(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20240129BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240129BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20240129BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
G03G15/08 360
G03G15/08 390Z
G03G21/16 176
G03G21/18 114
G03G21/00 312
(21)【出願番号】P 2019168211
(22)【出願日】2019-09-17
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 悠
(72)【発明者】
【氏名】田邉 真人
(72)【発明者】
【氏名】大石 浩一
(72)【発明者】
【氏名】浜田 孝俊
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-178413(JP,A)
【文献】特開2018-128646(JP,A)
【文献】特開2011-253203(JP,A)
【文献】特開2019-061266(JP,A)
【文献】特開平08-006393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0148314(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
G03G 21/16
G03G 21/18
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持する現像剤担持体が収容される現像室と、使用時の姿勢における前記現像室の下方に位置し現像剤を収容する現像剤収容室と、前記現像室と前記現像剤収容室を連通する連通口と、を備える、現像枠体と、
前記現像剤収容室に設けられ、前記現像剤収容室に収容される現像剤を前記現像室へ搬送する搬送部材であって、回転可能な回転軸部と、前記回転軸部に一端が固定され他端が自由端となり弾性変形可能なシート部と、を備える搬送部材と、
前記現像剤収容室に設けられ、前記回転軸部の回転動作に伴って回転する前記シート部の前記自由端と当接することにより、該シート部を撓ませて弾性変形させる変形部と、
前記回転軸部の回転方向において、前記連通口より上流側かつ前記変形部より下流側の位置で前記現像剤収容室に設けられ、且つ、前記変形部によって弾性変形された状態の前記シート部を解放して復元させ
ることにより前記シート部に担持された現像剤を前記連通口へ向けて飛翔させる復元部と、を有し、
前記現像剤収容室には、外部から前記現像剤収容室へ現像剤を補給するための補給口が設けられており、
使用時の姿勢において、前記回転軸部の回転軸線方向に沿ってみた場合、前記回転軸部の回転中心と、前記回転軸部の回転方向における前記連通口の下流側端部と、を直線で結んだとき、
前記連通口と前記補給口とは、前記直線を挟んで互い異なる側に配置され、
前記復元部は、前記補給口が存在する一方側に設けられず、前記連通口が存在する他方側に設けられ、
使用時の姿勢において、前記補給口の最も高い位置は、未使用の状態における前記現像剤収容室に収容される現像剤の剤面よりも上方に位置する、
ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
使用時の姿勢において、前記補給口の少なくとも一部は、前記回転軸部の回転中心よりも下方に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
使用時の姿勢において、前記補給口の最も高い位置は、前記復元部の最も低い位置よりも下方に位置する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
使用時の姿勢において、前記補給口の最も高い位置は、前記変形部の最も高い位置よりも下方に位置する、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記現像枠体は、前記現像室と前記現像剤収容室を仕切る仕切部を備え、
前記仕切部は、第1仕切部と、前記第1仕切部よりも上流側に位置する第2仕切部と、を備え、
使用時の姿勢において、前記第2仕切部は、第1仕切部よりも、水平方向に対して傾斜角が大きく、
前記連通口は、前記第2仕切部に設けられている、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項6】
使用時の姿勢において、前記回転軸部の回転軸線方向に沿ってみた場合、前記第2仕切部の最も下方となる下端の位置を通過し重力方向に平行な仮想線を基準として、前記補給口は
、垂線に対して、前記連通口が存在する側とは異なる側に位置する、ことを特徴とする請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
前記現像室には、前記現像剤担持体と当接し、
前記現像剤担持体へ現像剤を供給する供給部材が備えられる、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤は、一成分の非磁性現像剤である、ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像装置は、画像を形成する画像形成装置に対して着脱可能である、ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項10】
現像剤像を担持する像担持体と、
請求項1~9のいずれか1項に記載の現像装置と、を備え、画像形成装置に対して着脱可能である、ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
前記像担持体から前記現像剤像が転写された後の、前記像担持体に残留する現像剤を前記現像剤担持体が回収する、ことを特徴とする請求項10に記載のプロセスカートリッジ。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載の現像装置、もしくは、請求項10または11に記載のプロセスカートリッジ、のうちの少なくとも一つと、
