(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】個別のマーキングを介したターボ機械ブレード診断のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F01D 25/00 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
F01D25/00 W
F01D25/00 V
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019107529
(22)【出願日】2019-06-08
【審査請求日】2022-06-02
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】カート・クラマー・シュレイフ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・アレン・ボール
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0355007(US,A1)
【文献】米国特許第05511426(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0171806(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0321824(US,A1)
【文献】特開2017-096272(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0285226(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0162374(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 13/00-15/12
F01D 23/00-25/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ機械のブレード監視システム(84)であって、当該システム(84)が、
前記ターボ機械の第1のブレード(28)を観察するように構成されたセンサ(90)から第1のセンサ信号を受信し、
前記ターボ機械の第2のブレード(28)を観察するように構成された前記センサ(90)から第2のセンサ信号を受信し、
前記ターボ機械の前記第1のブレード(28)に配置された第1のマーキング(160、167、170)であって第1の個別の特徴を含む第1のマーキング(160、167、170)に基づいて第1の測定値を導出し、
前記ターボ機械の前記第2のブレード(28)に配置された第2のマーキング(160、167、170)であって第2の個別の特徴を含む第2のマーキング(160、167、170)に基づいて第2の測定値を導出し、かつ
前記ターボ機械のオペレータに前記第1の測定値及び前記第2の測定値を表示する
ように構成されたプロセッサ(88)
を備えており、前記第2の個別の特徴が、前記第1のマーキング(160、167、170)の前記第1の個別の特徴と比較したときに前記第2のマーキング(160、167、170)の異なる場所に配置される、システム(84)。
【請求項2】
前記第1の個別の特徴が、ノッチ(164)を含む、請求項1に記載のシステム(84)。
【請求項3】
前記ノッチ(164)が、前記第1のマーキング(160、167、170)を2つのセクション(162、166、168)に分割し、前記2つのセクション(162、166、168)の各々が、前記ノッチ(164)と比較したときにより高い光反射率を有する、請求項2に記載のシステム(84)。
【請求項4】
前記2つのセクション(162、166、168)が、塗装されたセクション、コーティングされたセクション、研磨されたセクション又はそれらの組合せを含む、請求項3に記載のシステム(84)。
【請求項5】
前記異なる場所が、前記第1のブレード(28)と比較したときに前記第2のブレード(28)の異なる長手方向の場所を含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシステム(84)。
【請求項6】
前記第1の測定値が、前記ターボ機械の段(100)において他のブレード(28)から前記第1のブレード(28)を識別する固有の識別測定値を含む、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシステム(84)。
【請求項7】
前記ターボ機械が、ガスタービンを備え、前記第1及び第2のブレード(28)が、前記ガスタービンの段(100)に配置される、請求項1乃至請求項
6のいずれか1項に記載のシステム(84)。
【請求項8】
ターボ機械システム(10)であって、
