IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特許7427368制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム
<>
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図1
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図2
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図3
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図4
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図5
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図6
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図7
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図8
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図9
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図10
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図11
  • 特許-制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/14 20210101AFI20240129BHJP
   G02B 7/34 20210101ALI20240129BHJP
   G02B 7/36 20210101ALI20240129BHJP
   G03B 13/36 20210101ALI20240129BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240129BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20240129BHJP
【FI】
G03B17/14
G02B7/34
G02B7/36
G03B13/36
H04N23/60
H04N23/66
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019089532
(22)【出願日】2019-05-10
(65)【公開番号】P2020187159
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 優
(72)【発明者】
【氏名】浜野 英之
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-053189(JP,A)
【文献】特開2016-118697(JP,A)
【文献】特開2020-003733(JP,A)
【文献】特開昭63-200132(JP,A)
【文献】特開2017-040704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/14
G02B 7/28-7/40
G03B 13/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置に着脱可能な第1ユニットおよび第2ユニットのそれぞれを通過する光束の外縁を規定する開口の形状に関する第1開口情報および第2開口情報を取得する取得手段と、
前記第1開口情報および前記第2開口情報に基づいて合成開口情報を算出する算出手段と、を有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記第1開口情報と前記第2開口情報とは、互いに属性情報に対する変化が異なり、
前記属性情報は、レンズステート、像高、防振動作、および、デフォーカス量の少なくとも一つに関する情報であることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記属性情報は、前記レンズステートであり、
前記第1開口情報が前記レンズステートに対して変化し、かつ、前記第2開口情報が前記レンズステートに対して変化しない場合、前記取得手段は、前記レンズステートの変化に応じて前記レンズステートに対応する前記第1開口情報を取得し、前記第1開口情報の通信とは異なるタイミングで、前記第2開口情報を一括で取得することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記属性情報は、前記デフォーカス量であり、
前記第1開口情報が前記デフォーカス量に対して変化し、かつ、前記第2開口情報が前記デフォーカス量に対して変化しない場合、前記取得手段は、前記デフォーカス量に応じて変換された前記第1開口情報を取得し、前記デフォーカス量に応じた変換を行うことなく前記第2開口情報を取得することを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記取得手段が前記第1開口情報および前記第2開口情報を取得するタイミングおよび頻度の少なくとも一つは、互いに異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記取得手段は、
前記第1ユニットから前記第1開口情報を取得し、
前記第2ユニットから前記第2開口情報を取得することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記取得手段が前記第1開口情報を取得できない場合、前記算出手段は、前記第1開口情報を用いずに前記合成開口情報を算出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記第1ユニットは、前記撮像装置に着脱可能なレンズユニットであり、
前記第2ユニットは、前記撮像装置と前記レンズユニットとの間に着脱可能なアクセサリであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記アクセサリは、前記レンズユニットにおける撮像光学系の光路長を調整するアダプター、および、前記レンズユニットの焦点距離を変更するコンバータレンズユニットの少なくとも一つであることを特徴とする請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
撮像素子と、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の制御装置と、を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記第1ユニットおよび前記第2ユニットは、前記撮像素子による受光光束を制限し、