転写部材と、
を備える、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成装置に使用される現像装置、プロセスカートリッジに関する。特に、電子写真方式を採用する電子写真画像形成装置および電子写真画像形成装置に使用される現像装置、プロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、電子写真画像形成装置の装置本体に対して、現像カートリッジ(現像手段を含む)や、プロセスカートリッジ(現像手段および感光体ドラムを含む)などのような着脱可能な(交換可能な)構成が広く知られている。
【0003】
その中、特許文献1のような、攪拌シートの弾性変形(弾性復元力)によって現像剤を下方の現像剤収容室から、上方の現像室へ飛翔させて搬送するカートリッジも存在している。
【0004】
一方、画像形成効率を向上させるために、特許文献1のようなカートリッジの現像剤収容室に補給口を設けて、補給口を介して外部から現像剤収容室に現像剤を直接補給する技術も検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のカートリッジにおいて、現像剤収容室に補給口を設けた場合、現像剤収容室内に配置された攪拌シートの回転動作によって、現像剤収容室内の現像剤は上方に位置する現像室へ搬送される際に補給口にも逆流する可能性がある。
【0007】
本発明は、下方に位置する現像剤収容室から上方に位置する現像室へ現像剤を供給可能な構成を実現すると共に、現像剤収容室に備えられた補給口への現像剤の逆流を抑制できる現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の現像装置は、
現像剤を担持する現像剤担持体が収容される現像室と、使用時の姿勢における前記現像室の下方に位置し現像剤を収容する現像剤収容室と、前記現像室と前記現像剤収容室を連通する連通口と、を備える、現像枠体と、
前記現像剤収容室に設けられ、前記現像剤収容室に収容される現像剤を前記現像室へ搬送する搬送部材であって、回転可能な回転軸部と、前記回転軸部に一端が固定され他端が自由端となり弾性変形可能なシート部と、を備える搬送部材と、
前記現像剤収容室に設けられ、前記回転軸部の回転動作に伴って回転する前記シート部の前記自由端と当接することにより、該シート部を撓ませて弾性変形させる変形部と、
前記回転軸部の回転方向において、前記連通口より上流側かつ前記変形部より下流側の位置で前記現像剤収容室に設けられ、且つ、前記変形部によって弾性変形された状態の前記シート部を解放して復元させることにより前記シート部に担持された現像剤を前記連通
口へ向けて飛翔させる復元部と、を有し、
前記現像剤収容室には、外部から前記現像剤収容室へ現像剤を補給するための補給口が設けられており、
使用時の姿勢において、前記回転軸部の回転軸線方向に沿ってみた場合、前記回転軸部の回転中心と、前記回転軸部の回転方向における前記連通口の下流側端部と、を直線で結
んだとき、
前記連通口と前記補給口とは、前記直線を挟んで互い異なる側に配置されており、
前記復元部は、前記補給口が存在する一方側に設けられず、前記連通口が存在する他方側に設けられ、
使用時の姿勢において、前記補給口の最も高い位置は、未使用の状態における前記現像剤収容室に収容される現像剤の剤面よりも上方に位置する、
ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明のプロセスカートリッジは、現像剤像を担持する像担持体と、前記現像装置と、を備え、画像形成装置に対して着脱可能である、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、前記現像装置、もしくは、前記プロセスカートリッジ、のうちの少なくとも一つと、転写部材と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、下方に位置する現像剤収容室から上方に位置する現像室へ現像剤を供給可能な構成を実現すると共に、現像剤収容室に備えられた補給口への現像剤の逆流を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)本発明の実施例に係る画像形成装置に使用される現像ユニットの断面概念図;(b)現像ユニットの要部拡大図
【
図2】本発明の実施例に係る画像形成装置の断面概念図
【
図3】本発明の実施例に係る画像形成装置に使用されるプロセスカートリッジの断面概念図
【
図4】本発明の実施例のプロセスカートリッジの非駆動側上方からみた斜視概念図
【
図5】(a)本発明の実施例のプロセスカートリッジの駆動側下方からみた斜視概念図;(b)プロセスカートリッジの駆動側上方からみた斜視概念図
【
図6】(a)
図8に示すA―A位置における、本発明の実施例に係る画像形成装置に使用されるトナーカートリッジ(Y・M・C)の断面概念図;(b)
図8に示すB―B位置における、トナーカートリッジ(Y・M・C)の断面概念図
【
図7】(a)
図8に示すA―A位置における、本発明の実施例に係る画像形成装置に使用されるトナーカートリッジ(K)の断面概念図;(b)
図8に示すB―B位置における、トナーカートリッジ(K)の断面概念図
【
図8】(a)本発明の実施例のトナーカートリッジ(Y・M・C・K)の駆動側上方からみた斜視概念図;(b)サイドカバーを取り外した状態のトナーカートリッジ(Y・M・C・K)の斜視概念図
【
図9】(a~d)本発明の実施例の現像ユニット内のトナーの搬送状態を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、電子写真画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」と称する場合がある)、若しくは、画像形成装置の一部を構成するプロセスカートリッジ、現像装置のいずれかの形態としても実施可能である。
【0014】
以下、本発明に係る画像形成装置を図面に則して説明する。
【0015】
