(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-26
(45)【発行日】2024-02-05
(54)【発明の名称】フレックス回路遠位アセンブリを有するカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240129BHJP
【FI】
A61B18/14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019229104
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-10-27
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・エイ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ギドリ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-075365(JP,A)
【文献】特開2018-043005(JP,A)
【文献】特開2016-093502(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0161795(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的カテーテルであって、
細長いカテーテルシャフトと、
長手方向軸を画定する遠位アセンブリであって、
前記長手方向軸に沿って延在する概ね円筒形の形態で構成されたフレックス回路であって、遠位縁部分及び近位縁部分を含む、フレックス回路と、
遠位周面を有する遠位部材と、近位周面を有する近位部材と、前記遠位部材と前記近位部材との間に延在するポストとを有する支持部材であって、前記ポストが、前記円筒形の形態を通って長手方向に延在し、前記遠位周面が、前記フレックス回路の前記遠位縁部分を支持し、前記近位周面が、前記フレックス回路の前記近位縁部分を支持する、支持部材と、を有する、遠位アセンブリと、を備え
、
前記ポストが、流体チャネルを画定する側壁を含み、前記側壁が、前記流体チャネルと連通する1つ又は2つ以上の灌注孔を有する、電気生理学的カテーテル。
【請求項2】
前記フレックス回路が、遠位部分及び近位部分を含み、前記遠位部分が、概ね円形の部分を含み、前記近位部分が、概ね矩形の部分を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記
フレックス回路が、熱電対を含む、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記
フレックス回路が、電極を含む、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記フレックス回路が、1つ又は2つ以上の灌注孔を有する基板を含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記ポストが、半径方向に延在する隆起部分を含む、請求項
1に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記ポストが、前記フレックス回路の内側表面に接触する隆起部分を含む、請求項
1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記ポストが、前記ポストの周囲に円周方向に延在する隆起バンドを含む、請求項
1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記隆起バンドが、灌注孔を含む、請求項
8に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記遠位アセンブリが、前記フレックス回路と前記ポストとの間に1つ又は2つ以上の灌注チャンバを含む、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記フレックス回路と前記ポストとの間の間隙空間が、灌注チャンバを提供する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記フレックス回路と前記ポストとの間の間隙空間が、1つ又は2つ以上の灌注チャンバを提供する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
前記ポストは、隆起バンドを含み、前記隆起バンドは、前記隆起バンドが前記灌注チャンバを遠位チャンバ及び近位チャンバに分割するように、前記ポストの周囲に円周方向に延在している、請求項
12に記載のカテーテル。
【請求項14】
電気生理学的カテーテルであって、
細長いカテーテルシャフトと、
長手方向軸を画定する遠位アセンブリであって、
前記長手方向軸に沿って延在する概ね円筒形の形態で構成されたフレックス回路であって、遠位縁部分及び近位縁部分を含む、フレックス回路と、
遠位周面を有する遠位部材と、近位周面を有する近位部材と、前記遠位部材と前記近位部材との間に延在するポストとを有する支持部材であって、前記ポストが、前記円筒形の形態を通って長手方向に延在し、前記遠位周面が、前記フレックス回路の前記遠位縁部分を支持し、前記近位周面が、前記フレックス回路の前記近位縁部分を支持する、支持部材と、を有する、遠位アセンブリと、を備え、
前記フレックス回路と前記ポストとの間の間隙空間が、1つ又は2つ以上の灌注チャンバを提供し、
前記ポストは、隆起バンドを含み、前記隆起バンドは、前記隆起バンドが前記灌注チャンバを遠位チャンバ及び近位チャンバに分割するように、前記ポストの周囲に円周方向に延在している、
電気生理学的カテーテル。
【請求項15】
前記支持部材が、前記流体チャネル内に流れ方向付け器を含み、
前記流れ方向付け器は、前記支持部材に対して前記
流体チャネル内で長手方向に移動するように構成されている、請求項
1に記載のカテーテル。
【請求項16】
前記流れ方向付け器が、管腔を有する管材を含む、請求項15に記載のカテーテル。
【請求項17】
前記管材が、前記カテーテルシャフトから前記遠位アセンブリ内に延在する、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項18】
前記流れ方向付け器の前記管材の前記管腔内に回転運動を有する第2の流れ方向付け器を更に備える、請求項16に記載のカテーテル。
【請求項19】
前記支持部材の遠位にキャップを更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項20】
前記支持部材の遠位に先端電極を更に備える、請求項1に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、電気生理学的カテーテルに関し、特に、灌注アブレーションカテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心臓のアブレーションを含む医学的処置は、様々な心不整脈の治療、並びに心房細動の管理のために使用され得る。こうした処置は、当該技術分野では周知のものである。静脈瘤の治療など、体内組織のアブレーションを利用した他の医療処置も、当該技術分野では周知のものである。これらの処置におけるアブレーションエネルギーは、処置に使用されるカテーテルの1つ又は2つ以上の電極を介して供給される高周波(RF)エネルギーの形態であり得る。
【0003】
アブレーションエネルギーを体内組織に印加することは、制御されていない場合、組織の望ましくない温度上昇をもたらし得、特にアブレーション電極の一部が組織に埋め込まれている場合には、炭化、血栓症、及び他の合併症をもたらすことがある。したがって、アブレーションが関与するあらゆる医学的処置の最中に、組織の温度を制御することが重要である。制御のための1つの方法は、アブレーションされている組織に灌注することである。しかし、灌注には、カテーテルの近位端からその遠位端まで流体を送達する構成要素を必要とする。カテーテルの遠位端が約数ミリメートルの直径である場合、空間が、流体送達構成要素を実現する遠位端の設計及び構成に対する主な制約であることが多い。更に、遠位端が先端電極及びリング電極を有する場合、そのような流体送達構成要素は、流体通路を画定しなければならず、このような流体通路は、軸方向及び径方向の流れをもたらし得るが、最小空間を占有し得、力検知及び温度検知などの遠位端の他の機能態様の妨げを回避し得る。したがって、複数の部品及び構成要素を有するマイクロレベル上にカテーテル遠位先端を組み付けることは、労働集約的であり、費用がかかる場合がある。