前記第1開口情報および前記第2開口情報はそれぞれ、前記第1ユニットおよび前記第2ユニットが前記撮像素子による前記受光光束を制限する開口に関する情報であることを特徴とする請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1ユニットは、前記撮像装置に着脱可能なレンズユニットであり、
前記第1開口情報は、デフォーカス量に応じて変化することを特徴とする請求項10または11に記載の撮像装置。
【請求項13】
撮像装置に着脱可能な第1ユニットおよび第2ユニットのそれぞれを通過する光束の外縁を規定する開口の形状に関する第1開口情報および第2開口情報を取得するステップと、
前記第1開口情報および前記第2開口情報に基づいて合成開口情報を算出するステップと、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像光学系の開口情報を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像光学系の透過光を制限する開口情報を用いて、焦点検出のための情報を算出する撮像装置が知られている。特許文献1には、光学系の各開口までの距離に関する開口データを取得し、焦点検出光学系の測距瞳と交換レンズの射出瞳とが互いに重なる重なり領域の重心の重心距離を算出し、重心距離に基づいて像ズレ量をデフォーカス量に変換する撮像装置が開示されている。特許文献2には、レンズに結像光束の入射角度範囲に関する情報を記憶し、カメラ本体に焦点検出用画素の受光感度特性の情報を記憶し、これらの情報に基づいて焦点調節制御のための情報を算出する撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5045801号公報
【文献】特開2016-118697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、結像光学系を通過する光束を制限する開口としては、複数のレンズ開口や絞り開口だけでなく、カメラ本体が有するシャッタの開口などの種々の開口が存在する。また、撮影レンズとカメラ本体との間に光路長を調節するアダプタユニットや焦点距離を変換するコンバータレンズユニットなどを装着した場合、各ユニットが有する開口も、結像光学系を通過する光束を制限し得る。しかしながら、特許文献1や特許文献2には、複数の着脱可能なユニットの各々の開口情報の導出方法が開示されていない。
【0005】
そこで本発明は、複数の着脱可能なユニットの各々の開口情報を高精度に算出可能な制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての制御装置は、撮像装置に着脱可能な第1ユニットおよび第2ユニットのそれぞれを通過する光束の外縁を規定する開口の形状に関する第1開口情報および第2開口情報を取得する取得手段と、前記第1開口情報および前記第2開口情報に基づいて合成開口情報を算出する算出手段とを有する。
【0007】
本発明の他の側面としての撮像装置は、撮像素子と前記制御装置とを有する。
【0008】
本発明の他の側面としての制御方法は、撮像装置に着脱可能な第1ユニットおよび第2ユニットのそれぞれを通過する光束の外縁を規定する開口の形状に関する第1開口情報および第2開口情報を取得するステップと、前記第1開口情報および前記第2開口情報に基づいて合成開口情報を算出するステップとを有する。
【0009】
本発明の他の側面としてのプログラムは、前記制御方法をコンピュータに実行させる。
【0010】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の着脱可能なユニットの各々の開口情報を高精度に算出可能な制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態における撮像装置のブロック図である。
図2】本実施形態におけるレンズユニットとカメラ本体との間に着脱可能なユニットを装着した撮像装置のブロック図である。
図3】本実施形態における開口情報の概略説明図である。
図4】本実施形態における開口情報の算出方法の概略説明図である。
図5】本実施形態における開口情報の算出方法の概略説明図である。
図6】本実施形態における開口情報を絞りの中心位置からの距離に関する情報で表現した場合の概略説明図である。
図7】本実施形態における撮像光学系を通過した光束がカメラ本体の一部により遮られている状況を示す図である。
図8】本実施形態における開口情報の取得方法を示すフローチャートである。
図9】本実施形態における開口情報の属性情報の例である。
図10】本実施形態におけるデフォーカス量に依存する開口情報の説明図である。
図11】本実施形態における各ユニットの開口情報と結像光学系を通過する光束の外縁を規定する開口の形状の説明図である。
図12】本実施形態における各ユニットの通信情報と演算処理部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
(撮像装置10の構成)
まず、図1を参照して、本実施形態における撮像装置の構成について説明する。図1は、本実施形態における撮像装置10(レンズ交換可能な一眼レフタイプのデジタルカメラ)のブロック図である。撮像装置10は、レンズユニット(第1ユニットとしてのレンズ装置)100とカメラ本体120とを有するカメラシステムである。レンズユニット100は、図1中の点線で示されるマウントMを介して、カメラ本体120と着脱可能に取り付けられる。ただし本実施形態は、これに限定されるものではなく、レンズユニット(撮像光学系)とカメラ本体とが一体的に構成された撮像装置(デジタルカメラ)にも適用可能である。また本実施形態は、デジタルカメラに限定されるものではなく、ビデオカメラなど他の撮像装置にも適用可能である。
【0015】
レンズユニット100は、光学系としての第1レンズ群101、絞り102、第2レンズ群103、および、フォーカスレンズ群(以下、単に「フォーカスレンズ」という)104と、駆動/制御系とを有する。このようにレンズユニット100は、フォーカスレンズ104を含み、被写体像を形成する撮影レンズ(撮像光学系)である。
【0016】
第1レンズ群101は、レンズユニット100の先端に配置され、光軸方向OAに進退可能に保持される。絞り102は、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行い、また静止画撮影時においては露光秒時調節用シャッタとして機能する。絞り102および第2レンズ群103は、一体的に光軸方向OAに移動可能であり、第1レンズ群101の進退動作との連動によりズーム機能を実現する。フォーカスレンズ104は、光軸方向OAに移動可能であり、その位置に応じてレンズユニット100が合焦する被写体距離(合焦距離)が変化する。フォーカスレンズ104の光軸方向OAにおける位置を制御することにより、レンズユニット100の合焦距離を調節する焦点調節(フォーカス制御)が可能である。
