかかって滑らずにスムーズに組立作業ができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項2から6までのいずれか1項に記載の構成において、前記上部係止片部と前記上部ガイド片部は、更に前記上部係止片部と前記上部ガイド片部のいずれか一方に係合部を設けるとともに他方に前記係合部に係合係止可能な係止突片を設けてなり、前記係合部と前記係止突片とを係合させると、前記保持具本体部と前記上部係止片部と前記上部ガイド片部で多角形を形成する、シート状物品収納ボックス保持具を提供する。
【0022】
この構成によれば、板材の一部を折り曲げて立ち上げられる上部係止片部と上部ガイド片部は、係合部に係止突片を係合係止させると、保持具本体部と上部係止片部と上部ガイド片部とで多角形をした構造が作られ、組立強度を高めることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項2から7までのいずれか1項に記載の構成において、前記下部ストッパー片部には、前記壁面と前記下部ストッパー片部の先端とまでの距離を調整可能な距離調整手段を設けている、シート状物品収納ボックス保持具を提供する。
【0024】
この構成によれば、距離調整手段により、壁面と下部ストッパー片部の先端とまでの距離を調整すると、調整物品収納ボックスの取付ける角度を、物品収納ボックスの前面が壁面と並行となうように調整して設置する等が可能になる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の構成において、前記距離調整手段は、前記下部ストッパー片部に、前記下部ストッパー片部の長手方向に沿って点在して設けられた複数個の係合部と、前記下部ガイド片部の先端部に前記下部ストッパー片部の前記複数個の前記係合部の中の1個の前記係合部を選択して係合係止可能な係止突片を備え、前記下部ストッパー片部と前記下部ガイド片部は、前記下部ストッパー片部の前記係合部と前記下部ガイド片部の前記係止突片とを係合させると、前記保持具本体部と前記下部ストッパー片部と前記下部ガイド片部とで上面視略三角形を形成する、シート状物品収納ボックス保持具を提供する。
【0026】
この構成によれば、板材の一部を折り曲げて立ち上げられる下部ストッパー片部と下部ガイド片部は、下部ストッパー片部の長手方向に沿って複数個点在して設けられている中の係合部の1つに係止突片を係合させると、その選択された係合部の位置により、保持具本体部に対する下部ストッパー片部の傾きが変わり、同時に下部ストッパー片部と壁面までの距離が調整される。この調整で、保持具が、棒状体と切り欠き部との係合点を支点として壁面側に回動するのを抑えることができ、物品収納ボックス内の紙葉体の引き出しがし易くなる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9までのいずれか1項に記載の構成において、前記保持具は、樹脂材でシート状に一体成形されている板材を折り曲げてなる、シート状物品収納ボックス保持具を提供する。
【0028】
この構成によれば、樹脂材で板状に一体成形し、その後、されている板材を折り曲げて使用するので、大量生産、大量販売が可能になり、コストを抑えて安価に提供できる。また、軽量化も可能になる。
【発明の効果】
【0029】
発明によれば、比較的簡単な構造で、かつ小型軽量であり、物品収納ボックスと一緒にパッキングして、大量生産、大量販売することができる、シート状物品収納ボックス保持具が得られる。また、上部ガイド片部を保持具本体部の上部係止片部よりも内側の位置に設けているとともに、下部ガイド片部も保持具本体部の下部ストッパー片部よりも内側の位置に設けているので、シート状物品収納ボックス保持具を取り付け手保持するための棒状体の軸方向の長さを、少なくとも左右1対の係合舌片部の幅内に抑えることができ、短い棒状体であっても使用できる。
また、タオル掛け等の棒状体と、棒状体を取り付ける壁面があれば、広く一般に使用されている箱体形状をした物品収納ボックスを、汎用の棒状体やリング体をした多様な形態を有するタオル掛けに、制約を受けることなく、簡単、かつ、確実に取り付けて使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態に係るシート状物品収納ボックス保持具として組み立てる前の板材を示す図であり、(a)は板材の展開平面図、(b)は(a)のA-A線方向より見た板材の展開上面図、(c)は(a)のB-B線方向より見た板材の展開側面図である。