【0004】
フレックス回路又はフレキシブル電子機器は、電子デバイスをポリイミド、液晶ポリマー(LCP)、PEEK又は透明な導電性ポリエステルフィルム(PET)などの可撓性のあるプラスチック製基板に取り付けることによって電子回路を組み付ける技術を伴う。回路又はトレースは、基板上にスクリーン印刷されてもよく、又はフォトリソグラフィ若しくは3D印刷技術によって適用されて、フレックス回路上に担持される超小型電子特徴の吸着を提供することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出願人らは、温度制御のために灌注しながらアブレーションするために使用することができるが、より容易に製造され組み付けられる、特に、複数の超小型電子特徴、例えば、診断及び治療処置において組織と接触するための電極及び熱電対を提供するフレックス回路を組み込む遠位アセンブリを有するカテーテルを提供する必要性があることを認識した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電気生理学的カテーテルは、量産で低コストの手法での製造及び組み付けを可能にするフレックス回路の使用を支持する構成を具現化しつつ、流体灌注及び温度を検知しながらアブレーションすることができる遠位アセンブリを有する。本構成の灌注アブレーション遠位アセンブリは容易に組み付けることができ、構造的に強固な構築物を提示する。フレックス回路はそのトレースと共に、必要に応じて又は適切に、複数の構成におけるアブレーション表面又は温度検知表面を提供することができる。更に、フレックス回路は、支持構造又は「ボビン」上に支持及び担持され、これは、遠位アセンブリ全体にわたる灌注流体の循環を可能にし、遠位アセンブリ内で所望の熱エネルギーレベルを維持するのを補助し、支持構造は、プラスチックを含む費用のかからない材料で製造することができ、これは、マイクロ注入成形で容易に構築することができる。フレックス回路及び支持構造の両方は、遠位アセンブリ及び周囲の組織及び体液を冷却する際に、灌注流体が遠位アセンブリに入り、遠位アセンブリから出ることを可能にする特徴を組み込む。1つ又は2つ以上の流れ方向付け器は、灌注流体を異なる灌注チャンバに選択的に、又は遠位アセンブリ内の異なる方向に方向付けるように、支持部材内で調節可能である。したがって、遠位アセンブリは、熱伝導素子及び調節可能な灌注流体送達による改善された熱制御及び冷却を提供する能力を有するフレックス回路及びアセンブリ構成を活用して、有効な熱伝達及び熱管理を提供し、有効なアブレーションを促進する一方で、患者の流体負荷を最小限に抑える。
【0007】
いくつかの実施形態では、電気生理学的カテーテルは、細長いカテーテルシャフトと、長手方向軸を画定する遠位アセンブリと、を含む。遠位アセンブリは、フレックス回路及び支持部材を含む。フレックス回路は、支持部材上に概ね円筒形の形態で構成され、その遠位縁部分及び近位縁部分は、遠位アセンブリに円周方向接触面及び内部灌注チャンバを提供する際に、支持部材に支持及び付着される。支持部材は、フレックス回路を支持し、灌注流体が遠位アセンブリ内に進入して循環することを可能にする、フレックス回路の円筒形の形態を通って長手方向に延在するポストを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、フレックス回路は、組織と接触するように構成された電気トレースを有する外側表面を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、フレックス回路は、遠位部分及び近位部分を含み、遠位部分は、概ね円形の部分を含み、近位部分は、概ね矩形の部分を含む。概ね円形の部分は、放射アーム部分を含んでもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、トレースは、熱電対を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、トレースは、電極を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、フレックス回路は、1つ又は2つ以上の灌注孔を有する基板を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、フレックス回路は、導電性の、熱的に、又はさもなければ、コーティング、メッキなどで完全に又は部分的に覆われた灌注開口を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、ポストは、流体チャネルを画定する側壁を含み、側壁は、流体チャネルと連通する1つ又は2つ以上の灌注孔を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、ポストは、1つ又は2つ以上の半径方向に延在する隆起部分を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、ポストは、フレックス回路の内側表面に接触する1つ又は2つ以上の隆起部分を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、ポストは、ポストの周囲に円周方向に延在する隆起バンドを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、隆起バンドは、1つ又は2つ以上の灌注孔を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリは、フレックス回路とポストとの間に1つ又は2つ以上の灌注チャンバを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、フレックス回路とポストとの間の間隙空間は、1つ又は2つ以上の灌注チャンバを提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、ポストは、隆起バンドを含み、隆起バンドは、隆起バンドが灌注チャンバを遠位チャンバ及び近位チャンバに分割するように、ポストの周囲に円周方向に延在している。
【0022】
いくつかの実施形態では、支持部材は、ポストの流体チャネル内に流れ方向付け器を含み、支持部材に対して流体チャネル内で長手方向に移動するように構成されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、流れ方向付け器は、管腔を有する管材を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、流れ方向付け器の管材は、カテーテルシャフトから遠位アセンブリ内に延在する。
【0025】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリは、支持部材の遠位にキャップを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリは、支持部材の遠位に先端電極を含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、先端電極は、ドーム形状を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、先端電極は、灌注孔を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、電気生理学的カテーテルは、細長いカテーテルシャフトと、長手方向軸を画定し、フレックス回路及び支持部材を有する遠位アセンブリと、を有する。フレックス回路は、支持部材上に概ね円筒形の形態で構成され、遠位縁部分及び近位縁部分及び第1の複数の灌注孔を有する。支持部材は、遠位周面を有する遠位部材と、近位周面を有する近位部材と、遠位部材及び近位部材の間に延在するポストも有する。ポストは、円筒形の形態を通って長手方向に延在し、遠位周面が、フレックス回路の遠位縁部分を支持し、近位周面が、フレックス回路の近位縁部分を支持する。ポストはまた、第2の複数の灌注孔を有するように構成された側壁によって囲まれた長手方向チャネルを有する。フレックス回路の内側表面及びポストの側壁は、第1及び第2の灌注孔と流体連通する1つ又は2つ以上の灌注チャンバを画定する。