なお、以下に説明する実施例は、例示的に本発明を説明するものであって、以下に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置関係などは、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれに限定するものではない。
【0016】
ここで、電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。そして、電子写真画像形成装置の例としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
【0017】
また、画像形成装置に使用される現像装置は、少なくとも現像手段を有するものである。また、現像装置をカートリッジ化して電子写真画像形成装置の本体に着脱可能である。また、現像装置は、現像装置の枠体に対して着脱可能であり現像装置へトナーを補給可能なトナーカートリッジを備えてもよい。
【0018】
また、画像形成装置の一部を構成するプロセスカートリッジとは、帯電手段、現像手段またはクリーニング手段と電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化し、該カートリッジを電子写真画像形成装置の本体に対して着脱可能とするものである。また、帯電手段、現像手段、クリーニング手段の少なくとも1つと電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して電子写真画像形成装置の本体に着脱可能とするものである。更に、少なくとも現像手段と電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して電子写真画像形成装置の本体に着脱可能とするものである。なお、プロセスカートリッジを画像形成装置に固定して使用することも可能である。
【実施例1】
【0019】
<画像形成装置100の全体構成>
本実施例に係る画像形成装置100の全体構成について
図2を用いて説明する。
【0020】
図2は、本発明の実施例に係る画像形成装置の断面概念図である。
【0021】
本実施例において、プロセスカートリッジ1、及び、トナーカートリッジ13は画像形成装置100の装置本体100Aに対して着脱自在となっている。
【0022】
本実施例では、第1~4の画像形成部の構成と動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、以下において、特に区別を必要としない場合は、添え字であるY~Kを省略して総括的に説明する。
【0023】
第1~第4のプロセスカートリッジ1は水平方向に並んで配置されている。各プロセスカートリッジ1は、クリーニングユニット4と現像ユニット6(現像装置)から形成される。
【0024】
クリーニングユニット4は、感光体ドラム7(像担持体)と、感光体ドラム7の表面を均一に帯電する帯電手段としての帯電ローラ8、及び、クリーニング手段としてのクリーニングブレード10を有する。
【0025】
現像ユニット6は、現像ローラ11(現像剤担持体)と現像剤T(以下、トナー)を収容し、感光体ドラム7上に静電潜像を現像する現像手段を有する。
【0026】
クリーニングユニット4と現像ユニット6は、互いに揺動可能に支持されている。なお、第1~第4のプロセスカートリッジ1Y、1M、1C、1Kは、現像ユニット6内にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーをそれぞれ収容している。
【0027】
プロセスカートリッジ1は、画像形成装置100に設けられた装着ガイド(不図示)、位置決め部材(不図示)などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能になっている。
【0028】
また、プロセスカートリッジ1の下方には静電潜像を形成するためのスキャナユニット12が配置されている。さらに、画像形成性装置においてプロセスカートリッジ1より後方(プロセスカートリッジ1の着脱方向下流側)に廃トナー搬送ユニット23が配置されている。
【0029】
第1~第4のトナーカートリッジ13は、各プロセスカートリッジ1に収容されるトナーの色と対応した順序で、プロセスカートリッジ1の下方にそれぞれ水平方向に並んで配置されている。
【0030】
即ち、第1~第4のトナーカートリッジ13Y、13M、13C、13Kは、イエロー(Y)マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーをそれぞれ収容している。そして、各トナーカートリッジ13は、同色のトナーを収容したプロセスカートリッジ1にトナーを補給する。
【0031】
トナーカートリッジ13の補給動作は、画像形成装置100の装置本体100Aに設けられた残量検知部(不図示)が、プロセスカートリッジ1内のトナー残量不足を検知した際に行われる。トナーカートリッジ13は、画像形成装置100に設けられた装着ガイド(不図示)、位置決め部材(不図示)などの装着手段を介して、画像形成装置100に着脱可能になっている。なお、プロセスカートリッジ1、トナーカートリッジ13の詳細説明は後述する。
【0032】
トナーカートリッジ13の下方には、第1~第4のトナー搬送装置14が各トナーカートリッジ13に対応して配置される。各トナー搬送装置14は各トナーカートリッジ13から受け取ったトナーを上方に搬送し、各現像ユニット6にトナーを供給する。
【0033】
プロセスカートリッジ1の上方には、中間転写体としての中間転写ユニット19が設けられている。中間転写ユニット19は、一次転写部S1側を下方にして略水平に配置されている。
【0034】
各感光体ドラム7に対向する中間転写ベルト18は、回転可能な無端状のベルトであり、複数の張架ローラに張架されている。中間転写ベルト18の内面には、一次転写部材として一次転写ローラ20(転写部材)が中間転写ベルト18を介して各感光体ドラム7と一次転写部S1を形成する位置にそれぞれ配置されている。
【0035】
また、二次転写部材である二次転写ローラ21は、中間転写ベルト18に接触し、中間転写ベルト18を介して対向側のローラと二次転写部S2を形成している。さらに、左右方向(二次転写部S2と中間転写ベルトが張架される方向)において、二次転写部S2と反対側に中間転写ベルトクリーニングユニット22が配置される。