【
図2】同上シート状物品収納ボックス保持具として組み立てる前で、保管等の際に形成される折り畳み状態の一例を示す、同上板材の上面図である。
【
図3】
図1に示す板材を使用状態に折り曲げて形成された同上シート状物品収納ボックス保持具を裏面側から見た斜視図である。
【
図4】
図1に示す板材を折り曲げて形成された本発明の実施の形態に係るシート状物品収納ボックス保持具を前側から見た斜視図である。
【
図5】同上シート状物品収納ボックス保持具の側面図である。
【
図6】同上シート状物品収納ボックス保持具の係合舌片部に物品収納ボックスを取り付ける手段を説明する図であり、(a)は係合舌片部が物品収納ボックスの取付孔に取り付けられた状態を説明する図、(b)は(a)のC-C線断面図である。
【
図7】壁面に固定された棒状体に、同上シート状物品収納ボックス保持具を使用してシート状物品収納ボックスを取り付けた状態を説明する斜視図である。
【
図8】壁面に固定された棒状体に、シート状物品収納ボックスを取り付けた状態を説明する図である。
【
図9】同上シート状物品収納ボックス保持具の下部ストッパー片部の先端と壁面までの距離調整を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、タオル掛け等の棒状体と棒状体を取り付ける壁面があれば、制約をほとんど受けずに、広く一般に使用されている棒状体に、物品収納ボックスを簡単、かつ、確実に取り付けて使用することができる、非常にコンパクトなシート状物品収納ボックス保持具を提供するという目的を達成するために、紙葉体を順次引き出し可能に収納した物品収納ボックスを、壁面に設けた棒状体に取り付ける保持具であって、前記物品収納ボックスの背面と対向して配置される保持具本体部と、前記保持具本体部に設けられ、前記物品収納ボックスの背面に予め形成されている取付孔から前記物品収納ボックス内に差し込んで前記物品収納ボックスを保持する左右1対の係合舌片部と、前記左右1対の係合舌片部よりも内側に位置して、前記保持具本体部より前記壁面側に向かって折り曲げ形成されている上部係止片部と、前記係合舌片部よりも内側に位置して、前記保持具本体部より前記壁面側に向かって折り曲げ形成されている下部ストッパー片部と、を備え、前記上部係止片部には、前記棒状体上に当接係止可能な、下面側から上面側に向かって形成された切り欠き部を設けている、構造とすることにより実現した。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施形態に係るシート状物品収納ボックス保持具の一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0033】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0034】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0035】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明のシート状物品収納ボックス保持具の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。
【0036】
図1は本発明に係るシート状物品収納ボックス保持具11として組み立てる前の板材10を示す図であり、(a)は板材の展開平面図、(b)は(a)のA-A線方向より見た板材の展開上面図、(c)は(a)のB-B線方向より見た板材の展開側面図、
図2はシート状物品収納ボックス保持具11として組み立てる前で、保管等の際に形成される折り畳み状態の一例を示す、板材10の上面図、
図3は
図1に示す板材10を折り曲げて形成された本発明の実施の形態に係るシート状物品収納ボックス保持具11を裏面側から見た斜視図、
図4は
図1に示す板材を折り曲げて形成された本発明の実施の形態に係るシート状物品収納ボックス保持具を前側から見た斜視図、
