(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】ビークルの部品信頼性決定システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240129BHJP
B64F 5/40 20170101ALI20240129BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20240129BHJP
【FI】
G06Q10/20
B64F5/40
G06Q10/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018058186
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2021-03-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-22
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ジェンノン・ワン
【合議体】
【審判長】渡邊 聡
【審判官】佐藤 智康
【審判官】松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-522747(JP,A)
【文献】特開2015-133115(JP,A)
【文献】植草 源三,人の寿命と機器・備品の寿命,日本信頼性技術協会誌,10巻4号,1989年,34-47頁,[Online],[2022年3月11日検索],URL:hっtps://www.jstage.jst.go.jp/article/reaj1979/10/4/10_4_34/_pdf/-char/ja
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビークル(10)の少なくとも1つの部品の信頼性を決定するように構成された、部品信頼性決定システム(100)であって、前記部品信頼性決定システム(100)は、
前記ビークル(10)の実際の使用に関するビークル使用状況データを記憶する、ビークル使用状況データベース(114)と、
前記少なくとも1つの部品に関する部品寿命分布を決定する部品寿命分布制御ユニット(104)であって、前記少なくとも1つの部品に関する前記部品寿命分布が、前記ビークル及び少なくとも1つの他のビークルに対して以前に使用されている前記少なくとも1つの部品と同じ種類の従来部品に関する部品履歴データに基づいている、部品寿命分布制御ユニット(104)と、
前記少なくとも1つの部品に関する前記部品寿命分布
と、前記ビークル使用状況データに関連付けた前記少なくとも1つの部品の現在寿命データ
とに基づいて、前記少なくとも1つの部品の余寿命を決定する、部品寿命予測制御ユニット(106)と、
を備え、
前記現在寿命データが、取り付け後使用時間、または取り付け後使用サイクルのうちの1つまたは両方を含む、部品信頼性決定システム。
【請求項2】
前記部品寿命予測制御ユニット(106)と通信する、部品データベース(102)をさらに備え、前記部品データベース(102)に、前記少なくとも1つの部品の前記現在寿命データが記憶され、かつ前記部品データベース(102)に、前記少なくとも1つの部品に関する部品履歴データが記憶される、請求項1に記載の部品信頼性決定システム。
【請求項3】
前記部品寿命予測制御ユニット(106)が、少なくとも部分的に、少なくとも1つの従来部品の前の交換時期に基づいて、前記余寿命を決定する、請求項1又は2に記載の部品信頼性決定システム。
【請求項4】
部品寿命分布制御ユニット(104)が、部品取り付け回数と、部品取り外し回数とのチェーンを構築し、前記部品寿命分布制御ユニット(104)が、前記少なくとも1つの部品の前記余寿命を決定するために前記チェーンを使用する、請求項1~3のいずれか一項に記載の部品信頼性決定システム。
【請求項5】
前記部品寿命予測制御ユニット(106)が、前記少なくとも1つの部品の配置および数を決定するために、ビークル構成データを分析する、請求項1~4のいずれか一項に記載の部品信頼性決定システム。
【請求項6】
前記部品寿命予測制御ユニット(106)が、少なくとも部分的に、前記少なくとも1つの部品の部品番号、またはシリアル番号に基づいて、前記少なくとも1つの部品の取り付け後使用時間、または取り付け後使用サイクルを決定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の部品信頼性決定システム。
【請求項7】
前記部品寿命予測制御ユニット(106)が、1つ以上の数学モデルに関連付けて、前記少なくとも1つの部品の取り付け後使用時間、または前記少なくとも1つの部品の取り付け後使用サイクルのうちの1つ、または両方を決定することによって、前記少なくとも1つの部品の前記余寿命を決定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の部品信頼性決定システム。
【請求項8】
ビークル(10)の少なくとも1つの部品の信頼性を決定するように構成された、部品信頼性決定システム(100)によって実行された部品信頼性決定方法であって、前記部品信頼性決定方法は、
前記ビークルの実際の使用に関する、ビークル使用状況データを記憶するステップと、
前記少なくとも1つの部品に関する部品寿命分布を決定するために、部品寿命分布制御ユニット(104)を使用するステップであって、前記ビークル及び少なくとも1つの他のビークルに対して以前に使用されている前記少なくとも1つの部品と同じ種類の従来部品に関する部品履歴データに、前記少なくとも1つの部品に関する前記部品寿命分布が基づいているステップを備える、部品寿命分布制御ユニット(104)を使用するステップと、
前記少なくとも1つの部品に関する前記部品寿命分布
と、前記ビークル使用状況データに関連付けた前記少なくとも1つの部品の現在寿命データ
とに基づいて、前記少なくとも1つの部品の余寿命を、部品寿命予測制御ユニット(106)によって決定するステップと、
を含み、
前記現在寿命データが、取り付け後使用時間、または取り付け後使用サイクルのうちの1つまたは両方を含む、部品信頼性決定方法。
【請求項9】
部品データベース(102)を、前記部品寿命予測制御ユニット(106)と通信できるように結合するステップと、
前記部品データベース(102)に、前記少なくとも1つの部品の前記現在寿命データを記憶するステップと、
前記部品データベース(102)に、前記少なくとも1つの部品に関する部品履歴データを記憶するステップと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記決定するステップが、少なくとも部分的に、少なくとも1つの従来部品の前の交換時期に基づいて、前記余寿命を決定することを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般に、航空機などのビークルの、様々な部品の信頼性を決定するシステム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビークルは、地点間の人の輸送に用いられる。例えば、民間航空機は、様々な地点間の乗客の輸送に用いられる。通常、航空機は、数百万ではないにしても、数千の構成部品を備えている。例えば、航空機の各システム、副システム、構造などは、数千の構成部品で形成されている場合がある。
【0003】
理解されるように、航空機の運行者や乗客は、定時運行を重視する。整備作業は、航空機の遅延を引き起こす可能性がある。例えば、次のフライトまでに航空機の特定の部品を交換する必要があると決定された場合は、整備員が部品を交換する。しかしながら、このような整備手順では、古い部品を新しい部品に交換している間に、次の出発時刻に遅延が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