【0036】
中間転写ユニット19のさらに上方には、定着ユニット25が配置されている。定着ユニットは加熱ユニット26と、加熱ユニットに圧接する加圧ローラ27とで構成される。また、装置本体100Aの上面は、排出トレイ32が配設されており、排出トレイ32と中間転写ユニットの間に廃トナー回収容器24が配設されている。さらに、装置本体の最下部には記録材3を収容するための給紙トレイ2が配設されている。
【0037】
<画像形成プロセス>
次に、画像形成装置100における画像形成動作について、
図2、及び
図3を用いて説明する。
【0038】
なお、
図3は、本発明の実施例に係る画像形成装置に使用されるプロセスカートリッジの断面概念図である。
【0039】
画像形成時には、感光体ドラム7は
図3の矢印A方向に所定の速度で回転駆動される。中間転写ベルト18は、矢印Bの方向(感光体ドラム7の回転に順方向)に回転駆動される。
【0040】
まず、感光体ドラム7の表面が帯電ローラ8によって一様に帯電される。次に、スキャナユニット12から照射されたレーザー光によって感光体ドラム7の表面が走査露光されることで、感光体ドラム7上に画像情報に基づいた静電潜像が形成される。
【0041】
感光体ドラム7上に形成された静電潜像は、現像ユニット6によってトナー像として現像される。このとき、現像ユニット6は装置本体100Aに設けられた現像加圧ユニット(不図示)によって加圧されている。そして、感光体ドラム7上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ20によって中間転写ベルト18上に一次転写される。
【0042】
例えば、フルカラー画像の形成時には、第1~4の一次転写部である画像形成部S1Y~S1Kにおいて上述したプロセスが順次に行われることで、中間転写ベルト18上に各色のトナー像が順次に重ね合わされる。
【0043】
一方、給紙トレイ2に収容されている記録材3は、所定の制御タイミングで給送され、中間転写ベルト18の移動と同期して二次転写部S2へと搬送される。そして、記録材3を介して中間転写ベルト18に当接している二次転写ローラ21によって、中間転写ベルト18上の4色トナー像は一括して記録材3上に二次転写される。
【0044】
その後、トナー像が転写された記録材3は定着ユニット25に搬送される。定着ユニット25において記録材3が加熱・加圧されることで記録材3にトナー像が定着する。その後、定着済の記録材3が排出トレイ32に搬送されることで画像形成動作が完了する。
【0045】
また、一次転写工程後に感光体ドラム7上に残留した一次転写残トナー(廃トナー)は、クリーニングブレード10によって除去される。二次転写工程後に中間転写ベルト18上に残留した二次転写残トナー(廃トナー)は、中間転写ベルトクリーニングユニット22によって除去される。
【0046】
クリーニングブレード10、及び、中間転写ベルトクリーニングユニット22によって除去された廃トナーは、装置本体100Aに設けられる廃トナー搬送ユニット23によって搬送され、廃トナー回収容器24に蓄積される。なお、画像形成装置100は、所望の単独またはいくつか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色またはマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
【0047】
<プロセスカートリッジ>
次に、本実施例に係る画像形成装置100に装着されるプロセスカートリッジ1の全体構成について、
図1、
図3、
図4、
図5を用いて説明する。
【0048】
なお、
図1(a)は、本発明の実施例に係る画像形成装置に使用される現像剤ユニットの断面概念図である。
図1(b)は、現像ユニットの要部拡大図である。
【0049】
図4は、本発明の実施例のプロセスカートリッジの非駆動側上方からみた斜視概念図である。即ち、
図4には、前方(プロセスカートリッジ着脱方向における上流側)から見たときのプロセスカートリッジ1の状態が示される。
【0050】
図5(a)は、本発明の実施例のプロセスカートリッジの駆動側下方からみた斜視概念図である。
図5(b)は、プロセスカートリッジの駆動側上方からみた斜視概念図である。即ち、
図5(a)には、後方(プロセスカートリッジ着脱方向における下流側)から見たときのプロセスカートリッジ1の状態が示される。
【0051】
プロセスカートリッジ1は、クリーニングユニット4と現像ユニット6から形成される。クリーニングユニット4と現像ユニット6は回転支持ピン30を中心として、揺動可能に結合される。
【0052】
クリーニングユニット4は、クリーニングユニット4内の各種部材を支持するクリーニング枠体5を有する。また、クリーニングユニット4内には、感光体ドラム7、帯電ローラ8、クリーニングブレード10の他に、感光体ドラム7の回転軸線方向に平行な方向に延びる廃トナースクリュー15を有する。
【0053】
クリーニング枠体5には、感光体ドラム7を回転可能に支持し、感光体ドラムから廃トナースクリュー15に駆動を伝達するためのクリーニングギア列31を備えるクリーニング軸受33が、クリーニングユニット4の長手両端に配設されている。
【0054】
クリーニングユニット4に設けられる帯電ローラは、感光体ドラム7に向かって、両端に配置された帯電ローラ加圧ばね36で矢印C方向に付勢されている。帯電ローラは感光体ドラムに対して従動するように設けられ、感光体ドラム7が画像形成時に矢印A方向に回転駆動されると、矢印Dの方向(感光体ドラム7の回転に順方向)に回転する。
【0055】
クリーニングユニット4に設けられるクリーニングブレード10は、一次転写後に感光体ドラム7の表面に残った転写残トナー(廃トナー)を除去するための弾性部材10aと、弾性部材10aを支持するための支持部材10bとから構成されている。クリーニングブレード10によって感光体ドラム7の表面から除去された廃トナーは、クリーニングブレード10とクリーニング枠体5により形成される廃トナー収容室9に収容される。
【0056】