前記ターボ機械システム(10)の動作中に回転するように構成されたブレード(28)と、
前記ターボ機械の前記ブレード(28)を観察するように構成されたセンサ(90)と、
請求項1乃至請求項
7のいずれか1項に記載のブレード監視システム(84)と
を備える、システム(10)。
【請求項9】
プロセッサ(88)を介して、ターボ機械の第1のブレード(28)を観察するように構成されたセンサ(90)からの第1のセンサ信号を受信すること(402)と、
前前記プロセッサ(88)を介して、記ターボ機械の第2のブレード(28)を観察するように構成された前記センサ(90)から第2のセンサ信号を受信すること(402)と、
前記プロセッサ(88)を介して、前記ターボ機械の前記第1のブレード(28)に配置された第1のマーキング(160、167、170)であって第1の個別の特徴を含む第1のマーキング(160、167、170)に基づいて第1の測定値を導出すること(404、406)と、
前記プロセッサ(88)を介して、前記ターボ機械の前記第2のブレード(28)に配置された第2のマーキング(160、167、170)であって第2の個別の特徴を含む第2のマーキング(160、167、170)に基づいて第2の測定値を導出すること(404、406)と、
前記プロセッサ(88)を介して、前記ターボ機械のオペレータに前記第1の測定値及び前記第2の測定値を表示すること(408)と
を含む、方法(400)であって、前記第2の個別の特徴が、前記マーキング(160、167、170)の前記個別の特徴と比較したときに前記第2のマーキング(160、167、170)の異なる場所に配置され、前記異なる場所が、前記ブレード(28)と比較したときに前記第2のブレード(28)の異なる長手方向の場所を含む、方法(400。
【請求項10】
前記第1の個別の特徴が、ノッチ(164)を含む、請求項
9に記載の方法(400)。
【請求項11】
前記ノッチ(164)が、前記第1のマーキング(160、167、170)を2つのセクション(162、166、168)に分割し、前記2つのセクション(162、166、168)の各々が、前記ノッチ(164)と比較したときにより高い光反射率を有する、請求項
10に記載の方法(400)。
【請求項12】
前記2つのセクション(162、166、168)が、塗装されたセクション、コーティングされたセクション、研磨されたセクション又はそれらの組合せを含む、請求項
11に記載の方法(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、ターボ機械に関し、より具体的には、個別のマーキングを介したターボ機械ブレードの予知および診断のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンシステムなどの特定のターボ機械は、一般に、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを含む。圧縮機は、空気取入口からの空気を圧縮し、続いて圧縮空気を燃焼器に導く。燃焼器内では、圧縮機から受け取った圧縮空気は燃料と混合され、燃焼ガスを生成するために燃焼される。燃焼ガスは、タービンに導かれる。タービンでは、燃焼ガスがタービンのタービンブレードを横切って通過し、それによってタービンブレード、およびタービンブレードが取り付けられているシャフトを駆動して回転させる。シャフトの回転は、シャフトに結合されている発電機などの負荷をさらに駆動することができる。タービンへの流体の流れおよび圧力は、タービンブレードに依存し得る。しかしながら、ガスタービンシステムの構成要素は、使用中に消耗する可能性がある。ガスタービンシステムの構成要素のブレードに関する予知および診断情報を提供することは、有益であろう。
【発明の概要】
【0003】
本開示の範囲に相応する特定の実施形態を、以下に要約する。これらの実施形態は、特許請求の範囲に記載される開示の範囲を限定しようとするものではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示について考えられる形態の概要を提供しようとするものにすぎない。実際、本開示は、以下に記載する実施形態に類似してもよく、あるいは異なってもよい様々な形態を含むことができる。
【0004】
第1の実施形態では、ブレード監視システムが提供される。ブレード監視システムは、プロセッサを含む。プロセッサは、ターボ機械のブレードを観察するように構成されたセンサからセンサ信号を受信するように構成される。プロセッサはまた、ターボ機械のブレードに配置されたマーキングに基づいて測定値を導出し、マーキングは、個別の特徴を含み、かつターボ機械のオペレータに測定値を表示するように構成される。
【0005】