航空機などのビークルの部品の信頼性を評価するシステム、および方法が必要とされている。また、航空機の部品の余寿命を決定するシステム、および方法が必要とされている。さらに、フライト間の整備作業によって生じ得るフライト遅延を避けるために、航空機の部品を交換する時期を決定するシステム、および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような必要性を念頭に置いて、本開示のいくつかの実施形態は、ビークルの少なくとも1つの部品の信頼性を決定するように構成された、部品信頼性決定システムを提供する。部品信頼性決定システムは、(複数の)部品に関する部品寿命分布と関連付けた、(複数の)部品の現在寿命データに基づいて、(複数の)部品の余寿命を決定する、部品寿命予測制御ユニットを備える。
【0006】
少なくとも1つの実施形態において、本システムは、部品寿命分布制御ユニットを備える。部品寿命分布制御ユニットは、少なくとも1つの部品に関する部品寿命分布を決定する。
【0007】
本システムは、部品寿命予測制御ユニットと通信する、部品データベースを備えてもよい。(複数の)部品の現在寿命データが、部品データベースに記憶されてもよい。(複数の)部品の部品履歴データが、部品データベースに記憶されてもよい。
【0008】
少なくとも1つの実施形態において、ビークル使用状況データベースが、ビークルの実際の使用に関するビークル使用状況データを記憶する。部品寿命予測制御ユニットは、ビークル使用状況データに照らして、余寿命を決定する。
【0009】
現在寿命データは、取り付け後使用時間、または取り付け後使用サイクルのうちの1つ、または両方を含んでもよい。
【0010】
少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニットは、少なくとも部分的に、少なくとも1つの従来部品の前の交換時期に基づいて、余寿命を決定する。部品寿命分布制御ユニットは、部品取り付け回数と、部品取り外し回数とのチェーンを構築してもよい。部品寿命分布制御ユニットは、チェーンを使用して、(複数の)部品の使用期間、および/または(複数の)部品の余寿命を決定してもよい。
【0011】
部品寿命予測制御ユニットは、(複数の)部品の配置および数を決定するために、ビークル構成データを分析してもよい。
【0012】
少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニットは、少なくとも部分的に、(複数の)部品の部品番号、またはシリアル番号に基づいて、(複数の)部品の取り付け後使用時間、または取り付け後使用サイクルを決定する。
【0013】
少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニットは、1つ以上の数学モデルに関連付けて、(複数の)部品の取り付け後使用時間、または(複数の)部品の取り付け後使用サイクルのうちの1つ、または両方を決定することによって、(複数の)部品の余寿命を決定する。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態は、ビークルの少なくとも1つの部品の信頼性を決定するように構成された、部品信頼性決定方法を提供する。部品信頼性決定方法は、部品寿命予測制御ユニットによって、(複数の)部品に関する部品寿命分布と関連付けた、(複数の)部品の現在寿命データに基づいて、(複数の)部品の余寿命を決定するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、航空機の前面斜視図である。
【
図2】本開示の例示的な実施形態による、部品信頼性決定システムの概略図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態による、部品信頼性を決定する方法のフローチャートである。
【
図4】本開示の例示的な実施形態による、信頼性曲線、および累積分布関数曲線のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
前述の概要、ならびに以下の特定の実施形態の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。本明細書で使用する、単数形で列挙され、「a」または「an」という語が先行する要素またはステップは、必ずしも複数の要素またはステップを除外するものではないと理解されるべきである。また、「1つの実施形態」という言い方は、列挙された特徴を同様に組み込む、さらなる実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図していない。さらに、反対のことが明確に述べられない限り、特定の条件を有する1つの要素、または複数の要素を「備える(comprising)」かまたは「有する(having)」実施形態は、その条件を有していない追加の要素を含むことができる。
【0017】
本開示の実施形態は、航空機などのビークルの、様々な部品の平均余命を決定するように構成された、システムおよび方法を提供する。ビークルの部品寿命を知ることには様々な利点があり、ビークル設計を改善できること、ビークルの運行を効率的に支援すること、部品取り外し時期を予測できること、備えておく予備部品の数を決定できること、ならびに整備点検を支援することが含まれる。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態は、航空機などのビークルの、部品の信頼性を決定するシステム、および方法を提供する。本システムおよび方法は、部品寿命分布を決定する。部品寿命分布が決定されると、本システムおよび方法は、ビークルの様々な部品の信頼性および余寿命を決定することができる。例えば、本システムおよび方法によって、部品の耐用期間、部品の平均寿命、部品が故障しやすくなる可能性が生じる時期、既存部品がビークルに残存することに関する危険性、ならびに所定の期間に航空機の運行者が必要とする予備部品の数を決定することができる。
【0019】
部品に関する信頼性は、部品が、定められた期間内に故障することなく、意図した機能を実行する可能性に関する。本明細書で説明するシステム、および方法は、起こり得る故障の前に、(複数の)部品をいつ交換するべきかを予測するために、ビークルの1つ以上の部品の信頼性を評価する。
【0020】
少なくとも1つの実施形態において、部品信頼性決定システムは、部品が使用されている間の飛行時間、および飛行サイクルを収集して記憶する。飛行時間、および飛行サイクルは、ビークル使用状況データベース内の使用状況データとして記憶される。部品信頼性決定システムは、各部品に対して、部品取り付け後使用時間(TSI)、および部品取り付け後使用サイクル(CSI)の数(サイクルは、ビークルの出発から到着までとして計測される)を記憶してもよい。しかしながら、TSI/CSIは、部品取り外しデータに直接使用できない場合がある。例えば、航空機から部品が取り外されるときに、運行者が、TSI/CSIの提供を要求されない場合がある。したがって、本開示の実施形態は、取り外した部品に対するTSIおよびCSIを決定するように構成された、部品信頼性決定システムを提供する。
【0021】
また、少なくとも1つの実施形態において、部品信頼性決定システムは、打ち切りデータ、すなわち航空機などのビークルに現在搭載されている部品のTSIおよびCSIを決定するように構成される。打ち切りデータを決定するために、部品信頼性決定システムは、ビークル構成データ、およびビークル構成部品記録データ(vehicle readiness log data)を検索し、これは、ビークル使用状況データベースに記憶されてもよい。ビークル構成データおよびビークル構成部品記録データ、ならびに構成部品の取り外しを分析することによって、部品信頼性決定システムは、同じ部品番号を持つ部品がいくつ取り外されたか、ならびに同じ部品番号を持つ部品がまだいくつビークルに搭載されているかを決定する。部品の取り外しを決定することによって、部品信頼性決定システムは、部品が取り付けられた時期、および部品がビークルに搭載されていた期間を決定する。
【0022】
本開示の実施形態は、データ供給源を統合し、取り外した部品、およびまだ航空機に搭載されている部品の両方から、TSI/CSIを推定するシステムおよび方法を提供する。本システムおよび方法は、航空機の部品寿命分布に基づいて、ビークルの部品が故障しやすくなる時期を予測するように構成される。部品が故障しやすくなる時期を予測することによって、本システムおよび方法は、このような予測された時期がくる前に、部品を交換できるようにする。