廃トナー収容室9に収容された廃トナーは、廃トナー収容室9内に設置される廃トナー搬送スクリュー15によって画像形成装置100の後方(プロセスカートリッジ1の着脱方向下流側)に向かって搬送される。搬送された廃トナーは、廃トナー排出部35から排出され、画像形成装置100の廃トナー搬送ユニット23へと受け渡される。
【0057】
現像ユニット6は、現像ユニット6内の各種部材を支持する現像枠体16を有する。現像枠体16は、現像ローラ11と供給ローラ17(供給部材)とが内部に設けられる現像室16aと、トナーが収容され、撹拌部材29(搬送部材)が内部に設けられるトナー収容室16b(現像剤収容室)とに分けられる。
【0058】
現像室16aには、現像ローラ11、供給ローラ17、現像ブレード28が設けられている。現像ローラ11は、トナーを担持しており、画像形成時は矢印E方向に回転し、感光体ドラム7と接触することで感光体ドラム7にトナーを搬送する。
【0059】
また、現像ローラ11は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において現像軸受ユニット34によって回転可能に現像枠体16に支持されている。供給ローラ17は現像ローラ11と接触しつつ回転可能に現像軸受ユニット34によって回転可能に現像枠体16に支持されており、画像形成時は矢印F方向に回転する。さらに、現像ローラ11上に形成されるトナー層の厚みを規制する、層厚規制部材としての現像ブレード28が、現像ローラ11の表面に当接するように配置されている。
【0060】
トナー収容室16bには、収容されたトナーTを撹拌するとともに、現像室連通口16c(連通口)を介して供給ローラ17へトナーを搬送するための撹拌部材29が設けられている。撹拌部材29は、現像ローラ11の回転軸線方向に平行な回転軸29a(回転軸部)と、可撓性を有するシートである搬送部材としての撹拌シート29bとを有する。撹拌シート29bの一端(29b1)が回転軸29aに取り付けられ、撹拌シート29bの他端(29b2)が自由端となっている。回転軸29aが回転して撹拌シート29bが矢印G方向(回転方向)に回転することで、撹拌シート29bによってトナーが撹拌される。
【0061】
現像ユニット6は、現像室16aとトナー収容室16bとを連通する現像室連通口16cを有する。本実施例では、現像ユニット6が通常使用される姿勢(使用時の姿勢)において、現像室16aは、トナー収容室16bの上方に位置している。撹拌部材29によって汲み上げられたトナー収容室16b内のトナーは、現像室連通口16cを通って現像室16aに供給される。
【0062】
さらに、現像ユニット6には、着脱方向下流側の一端に受入口40が設けられる。トナー受入口40の上部には、受入口シール部材45と、前後方向に移動可能なトナー受入口シャッタ41が配置されている。トナー受入口40は、プロセスカートリッジ1が画像形成装置100に装着されていない場合は受入口シャッタ41によって閉じられている。受入口シャッタ41は、プロセスカートリッジ1の着脱動作に連動し、画像形成装置100に付勢されて開く構成となっている。
【0063】
トナー受入口40に連通して受入搬送路42が設けられ、内部には受入搬送スクリュー43が配置されている。さらに、現像ユニット6の長手中央付近にはトナー収容室16bへトナーを供給するための収容室連通口44(補給口)が設けられ、受入搬送路42とトナー収容室16bを連通している。受入搬送スクリュー43は現像ローラ11や供給ローラ17の回転軸線方向と平行に延びており、トナー受入口40から受け入れたトナーを、収容室連通口44を介してトナー収容室16bに搬送する。
【0064】
このように、本実施例では、現像ユニットは、現像枠体(16)と、搬送部材29と、を備える。
【0065】
現像枠体(16)は、現像剤を担持する現像剤担持体(11)が収容される現像室(16a)と、使用時の姿勢における現像室の下方に位置し現像剤を収容する現像剤収容室(16b)と、現像室と現像剤収容室を連通する連通口(16c)と、を備える。
【0066】
搬送部材29は、現像剤収容室に設けられ、現像剤収容室に収容される現像剤を現像室へ搬送するものである。搬送部材は、回転可能な回転軸部(29a)と、回転軸部に一端(29b1)が固定され他端(29b2)が自由端となり弾性変形可能なシート部(29b)と、を備える。
【0067】
現像剤収容室には、変形部(67)が設けられており、回転軸部の回転動作に伴って回転するシート部の自由端と当接することにより、該シート部を撓ませて弾性変形させることができる。
【0068】
また、現像剤収容室には復元部(68)が設けられている。復元部(68)は、回転軸部の回転方向(G)において、連通口より上流側かつ変形部より下流側の位置で現像剤収容室に設けられている。復元部は、変形部によって弾性変形された状態のシート部を解放して復元させることによりシート部に担持された現像剤を連通口へ向けて飛翔させることができる。
【0069】
また、現像剤収容室には、外部から現像剤収容室へ現像剤を補給するための補給口(44)が設けられている。
【0070】
使用時の姿勢において、回転軸部の回転軸線方向(X1)に沿ってみた場合、回転軸部の回転中心(X0)と、回転軸部の回転方向における連通口の下流側端部(16c1)と、を仮想直線(H)で結ぶこととする。このとき、連通口と補給口とは、直線を挟んで互い異なる側(H1、H2)に配置されている。
【0071】
復元部は、補給口が存在する一方側(H2)に設けられず、連通口が存在する他方側(H1)に設けられている。
【0072】
<トナーカートリッジ>
次に、本実施例に係る画像形成装置100に装着されるトナーカートリッジ13の全体構成について
図6を用いて説明する。
【0073】
図6(a)は、後述する
図8に示すA―A位置における、本発明の実施例に係る画像形成装置に使用されるトナーカートリッジ(Y・M・C)の断面概念図である。
図6(b)は、
図8に示すB―B位置における、トナーカートリッジ(Y・M・C)の断面概念図である。
【0074】
即ち、
図6(a)には、トナーカートリッジ(13Y、13M、13C)の、長手方向(前後方向)の中央部の断面が示されている。また、