【0017】
駆動/制御系は、ズームアクチュエータ111、絞りアクチュエータ112、フォーカスアクチュエータ113、ズーム駆動回路114、絞り駆動回路115、フォーカス駆動回路116、レンズMPU117、及び、レンズメモリ118を有する。ズーム駆動回路114は、ズームアクチュエータ111を用いて第1レンズ群101や第3レンズ群103を光軸方向OAに駆動し、レンズユニット100の光学系の画角を制御する(ズーム操作を行う)。また、ズーム駆動回路114は、ズームアクチュエータ111を用いて第1レンズ群101や第3レンズ群103の現在位置(ズームステート)を検出する位置検出部としての機能を有する。絞り駆動回路115は、絞りアクチュエータ112を用いて絞り102を駆動し、絞り102の開口径や開閉動作を制御する。フォーカス駆動回路116は、フォーカスアクチュエータ113を用いてフォーカスレンズ104を光軸方向OAに駆動し、レンズユニット100の光学系の合焦距離を制御する(フォーカス制御を行う)。また、フォーカス駆動回路116は、フォーカスアクチュエータ113を用いてフォーカスレンズ104の現在位置(フォーカスステート)を検出する位置検出部としての機能を有する。
【0018】
レンズMPU(プロセッサ、送信手段)117は、レンズユニット100に係る全ての演算、制御を行い、ズーム駆動回路114、絞り駆動回路115、および、フォーカス駆動回路116を制御する。また、レンズMPU117は、マウントMの複数のチャンネルを通じてカメラMPU125と接続され、コマンドやデータを通信する。例えば、レンズMPU117は、フォーカスレンズ104の位置を検出し、カメラMPU125からの要求に対してレンズ位置情報を通知する。このレンズ位置情報は、フォーカスレンズ104の光軸方向OAにおける位置、光学系が移動していない状態の射出瞳の光軸方向OAにおける位置および直径、および、射出瞳の光束を制限するレンズ枠の光軸方向OAにおける位置および直径などの情報を含む。また、レンズMPU117は、カメラMPU125からの要求に応じて、ズーム駆動回路114、絞り駆動回路115、および、フォーカス駆動回路116を制御する。
【0019】
レンズメモリ(記憶手段)118は、自動焦点調節(AF制御)に必要な光学情報(開口情報)を記憶している。レンズMPU117は、カメラMPU125からの要求に応じて、光学情報(開口情報)をカメラMPU125へ定期的または一括して送信する。また、カメラMPU125は、例えば内蔵の不揮発性メモリやレンズメモリ118に記憶されているプログラムを実行することにより、レンズユニット100の動作を制御する。
【0020】
カメラ本体120は、シャッターユニット131、光学的ローパスフィルタ121、撮像素子122、および、駆動/制御系を有する。シャッターユニット131は、矩形の開口を有し、開口内を走行する2枚の遮光膜のスリット幅を利用して撮影光量を調節する。光学的ローパスフィルタ121および撮像素子122は、レンズユニット100を介して形成された被写体像(光学像)を光電変換し、画像データを出力する撮像部(撮像手段)として機能する。本実施形態において、撮像素子122は、撮像光学系を介して形成された被写体像を光電変換し、画像データとして、撮像信号および焦点検出信号をそれぞれ出力する。また本実施形態において、第1レンズ群101、絞り102、第2レンズ群103、フォーカスレンズ104、および、光学的ローパスフィルタ121は、撮像光学系を構成する。
【0021】
光学的ローパスフィルタ121は、撮影画像の偽色やモアレを軽減する。撮像素子122は、CMOSイメージセンサおよびその周辺回路で構成され、横方向m画素、縦方向n画素(m、nは2以上の整数)が配置されている。本実施形態の撮像素子122は、瞳分割機能を有し、画像データ(画像信号)を用いた位相差検出方式の焦点検出(位相差AF)が可能な瞳分割画素を有する。画像処理回路124は、撮像素子122から出力される画像データに基づいて、位相差AF用のデータと、表示、記録、およびコントラストAF(TVAF)用の画像データとを生成する。
【0022】
駆動/制御系は、撮像素子駆動回路123、画像処理回路124、カメラMPU125、表示器126、操作スイッチ群(操作SW)127、メモリ128、位相差AF部129(撮像面位相差焦点検出部)およびTVAF部130(TVAF焦点検出部)を有する。撮像素子駆動回路123は、撮像素子122の動作を制御するとともに、撮像素子122から出力された画像信号(画像データ)をA/D変換し、カメラMPU125に送信する。画像処理回路124は、撮像素子122から出力された画像信号に対して、γ変換、ホワイトバランス調整処理、色補間処理、圧縮符号化処理など、デジタルカメラで行われる一般的な画像処理を行う。また画像処理回路124は、位相差AF用の信号を生成する。
【0023】
カメラMPU125(プロセッサ、制御装置)は、カメラ本体120に係る全ての演算および制御を行う。すなわちカメラMPU125は、撮像素子駆動回路123、画像処理回路124、表示器126、操作スイッチ群127、メモリ128、位相差AF部129、および、TVAF部130を制御する。カメラMPU125は、マウントMの信号線を介してレンズMPU117と接続され、レンズMPU117とコマンドやデータを通信する。カメラMPU125は、レンズMPU117に対して、レンズ位置の取得や所定の駆動量でのレンズ駆動要求を発行し、また、レンズMPU117からレンズユニット100に固有の光学情報の取得要求などを発行する。
【0024】
カメラMPU125には、カメラ本体120の動作を制御するプログラムを格納したROM125a、変数を記憶するRAM125b(カメラメモリ)、および、各種のパラメータを記憶するEEPROM125cが内蔵されている。またカメラMPU125は、ROM125aに格納されているプログラムに基づいて、焦点検出処理を実行する。焦点検出処理においては、撮像光学系の互いに異なる瞳領域(瞳部分領域)を通過した光束により形成される光学像を光電変換した対の像信号を用いて、公知の相関演算処理が実行される。またカメラMPU125は、取得手段125dおよび算出手段125eを有する。これらの各手段の動作については後述する。なお、カメラMPU125の少なくとも一部の手段(取得手段125dまたは算出手段125eの一部)を、位相差AF部129などの他の部位に設けてもよい。
【0025】
表示器126はLCDなどから構成され、撮像装置10の撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像と撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態表示画像などを表示する。操作スイッチ群127は、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチなどで構成される。メモリ(記録手段)128は、着脱可能なフラッシュメモリであり、撮影済み画像を記録する。