【0023】
図1は、本開示の例示的な実施形態による、航空機10などのビークルの前面斜視図である。航空機10は推進システム12を備え、これは例えば、2つのターボファンエンジン14を含んでもよい。任意選択で、推進システム12は、示されているよりも多くのエンジン14を含んでいてもよい。エンジン14は、航空機10の翼16によって保持される。他の実施形態において、エンジン14は、機体18および/または尾部20によって保持されてもよい。尾部20はまた、水平尾翼22および垂直尾翼24も支持することができる。
【0024】
航空機10の機体18は、内部客室を画定し、これは、コックピット、1つ以上の作業区画(ギャレー、乗務員用機内持ち込み手荷物領域など)、1つ以上の客室区画(例えばファーストクラス、ビジネスクラス、およびエコノミー区画)、ならびに後部区画を含んでもよい。各区画は、客室移行領域によって分離することができ、これは、1つ以上のクラス仕切り組立体を含むことができる。頭上の収納棚組立体は、内部客室全体に配置されてもよい。
【0025】
航空機10は、多数の部品を含む、多数のシステム、および副システムを備える。例えば、推進システム12は、数千の構成部品を備えている。別の例として、航空機10に搭載されている各トイレは、数千の構成部品を含んでいる。航空機10全体では、共に航空機10を形成する、数百万の個別の異なる部品を含んでいる。部品信頼性決定システムは、部品それぞれの寿命分布を決定し、航空機10の部品の余寿命(例えば、部品が故障しやすくなる可能性が生じるまでの時間)を予測するのに用いられる。少なくとも1つの実施形態において、部品信頼性決定システムは、航空機10の飛行時間、および/または飛行サイクルに照らして、余寿命を決定する。
【0026】
あるいは、本開示の実施形態は、航空機の代わりに、自動車、バス、機関車および列車の車両、外洋船、宇宙船等の様々な他のビークルに使用することができる。
【0027】
図2は、本開示の例示的な実施形態による、部品信頼性決定システム100の概略図である。部品信頼性決定システム100は、1つ以上の有線通信、または無線通信などを介して、部品寿命分布制御ユニット104、および部品寿命予測制御ユニット106と通信する、部品データベース102を含む。部品寿命分布制御ユニット104、および部品寿命予測制御ユニット106もまた、1つ以上の有線通信、または無線通信などを介して互いに通信する。
【0028】
例えば、部品信頼性決定システム100は、航空機10(
図1に示す)に搭載されてもよい。任意選択で、部品信頼性決定システム100は、航空機10から遠く離れて、地上監視ステーションなどに配置されてもよい。少なくとも1つの実施形態において、部品寿命分布制御ユニット104、または部品寿命予測制御ユニット106の1つまたは両方が、航空機10に搭載されてもよく、その一方で、部品データベース102はそこから遠く離れて、地上監視ステーションなどに配置される。少なくとも1つの実施形態において、部品寿命分布制御ユニット104、および部品寿命予測制御ユニット106は、これに限定されないが、インターネットなどの様々な通信ネットワークを介して、部品データベース102と通信してもよい。
【0029】
図示されているように、部品寿命分布制御ユニット104と、部品寿命予測制御ユニット106とは、個別の異なる制御ユニットであってもよい。任意選択で、部品寿命分布制御ユニット104、および部品寿命予測制御ユニット106は、単一の制御ユニット、または処理システムの構成要素であってもよい。
【0030】
少なくとも1つの実施形態において、部品データベース102は、部品履歴記憶ユニット110と、現行部品記憶ユニット112とを備える。部品履歴記憶ユニット110は、多数の航空機について経時的に収集された、航空機の全ての種類の部品のデータを記憶する。例えば、部品履歴記憶ユニット110は、現在航空機に搭載されている全ての部品の耐用寿命に関係するが、航空機、および様々な他の航空機(例えば、同様に成形された他の航空機)に対する過去の使用についても集約された、データを記憶してもよい。データは、部品それぞれの寿命データ(すなわち実際の使用時間)を含んでもよい。少なくとも1つの実施形態において、部品履歴記憶ユニット110は、現在航空機に搭載されている部品の、全ての使用可能なデータを記憶しているが、これらの部品は、現在の航空機、およびこのようなデータを使用可能な他の全ての航空機に対して使用されていたものである。
【0031】
例として、航空機は、特定の部品を含む。部品履歴記憶ユニット110は、特定の部品と同種の部品の使用可能なデータを記憶しているが、この部品は、この航空機、およびデータを使用可能な様々な他の航空機に対して以前使用されていたものである。このように、部品履歴記憶ユニット110は、数百、数千、またはそれ以上の航空機に使用された、特定の部品のデータを記憶し得る。
【0032】
現行部品記憶ユニット112は、現在航空機に搭載されている、全ての部品の現在寿命データを記憶する。例えば、現行部品記憶ユニット112は、各部品の取り付け後使用時間(TSI)、各部品の取り付け後使用サイクル(CSI)などに関するデータを記憶する。このようにして、現行部品記憶ユニット112は、各部品の実際の使用状況(すなわち寿命)に関する、現在寿命データを記憶する。
【0033】
少なくとも1つの実施形態において、部品信頼性決定システム100は、部品を有するビークルの実際の使用状況を示す、ビークル使用状況データを記憶する、ビークル使用状況データベース114をさらに備える。ビークル使用状況データベース114は、例えば、1つ以上の有線接続、または無線接続を介して、部品寿命予測制御ユニット106と通信する。例として、ビークル使用状況データベース114は、例えば、飛行時間(すなわち飛行中に動作した実際の時間)、および飛行サイクル(すなわちサイクルの合計数であって、サイクルは、出発およびこれに関連付けられる到着と定義される)を単位として、航空機のビークル使用状況データを記憶する。
【0034】
部品寿命予測制御ユニット106は、部品寿命分布制御ユニット104によって決定された、特定種類の部品の部品寿命分布と、(ビークル使用状況データベース114として記憶された)ビークル使用状況と、部品寿命予測制御ユニット106によって決定された部品の余寿命とに基づいて、ビークルの部品の余寿命を決定するように構成される。このように、部品寿命予測制御ユニット106は、(例えば、現行部品記憶ユニット112に記憶された)部品に関する現在寿命データと、部品寿命分布制御ユニット104によって決定された、部品に関する部品寿命分布とに基づいて、部品の余寿命を決定するように構成される。少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニット106は、特定種類の部品の決定した部品寿命分布と、ビークルの実際の使用状況との関数によって、部品の余寿命を決定する。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、航空機の飛行時間、および/または飛行サイクルを単位として、航空機の現行部品の余寿命を決定してもよい。
【0035】
動作時に、部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴記憶ユニット110に記憶された各部品の部品履歴データを分析する。部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴データに基づいて、特定の部品の寿命分布を決定し、部品履歴データは、前述のように、数千以上の航空機の使用に対して収集され得る。少なくとも1つの実施形態において、部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴データの分析に基づいて、特定種類の部品の寿命分布を決定する。少なくとも1つの実施形態において、部品寿命分布制御ユニット104は、1つ以上の数学モデル、および公式に基づいて、寿命分布を決定してもよい。
【0036】
