(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】撮像装置及びカメラ
(51)【国際特許分類】
H04N 25/70 20230101AFI20240129BHJP
H04N 25/40 20230101ALI20240129BHJP
H04N 23/54 20230101ALI20240129BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20240129BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
H04N25/70
H04N25/40
H04N23/54
H04N23/50
H01L27/146 A
H01L27/146 D
(21)【出願番号】P 2019187965
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】觸澤 綾子
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-285709(JP,A)
【文献】特開2006-278877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/70
H04N 25/40
H04N 23/54
H04N 23/50
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、前記基体の上に配された、主にシリコンで構成されたチップと、前記基体と前記チップとの間に配され、前記基体と前記チップとを接着する接着剤と、を備える撮像装置であって、
前記チップの有効画素領域には、
複数の有効画素が配列されており
、
前記接着剤は前記基体と前記チップとの間に配された、第1部分と第2部分と第3部分と第4部分と、を含み
、画素行およ
び画素列
の一方が並ぶ方向において、前記第1部分および前記第2部分は前記第3部分と前記第4部分との間に位置しており、
前記第1部分は前記方向において前記第2部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分と前記第2部分との間、前記第2部分と前記第3部分との間、前記第1部分と前記第4部分との間には空隙が設けられており、前記第1部分および前記第2部分は前記有効画素領域と前記基体との間に位置しており、
前記第1部分と前記第2部分との間における前記接着剤の間隔Ga(m)
、前記第2部分と前記第3部分との間における前記接着剤の間隔をGb(m)、前記第1部分と前記第4部分との間における前記接着剤の間隔をGc(m)として、
前記接着剤は、前記方向に沿って延在し、前記方向における長さがGa+Gb+Gcを超える第5部分を含み、
前記第1部分と前記第2部分との間の空隙は前記チップの側面に面する空間に連通することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1部分、前記第2部分、前記第3部分、前記第4部分のそれぞれは、前記第5部分と連続的に構成されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記接着剤の間隔Ga(m)は、前記第1部分と前記第2部分との間の空隙を介した前記基体と前記チップとの間の距離よりも大きいことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記チップの有効画素領域には、A個の前記画素行および前記画素列の前記一方と、C個の前記画素行および前記画素列の他方と、に渡ってC×A個の有効画素が配列されており、前記チップからは1秒間にそれぞれがC×A個の画素からなるせいぜいB枚の画像を取得することが可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画素行および前記画素列の前記一方は前記画素行であり、C×A個の有効画素の画素信号が前記画素行毎に読み出されることを特徴とする請求項
4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記接着剤の間隔Ga(m)は、Ga≦423/(A×B)を満たすことを特徴とする請求項
4に記載の撮像装置。
【請求項7】
基体と、前記基体の上に配された、主にシリコンで構成されたチップと、前記基体と前記チップとの間に配され、前記基体と前記チップとを接着する接着剤と、を備える撮像装置であって、
前記チップの有効画素領域には、A個の画素行および画素列の一方と、C個の画素行および画素列の他方と、に渡ってC×A個の有効画素が配列されており、前記チップからは1秒間にそれぞれがC×A個の画素からなるせいぜいB枚の画像を取得することが可能であり、
前記接着剤は前記基体と前記チップとの間に配された、第1部分と第2部分と第3部分と第4部分と、を含み、前記画素行および前記画素列の前記一方が並ぶ方向において、前記第1部分および前記第2部分は前記第3部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分は前記方向において前記第2部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分と前記第2部分との間、前記第2部分と前記第3部分との間、前記第1部分と前記第4部分との間には空隙が設けられており、前記第1部分および前記第2部分は前記有効画素領域と前記基体との間に位置しており、
前記第1部分と前記第2部分との間における前記接着剤の間隔Ga(m)は、前記第1部分と前記第2部分との間の空隙を介した前記基体と前記チップとの間の距離よりも大きく、
前記接着剤の間隔Ga(m)は、Ga≦423/(A×B)を満たすことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
前記接着剤の間隔Ga(m)は、Ga≦255/(A×B)を満たすことを特徴とする請求項
6または7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記接着剤の間隔Ga(m)は、Ga≦132/(A×B)を満たすことを特徴とする請求項
6乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
基体と、前記基体の上に配された、主にシリコンで構成されたチップと、前記基体と前記チップとの間に配され、前記基体と前記チップとを接着する接着剤と、を備える撮像装置であって、
前記チップの有効画素領域には、A個の画素行および画素列の一方と、C個の画素行および画素列の他方と、に渡ってC×A個の有効画素が配列されており、前記チップからは1秒間にそれぞれがC×A個の画素からなるせいぜいB枚の画像を取得することが可能であり、
前記接着剤は前記基体と前記チップとの間に配された、第1部分と第2部分と第3部分と第4部分と、を含み、前記画素行および前記画素列の前記一方が並ぶ方向において、前記第1部分および前記第2部分は前記第3部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分は前記方向において前記第2部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分と前記第2部分との間、前記第2部分と前記第3部分との間、前記第1部分と前記第4部分との間には空隙が設けられており、前記第1部分および前記第2部分は前記有効画素領域と前記基体との間に位置しており、
前記第1部分と前記第2部分との間における前記接着剤の間隔Ga(m)は、前記第1部分と前記第2部分との間の空隙を介した前記基体と前記チップとの間の距離よりも大きく、
前記第2部分と前記第3部分との間における前記接着剤の間隔Gb(m)は、Gb>423/(A×B)を満たすことを特徴とす
る撮像装置。
【請求項11】
基体と、前記基体の上に配された、主にシリコンで構成されたチップと、前記基体と前記チップとの間に配され、前記基体と前記チップとを接着する接着剤と、を備える撮像装置であって、
前記チップの有効画素領域には、複数の有効画素が配列されており、
前記接着剤は前記基体と前記チップとの間に配された、第1部分と第2部分と第3部分と第4部分と、を含み、画素行および画素列の一方が並ぶ方向において、前記第1部分および前記第2部分は前記第3部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分は前記方向において前記第2部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分と前記第2部分との間、前記第2部分と前記第3部分との間、前記第1部分と前記第4部分との間には空隙が設けられており、前記第1部分および前記第2部分は前記有効画素領域と前記基体との間に位置しており、