【0030】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリは、長手方向チャネル内に第1の流れ方向付け器を含む。流れ方向付け器は、支持部材に対してチャネル内で長手方向に移動するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態では、流れ方向付け器は、管腔を有する管材を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリは、第1の流れ方向付け器の長手方向チャネル内に入れ子にされた第2の流れ方向付け器を含み、第1の流れ方向付け器に対してその軸を中心に回転移動可能である。
【0033】
いくつかの実施形態では、第1の流れ方向付け器は、複数の半径方向に灌注孔を有し、第2の流れ方向付け器は、第2の流れ方向付け器の回転位置に応じて、第1の流れ方向付け器の選択された灌注孔と位置合わせされ得る灌注形成物を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、ポストの側壁は、フレックス回路に接触するように構成された1つ又は2つ以上の隆起部分を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、ポストの隆起部分は、灌注チャンバを少なくとも2つの灌注チャンバに分割する。
【0036】
いくつかの実施形態では、隆起部分は、ポストの周囲に円周方向に延在する。
【0037】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリは、支持部材の遠位端に取り付けられた先端電極を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、フレックス回路は、遠位部分及び近位部分を含み、遠位部分は、放射アーム部分を有する概ね円形の部分を含み、近位部分は、概ね矩形の部分を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、電気生理学的カテーテルは、細長いカテーテルシャフトと、長手方向軸を画定し、フレックス回路及び支持部材を有する遠位アセンブリと、を有する。フレックス回路は、支持部材上に概ね円筒形の形態で構成され、遠位縁部分及び近位縁部分及び第1の複数の灌注孔を有する。支持部材は、遠位周面を有する遠位部材と、近位周面を有する近位部材と、遠位アセンブリを灌注するための手段と、を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、電気生理学的カテーテルの遠位アセンブリの冷却を制御するための方法は、遠位アセンブリの長手方向軸に沿った遠位アセンブリ内の管状流れ方向付け器の長手方向の移動を調節することを含む。遠位アセンブリは、フレックス回路及び支持部材を含み、フレックス回路は、支持部材上の長手方向軸に沿って概ね円筒形の形態で構成される。
【0041】
いくつかの実施形態では、電気生理学的カテーテルの遠位アブレーション部分を構築する方法は、内側表面と、電気トレースを備える外側表面とを有するフレックス回路を提供することと、遠位周面を有する遠位部材と、近位周面を有する近位部材と、遠位部材及び近位部材の間に延在する長手方向ポストと、を有する支持部材を提供することと、を含む。本方法はまた、支持部材の遠位周面に付着されたフレックス回路の遠位縁部分と、支持部材の近位周面に付着されたフレックス回路の近位縁部分とを用いて、フレックス回路を支持部材上に巻き付けることを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本方法は、先端電極を支持部材の遠位端上に取り付けることを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、先端電極は、第1のカプラを有し、支持部材の遠位端は、第2のカプラを有し、第1及び第2のカプラは互いに結合するように構成される。
【0044】
いくつかの実施形態では、ポストは、流体チャネルを有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、本方法は、流れ方向付け器をポストの流体チャネル内に挿入することを含み、この流れ方向付け器は、支持部材に対する流体チャネルの長手方向の移動を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、支持部材のポストは、フレックス回路の内側表面に接触するように構成された1つ又は2つ以上の隆起部分を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、フレックス回路の内側表面及びポストの少なくとも一部分は、灌注チャンバを画定する間隙空間によって分離される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明のこれらの特徴及び利点、並びに他の特徴及び利点は、添付図面と併せて考慮される場合に、以下の詳細な説明を参照することでより深い理解が得られるであろう。
【
図1A】実施形態による、カテーテルの上部平面図である。
【
図1B】
図1Aのカテーテルの遠位アセンブリの側面図である。
【
図2】実施形態による、カテーテルアブレーションシステムの概略的描写図である。
【
図3】実施形態による、遠位アセンブリの支持部材の斜視図である。
【
図4A】実施形態による、遠位アセンブリのフレックス回路の上部平面図である。
【
図4B】別の実施形態による、フレックス回路の上部平面図である。
【
図4C】遠位アセンブリ上に取り付けられた
図4Bのフレックス回路の斜視図である。
【
図5A】別の実施形態による、遠位アセンブリの支持部材及び先端電極の分解斜視図である。
【
図5B】組み付けられたときの、
図5Aの支持部材及び先端電極の側断面図である。
【
図6A】流れ方向付け器がより遠位の位置にある、
図5Bの支持部材及び先端電極の側断面図である。
【
図6B】流れ方向付け器がより近位の位置にある、
図5Bの支持部材及び先端電極の側断面図である。
【
図7】更に別の実施形態による、支持部材及び先端電極の側断面図である。
【
図8A】第2の流れ方向付け器が1つの半径方向位置にある、なお更なる実施形態による、支持部材、第1又は外側の流れ方向付け器、及び第2又は内側の流れ方向付け器の側断面図である。
【
図8B】第2の流れ方向付け器が別の半径方向位置にある、
図8Aの支持部材、第1又は外側の流れ方向付け器、及び第2又は内側の流れ方向付け器の側断面図である。
【
図9A】一実施形態による、ポストの隆起バンドの側断面図である。
【
図9B】別の実施形態による、ポストの隆起バンドの側断面図である。
【
図9C】更に別の実施形態による、ポストの隆起バンドの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも原寸に比例せず、所定の実施形態を示しており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。詳細な説明は、本発明の原理を限定ではなく一例として例証するものである。この説明により、当業者が本発明を作製し使用することが明確に可能になり、本発明を実施する最良の形態であると現時点において考えられるものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適用例、変形例、代替例、及び使用が説明される。
【0050】
本明細書で任意の数値や数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、適当な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指してもよい。更に、本明細書で使用するとき、用語「患者」、「ホスト」、「ユーザー」、及び「被験者」は、任意のヒト又は動物被験体を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。
【0051】
概説
図1A及び