図5はシート状物品収納ボックス保持具11の側面図、
図6はシート状物品収納ボックス保持具11の係合舌片部19にシート状物品収納ボックス100を取り付ける取り付け手段を説明する図で、(a)は係合舌片部19がシート状物品収納ボックス100の取付孔103に取り付けられた状態を説明する図、(b)は(a)のC-C線断面図、
図7は壁面に固定された棒状体300に、シート状物品収納ボックス保持具11を使用してシート状物品収納ボックス100を取り付けた状態を説明する斜視図である。また、以下の説明において、
図3の矢印Xa-Xb方向を左右方向とし、矢印Xa方向をシート状物品収納ボックス保持具11の左側、矢印Xb方向をシート状物品収納ボックス保持具11の右側として説明する。また、
図2の矢印Ya-Yb方向を前後方向とし、矢印Ya方向をシート状物品収納ボックス保持具11の前側、矢印Yb方向をシート状物品収納ボックス保持具11の後側として説明する。さらに、
図3の矢印Za-Zb方向をシート状物品収納ボックス保持具11の上下方向とし、矢印Za方向をシート状物品収納ボックス保持具11の上部側、矢印Zbをシート状物品収納ボックス保持具11の下部側として説明する。
【0037】
ここで、まず本実施例で使用するシート状物品収納ボックス100とシート状物品収納ボックス保持具11の概要を説明すると、シート状物品収納ボックス100は、汎用の物品収納ボックスである。
【0038】
シート状物品収納ボックス100の一例を説明すると、シート状物品収納ボックス100は、
図4、
図5、
図7及び
図8に概略的に示しているように箱体として作られている。シート状物品収納ボックス100の内部には、
図4及び
図7に示すように、化粧用ティッシュペーパー、トイレ用ティッシュペーパー、紙タオル等の紙葉体101が、相互に重ね合わせて積層体にされた状態で収納されている。そして、使用に当たっては、
図4及び
図7に示すように、シート状物品収納ボックス100の前面に設けられたペーパー取り出し口102から紙葉体101を順次に引き出せるようになっている。また、シート状物品収納ボックス100の背面には、
図6に示すように、外部から差し込まれる後述する係合舌片部19の差し込み係合を可能にする取付孔103が予め形成されている。なお、シート状物品収納ボックス100の大きさは、左右の幅が23.5cm、上下の幅が11cm、奥行きが4.5cmである。しかし、シート状物品収納ボックス保持具11で使用できるシート状物品収納ボックス100は、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0039】
一方、シート状物品収納ボックス保持具11は、使用に際してシート状物品収納ボックス100に取り付けられ、その後、
図4乃至
図7に示すように、壁面200に固定されたタオル掛け等の棒状体300に、シート状物品収納ボックス100のペーパー取り出し口102を前側に向けて、シート状物品収納ボックス100と共に取り付けられる。
【0040】
シート状物品収納ボックス保持具11の構造を更に詳述すると、
図3、
図4、
図5及び
図7に使用状態で示すシート状物品収納ボックス保持具11は、
図1に示すように一枚の板材10で形成されており、その一枚の板材10を
図1中に仮想の折り曲げ線13で示す所定の箇所から、裏面側に順に折り曲げて、概ね上面視コの字状に組み立ててなる。
【0041】
一枚の板材10としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の汎用樹脂材を金型に流し込んで所定の形状に一体成形して作られる。そして、板材10は、使用時に、所定の箇所(仮想の折り曲げ線13の箇所)から裏面側に順に折り曲げて、
図3及び
図4に示すように組み立てることにより使用が可能になる。また、板材10としては、樹脂材の他に紙を用いても良く、紙を用いる場合、坪量を200~500グラム/平方メートルの板紙や、段ボールシートとするのが好ましい。本実施例では、汎用樹脂材を金型に流し込んで所定の形状に一体に成形している。
【0042】