前記第1部分と前記第2部分との間における前記接着剤の間隔Ga(m)は、前記第1部分と前記第2部分との間の空隙を介した前記基体と前記チップとの間の距離よりも大きく、
前記第2部分と前記第3部分との間における前記接着剤の間隔をGb(m)として、
前記第1部分と前記第4部分との間の距離をD(m)として、D≦Ga+Gbを満たすことを特徴とす
る撮像装置。
【請求項12】
前記接着剤は前記第1部分と前記第4部分との間に位置する第
6部分を含み、前記第
6部分と前記第1部分との間、および前記第4部分と前記第1部分との間には空隙が設けられており、前記第4部分および前記第
6部分は前記有効画素領域と前記基体との間に位置していることを特徴とする請求項1乃至
11のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記チップの有効画素領域には、A個の前記画素行および前記画素列の前記一方と、C個の前記画素行および前記画素列の他方と、に渡ってC×A個の有効画素が配列されており、前記チップからは1秒間にそれぞれがC×A個の画素からなるせいぜいB枚の画像を取得することが可能であり、
前記接着剤の間隔Gc(m)は、Gc≦423/(A×B)を満たし、前記第4部分と前記第
6部分との間における前記接着剤の間隔Gd(m)は、Gd≦423/(A×B)を満たすことを特徴とする請求項
12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記方向における前記第1部分の幅および前記方向における前記第2部分の幅は間隔Gaより小さいことを特徴とする請求項1乃至
13のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項15】
基体と、前記基体の上に配された、主にシリコンで構成されたチップと、前記基体と前記チップとの間に配され、前記基体と前記チップとを接着する接着剤と、を備える撮像装置であって、
前記チップの有効画素領域には、複数の有効画素が配列されており、
前記接着剤は前記基体と前記チップとの間に配された、第1部分と第2部分と第3部分と第4部分と、を含み、画素行および画素列の一方が並ぶ方向において、前記第1部分および前記第2部分は前記第3部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分は前記方向において前記第2部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分と前記第2部分との間、前記第2部分と前記第3部分との間、前記第1部分と前記第4部分との間には空隙が設けられており、前記第1部分および前記第2部分は前記有効画素領域と前記基体との間に位置しており、
前記第1部分と前記第2部分との間における前記接着剤の間隔Ga(m)は、前記第1部分と前記第2部分との間の空隙を介した前記基体と前記チップとの間の距離よりも大きく、
前記チップは第1遮光画素領域を有し、前記第3部分は前記第1遮光画素領域と前記基体との間に位置していることを特徴とす
る撮像装置。
【請求項16】
前記第2部分と前記第3部分との間における前記接着剤の間隔をGb(m)、前記第1部分と前記第4部分との間における前記接着剤の間隔をGc(m)として、
前記接着剤は、前記方向に沿って延在し、前記方向における長さがGa+Gb+Gcを超える第5部分を含むことを特徴とする請求項7乃至請求項15のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記チップは第2遮光画素領域を有し、前記第
5部分は前記第2遮光画素領域と前記基体との間に位置していることを特徴とする請求項
16に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記接着剤は前記チップの全ての遮光画素と前記基体との間に位置していることを特徴とする請求項1乃至
17のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項19】
基体と、前記基体の上に配された、主にシリコンで構成されたチップと、前記基体と前記チップとの間に配され、前記基体と前記チップとを接着する接着剤と、を備える撮像装置であって、
前記チップの有効画素領域には、複数の有効画素が配列されており、
前記接着剤は前記基体と前記チップとの間に配された、第1部分と第2部分と第3部分と第4部分と、を含み、画素行および画素列の一方が並ぶ方向において、前記第1部分および前記第2部分は前記第3部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分は前記方向において前記第2部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分と前記第2部分との間、前記第2部分と前記第3部分との間、前記第1部分と前記第4部分との間には空隙が設けられており、前記第1部分および前記第2部分は前記有効画素領域と前記基体との間に位置しており、
前記第1部分と前記第2部分との間における前記接着剤の間隔Ga(m)は、前記第1部分と前記第2部分との間の空隙を介した前記基体と前記チップとの間の距離よりも大きく、
前記チップは各々が全ての前記画素列のいずれかに対応した複数の電流源を有し、前記接着剤は前記複数の電流源の
少なくとも1つと前記基体との間に位置していることを特徴とす
る撮像装置。
【請求項20】
前記複数の電流源は第1群の電流源と第2群の電流源とからなり、前記第1群の電流源と前記第2群の電流源との間に前記有効画素領域が位置しており、前記第3部分は前記第1群の電流源と前記基体との間に位置しており、前記第4部分は前記第2群の電流源と前記基体との間に位置していることを特徴とする請求項
19に記載の撮像装置。
【請求項21】
前記複数の電流源は第1群の電流源と第2群の電流源とからなり、前記第1群の電流源と前記第2群の電流源との間に前記有効画素領域が位置しており、前記第2部分は前記第1群の電流源と前記基体との間に位置しており、前記第1部分は前記第2群の電流源と前記基体との間に位置していることを特徴とする請求項
19に記載の撮像装置。
【請求項22】
前記チップの有効画素領域には、A個の前記画素行および前記画素列の前記一方と、C個の前記画素行および前記画素列の他方と、に渡ってC×A個の有効画素が配列されており、
前記有効画素領域の或る画素行と別の画素行との間にA-2個の画素行が配されており、前記第3部分は前記或る画素行と前記基体との間に位置し、前記第4部分は前記別の画素行と前記基体との間に位置することを特徴とする請求項1乃至
21のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項23】
前記方向における前記第3部分の幅は前記方向における前記第4部分の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至
22のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項24】
前記接着剤の間隔Ga(m)は、Ga>90/(A×B)を満たすことを特徴とする請求項
4乃至
23のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項25】
前記チップは光が入射する面である第1面と、前記第1面とは反対側の第2面を含み、前記第2面が前記基体と向かい合っており、
前記接着剤は、前記第2面と前記基体との間に配されていることを特徴とする請求項1乃至
24のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項26】
前記第1部分は前記方向において前記第2部分と前記第4部分との間に位置していることを特徴とする請求項7乃至25のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項27】
前記第1部分と前記第2部分との間の空隙は前記チップの側面に面する空間に連通することを特徴とする請求項7乃至26のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項28】
請求項1乃至
26のいずれか1項に記載の撮像装置と、
前記チップを移動させるアクチュエータ、レンズを移動させるアクチュエータ、およびフォーカルプレーンシャッタの少なくとも1つを動作させる機械装置と、を備えたカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮像装置及びカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラに代表されるカメラでの撮影において、撮像チップでの露光終了後、チップ内にある画素で光電変換された画像信号を読み出している時に、機械装置の動作(例えばフォーカルプレーンシャッタの動作)に伴い振動が発生しうる。この振動が固体撮像素子内部でノイズを発生し、出力される画像信号にノイズを重畳させるという問題が生じる。