第2の実施形態では、ターボ機械システムが提供される。ターボ機械システムは、ターボ機械システムの動作中に回転するように構成されたブレードと、ターボ機械のブレードを観察するように構成されたセンサとを含む。ターボ機械システムはまた、ブレード監視システムを含む。ブレード監視システムは、プロセッサを含む。プロセッサは、ターボ機械のブレードを観察するように構成されたセンサからセンサ信号を受信するように構成される。プロセッサはまた、ターボ機械のブレードに配置されたマーキングに基づいて測定値を導出し、マーキングは、個別の特徴を含み、かつターボ機械のオペレータに測定値を表示するように構成される。
【0006】
第3の実施形態では、方法が提供される。方法は、プロセッサを介して、ターボ機械のブレードを観察するように構成されたセンサからのセンサ信号を受信することを含む。方法はまた、プロセッサを介して、ターボ機械のブレードに配置されたマーキングに基づいて測定値を導出することであって、マーキングは、個別の特徴を含むことと、ターボ機械のオペレータに測定値を表示することとを含む。
【0007】
本開示のこれらの、ならびに他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されよう。添付の図面では、図面の全体にわたって、類似する符号は類似する部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ブレードを備えたガスタービンと、ブレードを監視するためのブレード監視システムとを有するガスタービンシステムの一実施形態の概略図である。
【
図2】複数のブレードを有する、
図1のガスタービンの段の一実施形態の正面図である。
【
図3】
図2の段を収容する静止ケーシングに配置された単一のブレード観察センサの一実施形態の詳細正面図である。
【
図4】ブレードの感知点のシフトを示す、
図3のセンサの一実施形態の詳細正面図である。
【
図5】ブレードの感知点のシフトを示す、
図1のガスタービンシステムのブレードの一実施形態の図である。
【
図6】特定のブレード性質および/または状態を決定するのに適した個別の特徴を有する様々なマーキングを有するブレードの一実施形態の詳細正面図である。
【
図7】X軸に時間を、Y軸に
図3のセンサを介して受信した戻り光の強度を有するグラフの一実施形態を示す図である。
【
図8】X軸にブレード番号を、Y軸にブレードノッチの場所を有するグラフの一実施形態を示す図である。
【
図9】
図6のブレードマーキングを介して特定の情報を導出するのに適したプロセスの一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の1つまたは複数の具体的な実施形態が、以下で説明される。これらの実施形態に関する簡潔な説明を提供するために、実際の実施態様に関するすべての特徴について本明細書に説明するわけではない。エンジニアリングまたは設計プロジェクトなどの実際の実施の開発においては、開発者らの特定の目的を達成するために、例えばシステム関連および事業関連の制約条件への対応など実施に特有の決定を数多くしなければならないし、また、これらの制約条件は実施ごとに異なる可能性があることを理解されたい。さらに、このような開発作業は複雑で時間がかかるかもしれないが、にもかかわらず、この開示の利益を得る当業者にとっては、設計、製作、および製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0010】
本開示の様々な実施形態の要素を導入する場合、冠詞「1つの(a、an)」、「この(the)」、および「前記(said)」は、その要素が1つまたは複数存在することを意味することを意図する。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的なものであって、列挙された要素以外の付加的な要素があり得ることを意味するものである。
【0011】
本明細書に記載の技術は、ブレード部分(例えば、縁部)に配置され得るマーキングを介して、ガスタービンエンジンのブレードなどのターボ機械の個々のブレードを「符号化」または他の方法でマーキングする技術を提供する。マーキングは、マーカがどのブレードに配置されるか(例えば、ブレード1、ブレード2など)を符号化することができる光学マーカ、磁気マーカなどを含むことができ、ならびに速度、フラッタ状態、亀裂などのようなブレード性質を決定するのに有用な他の情報を提供するのに適した特定の形状を含むことができる。一実施形態では、ブレードタイミングのための光学技術は、回転ブレードのアレイが静止光ビームを通過するときに断続的な反射光(例えば、ブレード先端またはブレード縁部から反射される)の強度を測定する。時間領域信号を分析して、回転ブレードが、例えば、ブレードを支持するロータの速度信号に対して「早い」、「オンタイム」、または「遅い」に到達したかどうかを決定することができる。反射光の強度を向上させるために、塗装、コーティング、表面仕上げ、および/または他の処理を使用することができる。「塗装」という用語は、実際の塗装、コーティング、表面仕上げ、またはそれらの組合せを広く表すために本出願の残りの部分で使用されている。同様に、「塗装する」および/または「塗装される」という用語は、塗装、コーティング、表面仕上げ、またはそれらの組合せを広く表すために使用される。