【0026】
位相差AF部(デフォーカス量算出手段)129は、撮像素子122および画像処理回路124から得られる焦点検出用画像データの像信号に基づいて、位相差検出方式による焦点検出処理を行う。より具体的には、画像処理回路124は、撮像光学系の一対の瞳領域を通過する光束で形成される一対の像データを焦点検出用データとして生成し、位相差AF部129は、一対の像データのずれ量に基づいて焦点ずれ量を検出する。このように、本実施形態の位相差AF部129は、専用のAFセンサを用いず、撮像素子122の出力に基づく位相差AF(撮像面位相差AF)を行う。
【0027】
TVAF部130は、画像処理回路124により生成されるTVAF用評価値(画像データのコントラスト情報)に基づいて、コントラスト検出方式の焦点検出処理を行う。コントラスト検出方式の焦点検出処理の際には、フォーカスレンズ104を移動して評価値(焦点評価値)がピークとなるフォーカスレンズ位置が合焦位置として検出される。
【0028】
このように、本実施形態の撮像装置10は、撮像面位相差AFとTVAFとを組み合わせて実行可能であり、状況に応じて、これらを選択的に使用し、または、組み合わせて使用することができる。位相差AF部129およびTVAF部130は、各々の焦点検出結果を用いてフォーカスレンズ104の位置を制御するフォーカス制御手段として機能する。撮像面位相差AFとTVAF以外の測距手段を備える場合には、当該測距手段も組み合わせて実行してもよい。
【0029】
(レンズユニット100とカメラ本体120との間に着脱可能なユニットを装着した撮像装置の構成)
次に、レンズユニット100とカメラ本体120との間に着脱可能なユニット(アクセサリ)を装着して構成された撮像装置について説明する。図2は、レンズユニット100とカメラ本体120との間に着脱可能なユニットを装着した撮像装置10a、10bのブロック図である。図2(a)は、レンズユニット100とカメラ本体120との間に、アクセサリとして、光学的なパワーを有さず撮像光学系の光路長を調整するためのアダプター700を装着した撮像装置10aを示す。図2(b)は、図2(a)の構成に加えて、レンズユニット100とアダプター700との間に、アクセサリとしてのコンバータレンズユニット600を装着した撮像装置10bを示す。なお図2において、図1と同様の構成には同じ参照番号を付し、それらの説明を省略する。本実施形態において、カメラ本体120、アダプター700、および、コンバータレンズユニット600の少なくとも一つは、第2ユニットを構成する。
【0030】
図2(a)に示されるように、アダプター700は、変換マウントを含むアダプタメカ部材701およびアダプタメモリ702を有する。アダプタメカ部材701は、レンズユニット100のマウントM2とカメラ本体120のマウントM1との規格が異なる場合などに、着脱可能とするため、マウント変換を行う機能を有する。アダプタメモリ702は、自動焦点調節(AF制御)に必要な光学情報(開口情報)を記憶している。アダプタメモリ702は、レンズメモリ118に記憶されている開口情報(第1開口情報)と異なり、アダプター700により形成される開口情報(第2開口情報)を記憶している。カメラMPU125は、アダプタメモリ702の光学情報(第2開口情報)を取得可能に構成されている。
【0031】
図2(b)に示されるように、コンバータレンズユニット600は、コンバータレンズ601およびコンバータメモリ602を含み、被写体の光学像を形成するレンズユニット100の焦点距離を変更する撮影レンズである。なお、以下の説明では、コンバータレンズ601と区別するため、レンズユニット100を「マスターレンズ100」と呼ぶ。コンバータレンズユニット600が装着されると、第1レンズ群101、第2レンズ群103、および、コンバータレンズ601により、ズーム機能を実現する。コンバータメモリ602には、自動焦点調整に必要な光学情報(開口情報)が予め記憶されている。レンズMPU117またはカメラMPU125は、コンバータメモリ602に記憶された光学情報(第2開口情報)を取得可能に構成されている。なお、コンバータレンズユニット600およびアダプター700に別途MPU等を備え、所定の処理や演算を可能とする構成としてもよい。
【0032】
(像高に依存する開口情報)
次に、図3を参照して、像高に依存する開口情報の概要に関して説明する。以下の説明では、マスターレンズ100の開口情報について説明するが、コンバータレンズユニット600やアダプター700の開口情報についても、記憶しているメモリは異なるが、光軸を中心とする円形の開口により形成される開口情報に関しては、同様である。
【0033】
図3は、結像光学系(撮像光学系)を通過する光束の外縁を規定する開口の形状(開口情報)の概略説明図である。図3(a)は、中央像高での下線側の光束を規定するレンズ部材301と、上線側の光束を規定するレンズ部材302と、開口形状311との関係を示す。図3(b)は、周辺像高での下線側の光束を規定するレンズ部材303と、上線側の光束を規定するレンズ部材304と、開口形状312との関係を示す。開口形状311、312は、光軸に垂直であって、z=DSの平面に投影された状態を示している。Dsは、開口形状算出距離である。
【0034】
図3(a)は、焦点検出領域が中央像高((x、y)=(0、0))に設定されたときの状態を示す。図3(a)の中央像高の場合、同一xy平面内に配置されたレンズ部材301とレンズ部材302とにより開口形状は規定され、開口形状は円形となる。図3(b)は、焦点検出領域が周辺像高((x、y)=(-10、0))に設定されたときの状態を示す。図3(b)の周辺像高の場合、開口形状は、レンズ部材301とレンズ部材302では規定されず、レンズ部材303とレンズ部材304とにより規定され、形状は円形ではなくなる。図3(b)では、2つのレンズ部材303、304で開口が規定される例を示しているが、複数のレンズ部材で開口が規定される場合もある。その場合、開口形状はより複雑な形状となる。
【0035】
次に、図4乃至図6を参照して、開口情報の算出方法に関して説明する。図4は、開口情報の算出方法の概略説明図である。図4(a)は、図3(b)の開口形状312を開口情報として表現した様子を示し、図4(b)および図4(c)は、開口情報を算出する際に用いられる評価値(形状パラメータ)を示している。
【0036】
本実施形態では、開口情報として、開口形状を2つの円の位置と大きさで表現する。図4(a)では、開口形状312を、開口情報411(位置c1、半径r1)と、開口情報412(位置c2、半径r2)とで表現している。開口情報411は、開口形状312の点401から右回りに点402までの領域でフィッティングすることで算出され、開口情報412は、開口形状312の点401から左回りに点402までの領域でフィッティングすることで算出される。
【0037】