板材10は、左右方向の幅が上述したシート状物品収納ボックス100の左右方向の幅と略等しく約23.3cmで、上下方向の幅がシート状物品収納ボックス100の左右方向の幅と略等しく約10.5cmで、厚みは約1.6mmである。
【0043】
板材10は、保持具本体部12を有するとともに、保持具本体部12の左右両側にそれぞれ左右1対の上部係止片部14と、左右1対の下部ストッパー片部15と、左右1対の係合舌片部19とが設けられている他に、保持具本体部12の上下両側の縁にそれぞれ左右1対の上部ガイド片部20A、20Bと、左右1対の下部ガイド片部21A、21Bが設けられている。
【0044】
保持具本体部12は、略横長の四角形に形成されており、上下方向の幅が上述したシート状物品収納ボックス100の上下方向の幅と略等しく約10.5cmで、左右方向の幅がシート状物品収納ボックス100の左右方向の幅よりも小さく、約11.6cmで形成されている。したがって、後述するようにして、保持具本体部12の前面にシート状物品収納ボックス100を取り付けた状態では、保持具本体部12の上下及び左右方向はシート状物品収納ボックス100で隠れるようになっている。
【0045】
左右1対の上部係止片部14と左右1対の下部ストッパー片部15は、それぞれ上部係止片部14が上側で、その上部係止片部14の下側に下部ストッパー片部15が位置する状態で、かつ、上部係止片部14と下部ストッパー片部15との間に隙間S1を設けて、互いに上下に分かれ、そして、保持具本体部12の左右両側に形成された折り曲げ線13を境にして、保持具本体部12から各々左右方向に延長された状態で、保持具本体部12と一体に形成されている。折り曲げ線13は、保持具本体部12と上部係止片部14との間、及び、保持具本体部12と下部ストッパー片部15との間の折曲げを、その折り曲げ線13の箇所を基準として可能にしている。また、保持具本体部12には、
図1の(b)に示すように、折り曲げ線13に対応して、板材10の表面側から略溝状に切り込みを設けて形成された肉薄部13aが、その折り曲げ線13に沿って形成されている。この肉薄部13aは、上部係止片部14及び下部ストッパー片部15を保持具本体部12に対して折り曲げ線13に沿って折り曲げる作業を容易にする。
【0046】
上部係止片部14には、下端側から上端側に向かって徐々に開口幅S2が狭まる形状をした略逆V字状の切り欠き部16が形成されている。なお、上部係止片部14と下部ストッパー片部15との間の隙間S1及び切り欠き部16の開口幅S2の最大値は、共に棒状体300の外径よりも大きく形成され、切り欠き部16の最小開口幅は、棒状体300の外径の大きさよりも小さく形成されている。したがって、上部係止片部14の切り欠き部16内に下端側から入った棒状体300は、切り欠き部16の頂点に到達する前に途中で、切り欠き部16の両側の当接面16a(または後述する補強リブ28の上面)と傾斜面16bに当接して挟まれ、上部係止片部14と棒状体300が互いに係合位置決め可能となるように形成されている。また、上部係止片部14には、矩形状の孔で形成された係合部17が設けられている。なお、切り欠き部16は、必ずしも逆V字状でなくてもよく、例えば下端側から上端側に向かって徐々に開口幅S2が狭まる形状をした逆U字状や階段形状に形成してもよい。
【0047】
下部ストッパー片部15は、上部係止片部14の長さ(保持具本体部12からの最大突出長さ)よりも大きく保持具本体部12から突出された状態で帯状に形成されている。また、下部ストッパー片部15には、その長手方向に向けて点在した状態で、矩形状の孔で形成された複数個(本実施例では2個)の係合部18a、18bが形成されている。
【0048】
左右1対の係合舌片部19は、上部係止片部14と下部ストッパー片部15との間に挟まれるようにして、保持具本体部12の左右両側からそれぞれ外側に向かって、保持具本体部12と一体に形成されている。左右1対の係合舌片部19と保持具本体部12が接続されている各位置は、上部係止片部14と下部ストッパー片部15が保持具本体部12と接続されている位置と略同じ位置である。そして、各係合舌片部19には、それぞれ上部係止片部14の切り欠き部16内に向かって突出している係合舌19cが設けられている。なお、係合舌19cは、シート状物品収納ボックス100の取付孔103からシート状物品収納ボックス100の内面に沿って差し込みし易いように、先端側が前後に揺動可能に形成されている。