図6(b)には、トナーカートリッジ(13Y、13M、13C)の、長手方向(前後方向)の後方側の給開口52における断面図である。
【0075】
図7(a)は、後述する
図8に示すA―A位置における、本発明の実施例に係る画像形成装置に使用されるトナーカートリッジ(K)の断面概念図である。
図7(b)は、
図8に示すB―B位置における、トナーカートリッジ(K)の断面概念図である。
【0076】
即ち、
図7(a)には、トナーカートリッジ(13K)の、長手方向(前後方向)の中央部の断面が示されている。また、
図7(b)には、トナーカートリッジ(13K)の、長手方向(前後方向)の後方側の給開口52における断面が示されている。
【0077】
図8(a)は、本発明の実施例のトナーカートリッジ(Y・M・C・K)の駆動側上方からみた斜視概念図である。
図8(b)は、サイドカバーを取り外した状態のトナーカートリッジ(Y・M・C・K)の斜視概念図である。
【0078】
即ち、
図8(a)には、トナーカートリッジ(13Y、13M、13C)の、後方から見たときの状態を示す。
図8(b)には、トナーカートリッジ(13Y、13M、13C)の、後方から見たときの、サイドカバー62を取り除いた状態を示す。
【0079】
トナーカートリッジ13は、トナーカートリッジ13内の各種部材を支持する補給枠体50と、内部にトナーを収容する補給トナー収容室51を備える。また、通常使用される姿勢(使用時の姿勢)において、下側に補給枠体開口52が設けられる。
【0080】
補給トナー収容室51内には、補給トナー撹拌部材53、補給トナー搬送スクリュー54、仕切り部材55が設けられている。なお、本実施例においては、カラー(Y、M、C)トナーカートリッジ(13Y、13M、13C)と比べ、ブラック(K)トナーカートリッジ(13K)の方が幅方向(左右方向)において大きい。
【0081】
補給撹拌部材53は、トナーカートリッジ13の長手方向に平行に配置され、回転可能に補給枠体50に支持されている。また、補給撹拌部材53は回転軸53aと、可撓性を有するシートである搬送部材としての補給撹拌シート53bとを有する。補給撹拌シート53bの一端が回転軸53aに取り付けられ、補給撹拌シート53bの他端が自由端となっている。回転軸53aが回転して補給撹拌シート53bが矢印G方向に回転することで、補給撹拌シート53bによってトナーが撹拌され、トナーを補給搬送スクリュー54に送る。
【0082】
補給トナー搬送スクリュー54は、補給トナー撹拌部材の回転軸線に平行に配置され、回転可能に補給枠体50に支持されている。補給トナー搬送スクリュー54は回転することで、補給トナー収容室内のトナーを前方から後方(トナーカートリッジ着脱方向において上流から下流側)に搬送する。即ち、トナーをトナー補給開口52に向けて搬送する。
【0083】
仕切り部材55は、補給枠体50とでトンネル部56を形成する。トンネル部56は補給トナー搬送スクリュー54の外径に対応して形成され、補給トナー搬送スクリュー54によって搬送されたトナーを擦切って定量搬送する役割を持っている。また、同様に仕切り部材55は補給枠体50とでトナー排出室57を形成する。
【0084】
トナー排出室57には補給枠体開口52が設けられる。また、伸縮可能な蛇腹部58aを備えるポンプ58が、内部と連通して設けられる。ポンプ58は後述する駆動列によって伸縮し、その内部容積を変動させることができる。ポンプ58の伸縮に伴って、補給トナー収容室51及びトナー排出室57の内圧が変動し、補給枠体開口52からの吸排気が行われることで安定的にトナーの排出を行うことができる。
【0085】
トナーカートリッジ13の後方側には駆動列が配置される。装置本体100Aから駆動入力ギア59が回転駆動を受け取り、カムギア60に回転を伝達する。カムギア60にはカム溝60aが設けられており、リンク機構61のリンク突起部61aがカム溝60aと係合している。
【0086】
リンク機構61は、サイドカバー62に前後方向に移動可能に支持される。リンク機構61は、カムギア60が回転することでカム突起部61aがカム溝60aの山部と谷部を交互に通過することにより、前後方向に往復運動する。
【0087】
リンク機構61は、ポンプ58の結合部58bと連結されており、ポンプ58はリンク機構61と連動して結合部58bが往復運動する。そして、ポンプ58の蛇腹部58aが伸縮することでポンプ58の内部容積が変動し、結果として補給トナー収容室51及びトナー排出室57の内圧が変動する。
【0088】
次に、前述した補給トナー搬送スクリュー54の端部には、スクリューギア64が設けられており、スクリューギア64はカムギア60から回転駆動を受け取り、補給トナー搬送スクリュー54を回転させる。
【0089】
また、トナー排出室57には通常使用される姿勢(使用時の姿勢)において、下面に補給枠体開口52と、補給口63が設けられた補給口シャッタ41が、前後方向に移動可能に補給枠体50に支持されている。補給枠体開口52は、トナーカートリッジ13が画像形成装置100に装着されていない場合は補給口シャッタ41によって閉じられている。
【0090】
補給口シャッタ41は、トナーカートリッジ13の着脱動作に連動し、画像形成装置100に付勢されて所定の位置に移動する構成となっている。補給口シャッタ41が画像形成装置100に装着されたとき、補給枠体開口52と補給口63は連通し、トナーカートリッジ13からのトナー排出が可能となる。
【0091】
<トナー搬送構成>
次に、現像ユニット6におけるトナー搬送構成について、
図1を用いて詳細に説明する。
【0092】
図1(a)には、トナーの搬送状態が示されている。また、
図1(b)には、現像剤室連通口付近の構成が示されている。
【0093】
なお、本実施例では、現像ユニット6の構成について、上、下、垂直、水平といった方向を表す用語は、特に断りのない場合は、それらの通常の使用状態において見た時の方向を表す。つまり、現像ユニット6の通常の使用状態は、適正に配置された画像形成装置の装置本体100Aに対して適正に装着され、画像形成動作に供し得る状態である。
【0094】
図1(a)に示すように、現像ユニット6は、現像室16aとトナー収容室16bとを有する。現像室16aには、現像ローラ11、供給ローラ17及び現像ブレード28などが収容されている。トナー収容室16bには、現像室16aに供給されるトナーが収容されると共に、現像室16aにトナーを供給する撹拌部材29(搬送部材)が設けられている。