例えば、部品寿命分布制御ユニット104は、数百、数千、あるいは数百万の、特定種類の部品の実際の寿命(すなわち特定の部品を実際に使用した時間)に関する履歴データに基づいて、特定種類の部品の平均寿命を決定してもよい。例えば、部品寿命分布制御ユニット104は、数百、数千、あるいは数百万の、従来部品の実際の使用寿命に基づいていてもよい。このようにして、部品寿命分布制御ユニット104は、特定種類の部品の、部品寿命分布を決定する。少なくとも1つの実施形態において、部品寿命分布制御ユニット104は、航空機の特定種類の部品のそれぞれに対して、部品寿命分布を決定する。少なくとも1つの他の実施形態において、部品寿命分布制御ユニット104は、航空機の特定種類の部品のそれぞれよりも少ない、部品寿命分布を決定する。
【0037】
航空機の特定種類の部品の、部品寿命分布を決定した後で、部品寿命予測制御ユニット106が、航空機の現行部品データを分析し、これは、現行部品記憶ユニット112に記憶される。部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品データに記憶されている通りに、航空機の様々な現行部品(すなわち現在1つ以上の部分を形成している部品)を評価する。例えば、現行部品データは、現行部品のTSI、CSIなどを記憶している。各部品のTSIおよびCSIが、現行部品記憶ユニット112に提供され記憶されてもよい。少なくとも1つの他の実施形態では、TSIおよびCSIは提供されなくてもよい。その代わりに、部品寿命予測制御ユニット106は、前に部品を取り外した日付、部品の取り付け日、および取り外し日の統計分析などに基づいて、TSIおよびCSIを決定してもよい。部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品の余寿命を予測するために、航空機の各現行部品に対して、(部品寿命分布制御ユニット104によって決定されたように)各種の部品の部品寿命分布を分析する。
【0038】
少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニット106は、ビークル使用状況データベース114に記憶されたビークル使用状況データに基づいて、部品の現在寿命を決定する。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、部品のTSIおよび/またはCSIを相関させ、このような現在寿命データを、ビークル使用状況データベース114に記憶されたビークル使用状況データと相互参照する。TSIおよび/またはCSIと、(時間および/またはサイクルを単位とする)実際のビークル使用状況とに基づいて、部品寿命予測制御ユニット106は、ビークル使用時間、および/またはサイクルを単位とする、部品の現在寿命を決定する。部品寿命予測制御ユニット106は、次に、部品の余寿命を予測するために、例えば、残りの時間および/またはサイクルを単位として、その特定種類の部品の、部品寿命分布に照らして、部品の現在寿命を比較してもよい。
【0039】
例として、航空機に搭載された、トイレ用の真空発生器は、部品の種類の1つである。部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴記憶ユニット110に記憶された、真空発生器の履歴データを分析する。真空発生器の履歴データに基づいて、部品寿命分布制御ユニット104は、真空発生器の部品寿命分布を決定する。例えば、部品寿命分布制御ユニット104は、部品履歴記憶ユニット110に記憶された真空発生器の履歴データに基づいて、真空発生器の平均耐用寿命を決定してもよい。部品寿命予測制御ユニット106は、次に、現行部品記憶ユニット112を分析し、真空発生器が航空機に搭載されていることを確認する。現行部品記憶ユニット112は、真空発生器の現在のデータを記憶する。現在のデータには、例えば、航空機に搭載されている真空発生器のTSIが含まれる。部品寿命予測制御ユニット106は、次に、(部品寿命分布制御ユニット104によって決定されたように)真空発生器の部品寿命分布を、航空機に搭載されている真空発生器の現在寿命データと相関させる。真空発生器の部品寿命分布と、航空機に搭載されている実際の真空発生器の現在のデータとの間の相関に基づいて、部品寿命予測制御ユニット106は、実際の真空発生器の、余寿命を予測する。例として、部品寿命予測制御ユニット106は、実際の真空発生器の使用時間(例えば、TSIから現在の日付までに経過した飛行時間)を、真空発生器の部品寿命分布から減算する。このようにして、部品寿命予測制御ユニット106は、実際の真空発生器が故障しやすくなり得る時期を予測する。部品寿命予測制御ユニット106は、次に、フライト運行者、整備員などに、予測した時間を示す予測信号を出力し、その結果、交換予定時間が決定され得る。
【0040】
部品信頼性決定システム100は、航空機の少なくとも1つの部品に対して、このように動作する。少なくとも1つの実施形態において、部品信頼性決定システム100は、部品寿命分布を決定し、航空機の1つ1つの部品の余寿命を予測する。
【0041】
本明細書で用いる「制御ユニット」、「中央処理ユニット」、「ユニット」、「CPU」、「コンピューター」などの用語は、マイクロコントローラー、縮小命令セットコンピューター(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、ならびに本明細書で述べる機能を実行できるハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせを含む、その他任意の回路またはプロセッサを用いるシステムを含む、任意のプロセッサに基づくシステム、またはマイクロプロセッサに基づくシステムを含んでもよい。これらは単に例示目的であり、したがってこのような用語の定義および/または意味を、どのような形であれ限定することは意図していない。例えば、本明細書で説明するように、部品寿命分布制御ユニット104、および部品寿命予測制御ユニット106は、部品信頼性決定システム100の動作を制御するように構成された、1つ以上のプロセッサであってもよく、あるいは1つ以上のプロセッサを含んでもよい。部品寿命分布制御ユニット104と、部品寿命予測制御ユニット106とは、個別の異なる制御ユニットであってもよく、あるいは同じ制御ユニットの一部であってもよい。
【0042】
部品寿命分布制御ユニット104、および部品寿命予測制御ユニット106は、データを処理するために、1つ以上のデータ記憶ユニット、またはデータ記憶素子(1つ以上のメモリなど)に記憶された、一組の命令を実行するように構成される。例えば、部品寿命分布制御ユニット104、および部品寿命予測制御ユニット106は、1つ以上のメモリを備えてもよく、あるいはこれに結合されてもよい。また、データ記憶ユニットは、所望または必要に応じて、データその他の情報を記憶してもよい。データ記憶ユニットは、処理機内で、情報供給源、または物理メモリ素子の形をとってもよい。
【0043】
命令の組は、処理機としての部品寿命分布制御ユニット104、および部品寿命予測制御ユニット106に、本明細書で説明する主題の様々な実施形態の方法、および工程などの、特定の動作を実行するように命令する、様々なコマンドを含んでもよい。命令の組は、ソフトウェアプログラムの形をとってもよい。ソフトウェアは、システムソフトウェア、またはアプリケーションソフトウェアなどの様々な形をとってもよい。また、ソフトウェアは、個別のプログラムの集まり、より大きいプログラム内のプログラムサブセット、またはプログラムの一部の形をとってもよい。ソフトウェアは、オブジェクト指向プログラミングの形のモジュラープログラミングをさらに含んでもよい。処理機による入力データの処理は、ユーザーコマンドに対する応答、または前の処理結果に対する応答、あるいは別の処理機によって出された要求に対する応答であってもよい。
【0044】