【0012】
通過するブレードによって光(例えば、レーザ光)が遮断され反射される場所は、例えば熱的変化のために経時的に変化し、潜在的に測定値の誤差をもたらす可能性がある。通過するブレードのどこでレーザ光が遮断され反射されるかを決定するために、ターボ機械のブレードの定義されたサブセットは、反射光をすべての他のブレードとは異なるように応答させる固有のパターンを含む縞で塗装され得る。固有のパターンは、ブレード表面に塗装されているエリアの一部(例えば、ノッチ)をマスキングすることによって作り出すことができる。第1のブレードの塗装パターンにおける固有の特徴は、第1のブレードの表面の正確な既知の場所に配置される。第2のブレードでは、固有の塗装パターンは、ブレード表面の異なる場所に識別用の特徴(例えば、ノッチ)を有することができる。固有にマーキングされたブレードの数および/またはブレードごとに使用されるマーキングの数は、所望の解像度の関数、例えば、分析するデータ量の関数であり得る。
【0013】
オペレータおよび/または自動化システムが、例えば、リアルタイムで反射光信号の強さを監視しているとき、オペレータおよび/または自動化システムは、そのブレードの反射光強度をアレイの他のブレードとは著しく異なって区別可能に観察することができる。どのブレードが他のブレードと異なって読み取っているかを知ることによって、オペレータおよび/または自動化システムは次に、ブレードのどこにレーザ光が配置されているかを決定することができる。したがって、個々のブレード表面の固有の塗装パターンが回転ブレードを「コード化」して、オペレータおよび/または自動化システムがブレード表面のどこでレーザ光が遮断され反射されているかを決定することができるようにする。パターンはまた、以下でさらに説明されるように、ブレード速度、ブレードフラッタなどのような特定のブレード性質を導出するのに役立ち得る。
【0014】
ここで図を参照すると、
図1は、炭素質燃料を燃焼させて回転動力を発生するのに適したタービン12を有するガスタービンシステム10の一実施形態のブロック図を示す。ベーン16を備えた圧縮機14、および制御システム18も示されている。説明を通して、一組の軸を参照する。これらの軸は、円筒座標系に基づいており、軸方向20、半径方向22、および円周方向24を向いている。例えば、軸方向20は、ガスタービンシステム10の長手方向軸26に沿って延び、半径方向22は、長手方向軸26と直交しかつ長手方向軸26から離れる方向に延び、円周方向24は、長手方向軸26の周りに延びる。さらに、本説明は、タービンブレード28に焦点を当てるが、圧縮機14、ポンプ、および/またはなどのような様々な回転装置が本明細書に記載の技術から利益を得ることができることに留意されたい。
【0015】
酸化剤64が取入口66から圧縮機14に流れ、そこで圧縮機ブレード16の回転が酸化剤64を圧縮して加圧する。酸化剤64は、周囲空気、純酸素、酸素富化空気、酸素還元空気、酸素-窒素混合物、または燃料の燃焼を促進する任意の適切な酸化剤を含み得る。以下の説明では、酸化剤の一例として空気64を参照するが、非限定的な例としてのみ意図されている。空気64は、燃料ノズル68に流入する。燃料ノズル68内では、燃料70は、燃焼、排出、燃料消費量、動力出力などに適した比率で空気64と混合する。その後、燃料70と空気64との混合物が燃焼器74内で高温の燃焼生成物72に燃焼される。高温の燃焼生成物72は、タービン12に入り、ロータブレード28を回転させ、それによってシャフト38を駆動して回転させる。回転シャフト38は、空気64を圧縮するために圧縮機14にエネルギーを提供する。より具体的には、回転シャフト38は、圧縮機14内でシャフト38に取り付けられた圧縮機ブレード36を回転させ、それによって燃焼器74に供給される空気64を加圧する。さらに、回転シャフト38は、発電機またはシャフト38の機械的エネルギーを利用することが可能な任意の他のデバイスなどの負荷78を駆動することができる。タービン12が燃焼生成物72から有用な仕事を抽出した後、燃焼生成物72は、排気口80に排出される。
【0016】