【0003】
特許文献1には、振動に起因するノイズを出力される画像信号に重畳させず、良好な画像信号を出力することができる撮像装置を提供する技術が開示されている。具体的には、可動部材の動作が振動を発生する動作である場合に画素からの画像信号の読み出しを停止させるよう制御し、画像信号に振動に起因するノイズが重畳されないようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では可動部材が振動を発生する動作をしている間は画像信号を読み出すことができず、フレームレート(1秒間に読み出す画像数)に制限があった。
【0006】
そこで本技術は、光電変換された画像信号に、振動が与える影響を低減する上で有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段は、基体と、前記基体の上に配された、主にシリコンで構成されたチップと、前記基体と前記チップとの間に配され、前記基体と前記チップとを接着する接着剤と、を備える撮像装置であって、前記チップの有効画素領域には、A個の画素行および画素列の一方と、C個の画素行および画素列の他方と、に渡ってC×A個の有効画素が配列されており、前記チップからは1秒間にそれぞれがC×A個の画素からなるせいぜいB枚の画像を取得することが可能であり、前記接着剤は前記基体と前記チップとの間に配された、第1部分と第2部分と第3部分と第4部分と、を含み、前記画素行および前記画素列の前記一方が並ぶ方向において、前記第1部分および前記第2部分は前記第3部分と前記第4部分との間に位置しており、前記第1部分と前記第2部分との間、前記第2部分と前記第3部分との間、前記第1部分と前記第4部分との間には空隙が設けられており、前記第1部分および前記第2部分は前記有効画素領域と前記基体との間に位置しており、前記第1部分と前記第2部分との間における前記接着剤の間隔Ga(m)は、前記第1部分と前記第2部分との間の空隙を介した前記基体と前記チップとの間の距離よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光電変換された画像信号に、振動が与える影響を低減する上で有利な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成については適宜説明を省略する。
【0011】
本発明の実施形態として、撮像装置100の一例を説明する。
【0012】
図1は本実施形態の撮像装置100を表から見たときの平面模式図である。
図1(b)は
図1(a)におけるB部の拡大図であり、
図1(c)は
図1(a)におけるC部の拡大図である。
【0013】
図2は本実施形態実施形態の撮像装置100の断面模式図である。
図2(a)は
図1(a)のA―A’線における本実施形態の撮像装置100の断面図であり、
図2(b)は
図1(a)のB―B’線における本実施形態の撮像装置100の断面図である。各図にはX方向、Y方向、Z方向を示している。
【0014】
撮像装置100は主にシリコンで構成された撮像チップ10、チップ10が接着された基体20、チップ10を基体20に接着する接着剤30、透光性部材40で構成される。
【0015】
撮像装置100を構成する部材の位置関係は、XY平面をもとに説明することができる。XY平面に垂直な方向がZ方向である。チップ10の表面101とチップ10の裏面102はXY平面に平行である。また、典型的な例として、透光性部材40の外面401および透光性部材40の内面402はXY平面に平行である。表面101は内面402に対向し、裏面102は基体20に対向し、裏面102は基体20に接着されている。
【0016】
チップ10を接着する基体20には2段の凹部21a、21bが設けられる。チップ10は下段の凹部21a内中央領域の少なくとも一部に配置され、チップ10は基体20に接着される。典型的には、チップ10は、
図1、
図2に示す様に、基体20の配置領域とチップ10の裏面102との間に配された接着剤30を介して接着される。接着剤30は導電性であってもよいし絶縁性であってもよい。また、接着剤30は高い熱伝導性を有することが好ましく、金属粒子を含有するものを用いることもできる。
【0017】
また、本実施形態では主にシリコンで構成されたチップ10の線膨張係数(およそ3ppm/℃)と、基体20の線膨張係数(セラミックの場合およそ7ppm/℃)とに差がある。そのため、チップ10の反りを抑制するためには、接着剤30としてゴム弾性を有するものを選択することが好適である。具体的にはシリコーン樹脂が好ましく、その弾性率は1MPa~100MPaである。特にチップ10のXY方向の平面サイズが大きい場合に効果的であり、APS-C以上のサイズのチップ10に対して高い効果を示す。
【0018】
基体20は透光性部材40で封止される。これは、チップ10を機械的な衝撃や酸素等による劣化から保護するためである。チップ10は基体20の下段の凹部21a内に固定され、透光性部材40は基体20を封止することにより、
図2に示すように透光性部材40は内部空間39を介してチップ10に対向する。チップ10の側面に面する空間38は内部空間39に連通している。
【0019】
図1に示すようにチップ10は画素部1と周辺部2を有している。画素部1はチップ10の中央に位置し、周辺部2はその周辺に位置する。チップ10は限定されないが、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどが挙げられる。画素部1はチップ10での露光終了後、光電変換された画像信号を生成する光電変換素子を含む画素から成る。チップ10の透光性部材40との対向面である表面101が光入射面となる。この光入射面は、受光面を有する半導体基板に設けられた多層膜の最表層によって構成することができる。
【0020】
チップ10の画素部1には画素行と画素列に渡って複数の画素が配列されている。1つの画素行においてはX方向(行方向)に画素が並ぶ。1つの画素列においてはY方向(列方向)に画素が並ぶ。複数の画素列がX方向に並び、複数の画素行がY方向に並ぶ。そのため、複数の画素列が行方向に並び、複数の画素行が列方向に並ぶことになる。
【0021】
図2(c)は本実施形態のチップ10の画素部1における断面模式図である。多層膜は、マイクロレンズ層1001、カラーフィルタ層1002、遮光層1003などの光学的な機能を有する層、金属配線層1004、層間絶縁膜層1005などを含む。
【0022】
図1(c)のC部拡大詳細図に示すように、チップ10の画素部1を構成する画素には画像を構成するための有効画素1006から成る有効画素領域9と、
図2(c)に示す遮光層1003により遮光されることによって暗時の基準電圧を規定する遮光画素1007が設けられた遮光画素領域8が設けられる。また、
図1(a)と
図1(c)のC部拡大詳細図に示すように、遮光画素領域8は有効画素領域9の外方のX方向(行方向)とY方向(列方向)においてそれぞれ隣接して設けられる。遮光画素領域8は、Y方向において有効画素領域9に隣接する第1遮光画素領域と、X方向において有効画素領域9に隣接する第2遮光画素領域と、を含みうる。第1遮光画素領域の遮光画素は、有効画素領域9においてY方向に並ぶ複数の有効画素を含む画素列に含まれる。第2遮光画素領域は、有効画素領域9においてX方向に並ぶ複数の有効画素を含む画素行に含まれる遮光画素を含む。
【0023】
ここで、チップ10の有効画素領域9内の画素行における画素数をC個、チップ10の有効画素領域9内の画素列における画素数をA個とする。チップ10の有効画素領域9内にはC個の画素列が存在し、チップ10の有効画素領域9内にはA個の画素行が存在することになる。そして、有効画素領域9内にはC×A個の画素が存在することになる。C×A個の具体的な値は、撮像装置を搭載したカメラのカタログや取扱説明書、仕様書に有効画素数として記載されることが典型的である。ここでは、C×A個の画素がC個の画素列とA個の画素行とで構成される例を説明したが、C×A個の画素がA個の画素列とC個の画素行とで構成されてもよい。つまり、有効画素領域9には、A個の画素行および画素列の一方と、C個の画素行および画素列の他方と、に渡ってC×A個の有効画素が配列されていればよい。本例では、C×A個の有効画素の画素信号が画素行毎に読み出されるが、C×A個の有効画素の画素信号が画素列毎に読み出されてもよい。典型的には、A個の画素行とC個の画素列に関して、A<Cである。例えば1<C/A<2であり、1.3<C/A<1.8である。C×A個の画素数からなる画像数は、撮像装置を搭載したカメラのカタログや取扱説明書、仕様書に、例えばラージ(L)サイズ画像の記録画素数として記載されることが典型的である。C×Aの典型的な値は100万個から10億個であり、例えば1000万個から1億個である。Aの典型的な値は1000個から30000個であり、例えば2000個から10000個である。例えばC×Aは5400×3600で1944万画素(約20メガピクセル)である。この場合C/A=1.5である。