【0049】
なお、保持具本体部12には、補強リブ28が、左右1対の上部係止片部14の基部と左右1対の下部ストッパー片部15の基部との間で、かつ、1対の係合舌片部19が設けられている各縁、すなわち、上部係止片部14と下部ストッパー片部15の折り曲げ位置を設定している折り曲げ線13とそれぞれ略平行にして形成されている。本実施例での補強リブ28は、
図1の(b)に示すように、略断面矩形状であり、切り欠き部16に棒状体300が差し込まれているときに、保持具本体部12が前側方向に変形するのを防止する機能を有する。この補強リブ28は、これ以外の形状、例えば略断面半円形等であってもよい。
【0050】
また、保持具本体部12と上部係止片部14、及び、保持具本体部12と下部ストッパー片部15には、折り曲げ線13を挟んで互いに対応した位置にそれぞれ、突起部29aと、この突起部29aが解除可能にスナップ留め可能な長孔29bと、でなる係止保持手段29が設けられている。
【0051】
係止保持手段29は、折り曲げ線13を基準として、上部係止片部14及び下部ストッパー片部15がそれぞれ、保持具本体部12の裏面側に折り返されて保持具本体部12上に重ねられたときに、突起部29aが長孔29b内に解除可能にスナップ留めされ、その重ね合わせ状態を保持しておくのに使用する。また、長孔29bは、上部係止片部14及び下部ストッパー片部15の長手方向に延びている。突起部29aとスナップ留めされる孔を長孔29bとしている理由は、上部係止片部14及び下部ストッパー片部15がそれぞれ保持具本体部12の裏面側に折り返されて保持具本体部12上に重ねられた際に、突起部29aと長孔29bとの間に位置ずれがあった場合に、その位置ずれを吸収する機能、又は、上部係止片部14及び下部ストッパー片部15に外部からの変形力が加わったとき、あるいは上部係止片部14及び下部ストッパー片部15が変形したとき等に、その力を吸収する遊び機能を持たせるためである。そして、その遊びにより、製造誤差を緩くすることができるとともに、上部係止片部14又は下部ストッパー片部15に不意な外力がかかった際等に、折り畳み基部(肉薄部13aの箇所)が破壊するのを防止する。なお、本実施例では、突起部29aは保持具本体部12の裏面側に設けられ、長孔29bは上部係止片部14及び下部ストッパー片部15の側にそれぞれ設けているが、逆に上部係止片部14及び下部ストッパー片部15の裏面側に突起部29aを設け、保持具本体部12側に長孔29bを設けた構造にしてもよい。
【0052】
左右1対の上部ガイド片部20A、20Bは、保持具本体部12の上部縁から下部縁側に向かって画設された抜き部24Aにより形成されている。抜き部24Aにより形成された左右1対の上部ガイド片部20A、20Bは、保持具本体部12の上部縁に沿って左右両側から互いに対向するようにして片持ち状に延ばされている。また、先端には上部係止片部14に設けられた係合孔、すなわち係合部17に挿入係合可能な係止突片23が設けられている。そして、左右1対の上部ガイド片部20A、20Bは、折り曲げ線13を境にして、保持具本体部12の背面側にそれぞれ折り曲げ可能に形成されている。さらに、左右1対の上部ガイド片部20A、20Bの一面(本実施例では裏面側)には、滑り止め用突起20cを設けている。滑り止め用突起20cは、左右1対の上部ガイド片部20A、20Bの長手方向に対して略直角に形成されており、組立時に上部ガイド片部20A、20Bを掴んだ指が滑るのを防止する。
【0053】
左右1対の下部ガイド片部21A、21Bは、保持具本体部12の下部減り縁から上部縁側に向かって画設された抜き部24Bにより形成されている。抜き部24Bにより形成された左右1対の下部ガイド片部21A、21Bは、保持具本体部12の下部縁に沿って左右両側から互いに対向するようにして片持ち状に延ばされている。また、先端部には下部ストッパー片部15に設けられた係合孔、すなわち係合部18a、18bに挿入されて係合係止可能な係止突片26が設けられている。そして、左右1対の下部ガイド片部21A、21Bは、折り曲げ線13を境にして、保持具本体部12の背面側にそれぞれ折り曲げ可能に形成されている。さらに、左右1対の下部ガイド片部21A、21Bの一面(本実施例では裏面側)には、滑り止め用突起21cを設けている。滑り止め用突起21cは、左右1対の下部ガイド片部21A、21Bの長手方向に対して略直角に形成されており、組立時に下部ガイド片部21A、21Bを掴んだ指が滑るのを防止する。