本明細書の実施形態の図は、部品寿命分布制御ユニット104、および部品寿命予測制御ユニット106などの、1つ以上の制御ユニット、または処理ユニットを示す場合がある。処理ユニット、または制御ユニットは、本明細書で説明する動作を実行する、関連する命令(例えば、コンピューターハードドライブ、ROM、RAMなどの有形で非一時的なコンピューター読み取り可能な記憶媒体に記憶されたソフトウェア)を含むハードウェアとして実装され得る電気回路、またはこれらの一部を表す場合があることが理解されよう。ハードウェアは、本明細書で説明する機能を実行するために、配線で接続されたステートマシン回路を含んでもよい。任意選択で、ハードウェアは、マイクロプロセッサ、プロセッサ、コントローラーなどの1つ以上の論理型装置を含む、かつ/または1つ以上の論理型装置に接続された、電気回路を備えてもよい。任意選択で、部品寿命分布制御ユニット104、および部品寿命予測制御ユニット106は、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、(複数の)マイクロプロセッサなどの処理回路を表してもよい。様々な実施形態における回路は、本明細書で説明する機能を実行するために、1つ以上のアルゴリズムを実行するように構成されてもよい。1つ以上のアルゴリズムは、フローチャート、または方法で明確に特定されているかどうかにかかわらず、本明細書で開示する実施形態の態様を含んでもよい。
【0045】
本明細書で用いられる「ソフトウェア」、および「ファームウェア」という用語は置き換え可能であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含む、データ記憶ユニット(例えば、1つ以上のメモリ)に記憶された、コンピューターで実行するための任意のコンピュータープログラムを含む。前述のデータ記憶ユニットの種類は、単に例示的なものであり、したがってコンピュータープログラムを記憶するために使用できるメモリの種類を限定するものではない。
【0046】
図3は、本開示の例示的な実施形態による、部品信頼性を決定する方法のフローチャートである。
図2および
図3を参照すると、ステップ200において、1つ以上のビークルに使用される特定種類の部品の履歴データが、部品データベース102の部品履歴記憶ユニット110などに記憶される。ステップ202において、ビークルの現行部品データ(すなわち現在一部を形成している)が、部品データベース102の現行部品記憶ユニット112などに記憶される。
【0047】
ステップ204において、特定種類の部品の、部品寿命分布が、部品寿命分布制御ユニット104などによって決定される。ステップ206において、部品寿命予測制御ユニット106などによって、ビークルの現行部品データが分析される。ステップ208において、ビークルが特定種類の部品を含むかどうかが決定される。ビークルが、特定種類の部品を含まない場合は、本方法はステップ206に戻る(あるいは終了する)。しかしながら、ステップ208において、ビークルが特定種類の部品を含む場合は、本方法はステップ210に進み、部品寿命予測制御ユニット106によって、現行部品の余寿命が決定される。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品の余寿命を予測するために、特定種類の部品の、部品寿命分布データに照らして、現行部品データ(現行部品の現在の寿命を示す)を分析する。
【0048】
ステップ212において、部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品の余寿命を余寿命信号として出力する。余寿命信号は、現行部品の余寿命を個人に伝達する、1つ以上のグラフィック信号、映像信号、テキスト信号、および/または音声信号を含んでもよい。
【0049】
少なくとも1つの実施形態において、余寿命信号は、所定の閾値に基づいて伝達されてもよい。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、現行部品の余寿命が、故障しやすくなるまでの所定の時間、および/または所定のサイクル(例えば、その割合)内にあるときにのみ、余寿命信号を出力してもよい。このようにして、部品寿命予測制御ユニット106は、人(航空機の運行者、保守要員など)に対して、交換が必要なことを積極的に警告することができる。
図3に示す方法は、ビークル(またはその任意の部分)の1つ1つの部品に実行されてもよい。
【0050】
再び
図2を参照すると、部品の現在の寿命を決定するために、部品寿命予測制御ユニット106は、まず部品のTSIおよび/またはCSIを決定してもよい。特定の部品の取り付け日、ならびに特定の部品に交換された、直前の部品の取り外しデータは、現行部品記憶ユニット112に記憶される。しかしながら、特定の取り付け、または取り外しに関するデータは、すぐに使用できない場合がある。後述するように、部品信頼性決定システム100は、このような情報が、最初に航空機の運行者、製造者などによって報告されていない、あるいは提供されていないときであっても、取り付け日および取り外し日を決定するように構成されてもよい。TSIおよびCSIデータの決定後に、部品寿命予測制御ユニット106は、部品の余寿命を予測するために、1つ以上の数学モデル(例えば、ワイブルモデル、指数モデル、ガンマモデル、またはログノーマルモデル)を使用してもよい。
【0051】
部品寿命予測制御ユニット106は、(例えば、部品履歴記憶ユニット110に報告され記憶された)知られている部品取り外し、(例えば、航空機の様々な部品を示す)航空機構成データ、部品交換可能性データ、および航空機使用率データ(例えば、飛行時間、および/または飛行サイクル)を統合し、これは、メモリに、および/または中央監視ステーションに記憶されてもよい。
【0052】
少なくとも1つの実施形態において、残りの部品寿命を決定するために、部品寿命予測制御ユニット106は、部品追跡が最初に生じた時期に関するデータを検索する。このようなデータは、部品履歴記憶ユニット110、および/または現行部品記憶ユニット112に記憶されてもよい。
【0053】
少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニット106は、特定種類の部品の取り付けと取り外しとを結び付けるチェーンを構築する。このとき、部品寿命予測制御ユニット106は、部品全体の使用率を決定する。例えば、特定種類の部品が、特定の期間にわたって、5回取り付けおよび取り外しされた場合は、部品寿命予測制御ユニット106は、特定の期間にわたる交換回数によって、部品の平均耐用寿命を決定することができる。
【0054】
いくつかの状況において、部品寿命予測制御ユニット106は、報告された取り外し日、および取り付け日にアクセスできない場合がある。このように、部品寿命予測制御ユニット106は、取り付けと取り外しとを結び付けるチェーンを構築できない場合がある。
【0055】
少なくとも1つの実施形態において、航空機ごとの部品の量(quantity of the part per aircraft、QPA)が1に等しい(すなわち航空機にこのような部品が1つのみ存在する)ときは、部品使用率は、最後に取り外された日から決定されてもよい。例えば、特定の部品が最後に取り外された日付に基づいて、部品寿命予測制御ユニット106は、前に取り外した日付、ならびに部品寿命分布制御ユニット104によって決定された、この部品の部品寿命分布に基づいた、(取り外した部品と交換された)現行部品の余寿命を決定してもよい。
【0056】
特定種類の部品の、航空機ごとの部品の量(QPA)が、1よりも大きく(つまり、航空機にこのような部品が1つ以上存在する)、観察される取り外しがない(例えば、部品データベース102に取り外し日付が記憶されていない)場合は、部品寿命予測制御ユニット106は、QPA>1の部品番号の、それぞれの最後の取り外しを決定し、同じ部品番号を有する各部品の最後の1回の取り外しから、最後の調査までの使用率を決定してもよい。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、特定種類の部品の、過去3回の知られている取り外しを決定してもよい。また、部品寿命予測制御ユニット106は、最新の取り外し時間、またはサイクルから、関連する調査期間の終了までの部品の使用率を決定してもよい。
【0057】