点401、402は、所定位置からの開口形状312までの距離の二次微分の離散点である。図4(b)において、横軸は図4(a)中の回転角θ、縦軸は図4(a)中の(X,Y)=(0,0)から開口形状312までの距離rをそれぞれ示している。図4(c)において、横軸は図4(a)中の回転角θ、縦軸は距離rを回転角θに関して二回微分した値をそれぞれ示している。図4(c)の点(離散点)401、402は図4(a)の点401、点402と対応しており、これらの離散点によって、開口情報を算出する際のフィッティング範囲が決定される。所定位置からの距離変化が不連続となる点は、距離変化の二次微分の離散点として現れるため、このような離散点を用いることで、開口形状を1つの開口情報として表現する領域ごとに分離することができる。
【0038】
次に、図5を参照して、複数のレンズ部材で開口が規定され、開口形状がより複雑な形状となる場合の開口情報の算出方法に関して説明する。図5は、開口情報の算出方法の概略説明図である。図5(a)は、図3(b)の複数のレンズ部材で開口が規定された開口形状313を開口情報として表現した様子を示し、図5(b)および図5(c)は開口情報の算出の際に用いられる評価値(形状パラメータ)を示している。
【0039】
本実施形態では、開口情報を、開口形状を2つの円の位置と大きさで表現する。図5(a)では、開口形状313を、開口情報511(位置c1、半径r1)と、開口情報512(位置c2、半径r2)とで表現している。開口情報511は、開口形状313の点501から右回りに点504までの領域でフィッティングすることで算出され、開口情報512は、開口形状313の点502から左回りに点503までの領域でフィッティングすることで算出される。
【0040】
点501~点504は、所定位置からの開口形状313までの距離の二次微分の離散点である。図5(b)において、横軸は図5(a)中の回転角θ、縦軸は図5(a)の(X,Y)=(0,0)から開口形状313までの距離rをそれぞれ示している。図5(c)において、横軸は図5(a)中の回転角θ、縦軸は距離rを回転角θに関して二回微分した値をそれぞれ示している。図5(c)中の点(離散点)501~504は図5(a)の点501~点504とそれぞれ対応しており、これらの離散点によって、開口情報の算出の際におけるフィッティング範囲を決定している。焦点検出の際には、開口形状の上線、下線の精度が要求されるため、開口形状313の点501から右回りに点504までの領域と、点502から左回りに点503までの領域でフィッティングしている。
【0041】
なお本実施形態では、上線、下線の精度を優先するが、離散点の中で、変化の不連続度が大きくなる、二次微分値の大きい離散点から円のフィッティング範囲を決定してもよい。また本実施形態では、フィッティングを領域で行うが、離散点にて決定した領域内の数点からフィッティングして算出してもよい。また本実施形態では、所定位置からの距離の二次微分の離散点に基づいてフィッティング領域を設定したが、開口形状の曲率半径の変化点に基づいてフィッティング領域を設定し、開口情報を算出してもよい。また本実施形態では、所定位置からの距離の二次微分の離散点に基づいてフィッティングするが、各Y座標での幅(上線側と下線側のXの差分)に関して、開口形状と開口情報の差が最小となるように、開口情報を算出してもよい。また、開口形状の面積と開口情報の面積(開口情報511と開口情報512との共通部分の面積)の差分が最小となるように、開口情報を算出してもよい。
【0042】
また本実施形態では、2つの開口情報で開口形状を表現しているが、3つ以上の開口情報で開口形状を表現してもよい。その場合、レンズメモリ118の記憶容量が増加するが、開口情報による開口形状の表現精度を向上することができる。また本実施形態では、レンズメモリ118に開口情報を記憶しておき、レンズメモリ118から開口情報を取得するが、メモリ128に記憶しておき、メモリ128から取得してもよい。また、開口形状をネットワーク上に記憶しておき、本実施形態で説明した算出方法で開口情報を計算し、レンズユニット100またはカメラ本体120と通信することで取得してもよい。以上の構成により、開口情報の精度を下げることなく簡易な構成で開口形状を表現することが可能となる。
【0043】
また、開口情報の表現方法としては、異なる方法も考えられる。前述の説明では、開口情報を、円の位置(c1、c2)と大きさ(r1、r2)で表現し保持しているが、これに限定されるものではない。次に、開口情報を、結像光学系の絞り102の中心位置からの距離に関する情報として保持する場合について説明する。
【0044】
図6は、開口情報を絞り102の中心位置からの距離に関する情報で表現した場合の概略説明図であり、開口形状312に関して、絞り102の中心位置からの距離に関する情報として開口情報を表現した様子を示している。図6において、c3は絞り102の中心位置であり、a1、a2は絞り102の中心位置からの距離(開口情報)をそれぞれ示している。距離a1、a2は、位置c1、大きさr1と、位置c3、c2、大きさr2と、位置c3とに基づいて、以下の式(1)、(2)によりそれぞれ算出することができる。
【0045】
a1=r1-(c1-c3) ・・・(1)
a2=r2+(c2-c3) ・・・(2)
このように、位置c1、c2、大きさr1、r2を、距離a1、a2として記憶することで、レンズメモリ118への記憶容量を削減することができる。
【0046】
(像高の依存が連続的ではない開口情報)
次に、図7を参照して、像高の依存が連続的でない開口情報の概要に関して説明する。なお以下の説明では、カメラ本体120の開口情報について説明するが、アダプター700の開口情報についても、記憶しているメモリは異なるが、撮影光束の太さ(Fナンバー)や入射角度によって、ケラレの有無や程度が異なる開口情報に関しては、同様である。
【0047】
図7は、結像光学系(撮像光学系)を通過した光束がカメラ本体120の一部によって遮られている(ケラレている)状況を示す図である。図7(a)は結像光学系を通過した光束が中央像高に到達する様子、図7(b)は周辺像高に到達する様子をそれぞれ示している。
【0048】
図7において、905はカメラ本体120の筐体(の一部)、906はシャッターユニット131の開口(の端部)をそれぞれ示している。図7において、光束902、904は撮像光学系のF値(絞り値)が小さい場合の光束を示し、光束901、903は撮像光学系のF値がより大きい場合の光束をそれぞれ示している。
【0049】
図7(a)に示されるように、光束902に関しては、筐体905によりケラレが生じているが、シャッタの開口906によるケラレは生じていない。一方、光束901に関しては、筐体905およびシャッタの開口906の両方でケラレは生じていない。図7(b)に示されるように、光束904は、筐体905およびシャッタの開口906の両方でケラレが生じている。一方、光束903は、筐体905およびシャッタの開口906の両方でケラレは生じていない。
【0050】