図1Bを参照すると、心臓組織のアブレーションなどの低侵襲的処置で使用することができるカテーテル10は、細長いカテーテルシャフト12と、カテーテルシャフト12の遠位により短い偏向区画14とを備え、この偏向区画は、単一方向又は双方向に偏向され得る。カテーテルシャフト12及び偏向区画14の好適な実施形態は、2018年3月19日に出願され、CATHETER WITH MULTIFUNCTIONAL MICROINJECTION-MOLDED HOUSINGと題された米国出願通し番号第15/925,521号に記載されており、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。偏向区画14の遠位は、少なくとも1つの電極及び少なくとも1つの熱電対を含む遠位アセンブリ15である。カテーテルはまた、カテーテルシャフト12の近位に制御ハンドル16を含む。
【0052】
遠位アセンブリ15は、有利には、フレックス回路20及び内部支持部材22(例えば、
図3を参照)を含み、この内部支持部材上にフレックス回路が適用されて、遠位アセンブリ15に、円周方向組織接触面と、灌注流体を循環させてフレックス回路及び遠位アセンブリを冷却するための1つ又は2つ以上の内部チャンバとを提供する。フレックス回路20は、灌注孔26を備えて形成されているため、灌注流体は、遠位アセンブリ15から出ることができ、また、周囲の組織を冷却することができる。フレックス回路20及び支持部材22を含む遠位アセンブリ15は、手動で又は自動化ロボットによって、組み付けラインの様式で比較的容易に達成され得る手法で組み付けを容易にする。
【0053】
システムの説明
ここで、カテーテルアブレーションシステム100の概略描写図である
図2も参照する。システム100では、カテーテル10は、患者11の血管系に挿入され、心腔13内に挿入される。カテーテルは、患者の心臓組織のアブレーションを実施することを典型的に含む処置中に、システム100のオペレータ19によって使用される。心臓内処置における使用を含む、いくつかの実施形態では、カテーテルシャフト12、偏向区画14、及び遠位アセンブリ15は、典型的には2~3mm程の非常に小さな外径を有しており、カテーテル10の内部構成要素の全てもまた、できるだけ小さく薄く作製され、わずかな機械的な歪みによる損傷をできる限り防止するように配置される。
【0054】
システム100の動作、機能、及び動きは、システムコントローラ130によって管理され、このシステムコントローラには、システム100の動作のためのソフトウェアが格納されているメモリ134と通信する処理ユニット132が含まれている。いくつかの実施形態では、コントローラ130は、汎用コンピュータ処理ユニットを含む業界標準のパーソナルコンピュータである。しかしながら、いくつかの実施形態では、コントローラの動作、機能、又は動きのうちの少なくとも一部が、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)又は現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)などの、カスタム設計のハードウェア及びソフトウェアを用いて実施される。いくつかの実施形態では、コントローラ130は、ポインティングデバイス136及びグラフィカルユーザインタフェース(GUI)138を使用してオペレータ19によって管理され、これらによってシステム100のパラメータをオペレータが設定することが可能になる。GUI 138はまた、典型的には、表示モニタ140上でオペレータに処置の結果を表示する。
【0055】
メモリ134中のソフトウェアは、例えばネットワークを介して、電子的形態でコントローラにダウンロードすることができる。代替的に又は追加的に、ソフトウェアは、光学的、磁気的又は電子的記憶媒体などの非一時的有形媒体上で提供され得る。
【0056】
遠位アセンブリ15の電極、熱電対、及び位置(場所又は配向)センサを含む電気部品は、カテーテルシャフト12及び偏向区画14を通過する導体によってシステムコントローラ130に接続される。アブレーションに使用することに加えて、電極は、当技術分野で知られている他の機能を実施してもよい。システムコントローラ130は、周波数多重化によって、電気部品の異なる機能に関する電流を区別してもよい。例えば、高周波(RF)アブレーションの力は、約数百kHzの周波数でもたらされる一方で、位置検知周波数は約1kHzの周波数であることができる。電極に対して測定したインピーダンスを使用して遠位アセンブリ15の位置を評価する方法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるBar-Talらへの「Current Localization Tracker」と題された米国特許第8,456,182号に開示されている。
【0057】
図2に示すように、システムコントローラ130は、力モジュール148、RFアブレーションモジュール150、灌注モジュール152、追跡モジュール154、及び温度検知モジュール156を含む。システムコントロール130は、遠位アセンブリ15上の力の大きさ及び方向を測定するために、力モジュール148を使用して信号を生成し、遠位アセンブリ15内の力センサ80に供給された信号、及び力センサ80から受信した信号を測定する。システムコントローラ130は、アブレーションモジュール150を使用して、遠位アセンブリ15の1つ又は2つ以上の電極を介して印加されるアブレーション電力のレベルなどのアブレーションパラメータを監視及び制御する。アブレーションモジュール150は、RF発生器(図示せず)を含み、印加されるアブレーションの電力/ワット数及び持続時間を制御する。
【0058】
典型的には、アブレーション中、アブレーションモジュール150によって作動される1つ又は2つ以上の電極内、並びに周辺領域に熱が生じる。熱を放散し、アブレーションプロセスの効率を改善するために、システムコントローラ130は、遠位アセンブリ15の異なる部分/表面の温度を監視し、遠位アセンブリ15に灌注流体を供給する。システムコントローラ130は、灌注モジュール152を使用して、灌注流体の流量及び温度等の灌注パラメータを監視及び制御する。いくつかの実施形態では、システムコントローラ130は、以下で更に詳細に説明するように、遠位アセンブリ15の可動内部構成要素を制御及び調節することによって、遠位アセンブリ15の表面上の「ホットスポット」又は不均一な加熱を管理する際に、温度検知モジュール156に応答して、灌注モジュール152を使用する。
【0059】
システムコントローラ130は、追跡モジュール154を使用して、患者11に対する遠位アセンブリ15の場所及び配向を監視する。監視は、カリフォルニア州IrvineのBiosense Websterによる製造のCarto3(登録商標)システムで提供されるものなど、当技術分野で知られているあらゆる追跡方法により実施することができる。そのようなシステムは、患者11の外部にある高周波(RF)磁気送信機、及び遠位アセンブリ15内の応答性要素を使用する。代替又は追加として、追跡は、1つ又は2つ以上の電極と、患者11の皮膚に取り付けたパッチ電極との間のインピーダンスの測定によって実施することができ、これらのパッチ電極は、Carto3(登録商標)システムにも設けられるようなものである。簡単にするために、上記で言及した要素及びパッチ電極など、追跡に特定の要素及びモジュール154によって使用される要素は、
図2に示さない。
【0060】
図1A、
図3、及び
図5Aを参照すると、遠位アセンブリ15は、キャップ又は先端電極21、内部支持部材22、及び支持部材22上に概ね円筒形の形態で配置されたフレックス回路20を含む。いくつかの実施形態では、支持部材22は、近位部材又は端部40と、遠位部材又は端部42と、端部40及び42の間に延在する長手方向部材又はポスト44とを有する、スプール又はボビンに類似してもよい。端部40及び42は、遠位アセンブリ15の長手方向軸36に対して横方向の半径方向寸法を有し、ポスト44は、長手方向軸36と整列して同一の広がりを持つ。
図5A及び
図5Bでより良く分かるように、遠位端42の遠位面は凹部52Dを有し、近位端の近位面は凹部52Pを有し、別個の遠位キャップ21間に接続及び境界面を作り出す。端部40及び42のそれぞれは、より小さな直径D1に位置する内周面46P、46Dと、より大きな直径D2に位置する外周面48P、48Dとを有し、ここで、D1<D2であるので、フレックス回路20の近位縁部31及び遠位縁部32の内側表面95が、それぞれ内周面46P、46D上に載置され得、フレックス回路20の外側組織接触面94は、フレックス回路20の外径とほぼ同一平面又は平坦であり得る。その近位縁部31及び遠位縁部32におけるフレックス回路20は、好適な接着剤などによって支持部材22のこれらの周面に付着される。