少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニット106は、ある部品番号の取り外し回数(n)、およびQPA(m>1)を決定する。このようなm>nの事例では、部品寿命予測制御ユニット106は、m-n個の部品の使用率を決定する。少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニット106は、飛行時間に関連する部品と、飛行サイクルに関連する部品とを決定し、飛行時間関連であれば、部品寿命を推定するために飛行時間を使用し、飛行サイクル関連であれば、部品寿命を推定するために飛行サイクルを使用する。
【0058】
現行部品記憶ユニット112に記憶された現行部品データは、例えば、製造者または航空機の運行者によって報告された通りの、現行部品のTSIおよびCSIのうちの1つまたは両方を含んでもよい。つまり、部品使用の知られている第1の日付、および/または知られている第1のサイクルが、現行部品記憶ユニット112に入力されてもよい。
【0059】
部品寿命分布制御ユニット104、および/または部品寿命予測制御ユニット106は、ビークル工学構成データ、航空機構成部品記録データ、IPC(図解部品カタログ)などから、ビークルの構成、および部品の量(例えば、QPA)を検出し、これは、現行部品記憶ユニット112、および/またはビークル使用状況データベース114に記憶されてもよい。
【0060】
航空機に1種類のみの特定の部品が搭載されている(例えば、航空機が単一の真空発生器を備えている)状況では、QPA=1になり、部品寿命予測制御ユニット106は、部品を取り外す時期を決定することができる。少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニット106は、航空機に搭載されている、同じ部品番号を有する部品の取り外し順序を検出する。
【0061】
部品寿命予測制御ユニット106は、少なくとも部分的に、部品番号、または部品のシリアル番号に基づいて、部品のTSIまたはCSIを決定してもよい。少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニット106は、部品番号の追跡が開始される時期を検出するように構成される。例えば、部品を最初に追跡した日付は、現行部品記憶ユニット112に記憶された、現行部品データの一部であってもよい。また、部品寿命予測制御ユニット106は、例えばビークル使用状況データベース114に記憶された、航空機の飛行時間/飛行サイクルを分析する。したがって、部品寿命予測制御ユニット106は、次に、部品が航空機から取り外された時点の飛行時間/飛行サイクルを検出してもよい。部品寿命予測制御ユニットは、次に、取り外した部品のTSIおよび/またはCSIを計算する。部品寿命予測制御ユニット106は、次に、取り外した部品と交換された部品(つまり、交換部品)が、航空機に取り付けられた時期を特定する。部品寿命予測制御ユニット106は、次に、交換部品の飛行時間、および飛行サイクルを監視する。
【0062】
少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニット106は、取り外されたことは報告されていないが、異なる航空機から同じ部品番号が取り外されたことが報告された、航空機の他の全てのQPA=1の部品を検出する。部品寿命分布制御ユニット104、および/または部品寿命予測制御ユニット106は、次に、同じ部品番号を有する他の航空機の数を検出してもよい。
【0063】
少なくとも1つの実施形態において、(例えば、部品寿命分布制御ユニット104、および/または部品寿命予測制御ユニット106のうちの1つまたは両方を介した)部品信頼性決定システム100は、最初にその部品番号の取り外しが開始されたことが報告されている時期を検出する。次に、最初に部品の取り外しが開始されたことが報告されている時間に対する、各航空機の飛行時間/飛行サイクルが決定される。
【0064】
航空機に搭載された部品のQPAが1を超える場合、部品寿命予測制御ユニット106は、例えばそのシリアル番号と共に、取り外した部品と取り付けた部品とのチェーンを構築する。部品寿命予測制御ユニット106は、チェーン内の部品を特定してもよい。次に、部品が航空機に取り付けられた時期、および部品が航空機から取り外された時期が決定される。このような情報は、部品履歴記憶ユニット110に記憶されてもよい。次に、部品が取り付けられたときの飛行時間/飛行サイクルと、部品が取り外されたときの飛行時間/飛行サイクルとが、部品履歴記憶ユニット110に記憶される。その後、部品寿命予測制御ユニット106は、次に、部品のTSIおよび/またはCSIのうちの1つまたは両方を計算する。部品寿命予測制御ユニット106は、取り外した部品の取り付け日、および取り外し日を特定し、その両方が、部品履歴記憶ユニット110、および/または現行部品記憶ユニット112に記憶されてもよい。また、部品寿命予測制御ユニット106は、次に、部品が取り付けられた時点での航空機の飛行時間、および/または飛行サイクル、ならびに部品が取り外された時点での航空機の飛行時間、および/または飛行サイクルを特定してもよい。
【0065】
少なくとも1つの実施形態において、部品信頼性決定システム100は、シリアル番号のない取り外した部品、および/または部品取り付け情報のない、取り外した部品を特定するように構成される。部品寿命分布制御ユニット104、および/または部品寿命予測制御ユニット106は、まず、同じ部品番号を有する、取り外した部品を全て特定する。その後、同じ部品番号を有する部品の最初の(複数の)取り外しが特定される。次に、その部品番号に対して、取り外しが最初に報告された日付が特定される。次に、航空機の引き渡し日(すなわち航空機の運行者に最初に引き渡された時期)、および/または取り外しが最初に報告された日付のうち、遅い方が特定される。次に、遅い方の日付における、航空機の飛行時間/飛行サイクルが特定される。例えば、航空機は日付1に引き渡されている可能性がある一方で、特定の部品の取り外しは日付2に報告されており、これは日付1の後である。したがって、取り外しが最初に報告された日付(すなわち日付2)は、航空機が引き渡された日付(すなわち日付1)よりも後になる。次に、航空機の飛行時間/飛行サイクルが、日付2から特定される。遅い方の日付における、航空機の飛行時間/飛行サイクルが特定された後に、部品取り外しデータが特定される。
【0066】
部品信頼性決定システム100は、同じ部品番号の最後の(複数の)取り外しをさらに特定してもよい。(複数の)取り外しの(複数の)日付は、航空機の飛行時間および/または飛行サイクルと相関する。次に、まだ航空機に搭載されている部品のTSIおよび/またはCSIが計算される。
【0067】
システム100は、同じ部品番号の全ての取り外しをさらに特定し、部品を取り外した数(m)を数えてもよい。システム100は、部品のQPA(n)を特定する。システム100は、次に、m>nの部品を特定する。システム100は、次に、航空機の引き渡し日と、取り外し開始時期が報告された日付とのうちの遅い方を決定する。システム100は、次に、(m>nの)部品のTSIおよび/またはCSIを計算する。
【0068】
少なくとも1つの実施形態において、部品寿命予測制御ユニット106は、各部品番号に対して、TSIの平均、および標準偏差と、CSIの平均、および標準偏差とを計算する。部品寿命予測制御ユニット106は、TSIおよびCSIの正規化された標準偏差を別々に比較して、部品が飛行時間または飛行サイクルに関連付けられるかどうかを決定する。
【0069】
示されているように、部品寿命予測制御ユニット106は、部品の余寿命を決定するために、1つ以上の数学モデルを使用してもよい。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、以下に示すように、ワイブルモデルを使用して部品の余寿命を決定してもよい。
【数1】
ここでpdfは確率分布関数であり、αは、部品のTSIまたはCSIのうちの1つまたは両方によって定義され得る尺度パラメータ、そしてβは、部品のTSIまたはCSIのうちの1つまたは両方によって定義され得る形状パラメータである。
β=1のとき、ワイブルモデルは指数モデルになる。
【0070】
経時故障率hは、以下の数式で求められる。
【数2】
【0071】
累積分布関数(CDF)であるF(t)は、以下の数式で求められる。
【数3】
【0072】
信頼性関数R(t)は、以下の数式で求められる。
【数4】
【0073】