このように、カメラ本体120内で生じるケラレは、ケラレが生じない像高の範囲と、ケラレが生じる像高の範囲とに区分することができる。また、撮像光学系のF値(絞り値)によっては、像高の全範囲で、ケラレが生じない場合もある。このため本実施形態では、このような開口情報に関しては、像高ごとに記憶するのではなく、開口の端部の座標を記憶しておく。例えば、撮像素子122と光軸の交点を原点とし、図7に示されている座標軸に基づき、筐体905の開口およびシャッタの開口906を、矩形の開口を3次元座標位置として記憶する。これにより、前述の像高に依存する開口情報に対して、記憶するべき情報量を減らすことができる。
【0051】
(開口情報の取得方法)
次に、図8および図9を参照して、本実施形態における開口情報の取得方法について説明する。図8は、開口情報の取得方法を示すフローチャートである。なお図8の各ステップは、主に、レンズMPU117またはカメラMPU125により実行される。図8では、図2(b)に示される撮像装置10bの構成を前提とした開口情報の取得方法について説明するが、図1の撮像装置10や図2(a)の撮像装置10aの構成を想定した開口情報の取得方法に関しても同様である。また開口情報の取得方法に関する処理は、装着されていないユニットに帰属する開口情報を省略して行われる。
【0052】
まずステップS801において、カメラMPU125は、マスターレンズ100、コンバータレンズユニット600、アダプター700、および、カメラ本体120の装着状況、各々が有する開口情報の有無、および、各開口情報の属性情報を取得する。
【0053】
図9は、開口情報の属性情報の例である。図9では、図2(b)に示されるマスターレンズ100とカメラ本体120との間にコンバータレンズユニット600およびアダプター700が装着された撮像装置10bに関する開口情報および属性情報を示している。
【0054】
マスターレンズ100の開口情報(第1開口情報)は、フォーカスレンズおよびズームレンズの位置(レンズステート)、並びに、焦点検出領域の像高に依存して変化する。コンバータレンズユニット600の開口情報は、レンズとしての可動部を有さないため、レンズステートには依存せず、焦点検出領域の像高にのみ依存する情報である。アダプター700の開口情報およびカメラ本体(筐体)120の開口情報はそれぞれ、レンズステート、像高、および、デフォーカス(デフォーカス量)のいずれに対しても依存しない情報である。シャッタ開口の開口情報(第1開口情報)は、デフォーカスに依存する開口情報である。なお、シャッタ開口の開口情報とデフォーカスとの関係については、後述する。コンバータレンズユニット600の開口情報、アダプター700の開口情報、および、カメラ本体(筐体)120の開口情報はそれぞれ、第2開口情報である。
【0055】
図9では、3種類の属性情報(レンズステート、像高、デフォーカス)について示しているが、属性情報の種類についてはこれらに限定されるものではない。例えば、撮像光学系の一部や撮像素子を揺動させることにより防振を行う場合などには、防振動作による開口情報の変化の有無を属性情報として有してもよい。また、開口形状が円形であるか矩形であるかなどの開口形状に関する情報を属性情報として有してもよい。
【0056】
また図8のステップS801において、カメラMPU125は、属性情報を取得した後、装着状況に応じて得られる開口情報とその属性情報とを紐づける。
【0057】
続いてステップS802において、以降に開口情報の取得方法や処理方法などを決定するための開口情報(取得枠情報)を決定する。本実施形態では、マスターレンズ100、コンバータレンズユニット600、アダプター700、および、カメラ本体120のそれぞれが開口情報を有し、記憶されている。これらの開口情報を順次処理するため、カメラMPU125は、いずれかの開口情報を処理対象開口情報として選択する。
【0058】
続いてステップS803において、カメラMPU125は、処理対象開口情報がレンズステートに対して変化するか否かを判定する。図9に示されるように、カメラMPU125は、開口情報と合わせて記憶されている属性情報を確認する。その開口情報がレンズステートに依存して変化する場合、ステップS804に進む。ステップS804において、カメラMPU125は、処理対象開口情報の通信での取得方法を設定する。この開口情報はレンズステートに応じて変化するため、カメラMPU125は、所定期間ごとに通信を行って開口情報を取得する方法を選択する。ステップS804で取得方法を設定すると、以後、カメラMPU125は、所定期間ごとに通信で処理対象開口情報を取得し、RAM125bの所定の領域に取得した情報を、更新および記憶する。
【0059】
より詳細に、開口情報の取得の流れを説明する。まず、取得する開口情報が、マスターレンズ100に関する開口情報である場合、カメラMPU125は、マスターレンズ100の現在のレンズステート(ズームステートおよびフォーカスステート)を取得する。続いて、カメラMPU125は、取得したズームステートおよびフォーカスステートに応じた開口情報を取得する。レンズメモリ118は、ズーム範囲を複数に分割したズームステートごと、フォーカス範囲を複数に分割したフォーカスステートごと、および、像高範囲を複数に分割した像高ごとに、開口情報を記憶している。このため、現在のズームステートおよびフォーカスステートにおける開口情報を、近傍ステートの開口情報から線形補間することにより算出して取得する。
【0060】
同様に、取得する開口情報が、コンバータレンズユニット600に関する開口情報である場合、カメラMPU125は、コンバータレンズユニット600の開口情報を取得する。コンバータメモリ602は、像高範囲を複数に分割した像高ごとに開口情報を記憶している。
【0061】
一方、ステップS803にて開口情報がレンズステートにより変化しない開口情報であると判定された場合、ステップS805に進む。ステップS805において、カメラMPU125は、あるタイミングに一括で、開口情報を取得する方法を選択する。カメラMPU125は、例えば、レンズユニット100やアダプター700などをカメラ本体120に装着した際の初期通信の中で、開口情報を取得する。ステップS805にて取得方法を設定した後、カメラMPU125は、初期通信で取得されている処理対象開口情報を取得し、RAM125bの所定の領域に取得した情報を記憶する。このように、開口情報の属性情報に応じて通信方法を変更することで、所定期間ごとに通信する情報量を低減することができる。
【0062】
開口情報の取得方法を決定した後、ステップS806に進む。ステップS806において、カメラMPU125は、処理対象開口情報が、焦点調節を行う対象となる焦点検出領域(像高)に対して変化するか否かを判定する。図9に示されるように、カメラMPU125は、開口情報と合わせて記憶されている属性情報を確認する。開口情報が像高に依存せず変化しない場合、ステップS807に進む。ステップS807において、図7を参照して説明したように、カメラMPU125は、三次元座標位置としての開口情報を、RAM125bから取得する。その後、ステップS809に進み、カメラMPU125は、像高に応じた開口情報への換算を行う。図7を参照して説明したように、カメラMPU125は、記憶されている矩形の開口の三次元座標位置として、焦点検出領域の中心の像高を視点とし、開口形状算出距離Ds上の平面に投影して矩形の開口を定義する4本の直線を算出する。