【0054】
次に、このようにシート状に形成された板材10を折り畳んで、輸送、店頭陳列、収納時等にコンパクトな状態にしておく場合の一例を説明する。
【0055】
輸送、店頭陳列、収納時等のために、板材10を折り畳む場合は、上部係止片部14及び下部ストッパー片部15を、それぞれ折り曲げ線13を基準として保持具本体部12の裏面側に折り返し、保持具本体部12上に重ねる。そして、突起部29aを長孔29b内にスナップ留めすると、
図2に示すように、その重ね合わせ状態を保持しておくことができる。この板材10を折り畳んだ状態では、板材10の左右の幅は、
図1及び
図2に示すように、左右1対の係合舌片部19の外側最大幅L1となり、コンパクト化される。したがって、輸送、店頭陳列、収納時の際には、嵩張ることがない。
【0056】
次に、シート状に形成された板材10を、ユーザ側等で組み立てて、シート状物品収納ボックス保持具11として使用する場合の一例を説明する。
【0057】
まず、
図2に示すように、保持具本体部12の裏面側に折り返して保持具本体部12上に重ねられている上部係止片部14及び下部ストッパー片部15を、それぞれ所定の箇所である折り曲げ線13を支点として、保持具本体部12の裏面側に、保持具本体部12に対して略直角になるまで引き起こす。
【0058】
次いで、上部ガイド片部20A、20Bを、それぞれ所定の箇所である折り曲げ線13に沿って保持具本体部12の背面側へ折り曲げ、その折り曲げた上部ガイド片部20A、20Bの係止突片23を、対応する上部係止片部14の係合部17にそれぞれ挿入係合させる。続いて、下部ガイド片部21A、21Bを、それぞれ所定の箇所である折り曲げ線13に沿って保持具本体部12の背面側へ折り曲げ、その折り曲げた下部ガイド片部21A、21Bの係止突片26を下部ストッパー片部15の係合部18a又は係合部18bの何れか一方に挿入係合させる。なお、
図3から
図9では、係止突片26が係合部18aに挿入係合されている。
【0059】
これにより、一枚の板材10を折り曲げて、上面視略コの字状に組み立てられた、
図3から
図5に示すシート状物品収納ボックス保持具11が形成される。
【0060】
このように上面視略コの字状に組み立てられたシート状物品収納ボックス保持具11は、
図3から
図5に示すように、上部係止片部14の係合部17に上部ガイド片部20A、20Bの係止突片23を挿入させて係合係止させることにより、上部係止片部14が保持具本体部12に対して上面視略直角に立設された状態で保持される。また、保持具本体部12と上部係止片部14と上部ガイド片部20Aとで、上面視略三角形に立設された状態で保持される。なお、保持具本体部12と上部係止片部14と上部ガイド片部20Aで上面視略三角形以外に、例えば四角形など、上面視多角形を形成して保持するようにしてもよい。
【0061】
一方、下部ストッパー片部15は、
図3及び
図4に示すように、係合部18a又は係合部18bのいずれか一方に、下部ガイド片部21A、21Bの係止突片26を挿入させて係合係止させることにより、上面視略三角形に立設された状態で保持される。そして、下部ストッパー片部15側は、下部ガイド片部21A、21Bの係止突片26を、係合部18a又は係合部18bのどれに挿入させて係合係止させるかにより、下部ストッパー片部15の傾きが変わる。すなわち、
図9を用いて説明すると、係止突片26を係合部18aに挿入させて係合係止させた場合は、
図9に実線で示す位置となり、係止突片26を係合部18bに挿入係合させた場合は、