【0061】
図3及び
図5Aに示されるように、ポスト44は、フレックス回路20の円筒形の形態を通って7中心に延在し、ポスト44自体は、遠位開口51Dから近位開口51Pまで、部材22の長手方向長さ全体を通って延在する長手方向流体チャネル50を有する中空である。フレックス回路20によって概ね囲まれているポスト44は、半径R2よりも小さい半径R3を有し、このため、ポスト44とフレックス回路20との間に環状空間間隙が設けられ、それらの間に1つ又は2つ以上の灌注流体チャンバ54を画定する。複数の灌注孔56は、長手方向軸36の周りの全ての半径方向において、ポスト44の側壁の概ね全体にわたって形成され、その結果、近位開口51Pに入り、チャネル50を通過する灌注流体が、孔56を通って1つ又は2つ以上のチャンバ54内へと任意の半径方向においてポスト44を出ることができる。孔56の配置、サイズ、又は形状は、所望に応じて又は適切に、変化させることができる。図面は、ポスト44内に構成された孔56の全ての配置を必ずしも図示しておらず、すなわち、孔56は、所望に応じて又は適切に、ポスト44の任意の表面又は部分に構成されてもよいことが理解される。支持部材22が導電性材料で構築される場合、アブレーションモジュール150からのリードワイヤ(図示せず)は、先端電極におけるRFアブレーションのために、支持部材の遠位端において先端電極21に導電的にエネルギーを送達するように、支持部材に接続されてもよい。
【0062】
フレックス回路20は、支持部材22の部分に丸められるか、巻かれるか、ないしは別の方法で適用されて、その結果、それは、円筒形状を形成し、遠位アセンブリ15に円周方向の組織接触面を提供する。いくつかの実施形態では、フレックス回路20は、
図4Aに示すように、導電トレース30が基板の外側表面94上に設けられる可撓性の非導電性の生体適合性材料のシートで構築された基板28によって画定される略矩形形状のアセンブリ前構成を有する。(「基板」及び「フレックス回路」という用語は、適切に本明細書において互換的に使用されることが理解される。)基板28は、遠位縁部31、近位縁部32、及び対向する側縁部33a及び33bを備えて構成され、これらは、例えば、好適な接着剤を用いて互いに交わる、重なる、及び付着することができ、閉鎖構成、例えば、内部容積34を有する中空円筒形形態を形成する。支持部材22に適用されるようなフレックス回路20の円筒形態は、遠位アセンブリ15の長手方向軸36と整列し、同一の広がりを持つ中心長手方向軸を有し、これにより、基板28の外向き表面94が、遠位アセンブリ15の円周方向の組織接触面を形成する。
【0063】
いくつかの実施形態では、基板28は、ポリイミドで構築され、トレース30は、2つの異なる金属の1つ又は2つ以上のトレースを含む。
図4Aの例示された実施形態では、トレースは、コンスタンタン30Cのトレース、並びに互いに電気的に絶縁された銅又は金30G1、30G2、30G3、30G4、30G5及び30G6のトレース(単数又は複数)を含み、それぞれが別個の熱電対接合部TC1、TC2、TC3、TC4、TC5、及びTC6をそれぞれ形成する別個の導体として機能し、コンスタンタン30Cは、6つの接合部全てに対して共通導体として機能する。トレースのパターン、並びに別個の共通の導体の使用は、所望に応じて又は適切に、変化させることができる。例示した実施形態では、各熱電対は、フレックス回路外側表面94上のグリッドパターン上、したがって遠位アセンブリ15の周面上の固有の位置を占有し、この結果、遠位アセンブリ15の組織接触面上の2つの異なる長手方向位置L1及びL2のうちの1つに沿って、約0度、120度、及び240度の半径方向角度の温度が、熱電対TC1~TC6によって検知され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の追加のトレース又は導電性材料が、1つ又は2つ以上のリング電極を形成するために、基板28上に提供される。
図4Aの例示の実施形態では、フレックス回路20が支持部材20上で概ね円筒形の形状を呈するとき、概ね直線状の細長いトレース30Rが、熱電対TC1~TC6の近位の、遠位アセンブリ15上にリング電極18を形成するように、基板の近位縁部に沿って位置付けられる。支持部材22が導電性ではない、いくつかの実施形態では、先端電極21によって検知された電気信号がカテーテルに沿ってシステムコントローラ130に伝達され得るように(
図1)、又はRFエネルギーなどのエネルギーがアブレーションモジュール150から先端電極に送達され得るように(
図1)、1つ又は2つ以上の追加のトレース30Eが、先端電極21に電気的に接続するために提供される。
【0065】
フレックス回路20の基板28は、複数の灌注孔26を有するそれの平面シート本体全体にわたって概して形成される。そのパターン及び複数状態は、所望に応じて又は適切に、変化してもよい。灌注孔26は、灌注流体が、遠位アセンブリ15上の概ね円筒形の形態の内部34から、フレックス回路20の外側組織接触面94及び遠位アセンブリ15を取り囲む組織に通過することを可能にする。灌注孔26は、所望に応じて又は適切に、異なる形状又はサイズを有してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態では、フレックス回路20は、カテーテルの長さに沿って延在する好適なワイヤに対してPCBに、又は他の好適な回路に結合された、電気デバイス、例えば、微小電極、熱電対、位置センサなどを電気的に接続するように構成された導電性トレースなどの電気相互配線を有する多層フレキシブルプリント回路基板(PCB)シートである。カテーテルの遠位端アセンブリのための好適なフレックス回路は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2016年10月25日に出願されたGovariらの米国公開第2018/0110562号に記載されている。
【0067】
図4Bは、別の実施形態による、遠位アセンブリと共に使用するのに適した好適なフレックス回路200を例示する。フレックス回路200は、遠位アセンブリの外周接触面を提供するために概ね矩形である近位部分201と、先端電極を覆い、遠位ドーム接触面をその上に提供する遠位部分202とを含む。これらの部分201及び202の両方は、複数の流体孔204を有する。近位部分201は、遠位縁部201Dと、近位縁部201Pと、2つの対向する側縁部205a及び205bとを有し、側縁部205bは、そこから横方向に延在する側部206を有する。近位部分201は、1つの導電性材料、例えば、コンスタンタンの共通トレース230と、別の導電性材料、例えば、銅のN個の複数のトレースとを含む、トレースを有しており、N個の熱電対接合部J1~JNを形成する。
図4Bの例示の実施形態では、フレックス回路200は、別の導電性材料の6つの別個のトレース231~236を有しており、共通トレース230を有する6つの熱電対接合部J1~J6を形成する。いくつかの実施形態では、外側露出要素は、組織、ECG電極及びリング電極を加熱/処理するためのRFの送達用の導電性表面であり、内側露出要素は、熱伝達及びトレースに接続するためのはんだ付けパッドを主に意図した導電性表面である。熱電対などの全ての他のトレースは、フレックス回路内に位置する。また、フレックスの様々な層を介する様々な要素間の接続であって、内側表面上に露出したはんだパッドで終端する接続が存在する。いくつかの実施形態では、測定される組織表面に可能な限り近接して熱電対接合部を構成することが好ましい。
【0068】
遠位部分202は、その遠位縁部の一区画に沿って、近位部分201の遠位縁部201Dの一区画に接線方向に接続されている。遠位部分202は、概ね円形のハブ212と、ハブからスポークのように外向きに放射状に広がる複数のアーム部分213とを有する車輪に似ている。
【0069】
遠位アセンブリ上にフレックス回路200を取り付けるとき、
図4Cに示されるように、遠位部分の中心214が長手方向軸36と整列した状態で、遠位部分202は先端電極(又は同様のドーム構造を有する部材)上に位置付けられる。先端電極のドームの曲率に応じて、遠位部分202の縁部の周囲に1つ又は2つ以上の折りたたみ部又は折り目215が形成されて、遠位部分202を湾曲に適合させる。近位部分201は、次いで、円周方向に巻き付けられて円筒形の形態を形成する。遠位部分21のアーム部分213は、遠位部分201をドーム上に固定するように近位部分201の下に押し込まれる。側部206は、側縁部205aの下に押し込まれる。その点に関して、アーム部分203及び側部206が、アーム部分203及び側部206と重なり合う近位部分201のうちの部分の流体孔204を遮らないように、アーム部分203及び側部206は、近位部分201の対応する流体孔204と整列する流体孔204を有する。