【0063】
一方、ステップS806にて処理対象開口情報が像高に対して変化する場合、ステップS808に進む。ステップS808において、カメラMPU125は、焦点検出領域の中心近傍の像高に対応する開口情報を、RAM125bから読み出す。カメラMPU125は、近傍像高の開口情報から線形補間することにより、焦点検出領域の像高に対応する開口情報を算出して取得する。なお本実施形態では、設定された焦点検出領域の像高の開口情報を、線形補間にて算出することで取得するが、近傍像高の開口情報を、設定された像高の開口情報として取得してもよい。
【0064】
また本実施形態では、開口情報を焦点検出に用いることを想定して説明したが、開口情報を露出調整や画像処理等に用いてもよい。その場合でも本実施形態と同様に、処理を実施しようとする像高に対する開口情報を設定し、補間処理などを経て、対応する開口情報を取得する。
【0065】
続いてステップS810において、カメラMPU125は、処理対象開口情報がデフォーカス量に応じて変化するか否かを判定する。開口情報がデフォーカス量に応じて変化する場合、ステップS811に進む。ステップS811において、カメラMPU125は、デフォーカス量に応じた開口情報に変換し、変換された開口情報を取得する。
【0066】
次に、図10を参照して、デフォーカス量に依存する開口情報について説明する。図10は、デフォーカス量に依存する開口情報の説明図であり、結像光学系を通過した光束がカメラ本体120の一部によって遮られている(ケラレている)状況がデフォーカス量に応じて異なること示す図である。図10(a)は、図7(b)と同じ状態を示し、結像光学系を通過した光束904は、筐体905でケラレ、撮像素子122上で合焦していることを示している。図10(b)は、結像光学系を通過した光束は撮像素子122上よりもZ軸の正方向にずれた位置に、デフォーカスしている(def>0)ことを示している。その結果、光束904は、その片側がシャッタの開口906によってケラレが生じ、光束904-2よりも外側(X軸の正方向)の光束は、撮像素子122に到達しない。同様に、図10(c)は、結像光学系を通過した光束は、図10(b)に対して、反対方向にデフォーカスしている(def<0)ことを示している。この場合、図10(b)と同様に、シャッタの開口906でケラレが生じ、光束904-3よりも外側(X軸の負方向)の光束は撮像素子122に到達しない。このように、撮像素子122に対して近い位置にある開口は、デフォーカス量の大小や符号に応じて、ケラレの生じ方が異なる。このため本実施形態では、デフォーカス量に依存する開口情報については、デフォーカス量に応じた変換を行う。
【0067】
変換の方法は、前述の像高に対する依存が連続的でない開口情報(矩形の開口の三次元座標位置)の変換と同様である。具体的には、焦点検出領域の中心の像高と対応する視点の位置を、デフォーカス量に相当する量、Z軸方向に移動させ、デフォーカス量に対応する視点を算出する。その後、記憶されている矩形の開口の三次元座標位置を、デフォーカス量に対応する視点を用いて、開口形状算出距離Ds上の平面に投影し、矩形の開口を定義する4本の直線を算出する。
【0068】
なお本実施形態では、デフォーカス量に対応させて、矩形開口の投影に用いる視点の位置をZ軸方向に移動させる。ただし、光束の主光線角度などがわかる場合、主光線の進行方向に平行に、デフォーカス量に対応する視点を移動してもよい。これにより、より高精度な開口情報の算出を行うことができる。
【0069】
位相差方式の焦点検出において、精度の高いデフォーカス量を算出するには、開口情報を用いて公知の基線長を導出し、その基線長を用いて、検出した位相差をデフォーカス量に換算する必要がある。このため、前述のデフォーカス量を加味した開口情報の算出方法として、以下の2つの方法が考えられる。第一の方法は、事前に得たデフォーカス量と、その後のフォーカスレンズの駆動量とから、被写体距離が変化していないことを前提として、開口情報計算の際のデフォーカス量を推定する方法である。第二の方法は、一回目にはデフォーカス量がない前提で開口情報を算出してデフォーカス量を算出し、改めて、算出されたデフォーカス量を用いて開口情報を算出する方法である。なお、開口情報の算出は二回に限定されるものではなく、複数回行えばよいため、開口情報を三回以上算出してもよい。
【0070】
また、デフォーカス量を加味した開口情報の算出を行わない場合、検出されたデフォーカス量に対して、より小さいデフォーカス量に相当するフォーカスレンズ駆動を行うように構成してもよい。これにより、精度の低いデフォーカス量による誤ったフォーカスレンズ駆動を避けることができる。また、像高に依存しない開口情報の算出は、ステップS809で行っているが、デフォーカス量に依存する開口情報については、ステップS809の処理をスキップし、ステップS811で開口情報の算出を行えばよい。
【0071】
図8のステップS810にて処理対象開口情報がデフォーカス量に応じて変化しない場合、ステップS811をスキップする。その後、ステップS812において、カメラMPU125は、取得可能な開口情報について、全て情報の取得が完了したか否かを判定する。まだ取得していない開口情報がある場合、ステップS802に戻り、次の開口情報について、前述の処理を繰り返す。一方、全開口情報の取得を完了した場合、ステップS813に進む。ステップS813において、算出手段としてのカメラMPU125は、取得した開口情報を合成する。
【0072】
ここで、図11を参照して、開口情報の合成について説明する。図11は、各ユニット(マスターレンズ100、アダプター700、カメラ本体120)の開口情報と結像光学系を通過する光束の外縁を規定する開口の形状の説明図である。前述の開口情報は、図3と同様に、開口形状算出距離Ds上の平面で、その形状が規定されているため、図11のように示すことができる。図8のステップS813では、これらの開口形状を合成して、図11のハッチング部の領域を合成開口形状(合成開口情報)として算出する。合成開口形状(合成開口情報)は、合成開口形状を形成する全ての開口情報を記憶してもよいし、改めて、フィッティング処理などを行い、例えば、2つの円形状などに情報を加工してもよい。ステップS813を終えると、カメラMPU125は開口情報取得の処理を終了する。
【0073】
(通信情報と開口情報の合成処理の演算リソースについて)
次に、図12を参照して、本実施形態における開口情報の通信と開口情報の合成処理の演算リソースについて説明する。図12は、各ユニット(マスターレンズ100、コンバータレンズユニット600、アダプター700、カメラ本体120)の通信情報と演算処理部を示すブロック図である。図12は、情報が記憶されているブロックと、開口情報の合成処理の演算を行うブロックを示している。