【0024】
チップ10からC×A個の画素からなる画像を1秒間に取得できる最大枚数をB枚と定義する。換言すると、チップ10からは1秒間にそれぞれがC×A個の画素からなるせいぜいB枚の画像を取得することが可能である。B枚の画像のそれぞれがC×A個の画素からなることは、B≧2であることを意味する。そして、チップ10からは1秒間にそれぞれがC×A個の画素からなるせいぜいB+1枚の画像を取得することは不可能である。B枚の具体的な値は、撮像装置を搭載したカメラのカタログや取扱説明書、仕様書に連続撮影速度としてBコマ/秒のような表現で記載されることが典型的である。例えば、上述した1944万画素の画像を最大で毎秒20枚撮影できる場合、A=3600、B=20となる。B枚の画像を出力する際の撮影モードは静止画撮影モードでもよいし、動画撮影モードであってもよい。ただし、最大枚数であるB枚の画素の全部がC×A個の画素からなる画像である必要がある。例えば、有効画素領域9のC×A個の画素のうちの一部の画素を選択的に出力したクロップ画像は、C×A個の画素からなる画像ではないので、B枚の画像としてカウントされる対象でない。つまり、撮像装置がC×A個の画素よりも少ない画素からなる画像を1秒間にB枚を超える枚数で出力できたとしても、以降の検討におけるAやBに適用することは適切ではない。例えば、5400×3600個の画素を有しながら、1920×1080個の画素のみを用いて毎秒240枚の画像を得られる撮像装置を検討する場合、A=1080、B=240として検討することは適切ではない。
【0025】
図1(a)には接着剤30とチップ10(画素部1)とのX、Y方向における位置関係を示している。
図2には接着剤30とチップ10(画素部1)とのZ方向における位置関係を示している。なお、
図1(a)において、接着剤30と有効画素領域9との重なりを、接着剤30のハッチングを有効画素領域9のハッチングに重ねることで表現している。なお、後述するように、接着剤30と遮光画素領域8とが重なりうるし、接着剤30と電流源7とが重なりうる。しかし、図面の視認性を確保するために、接着剤30のハッチングは、遮光画素領域8または電流源7のハッチングに重ねていない。
【0026】
接着剤30は基体20とチップ10との間に配された、第1部分31と第2部分32と第3部分33と第4部分34とを含む。画素行が並ぶ方向(Y方向)において第1部分31と第2部分32は第3部分33と第4部分34との間に位置している。第1部分31と第2部分32との間、第2部分32と第3部分33との間、第1部分31と第4部分34との間には空隙37が設けられている。
図2(c)に示す様に、空隙37は基体20とチップ10との間に配されている。
【0027】
第1部分31と第2部分32との間の空隙37を介した基体20とチップ10との間の距離をGgとする。距離Ggは接着剤30の厚さとほぼ等しい。第1部分31と第2部分32は有効画素領域9と基体20の間に位置している。第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔をGaとする。間隔Gaは、距離Ggよりも大きい。典型的な距離Ggの範囲の下限は、1μmであり、5μmであり、5μmであり、10μmである。典型的な距離Ggの範囲の上限は、1000μmであり、100μmであり、50μmであり、30μmである。典型的な間隔Gaの下限は、1μmであり、10μmであり、100μmであり、1000μmである。典型的な間隔Gaの上限は、100μmであり、1000μmであり、10mmであり、50mmである。例えば、距離Ggは1~5100μmであり、距離Gaは100μm~10mmである。以下の説明では、第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔に限らず、接着剤30の複数の部分の間の空隙37を介した間隔(Ga,Gb,Gc等)は距離Ggよりも大きいものとする。
【0028】
Y方向において接着剤30を少なくとも4分割し、そのうちの内側の2つの部分(第1部分31と第2部分32)をともに有効画素領域9と基体20との間に配置することで、有効画素領域9を基体20に固定し、有効画素領域9におけるチップ10の局所的な変形を効果的に抑制することができる。これにより、光電変換された画像信号に、振動が与える影響を低減することができる。なお、チップ10の裏面102の全体と基体20との間に接着剤30を配置したり、有効画素領域9の全体と基体20との間に接着剤30を配置したりするでも、振動の影響を低減することができる。しかしながら、チップ10と基体20との間の固定領域の面積が大きくなることによって、チップ10と基体20との間の応力が増大し、この応力に基づく影響が生じうる。本実施形態の様に、有効画素領域9と基体20の間に、空隙37と、第1部分31と、第2部分32と、を設けることで、振動の影響と、応力の影響をともに低減することができる。また、空隙37を設けることにより、接着剤30の使用量を低減することができるため、コストダウンを図る上でも有利である。
【0029】
第2部分32と第3部分33との間における接着剤30の間隔をGbとする。第1部分31と第4部分34との間における接着剤30の間隔をGcとする。第1部分31と第4部分34との間の距離をDとする。本例では、第1部分31と第4部分34との間に接着剤30が存在しないため、D=Gcとなりうるが、第1部分31と第4部分34との間に接着剤30が存在すれば、D>Gcとなりうる。第4部分34は、第1部分31に対して、第2部分32や第3部分33とは反対側に位置する。第4部分34は第3部分33ほど第1部分31から離れておらず、D≦Ga+Gbを満たしうる。Y方向における第1部分31の幅およびY方向における第2部分32の幅は間隔Gaより小さいことが好ましい。Y方向における第2部分32の幅およびY方向における第3部分33の幅は間隔Gbより小さいことが好ましい。Y方向における第1部分31の幅およびY方向における第4部分34の幅は間隔Gcより小さいことが好ましい。
【0030】
第3部分33は、有効画素領域9と基体20の間に位置しうる。特に、第3部分33は、有効画素領域9の下端の画素行(或る画素行)と基体20との間に位置しうる。第4部分34は、有効画素領域9の上端の画素行(別の画素行)と基体20の間に位置しうる。ここで、有効画素領域9にはA個の画素行が設けられているため、下端の画素行(或る画素行)と上端の画素行(別の画素行)との間には、A-2個の画素行が配されていることになる。
【0031】
第3部分33の少なくとも一部は遮光画素領域8(第1遮光画素領域)と基体20との間に位置している。接着剤30は、Y方向に沿って延在し、Y方向における長さがGa+Gb+Gcを超える第6部分36を含みうる。第6部分36の少なくとも一部は遮光画素領域8(第2遮光画素領域)と基体20との間に位置している。接着剤30はチップ10の全ての遮光画素と基体20との間に位置しうる。本例では四辺形状の有効画素領域9のうちの互いに隣接する2辺に隣接して、L字型の遮光画素領域を設けているが、これに限らない。例えば、四辺形状の有効画素領域9のうちの、互いに対向する2辺に隣接して遮光画素領域を設けてもよいし。あるいは、四辺形状の有効画素領域9のうちの、3辺に隣接して遮光画素領域を設けてもよいし、四辺形状の有効画素領域9のうちの、4辺に隣接して遮光画素領域を設けてもよい。
図1(a)に示す様に、接着剤30は、有効画素領域9の左辺に沿って延在する第6部分36を有するものの、有効画素領域9の右辺に沿って延在する部分を有しない。そのため、空隙37は、チップ10の側面に面する空間38に連通している。このように、接着剤30がチップ10と基体20との間の空隙37を閉空間としないことで、空隙37に存在する気体の膨張によるチップ10の変形を抑制できる。
【0032】
チップ10の周辺部2には、画素部1を駆動するための駆動回路、画素部1からの画像信号を読み出す回路、画素部1への信号を処理する信号処理回路が設けられる。
図1(b)のB部拡大詳細図に示す様に、周辺部2にはチップ10と外部との信号の通信を行うための電極3(電極パッド)が設けられる。
【0033】
チップ10は各々が全ての画素列のいずれかに対応した複数の電流源を有する。複数の電流源は、周辺部2に含まれる。接着剤30は複数の電流源の全てと基体20との間に位置していることが好ましい。本例では、複数の電流源は第1群の電流源7aと第2群の電流源7bとからなる。第1群の電流源7aと第2群の電流源7bとの間に有効画素領域9が位置している。接着剤30の第3部分33の一部は第1群の電流源7aと基体20との間に位置している。接着剤30の第4部分34の一部は第2群の電流源7bと基体20との間に位置している。
【0034】