制御システム18は、コントローラ82と、ブレード監視システム84とを含む。いくつかの実施形態では、ブレード監視システム84をコントローラ82に含めることができ、他の実施形態では、ブレード監視システム84をコントローラ82に通信可能に結合することができる。コントローラ82は、メモリ86と、1つまたは複数のプロセッサ88とを含むことができる。プロセッサ(単数または複数)88は、現時点において開示されている技術を実施するための命令を実行するためにメモリ86に動作可能に結合され得る。これらの命令は、メモリ86および/または他の記憶装置などの有形の非一時的コンピュータ可読媒体に記憶されるプログラムまたはコードに符号化することができる。プロセッサ(単数または複数)88は、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)デバイス、または特定用途向け集積回路、または何らかの他のプロセッサ構成とすることができる。
【0017】
メモリ86は、限定はしないが、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、ディスケット、フラッシュドライブ、コンパクトディスク、デジタルビデオディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ならびに/またはプロセッサ(単数または複数)88による命令および/もしくはデータの記憶、取り出し、および/もしくは実行を可能にする任意の適切な記憶デバイスなどのコンピュータ可読媒体を含んでもよい。メモリ86は、1つまたは複数のローカルおよび/またはリモートの記憶デバイスをさらに含むことができる。さらに、コントローラ82は、オペレータが測定値を読み取り、分析を実行し、および/またはガスタービンシステム10の動作を調整することを可能にするように、ヒューマンマシンインターフェース(HMI)、ディスプレイなどに動作可能に接続され得る。
【0018】
使用中、ブレード監視システム84は、例えば、センサ90からのデータを使用することによってタービン12のブレード28の現在の性質または状態を検出することができる。例えば、センサ90は、以下でさらに説明されるように、ブレード28に配置された特定のマーキングを感知する光学センサシステムおよび/または磁気センサシステムを含み得る。センサ90からの更新は、リアルタイムで、例えば、1~4,000マイクロ秒、1~100ミリ秒の速度で受信することができる。ブレード監視システム84によって導出されたブレード28の性質または状態は、オペレータに表示されてもよく、および/またはコントローラ82に提供されてもよい。コントローラ82は、例えば、動作中に燃料流70、空気流64、排気口80の温度の測定、負荷78の性質(例えば、生成電力)の測定などを制御することによってガスタービンシステム10の動作を制御することができる。
【0019】
図2は、複数のブレード28を示すタービン12の段100の一実施形態の正面図を示す。タービン12は、1つまたは複数の段100を含むことができ、各段100は、燃焼の流体生成物によって駆動されるのに適したブレード28を有する。また、段100を囲む静止ケーシング102、および図示されていない他の段も示されている。使用中、ブレード28は、円周方向24に半径方向に回転することができ、したがって回転運動を発生し、これは発電機などの負荷78を介して動力に変換することができる。段100およびブレード28の様々な性質および特性を感知することは、有益であり得る。例えば、各ブレード28の速度、ブレード28の何らかの変形(例えば、熱変形)、ブレード28のフラッタなどである。したがって、本明細書に記載の技術は、センサ90を静止ケーシング102の1つまたは複数の場所に配置することを提供する。センサ90は、特定のマーキングを感知することができる光学センサ(例えば、レーザベースのセンサ)、磁気センサなどを含むことができる。
【0020】
図3は、静止ケーシング102に配置され、ブレード28の1つまたは複数を感知するように配置された単一のセンサ90の一実施形態の詳細正面図である。より具体的には、図は、ブレード28が円周方向24に回転するときにブレード28の後縁を観察するように配置されたセンサ90を示す。図示の実施形態では、センサ90は、ブレード28をレーザ光ビーム110で照明する光学センサとすることができる。レーザ光ビーム110は、ブレード28の縁部に衝突し、次いでブレード28で反射するように示されている。次いで、光の反射がセンサ90によって捕捉され、ブレード28の様々な性質および状態を導出するために使用され得る。しかしながら、動作中、例えば熱的変化のために、センサ90とブレード28との間の位置合わせがシフトする可能性がある。したがって、
図4に示すように、レーザ光ビーム110の衝撃または衝突点がシフトすることがある。
【0021】
より具体的には、
図4は、ガスタービンシステム10の動作中にシフトする可能性がある3つの衝突点120、122、124を示すブレード28の一実施形態を示す。例えば、始動動作前など、ガスタービンシステム10が「低温」状態にあるとき、点120は、位置126においてセンサ90から入ってくる光を反射することができる。ガスタービンシステム10がベースロード動作に入ると、熱的変化、振動などにより、ブレード28および/またはセンサ90が互いに対して位置をシフトすることがある。例えば、センサ90は、位置128にシフトすることがあり、次に点122において光ビーム110の衝突を引き起こすことがある。同様に、センサ90は、位置130にシフトすることがあり、点124において光ビーム110の衝突を引き起こす。