【0074】
図12(a)は、情報記憶と演算処理を行うブロックの一例を示している。カメラMPU125は、アダプタメモリ702からアダプター開口情報を取得し、筐体905やシャッタの開口906の開口情報との合成処理を行う。これらの開口情報は、矩形の開口を三次元座標位置として記憶されている。このため、像高と矩形開口の三次元座標位置を結ぶベクトルと撮像光学系の光軸とのなす角によって、最もケラレが生じる開口情報を選択することができる。この開口情報の選択が、開口情報を合成することに相当する。
【0075】
次に、カメラMPU125は、マスターレンズ100からレンズ開口情報、および、コンバータレンズユニット600からコンバータレンズ開口情報をそれぞれ取得し、既に合成された(選択された)開口情報との合成処理を行う。ここで行う合成処理は、図8を参照して説明した通りである。像高ごとに情報を持たない開口情報は、レンズステートによる変化がないため、先行して合成することにより、演算処理量を低減することができる。
【0076】
図12(b)は、情報記憶と演算処理を行うブロックが異なる一例を示している。図12(a)との違いは、マスターレンズ100内において、レンズMPU117が、像高ごとに開口情報を有するマスターレンズ100のレンズ開口情報とコンバータレンズユニット600のコンバータレンズ開口情報との合成処理を行う点である。レンズ開口情報およびコンバータレンズ開口情報はそれぞれ、レンズステートにより変化するため、随時、カメラ本体120に対して通知する必要がある。一方、図12(b)では、合成処理後の開口情報をカメラ本体120に通知するため、通信情報量を低減することができる。
【0077】
なお、情報記憶と演算処理を行うブロックの組み合わせについては、種々の構成が考えられる。アダプター700やコンバータレンズユニット600が演算装置を有する場合には、演算装置において適宜情報を取得し、合成処理を行ってもよい。
【0078】
また、開口情報の通知する経路も、種々の経路が考えられる。カメラ本体120に装着される各ユニットが、個別にカメラ本体120に通知する方法や、コンバータレンズユニット600の情報はマスターレンズ100が取得した後、マスターレンズ100からカメラ本体120にまとめて通知する方法などが考えられる。
【0079】
また、各ユニットが開口情報を有しない場合、カメラ本体120が開口情報を記憶していてもよい。例えば、マスターレンズ100、コンバータレンズユニット600、および、アダプター700の一部は、各々のユニットから開口情報を取得し、他の情報はカメラ本体120内の記憶手段に記憶していてもよい。このような場合でも、前述と同様に合成開口情報を算出することができる。
【0080】
また本実施形態では、各ユニットが開口情報を記憶している場合を説明したが、これに限定されるものではない。複数のユニットの少なくとも一部が開口情報を記憶していない場合、カメラMPU125はそのユニットの開口情報を取得することができない。この場合、取得できない開口情報(第1開口情報および第2開口情報の少なくとも一部)を用いずに合成開口情報の算出を行えばよい。また、図1および図2に示される撮像装置10、10a、10bのそれぞれにおいて、着脱可能なユニットの数は異なるが、いずれの場合でも装着されているユニットの開口情報を取得し、合成開口情報の算出を行うことができる。なお、開口情報を撮像素子10の外部から通信手段等を用いて取得するようにしてもよい。また、表示部等に表示したUIを利用してユーザー等に入力させる構成としてもよい。
【0081】
このように本実施形態において、制御装置(カメラMPU125)は、取得手段125dおよび算出手段125eを有する。取得手段は、撮像装置(カメラ本体120)に着脱可能な第1ユニットおよび第2ユニットのそれぞれの第1開口情報および第2開口情報を取得する。算出手段は、第1開口情報および第2開口情報に基づいて(すなわち、第1開口情報と第2開口情報とを組み合わせて)合成開口情報を算出する。
【0082】
好ましくは、第1開口情報と第2開口情報とは、互いに属性情報が異なり、属性情報は、レンズステート、像高、防振動作、および、デフォーカス量の少なくとも一つに関する情報である。好ましくは、第1開口情報がレンズステートに対して変化し、かつ第2開口情報がレンズステートに対して変化しない場合、取得手段は、レンズステートの変化に応じて(変化のたびに)レンズステートに対応する第1開口情報を(通信または演算により)取得する。またこの場合、取得手段は、第1開口情報の通信とは異なるタイミングで、第2開口情報を一括で(通信または演算により)取得する。また好ましくは、第1開口情報がデフォーカス量に対して変化し、かつ第2開口情報がデフォーカス量に対して変化しない場合、算出手段は、第1開口情報を用いて算出するデフォーカス量または像高範囲を変化させる。例えば、算出手段は、絞り値(F値)および射出瞳距離の少なくとも一つに応じて、デフォーカス量または像高範囲を異ならせる。
【0083】
好ましくは、取得手段が第1開口情報および第2開口情報を取得するタイミング、頻度、情報、および、演算の少なくとも一つは、互いに異なる。また好ましくは、取得手段は、第1ユニットから第1開口情報を取得し、第2ユニットから第2開口情報を取得する。また好ましくは、取得手段が第1開口情報を取得できない場合、算出手段は、第1開口情報を用いずに合成開口情報を算出する。
【0084】
好ましくは、第1ユニットは、撮像装置(カメラ本体120)に着脱可能なレンズユニット100であり、第2ユニットは、撮像装置とレンズユニットとの間に着脱可能なアクセサリである。より好ましくは、アクセサリは、レンズユニットにおける撮像光学系の光路長を調整するアダプター700、および、レンズユニットの焦点距離を変更するコンバータレンズユニット600の少なくとも一つである。また好ましくは、第1ユニットおよび第2ユニットは、撮像素子122による受光光束を制限する。第1開口情報および第2開口情報はそれぞれ、第1ユニットおよび第2ユニットが撮像素子による受光光束を制限する開口に関する情報である。
【0085】
本実施形態によれば、マスターレンズ100、コンバータレンズユニット600、アダプター700、および、カメラ本体120のそれぞれが結像光学系を通過する光束を制限する場合でも、開口情報の精度を下げることなく開口形状を算出することが可能となる。
【0086】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0087】
本実施形態によれば、複数の着脱可能なユニットの各々の開口情報を高精度に算出可能な制御装置、撮像装置、制御方法、および、プログラムを提供することができる。
【0088】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
125 カメラMPU(制御装置)
125d 取得手段
125e 算出手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12