図9に1点鎖線で示す位置となる。ここでの挿入係合は、壁面200と下部ストッパー片部15の先端までの距離を調整可能するための距離調整手段27を構成している。すなわち、下部ガイド片部21A、21Bの係止突片26を、係合部18aに挿入係合させた場合と係合部18bに挿入係合させた場合とでは、下部ストッパー片部15の先端と保持具本体部12の背面までの距離が変わる。本実施例では、係合部18aに係止突片26を挿入させて係合係止させた場合と、係合部18bに係止突片26を挿入させて係合係止させた場合とでは、係合部18aに係止突片26を挿入させて係合係止させた場合の方が、係合部18bに係止突片26を挿入させて係合係止させた場合よりも、距離S3だけ保持具本体部12の背面までの距離が遠くなる。これによりシート状物品収納ボックス100の取付ける角度を調整することができる。また、この角度は、シート状物品収納ボックス100の前面が壁面200と並行となるように取り付けられることが好ましい。
【0062】
次に、シート状物品収納ボックス保持具11を使用して、壁面200に取り付けられた棒状体300にシート状物品収納ボックス100を取り付ける場合について説明する。まず、
図5及び
図6に示すように、シート状物品収納ボックス100の背面に形成された取付孔103から係合舌片部19の係合舌19cを差し込み係合させ、シート状物品収納ボックス100の背面にシート状物品収納ボックス保持具11を取り付ける。これにより、シート状物品収納ボックス100とシート状物品収納ボックス保持具11とが一体化される。
【0063】
次いで、予め壁面200に固定されて取り付けられている棒状体300を、上部係止片部14と下部ストッパー片部15との間の隙間S1を通してシート状物品収納ボックス保持具11内に配置し、上部係止片部14の切り欠き部16が棒状体300と対応する状態にする。また、その状態で、シート状物品収納ボックス保持具11をシート状物品収納ボックス100と共に下方に移動させる。すると、途中で切り欠き部16の当接面16a(または、補強リブ28の滋養面)と傾斜面16bとが棒状体300の外面に各々当接する。これにより、シート状物品収納ボックス保持具11がシート状物品収納ボックス100と共に棒状体300に位置決め保持される。また、同時に、下部ストッパー片部15の先端が壁面200と対向する。ここで、下部ストッパー片部15の先端と壁面200との間に、隙間がある場合は、下部ストッパー片部15の先端と壁面200との間の距離を調整する距離調整手段27、すなわち係止突片26が挿入係合されている係合部18aを係合部18bに差し替え、又は、その逆の差し替えを行うと、下部ストッパー片部15の先端と壁面200との間の距離が調整されて、シート状物品収納ボックス100の角度を適正化することができる。このようにして壁面200に取り付けられた棒状体300に、シート状物品収納ボックス保持具11を使用して取り付けられたシート状物品収納ボックス100が
図7に示す状態である。なお、距離調整用の係合部(18a、18b)は2つ以上であってもよい。
【0064】
このようにして、棒状体300を介して壁面200に取り付けられたシート状物品収納ボックス100は、使用に際して、シート状物品収納ボックス100の前面に設けられたペーパー取り出し口102から紙葉体101を順次に引き出すことができる。
【0065】
以上説明したように、本実施例に係るシート状物品収納ボックス保持具11では、一枚の板材10の所定の箇所から各部(上部係止片部14、下部ストッパー片部15、上部ガイド片部20A、20B、下部ガイド片部21A、21B等)を折り曲げると所定の形状に組立て使用することができる。また、構造も比較的簡単で、かつ軽量であるので、シート状物品収納ボックス100と一緒にパッキングして、販売することが可能になる。
【0066】
また、左右1対の上部係止片部14と左右1対の下部ストッパー片部15は、左右1対の係合舌片部19よりも内側に位置して設けられ、そして保持具本体部12より壁面側(保持具本体部12の裏面側)に向かって折り曲げるように設けているので、棒状体300に沿う方向の長さは、左右1対の係合舌片部19の外側最大幅L1に抑えることができる。これにより、コンパクト化が図れ、汎用の棒状体やリング状など、多様な形態を有するタオル掛けに制約を受けることなく、シート状物品収納ボックスを簡単、かつ、確実に取り付けて使用することができる。さらに、コンパクト化が図れることにより、材料(例えば、プラスチック使用量等)を削減することができる。
【0067】