αは、尺度パラメータである。βは、形状パラメータである。β=1のとき、ワイブルモデルは指数モデルである。
【0074】
図4は、本開示の例示的な実施形態による、信頼性曲線300、およびCDF曲線302のグラフである。部品寿命予測制御ユニット106は、ワイブルモデルなどの数学モデルによって、曲線300および302を決定する。示されているように、曲線は、飛行時間304、および信頼可能性306に関連付けて描かれている。
図4に示すように、部品寿命予測制御ユニット106は、CDF曲線302に基づいて、特定の部品が、地点Aにおいて飛行時間6150で、寿命の90%を使い果たしたことを決定する。同様に、部品寿命予測制御ユニット106は、特定の部品が、地点Bにおいて、10%の信頼可能性を有することを決定する。曲線300および302のうちの1つ、または両方に基づいて、運行者は、予め定められた、部品が信頼性を有し続ける可能性に応じて、特定の時間に部品を交換することを決定してもよい。
別の例として、部品寿命予測制御ユニット106は、以下に示すように指数モデルを使用することによって、部品の余寿命を決定してもよい。
【0075】
確率分布関数(pdf):
【数5】
ここで故障率h=λは、一定型故障率である。
累積分布関数(CDF):
【数6】
【0076】
また、生存関数/信頼性関数R(t)は、R(t)=e-λtで求められる。
【0077】
別の例として、部品寿命予測制御ユニット106は、以下に示すようにガンマモデルを使用することによって、部品の余寿命を決定してもよい。
確率分布関数(pdf):
【数7】
故障率:
【数8】
累積分布関数(CDF):
【数9】
【0078】
信頼性R(t)は、R(t)=1-F(t)で求められる。
【0079】
別の例として、部品寿命予測制御ユニット106は、以下に示すようにログノーマルモデルを使用することによって、部品の余寿命を決定してもよい。
確率分布関数(pdf):
【数10】
ここで、T
50=e
μ
故障率:
【数11】
CDF:
【数12】
【0080】
信頼性:R(t)=1-F(t)である。
【0081】
部品寿命予測制御ユニット106は、先に示した1つ以上の数学モデルによって、部品の余寿命を決定してもよい。任意選択で、部品寿命予測制御ユニット106は、その他様々な数学モデル、公式などによって、部品の余寿命を決定してもよい。例えば、部品寿命予測制御ユニット106は、数百万ではないにしても、数千もの同様の部品について収集したデータによって決定されたように、特定種類の部品の代表値、平均値、(複数の)統計パラメータなどによって、余寿命を決定してもよい。
【0082】
航空機のいくつかの部品は、飛行時間または飛行サイクルに関連付けられてもよい。例えば、着陸装置の部品は、通常は時間ではなくサイクルに関連付けられる。このように、サイクルに関連付けられる部品の、部品寿命分布および予測は、飛行時間ではなく、サイクルに関連付けて決定される。逆に、飛行時間に関連付けられる部品の、部品寿命分布および予測は、飛行サイクルではなく、時間に関連付けて決定される。
【0083】
本明細書で説明されるように、本開示の実施形態は、データ供給源を統合し、取り外した部品、およびまだ航空機に搭載されている部品の両方からTSIおよび/またはCSIを推定し得る、部品信頼性決定システム、および方法を提供する。
【0084】
前述したように、本開示の実施形態は、航空機などのビークルの様々な部品の余寿命を決定するために、データを効率的に分析するシステム、および方法を提供する。本開示の実施形態は、1つ以上の部品の余寿命を決定するために、データを効率的に分析するシステムおよび方法を提供する。
【0085】
本開示の実施形態は、コンピューター装置によって大量のデータを迅速かつ効率的に分析できるようにする、システムおよび方法を提供する。例えば、航空機は、数百万の構成部品を含んでおり、そのそれぞれが、故障する可能性が生じるまでの耐用寿命を有する。前述したように、膨大なデータが、部品信頼性決定システムおよび方法によって、効率的に編成および/または分析される。本システムおよび方法は、比較的短時間でデータを分析して、各部品の余寿命が決定され得る。人間には、このような膨大なデータをこれだけの短時間で分析することはできないであろう。このように、本開示の実施形態は、人間が膨大なデータを分析することに対して、改善された効率的な機能性、および非常に優れた性能を提供する。要するに、本開示の実施形態は、人間が効率的、効果的、かつ正確に処理できない数百万もの計算および演算を、生成および分析するように構成された、システムおよび方法を提供する。
【0086】
本明細書で説明するように、本開示の実施形態は、航空機などのビークルの、部品の信頼性を評価するシステム、および方法を提供する。本開示の実施形態は、航空機の様々な部品の余寿命を決定するシステム、および方法を提供する。また、本開示の実施形態は、フライト間の整備作業によって生じ得るフライト遅延を避けるために、航空機の部品を交換する時期を決定するシステム、および方法を提供する。
【0087】
また、本開示は、以下の項に基づく実施形態を含む。
【0088】
項1.ビークルの少なくとも1つの部品の信頼性を決定するように構成された、部品信頼性決定システムであって、部品信頼性決定システムは、
少なくとも1つの部品に関する部品寿命分布と関連付けた、前記少なくとも1つの部品の現在寿命データに基づいて、前記少なくとも1つの部品の余寿命を決定する、部品寿命予測制御ユニット
を備える、部品信頼性決定システム。
【0089】
項2.部品寿命分布制御ユニットをさらに備え、前記部品寿命分布制御ユニットが、前記少なくとも1つの部品に関する前記部品寿命分布を決定する、項1に記載のシステム。
【0090】
項3.前記部品寿命予測制御ユニットと通信する、部品データベースをさらに備え、前記部品データベースに、前記少なくとも1つの部品の前記現在寿命データが記憶され、かつ前記部品データベースに、前記少なくとも1つの部品に関する部品履歴データが記憶される、項1または2に記載のシステム。
【0091】
項4.前記ビークルの実際の使用に関する、ビークル使用状況データを記憶する、ビークル使用状況データベースをさらに備え、前記部品寿命予測制御ユニットが、前記ビークル使用状況データに照らして、前記余寿命を決定する、項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【0092】
項5.前記現在寿命データが、取り付け後使用時間、または取り付け後使用サイクルのうちの1つまたは両方を含む、項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【0093】
項6.前記部品寿命予測制御ユニットが、少なくとも部分的に、少なくとも1つの従来部品の前の交換時期に基づいて、前記余寿命を決定する、項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【0094】
項7.前記部品寿命分布制御ユニットが、部品取り付け回数と、部品取り外し回数とのチェーンを構築し、前記部品寿命分布制御ユニットが、前記少なくとも1つの部品の前記余寿命を決定するために前記チェーンを使用する、項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【0095】
項8.前記部品寿命予測制御ユニットが、前記少なくとも1つの部品の配置および数を決定するために、ビークル構成データを分析する、項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【0096】
項9.前記部品寿命予測制御ユニットが、少なくとも部分的に、前記少なくとも1つの部品の部品番号、またはシリアル番号に基づいて、前記少なくとも1つの部品の取り付け後使用時間、または取り付け後使用サイクルを決定する、項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【0097】
項10.前記部品寿命予測制御ユニットが、1つ以上の数学モデルに関連付けて、前記少なくとも1つの部品の取り付け後使用時間、または前記少なくとも1つの部品の取り付け後使用サイクルのうちの1つ、または両方を決定することによって、前記少なくとも1つの部品の前記余寿命を決定する、項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【0098】