【0095】
そして、トナー収容室16bは、現像室16aよりも鉛直方向下方に配置されている。従って、トナー収容室16bから現像室16aへと重力に反してトナーを搬送する。
【0096】
前述のように、重力に反して撹拌部材29がトナーをトナー収容室16bから現像室16aへ搬送する場合に、トナーカートリッジからトナーを補給する補給口(収容室連通口44)へトナーが搬送される。すると、収容室連通口44においてトナー詰まりが発生し、受入搬送スクリュー43からトナー収容室16bへのトナーの供給不良に繋がりやすい。
【0097】
従って、本実施例の目的は、重力に反してトナーを搬送する構成の場合に、トナー収容室16bから現像室16aへと搬送されるトナーが、収容室連通口44へ逆流することを抑制できる。
【0098】
現像ユニット6は、現像枠体16内に形成された、現像室16a及びトナー収容室16bを有する。現像室16aには、現像ローラ11及び供給ローラ17が設けられている。また、トナー収容室16bは、現像室16aの下方に配置されている。ここで、トナー収容室16bは、現像室16aに供給するトナーを収容する。
【0099】
現像室16aとトナー収容室16bとの間には、トナーが通過するための現像室連通口16cを有する隔壁66(仕切部)が設けられている。ここで、現像室連通口16cは、トナー収容室16bの上方に設けられている。また、トナー収容室16b内には、現像室16aにトナーを供給するための弾性を有する撹拌部材29が回転可能に設けられている。
【0100】
そして、トナー収容室16bには、現像室連通口16cの下方に、撹拌シート29bと当接する変形部67が設けられている。撹拌シート29bは、その回転に伴って、変形部67に当接する。これによって、撹拌シート29bが変形部67から力を受ける。その結果、撹拌シート29bの有する弾性力に抗して撹拌シート29bが変形する。
【0101】
また、撹拌シート29bは、変形部67に接触した状態で回転することで、その回転方向下流側の表面上にトナーを担持した状態で搬送する。本実施例では、変形部67は、トナー収容室16bの内壁のうち現像室連通口16cの下方から、撹拌シート29bが離れる点Pまでの箇所を指す(
図1(a)では一部のみ示す)。
【0102】
また、トナー収容室16bには、撹拌部材29の回転方向において変形部67よりも下流側、かつ、現像室連通口16cよりも上流側において、復元部68が設けられている。ここで、復元部68は、撹拌シート29bとトナー収容室16bの内壁との接触を開放するための部分である。本実施例では、復元部68は、トナー収容室16bの内壁のうち、点P位置から現像室連通口16cまでの部分を指す。また、復元部68は、撹拌部材29の回転軸を含む水平面よりも上方に配置されている。
【0103】
よって、撹拌部材29が矢印G方向に回転することで撹拌シート29bの自由端側(トナー収容室16bの内壁側)の先端が変形部67を通過した後に、撹拌シート29bのトナー収容室16bの内壁との当接が開放される。すると、撹拌シート29bは、変形部67によって変形していた状態から開放されて、撹拌シート29bの弾性復元力によって自然状態(元の形状)へと復元する。
【0104】
撹拌シート29bの復元方向(矢印J方向)への形状変化によって、撹拌シート29b上に担持されて搬送されていたトナーは、現像室連通口16cへ向けて重力に反して搬送される。なお、現像室連通口16cは、復元部68よりも撹拌部材29の回転方向下流側に位置する。
【0105】
<収容室連通口の位置関係>
次に、現像ユニット6における収容室連通口44の位置関係について、
図1(a)、
図9を用いて詳細に説明する。
【0106】
図9(a~d)は、本発明の実施例の現像ユニット内のトナーの搬送状態を示す概念図である。本実施例の構成において、トナーは、
図9(a)~(d)の順に搬送される。
【0107】
また、
図1(a)に示すように、回転軸線方向X1に沿ってみたとき、撹拌部材29の回転中心X0と現像室連通口16cにおける撹拌部材29の回転方向Gの下流側の端部16c1(下流側端部)を(仮想)直線Hで結ぶとすることができる。直線Hを基準としたとき、本実施例では、復元部68は、現像室連通口16cが存在する他方側(H1)に設けられている。
【0108】
また、
図9(a)に示すように、撹拌部材29が回転し、撹拌シート29bによって搬送される前のトナーT1の密度は「疎な状態」である。一方、
図9(b)に示すように、撹拌部材29が回転したとき、トナーT2はトナー収容室16bの壁面と撹拌シート29bに挟まれることで、トナー(の密度)は「密な状態」になる。
【0109】
収容室連通口44を、直線Hを基準としたときに現像室連通口16cが存在する他方側(H1)の点P位置よりも下方に設けた場合について検討する。
【0110】
この場合、
図9(b)に示すように、撹拌部材29が回転したとき、撹拌シート29bに搬送された密なトナーT2は、
図9(a)に示すような、疎なトナーT1よりもトナー収容室16bの壁面にかかる圧力が高い。このため、トナー収容室16bから収容室連通口44を通って、補給するトナーの受入搬送路42へ逆流し、トナーが詰まることでトナーカートリッジからのトナー供給不良が発生する可能性がある。
【0111】
また、収容室連通口44を、直線Hを基準としたときに現像室連通口16cが存在する他方側(H1)の点P位置よりも上方に設けた場合について検討する。
【0112】
この場合、
図9(d)に示すように、現像室連通口16cへ向けて(矢印I方向)重力に反して搬送されたトナーが、トナー収容室16bから収容室連通口44を通って、補給するトナーの受入搬送路42へ逆流する可能性がある。このため、トナーが詰まりやすくなりトナーカートリッジからのトナー供給不良が発生する可能性がある。
【0113】
よって、本実施例では、収容室連通口44は、直線Hを基準としたとき、現像室連通口16c存在しない一方側(H2)、かつ、隔壁66より下方に設けられる。これにより、撹拌部材29が回転し、撹拌シート29bが変形部67を通過した後に、開放された撹拌シート29b上に担持されて搬送されていたトナーは、現像室連通口16cへ向けて重力に反して搬送される。このため、直線Hを基準としたときの一方側(H2)に設けられた収容室連通口44へのトナー搬送(逆流)を抑制することができる。