【0070】
図5A及び
図5Bを参照すると、いくつかの実施形態では、支持部材22のポスト44の側壁61は、半径方向に外向きに延在する1つ又は2つ以上の隆起部分70を有して構成されており、各部分70が、フレックス回路20の内側表面95に接触し、ポスト44の周りにその円筒形の形態でフレックス回路20を支持することができるように、半径(D1/2)に概ね等しい長手方向軸36からの距離(DR/2)でそれぞれ延在している。隆起部分70は、ピークとして局所化されてもよく、又はポスト44上の隆起領域に及んでもよい。
図5A及び
図5Bの例示される実施形態では、ポスト44は、ポストの長さに沿った中間点の周りに円周方向に隆起したバンド71を有する。したがって、隆起バンド70は、チャンバ54を、バンド70によって分離された容積と概ね等しい、遠位チャンバ54D及び近位チャンバ54Pに分割する。例えば、N個の複数のバンド70と共に、N+1個の複数の別個のチャンバ54を、ポスト44とフレックス回路20との間の遠位アセンブリ15内に形成することができる。隆起バンド70の幅は異なる構成を有してもよいことが理解される。隆起部分又はバンド70は、長手方向により小さい幅を有してもよく、又は異なる断面形状、例えば、U字形(
図9A)、V字形(
図9B)、又は立体形状(
図9C)を有してもよい。
【0071】
図6A及び
図6Bに示されるように、いくつかの実施形態では、支持部材22は、ポスト40のチャネル50内で移動可能な流れ方向付け器58を含む。いくつかの実施形態では、流れ方向付け器58は管腔59を有する管材であってもよく、その管腔59を通って灌注流体が近位端から遠位方向に通過し、遠位開口58Dを通って出ることができる。流れ方向付け器58は、支持部材22に対してチャネル50内で長手方向に移動するように寸法決め及び構成され、これにより、オペレータ19は、流れ方向付け器58を操作して、ポスト40のチャネル50内の選択された場所に遠位開口58Dを位置付け、遠位アセンブリ15内の選択された部分及びチャンバに灌注流体を方向付けることができる。Oリング91が、例えば、流れ方向付け器58の遠位端又はその付近に設けられて、流れ方向付け器の遠位端の周囲に流体密封を提供してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、システムコントローラ130、灌注モジュール152、及び温度検知モジュール156(
図1)は、流れ方向付け器58を制御及び操作するように構成され得る。例えば、流れ方向付け器58は、システムコントローラ130に応答してアクチュエータに結合され、ポスト44の側壁61が遠位開口58Dの近位のそれらの灌注孔56を遮って封鎖する場所である、支持部材22内のより遠位の位置(
図6A)と、ポスト44の側壁61がより多くの灌注孔56を遮らずに開いたままにして、追加の灌注流体量が本体20から送達されることを可能にする場所である、より近位の位置(
図6B)との間の長手方向軸36に沿った流れ方向付け器58の移動を調節することができる。流れ方向付け器58の位置に応じて、灌注流体は、流れ方向付け器58によって、その管腔59からチャネル50の異なる部分に、及び1つ又は2つ以上のチャンバ54内に送達され得る。例えば、フレックス回路22の全ての領域において冷却が所望される場合、流れ方向付け器58は、より大量の流体循環のために、チャネル50内でより近位に位置付けられ得る。例えば、フレックス回路22の遠位領域においてより多くの冷却が所望される場合、流れ方向付け器58は、チャネル50内でより遠位に位置付けられ得る。更に、先端電極21においてより多くの冷却が所望される場合、流れ方向付け器58は、ポスト44が、ポスト40のチャネル50内の全ての灌注孔56を遮る最遠位位置に位置付けることができ、それにより、全ての灌注流体が先端電極21内に方向付けられる。したがって、流れ方向付け器58は、オペレータによって操作されて、支持部材22及び遠位アセンブリ15に対して長手方向にその位置の調節を可能にすることによって、先端電極21を含む遠位アセンブリ15の冷却を制御することができ、それにより、流れ方向付け器58の長手方向の移動は、遠位アセンブリ15の冷却速度を比例的に制御する。
【0073】
先端電極21は、薄いシェルSを有する非外傷性ドームとして構成され、組織接触を伴うアブレーションのために、RFエネルギーを含む電気的活動又は送達エネルギーを検知する際の組織接触に好適である。いくつかの実施形態では、先端電極21は、支持部材22の遠位端上に取り付けられ、先端電極21は、支持部材22の遠位端を受容して取り囲む円周方向フランジ23を有する。いくつかの実施形態では、先端電極21は、フレックス回路20を介して電気的に作動される。いくつかの実施形態では、先端電極21は、当該技術分野において既知のように、カテーテルの長さを通過するリードワイヤ(図示せず)を介して作動される、支持部材22を介して伝導されるエネルギーによって電気的に作動される。いくつかの実施形態では、先端電極21は、その全体が1つ又は2つ以上の金属材料で構築されてもよい。いくつかの実施形態では、先端電極21は、例えば、ベースとして非金属化材料と、金などの導電性外側コーティング又は堆積物などの金属性外層とを用いて、金属材料で構築される。先端電極はまた、その外側遠位面上にフレックス回路を担持してもよい。いくつかの実施形態では、ドーム21は、金属性である。いくつかの実施形態では、ドーム21は、めっきプラスチックである。いくつかの実施形態では、ドーム21は、内部熱電対接合部を備える金属化外側表面を有して形成されたフレックス回路を含む。
【0074】
図6A及び
図6Bの例示的な実施形態に示されるように、先端電極21は、灌注流体を受容するように構成された内部容積Vにつながる近位開口25を有する。いくつかの実施形態では、開口25は、周方向フランジ23内の半径方向フランジ27によって画定され、半径方向フランジ27は、支持部材22の遠位端と当接する。薄壁ドームシェルSは、スタンピングによって形成されてもよく、内部容積Vに入る灌注流体がシェルSの全領域の外側に出ることができるように、概ねシェル全体にわたって複数の灌注孔35が備えられている。
【0075】
先端電極21、内部支持部材22、及びフレックス回路20は、手作業又はロボット自動化による組み付けの容易さを可能にするように構成される。更に、先端電極21又は支持部材22の構築材料は、熱伝導性金属材料、又は熱伝導性及び熱非導電性材料の組み合わせ等であってもよい。いくつかの実施形態では、支持部材22は、マイクロ注入成形によって生体適合性プラスチックから製造することができる。
【0076】
先端電極21は、締まり嵌め及び好適な接着剤による付着を使用して、内部支持部材22の遠位端上に容易に取り付けることができる。そのため、いくつかの実施形態では、
図7に示すように、先端電極21は、長手方向軸36に沿って延在し、かつ支持部材22内のチャネル50の遠位開口51D内に受容される雄型カプラ72を有する。雄型カプラ72は、脱離に備えて固定するために遠位開口51Dの縁に引っ掛かるリップ74を有する。雄型カプラ72は、灌注流体が内部支持部材22から内部容積V内に通過することを可能にする長手方向管腔76を有する。なお更に、管腔76は、流れ方向付け器58がその最遠位位置にあるときに、灌注流体が管腔59から管腔76内に直接流れることができるように、流れ方向付け器58の管腔59と整列し、かつそれに匹敵する寸法になっている。いくつかの実施形態では、支持部材22の遠位端は、先端電極21の雌型カプラ内に受容される雄型カプラを有することが理解される。先端電極21は、立体の構築物を通って延在し、かつチャンバ(複数可)54と先端電極の外側との間に流体連通を提供する灌注経路を有する概ね立体の構築物を有することも理解される。
【0077】
いくつかの実施形態では、遠位アセンブリ15は、遠位端が内部支持部材22の近位端に接続された力センサ80を含む。力センサ58と類似の力センサの態様は、米国特許第8,357,152号(Govariら、2013年1月22日発行)、及び米国特許公開第2011/0130648号(Beecklerら、2009年11月30日出願)に記載されており、これらの開示の両方が参照により本明細書に組み込まれる。