【0022】
衝突点(例えば、点120、122、124)のシフトは、測定値における不正確さを招き得る。例えば、
図5は、光ビーム110の衝突点140、142、144をシフトさせることを示すブレード28の一実施形態を示す。図示の実施形態では、ブレード28は、ブレードフラッタと呼ばれる状態を経験している可能性がある。ブレードフラッタの間、ブレードの自励振動は、典型的には、構造-動的および/または空気力学的力の相互作用によって引き起こされることがある。例えば、ブレードエリアまたは部分146、148、150は、互いに対して異なる応力を受ける可能性があり、これはブレード28の特定のエリアまたは部分を振動させる可能性がある。
【0023】
図示の実施形態では、センサ90を使用して、ブレード28の変位を測定することができる。しかしながら、ここでは光ビーム110は異なる場所に衝突する可能性があるので、例えば、方向24に沿って半径方向にリアルタイムで光ビーム110が衝突している場所を導出することが有益であろう。本明細書に記載の技術は、以下でさらに説明されるように、光ビーム110が現在衝突している可能性がある場所を決定し、ブレード28の性質および状態を導出するために使用することができる特定のマーキングの使用を含む。
【0024】
ここで
図6を参照すると、図は、ブレード28の縁部に配置された様々なマーキング160および170を有するブレード28(「バケット」とも呼ばれる)の一実施形態の詳細正面図である。マーキング160、170がブレードの後縁に配置されるように示されているが、マーキング160、170は、ブレードの頂部、例えば、静止ケーシング102に最も近いブレード部分、またはブレード28の他のエリア(例えば、前縁)に配置することができることを理解されたい。図示の実施形態では、マーキング160は、第1のセクション162と、「個別の」セクションまたはノッチ164と、第2のセクション166とを含む。個別のセクション164は、塗装されていないか、またはマーキングされていなくてもよく、したがって、セクション162、166(またはセクション162、166の先頭部分)を互いに区別する。
【0025】
セクション162および166は、ブレード28に沿って長手方向に測定したときに異なる長さを有するものとして示されている。例えば、バケット1および2では、セクション162はセクション166よりも短いが、バケット3および4では、セクション162はセクション166よりも長い。バケット1~4に示すマーキング160は、個々のバケットを識別するために使用され得る。例えば、セクション164はセクション162、166とは異なるように光を反射するので、マーキング160を担持する各ブレードは、固有にマーキングされてもよい。さらに衝突点がシフトするにつれて、シフトは、シフトがマーキングされたセクション(例えば、セクション162、166)から個別のまたはノッチ付きセクション164に、またはその逆に1つのブレード28から別のブレード28に、またはマーキングされた部分から同じブレード28のノッチ付きセクション164に交差し得るときに検出されてもよい。例えば、衝突点をバケット1のノッチ164に位置させ、次いでバケット2のノッチ164にシフトさせることができる。したがって、衝突点の場所を確認することができ、ブレードフラッタ、熱的変化、亀裂(例えば、表面亀裂)などのような状態のより正確な測定値をもたらすことができる。
【0026】
図はまた、セクション162、166、168を分割する複数の個別のセクション164を有するマーキング167を示す。実際、特定の実施形態では、マーキングは、例えば、特定のブレード28をさらに識別するのに有用であり、かつ衝突点がシフトしやすいセクションを位置決めし識別することなどに有用な複数のノッチを含むことができる。例えば、衝突点が同じマーキング167の第1のノッチ164から第2のノッチ164に移動するときにシフトが検出されてもよい。マーキング170も示されており、これは個別のセクションまたはノッチを有していない。言い換えれば、マーキング170は、図示されている長方形のセクションのように、ただ1つの塗装されたセクションを有する。特定の実施形態では、段100は、1つまたは複数のマーキング160のみを使用してもよい。他の実施形態では、1つまたは複数のマーキング160は、1つまたは複数のマーキング167、170と組み合わせることができる。同様に、特定の実施形態では、1つまたは複数のマーキング167のみを使用することができ、他の実施形態では、1つまたは複数のマーキング167を1つまたは複数のマーキング160、170と組み合わせることができる。