第3部分33は、基体20と、有効画素領域9、遮光画素領域8および電流源7の少なくともいずれかと、の間に位置すればよいが、基体20と、有効画素領域9、遮光画素領域8および電流源の全てと、の間に位置することが好ましい。そのためには、Y方向における第3部分33の幅を、Y方向における接着剤30の他の部分(第1部分31、第2部分32、第4部分34)の幅よりも大きくすることが有効である。
【0035】
ここでは、有効画素領域9と基体20との間において、接着剤30をY方向に4分割したが、N分割(N≧4)であればよい。例えば5分割として、第1部分31と第4部分34との間に、さらに有効画素領域9と基体20との間に位置する接着剤30を配置してもよい。また、チップ10と基体20との間において接着剤30をY方向に4分割したが、M分割(M≧4)であればよい。例えば、6分割として、第3部分33に対して第2部分32とは反対側(下側)と、第4部分34に対して第1部分31とは反対側(上側)とに、周辺部2と基体20との間を接着する接着剤30を配置してもよい。
【0036】
図1(b)のB部拡大詳細図と
図2に示すように、基体20は、基体20の上段の凹部21bの内底面における下段の凹部21aの周部に形成された内部端子4と、基体20の外側の面201に形成された外部端子6とを有する。複数の内部端子4は並んで内部端子群を構成している。
【0037】
本実施形態では、
図1(b)のB部拡大詳細図に示すように、X方向、Y方向に沿って列状に並んだ複数個の内部端子4からなる内部端子群が、チップ10を囲む様に配されている。このような内部端子4の配置に限らず、X方向のみ、あるいはY方向のみに沿って列状に並んだ内部端子群を配することもできる。
【0038】
また、チップ10の電極3と基体20の内部端子4は、接続導体5を介して電気的に接続されている。このため、チップ10での露光終了後、チップ10内にある画素で光電変換された画像信号は、電極3、接続導体5、内部端子4の順に通って、基体20内部の不図示の内部配線を経て外部端子6と電気的に接続されている。接続導体5は金属線からなる。主には金線、アルミ線、銅線等が使用される。接続は公知のワイヤーボンダーを使用した超音波熱圧着によるものが典型的である。
【0039】
チップ10の構成について
図3、
図4を参照して説明する。
図3(a)は、チップ10が有する画素2001の構成例を示す図である。
図4(a)、(b)はチップ10の周辺回路の構成例を示す図である。
図4においては、説明の便宜上、2行×2列分の画素2001、及び画素信号を読み出すための信号出力線2002と、チップ10の周辺部2に対応する画像信号の読み出し回路を示している。
【0040】
画素2001の各々は、
図3に示すように、フォトダイオード(PD)2101、転送トランジスタ(tx)2102、リセットトランジスタ(tres)2103、増幅トランジスタ(tsf)2104、及び選択トランジスタ(tsel)2105を有する。転送トランジスタ2102、リセットトランジスタ2103、増幅トランジスタ2104、及び選択トランジスタ2105は、例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタが用いられる。
【0041】
光信号電荷を発生するフォトダイオード2101は、アノード側が接地されている。フォトダイオード2101のカソード側は、転送トランジスタ2102を介して、フローティングディフュージョン(Cfd)2106及び増幅トランジスタ2104のゲートに接続されている。また、フローティングディフュージョン2106及び増幅トランジスタ2104のゲートには、フローティングディフュージョン2106をリセットするためのリセットトランジスタ2103のソースが接続されている。リセットトランジスタ2103のドレインは、電源電圧VDDに接続されている。増幅トランジスタ2104は、ドレインが電源電圧VDDに接続され、ソースが選択トランジスタ2105のドレインに接続されている。
【0042】
転送トランジスタ2102は、ゲート端子に信号ptxが供給され、フォトダイオード2101の信号をフローティングディフュージョン2106及び増幅トランジスタ2104のゲートに転送する。リセットトランジスタ2103は、ゲート端子に信号presが供給され、フローティングディフュージョン2106及びフォトダイオード2101をリセットする。選択トランジスタ2105は、ゲート端子に信号pselが供給され、信号を端子outから出力する。
【0043】
図3(a)に示す端子outは、
図3(b)に示す信号出力線2002に接続されている。増幅トランジスタ2104は、選択トランジスタ2105を介して信号出力線2002により、電流源にある電流源負荷トランジスタ2003とソースフォロワ回路を構成するように接続されている。電流源負荷トランジスタ2003は例えばMOSトランジスタが用いられる。また、
図4に示すように、各画素2001には、行毎に信号pres、信号ptx、及び信号pselが垂直走査回路(VSR)2020から供給されており、画像信号は画素行毎に読み出される。各画像信号は、電流源負荷トランジスタ2003が接続された信号出力線2002を介して、列回路内の容量2004に入力される。オペアンプ2005は、帰還容量2006及び容量2004により反転増幅アンプを構成する。不図示のアナログスイッチによって帰還容量2006の両端をショートすることにより、容量2004、帰還容量2006のリセット及び後段の保持容量(cts)2009、保持容量(ctn)2010のリセットを行う。
【0044】
オペアンプ2005の出力は、制御パルスpts、ptnにより駆動されるアナログスイッチ2007、2008を介してそれぞれ保持容量(cts)2009、保持容量(ctn)2010に保持される。ここで、画素2001のフローティングディフュージョン2106をリセット解除した直後の信号は保持容量(ctn)2010に保持されうる。その後フォトダイオード2101からの信号をフローティングディフュージョン2106に転送した直後の信号は保持容量(cts)2009に保持されうる。保持容量(ctn)2010に保持された信号を画像ノイズ信号といい、保持容量(cts)2009に保持された信号を画像シグナル信号という。画像ノイズ信号は各画素2001の基準信号として、各画素2001の特性バラつきを抑えた画像を構築する為に用いられる。つまり、1行分の画素信号を読み出す際には、各画素2001の画像ノイズ信号と画像シグナル信号をそれぞれ読み出している。
【0045】
1行分の画素信号が列毎に保持容量(cts)2009、保持容量(ctn)2010に保持されると、水平走査回路(HSR)2030に入力される信号φphによりパルスが順次駆動されることで、アナログスイッチ2011、2012が列毎に順次開閉される。アナログスイッチ2011、2012が列毎に開閉されることで、保持容量(cts)2009、保持容量(ctn)2010に保持された信号が、列毎に後段の差動型読み出しアンプ2013に入力され外部に出力される。
【0046】
図4(a)に示すように、1行目の画素2001aの端子outは信号出力線2002aに接続されている。ここで、画素2001aの増幅トランジスタ2104は信号出力線2002aにより、電流源にある電流源負荷トランジスタ2003aとソースフォロワ回路を構成するように接続されている。また、2行目の画素2001bの端子outは信号出力線2002bに接続し、画素2001bの増幅トランジスタ2104は信号出力線2002bにより、電流源にある電流源負荷トランジスタ2003bとソースフォロワ回路を構成するように接続されている。各画像信号は、電流源負荷トランジスタ2003a、2003bが接続された信号出力線2002a、2002bを介して、列回路内の容量2004a、2004bにそれぞれ入力される。このように、電流源群を、画素2001を挟んで上下2つに分け、例えば奇数行の画素と偶数行の画素でそれぞれ設けてもよい。
【0047】
図5は、本発明の撮像装置100が搭載されるカメラ3000の構成例を示すブロック図である。撮像装置100の透光性部材の外面401直前にはチップ10を露光させるためのフォーカルプレーンシャッタ3001が配置され、その前には絞り3003と撮影レンズA3004、フォーカスレンズ3010、撮影レンズB3005が配置されている。このほか、レンズ内での手ブレ補正(防振)のために、補正レンズを移動させる補正レンズアクチュエータを備えうる。フォーカスレンズ3010にはフォーカスレンズ3010を保持するための保持枠3009が嵌挿されている。フォーカスレンズ3010はスッピングモーターを含むフォーカスレンズアクチュエータによって移動させられる。ステッピングモーターとして周知の超音波モーター3002の回動をダイレクトに伝えるフォーカスキー3006が、保持枠3009にビス等で取り付けられたピント調節ブロック3007に嵌入している。カメラ3000は、カメラ3000のボディ内での手ブレ補正(防振)のために、チップ10を移動させるチップアクチュエータを備えうる。チップ10を移動させるアクチュエータ(不図示)は撮像装置100を移動させうる。