項11.ビークルの少なくとも1つの部品の信頼性を決定するように構成された、部品信頼性決定方法であって、部品信頼性決定方法は、
少なくとも1つの部品に関する部品寿命分布と関連付けた、前記少なくとも1つの部品の現在寿命データに基づいて、前記少なくとも1つの部品の余寿命を、部品寿命予測制御ユニットによって決定するステップ
を含む、部品信頼性決定方法。
【0099】
項12.前記少なくとも1つの部品に関する前記部品寿命分布を決定するために、部品寿命分布制御ユニットを使用するステップをさらに含む、項11に記載の方法。
【0100】
項13.部品データベースを、前記部品寿命予測制御ユニットと通信できるように結合するステップと、
前記部品データベースに、前記少なくとも1つの部品の前記現在寿命データを記憶するステップと、
前記部品データベースに、前記少なくとも1つの部品に関する部品履歴データを記憶するステップとをさらに含む、項11または12に記載の方法。
【0101】
項14.前記ビークルの実際の使用に関する、ビークル使用状況データを記憶するステップをさらに含み、前記決定するステップが、前記ビークル使用状況データと関連付けて、前記少なくとも1つの部品の前記余寿命を決定することを含む、項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
項15.前記決定するステップが、少なくとも部分的に、少なくとも1つの従来部品の前の交換時期に基づいて、前記余寿命を決定することを含む、項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
項16.部品取り付け回数と、部品取り外し回数とのチェーンを構築するステップをさらに含み、前記決定するステップが、前記少なくとも1つの部品の前記余寿命を決定するために、前記チェーンを使用することを含む、項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【0104】
項17.前記少なくとも1つの部品の配置および数を決定するために、前記部品寿命予測制御ユニットによって、ビークル構成データを分析するステップをさらに含む、項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【0105】
項18.前記決定するステップが、少なくとも部分的に、前記少なくとも1つの部品の部品番号、またはシリアル番号に基づいて、前記少なくとも1つの部品の取り付け後使用時間、または取り付け後使用サイクルを決定することを含む、項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
項19.前記決定するステップが、1つ以上の数学モデルと関連付けて、前記少なくとも1つの部品の取り付け後使用時間、または前記少なくとも1つの部品の取り付け後使用サイクルのうちの1つ、または両方を決定することを含む、項11~18のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
項20.ビークルの少なくとも1つの部品の信頼性を決定するように構成された、部品信頼性決定システムであって、
前記ビークルの実際の使用状況に関する、ビークル使用状況データを記憶する、ビークル使用状況データベースと、
前記少なくとも1つの部品に関する部品寿命分布を決定する、部品寿命分布制御ユニットと、
前記少なくとも1つの部品、および前記ビークル使用状況データに関する、前記部品寿命分布との関連で、前記少なくとも1つの部品の現在寿命データに基づいて、前記少なくとも1つの部品の余寿命を決定する、部品寿命予測制御ユニットであって、前記部品寿命データは、取り付け後使用時間、および取り付け後使用サイクルのうちの1つ、または両方を含む、部品寿命予測制御ユニットと、
前記部品寿命分布制御ユニット、および前記部品寿命予測制御ユニットと通信する、部品データベースであって、前記部品データベースに、前記少なくとも1つの部品の前記現在寿命データが記憶され、かつ前記部品データベースに、前記少なくとも1つの部品に関する部品履歴データが記憶される、部品データベースと
を備える、部品信頼性決定システム。
【0108】
上部、底部、下部、中間、側方、水平、垂直(縦)、前面等の、空間や方向を表す様々な用語が、本開示の実施形態を説明するために使用される場合があるが、このような用語は、単に図に示されている向きに対して使用されていることが理解されよう。向きは、上部が下部であったり、あるいはその逆も可能であり、水平が垂直になったり等、反転し、回転し、あるいは変更されてもよい。
【0109】
本明細書で使用する、タスクまたは作業を実行する「ように構成された」構造、制限、または要素は、特に構造的に、そのタスクまたは作業に対応する方法で形成され、構築され、または適合される。明確にして疑義を回避するために、タスクまたは作業を実行するように、単に修正されることが可能なだけの物体は、本明細書で用いられる場合、そのタスクまたは作業を実行する「ように構成された」ものではない。
【0110】
上述の説明は、例示を意図しており、制限を意図していないことが理解されよう。例えば、上述の実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用することができる。また、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の様々な実施形態の教示に、特定の状況または材料を適合させるために、多くの修正を行うことができる。本明細書で説明される寸法および材料のタイプは、本開示の様々な実施形態のパラメータを定義することが意図されており、本実施形態は、限定するものではなく、例示的な実施形態である。上述の説明を検討すれば、他の多くの実施形態が、当業者には明らかになるであろう。本開示の様々な実施形態の範囲は、したがって、添付の特許請求の範囲を、このような特許請求の範囲が権利を与える均等物の全範囲と共に参照して判断されるべきである。添付の特許請求の範囲に置いて、「including(含む)」および「in which(ここにおいて)」という用語は、「comprising(備える)」および「wherein(ここにおいて)」というそれぞれの用語の、平易な英語(plain-English)の均等物として用いられる。さらに、「第1」、「第2」および「第3」等の用語は、単に標識として用いられ、そのものに数値的な要件を与えることを意図するものではない。また、以下の特許請求の範囲の制限は、ミーンズプラスファンクション(means-plus-function)の形式では書かれておらず、このような特許請求の範囲の限定が、「~のための手段」という語句を明確に使用した後に、さらなる構造のない機能の記載が続かない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されることを意図していない。
【0111】
本明細書は、最良の態様を含む本開示の様々な実施形態を開示するため、また、任意の装置またはシステムの作成および使用、ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含み、当業者が本開示の様々な実施形態を実施できるようにするために例を使用する。本開示の様々な実施形態の特許請求可能な範囲は請求項によって定義され、当業者が思いつく他の例を含むことができる。このような他の例は、その例が、請求項の文言と異ならない構造要素を有するか、あるいはその例が、請求項の文言とごくわずかしか異ならない均等な構造要素を含む場合は、特許請求の範囲内であることが意図される。
【符号の説明】
【0112】
10 航空機
12 推進システム
14 ターボファンエンジン
16 翼
18 機体
20 尾部
22 水平尾翼
24 垂直尾翼
100 部品信頼性決定システム
102 部品データベース
104 部品寿命分布制御ユニット
106 部品寿命予測制御ユニット
110 部品履歴記憶ユニット
112 現行部品記憶ユニット
114 ビークル使用状況データベース
300 信頼性曲線
302 CDF曲線
304 飛行時間
306 信頼可能性