【0027】
セクション164と比較したときに反射性がより高いセクション、例えば、セクション162、166、168、および/または170のすべては、様々なコーティング(例えば、光反射コーティング、磁気コーティング、および/または熱コーティング)で塗装および/またはコーティングされてもよく、または他の方法でマーキングされてもよい(例えば、研磨される、「粗い」ままなど)。特定の実施形態では、セクション164は、マーキングされていない、例えば、塗装されていなくてもコーティングされていないままでもよい。他の実施形態では、セクション164は、セクション162、166、168、および/または170のすべてと比較したとき、より少ない光を反射するように塗装、コーティング、または他の方法でマーキングされてもよい。さらに、特定の実施形態では、セクション164は、セクション162、166を互いに完全には区別しないが、後縁部分などの塗装、コーティング、または他のマーキング接続セクション162、166(または168)の一部を互いに接続したままにする部分的なノッチであり得る。これらの実施形態では、マーキングは、後方に向けられた正方形の文字「C」のように見えてもよい。センサ90が磁気センサを含み得る実施形態では、セクション162、166は、磁気粒子を含むコーティングなど、コーティングされていないブレード28の残りの部分と比較したときに異なる磁場性質(例えば、強さ)を有し得るコーティングでコーティングされてもよい。
【0028】
図7は、Y軸184におけるビーム110からの戻り光の強度に対するX軸182における時間を示すグラフ180の一実施形態を示す。より具体的には、グラフ180は、ノッチ付きマーキング、例えば、マーキング160、167を有し得るブレードに対して、ノッチ無しマーキング、例えば、マーキング170を有し得るブレードから感知することができる曲線186を示す。図示のように、センサ90は、ノッチ付きのマーキングされたブレードと比較して、例えば、ノッチ無しマークの反射率が増加したために、ノッチ付きのマーキングされたブレードについてより早くかつより長い時間、反射(または磁気)表面を示す光を受信することができる。したがって、他のブレード28と比較した場合、単一のノッチ付きのマーキングされたブレードは、1つまたは複数のセンサ90を通して回転するので容易に識別可能であり得る。
【0029】
さらに、ブレード28の長手方向の場所などの複数の場所を感知するように複数のセンサ90を各々配置することができる。したがって、複数のノッチ付きマーキング(例えば、マーキング160、167)はまた、例えば、個々のセンサ90に指示してマーキングされたブレード28の各々の固有の場所164を観察することによって識別することができる。このようにして、マーキング160、167を有する1つまたは複数のブレード28は、固有に識別することができる。他のブレード28からブレード28を固有に識別することに加えて、セクションまたはノッチ164の使用はまた、回転速度、衝突点のシフト、熱的変化によるブレード材料の変化などのような他のブレード性質および特性を提供し得る。
【0030】
図8は、Y軸204におけるノッチ164の場所に対する軸202におけるブレードまたはバケット番号を示すグラフ200の一実施形態を示す。例えば、点214は、点216によって示すことができるブレードまたはバケット4より低い場所にノッチ164を有するブレードまたはバケット1を指すことができる。図示の実施形態では、バケットn+1は、ノッチレスマーキング170を有する。ブレード28が1つまたは複数のセンサ90を通って回転すると、1つまたは複数のセンサ90からの光ビーム110が段100の回転中に異なる時間に反射して戻るので、1つまたは複数のセンサ90は、各ブレード28の存在を導出することができる。前述のように、特定の実施形態では、バケット1、2、3、…n、n+1などの各ブレード28は、固有に識別され得る。したがって、ブレード28および/または任意のブレード28の回転速度(例えば、毎分回転数)を計算することができる。いくつかの実施形態では、場所は、マーキング170でマーキングされたベースラインバケットを使用して計算することができる。同様に、位置シフトが生じると、位置シフトはノッチ164を介して検出され、ブレードフラッタ測定中などに誤差を最小化または排除することができる。
【0031】
図9は、例えば、マーキング160、167、170を介して特定の情報を導出し、その導出した情報を表示および/または制御に適用するのに適したプロセス400の一実施形態を示すフローチャートである。プロセス400は、プロセッサ88によって実行可能であり、メモリ86に記憶されたコンピュータコードまたは命令として実施されてもよい。図示の実施形態では、プロセス400は、最初に、例えばリアルタイムで、マーキングされたブレード28がセンサ90の感知領域を通過するときの信号を検出することができる(ブロック402)。いくつかの実施形態では、次いでプロセス400は、ブレード番号または他の固有の識別情報を導出し得る(ブロック404)。上述のように、固有のブレードは、ブレード28の1つまたは複数の固有の場所に配置された、個別の特徴、例えば、ノッチ164を使用することによって識別することができる。