図1Aを参照すると、力センサ80は、弾性結合部材81を備え、その弾性結合部材は、結合部材の2つの端部の間にばね接合部を形成する。いくつかの実施形態では、結合部材81は、2つの部分で形成されるか、あるいは第1又は遠位のアセンブリ81Dと、第2又は近位の部分81Pとを有し、これらの2つの部分が一緒に固定して接合されることが理解される。結合部材81の2つの部分は、概ね管状であり、結合部材もまた、それを通る中央管腔82を備える管状形態を有するように、接合される。結合部材81が2つの部分で形成される実施形態では、2つの部分の実施態様により、力センサ内に含まれる要素、並びに遠位端に取り付けられる他の要素をこの部材81内に組み付けることが簡単になる。
【0078】
結合部材81は、典型的には、遠位アセンブリ81Dの長さの一区画において切断された又は別の方法で形成した1つ又は2つ以上のらせん部83を有し、部材がばねとして作用するようにする。本明細書で説明し、
図1Aに例示した実施形態では、らせん部83は、2つの交互絡合した、らせん部、すなわち、第1の切断らせん部83A及び第2の切断らせん部83Bとして形成され、本明細書ではこれらのらせん部を二重らせん部とも呼ぶ。しかしながら、結合部材81は、任意の正の整数のらせん部を有することができ、当業者であれば、過度の実験を伴わずに本明細書を適合させて2個以外の数のらせん部を包含させることができるであろう。代替的に、結合部材は、上記で言及した1つ以上の管状らせん切断部によってもたらしたものと同様の可撓性及び強度特性を有する、コイルばね又はあらゆる他の適切な種類の弾性構成要素を備えることができる。
【0079】
結合部材81は、典型的には可撓性プラスチック材料から形成した、非導電性の生体適合性の外装84内に取り付けられ、その外装84によって覆われる。結合部材81は、典型的には、外装84の内径とほぼ等しい外径を有する。そのような、結合部材の外径が可能な限り大きい構成により、典型的には、力センサ80の感度が増大する。更に、及び以下で説明するように、比較的大きな直径の管状結合部材、及びその比較的薄い壁により、結合部材内に封入された比較的広い中央管腔82がもたらされ、この中央管腔は、他の要素によって占有され得る。
【0080】
カテーテル10が、例えば、電極21又は電極18を介してRF電気エネルギーを送達することによって心臓内組織のアブレーションに使用される場合、遠位アセンブリ15内にかなりの熱が発生し得る。この理由から、外装84は、例えば、ポリウレタンなどの耐熱性プラスチック材料を含み、外装の形状及び弾性は、熱に対する曝露から大きな影響を受けないことが望ましい。
【0081】
力センサ80内、典型的には結合部材81の中央管腔82内では、コイル86、87、88及び89を備える接合検知アセンブリにより、力センサ80のばね接合部内のあらゆる寸法変化の正確な読み取りがもたらされ、寸法変化には、接合部の軸方向の変位及び角度のゆがみを含む。これらのコイルは、本発明の実施形態で用いることができる磁気変換器の一種である。「磁気変換器」とは、本特許出願の文脈において、また特許請求の範囲において、印加された電流に応答して磁場を発生させ、又は、印加された磁場に応答して電気信号を出力するデバイスを意味する。本出願の実施形態では、コイルを磁気変換器として記述しているが、代わりの実施形態では、当業者にとっては自明であるように、他の種類の磁気変換器を用いることができる。
【0082】
検知アセンブリ内のコイルは、ばね接合部の両側で2つのサブアセンブリに分割される。すなわち、部材81の一方の部分における1つのサブアセンブリ(例えば、遠位アセンブリ81D)は、システムコントローラ130からケーブル(図示せず)を介して電流により駆動されるコイル86、及び磁場を生成する力モジュール148を備える。この磁場は、らせん部(複数可)83を横切ってコイル86の反対側の部材81の別の部分(例えば、近位部分81P)に位置する、コイル87、88、及び89を含む、第2のサブアセンブリによって受け取られる。コイル87、88及び89は、長手方向軸36の周りに異なる半径方向位置で遠位端12において固定されている。具体的には、この実施形態では、コイル87、88及び89の全てが、長手方向軸36の周りに異なる方位角で、軸36に垂直な同一平面内に位置し、軸364に概ね平行なそれぞれの対称軸を有する。例えば、これら3つのコイルは、長手方向軸36から同一の半径方向距離で離れた120°の方位で離間することができる。
【0083】
コイル87、88及び89は、コイル86によって伝達される磁場に応答して、電気信号を生成する。これらの信号は、ケーブル(図示せず)によってシステムコントローラ130に伝えられ、システムコントローラ130は、力モジュール148を使用して信号を処理し、軸36に平行なばね接合部の変位を測定するように、及び軸からの接合部の角度のゆがみを測定するようにする。測定した変位及びゆがみから、システムコントローラ130は、典型的には、力モジュール148内に保存された予め決定した較正テーブルを使用して、結合部材81のばね接合部に対する力の大きさ及び方向を評価することができる。いくつかの実施形態では、第2のリング電極93は、近位部分81P上に担持される。
【0084】
システムコントローラ130は、追跡モジュール154(
図1)を使用して、遠位端12の場所及び配向を測定して検出する。検出方法は、当技術分野において既知の任意の従来のプロセスによって行うことができる。いくつかの実施形態では、(例えば、患者のベッドの下に位置付けられた発生器によって)患者11の外部に発生した磁場は、近位部分81P内に収容された位置センサ90内に電気信号を発生させる。
図1Bに示すように、位置センサ90は、検知コイルX、コイルY、及びコイルZ(いくつかの実施形態では、コイル87、88及び89のうちの1つである)を含む。システムコントローラ130は、電気信号を処理して、遠位アセンブリ15の場所及び配向を評価する。代替的に、磁場は、遠位アセンブリ15内で発生されてもよく、磁場によって生成された電気信号は、患者11の外部で測定されてもよい。
【0085】
灌注流体は、管腔92を有する灌注管材91によって遠位アセンブリ15に送達される。灌注管材91は、偏向区画14及びカテーテルシャフト12を通って延在する。灌注管材91の遠位端は、管腔92が流れ方向付け器58の管腔59と連通するように、流れ方向付け器58の近位端に結合される。いくつかの実施形態では、近位部分にある灌注管材91は、近位端が露出されるように制御ハンドル16を越えて延在し、その結果、オペレータは、灌注流体の流れを方向付ける際に、支持部材22内のより近位の位置又はより遠位の位置に流れ方向付け器58を引く又は押すことによって、灌注管材91を操作することができる。いくつかの実施形態では、システムコントローラ130は、温度検知モジュール156に応答して灌注管材91の移動を作動させるように構成されている。いくつかの実施形態では、灌注管材91は、流れ方向付け器58の近位部分と一体である。いくつかの実施形態では、灌注流体は、生理食塩水であり、流体の流量は、灌注モジュール52によって制御される。
【0086】
いくつかの実施形態では、
図8Aに示すように、支持部材22の内側に延在することができる流れ方向付け器58の側壁の遠位部分は、長手方向軸36の周りの概ね全ての半径方向に灌注開口96、例えば、図示されるように、96A、96B、96Cを有する。第2の又は内側流れ方向付け器97、例えば、管腔98を有する管材が、流れ方向付け器58の管腔59内に入れ子になっている。支持部材22内に延在することができる第2の流れ方向付け器97の遠位部分内の側壁は、灌注形成物99、例えば、(破線で)長手方向スロット99S又は長手方向に配置された(実線で)灌注孔99Aを有し、これは、第2の流れ方向付け器97がオペレータ19又はシステムコントローラ130によってその長手方向軸に沿って回転されるときに、灌注孔96の長手方向群と整列することができる。
図8Aの例示される実施形態では、第2の流れ方向付け器97は、灌注形成物99が孔96Bと整列されるように、回転されており、その結果、それらの間に流体連通が存在し、灌注流体が孔96Bを介してポスト40を出るように方向付けられる。しかしながら、