【0114】
本発明の構成を以下のように纏めることができる。
【0115】
(1)本発明の現像装置(6)は、
現像剤を担持する現像剤担持体(11)が収容される現像室(16a)と、使用時の姿勢における現像室の下方に位置し現像剤を収容する現像剤収容室(16b)と、現像室と現像剤収容室を連通する連通口(16c)と、を備える、現像枠体(16)と、
現像剤収容室(16b)に設けられ、現像剤収容室に収容される現像剤を現像室へ搬送する搬送部材(29)と、を有する。
【0116】
なお、搬送部材29は、回転可能な回転軸部(29a)と、回転軸部に一端(29b1)が固定され他端(29b2)が自由端となり弾性変形可能なシート部(29b)と、を備える。
【0117】
現像装置(6)は、
現像剤収容室(16b)に設けられ、回転軸部(29a)の回転動作に伴って回転するシート部(29b)の自由端(29b2)と当接することにより、該シート部を撓ませて弾性変形させる変形部(67)と、
回転軸部(29a)の回転方向(G)において、連通口(16c)より上流側かつ変形部(67)より下流側の位置で現像剤収容室(16b)に設けられる復元部(68)と、を更に有する。
【0118】
なお、復元部(68)は、変形部(67)によって弾性変形された状態のシート部(29b)を解放して復元させることによりシート部(29b)に担持された現像剤を連通口(16c)へ向けて飛翔させるように構成されている。
【0119】
また、現像剤収容室(16b)には、外部から現像剤収容室へ現像剤を補給するための補給口(44)が設けられており、
使用時の姿勢において、回転軸部(29a)の回転軸線方向(X1)に沿ってみた場合、回転軸部の回転中心(X0)と、回転軸部の回転方向(G)における連通口(16c)の下流側端部(16c1)と、を直線(H)で結んだとき、
連通口(16c)と補給口(44)とは、直線(H)を挟んで互い異なる側(H1、H2)に配置されており、
復元部(68)は、補給口(44)が存在する一方側(H2)に設けられず、連通口(16c)が存在する他方側(H1)に設けられている。
【0120】
(2)本発明の現像装置では、
使用時の姿勢において、補給口(44)の少なくとも一部を、回転軸部(29a)の回転中心(X0)よりも下方に位置するようにしてもよい。
【0121】
(3)本発明の現像装置では、
使用時の姿勢において、補給口(44)の最も高い位置(P11)を、復元部(68)の最も低い位置(P21)よりも下方に位置するようにしてもよい。なお、本発明では、復元部(68)の最も低い位置は、回転する際にシート部(29b)の自由端(29b2)が復元部(68)を構成する現像枠体の内壁面と接触する状態から離間する状態へ変化し始まる位置である。
【0122】
(4)本発明の現像装置では、
使用時の姿勢において、補給口(44)の最も高い位置(P11)を、変形部(67)の最も高い位置(P31)よりも下方に位置するようにしてもよい。なお、変形部(67)の最も高い位置は、変形部(67)を構成する現像枠体の内壁面のうち、回転軸部(29a)の回転中心X0までの距離が最も短くなる位置である。
【0123】
(5)本発明の現像装置では、
使用時の姿勢において、補給口(44)の最も高い位置(P11)を、未使用の状態における現像剤収容室(16b)に収容される現像剤の剤面(LV)よりも上方に位置するようにしてもよい。
【0124】
(6)本発明の現像装置では、
現像枠体(16)は、現像室(16a)と現像剤収容室(16b)を仕切る仕切部(66)を備え、前記仕切部(66)は、第1仕切部(66A)と、第1の仕切部よりも上流側に位置する第2仕切部(66B)と、を備えてもよい。
【0125】
また、使用時の姿勢において、第2仕切部(66B)を、第1仕切部(66A)よりも、水平方向(W)に対して傾斜角(66B1)が大きく(66B1>66A1)設定し、連通口(16c)を、第2仕切部(66B)に設けてもよい。
【0126】
(7)本発明の現像装置では、
使用時の姿勢において、回転軸部(29a)の回転軸線方向(X1)に沿ってみた場合、第2仕切部(66B)の最も下方となる下端(66B2)の位置を通過する垂線(G1)を基準とすることができる。
【0127】
この場合、補給口(44)を、垂線に対して、連通口(16c)が存在する側(G11)とは異なる側(G12)に位置するようにしてもよい。
【0128】
(8)本発明の現像装置では、
現像室(16a)に、現像剤担持体(11)と当接し、該現像剤担持体へ現像剤を供給する供給部材(17)を備えてもよい。
【0129】
(9)本発明の現像装置では、
現像剤は、一成分の非磁性現像剤であってもよい。
【0130】
(10)本発明の現像装置では、
現像装置(6)を、画像を形成する画像形成装置(100)に対して着脱可能とするようにしてもよい。
【0131】
(11)本発明のプロセスカートリッジ(1)は、
現像剤像を担持する像担持体(7)と、
前記現像装置(6)と、を備え、画像形成装置(100)に対して着脱可能である。
【0132】
(12)本発明のプロセスカートリッジでは、
像担持体(7)から現像剤像が転写された後の、像担持体に残留する現像剤を現像剤担持体(11)が回収するようにしてもよい。
【0133】
(13)本発明の画像形成装置は、
前記現像装置(6)、もしくは、前記プロセスカートリッジ(1)、のうちの少なくとも一つと、
転写部材(20)と、を備える。
【符号の説明】
【0134】
6 現像ユニット(現像装置)
11 現像ローラ(現像剤担持体)
16 現像枠体
16a 現像室
16b トナー収容室(現像剤収容室)
16c 現像室連通口(連通口)
16c1 下流側端部
29 撹拌部材(搬送部材)
29a 回転軸(回転軸部)
29b 攪拌シート(シート部)
29b1 一端(固定端)
29b2 他端(自由端)
44 収容室連通口(補給口)
67 変形部
68 復元部
G 回転方向
H (仮想)直線
H1 他方側(連通口が存在する側)
H2 一方側(補給口が存在する側)
X0 回転中心
X1 回転軸線方向