【0048】
カメラ3000での特に連写撮影において、チップ10での露光終了後、チップ10内にある画素2001で光電変換された画像信号を読み出している時に、機械装置の動作に伴い振動が発生する。機械装置の動作とは、例えばフォーカルプレーンシャッタ3001やフォーカスレンズ3010、レンズアクチュエータ、チップアクチュエータを動作させるモーターの動作でありうる。
【0049】
この振動がチップ10の画像信号に及ぼす影響を説明する。
【0050】
チップ10の
図4における増幅トランジスタ2104と
図3(b)における電流源にある電流源負荷トランジスタ2003は例えばNMOSトランジスタである。
図3(b)に示すように、電流源負荷トランジスタ2003は電圧源(VREF)に接続されたトランジスタ2014とそれぞれカレントミラー回路を構成するように接続されている。電圧源(VREF)に接続されたトランジスタ2014は、電流源負荷トランジスタ2003がNMOSトランジスタならばNMOSトランジスタである。電流源負荷トランジスタ2003と電圧源(VREF)に接続されたトランジスタ2014は実質的に同じ特性をもっており、それにより電圧源(VREF)に流れる電流Iaと電流源負荷トランジスタ2003に流れる電流Ibは同じ大きさになる。また
図4(a)で示すように、電流源を2つに分けた場合には、電流源負荷トランジスタ2003a、2003bは電圧源(VREF)に接続されたトランジスタ2014とそれぞれカレントミラー回路を構成するように接続されている。それにより、電圧源(VREF)に流れる電流Iaと電流源負荷トランジスタ2003a、2003bに流れるそれぞれ流れる電流Ib、Icは同じ大きさになる。
【0051】
トランジスタに加わる応力とオン電流に相関がある。この現象は、プラスの応力が掛かると電荷移動度が上がることでトランジスタのオン電流は増加し、一方、マイナスの応力がかかると電荷移動度が下がることでオン電流は減少することによる。例えば、-1000MPaの応力ではオン電流は0.62mA/μmであり、例えば、0MPaの応力ではオン電流は0.65mA/μmであり、例えば、+1000MPaの応力ではオン電流は0.68mA/μmである。
【0052】
図3(b)は、オン電流と画素信号の関係を説明するために、
図4(a)の一部と
図4(b)の一部を抜粋し、画素信号とオン電流の関係性を示した図である。
【0053】
トランジスタ2014と電流源負荷トランジスタ2003のうちの一方のみにプラスの応力がかかると、電圧源(VREF)に接続されたトランジスタ2014と電流源負荷トランジスタ2003のオン電流の特性が異なりうる。例えば電流源負荷トランジスタ2003のみにプラスの応力が加わると、電圧源(VREF)に接続されたトランジスタ2014に流れる電流Iaに比べて電流源負荷トランジスタ2003に流れる電流Ibは大きくなる。電流源負荷トランジスタ2003に流れる電流Ibが大きくなると、電流源負荷トランジスタ2003と接続されることでソースフォロワ回路を構成するように接続された増幅トランジスタ2104において、Vgsが増加する。この結果として、列回路内の容量2004に入力される画素信号は、電流源負荷トランジスタ2003にプラスの応力がかからなかった場合と比べて小さくなりうる。またその逆により、電流源負荷トランジスタ2003のみマイナスの応力がかかると列回路内の容量2004に入力される画素信号は、電流源負荷トランジスタ2003にマイナスの応力がかからなかった場合と比べて大きくなる。以上の現象は
図4(b)で示す電流源を2つに分けた場合の電流源負荷トランジスタ2003a、2003bでも同様に起こる。
【0054】
一方、増幅トランジスタ2104のみプラスの応力がかかると、増幅トランジスタ2104に流れる電流Ibは大きくなる。すると、Vgsが減少し、結果として、列回路内の容量2004に入力される画素信号は、増幅トランジスタ2104にプラスの応力がかからなかった場合と比べて大きくなる。またその逆により、増幅トランジスタ2104のみマイナスの応力がかかると、列回路内の容量2004に入力される画素信号は、増幅トランジスタ2104にマイナスの応力がかからなかった場合と比べて小さくなりうる。
【0055】
前述したように、1行分の画素信号を読み出す際には、各画素2001の画像ノイズ信号と画像シグナル信号をそれぞれ読み出しており、画像ノイズ信号は各画素の基準信号として、各画素の特性バラつきを抑えた画像を構築する為に用いられる。このように、画像信号は画像ノイズ信号と画像シグナル信号から構築されている。ここで、カメラ3000の機械装置の動作に伴う振動のタイミングと画像ノイズ信号と画像シグナル信号をそれぞれ読み出すタイミングが重ならない場合における画像信号を「振動なし画像信号」と称する。また、カメラ3000の機械装置の動作に伴う振動のタイミングと、画像ノイズ信号および画像シグナル信号をそれぞれ読み出すタイミングが重なる場合における画像信号を「振動あり画像信号」と称する。振動あり画像信号と振動なし画像信号に、差があればあるほど、出力される画像信号に重畳されるノイズが無視できなくなる。
【0056】
つまり、カメラ3000の機械装置の動作に伴う振動によりチップ10に応力がかかり、その応力が画像信号に影響を及ぼす。また、電流源負荷トランジスタ2003と増幅トランジスタ2104がPMOSトランジスタや、バイポーラトランジスタであってもカメラ3000の機械装置の動作に伴う振動が結果として画像信号に影響を及ぼす。そのため、電流源負荷トランジスタ2003と増幅トランジスタ2104がPMOSトランジスタや、バイポーラトランジスタであってもよい。
【0057】
本実施形態の撮像装置100は、振動を発生する機械装置を有するカメラ3000にチップ10を搭載する場合に、機械装置から発生した振動が光電変換された画像信号に与える影響を小さく抑えることを実現しうる。
【0058】
図6(a)は、カメラ3000内で機械装置の動作による振動が発生した状態でカメラ3000が出力した画像を模式的に示している。なお、この画像は暗闇で撮影したものであり、ノイズ成分以外のパターンは無いものとする。カララ3000によって、
図6(a)の内で実線に示すように縦4800画素×横6000画素(A=4600、B=6000に相当)の画像を得る。この画像を、水平方向に500画素分、垂直方向に1600画素分で1つの領域を構成するように複数の領域に分割し、各領域において画素値をウェーブレット変換により数値化を行う。このとき、ウェーブレット変換諸元として、マザーウェーブレットはメキシカンハット、スケールパラメータは10とする。各領域においてウェーブレット変換により数値化された値の最大値を各領域におけるノイズの大きさとした。ウェーブレット変換により数値化された値が大きければ大きいほど各領域におけるノイズは大きいことを示す。
【0059】
図6(a)で示される画像の各領域における数値化されたノイズの値を
図6(b)に示す。本実施形態では領域4において数値化されたノイズの値が最大であった。このように各領域においてウェーブレット変換により数値化されたノイズの値のうち最大のものを
図6(a)で示す暗闇での画像のノイズの値とする。
【0060】
図7(a)、
図7(b)、
図7(c)は、同一のチップ10が同一の基体20に同一の接着剤30により接着されているときの、3種類の接着パターンで接着された撮像装置100a、100b、100cを示す。
【0061】
図7(a)に示す撮像装置100aにおいて、接着剤30は基体20とチップ10との間に配された第1部分31と、第2部分32と、第3部分33とを含む。画素行が並ぶ方向において第2部分32は第1部分31と第3部分33との間に位置している。第1部分31と第2部分32との間、第2部分32と第3部分33との間には空隙37が設けられている。第1部分31は有効画素領域9と基体20の間に位置している。第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔をGa1とする。この接着パターンをパターンAとする。
【0062】
図7(b)に示す撮像装置100bにおいて、接着剤30は基体20とチップ10との間に配された第1部分31と、第2部分32と、第3部分33と、第4部分34とを含む。画素行が並ぶ方向(Y方向)において第1部分31と第2部分32は第3部分33と第4部分34との間に位置している。第1部分31と第2部分32との間、第2部分32と第3部分33との間、第1部分31と第4部分34との間には空隙37が設けられている。第1部分31と第2部分32は有効画素領域9と基体20の間に位置している。第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔をGa2とする。この接着パターンをパターンBとする。