【0032】
次いで、プロセス400は、感知された1つまたは複数のブレード28に関する特定の性質および/または特性を導出することができる(ブロック406)。例えば、RPMでのブレード速度を導出すことができるとともに、光ビーム110に対する衝突点の実際の場所を決定することができる。次いで、例えば、ブレードフラッタ測定をより正確に行い、ブレード28の材料および/または静止ケーシング102の膨張/収縮を決定することができる。次いで、プロセス400は、ブロック406で導出された性質および/または特性を含む、マーキング160、167、および/または170に関連する情報を表示することができる(ブロック408)。例えば、各ブレード番号についてのブレード速度が表示されてもよく、ブレードフラッタ測定値が表示されてもよく、新しい衝突点の場所を含む衝突点のシフトなどが表示されてもよい。
【0033】
次いで、プロセス400は、ブロック406で導出された性質および/または特性に基づいて燃料流、空気流、入口ガイドベーン角度などを調整するなどの特定の制御行動を発行することができる(ブロック410)。導出(例えば、ブロック406の導出)は、より正確な尺度、燃料調整、空気流調整、入口ガイドベーン調整などによるブレード28の速度の調整をもたらすことができるので、ガスタービンエンジン12および発電システム10の制御を改善することができる。マーキング160、167、および/または170を付けることによって、本明細書に記載の技術は、光学および/または磁気センサを含み得るセンサ90を介してブレード測定値を改善することができる。本技術は、ガスタービンブレードを考慮して説明されているが、圧縮機、風力タービン、水力タービン、エキスパンダなどの他のブレード付きタービン機械を本明細書に記載の技術と共に使用することができることも理解されたい。
【0034】
技術的効果には、1つまたは複数のノッチなどの個別の特徴を有するブレードマーキングが含まれる。ノッチは、ブレードを固有に識別するために使用されてもよい。ノッチは、追加的にまたは代替的に、例えば熱的変化による、ブレードとセンサシフトとの間の位置として、ビーム衝突、磁気ピックアップ、またはそれらの組合せに関する改善された場所情報を導出するために使用され得る。個別にマーキングされたブレードを介して導出された情報は、より正確なブレードフラッタ測定値、ブレード動的変化、個々のブレード速度などの測定値における精度を向上させるために使用されてもよい。
【0035】
本明細書は、本技術を最良の態様を含めて開示するとともに、あらゆるデバイスまたはシステムの製作および使用ならびにあらゆる関連の方法の実行を含む本技術の実施を当業者にとって可能にするために、いくつかの実施例を使用している。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的に異ならない均等な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0036】
10 ガスタービンシステム、発電システム
12 ガスタービンエンジン、タービン
14 圧縮機
16 ベーン、圧縮機ブレード
18 制御システム
20 軸方向
22 半径方向
24 円周方向
26 長手方向軸
28 タービンブレード、ロータブレード
36 圧縮機ブレード
38 回転シャフト
64 酸化剤、空気、空気流
66 取入口
68 燃料ノズル
70 燃料、燃料流
72 高温の燃焼生成物
74 燃焼器
78 負荷
80 排気口
82 コントローラ
84 ブレード監視システム
86 メモリ
88 プロセッサ
90 センサ
100 段
102 静止ケーシング
110 レーザ光ビーム
120 衝突点
122 衝突点
124 衝突点
126 位置
128 位置
130 位置
140 衝突点
142 衝突点
144 衝突点
146 ブレードエリア/部分
148 ブレードエリア/部分
150 ブレードエリア/部分
160 マーキング
162 第1のセクション
164 第1のノッチ、第2のノッチ、個別のセクションまたはノッチ、固有の場所
166 第2のセクション
167 マーキング
168 セクション
170 ノッチレスマーキング
180 グラフ
182 X軸
184 Y軸
186 曲線
200 グラフ
202 軸
204 Y軸
214 点
216 点
400 プロセス
402 ブロック
404 ブロック
406 ブロック
408 ブロック
410 ブロック