また、保持具本体部12には、上部係止片部14の基部との間と下部ストッパー片部15の基部との間に、それぞれ仮想の折り曲げ線13を設けているとともに、上部ガイド片部20A、20Bの基部との間と下部ガイド片部21A、21Bとの間に、それぞれ同じく仮想の折り曲げ線13を設けている。そして、組立などで、上部係止片部14と下部ストッパー片部15を、保持具本体部12に対して折り曲げる場合は、折り曲げ線13の位置で折り曲げると、予め決められた箇所で正しく折り曲げることができる。また、上部ガイド片部20A、20Bと下部ガイド片部21A、21Bも、保持具本体部12に対して折り曲げる場合は、折り曲げ線13の位置で折り曲げると、予め決められた箇所で正しく折り曲げることができる。さらに、折り曲げ線13に沿って、略溝状に切り込まれた肉薄部13aを設けているので、上部係止片部14と下部ストッパー片部15を保持具本体部12に対して折り曲げる際、及び、上部ガイド片部20A、20Bと下部ガイド片部21A、21Bを保持具本体部12に対して折り曲げる際に、折り曲げ線13に沿って正確、かつ、簡単に折り曲げることができる。
【0068】
また、前記保持具本体部12には、上部係止片部14が折り曲げられる折り曲げ線13と下部ストッパー片部15が折り曲げられる折り曲げ線13とに略平行に形成された補強リブ28を設けているので、折り曲げ線13に沿って保持具本体部12から折り曲げられた後における保持具本体部12の形状を補強リブ28で補強し、保持具本体部12の変形等で、上部係止片部14と下部ストッパー片部15の姿勢が傾いたりするのをなくすことができ、シート状物品収納ボックス保持具11を棒状体300に確実に取り付けて保持できる。
【0069】
上部係止片部14と下部ストッパー片部15は、内側に折り畳んで保持具本体部12上に重ね合わせ可能にし、かつ、保持具本体部12と上部係止片部14、及び、保持具本体部12と下部ストッパー片部15に、保持具本体部12上に重ね合わされた上部係止片部14及び下部ストッパー片部15をそれぞれ保持具本体部12上に係止保持しておく、突起部29aと長孔29bとでなる係止保持手段29を設けているので、輸送する際や保管をする際、及び、店頭陳列をする際等に、平たく嵩張らないようにコンパクトにしておくことができる。
【0070】
また、上部ガイド片部20A、20Bの一面側に滑り止め用突起20cを設けるとともに、下部ガイド片部21A、21Bの一面側に滑り止め用突起21cを設けているので、上部ガイド片部20A、20B及び下部ガイド片部21A、21Bの折り曲げ作業を行うとき、指等が滑り止め用突起に引っかかり、滑らずにスムーズに組立作業を行うことができる。
【0071】
なお、上記実施例では、上部係止片部14の係合部17を孔で形成し、上部ガイド片部20A、20Bの係止突片23を孔内に挿入させて係合係止させる構造を開示したが、逆に、上部ガイド片部20A、20Bに孔等の係合部17を設け、上部係止片部14側に係止突片23を設けた構造にしてもよい。また、係合部17を孔でなく、差し込み可能なスリット等で形成してもよい。
また、下部ストッパー片部15は、下部左右両側より壁面200に向かって各々折り曲げた構造を開示したが、下部左右両側以外の例えば上下両側より壁面200に向かって折り曲げる構造にすることも可能である。
また、上部ガイド片部20A、20Bの滑り止め用突起20c、及び、下部ガイド片部21A、21Bの滑り止め用突起21cは、全てに設けず、何れか一方にも設けてもよい。
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0072】
10 :板材
11 :シート状物品収納ボックス保持具
12 :保持具本体部
13 :折り曲げ線
13a :肉薄部
14 :上部係止片部
15 :下部ストッパー片部
16 :切り欠き部
17 :係合部
18a :係合部
18b :係合部
19 :係合舌片部
20A :上部ガイド片部
20B :上部ガイド片部
20c :滑り止め用突起
21A :下部ガイド片部
21B :下部ガイド片部
21c :滑り止め用突起
23 :係止突片
26 :係止突片
27 :距離調整手段
28 :補強リブ
29 :係止保持手段
29a :突起部
29b :長孔
100 :シート状物品収納ボックス
101 :紙葉体
103 :取付孔
200 :壁面
300 :棒状体