【0063】
図7(c)に示す撮像装置100cにおいて、接着剤30は基体20とチップ10との間に配された第1部分31と、第2部分32と、第3部分33と、第4部分34と、第5部分35とを含む。画素行が並ぶ方向において、第1部分31と第2部分32と第5部分35は第3部分33と第4部分34との間に位置しており、第5部分35は第1部分31と第4部分34との間に位置している。画素行が並ぶ方向において、第2部分32は第1部分31と第3部分33との間に位置し、第1部分31は第5部分35と第2部分32との間に位置している。第1部分31と第2部分32との間、第2部分32と第3部分33との間、第1部分31と第5部分35との間、第5部分35と第4部分34との間には空隙37が設けられている。第1部分31と第2部分32と第5部分35は有効画素領域9と基体20の間に位置している。第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔をGa3とする。この接着パターンをパターンCとする。
【0064】
図8は撮像装置の評価結果を示す。この評価では、
図7(a)~
図7(c)で示される3種類の接着パターンで接着された撮像装置を、
図5で示されるようなカメラ3000に搭載したものをそれぞれ5サンプル用意している。そして、3種類×5サンプル=15サンプルにおいて暗闇での画像をそれぞれ100枚撮影する。
図8では、カメラ3000が出力した暗闇での画像の数値化されたノイズのそれぞれの種類における中央値を左の縦軸にとっている。また
図8では、それぞれの種類における第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔Ga(m)を横軸にとっている。
【0065】
カメラ3000の出力した暗闇での画像の数値化されたノイズの中央値がα以下の接着パターンは、
図7(b)のパターンBと、
図7(c)のパターンCであった。ここでαとは本実施形態のカメラ3000において、数値化されたノイズの中央値における許容臨界値である。
【0066】
また、
図8で示されるように、それぞれの接着パターンにおけるノイズを数値化した値(中央値)をy(
図8の縦軸)とすると、第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔Ga(m)は(式1)で示される式で近似される。
【0067】
y=0.7027×e
83.05Ga・・・(式1)
(式1)は
図8内にて実線であらわされる。第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔Ga(m)が短くなると、ノイズの中央値yが小さくなることから、チップ10の画像信号に影響を及ぼしにくくなることがわかる。これは、第1部分31と第2部分32との間に設けられた空隙37の範囲においてチップ10の固有振動数f(Hz)が大きくなることに起因する。
【0068】
一方、チップ10の1秒間当たりの最大画像信号読み出し回数F(Hz)が増加すると、カメラ3000の機械装置の動作に伴う振動の発生タイミングと画像信号読み出しのタイミングが重なり易くなり、チップ10の画像信号に影響を及ぼし易くなる。
【0069】
そこで、チップ10の固有振動数f(Hz)と、チップ10の1秒間当たりの最大画像信号読み出し回数F(Hz)との関係性の中でチップ10の画像信号に影響を及ぼしにくくなる関係式を導き出す。
【0070】
チップ10の固有振動数f(Hz)は、第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔をGa(m)、チップ10のヤング率をE(N/m2)、チップ10の密度をρ(kg/m3)とすると(式2)で示される。
【0071】
【0072】
λは境界条件と振動モードによって決まる無次元の定数で、本実施形態のように境界条件が両端固定の場合、且つ、1次モードの場合はλ=πとなる。ここでは最少単位の1次モードのみについて述べる。また、チップ10はシリコンからなるので、E=190000(N/m2)、ρ=2330(kg/m3)となり、(式2)は(式3)で示される。
【0073】
【0074】
ここで、C×Aの画素からなる画像を1枚だけ読み出すには、画素行(あるいは画素列)毎にA回の画像信号を読みだす必要がある。C×Aの画素からなる画像を1秒間にB枚だけ読み出すには、A×B回の画像信号を読み出す必要がある。そうすると、本実施形態におけるチップ10の1秒間当たりの最大画像信号読み出し回数F(Hz)は(式4)で近似される。
F=A×B・・・(式4)
【0075】
チップ10の1秒間当たりの最大画像信号読み出し回数F(Hz)とチップ10の固有振動数f(Hz)とが比例関係(f∝F)である。第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔Ga(m)の関係は(式3)と(式4)により(式5)で示される。
【0076】
【0077】
ここで、y’は変数である。(式5)をy’=の形へ変形させると(式6)で示される。
【0078】
【0079】
第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔Ga(m)を横軸に、変数y’を右縦軸にして(式6)を
図8に当てはめると点線で示される。
【0080】
数値化されたノイズの中央値における許容最大値αの時の(式1)における第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔Ga(m)はβ(m)であり、この時の(式6)はy’=94となる。つまり、y’の最大値は94となり、y’≦94の範囲内において、カメラ3000の機械装置の動作に伴う振動によるチップ10の画像信号に及ぼす影響を小さくできる。
【0081】
以上より、チップ10の画像信号への振動の影響を小さくできる撮像装置とは、第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔Ga(m)は(式6)とy’=94より423/(A×B)以下の値となる(Ga≦423/(A×B)を満たす)撮像装置である。振動の影響をより小さくするためには、接着剤30の間隔Ga(m)は、Ga≦255/(A×B)を満たすことが好ましい。振動の影響をさらに小さくするためには、接着剤30の間隔Ga(m)は、Ga≦132/(A×B)を満たすことが好ましい。間隔Ga(m)を極端に小さくすると、接着剤30の幅が大きくなり、チップ10と基体20との固定面積が大きくなり、チップ10と基体20との間の応力が大きくなり、振動の影響とは別の問題が生じうる。間隔Ga(m)は、Ga>90/(A×B)を満たすことが好ましい。接着剤30の間隔Ga(m)がGa>90/(A×B)を満たすことで、チップ10と基体20との間の応力を小さくできる。
【0082】
A=3600、B=20における例を示す。Ga≦423/(A×B)を満たすと、Ga≦5.8×10-3(m)であり、接着剤30の間隙は5.8mm以下であることが好ましいと云える。Ga≦255/(A×B)を満たすと、Ga≦3.5×10-3(m)であり、接着剤30の間隙は3.5mm以下であることが好ましいと云える。Ga≦132/(A×B)を満たすと、Ga≦1.8×10-3(m)であり、接着剤30の間隙は1.8mm以下であることが好ましいと云える。Ga>90/(A×B)を満たすと、Ga>1.25×10-3(m)であり、接着剤の間隙は1.25mmよりも大きいことが好ましいと云える。
【0083】
また、接着剤30は基体20とチップ10との間に配された第1部分31と、第2部分32と、第3部分33と、第4部分34とを含み、画素列が並ぶ方向において第1部分31と第2部分32は第3部分33と第4部分34との間に位置しており、第1部分31と第2部分32との間、第2部分32と第3部分33との間、第1部分31と第4部分34との間には空隙37が設けられており、第1部分31と第2部分32は有効画素領域9と基体20の間に位置してもよい。また、接着剤30は基体20とチップ10との間に配された第1部分31と、第2部分32と、第3部分33と、第4部分34と、第5部分35とを含み、画素列が並ぶ方向において第1部分31と第2部分32と第5部分35は第3部分33と第4部分34との間に位置しており、第5部分35は第1部分31と第4部分34との間に位置し、第2部分32は第1部分31と第3部分33との間に位置し、第1部分31は第5部分35と第2部分32との間に位置し、第1部分31と第2部分32との間、第2部分32と第3部分33との間、第1部分31と第5部分35との間、第5部分35と第4部分34との間には空隙37が設けられており、第1部分31と第2部分32と第5部分35は有効画素領域9と基体20の間に位置してもよい。
【0084】