図8Bに示されるように、第2の流れ方向付け器97は、その灌注形成物99が孔96Aと整列されるように、回転されており、その結果、それらの間に流体連通が存在し、灌注流体が孔96Aを介してポスト40を出るように方向付けられる。したがって、第2の流れ方向付け器97は、遠位アセンブリ15内の長手方向軸36を中心とした灌注流体の流れにおける半径方向制御を可能にする。外側管材85は、第1又は外側の流れ方向付け器58の露出した近位部分を円周方向に取り囲むように設けられている。
【0087】
遠位アセンブリ15を灌注するための手段は、
図3、
図5A、
図5B、
図6A、
図8A、及び
図8Bに示されるように、支持部材22のポスト44、第1の流れ方向付け器58、及び第2の流れ方向付け器97に関して、多くの実施例のうちの1つに図示され、記載されている。
【0088】
使用中、カテーテル10は患者の血管系に導入され、遠位アセンブリ15は、関心領域、例えば心腔に前進される。システムコントローラ130は、マッピングを含む診断処置を達成する。例えば、位置センサ90は、遠位アセンブリ15の場所及び配向を決定する際に追跡モジュール154によって処理される信号を生成する。先端電極21、遠位リング電極18、又は近位リング電極93は、発生した信号が処理ユニット132によって処理される隣接する心臓組織の電気的活動を検知する。3D電気生理学マップは、これらの処理された信号から作成されてもよく、アブレーション組織部位が特定され、標的化される。システムコントローラ130はその後、治療処置を達成することができる。例えば、オペレータは、先端電極21が標的化された組織部位と接触するように、遠位アセンブリ15を操作する。先端電極21と組織との間の接触は、遠位アセンブリ81Dを力センサ148の近位部分81Pに対して変位させる力の印加をもたらす。このような変位により、コイル87、88又は89は、例えば、アブレーションの準備における遠位アセンブリ15及び組織の接触を確認するために、力モジュール148によって処理される信号を発生させる。
【0089】
アブレーション前又はアブレーション中、灌注モジュール152は、灌注管材91の管腔92及び流れ方向付け器58の管腔59(これは、いくつかの実施形態では、灌注管材91をその近位部分として含んでもよい)を通じて流体源(図示せず)から灌注流体を送達するポンプ(図示せず)によって、遠位アセンブリ15への灌注流体の送達及び送達速度を制御する。流れ方向付け器58は、その遠位開口58Dが、例えば、より近位の位置にあるように、オペレータ又はシステムコントローラ130によって位置付けられる。アブレーションモジュール150は、標的組織を加熱して損傷を形成するRFエネルギーを先端電極21に送達する。熱電対TC1~TC6のうちの1つ又は2つ以上は、それぞれの周囲の組織及び流体の温度を表す信号を発生させる。検知された温度(複数可)に応じて、システムコントローラ130は、いくつかの実施形態では、アブレーションモジュール150と通信して、電力送達を調節してもよいし、あるいは灌注モジュール152と通信して、流体送達の速度を調節してもよいし、又は流れ方向付け器58の位置を、ホットスポット、炭化、又は血栓症を回避するのに適切であるような、その最遠位位置、より遠位の位置、又はより小さい近位の位置に調節してもよい。したがって、灌注流体は、例えば、(i)灌注孔35、56及び26の全て、(ii)灌注孔35の全て及び灌注孔56の一部分、又は(iii)単独で灌注孔を含む、様々な手法で流出するように方向付けることができる。加えて、カテーテル10が、灌注孔96を有する流れ方向付け器58と、半径方向に方向付けられたスロット99S又は灌注孔99Aを有する第2の流れ方向付け器97とを含む場合、オペレータ又はシステムコントローラ130はまた、灌注流体の流れの半径方向を制御するように第2の流れ方向付け器97を操作することができる。その点に関して、長手方向の形成物99、例えば、スロット99S及び孔99Aは、それらの間の流体連通を容易にするために、孔96よりも大きく又は広くてもよい。
【0090】
先行する説明は、本発明の特定の代表的な実施形態を参照して提示された。本発明に関係する当業者は、記載した構造の修正及び変更が、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく実施でき、また図面は必ずしも原寸に比例しないことを理解するであろう。更に、実施形態の任意の1つの特徴を他の実施形態の特徴の代わりに、又はそれに加えて使用できることが理解される。したがって、上記の説明は、添付の図面に記載し説明した厳密な構造のみに関するものとして解釈されるべきではない。むしろ、その最も完全かつ最も正確な範囲を有する以下の特許請求の範囲に一致し、それを支持するものとして解釈されるべきである。
【0091】
〔実施の態様〕
(1) 電気生理学的カテーテルであって、
細長いカテーテルシャフトと、
長手方向軸を画定する遠位アセンブリであって、
前記長手方向軸に沿って延在する概ね円筒形の形態で構成されたフレックス回路であって、遠位縁部分及び近位縁部分を含む、フレックス回路と、
遠位周面を有する遠位部材と、近位周面を有する近位部材と、前記遠位部材と前記近位部材との間に延在するポストとを有する支持部材であって、前記ポストが、前記円筒形の形態を通って長手方向に延在し、前記遠位周面が、前記フレックス回路の前記遠位縁部分を支持し、前記近位周面が、前記フレックス回路の前記近位縁部分を支持する、支持部材と、を有する、遠位アセンブリと、を備える、電気生理学的カテーテル。
(2) 前記フレックス回路が、遠位部分及び近位部分を含み、前記遠位部分が、概ね円形の部分を含み、前記近位部分が、概ね矩形の部分を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記トレースが、熱電対を含む、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記トレースが、電極を含む、実施態様2に記載のカテーテル。
(5) 前記フレックス回路が、1つ又は2つ以上の灌注孔を有する基板を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
【0092】
(6) 前記ポストが、流体チャネルを画定する側壁を含み、前記側壁が、前記流体チャネルと連通する1つ又は2つ以上の灌注孔を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記ポストが、半径方向に延在する隆起部分を含む、実施態様6に記載のカテーテル。
(8) 前記ポストが、前記フレックス回路の内側表面に接触する隆起部分を含む、実施態様6に記載のカテーテル。
(9) 前記ポストが、前記ポストの周囲に円周方向に延在する隆起バンドを含む、実施態様6に記載のカテーテル。
(10) 前記隆起バンドが、灌注孔を含む、実施態様9に記載のカテーテル。
【0093】
(11) 前記遠位アセンブリが、前記フレックス回路と前記ポストとの間に1つ又は2つ以上の灌注チャンバを含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(12) 前記フレックス回路と前記ポストとの間の間隙空間が、灌注チャンバを提供する、実施態様1に記載のカテーテル。
(13) 前記フレックス回路と前記ポストとの間の間隙空間が、1つ又は2つ以上の灌注チャンバを提供する、実施態様1に記載のカテーテル。
(14) 前記ポストは、隆起バンドを含み、前記隆起バンドは、前記隆起バンドが前記灌注チャンバを遠位チャンバ及び近位チャンバに分割するように、前記ポストの周囲に円周方向に延在している、実施態様13に記載のカテーテル。
(15) 前記支持部材が、前記流体チャネル内に流れ方向付け器を含み、前記支持部材に対して前記チャネル内で長手方向に移動するように構成されている、実施態様6に記載のカテーテル。
【0094】
(16) 前記流れ方向付け器が、管腔を有する管材を含む、実施態様15に記載のカテーテル。
(17) 前記管材が、前記カテーテルシャフトから前記遠位アセンブリ内に延在する、実施態様16に記載のカテーテル。
(18) 前記流れ方向付け器の前記管材の前記管腔内に回転運動を有する第2の流れ方向付け器を更に備える、実施態様16に記載のカテーテル。
(19) 前記支持部材の遠位にキャップを更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。
(20) 前記支持部材の遠位に先端電極を更に備える、実施態様1に記載のカテーテル。