また、第1部分31と第2部分32との間に設けられた空隙37の長さは1.5(mm)より大きい。長さ1.5(mm)以下の空隙37を実現しようとしても、チップ10を基体20に接着する際に、チップ10の側面に面する空間38に連通していない空隙37ができてしまう。チップ10の側面に面する空間38に連通していない空隙37があると、基体20に接着剤30を塗布し、チップ10を接着させ、その後、接着剤30を硬化させる際の熱によって、チップ10の側面に面する空間38に連通していない空隙37内の空気が暖められ、膨張し、結果としてチップ10を傾けさせてしまう。
図5に示すように、チップ10の前には撮影レンズA3004、フォーカスレンズ3010、撮影レンズB3005があり、チップ10と撮影レンズA3004、フォーカスレンズ3010、撮影レンズB3005の位置関係が崩れると、チップ10上での結像が変化してしまう。つまり、空隙37をチップ10の側面に面する空間38に連通させるために、空隙37の長さは1.5(mm)より大きくなる。
【0085】
(式6)において第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔が1.5(mm)のとき、y’=20となる。よって、第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔Gaは(式6)とy’=20より90/(A×B)より大きい値となる。また、
図1(a)における画素行が並ぶ方向における第1部分31の幅および第2部分32の幅は、間隔Gaより小さくすることでチップ10の側面に面する空間38に連通していない空隙37をできにくくできる。
【0086】
また、パターンBに対応する
図1(a)、および、パターンCに対応する
図9(a)における、第2部分32と第3部分33との間における接着剤30の間隔Gbにおいても、Gb≦423/(A×B)を満たすことで、カメラ3000の機械装置の動作に伴う振動によるチップ10の画像信号に及ぼす影響を小さくできる。
【0087】
また、パターンBに対応する
図1(a)、および、パターンCに対応する
図9(a)における、第1部分31と第4部分34との間における接着剤30の間隔Dは、第1部分31と第2部分32との間における接着剤30の間隔Gaと、第2部分32と第3部分33との間における接着剤30の間隔Gbを足し合わせた長さより大きくならないようにすることが望ましい。
【0088】
また、パターンBに対応する
図1(a)、パターンCに対応する
図9(a)における、第1部分31と第4部分34との間における接着剤の間隔Gcにおいても、Gc≦423/(A×B)を満たす。パターンCに対応する
図9(a)における、第4部分34と第5部分35との間における接着剤の間隔Gdにおいても、Gd≦423/(A×B)を満たすことで、カメラ3000の機械装置の動作に伴う振動によるチップ10の画像信号に及ぼす影響を小さくできる。
【0089】
また、
図1(c)のC部拡大詳細図に示すように、チップ10の画素部1の外周には、
図2(c)に示す遮光層1003により遮光されることによって、暗時の基準電圧を規定する遮光画素1007が設けられた遮光画素領域8が設けられる。
図2(c)に示すように、有効画素1006上部のマイクロレンズ層1001から入射した斜め光の一部は、チップ10の裏面102の直下に接着剤30の代わりに空気層があると、チップ10の裏面102で反射し隣接する画素2001のフォトダイオード2101で光電変換を引き起こす。遮光画素領域8においても同様の現象が起きると意図しない光電変換が引き起こされ、暗時の基準電圧を規定するという目的にそぐわない。
【0090】
そこで、黒色の接着剤30が遮光画素領域8と基体20の間に位置することで、有効画素1006上部のマイクロレンズから入射した斜め光を接着剤30に吸収させ、意図しない光電変換を引き起こしにくくする。
【0091】
図1に示すように、遮光画素領域8は有効画素領域9の外方のX方向(行方向)とY方向(列方向)にそれぞれ設けられる。したがって、Y方向(列方向)に設けられた遮光画素領域8と基体20の間に位置する第6部分36に接着剤30を設け、また、X方向(行方向)に設けられた遮光画素領域8と基体20の間に位置する第3部分33に接着剤30を設けることで、遮光画素領域8での意図しない光電変換を引き起こしにくくできる。
【0092】
また前述したように、カメラ3000の機械装置の動作に伴う振動により電流源負荷トランジスタ2003に応力がかかり、その応力が画像信号に影響を及ぼす。したがって、電流源負荷トランジスタ2003が配置される全ての電流源と基体20の間に接着剤30が設けられることが望ましい。
【0093】
図1(c)のC部拡大詳細図は、チップ10の詳細構造の一部を書き加えた図である。電流源負荷トランジスタ2003が配置される電流源群7a、7bは
図1(a)と
図1(c)のC部拡大詳細図に示すように、チップ10の画素部1のX方向(行方向)の周囲に設けられ、一般的に幅1mm以下と狭い範囲に設けられる。一般的に、接着剤30は幅2mm以上10mm以下でチップ10と基体20の間に設けられるので、全ての電流源群7a、7bと基体20の間に接着剤30を設けることによる閉空間の空隙37はできない。したがって、全ての電流源群7a、7bと基体20の間に接着剤30を設けることができ、このことによりカメラ3000の機械装置の動作に伴う振動による画像信号の影響を小さくできる。
【0094】
図1(a)、
図1(c)内の電流源群7a、7bの電流源は、
図4(a)の電流源負荷トランジスタ2003a、2003bが配置される電流源に対応する。電流源群7aと電流源群7bの間には有効画素領域9が位置しており、電流源7aと基体20の間に位置する第3部分33に接着剤30を設けることが望ましく、電流源7bと基体20の間に位置する第4部分34に接着剤30を設けることが望ましい。また、
図4(b)に示すように電流源群は1つであってもよく、この場合は1つの電流源群と基体20の間に接着剤30を設けることで、カメラ3000の機械装置の動作に伴う振動による画像信号の影響を小さくできる。
【0095】
また、チップ10が、画素部1と周辺部2がそれぞれ別のチップに設けられ、それらのチップを積層したものである場合、
図9(b)に示すように、電流源群7aと基体20の間に位置する第2部分32に接着剤30を設けることが望ましく、電流源群7bと基体20の間に位置する第1部分31に接着剤30を設けることが望ましい。
【0096】
また、前述したように、第3部分33は遮光画素領域8と基体20の間に位置し、更に電流源7aと基体20の間に位置し、第4部分34は電流源7bと基体20の間に位置する。
図1(c)のC部拡大詳細図に示すように、遮光画素領域8の幅は一般的に1.5mm以下であり、電流源群7aは一般的に幅1mm以下である。また、遮光画素領域8と電流源群7aの離間距離は一般的に1mm以下であるので、第3部分33の幅は一般的に3.5mm以下となる。接着剤30は幅2mm以上10mm以下でチップ10と基体20の間に設けることができるので、全ての遮光画素領域8と基体20の間と、全ての電流源群7aと基体20の間に位置する第3部分33に接着剤30を設けることによる閉空間の空隙37はできない。また、第4部分34は電流源7bと基体20の間のみに位置しているので第3部分33の方が第4部分34より幅が大きくなる。
【0097】
また、有効画素領域9にある増幅トランジスタ2104をなるべくカメラ3000の機械装置の動作に伴う振動の影響を受けないように基体に接着することが必要であるので、有効画素領域9内の画素行における画素数をAとすると、1行目の画素行と基体20の間に位置する第3部分33に接着剤30を設けることが望ましく、A行目の画素行と基体20の間に位置する第4部分34に接着剤30を設けることが望ましい。
【0098】
図9(c)に示すように、基体20には凹部21a、21bを設けず、基体20の周囲に枠60を設け、透光性部材40は枠60を介して基体20に固定されてもよい。また、基体20はセラミック基板でもプリント基板であってもよい。また、枠60は樹脂から成るものでも金属から成るものでもよい。また、透光性部材40は無くてもよい。
【0099】
以上、説明した実施形態は、本発明の思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。なお、本明細書の開示内容は、本明細書に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。また本明細書の開示内容は、本明細書に記載した概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBである」旨の記載があれば、「AはBではない」旨の記載を省略しても、本明細書は「AはBではない」旨を開示していると云える。なぜなら、「AはBである」旨を記載している場合には、「AはBではない」場合を考慮していることが前提だからである。
【符号の説明】
【0100】
10 チップ
9 有効画素領域
20 基体
30 接着剤
100 撮像装置